JP2014008293A - 注射針穿刺ガイド - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波観測下で目的の部位に注射針を穿刺しやすくする。
【解決手段】超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子の走査面に、前記注射針の到達目標である目標軸を合わせるための位置合わせガイド部と、注射針を挿入可能な注射針挿入空間が形成され、該目標軸を含む直交平面に該注射針が沿うように、該注射針挿入空間に挿入された該注射針の移動を制限する平面内移動制限部と、該直交平面内の基準点を通るように該注射針を案内する基準点ガイド部と、該基準点を通る際の該注射針の角度を調整する注射針角度調整部と、該注射針角度調整部によって調整された角度に応じて、該注射針の先端が該目標軸を超えないように、該注射針の移動を制限する進入長制限部と、該注射針の先端が該目標軸に到達した場合における、該先端の皮膚表面からの深度を、該注射針角度調整部による調整可能な角度とともに表示する深度目盛部とを備えた。
【選択図】図1

Description

超音波ガイド下で血管、末梢神経などに注射針を穿刺するための注射針穿刺ガイドに関する。
従来、生体内部を超音波で走査し、その状態を断面図で表示する超音波診断装置を用いて、生体内部を観察しながら目的の部位に注射針を穿刺する方法が知られている。この方法では、目的の部位と注射針の双方を超音波が走査される面(以下、走査面)に収める必要がある。しかし、走査面は視認できないため、注射針を走査面に収めることが難しい。
具体的に説明すると、注射針の中心軸が走査面内に含まれていれば生体内部における注射針の状態を把握できる。しかし、注射針の中心軸が走査面とは離れた平面内にあれば、注射針は全く表示されない。また、注射針が走査面と交差している場合、その交差点以外についての注射針の姿勢や先端の位置がわからない。これは、超音波診断装置で観測可能な領域が通常は平面であることによる。すなわち、超音波診断装置で観測できるのは断面のみであって完全に生体内部の状態を把握できるものではない。したがって、注射針を目的の部位にうまく穿刺させることができない場合がある。また、注射針の状況をうまく把握できないと、仮に目的の部位に向かって注射針が進んでいたとしても、注射針が目的の部位を通過してしまったり、反対に目的の部位に到達したと思っていても実際には到達していなかったりする事態が生じる。このようなことから、目的の部位に対し、注射針をより確実に穿刺することを目的とする技術が提案されている。
例えば特許文献1には、超音波診断観測装置の探触子に注射針の穿刺角度のガイドとなる複数の孔を形成し、かつこれらの孔を色分けした上で、この色に対応する穿刺角度を観測画像に重ねて表示する技術が開示されている。
特開平11−399778号公報
しかし、上記特許文献1記載の技術では、一般に用いられている超音波診断装置をそのまま使用することができないという問題がある。
上記事情に鑑み本発明は、超音波観測下で目的の部位に注射針を穿刺しやすくする注射針穿刺ガイドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の注射針穿刺ガイドは、
超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子が当てられている周辺の皮膚表面に配置され、根元から先端まで所定の長さの注射針を該探触子下の目標の部位に穿刺するための注射針穿刺ガイドであって、
前記注射針の先端の到達目標である目標軸の位置を、皮膚表面に直交し且つ前記探触子の走査面に含まれる位置に合わせる目印となる位置合わせガイド部と、
前記注射針を挿入可能な注射針挿入空間が形成されたものであって、該注射針挿入空間に挿入された前記注射針の位置および向きを、前記目標軸を含む直交平面内で変更可能にする平面内移動制限部と、
前記目標軸に向けて前記注射針を穿刺するにあたり前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記直交平面内の基準点を通るように前記注射針を案内する基準点ガイド部と、
前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記基準点を通る際の前記注射針の角度を調整する注射針角度調整部と、
前記注射針角度調整部によって調整された角度に応じて、前記注射針の先端が前記目標軸を超えないように、前記注射針の移動を制限する進入長制限部と、
前記注射針の先端が前記目標軸に到達した場合における、該先端の皮膚表面からの深度を、前記注射針角度調整部による調整可能な角度とともに表示する深度目盛部とを備えたものであることを特徴とする。
