JP2014018861A - プロジェクションナットの溶接装置および溶接方法 - Google Patents

プロジェクションナットの溶接装置および溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プロジェクションナットの溶着用突起が適正に鋼鈑部品に加圧されるとともに、電極加圧による鋼鈑部品の変位を最小化する。
【解決手段】少なくとも表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bが配置され、表側溶接用電極対100Aの下部進退駆動手段8Aの進出力が上部進退駆動手段9Aの進出力よりも強く設定され、下部電極5Aのストロークが鋼板部品10の裏面に密着する長さとされ、上部電極6Aのストロークが鋼板部品10とナット1を加圧し続けることができる長さとされ、裏側溶接用電極対100Bにおいても、上部進退駆動手段9Bと下部進退駆動手段8Bの進出力と進出長さが表側溶接用電極対100Aと逆になるように設定されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、プロジェクションナットの溶接装置および溶接方法に関している。
特開2010−000538号公報には、進退可能とされた上部電極と進退可能とされた下部電極を同軸の状態で配置し、前記両電極間において鋼板部品を保持して表裏不変のまま次の溶接箇所へ移動させるようにロボット装置が配置され、下部電極のガイドピンにプロジェクションナットを裏向きの状態で供給する下側部品供給装置が設けられ、上昇位置に待機し鋼板部品を貫通している下部電極のガイドピンにプロジェクションナットを表向きの状態で供給する上側部品供給装置が設けられ、裏向き状態のプロジェクションナットを鋼板部品の裏側に電気抵抗溶接で溶接し、表向き状態のプロジェクションナットを鋼板部品の表側に電気抵抗溶接で溶接することが記載されている。
特開2010−000538号公報
上記特許文献に記載されている技術は、上部電極と下部電極が一対とされ、この一対の電極の動作で鋼板部品の表側と裏側にプロジェクションナットを電気抵抗溶接で溶接するものである。なお、以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
通常、鋼板部品の裏側または表側にナットを溶接するときには、ナットの溶着用突起を鋼板部品に加圧するので、この加圧力に対向した側の電極に所定の対向力を付与し、これによって鋼板部品が電極の進退方向に動かないようにする必要がある。すなわち、上述のような一対の電極の動作で鋼板部品の裏側にナットを溶接する場合、一方の電極が進出して溶着用突起が鋼板部品の裏側に押し付けられたときに、この押し付け力によって鋼板部品が変位しないような対向力を他方の電極に付与しておかなければならない。そして、鋼板部品の表側にナットを溶接する場合、一方の電極が進出して溶着用突起が鋼板部品の表側に押し付けられたときに、この押し付け力によって鋼板部品が変位しないような対向力を他方の電極に付与しておかなければならない。したがって、鋼板部品が変位しないような対向力の向きを鋼板部品の表側溶接と裏側溶接毎に切り替える必要が生じ、このような切り替えを一対の電極において行うことは制御的に困難である。例えば、上部電極を進退させるエアシリンダの進出力を、鋼板部品の裏側と表側へのナット溶接が変換される都度切り替えることは、制御系を複雑にすることとなる。また、このような進出力切り替え式であると、エアシリンダや進退出力式電動モータなどの進退駆動手段自体の構造も複雑になる。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、鋼板部品の表裏にプロジェクションナット溶接を行うにあたり、プロジェクションナットの溶着用突起が適正に鋼板部品に加圧されるとともに、電極加圧による鋼板部品の変位を最小化できるプロジェクションナットの溶接装置および溶接方法の提供を目的とする。
問題を解決するための手段
請求項1記載の発明は、プロジェクションナットの溶接装置であり、ロボット装置に保持された鋼板部品を上部電極と下部電極の間で反転させることなく鋼板部品の表面と裏面にプロジェクションナットを電気抵抗溶接によって溶接するものであり、
上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して表側溶接用電極対を構成し、
上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して裏側溶接用電極対を構成し、
表側溶接用電極対において鋼板部品を貫通して鋼板部品の表側に突出している下部電極のガイドピンに表向き状態のプロジェクションナットを供給する上側部品供給装置が設けられ、
裏側溶接用電極対において鋼板部品から離隔した位置に後退している下部電極のガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットを供給する下側部品供給装置が設けられ、
表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極の上端面が鋼板部品の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極の下端面が鋼板部品の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
少なくとも1つの表側溶接用電極対と1つの裏側溶接用電極対が配置されていることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、プロジェクションナットの溶接方法であり、ロボット装置に保持された鋼板部品を上部電極と下部電極の間で反転させることなく鋼板部品の表面と裏面にプロジェクションナットを電気抵抗溶接によって溶接するものであり、
上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して表側溶接用電極対を構成し、
