JP2014026710A - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1枚の光ディスク内でカバー層の厚みが一定でないことによって生じるトラッキングエラー信号の変動を補正することで、安定したサーボ制御が可能な光ピックアップ装置を提供することである。
【解決手段】光ピックアップ装置1は、光源11、18と、光源11、18から出射される光を光ディスクの記録面に集光する対物レンズ17、21との間の光路中に配置されるコリメートレンズ15と、コリメートレンズ15を駆動するレンズ駆動機構と、光ディスクからの反射光に基づいてサーボ信号を生成して出力する信号処理部と、サーボ信号に基づいてレンズ駆動機構の駆動量を決定する制御部と、を備え、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動する収差補正を行うものである。
【選択図】図2
【解決手段】光ピックアップ装置1は、光源11、18と、光源11、18から出射される光を光ディスクの記録面に集光する対物レンズ17、21との間の光路中に配置されるコリメートレンズ15と、コリメートレンズ15を駆動するレンズ駆動機構と、光ディスクからの反射光に基づいてサーボ信号を生成して出力する信号処理部と、サーボ信号に基づいてレンズ駆動機構の駆動量を決定する制御部と、を備え、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動する収差補正を行うものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、光ディスクに記録される情報の読み取りや光ディスクへの情報の書き込みを行う際に用いられる光ピックアップ装置に関する。
CD、DVD、BD(Blu-ray Disc)等の光ディスクにおいて、記録面は透明なカバー層によって保護されている。このカバー層の厚みには製造時に生じる個体差があるので、従来から光ディスク装置では、少なくとも光ディスクが入れ替えられる度に球面収差補正を行い、光ディスク毎の個体差に対応している。
球面収差補正については、例えば特許文献1に、フォーカスエラー信号を検出する信号検出手段と、信号検出手段で検出されたフォーカスエラー信号の振幅の最大値及び最小値に基づいて光記録媒体における球面収差を検出する収差検出手段とを備えた光ピックアップ装置が開示されている。
一般的に、光ディスクのカバー層はスピンコート法によって製造されるため、1枚の光ディスク内においてカバー層の厚みにばらつきが生じる。その厚みの最も薄い部分と最も厚い部分との誤差は数十μm程度になる。カバー層の厚みが一定でないと、球面収差が生じ、トラッキングエラー信号が変動し、情報の読み取りや記録の精度が低下する。
しかしながら、上述したように、従来光ディスク毎に最初に球面収差補正を行った後は、対物レンズの光軸方向の位置を固定しており、そのような1枚の光ディスク内のカバー層の厚み変化には対応していない。したがって、1枚の光ディスク内でカバー層の厚みが一定でないことによって生じるトラッキングエラー信号の変動は補正されていない。
本発明は、1枚の光ディスク内でカバー層の厚みが一定でないことによって生じるトラッキングエラー信号の変動を補正することで、安定したサーボ制御が可能な光ピックアップ装置を提供することを目的とする。また、その光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために本発明の光ピックアップ装置は、光源と、該光源から出射される光を光ディスクの記録面に集光する対物レンズとの間の光路中に配置されるレンズと、該レンズを駆動するレンズ駆動機構と、光ディスクからの反射光に基づいてサーボ信号を生成して出力する信号処理部と、前記サーボ信号に基づいて前記レンズ駆動機構の駆動量を決定する制御部と、を備え、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を駆動する収差補正を行うことを特徴とする。
この構成によると、光ディスクに対して情報の読み取りや書き込みを行う際に、トラッキングエラー信号の変動が小さくなるように、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動させるので、1枚の光ディスク内で、その記録面を保護する透明なカバー層の厚みが一定でない場合でも、安定したサーボ制御が可能となる。
上記の光ピックアップ装置において、光ディスクの回転周期を複数の区間に分割し、各区間においてトラッキングエラー信号の平均値であるバランス量を算出し、該バランス量の最大値と最小値とに基づいて前記トラッキングエラー信号の変動量を算出するようにしてもよい。複数の区間に分割することで精度が向上する。
例えば、前記バランス量の最大値と基準値との差をα、前記バランス量の最小値と前記基準値との差をβ、前記トラッキングエラー信号の変動量をS(%)とした場合、
S={(α―β)}/(α+β)}×100
とすればよい。
