JP2014027929A - 生物用飼料添加剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ユーグレナ由来の成分を含有することを特徴とする生物用飼料添加剤に関する。
この生物用飼料添加剤を構成するユーグレナ由来の成分は、生物の生体状態を向上させる生体状態向上剤として機能する。
【選択図】図3
Description
例えば、食肉として供される生物(牛・馬・豚等の哺乳類、鶏・鴨等鳥類、食用魚類等)の場合は、その体格をより大きく育てるとともに、その健康を管理し、より品質の高い食肉として供することが求められ、観賞用として供される生物(錦鯉、ランチュウ等の観賞用魚類等)の場合は、ウイルス性疾患等による疾患を防止し、より大きく美しい個体の生産が求められる。
特許文献1には、抗魚用サプリメントが開示されている。
このサプリメントは、海産性魚介類に微細藻または大型藻類、バナナ果肉粉末、免疫賦活剤(ペプチドグリカン)の3つの成分を混合した飼料添加剤であり、これを飼料に添加することにより魚病被害を抑制することができることが開示されている。
また、特許文献2には、動物・ヒト用免疫賦活調整剤及び動物・ヒトの感染症や皮膚病、癌の予防・治療方法が開示されている。
この免疫賦活調整剤は、ワカメやマコンブ、アラメ等の海藻類から抽出したラミナランとガラクトース含有多糖を有効成分として含有するものであり、これを飼料に混合して、免疫賦活作用のある飼料を提供することが開示されている。
更に、特許文献3には、家畜の飼育に飼料添加物として使用されるβ−グルカン含有ソルビン酸調合物が開示されている。
この調合物は、ソルビン酸とβ−グルカン、場合によってはキャリア及び別の酸を含有するものである。
そして、この調合物(ソルビン酸とβグルカン)を含む飼料により、家畜の成長促進効果が認められることが開示されている。
また更に、特許文献4には、魚介類用餌飼料が開示されている。
この文献には、ドナリエラ由来の抗酸化物質を含む飼料により魚のストレス負荷を減少させることができることが開示されている。
一方、従来、スピルリナ等の藻類と免疫賦活剤を混ぜて飼料とすることでウイルス病対策となることも提案されていた。
例えば、ランチュウ用のウイルス病対策として数多くの配合飼料用栄養強化剤や免疫賦活剤が市販されるようになっているが、このようなものとして、スピルリナをはじめとし、アスタキサンチン、安定化ビタミンC、ニンニクエキス、ラクトフェリン、β‐グルカン、ポリフェノール等を配合した飼料が提案されている。
しかし、これらをランチュウに与え、抗病対策実験を行っても、上記の各サプリメントは、5−10%前後の改善は認められるものの、大きな成果は得られていない。
このように、従来の技術では、複数成分の免疫賦活剤の添加が必要であったり、十分な効果が得られないといった問題があった。
このため、単独で免疫賦活作用を有し、安価かつ大量に安定的に供給でき、十分な効果を得られる飼料が求められている。
また、本発明の他の目的は、免疫賦活作用を有し、安価かつ大量に安定的に供給することが可能な生物用飼料添加剤を提供することにある。
このように、本発明に係る生物用の飼料添加剤おいては、ユーグレナ由来の成分を含有しており、これにより、個体成長効果を得ることができる。
なお、「含有」という文言は、それを含むことを指すが、「それのみであること」も包含する概念である。
つまり、請求項1であれば、「ユーグレナ由来成分のみ」で他の成分を含まない場合も含む概念である。
具体的に、「生物の生体状態を向上させる」とは、「増体促進効果」や「免疫賦活効果」であり、請求項3のように、前記生体状態向上剤は、増体促進物質として機能すると好適である。
同様に、請求項4のように、前記生体状態向上剤は、免疫賦活物質として機能すると好適である。
このように、増体促進物質や免疫賦活物質として機能するため、疾病の治癒効果(治癒時間短縮等)や健全な成長効果(特に、増体効果)を奏することができる。