上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して裏側溶接用電極対を構成し、
表側溶接用電極対において鋼板部品を貫通して鋼板部品の表側に突出している下部電極のガイドピンに表向き状態のプロジェクションナットを供給する上側部品供給装置が設けられ、
裏側溶接用電極対において鋼板部品から離隔した位置に後退している下部電極のガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットを供給する下側部品供給装置が設けられ、
表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極の上端面が鋼板部品の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極の下端面が鋼板部品の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
少なくとも1つの表側溶接用電極対と1つの裏側溶接用電極対が配置されている
プロジェクションナットの溶接装置を準備し、
表側溶接用電極対を用いて鋼板部品の表面にプロジェクションナットを溶接するときには、
下部進退駆動手段によって下部電極の上端面を鋼板部品の裏面に密着させてガイドピンを鋼板部品の表側に突出させた後に、表向き状態のプロジェクションナットを上側部品供給装置によってガイドピンに供給し、その後、上部電極の下降によって上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了し、
裏側溶接用電極対を用いて鋼板部品の裏面にプロジェクションナットを溶接するときには、
上部進退駆動手段によって上部電極の下端面を鋼板部品の表面に密着させた後に、下側部品供給装置によってガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットが供給された下部電極を上昇させることによって下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了することを特徴としている。
発明の効果
上述のように、表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極の上端面が鋼板部品の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされている。
したがって、下部電極が鋼板部品の裏面に密着した箇所でその上昇が停止するとともに、下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあるので、上部電極が下降してきたときに下部電極が押し下げられたりすることがなく、鋼板部品の位置が変位するようなことがない。これにより、鋼板部品は下部電極と上部電極との間の一定位置から変位することなく支持され、鋼板部品を次の溶接箇所へ移動させるときには、移動軌跡を単純化することができる。つまり、湾曲や屈曲のない平坦な鋼板部品の部分であれば、鋼板部品を電極軸線方向に変位させることが不要となる。また、表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強いことが固定的に設定されているので、進出力の切り替え制御が不要となり、制御的に簡素化される。
さらに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされているので、両電極間におけるプロジェクションナットと鋼板部品の加圧力が継続して作用する。このため、鋼板部品とプロジェクションナットの相対位置が狂ったりすることがなく、ナットの溶接位置が正確に保たれる。さらに、鋼板部品に対するナットの溶着用突起の加圧力は、上部進退駆動手段の進出長さに余裕長さが付与してあるので、上部進退駆動手段の加圧力によって画一的にしかも適正に定まり、溶接品質の向上にとって効果的である。
一方、上述のように、裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極の下端面が鋼板部品の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、下部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされている。
したがって、上部電極が鋼板部品の表面に密着した箇所でその下降が停止するとともに、上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあるので、下部電極が上昇してきたときに上部電極が押し上げられたりすることがなく、鋼板部品の位置が変位するようなことがない。これにより、鋼板部品は下部電極と上部電極との間の一定位置から変位することなく支持され、鋼板部品を次の溶接箇所へ移動させるときには、移動軌跡を単純化することができる。つまり、湾曲や屈曲のない平坦な鋼板部品の部分であれば、鋼板部品を電極軸線方向に変位させることが不要となる。また、裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強いことが固定的に設定されているので、進出力の切り替え制御が不要となり、制御的に簡素化される。
さらに、下部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされているので、両電極間におけるプロジェクションナットと鋼板部品の加圧力が継続して作用する。このため、鋼板部品とプロジェクションナットの相対位置が狂ったりすることがなく、ナットの溶接位置が正確に保たれる。さらに、鋼板部品に対するナットの溶着用突起の加圧力は、下部進退駆動手段の進出長さに余裕長さが付与してあるので、下部進退駆動手段の加圧力によって画一的にしかも適正に定まり、溶接品質の向上にとって効果的である。
