JP2014019712A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑性等に優れる潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】エステル油またはエーテル油と、式(I)
Figure 2014019712

[式中、RおよびRは同一または異なってもよく、炭素数1〜4のアルキル基を表す]で表される酒石酸エステルとを含有する潤滑油組成物であって、該酒石酸エステルの含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜10重量%である潤滑油組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑性等に優れる潤滑油組成物に関する。
近年、オゾン層保護のために冷凍機用の冷媒としてオゾン破壊係数がゼロであるハイドロフルオロカーボン(HFC)が広く使用されている。ハイドロフルオロカーボンは極性が高いため、鉱油などの炭化水素油との相溶性が不十分である。そのため、ハイドロフルオロカーボンと良好な相溶性を示すエステル油やエーテル油が冷凍機油として使用されている。しかし、これらのエステル油やエーテル油とハイドロフルオロカーボンを組み合わせて使用する場合は耐摩耗性、摩擦低減性、極圧性などの潤滑性が不足するため、冷凍機油に添加剤を配合することでこれを補う必要がある。
特許文献1には、エステル系又はポリエーテル系合成油あるいはその混合油に、酒石酸エステルを配合してなる冷凍機油、及びハイドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組成物の耐摩耗性が良好であることが記載されている。しかし、酒石酸エステルの種類と耐摩耗性の相関については記載も示唆もされていない。
特許文献2には、エステル系合成油にリン酸エステルおよび/または亜リン酸エステルを添加してなるハイドロフルオロカーボンを冷媒とする冷凍機油組成物の耐摩耗特性が良好であることが記載されている。しかし、リン酸エステルと酒石酸エステルを併用した場合の耐摩耗特性は記載も示唆もされていない。さらに、近年では冷凍機油用作動流体の環境負荷の低減が求められ、地球温暖化係数の低い冷媒への代替などが検討されているが、冷媒の種類によってはリン酸エステルの安定性が懸念されている(例えば非特許文献1)。
一方で、エステル油やエーテル油等の合成油は、冷凍機油に限らず各種産業向けに適用され、広く社会に浸透してきている(例えば非特許文献2)。しかし、合成潤滑油に対して既存の添加剤がほとんど効果を示さないか、あるいは逆効果を示すこともある。例えば鉱油に対してよい耐摩耗剤となるリン酸エステルやスルフィドが合成エステルに対して期待するほどの効果を示さないか、あるいは摩耗を促進することがある(例えば非特許文献3)。また、昨今の機械システムの小型化や省エネルギー化により摺動部における負荷が高まり、より耐摩耗性等の潤滑性に優れる潤滑油が求められている。
特許第2971978号公報 特許第3142321号公報
「The International Symposium on New Refrigerants and Environmental Technology 2010予稿集」、p221 「高機能潤滑剤の技術と市場」、第3章(合成潤滑油の市場動向)、シーエムシー出版、2001年(普及版)、p96−111 「潤滑経済」、2005年、8月号、p2
本発明の目的は、潤滑性等に優れる潤滑油組成物を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(4)に示す潤滑油組成物を提供する。
(1)エステル油またはエーテル油と、式(I)
Figure 2014019712
[式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を表す]で表される酒石酸エステルとを含有する潤滑油組成物であって、該酒石酸エステルの含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜10重量%である潤滑油組成物。
(2)炭素数1〜4のアルキル基が、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基から選ばれるいずれか1種のアルキル基である(1)に記載の潤滑油組成物。
(3)リン酸芳香族エステル系化合物を潤滑油組成物全量に対して0.01〜5重量%含有する(1)または(2)に記載の潤滑油組成物。
(4)リン酸芳香族エステル系化合物がリン酸トリクレジルである(3)に記載の潤滑油組成物。
本発明によれば、潤滑性等に優れる潤滑油組成物を提供できる。
本発明の潤滑油組成物は、エステル油またはエーテル油と、式(I)で表される酒石酸エステルとを含有する潤滑油組成物であって、該酒石酸エステルの含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜10重量%である潤滑油組成物である。