なお、ユーグレナは、粉体、抽出液体、ペレット状固体等、様々な状態で提供され得るが、好ましくは、飼料への添加剤としての取り扱いの関係上、粉体として提供されることが望ましい。
更に、具体的には、前記魚類は、コイ科に属し、特に、前記魚類は、ランチュウであると効果が高い。
特に、ランチュウは、高価な観賞魚であり、免疫力を向上させて、健全に生育した個体を得ることは、商業的にも非常に有用で切望された技術である。
また、前記鳥類は、カモ科に属すると、高い効果を期待することができる。
つまり、ユーグレナ由来成分を生物用飼料添加剤を飼料に混合させて投与することにより、個体の成長度を向上(例えば、体重増加等)させることができ、商業価値を上げることが可能となる。
また、本発明に係る生物用飼料添加剤は、免疫賦活作用を有し、安価かつ大量に安定的に供給することが可能であるため、疾病対策になるとともに、免疫力を上げて、健全な生育を実現することができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、十分に個体成長効果を得られ、免疫賦活作用を有し、安価かつ大量に安定的に供給することが可能な生物用飼料添加剤に関するものである。
なお、カモの飼育日数は、孵化日を飼育1日目として示している。
光合成微生物の一種である微細藻ユーグレナは鞭毛虫の一群で、運動性のある藻類として有名なミドリムシを含む。大部分のユーグレナは、葉緑体を持っており、光合成を行って独立栄養生活を行うが、捕食性のものや吸収栄養性のものもある。ユーグレナ(Euglena)は、動物学と植物学の双方に分類される属である。
Euglenoidinaには、属としてEuglena、Trachelemonas、Strombonas、Phacus、Lepocinelis、Astasia、Colaciumが含まれる。植物学では、ミドリムシ植物門(Euglenophyta)があり、その下にミドリムシ藻類綱(Euglenophyceae)、ミドリムシ目(Euglenales)があって、この目に含まれる属としてはEuglenaの他、動物分類表と同様である。
このユーグレナを培養する方法、及び凍結乾燥して粉体とする方法は公知の方法であるため、説明は省略する。
<I.ランチュウの飼育試験>
1.総論
ランチュウはコイ科の魚の一種であり、生態などは他の金魚に準ずるが、形の良い個体を生育てるために繁殖から餌付けまで細かく生育が管理されている。
そのため、数百万円程度の価格で売買されるものもあり、高級観賞魚として広く認知されている。
しかしながら、20年前頃からウイルス性の疾患が増加し、水槽内で全滅することが多くなっており改善が強く求められていたものである。
(1)条件
a.飼料組成の割合(重量比)
100 マッシ(コイの稚魚用飼料、農産工業(株))
5 スピルリナ(東海産業(株))
3 ハチミツ
ユーグレナ添加区においては、基本の飼料にユーグレナ粉末を添加した。
5 ユーグレナ
飼料へのユーグレナの添加量は、2%では食いつきに変化がなく、5%で食いつきが良く、10%では食いつきは良いが水槽内でバラバラになり水質悪化に繋がる可能性が考えられたため、ユーグレナの添加量は5%とした。
今回の実験では、1ペアの3才魚から生まれた10,000匹の当歳魚を5,000匹ずつに分け、ユーグレナ非添加飼料とユーグレナ5%添加飼料でそれぞれ飼育した。
a.ヘルペスウイルス性両えら開き病
ヘルペスウイルス性両えら開き病は、生後まもなくの稚魚から体長2cm程度の大きさの間に発生する疾病であり、群れの遊泳行動が停止するとともに、両えらが目刺魚のように開く症状を呈する。これは、放置すると数日で水槽内のランチュウが全滅する疾病である。
魚病学会においてもウイルス説と細菌説が考えられており、未だに原因が分かっていないが、現在では一週間程度の塩浴により80%以上完治することが明らかになっている。
ヘルペスウイルス性両えら開き病は、同時期に発症させるように調節し、発症後はいずれの実験区においても通常通り塩浴による治療を実施した。
