JP2014020486A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】引き摺りトルクを低減することができるとともに、クラッチにおける耐久性の低下を抑制することができる駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動力伝達装置1において、ハウジング12とインナシャフト13との間に介在するクラッチ収容空間190bに配置され、ハウジング12とインナシャフト13とを断続可能に連結する多板クラッチ8と、多板クラッチ8を潤滑油で潤滑するための潤滑油供給機構Aとを備え、潤滑油供給機構Aは、プロペラシャフト2と車体側との相対回転によって作動する潤滑油供給用のポンプ33を有し、潤滑油供給用のポンプ33の作動によってクラッチ収容空間190bに潤滑油を供給する。
【選択図】図2
【解決手段】駆動力伝達装置1において、ハウジング12とインナシャフト13との間に介在するクラッチ収容空間190bに配置され、ハウジング12とインナシャフト13とを断続可能に連結する多板クラッチ8と、多板クラッチ8を潤滑油で潤滑するための潤滑油供給機構Aとを備え、潤滑油供給機構Aは、プロペラシャフト2と車体側との相対回転によって作動する潤滑油供給用のポンプ33を有し、潤滑油供給用のポンプ33の作動によってクラッチ収容空間190bに潤滑油を供給する。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば自動車における入力軸からの駆動力を出力軸に伝達する駆動力伝達装置に関する。
従来の駆動力伝達装置として、例えば四輪駆動車に搭載され、一対の回転部材をクラッチによってトルク伝達可能に連結するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
この駆動力伝達装置は、入力軸と共に回転する第1の回転部材と、第1の回転部材の軸線上で回転可能な第2の回転部材と、第2の回転部材と第1の回転部材とをトルク伝達可能に連結する摩擦式のクラッチと、クラッチにそのクラッチ動作力となる押付力を付与する押付力付与機構とから構成されている。
第1の回転部材は、一方に開口する有底円筒状のハウジングからなり、入力軸に連結されている。そして、第1の回転部材は、車両用のエンジンなど駆動源の駆動力を入力軸から受けて回転する。
第2の回転部材は、第1の回転部材に相対回転可能に配置され、かつ出力軸に連結されている。そして、第2の回転部材は、第1の回転部材と共に装置ケース内に収容されている。
クラッチは、インナクラッチプレート及びアウタクラッチプレートを有し、第1の回転部材と第2の回転部材との間に配置されている。そして、クラッチは、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとが摩擦係合して第1の回転部材と第2の回転部材とをトルク伝達可能に連結する。
押付力付与機構は、装置ケース(シリンダ)内で進退可能なピストン、及びピストンの移動力を押付力としてクラッチに付与する押付力付与部材を有し、クラッチの入力側に配置されている。
以上の構成により、エンジン側からの駆動力が入力軸を介して第1の回転部材に入力されると、第1の回転部材がその軸線回りに回転する。ここで、シリンダ内に作動油を供給すると、作動油による圧力がピストンに作用する。
このため、押付力付与機構が作動し、これに伴いピストンがクラッチ側に移動し、この移動力が押付力として押付力付与部材からクラッチに付与される。
そして、クラッチのインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとが互いに接近して摩擦係合し、この摩擦係合によって第1の回転部材と第2の回転部材とがトルク伝達可能に連結される。これにより、エンジン側の駆動力が入力軸から駆動力伝達装置を介して出力軸に伝達される。
ところで、特許文献1に示す駆動力伝達装置によると、四輪駆動車の二輪駆動による走行時に潤滑油の粘性に基づいて発生する所謂引き摺りトルクによる悪影響を低減するには、ハウジング内の潤滑油を少量にする(油面位置を低くする)ことが望ましい。
一方、四輪駆動車の四輪駆動による走行時にハウジング内の潤滑油が過度に少量であると、クラッチのインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとの摩擦係合による各クラッチプレートの発熱によって各クラッチプレートが損傷し、クラッチの耐久性が低下する虞がある。
従って、本発明の目的は、クラッチ収容空間における潤滑油の油面位置を所望の油面高さに確保することができ、もって引き摺りトルクを低減することができるとともに、クラッチにおける耐久性の低下を抑制することができる駆動力伝達装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(6)の駆動力伝達装置を提供する。
(1)四輪駆動車における駆動源の駆動力を受けて主駆動輪側から補助駆動輪側に伝達する駆動力伝達軸と、前記駆動力伝達軸と前記主駆動輪側とを断続可能に連結し、前記主駆動輪側に配置された第1の駆動力断続部と、前記第1の駆動力断続部の前記補助駆動輪側に配置され、前記駆動力伝達軸と前記補助駆動輪側とを断続可能に連結する第2の駆動力断続部と、前記第2の駆動力断続部及び前記第1の駆動力断続部のうち少なくとも一方の駆動力断続部に配置され、互いに相対回転可能な内外一対の回転部材と、前記内外一対の回転部材間に介在するクラッチ収容空間に配置され、前記内外一対の回転部材を断続可能に連結するクラッチと、前記クラッチを潤滑油で潤滑するための潤滑油供給機構とを備え、前記潤滑油供給機構は、前記駆動力伝達軸と車体側との相対回転によって作動するポンプを有し、前記ポンプの作動によって前記クラッチ収容空間に潤滑油を供給する駆動力伝達装置。
