JP2014007884A - 電動ユニットの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動ユニットを効率良く、安価に冷却できる冷却装置を提供する。
【解決手段】 電動機3、インバータ4、動力伝達要素5を備えた電動ユニットを冷却するための冷却装置2を、インバータ4の近傍に配設されインバータ用クーラントが流通するインバータ用クーラント流路6と、電動機3および動力伝達要素5を通り潤滑クーラントが流通する潤滑クーラント流路7と、インバータ用クーラント流路6と潤滑クーラント流路7とを熱的に接続しインバータ用クーラントと潤滑クーラントとを熱交換する液−液熱交換器8とで構成するとともに、潤滑クーラント流路7が電動機3および動力伝達要素5の外部に延ばしインバータ4と一体となった液−液熱交換器8を電動機3の外部に配置する構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は電動機と、インバータと、減速機および変速機の少なくともいずれかを含む動力伝達要素と、を備えた電動ユニットを冷却する冷却装置に関する。
電気自動車やハイブリッド車等には、電動機(すなわち電動モータ)と、電動機を制御するためのインバータと、減速機および/または変速機を含む動力伝達要素と、を含む電動ユニットが搭載されている。動力伝達要素は、主として減速機によって電動機の駆動力を減速しつつ駆動軸(例えば車両の場合には車軸)に伝達する。また、ハイブリッド車の場合、つまり電動機以外の内燃機関が搭載されている場合には、変速機によって内燃機関の駆動力を変速しつつ車軸に伝達する。
ところで、電動機は駆動時に発熱する。インバータはパワー素子(すなわち電力用半導体スイッチング素子)等の発熱要素を含むため、給電を受けると発熱する。このため、電気自動車やハイブリッド車においては、運転時に電動機およびインバータを冷却する必要がある。さらに、減速機および変速機は複数のギヤによって、電動機または内燃機関の動力を伝達するため、ギヤ用の潤滑剤(オイル等)を供給する必要がある。つまり、一般的な電気自動車やハイブリッド車における電動ユニットは、電動機を冷却するための流路、インバータを冷却するための流路、および動力伝達要素に潤滑剤を供給するための流路を必要としていた。
特許文献1、2には電動ユニットにおけるこれらの流路を一部兼用する技術が提案されている。特許文献1には電動機、差動減速機、インバータおよび流路の大部分を共通のハウジング内において一体化した電動ユニットが紹介されている。この電動ユニットにおいては、電動機の少なくとも一部および差動減速機に共通の流路を通じてオイルを供給し、このオイルを差動減速機用の潤滑剤かつ電動機用のクーラントとして兼用している。インバータ(および場合によっては電動機の一部)は、差動減速機および電動機用のオイルとは別のクーラント(冷却水)によって冷却している。オイルは、共通のハウジング内に配置したオイルパンに流通させ、オイルパン内に配置した熱交換器によって冷却水と熱交換している。つまり、特許文献1の電動ユニットにおけるオイルパンは、一般的なオイルパンと同様のオイル溜まりとして機能するとともに、主として電動機で温められたオイルを放熱するための熱交換器としても機能する。冷却水と熱交換し冷却されたオイルは流路に戻され、電動機および差動減速機に再度供給される。
また、特許文献2には、電動機のケースにインバータのケースを取り付け、電動機のケースとインバータのケースとの間に流路を形成して、この流路に冷媒を流通させることで、電動機用のクーラントとインバータ用のクーラントとを兼用する技術が開示されている。
これらの技術によると、電動機を冷却するための流路、インバータを冷却するための流路、および動力伝達要素に潤滑剤を供給するための流路の一部を兼用することで、電動ユニットの小型化を図ることができる。しかし、これらの技術によると電動ユニットを効率良く冷却するのは困難であった。つまり、特許文献1に紹介されている電動ユニットによると、電動機のケース内部にオイルパンを設け、さらにその内部に熱交換器を設ける必要があり、電動機の形状の自由度に劣る。また、電動機のケース内部に配置した熱交換器によって電動機用クーラント(オイル)とインバータ用クーラントとの熱交換を行っているため、実質的には電動機とインバータ用クーラントとが直接熱交換しているのと大差ない。