10ペアの3才魚から産まれた当歳魚を用いて試験を行った。
a.試験方法
上記と同様の条件で生育させた当歳魚を約半年間生育させ、魚体重の変化を観察した。飼料の投与量は、魚体重の4%程度とし、各群で同量の飼料を与えた。
(1)ヘルペスウイルス性両えら開き病の発症抑制試験
ヘルペスウイルス性両えら開き病の発症抑制試験について、10ペアの3才魚から産まれた当歳魚を用いて試験を行った結果を表1に示す。
魚体重の変化について、結果を表2に示す。
なお、表2は各群10匹の魚体重の合計である。
ユーグレナ非添加区では平均6.5日、ユーグレナ添加区では平均3.6日で完治した。
ユーグレナを添加した飼料で生育させることで免疫力が向上した可能性がある。
また、ユーグレナを添加することにより魚体重の増加が認められ、ユーグレナの添加においては、ユーグレナ非添加区に比して平均で1.2倍程度有意(有意水準5%)に上昇した。
1.総論
観賞魚飼育は、長期飼育を行うために、耐病性や成長性を向上させる必要が生じる。
また、鑑賞魚飼育においては、ついエサを与えすぎて魚が肥満化する、さらに飼育水中に脂肪酸や有機物が過剰に供給され飼育水が汚れ、コケなど美観を損ねる生物の繁茂を誘導してしまう、小さい水槽で飼育するのに早く成長させすぎて飼育環境を悪化させてしまう、などの問題が生じやすい。
このような状況を改善するため、完成した養魚の食品としての安全性や付加価値(臭みがない、健康補助機能がある、など)のある水産養殖用飼料の開発が望まれている。
よって、ユーグレナを機能性成分として用いた飼料の検証を行った。
(1)条件
a.被検対象及び実験区
体長15mm程度の海水魚(カクレクマノミ、配合飼料を食べだす段階、30〜34日齢)を対象とし、4週間投餌試験を行う。
植物性原料が配合された水産養殖用飼料(製品名「フィッシュボン」:バイオ科学(株))をベースに、ユーグレナ粉末を添加した試作品を作製し、投餌飼育試験を行う。試作飼料はユーグレナの配合率を変えて調合するものとし、嗜好性、生残率、成長率、投餌飼育終了時点でのストレス耐性などを試験区ごとに比較、評価を行い、飼料としてのユーグレナの海水魚への適用を検証する。
試験飼料の各成分については、表3参照。
なお、水産養殖用飼料は、粗タンパク質(魚粉等)を主成分とし、スピルリナ、酵母類、リゾチーム、キチン等の添加物が機能性成分として含有されている。
試験飼料としては、試験飼料1の実験区が通常の水産養殖用飼料を使用した。
試験飼料としては、試験飼料2は、機能性成分である添加物を除くとともにスピルリナも除いたコントロールであり、試験飼料3〜5の実験区は、機能性成分である添加物を除くとともにスピルリナも、ユーグレナ粉末を加えたものを使用した。
なお、試験飼料3〜5の実験区は、添加するユーグレナ粉末の量を変化させている。
試験飼料1の実験区以外には、スピルリナは混入されていない。
a.官能試験
各試験飼料1〜5の目視を行う
b.嗜好性テスト
嗜好性を確認する為、すでに配合飼料を食べることを確認した2か月齢の同腹個体群3
尾を5個の5L水槽それぞれに移し、投餌後の摂餌行動を下記の4段階で評価した。
◎:1分以内に積極的に全個体が摂餌する
○:1分以上かかるが全個体が3分以内に摂餌する
△:3分以内に一部の個体が摂餌する
×:3分経過時点で全ての個体が摂餌しない
a.条件
投餌試験は下記条件、項目のもとに水槽系(中央に海水加温層を設置し、点滴により各試験水槽に海水が流入する仕組)において行った。
投餌対象生物としては、30〜34日齢の配合餌料投餌に馴致し終わったカクレクマノミ稚魚を用いた。
飼育条件としては、試験水槽は30Lパンライト水槽とし、30尾/30Lでスタートした。照明は明期と暗期を12時間ずつとし、25℃に加温した海水をかけ流して換水率5回転/日を維持した。通気は約100ml/分で行った。また同様の試験を2回行い、全体の傾向および再現性の確認を行った。
試験開始後、毎朝と毎夕死亡魚の有無の確認を行い、試験終了までの生残数の推移および最終的な生残率を得た。