S={(α―β)}/(α+β)}×100
とすればよい。
上記の光ピックアップ装置において、前記収差補正は、前記トラッキングエラー信号の変動量が5%を越える場合に行うことが望ましい。5%を越えるとトラッキング制御においてサーボが外れやすくなるためである。
また上記の光ピックアップ装置において、前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向は、前記光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を正方向側へ駆動させ、前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなった場合に正方向であると判定し、前記光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を負方向側へ駆動させ、前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなった場合に負方向であると判定することで、容易に判定できる。
また上記の光ピックアップ装置において、前記収差補正を行う場合の前記レンズ駆動機構の駆動量は、判定された正又は負方向に所定量ずつ駆動させる毎に前記トラッキングエラー信号の変動量を算出し、算出した変動量が最も小さくなったときの駆動量とすることで、容易に決定できる。
また上記の光ピックアップ装置において、装置の性能を考慮して、例えば前記区間を24区間とすることができる。
また上記の光ピックアップ装置において、前記収差補正を行う場合の前記レンズの最大移動量は、通常の光ディスクの製造誤差を考慮すると、30μmとすることができる。
また本発明の光ディスク装置は、上記の何れかに記載の光ピックアップ装置を備えるものとする。
本発明によると、トラッキングエラー信号の変動が小さくなるように、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動させることにより、1枚の光ディスク内でカバー層の厚みが一定でない場合でも、安定したサーボ制御が可能となる。
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、各実施形態は可能な範囲で組み合わせて実施することもできる。
以下、本発明が適用された光ピックアップ装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の光ピックアップ装置は、BD、DVD、CDといった3種類の規格の光ディスクに対して情報の読み取りや書き込みを行える構成となっている。
図1は、本実施形態の光ピックアップ装置の構成を示す概略平面図である。なお、図1に示される光ピックアップ装置1で光ディスクの情報の読み取り等を行う場合、光ディスクは紙面手前側に配置されることになる。また、図1においては、理解を容易とするために、光ピックアップ装置1の構成要素ではないガイドシャフトGSも合わせて示している。
図1に示すように、光ピックアップ装置1はピックアップベース10を備える。光ディスク装置(光ディスクの再生や記録を行うための装置)に搭載される光ピックアップ装置1は、ピックアップベース10が光ディスク装置内に配置される2本のガイドシャフトGSに摺動可能に支持されることで、光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に移動して光ディスクの所望のアドレスにアクセス可能とされる。なお、ガイドシャフトGSによるピックアップベース10の支持は、ピックアップベース10の左右の端部に設けられる軸受け部10a、10bを使用して行われる。
ピックアップベース10には、光ディスクに記録される情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりする上で必要となる各種の部材が搭載される。この各種の部材には、光源を構成する半導体レーザー11、18(後述の図2参照)、対物レンズ17、21を含む各種の光学部材(後述の図2参照)、光検出器23、対物レンズ17、21を駆動させるアクチュエーター30、及び、半導体レーザー11、18やアクチュエーター30等を駆動させるために必要となる各種の回路が形成されるプリント基板40が含まれる。
半導体レーザー11、18は、いずれもホルダに保持された状態でピックアップベース10に取り付けられる。また、光学部材の多くは、ピックアップベース10の裏側(図1が表側から見た図であると想定している)から、その内部に取り付けられる。光検出器23は、ピックアップベース10の側面に取り付けられる。
アクチュエーター30は、その全体がピックアップベース10に設けられる凹部10c内に嵌め込まれるようにしてピックアップベース10に取り付けられている。アクチュエーター30に搭載される対物レンズ17、21は外部に露出する。プリント基板40は、その板面がピックアップベース10の裏面に対向するように、ピックアップベース10の裏側に取り付けられる。なお、ピックアップベース10には、その表側に、半導体レーザー11、18で発生する熱を放熱するために、例えばアルミニウム等の金属で構成されるヒートシンク50も取り付けられる。
