JP2014009225A - 有機半導体デバイスおよび化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低電位で駆動する有機半導体デバイスの提供。
【解決手段】中心がトリフェニレン構造である特定のポリアザスターフェン化合物。具体的には、次式

により合成される例示化合物(1)が例示される。該化合物は、有機半導体デバイス、好ましくは有機エレクトロルミネセンス素子として用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子などの有機半導体デバイスと、それに用いる化合物に関する。
トリナフチレンやトリアントラセンのように、中央のベンゼン環から放射状に縮合ベンゼン環構造が伸びる基本環骨格を有する化合物であって、放射状に伸びる縮合ベンゼン環構造を構成する炭素原子のうちの2つ以上が窒素原子に置換されている化合物(ポリアザスターフェン化合物)が知られている。このようなポリアザスターフェン化合物については、これまでに若干の研究や発明がなされている。
例えば、特許文献1には、下記一般式で表される構造を有する化合物が記載されており、一般式中のR1〜R6は水素原子、ハロゲン含有基、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニルエステル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数30以下の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数30以下の置換あるいは無置換の複素環基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基から選ばれる置換基であり、X1〜X6およびY1〜Y6は炭素原子または窒素原子であり、m,nおよびpは0以上の整数であり、n+m+p≠0であるものとされている。しかし、特許文献1に具体的に記載されている化合物は、X1〜X6がすべて窒素原子であり、mが1で,nおよびpが0または1である化合物であり、その他の化合物は記載されていない。特許文献1には、この一般式で表される化合物を正孔注入層や真正電荷発生層に用いることにより、表示素子の長寿命化を図れることが記載されている。
特開2006−135145号公報
特許文献1には、上記のような極めて広範囲の化合物を包含する一般式が記載されているが、X1〜X6がすべて窒素原子である化合物しか具体的な記載がなされていないため、X1〜X6が窒素原子以外の原子である場合については化合物の有用性を読み取ることができない。また、特許文献1には、m,nおよびpが0または1の化合物しか具体的な記載がなされていないため、m,nまたはpが2以上である場合についても化合物の有用性を読み取ることができない。このように、特許文献1に記載されている一般式に包含される化合物であっても、その有用性が不明である範囲がかなり存在する。このように、ポリアザスターフェン化合物については、これまでに検討されていない領域がかなり存在しており、化合物の化学構造に基づいて物性や有用性を予測することは困難な状況にある。特に、X1〜X6がすべて炭素原子であって、m,nおよびpが1以上の化合物は、特許文献1に具体的に記載されている化合物とは基本骨格が異なるため、その物性や有用性を予測することは極めて困難である。本発明者らはこのような技術の現状や課題を考慮して、これまでに十分な検討がなされていないポリアザスターフェン化合物について、その有用性を評価することを目的として検討を進めた。また、有機半導体デバイスの材料として有用な化合物の一般式を導きだし、有用な有機半導体デバイスの構成を一般化することも目的として鋭意検討を進めた。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、中心がトリフェニレン構造である特定のポリアザスターフェン化合物が、有機半導体デバイスの材料として有用であることを明らかにした。また、そのような化合物を含む層を有する有機半導体デバイスが低電位で駆動することも明らかにした。本発明者らは、この知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物を含む層を有することを特徴とする有機半導体デバイス。
[一般式(1)において、R1〜R6は各々独立にハメットのσpara値が0.2〜1.0の置換基を表す。R1とR2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R3とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R5とR6は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は各々独立に0、1または2を表す。]
[2] 前記一般式(1)において、R1〜R6が各々独立にハメットのσpara値が0.3〜0.8の置換基であることを特徴とする[1]に記載の有機半導体デバイス。
[3] 前記一般式(1)において、R1〜R6がシアノ基であることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機半導体デバイス。
[4] 前記一般式(1)において、X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6のうちの少なくとも6つが窒素原子であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
[5] 前記一般式(1)において、(n1+n2+n3)、(p1+p2+p3)、(q1+q2+q3)が、各々独立に1または2であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
[6] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