試験開始時と終了時点の体長と体重を測定した。体重は全生残個体の総和から1匹当りの平均体重を算出した。
5分間の空中露出後、海水中に戻し15分経過時点で死亡している個体の率により抗ストレス能を確認した。
a.予備試験
(a−1)官能試験結果
試験飼料1及び試験飼料2では、大きな差は見られなかった。
試験飼料3〜試験飼料5では、試験飼料1同様、いずれもよく発泡し(空気を含んでぼそぼそしている印象)、差は認められなかった。
(a−2)嗜好性テスト結果
嗜好性テストの結果を表4に示す。
いずれの飼料においても摂餌しない、ということはなかった。ただし、試験飼料2の実験区においては、飼料投与直後から魚が落ち着かなく、あわただしく泳ぎ回る様子となり、3尾中、1尾しか摂餌しなかった。
また、その他の点として、いずれの飼料も水流がなければ3分以内に沈むことがなく、水面に浮遊している状態であった。
試験飼料1〜試験飼料5の実験区は、いずれも摂餌しないことはなかったことから、後の試験である摂餌試験に使用できると判断した。ただし、「沈降しにくいこと」、「飼料の固さに差があり、摂餌しやすさや消化吸収に差が出る可能性があること」が考えられた。
よって、これらの影響を緩和するために、以降の試験では飼料の海水への事前浸漬が必要であると判断し、そのように処置した。
(b−1)生残数結果
図1に試験の結果を示す。
試験飼料1、試験飼料3、試験飼料4、試験飼料5の各実験区では斃死が観察されず、常に活性が高い状態で摂餌状態も良好だったのに対し、試験飼料2の実験区では1尾の斃死が観察された。ただし、通常の飼育条件においても1割程度の斃死が起こるため、飼料による影響ではないと判断した。
体長の測定結果を図2に、体重測定結果を図3に示す。
この試験では、試験区別に魚の活性が安定していた。
試験飼料1の実験区が高い傾向はあるが、試験飼料3〜試験飼料5ではユーグレナ添加量依存的に体長が伸びる傾向にあることが観察された。
つまり、ユーグレナ配合区である試験飼料3〜試験飼料5の実験区では配合比率に比例して体重が改善し、試験飼料1の実験区とほぼ変わらない値まで成長していることが観察された。
ストレステストについては、2回分の試験データの平均値を示した。
結果を、図4に示す。
ストレステストの結果、試験飼料1の実験区は90%以上の高い値を示した。
一方試験飼料3〜試験飼料5の実験区においては、試験飼料4の実験区が高く、試験飼料3と試験飼料5の実験区はこれより低かった。さらに試験飼料4の実験区は、既製品である試験飼料1の実験区よりも高くなる傾向にあった。
まず、生残数についてであるが、カクレクマノミの斃死要因は、配合飼料投餌期間に入ったのちは、「日和見菌への感染によるもの」、「競争(個体群内での優劣闘争)」、「餌料による弊害」、「外的ストレス(衝撃、化学物質等)」、「有害なウイルスや寄生虫等への感染」、などが考えられる。
本試験においては、ユーグレナを添加することで、前述の免疫賦活能をもつ物質が補てんされ斃死率が低下した、ということが考えられる。
つまり、ユーグレナには常在菌等に対する免疫賦活能を有する物質が含まれており、海水魚に対しても効果を示す可能性が示唆された。
生物餌料から配合飼料への転換がスムーズに進むことで、免疫機能が向上して、極端な斃死は避けられることはほぼ明らかとなった。
<I.カモの飼育試験>
1.総論
商業用に家畜を育成する生産者は、家畜に与える飼料を選定する際に、歩留まりの向上や生産時間の短縮等の生産効率的な観点からの検討、及び可食部分の増加や生産物の栄養価・味の向上等の最終生産物の価値向上の観点からの検討を行う。
また、家畜は集団として飼育されるため、免疫を向上させて疾病を予防する必要がある。
このような観点から、増体率、免疫向上、品質向上が見込める飼料が求められている。
2.実施例
(1)条件
a.飼料組成の割合
試験対象区の全給餌量
実験区の試料には、ユーグレナ粉末を4%(飼料1袋20kgに対して、ユーグレナ粉末800g)混合した。