本発明におけるエステル油としては、例えば、多価アルコール(以下、ポリオールと言うこともある)と脂肪酸とからなるエステル(以下、ポリオールエステルと言うこともある)、多塩基酸とアルコールとからなるエステル等が挙げられる。
多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルには、本発明の奏する効果に影響の及ばない範囲内で、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のまま残っている部分エステル等が不純物として含まれていてもよい。
多塩基酸とアルコールとからなるエステルには、本発明の奏する効果に影響の及ばない範囲内で、多塩基酸のカルボキシル基の一部がエステル化させずにカルボキシル基のまま残っている部分エステル等が不純物として含まれていてもよい。
多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルにおいて、多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールから選ばれる1種、またはそれら多価アルコールから選ばれる2種以上の混合物等が挙げられる。安定性等の理由により、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールが好ましい。また、それら好ましい多価アルコールから選ばれる2種以上の混合物も好ましい。
ポリオールエステルを構成する脂肪酸としては、例えば、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、3−メチル酪酸、ピバリン酸、へキサン酸、2−メチルペンタン酸、2,2−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−プロピルペンタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、2−プロピルヘプタン酸、ドデカン酸、イソトリデカン酸から選ばれる1種、またはそれら脂肪酸から選ばれる2種以上の混合物等が挙げられる。安定性および粘度特性等の理由により、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルへキサン酸、2−プロピルヘプタン酸またはイソトリデカン酸が好ましい。また、それら好ましい脂肪酸から選ばれる2種以上の混合物も好ましい。
ポリオールエステルとしては、上記の好ましい多価アルコールと好ましい脂肪酸とから得られるエステルが好ましい。特に、ネオペンチルグリコールと2−エチルヘキサン酸とから得られるエステル、ペンタエリスリトールと脂肪酸混合物(2−エチルへキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合物)とから得られるエステル、ペンタエリスリトールと脂肪酸混合物(イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合物)とから得られるエステル、ペンタエリスリトールと脂肪酸混合物(ペンタン酸とヘプタン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合物)とから得られるエステル、ジペンタエリスリトールと脂肪酸混合物(ペンタン酸とヘプタン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との混合物)とから得られるエステル、またはそれらエステルから選ばれる2種以上の混合物が好ましい。
多塩基酸とアルコールとからなるエステルにおいて、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、2,4−ジエチルグルタル酸、セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。粘度特性等の理由により、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸またはセバシン酸が好ましい。
多塩基酸とアルコールとからなるエステルにおいて、アルコールとしては、例えば、n−ブタノール、イソブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2,4,4−トリメチルペンタノール、イソオクタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、2−プロピルヘプタノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール等が挙げられる。粘度特性等の理由により、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソデカノールまたはイソトリデカノールが好ましい。