[一般式(2)において、XおよびYは、一方が炭素原子を表し、他方が窒素原子を表す。m1およびm2は各々独立に0または1を表す。]
[7] 有機発光素子であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
[8] 有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
[9] 上記一般式(1)で表される化合物。
[10] 上記一般式(2)で表される化合物。
本発明の有機半導体デバイスは、低電位で駆動するという特徴を有する。このため、例えば発光効率が良好で長寿命な有機エレクトロルミネセンス素子などを提供することが可能である。また、本発明の化合物を用いれば、このような優れた性能を有する有機半導体デバイスを容易に提供することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[一般式(1)で表される化合物]
本発明の有機半導体デバイスは、下記一般式(1)で表される化合物を含む層を有することを特徴とする。そこで、一般式(1)で表される化合物について、まず説明する。
一般式(1)において、R1〜R6は各々独立にハメットのσpara値が0.2〜1.0の置換基を表す。ハメットのσpara値は、L.P.ハメットにより提唱されたものであり、パラ置換ベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したものである。具体的には、パラ置換ベンゼン誘導体における置換基と反応速度定数または平衡定数の間に成立する下記式:
log(k/k0) = ρσpara
または
log(K/K0) = ρσpara
における置換基に特有な定数(σpara)である。上式において、kは置換基を持たないベンゼン誘導体の速度定数、k0は置換基で置換されたベンゼン誘導体の速度定数、Kは置換基を持たないベンゼン誘導体の平衡定数、K0は置換基で置換されたベンゼン誘導体の平衡定数、ρは反応の種類と条件によって決まる反応定数を表す。ハメットのσpara値に関する説明と各置換基の数値については、J.A.Dean編 "Lange’s Handbook of Chemistry 第13版"、1985年、3-132〜3-137頁、McGrow-Hill を参照することができる。
ハメットのσpara値が0.2〜1.0の置換基として、Cl、Br、I、COOR11(R11は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す)、COR12(R12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアミノ基を表す)、SO213(R13は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す)、CN、NO2などを挙げることができる。R11、R12およびR13が採りうるアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。R11、R12およびR13が採りうるアリール基は、単環からなるものであっても融合環を含むものであってもよい。アリール基の環骨格を構成する炭素原子数は6〜22であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましい。例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基を好ましい例として挙げることができ、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましい。
11、R12およびR13が採りうるアルキル基、アリール基、アミノ基は置換されていてもよいが、そのような置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
ハメットのσpara値が0.2〜1.0である置換基の具体例として、Cl、Br、I、COOH、COOCH3、COOC25、COOn−C37、COOi−C37、CHO、COCH3、COC25、COn−C37、COi−C37、COC65、CON(CH32、CON(C252、CON(C652、SO2CH3、SO2CF3、SO265、SO265、CN、NO2などを挙げることができる。R1〜R6は、ハメットのσpara値が0.3〜0.8の置換基であることがより好ましく、そのような置換基として、CHO、COOC25、CN、NO2などを挙げることができる。
1〜R6は、すべてが同一の置換基であってもよいし、すべてが異なる置換基であってもよいし、一部が同一の置換基であってもよい。好ましいのは、一部または全部が同一の置換基である場合である。具体的には、R1とR2が同一であり、R3とR4が同一であり、R5とR6が同一である場合や、R1とR3とR5が同一であり、R2とR4とR6が同一である場合や、R1〜R6がすべて同一である場合を例示することができる。これらの場合は、合成が比較的容易であるという利点を有する。
1とR2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R3とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R5とR6は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。形成される環状構造は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。R1とR2、R3とR4、またはR5とR6が互いに結合した構造として、例えば下記式(3)または(4)で表される構造を挙げることができる。