(2)上記(1)に記載の駆動力伝達装置において、前記内外一対の回転部材は、内側の回転部材がその径方向内側から径方向外側に向かって前記クラッチ収容空間に潤滑油を導入する油導入孔を有し、外側の回転部材が前記油導入孔の油導入能力よりも低い油導出能力をもって前記クラッチ収容空間からその外部に潤滑油を導出する油導出孔を有する。
(3)上記(2)に記載の駆動力伝達装置において、前記内外一対の回転部材は、前記内側の回転部材における前記油導入孔の開口面積が前記外側の回転部材における前記油導出孔の開口面積よりも大きい面積に設定されている。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記内外一対の回転部材は、一方の回転部材が前記駆動力伝達軸側に、また他方の回転部材が前記補助駆動輪側にそれぞれ連結されている。
(5)上記(4)に記載の駆動力伝達装置において、前記内外一対の回転部材は、前記一方の回転部材が前記駆動力伝達軸との間に前記補助駆動輪側の一対の補助駆動輪に前記駆動力を配分するディファレンシャルが介在して配置されている。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記潤滑油供給機構は、前記ポンプが前記駆動力伝達軸と前記車体側との間に介在して配置されている。
本発明によると、引き摺りトルクを低減することができるとともに、クラッチにおける耐久性の低下を抑制することができる。
[実施の形態]
図1は四輪駆動車の概略を示す。図1に示すように、四輪駆動車101は、駆動力伝達装置1,エンジン102,トランスミッション103,主駆動輪としての一対の前輪104L,104R及び補助駆動輪としての一対の後輪105L,105Rを備えている。
図1は四輪駆動車の概略を示す。図1に示すように、四輪駆動車101は、駆動力伝達装置1,エンジン102,トランスミッション103,主駆動輪としての一対の前輪104L,104R及び補助駆動輪としての一対の後輪105L,105Rを備えている。
駆動力伝達装置1は、四輪駆動車101におけるトランスミッション103側から後輪側に至る駆動力伝達経路にフロントディファレンシャル106及びリヤディファレンシャル107と共に配置され、かつ四輪駆動車101の車体(図示せず)にデフキャリア40(図2に示す)を介して配置されている。
そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフト(駆動力伝達軸)2,第1の駆動力断続部3及び第2の駆動力断続部4を有し、四輪駆動車101の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切り替え可能に構成されている。駆動力伝達装置1の詳細については後述する。
フロントディファレンシャル106は、前輪側アクスルシャフト108L,108Rに連結された一対のサイドギヤ109L,109R、一対のサイドギヤ109L,109Rにギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ110、一対のピニオンギヤ110を回転可能に支持するピニオンギヤ支持部材130、及び一対のピニオンギヤ110,ギヤ支持部材130,一対のサイドギヤ109L・109Rを収容するフロントデフケース111を有し、トランスミッション103と第1の駆動力断続部3との間に配置されている。
リヤディファレンシャル107は、後輪側アクスルシャフト112L,112Rに連結された一対のサイドギヤ113L,113R、一対のサイドギヤ113L,113Rにギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ114、一対のピニオンギヤ114を回転可能に支持するピニオンギヤ支持部材115、及びギヤ支持部材115,一対のピニオンギヤ114,一対のサイドギヤ113L・113Rを収容するリヤデフケース116を有し、プロペラシャフト2と後輪側アクスルシャフト112L,112Rとの間に配置されている。リヤデフケース116は、デフキャリア40内に円すいころ軸受117,118を介して回転可能に支持されている。
エンジン102は、トランスミッション103及びフロントディファレンシャル106を介して駆動力を一対の前輪側アクスルシャフト108L,108Rに出力することにより一対の前輪104L,104Rを駆動する。
エンジン102は、トランスミッション103,第1の駆動力断続部3,プロペラシャフト2及びリヤディファレンシャル107を介して駆動力を後輪側アクスルシャフト112Rに出力することにより一方の後輪105Rを、またトランスミッション103,第1の駆動力断続部3,プロペラシャフト2,リヤディファレンシャル107及び第2の駆動力断続部4を介して駆動力を後輪側アクスルシャフト112Lに出力することにより他方の後輪105Lをそれぞれ駆動する。
〔駆動力伝達装置1の全体構成〕
図2は駆動力伝達装置を示す。図3はポンプを示す。駆動力伝達装置1は、図1及び図2に示すように、プロペラシャフト2,第1の駆動力断続部3及び第2の駆動力断続部4に制御部としての車両用のECU(Electronic Control Unit)5を加えて大略構成されている。
図2は駆動力伝達装置を示す。図3はポンプを示す。駆動力伝達装置1は、図1及び図2に示すように、プロペラシャフト2,第1の駆動力断続部3及び第2の駆動力断続部4に制御部としての車両用のECU(Electronic Control Unit)5を加えて大略構成されている。
(プロペラシャフト2の構成)
プロペラシャフト2は、複数のシャフト部20(図2では下方のシャフト部のみ図示)及び連結部21を有し、第1の駆動力断続部3と第2の駆動力断続部4との間に配置されている。そして、プロペラシャフト2は、エンジン102の駆動力をフロントデフケース111から受けて前輪104L,104R側から後輪105L,105R側に伝達する。プロペラシャフト2の前輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン60及びリングギヤ61からなる前輪側の歯車機構6が配置されている。プロペラシャフト2の後輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン70及びリングギヤ71からなる歯車機構7が配置されている。