また、少なくとも1つの表側溶接用電極対と1つの裏側溶接用電極対が溶接装置に配置されているので、鋼板部品の表側と裏側にプロジェクションナットを溶接することが、前述のような加圧力の切り替えをおこなうことなく、1組の表側溶接用電極対と裏側溶接用電極対の動作で遂行される。さらに、プロジェクションナットの溶接位置に応じて表側溶接用電極対と裏側溶接用電極対の相対位置を選定することにより、鋼板部品を移動させるロボット装置の動作を簡素化することができ、溶接処理時間の短縮にとって効果的である。上記両電極対による組を複数組設置することによって、溶接装置の溶接箇所の増大が簡単に行える。例えば、自動車のフロアパネルのような大型鋼板部品のような場合には、このような組の増設が生産性向上にとって効果的なものとなる。
溶接方法の発明は、プロジェクションナットの溶接装置を準備し、表側溶接用電極対を用いて鋼板部品の表面にプロジェクションナットを溶接するときには、下部進退駆動手段によって下部電極の上端面を鋼板部品の裏面に密着させてガイドピンを鋼板部品の表側に突出させた後に、表向き状態のプロジェクションナットを上側部品供給装置によってガイドピンに供給し、その後、上部電極の下降によって上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了する。
また、裏側溶接用電極対を用いて鋼板部品の裏面にプロジェクションナットを溶接するときには、上部進退駆動手段によって上部電極の下端面を鋼板部品の表面に密着させた後に、下側部品供給装置によってガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットが供給された下部電極を上昇させることによって下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了するものである。
上記溶接方法の発明の作用効果は、上記溶接装置の発明の作用効果と同様である。
溶接装置全体を示す側面図である。 部品供給装置の一部を示す断面図である。 電極対の側面図である。 電極部分の断面図である。 プロジェクションナットの斜視図である。 他の実施例を示す側面図である。
発明を実施するため形態
つぎに、本発明のプロジェクションナットの溶接装置および溶接方法を実施するための形態を説明する。
図1〜図5は、本発明の実施例1を示す。
本実施例で溶接の対象となるプロジェクションナットは、図5に示す形状とされ、符号1で示されている。本体部2は上から見ると正方形の形をしており、その中央部にねじ孔3があけられ、片側の四隅に溶着用突起4が設けられている。以下の説明においては、図2(A)や図5に示すように、溶着用突起4が下側になっている状態が「表向き」であり、図2(B)や図4(B)に示すように、溶着用突起4が上側になっている状態が「裏向き」である。ナット1は、本体部2の一辺の長さは12mm、ねじ孔3の軸方向の厚さは5mm、ねじ孔3の内径は5mmである。
溶接装置の基本的な構造について説明する。
表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bが1つの組を構成し、少なくともこの組が1組溶接装置に装備されている。表側溶接用電極対100Aに表向きのナット1を供給する上側部品供給装置37が配置され、裏側溶接用電極対100Bに裏向きのナット1を供給する下側部品供給装置19が配置されている。
鋼板部品10は自動車のフロアパネルであり、後述の上下電極間に挿入される。ロボット装置11のチャック機構部12によってフロアパネル10を掴むようになっている。このロボット装置11は通常の6軸タイプのものであり、図1では最先箇所のアーム部材13だけが図示されている。鋼板部品10の下面側が裏側つまり裏面であり、上面側が表側つまり表面とされている。
表側溶接用電極対について説明する。
表側溶接用電極対全体は符号100Aで示され、下部電極5Aと上部電極6Aが電極軸線O−O上に配置され、この軸線O−Oは、ほぼ鉛直方向の姿勢とされている。機枠等の静止部材7に、下部進退駆動手段8Aがほぼ鉛直方向の姿勢で固定されている。この下部進退駆動手段8Aは、進退出力をする駆動手段であり、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどで構成されている。ここでは、エアシリンダ8Aである。エアシリンダ8Aのピストンロッドに下部電極5Aが結合してある。
この下部電極5Aは断面が円形であり、図1(B)に示すように、その上端面5は電極軸線O−Oに対して垂直な向きとされた平面とされている。そして、この上端面5の中央部にガイドピン15が設けてある。
同様に静止部材7に、ほぼ鉛直方向の姿勢で上部進退駆動手段9Aがほぼ鉛直方向の姿勢で固定されている。この上部進退駆動手段9Aは、進退出力をする駆動手段であり、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどで構成されている。ここでは、エアシリンダ9Aである。エアシリンダ9Aのピストンロッドに上部電極6Aが結合してある。
この上部電極6Aは断面が円形であり、その下端面6は電極軸線O−Oに対して垂直な向きとされた平面とされている。
エアシリンダ8Aの進出力がエアシリンダ9Aの進出力よりも強く設定してある。このような進出力の強弱をつけるために、エアシリンダ8Aのピストン受圧面積をエアシリンダ9Aのピストン受圧面積よりも広く設定してある。このような面積差に換えて、動作空気圧に強弱をつけてもよい。また、エアシリンダに換えて進退出力式電動モータを採用するときには、同電動モータの出力を電気的に設定することによって、進出力に強弱をつけることができる。
エアシリンダ8Aの進出長さ、すなわち下部電極5Aの進出長さは、下部電極5Aの上端面5が鋼板部品10の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされている。ガイドピン15が鋼板部品10の下孔27を貫通して鋼板部品10の表面から突出した後に、上端面5が鋼板部品10の裏面に密着する。エアシリンダ8Aの進出長さは、そのピストンがストッパ部材に突き当たって、最大ストロークの状態で停止するようになっている。符号14Aは、エアシリンダ8Aの内部に突き出たストッパ部材である。
