JP2014011024A - 色素増感型太陽電池用有機化合物、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用有機化合物、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物表面に担持された有機化合物(増感色素、会合抑制剤など)の結合性に優れ、耐久性(長期信頼性)を向上させ得る色素増感型太陽電池用作用電極に用いる有機化合物およびそれを用いた作用電極、色素増感型太陽電池の提供。
【解決手段】色素増感型太陽電池100用作用電極11に担持される有機化合物は式(1)の構造を有し、色素増感型太陽電池用作用電極は、基体12と基体上に設けられた金属酸化物層13とを有し、金属酸化物層は、金属酸化物及び式(1)の有機化合物を含有するもの。
Figure 2014011024

(式中、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子もしくは1価の陽イオンを表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池用有機化合物、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池に関するものである。
多孔質酸化チタン電極を用いることにより、アモルファスシリコン太陽電池に匹敵する性能を有する色素増感型太陽電池が得られる旨の報告がグレッツェルらによってなされている(非特許文献1)。また、近時、色素増感型太陽電池の応用開発研究が、国内外を問わず、様々な研究機関にて、各種電極材料の検討が盛んに行われている。例えば、上記の酸化チタン以外に、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物及びこれらの混合系等の様々な金属酸化物においても、光電変換が可能であることが報告されている。
色素増感型太陽電池の作用電極としては、導電性基板表面に成膜された金属酸化物膜の表面に増感色素を担持したものが一般的に用いられている。作用電極がその機能を充分に発揮するためには、金属酸化物と増感色素との強い結合が非常に重要となる。この目的を達成するため、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基といった、金属酸化物表面と結合しやすい結合基を導入した増感色素が一般的に用いられている。しかしながら、このような結合基を用いた場合にも、高温高湿試験や温度サイクル試験などの耐久性(長期信頼性)試験において、金属酸化物表面から増感色素が剥離しやすいといった問題があった。
このような問題点に鑑み、特許文献1には、結合基として金属アルコキシ基を導入し、金属酸化物とのより強固な化学結合を形成させる試みが提案されている。また、特許文献2には、増感色素を複合化させながら金属酸化物に担持させる方法が提案されている。これらの方法においても、85℃85%RH高温高湿試験や温度サイクル試験では、水分の影響によりまだ耐久性が不十分である。また、特許文献3には、特殊な結合基としてベンゼン環に結合した複数のヒドロキシ基を用いた増感色素が提案されているが、これらも高温高湿試験や温度サイクル試験などの耐久性は十分ではなかった。
また、電池特性の向上を目的として、金属酸化物膜の表面に増感色素以外の有機化合物も担持させる場合がある。例えば、増感色素の会合抑制剤(凝集防止剤)(特許文献4)や、増感色素を担持させた後の処理剤などである(特許文献5)。これら有機化合物は、一般的には増感作用は持たず、前者は増感色素の会合体形成を抑制する働きがあり、増感色素から金属酸化物への電子注入確率を向上させる効果を持つ。後者は、処理剤が金属酸化物に吸着すれば、金属酸化物から電解質への逆電子移動を防止する効果を持つとされる。これら会合抑制剤や処理剤として用いられる有機化合物も増感色素と同様に、金属酸化物との強い結合が要求される。特許文献4乃至5には、これら有機化合物が提案されているが、十分な耐久性を満たすものは見出されていない。
特開2001−203006号公報 特開2008−186632号公報 特開2003−142172号公報 特開2000−228233号公報 特開2003−51344号公報
J. Am. Chem. Soc. 115 (1993) 6382
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、色素増感型太陽電池用作用電極を構成する金属酸化物の表面に担持される増感色素及び会合抑制剤などの色素増感型太陽電池用有機化合物と金属酸化物との結合性を向上させ、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池の耐久性を向上させる色素増感型太陽電池用有機化合物、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明の色素増感型太陽電池用有機化合物は、下記式(1)で表される結合基を有することを特徴とする。
Figure 2014011024


(式(1)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子または1価の陽イオンを表す。)
従来の有機化合物に代えて、2,3−ジヒドロキシプロピルエステルまたはその塩である式(1)に示される有機化合物を用いることで、有機化合物と色素増感型太陽電池用作用電極を構成する金属酸化物との結合性が向上し、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池の耐久性が向上する。
かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
下記式(2)は、結合基として一般的に用いられているカルボキシル基と、金属酸化物との結合状態を示す。カルボキシル基の2個の酸素原子が、金属酸化物を構成する金属原子(M)の1つと結合していると予想される。
Figure 2014011024


(式(2)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Mは金属酸化物を構成する金属原子を表す。金属酸化物を構成する酸素原子については省略する。)
一方、下記式(3)は、本発明の有機化合物で用いられる結合基と、金属酸化物との結合状態を示す。下記式(3)のように本発明の有機化合物で用いられる結合基は、4個の酸素原子が、金属酸化物を構成する3つの金属原子と結合していると予想される。
Figure 2014011024


(式(3)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Mは金属酸化物を構成する金属原子を表す。金属酸化物を構成する酸素原子については省略する。)
つまり、従来のカルボキシル基の結合基と比べ、結合基1つ当たりの結合数が多く、より強固な結合を実現できるものと考えられる。また、色素増感型太陽電池特性の向上を目的として、増感作用を有する有機化合物(以下、増感色素ということがある。)以外の有機化合物(会合抑制剤や、増感色素を担持させた後の処理剤など)の場合であっても同様の作用が推定される。
また、本発明の色素増感型太陽電池用作用電極は、基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有し、金属酸化物層は、金属酸化物及び該金属酸化物の表面に担持された有機化合物を含有し、前記有機化合物は下記式(1)に示される有機化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2014011024