プロペラシャフト2は、複数のシャフト部20(図2では下方のシャフト部のみ図示)及び連結部21を有し、第1の駆動力断続部3と第2の駆動力断続部4との間に配置されている。そして、プロペラシャフト2は、エンジン102の駆動力をフロントデフケース111から受けて前輪104L,104R側から後輪105L,105R側に伝達する。プロペラシャフト2の前輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン60及びリングギヤ61からなる前輪側の歯車機構6が配置されている。プロペラシャフト2の後輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン70及びリングギヤ71からなる歯車機構7が配置されている。
シャフト部20は、デフキャリア40内に円すいころ軸受30,31を介して回転可能に支持されている。
連結部21は、シャフト部20を挿通させてその外周面に取り付けられ、全体が鍔部付きの無底円筒部材によって形成されている。連結部21の外周面には、デフキャリア40の上方開口部を閉塞するカバー部材32が取り付けられている。また、連結部21の外周面には、デフキャリア40の内周面との間に介在する潤滑油供給機構Aが配置されている。
潤滑油供給機構Aは、プロペラシャフト2と車体側との相対回転によって作動する潤滑油供給用のポンプ33を有し、潤滑油循環用の油圧回路Bに配置されている。そして、潤滑油供給機構Aは、潤滑油供給用のポンプ33の作動によって潤滑油循環用の油圧回路Bにおける多板クラッチ8(クラッチ収容空間190b)に潤滑油を供給し、多板クラッチ8を潤滑する。なお、潤滑油供給機構Aは、潤滑油供給用のポンプ33の非作動によって潤滑油循環用の油圧回路Bにおけるクラッチ収容空間190bに潤滑油を供給することがない。
潤滑油供給用のポンプ33は、図2及び図3に示すように、内外2つの歯車330,331及び一対の側板332,333を有する例えばトロコイドポンプからなり、潤滑油循環用の油圧回路Bに配置されている。そして、潤滑油供給用のポンプ33は、各歯車330,331の相対回転(本実施の形態では歯車330の回転)によって作動する。
一方の歯車330は、プロペラシャフト2における連結部21の外周面に取り付けられ、全体がトロコイド歯形の外歯歯車によって形成されている。
他方の歯車331は、一方の歯車330の外周囲にその中心軸線よりも中心軸線を偏心(偏心量δ)させて配置され、かつデフキャリア40の内周面に取り付けられ、全体が一方の歯車330に噛合するトロコイド歯形の内歯歯車によって形成されている。
一対の側板332,333は、一方の歯車330及び他方の歯車331を介して互いに対向し、プロペラシャフト2における連結部21の外周面とデフキャリア40の内周面との間に介在して配置されている。そして、一対の側板332,333は、一方の歯車330と他方の歯車331との間に形成されるポンプ空間部33aを密閉する。一方(下方)の側板332には吸込口332aが、また他方の側板333には吐出口333aがそれぞれポンプ空間部33aに連通して設けられている。他方の側板333は、一方の側板332とは反対側への移動が止め輪119によって規制されている。
潤滑油循環用の油圧回路Bは、第1の潤滑油供給路35及び第2の潤滑油供給路36を有し、デフキャリア40の内外に跨って配置されている。そして、潤滑油循環用の油圧回路Bは、プロペラシャフト2とデフキャリア40との相対回転による潤滑油供給用のポンプ33の作動によって潤滑油を循環させる。潤滑油循環用の油圧回路Bには、多板クラッチ8が潤滑油供給のポンプ33と共に配置されている。
第1の潤滑油供給路35は、第3のキャリアエレメント402(後述)の径方向内側及び径方向外側に開口して設けられ、かつ潤滑油供給用のポンプ33の吐出口333aに配管350を介して接続されている。
第2の潤滑油供給路36は、第1の潤滑油供給路35に空隙(図示せず)を介して連通する円環状の油路36a、及び油路36aからインナシャフト13(後述)内に至る断面略T字状の油路36bを有し、フロントハウジング18(後述)に設けられている。
(第1の駆動力断続部3の構成)
第1の駆動力断続部3は、図1に示すように、例えばドグクラッチからなり、四輪駆動車101の前輪104L,104R側に配置され、かつアクチュエータ55を介してECU5に接続されている。そして、第1の駆動力断続部3は、プロペラシャフト2とフロントデフケース111とを断続可能に連結する。
第1の駆動力断続部3は、図1に示すように、例えばドグクラッチからなり、四輪駆動車101の前輪104L,104R側に配置され、かつアクチュエータ55を介してECU5に接続されている。そして、第1の駆動力断続部3は、プロペラシャフト2とフロントデフケース111とを断続可能に連結する。
(第2の駆動力断続部4の構成)
第2の駆動力断続部4は、図2に示すように、多板クラッチ8,カム機構9及び電磁クラッチ22を有し、四輪駆動車101の後輪105L,105R側に配置され、かつデフキャリア40内に収容されている。
第2の駆動力断続部4は、図2に示すように、多板クラッチ8,カム機構9及び電磁クラッチ22を有し、四輪駆動車101の後輪105L,105R側に配置され、かつデフキャリア40内に収容されている。
そして、第2の駆動力断続部4は、プロペラシャフト2(図1に示す)と後輪側アクスルシャフト112L(図1に示す)とを断続可能に連結する。すなわち、後輪側アクスルシャフト112Lとプロペラシャフト2とは第2の駆動力断続部4を介在させて連結されている。後輪側アクスルシャフト112Rとプロペラシャフト2とは第2の駆動力断続部4を介在させることなく連結されている。