図2は、本実施形態の光ピックアップ装置1の光学構成を示す概略平面図である。光ピックアップ装置1には、第1の半導体レーザー11から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23へと導く、BD用の光路が形成されている。また、光ピックアップ装置1には、第2の半導体レーザー18から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23へと導く、DVD及びCD用の光路が形成されている。
なお、光ピックアップ装置1においては、複数の光学部材が、BD用の光路と、DVD及びCD用の光路とで共用される構成となっている。このような構成を採用しているため、光ピックアップ装置1は、BD、DVD、及び、CDに対応する光ピックアップ装置を少ない部品点数で形成可能であり、小型化可能になっている。
まず、BD用の光路について説明する。第1の半導体レーザー11は、BD用のレーザー光(例えば波長405nm帯のレーザー光)を出射可能となっている。この第1の半導体レーザー11が配置される位置は、図1においては破線DL1で示す位置が対応する。
第1の半導体レーザー11から出射されたレーザー光は、回折素子12によって主光と2つの副光とに分けられる。回折素子12を経たレーザー光は偏光ビームスプリッタ13によって反射され、1/4波長板14及びコリメートレンズ15を透過する。コリメートレンズ15を透過したレーザー光は、第1の立ち上げミラー16によって反射されて、第1の立ち上げミラー16の上方にある第1の対物レンズ17へと至る。
第1の対物レンズ17は、入射したレーザー光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第1の対物レンズ17によって情報記録面に集光されたレーザー光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第1の対物レンズ17を通過後、第1の立ち上げミラー16で反射され、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
光検出器23は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号やフォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号等のサーボ信号が生成される。そして、サーボ信号は図示しない制御部に送られ、この制御部で、後述するレンズ駆動機構の駆動量が決定される。
次に、DVD及びCD用の光路について説明する。第2の半導体レーザー18は、DVD用のレーザー光(例えば波長650nm帯のレーザー光)とCD用のレーザー光(例えば波長780nm帯のレーザー光)とを切り換えて出射可能になっている。このようなレーザー光源は、例えばモノリシックタイプ或いはハイブリッドタイプの2波長レーザーによって構成できる。なお、この第2の半導体レーザー18が配置される位置は、図1においては破線DL2で示す位置が対応する。
第2の半導体レーザー18から出射されたレーザー光は、ビームスプリッタ19によって反射され、その後、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、コリメートレンズ15、及び、第1の立ち上げミラー16を順に透過する。第1の立ち上げミラー16を透過したレーザー光は、第2の立ち上げミラー20によって反射されて、第2の立ち上げミラー20の上方にある第2の対物レンズ21へと至る。
なお、偏光ビームスプリッタ13は、BD用のレーザー光に作用する光学部材であり、DVD用のレーザー光及びCD用のレーザー光は、その偏光状態に関係なく透過する。また、第1の立ち上げミラー16はダイクロイックミラーであり、BD用のレーザー光は反射されるが、DVD用のレーザー光及びCD用のレーザー光は透過可能となっている。
第2の対物レンズ21は、入射したレーザー光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第2の対物レンズ21によって情報記録面に集光されたレーザー光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第2の対物レンズ21を通過後、第2の立ち上げミラー20で反射され、第1の立ち上げミラー16、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
BD対応の場合と同様に、光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、FE信号、TE信号等が生成される。