(式(1)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子または1価の陽イオンを表す。)
このような構成とすることにより、色素増感型太陽電池用作用電極を構成する金属酸化物とその表面に担持される有機化合物の結合性を向上させ、色素増感型太陽電池用作用電極の耐久性を向上させることができる。
また、本発明の色素増感型太陽電池用作用電極に用いられる有機化合物は、増感作用を有することが好ましい。
また、本発明の色素増感型太陽電池用作用電極に用いられる有機化合物は、増感作用を有さなくてもよい。
さらに、本発明の色素増感型太陽電池用作用電極に用いられる有機化合物は、増感作用を有する第一の有機化合物と、増感作用を有さない第二の有機化合物とを含むことが好ましい。
増感作用を有さない第二の有機化合物を含むと、増感作用を有する第一の有機化合物の会合抑制(凝集防止)が可能となる。さらに、第一の有機化合物だけでは被覆しきれない金属酸化物表面を被覆して電解質への逆電子移動をより効率よく防止することができる。金属酸化物表面に担持されている全ての有機化合物が増感作用を持つ場合、それらが相互作用して無輻射失活が起こり、電池特性が低下することがあるため、増感作用を有さない第二の有機化合物を含むことが好ましい。
加えて、金属酸化物は、酸化亜鉛であることが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池は、基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有する作用電極の該金属酸化物層に有機化合物が担持された色素増感型太陽電池用作用電極と、 作用電極と対向するように配設された対向電極と、作用電極及び対向電極の間に設けられた電解質と、を備え、色素増感型太陽電池用作用電極は、前述に記載の色素増感型太陽電池用作用電極であることが好ましい。
本発明によれば色素増感型太陽電池用作用電極を構成する金属酸化物の表面に担持される増感色素及び会合抑制剤などの色素増感型太陽電池用有機化合物と金属酸化物との結合性を向上させ、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池の耐久性を向上させる色素増感型太陽電池用有機化合物、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池を提供することができる。
色素増感型太陽電池100の概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
(色素増感型太陽電池)
図1は、本実施形態の色素増感型太陽電池100の概略断面図を表したものである。
色素増感型太陽電池100は、色素増感型太陽電池用作用電極としての作用電極11と、触媒層23を備える対向電極21と、これら作用電極11及び対向電極21の間に設けられた電解質31を備える。作用電極11と対向電極21とは、スペーサー41を介して対向配置され、これら作用電極11、対向電極21及びスペーサー41並びに図示しない封止部材によって画成される封止空間内に電解質31が封入されている。
(作用電極)
作用電極11は、少なくとも一部又は全面に導電性表面12aを有する基体12と、導電性表面12a上の少なくも一部又は全面に形成された多孔質構造を有する金属酸化物層13とを備え、この金属酸化物層13に増感作用を有する増感色素が担持(吸着)されることにより、増感色素担持金属酸化物層14が形成されている。また、この金属酸化物層13には式(1)の色素増感型太陽電池用有機化合物が担持(吸着)されている。この有機化合物は前述の増感作用を有する増感色素であってもよい。
(基体)
基体12としては、少なくとも金属酸化物層13を支持可能なものであればその種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状或いはシート状(フィルム状)の物が好適に用いられる。その具体例としては、例えば、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等が挙げられる。また、基体12は、透光性を有する(すなわち、透明基体である)ことが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものがより好ましい。典型的な透明基体としては、ガラス基板や、ガラス基板のガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、プラスチック板やプラスチックフィルム等が挙げられる。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましい。この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
基体12の厚さは、色素増感型太陽電池100の形状や使用条件により異なり、特に限定されないが、例えば、基体12としてガラスやプラスチック等を用いる場合には、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度が好ましく、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を用いる場合には、1μm〜1mm程度が好ましい。また、基体12の形状は、色素増感型太陽電池100の形状に応じて変更することができ、特に限定されない。
導電性表面12aは、例えば、導電性PETフィルムのように基体12上の一部に又は全面に導電膜を形成する等して、基体12に付与することができる。このように基体12上の一部に又は全面に導電膜を形成する場合、基体12として、ガラスやプラスチック等の絶縁体を用いることができる。一方、導電性を有する基体12を用いることで、基体12に導電性表面12aを付与する処理を省略することができる。
導電膜の具体例としては、可視光を透過する導電性材料であり、より具体的には、例えば、金属酸化物が挙げられる。透明又は半透明の導電膜を採用することにより、増感色素への入射光量を増加させることができる。例えば、FTO被膜付ガラス、ITO膜付PET、ITO膜付PENフィルム等が市販されている。このような金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アンチモン、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、アンチモンをドープしたSnO、SnO、InOの他、SnOにフッ素をドープしたFTO等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、薄膜化や分散処理等によって可視光が導電性表面12aを有する基体12を透過する限り、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては、例えば、炭素材料や金属等が挙げられる。炭素材料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレン等が挙げられる。また、金属の具体例としては、特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、及びそれらの合金等が挙げられる。