一方、エアシリンダ9Aの進出長さは、図1(A)の2点鎖線図示および図3(A)に示すように、上部電極6Aと下部電極5Aの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態において、さらに進出できる余裕長さが付加された長さとされている。この余裕長さは符号SAで示してある。
エアシリンダ8Aおよびエアシリンダ9Aの進出長さは、鋼板部品10が最も後退している両電極5Aと6Aの間隔寸法のどの位置に挿入されるかを考慮して設定される。鋼板部品10が両電極5Aと6Aの間隔寸法の中央部に挿入される場合には、この挿入位置における鋼板部品10に下部電極5Aの上端面5が密着した箇所でエアシリンダ8Aがフルストロークとなるように設定される。また、エアシリンダ9Aの進出長さは、上部電極6Aの下端面6がナット1に突き当たっても、さらに進出可能な余裕ストロークSAを見込んで設定されている。
図示の鋼板部品10は、大きな平坦部10Aと小さな平坦部10Bが傾斜部10Cを介して一体化されたものである。平坦部10Aにナットを溶接するときには、鋼板部品10を水平方向に移動させる。もし、傾斜部10Cにナットを溶接するときには、ロボット装置11を動作させて、傾斜部10Cが電極軸線O−Oに対して垂直となるように、鋼板部品10全体の姿勢を変換させる。
下降位置の下部電極5Aと上昇位置の上部電極6Aの間隔は490mm、下部電極5Aの下降位置と上昇位置の距離(下部電極のストローク)は220mm、上部電極6Aの上昇位置と進出位置(上部電極のストローク)は270mmである。この270mmの内、30mmが余裕長さSAとされている。
上述のようにエアシリンダ8Aで進退する下部電極5Aとエアシリンダ9Aで進退する上部電極6Aによって、表側溶接用電極対100Aが形成されている。
つぎに、上側部品供給装置について説明する。
鋼板部品10の表面から突き出ているガイドピン15に対して、表向きのナット1を供給するために、上側部品供給装置37が設けてある。この上側部品供給装置37としては、斜め上方からナット供給を行うもの、横方向からナット供給を行うもの等いろいろな形式のものが採用できる。ここでは、前者の斜め上方から供給するタイプである。
この上側部品供給装置37は、その供給ロッド38が斜め上から進退するものであり、支持部材44を介して静止部材7にガイド筒39が固定されている。このガイド筒39に供給ロッド38が進退可能な状態で収容され、ガイド筒39の端部に結合したエアシリンダ40によって供給ロッド38が進退するようになっている。パーツフィーダ50から供給ホース42を経て送られてきたナット1はヘッド部43において所定の向きに一時係止され、そこに供給ロッド38が進出してきてナット1を待機しているガイドピン15に供給する。供給ロッド38はその細長いガイドロッド41がねじ孔3を貫通してガイドピン15にナット1を導くようになっている。
つぎに、裏側溶接用電極対について説明する。
裏側溶接用電極対全体は符号100Bで示され、下部電極5Bと上部電極6Bが電極軸線O−O上に配置され、この軸線O−Oは、ほぼ鉛直方向の姿勢とされている。機枠等の静止部材7に、下部進退駆動手段8Bがほぼ鉛直方向の姿勢で固定されている。この下部進退駆動手段8Bは、進退出力をする駆動手段であり、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどで構成されている。ここでは、エアシリンダ8Bである。エアシリンダ8Bのピストンロッドに下部電極5Bが結合してある。
この下部電極5Bは断面が円形であり、図1(B)に示すように、その上端面5は電極軸線O−Oに対して垂直な向きとされた平面とされている。そして、この上端面5の中央部にガイドピン15が設けてある。
同様に静止部材7に、ほぼ鉛直方向の姿勢で上部進退駆動手段9Bがほぼ鉛直方向の姿勢で固定されている。この上部進退駆動手段9Bは、進退出力をする駆動手段であり、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどで構成されている。ここでは、エアシリンダ9Bである。エアシリンダ9Bのピストンロッドに上部電極6Bが結合してある。
この上部電極6Bは断面が円形であり、その下端面6は電極軸線O−Oに対して垂直な向きとされた平面とされている。
エアシリンダ9Bの進出力がエアシリンダ8Bの進出力よりも強く設定してある。このような進出力の強弱をつけるために、エアシリンダ9Bのピストン受圧面積をエアシリンダ8Bのピストン受圧面積よりも広く設定してある。このような面積差に換えて、動作空気圧に強弱をつけてもよい。また、エアシリンダに換えて進退出力式電動モータを採用するときには、同電動モータの出力を電気的に設定することによって、進出力に強弱をつけることができる。
エアシリンダ9Bの進出長さ、すなわち上部電極6Bの進出長さは、上部電極6Bの下端面6が鋼板部品10の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされている。エアシリンダ9Bの進出長さは、そのピストンがストッパ部材に突き当たって、最大ストロークの状態で停止するようになっている。符号14Bは、エアシリンダ9Bの内部に突き出たストッパ部材である。
一方、エアシリンダ8Bの進出長さは、図1(A)の2点鎖線図示および図2(B)に示すように、上部電極6Bと下部電極5Bの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態において、さらに進出できる余裕長さが付加された長さとされている。この余裕長さは符号SBで示してある。
上述のようにエアシリンダ8Bで進退する下部電極5Bとエアシリンダ9Bで進退する上部電極6Bによって、裏側溶接用電極対100Bが形成されている。
つぎに、下側部品供給装置について説明する。
鋼板部品10から離隔した位置に後退している下部電極5Bのガイドピン15に裏向きのナット1を供給するために、下側部品供給装置19が設けてある。この下側部品供給装置19としては、斜め上方からナット供給を行うもの、横方向からナット供給を行うもの等いろいろな形式のものが採用できる。ここでは、後者の横方向から供給するタイプである。