一般式(3)および一般式(4)において、Q1〜Q4は各々独立にCOまたはSO2を表す。Q1とQ2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが合成が容易である点で好ましい。また、Q3とQ4も同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが合成が容易である点で好ましい。R21は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。R22〜R25は各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。ここでいうアルキルおよびアリール基の説明と好ましい範囲については、上記のR11、R12およびR13が採りうるアルキル基およびアリール基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(1)において、X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6は、各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6は、すべてが炭素原子であってもよいし、すべてが窒素原子であってもよい。好ましいのは、X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6の少なくとも6つが窒素原子である化合物である。より好ましいのは、X1、X2、Y1、Y2、Z1およびZ2の少なくとも2つが窒素原子であり、X3、X4、Y3、Y4、Z3およびZ4の少なくとも2つが窒素原子であり、X5、X6、Y5、Y6、Z5およびZ6の少なくとも2つが窒素原子である化合物である。例えば、X1、X2、Y1、Y2、Z1およびZ2のうちの2つが窒素原子であり、X3、X4、Y3、Y4、Z3およびZ4のうちの2つが窒素原子であり、X5、X6、Y5、Y6、Z5およびZ6のうちの2つが窒素原子である化合物を挙げることができる。
合成の容易性という観点からは、X1とX2は同一原子であることが好ましく、Y1とY2は同一原子であることが好ましく、Z1とZ2は同一原子であることが好ましく、X3とX4は同一原子であることが好ましく、Y3とY4は同一原子であることが好ましく、Z3とZ4は同一原子であることが好ましく、X5とX6は同一原子であることが好ましく、Y5とY6は同一原子であることが好ましく、Z5とZ6は同一原子であることが好ましい。また、X1〜X6が同一の原子であり、Y1〜Y6が同一の原子であり、Z1〜Z6が同一の原子であることも好ましい。このとき、X1〜X6が窒素原子であり、Y1〜Y6が炭素原子であり、Z1〜Z6が窒素原子であるか、あるいは、X1〜X6が炭素原子であり、Y1〜Y6が窒素原子であり、Z1〜Z6が炭素原子である組み合わせを好ましく例示することができる。
一般式(1)において、n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は各々独立に0、1または2を表す。例えば、n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3がすべて0であってもよい。n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は各々独立に0または1であることが好ましい。また、n1、p1およびq1が同一であり、n2、p2およびq2が同一であり、n3、p3およびq3が同一であることも好ましい。例えば、n2、p2およびq2をすべて1としたりすることができる。さらに、(n1+n2+n3)、(p1+p2+p3)、(q1+q2+q3)が、各々独立に1または2であることも好ましく、(n1+n2+n3)と(p1+p2+p3)と(q1+q2+q3)とがいずれも1であるかいずれも2であることがさらに好ましい。
一般式(1)におけるn1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3の組み合わせとして、例えば、n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3がすべて1である場合や、n1、p1およびq1が1であってその他がすべて0である場合や、n1、p1およびq1が2であってその他がすべて0である場合や、n1、p1、q1、n2、p2およびq2が1であってその他がすべて0である場合や、n1、p1およびq1が2であってn2、p2およびq2が1であってその他がすべて0である場合や、n1、p1およびq1が2であってその他がすべて1である場合や、n1、p1、q1、n2、p2およびq2が1であってその他がすべて2である場合を例示することができる。
一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(2)で表される化合物を包含するものである。
一般式(2)において、XおよびYは、一方が炭素原子を表し、他方が窒素原子を表す。m1およびm2は各々独立に0または1を表す。
以下において、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明において用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、一般式(1)で表される最も分子量が小さな化合物の分子量である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を有機半導体デバイスに用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造を有する重合性モノマーを重合させた重合体を、有機半導体デバイスに用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のR1〜R6のいずれかに重合性官能基を有するモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を有機半導体デバイスに用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを有機半導体デバイスに用いることも考えられる。
一般式(1)で表される構造を含む重合体を構成する繰り返し単位の構造例として、一般式(1)のR1〜R6のいずれかが下記一般式(5)または(6)で表される構造であるものを挙げることができる。