この注射針穿刺ガイドによれば、超音波観測下で目的の部位にピンポイントで注射針を穿刺することができる。
本発明によれば、超音波観測下で目的の部位に注射針を穿刺しやすくする注射針穿刺ガイドを提供することができる。
本実施形態の注射針穿刺ガイドを示す斜視図である。 本実施形態の注射針穿刺ガイドを示す三面図である。 本実施形態の注射針穿刺ガイドの一部である角度調整部材を示す図である。 超音波診断装置によって血管を観測している様子を示す図である。 超音波診断装置によって図4とは異なる向きで血管を観測している様子を示す図である。 平行法で血管を観測中の超音波診断装置の探触子に対して注射針穿刺ガイドを使用する場合における、注射針穿刺ガイドの設置位置を示す図である。 注射針穿刺ガイド1の注射針挿入空間に挿入された注射針の最大深度を角度毎に示す図である。 注射針穿刺ガイド1を使用している様子を示す図である。 探触子、注射針、および対象部位までの深さの位置関係を示す図である。 注射針穿刺ガイド1の寸法の一例を表で示す図である。 図3に示す角度調整部材13の変形例を示す図である。 交差法で血管を観測中の超音波診断装置の探触子に対して注射針穿刺ガイドを使用する場合における、注射針穿刺ガイドの設置位置を示す図である。
以下、図面を用いて、本発明の注射針穿刺ガイドの実施形態について説明する。
まず、図1から図3を用いて、本実施形態の注射針穿刺ガイドの構成について説明する。図1は、本実施形態の注射針穿刺ガイドを示す斜視図である。また、図2は、本実施形態の注射針穿刺ガイドを示す三面図である。また、図3は、本実施形態の注射針穿刺ガイドの一部である角度調整部材を示す図である。なお、図1および図2では、位置関係および形状を理解しやすくするため、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)による座標系上に、本実施形態の注射針穿刺ガイドを示す。
図1および図2に示す本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、板状の土台部11と、この土台部11に対して垂直に設けられた隙間形成部12と、この隙間形成部12に着脱可能に設けられた角度調整部材13を備えている。
土台部11は、長方形の板(図1ではXZ平面上に配置)の一部に開口が形成されたものである。この開口は、長方形の短辺のうちの一方から中心付近(図1の座標系では原点)までU字型に形成されたものである。なお、この開口は、超音波診断装置の探触子用に設けられた空間である。ここで、この開口を形成している部分であり、土台部11の長手方向(図1ではX軸方向)に伸びた2つの突起部分をアーム部111,112と称する。このアーム部111,112は、本発明の位置合わせガイド部の一例に相当する。
土台部11のうち、開口が形成されていない部分には、上記説明した隙間形成部12が設けられており、以下ではこの部分を土台本体部113と称する。また、この土台本体部113のうち、上記開口に面する部分の中心(図1の座標系では原点)に、窪み114が形成されている。この窪み114は、注射針を穿刺する位置および角度を定めるために用いられる。なお、この窪み114は、上記2つのアーム部111,112のそれぞれの根元部分から等距離となる位置に形成されているともいえる。ここで窪み114を形成する土台本体部113は、本発明の基準点ガイド部の一例に相当する。
隙間形成部12は、平行に向かい合って設けられた一対の半円板121,122によって、厚みをもつ平面状の空間(隙間)が形成されたものである。この隙間は、土台部11が配置された面(図1ではXZ平面)に対して垂直な平面であって、かつ、土台部11の長手方向の中心軸(図1ではX軸)を含む平面(図1ではXY平面)が基準(中心)になっている。またその厚みは、使用される注射針の直径のおよそ二倍程度の大きさになっている。なお、以下ではこの隙間のことを注射針挿入空間と称する。ここで隙間形成部12は、本発明の平面内移動制限部の一例に相当する。
本実施形態の注射針穿刺ガイドは、この注射針挿入空間に注射針を挿入して、上記窪み114に沿って皮膚への穿刺を行うことができるようにしたものである。このとき、隙間形成部12は、皮膚(図1ではXZ平面)に対して穿刺する際に、皮膚の上方向から見た場合における注射針の穿刺方向がずれない(注射針の中心軸が図1のXY平面からずれない)ように制限する機能を有する。
さらに、上記注射針挿入空間は、注射針の根元を支える支持部が挿入できない幅になっている。すなわち、隙間形成部12は、注射針挿入空間に挿入され、皮膚に穿刺された注射針の深度を制限する機能も有する。ここで隙間形成部12は、本発明の進入長制限部の一例に相当する。