この下側部品供給装置19は、その供給ロッド20がほぼ水平方向に進退するものであり、基板21に固定されたガイド筒22内を供給ロッド20が貫通しており、ガイド筒22の端部に結合されたエアシリンダ23によって供給ロッド20が進退するようになっている。この基板21にほぼ鉛直方向に進退するエアシリンダ24のピストンロッド25が結合してある。そして、このエアシリンダ24は静止部材7に固定されている。
図2(B)に示すように、パーツフィーダ51から延びてきている供給管28からナット1が供給ロッド20の先端部に移行して保持される。この保持は、供給ロッド先端部に設けた保持凹部29においてなされるものであり、保持凹部29内にナット1を保持するために、永久磁石30が保持凹部29の近傍に埋設してある。図2(B)においては紙面に垂直な方向に供給ロッド20が進退する。
ナット1を裏向きの状態で保持した供給ロッド20が進出してねじ孔3が電極軸線O−Oと同軸になった位置で停止する。それからエアシリンダ24の動作でナット1が下降すると、相対的にガイドピン15がねじ孔3内に進入する。その状態で供給ロッド20が後退すると、ナット1がガイドピン15に残留したままとなる。その後、供給ロッド20はエアシリンダ24の動作で上昇して元の位置に復帰する。このようにして供給ロッド20はスクエアーモーションを行っている。
図1において、符号45は制御装置、符号46は制御装置45からの信号で動作する空気切換弁である。空気切換弁46から延びている空気ホースが各エアシリンダに結合されている。空気ホースの1つに符号49が付されている。
つぎに、鋼板部品の表側に表向きナットを溶接する動作を説明する。
所定位置に待機している鋼板部品10に向かって表側溶接用電極対100Aの下部電極5Aが上昇し、ガイドピン15が下孔27を貫通してから下部電極5Aの上端面5が鋼板部品10の裏面に密着する。この密着した位置でピストンがストッパ部材14Aに突き当たって下部電極5Aの進出が停止する。
ついで、上側部品供給装置37が動作して、表向きナット1がガイドピン15に供給されると、供給ロッド38が後退する。それに引き続いて、上部電極6Aが下降し、ナット1と鋼板部品10が上部電極6Aと下部電極5Aの間で挟み付けられて加圧される。この加圧状態は、前記余裕長さSAがエアシリンダ9Aに付与してあるので、継続される。鋼板部品10に対する溶着用突起4の加圧力は、エアシリンダ9Aの進出力によって設定される。その後、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
上記溶接動作が完了すると、両電極5A、6Aが元の位置に後退し、引き続いてロボット装置11の動作で鋼板部品10が電極軸線O−Oに対して垂直方向に、すなわち水平方向に移動する。この移動で下孔27が裏側溶接用電極対100Bの電極軸線O−Oに合致する。
つぎに、鋼板部品の裏側に裏向きナットを溶接する動作を説明する。
上記のように、下孔27が裏側溶接用電極対100Bの電極軸線O−Oに合致すると、所定位置に待機している鋼板部品10に向かって裏側溶接用電極対100Bの上部電極6Bが下降し、上部電極6Bが下孔27と同軸になった状態で上部電極6Bの下端面6が鋼板部品10の表面に密着する。この密着した位置でピストンがストッパ部材14Bに突き当たって上部電極6Bの進出が停止する。
上記上部電極6Bの下降と同時または下降の後に、下側部品供給装置19が動作して、裏向きナット1が下部電極5Bのガイドピン15に供給されると、供給ロッド20が後退する。それに引き続いて、下部電極5Bが上昇し、ナット1と鋼板部品10が上部電極6Bと下部電極5Bの間で挟み付けられて加圧される。この加圧状態は、前記余裕長さSBがエアシリンダ8Bに付与してあるので、継続される。鋼板部品10に対する溶着用突起4の加圧力は、エアシリンダ8Bの進出力によって設定される。その後、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
上記溶接動作が完了すると、両電極5B、6Bが元の位置に後退し、引き続いてロボット装置11の動作で鋼板部品10が電極軸線O−Oに対して垂直方向に、すなわち水平方向に移動し、つぎの箇所にナット溶接が行われる。
上述の動作において、下部電極5Aの上端面5が鋼板部品10の裏面に密着するのであるが、鋼板部品10が大型の自動車用フロアパネルのような場合には、自重で下方へわずかに撓むことがあるので、下部電極5Aがフルストロークをしたときには、鋼板部品10がわずかに持ち上げられることがある。あるいは、下部電極5Aがフルストロークをした場合、鋼板部品10の製作誤差などで上端面5と鋼板部品10の裏面との間に、例えば、0.5〜1mm程度のわずかな隙間ができることがあるが、この程度の隙間は上部電極6Aの進出によって鋼板部品10が撓んで消去されるので、溶接品質に問題はない。このような密着や隙間のことは、他方の下部電極5Bや上部電極6Bにおいても同様に発生する。
上記のような現象があるので、本願発明における電極端面の鋼板部品に対する密着は上記のような現象を含んだものとして解釈される。
上述の作動の説明から明らかなように、表側溶接用電極対100A側の下部電極5Aの進出長さと、裏側溶接用電極対100B側の上部電極6Bの進出長さは、いずれも各電極の端面5、6が鋼板部品10に密着した箇所までであるから、下部電極5Aや上部電極6Bの進出によって鋼板部品10が変位することはない。
つぎに、ナットと鋼板部品の下孔の同軸性向上について説明する。
フロアパネルのような大型鋼板部品の下孔に、ナットのねじ孔を正確に合致させて溶着することが重要である。このような要請を満足するための手段が図4に示されている。
図4(C)に示すように、鋼板部品10には溶接されたナット1のねじ孔3と同軸になる円形の下孔27があけられている。図4(A)や(B)では、この下孔27が見にくいので、(C)図のように拡大して図示してある。