一般式(5)および(6)において、L1およびL2は連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。連結基は−X11−L11−で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。本発明では、置換基として電子求引基を有しているものを採用することが好ましい。
一般式(5)および(6)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
繰り返し単位の具体的な構造例として、一般式(1)のR1〜R6のいずれかに下記式(7)〜(10)のいずれかの構造を含むものを挙げることができる。ただし、これらの構造に連結基として含まれているエチレン基やフェニレン基は電子求引基で置換されていることが好ましい。R1〜R6のうちの2つ以上が、下記式(7)〜(10)のいずれかの構造を含むものであってもよいが、好ましいのはR1〜R6のうちの1つが下記式(7)〜(10)のいずれかの構造を含むものである場合である。
これらの式(7)〜(10)を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)のR1〜R6の少なくとも1つをヒドロキシ基を含む基にしておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもよい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(1)で表される化合物の合成法]
一般式(1)で表される化合物の合成法は特に制限されない。一般式(1)で表される化合物の合成は、既知の合成法や条件を適宜組み合わせることにより行うことができる。
例えば、一般式(1)で表される化合物は下記のスキーム1に従って合成することができる。
スキーム1におけるR1〜R6、X1〜X6、Y1〜Y6、n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は、前記の一般式(1)と同義の基または数字である。また、スキーム1におけるXa〜Xcは酸素原子または窒素原子を表す。Ra〜Rfは、それぞれR1〜R6と同義の基であるか、R1〜R6へ変換可能な基を表す。R1〜R6へ変換可能な基としては、例えばアルキル基、アリル基、ビニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基などを挙げることができ、酸化反応や求核置換反応によりR1〜R6へ変換することができる。各ステップの反応条件や手順については、類似の合成反応において採用されている公知の反応条件や手順を適宜選択して採用することができる。
また、一般式(1)で表される化合物は下記のスキーム2に従って合成することもできる。
スキーム2におけるR1〜R6、X1〜X6、Y1〜Y6、n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は前記の一般式(1)と同義の基または数字である。また、スキーム2におけるWはハロゲン原子を表し、Mは金属原子またはアンモニウム陽イオンを表す。Lは求核置換反応を行う陰イオンを表し、それぞれR1〜R6と同義の基であるか、R1〜R6へ変換可能な基を表す。nは1または2である。Wが採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。Mが採りうる金属原子としては亜鉛や銅を挙げることができ、亜鉛が好ましい。ハメットのσPARAが本発明の範囲内ではないLの例として アルキル基、アリル基、ビニル基、アルキルチオ基もしくはアリールチオ基などを挙げることができ、酸化することによりR1〜R6へ変換することができる。一般式(1d)で表される化合物を一般式(1e)で表される化合物へハロゲン化する際に用いるハロゲン化剤としては、チオニルクロリド、オキシ塩化リンおよび五塩化リンなどを挙げることができ、五塩化リンを用いることが好ましい。また、一般式(1e)で表される化合物を一般式(1f)で表される化合物へ変換する際に用いる触媒としては、例えばパラジウム、ニッケルもしくは銅系の触媒などを挙げることができ、パラジウム系触媒を用いることが好ましい。各ステップの反応条件や手順については、類似の合成反応において採用されている公知の反応条件や手順を適宜選択して採用することができる。
一般式(1)で表される化合物の合成反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
[有機半導体デバイス]
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機半導体デバイスに用いることができる。特に、本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機半導体デバイスの有機半導体層に効果的に用いることができる。有機半導体デバイスとしては、有機エネルギー変換素子を好ましい例として挙げることができる。ここでいう有機エネルギー変換素子とは、有機発光素子や有機光電変換素子などを幅広く包含する概念である。また、ここでいうエネルギー変換には、光エネルギーと電気エネルギーの間の変換のように異種エネルギー間の変換に限定されず、光エネルギーを別の波長の光エネルギーに変換する有機フォトルミネセンス素子に代表されるように同種のエネルギー間の変換も含まれる。本発明の一般式(1)で表される化合物を適用できる有機エネルギー変換素子として、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)、有機フォトルミネセンス素子(有機PL素子)、有機発光トランジスタ、有機撮像素子、有機太陽電池などを挙げることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、特に有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子に効果的に用いることができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。