JP2014018776A - 二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法 - Google Patents

二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから、二酸化炭素をハイドレート化して分離しメタンリッチなガスを得る際に、二酸化炭素の分離効率を高め、高濃度のメタンガスを得る(メタンのロス率を減らす)ことができる二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法を提供すること。
【解決手段】ハイドレート生成装置1は、原料ガスG0に対して混合ハイドレート生成条件となる温度と圧力において、平衡が成立していない状態で混合ガスハイドレートを生成し、原料ガスG0と原料水L1との気液界面積または反応時間を、平衡が成立していない状態で生成した混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が、平衡が成立している状態で混合ガスハイドレートを生成したときの混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合よりも多くなる方向に、調整部110によって調整可能となるように構成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、メタンおよび二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を分離し、高濃度のメタンガスを得る二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法に関するものである。
エネルギー源としての天然ガスは、通常、その主成分がメタンであり、前記メタン以外の他の成分、例えば、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素化合物を含んでいるが、燃料として利用することができない不燃性ガス(例えば、二酸化炭素、窒素等)を多く含んでいる場合がある。
天然ガスが、不燃性ガスである二酸化炭素を多く含む場合、天然ガスを燃料として利用するためには、二酸化炭素を分離して除く必要がある。
また、下水汚泥の嫌気性消化(メタン発酵)によって得られるバイオガス(消化ガス)も、メタンと二酸化炭素の混合ガスであり、このバイオガスに含まれるメタンを有効に活用するため、バイオガスから二酸化炭素を分離する技術が求められている。
二酸化炭素とメタンを含む混合ガス中から二酸化炭素を分離する技術としては、化学吸収法、PSA法(物理吸着法)、膜分離法、物理吸収法、ハイドレート分離法などがある。
ハイドレート分離法の中には、混合ガス中の二酸化炭素をハイドレート化し混合ガス中から取り除き、その際取り除くことができずにガスとして排出された二酸化炭素を、再度ハイドレート化し取り除くという、二酸化炭素を段階的に分離する多段プロセスによる方法が知られている(特許文献1、非特許文献)。
ここで、図6を参照にしながらハイドレート分離法による欠点について説明する。
原料である混合ガスG0(二酸化炭素とメタン等を含む混合ガス)の気泡と原料水L0をハイドレート生成部10で反応させて混合ガスG0をハイドレート化する際(生成されたガスハイドレートをS0とする)、混合ガスG0中に含まれる二酸化炭素全てをハイドレート化して二酸化炭素ハイドレートS0として混合ガスG0中から分離し、燃料として使用可能なメタン等の全てをハイドレート化せずにガスG10として収集できるのが理想的である。理由は、燃料として有用なメタン等が全く失われていないからである(メタンのロス率が0である)。
混合ガスG0中において、二酸化炭素と分離したい他の成分は主としてメタンであるが、二酸化炭素とメタンは、それぞれのハイドレート生成の際の平衡条件が近いため、すなわち平衡曲線が近いため(図7)、実際にハイドレートS0を生成させると、二酸化炭素ハイドレートの他に、メタンハイドレートや、メタンと二酸化炭素の混合ガスハイドレートも同時に形成されてしまい、燃料として有用な成分であるメタンの一部も、メタンと二酸化炭素の混合ガスハイドレートやメタンハイドレートとして除かれてしまうという欠点を有している。
そこで、混合ガスをハイドレート化することによって混合ガスG0から二酸化炭素を分離するハイドレート分離法では、生成されるガスハイドレートS0中に含まれる二酸化炭素の量を多くする一方で、メタンの量はできるだけ少なくする(メタンロスを減らす)技術が求められている。つまり、ガスG10に含まれるメタンの量をできるだけ多くする技術が求められている。
また、特許文献1に記載された多段プロセスによるハイドレート分離方法では、各段階においてガスハイドレート化するための設備が必要となり、設備全体が複雑で大型化になるという欠点も有している。
米国特許明細書2008/0072495 A1号
Energy Fuels 2009,23,5603−5610
