以下、本発明の燃料充填システムの一実施形態である車両用の燃料充填システムを、図1〜図5を参照して説明する。
この燃料充填システムは、車両に搭載された燃料タンクに液化石油ガス(LPG)燃料を充填するシステムであり、利用者が自動充填操作を行うと燃料の充填を開始し、燃料タンク内の燃料の液量(即ち、内容量)が、予め定められた供給速度減速量Lsに到達すると当該燃料タンクへの燃料の供給速度を徐々に遅くして、燃料タンクの最大充填量Lmに到達した時点で供給速度を0にする、即ち、燃料の供給を停止する。最大充填量Lmと供給速度減速量Lsは、燃料の種類、燃料タンクの構成、システムの構成等に応じて適宜設定される。本実施形態において、最大充填量Lmは、燃料タンク容積の85%に設定されている。また、供給速度減速量Lsは、最大充填量Lmの70%に設定されている。
燃料充填システム1は、図1に示すように、車両に搭載された燃料タンク10に配設された内容量計測装置としての液量計測装置20と、燃料供給装置50と、燃料供給制御装置60と、を有している。
燃料供給装置50と燃料供給制御装置60とは、共に充填ホース71が設けられた筐体70に収容されている。充填ホース71は、その内側に燃料供給管72が収容されており、その先端に充填ノズル73が設けられている。
燃料タンク10は、略箱形に形成されており、その側壁部10aには燃料を内部に充填するための充填口11が設けられている。この充填口11には、クイックカップリング12が設けられており、上記筐体70からのびる充填ホース71の先端に設けられた充填ノズル73を容易に取り付けたり取り外したりすることができる。燃料タンク10は略箱形に形成されているので、燃料タンク10内の液量は液面高さに比例する。勿論、燃料タンク10の形状は任意であり、その場合でも燃料タンク10内の液量と液面高さとは関係を有しているので、液面高さから燃料タンク10内の液量を求めることができる。
また、燃料タンク10には、燃料充填管13が設けられている。燃料充填管13は、その一端が充填口11内に配置され、その他端が燃料タンク10内に配置されている。また、燃料充填管13の他端には、上述した従来の燃料充填システムと同様の図示しない過充填防止装置が設けられており、この装置によって最大充填量Lmを超える燃料の充填を防止している。燃料充填管13の一端は、充填口11に充填ノズル73が取り付けられると、燃料供給管72と接続されて互いに連通される。
液量計測装置20は、燃料タンク10内の液面高さ、即ち、液量(内容量)を計測する液量計測部21と、液量計測部21によって計測された液量に応じた液量信号(内容量信号)を出力する液量信号送信部41と、を有している。
液量計測部21は、図2に示すように、燃料の液面に浮かぶフロート22と、フロート22の位置に応じて回動する第1回動軸23と、この第1回動軸23の上端に中心が固定して取り付けられた円板状の駆動マグネット24と、駆動マグネット24との間に燃料タンク10の上壁部10bを挟んで互いに磁気結合するように対向して配置され、駆動マグネット24の回動に伴い回動される円板状の受動マグネット25と、受動マグネット25の中心が一端に固定して取り付けられた第2回動軸26と、受動マグネット25と平行に配置されるように中央部分が第2回動軸26の他端に固定して取り付けられた帯板状の支持部材27と、支持部材27の両端に固定して取り付けられた検知用マグネット28と、第2回動軸26と検知用マグネット28の周回軌道との間に配置された、当該検知用マグネット28の磁力を検知するホール素子からなる第1液量計測センサ31、第2液量計測センサ32と、を有している。
第1液量計測センサ31は、検知用マグネット28の回動位置により示される燃料の液量に比例して電圧が変化する信号を出力するように構成されている。第1液量計測センサ31は、車両に搭載された図示しないコンビネーションメータに設けられた燃料計Mに接続されており、燃料計Mは、第1液量計測センサ31によって出力された信号によって示される燃料の液量を表示する。図3に示すように、この第1液量計測センサ31を含む第1回路C1の電源端子V1には、車両のイグニッションオン状態のときに電力を供給する主電源部PS1の正極が接続され、その車体と共通化されたグランド端子FGには、主電源部PS1の負極が接続されている。
本実施形態において、第1液量計測センサ31は、燃料タンク10内の液量が最大充填量Lmのときに主電源部PS1の正極と同レベルの電圧(例えば、12V)を出力し、そこから液量が少なくなるにしたがって出力する電圧が徐々に低くなり、そして、液量が0になると主電源部PS1の負極と同レベルの電圧(例えば、0V)を出力するように構成されている。
