JP2014015383A - 光学ガラス、プリフォーム、及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム、及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い屈折率(n)を有する光学ガラスにおいて、より低いアッベ数(ν)を有しながらも、高い可視光透過率を有する光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供する。
【解決手段】光学ガラスは、質量%でBi成分を50.0〜90.0%及びB成分を5.0〜50.0%含有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である。プリフォーム及び光学素子は、この光学ガラスからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム、及び光学素子に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化、軽量、及び小型化の要求は、ますます強まっている。
特に、光学系の軽量化及び小型化を図るためには、非球面レンズを用いた光学設計が有効であるが、研削や研磨を行って非球面レンズを作製することは生産性が悪く生産コストも掛かるため、ゴブやガラスブロックを切断・研磨したプリフォーム材を加熱により軟化させ、これを高精度な面を持つ金型で加圧成形させる精密プレス成形を行うことで、研削・研磨工程を省略し、低コスト・大量生産を実現している。
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学素子の軽量化及び小型化を図るのに有効な、1.90以上2.30以下の高い屈折率(n)を有し、且つ30以下の低いアッベ数(ν)を有するガラスの需要が非常に高まっている。高い屈折率と低いアッベ数を有するガラスとしては、例えば特許文献1〜3に代表されるようなガラスが知られている。
特開2011−093731号公報 特開2006−327926号公報 特開2009−040647号公報
しかしながら、特許文献1〜3で開示されたガラスは、高い屈折率及び低いアッベ数を有しているものの、可視光の短波長側の光に対する透過率が高いため、ガラスが黄色や橙色に着色している。そのため、特許文献1〜3で開示されたガラスは、可視領域の光を透過させる用途には適さない。
また、特許文献1〜3で開示されたガラスに対して精密プレス成形を行うと、プレス成形後のガラスに失透やカン、曇りが発生して光学素子が劣化したり、プレス成形で用いた金型に曇りや離型膜の剥離が生じて金型が劣化したりすることが多い。
こうしたガラスを用いて光学素子を作製する手段としては、上述の精密プレス成形以外にも、ガラスを加熱軟化してプレス成形(リヒートプレス成形)して得られたガラス成形品を研削研磨する手段等も用いられている。しかし、このような光学素子や金型の劣化は、精密プレス成形に限らずリヒートプレス成形でも、光学素子の生産性を低下させる原因になる。
そのため、プレス成形による光学素子や金型の劣化の少ない、モールドプレス成形性の高い光学ガラスが求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高い屈折率(n)を有する光学ガラスにおいて、より低いアッベ数(ν)を有しながらも、高い可視光透過率を有する光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することにある。
また、本発明は、プレス成形による光学素子や金型の劣化の少ない、モールドプレス成形性の高い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、Bi成分及びB成分を併用し、他の各成分の含有量を調整することによって、ガラスのアッベ数がより低くなりながらも、ガラスの可視光に対する透明性が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 質量%で、Bi成分を50.0〜90.0%及びB成分を5.0〜50.0%含有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である光学ガラス。
(2) 質量比(Bi/B)が2.00以上15.00以下である(1)記載の光学ガラス。
(3) 質量%で、Bi成分及びB成分の含有量の和が60.0%以上である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) 質量%で
SiO成分 0〜20.0%
GeO成分 0〜20.0%
である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
(5) 質量%で、B成分、SiO成分及びGeO成分の含有量の和が5.0%以上55.0%以下である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 質量%で
LiO成分 0〜20.0%
NaO成分 0〜20.0%
O成分 0〜20.0%
である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が20.0%以下である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) 質量%で、TeO成分の含有量が30.0%以下である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) 質量%で
TiO成分 0〜10.0%
Nb成分 0〜10.0%
La成分 0〜10.0%
Gd成分 0〜10.0%
成分 0〜10.0%
Yb成分 0〜10.0%
である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 質量%で、Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が20.0%以下である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) 質量%で、TiO成分、Nb成分、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分の含有量の和が20.0%以下である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
(12) 質量%で
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
BaO成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜20.0%
である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)の質量和が25.0%以下である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
(14) 質量%で
成分 0〜15.0%
Al成分 0〜10.0%
Ga成分 0〜10.0%
Ta成分 0〜10.0%
WO成分 0〜15.0%
ZrO成分 0〜15.0%
SnO成分 0〜3.0%
Sb成分 0〜3.0%
である(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
(15) 質量%で、SiO成分、ZrO成分、Nb成分、ZnO成分、MgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量の和が1.0%以上である(1)から(14)のいずれか記載の光学ガラス。