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、その目的は、二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから、二酸化炭素をハイドレート化し分離してメタンリッチなガスを得る際に、二酸化炭素の分離効率を高め、高濃度のメタンガスを得る(メタンのロス率を減らす)ことができるとともに、設備全体が複雑にならない二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の第1の態様である二酸化炭素分離システムは、二酸化炭素とメタンを含む原料ガスを気泡化して原料水と反応させ、混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成装置と、前記ハイドレート生成装置で生成した前記混合ガスハイドレートを含む液体を未反応の前記原料ガスと分離する気液分離装置と、を備え、前記原料ガスから二酸化炭素をハイドレート化し分離してメタンを多く残す二酸化炭素分離システムであって、前記ハイドレート生成装置は、前記原料ガスに対して混合ガスハイドレート生成条件となる温度と圧力において、平衡が成立していない状態で前記混合ガスハイドレートを生成し、前記原料ガスと前記原料水との気液界面積および/または反応時間を、前記平衡が成立していない状態で生成した前記混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が、平衡が成立している状態で混合ガスハイドレートを生成したときの混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合よりも多くなる方向に、調整部によって調整可能に構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、二酸化炭素とメタンを含む原料の混合ガス(以下「混合ガス」という)をハイドレート化することにより、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合(組成割合)を大きくすることができるので、原料の混合ガスから二酸化炭素を多く分離することができ、原料の混合ガス中にはメタンを多く残すことができる。
通常、混合ガスをハイドレート化して混合ガスハイドレートを生成する際、生成量を確保する目的で気液界面積や反応器での滞留(反応)時間は大きく設定されるため生成する混合ガスハイドレートは平衡が成立している状態(平衡状態)となり、混合ガスハイドレート中のメタンと二酸化炭素の組成割合は決まってしまう。よって、決まった二酸化炭素の量しか原料の混合ガス中からは分離することができない。
しかし、平衡が成立していない状態(非平衡状態)で、混合ガスハイドレートを生成すれば、混合ガスハイドレート中の、二酸化炭素の組成割合を変化させることが可能である。
本態様は、混合ガスハイドレートが生成する温度、圧力で原料である混合ガスのハイドレート化を行い、かつ、調整部により気液界面積および混合ガスの気泡と原料水が反応する反応時間(滞留時間)を調整することにより、混合ガスハイドレート生成の平衡が成立していない状態でハイドレート化を行った混合、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の組成割合を、混合ガスハイドレート生成の平衡が成立する状態でハイドレート化を行った混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の組成割合より多くすることを可能としている。
ここで、気液界面積を調節するとは、原料の混合ガスを気泡化した際に、気泡表面が液体である原料水と接触する接触面積を調節することである。
気体(気泡)と液体(原料水)が気液接触する際の面積の大小が、混合ガスハイドレートの生成に影響を及ぼすことから、混合ガスハイドレートが生成する平衡が成立しない状態の条件(非平衡条件)において、すなわち、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の組成割合を変化させることが可能である条件において、本態様のように、気液界面積を調整することにより、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の組成割合を変化させることが可能となる。
通常行われる混合ガスのハイドレート化の様に、混合ガスハイドレートが生成する平衡が成立する状態の条件(平衡条件)において行われる混合ガスのハイドレート化では、既に平衡の状態にあることから、混合ガスハイドレート中の組成割合が決まってしまっているので、気液界面積を調節しても、その割合を変化させることができずに、より多くの二酸化炭素を混合ガスハイドレート中に取り込むことはできないという欠点を有している。本発明はこのような欠点を解決している。
以上より、本態様は、より多くの二酸化炭素を混合ガスハイドレート中に取り込み、二酸化炭素の含有割合を多くすることができるので、原料である混合ガス中のメタンを多く残すことができる。
本発明の第2の態様である二酸化炭素分離システムは、第1の態様において、前記調整部は、前記原料ガスの気泡径を変えることで、前記気液界面積を調整可能に構成されていることを特徴とするものである。
気液界面積は、気泡表面が液体である原料水と接触する接触面積であり、この気液界面積の大小が混合ガスハイドレートの生成に影響を及ぼしている。
本態様では、気泡径を調整することができるので、気泡径を調整することにより混合ガスハイドレートの生成をも調整して、より多くの二酸化炭素を混合ガスハイドレート中に取り込んで原料の混合ガス中のメタンの量を多くすることが可能となる。すなわち、本発明の課題であるメタンのロス率の減少という課題を解決している。
気泡径の調整については、気泡が原料水中で一定の体積を有している場合、同じ体積であれば、一般に、気泡径が大きく気泡の数が少なければ、その表面積(気液界面積)は、気泡径が小さく気泡の数が多いものより小さくなるので、この原理をもとに調整部で気泡径の調整を行う。