したがって、導電性表面12aを有する基体12は、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電性材料を基体12の表面の一部又は全面に付与することによって得ることができる。或いは、基体12を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、基体12と導電性表面12aとを一体化して導電性表面12aを有する基体12を構成することも可能である。
導電膜の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着法、CVD法及びスパッタリング法等の気相法、スプレーコート法及びスピンコート法等の各種コート法、ゾルゲル法等の液相法及び浸漬法等の公知の手法を適用できる。また、半透明或いは不透明な導電性材料を使用する場合、例えば、導電性材料の粉体等を透明なバインダー等とともに固着させる方法の他、ゾルゲル法等の液相法及び浸漬法、メッキや電析等の溶液法、スパッタリング法及び真空蒸着等の気相法等を適用することができる。さらに、基体12と導電性表面12aとを一体化して導電性表面12aを有する基体12を構成する方法も、特に限定されず、公知の手法を適用できる。例えば、基体12の成形時に上記導電膜材料を導電性フィラーとして混合させる方法等がある。
導電膜の膜厚は、用いる材料により導電性が異なるため、特に限定されず、適宜設定可能である。一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、導電膜の膜厚は0.01μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的には、100Ω/□以下が好ましく、より好ましくは10Ω/□以下、さらに好ましくは5Ω/□以下である。
なお、基体12の導電性表面12aは、必要に応じて、適宜の表面改質処理が施されていてもよい。その具体的としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理が挙げられるが、これらに特に限定されない。
(金属酸化物層)
金属酸化物層13は、TiO、ZnO、SnO、ZrO、SiO、Al、WO、Nb等の金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層であり、金属酸化物には増感色素が担持されている。
金属酸化物層13は、特に限定されないが、金属酸化物層13は、TiO又はZnOを主成分とするものが好ましい。また、金属酸化物層13は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。
金属酸化物層13の厚みは、使用する金属酸化物により最適値が異なり、特に限定されないが、一般的には、0.05μm〜50μm程度が好ましく、より好ましくは3〜30μmである。
金属酸化物層13の形成方法は、特に限定されず、公知の手法が適用可能であり、例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法等が広く知られている。好ましい形成方法としては、例えば、金属酸化物粒子を含有する調合物(例えば、分散液、スラリーやゾル等)を基体12の導電性表面12a上に付与した後に400℃〜500℃程度で高温焼結する方法が挙げられる。また、樹脂を含む基体の使用を鑑み、かかる調合物を基体12の導電性表面12a上に付与した後に50〜150℃程度の低温処理を行う方法も挙げられる。これらの手法によると、金属酸化物の粒子が凝集及び/又は結合した多孔質構造を有する金属酸化物層13を簡易に得ることができる。これらの中でも、樹脂を含む基体が使用可能となるとともに印加エネルギー量を減らして環境負荷を低減できる観点から、後者の50〜150℃程度の低温処理を行う方法が好ましい。なお、調合物の基体12の導電性表面12aへの付与方法は、特に限定されず、従来公知の塗布法等が適用可能である。
上記の金属酸化物粒子を含有する調合物は、分散媒を含む調合液(例えば、分散液、ゾル液又はスラリー液等)であることが好ましい。分散媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、エトキシエタノール、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、他の界面活性剤、酸、キレート剤等の助剤を含むものであってもよい。
なお、上述した作用電極11は、基体12の導電性表面12aと金属酸化物層13(増感色素担持金属酸化物層14)との間に、中間層を有していてもよい。中間層の材料は、特に限定されないが、例えば、上記の導電性表面12aの透明導電膜で説明した金属酸化物等が好ましい。中間層は、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体12の導電性表面12aに金属酸化物を析出或いは堆積することで形成することができる。なお、中間層は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。また、中間層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
(対向電極)
対向電極21は、導電性表面22aを有する基体22と、導電性表面22a上に形成された触媒層23とを備えている。対向電極21は、触媒層23が作用電極11の金属酸化物層13(増感色素担持金属酸化物層14)と対面するように、作用電極11と対向配置されている。
基体22及び導電性表面22aは、上述した基体12及び導電性表面12aに対応するものであり、これらと同様に公知のものを適宜採用することができ、また、基体12及び導電性表面12aにおいて説明したものを好適に用いることができる。
導電性表面22aを有する基体22の好適例としては、例えば、導電性を有する基体22の他、基体22上の一部に又は全面に導電性表面22aを有するもの等、上述した基体12及び導電性表面12aにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。基体22及び導電性表面22aは、透明、半透明、不透明のいずれであっても構わないが、増感色素への入射光量を増加させる観点から、透明又は半透明であることが好ましい。透明又は半透明の基体22及び導電性表面22aを用いることにより、意匠性を向上させることもできる。
触媒層23は、電解質に含まれる酸化還元対(例えば、I /I等)の酸化体を還元体に変化させる還元反応(例えば、I をIに還元する反応)を速やかに進行させることが可能な触媒活性を有するものである。触媒層23を構成する素材は、電解質中の酸化還元対に対して触媒活性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン、イリジウム、ルテニウム等の金属、導電性炭素(例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト(黒鉛)、ガラス炭素、アモルファスカーボン、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレン等)、導電性ポリマー等が挙げられる。
(電解質)
電解質31としては、酸化還元対を有するレドックス電解質溶液やこれをゲル化した半固体電解質或いはp型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や色素増感型太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。色素増感型太陽電池の代表的な電解質としては、例えば、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含む、アセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。