したがって、電動機用クーラントと熱交換したインバータ用クーラントの温度を、インバータを冷却するのに必要な温度(低温)にし難い可能性があり、インバータの冷却効率が低下する可能性がある。特許文献2に紹介されている電動ユニットによると、インバータおよび電動機を同じクーラントで同時に冷却するために、クーラントに同時に作用する熱量が大きく、熱交換効率を向上し難い問題がある。また、クーラントの流路はインバータおよび電動機の外部に形成され、電動機とクーラントとの熱交換を電動機の外部で行うとともに、インバータとクーラントとの熱交換をインバータの外部で行っている。このため、これらを内部で熱交換する場合に比べると熱交換効率に大きく劣る。
特開2004−260898号公報 特許第4096266号公報
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、電動機、インバータ、動力伝達要素を含む電動ユニットを省スペースで効率良く冷却するのに有利な冷却装置を提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するために成された発明である。本発明の電動ユニットの冷却装置は、電動機と、前記電動機を制御するインバータと、減速機、変速機の少なくともいずれかを含み、前記電動機による駆動力を駆動軸に伝達する動力伝達要素、を備えた電動ユニットを冷却する冷却装置であって、前記インバータを冷却するクーラントが流通するインバータ用クーラント流路と、前記電動機および前記動力伝達要素の少なくともいずれかに接続され、前記電動機および前記動力伝達要素の内部に潤滑クーラントを流通させる潤滑クーラント流路と、前記インバータと一体と成り、前記電動機の外部に配置され、前記インバータ用クーラント流路を流通する前記インバータ用クーラントと、前記電動機または前記動力伝達要素に流入する前の前記潤滑クーラントとを熱交換する液−液熱交換器と、を備える構成とした。
上記構成において、本発明の電動ユニットの冷却装置は、以下に示す構成の少なくともいずれかを備えることが好ましい。即ち、
・前記液−液熱交換器において、
前記インバータ用クーラント流路と前記潤滑クーラント流路とは伝熱経路を介して隣接し、前記潤滑クーラント流路は、第1流路部と第2流路部とに分岐し、前記第1流路部と前記インバータ用クーラント流路との距離は前記第2流路部と前記インバータ用クーラント流路との距離よりも近く、前記潤滑クーラント流路の入口側において、前記第1流路部と前記第2流路部との間には流量調整要素が配置され、前記流量調整要素は、前記潤滑クーラントの温度が所定温度未満である場合に前記潤滑クーラントを主として前記第2流路部に流通させ、前記潤滑クーラントの温度が所定温度以上の場合に前記第1流路部における前記潤滑クーラントの流通量を増大させるようにする。
・前記流体調整要素は、複数の流路を持つ多孔体からなり、前記潤滑クーラントは温度により粘度が変化するオイルであり、前記潤滑クーラントが前記所定温度未満である場合には、前記潤滑クーラントが前記所定温度以上である場合に比べて、前記流体調整要素を通過する前記潤滑クーラントの流通抵抗が大きくなる。
・前記液−液熱交換器は、前記インバータの発熱要素を保持するとともに前記伝熱経路を構成する筐体と、前記筐体に形成されている前記インバータ用クーラント流路および前記潤滑クーラント流路とを含み、前記インバータ用クーラント流路は前記発熱要素の背面側に配置され、前記潤滑クーラント流路の前記第1流路部は前記インバータ用クーラント流路の背面側に配置され、前記潤滑クーラント流路の前記第2流路部は前記第1流路部および前記インバータ用クーラント流路の外周側に配置されるようにする。
・前記液−液熱交換器は、前記インバータを冷却した後の前記インバータ用クーラントと、前記電動機を冷却し前記動力伝達要素に流入する前の前記潤滑クーラントとを熱交換するような構成にすると良い。
本発明の冷却装置においては、電動機用のクーラント流路と動力伝達要素用の潤滑剤流路とを一つの流路(潤滑クーラント流路)で兼用したことで、冷却装置を省スペース化かつ低コスト化できる。また、発熱要素を有し、駆動時に発熱を伴うインバータが一体で設けられる冷却装置の内部で、2種のクーラント(インバータ用クーラント、潤滑クーラント)を流体同士で熱交換したことで、熱交換効率が向上し、インバータおよび電動機の冷却効率を向上させ得る。さらに、液−液熱交換器を電動機の外部に配置して、電動機の外部で熱交換を行う。このため、潤滑クーラントを効率良く放熱でき、電動機の冷却効率を向上させ得る。