多塩基酸とアルコールとからなるエステルとしては、上記の好ましい多塩基酸と好ましいアルコールとから得られるエステルまたはそれらエステルから選ばれる2種以上の混合物が好ましい。特に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られるエステル、アジピン酸と3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られるエステル、アジピン酸とイソノナノールとから得られるエステル、アジピン酸とイソデカノールとから得られるエステル、アジピン酸とイソトリデカノールとから得られるエステル、セバシン酸と2−エチルヘキサノールとから得られるエステル、セバシン酸と3,5,5−トリメチルヘキサノールとから得られるエステル、またはそれらエステルから選ばれる2種以上の混合物が好ましい。
本発明におけるエステル油の水酸基価(JIS K−2501の方法に準じる)は特に限定されないが、10mgKOH/g以下が好ましく、5.0mgKOH/g以下がより好ましい。該エステル油の水酸基の残存量が多いと、本発明の潤滑油組成物を冷凍機油組成物として用いた場合に、冷凍機油が低温で白濁し、冷凍サイクルのキャピラリー装置を閉塞させる等、好ましくない現象が起こる傾向にある。
本発明におけるエステル油の酸価(JIS K−2501の方法に準じる)は特に限定されないが、0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.05mgKOH/g以下であることがより好ましい。該エステル油の酸価が前記の範囲内であると、本発明の潤滑油組成物を冷凍機油組成物として用いた場合に、冷凍機または配管に用いられている金属に対する腐食防止性および該エステル油の安定性が向上する傾向にある。
本発明におけるエーテル油としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコール、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル−ポリイソブチルビニルエーテル共重合体等のポリビニルエーテル、またはポリビニルエーテル−ポリアルキレングリコール共重合体等が挙げられる。
本発明におけるエステル油またはエーテル油の40℃の動粘度は、潤滑性の観点等から、2〜300mm/秒が好ましく、3〜200mm/秒がより好ましい。
本発明におけるエステル油またはエーテル油は、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、特許第4160081号公報、国際公開第2012/026214号パンフレット、特許第1959894号公報、特許第2761021号公報等に記載の方法等に準じて製造することができる。
本発明における式(I)で表される酒石酸エステルのRおよびRは、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基およびシクロブチル基が挙げられる。潤滑油組成物に潤滑性を付与する観点等より、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、後述のリン酸芳香族エステル系化合物を潤滑油組成物に含めない場合は、メチル基またはエチル基がより好ましい。後述のリン酸芳香族エステル系化合物を潤滑油組成物に含める場合は、エチル基、イソプロピル基、またはブチル基がより好ましい。
本発明における酒石酸エステルは、式(I)で表される1種の酒石酸エステルあっても、式(I)で表される2種以上の酒石酸エステルの混合物(例えば、酒石酸ジメチルと酒石酸ジエチルの混合物)であっても良い。また、酒石酸エステルは、立体構造の差異に基づき、L体、D体、メソ体、およびラセミ体が異性体として存在する。本発明における酒石酸エステルは、これらの異性体の1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明の潤滑油組成物は、RおよびRが炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする式(I)で表される酒石酸エステルを含んでいるため、潤滑性に優れている。
本発明の潤滑油組成物において、酒石酸エステルの含有量は潤滑油組成物全量に対して0.01〜10重量%であって、潤滑油組成物の潤滑性と安定性の観点から、0.05〜5重量%であるのが好ましく、0.1〜5重量%であるのがより好ましい。
本発明における酒石酸エステルは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、特許第4314600号公報、「The Journal of Organic Chemistry」,1958年,第23巻,p.1832に記載の方法等に準じて製造することができる。酒石酸エステルは、一般的に酒石酸およびアルコールを、必要に応じて触媒や縮合剤の存在下でエステル化することで合成される。
