JP2014011867A - 永久磁石モータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷運転状態であっても、また、モータ定数の変動があっても、精度良く永久磁石の減磁状態を判定できる永久磁石モータの制御装置を提供する。
【解決手段】多相電機子巻線1A、1B、1C、1Dを複数組もつ永久磁石モータ1を用いたサーボプレス装置において、負荷トルクが所定値より小さい状態を判定動作指令部41で判定して、減磁判定期間とし、前記減磁判定期間に巻線1Aの電流指令をゼロとして、巻線1Aを無負荷状態とし、この巻線軸の誘起電圧を電圧指令から測定し、前記モータの運転状態から得られる電圧基準値演算部42の値と前記誘起電圧とを比較して減磁状態判定部43において永久磁石の減磁状態を判定し、永久減磁状態と判定するときその状態を状態表示部44に表示する。
【選択図】図3

Description

本発明は、永久磁石の減磁判定を行う永久磁石モータの制御装置に関する。
永久磁石モータに流せる最大電流を決める要因のひとつに、永久磁石の減磁がある。永久磁石モータでは、そのモータで利用する磁石材料や、モータ構造で決まる最大電流を越える大きな電流を流すと磁石が永久減磁を起こし、電流を小さな値に戻しても減磁した磁石の磁束が初期の値に回復せず、不可逆減磁を起こす課題がある(以後、この状態を永久減磁と呼ぶ)。
例えば、フェライト磁石を用いたモータは、温度が低くなるほど永久減磁を起こす電流が小さくなり、ネオジム磁石を用いたモータは温度が高くなるほど永久減磁を起こす電流が小さくなる。磁石が永久減磁を引き起こしたかどうかは簡単には分かり難く、その減磁の程度の判定が必要である。また、フェライト磁石はネオジム磁石より保磁力が小さいので、フェライト磁石を用いた高トルクモータは、ネオジム磁石を用いた高トルクモータより永久減磁を起こすポテンシャルが高い。このため、フェライト磁石を用いたモータは、ネオジム磁石を用いたモータより永久減磁を引き起こしたかどうかの判定がより重要となる。
減磁を判定するために、特許文献1では、モータの無負荷運転を検出し、そのときに検出した電圧と所定の参照値を比較して、永久減磁の程度を判定している。特許文献2では、d−q軸変換を用い、実際運転中のq軸電圧とその基準値とを比較して永久減磁量を判定している。
特開2009−22091号公報 特開2005−51892号公報
しかしながら、前記公知の方法には次の課題がある。特許文献1に記載された方法は、鉄道車両のように惰行運転により明確な無負荷運転ができる環境には良いが、一般の機械では、運転中に無負荷運転を実現することが困難なために適用には難がある。また、特許文献2に記載された方法は、無負荷でなくても永久減磁状態を判定できるものの、判定にモータ定数を必要とするので、運転条件によりモータ定数、特にインダクタンスに非線形性があったり、温度などにより定数変動を受けるモータでは、減磁を精度良く判定できない課題がある。
本発明は、前期課題に対してなされたもので、その目的とするところは、無負荷運転でなくても、また、モータ定数の変動があっても、精度良く永久磁石の永久減磁状態を判定できる永久磁石モータの制御装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、永久磁石モータが有する多相電機子巻線の複数組をトルク指令に基いて駆動制御する永久磁石モータの制御装置において、
前記永久磁石モータの負荷トルクが所定値より小さいとき永久磁石の減磁判定指令を出力する判定動作指令部と、
前記判定動作指令部の減磁判定指令に基いて前記多相電機子巻線の特定の巻線組を無負荷状態にする巻線負荷設定部と、
無負荷状態に設定された巻線組の誘起電圧を検出する電圧検出部と、
モータの運転状態から電圧基準値を算出する基準値演算部と、
前記誘起電圧と電圧基準値を比較して前記誘起電圧が電圧基準値より小さいとき前記永久磁石が減磁状態にあると判定する減磁状態判定部を備えたことを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置において、前記判定動作指令部は、前記負荷トルクとして前記永久磁石モータのトルク指令が所定値より小さいとき永久磁石の減磁判定指令を出力するように構成されたことを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置おいて、前記巻線負荷設定部は、前記特定の巻線組への電流指令をゼロとすることにより無負荷状態に設定し、前記電圧検出部は、無負荷状態に設定された前記巻線組を制御する制御系から誘起電圧を検出することを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置において、前記巻線負荷設定部は、前記多相電機子巻線の各組へのトルク指令の割合を決めるゲイン切替部からなり、前記ゲイン切替部により前記特定の巻線組のトルク指令のゲインをゼロ%として無負荷状態にすると共に、このゲインを補うように残りの他の巻線組のトルク指令のゲインを100%以上に設定することを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置において、さらに、前記巻線負荷設定部として前記特定の巻線組への電流供給路に遮断器を設け、前記判定動作指令部から出力される減磁判定指令で遮断器を開放することにより前記特定の巻線組を無負荷状態にすることを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置において、さらに、前記減磁状態判定部での減磁状態の判定結果を表示する状態表示部を備えたことを特徴とする。