本発明の第3の態様である二酸化炭素分離システムは、第1の態様において、前記調整部は、前記原料ガスの供給量と前記気泡径の少なくとも一方を変えることで、前記気液界面積を調整可能に構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、原料ガスの供給量と気泡径の少なくとも一方を変えることで、気液界面積を調整し、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合を増やすことにより、原料の混合ガス中から二酸化炭素の分離効率を高めることができる。
気液界面積を調整する因子として、前述した気泡径のほかにボイド率がある。
ここでボイド率とは、以下の式によって定義される値である。

ボイド率(α)=Vg/V
Vg:ガス体積
V:流体体積(気液二相流の場合は、ガス体積+液体体積)

したがって、流体体積中のガス体積(本発明では気泡が締める混合ガスの体積)の割合であるため、供給する原料の混合ガスの気泡の供給量を調整することにより、ボイド率を変化させることができる。
ここで、ボイド率による気液界面積の調整について説明する。わかり易くするために、一例として、供給する気泡(原料の混合ガス)の気泡径を一定とする。この場合、供給する気泡が少なければ流体体積中のガス体積が小さく原料水である液体と接触する気泡の面積、すなわち気液界面積が小さい。よって、ボイド率を小さくすれば気液界面積は小さくなる。
一方、供給する気泡が多ければ流体体積中のガス体積が大きく原料水である液体と接触する気泡の面積、すなわち気液界面積が大きい。よって、ボイド率を大きくすれば気液界面積は大きくなる。本態様はこの原理をもとにボイド率によって調整している。
このように、ボイド率によっても気液界面積を調整することが可能であるため、ボイド率を調整することにより混合ガスハイドレートの生成をも調整して、より多くの二酸化炭素を混合ガスハイドレート中に取り込んで原料の混合ガス中のメタンの量を多くすることが可能となる。
また、上述した説明では、気泡径を一定にして説明したが、気泡径を調整しながらボイド率を調整できるのは言うまでも無い。
つまり、本態様では気泡径を変えることによる気液界面積の調整とボイド率による気液界面積の調整の双方を行うことも可能であり、これにより、一層多くの二酸化炭素を混合ガスハイドレート中に取り込み、原料である混合ガスからの二酸化炭素の分離性能を高めることが可能となる。
本発明の第4の態様である二酸化炭素分離システムは、第1から第3のいずれか1の態様において、前記未反応の原料ガスを水と気液接触させて、該未反応の原料ガス中に含まれる二酸化炭素を前記水に吸収させる二酸化炭素吸収装置を備えており、前記二酸化炭素吸収装置において二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収水を、前記原料水として供給するように構成されていること特徴とするものである。
本態様によれば、原料の混合ガス中においてハイドレート化されていない未反応ガスに含まれる二酸化炭素を二酸化炭素吸収装置において水と気液接触させることにより二酸化炭素を水に吸収させるため、メタン含有量の高いガスを得ることができる。
さらに、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収水を、気泡化した原料ガスと反応させるための原料水として供給し使用できる。これにより、実質的にハイドレート生成装置への二酸化炭素の供給量が増加し、二酸化炭素ハイドレートの生成効率が上昇する。
本発明の第5の態様である二酸化炭素分離システムは、第4の態様において、前記ハイドレート生成装置で生成した前記混合ガスハイドレートを分解して再ガス化するハイドレート分解装置を備え、前記ハイドレート分解装置での再ガス化で得られる二酸化炭素が溶解している溶解水を受けて、前記溶解水に溶解している二酸化炭素を放散させる二酸化炭素放散装置を備え、前記二酸化炭素放散装置において、二酸化炭素が放散された後の水を、前記二酸化炭素吸収装置に供給するように構成されていることを特徴とするものである。
本態様は、生成された混合ガスハイドレートをハイドレート分解装置でガスと水に分解し、混合ガスハイドレート中に含まれている二酸化炭素やメタンを放散し、二酸化炭素や少量のメタン(以下「二酸化炭素等」という。)が溶解している溶解水を二酸化炭素放散装置に送り込んで、溶解水中の二酸化炭素等を放散するように構成されている。
さらに、二酸化炭素放散塔を経た水を二酸化炭素吸収装置に送って二酸化炭素を吸収するための水として供給し使用できるように構成されている。
前述した構成により、二酸化炭素放散装置において二酸化炭素等が放散された後の水は、二酸化炭素等が除かれ二酸化炭素吸収能力が回復しているので、二酸化炭素吸収装置に送ることにより、二酸化炭素吸収装置における二酸化炭素の分離効率を高めることができる。
本発明の第6の態様である二酸化炭素分離方法は、二酸化炭素とメタンを含む原料ガスを気泡化して原料水と反応させ、二酸化炭素をハイドレート化し分離してメタンを多く残す二酸化炭素分離方法であって、前記原料ガスに対して混合ハイドレート生成条件となる温度と圧力において、平衡が成立していない状態で前記混合ガスハイドレートを生成し、前記原料ガスと前記原料水との気液界面積および/または反応時間を、前記平衡が成立していない状態で生成した前記混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が、平衡が成立している状態で混合ガスハイドレートを生成したときの混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合よりも多くなる条件にして、前記混合ガスハイドレートの生成を行うことを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様から第3の態様と同様の効果を得ることができる。