これにより、第2の駆動力断続部4による連結時には、後輪側アクスルシャフト112Lとプロペラシャフト2とが及び後輪側アクスルシャフト112Rとプロペラシャフト2とが共に歯車機構7及びリヤディファレンシャル107を介してトルク伝達可能に連結される。一方、第2の駆動力断続部4による連結の解除時には、後輪側アクスルシャフト112Lとプロペラシャフト2との連結が遮断されるが、後輪側のアクスルシャフト112Rとプロペラシャフト2とが歯車機構7及びリヤディファレンシャル107を介して連結されたままである。
デフキャリア40は、駆動力伝達装置1の構成部品を収容する第1のキャリアエレメント400,第2のキャリアエレメント401及び第3のキャリアエレメント402からなり、四輪駆動車101(図1に示す)の車体に搭載されている。
第1のキャリアエレメント400は、四輪駆動車101の前方及び左方に開口し、デフキャリア40の一方側(図2では右側)に配置されている。そして、第1のキャリアエレメント400は、プロペラシャフト2の一部及びリヤディファレンシャル107を内部に収容する。
第1のキャリアエレメント400には、後輪側アクスルシャフト112Rを挿通させるシャフト挿通孔400aが設けられている。シャフト挿通孔400aの内周面には、後輪側アクスルシャフト112Rの外周面との間に介在するシール機構38が配置されている。第1のキャリアエレメント400における上方開口部の内周面には、プロペラシャフト2における連結部21の外周面との間に介在するシール機構39が配置されている。
第2のキャリアエレメント401は、第3のキャリアエレメント402側に開口し、デフキャリア40の他方側(図2では左側)に配置されている。そして、第2のキャリアエレメント401は、一方(外側)の回転部材としてのハウジング12の一部及び他方(内側)の回転部材としてのインナシャフト13を収容する。
第2のキャリアエレメント401には、後輪側アクスルシャフト112Lを挿通させるシャフト挿通孔401aが設けられている。第2のキャリアエレメント401内には、第3のキャリアエレメント402と共に潤滑油を貯溜する潤滑油貯溜用の空間部401cが設けられている。潤滑油貯溜用の空間部401cは、潤滑油供給用のポンプ33の吸込口332aに配管403を介して接続されている。
第2のキャリアエレメント401の内周面には、後輪側アクスルシャフト112Lの外周面との間に介在するシール機構41が配置されている。
第3のキャリアエレメント402は、第1のキャリアエレメント400と第2のキャリアエレメント401との間に介在してデフキャリア40の中間部に配置され、全体がフロントハウジング18(後述)の軸部18a(後述)を挿通させる円環部材によって形成されている。第3のキャリアエレメント402の内周面には、リヤディファレンシャル107側で軸部18aの外周面との間に介在するシール機構42が配置されている。
多板クラッチ8は、複数のインナクラッチプレート80及び複数のアウタクラッチプレート81を有し、ハウジング12とインナシャフト13との間に介在して配置されている。そして、多板クラッチ8は、インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81のうち互いに隣り合う内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させ、またその摩擦係合を解除してハウジング12とインナシャフト13とを断続(トルク伝達)可能に連結する。
インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81は、回転軸線Oに沿って交互に配置され、全体が環状の摩擦板によって形成されている。
インナクラッチプレート80は、その内周部にストレートスプライン嵌合部80aを有し、ストレートスプライン嵌合部80aを円筒部13a(インナシャフト13)のストレートスプライン嵌合部130aに嵌合させてインナシャフト13に相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
複数のインナクラッチプレート80のうちカム機構側最端部のインナクラッチプレートは、多板クラッチ8の入力部として機能し、カム機構9からアウタクラッチプレート81側にカム推力Pを押付力として受けると、この押付方向への移動によって多板クラッチ8側(インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが互いに摩擦係合する方向)に移動する。
アウタクラッチプレート81は、その外周部にストレートスプライン嵌合部81aを有し、ストレートスプライン嵌合部81aを第1のリヤハウジング190(後述)のストレートスプライン嵌合部190a(後述)に嵌合させてハウジング12に相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
ハウジング12は、フロントハウジング18及びリヤハウジング19からなり、後輪側アクスルシャフト112L(図1に示す)の軸線(回転軸線O)上に回転可能に支持されている。
フロントハウジング18は、軸部18a及び連結部18bを有し、ハウジング12の軸線方向一方側(図2の右側)に配置され、かつリヤハウジング19に相対回転不能に連結されている。
軸部18aは、フロントハウジング18のリヤディファレンシャル107側(図2では右側)に配置され、かつ回転軸線O上でサイドギヤ113Lにスプライン嵌合によって連結されている。
連結部18bは、フロントハウジング18のカム機構9側(図2では左側)に配置され、かつ軸部18aに一体に設けられ、全体がカム機構9側に開口する有底円筒部材によって形成されている。
リヤハウジング19は、第1のリヤハウジング190及び第2のリヤハウジング191からなり、ハウジング12の軸線方向他方側(図2の左側)に配置され、かつデフキャリア40内に収容され、全体が無底円筒部材によって形成されている。そして、リヤハウジング19は、フロントハウジング18と共に回転軸線Oの回りに回転する。
第1のリヤハウジング190は、リヤハウジング19のリヤディファレンシャル107側(図2では右側)に配置されている。第1のリヤハウジング190の内周面には、アウタクラッチプレート81のストレートスプライン嵌合部81aにスプライン嵌合するストレートスプライン嵌合部190aが設けられている。