なお、コリメートレンズ15は、後述するレンズ駆動機構によって、その光軸方向(図2に矢印で示す方向)に移動可能となっている。そして、コリメートレンズ15の位置は、光ディスクの種類やレイヤージャンプ等に応じて適宜移動される。このようにコリメートレンズ15を移動可能とするのは、対物レンズ17、21に入射するレーザー光の収束・発散度合いを調節して、球面収差の影響を適切に抑制できるようにするためである。
レンズ駆動機構は、ピックアップベース10、ステッピングモーター、ステッピングモーターによって回転するリードスクリュー、リードスクリューの回転によって移動するレンズホルダー、レンズホルダーを摺動可能に保持するガイドシャフトなどを備える。
駆動源としてステッピングモーターを用いることにより、リードスクリューの回転によって移動するレンズホルダーの移動量(言い換えれば、レンズの移動量)をステップ数で管理できる。レンズ駆動機構は、レンズホルダーが基準位置にあることを検知するフォトインタラプターを備えており、このフォトインタラプターからの情報と併せてレンズホルダーの位置が把握される。
なお、ステッピングモーターは一例である。他の例として、DCモータ等が採用されてもよい。この場合には、レンズの移動量を管理するために、例えばエンコーダ等を使用すればよい。
次に、第1の対物レンズ17及び第2の対物レンズ21は、ピックアップベース10に取り付けられるアクチュエーター30(図1参照)に搭載された状態で、ピックアップベース10に搭載されることになる。アクチュエーター30は、光ピックアップ装置1に備えられる2つの対物レンズ17、21をフォーカス方向(図1及び図2においては紙面に垂直な方向が該当)及びトラッキング方向(図1及び図2においては上下方向が該当)に移動可能とする装置である。
光ピックアップ装置1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21の焦点位置が常に光ディスクの情報記録面に合うようにフォーカシング制御を行う必要がある。また、光ピックアップ装置1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21によって光ディスクの情報記録面に集光される光スポットの位置が、光ディスクのトラックに常に追随するようにトラッキング制御を行う必要がある。アクチュエーター30は、例えば、これらフォーカシング制御及びトラッキング制御を行う際に駆動される。
アクチュエーター30は、対物レンズ17、21を保持するレンズホルダー31(図1参照)を有し、レンズホルダー31をワイヤー32(図1参照)で揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダー31(すなわち対物レンズ17、21)を動かすものである。このようなタイプのアクチュエーターは公知であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
次に、収差補正の動作について説明する。以下で説明する収差補正は、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動するものである。
図3は、本実施形態の光ピックアップ装置1の収差補正に関する動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば、光ディスクの出し入れが行われる度に行い、フォーカシング制御をオンにした状態で実行される。トラッキング制御はオフの状態である。
まず、ステップS10において、光ディスクの回転周期(1周分)を複数の区間に分割し、各区間においてトラッキングエラー信号の平均値であるバランス量を算出する。ここで分割する区間の数には限定はなく、2区間以上であればよいが、その数が多いほど精度が高まるので装置の性能を考慮して設計すればよい。例えば、区間は24区間とすることができる。この場合、光ディスクを1回転させながらトラッキングエラー信号を測定し、測定した波形を測定時間に対して24等分し、各区間のトラッキングエラー信号の平均値を算出して24個のバランス量とする。
次にステップS11へ進んで、算出したバランス量の最大値と最小値とに基づいてトラッキングエラー信号の変動量を算出する。具体的には、予め基準電位に基づいて基準値を定めておき、バランス量の最大値と基準値との差をα、バランス量の最小値と基準値との差をβとし、トラッキングエラー信号の変動量S(%)を次の式にて算出する。
S={(α―β)}/(α+β)}×100
S={(α―β)}/(α+β)}×100
トラッキングエラー信号の変動量Sが大きいほど、トラッキングエラー信号の振幅の中心と基準値とのずれが大きい状態であると言え、非対称性が大きいと言える。そして、非対称性が大きいと、トラッキング制御においてサーボが外れやすくなる。
次にステップS12へ進んで、トラッキングエラー信号の変動量Sが5%を越えるか否かを判別する。閾値を5%とするのは、5%を越えるとトラッキング制御においてサーボが外れやすくなるためである。なお、この閾値は5%に限定されるものではなく、装置の性能に応じて適宜設計すればよい。