本発明に係る第1の実施形態における概略構成図。 本発明に係るハイドレート生成装置の概略構成図。 本発明に係るハイドレート生成装置の概略構成図。 本発明に係る第2の実施形態における概略構成図。 本発明に係る第3の実施形態における概略構成図。 ハイドレート生成装置の概略図。 ハイドレート生成における二酸化炭素、メタンの相平衡曲線。 ボイド率とハイドレート包蔵ガス組成の相関関係を表すグラフ。 ボイド率とみかけのハイドレート生成量の相関関係を表すグラフ。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る二酸化炭素分離システムおよび二酸化炭素分離方法の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、通常、混合ガスである天然ガスは二酸化炭素やメタン以外にもエタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素化合物を含んでいるが、以下の説明においては、混合ガス(通常はメタンより二酸化炭素の含有割合(組成割合)の方が大きい)中のメタンと二酸化炭素の関係を主として説明することとする。
[第1の実施形態]
図1には本発明に係る第1の実施形態の概略構成図が示されている。
図1に記載の二酸化炭素分離システム1は、気液界面積を調整する調整部110(図2、図3)を有するハイドレート生成装置11と気液分離装置12とで構成されている。
ハイドレート生成装置11は、原料水L1を供給する供給ラインから供給される原料水L1と気泡を供給する供給ラインの供給口Bより供給される熱交換器Hにて所定の温度に冷却され気泡化された混合ガスG0の気泡とを受け入れ、気泡と原料水L1で構成されたプロセス流体Xをハイドレート化し、二酸化炭素とメタンの混合ガスハイドレートスラリーS(以下「混合ガスハイドレートスラリー」という)を生成する装置である。ここでハイドレート生成装置11内は、圧力を2.5〜5MPa、温度を1〜10℃に設定することが好ましい。
また、気液分離装置12は、ハイドレート生成装置11から送出される水分を含んだスラリー形状の混合ガスハイドレートスラリーSと混合ガスG0中のハイドレート化されていないガスG1で構成されるプロセス流体Yを、混合ガスハイドレートスラリーSとガスG1に分離するための装置である。
なお、ハイドレート化されていないガスG1には、ハイドレート化されていないメタン等の他にハイドレート化されていない二酸化炭素も含まれる。よって、ガスG1をこのまま燃料として使用することもできるが、現実的には、メタンリッチにするため後述する[第2、第3の実施形態]において、ガスG1中に含まれる二酸化炭素を取り除く装置を設けるのが通常である。
本態様の二酸化炭素分離システム1には、ハイドレート生成装置11内の原料水L1に供給する混合ガスG0の供給量を調整するために、流量計Aを設ける態様としている。このようにすれば、後述するボイド率を変化させることができ、結果、気液界面積を制御することが可能となる。更に、原料水L1に混合ガスG0を供給する際には、一定の気泡径を供給できるように、供給口Bの径が一定のノズル等を使用することが可能である。ノズルの径や本数は気泡径や供給する混合ガスG0の量に応じて適宜設けることが可能である。
なお、原料水L1の流量を調整するために流量計Aを用いる構成としてもよい。
原料である混合ガスG0は、二酸化炭素を含み、他の成分として少なくともメタンを含む複数のガス成分の混合ガスであればよい。このような混合ガスとしては、例えば、二酸化炭素を含む天然ガスが挙げられる。天然ガスは、二酸化炭素およびメタンの他に、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素化合物を含んでいる。
また、他の例としては、下水汚泥の嫌気性消化(メタン発酵)によって得られるバイオガス(消化ガス)が挙げられる。前記天然ガスやバイオガスは、二酸化炭素、メタン等の炭化水素化合物の他、硫化水素、窒素等を含んでいる場合がある。これらの成分は、予め脱硫処理等を行い、除去しておくことが望ましい。
原料水としては、蒸留水、精製水、イオン交換水、RO水等の他、ガスハイドレートの生成に影響を与える夾雑物が含まれていない水道水を用いることができる。
次に、図2および図3を参照に気液界面積を調整する調整部110について説明する。
なお、第1の実施態様で説明した構成部分については、同一の符号を付して説明を省略することとする。
図2には調整部110の一態様である反応管型のものが示されている。
調整部110は、原料水L1の供給ラインから供給される原料水L1と供給口Bより供給される熱交換器Aにて所定の温度に冷却された混合ガスG0の気泡とを受け入れるための受け入れ口113、混合ガスG0と原料水L1とで構成されるプロセス流体Xを気液接触させて反応(ハイドレート化)させるための反応管111、反応温度を所定の温度に保つための電熱板112および混合ガスG0の気泡と原料水L1が反応して生成した二酸化炭素とメタンの混合ガスハイドレートスラリーSとハイドレート化されていないガスG1で構成されるプロセス流体Yを送出する送出口114で構成されている。なお、図1においては、調整部110内でのプロセス流体Xの流れを、矢印で示しているため反応管111が切断されているように記載されているが、実際は反応管111同士は繋がっている。