本発明の潤滑油組成物は、上記の酒石酸エステルに加え、さらにリン酸芳香族エステル系化合物を含有することで相乗的に優れた潤滑性を発揮する。
本発明におけるリン酸芳香族エステル系化合物は、例えば、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸芳香族エステル類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリクレジル等の亜リン酸芳香族エステル類、リン酸ジフェニル、リン酸ジクレジル等の酸性リン酸芳香族エステル類、該酸性リン酸芳香族エステル類のアミン塩、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジクレジル等の酸性亜リン酸芳香族エステル類、該酸性亜リン酸芳香族エステル類のアミン塩等が挙げられる。上記リン酸芳香族エステル系化合物の内、リン酸芳香族エステル類あるいは亜リン酸芳香族エステル類が好ましく、リン酸芳香族エステル類がより好ましい。リン酸芳香族エステル類の中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物においてリン酸芳香族エステル系化合物を含有する場合、該リン酸芳香族エステル系化合物の含有量は、潤滑油組成物の潤滑性、安定性、粘度特性等のバランスや環境負荷の観点から、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%がより好ましく、0.1〜1.5重量%が特により好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、酒石酸エステルおよびリン酸芳香族エステル系化合物の他に、任意成分として、例えば、清浄分散剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、焼付き防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、酸捕捉剤、油性剤、防錆剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、増粘剤、防腐剤、坑乳化剤、消泡剤等、通常潤滑油添加剤として用いられているものを単独または併用して配合することができる。
本発明の潤滑油組成物は、冷凍機油組成物として用いることができる。冷凍機油組成物は、冷凍サイクルにおける圧縮機を潤滑するために使用される。冷凍機油組成物の潤滑性が不足すると、消費電力の増加や焼きつき等による故障の原因となるため、圧縮機の長寿命化や省エネルギー化のために潤滑性の向上が求められている。本発明の潤滑油組成物は、冷凍機油組成物として用いた場合に摩擦低減性や摩耗低減性(耐摩耗性)などの潤滑性に優れている。
本発明の潤滑油組成物は、優れた潤滑性以外にも、十分な安定性、十分な冷媒相溶性、十分な電気絶縁性等を有している。
安定性は、例えば、熱安定性、酸化安定性、加水分解安定性、せん断安定性等が挙げられる。
冷媒相溶性は、一般に二層分離温度を用いて表され、JIS K2211:2009の方法に準じて測定される。冷凍機油組成物の低温側での相溶性は二層分離温度が低いものほど良好であると言える。
電気絶縁性は、体積抵抗率によって表され、JIS C2101の方法に準じて測定される。潤滑油等の油剤中で使用されるモーター等において、該油剤には高い電気絶縁性が要求される。
本発明の潤滑油組成物は、冷媒と組み合わせて冷凍機作動流体組成物として使用することができる。該冷媒としては、例えば、含フッ素冷媒、自然冷媒等が挙げられる。
含フッ素冷媒としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、トリフルオロメタン(HFC23)、ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)等のハイドロフルオロカーボン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye)等の不飽和フッ化炭化水素等が挙げられる。
自然冷媒としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン等の炭化水素、二酸化炭素、アンモニア等が挙げられる。
これらの冷媒は1種または2種以上の混合物として使用することができる。上記冷媒の内、HFC32、HFC125、HFC134a、HFO1234yf、HFO1234ze、プロパン、ブタン、イソブタンまたは二酸化炭素が好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、冷凍機油組成物としての使用以外に、エンジン油、ギア油、ハイブリッド車や電気自動車に利用されるモーター油、グリース、金属部品の洗浄剤、可塑剤等にも用いることができる。