一対の半円板121,122には、上記注射針挿入空間とは反対側の面の円周部分に凹凸部123,124が形成されている。また、図3に示す角度調整部材13の両サイド部131,132には、上記凹凸部123,124に適合する凹凸が形成されている。これらの形状は、角度調整部材13を半円板121,122の外周に沿って段階的にスライドできるようにするものである。また、スライドの方向については、注射針の穿刺角度が大きくなる方向にのみスライドできるようになっている。これによって、注射針を乗せたときの力がかかっても穿刺角度が変わらないようになっている。なお、この機構については、角度調整部材13を所望の位置に固定できるものであればよい。従って、例えば、無段階でスライドできるようにしてもよく、また、外周に沿っていずれの方向に移動できるようにしてもよい。
本実施形態では、注射針挿入空間に挿入された注射針を、上記角度調整部材13に設けられたブリッジ部133と、土台部11の窪み114の双方に乗せることによって、その穿刺角度が定まるようになっている。ここで、角度調整部材13を適切な位置に移動させることにより、注射針を穿刺する際の穿刺角度を調整する機能を有する。ここで、角度調整部材13は、本発明の注射針角度調整部の一例に相当する。
上記説明したように、この注射針穿刺ガイド1は、以下の三つの機能を有する。まず一つ目の機能は、皮膚の上方向から見た場合における注射針の穿刺方向を制限する機能である。次に二つ目の機能は、皮膚に穿刺された注射針の深度を制限する機能である。最後に三つ目の機能は、注射針の穿刺角度を設定できる機能である。これらの三つの機能により、注射針の先端を目的の部位へ確実に到達させることができる。
次に、注射針穿刺ガイド1の使用方法を説明するにあたり、注射針穿刺ガイド1の使用の前提となる超音波診断装置の観測方法について説明する。図4は、超音波診断装置によって血管を観測している様子を示す図である。図5は、超音波診断装置によって図4とは異なる向きで血管を観測している様子を示す図である。図4(a)および図5(a)には、皮膚SKの直下を走行する血管VEが、超音波診断装置の観測範囲内(探触子PRの走査面SPの中)にある様子が示されている。さらに、図4(b)および図5(b)には、走査面における生体内部の断面図が、超音波診断装置の画面Mに表示されている様子が示されている。
図4には、走査面SPが血管VEの走行に沿っている様子が示されているが、これはいわゆる平行法と呼ばれる観測方法である。一方、図5には、走査面SPが血管VEの走行に対して直交している様子が示されているが、これはいわゆる交差法と呼ばれる観測方法である。いずれの観測方法でも、探触子が当てられている皮膚の下にある血管までの深さが把握できる。一般的に注射針を血管に穿刺する場合、注射針は血管の走行に沿って穿刺される。なお、これを皮膚の上側からみると、血管に対して注射針が重なるように穿刺されることになる。上記観測方法のうち平行法は、血管および穿刺している最中の注射針の双方を走査面内に収めることが可能であるため、これらを同時に観測するために用いられる。本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、平行法、交差法のいずれの場合でも使用することができるが、まずは、この平行法によって血管を観測している場合での注射針穿刺ガイド1の使用について説明する。
図6は、平行法で血管を観測中の超音波診断装置の探触子に対して注射針穿刺ガイド1を使用する場合における、注射針穿刺ガイド1の設置位置を示す図である。この図6に示すように、本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、超音波診断装置の探触子PRに土台部11の開口を合わせて使用される。
穿刺の対象となる血管が、探触子PRの走査面SPに沿って存在している場合、この走査面SPに含まれるように注射針を案内することで、対象となる血管に注射針を穿刺することができる。図6に示す位置に注射針穿刺ガイド1を配置すると、皮膚下に広がる走査面SPと、皮膚表面に直交する注射針穿刺ガイド1の注射針挿入空間が、いずれも探触子PRの長手方向に沿った共通の平面(図1におけるXY平面)に含まれることになる。従って、注射針穿刺ガイド1の注射針挿入空間に注射針挿入し、皮膚下に穿刺すれば、穿刺された注射針を走査面SP上で移動させることができ、注射針を見失わないようにすることができる。
ここまで、皮膚直下の血管に対して、この血管を含む平面(走査面および注射針挿入空間、図1におけるXY平面)内に含まれるように注射針を移動させることについて説明した。このように注射針の移動が平面内に限定されれば、対象となる血管の位置に到達するための注射針の向きおよびその進入距離を決定することができる。これにより、注射針の先端が血管に届かない、あるいは血管を通りこしてしまう事態を防止し、注射針の先端を確実に血管に到達させることができる。以下、本実施形態の注射針挿入空間での注射針の方向およびその深度について説明する。