(16) 質量%で、TiO成分、Ta成分、WO成分、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分の含有量の和が20.0%以下である(1)から(15)のいずれか記載の光学ガラス。
(17) 屈折率(nd)が1.85以上2.30以下であり、アッベ数(νd)が15以上30以下である(1)から(16)のいずれか記載の光学ガラス。
(18) ガラス転移点が500℃以下である(1)から(17)のいずれか記載の光学ガラス。
(19) (1)から(18)のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用のプリフォーム。
(20) (19)のプリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
(21) (1)から(18)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(22) (20)又は(21)記載の光学素子を有する光学機器。
本発明によれば、高い屈折率(n)を有する光学ガラスにおいて、より低いアッベ数(ν)を有しながらも、高い可視光透過率を有する光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供できる。
また、本発明によれば、プレス成形による光学素子や金型の劣化が少なく、モールドプレス成形性の高い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供できる。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成の全質量に対する質量%で、Bi成分を50.0〜90.0%及びB成分を5.0〜50.0%含有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である。Bi成分及びB成分を併用し、他の各成分の含有量を調整することによって、ガラスのアッベ数がより低くなりながらも、Bi成分や他の成分による着色が抑えられること等により、ガラスの可視光透過率が高められる。このため、高い屈折率(n)を有する光学ガラスにおいて、より低いアッベ数(ν)を有しながらも、可視光透過率の高い光学ガラスと、これを用いたレンズプリフォーム及び光学素子を提供できる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
Bi成分は、ガラスのアッベ数を低くし、且つガラス転移点を低くできる必須成分である。特に、Bi成分の含有量を50.0%以上にすることで、ガラスの屈折率を高め、且つアッベ数及びガラス転移点を低くすることができる。また、Bi成分の含有量を増加することで、モールドプレス成形性を高めることができる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは71.0%を下限とする。
一方で、Bi成分の含有量を90.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、Bi成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる(特に、分光透過率が5%を示す波長(λ)を短くできる)。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは90.0%、より好ましくは88.0%、さらに好ましくは85.0%、さらに好ましくは82.0%を上限とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
成分は、ガラス形成成分であり、ガラスの耐失透性を高める必須成分である。すなわち、B成分の含有量を5.0%以上にすることで、耐失透性を高めることができ、且つ、可視光透過率が高い(特に、分光透過率が5%を示す波長(λ)の短い)ガラスを得ることができる。従って、B成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは8.2%、さらに好ましくは9.0%、さらに好ましくは10.2%、さらに好ましくは11.5%、さらに好ましくは14.0%を下限とする。
一方で、B成分の含有量が多すぎると、かえってガラスの耐失透性が低くなって失透し易くなる。また、アッベ数も高くなり易くなる。従って、B成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは30.0%、さらに好ましくは20.0%を上限とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
成分の含有量に対するBi成分の含有量の比率(質量比)は、2.00以上15.00以下が好ましい。
特に、この比率を15.00以下にすることで、可視光透過率を高める(特に分光透過率が70%を示す波長(λ70)を短くする)ことができ、且つ、モールドプレス性を高めることができる。従って、質量比(Bi/B)は、好ましくは15.00、より好ましくは11.00、さらに好ましくは9.00、さらに好ましくは7.00、さらに好ましくは5.27を上限とする。
一方で、この比率を2.00以上にすることで、ガラスのアッベ数をより低くでき、且つガラス転移点をより低くできる。従って、質量比(Bi/B)は、好ましくは2.00、より好ましくは3.00、さらに好ましくは4.00、さらに好ましくは4.50を下限とする。
Bi成分及びB成分の含有量の和は、60.0%以上が好ましい。
これにより、ガラスの耐失透性をより高めることができる。従って、質量和(Bi+B)は、好ましくは60.0%、より好ましくは70.0%、さらに好ましくは80.0%、さらに好ましくは87.5%を下限とする。
一方で、この合計量が大きすぎても耐失透性が悪くなるため、質量和(Bi+B)は、好ましくは97.0%、より好ましくは96.5%、さらに好ましくは96.15%を上限とする。
SiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、可視光透過率を高められる任意成分である。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは2.0%を下限としてもよい。
一方で、SiO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
SiO成分は、原料としてSiO等を用い、又はガラス材料の熔解に石英坩堝を用いることで、ガラス内に加えることができる。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。
一方で、GeO成分の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下し易くなり、且つガラスの原料コストが大幅に上がる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
本発明の光学ガラスは、B成分、SiO成分及びGeO成分の含有量の和が5.0%以上55.0%以下であることが好ましい。
特に、この和を5.0%以上にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、ガラスの可視光透過率を高められる。従って、質量和(SiO+B+GeO)は、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは12.3%を下限とする。
