JP2014011117A - 導電性微粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の導電性微粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する少なくとも一層の導電性金属層から構成され、前記導電性金属層が、ニッケル又はニッケル合金で形成される層を含み、このニッケル又はニッケル合金層の平均厚みと平均粒界幅の比(平均厚み/平均粒界幅)が0.1以上5未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
すなわち上記課題を解決することができた本発明の導電性微粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する少なくとも一層の導電性金属層から構成され、前記導電性金属層が、ニッケル又はニッケル合金で形成される層を含み、このニッケル又はニッケル合金層の平均厚みと平均粒界幅の比(平均厚み/平均粒界幅)が0.1以上5未満であることを特徴とする。前記粒界幅は、その標準偏差が1.7nm以上10nm以下であることが好ましい。また、前記ニッケル又はニッケル合金層は、ニッケル−リン合金から構成され、該ニッケル−リン合金中のリン濃度が4質量%以上20質量%以下であることが好ましく、基材粒子の個数平均粒子径が1.0μm以上10μm以下であることがより好ましい。
本発明には、前記導電性微粒子を含む異方性導電材料も含まれる。
本発明の導電性微粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する少なくとも一層の導電性金属層から構成されており、前記導電性金属層はニッケル又はニッケル合金で形成される層を含む。そして、このニッケル又はニッケル合金層は、その破断面に現れる粒界を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した時、平均厚みと平均粒界幅の比(平均厚み/平均粒界幅)(以下、「高さ割合」ともいう)が0.1以上5未満であることを特徴とする。このような低い高さ割合の(換言すれば、幅広の)粒界構造は、後述するように簡便に形成可能である。しかも幅広の粒界構造を形成すると、圧縮応力を適度に分散することが可能なためか、ニッケル又はニッケル合金層形成前後で粒子の圧縮破壊点の低下を抑制でき、異方性導電材材料の導電性を高めることができる。なお、粒界とは、破断面に認められる線を意味する。
平均粒界幅及び粒界幅の標準偏差は以下のように求められた値として定義される。
ニッケル又はニッケル合金層の断面のSEM写真において、層厚さ方向中央(基材粒子の表面から、上記平均厚みの1/2の距離)を通り、基材粒子の円周に平行な円弧を引く。該円弧は各粒界と交叉する(交叉する点を粒界交点という)が、隣り合う粒界交点間の距離を測り、該距離を各粒界それぞれの粒界幅とする。得られた粒界幅の値より、平均粒界幅及び標準偏差を求めることができる。なお、平均粒界幅は、単純平均値(算術平均値)である。
粒界幅の測定点数は多くなるほど平均粒界幅及び標準偏差の値は真値に収斂する為、測定点数はこの収斂が認められる範囲で適宜設定でき、例えば、5点以上10点未満の範囲で設定してもよい。
前記ニッケル合金としては、Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−Ti等のNi含有金属間化合物、及びNi又はNi含有金属間化合物と半金属又は非金属元素との合金(例えばリン合金、ホウ素合金。特にNi−P、Ni−B)が好ましく、これらの中でもリン合金(特にNi−P)が好ましい。
導電性金属層は、基材粒子表面に無電解メッキを施すことによって形成できる。
アミノ基を含有しないモノカルボン酸類において、2価のニッケルとの錯体安定度定数が1.5以上であると、形成される錯体が安定であり、所定の粒界構造を得るのが容易となるため好ましい。
前記導電性金属層の形成母材となる基材粒子は、特に制限されず、導電性微粒子用の公知の基材粒子やそれを適宜変更した粒子の中から用途に応じて適切な基材粒子を適宜選択すればよい。
従って基材粒子(樹脂粒子)の個数平均粒子径も特に制限されないが、例えば、1.0μm以上であってもよく、好ましくは1.1μm以上、より好ましくは1.2μm以上、より一層好ましくは1.3μm以上であり、例えば、50μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下である。前記基材粒子の粒子径の個数基準の変動係数(CV値)は、例えば、10.0%以下であってもよく、好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%以下、より一層好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下である。
近年の電極構造の微細化に適合させるには、基材粒子の粒径は、より一層微細であってもよく、そのような微細化基材粒子の個数平均粒子径は、例えば、10.0μm以下、好ましくは7.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下が好ましく、より一層細かくても(例えば、3.0μm以下、特に2.8μm以下であっても)よい。