また、上記に記載の永久磁石モータの制御装置おいて、前記永久磁石モータはサーボプレスを駆動するモータであり、前記判定動作指令部はクランク軸の回転角度が負荷トルクが所定値より小さくなる角度のとき、永久磁石の減磁判定指令を出力するように構成されたことを特徴とする。
本発明によれば、多相電機子巻線を複数組もつモータの機能を利用して、負荷が所定値より小さい状態のとき、特定の電機子巻線のトルクをゼロとし、他の巻線でトルクを出し、トルクがゼロの巻線で観測される誘起電圧から減磁状態を把握するので、モータとしてトルクを出し運転継続をしながら永久減磁を判定できる効果がある。
すなわち、請求項1の発明によれば、負荷をもつ運転状態でも、特定巻線組に無負荷状態を設定でき、電流を流さない状態で電圧を検出できるので、モータ定数の影響を受けず、精度良く減磁状態が判別できる。
請求項2の発明によれば、前記の効果に加え、トルク指令により負荷状態を知るので、負荷トルクの状態が明確化でき、減磁判定を行ってよいか、確実に判別できる。
請求項3の発明によれば、前記の効果に加え、無負荷状態を制御的に実現、すなわち、遮断器や電圧検出器を設けることなく実現できる。
請求項4の発明によれば、前記の効果に加え、トルク指令から見たモータ全体のトルクは各電機子巻線の電流状態によらず同じ値にする、すなわち、減磁判定前、判定中、判定後ともモータ全体を同じトルクにすることができるので、減磁判定を行うか否かにかかわらず制御的に安定な運転が継続できる。
請求項5の発明によれば、前記の効果に加え、遮断器により完全な無負荷状態を作るので、無負荷状態を確実に実現できる。
請求項6の発明によれば、前記の効果に加え、確実に永久減磁状態を把握できる。
請求項7の発明によれば、前記の効果に加え、サーボプレス機械の動作特性を利用して、プレス作業、すなわち、プレス負荷には影響されずに確実に判定できるだけでなく、高負荷のプレス作業自体への影響も無い。
本発明が適用されるサーボプレス装置を示す説明図。 本発明が適用される永久磁石モータの構造図。 実施例1の詳細の制御ブロック図。 実施例1の制御フローを示す図。 実施例3の制御ブロック図。 実施例3の制御フローを示す図。 実施例4の制御ブロック図。
本発明は、多相電機子巻線を複数組もつモータの機能を利用して、モータ全体ではトルクを出しながら特定の電機子巻線組のトルクをゼロとし、他の巻線組でトルクを出し、トルクがゼロの巻線組で観測される誘起電圧から減磁状態を把握することを特徴とする。以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
(実施例1)
まず始めに本発明をサーボプレス装置に適用する実施例1について説明する。
図1は簡易表現したサーボプレス装置501を示す。ここでは、サーボプレス装置としてクランクプレスの例を示す。サーボプレス駆動用モータは永久磁石モータ1であり、モータ軸に接続されたドライブギヤ531にメインギヤ532が噛み合わされ、メインギヤ532にはクランク機構としてクランク軸533、コンロッド534が接続されている。上記クランク機構により、スライド535が、静止側のボルスタ536に対してストロークSだけ昇降可能に形成されている。クランク軸533は、永久磁石モータ1の制御により、正転、逆転や速度変化が自在に行え、また、各種スライドモーションを切替使用可能に構成されており、各種のプレス成形体に対する適応性が拡大できる。
永久磁石モータ1は、図2に示すような多相電機子巻線を複数組持ち、図では1組目、2組目、3組目……、N組目のように巻線組がN組である場合を示している。各巻線組はUVWの端子を持ち、それぞれ独立したN台のインバータ11で駆動される。各巻線組はステータのスロットに巻装されているが、図ではスロットは省略している。また、図2の場合、各巻線組はステータの全周にわたってそれぞれ特定の位置に巻装され、互いに干渉せず独立的に配置されている。各巻線組は、図2の配置だけでなく、スロットの上層、下層を利用して各巻線組が全周に渡って分布的に配置されてもでもよく、あるいは上記2つの中間的な巻装でもよい。
永久磁石モータ1は、例えば、ネオジム磁石やフェライト磁石を用いたモータである。その反負荷側モータ軸には、永久磁石モータ1の回転位置を検出するエンコーダ2が接続される。また、永久磁石モータ1のN組の巻線組はそれぞれN台のインバータに接続され、図1にインバータ群11として示されている。前記インバータ群11は、位置/速度/トルク制御部200によりPWM制御されてモータを駆動する。また、モータ1の磁石が永久減磁をしているかどうかの判定は減磁判定部400で行う。
減磁判定部400は本発明の主要部である。トルク指令により減磁判定を行うタイミングを判定し、減磁判定を行うときに位置/速度/トルク制御部200にゲイン変更の指令を出し、モータ回転数(モータの回転位置信号から得られる)、電圧指令、モータ温度を参照して判定を行う。また、判定結果を表示する。
図3は、図2において永久磁石モータ1の巻線組の数がN=4の場合のインバータ群11(11A〜11D)と、位置/速度/トルク制御部200と減磁判定部400の具体構成例を示す。永久磁石モータ1には、4つの電機子巻線1A、1B、1C、1Dが巻装されており、それぞれの巻線はインバータ11A、11B、11C、11Dに接続される。