ここで、本発明の特徴である気液界面積を調整する内容について、図2を参照にしながら説明する。
本発明の特徴の一つとして、ハイドレート生成装置11において原料ガスG0に対して混合ガスハイドレート生成条件となる温度と圧力で混合ガスハイドレートスラリーSを生成し、かつプロセス流体X中の混合ガスG0の気泡の気泡表面と液体との接触面積(気液界面積)を調整部110で調整することができる点が挙げられる。
前述したように、気液界面積は、ボイド率および/または気泡径を変化させることにより調整することが可能であり、ボイド率は以下の式によって定義される値である。

ボイド率(α)=Vg/V
Vg:ガス体積(本態様では、混合ガスG0が流動媒体X中に占める体積)
V:流体体積(本態様では、プロセス流体X。すなわち、混合ガスG0がプロセス流体
X中に占める体積+原料水L1の体積)
本発明者らは、原料である混合ガスG0から混合ガスハイドレートとして二酸化炭素を分離する場合、ボイド率が大きくなると平衡状態に近づくため分離性能が低下し、ボイド率が小さくなると二酸化炭素の分離性能が向上することを見出した。
そこで、ハイドレート生成装置11において原料ガスG0に対して非平衡条件となる温度と圧力で混合ガスハイドレートスラリーSを生成するに際し、調整部110において、気液界面積を決める因子であるボイド率と混合ガスG0の気泡径を調整することにより(例えば、ボイド率を小さくするように調整することにより)、つまり、気液界面積を調整することにより、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の組成割合をより高くして、原料の混合ガスG0中から二酸化炭素を混合ガスハイドレートとして効率よく分離できるようにした。なお、本発明では、流用計Aや供給口Bも気泡の供給量や気泡径を決める手段となり得るので調整部110の一部としての機能を果たしている。
本態様では、所定量の原料水および混合ガスG0で構成されるプロセス流体Xを受け入れ口113より受け入れて、調整部110にて所定の圧力、温度に調整することにより、スラリー形状の混合ガスハイドレートスラリーSとハイドレート化されていないガスG1で構成されるプロセス流体Yが生成される構成となっている。
圧力については、図示しないが、圧力計等により調整部110内の圧力を調整する制御部が設けられており、温度については、冷却媒体を流通させた外管112によって反応管111内の温度を調節できるようになっている。
また、原料水および混合ガスG0を調整部110内で反応させるための反応時間(滞留時間)を調整することで、気液界面積を調整することと同じ効果が得ることができる。
例えば、反応管111の長さを調整することで平衡が成立していない状態で混合ガスG0のハイドレート化を行うことが可能となる。また、プロセス流体Xの流速を調整することにより調整部110内での滞留時間を調整することも可能である。すなわち、原料水および混合ガスG0を調整部110内で反応させるための時間(滞留時間)を調整できればよく、前述した例に限られるものではない。
なお、図1に示した反応管111(チューブ)を使用する以外に、反応管111の中にコイルを設けて乱流を作り出し、プロセス流体X中の混合ガスの気泡を細かくして(気泡径を変えて)、気液界面積を変えるような態様としてもよい。
図7には、二酸化炭素とメタンのそれぞれのハイドレート曲線が示されている。前述したように、混合ガスG0中に含まれる二酸化炭素全てをハイドレート化して二酸化炭素ハイドレートスラリーSとして混合ガスG0中から分離し、燃料として使用可能なメタン等の全てをハイドレート化せずにガスG1として収集できるのが理想的である。
しかし、実際は図7に示されるように、二酸化炭素とメタンは、それぞれのハイドレートの平衡曲線が近いため、当然に平衡状態となる平衡条件も近くなる。そして、図7より、二酸化炭素はメタンよりも高温側または低圧側でハイドレート化する。
ここで、従来では、原料である二酸化炭素とメタンを含む混合ガスと水をハイドレート生成器に導入し、該生成器内を、混合ガス中の二酸化炭素がハイドレート化する所定の温度および圧力条件にして混合ガスをハイドレート化すると、メタンと二酸化炭素のそれぞれのハイドレートの平衡条件が近いために、通常、メタンと二酸化炭素の混合ガスハイドレートが形成される。このとき、図7より二酸化炭素はメタンよりもハイドレート化し易いので(二酸化炭素の相平衡曲線がメタンのそれより下側にある)、生成した混合ガスハイドレートに含まれる混合ガスの組成は、原料である混合ガスよりも二酸化炭素が多い組成となる。
本発明は、上述したように、原料ガスG0に対して混合ガスハイドレートが生成する温度と圧力で混合ガスハイドレートスラリーSを生成し、かつ気液界面積を調整部110によって調整することにより(例えば、ボイド率を小さくすることにより)、従来よりも更に、生成した混合ガスハイドレートに含まれる二酸化炭素の組成割合を多くすることにより、二酸化炭素の分離効率を高めた発明である。
図3には調整部110の他の態様である撹拌型のものが示されている。図2において説明した反応型の態様と同じ構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