第2液量計測センサ32は、第1液量計測センサ31と同様に、検知用マグネット28の回動位置により示される燃料の液量に比例して電圧が変化する信号を出力するように構成されている。図3に示すように、第2液量計測センサ32を含む第2回路C2の電源端子V2には、車両において常時電力を供給する待機電源部PS2の正極が接続され、そのグランド端子SGには、待機電源部PS2の負極が接続されている。これにより、第2回路C2は、車両のイグニッションオフ状態のときも電力が供給されて動作可能となる。待機電源部PS2は、主電源部PS1から電気的に断絶(隔離)されている。また、第2液量計測センサ32を含む第2回路C2は、第1液量計測センサ31を含む第1回路C1と電気的に断絶されている。
本実施形態においては、燃料タンク10の満量に対する燃料タンク内の液量の割合をW1%としたとき、第2液量計測センサ32の出力信号が、[待機電源部PS2の正極電圧]×W1%の電圧となるように構成されている。つまり、第2液量計測センサ32は、燃料タンク10内の液量が最大充填量Lm(即ち、満量)のときに待機電源部PS2の正極と同レベルの電圧(以下、「正極電圧」という、例えば、12V)を出力し、そこから液量が少なくなるにしたがって出力する電圧が徐々に低くなりそして、液量が0になると待機電源部PS2の負極と同レベルの電圧(以下、「負極電圧」という、例えば、0V)を出力するように構成されている。
液量計測部21は、勿論、このような構成以外にも、燃料液面上に浮かぶフロートの位置に応じて抵抗体上を摺動する接点を有し、抵抗体の両端に印加した電圧を分圧した電圧を接点に出力するような構成のものなどを用いてもよい。
図3に示すように、液量信号送信部41は、パルス幅変調部42と、トランジスタ43と、電流制限抵抗器44と、発光手段としてのLED45と、を有している。液量信号送信部41は、第2液量計測センサ32を含む第2回路C2に含まれている。
パルス幅変調部42は、入力された電圧に応じたデューティ比の一定周期パルス信号を出力するものであり、例えば、マイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどで構成されている。ここで、パルス信号のデューティ比とは、その1周期とパルス幅(Hレベルの電圧を出力している時間)の比のことを指す。パルス幅変調部42は、電源端子V2とグランド端子SGとの間に接続されており、待機電源部PS2から供給される電力によって動作する。パルス幅変調部42には、上述した第2液量計測センサ32からの信号が入力されるように接続されており、この第2液量計測センサ32からの信号(即ち、電圧)に応じたパルス幅の信号を出力する。なお、本明細書において、パルス信号とは、Hレベルの電圧とLレベルの電圧とを交互に繰り返す信号加えて、連続したHレベルの電圧及び連続したLレベルの電圧からなる信号を含むものとする。また、Hレベルの電圧とは、待機電源部PS2の正極電圧であり、Lレベルの電圧とは待機電源部PS2の負極電圧である。
本実施形態において、待機電源部PS2の正極電圧に対する第2液量計測センサ32の出力信号の電圧の割合をW2%としたとき、パルス幅変調部42が出力するパルス信号のデューティ比がW2%となるように構成されている。つまり、パルス幅変調部42は、第2液量計測センサ32の出力信号が待機電源部PS2の正極電圧(12V)だったとき、デューティ比が100%の信号(即ち、連続したHレベルの電圧からなる信号)を出力し、そこから電圧が低くなるにしたがって出力するデューティ比が徐々に低くなり、そして、待機電源部PS2の負極電圧(0V)になるとデューティ比0%の信号(即ち、連続したLレベル信号)を出力するように構成されている。このことから、パルス幅変調部42のパルス信号のデューティ比は、燃料タンク10の満量に対する燃料タンク10の液量の割合を示している。図4に、パルス幅変調部42への入力電圧と出力信号のデューティ比との関係の一例を模式的に示す。
トランジスタ43は、NPN型トランジスタであって、コレクタ端子Cが電流制限抵抗器44を介して電源端子V2に接続され、エミッタ端子Eがグランド端子SGに接続され、ベース端子Bが図示しない電流制限抵抗器を介してパルス幅変調部42の出力端子に接続されている。トランジスタ43は、パルス幅変調部42の出力する信号に応じて、そのコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間を遮断(OFF)又は通電(ON)する。具体的には、パルス幅変調部42の出力する信号がLレベルの電圧のときOFFし、Hレベルの電圧のときONする。
LED45は、電流が流れることにより発光する周知の電子部品であって、そのアノード端子Aがトランジスタ43のコレクタ端子Cに接続され、カソード端子Kがトランジスタ43のエミッタ端子Eに接続されている。つまり、LED45は、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eに並列に接続されている。