前記ビニル重合体は、前記例示のものに限られず、ビニル系単量体(ビニル基含有単量体)を重合(ラジカル重合)することによって形成されるものは全て本願のビニル重合体に含まれ、このビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられる。なお、「ビニル基」には、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような官能基と重合性炭素−炭素二重結合から構成される置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
基材粒子としてアミノ樹脂粒子を用いる場合、アミノ樹脂粒子は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物により構成されるものが好ましい。前記アミノ化合物としては、例えば、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、スピログアナミン等のグアナミン化合物、メラミン等のトリアジン環構造を有する化合物等の多官能アミノ化合物が挙げられる。これらの中でも、多官能アミノ化合物が好ましく、トリアジン環構造を有する化合物がより好ましく、特にメラミン、グアナミン化合物(特にベンゾグアナミン)が好ましい。前記アミノ化合物は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
基材粒子としてオルガノポリシロキサン粒子を用いる場合、オルガノポリシロキサン粒子は、ビニル基を含有しないシラン系単量体(シラン系架橋性単量体、シラン系非架橋性単量体)の一種又は二種以上を(共)加水分解縮合することによって得られるものであればよい。前記ビニル基を含有しないシラン系単量体としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の3官能性シラン系単量体;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するジ又はトリアルコキシシラン等が挙げられる。
前記基材粒子に前記導電性金属層を形成することによって得られる本発明の導電性微粒子は、所定の粒界構造を有するため、圧縮破壊点荷重値が基材粒子に比べて低下していない点に特徴がある。導電性微粒子の圧縮破壊点荷重値そのものは、基材粒子の圧縮破壊点荷重値に応じて変化するが、例えば、10mN以上であることが好ましく、より好ましくは15mN以上であり、さらに好ましくは20mN以上である。なお圧縮破壊点荷重値の上限は特に制限されず、無破壊性であってもよいが、例えば、100mN以下であってもよく、特に60mN以下であってもよい。
また基材粒子の圧縮破壊点荷重値と比較した時の破壊点低下率(=導電性微粒子の破壊点荷重値/基材粒子の破壊点荷重値×100)は、例えば、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料として有用である。異方性導電材料としては、導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなるものが挙げられる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサー及びその組成物)も含まれる。
1.ニッケル合金層の平均厚み、平均粒界幅、及び粒界幅の標準偏差
導電性微粒子0.1gをメノウ鉢に取り、すり潰すことにより導電性金属層を破断させた。すり潰した導電性微粒子のニッケル又はニッケル合金層の厚さ方向破断面を、走査型電子顕微鏡で100,000〜150,000倍の拡大倍率で観察した。
破断面が認められる導電性微粒子5個を任意に選び、任意の点におけるニッケル又はニッケル合金層の厚みを測定し算術平均値を平均厚みとする。
次に、平均粒界幅及び粒界幅の標準偏差は以下のように求めた。
すなわち、ニッケル又はニッケル合金層の厚さ方向破断面(SEM写真)において、厚さ方向中央(基材粒子の表面から、上記平均厚みの1/2の距離)を通り、基材粒子の円周に平行な円弧を引く。該円弧は各粒界と交叉する(交叉する点を粒界交点という)が、隣り合う粒界交点間の距離を測り、該距離を各粒界それぞれの粒界幅(Xn:nは整数)とする。得られたn個の粒界幅の値を算術平均することにより平均粒界幅(X)を求め、また下記式により標準偏差を求めた。
標準偏差(nm)={((X1−X)2+(X2−X)2+・・・・(Xn−X)2)/n}1/2
導電性微粒子0.05gに王水4mlを加え、加熱下で攪拌することにより金属層を溶解しろ別した。その後、ろ液をICP発光分析装置を用いて、ニッケル及びリンの含有量を分析した。
粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径を測定し、個数基準の平均粒子径、粒子径の標準偏差を求めるとともに、下記式に従って粒子径の個数基準のCV値(変動係数)を算出した。
粒子径の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数基準平均粒子径)