一方で、この和を55.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑える等により、プレス温度の上昇を抑えられる。従って、質量和(SiO+B+GeO)は、好ましくは55.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは28.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは19.0%を上限とする。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を調整し、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。特に、NaO成分は、モールドプレス性を高めることができるため、0%超含有することが好ましい。
一方で、これらの成分の含有量を各々所定以下にすることで、ガラスの屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。特に、LiO成分はモールドプレス性を下げ易い成分であるため、LiO成分の含有量は、さらに好ましくは0.7%、さらに好ましくは0.5%を上限としてもよい。また、NaO成分及びKO成分の各々の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、原料としてLiCO、LiNO、NaCO、NaNO、KCO、KNO等を用いることができる。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の合計含有量(質量和)は、20.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられる。また、ガラスの耐失透性も高められる。従って、質量和(LiO+NaO+KO)は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは2.5%を上限とする。
TeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、且つガラス融液の脱泡及び清澄を促せる任意成分である。また、TeO成分を含有することで、屈折率やアッベ数を大きく変動させずに可視光透過率を高められる。従って、TeO成分の含有量は、酸化物基準の質量%で、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.4%を下限としてもよい。
一方で、TeO成分の含有量が多すぎると、かえってガラスが失透し易くなるため、TeO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を小さくできる任意成分である。
一方で、TiO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスの可視光透過率の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いることができる。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を小さくできる任意成分である。
一方で、Nb成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラス転移点の上昇を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を高められる任意成分である。
一方で、これらの成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えることができる。従って、La成分、Gd成分、Y成分及びYbの各々の含有量は好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、Y、Yb等を用いることができる。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、20.0%以下が好ましい。これにより、これらの成分によるアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Ln成分の含有量の和は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
TiO成分、Nb成分、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分の合計含有量(質量和)は、20.0%以下が好ましい。これにより、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ、モールドプレス成形性を高めることができる。従って、質量和(TiO+Nb+La+Gd+Y+Yb)は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高める任意成分である。
しかし、これらの成分の含有量が多すぎると、かえって失透し易くなる。そのため、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、原料としてMgO、MgCO、CaCO、Sr(NO、BaCO、Ba(NO等を用いることができる。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、且つ可視光透過率を高められる(特に、分光透過率が70%を示す波長(λ70)を短くできる)任意成分である。従って、ZnO成分の含有量は、酸化物基準の質量%で、好ましくは0%超、より好ましくは0.3%、さらに好ましくは0.5%を下限としてもよい。
しかし、ZnO成分の含有量が多すぎると、かえって失透し易くなり、且つアッベ数が高くなる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
ZnO成分は、原料としてZnO等を用いることができる。
RO成分(RはMg、Ca、Sr、Ba、Znから選ばれる1種以上)の合計含有量(質量和)は、25.0%以下であることが好ましい。これにより、これら成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、RO成分の合計含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
なお、RO成分を合計で0%超を含有することで、ガラスの耐失透性を高められる。従って、RO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.3%、さらに好ましくは0.5%を下限としてもよい。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの可視光透過率を向上できる任意成分である。
一方で、P成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス材料を溶解し易くでき、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、P成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは2.0%を上限とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO等を用いることができる。
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性や機械的強度を向上できる任意成分である。