本発明の電動ユニットによると、上述した冷却装置により冷却をおこなうことで、インバータおよび電動機の冷却効率を向上させ得る。
実施形態1に係り、電動ユニットの冷却装置の構成を示す構成図である。 図1に示す冷却装置の内部構成を模式的に示すA−A断面図である。 図1に示す液―液熱交換器の内部を模式的に示したものであり、インバータ用クーラントの流通方向を説明する内部構成図である。 図3の構成において、高温時における潤滑クーラントの流通方向を説明する状態説明図である。 図3の構成において、低温時における潤滑クーラントの流通方向を説明する状態説明図である。
以下、具体例を挙げて、本発明の冷却装置を説明する。なお、本発明の冷却装置で冷却する電動ユニットにおいて、電動機、インバータおよび動力伝達要素は、インバータ用クーラント流路、潤滑クーラント流路および液−液熱交換器によって熱的に接続されていれば良く、一体型の装置であっても良い。また、一体型の装置でなくても良いが、少なくとも液−液熱交換器は電動機と別体であるのが好ましい。液−液熱交換器を電動機と別体にすることで、インバータ用クーラントと潤滑クーラントとの熱交換時に、インバータ用クーラントが電動機で生じる熱の影響を受け難くなる。つまり、インバータ用クーラントが過剰に加熱され難いために、インバータの冷却効率を向上させ得る。
潤滑クーラント流路は、電動機および動力伝達要素の少なくともいずれかに接続される。このため、潤滑クーラントは電動機および動力伝達要素に直接供給される。つまり潤滑クーラントは、電動機の内部にて電動機と熱交換をおこない電動機の外部に流出する。または、動力伝達要素の内部にて潤滑作用を生じて、動力伝達要素の外部に流出する。電動機および動力伝達要素内部への潤滑クーラント流入口は単数であっても良いし複数であっても良いが、冷却または潤滑が必要な要素毎に潤滑クーラント流入口を設けるのが好ましい。各潤滑クーラント流入口は、単なる開口であっても良いが、電動機および動力伝達要素の構成要素に潤滑クーラントを吹き付けるエジェクタ状をなしても良い。
インバータ用クーラント流路は、インバータを構成する各要素(特にパワー素子等の発熱要素)を冷却できれば良く、素子に直接接触しても良いし、アルミニウム合金等の熱伝導性に優れる材料からなる伝熱体を介して接触しても良い。この場合、インバータとインバータ用クーラント流路との間には伝熱体からなる伝熱経路が形成され、この伝熱経路を介してインバータとインバータ用クーラントとが熱交換する。
本発明の電動ユニットは、電動機を含むものであれば良く、例えば電動機以外の内燃機関や外燃機関を含んでも良い。動力伝達要素は電動機による駆動力を駆動軸に伝達するものであれば良く、電動機の駆動力を駆動軸に伝達するだけでなく、内燃機関等の駆動力を駆動軸に伝達しても良い。さらに、本発明の電動ユニットは複数の動力伝達要素を持っても良い。なお駆動軸は、例えば本発明の電動ユニットを車両に適用する場合には、車軸である。
(実施形態)
図1は実施形態における電動ユニットの冷却装置の構成を示す構成図を示す。実施形態で挙げた電動ユニットは、例えば、電気自動車(EV)に搭載が可能である。
図1に示すように、実施形態の冷却装置が一体化された電動ユニットは、駆動部1と冷却装置2とを含み、駆動部1は、電動機3、インバータ4および差動減速機5等を含む。差動減速機5は、減速機の一種であり、電動ユニットにおける動力伝達要素に相当する。冷却装置2は、インバータ用クーラント流路6、潤滑クーラント流路7、液−液熱交換器8および気−液熱交換器9を含む。なお、実施形態で挙げた電動ユニットは動力伝達要素としての減速機を持つが、上述したように動力伝達要素として変速機を持っても良いし、特に電動ユニットをハイブリッド車に搭載する場合には減速機および変速機の両方を持っても良い。