なお、基材粒子では、基材粒子0.005部に界面活性剤(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とした。
島津微小圧縮試験機(島津製作所製、「MCT−W200」)を用い、室温(25℃)において10%K値を測定した。具体的には、試料台(材質:SKS平板)上に散布した試料粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.65mN/秒(0.27gf/秒))で荷重をかけた。粒子の直径が10%変位するまで粒子を変形させたときの圧縮荷重(N)と圧縮変異量(mm)を測定し、下記式に基づいて圧縮弾性率を求め、これを10%K値とした。なお測定は、試料粒子を代えながら10点行い、その結果の算術平均値を求めた。
試料粒子が破壊するまで試料を圧縮する以外は、上記10%K値の測定と同様の装置、測定方法により、室温(25℃)において試料粒子の中心方向へ荷重をかけた。試料粒子が破壊したときの荷重値を破壊点荷重(mN)とした。なお測定は、試料粒子を代えながら10点行い、その算術平均値を求めた。
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水1800部と、25%アンモニア水24部、メタノール355部を入れた。攪拌下、滴下口から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100部及びメタノール245部の混合液を添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調整した。このポリシロキサン粒子の個数平均粒子径は3.01μmであった。
得られた重合体粒子を水酸化ナトリウム等によりエッチング処理を行い親水化処理し、これを基材粒子1とした。この基材粒子1の個数平均粒子径は6.02μm、変動係数(CV値)は3.6%であった。
基材粒子1に、水酸化ナトリウム水溶液によるエッチング処理を施した後、二塩化スズ溶液に接触させ、その後、二塩化パラジウム溶液に浸漬させることにより(センシタイジング−アクチベーティング法)、パラジウム核を形成させた。パラジウム核を形成させた基材粒子10部をイオン交換水5000部に添加し、超音波照射により十分に分散させ、懸濁液を得た。この懸濁液を70℃に加熱して撹拌しながら、70℃に加熱したニッケルメッキ液310mLを添加した。前記ニッケルメッキ液は、グリシン38.7g/L、リンゴ酸10.5g/L、酢酸ナトリウム24.3g/L、硫酸ニッケル113.6g/L、次亜リン酸ナトリウム230g/Lを含有しておりpHは5.0に調整されていた。液温を70℃で保持し、水素ガスの発生が停止したことを確認してから、60分間撹拌した。その後、固液分離を行い、イオン交換水、メタノールの順で洗浄することにより、ニッケルメッキを施した導電性微粒子1を得た。
得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を撮影したSEM写真を図1に示す。
実施例1において、ニッケルメッキ液の組成を、乳酸52.5g/L、リンゴ酸10.5g/L、硫酸ニッケル110.0g/L、次亜リン酸ナトリウム230g/Lに変更し、そのpHを4.6に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりニッケルメッキを施した導電性微粒子2を得た。
実施例1の導電性金属層の形成において、ニッケルメッキ液の組成を、グリシン38g/L、酢酸ナトリウム57.0g/L、硫酸ニッケル110.0g/L、次亜リン酸ナトリウム230g/Lに変更し、そのpHを6.3に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりニッケルメッキを施した導電性微粒子3を得た。 得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察した結果を図3に示す。
破壊点荷重低下率(%)=(導電性微粒子の破壊点荷重値)/(基材微粒子の破壊点荷重値)×100
これに対して、比較例1の導電性微粒子3では、高さ割合(平均厚み/平均粒界幅)が大きく、基材粒子に比べて破壊点荷重値が著しく低下した。
Claims (5)
- 基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する少なくとも一層の導電性金属層から構成され、
前記導電性金属層が、ニッケル又はニッケル合金で形成される層を含み、
このニッケル又はニッケル合金層の平均厚みと平均粒界幅の比(平均厚み/平均粒界幅)が0.1以上5未満である導電性微粒子。 - ニッケル又はニッケル合金層の粒界幅の標準偏差が1.7nm以上10nm以下である請求項1に記載の導電性微粒子。
- ニッケル又はニッケル合金層がニッケル−リン合金から構成され、該ニッケル−リン合金中のリン濃度が4質量%以上20質量%以下である請求項1または2に記載の導電性微粒子。
- 基材粒子の個数平均粒子径が1.0μm以上10μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子を含むことを特徴とする異方性導電材料。
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