一般式(1)で表される化合物は電荷輸送材料として有用であり、特に正孔輸送材料として有用である。このため、一般式(1)で表される化合物は例えば正孔注入層、正孔輸送層などに好ましく用いることができる。また、発光層のホスト材料としても用いることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子以外の有機発光素子に用いることもできる。本発明の一般式(1)で表される化合物は、例えば、電解質を発光層に含んだ電気化学発光セル(LEC)の発光材料としても有用である。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光層中における発光材料の含有量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
発光材料は、発光させたい波長等を考慮して選択することができる。例えば、リン光発光材料、熱活性化型遅延蛍光材料などの蛍光材料、エキサイプレックス型発光材料といった発光材料を適宜選択して用いることができる。発光材料としては、例えば色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Pt、Irなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
リン光発光材料の具体例としては、Flrpic、FCNIr、Ir(dbfmi)、FIr6、Ir(fbppz)2(dfbdp)、FIrN4などのIr錯体や、後掲の[Cu(dnbp)(DPEPhos)]BF4や、[Cu(dppb)(DPEPhos)]BF4、[Cu(μ−l)dppb]2、[Cu(μ−Cl)DPEphos]2、Cu(2−tzq)(DPEPhos)、[Cu(PNP)]2、compound 1001、Cu(Bpz4)(DPEPhos)などのCu錯体、FPt、Pt−4などのPt錯体を好ましい例として挙げることができる。これらの構造を以下に示す。
熱活性化型遅延蛍光材料としては、例えば下記のPIC−TRZ、[Cu(PNP−tBu)]2を好ましい例として挙げることができる。
エキサイプレックス型発光材料としては、例えば下記のm−MTDATAとPBD、PyPySPyPyとNPB、PPSPPとNPBを好ましい例として挙げることができる。
上に代表的な発光材料の具体例を記載したが、本発明に用いることができる発光材料はこれらに限定されるものではなく、その他の公知の発光材料も用いることができる。主な発光材料は、例えば、シーエムシー出版、「有機ELのデバイス物理・材料化学・デバイス応用」の第9章に記載されている。
(注入層)
注入層とは、駆動電位低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、有機層の少なくとも一層に一般式(1)で表される化合物を用いる。一般式(1)で表される化合物を2層以上の有機層に用いる場合は、同一の化合物を2層以上の有機層のそれぞれに用いてもよいし、一般式(1)で表される異なる化合物を各有機層に用いてもよい。一般式(1)で表される化合物を含む層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、有機層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(合成例1) 例示化合物(1)の合成
本合成例において、以下のスキームにしたがって例示化合物(1)を合成した。
化合物1(J.Am.Chem.Soc.,2009,131,7287に記載の方法で合成)の2gと2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノピラジンの4.1gをアセトニトリル100ml中、約5時間加熱還流した。室温に戻し、沈殿物をろ過し水で洗浄して得られた固形物をTHF/メタノール系溶媒で再結晶し化合物2を3.1g得た。化合物2の2gをTHF溶液とし、その中にDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノキノン)を2.2g加え、室温下約4時間撹拌した。得られた沈殿物をろ過し、THFで洗浄することでほぼ純粋の例示化合物(1)を1.4g得ることができた。更なる精製は昇華法を用いて行った。
融点>300℃。マススペクトル;M+=690。
(合成例2) 例示化合物(6)の合成
本合成例において、以下のスキームにしたがって例示化合物(6)を合成した。
化合物1の2gと1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンの4.9gをアセトニトリル100ml中、約5時間加熱還流した。室温に戻し、沈殿物をろ過し水で洗浄して得られた固形物を乾燥した。その固形物全量をTHF溶液とし、その中にDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノキノン)を4.7g加え、室温下約4時間撹拌した。得られた沈殿物をろ過し、THFで洗浄することでほぼ純粋の化合物4を3.5g得ることができた。化合物4の2gをDMF溶液とし、Pd/C触媒を用いて接触還元し、後処理することで化合物5を定量的に得た。得られた化合物5の全量をトリフルオロ酢酸に50mlに溶解し、その中にジイミノスクシノニトリルを0.9g加え室温下4時間撹拌した。エバポレーターでトリフルオロ酢酸を留去し、残渣に水を加え撹拌後固形物をろ過し、水で洗浄した。得られた固形物をTHF/メタノール系溶媒で再結晶することでほぼ純粋な例示化合物(6)を1.5g得ることができた。さらなる精製は昇華法で行った。
融点>300℃。マススペクトル;M+=840。
(実施例1)