以下、実施例、比較例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
基油A〜Cの動粘度は、キャノン−フェンスケ粘度計を用い、JIS K2283:2000の方法に準じて測定した。
本実施例で用いた添加剤eおよびiの構造は、核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)より確認した。
測定機器:GSX−400(400MHz)(日本電子社製)
溶媒:重クロロホルム(テトラメチルシランを標準物として含む)
(潤滑油組成物の調製)
表1〜3に示す組成で基油および添加剤を混合し、室温で30分間攪拌することで、以下の試験例1〜4で用いる潤滑油組成物を調製した。
また、ここで用いた基油および添加剤は以下に示すものである。
基油A:2−エチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのモル比が50/50であるペンタエリスリトールのエステル(40℃の動粘度:67.0mm/秒、酸価:0.002mgKOH/g)
基油B:イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのモル比が36/64であるペンタエリスリトールのエステル(40℃の動粘度:69.5mm/秒、酸価:0.003mgKOH/g)
基油C:ポリオール混合物(ペンタエリスリトール60モル%、ジペンタエリスリトール40モル%)と脂肪酸混合物(ペンタン酸25モル%、ヘプタン酸30モル%、3,5,5−トリメチルヘキサン酸45モル%)とのエステル(40℃の動粘度:68.5mm/秒、酸価:0.002mgKOH/g)
基油D:ポリオールエステル系潤滑油(JX日鉱日石エネルギー社製、Ze−GLES RB68)
基油E:ポリオールエステル系潤滑油(JX日鉱日石エネルギー社製、Ze−GLES RB32)
基油F:ポリオールエステル系潤滑油(ルーブリゾール社製、EMKARATE RL 68H)
基油G:ポリオールエステル系潤滑油(ルーブリゾール社製、EMKARATE RL 32H)
基油H:ポリアルキレングリコール系潤滑油(デンソー社製、ND−OIL8)
添加剤a:L−酒石酸ジメチル(和光純薬工業社製)
添加剤b:L−酒石酸ジエチル(東京化成工業社製)
添加剤c:L−酒石酸ジイソプロピル(東京化成工業社製)
添加剤d:L−酒石酸ジn−ブチル(東京化成工業社製)
添加剤e:L−酒石酸ジ2−エチルヘキシル
添加剤f:L−リンゴ酸ジエチル(東京化成工業社製)
添加剤g:クエン酸トリエチル(東京化成工業社製)
添加剤h:リン酸トリクレジル(東京化成工業社製)
添加剤i:リン酸トリラウリル
(基油A〜Cの製造)
基油A〜Cは、以下の手法で製造した。
[基油A:2−エチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのモル比が50/50であるペンタエリスリトールのエステルの製造]
吸着剤としては、協和化学工業社製キョーワード500を用いた。
活性炭としては、日本エンバイロケミカルズ社製白鷺Pを用いた。
ディーンスタークトラップの付いた反応器にペンタエリスリトール626.3g(4.60モル、広栄パーストープ社製)、2−エチルヘキサン酸1592g(11.0モル、東京化成社製)および3,5,5−トリメチルヘキサン酸1747g(11.0モル、KHネオケム社製)を仕込み、混合物を攪拌しながら室温で30分間窒素バブリングを行うことにより混合物を脱気した。
次いで、窒素バブリングを行いながら混合物を155〜230℃で32時間攪拌した。反応後、反応生成物を0.7kPaの減圧下、210℃で4時間攪拌することにより、反応生成物中の未反応のカルボン酸を留去した。反応生成物を、該反応生成物の酸価に対して2倍モルの水酸化ナトリウムを含むアルカリ水溶液800mLで、80℃で1時間洗浄した。次いで、反応生成物を、水800mLで70℃で1時間、3回洗浄した。次いで、窒素バブリングを行いながら反応生成物を0.7kPaの減圧下、100℃で1時間攪拌することにより反応生成物を乾燥した。
反応生成物に吸着剤15.4g(反応生成物の0.5重量%に相当する)および活性炭15.4g(反応生成物の0.5重量%に相当する)を添加し、窒素バブリングを行いながら反応生成物を1.3kPaの減圧下、110℃で2時間攪拌した後、濾過助剤を用いて濾過することにより、基油Aを2613g得た。
[基油B:イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのモル比が36/64であるペンタエリスリトールのエステルの製造]