第1のリヤハウジング190内には、その内周面とインナシャフト13の外周面との間に介在して多板クラッチ8を収容するクラッチ収容空間190bが設けられている。第1のリヤハウジング190には、クラッチ収容空間190bから潤滑油貯溜用の空間部401c(クラッチ収容空間190bの外部)に潤滑油を導出する複数の油導出孔190cが設けられている。複数の油導出孔190cは、図4(a)に示すように、ストレートスプライン嵌合部190aにおける複数のスプライン歯1900aのうち互いに隣り合う2つのスプライン歯間に配置されている。
第2のリヤハウジング191は、リヤハウジングエレメント191A〜191Cからなり、第1のリヤハウジング190の開口内周面に螺着され、かつ第2のキャリアエレメント401の内周面に円すいころ軸受43を介して回転可能に支持されている。第2のリヤハウジングエレメント191には、第2のキャリアエレメント401の底部側(図2では左側)に開口し、かつコイルホルダ23の一部を収容する収容空間191aが設けられている。
リヤハウジングエレメント191Aは、後輪側アクスルシャフト112Lを挿通させる第2のリヤハウジング191の内周側に配置され、全体が軟鉄等の磁性材料からなる円筒部材によって形成されている。
リヤハウジングエレメント191Bは、第2のリヤハウジング191の外周側に配置され、全体が第1のリヤハウジングエレメント191Aと同様に軟鉄等の磁性材料からなる円筒部材によって形成されている。
リヤハウジングエレメント191Cは、第1のリヤハウジングエレメント191Aと第2のリヤハウジングエレメント191Bとの間に介在して配置され、全体がステンレス鋼等の非磁性材料からなるエレメント連結用の円環部材によって形成されている。
一方、インナシャフト13は、各外径が互いに異なる3つの円筒部13a〜13c、及びシャフト内を軸線方向に2分する仕切部13dを有し、ハウジング12の回転軸線O上に配置され、かつハウジング12内(リヤハウジング19)に玉軸受52を介して回転可能に支持され、全体が軸線方向両側に開口する無底円筒部材によって形成されている。円筒部13a〜13cにおいて、円筒部13aの外径は最大の寸法(最大外径)に、円筒部13bの外径は最小の寸法(最小外径)に、また円筒部13cの外径は円筒部13aの外径と円筒部13bの外径との間の寸法(中間外径)にそれぞれ設定されている。そして、インナシャフト13は、その開口部内に後輪側アクスルシャフト112L(図1に示す)の先端部を挿入させて収容する。後輪側アクスルシャフト112Lは、ハウジング12(第2のリヤハウジング191)の内周面に針状ころ軸受54を介して回転可能に支持され、インナシャフト13にスプライン嵌合によって相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
最大外径の円筒部13aは、最小外径の円筒部13bと中間外径の円筒部13cとの間に介在して配置されている。最大外径の円筒部13aの外周面には、インナクラッチプレート80のストレートスプライン嵌合部80aに対応するストレートスプライン嵌合部130aが設けられている。最大外径の円筒部13aには、その径方向内側から径方向外側に向かってクラッチ収容空間190bに潤滑油を導入する油導入孔131aが設けられている。油導入孔131aは、図4(b)に示すように、ストレートスプライン嵌合部130aにおける複数のスプライン歯1300aのうち互いに隣り合う2つのスプライン歯間に配置されている。油導入孔131aの開口面積は、リヤハウジング19(第1のリヤハウジング190)における油導出孔190cの開口面積よりも大きい面積に設定されている。これにより、油導入孔131aの油導入能力がリヤハウジング19における油導出孔190cの油導出能力よりも高くなり、四輪駆動車101(図1に示す)の四輪駆動時においてクラッチ収容空間190bの潤滑油の油面位置が所望の油面高さに確保される。
最小外径の円筒部13bは、インナシャフト13のリヤディファレンシャル107側(図2では右側)に配置され、かつリヤハウジング19(第1のリヤハウジング190)の内周面に玉軸受52を介して回転可能に支持されている。
中間外径の円筒部13cは、インナシャフト13のカム機構9側(図2では左側)に配置されている。中間外径の円筒部13cの内周面には、後輪側アクスルシャフト112Lにスプライン嵌合するストレートスプライン嵌合部130cが設けられている。
仕切部13dは、後輪側アクスルシャフト112Lの先端面に対向し、インナシャフト13内を閉塞する閉塞部材によって形成されている。
カム機構9は、プロペラシャフト2の回転力をハウジング12から受けて回転するコントロールカム90、このコントロールカム90にハウジング12の回転軸線Oに沿って並列するメインカム91、及びこのメインカム91とコントロールカム90との間に介在するカムフォロア92を有し、多板クラッチ8と第2のリヤハウジング191との間に介在して配置され、かつリヤハウジング19内に収容されている。そして、カム機構9は、ハウジング12からの回転力を多板クラッチ8のクラッチ動作力(摩擦係合力)となるカム推力Pに変換し、多板クラッチ8にカム推力Pを押付力として付与する。
コントロールカム90は、カム機構9の多板クラッチ8側とは反対側(図2では左側)でインナシャフト13(円筒部13c)の外周囲に配置され、全体が円環部材によって形成されている。
コントロールカム90には、その円周方向に並列し、かつカムフォロア92側に開口する複数(本実施の形態では3個)のカム溝90bが設けられている。複数のカム溝90bは、その溝底がカムフォロア92の初期位置(カム溝90bの中立位置)からコントロールカム90の円周方向に沿って軸線方向の深さが漸次浅くなる凹溝、すなわち中立位置に連続してカム推力Pを発生させるための傾斜面を有する凹溝によって形成されている。また、コントロールカム90には、復帰用のスプリング93によって多板クラッチ8側への復帰力が付与されている。