図7は、注射針穿刺ガイド1の注射針挿入空間に挿入された注射針の最大深度を角度毎に示す図である。また、図8は、注射針穿刺ガイド1を使用している様子を示す図である。本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、アーム部111,112の先端を結ぶ線の中心の直下(図1においてアーム部111,112の先端を結ぶ直線の中心を通るY軸と平行な軸)よりも注射針が進まないように、隙間形成部12の大きさが定められている。なお、図7では、注射針の先端が到達可能な限界が、アーム部111,112の先端から真下に伸びる点線で示されている。また、図1においてアーム部111,112の先端を結ぶ直線の中心を通り、且つY軸と平行な軸は、本発明の目標軸の一例に相当する。
さらに、注射針の角度と、これに対応するアーム部111,112の先端を結ぶ線の中心の直下における深度が、隙間形成部12の外側に目盛で示されている。ここで隙間形成部12は、本発明の深度目盛部の一例に相当する。使用者はアーム先端部分の直下の血管の位置(深度)が把握できたならば、この深度に対応する角度になるように角度調整部材13を調整すれば、この血管に対して注射針を穿刺することができる。具体的には、注射針の上記角度調整部材13に設けられたブリッジ部133と、土台部11の窪み114の双方に乗せた状態の注射針の先端を、アーム先端部分直下の血管に対して到達させることができる。図8(b)には、探触子PRの直下にある血管に対し、注射針の先端が到達している様子が示されている。また、図8(a)では、注射針の根元を支える支持部が隙間形成部12に入らず、これ以上注射針を進めることができないことも示されている。
なお、本実施形態の注射針穿刺ガイド1では、アーム部111,112の先端部分の下に注射針が到達するように構成されている。図1および図2を用いて説明すると、アーム部111,112の先端部分を結ぶ線と、X軸との交点の直下(Y軸方向にずれた位置)に注射針が到達するように構成されている。すなわち、アーム部111,112の先端部分は、注射針の先端が到達する位置の目印になっている。注射針穿刺ガイド1によって注射針の先端を血管に到達させるためには、アーム部111,112の先端部分の下に対象となる血管が位置するように注射針穿刺ガイド1を配置する必要がある。
一般的に血管を観測する際、走査面の中心で血管を捉えるように、探触子の長手方向の中心の直下で血管を捉えることが多い。この観測状況の場合、アーム部111,112の先端部分の中心を、探触子の長手方向の中心に合わせることで、アーム部111,112の先端部分の真下に観測対象の血管が位置するように調整することができる。すなわち、アーム部111,112は、注射針の先端が到達する軸(本発明の目標軸)を、皮膚表面と直交し且つ探触子の走査面に含まれる位置に合わせる目印の役割を担っている。
図6および図8では、探触子の長手方向の中心をアーム部111,112の先端に合わせている様子が示されている。なお、走査面の中心からずれた位置で血管を捉えている場合は、探触子のうち観測対象の血管の直上に該当する位置に、アーム部111,112の先端部分の中心を合わせることで、注射針の先端を対象となる血管に到達させることができる。
以上説明した注射針穿刺ガイド1は、使用する探触子の大きさ、注射針の長さおよび太さによって、その寸法が決定されるものである。以下では、寸法の一例について説明する。
まず、隙間形成部12に形成されている注射針挿入空間の幅は、注射針が挿入可能であって、注射針の根元を支える支持部が挿入不可能な幅であればよい。例えば、注射針の太さが1mmであって、支持部の太さが5mmの場合には、1mm以上5mm未満の幅であればよい。
次に、適切な幅の注射針挿入空間に、注射針を挿入した場合について考える。この場合、平面(図1および図2に示すXY平面)内に含まれた状態での注射針の移動を考えればよい。以下、図9を用いて、寸法の計算方法について説明する。図9は、探触子、注射針、および対象部位までの深さの位置関係を示す図である。
これまで説明したように、探触子で血管の深さを測り、その位置に注射針の先端を到達させるとする。図9には、対象となる部位TAの直上の皮膚SKに配置された探触子PRと、この部位TAに到達している注射針NEが示されている。まず、対象となる部位TAまでの深さDyは、超音波診断装置の観測結果から得られる。また、探触子が邪魔になるため注射針NEを穿刺できない範囲Dxは、使用する探触子の大きさから計算できる。例えば、長さ50mmの探触子の中心部分で対象となる血管を観測する場合には、対象となる血管の直上部分から25mm以上離れれば注射針を穿刺することができる。本実施形態の注射針穿刺ガイド1において、土台部11に設けられた窪み114は、この穿刺できない範囲を考慮した位置に設けられている。また、図9において注射針NEの進入距離Dlは、深さDyと範囲Dxの値から三平方の定理により、Dl=(Dx+Dy1/2で導びかれる。また、その際の注射針NEの進入角度は、NE=sin−1(Dy/Dl)で導かれる。