インバータ用クーラント流路6にはインバータ用クーラントが流通している。インバータ用クーラントは、水と溶質(実施形態においては、LLCを使用)とを含む水系のクーラントである。インバータ用クーラント流路6にはポンプ69が接続されている。したがって、インバータ用クーラントはポンプ69によって輸液され、インバータ4→気−液熱交換器9→ポンプ69→インバータ4…の順に循環する。なお、実施形態においては、インバータ4は液−液熱交換器8に一体化されているため、インバータ用クーラントはポンプ69によって輸液されて、液−液熱交換器8→気−液熱交換器9→ポンプ69→液−液熱交換器8…の順に循環するとも言える。水系のクーラントは、後述する油系のクーラントに比べて流動性および熱伝導性に優れる。このため、水系のクーラントを用いることで、インバータ4を効率良く冷却でき、かつ、気−液熱交換器9において効率良く放熱できる。
潤滑クーラント流路7には潤滑クーラントが流通している。実施形態における潤滑クーラントは、ATF(オートマティック・トランスミッション・フルード)を含む油系のクーラントである。潤滑クーラント流路7にはポンプ79が接続され、潤滑クーラントはポンプ79によって輸液されて差動減速機5→電動機3→液−液熱交換器8→ポンプ79→差動減速機5…の順に循環する。
電動機3には内外を連通するよう上方に流入口3iおよび下方に流出口3oが設けられている。より具体的には、流入口3iおよび流出口3oは、電動機3の外殻を構成するケース32に形成されている。ケース32の内部にはロータ軸33、ロータ34、ステータ35を備えた電動機本体36が配置されている。流入口3iはケース32の上壁32aに貫通形成され、流出口3oはケース32の底壁32bに貫通形成されている。流入口3iには第1経路部71の端部(給油端部71a)が挿入接続されている。第1経路部71は、潤滑クーラント流路7の一部であり、より具体的には、電動機3のケース32と後述する差動減速機5のケース52とを連絡する部分である。第1経路部71の給油端部71aは、流入口3iを経てケース32の内部に入り、ステータ35のステータコイル35aに上方から対面する位置に開口している。この開口71bを介して潤滑クーラント流路7の潤滑クーラントが電動機3(より具体的には電動機3におけるステータ35のステータコイル35a)に供給される。ケース32の底部は箱状をなし、潤滑クーラント用のオイル溜まり32cを形成している。流出口3oはこのオイル溜まり32cの内部に開口している。ステータコイル35aを冷却した潤滑クーラントは、オイル溜まり32cに集められ、流出口3oを経て後述する第2経路部72に流出する。
流出口3oには第2経路部72の一端部が接続されている。第2経路部72は、潤滑クーラント流路7の一部であり、より具体的には、電動機3のケース32と後述する液−液熱交換器8とを連絡する部分である。
第2経路部72の他端部は、液−液熱交換器8の筐体81に穿設されている潤滑クーラント流路7の一部(油側流路部75)の流入口7oに連絡している。油側流路部75の流出口7iには第3経路部73の一端部が接続されている。液−液熱交換器8に関しては後に詳しく説明する。流入口7iを経て油側流路部75に流入した潤滑クーラントは、流出口7oを経て第3経路部73に流出する。第3経路部73の他端部は差動減速機5のケース52に貫通して形成されている流入口5iに接続されている。第3経路部73は、潤滑クーラント流路7の一部であり、より具体的には、液−液熱交換器8と後述する差動減速機5のケース52とを連絡する部分である。第3経路部73にはポンプ79が接続されている。
流入口5iは、差動減速機5の外殻を構成するケース52に形成されている。詳しくは、流出口5oはケース52の底壁52bに形成されている。ケース52の内部には、複数のギヤ53a、53b、53c、53dおよび伝達軸54を含む差動減速機本体55が配置されている。伝達軸54は図略の車軸に接続される。ケース52の底部52bは箱状をなし、オイル溜まり52cを形成している。流入口5iを経てケース52の内部に流入した潤滑クーラントはオイル溜まり52cに流入する。オイル溜まり52cにはエジェクタ56用のポンプ56aが配置されている。オイル溜まり52cに流入した潤滑クーラントは、このポンプ56aによって汲み上げられ、ギヤ53a〜53dの上方に配置されているエジェクタ56を介してギヤ53a〜53dに噴霧される。その後潤滑クーラントの一部はギヤ53a〜53dの表面に付着して潤滑作用を生じさせる。また、潤滑クーラントの他の一部は重力によって下方に流動しオイル溜まり52cに再度流入する。