ステップS12において、トラッキングエラー信号の変動量Sが5%を越えない場合は、変動量が小さく収差補正の必要がないと判断し、本フローチャートの処理を終了する。
一方、ステップS12において、トラッキングエラー信号の変動量Sが5%を越える場合は、ステップS13へ進んで光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を正方向側へ所定量だけ駆動させながらトラッキングエラー信号を測定する。正方向と後述する負方向とは、レンズ駆動機構の2方向の駆動方向の形式的な呼称であり、どちらの方向を正方向、負方向と定めてもよい。所定量だけ駆動させるとは、例えば、光ディスクが1回転する間に、コリメートレンズ15を正方向に10μm移動させて10μm戻すことである。ここでの所定量は10μmに限定されず、例えば、5〜30μm程度の値を用いることができる。
ステップS13からはステップS14へ進んで、上記と同様の方法でバランス量を算出し、上記と同様の方法でトラッキングエラー信号の変動量Sを算出する。次に、ステップS15へ進んでトラッキングエラー信号の変動量SがステップS11で算出した値より小さくなったか否かを判別する。
ステップS15において、トラッキングエラー信号の変動量Sが小さくなった場合、収差補正の方向は正方向であると判定し、ステップS19へ進む。
一方、ステップS15において、トラッキングエラー信号の変動量Sが大きくなった場合は、ステップS16へ進んで、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を負方向側へ所定量だけ駆動させながらトラッキングエラー信号を測定する。所定量だけ駆動させるとは、例えば、光ディスクが1回転する間に、コリメートレンズ15を負方向に10μm移動させて10μm戻すことである。ここでの所定量は10μmに限定されず、例えば、5〜30μm程度の値を用いることができる。
ステップS16からはステップS17へ進んで、上記と同様の方法でバランス量を算出し、上記と同様の方法でトラッキングエラー信号の変動量Sを算出する。次に、ステップS18へ進んでトラッキングエラー信号の変動量SがステップS11で算出した値より小さくなったか否かを判別する。
ステップS18において、トラッキングエラー信号の変動量Sが小さくなった場合、収差補正の方向は負方向であると判定し、ステップS19へ進む。このように、ステップS13〜ステップS18の処理によって、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなるようなレンズ駆動機構の駆動方向を求めている。
ステップS15又はステップS18で判定された方向(正方向又は負方向)に基づいて、ステップS19では、収差補正を行う場合のレンズ駆動機構の駆動量(換言すれば、レンズの移動量)を決定する。具体的には、判定された正又は負方向に所定量ずつレンズ駆動機構を駆動させる毎にトラッキングエラー信号を測定し、トラッキングエラー信号の変動量Sを算出する。そして、算出した変動量Sが最も小さくなったときの駆動量を、収差補正を行う場合のレンズ駆動機構の駆動量とする。
ここでの所定量とは、例えば、コリメートレンズ15が5μm移動する量とすることができる。そして、例えば、コリメートレンズ15を5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μmと移動させる毎にトラッキングエラー信号を測定し、トラッキングエラー信号の変動量Sを算出する。ここでは、レンズ駆動機構の駆動によってコリメートレンズ15が移動する最大移動量を30μmとしている。これは、通常、1枚の光ディスク内においてカバー層の厚みの最も薄い部分と最も厚い部分との誤差が数十μm程度であることから、コリメートレンズ15を最大30μm動かせば収差補正できるという経験値である。
なお、コリメートレンズ15を10μm移動させてトラッキングエラー信号を測定する場合など、ステップS13又はステップS16で既に測定したものについては、そのときの結果を利用することで、ステップS19では省略できる。
一方、ステップS18においてトラッキングエラー信号の変動量が大きくなった場合は、光ディスクのカバー層の厚みのばらつきに起因するものではないため、本実施形態の収差補正では対応できないと判断し、処理を終了する。
このようにして求めたレンズ駆動機構の駆動量を収差補正の量としてトラッキングエラー信号の変動を補正する。つまり、光ディスクに対して情報の読み取りや書き込みを行う際に、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を求めた駆動量だけ駆動させる。これにより、トラッキングエラー信号の変動が小さくなり、1枚の光ディスク内で、その記録面を保護するポリカーボネート等からなる透明なカバー層の厚みが一定でない場合でも、安定したサーボ制御が可能となる。