これにより、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電圧が印加された場合に、トランジスタ43がON状態であると、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間に電流が流れて、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電流が流れず、そのため、LED45は消灯し、一方、トランジスタ43がOFF状態であると、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間には電流が流れず、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電流が流れて、そのため、LED45は点灯する。
LED45は、燃料タンク10の液量に応じたデューティ比となる光信号である液量信号(即ち、内容量信号)を出力する。ここで、液量信号のデューティ比とは、その1周期とパルス幅(LED45が消灯している時間)の比のことを指す。
上述した液量計測部21の第1液量計測センサ31及び第2液量計測センサ32、並びに、液量信号送信部41のパルス幅変調部42、トランジスタ43及び電流制限抵抗器44は、燃料タンク10の上壁部10bの外面に取り付けられたケース20a内に収容されている。そして、液量信号送信部41のLED45は、燃料タンク10の充填口11に設けられたコネクタソケットハウジング46内に収容されており、トランジスタ43などとの間を配線47によって接続されている。
燃料供給装置50は、例えば、液体を吸い上げるポンプなどで構成され、地中に設けられた図示しない燃料貯蔵タンクから燃料を吸い上げるとともに燃料タンク10に供給する装置である。燃料供給装置50は、充填ホース71の燃料供給管72に接続されており、燃料貯蔵タンクから吸い上げた燃料を指定された供給速度で燃料供給管72に流し込む。燃料供給装置50は、後述する燃料供給制御装置60に電気的に接続されており、燃料供給制御装置60からの制御信号によって燃料の供給速度が制御される。
燃料供給制御装置60は、液量計測装置20からの液量信号を受信する液量信号受信部61と、液量信号受信部61で受信された液量信号に基づいて燃料供給装置50における燃料の供給速度を制御する供給速度制御部64と、を有している。この燃料供給制御装置60を含む回路C3の電源端子V3には、図示しない制御装置電源部の正極が接続され、そのアース(接地)されたグランド端子Gには、当該制御装置電源部の負極が接続されている。
液量信号受信部61は、受光手段としてのフォトトランジスタ62と、プルアップ抵抗器63と、を有している。
フォトトランジスタ62は、NPN型フォトトランジスタであって、コレクタ端子Cがプルアップ抵抗器63を介して電源端子V3に接続され、エミッタ端子Eがグランド端子Gに接続されている。フォトトランジスタ62は、その受光部62aへの光の照射の有無に応じて、そのコレクタ端子C−エミッタ端子E間を遮断(OFF)又は通電(ON)する。具体的には、受光部62aに光が照射されていないときOFFし、光が照射されているときONする。
フォトトランジスタ62の受光部62aには、上述したLED45が対向配置される。そのため、フォトトランジスタ62には、LED45によって出力された燃料タンク10の液量に応じたデューティ比となる光信号である液量信号が入力される。つまり、LED45とフォトトランジスタ62との間では、光信号によって情報の伝達が行われる。
上述した液量信号受信部61のプルアップ抵抗器63、及び、供給速度制御部64のMPU65は、筐体70内に収容されている。そして、液量信号受信部61のフォトトランジスタ62は、充填ホース71の充填ノズル73に設けられたコネクタプラグハウジング66内に収容されており、MPU65などとの間を配線67によって接続されている。このコネクタプラグハウジング66は、燃料タンク10の充填口11に充填ホース71の充填ノズル73が取り付けられたときに、充填口11に設けられた上記コネクタソケットハウジング46と嵌合される。そして、コネクタプラグハウジング66とコネクタソケットハウジング46とが嵌合すると、フォトトランジスタ62の受光部62aとLEDとが、間隔をあけて対向配置される。
供給速度制御部64は、マイクロコンピュータ(MPU)65を有している。
MPU65は、周知の組込用マイクロコンピュータであって、電源端子V3とグランド端子Gとの間に接続されており、充填装置電源部から供給される電力によって動作する。MPU65は、予め定められたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)、CPUのための処理プログラムや各種情報等を格納した読み出し専用のメモリであるROM、各種のデータを格納するとともにCPUの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM等を有して構成されている。また、MPU65には、時間計測に用いられる計時カウンタが設けられている。