図4(A)は、鋼板部品10の表面に表向きナット1を溶接する場合を示している。下部電極5Aは実線図示の位置が鋼板部品10の裏面に密着した位置である。図4(A)に示すように、下部電極5Aには進退可能なガイドピン15が組み込んである。下部電極5Aの内部にシリンダ室16が形成され、そこに摺動可能な状態で挿入されたピストン17にガイドピン15が結合され、電極軸線O−O上に突出している。そして、ガイドピン15を突出方向に付勢する圧縮コイルスプリング18がピストン17の下面とシリンダ室16の内端面との間に挿入してある。ガイドピン15は、その先端付近が細くなるように成型されている。
一方、上部電極6A側にも同様なガイドピン31が設けてある。図4(A)に示すように、上部電極6Aには進退可能なガイドピン31が組み込んである。上部電極6Aの内部にシリンダ室32が形成され、そこに摺動可能な状態で挿入されたピストン33にガイドピン31が結合され、電極軸線O−O上に突出している。そして、ガイドピン31を突出方向に付勢する圧縮コイルスプリング34がピストン33の上面とシリンダ室32の内端面との間に挿入してある。そして、ガイドピン31の先端部に受入孔35が形成してあり、ここにガイドピン15の先端部が進入するようになっている。
所定位置に待機している鋼板部品10に向かって下部電極5Aが上昇し、ガイドピン15が下孔27を貫通する。このときには下部電極5Aの上端面5が鋼板部品10の裏面に密着しており、この状態で前述のようにして表向きのナット1がガイドピン15に供給される。ここへ上部電極6Aが下降してくると、ガイドピン15の先端部が相対的に受入孔35内に進入する(図4(A)参照)。それからさらに上部電極6Aが下降すると、ガイドピン31が圧縮コイルスプリング34の張力に抗してシリンダ室32内に押し込まれ、ナット1の上面が上部電極6Aの下端面6に密着する。それからさらに上部電極6Aが下降すると、今度は圧縮コイルスプリング18の張力に抗してガイドピン15がシリンダ室16内に押し込まれる。これによって、ナット1と鋼板部品10が両電極5Aと6A間で挟み付けられて加圧状態になる。次いで、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
図4(B)は、裏向きナット1を鋼板部品10の裏面に溶接する場合を示している。下部電極5Bと上部電極6Bの構造は、図4(A)に示したものと同じである。
鋼板部品10の裏側に裏向きナット1を溶接する場合には、前記所定位置に待機している鋼板部品10に対して上部電極6Bが進出し、そのガイドピン31が下孔27を貫通し、上部電極6Bの下端面6が鋼板部品10の表面に密着した箇所で停止する。その後、ガイドピン15にナット1が合致した状態で下部電極5Bが上昇して、ガイドピン15の先端部が上部電極6Bのガイドピン31の受入孔35に進入する(図4(B)参照)。そして、さらに下部電極5Bが上昇すると、ガイドピン15が圧縮コイルスプリング34の張力に抗してガイドピン31を押し上げてナット1の溶着用突起4が鋼板部品10の下面に突き当たる。この状態でさらに下部電極5Bが上昇すると、今度はガイドピン15が圧縮コイルスプリング18の張力に抗してシリンダ室16内に押し込まれ、鋼板部品10とナット1が両電極5Bと6Bの間で挟み付けられて加圧状態になる。次いで、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
上述の鋼板部品10の表側にナット溶接をする動作と、鋼板部品10の裏側にナット溶接をする動作から理解されるように、ガイドピン31の受入孔35内にガイドピン15の先端部が進入することによって、ナット1が電極軸線O−O上に正確に位置づけられ、下孔27とねじ孔3とのセンタリングが確保されるという効果がある。また、圧縮コイルスプリング18の張力の方が、圧縮コイルスプリング34の張力よりも強く設定されているので、上述のような動作がえられる。
上述の動作説明では、表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bの作動が前後してなされているが、両電極対100Aと100Bを同時に作動させて、鋼板部品10の両面に一時にナット溶接を行うことも可能である。
上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
上述のように、表側溶接用電極対100Aにおける下部進退駆動手段であるエアシリンダ8Aの進出力が、上部進退駆動手段であるエアシリンダ9Aの進出力よりも強く設定してあり、表側溶接用電極対100Aにおけるエアシリンダ8Aの進出長さは、下部電極5Aの上端面5が鋼板部品10の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、エアシリンダ9Aの進出長さは、上部電極6Aと下部電極5Aの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さSAが付加された長さとされている。
したがって、下部電極5Aが鋼板部品10の裏面に密着した箇所でその上昇が停止するとともに、エアシリンダ8Aの進出力がエアシリンダ9Aの進出力よりも強く設定してあるので、上部電極6Aが下降してきたときに下部電極5Aが押し下げられたりすることがなく、鋼板部品10の位置が変位するようなことがない。これにより、鋼板部品10は下部電極5Aと上部電極6Aとの間の一定位置から変位することなく支持され、鋼板部品10を次の溶接箇所へ移動させるときには、移動軌跡を単純化することができる。つまり、湾曲や屈曲のない平坦な鋼板部品10の部分であれば、鋼板部品10を電極軸線O−O方向に変位させることが不要となる。また、表側溶接用電極対100Aにおけるエアシリンダ8Aの進出力がエアシリンダ9Aの進出力よりも強いことが固定的に設定されているので、進出力の切り替え制御が不要となり、制御的に簡素化される。
さらに、エアシリンダ9Aの進出長さは、上部電極6Aと下部電極5Aの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さSAが付加された長さとされているので、両電極間におけるナット1と鋼板部品10の加圧力が継続して作用する。このため、鋼板部品10とナット1の相対位置が狂ったりすることがなく、ナット1の溶接位置が正確に保たれる。さらに、鋼板部品10に対するナット1の溶着用突起4の加圧力は、エアシリンダ9Aの進出長さに余裕長さSAが付与してあるので、エアシリンダ9Aの加圧力によって画一的にしかも適正に定まり、溶接品質の向上にとって効果的である。