しかし、注射針NEの進入距離は、肉眼で判断できない。このため、皮膚上に残っている注射針の長さから、進入距離を導く。注射針の全長をLnとすると、皮膚よりも上に残る注射針の長さは、Lr=Ln−Dlで導かれる。
上記説明した方法により導かれた、具体的な寸法の一例について図10を用いて説明する。図10は、注射針穿刺ガイド1の寸法の一例を表で示す図である。
この図10に示す寸法は、長さ50mmの探触子と、長さ60mmの注射針を使用した場合の寸法である。なお、ここでの窪み114の位置は、アーム部111,112の先端を結ぶ線の中心から、27.5mm離れた位置に設けられているものとする。隙間形成部12の半円形状は、単に半円状に形成されたものではなく、特定の深度に到達させるための角度に合わせて注射針の進入距離を制限する寸法に基づく形状になっている。また、隙間形成部12に設けられた目盛は、この計算結果に基づいて所望の深度に到達させる角度を記載したものである。
なお、図10に示す寸法は一例であって、使用する探触子および注射針のサイズに応じて適切な寸法を採用することができる。
ここで、上記説明した注射針穿刺ガイド1について補足する。
まず、上記実施形態では、平行法で観測している探触子に合わせて注射針穿刺ガイド1を使用する方法について説明した。しかし、注射針穿刺ガイド1は、アーム部111,112の先端部分の下に目的の血管を配置するとともに、その血管までの深度さえ把握できていれば使用することができる。したがって、一旦注射針穿刺ガイド1を配置した後は、探触子は必須ではない。
また、一旦注射針を血管に穿刺した後、この注射針で確保されたルートを利用してカテーテルやガイドワイヤーを挿入する際に、注射針穿刺ガイド1が邪魔になる場合がある。本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、注射針を窪み114および角度調整部材13に乗せる構成であるため、注射針穿刺ガイド1を取り除き注射針だけを残すことができる。例えば注射針の姿勢を維持したまま注射針穿刺ガイド1を皮膚に向けて押し込み、そのまま後へ(図8では右方向へ)引き抜くことで容易に取り除くことができる。
本実施形態の注射針穿刺ガイド1は、注射針を乗せるための空間が開いた状態であるため、穿刺した状態の注射針を残して容易に引き抜くことができる。ここで、例えば角度調整部材13が、注射針を挿入可能な孔が形成されたものであり、かつこの孔内部の側壁に注射針を押しつけると注射針を孔から脱出させることができる扉(開閉機構)を設けたものであってもよい。このような構成の一例について図11を用いて説明する。同図は、図3に示す角度調整部材13の変形例を示す図である。
図13に示す角度調整部材13’は、弾性部材(例えばシリコン、ゴム等)で形成されたものである。また、図3に示す角度調整部材13と比較すると、ブリッジ部133が大きく形成されており、さらに注射針を挿入可能な孔が形成されている点が異なる。さらに、この孔の側壁の一部には切り込みSLが設けられている。この角度調整部材13’の孔に注射針を挿入した状態で、この切り込みSLに向かって注射針を押しつけると、この切り込みSLが開いて注射針を孔から脱出させることができる。すなわち、注射針が皮膚に穿刺した状態のまま、切り込みSLが注射針に当たるように角度調整部材13’を動かすことで、穿刺した状態の注射針を残して注射針穿刺ガイド1を取り除くことができる。
なお、図13の例では、弾性部材で形成された扉について説明したが、弾性部材以外のものであっても開閉可能な構成であればよい。例えば、可動部材を用いて形成されたものであってもよい。すなわち、注射針を支持する空間が開いた状態であるか、閉じた状態であるかは問題ではなく、穿刺した状態の注射針を離脱させることのできる経路が形成されたものであればよい。なお、図13の例では、角度調整部材13’において注射針を押しつけて開いた空間が、離脱経路の一例に相当する。また、図1の例では、隙間形成部12の注射針挿入空間が注射針の離脱経路の一例に相当する。