MPU65の入力ポートPIには、フォトトランジスタ62のコレクタ端子Cが接続されている。入力ポートPIには、フォトトランジスタ62の受光部62aに光が照射されていないとき、フォトトランジスタ62のコレクタ端子C−エミッタ端子E間が遮断されて、Hレベルの電圧(充填装置電源部の正極電圧(例えば、5V))が入力される。また、入力ポートPIには、フォトトランジスタ62の受光部62aに光が照射されているとき、フォトトランジスタ62のコレクタ端子C−エミッタ端子E間が導通して、Lレベルの電圧(充填装置電源部の負極電圧(例えば、0V))が入力される。
MPU65のCPUは、入力ポートPIに入力される電圧を一定周期のパルス信号とみなして監視する。そして、MPU65は、燃料供給装置50に接続されており、このパルス信号のデューティ比に応じた供給速度で燃料を供給するように燃料供給装置50を制御する。
本実施形態において、入力ポートPIに入力された信号のデューティ比をD[%]、最大供給速度Sm[L/min]、減速開始デューティ比をDk[%]、燃料タンクの最大充填量をLm[L]、供給速度減速量をLs[L]としたとき、MPU65のCPUは、以下の(1)、(2)式で算出される供給速度Sで燃料の供給を行うように、燃料供給装置50に制御信号を送信する。なお、最大供給速度Sm、最大充填量Lm、供給速度減速量Lsは、MPU65のROMに予め記憶されている。
Dk=(Ls/Lm)×100
0%≦D≦Dk%のとき:
S=Sm ・・・ (1)
Dk%<D≦100%のとき:
S=Sm×(100−D)×(100/(100−Dk)) ・・・ (2)
以下、MPU65のCPUにおいて実行される本発明に係る処理(供給速度制御処理)の一例を、図5のフローチャートを参照して説明する。
燃料供給制御装置60の電源スイッチが操作されて電源が投入されると、MPU65のCPUが動作を開始して所定の初期化処理を実行する。そして、MPU65のCPUは、初期化処理が終了した後に、例えば、一定周期などの所定のタイミングで、図5のフローチャートに示すステップS110に進む。
ステップS110では、燃料タンク10の液量を検出する。具体的には、CPUは、MPU65の入力ポートPIに入力された信号のデューティ比を、燃料タンク10の満量に対する液量の割合(液量割合)として検出する。そして、検出した液量割合をMPU65のRAMに記憶した後、ステップS120に進む。
ステップS120では、燃料供給装置50による燃料の供給速度を算出する。具体的には、CPUは、上述した(1)、(2)式に、ステップS110で検出したデューティ比D、並びに、MPU65のROMに記憶された最大供給速度Sm、最大充填量Lm及び供給速度減速量Lsを当てはめて、供給速度を算出する。そして、算出した供給速度をRAMに記憶した後、ステップS130に進む。
ステップS130では、CPUは、ステップS120で算出した供給速度で燃料の供給を行うように、燃料供給装置50に制御信号を出力する。また、このとき、直前に制御信号を出力した時点から現時点までに経過した時間(経過時間)を、MPU65の計時カウンタを用いて計時する。この経過時間は、燃料供給装置50が制御信号に示される供給速度で継続して燃料を供給した時間を示している。そして、ステップS140に進む。
ステップS140では、燃料タンク10の液量の増加量を算出する。具体的には、CPUは、ステップS110で検出した液量割合からMPU65のRAMに記憶されている直前に検出した液量割合を差し引いた値に、上記最大充填量Lmを乗じた値を液量の増加量として算出する。そして、ステップS150に進む。
ステップS150では、CPUは、RAMに記憶されている直前の供給速度にステップS140で計時した継続時間を乗じて、直前の制御信号の出力時点から現時点までに燃料供給装置50によって燃料タンク10に供給された燃料の供給量を算出する。そして、ステップS160に進む。
ステップS160では、ステップS140で算出した液量の増加量と、ステップS160で算出した燃料の供給量と、が一致するか否かを判定して、これらが一致していれば、燃料充填システム1に故障はないものとして本フローチャートの処理を終了し(ステップS160でY)、これらが一致していなければ、燃料充填システム1のどこかに故障があるものとして、ステップS170に進む。なお、ステップS160において、「一致」とは、厳密に一致する場合に加えて、通常の燃料供給において想定される程度の誤差範囲内のずれがある場合も含むものとしている。
ステップS170では、燃料の供給速度を0、即ち、燃料の供給を停止するための制御信号を出力ポートPOから燃料供給装置50に出力する。燃料供給装置50は、この制御信号を受信すると、燃料の供給速度を0にして、燃料の供給を停止する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
上述したステップS160が、請求項中の故障判定手段に相当し、ステップS170が、請求項中の燃料供給停止制御手段に相当する。
次に、上述した燃料充填システム1の燃料充填時の動作について説明する。