まず、位置/速度/トルク制御部200は次のように構成される。位置指令演算部21では、モータ1の時々刻々の回転位置指令を演算する。回転位置指令は、スライド535のモーション指令から演算され、位置/速度制御部22に入力される。位置/速度制御部22は、位置指令演算部21からの位置指令とエンコーダ2からの位置検出値との偏差に応じて働き、出力線31にトルク指令τcを出力する。位置/速度制御部22は、位置指令と位置検出値との偏差に応じて働く位置制御部と、位置制御部の出力である速度指令と位置検出値から得る速度検出値との偏差に応じて働く速度制御部から構成されるのは周知の通りである。速度制御部の出力がトルク指令τcとなる。トルク指令τcはモータ1の出力トルクを指令する信号である。位置/速度制御部22は本実施例による構成で、負荷トルクに対応するモータの出力トルクを指令する。ここでは、負荷トルク≒出力トルクとして説明する。
次に、永久磁石モータ1のトルク指令τcは、ゲイン切替部23a、23b、23c、23dに入力される。ゲイン切替部23のゲインは、それぞれ各インバータ11A、11B、11C、11Dから流れる出力電流の割合を決める。すなわち、ゲイン切替部23のゲインは、トルク指令τcの各巻線組への割合であって、それぞれが発生するモータトルクの割合であり、ここでは、トルク指令τcが100%のとき、モータから発生する全トルクを100%としたとき、その巻線が負担するトルク割合がゲインの値である。たとえば、ゲイン値が100%ならば、トルク指令τcに対してその巻線は全体の1/4の25%を負担し、50%ならばトルク指令τcに対してその巻線は12.5%のトルクを負担する。このようにゲイン切替部23は、各巻線組の負担する割合を決める巻線負荷設定部として機能する。
ゲイン切替部23aの出力は、電機子巻線1Aの発生トルクを指令する信号τcaである。ゲイン切替部23aからの実トルク指令τcaは、Id/Iq指令部(電流指令部)24aに入力され、トルク指令に適する永久磁石モータ1の電機子巻線1Aのd軸の電流指令Idca、q軸の電流指令Iqcaが出力される。Id/Iq指令部24aの動作は、例えば、実トルク指令τcaに対してモータのトルクが最大になるようにId/Iq電流指令を出すように作用する。Id/Iq指令部24aからのd/q軸電流指令Idca/Iqcaは、Id/Iq電流制御部27aに入力される。
一方、インバータ11Aからのu、v相の出力交流電流iua/ivaを電流検出部25aで検出する。検出した電流検出部25aの信号を座標変換部26aでd/q軸上の電流検出信号Idfa/Iqfaとして検出する。Id/Iq電流制御部27aは、Id/Iq指令部24aからの指令信号と、座標変換部26aからの検出信号によって動作し、d/q軸の電圧を指令する信号Vdca/Vqcaを出力する。この信号は座標変換部28aを介して、静止座標系の3相電圧指令信号vuca、vvca、vwcaに変換され、PWM制御部29aに入力される。PWM制御部29aによりPWM制御信号が生成され、インバータ11AがPWM制御される。こうして、電機子巻線1Aの電流は実トルク指令τcaに応じて制御される。
これら図3に示した、Id/Iq指令部24a、電流検出部25a、座標変換部26a、Id/Iq電流制御部27a、座標変換部28a、PWM制御部29aの構成によりインバータ11Aを制御して永久磁石モータの電機子巻線1Aの交流電流を制御する方式は、永久磁石モータのベクトル制御として周知であり、詳細な説明は省略する。さらに、Id/Iq電流制御部27aにおいて、d/q軸間で電圧の非干渉制御をすることも周知である。
ゲイン切替部23bの出力は電機子巻線1Bの発生トルクを指令する信号τcbである。ゲイン切替部23bの出力からインバータ11Bへの制御構成は、上述の巻線1Aを制御する構成と同じであり、図1では破線の制御部201bで示す。動作も巻線1Aと同じである。
ゲイン切替部23cの出力は電機子巻線1Cの発生トルクを指令する信号τccである。ゲイン切替部23cの出力からインバータ11Cへの制御構成は、上述の巻線1Aを制御する構成と同じであり、図1では破線の制御部201cで示す。動作も巻線1Aと同じである。
ゲイン切替部23dの出力は電機子巻線1Dの発生トルクを指令する信号τcdである。ゲイン切替部23dの出力からインバータ11Dへの制御構成は、上述の巻線1Aを制御する構成と同じであり、図1では破線の制御部201dで示す。動作も巻線1Aと同じである。
次に、本発明の特徴である減磁状態判別について述べる。本実施例1では、モータが負荷をもつときでも、特定の1つの巻線組を無負荷状態にして、その誘起電圧を測定して減磁状態を判別するものである。
図1に戻り、クランクプレスの構造上、スライド535が図示のように上死点付近にあるとき、スライド535の質量はクランク軸533の上下方向だけに加わる。すなわち、スライド質量を保持するための負荷トルクはクランク軸533にはほとんどかからない。また、上死点付近ではプレス作業は行わないので、モータの回転トルクは小さい。
減磁状態を判別する図1、図3の減磁判定部400の構成と動作を説明する。負荷トルクが所定値より小さい状態をトルク指令から判定して永久減磁を生じているか否かの判定を行う。
位置/速度制御部22の出力線31に出力されるトルク指令τcは、判定動作指令部41に入力されている。判定動作指令部41は、トルク指令τcの大きさにより負荷状態を検知しており、負荷トルクの状態を明確化して減磁判定を行ってよいか確実に判別する。
判定動作指令部41により、トルク指令が所定値より小さいかどうか(正確には、トルク指令は正負の値がでるので、その絶対値が所定値より小さいかどうかであるが、本実施例ではトルクが所定値以下と表現)を判定し、所定値より小さい場合に減磁判定動作を行う信号(減磁判定指令)を出す。前記所定値は、例えば、N巻線組モータでm巻線組を無負荷状態にするときに、トルク指令τcの最大値を100%とすると、指令が(N−m)/N×100%より小さいかどうかを判定する。図の例では、N=4、m=1なので、所定値は75%である。こうして、トルク指令τcが所定値より小さい状態で、判定動作指令部41から減磁判定指令を出し、特定の巻線1Aのみを無負荷状態とする。