なお、第3経路部73に接続されているポンプ79によって、オイル溜まり52cの潤滑クーラントは流動する。この流動方向の上流側に流入口5iおよびエジェクタ用ポンプ56aが配置され、下流側に流出口5oが配置されている。したがって、液−液熱交換器8を経て差動減速機5に流入した潤滑クーラントは、先ずエジェクタ用ポンプ56aにより汲み上げられて差動減速機本体55(詳しくはギヤ53a〜53d)に供給され、その後流出口5oを経てケース52の外部(差動減速機5の外部)に流出する。
ケース52の底壁52bには、流出口5oが貫通形成されている。流出口5oもまた、オイル溜まり52cの内部に開口する。流出口5oには第1経路部71の端部(給油端部71aとは逆側の端部)が接続されている。ギヤ53a〜53dを経てオイル溜まり532cに合流した潤滑クーラントは流出口5oを経て差動減速機5から第1経路部71に向けて流出する。
第1経路部71のなかで流出口5o側の部分にはオイルフィルタ71cが取り付けられている。このオイルフィルタ71cは差動減速機5で生じた金属粉を潤滑クーラントから除去するためのものである。オイルフィルタ71cによって濾過された潤滑クーラントは、流入口3iを経て電動機3に再度流入する。このようにして潤滑クーラントは潤滑クーラント流路7(第1経路部71、第2経路部72、第3経路部73)を循環しつつ電動機3、液−液熱交換器8および差動減速機5に流通する。
(液−液熱交換器)
図2は、実施形態の冷却装置2における液−液熱交換器8の内部構成を模式的に示すA−A断面図である。
図2に示すように、液−液熱交換器8は、アルミニウム製の筐体81と、筐体81に直接または間接的に一体で保持されているインバータ4を構成する発熱要素40(実施形態においては、電子部品でトランジスタ、FET、IGBT等に代表されるパワー素子)とを含む。発熱要素40は筐体81の表面に固定されている。発熱要素40の背面40a(筐体81側の面)は、筐体81のなかで発熱要素40の背面側に位置する面(熱伝導面80a)に密着している。筐体81の上方にはインバータ4を構成する発熱要素40が保持されているが、筐体81とインバータ4の取付け関係は、インバータ4から駆動時に発生する発熱を熱交換できるような取付け関係であれば良い。
筐体81の内部には大別して2つの経路が形成されている。一方の経路は筐体81の内部に穿設されるとともに発熱要素40の背面40a側となる上方に配置されている水側流路部65である。他方の経路は筐体81の内部に穿設されるとともに水側流路部65の背面側(つまり、水側流路部65の下方側)かつ水側流路部65の外周側に配置されている油側経路部75である。水側流路部65はインバータ用クーラント流路6の一部であり、後述するようにインバータ用クーラント流路6の他の一部を構成する放熱流路部66に接続される。油側経路部75は潤滑クーラント流路7の一部であり、第2経路部72および第3経路部73に接続される。
図3〜図5は実施形態の冷却装置2における液−液熱交換器8の内部を模式的に示したものであり、インバータ用クーラントの流通方向を説明する内部構成図である。詳しくは、図3は水側流路部65を表し、図4および図5は油側流路部75の構成を表す。
図3に示すように、水側流路部65は、流入口82i、流出口82o、および熱交換流路部83を持つ。図1に示すように、流入口82iは放熱流路部66の一端部に接続され、流出口82oは放熱流路部66の他端部に接続される。図2、3に示すように、熱交換流路部83は発熱要素40の背面40aに沿って平行に延び、流入口82iおよび流出口82oに比べて流路断面積の大きな溝状をなす。熱交換流路部83には複数の伝熱リブ83aが図2に示す上下方向において間隔(または突出高さ)が均一なマトリックス状に突設されている。伝熱リブ83aは筐体81の一部からなり、図2に示すように、伝熱リブ83aの一端部は、筐体81における熱伝導面80a側の部分(伝熱部81a)に一体化されている。伝熱リブ83aの他端部は油側経路部75に向けて直線状に延び、隔壁81cとは離間し、熱交換流路部83の内部に露出している。伝熱リブ83と隔壁81cとの間には隙間が形成されている。