酸化還元対を有するレドックス電解質としては、一般に電池や色素増感型太陽電池等において公知のものを適宜使用することができ、特に限定されないが、例えば、I/I 系、Br/Br 系、又は、キノン/ハイドロキノン系等のレドックス電解質塩を含むものが挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、又は、臭化物塩と臭素とを組み合わせたもの等、ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたもの等である。このようなレドックス電解質塩としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選択される1種以上とハロゲン単体との組み合わせ等を用いることができる。具体的には、ヨウ化セシウムや、四級アルキルアンモニウムヨージド類としてテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド或いはトリメチルフェニルアンモニウムヨージドや、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージド或いは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドや、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド或いは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージドや、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージドや、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージドや、ピリジニウムヨージド類から選択される1種以上とヨウ素との組み合わせ、又は四級アルキルアンモニウムブロミドと臭素との組み合わせ等を用いることができる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。なお、酸化還元対の濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜10mol/Lであり、より好ましくは0.1〜5mol/Lである。
また、レドックス電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩などを含んでいてもよい。イオン性液体は、一般に電池や色素増感型太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができ、特に限定されない。イオン性液体の具体例としては、例えば、「Inorg.Chem.」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、或いは、特開平8−259543号公報等に開示されているものが挙げられる。
イオン性液体は、特に限定されないが、室温(25℃)より低い融点を有する塩、又は、室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩等と溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。素子性能を向上させるためにはできるだけ粘度が低いものが好ましい。このようなイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオン及びカチオン等が挙げられる。
イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム及びそれらの誘導体が挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、スルホニウムが好ましく、低粘度化の観点から、イミダゾリウムがより好ましい。イミダゾリウムの具体例としては、例えば、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム或いは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
イオン性液体のアニオンとしては、例えば、AlCl 或いはAlCl 等の金属塩化物や、PF 、BF 、CFSO 、N(CFSO 、F(HF) 或いはCFCOO等のフッ素含有物イオンや、NO 、CHCOO、C11COO、CHOSO 、CHOSO 、CHSO 、CHSO 、(CHO)PO 、N(CN) 或いはSCN等の非フッ素化合物イオンや、ヨウ化物イオン或いは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、イオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
電解質31は、上記したレドックス電解質を溶媒に対して溶解、分散或いは懸濁させた液状の電解質(電解液)であっても、上記したレドックス電解質を高分子物質中に保持させた固体高分子電解質であってもよい。また、レドックス電解質とカーボンブラック等の粒子状の導電性炭素材料とを含む擬固体状(ペースト状)の電解質であってもよい。なお、導電性炭素材料を含む擬固体状の電解質では、導電性炭素材料が酸化還元反応を触媒する機能を有するため、電解質中にハロゲン単体を含まなくてもよい。
電解質31は、上記したハロゲン化物塩やイオン性液体等を溶解或いは分散する有機溶媒を含んでいてもよい。この有機溶媒としては、電気化学的に不活性なものが挙げられ、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キノリン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、メチルエチルケトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジオキサン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、N−メチルピロリドン、γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン等が挙げられる。
有機溶媒は、電気化学的に不活性なものであって、高い電気伝導率を有するものが好ましい。高い電気伝導率であることにより、高い光電変換効率が得られるからである。このような有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド又はスルホラン等が挙げられる。これらは各々を単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。これらのなかでも、高い耐久性を有し、安定した光電変換効率が得られる観点から、3−メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートが好ましい。
電解質31は、要求性能に応じて、分散剤;界面活性剤;安定化剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、一般に電池や色素増感型太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。例えば、支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩等、添加剤として、t−ブチルピリジン、n−メチルイミダゾール等の塩基やグアニジウムチオシアネート等のチオシアネート類や水等を含んでいてもよい。また、ゲル化剤やオイルゲル化剤を添加することで、物理的或いは化学的にゲル化することもできる。