負荷トルクが所定値より小さいときに減磁判定を行うのは、図3の場合、巻線1Aを無負荷にしても、モータ全体では残りの巻線により全トルクを維持することが可能なためである。また、減磁判定指令の切り替えを頻繁に行わないようにするため、この判定にヒステリシスや時間要素を加えてもよい。
減磁判定を行うか否かにかかわらず、モータ全体でのトルクが変わらないようにするため、判定動作指令部41の出力でゲイン切替部23が動作する。ゲイン切替部23のゲインは、判定動作を行わない通常の運転状態のとき、どの切替部のゲインも100%の値とする。すなわち、常時はゲイン切替部23のゲインは100%としておき、判定動作を行うときは、全巻線組数N、無負荷状態とする巻線組数mの場合では、無負荷状態にする巻線組以外のゲイン切替部のゲインを、N/(N−m)×100%のゲインとする。図3のように、N=4巻線組で、m=1巻線組とし、特定の巻線1Aを無負荷状態にする場合では、ゲイン切替部22b、22c、22dのゲインは133%の値とする。そして、特定の巻線1Aのゲイン切替部23aのゲインを0%とする。特定の巻線組1Aのトルク指令のゲインをゼロ%として無負荷状態にすると共に、このゲインを補うように残りの他の巻線組1B、1C、1Dのトルク指令のゲインを100%以上(133%の値)に設定する。
ゲイン切替部23のゲインをこのように与えると、トルク指令τcから見たモータ全体のトルクは、減磁判定をしないときも、するときも同一にすることができる。この結果、減磁判定を行うか否かにかかわらず制御的に安定な運転が継続できる。
減磁判定状態では、ゲイン切替部23b、23c、23dのゲインは133%で、Id/Iq指令部24はゲイン切替部からの実トルク指令に従って電流を指令する。電機子巻線1B、1C、1Dの電流はこの指令に従って制御される。一方、ゲイン切替部23aのゲインは0%とし、Id/Iq指令部24aからの電流指令Idca、Iqcaをゼロとする。このとき、この制御系の構成では、インバータ11Aの出力電圧とモータ1の巻線1Aの端子電圧とが大きさも位相も一致しているときだけ、特定の巻線1Aをゼロ電流状態とできる。こうして、ゲイン切替部23a(巻線負荷設定部)により特定の巻線1Aが電流を流さない無負荷状態に設定される。
この無負荷状態のとき、d軸をロータ磁石の磁束方向にとると、Id/Iq電流制御部27aの出力のd軸成分Vdcaはゼロであり、q軸成分Vqcaだけがある値をもつ。このq軸成分Vqcaの値はモータの現在の無負荷電圧、すなわち、誘起電圧に対応する電圧になる。Id/Iq電流制御部27aの出力であるd/q軸の電圧を指令する信号Vdca/Vqcaと実際の巻線1Aの端子電圧ベクトルとの関係は、制御系の構成やインバータ11Aに供給される直流母線電圧とにより1:1に対応できる。この関係を予め確認しておけば、q軸成分Vqcaからモータの誘起電圧が分かる。このように、Id/Iq電流制御部27aは、無負荷状態に設定された特定の巻線1Aの誘起電圧を検出する電圧検出部となる。
誘起電圧検出の別法として、上記の無負荷状態のとき、実施例3に述べるように巻線1Aのモータ端子の電圧を直接検出しても良い。電圧検出部のハード的要素は必要になるが、端子電圧を直接検出するのでより精度のよい検出ができる。
一方、基準値演算部42は、モータの運転状態に応じた電圧基準値を演算して求める。すなわち、エンコーダ2から得られる回転速度とモータ1に設けた温度検出器45を参照して、磁石が永久減磁していない状態のモータの無負荷誘起電圧を演算する。この無負荷誘起電圧は電圧基準値である。通常は誘起電圧係数に回転数を掛算した値が無負荷誘起電圧演算値である。誘起電圧係数は、モータ温度、すなわち、磁石温度の関数であり、磁石特性に応じて温度の関数パターンとして基準値演算部42内に有している。あるいは、近似的にモータ温度の1次関数として基準値演算部42で演算する。こうして得られた無負荷誘起電圧を電圧基準値とする。
上記電圧のq軸成分Vqca(現在の無負荷電圧)と上記電圧基準値とを減磁状態判定部43において比較する。比較するとき、両者を同座標軸、同一次元に揃えて比較するのは言うまでもない。あるいは、座標変換部28aの出力である交流電圧の大きさを求めて比較することもできる。このようにして、電圧基準値と現在の無負荷電圧とを減磁状態判定部43において比較する。永久減磁が起きていれば、磁束が低下しているので、現在の無負荷電圧は電圧基準値より低くなる。両者の比較の割合(=現在の無負荷電圧/電圧基準値)を永久減磁率として、プレス機械の運転判断の基準とする。
減磁状態判定部43で永久減磁率の判定の結果、永久減磁状態であれば、状態表示部44で磁石が永久減磁状態である旨の表示をする。状態表示部44での表示にはいくつか方法がある。現在の無負荷電圧が電圧基準値よりある割合だけ低くなれば永久減磁状態であるとしてアラーム状態として表示する方法、永久減磁率の大小から緑色、黄色、赤色のように永久減磁の程度に応じて表示する方法、あるいは、永久減磁率のように数値表示する方法などがある。図3の状態表示部44はこの例として、状態表示部44をプレス装置の運転パターンを入力するディスプレイとし、このディスプレイ上に表示させている(44i)。表示としては、「モータ磁石の永久減磁が発生しました。○○%以内の負荷で運転して下さい。」とか、「モータ磁石の永久減磁が発生しました。装置メーカに至急連絡下さい。」などがある。
これらの表示部44を装置近くに設置して表示する。また、表示部44を装置近くだけでなく装置を監視している部署が離れている場合は、通信回線を利用して監視部署に表示内容を送ってもよい。このようにするとモータの状態を遠隔監視でき、プレス装置の状態を見守る監視装置の役割ももつ。