一方で、Al成分及びGa成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラス材料を溶解し易くできる。また、特にAl成分の含有量を低減することで、ガラスの耐失透性を高められる。従って、Al成分及びGa成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Al成分及びGa成分は、原料としてAl、Al(OH)、Ga、Ga(OH)等を用いることができる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数の上昇を抑えつつ、ガラスの耐失透性を高められる任意成分である。
しかし、Ta成分の含有量が多すぎると、かえってガラスが失透し易くなり、ガラス転移点が上昇し、且つガラスの原料コストが大幅に上昇する。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Ta成分は、原料としてTa等を用いることができる。
WO成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を小さくでき、ガラスの耐失透性を高められ、ガラス転移点を下げられる任意成分である。
しかし、WO成分の含有量が多すぎると、ガラスがかえって失透し易くなり、ガラスの可視光透過率が低下する。従って、WO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高められ、ガラスの化学的耐久性や機械的強度を向上できる任意成分である。
しかし、ZrO成分の含有量が多すぎると、ガラスがかえって失透し易くなり、ガラス転移点も高くなる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
ZrO成分は、原料としてZrO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を高められる任意成分である。
しかし、SnO成分の含有量が多すぎると、ガラス材料の溶解が困難になり、ガラスの可視光透過率が低下する。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、ガラス融液の脱泡及び清澄を促せる任意成分である。
一方で、Sb量が多すぎると、ガラスの可視光透過率が低下する。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
本発明の光学ガラスは、SiO成分、ZrO成分、Nb成分、ZnO成分、MgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量の和(質量和)が1.0%以上であることが好ましい。これにより、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、質量和(SiO+ZrO+Nb+ZnO+MgO+CaO+SrO+BaO+LiO+NaO+KO)は、好ましくは1.0%、より好ましくは2.0%、さらに好ましくは3.0%を下限とする。
一方で、この質量和を30.0%以下にすることで、所望の高い屈折率と低いアッベ数を得ることができる。従って、質量和(SiO+ZrO+Nb+ZnO+MgO+CaO+SrO+BaO+LiO+NaO+KO)は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは11.0%を上限とする。
また、本発明の光学ガラスは、TiO成分、Ta成分、WO成分、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分の含有量の和(質量和)が20.0%以下であることが好ましい。これにより、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、質量和(TiO+Ta+WO+La+Gd+Y+Yb)は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
また、本発明の光学ガラスは、ガラスの耐失透性を高める観点で、酸化物換算組成における光学ガラスの構成成分を4種類以上にすることが好ましく、5種類以上にすることがより好ましく、6種類以上にすることがさらに好ましい。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
上述されていない他の成分を、本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じることで、本願発明の可視光透過率を高める効果を減殺する性質があるため、特に可視領域の波長を透過させる光学ガラスでは、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、使用した場合には、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要になる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のガラス組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
Bi成分 20.0〜60.0モル%及び
成分 12.0〜70.0モル%
並びに
SiO成分 0〜40.0モル%
GeO成分 0〜30.0モル%
LiO成分 0〜50.0モル%
NaO成分 0〜40.0モル%
O成分 0〜30.0モル%
TeO成分 0〜30.0モル%
TiO成分 0〜20.0モル%
Nb成分 0〜7.0モル%
La成分 0〜7.0モル%
Gd成分 0〜7.0モル%
成分 0〜5.0モル%
Yb成分 0〜7.0モル%
MgO成分 0〜40.0モル%
CaO成分 0〜35.0モル%
SrO成分 0〜30.0モル%
BaO成分 0〜20.0モル%
ZnO成分 0〜40.0モル%
成分 0〜30.0モル%
Al成分 0〜20.0モル%
Ga成分 0〜10.0モル%
Ta成分 0〜8.0モル%
WO成分 0〜15.0モル%
ZrO成分 0〜30.0モル%
SnO成分 0〜15.0モル%
Sb成分 0〜7.0モル%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又は金坩堝に入れて750〜1000℃の温度範囲で2〜3時間溶融して攪拌均質化を行い、850〜650℃程度の温度に下げてから1時間程度経過した後、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
<物性>
本発明の光学ガラスは、高い屈折率を有しながらも、より高い分散(低いアッベ数)を有する。
本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは30、より好ましくは25、さらに好ましくは20を上限とする。このアッベ数の下限は、好ましくは15、より好ましくは17、さらに好ましくは18であってもよい。このような低いアッベ数を有することで、例えば高いアッベ数を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
また、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.85、より好ましくは1.90、さらに好ましくは1.95、さらに好ましくは2.00を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.30、より好ましくは2.25、さらに好ましくは2.20であってもよい。このような高い屈折率を有することで、さらに素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。