一方、上述のように、裏側溶接用電極対100Bにおける上部進退駆動手段であるエアシリンダ9Bの進出力が、下部進退駆動手段であるエアシリンダ8Bの進出力よりも強く設定してあり、裏側溶接用電極対100Bにおけるエアシリンダ9Bの進出長さは、上部電極6Bの下端面6が鋼板部品10の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、エアシリンダ8Bの進出長さは、上部電極6Bと下部電極5Bの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さSBが付加された長さとされている。
したがって、上部電極6Bが鋼板部品10の表面に密着した箇所でその下降が停止するとともに、エアシリンダ9Bの進出力がエアシリンダ8Bの進出力よりも強く設定してあるので、下部電極5Bが上昇してきたときに上部電極6Bが押し上げられたりすることがなく、鋼板部品10の位置が変位するようなことがない。これにより、鋼板部品10は下部電極5Bと上部電極6Bとの間の一定位置から変位することなく支持され、鋼板部品10を次の溶接箇所へ移動させるときには、移動軌跡を単純化することができる。つまり、湾曲や屈曲のない平坦な鋼板部品10の部分であれば、鋼板部品10を電極軸線O−O方向に変位させることが不要となる。また、裏側溶接用電極対100Bにおけるエアシリンダ9Bの進出力がエアシリンダ8Bの進出力よりも強いことが固定的に設定されているので、進出力の切り替え制御が不要となり、制御的に簡素化される。
さらに、エアシリンダ8Bの進出長さは、上部電極6Bと下部電極5Bの間でナット1と鋼板部品10が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さSBが付加された長さとされているので、両電極間におけるナット1と鋼板部品10の加圧力が継続して作用する。このため、鋼板部品10とナット1の相対位置が狂ったりすることがなく、ナット1の溶接位置が正確に保たれる。さらに、鋼板部品10に対するナット1の溶着用突起4の加圧力は、エアシリンダ8Bの進出長さに余裕長さSBが付与してあるので、エアシリンダ8Bの加圧力によって画一的にしかも適正に定まり、溶接品質の向上にとって効果的である。
また、少なくとも1つの表側溶接用電極対100Aと1つの裏側溶接用電極対100Bが溶接装置に配置されているので、鋼板部品10の表側と裏側にナット1を溶接することが、前述のような加圧力の切り替えをおこなうことなく、1組の表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bの動作で遂行される。さらに、ナット1の溶接位置に応じて表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bの相対位置を選定することにより、鋼板部品10を移動させるロボット装置11の動作を簡素化することができ、溶接処理時間の短縮にとって効果的である。上記両電極対100A、100Bによる組を複数組設置することによって、溶接装置の溶接箇所の増大が簡単に行える。例えば、自動車のフロアパネルのような大型鋼板部品のような場合には、このような組の増設が生産性向上にとって効果的なものとなる。
溶接方法の発明は、上述のプロジェクションナットの溶接装置を準備し、表側溶接用電極対100Aを用いて鋼板部品10の表面にナット1を溶接するときには、エアシリンダ8Aによって下部電極5Aの上端面5を鋼板部品10の裏面に密着させてガイドピン15を鋼板部品10の表側に突出させた後に、表向き状態のナット1を上側部品供給装置37によってガイドピン15に供給し、その後、上部電極6Aの下降によって上部電極6Aと下部電極5Aの間でナット1と鋼板部品10を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了する。
また、裏側溶接用電極対100Bを用いて鋼板部品10の裏面にナット1を溶接するときには、エアシリンダ9Bによって上部電極6Bの下端面6を鋼板部品10の表面に密着させた後に、下側部品供給装置19によってガイドピン15に裏向き状態のナット1が供給された下部電極5Bを上昇させることによって下部電極5Bと上部電極6Bの間でナット1と鋼板部品10を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了するものである。
上記溶接方法の発明の作用効果は、上記溶接装置の発明の作用効果と同様である。
図6は、本発明の実施例2を示す。
この実施例は、表側溶接用電極対100Aと裏側溶接用電極対100Bからなる組を2組配置したものであり、これらの組に対して上側部品供給装置37と下側部品供給装置19がそれぞれ1つずつ組み合わされたものである。
そのために、2つの表側溶接用電極対100Aを内側に配置し、これに対する上側部品供給装置37が揺動機構47に取付けられている。上側部品供給装置37が左右に揺動して、両表側溶接用電極対100Aに表向きナット1の供給がなされる。
また、2つの裏側溶接用電極対100Bを外側に配置し、これに対する下側部品供給装置19が回動機構48に取付けられている。下側部品供給装置19が左右に回動して、両裏側溶接用電極対100Bに裏向きナット1の供給がなされる。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
上記両電極対100A、100Bによる組を2組設置することによって、溶接装置の溶接箇所の増大が簡単に行える。例えば、自動車のフロアパネルのような大型鋼板部品のような場合には、このような組の増設が生産性向上にとって効果的である。
上述のように、本発明によれば、プロジェクションナットの溶着用突起が適正に鋼板部品に加圧されるとともに、電極加圧による鋼板部品の変位を最小化できるプロジェクションナットの溶接装置および溶接方法であるから、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