図4に、上記の減磁状態の判定動作を行う制御フローの例を示す。まず、トルク指令τcの絶対値が所定値より小さいかどうかを、判定動作指令部41により判定する(ステップS101)。判定基準となる所定値は上述している。判定動作指令部41はトルク指令τcが所定値より小さいとき減磁判定指令を出力する。この出力は減磁状態の判定を行うかどうかの基準になる。トルク指令値τcの絶対値が所定値より大きければ(S101でNo)、減磁状態の判定を行わずに終了する。トルク指令τcの絶対値が所定値より小さければ(S101でYes)、減磁判定を行う。まず、ゲイン切替部23のゲインを減磁判定を行うゲインに切り替える(S102)。ゲインの値は上述してあるように、常時は100%であるが、減磁判定時はゲイン切替部のゲインはそれぞれが定められた特定の値に切り替える。具体的には、電流を流す巻線1B、1C、1Dのゲイン切替部のゲインを133%とし、巻線1Aに対応するゲイン切替部23aのゲインを0%として、巻線1Aを無負荷状態にする。
次に、永久磁石モータ1の回転数とモータ温度の関数として永久減磁状態でないときの無負荷状態の誘起電圧、すなわち、電圧基準値を基準値演算部42により演算で求める(S103)。そして、Id/Iq電流制御部27aの出力電圧成分Vqcaを検出する(S104)。次いで、減磁状態判定部43において、上記検出値(出力電圧成分Vqca)と基準値とを比較して、永久磁石が永久減磁状態かどうか判定する。例えば、前記の永久減磁率を用いて判定する。判定は磁石のバラツキや検出誤差があるので、それらを考慮して永久減磁状態かどうかを判定する(S105)。なお、S102ステップでゲイン切替を行った後、巻線1Aが無負荷状態になるまでに過渡的時間が必要な場合、その時間推移を考慮して過渡状態が収まった後、S103ステップを動作させる。
ついで、減磁状態判定部43が減磁状態でないと判定したとき(S105でNo)は、減磁判定を終了するための処理に移る。減磁状態であると判定したとき(S105でYes)は、状態表示部44に磁石が永久減磁状態であることを表示する(S106)。表示の仕方は前述の通りである。
こうして、減磁判定指令から減磁状態の表示までの動作が終了するが、この後はゲイン切替部23のゲインを減磁判定しない状態、すなわち、すべてのゲイン切替部23のゲインを100%に戻し(S107)、一連の減磁判定を終了する。
なお、永久減磁の判定後、永久減磁をしている場合、磁石減磁の程度によってトルク指令τcから実トルクτca〜τcdへの指令を制限して、減磁の進行を抑えることもできる。あるいは、実際の発生トルクが減磁の影響を受けないようにスライド535のモーション指令を変更するようにしてもよい。
図4のフローでは1回の判定で永久減磁状態かどうかを判断したが、1回の測定では誤差が出る恐れがある。このため、永久減磁率をいくつかの条件で複数回算出し、総合的に永久減磁を判定してもよい。例えば、図4のS103以後のフローで、S105では減磁率の演算をだけを行いこれを記憶する。そして、永久減磁かどうかの判定と表示(S106)は行わずS107まで実行する。そして、S101に戻って上記フローを所定回数実施した後、それぞれの実行時に記憶した減磁率の平均を演算し、これによって永久減磁かどうかを判定し、表示するようにすることもできる。このようにすれば、誤差の無い正確な判断ができる。
次に、図4に示すアルゴリズムの起動タイミングについて述べる。図4のフローを高頻度で起動してもよいが、通常、モータは永久減磁が生じないように設計されているので、これを利用して起動頻度を下げることができる。このため、適当な周期、例えば数時間ごと、または、プレス機械の運転を開始する毎に図4を起動するようにしてもよい。すなわち、図4のフローで示すアルゴリズムを適当な周期で起動して、判定動作指令部41を動作させ、トルク判定条件が成立したときに、減磁判定を行うようにすることもできる。
あるいは、大きなトルクを出したとき、すなわち、大電流を流したときに永久減磁は起こりやすいので、大きなトルクを出した後に図4のアルゴリズムを起動するようにしてもよい。あるいは、モータ温度を検出しているので、この温度状態から永久減磁が起こりやすい温度状態のとき図4を起動させることができる。この場合、永久磁石モータ1がネオジム磁石のときは高温時に、フェライト磁石のときは低温時に図4を起動させる。
このように適切な時期や条件のときだけに、図4のアルゴリズムを起動させるようにすれば、減磁判定のためのサーボ制御系へのごくわずかな外乱を与える機会を少なくできる。また、判定を実施するかしないかの条件が明確であれば、判定アルゴリズムを簡易化できる。例えば、しばらく運転停止した後だけに前記のアルゴリズムを起動する場合、モータ温度は常温に近いので、常温の磁石特性として扱って、モータ温度検出をせずに電圧の基準値演算を行ってもよい。
さらに、永久磁石モータ1を高速回転で運転するために界磁弱め制御を行う場合、高速回転の状態で、減磁判定のために上記のように電機子巻き線1Aの電流指令Idca、Iqcaをゼロとして、モータに電流を流さない状態を実現しようとしても、モータの誘起電圧によりモータ側からインバータ11Aに逆電流が流れることがある。このときは、前記のような無負荷状態は実現できない。したがって、界磁弱めを行うモータでは、判定動作指令部41においてトルク指令τcの条件に加え、モータの回転速度の絶対値が所定値以下、すなわち、界磁弱め制御を行わない回転数以下であることをも条件として判定動作指令部41で減磁判定を行うかどうかの判断を行う。