(色素増感型太陽電池用有機化合物)
次に、金属酸化物層13に担持(吸着)させる色素増感型太陽電池用有機化合物について説明する。本実施形態の色素増感型太陽電池用有機化合物は、下記式(1)に示される。
Figure 2014011024


(式(1)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子または1価の陽イオンを表す。)
金属酸化物に担持される材料として、従来の有機化合物に代えて、2,3−ジヒドロキシプロピルエステルまたはその塩を有する式(1)に示される有機化合物を用いることで、有機化合物と色素増感型太陽電池用作用電極を構成する金属酸化物との結合性が向上し、色素増感型太陽電池用作用電極及び色素増感型太陽電池の耐久性が向上する。
(増感作用を有する場合)
色素増感型太陽電池用有機化合物が増感色素として作用する場合には、有機化合物が光により励起されて金属酸化物に電子注入できるものであればよく、式(1)中の原子団、つまりXの構造は特に限定されない。太陽光に対する光電変換効率を向上させるためには、増感色素の吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いものが望ましい。
金属酸化物に担持させる増感色素は、特に限定されず、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わない。色素増感型太陽電池として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択できる。増感色素の具体例としては、例えば、キサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、無金属フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、無金属ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、トリスアゾ系色素、ジフェニルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、アントラキノン系色素、インジゴ系色素、フルオレノン系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
上述した増感色素は、色素担持量を増大させるとともに金属酸化物への結合性を向上させる観点から、2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩を結合基として有する。
増感色素1分子当たりの結合基の数は特に限定されないが、通常は1〜4個程度である。結合基を複数有する場合は、全てが式(1)で表される色素増感型太陽電池用有機化合物に含まれる2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩であっても良いし、2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩と他の結合基を組み合わせても良い。その場合の他の結合基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基などが挙げられる。2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩は金属酸化物に対して格段に強い結合性を持つため、1個でも十分に機能を果たすことが可能である。
例えば、増感色素としては化学式(4)〜(71)のような有機化合物が挙げられる。
Figure 2014011024
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Figure 2014011024

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Figure 2014011024
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増感色素を金属酸化物層13に担持させる方法としては、例えば、増感色素を含む溶液に金属酸化物層13を浸漬する方法、増感色素を含む溶液を金属酸化物層13に塗布する方法等が挙げられる。ここで用いる増感色素含有溶液は、増感色素を含む液状物(例えば、分散液、溶液)である。増感色素を分散或いは溶解等するための溶媒は、使用する増感色素の溶解性又は相溶性等に応じて、例えば、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができ、特に限定されない。一般的には、増感色素の溶解性が高い溶媒を選択することが好ましい。より具体的には、例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルホラン或いは3−メトキシプロピオニトリル等が挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
増感色素含有液の増感色素の濃度(色素濃度)は、一般的には、増感色素の金属酸化物層13への吸着を短時間で十分に且つ均一に行うために、ある程度、高いことが好ましい。しかし、増感色素と溶媒との組み合わせによって溶解度が異なるため、使用する増感色素の種類によって、溶解させる溶媒を適宜選択することが好ましい。通常好ましく用いられる色素濃度は、1×10−4〜3×10−3(mol/L)程度の範囲である。
(増感作用を有さない場合)
また、電池特性の向上を目的として、金属酸化物層13の表面に増感作用を有する式(1)の色素増感型太陽電池用有機化合物や他の公知の増感色素に加えて増感色素以外の有機化合物を担持させても良い。例えば、増感色素の会合抑制剤(凝集防止剤)や、増感色素を担持させた後の処理剤などである。増感色素が過剰に担持(吸着)されることによって増感色素分子に逆電子移動が起こり、電池特性が低下する場合がある。すなわち、金属酸化物表面で増感色素分子が二次元的な凝集体を形成したり、多層吸着したりすることにより分子間相互作用が強まることで軌道エネルギーが分裂し、これが無輻射失活や逆電子移動のパスを与えてしまう場合がある。この場合には、会合抑制剤(凝集防止剤)を増感色素分子間に導入することで分子間相互作用が低減され、より単一分子的な増感作用を発揮出来る様になる。その効果は、電荷分離効率が向上することによって主に電流の増大として認められるが、金属酸化物中の電子濃度の増大による電圧向上にも寄与すると考えられる。増感色素を担持させた後の処理剤は、金属酸化物表面の増感色素に覆われていない部分を埋めることにより、金属酸化物から電解質への逆電子移動を防止すると考えられている。
これら有機化合物は増感作用を持たないものである。色素増感型太陽電池は一般的に、金属酸化物の自己励起による光酸化劣化を防止するため、紫外線をカットして用いる場合が多い。従って、より具体的には、360nm以上の可視光領域に吸収を有さず、かつ、可視光により励起されて金属酸化物に電子注入しない有機化合物である。
有機化合物が増感作用を持たない場合には、式(1)中の原子団、つまりXの構造は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基などが挙げられる。また、これらはX中にさらに置換基を有していても良い。