車両の燃料タンク10に燃料を給油するために、燃料タンク10の充填口11に充填ホース71の充填ノズル73が取り付けられると、LED45を収容したコネクタソケットハウジング46と、フォトトランジスタ62を収容したコネクタプラグハウジング66とが嵌合して、LED45とフォトトランジスタ62とが、互いに間隔をあけて対向配置される。
そして、燃料供給装置50によって燃料タンク10への燃料供給が開始されると、燃料タンク10の液面高さに応じて液量計測部21のフロート22が移動されて、それに伴って検知用マグネット28が回動移動されて、第2液量計測センサ32が検知用マグネット28の回動位置、即ち、液量に応じた電圧の信号をパルス幅変調部42に出力する。
パルス幅変調部42では、第2液量計測センサ32が出力した信号に基づいて、液量に応じたデューティ比となるパルス信号を生成してこのパルス信号によってトランジスタ43をON/OFF駆動して、LED45を点灯、消灯する。つまり、LED45は上記パルス信号のデューティ比で点灯、消灯される。そして、LED45の点灯、消灯に応じて、フォトトランジスタ62がON/OFF駆動される。つまり、LED45(液量信号送信部41)とフォトトランジスタ62(液量信号受信部61)との間は光信号によって情報伝達が行われる。
そして、フォトトランジスタ62がON/OFF駆動されると、MPU65の入力ポートPIに上記パルス信号と同一の信号が入力される。つまり、入力ポートPIに入力された信号におけるデューティ比は、燃料タンク10の液量の割合を示している。
そして、MPU65は、入力ポートPIに入力された信号のデューティ比に基づいて、上記(1)、(2)式より供給速度を算出して(S110、S120、S130)、当該供給速度で燃料の供給を行うための制御信号を燃料供給装置50に出力する。燃料供給装置50は、MPU65から出力された制御信号で示される供給速度で燃料の供給を行う。
また、MPU65は、燃料タンク10の液量の増加量を算出するとともに(S140)、燃料供給装置50による燃料の供給量を算出して(S150)、これら増加量と供給量とが一致していなければ(S160でN)、燃料供給装置50による燃料の供給を停止する(S170)。
一例として、最大供給速度Smを10[L/min]、燃料タンク10の最大充填量Lmを100[L]、供給速度減速量Lsを70[L]、待機電源部PS2の正極電圧を12V、待機電源部PS2の負極電圧を0V、とした場合について、供給速度の算出動作を説明する。この場合、減速開始デューティ比Dkは70[%]となる。
燃料タンク10の液量が満量時の0%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の0%の電圧である0Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が0%のパルス信号(即ち、連続して0Vとなる信号)を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されてMPU65に入力される。MPU65は、入力された信号のデューティ比が0%であることを検出して、(1)式より、最大供給速度10L/minで燃料の供給を行う。
また、同様にして、燃料タンク10の液量が満量時の70%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の70%の電圧である8.4Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が70%のパルス信号を出力する。このパルス信号は、LED45(連続消灯)からフォトトランジスタ62に伝達されてMPU65に入力される。MPU65は、入力された信号のデューティ比が70%であることを検出して、(1)式より、最大供給速度10L/minで燃料の供給を行う。つまり、燃料タンク10の液量が満量時の0〜70%のとき、最大供給速度10L/minで燃料の供給を行う。
また、燃料タンク10の液量が満量時の71%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の71%の電圧である8.52Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が71%のパルス信号を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されてMPU65に入力される。MPU65は、入力された信号のデューティ比が71%であることを検出して、(2)式より、供給速度9.67L/minで燃料の供給を行う。以降、液量が1%増える毎に供給速度が、0.33L/minずつ遅くなる。