1 プロジェクションナット
2 本体部
3 ねじ孔
4 溶着用突起
5 上端面
5A 下部電極
5B 下部電極
6 下端面
6A 上部電極
6B 上部電極
10 鋼板部品
11 ロボット装置
15 ガイドピン
19 下側部品供給装置
20 供給ロッド
27 下孔
31 ガイドピン
37 上側部品供給装置
38 供給ロッド
47 揺動機構
48 回動機構
SA 余裕長さ
SB 余裕長さ

Claims (2)

  1. ロボット装置に保持された鋼板部品を上部電極と下部電極の間で反転させることなく鋼板部品の表面と裏面にプロジェクションナットを電気抵抗溶接によって溶接するものであり、
    上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して表側溶接用電極対を構成し、
    上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して裏側溶接用電極対を構成し、
    表側溶接用電極対において鋼板部品を貫通して鋼板部品の表側に突出している下部電極のガイドピンに表向き状態のプロジェクションナットを供給する上側部品供給装置が設けられ、
    裏側溶接用電極対において鋼板部品から離隔した位置に後退している下部電極のガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットを供給する下側部品供給装置が設けられ、
    表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
    表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極の上端面が鋼板部品の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
    裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
    裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極の下端面が鋼板部品の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
    少なくとも1つの表側溶接用電極対と1つの裏側溶接用電極対が配置されていること
    を特徴とするプロジェクションナットの溶接装置。
  2. ロボット装置に保持された鋼板部品を上部電極と下部電極の間で反転させることなく鋼板部品の表面と裏面にプロジェクションナットを電気抵抗溶接によって溶接するものであり、
    上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して表側溶接用電極対を構成し、
    上部進退駆動手段で進退する上部電極と、下部進退駆動手段で進退しプロジェクションナット支持用のガイドピンが設けられた下部電極を同軸の状態で配置して裏側溶接用電極対を構成し、
    表側溶接用電極対において鋼板部品を貫通して鋼板部品の表側に突出している下部電極のガイドピンに表向き状態のプロジェクションナットを供給する上側部品供給装置が設けられ、
    裏側溶接用電極対において鋼板部品から離隔した位置に後退している下部電極のガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットを供給する下側部品供給装置が設けられ、
    表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出力が上部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
    表側溶接用電極対における下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極の上端面が鋼板部品の裏面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
    裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出力が下部進退駆動手段の進出力よりも強く設定してあり、
    裏側溶接用電極対における上部進退駆動手段の進出長さは、上部電極の下端面が鋼板部品の表面に密着した箇所で進出が停止する長さとされているとともに、下部進退駆動手段の進出長さは、下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品が加圧されている状態においてさらに進出できる余裕長さが付加された長さとされ、
    少なくとも1つの表側溶接用電極対と1つの裏側溶接用電極対が配置されている
    プロジェクションナットの溶接装置を準備し、
    表側溶接用電極対を用いて鋼板部品の表面にプロジェクションナットを溶接するときには、
    下部進退駆動手段によって下部電極の上端面を鋼板部品の裏面に密着させてガイドピンを鋼板部品の表側に突出させた後に、表向き状態のプロジェクションナットを上側部品供給装置によってガイドピンに供給し、その後、上部電極の下降によって上部電極と下部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了し、
    裏側溶接用電極対を用いて鋼板部品の裏面にプロジェクションナットを溶接するときには、
    上部進退駆動手段によって上部電極の下端面を鋼板部品の表面に密着させた後に、下側部品供給装置によってガイドピンに裏向き状態のプロジェクションナットが供給された下部電極を上昇させることによって下部電極と上部電極の間でプロジェクションナットと鋼板部品を加圧し続けて溶接電流を通電し溶接を完了する
    ことを特徴とするプロジェクションナットの溶接方法。
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