式(1)のX中の置換基としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、複素環残基(例えばピリジル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基または酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3ーフェニルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカルボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN−フェニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(アミノ、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)、等が挙げられる。
式(1)のX中の置換基の炭素原子上にはさらに上記の置換基があっても良い。
有機化合物1分子当たりの結合基の数は特に限定されないが、通常は1〜4個程度である。結合基を複数有する場合は、全てが式(1)で表される色素増感型太陽電池用有機化合物に含まれる2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩であっても良いし、2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩と他の結合基を組み合わせても良い。その場合の他の結合基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基などが挙げられる。2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩は金属酸化物に対して格段に強い結合性を持つため、1個でも十分に機能を果たすことが可能である。
例えば、増感作用を有さない有機化合物としては化学式(72)〜(109)のような有機化合物が挙げられる。
Figure 2014011024
Figure 2014011024

Figure 2014011024
これらの増感作用を有さない有機化合物を金属酸化物層13に担持させる方法としては、例えば、増感色素と増感作用を有さない有機化合物を含む溶液に金属酸化物層13を浸漬する方法、増感色素と増感作用を有さない有機化合物を含む溶液を金属酸化物層13に塗布する方法等が挙げられる。また、増感作用を有さない有機化合物を含む溶液に予め増感色素が担持された金属酸化物層13を浸漬する方法、増感作用を有さない有機化合物を含む溶液を増感色素が担持された金属酸化物層13に塗布する方法等が挙げられる。
なお、式(1)で表される色素増感型太陽電池用有機化合物は、耐酸性の低い金属酸化物にも用いることができる。耐酸性の低い金属酸化物としては、酸化亜鉛が挙げられる。増感色素または会合抑制剤の1分子当たりにカルボキシル基を多数有する場合や、スルホン酸基のような酸性度の強い結合基を含む場合、金属酸化物に色素増感型太陽電池用有機化合物を吸着させ、金属酸化物層13を作製する過程において、その酸性度によって酸化亜鉛表面が溶解し、色素増感型太陽電池用有機化合物と酸化亜鉛の複合体が出来る可能性がある。その結果、増感色素や会合抑制剤としての機能を失い、電池特性が大きく低下する。その点、式(1)で表される色素増感型太陽電池用有機化合物に含まれる結合基では、酸性度が低いため酸化亜鉛の溶解を抑制することができ、そのような問題が起こらない。
以上説明したような各構成要素材料を準備した後、従来公知の方法で作用電極11と対向電極21とを電解質31を介して対向させるように組み上げることにより、色素増感型太陽電池100が得られる。
(実施例1)
まず、以下の手順で酸化チタンゾル液を調整した。
125mlのチタンイソプロポキシドを0.1M硝酸水溶液750mlに攪拌しながら添加し、さらにこれを80℃で8時間激しく攪拌した。得られた液体をテフロン(登録商標)製の圧力容器内で230℃、16時間オートクレーブ処理した。次いで、得られたゾル液を攪拌し、沈殿物を再懸濁させた。その後、吸引濾過により、再懸濁しなかった沈殿物を取り除き、エバポレーターで酸化チタン濃度が11wt%になるまでゾル液を濃縮した。得られたゾル液にポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(商品名:フオスフアノールML−220、東邦化学工業製)を酸化チタン重量に対し5wt%添加し、その後、1時間攪拌した。かくして得られたゾル液を酸化チタン濃度が2wt%となるようにメタノールで希釈することで、実施例1の酸化チタンゾル液を得た。
次に、上記の実施例1の酸化チタンゾル液を用い、以下の手順で金属酸化物層(酸化チタン)を作製した。
縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO)の導電膜上に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、その四角穴に向けて酸化チタンゾル液をスプレー塗布することで、その四角穴の内側で露出する導電膜上に酸化チタンゾル液を付与した。その後、マスキングテ−プを剥がし、電気炉を用いて100℃で30分間加熱することで、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する酸化チタン膜を形成した。なお、加熱時の昇温速度は2℃/minとした。
次いで、得られた酸化チタン中に含まれる硝酸成分を除去するため、酸化チタンをアルカリ溶液で処理した。具体的には、アルカリ溶液として2wt%のアンモニア水/メタノ−ル希釈溶液を用い、この溶液中に酸化チタンを30分浸漬し、その後、取り出してメタノ−ルで洗浄し、さらに80℃で10分間乾燥させた。
次に、増感色素として化学式(21)の化合物を3×10−4M濃度で添加したクロロホルム溶液20mlに金属酸化物(酸化チタン)を浸漬し、室温で12時間放置した。放置後、これを取り出してクロロホルムで洗浄し自然乾燥させた。
以上の操作により、金属酸化物の表面に増感色素が担持された金属酸化物層、つまり増感色素担持金属酸化物層を基体の導電性表面上に有する実施例1の作用電極を得た。
そして、上記の実施例1の作用電極を用い、以下の手順で色素増感型太陽電池を作製した。
まず、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた縦1.5cm、横1.5cm、厚さ70μmのスペーサーを、四角穴の部分と増感色素担持金属酸化物層の部分とが一致するように、作用電極上に載置して密着させた。そして、四角穴の部分に電解液を充填し、その後、スペーサー上に対向電極を載せ、さらに周囲をエポキシ樹脂で封止することで、実施例1の色素増感型太陽電池を作製した。ここで、電解液としては、テトラプロピルアンモニウムヨウジド(0.4M)とヨウ素(0.04M)を含むメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。また、対向電極としては、白金を100nmの厚さで蒸着した導電性ガラスを用いた。