撹拌型の調整部110は、反応容器115、回転軸116に設けられた回転翼117から構成されている。なお、反応容器115内は、図示しない制御部によって圧力、温度が管理される構造となっている。
撹拌型の調整部110は、反応容器115にあらかじめ一定体積の原料水L1を供給し、そこへ供給口Bより混合ガスG0の気泡を供給するように構成されている。そして回転軸116を図示しない動力によって回転させ、反応容器115中の回転翼117を動作させることにより、原料水L1と混合ガスG0の気泡を撹拌して反応させるようにしている。
この撹拌作用により、供給口Bより供給された気泡は供給時よりも細かくなり、すなわち体積は同じであっても気泡径が小さく気泡の数が増えるので、原料水L1と接触する面積が大きくなるため、気液界面積を大きくすることができる。なお、気泡径の数を増やしたくない時、すなわち、気液界面積を大きくしたくないときは回転軸116の回転数を減らして調整すればよい。供給する混合ガスの流量や気泡の大きさは、第1の実施形態で説明したように、流量計Aや供給口Bの形状で調整することが可能である。また、原料水および混合ガスG0を調整部110内で反応させるための反応時間(滞留時間)を調節することで、気液界面積を調整することと同じ効果を得ることができる。
[第2の実施形態]
本発明に係る第2の実施形態について、図4を参照にしながら説明する。
図4には本発明に係る第2の実施形態である二酸化炭素分離システム2の概略構成図が示されている。
なお、第1の実施態様と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略することとする。
ハイドレート生成装置11から送出された流動媒体Yは、混合ガスG0の気泡と原料水L1が反応して生成した二酸化炭素とメタンの混合ガスハイドレートスラリーSとハイドレート化されていないガスG1で構成されている。プロセス流体Xは気液分離装置12によって、気体であるガスG1と水分を含んだスラリー形状の混合ガスハイドレートスラリーSに分離される。
ハイドレート生成装置11の調整部110の作用によって、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が増えているため、つまり、原料の混合ガスG0中の二酸化炭素が効率よく分離されているため、混合ガスG0中のメタン等はガスG1中に多く含まれることとなる(メタンのロス率が小さくなる)。
しかし、混合ガスG0中の二酸化炭素は混合ガスハイドレートスラリーSとして除かれるが、すべてが除かれるわけではなく、ハイドレート化しない二酸化炭素がガスG1中には含まれる。
よって、ハイドレート化されていないガスG1には、ハイドレート化されていないメタン等の他にハイドレート化されていない二酸化炭素も含まれるため、ガスG1を燃料として効率よく使用するためには、不燃性ガスである二酸化炭素を取り除いておくのが好ましい。
二酸化炭素吸収装置21は、ガスG1中に含まれる二酸化炭素を吸収するために設けられたものである。二酸化炭素吸収装置21に水L2を供給することにより、水L2に二酸化炭素を吸収させてガスG1から二酸化炭素を取り除き、二酸化炭素が取り除かれたガスはメタンリッチなガスG2として燃料として利用される。ここで、二酸化炭素吸収装置21内の圧力は2.5〜5MPa、温度は7〜10℃が好ましく、水L2の温度は1〜10℃が好ましい。
また、二酸化炭素を吸収した水L3はポンプPを用いて原料水L1を供給するラインに送られ原料水L1の代わりに使用することができる。原料水L1の代わりに水L3を原料水として使用すれば、水L3中に二酸化炭素が含まれているため、原料の混合ガスG0中の二酸化炭素が、原料水である二酸化炭素吸収水L3中に溶解する量が抑えられ、原料である混合ガス中の二酸化炭素の含有割合(組成割合)の変化を小さくすることができる。
そして、原料水側への二酸化炭素の溶解が少なくなることから二酸化炭素の分圧の低下が抑制され、その結果、二酸化炭素が多く含まれるハイドレートの生成条件を維持することができる。
[第3の実施形態]
本発明に係る第3の実施形態について、図5を参照にしながら説明する。
図5には本発明に係る第3の実施形態である二酸化炭素分離システム3の概略構成図が示されている。
なお、第1及び第2の実施態様と同様の構成部分には、同一の符号を付して説明を省略することとする。
気液分離装置12によって分離された、混合ガスハイドレートSは、動力回収装置311を経てハイドレート分解装置3に送られる。
ハイドレート分解装置31は、所定の圧力および熱交換器Hによって調整された所定の温度で混合ガスハイドレートスラリーSを再ガス化して混合ガスハイドレート中に含まれるガスをガスG3として放出する部分である。本態様では、ハイドレート製造装置11から送られる混合ガスハイドレートスラリーSの圧力が3〜5MPaであるので、動力回収装置311で、圧力を他の動力に利用する分だけ回収し、ハイドレート分解装置31に混合ガスハイドレートスラリーSを送る構成となっている。そのため、ハイドレート分解装置31の圧力は0.5〜2MPaに調整される。なお、ハイドレート分解装置31内の温度については、5〜20℃の範囲が好ましい。
ここで、混合ガスハイドレートスラリーSは水を含んだスラリー状態であり、正確には、二酸化炭素とメタンの混合ガスハイドレートと二酸化炭素とメタンが溶け込んだ溶解水とで構成されている。そのため、ハイドレート分解装置部31では混合ガスハイドレート中の二酸化炭素とメタンは、混合ガスハイドレートの分解によりハイドレート分解装置部31よりガスG3として放出されるが、二酸化炭素とメタン(二酸化炭素と少量のメタン)が溶け込んだ溶解水L4は、ハイドレート分解装置31中に残存する。そこで、本態様では、この溶解水L4を動力回収装置411で、動力回収及び減圧操作を行い、二酸化炭素放散装置32に送るように構成されている。