また、例えば隙間形成部12が弾性部材(例えばシリコン、ゴム等)で形成され、使用者が隙間形成部12ごと注射針をつまむことができるようにしてもよい。この場合、注射針を固定することができるため、注射器本体を取り外すことが容易になる。また、例えば外側にカテーテルが付いた注射針を用いた場合には、カテーテルだけを残して注射針を引き抜くことになる。この場合には、隙間形成部12ごとカテーテルをつまむことができるため、容易にカテーテルだけを残して、注射針を引き抜くことができる。
また、上記実施形態では、注射針が皮膚表面の一点を通るように窪み114が形成されている例について説明した。しかし注射針が必ずしも皮膚表面の一点を通るように窪み114を形成する必要はない。例えば、土台部11の表面上の一点を通るように、窪み114を形成してもよい。なお、この場合の隙間形成部12の寸法については、図9に示す皮膚SKの位置を、土台部11の表面の位置とみなして計算すればよい。
また、上記実施形態では、隙間形成部12の注射針挿入空間が、注射針の根元を支える支持部が挿入できない幅に形成されている例について説明した。これ以外に、例えば上記支持部よりもわずかに大きい幅であってもよい。この場合には注射針挿入空間に注射針の根元が挿入できるが、注射器本体を挿入することができないため、皮膚に穿刺された注射針の深度を制限することができる。
また、上記実施形態では、平行法で観測している場合に注射針穿刺ガイド1を使用する方法について説明した。しかし、実際には、患者の年齢、患部の位置、皮膚の厚さなどの要因によって血管の観測が難しくなるため、これらの方法を組み合わせて観測が行われる。従って例えば、血管の走行がある程度把握できた状況であれば、交差法で血管の深さを測り、注射針穿刺ガイド1を用いて注射針を穿刺することができる。この方法について図12を用いて説明する。同図は、交差法で血管を観測中の超音波診断装置の探触子に対して注射針穿刺ガイド1を使用する場合における、注射針穿刺ガイド1の設置位置を示す図である。
交差法の場合には注射針穿刺ガイド1の開口部分に探触子が入らないため、本実施形態の注射針穿刺ガイド1は交差法を行っている場合の探触子に合わせてアーム部111,112の先端部分を折ることができるように、先端部から所定の長さの個所に折り目が形成されている。この折り目に沿って折ったアーム部111,112に探触子をあてると、本来アーム部111,112の先端であった場所に探触子の走査面が位置するようになっている。図12には、アーム部111,112のうち、折られて取り除かれた部分が点線で示されている。また、折られる前のアーム部の先端であった位置に、探触子PRの走査面SPがあることが示されている。
隙間形成部12の注射針挿入空間は、注射針の移動を完全に平面での移動に制限するものではなく、注射針が皮膚表面に直交する平面からずれる場合がある。しかし、一般的に血管に対して充分細い注射針が用いられることからすると、注射針の進路からのわずかな逸脱は許容できるものであって、穿刺の妨げにならない。
また、上記説明では、注射針穿刺ガイド1の構成を理解しやすくするため、皮膚表面と直交する、との表現を用いたが、実際には皮膚自体も完全な平面ではない。このため直交する、という表現には、多少のずれも包まれる。
また、上記説明では、血管を対象とした例について説明したが、血管以外の部位(例えば末梢神経)であっても上記説明した方法で本実施形態の注射針穿刺ガイド1を使用することができる。
以上の説明では、
超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子(図8の探触子PR)が当てられている周辺の皮膚表面に配置され、根元から先端まで所定の長さの注射針(図8の注射針NE)を該探触子下の目標の部位(例えば図8の血管VE)に穿刺するための注射針穿刺ガイド(注射針穿刺ガイド1)であって、
前記注射針の先端の到達目標である目標軸(図1においてアーム部111,112の先端を結ぶ直線の中心を通るY軸と平行な軸、図7においてアーム部111,112の先端から真下に伸びる点線)の位置を、皮膚表面に直交し且つ前記探触子の走査面(図4および図5の走査面SP)に含まれる位置に合わせる目印となる位置合わせガイド部(アーム部111,112)と、
前記注射針を挿入可能な注射針挿入空間が形成されたものであって、該注射針挿入空間に挿入された前記注射針の位置および向きを、前記目標軸を含む直交平面(図1のXY平面)内で変更可能にする平面内移動制限部(隙間形成部12)と、
前記目標軸に向けて前記注射針を穿刺するにあたり前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記直交平面内の基準点(例えば図1の座標系の原点)を通るように前記注射針を案内する基準点ガイド部(窪み114を形成する土台本体部113)と、
前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記基準点を通る際の前記注射針の角度を調整する注射針角度調整部(角度調整部材13)と、