さらにまた、モータの回転数が低い場合、無負荷誘起電圧は小さい。このため、低回転速度の電圧が小さな状態で減磁の判定を行うと、判定誤差が大きくなる。これを回避するために、上記とは逆にモータ回転数が所定値より高いときであることも条件に加えて判定動作指令部41で減磁判定を行うようにしてもよい。
以上のように制御すれば、所定トルク以下の負荷をもつ運転状態でも、判定にモータ定数を用いてないのでモータ定数の影響を受けず、精度良く磁石の永久減磁状態が判別できる。このようにして、磁石の永久減磁状態を判定すれば、万一、モータ駆動上のトラブルがあったとしても速やかに原因が判定できる。また、モータの回転子が回転している状態で判定しているので、判定対象が回転子上の全ての永久磁石となり、回転子上の特定部位の永久磁石に永久減磁が生じても判定できる。
また、巻線は1組のみ無負荷状態としたが、機械の状態により2組以上を無負荷状態とすることもできる。すなわち、図3の実施例は1巻線組だけを無負荷にしたが、2巻線組以上を無負荷にして各巻線組の無負荷誘起電圧の測定値の平均から、永久減磁を判定するようにしてもよい。
さらに、上記例では、無負荷状態において、Id/Iq電流制御部27aの出力のd軸成分Vdcaがゼロで、q軸成分Vqcaだけがある値をもつとしたが、座標軸の取り方(例えば、γδ軸)や制御方法により、d軸成分がゼロにならないケースでは、d軸成分とq軸成分のベクトル和を現在状態でのモータの誘起電圧としてもよい。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。負荷が所定値より小さいときに減磁判定を行うに際し、プレス機械では負荷が小さいところが特定できる。すなわち、図1において、クランクプレスの構造上、スライド535が図示のように上死点付近にあるとき、スライドの質量はクランク軸の上下方向だけに加わる。ここでは、スライド質量を保持するためのトルクはクランク軸にはほとんどかからない。また、上死点付近ではプレス作業は行わないのでモータの回転トルクが小さく、加減速も少ないので速度変化も小さい。このようにクランク軸の上死点付近ではモータトルクが小さいので、減磁状態の判定を行う信号を出力させことができる。
図3の位置指令演算部21からは、プレス装置501のクランク軸533の回転角度を指令する信号も出力される。判定動作指令部41はトルク指令ではなく、クランク軸の回転角度信号を入力として、角度が上死点付近であるかを判定し、永久磁石モータ1の永久磁石の減磁状態を判定させるタイミング信号を減磁判定指令として出力する。このように構成すれば、判定動作部41の入力信号と判定条件の変更だけで、他は前記実施例1と同じ形で実現できる。
以上のようにして制御を実行すれば、実施例1の効果に加え、上死点付近での判定なので、プレス作業、すなわち、プレス負荷には影響されずに確実に判定できるだけでなく、逆に、高負荷状態になるプレス作業自体への影響も無い。
本実施例2はクランクプレスについて述べたが、リンク機構やボールネジ機構のサーボプレスなど、他の構造のプレス機械でも同様に実施できるのは言うまでもない。同様に、機械特有の位置により負荷トルクが最大にならず、比較的変化が少ない状態が特定できる機械には、本実施例の考え方は適用できる。あるいは、運転パターンにより、負荷トルクが最大にならず、比較的変化が少ない状態が特定できる機械では、運転パターンから判定動作をするところを特定してもよい。このように、機械の特別な運転点で磁石の減磁判定を動作させることができる。
(実施例3)
図5は本発明の実施例3の制御ブロック図を示す。無負荷状態の作り方が前記実施例1、2と異なる。なお、図において図3と同一番号の部品は同一物を表す。
位置指令演算部21、位置/速度制御部22、そして、各巻線の電流を制御するゲイン切替部23の出力からPWM制御部29への制御構成、さらには、インバータ11により各巻線に電流を流す構成は、前記実施例1、2と同じである。ただし、インバータ11Aと電機子巻線1Aの電流供給路だけに遮断器13を介在させて接続する点が異なる。さらに、減磁判定部400の構成も実施例1とほぼ同じである。
次に、本実施例で特定の1つの巻線組を無負荷状態にする方法について述べる。まず、位置/速度制御部22の出力線31に出力されるトルク指令τcは、判定動作指令部51に入力されている。判定動作指令部51により、トルク指令の絶対値が所定値より小さいかどうか判定し、小さい場合に判定動作を行う信号(減磁判定指令)を出す。判定の方法は、実施例1と同じである。
減磁判定を行うとき、あるいは、行わないとき、ゲイン切替部のゲインは次のように設定する。すなわち、実施例1、2と同様にゲイン切替部23のゲインは、判定動作を行わないときはどれも100%の値とし、判定動作を行うときは、巻線数N=4、無負荷とする巻線組数m=1の場合は、ゲイン切替部22b、22c、22dのゲインを133%の値とする。無負荷状態にする巻線1Aをゲイン切替部22aのゲインを0%とする。
ゲイン切替部22のゲインを上記のように与えることにより、トルク指令演算部21から見たモータ全体のトルクは各電機子巻線の電流状態によらず同じ値にする、すなわち、減磁判定しないとき、減磁判定中とも同じトルクにすることができる。
判定動作指令部51から減磁判定指令が出力されると、上記のようにゲイン切替部でゲインを切替え、遮断器13を開く。遮断器13を開放しているので、電機子巻線1Aは無負荷状態に設定され、この電機子巻線1Aからは無負荷誘起電圧が発生する。電圧検出部は電圧検出器461と座標変換部462により構成され、電機子巻線1Aの端子電圧をVqfaとしてベクトル的大きさを検出する。ここでの演算は座標変換部26aと同じ考え方で実施する。なお、電圧の大きさは座標変換してベクトル的に検出するだけでなく、電圧検出器461で検出した交流信号を整流してその大きさ検出することもできる。こうして、現在状態でのモータの無負荷誘起電圧を検出する。このように、遮断器13は電機子巻線1Aを無負荷状態に設定するので、巻線負荷設定部として機能する。