二酸化炭素放散装置32では、所定の圧力および熱交換器Hによって調整された所定の温度でガスG4として溶解水L4中の二酸化炭素と少量のメタンが放出される。溶解していた二酸化炭素が放散した水はL5として、ポンプPと熱交換器Hを経て、二酸化炭素吸収装置21に送られる。
そして、二酸化炭素放散装置21において水L5を使用すれば、既に二酸化炭素が放散された後の水なので、二酸化炭素が除かれ二酸化炭素吸収能力が回復していことから、二酸化炭素吸収装置21における二酸化炭素の分離効率を高めることができる。
なお、二酸化炭素放散装置32内の圧力は、0.1〜0.5MPa、温度は5〜10℃であるのが好ましい。
[実施例]
本発明に係る二酸化炭素分離システムを用いて、原料の混合ガス(二酸化炭素:メタン=69:31)に含まれる二酸化炭素の分離を行った。
ハイドレート生成装置11に設けられた調整部110は、図3で示した攪拌型の調整部を使用し、システム全体としては図5に示した第3の実施態様の二酸化炭素分離システム3を使用し、気液界面積を決める一因子であるボイド率と混合ガスハイドレート中に含まれるガス量(二酸化炭素とメタンの量)である包蔵ガス組成推算値(混合ガスハイドレート中の二酸化炭素とメタンのそれぞれの含有割合(組成割合))との関係を求め、本発明の効果を確認した。
結果を図8に示す。
ここで、包蔵ガス組成推算値について説明する。包蔵ガス組成推算値(vol%)は以下の様に定義される。混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の包蔵ガス組成推算値をGHCO2、混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の包蔵ガス組成推算値GHCH4とすると、
GHCO2=(GDCO2+GFCO2−GcdCO2)÷{(GDCO2+GFCO2−GcdCO2)+(GDCH4+GFCH4−GcdCH4)}
GHCH4=(GDCH4+GFCH4−GcdCH4)÷{(GDCO2+GFCO2−GcdCO2)+(GDCH4+GFCH4−GcdCH4)}

ここで、
GDCO2:ハイドレート分解装置31で回収されるガスG3中に含まれる
二酸化炭素の量
GFCO2:二酸化炭素放散装置32で回収されるガスG4中に含まれる
二酸化炭素の量
GcdCO2:混合ガスハイドレートスラリーSに含まれる溶解した
二酸化炭素の量
GDCH4:ハイドレート分解装置31で回収されるガスG3中に含まれる
メタンの量
GFCH4:二酸化炭素放散装置32で回収されるガスG4中に含まれる
メタンの量
GcdCH4:混合ガスハイドレートスラリーSに含まれる溶解したメタンの量
である。
なお、調整部110における温度は2℃、圧力は2.5MPa、回転数は300〜1200mp、反応時間(反応容器115内での滞留時間)は10minである。この温度、圧力は、混合ガスハイドレートの生成条件となる。
また、図8中の点線は、本実施例と同様の圧力、温度条件で原料の混合ガスが原料水と反応して、混合ガスハイドレートが生成する条件下でハイドレート平衡計算ソフト(ソフト名称:CSM−GEM)を用いて求めた、平衡時における混合ガス中の二酸化炭素の包蔵ガス推算値であり、一点鎖線はメタンの包蔵ガス推算値である。
図8において、混合ガスハイドレートが平衡状態になった場合の二酸化炭素の包蔵ガス組成推算値は約78%である(点線)。なおこの際のメタンの包蔵ガス組成推算値は約22%である(一点鎖線)。
ここで、ボイド率が0.3以下の領域では、二酸化炭素の包蔵ガス組成推算値が、混合ガスハイドレートが平衡状態になった場合の二酸化炭素の包蔵ガス組成推算値(点線)よりも大きいことがわかる。つまり、ボイド率が0.3以下の領域では、平衡状態での混合ガスハイドレートに取り込まれる二酸化炭素の量よりも、より多くの二酸化炭素が混合ガスハイドレート中に取り込まれていることがわかる。逆に、混合ハイドレート中に含まれるメタンの量は減少しているので、原料の混合ガス中にはメタンが多く残っていることがわかる。
したがって、本発明のよって、ボイド率、滞留時間(本実施例では10min)を調整することにより、原料の混合ガス中からより多くの二酸化炭素を分離することができる。すなわち二酸化炭素の分離効率を向上させることができる。
図9には、実施例におけるボイド率とみかけのハイドレート生成量(kg/m3・h)、ハイドレート生成におけるメタンのロス率(CHロス率)との関係が示されている。
ここで、みかけの二酸化炭素ハイドレートをGHCO2(みかけ)、メタンハイドレートGHCH4(みかけ)とすれば、

GHCO2(みかけ)=(GDCO2+GFCO2−GcdCO2)×(18×n+44)÷44
GHCH4(みかけ)=(GDCH4+GFCH4−GcdCH4)×(18×n+16)÷16

ここで、nは水和数であり、GDCO2、GFCO2、GcdCO2、GDCH4、GFCH4、GcdCH4は、包蔵ガス組成推算値を求める際と同様の値である。
また、メタンのロス率をCHロス率(%)とすれば、

CHロス率=(GDCH4+GFCH4−GcdCH4)÷G0CH4

ここで、G0CH4は、原料の混合ガスG0中のメタンの量である。なお、GDCH4、GFCH4、GcdCH4は包蔵ガス組成推算値を求める際と同様の値である。