得られた実施例1の色素増感型太陽電池の電池特性を、AM−1.5(1000W/m)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。電池特性は、開放電圧(Voc)、光電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、変換効率(η)の4項目を測定した。なお、開放電圧(Voc)は、太陽電池セル・モジュールの出力端子を開放したときの両端子間の電圧を表す。光電流密度(Jsc)は、太陽電池セル・モジュールの出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(1cm当たり)を表す。また、形状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/Voc・Jsc)であり、太陽電池としての電流電圧特性曲線の特性を表すパラメータである。さらに、光電変換効率(η)は、光電変換素子の電圧をソースメータにて掃引して応答電流を測定することで得られる、電圧と電流との積である最大出力を1cmあたりの光強度で除した値に100を乗じてパーセント表示したものであり、(最大出力/1cmあたりの光強度)×100で表される。これらの結果を表1に示す。
また、耐久性(長期信頼性)を評価するために、85℃85%RHで500hr放置した後の光電変換効率、及び、60℃〜−20℃の温度サイクル試験(1サイクル1時間×100回)を実施した後の光電変換効率を測定し、先に測定した(初期の)光電変換効率からの変動率(%)を各々算出した。これらの結果を、表1に併せて示す。
(比較例1)
増感色素として化学式(110)に示す化合物を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例1の作用電極を作製した。さらに、得られた比較例1の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例1の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024

(実施例2)
増感色素として化学式(34)の化合物を5×10−4M濃度で添加したエタノール溶液20mlに作用電極を浸漬し、80℃で10時間還流した。その後、作用電極を取り出してエタノールで洗浄し自然乾燥させ、実施例2の作用電極を作製した。この実施例2の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例2の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
増感色素として化学式(111)の化合物を5×10−4Mと、0.1NのHClを添加したエタノール溶液20mlに作用電極を浸漬し、80℃で10時間還流した。その後、作用電極を取り出してエタノールで洗浄し自然乾燥させ、比較例2の作用電極を作製した。この比較例2の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例2の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例3)
増感色素として化学式(70)の化合物を3×10−4M濃度で添加したエタノール溶液20mlに作用電極を浸漬し、室温で12時間放置した。その後、作用電極を取り出してエタノールで洗浄し自然乾燥させ、実施例3の作用電極を作製した。この実施例3の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例3の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
増感色素として化学式(112)に示す化合物を用いること以外は、実施例3と同様に行い、比較例3の作用電極を作製した。得られた比較例3の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例3の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例4)
増感色素として化学式(69)に示す化合物をアセトニトリル、t−ブタノールの1:1混合溶媒に5×10−4Mの濃度で溶解した溶液20mlを準備した。さらに、この溶液に会合抑制剤として化学式(107)に示す化合物を1×10−3Mの濃度で溶解させた。この溶液に作用電極を浸漬し、室温で20分間放置した。その後、作用電極を取り出してアセトニトリルで洗浄し自然乾燥させ、実施例4の作用電極を作製した。得られた実施例4の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例4の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
増感色素として化学式(113)に示す化合物を、会合抑制剤として化学式(114)に示す化合物を用いること以外は、実施例4と同様に行い、比較例4の作用電極を作製した。得られた比較例4の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例4の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例5)
増感色素として化学式(71)に示す化合物を、会合抑制剤として化学式(75)に示す化合物を用いること以外は、実施例4と同様に行い、実施例5の作用電極を作製した。得られた実施例5の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例5の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
増感色素として化学式(115)に示す化合物を、会合抑制剤として化学式(116)に示す化合物を用いること以外は、実施例4と同様に行い、比較例5の作用電極を作製した。得られた比較例5の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例5の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例6)
増感色素として化学式(34)に示す化合物をアセトニトリル、エタノールの1:1混合溶媒に3×10−4Mの濃度で溶解した溶液20mlを準備した。この溶液に作用電極を浸漬し、室温で16時間放置した。その後、作用電極を取り出してエタノールおよびアセトニトリルで順次洗浄し自然乾燥させた。さらに、増感色素吸着後の処理剤として化学式(108)に示す化合物をアセトニトリルに1×10−2Mの濃度で溶解した溶液20mlを準備した。この溶液に前記作用電極を浸漬し、40℃で1.5時間放置した。その後、作用電極を取り出してアセトニトリルで洗浄し自然乾燥させ、実施例6の作用電極を作製した。得られた実施例6の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例6の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
増感色素として化学式(117)に示す化合物を、増感色素吸着後の処理剤として化学式(118)に示す化合物を用いること以外は、実施例6と同様に行い、比較例6の作用電極を作製した。得られた比較例6の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例6の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例7)
増感色素として化学式(22)に示す化合物を5×10−4Mの濃度で溶解したエタノール溶液20mlを準備した。さらに、この溶液に会合抑制剤として化学式(109)に示す化合物を5×10−3Mの濃度で溶解させた。この溶液に作用電極を浸漬し、室温で3時間放置した。その後、作用電極を取り出してエタノールで洗浄し自然乾燥させ、実施例7の作用電極を作製した。得られた実施例7の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例7の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
