JP2014025740A - ホール起電力信号検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チョッパースイッチ回路22は、ホール素子21の有する複数の電極間に供給する駆動電流の通電方向を切り替え、ホール素子からの出力V1信号からホール起電力信号とオフセット信号を分離する。折り返し防止フィルタ25は、サンプリングに伴って発生する折り返しノイズを防止するために用いられる。時分割スイッチ回路26は、温度検出素子31からのV2信号と、折り返し防止フィルタ25からのV1信号とを時間分割的に出力する。デジタルフィルタ28は、磁場信号Bを得るとともに、ホール素子21に加わる温度信号Tを得る。補正演算回路29は、デジタルフィルタ28からの温度信号Tを元に磁場信号Bから磁気感度を補正する。
【選択図】図6
Description
このようなホール素子の磁気感度(単位磁場あたりのホール起電力の大きさ)は、温度によって変化することが知られている。そのため、高精度にホール素子の磁気感度を補正するには、温度による影響を補正する必要がある。さらに、ホール素子の磁気感度は、温度による影響だけでなく、応力によっても変化(ピエゾホール効果)することが知られている。
図1は、シリコンモノリシックホール素子を利用した非接触磁気センサの一例を示す構成図である。シリコン基板1のなかに、外部からの磁場を検出して電圧に変換するホール素子2と、ΔΣ(デルタシグマ)変調器などのA/D(アナログ/デジタル)変換器3と、各種の補正処理やフィルタの機能を有するデジタル演算回路4と、D/A(デジタル/アナログ)変換器5とから構成されている信号処理回路が内蔵されている。
駆動電流の方向を、図2(a),(b)に示すように、0度方向と90度方向に切り替えることで、ホール素子から出力される信号は、図3に示すように、直流のホール起電力信号(磁場強度に比例して出力される信号)に、交流のオフセット信号(磁場に依存しない信号)が重畳された波形となる。つまり、以下のような関係になる。
90度方向駆動時のホール素子出力=Vh_90deg[(Vh_90deg+)−(Vh_90deg−)]
この信号をフィルタにより平滑化することで、ホール起電力信号に重畳するオフセット信号のキャンセルを行い、ホール起電力信号のみを検出することが可能となる。つまり、以下のような関係になる。
また、磁場を検出するホール素子は、パッケージ材の応力や、温度等の環境変化に伴って磁気感度が変化することが一般に知られており、例えば、特許文献1では、磁場・応力・温度に関する信号をそれぞれA/D変換器に取り込み、応力や温度の情報を元に磁気感度の補正を行う補正回路が知られている。
また、ホール素子の磁気感度が温度によって変化してしまう問題に対して、ホール素子の電源電圧を制御するワンチップマイコンを備えることで、磁気感度を補正することは、例えば、特許文献3に開示されている。
図4(a)乃至(c)は、折り返しノイズを説明するための図で、図4(a)は、サンプルタイミングとサンプル後のノイズ波形を示す図で、図4(b)は、ノイズスペクトルを示す図で、図4(c)は、折り返し防止フィルタを用いた場合のノイズスペクトルを示す図である。
図5(a),(b)は、折り返し防止フィルタ前後のホール素子の出力を示す図で、図5(a)は、折り返し防止フィルタ通過前のホール素子の出力、図5(b)は、折り返し防止フィルタ通過後のホール素子の出力を示している。
ホール素子からの出力には、図5(a)に示すように、直流のホール起電力信号に重畳される交流のオフセット信号が含まれており、折り返し防止フィルタを通過させることで、図5(b)に示すように、オフセット信号のエッジのなまった出力となる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記A/D変換器に接続する補正演算回路を備え、前記補正演算回路は前記ホール起電力信号及び/又は前記ホール起電力信号の磁気感度を補正することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記電気信号検出回路が温度検出素子を含み、温度情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記電気信号検出回路が応力検出素子を含み、応力情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする。
チョッパースイッチ回路22は、ホール素子21の有する複数の電極間に供給する駆動電流の通電方向を、図7(b)に示すチョッパークロック信号の極性に基づいて切り替え、ホール素子からの出力V1信号からホール起電力信号とオフセット信号を分離するものである。このチョッパークロック信号は、発振回路24からの発振信号に基づいてクロック生成回路23によって生成される信号である。
また、時分割スイッチ回路26は、チョッパースイッチ回路22及び折り返し防止フィルタ25に接続され、温度検出素子31からのV2信号と、折り返し防止フィルタ25からのV1信号とを時間分割的に出力するものである。
また、デジタルフィルタ28は、A/D変換器27に接続され、磁場信号Bを得るとともに、ホール素子21に加わる温度信号Tを得るものである。
また、補正演算回路29は、デジタルフィルタ28からの温度信号Tを元に磁場信号Bから磁気感度を補正するものである。この補正演算回路29が、温度補正された磁場信号Bcalを出力する。
また、チョッパースイッチ回路22は、ホール素子21のバイアス電流の向きを、チョッパークロック(周波数fchop)の極性にしたがって周期的に切り替え、ホール起電力信号とオフセット信号を分離するために使用されている。