従って、このような高屈折率高分散の光学ガラスを、例えば光学素子の用途に用いることで、高い結像特性等を図りながらも、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、着色が少ないことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスでは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは450nm、より好ましくは430nm、さらに好ましくは410nmを上限とする。また、本発明の光学ガラスでは、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す最も短い波長(λ70)は、好ましくは500nm、より好ましくは480nm、さらに好ましくは460nmを上限とする。これにより、ガラスの吸収端が紫外領域やその近傍に位置するようになり、可視域の特に短波長側の光に対するガラスの透明性がより高められることで、ガラスの黄色や橙色への着色が低減されるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子の材料に好ましく用いることができる。
本発明の光学ガラスは、500℃以下のガラス転移点を有することが好ましい。これにより、ガラスがより低い温度で軟化するため、より低い温度でガラスをモールドプレス成形できる。また、モールドプレス成形に用いる金型の酸化を低減して金型の長寿命化を図ることもできる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは500℃、より好ましくは480℃、さらに好ましくは450℃、さらに好ましくは440℃、さらに好ましくは430℃を上限とする。なお、本発明の光学ガラスのガラス転移点の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは100℃、より好ましくは200℃、さらに好ましくは300℃を下限としてもよい。
本発明の光学ガラスは、モールドプレス性(モールドプレス成形性、MP性)が高いことが好ましい。すなわち、本発明の光学ガラスは、母材がPt、Au、Ir、Ni、Cr、Mo、Rh,Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Re及びCからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上からなる金型を用いて、300〜700℃に加熱してプレス成形を行った際に、プレス成形された光学ガラスに失透やカン、曇りがなく、且つ、金型に曇りや離型膜の剥離が無いことが好ましい。これにより、同じ金型を用いて光学ガラスに対して繰り返しプレス成形を行っても、金型の表面の劣化が低減される。そのため、光学ガラスの光学特性に対して悪影響を及ぼすことなく、後に研磨工程を要しない精密プレス成形によっても、光学ガラスの表面に高精度な成形面を形成できる。
ここで、モールドプレス性は、例えば後述する実施例に記載された方法によって評価することができる。
本発明の光学ガラスは、部分分散比が大きい光学ガラスであってもよい。すなわち、本発明の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)が0.63以上である光学ガラス、又は、部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係が(θg,F)>−0.0108×(ν)+0.8529の式が成り立つ範囲の光学性能を有する光学ガラスであってもよい。このような光学ガラスにすることで、部分分散比(θg,F)の大きい光学ガラスが得られるため、光学ガラスを光学素子の色収差の低減等に役立てられる。
ここで、部分分散比(θg,F)は、好ましくは0.63、より好ましくは0.64、さらに好ましくは0.644を下限としてもよい。
また、部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係は、好ましくは(θg,F)>−0.0108×[νd]+0.8529、より好ましくは(θg,F)>−0.0108×(ν)+0.8539、さらに好ましくは(θg,F)>−0.0108×(ν)+0.8549を満たすようにしてもよい。
本発明の光学ガラスは、ガラス作製時における耐失透性(明細書中では、単に「耐失透性」という場合がある。)が高いことが好ましい。これにより、ガラス作製時におけるガラスの結晶化等による透過率の低下が抑えられるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子及び光学設計に有用である。特に、本発明の光学ガラスから、精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム、ミラー等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等のような光学素子に可視光を透過させる光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性等を実現しつつ、これら光学機器における光学系の小型化を図ることができる。
本発明の実施例(No.1〜No.25)及び比較例(No.A)のガラスの組成、屈折率(n)、アッベ数(ν)、部分分散比(θg、F)、分光透過率が70%及び5%を示す波長(λ70、λ)、モールドプレス成形性、並びに、ガラス転移点(Tg)を表1〜表4に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
これら実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例及び比較例の組成で、ガラス重量が400gになるように秤量して均一に混合した後、金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で750℃〜1000℃の温度範囲で2〜3時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850〜650℃に温度を下げて1時間程度経過した後、金型に鋳込んで徐冷することによりガラスを作製した。
ここで、実施例及び比較例のガラスの屈折率、アッベ数及び部分分散比は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。そして、求められたアッベ数及び部分分散比の値について、関係式(θg,F)=−a×ν+bにおける、傾きaが0.0108のときの切片bを求めた。なお、本測定に用いたガラスとしては、徐冷降下速度−25℃/hrのアニール条件で、徐冷炉で処理したものを用いた。
また、実施例及び比較例のガラスの可視光透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの可視光透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)及びλ70(透過率70%時の波長)を求めた。
また、実施例及び比較例のガラスのモールドプレス性は、以下の方法により評価した。
実施例及び比較例のガラスから、公知の浮上成形によりプリフォームを作製した。
次いで、上述のプリフォームに対して、金型を用いてプレス成形を行った。
金型としては、上型、下型及びスリーブ型により構成されるものを用いた。金型の母材は、Pt、Au、Ir、Ni、Cr、Mo、Rh,Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Re及びCからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上からなり、上型及び下型の成形面が直径9mm、深さ0.5mm、曲率半径20mmの球面形状を有しており、成形面が表面粗さRmax=0.03μmの平滑さを有する光学鏡面仕上げ面になっている金型を用いた。