つまり、実験区あたり下記の量を添加して飼料を調整した。
10kg×50羽=500kgのうち、ユーグレナ粉末を20kg添加
コントロール区には、ユーグレナ粉末は添加しない。
給餌対象は、バルバリー種のカモとする。
鶏舎にて、対照区及び試験対象区として50羽ずつを囲い、飼料と水を図8のように、自由摂取で飼育した。
試験期間中に体重測定を4回行った。
開始日より23日目、42日目、85日目、143日目に体重を測定した。
なお、試験に使用したカモは、午前中孵化したものであり、孵化日を飼育1日目として示している。
開始日より80日目(出荷段階まで生育したカモ)から採血をし、血中IgYをキットを用いて測定した。
日本食品分析センターにて、栄養組成の分析を行った。
調査協力者を20名として、ユーグレナを給餌して飼育した実験区のカモと一般的な飼料で飼育したコントロール区のカモとの食味を調べた。
どちらのカモも、胸肉に塩を適量(同量)ふりかけ、ホットプレートで同時間焼いた後、官能検査に供した。
官能検査は、コントロール区雄を2群、コントロール区雌を2群、実験区雄を1群、実験区雌を1群の、計6群に分け、ブラインドで行った。
結果を記入した用紙は、無記名で回収し、19名から有効回答を得た。
3.結果
(1)カモの増体率
カモの増体率について、肉眼での各区のカモ体格の差異を図6及び図7に示す。
また、カモの増体率の結果を数値データとして表5に示す。
次いで、カモの血中IgY量の測定結果を表6に示す。
次いで、カモの可食部栄養組成の測定結果を表7に示す。
次いで、カモの可食部の食味を比較した官能試験結果を表8に示す。
なお、○は優良、△は普通、×は劣る、という判定基準とする。
(1)カモの増体率について
飼育する際に重要になる指標の一つである増体率に関して、ユーグレナを与えた実験区で有意に大きくなるという結果が得られた。
図6及び図7の写真で比較できるように、肉眼においても、実験区におけるカモは、コントロール区におけるカモよりも大きく、成長が促進されていることが示唆される。
目視観察においては、飼育4日目頃より、肉眼で認識できる程度に実験区のカモがコントロール区のカモに比して大きくなったことが確認されている。
また、表5に示すように、各飼育日数において、実験区のカモはコントロール区のカモよりも体重が重いことがわかる。
この結果より、ユーグレナ粉末を摂取させることにより、より大きな身体のカモ個体を収穫することができることが示唆される。
鶏IgY測定キットの抗−IgY抗体は、鶏に対する特異性が高く、フランス鴨IgYと反応をしないため、本キットを用いた測定は不可能であった。
今後の検討が必要である。
ユーグレナ粉末を給餌した実験区のカモと、普通に飼育したコントロール区のカモとの肉の成分を比較した中で、ビタミンAに関しては、48μg/100gと35μg/100gということでわずかであるが、実験区のカモにおいて高くなる傾向が見られた。
また脂肪酸組成においては、C14の炭鎖の脂肪酸が、実験区のカモにおいて、コントロール区のカモの約3倍量検出されるなどの特徴が見られた。
このような結果から、ユーグレナ粉末を飼料に混合することによって、最終製品であるカモ食肉の食味などに影響を及ぼしている可能性が示唆される。
○、△、×の記入漏れも若干認められたが、○の数では実験区雄及び実験区雌が多く、実験区のカモの方がコントロール区のカモに比して、食肉として嗜好性に優れる傾向があると考えられる。
<I.豚の飼育試験>
1.実施例
(1)条件・実験区
同じ親から同日に生まれた豚6個体を、生後35日目より一般飼育飼料を投餌したコントロール群と、一般飼料にユーグレナ粉末を混入した飼料を投餌したユーグレナ群に分けて、体重の増量試験及びIgA量増量試験を実施した。
a.増量試験
飼育63日目の豚6個体の体重を測定する。
b.IgA量増量試験
飼育52日目の豚6個体より血液を採取し、ヘパリンの入ったエッペンドルフチューブに入れ、ヘパリンと豚血液とを混合した後、冷蔵庫にて数時間保存した。