2−エチルヘキサン酸の代わりにイソ酪酸(KHネオケム社製)を用い、イソ酪酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸との仕込み比を36/64(イソ酪酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸モル比)にする以外は、基油Aと同様に操作して、基油Bを得た。
[基油C:ポリオール混合物(ペンタエリスリトール60モル%、ジペンタエリスリトール40モル%)と脂肪酸混合物(ペンタン酸25モル%、ヘプタン酸30モル%、3,5,5−トリメチルヘキサン酸45モル%)とのエステルの製造]
反応器にペンタエリスリトール87.5g(0.643モル、広栄パーストープ社製)、ジペンタエリスリトール(0.463モル、広栄パーストープ社製)、ペンタン酸153g(1.50モル、東京化成工業社製)、ヘプタン酸234g(1.78モル、キシダ化学社製)、および3,5,5−トリメチルヘキサン酸427g(2.70モル、KHネオケム社製)を仕込み、それ以外は基油Aの製造と同様に操作して、基油Cを得た。
(添加剤eおよびiの製造)
添加剤eおよびiは、以下の手法で製造した。
[添加剤e:酒石酸ジ2−エチルヘキシルの製造]
ディーンスタークトラップの付いた反応器にL−酒石酸20.2g(0.133モル、東京化成社製)、2−エチルヘキサノール52.4g(0.400モル、KHネオケム社製)を仕込み、混合物を攪拌しながら室温で30分間窒素バブリングを行うことにより混合物を脱気した。
次いで、窒素バブリングを行いながら混合物を150〜185℃で10時間攪拌した。反応後、反応生成物を1.1kPaの減圧下、180℃で2時間攪拌することにより、反応生成物中の未反応の2−エチルヘキサノールを留去した。反応生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、添加剤eを40.1g得た。
H−NMR(CDCl,δppm);0.90(m,12H),1.31−1.43(m,16H),1.65(m,2H),3.13(d,2H、J=7.6Hz),4.12−4.26(m,4H),4.51(d,2H、J=6.0Hz)
[添加剤i:リン酸トリラウリルの製造]
ラウリルアルコール18.5g(0.0993モル、東京化成工業社製)、ピリジン7.50g(0.0948モル、東京化成工業社製)、およびトルエン100mlを反応器に仕込み、オキシ塩化リン4.61g(0.0301モル、和光純薬工業社製)とトルエン10mlとを混合して得た溶液を、内温を10℃以下に保持しながら20分かけて滴下し、次いで、反応器内の溶液を60℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物に水30mlを加えて室温で10分間攪拌した後、分液し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで脱水して濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、リン酸トリラウリル8.95gを得た(収率49%)。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(9H,t、J=6.8Hz),1.26(54H,br),1.67(6H,m),4.02(6H,q、J=7.0Hz)
以下の試験例1〜4に示す手法により、潤滑油組成物の評価を行った。
(試験例1)潤滑性評価
表1〜3の実施例1〜29および比較例1〜41に示す組成で調製した潤滑油組成物のそれぞれについて、シェル式四球摩擦試験機(神鋼造機社製)を用いて摩耗痕径の測定を行なった。荷重200N、回転数1200rpm、時間60分、温度75℃(試験球:SUJ−2)の条件で試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。結果を表1〜3に示す。
(試験例2)熱安定性評価
表1の実施例5に示す組成で調製した潤滑油組成物の水分量を1000ppmに調製し、該組成物30gを200mlオートクレーブに入れ、触媒として銅、鉄、アルミニウムの金属線(直径1.6mm、長さ50mm)それぞれを浸漬させ、R32冷媒30gを封入し、175℃で1週間保持した。結果を以下に示す。
(試験例3)冷媒相溶性評価
JIS K2211:2009の方法に準じて、表1〜2の実施例1〜24に示す組成で調製した潤滑油組成物のそれぞれについて、二層分離温度を測定した。潤滑油組成物のそれぞれ0.4gとR410A冷媒3.6gを耐圧ガラス管に封入し、混合物を30℃から毎分0.5℃の速度で冷却し、混合物が二層分離または白濁する温度を二層分離温度とした。結果を以下に示す。
(試験例4)電気絶縁性評価
デジタル超高抵抗/微少電流計R8340A(ADVANTEST社製)および液体電極DAC−OBE−2(総研電気社製)を用い、JIS C2101−1999の方法に準じて、表1の実施例5および実施例17に示す組成で調製した潤滑油組成物のそれぞれについて、30℃における体積抵抗率を測定した。結果を以下に示す。
Figure 2014019712