なお、本発明の収差補正としては、少なくともステップS19に類似した処理を実行すれば足りる。この場合、正方向に所定量ずつレンズ駆動機構を駆動させる毎にトラッキングエラー信号を測定し、続いて負方向に所定量ずつレンズ駆動機構を駆動させる毎にトラッキングエラー信号を測定し、トラッキングエラー信号の変動量Sを算出する。そして、算出した変動量Sが最も小さくなったときの駆動量を、収差補正を行う場合のレンズ駆動機構の駆動量とすればよい。これにより、トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させてレンズ駆動機構を駆動する収差補正を行うことができる。
なお、本実施形態では、レンズ駆動機構によって移動されるレンズがコリメートレンズであることとした。しかし、これに限らず、他のレンズを移動するレンズ駆動機構に対しても、当然本発明は適用できる。例えば、球面収差の補正を行うために使用されるエキスパンダーレンズを駆動するレンズ駆動機構に対しても、本発明は適用可能である。
また、本実施形態では、光ピックアップ装置はBD、DVD、CDに対応する構成とした。しかしながら、本発明の光ピックアップ装置が対応可能な光ディスクの種類が、本実施形態で示したもの以外の場合(対応可能な光ディスクの種類が複数の場合ばかりでなく単数の場合も含む)でも適用できるのは当然である。
また、本実施形態の光ピックアップ装置は、トレイ式、ローディング式など各種形態の光ディスク装置に搭載することができる。
1 光ピックアップ装置
11 第1の半導体レーザー(光源)
15 コリメートレンズ(レンズ)
17 第1の対物レンズ
18 第2の半導体レーザー(光源)
19 第2の対物レンズ
11 第1の半導体レーザー(光源)
15 コリメートレンズ(レンズ)
17 第1の対物レンズ
18 第2の半導体レーザー(光源)
19 第2の対物レンズ
Claims (9)
- 光源と、該光源から出射される光を光ディスクの記録面に集光する対物レンズとの間の光路中に配置されるレンズと、
該レンズを駆動するレンズ駆動機構と、
光ディスクからの反射光に基づいてサーボ信号を生成して出力する信号処理部と、
前記サーボ信号に基づいて前記レンズ駆動機構の駆動量を決定する制御部と、を備え、
トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向に、光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を駆動する収差補正を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 光ディスクの回転周期を複数の区間に分割し、
各区間においてトラッキングエラー信号の平均値であるバランス量を算出し、
該バランス量の最大値と最小値とに基づいて前記トラッキングエラー信号の変動量を算出することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。 - 前記バランス量の最大値と基準値との差をα、前記バランス量の最小値と前記基準値との差をβ、前記トラッキングエラー信号の変動量をS(%)とした場合、
S={(α―β)}/(α+β)}×100
であることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。 - 前記収差補正は、前記トラッキングエラー信号の変動量が5%を越える場合に行うことを特徴とする請求項3記載の光ピックアップ装置。
- 前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなる方向は、
前記光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を正方向側へ駆動させ、前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなった場合に正方向であると判定し、
前記光ディスクの回転周期に同期させて前記レンズ駆動機構を負方向側へ駆動させ、前記トラッキングエラー信号の変動量が小さくなった場合に負方向であると判定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光ピックアップ装置。 - 前記収差補正を行う場合の前記レンズ駆動機構の駆動量は、
判定された正又は負方向に所定量ずつ駆動させる毎に前記トラッキングエラー信号の変動量を算出し、算出した変動量が最も小さくなったときの駆動量とすることを特徴とする請求項5記載の光ピックアップ装置。 - 前記区間が24区間であることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記収差補正を行う場合の前記レンズの最大移動量が30μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光ピックアップ装置。
- 請求項1〜8の何れかに記載の光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置。
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