前記注射針角度調整部によって調整された角度に応じて、前記注射針の先端が前記目標軸を超えないように、前記注射針の移動を制限する進入長制限部(隙間形成部12)と、
前記注射針の先端が前記目標軸に到達した場合における、該先端の皮膚表面からの深度を、前記注射針角度調整部による調整可能な角度とともに表示する深度目盛部(隙間形成部12)とを備えたものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド、が記載されている。
また、上記記載の注射針穿刺ガイドが、
超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子(図8の探触子PR)が当てられている周辺の皮膚表面に配置され、支持部(図8の支持部SU)によって支えられた根元から先端まで所定の長さの注射針(図8の注射針NE)を該探触子下の目標の部位(例えば図8の血管VE)に穿刺するための注射針穿刺ガイド(注射針穿刺ガイド1)であって、
前記進入長制限部(隙間形成部12)は、
前記支持部の移動範囲を制限すること(図8では注射針挿入空間に入らないように制限すること)によって、前記注射針の移動を制限するものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド、が記載されている。
また、上記記載の注射針穿刺ガイドであって、
前記平面移動制限部(隙間形成部12)は、
弾性部材によって形成されたものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド、が記載されている。
また、上記記載の注射針穿刺ガイドであって、
穿刺された状態の前記注射針を残して離脱させる、前記注射針の離脱経路(例えば隙間形成部12の開口部分)が形成されたものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド、が記載されている。
1 注射針穿刺ガイド
11 土台部
111,112 アーム部
113 土台本体部
114 窪み
12 隙間形成部
121,122 半円板
13 角度調整部材

Claims (4)

  1. 超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子が当てられている周辺の皮膚表面に配置され、根元から先端まで所定の長さの注射針を該探触子下の目標の部位に穿刺するための注射針穿刺ガイドであって、
    前記注射針の先端の到達目標である目標軸の位置を、皮膚表面に直交し且つ前記探触子の走査面に含まれる位置に合わせる目印となる位置合わせガイド部と、
    前記注射針を挿入可能な注射針挿入空間が形成されたものであって、該注射針挿入空間に挿入された前記注射針の位置および向きを、前記目標軸を含む直交平面内で変更可能にする平面内移動制限部と、
    前記目標軸に向けて前記注射針を穿刺するにあたり前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記直交平面内の基準点を通るように前記注射針を案内する基準点ガイド部と、
    前記注射針を皮膚表面側から支持し、前記基準点を通る際の前記注射針の角度を調整する注射針角度調整部と、
    前記注射針角度調整部によって調整された角度に応じて、前記注射針の先端が前記目標軸を超えないように、前記注射針の移動を制限する進入長制限部と、
    前記注射針の先端が前記目標軸に到達した場合における、該先端の皮膚表面からの深度を、前記注射針角度調整部による調整可能な角度とともに表示する深度目盛部とを備えたものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド。
  2. 超音波を走査して生体内部の断面図を観測する超音波診断装置の探触子が当てられている周辺の皮膚表面に配置され、支持部によって支えられた根元から先端まで所定の長さの注射針を該探触子下の目標の部位に穿刺するための請求項1記載の注射針穿刺ガイドであって、
    前記進入長制限部は、
    前記支持部の移動範囲を制限することによって、前記注射針の移動を制限するものであることを特徴とする注射針穿刺ガイド。
  3. 前記平面移動制限部は、
    弾性部材によって形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の注射針穿刺ガイド。
  4. 穿刺された状態の前記注射針を残して離脱させる、前記注射針の離脱経路が形成されたものであることを特徴とする請求項1から3記載の注射針穿刺ガイド。
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