また、燃料タンク10の液量が満量(100%)のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の100%の電圧である12Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が100%のパルス信号(即ち、連続して12Vとなる信号)を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されてMPU65に入力される。MPU65は、入力された信号のデューティ比が100%であることを検出して、(2)式より、供給速度が0L/minとなって、燃料の供給を停止する。なお、このとき、LED45は連続して消灯された状態となる。
上述のように、本実施形態の燃料充填システム1は、燃料タンク10に燃料を供給する燃料供給装置50と、燃料タンク10の液量を計測する液量計測部21、及び、液量計測部21で計測された液量を示す液量信号を送信する液量信号送信部41、を備えた、燃料タンク10側に設けられた液量計測装置20と、液量信号を受信する液量信号受信部61、及び、液量信号受信部61で受信された液量信号に基づいて燃料供給装置50による燃料の供給速度を制御する供給速度制御部64、を備えた、液量計測装置20と別体の燃料供給制御装置60と、を有し、燃料供給制御装置60には、燃料の供給速度及び液量信号に基づいて故障の有無を判定する故障判定手段としてのMPU65(CPU)と、MPU65によって故障有りと判定されたとき、燃料の供給を停止するように燃料供給装置50を制御する燃料供給停止制御手段としてのMPU65(CPU)と、が設けられている。
以上より、本実施形態によれば、燃料供給装置50による燃料の供給速度及び液量計測装置20から送信された燃料タンク10の液量を示す液量信号に基づいて、当該燃料充填システム1の故障の有無を判定して、故障ありと判定されたときに燃料供給装置50による燃料タンク10への燃料の供給を停止するので、液量信号によって示される燃料タンク10の液量が燃料の供給速度に応じて増加していないときに、燃料充填システム1のいずれかの部位が故障したものと判定して、このようなときに、燃料の供給を停止することで、危険な状態に陥ってしまうことを効果的に抑制できる。
上述した実施形態では、液量信号をパルス信号として液量に応じてデューティ比を変化させることにより、燃料タンク10の液量について3つ以上の状態を伝達するものであったが、これに限定されるものではなく、液量信号を、LEDの点灯、消灯の2値とした簡易な構成として、燃料タンク10の液量について2つの状態(例えば、液量が供給速度減速量Lsを超えた状態、供給速度減速量Ls以下の状態)を伝達するようにしてもよい。
この場合、燃料充填システムは、利用者が自動充填操作を行うと燃料の充填を開始し、燃料タンク内の燃料の液量が、予め定められた供給速度減速量Lsに到達すると当該燃料タンクへの燃料の供給速度を徐々に遅くして、燃料タンクの最大充填量Lmに到達する前に供給速度を0にする、即ち、燃料の供給を停止する。その後は、利用者が手動充填操作により燃料を供給して最大充填量Lmまで充填を行う。また、燃料充填システムは、燃料の供給速度に基づいて当該燃料の供給量を算出して、この供給量が最大充填量Lmを超えた場合には、燃料の供給を停止するようにする。
また、本実施形態では、パルス信号のデューティ比として、0%〜100%の範囲を用いるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、パルス信号のデューティ比として、20%〜80%の範囲を用いて、このデューティ比の範囲を燃料タンク10の満量に対する燃料タンク内の液量の割合の範囲(満量時の0%〜100%)に割り当てて、デューティ比が20%〜70%(液量が満量時の0%〜83.5%)のときに、供給速度を最大供給速度Smとして燃料供給を行い、デューティ比が70%〜80%(液量が満量時の83.5%〜100%)のときに、デューティ比が1%増える毎に供給速度を最大供給速度Smから10%ずつ小さくした速度とするなど、してもよく、本発明の目的に反しない限り、パルス信号のデューティ比の範囲は任意である。
また、上述した実施形態では、液量計測装置20と燃料供給制御装置60との間で光信号を用いて情報を伝達するものであったが、これに限定されるものではなく、これら装置間を電気的に接続して、電気信号を用いて情報を伝達するようにしてもよい。
上述した実施形態は、車両に搭載された燃料タンクに燃料を充填する車両用の燃料充填システムを説明するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、工場や家庭などに設置された燃料タンクに燃料を充填する燃料充填システムなどであってもよく、本発明の目的に反しない限り、本発明を適用するシステムは任意である。また、充填対象となる燃料は液化石油ガス(LPG)に限らず、例えば、ジメチルエーテル(DME)、液体水素、液化メタンなどの液化ガス、常温常圧で液状となる燃料(灯油、ガソリン等)、又は、気体燃料など、本発明の目的に反しない限り、その種類は任意である。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。