上述のプリフォームを、スリーブ型の貫通孔の中に挿入された下型の成形面の中心に配置し、上型をスリーブ型の貫通孔内に挿入して、下型の成形面と上型の成形面とが対向するようにした。金型に配置されたプリフォームを金型と一緒に300〜700℃に加熱し、プリフォームのガラスが軟化したところで、上型及び下型でプリフォームを加圧してプレス成形を行い、光学素子を作製した。
このとき、作製された光学素子に失透・カン・曇り(以下、光学素子の劣化という)が無く、且つ、上述の金型の曇りと離型膜の剥離(以下、金型の劣化という)が無いガラスはモールドプレス性を◎とし、作製された光学素子や金型に僅かな劣化が認められるものの、実用上影響のないガラスはモールドプレス性を○とし、作製された光学素子や金型に僅かな劣化が認められ、且つ、実用上影響があるガラスはモールドプレス性を△とし、作製された光学素子や金型に明らかな劣化が認められるガラスはモールドプレス性を×とした(表中の空白は、モールドプレス性が未評価であることを意味する)。
また、実施例及び比較例のガラスのガラス転移点(Tg)は、窒素雰囲気中で示差熱測定装置(ネッチゲレテバウ社製 STA 409 CD)を用いた測定を行うことで求めた。ここで、測定を行う際のサンプル粒度は425〜600μmとし、100℃から800℃まで5℃/minの昇温速度で昇温した。
Figure 2014015383
Figure 2014015383
Figure 2014015383
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表1〜表4に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ70(透過率70%時の波長)が500nm以下、より詳細には460nm以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ(透過率5%時の波長)が450nm以下、より詳細には410nm以下であり、所望の範囲内であった。
一方で、比較例のガラスはλが475nmであった。
そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて、いずれも可視光に対する高い透過率を有していることが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスに対してモールドプレス成形性の評価を行ったところ、作製された光学素子や金型に劣化が認められず、又は、作製された光学素子や金型に僅かな劣化が認められるものの、実用上影響のない程度のものであった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、所望の高いモールドプレス成形性を有していた。
一方で、比較例のガラスは、ガラス転移点が525℃と高いため、ガラスを軟化させた際に金型への明らかな劣化が懸念される。
そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、高いモールドプレス成形性を有していることが明らかになった。
本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.85以上、より詳細には1.87以上であった。特に、実施例(No.1〜No.13)の光学ガラスは、屈折率(n)が2.00以上であった。その一方で、この屈折率(n)は2.30以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、所望の高い屈折率(n)を有していることが明らかになった。
本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が30以下、より詳細には26以下であった。特に、実施例(No.1〜No.13)の光学ガラスは、アッベ数(ν)が20以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、低いアッベ数(ν)を有していることが明らかになった。
本発明の実施例の光学ガラスは、ガラス転移点が500℃以下であった。特に、実施例(No.1〜No.13)の光学ガラスは、ガラス転移点が450℃以下、より詳細には430℃以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、所望の低いガラス転移点を有していることが明らかになった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、高い屈折率(n)を有しながらも、より低いアッベ数(ν)を有しており、可視光に対する高い透過率を有しており、且つ、モールドプレス成形性が高いことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いてレンズプリフォームを形成し、このレンズプリフォームに対して精密プレス成形を行ったところ、安定に様々なレンズ形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (13)

  1. 質量%で、Bi成分を50.0〜90.0%及びB成分を5.0〜50.0%含有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である光学ガラス。
  2. 質量比(Bi/B)が2.00以上15.00以下である請求項1記載の光学ガラス。
  3. 質量%で、Bi成分及びB成分の含有量の和が60.0%以上である請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 質量%で
    SiO成分 0〜20.0%
    GeO成分 0〜20.0%
    である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. 質量%で、B成分、SiO成分及びGeO成分の含有量の和が5.0%以上55.0%以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
  6. 質量%で、TeO成分の含有量が30.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. 質量%で
    ZnO成分 0〜20.0%
    である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
  8. RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)の質量和が25.0%以下である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 屈折率(nd)が1.85以上2.30以下であり、アッベ数(νd)が15以上30以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
  10. 請求項1から9のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用のプリフォーム。
  11. 請求項10のプリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
  12. 請求項1から9のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  13. 請求項11又は12記載の光学素子を有する光学機器。
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