数時間後に、血液が凝固したことを確認し、遠心分離により上清を回収した。
この上清をサンプルとし、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent
Assay)により、IgA量を測定した(IgA,Pig,ELISA kit、TEFCO社)。
a.増量試験
増量試験の結果(飼育63日目)を、表9に示す。
表9に示すように、ユーグレナ群の方が、豚の体重が重く、成長が促進されたと思われる。
b.IgA量増量試験の結果を図8に示す。
図7に示すように、ユーグレナ群の方が、血清中のIgA量が多く、免疫力が増加していることがわかる。
このことから、ユーグレナが免疫賦活剤として機能していることが推認できる。
以上のように、ユーグレナ粉末を飼料に混合したユーグレナ添加区では、ユーグレナ非添加区に比して、約3日程早く、ヘルペスウイルス性両えら開き病が完治した。
このことより、ユーグレナ粉末を添加した飼料で生育させることで免疫力が向上した可能性がある。
また、同じように、ユーグレナの免疫賦活剤としての機能を推認できる結果が、海水魚であるカクレクマノミ飼育でも得られた。
更に同様に、カモの飼育及び豚の飼育においても、ユーグレナ粉末を混合した実験区において、大きく生育する等、コントロール区に比して好ましい効果が得られ、これもまた、ユーグレナ粉末を添加した飼料で生育させることにより、免疫力が向上して健全に生育したためである可能性がある。
いずれにせよ、ユーグレナ粉末を飼料に混合させることによって、他の免疫賦活剤を添加しなくても単独で免疫賦活作用を有することが示唆され、これにより、商品価値の高い生物を飼育することが可能になると考えられる。
例えば、ブタ,牛,ウサギ,シカ,イノシシ等の主として食肉用に飼育される哺乳類、犬,猫,ねずみ等の主として愛玩用に飼育される哺乳類、錦鯉,金魚,熱帯魚等主として観賞用に飼育される魚類、ぶり,まぐろ,鯛等主として食肉用に飼育される魚類、鶏,うずら,きじ,ハト等主として食肉用に飼育される鳥類、オウム,目白,十姉妹,インコ等主として観賞用に飼育される鳥類、カエル等の両生類、カメ,ワニ,蛇等の爬虫類、のように、どのような生物においても適用できるものである。
そして、飼料という文言としては一般的に使用されないが、免疫賦活作用のあるサプリメント、食品、薬品等として、哺乳類であるヒトに適用することも広く含むものである。
Claims (9)
- ユーグレナ由来の成分を含有することを特徴とする生物用飼料添加剤。
- 前記ユーグレナ由来の成分は、生物の生体状態を向上させる生体状態向上剤として機能することを特徴とする請求項1に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記生体状態向上剤は、増体促進物質として機能することを特徴とする請求項2に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記生体状態向上剤は、免疫賦活物質として機能することを特徴とする請求項2に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記生物用飼料添加剤は、哺乳類、鳥類、魚類に投与可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記魚類は、淡水魚及び海水魚双方を含むことを特徴とする請求項5に記載の生物用飼料添加物。
- 前記魚類は、コイ科に属することを特徴とする請求項5に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記魚類は、ランチュウであることを特徴とする請求項7に記載の生物用飼料添加剤。
- 前記鳥類は、カモ科に属することを特徴とする請求項5に記載の生物用飼料添加剤。
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