メインカム91は、カム機構9の多板クラッチ8側(図2では右側)でインナシャフト13(円筒部13c)の外周囲に回転軸線Oに沿って移動可能に配置され、かつ円筒部13aのストレートスプライン嵌合部130aにスプライン嵌合によって相対回転不能に連結され、全体が円環部材によって形成されている。
メインカム91には、その円周方向に並列し、かつカムフォロア92側に開口する複数(本実施の形態では3個)のカム溝91bが設けられている。複数のカム溝91bは、その溝底がカムフォロア92の初期位置(カム溝91bの中立位置)からメインカム91の円周方向に沿って軸線方向の深さが漸次浅くなる凹溝、すなわち中立位置に連続してカム推力Pを発生させるための傾斜面を有する凹溝によって形成されている。また、メインカム91には、復帰用のスプリング94によって電磁クラッチ22側への復帰力が付与されている。
カムフォロア92は、コントロールカム90のカム溝90bとメインカム91のカム溝91bとの間に転動可能に配置され、全体が球体(ボール)によって形成されている。
電磁クラッチ22は、電磁コイル220及びアーマチャ(コントロールカム)90を有し、多板クラッチ8にハウジング12の回転軸線O上で並列して配置されている。そして、電磁クラッチ22は、電磁コイル220がECU5から制御信号S2,S6を受け、多板クラッチ8のクラッチ動作力(カム機構9のカム推力P)に応じた電磁力Fをコントロールカム90に付与する。これにより、ハウジング12の回転時にカム機構9が作動し、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが互いに摩擦係合する。
電磁コイル220は、車両用のECU5に接続され、かつコイルホルダ23内に保持されている。そして、電磁コイル220は、通電によってフロントハウジング18及びコントロールカム90等に跨って磁気回路を形成し、コントロールカム90に第2のリヤハウジング191側への移動力を付与するための電磁力Fを発生させる。コイルホルダ23は、第2のキャリアエレメント401の底部に取り付けられている。
コントロールカム90は、第2のリヤハウジング191とカムフォロア92との間に介在してインナシャフト13(中間外径の円筒部13c)の外周囲に回転可能に配置され、全体が鉄等の磁性材料からなる円環部材によって形成されている。そして、コントロールカム90は、電磁コイル220の電磁力Fを受け、第2のリヤハウジング191側に回転軸線Oに沿って移動する。
(ECU5の構成)
ECU5は、図1に示すように、四輪駆動車101の車体に搭載され、かつ第1の駆動力断続部3のアクチュエータ55及び第2の駆動力断続部4のアクチュエータ(電磁クラッチ)21に接続されている。また、ECU5は、フロントデフケース111の回転数を検出する回転センサ15、及びプロペラシャフト2の回転数を検出する回転センサ16に接続されている。
ECU5は、図1に示すように、四輪駆動車101の車体に搭載され、かつ第1の駆動力断続部3のアクチュエータ55及び第2の駆動力断続部4のアクチュエータ(電磁クラッチ)21に接続されている。また、ECU5は、フロントデフケース111の回転数を検出する回転センサ15、及びプロペラシャフト2の回転数を検出する回転センサ16に接続されている。
アクチュエータ55は、四輪駆動車101の車体に配置されている。そして、アクチュエータ55は、ECU5から制御信号S1,S5を受け、第1の駆動力断続部3(ドグクラッチ)を作動させるための駆動力を第1の駆動力断続部3に付与する。これにより、フロントディファレンシャル106のフロントデフケース111と歯車機構6のリングギヤ61との断続が行われる。
そして、ECU5は、四輪駆動車101の二輪駆動状態から四輪駆動状態への切替時に回転センサ15からの出力信号S3及び回転センサ16からの出力信号S4を入力し、第2の駆動力断続部4による連結を第1の駆動力断続部3による連結よりも先行させて実行する制御信号S1,S2をそれぞれ第1駆動力断続部3のアクチュエータ55と第2駆動力断続部4の電磁クラッチ22(電磁コイル220)とに出力する。制御信号S1,S2は、予め記憶されたデータ、及び入力されたデータを用いてプログラムに応じた演算を実行した後にECU5から出力される。入力されたデータには、各車輪の車輪速や操舵角などの各信号が含まれる。
また、ECU5は、四輪駆動車101の走行中における四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替時に第2の駆動力断続部4による連結の解除を第1の駆動力断続部3による連結の解除よりも先行して実行させるための制御信号S5,S6をそれぞれ第1の駆動力断続部3のアクチュエータ55と第2の駆動力断続部4の電磁クラッチ22(電磁コイル220)にそれぞれ出力する。制御信号S5,S6は、予め記憶されたデータ、及び入力されたデータを用いてプログラムに応じた演算を実行した後にECU5から出力される。入力されたデータには、各車輪の車輪速や操舵角などの各信号が含まれる。
〔駆動力伝達装置1の動作〕
次に、本実施の形態に示す駆動力伝達装置の動作につき、図1及び図2を用いて説明する。
次に、本実施の形態に示す駆動力伝達装置の動作につき、図1及び図2を用いて説明する。
図1において、四輪駆動車101の二輪駆動時には、エンジン102の回転駆動力がトランスミッション103を介してフロントディファレンシャル106に伝達され、さらにフロントディファレンシャル106から一対の前輪側アクスルシャフト108L,108Rを介して一対の前輪104L,104Rに伝達され、一対の前輪104L,104Rが回転駆動される。
ここで、ECU5の制御に基づく電磁クラッチ22の駆動制御によって電磁コイル220に供給される電力量を漸次増加させ、カム機構9のメインカム91を多板クラッチ8側(インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが互いに摩擦係合する方向)に移動させると、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが摩擦係合され、第2の駆動力断続部4による連結が実行される。これに伴い、後輪105L,105Rの回転トルクがプロペラシャフト2に伝達され、プロペラシャフト2が回転する。