図4および図5に示すように、油側経路部75は流入口84i、流出口84oに加え、分岐した2つの経路(第1流路部85、第2流路部86)を持つ。第1流路部85は水側流路部65(より具体的には熱交換流路部83)の背面側に配置され、第2流路部86は水側流路部65(より具体的には熱交換流路部83)の外周側に配置されている。油側流路部75は、流入口84i側において第1経路部71および第2経路部72に分岐する。第1流路部85および第2流路部86は、油側流路部75の流出口84o側において合流する。その他においては第1流路部85および第2流路部86は隔離されている。なお、第1流路部85と第2流路部86とを区画する隔壁81bは筐体81の一部により構成されているため、第1流路部85と第2流路部86とは熱的に連絡している。図4および図5に示すように、第2流路部86は流路断面積略一定の溝状をなす。これに対して第1流路部85は、熱交換流路部83に沿って延び、第2流路部86に比べて流路断面積の大きな溝状をなす。
第1流路部85には、熱交換流路部83と同様に、間隔または突出高さが均一なマトリックス状の伝熱リブ85aが複数突設されている。伝熱リブ85aは筐体81の一部からなり、図2に示すように、熱交換流路部83の伝熱リブ83aと対称な方向に突出している。つまり、伝熱リブ83aと伝熱リブ85aとは、それぞれ、熱交換流路部83と第1流路部85とを区画する筐体81の隔壁81cに突出端を向けている。伝熱リブ83aの突出端83tおよび伝熱リブ85aの突出端85tは隔壁81cと離間している。なお、隔壁81cは、熱交換流路部83(インバータ用クーラント流路6)と第1流路部85(潤滑クーラント流路7)とを熱的に連絡する伝熱経路として機能する。
図4および図5に示すように、第1流路部85と第2流路部86との分岐部には、流量調整要素88が配置されている。換言すると、油側流路部75の上流側(流入口84i側において)において、第1流路部85と第2流路部86とは流量調整要素88を介して連絡している。実施形態の冷却装置2における流量調整要素88は、複数の金網に代表される流量調整部材が重ね合わされてなる。したがってこの流量調整要素88は金網の網目すなわち流路を複数持つ多孔体である。潤滑クーラントはオイル系のクーラントであるため、所定温度未満の低温の場合には比較的高粘度となり、所定の温度よりも高温である場合には比較的低粘度となる。このため、潤滑クーラントが低温つまり高粘度である場合には、流量調整要素88を通過する際の潤滑クーラントの流通抵抗が過大になる。したがってこのとき潤滑クーラントは流通抵抗の小さい流通経路すなわち第2流路部86に優先的に流通し、第1流路部85には潤滑クーラントが流通しなくなるか、または、第1流路部85における潤滑クーラントの流通量は非常に少なくなる。
一方、潤滑クーラントが所定温度以上となる高温つまり低粘度である場合には、流量調整要素88を通過する際の潤滑クーラントの流通抵抗が小さくなり、潤滑クーラントは第1流路部85にも流通する。つまり、実施形態の冷却装置2においては、潤滑クーラントの温度に応じて、潤滑クーラントの主な流通経路が変化する。
図2に示すように、第1流路部85と熱交換流路部83との距離L1は、第2流路部86と熱交換流路部83との距離L2よりも近い。換言すると、第1流路部85とインバータ用クーラント流路6との距離L1は、第2流路部86とインバータ用クーラント流路6との距離L2よりも近い。このため潤滑クーラントは、第1流路部85を流通する場合には、第2流路部86を流通する場合に比べてインバータ用クーラントと熱交換し易い。つまり第1流路部85を流通する場合の潤滑クーラントの温度は、第2流路部86を流通する場合の潤滑クーラントの温度に比べて低温になり易い。
ところで、潤滑クーラントは動力伝達要素(実施形態では差動減速機5)に供給され潤滑剤としても機能する。一般に、潤滑剤の粘度は温度に依存して変化する。つまり一般的な潤滑剤は低温であれば比較的高粘度であり、高温であれば比較的低粘度である。冷却装置2において、潤滑クーラントを差動減速機5用の潤滑剤かつ電動機3用のクーラントとして用いる場合には、差動減速機5に供給することを考慮すると潤滑クーラントは低粘度(つまり高温)であるのが好ましく、電動機3に供給することを考慮すると潤滑クーラントは低温(つまり高粘度)であるのが好ましいという、背反した事情がある。したがって、動力伝達要素(差動減速機5)用の潤滑剤でありかつ電動機3用のクーラントたる潤滑クーラントの温度には好ましい範囲があり、潤滑クーラントの温度がこの範囲に収まるように液−液熱交換器8における潤滑クーラントの温度低下を制御するのが好ましい。