また、基準値演算部42はエンコーダ2からの回転速度と温度検出器45からのモータ温度を参照して、モータが減磁を起こさない状態の無負荷誘起電圧を演算して求める。この無負荷誘起電圧は電圧基準値である。無負荷誘起電圧の算出は実施例1と同様にして行なわれる。
減磁状態判定部43では、電圧検出部により検出した電圧の大きさVqfaと、基準値演算部42で演算した電圧基準値とを比較する。永久磁石が永久減磁状態であれば、磁束が低下しているので、電圧検出部で検出した無負荷誘起電圧は低い。減磁状態判定部43での判定の結果、永久減磁状態であれば、状態表示部44で磁石が永久減磁状態である旨の表示をする。
図6に上記の減磁状態の判定動作の制御フローを示す。まず、トルク指令τcの絶対値が所定値より小さいかどうかを判定動作指令部51で判定する(ステップS201)。トルク指令の所定値の例は上述の通りである。トルク指令τcの絶対値が所定値より小さくないとき(S201でNo)は、減磁状態の判定を行わずに終了する。トルク指令τcの絶対値が所定値より小さいとき(S201でYes)は、ゲイン切替部23でのゲインを切り替える(S202)。ゲインの値は上述してある。次に、巻線1Aを無負荷状態にするために遮断器13を開放する(S203)。そして、遮断器が完全に開放されるまで待つ(S204)。
次に、永久磁石モータ1の回転数とモータ温度の関数として無負荷状態の誘起電圧、すなわち、減磁していない状態のモータの誘起電圧の基準値を基準値演算部42により演算する(S205)。そして電圧検出部によりモータの現在状態での無負荷時の電圧を検出する(S206)。そして、減磁状態判定部43において、上記検出値と基準値とを比較して永久磁石が永久減磁状態かどうか判定する。判定は磁石のバラツキや検出誤差があるので、それらを考慮して判定する(S207)。
ついで、減磁状態でないとき(S207でNo)は、減磁判定を終了するための処理に移る。減磁状態であると判定したとき(S207でYes)は、状態表示部44に磁石が永久減磁状態であることを表示する(S208)。
その後、減磁判定を終了するための処理に入る。まず、遮断器13を閉状態に戻し(S209)、遮断器が完全に閉路するまで待つ(S210)。そして、閉路後、ゲイン切替部23のゲインを元の値に戻す。すなわち、どのゲインも100%にする(S211)。こうして、一連の減磁判定を終了する。
以上のようにして減磁判定を行うと、遮断器13の開放により巻線1Aを完全な無負荷状態を作るので、無負荷状態を確実に実現できる。すなわち、インバータの影響を排除して確実な無負荷状態を実現できる。遮断機によりモータ端子がインバータから開放されるので、例えば、界磁弱め制御を行うシステムで、界磁弱めを行う高速域でも無負荷運転が実現でき、この回転数域で電圧測定が実施できる。したがって、界磁弱め制御を行う高速域でも減磁判定が行える。
本実施例3では1つの巻線を開放して無負荷としたが、同時に2つの巻線あるいはそれ以上を開放して、開放した巻線を無負荷状態とし、これらの巻線の電圧を検出してもよい。
(実施例4)
図7は本発明の実施例4の制御ブロック図を示す。巻線組数N=4は図5の実施例3と同じであるが、これら4つの巻線を1インバータで駆動している。各組の電機子巻線は一つのインバータ111の端子に接続される。図7おいて、図5の位置指令演算部21と位置/速度制御部22は図示省略されており、部品番号が図5と同じものは同一物を表す。
出力線31のトルク指令τcはゲイン切替部123に入力される。ゲイン切替部123の出力は、各電機子巻線が実際に発生トルクを指令する信号τcrである。ゲイン切替部123からの実トルク指令τcrは、Id/Iq指令部(電流指令部)124に入力され、トルク指令に適する永久磁石モータ1の電機子巻線のd軸電流指令Idcr、q軸電流指令Iqcrが出力される。Id/Iq指令部124からのd/q軸の電流指令Idcr/IqcrはId/Iq電流制御部127に入力される。
一方、インバータ111からのu、v相の出力交流電流を電流検出部125で検出する。検出した電流検出部125の信号を、座標変換部126でd/q軸上のd/q軸電流検出信号として検出する。Id/Iq電流制御部127は、Id/Iq指令部124からの指令信号と、座標変換部126からの検出信号によって動作し、d/q軸の電圧を指令する信号を出力する。この信号は座標変換部128を介して静止座標系の電圧指令信号に変換され、PWM制御部129に入力される。PWM制御部129によりPWM制御信号が生成され、この生成信号によりインバータ111がPWM制御される。
このようにして、インバータの出力電流が制御される。この制御方法は実施例1と同じで、永久磁石モータのベクトル制御として周知である。各電機子巻線1A、1B、1C、1Dにはインバータ111出力電流の1/4の電流が分散して流れる。
次に、減磁判定を行うときの動作について述べる。まず、判定動作指令部51により、トルク指令の絶対値が所定値より小さいかどうか判定し、小さい場合に判定動作を行う信号(減磁判定指令)を出す。判定の値は、例えば、N巻線組モータで1巻線組を無負荷状態にするとき、トルク指令τcの最大値を100%とするとき、指令が(N−1)/N×100%より小さいかどうかを判定する。図の例では、N=4なので、所定値は75%である。