V1信号については、低域通過特性(遮断周波数fc)を持つ折り返し防止フィルタ25を通過する検出経路を通過し、また、V2信号については、折り返し防止フィルタ25を通過しない検出経路を通過し、時分割スイッチ回路26に各信号が入力される。
なお、ロバストネス又はロバスト性とは、ある系が応力や環境の変化といった外乱の影響によって変化することを阻止する内的な仕組み又は性質のことを意味しており、ロバストネスを持つような設計をロバスト設計、ロバストネスを最適化することをロバスト最適化という。「頑強な」という意味の形容詞「robust」が語源であり、他に頑強性、強靭性、堅牢性、強さ、などと言われることもある。
折り返し防止フィルタ25を介するV1信号については、上述したように、最終的に磁場信号Bを算出するために用いられる。磁場信号Bは、電流や位置の検出を行う信号であり、一般にホール起電力信号検出装置において高精度に加え、低ノイズの性能が要求されており、折り返し防止フィルタ25を用いる構成としている。ただし、チョッパーの切り替わり時に出力が完全にセトリングしない状態でサンプリングを行うと、上述したようなセトリングエラーが生じるという問題がある。
また、V2信号の検出経路についても折り返し防止フィルタを備えてもよいが、上述したように、V2信号は温度信号Tを算出するために用いる信号であり、温度変化は、周囲の環境変化などの緩やかな変化を検出できればよいため、デジタルフィルタで平滑化を行う際に平均化回数を増やせば、折り返し防止フィルタを用いずとも容易に必要な精度が実現できる。
一般に、高精度の磁気検出用途では、検出誤差を1%以下に抑えることが要求されているが、1/fcのサンプリング停止区間を設ければ、セトリング不足によるエラーは0.2%以下に抑えることができる。(サンプル停止区間の時間をTとすると、折り返し防止フィルタが一般的な一次特性の低域通過フィルタの場合、セトリングエラーは、e−2π・fc・T・100%で見積もれる)
例えば、磁気感度の補正に用いる信号の代わりに、ホール素子に印加されている電圧値をA/D変換器でサンプリングし、その値から断線、短絡などの故障診断を行うといった、種々の応用が可能である。
2 ホール素子
3 A/D(アナログ/デジタル)変換器
4 デジタル演算回路
5 D/A(デジタル/アナログ)変換器
11 ホール素子
12 電流源
13 A/D変換器
21 ホール素子
22 チョッパースイッチ回路
23 クロック発生回路
24 発振回路
25 折り返し防止フィルタ
26 時分割スイッチ回路
27 A/D変換器
28 デジタルフィルタ
29 補正演算回路
30 D/A変換器
31 温度検出素子
Claims (8)
- 磁界強度に応じて変動するホール起電力信号を含む信号を出力するホール素子と、
前記ホール起電力信号と異なる第2の電気信号を出力する電気信号出力回路と、
前記ホール素子の有する複数の電極間に供給する駆動電流の通電方向を切り替えるスイッチ回路と、
該スイッチ回路に接続される、低域通過特性を有する遮断周波数がfcの折り返し防止フィルタと、
該折り返し防止フィルタと前記電気信号検出回路に接続され、前記折り返し防止フィルタからの信号と、第2の電気信号のどちらか一方の信号を時間分割的に出力する時分割スイッチ回路と、
該時分割スイッチ回路に接続され、前記ホール起電力信号と前記第2の電気信号のアナログ信号をデジタル信号に変換し、時間分割的に出力するA/D変換器とを備え、
前記時分割スイッチ回路は、前記スイッチ回路の駆動電流の通電方向の切り替わりから1/fcの時間に前記第2の電気信号を出力することを特徴とするホール起電力信号検出装置。 - 前記時分割スイッチ回路は、前記スイッチ回路の駆動電流の通電方向の切り替わりから1/fcの時間に前記ホール起電力信号を出力しないことを特徴とする請求項1に記載のホール起電力信号検出装置。
- 前記A/D変換器に接続する補正演算回路を備え、
前記補正演算回路は前記ホール起電力信号及び/又は前記ホール起電力信号の磁気感度を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のホール起電力信号検出装置。 - 前記補正演算回路は前記A/D変換器によりデジタル変換された前記第2の電気信号に基づき、前記ホール起電力信号及び/又は前記ホール起電力信号の磁気感度を補正することを特徴とする請求項3に記載のホール起電力信号検出装置。
- 前記電気信号検出回路が温度検出素子を含み、温度情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のホール起電力信号検出装置。
- 前記温度検出素子は前記ホール素子近傍に配置されており、前記電気信号検出回路は前記ホール素子近傍の温度に関する温度情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする請求項5に記載のホール起電力信号検出装置。
- 前記電気信号検出回路が応力検出素子を含み、応力情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のホール起電力信号検出装置。
- 前記応力検出素子は前記ホール素子近傍に配置されており、前記電気信号検出回路は前記ホール素子近傍の応力に関する応力情報を含む第2の電気信号を出力することを特徴とする請求項7に記載のホール起電力信号検出装置。
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