次に、回転センサ15によってフロントデフケース111の回転数が、また回転センサ16によってプロペラシャフト2の回転数がそれぞれ検出され、これら回転数の差が「所定の閾値である」とECU5で確認されると、第1の駆動力断続部3による連結が実行される。
これにより、四輪駆動車101の走行中において二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えが行われる。
一方、四輪駆動車101の走行中における四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替時には、第1の駆動力断続部3による連結が行われているため、プロペラシャフト2が回転状態である。この状態において、プロペラシャフト2とデフキャリア40との相対回転によって潤滑油供給用のポンプ33が作動中である。
このため、潤滑油供給用のポンプ33の作動によるポンプ作用によって潤滑油貯溜用の空間部401cの潤滑油が配管403を介して吸込口332aからポンプ空間部33aに吸い込まれ、ポンプ空間部33aを流動して吐出口333aから配管350に吐き出される。
そして、潤滑油供給用のポンプ33の吐出口333aから配管350に吐き出された潤滑油は、配管350を流動して第1の潤滑油供給路35に流入した後、第1の潤滑油供給路35を流動して第1の潤滑油供給路35外に流出する。第1の潤滑油供給路35外に流出した潤滑油は、第2の潤滑油供給路36に空隙を介して流入した後、第2の潤滑油供給路36(油路36a,36b)を流動して第2の潤滑油供給路36外に流出する。さらに、第2の潤滑油供給路36外に流出してハウジング12及びインナシャフト13(円筒部13a,13b)内に流入した潤滑油は、円筒部13a,13b内を流動し、インナシャフト13の油導入孔131aから遠心力又は重力によってクラッチ収容空間190bに導入される。この際、クラッチ収容空間190bの多板クラッチ8に潤滑油が供給され、多板クラッチ8が潤滑される。この場合、互いに隣り合うインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との間に空隙が存在すると、この空隙にプレート径方向内側からプレート径方向外側に向かって潤滑油が流動し、インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81が潤滑される。
この後、クラッチ収容空間190bの潤滑油は、リヤハウジング19(第1のリヤハウジング190)の油導出孔190cから遠心力又は重力によって潤滑油貯溜用の空間部401cに導出され、潤滑油貯溜用の空間部401cから配管403を介して潤滑油供給用のポンプ33の吸込口332aに吸い込まれる。
ここで、ECU5の制御に基づく電磁クラッチ22の駆動制御によって電磁コイル220に供給される電力量を漸次減少させ、カム機構9のメインカム91を多板クラッチ8側と反対側(インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との摩擦係合が解除される方向)に移動させると、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との摩擦係合が解除され、第2の駆動力断続部4による連結の解除が実行される。これに伴い、プロペラシャフト2から後輪側アクスルシャフト112L,112Rへのトルク伝達が遮断される。その後、第1の駆動力断続部3による連結の解除が実行される。
これにより、四輪駆動車101の走行中における四輪駆動状態から二輪駆動状態への切り替えが行われる。
また、四輪駆動車101の四輪駆動状態において、ECU5の制御に基づく電磁クラッチ22の駆動制御によって電磁コイル220に供給される電力量を増減させ、カム機構9のメインカム91を多板クラッチ8側あるいはその反対側へ移動させると、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との摩擦係合力が可変される。これにより、前輪104L,104R側と後輪105L,105R側とへのエンジン102の駆動トルクの配分が行われる。
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
四輪駆動車101の二輪駆動による走行時にクラッチ収容空間190bに潤滑油が供給されず、一方四輪駆動時による走行時にはクラッチ収容空間190bに潤滑油が供給されるため、クラッチ収容空間190bにおける潤滑油の油面位置を所望の油面位置に確保することができ、引き摺りトルクを低減することができるとともに、多板クラッチ8における耐久性の低下を抑制することができる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)上記実施の形態では、潤滑油循環用の油圧回路Bに用いる配管350,403を単なる管部材である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、クーラー配管(例えばフィン付きの管部材)などを用いてもよく、この場合には潤滑油の冷却性を向上させることができる。
(2)上記実施の形態では、第2の駆動力断続部4にハウジング12及びインナシャフト13を配置して駆動力伝達装置1が構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第1の駆動力断続部にハウジング及びインナシャフトを、又は第1の駆動力断続部及び第2の駆動力断続部にハウジング及びインナシャフトをそれぞれ配置して駆動力伝達装置を構成してもよい。すなわち要するに、本発明は、第1の駆動力断続部及び第2の駆動力断続部のうち少なくとも一方の駆動力断続部に互いに相対回転可能な一対の回転部材を配置して駆動力伝達装置を構成してもよい。