図9より、ボイド率が小さくなると、二酸化炭素のハイドレートの生成量が減少しているのがわかる。これは、気泡と原料水の接触機会(気液界面積やハイドレート生成器における滞留時間)が小さすぎると、二酸化炭素がハイドレート中に溶け込む速度(溶解速度)が小さくなり、二酸化炭素のハイドレートの生成速度が遅くなるためである。
よって、二酸化炭素の分離効率が低下する。従って、図9より、ボイド率を小さくすればメタンのロス率は小さくなるが、ボイド率を小さくしすぎると二酸化炭素の分離効率は向上しない。
図8および図9に示す結果より、ボイド率は0.15〜0.3の範囲が好ましく特に好ましいのは、0.2〜0.25の範囲である。この範囲であれば、メタンのロス率を大きくしないで、かつ二酸化炭素の分離効率を上げることができる。
以上より、本発明は、気液界面積および滞留時間を調整しながら二酸化炭素の分離効率を向上させることができるとともに、システム全体を第1〜第3の実施態様で示したようにコンパクトに設計することが可能である。
1 二酸化炭素分離システム(第1の実施形態) 11 ハイドレート生成装置
111 反応管 112 外管 113受け入口 114 送出口 115 反応容器
116 回転軸 117 回転翼
12 気液分離装置 110 調整部 2二酸化炭素分離システム(第2の実施形態) 21 二酸化炭素吸収装置 3 二酸化炭素分離システム(第3の実施形態) 31 ハイドレート分解装置 311、312 動力回収装置 32 二酸化炭素放散装置
A 流量計 B 供給口 G0 原料の混合ガス G1〜G4ガス L1 原料水 L2、L3、L5 水 L4 溶解水 H 熱交換器 P ポンプ S 混合ガスハイドレートスラリー

Claims (6)

  1. 二酸化炭素とメタンを含む原料ガスを気泡化して原料水と反応させ、混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成装置と、
    前記ハイドレート生成装置で生成した前記混合ガスハイドレートを含む液体を未反応の前記原料ガスと分離する気液分離装置と、を備え、
    前記原料ガスから二酸化炭素をハイドレート化し分離してメタンを多く残す二酸化炭素分離システムであって、
    前記ハイドレート生成装置は、前記原料ガスに対して混合ガスハイドレート生成条件となる温度と圧力において、平衡が成立していない状態で前記混合ガスハイドレートを生成し、前記原料ガスと前記原料水との気液界面積および/または反応時間を、前記平衡が成立していない状態で生成した前記混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が、平衡が成立している状態で混合ガスハイドレートを生成したときの混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合よりも多くなる方向に、調整部によって調整可能に構成されていることを特徴とする二酸化炭素分離システム。
  2. 請求項1に記載された二酸化炭素分離装置において、
    前記調整部は、前記原料ガスの気泡径を変えることで、前記気液界面積を調整可能に構成されていることを特徴とする二酸化炭素分離システム。
  3. 請求項1に記載された二酸化炭素分離システムにおいて、
    前記調整部は、前記原料ガスの供給量と前記気泡径の少なくとも一方を変えることで、前記気液界面積を調整可能に構成されていることを特徴とする二酸化炭素分離システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された二酸化炭素分離システムにおいて、
    前記未反応の原料ガスを水と気液接触させて、該未反応の原料ガス中に含まれる二酸化炭素を前記水に吸収させる二酸化炭素吸収装置を備えており、
    前記二酸化炭素吸収装置において二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収水を、前記原料水として供給するように構成されていること特徴とする二酸化炭素分離システム。
  5. 請求項4に記載された二酸化炭素分離システムにおいて、
    前記ハイドレート生成装置で生成した前記混合ガスハイドレートを分解して再ガス化するハイドレート分解装置を備え、
    前記ハイドレート分解装置での再ガス化で得られる二酸化炭素が溶解している溶解水を受けて、前記溶解水に溶解している二酸化炭素を放散させる二酸化炭素放散装置を備え、
    前記二酸化炭素放散装置において、二酸化炭素が放散された後の水を、前記二酸化炭素吸収装置に供給するように構成されていることを特徴とする二酸化炭素分離システム。
  6. 二酸化炭素とメタンを含む原料ガスを気泡化して原料水と反応させ、二酸化炭素をハイドレート化し分離してメタンを多く残す二酸化炭素分離方法であって、
    前記原料ガスに対して混合ハイドレート生成条件となる温度と圧力において、平衡が成立していない状態で前記混合ガスハイドレートを生成し、前記原料ガスと前記原料水との気液界面積および/または反応時間を、前記平衡が成立していない状態で生成した前記混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合が、平衡が成立している状態で混合ガスハイドレートを生成したときの混合ガスハイドレート中の二酸化炭素の含有割合よりも多くなる条件にして、前記混合ガスハイドレートの生成を行うことを特徴とする二酸化炭素分離方法。
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