Figure 2014019712
Figure 2014019712
表1の実施例1〜18は、ポリオールエステル(基油A、BまたはC)と、酒石酸エステルを構成する2つの各アルコール部位(以下、エステル基という)の炭素数が1〜4の酒石酸エステルとを含む潤滑油組成物の潤滑性を示したものであり、比較例1〜21に示した添加剤を含まない潤滑油組成物、および添加剤として酒石酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチル、リン酸トリクレジル、またはリン酸トリラウリルを含む潤滑油組成物と比較して潤滑性に優れることを示している。
表2の実施例19〜24は、ポリオールエステル(基油A、BまたはC)と、エステル基の炭素数が1〜4の酒石酸エステルとリン酸トリクレジルとを含む潤滑油組成物の潤滑性を示したものであり、比較例23〜31に示した酒石酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジエチルまたはクエン酸トリエチルとリン酸トリクレジルとを含む潤滑油組成物と比較して潤滑性に優れることを示している。また、エステル基の炭素数が1〜4の酒石酸エステルとリン酸トリクレジルとを含む潤滑油組成物は、表1の実施例2、6、10、14、17および18に示した酒石酸エステルを単独で含む潤滑油組成物、および表1の比較例8、15および21に示したリン酸トリクレジルを単独で含む潤滑油組成物と比較して潤滑性に優れることを示している。すなわち、酒石酸エステルとリン酸トリクレジルを併用することで、潤滑性の相乗効果が発現することが分かる。一方、比較例22に示すように、酒石酸ジエチルとリン酸トリラウリルとを含む潤滑油組成物は、実施例6に示す酒石酸ジエチルのみを含む潤滑油組成物、または実施例20に示す酒石酸ジエチルとリン酸トリクレジルとを含む潤滑油組成物と比較して潤滑性が劣り、相乗効果が発現しないことが分かる。
表3の実施例25〜28は、市販されているポリオールエステル系潤滑油(基油D、E、FまたはG)と酒石酸ジエチルとを含む潤滑油組成物の潤滑性を示したものであり、比較例32〜39に示した添加剤を含まない潤滑油組成物、または酒石酸ジ2−エチルヘキシルを含む潤滑油組成物と比較して潤滑性に優れることを示している。同様に、実施例29はポリアルキレングリコール系潤滑油(基油H)と酒石酸ジエチルとを含む潤滑油組成物の潤滑性を示したものであり、比較例40および41に示した添加剤を含まない潤滑油組成物、または酒石酸ジ2−エチルヘキシルを含む潤滑油組成物と比較して潤滑性に優れることを示している。
試験例2において、表1の実施例5に示す組成で調製した潤滑油組成物の試験前および試験後の酸価は、0.020mgKOH/gおよび0.024mgKOH/gであった。また、試験後の該潤滑油組成物と触媒の変色、およびスラッジなどの不溶成分の生成は見られなかった。このことは、本発明の潤滑油組成物が冷媒存在下で良好な熱安定性を有していることを示している。
試験例3において、表1〜2の実施例1〜24に示す組成で調製した潤滑油組成物の二層分離温度は、いずれも0℃以下であった。このことは、本発明の潤滑油組成物は冷凍機油組成物として良好な冷媒相溶性を有していることを示している。
試験例4において、表1の実施例5および17に示す組成で調製した潤滑油組成物の体積抵抗値は、いずれも1×1014Ω・cm以上であった。このことは、本発明の潤滑油組成物は良好な電気絶縁性を有していることを示している。
本発明により、潤滑性等に優れる潤滑油組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. エステル油またはエーテル油と、式(I)
    Figure 2014019712
    [式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を表す]で表される酒石酸エステルとを含有する潤滑油組成物であって、該酒石酸エステルの含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜10重量%である潤滑油組成物。
  2. 炭素数1〜4のアルキル基が、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基から選ばれるいずれか1種のアルキル基である請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. リン酸芳香族エステル系化合物を潤滑油組成物全量に対して0.01〜5重量%含有する請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
  4. リン酸芳香族エステル系化合物がリン酸トリクレジルである請求項3に記載の潤滑油組成物。
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