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上に例示化合物(1)を10nmの厚さに形成した。次に、その上にα−NPDを35nmの厚さに形成し、さらにAlq3を50nmの厚さに形成した。さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに形成することにより陰極とし、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
例示化合物(1)のかわりに例示化合物(6)を用いて、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
(比較例1)
本発明の化合物を用いることなくITO上にα−NPDを形成した点を変更して、その他は実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
本発明の化合物を用いた実施例1の素子は比較例1の素子よりも、発光の開始電圧が低く、発光効率も高いことが確認された。
(実施例2)
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上に例示化合物(1)を10nmの厚さに形成した。次に、その上にα−NPDを35nmの厚さに形成し、さらにmCPをホスト材料とし、Ir(ppy)3を6重量%ゲスト材料として共蒸着を行って30nmの厚さに形成した。さらにその上にTPBiを50nm形成し、フッ化リチウム(LiF)を0.8nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに形成することにより陰極とし、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
例示化合物(1)のかわりに例示化合物(6)を用いて、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
(比較例2)
本発明の化合物を用いることなくITO上にα−NPDを形成した点を変更して、その他は実施例2と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
本発明の化合物を用いた実施例2の素子は比較例2の素子よりも、発光の開始電圧が低く、発光効率も高いことが確認された。
本発明の有機半導体デバイスは、低電位で駆動するため、エネルギー効率が良い。このため、発光効率が良好な有機エレクトロルミネセンス素子などを提供することが可能である。また、本発明の化合物を用いれば、このような優れた性能を有する有機半導体デバイスを容易に提供することができる。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む層を有することを特徴とする有機半導体デバイス。
    [一般式(1)において、R1〜R6は各々独立にハメットのσpara値が0.2〜1.0の置換基を表す。R1とR2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R3とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R5とR6は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は各々独立に0、1または2を表す。]
  2. 前記一般式(1)において、R1〜R6が各々独立にハメットのσpara値が0.3〜0.8の置換基であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体デバイス。
  3. 前記一般式(1)において、R1〜R6がシアノ基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機半導体デバイス。
  4. 前記一般式(1)において、X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6のうちの少なくとも6つが窒素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
  5. 前記一般式(1)において、(n1+n2+n3)、(p1+p2+p3)、(q1+q2+q3)が、各々独立に1または2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
  6. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
    [一般式(2)において、XおよびYは、一方が炭素原子を表し、他方が窒素原子を表す。m1およびm2は各々独立に0または1を表す。]
  7. 有機発光素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
  8. 有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機半導体デバイス。
  9. 下記一般式(1)で表される化合物。
    [一般式(1)において、R1〜R6は各々独立にハメットのσpara値が0.2〜1.0の置換基を表す。R1とR2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R3とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、R5とR6は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。X1〜X6、Y1〜Y6およびZ1〜Z6は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。n1〜n3、p1〜p3およびq1〜q3は各々独立に0、1または2を表す。]
  10. 下記一般式(2)で表される化合物。
    [一般式(2)において、XおよびYは、一方が炭素原子を表し、他方が窒素原子を表す。m1およびm2は各々独立に0または1を表す。]
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