1…駆動力伝達装置、2…プロペラシャフト、20…シャフト部、21…連結部、3…第1の駆動力断続部、4…第2の駆動力断続部、5…ECU、6…歯車機構、60…ドライブピニオン、61…リングギヤ、7…歯車機構、70…ドライブピニオン、71…リングギヤ、8…多板クラッチ、80…インナクラッチプレート、80a…ストレートスプライン嵌合部、81…アウタクラッチプレート、81a…ストレートスプライン嵌合部、9…カム機構、90…コントロールカム(アーマチャ)、90b…カム溝、91…メインカム、91b…カム溝、92…カムフォロア、12…ハウジング、13…インナシャフト、13a〜13c…円筒部、130a,130c…ストレートスプライン嵌合部、1300a…スプライン歯、131a…油導入孔、13d…仕切部、15,16…回転センサ、18…フロントハウジング、18a…軸部、18b…連結部、19…リヤハウジング、190…第1のリヤハウジング、190a…ストレートスプライン嵌合部、1900a…スプライン歯、190b…クラッチ収容空間、190c…油導出孔、191…第2のリヤハウジング、191a…収容空間、191A〜191C…リヤハウジングエレメント、22…電磁クラッチ、220…電磁コイル、23…コイルホルダ、30,31…円すいころ軸受、32…カバー部材、33…潤滑油供給用のポンプ、33a…ポンプ空間部、330,331…歯車、332…側板、332a…吸込口、333…側板、333a…吐出口、35…第1の潤滑油供給路、36…第2の潤滑油供給路、36a,36b…油路、38,39…シール機構、40…デフキャリア、400…第1のキャリアエレメント、400a…シャフト挿通孔、401…第2のキャリアエレメント、401a…シャフト挿通孔、401c…潤滑油貯溜用の空間部、402…第3のキャリアエレメント、403…配管、41,42…シール機構、43…円すいころ軸受、52…玉軸受、54…針状ころ軸受、55…アクチュエータ、93,94…復帰用のスプリング、101…四輪駆動車、102…エンジン、103…トランスミッション、104L,104R…前輪、105L,105R…後輪、106…フロントディファレンシャル、107…リヤディファレンシャル、108L,108R…前輪側アクスルシャフト、109L,109R…サイドギヤ、110…ピニオンギヤ、111…フロントデフケース、112L,112R…後輪側アクスルシャフト、113L,113R…サイドギヤ、114…ピニオンギヤ、115…ピニオンギヤ支持部材、116…リヤデフケース、117,118…円すいころ軸受、119…止め輪、130…ピニオンギヤ支持部材、350,403…配管、A…潤滑油供給機構、B…潤滑油循環用の油圧回路、F…電磁力、P…カム推力、O…回転軸線、δ…偏心量
Claims (6)
- 四輪駆動車における駆動源の駆動力を受けて主駆動輪側から補助駆動輪側に伝達する駆動力伝達軸と、
前記駆動力伝達軸と前記主駆動輪側とを断続可能に連結し、前記主駆動輪側に配置された第1の駆動力断続部と、
前記第1の駆動力断続部の前記補助駆動輪側に配置され、前記駆動力伝達軸と前記補助駆動輪側とを断続可能に連結する第2の駆動力断続部と、
前記第2の駆動力断続部及び前記第1の駆動力断続部のうち少なくとも一方の駆動力断続部に配置され、互いに相対回転可能な内外一対の回転部材と、
前記内外一対の回転部材間に介在するクラッチ収容空間に配置され、前記内外一対の回転部材を断続可能に連結するクラッチと、
前記クラッチを潤滑油で潤滑するための潤滑油供給機構とを備え、
前記潤滑油供給機構は、前記駆動力伝達軸と車体側との相対回転によって作動するポンプを有し、前記ポンプの作動によって前記クラッチ収容空間に潤滑油を供給する
駆動力伝達装置。 - 前記内外一対の回転部材は、内側の回転部材がその径方向内側から径方向外側に向かって前記クラッチ収容空間に潤滑油を導入する油導入孔を有し、外側の回転部材が前記油導入孔の油導入能力よりも低い油導出能力をもって前記クラッチ収容空間からその外部に潤滑油を導出する油導出孔を有する請求項1に記載の駆動力伝達装置。
- 前記内外一対の回転部材は、前記内側の回転部材における前記油導入孔の開口面積が前記外側の回転部材における前記油導出孔の開口面積よりも大きい面積に設定されている請求項2に記載の駆動力伝達装置。
- 前記内外一対の回転部材は、一方の回転部材が前記駆動力伝達軸側に、また他方の回転部材が前記補助駆動輪側にそれぞれ連結されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
- 前記内外一対の回転部材は、前記一方の回転部材が前記駆動力伝達軸との間に前記補助駆動輪側の一対の補助駆動輪に前記駆動力を配分するディファレンシャルが介在して配置されている請求項4に記載の駆動力伝達装置。
- 前記潤滑油供給機構は、前記ポンプが前記駆動力伝達軸と前記車体側との間に介在して配置されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
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Cited By (2)
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JP2017067132A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
DE102022133350A1 (de) | 2022-12-14 | 2024-06-20 | Valeo Eautomotive Germany Gmbh | Elektrische Antriebsachse für ein Fahrzeug |
-
2012
- 2012-07-19 JP JP2012160725A patent/JP2014020486A/ja active Pending
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