増感色素として化学式(119)に示す化合物を、会合抑制剤として化学式(120)に示す化合物を用いること以外は、実施例7と同様に行い、比較例7の作用電極を作製した。得られた比較例7の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例7の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
(実施例8)
増感色素として化学式(35)および化学式(36)に示す化合物を2×10−4Mの濃度で溶解したトルエン溶液20mlを準備した。さらに、この溶液に増感色素複合化のためのアミン触媒を5×10−3Mの濃度で溶解させた。この溶液に作用電極を浸漬し、80℃で30分間放置した。その後、作用電極を取り出してトルエンで洗浄し自然乾燥させ、実施例8の作用電極を作製した。得られた実施例8の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例8の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
増感色素として化学式(121)およびに化学式(122)に示す化合物を用いること以外は、実施例8と同様に行い、比較例8の作用電極を作製した。得られた比較例8の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例8の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024

(実施例9)
以下の手順で酸化亜鉛スラリー液を調整した。
市販の酸化亜鉛粒子(商品名:nano ZINC100、本荘ケミカル製)をトルエンに対して30wt%添加し、さらにポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸(商品名:フオスフアノール RL−310、東邦化学工業製)を酸化亜鉛重量に対し4wt%添加した。その後、ペイントシェーカーを用いて30分間分散処理を行うことで、実施例3の酸化亜鉛スラリー液を得た。
次に、上記の実施例9の酸化亜鉛スラリー液を用い、以下の手順で金属酸化物層(酸化亜鉛)を作製した。
縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO)の導電膜上に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、その四角穴に向けて酸化亜鉛スラリー液をスプレー塗布することで、その四角穴の内側で露出する導電膜上に酸化亜鉛スラリー液を付与した。その後、マスキングテ−プを剥がし、電気炉を用いて100℃で30分間加熱することで、金属酸化物(酸化亜鉛)を形成した。なお、加熱時の昇温速度は2℃/minとした。
得られた実施例9の金属酸化物を用いること以外は、実施例6と同様に行い、実施例9の作用電極を作製した。得られた実施例9の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた実施例9の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例9)
実施例9と同様に金属酸化物として酸化亜鉛を用いたこと以外は、比較例6と同様に行い、比較例9の作用電極を作製した。得られた比較例9の作用電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例9の色素増感型太陽電池につき、実施例1と同様に各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014011024
金属酸化物層に担持された色素増感型太陽電池用有機化合物の結合基を2,3−ジヒドロキシプロピルエステルもしくはその塩とすることで、色素増感型太陽電池の耐久性(長期信頼性)が格別に向上することが確認された。
さらに、金属酸化物として酸化チタンを用いた実施例6と比較例6、および金属酸化物として酸化亜鉛を用いた実施例9と比較例9の対比より、金属酸化物として酸化亜鉛を用いる場合には、さらに格別の効果があることが確認された。
以上説明した通り、金属酸化物に担持された有機化合物(増感色素、会合抑制剤など)の結合性に優れた、耐久性を向上させ得る電極を実現でき、本発明は、電子・電気材料、電子・電気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能であり、特に、光電変換素子及び色素増感型太陽電池の分野において有効に利用可能である。
11…作用電極、12…基体、12a…導電性表面、13…金属酸化物層、14…増感色素担持金属酸化物層、21…対向電極、22…基体、22a…導電性表面、23…触媒層、31…電解質、41…スペーサー、100…色素増感型太陽電池。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される結合基を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用有機化合物。
    Figure 2014011024

    (式(1)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子または1価の陽イオンを表す。)
  2. 基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有し、
    前記金属酸化物層は、金属酸化物及び該金属酸化物の表面に担持された有機化合物を含有し、
    前記有機化合物は下記式(1)に示される有機化合物を含むことを特徴とする色素増感型太陽電池用作用電極。
    Figure 2014011024

    (式(1)において、Xは炭素原子および水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子、遷移金属原子から選ばれる原子により構成された原子団を表す。Y、Zはそれぞれ、水素原子または1価の陽イオンを表す。)
  3. 前記有機化合物は、増感作用を有することを特徴とする請求項2に記載の色素増感型太陽電池用作用電極。
  4. 前記有機化合物は、増感作用を有さないことを特徴とする請求項2に記載の色素増感型太陽電池用作用電極。
  5. 前記有機化合物は、増感作用を有する第一の有機化合物と、増感作用を有さない、第二の有機化合物とを含むことを特徴とする請求項2に記載の色素増感型太陽電池用作用電極。
  6. 前記金属酸化物は、酸化亜鉛であることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用作用電極。
  7. 色素増感型太陽電池用作用電極と、
    前記色素増感型太陽電池用作用電極と対向するように配置された対向電極と、
    前記色素増感型太陽電池用作用電極及び前記対向電極の間に設けられた電解質と、を備え、
    前記色素増感型太陽電池用作用電極は、請求項2から6のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用作用電極であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
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