ゲイン切替部123のゲインは、判定動作を行わないときは100%の値とする。判定動作を行うときは133%の値、すなわち、N/(N−1)×100%のゲインとする。ゲイン切替部122のゲインをこのように与えると、判定しないとき全巻線に電流が流れる場合と、判定時に1巻線組が開放されて本例の3巻線組に電流が流れる場合とで、トルク指令τcから見たモータ全体のトルクは、各電機子巻線の電流状態によらず同じ値にする、すなわち、減磁判定しないときと減磁判定中ともに同じトルクにすることができる。
減磁判定動作を行う信号(減磁判定指令)が出されると、上記のようにゲイン切替部123でゲインを切替え、遮断器13を開く。次に、電圧検出部は電機子巻線1Aの端子電圧を測定(電圧検出器461)し、その大きさを検出(座標変換部462)する。また、基準値演算部42はエンコーダ2から得る回転速度と温度検出器45からのモータ温度を参照して、モータが減磁状態でないときの無負荷誘起電圧(電圧基準値)を演算する。無負荷誘起電圧の算出は実施例1と同様にして行える。
そして、減磁状態判定部43で電圧検出部で検出した電圧と、基準値演算部42で演算した電圧基準値を比較し、磁石が減磁状態であるかどうかを判定する。永久減磁状態であれば、磁束が低下しているので、電圧検出部で検出した無負荷誘起電圧は電圧基準値より低い。減磁状態判定部43での判定の結果、永久減磁状態であれば、状態表示部44で磁石が永久減磁状態である旨の表示をする。
以上のように、多相電機子巻線を複数組もつモータを1インバータで駆動するときも同様にして、減磁状態を判定できる。
上記実施例はいずれも例示であり、適宜組み合わせたり、変形することができるのはいうまでもない。
1…永久磁石モータ
1A、1B、1C、1D…電機子巻線
2…エンコーダ
11…インバータ
13…遮断器(巻線負荷設定部)
21…位置指令演算部
22…位置/速度制御部
23…ゲイン切替部(巻線負荷設定部)
24…Id/Iq指令部(電流指令部)
25…電流検出器
26…座標変換部
27、27a…Id/Iq電流制御部(電圧検出部)
28…座標変換部
29…PWM制御部
τc…トルク指令
41…判定動作指令部
42…基準値演算部
43…減磁状態判定部
44…状態表示部
45 温度検出器
123…ゲイン切替部
200…位置/速度/トルク制御部
400…減磁判定部
461…電圧検出器
462…座標変換部
501…サーボプレス装置
531…ドライブギヤ
532…メインギヤ
533…クランク軸
534…コンロッド
535…スライド
536…ボルスタ

Claims (7)

  1. 永久磁石モータが有する多相電機子巻線の複数組をトルク指令に基いて駆動制御する永久磁石モータの制御装置において、
    前記永久磁石モータの負荷トルクが所定値より小さいとき永久磁石の減磁判定指令を出力する判定動作指令部と、
    前記判定動作指令部の減磁判定指令に基いて前記多相電機子巻線の特定の巻線組を無負荷状態にする巻線負荷設定部と、
    無負荷状態に設定された巻線組の誘起電圧を検出する電圧検出部と、
    モータの運転状態から電圧基準値を算出する基準値演算部と、
    前記誘起電圧と電圧基準値を比較して前記誘起電圧が電圧基準値より小さいとき前記永久磁石が減磁状態にあると判定する減磁状態判定部を備えたことを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  2. 請求項1に記載の永久磁石モータの制御装置において、
    前記判定動作指令部は、前記負荷トルクとして前記永久磁石モータのトルク指令が所定値より小さいとき永久磁石の減磁判定指令を出力するように構成されたことを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の永久磁石モータの制御装置において、
    前記巻線負荷設定部は、前記特定の巻線組への電流指令をゼロとすることにより無負荷状態に設定し、前記電圧検出部は、無負荷状態に設定された前記巻線組を制御する制御系から誘起電圧を検出することを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石モータの制御装置において、
    前記巻線負荷設定部は、前記多相電機子巻線の各組へのトルク指令の割合を決めるゲイン切替部からなり、前記ゲイン切替部により前記特定の巻線組のトルク指令のゲインをゼロ%として無負荷状態にすると共に、このゲインを補うように残りの他の巻線組のトルク指令のゲインを100%以上に設定することを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石モータの制御装置において、
    さらに、前記巻線負荷設定部として前記特定の巻線組への電流供給路に遮断器を設け、前記判定動作指令部から出力される減磁判定指令で遮断器を開放することにより前記特定の巻線組を無負荷状態にすることを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の永久磁石モータの制御装置において、
    さらに、前記減磁状態判定部での減磁状態の判定結果を表示する状態表示部を備えたことを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の永久磁石モータの制御装置において、
    前記永久磁石モータはサーボプレスを駆動するモータであり、前記判定動作指令部はクランク軸の回転角度が負荷トルクが所定値より小さくなる角度のとき、永久磁石の減磁判定指令を出力するように構成されたことを特徴とする永久磁石モータの制御装置。
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