また、冷却装置2において、インバータ用クーラントと熱交換することで潤滑クーラントを冷却する場合、インバータ4は発熱量の大きな発熱要素40を含むため、インバータ用クーラントとしては、熱交換効率に優れるクーラント(例えば水系のクーラント)を用いるのが一般的である。このため、例えば電動機3の起動直後等、潤滑クーラント流路7を流通する潤滑クーラントが低温である場合には、インバータ用クーラントと熱交換することでさらに温度低下して、潤滑クーラントの温度が過剰に低くなる可能性がある。この場合、潤滑クーラントの粘度が過剰に高くなり、動力伝達要素において十分な潤滑性能を発揮し難くなる可能性がある。
実施形態の冷却装置2においては、流量調整要素88の作用によって、潤滑クーラントが比較的低温の場合には第2経路部72における潤滑クーラントの流量が多くなる。上述したように、第2経路部72を流通する潤滑クーラントは比較的冷却され難いため、液−液熱交換器8を通過して差動減速機5に供給される潤滑クーラントは高粘度になり難い。換言すると、実施形態の冷却装置2によると、差動減速機5に比較的粘度の低い潤滑クーラントを供給できる。また、潤滑クーラントが比較的高温の場合には、第1経路部71にも潤滑クーラントが流通する。第1経路部71を流通する場合には潤滑クーラントはインバータ用クーラントと熱交換し易いため、この場合には液−液熱交換器8を流通する潤滑クーラントは冷却され易い。よって、液−液熱交換器8を通過して電動機3に供給される潤滑クーラントは十分に冷却される。換言すると、実施形態の冷却装置2によると、電動機3に比較的低温の潤滑クーラントを供給できる。つまり、実施形態の冷却装置2においては、潤滑クーラントの流通する流路を、潤滑クーラントを比較的大きく温度低下させ得る第1流路部85と、潤滑クーラントの温度低下を抑制し得る第2流路部86と、の2つに分岐させた。このため実施形態によると、潤滑クーラントの温度を、電動機3および差動減速機5の両方に好ましい温度範囲に制御することが可能である。
また、実施形態の冷却装置2において、液−液熱交換器8は、電動機3の外部に配置されているため、液−液熱交換器8内におけるインバータ用クーラントおよび潤滑クーラントは電動機3で生じた熱の影響を受け難い。このため、例えば上述した特許文献1に紹介されている技術のように、電動機3に一体に組み込まれたオイルパンの内部(実施形態においてはオイル溜まり32cの内部)、つまり、電動機3におけるケース32の内部で熱交換を行う場合に比べて、インバータ用クーラントの過剰な加熱を抑制できる。したがって、実施形態の冷却装置2によると、潤滑クーラントを効率良く放熱でき、電動機3の冷却効率を向上させ得る。また、液−液熱交換器8を流通するインバータ用クーラントが過剰に加熱されないため、インバータ4の発熱要素40を十分に冷却できる。よって実施形態の冷却装置2によると電動ユニットの熱交換効率を向上させることができる。換言すると、実施形態の電動ユニットは熱交換効率に優れる。
実施形態の冷却装置2において、液−液熱交換器8はインバータ4に一体化されている。実施形態のインバータ4を液−液熱交換器8に一体化することで、電動ユニットを小型化できるとともにインバータ4とインバータ用クーラントとの熱交換、および、インバータ用クーラントと潤滑クーラントとの熱交換を効率良くおこない得る利点がある。なお、インバータ4と液−液熱交換器8との位置関係は特に限定しない。例えばインバータ用クーラント流路6内にインバータ4を配置し、インバータ4に含まれる発熱要素40をインバータ用クーラントに直接曝しても良い。その後、インバータ4を冷却したインバータ用クーラントと潤滑クーラントとを液−液熱交換器8にて熱交換させても良い。
実施形態においては、液−液熱交換器8は、インバータ4を冷却した後のインバータ用クーラントと、電動機3を冷却し差動減速機5に流入する前の潤滑クーラントとを熱交換している。このため、差動減速機5に流入する前の潤滑クーラントの温度を好ましい範囲に調整し易い。したがって潤滑クーラントは、差動減速機5において潤滑機能を良好に発揮し易い。なお、液−液熱交換器8の位置はこれに限定されない。例えば液−液熱交換器8はインバータ4を冷却した後のインバータ用クーラントと、動力伝達要素を通過し、電動機3に流入する前の潤滑クーラントとを熱交換しても良い。
実施形態においては、インバータ用クーラント流路6に流通するインバータ用クーラントを気−液熱交換器9によって冷却しているが、例えば、本発明の冷却装置を船舶等に適用する場合等、冷却水等を供給可能な状況であればインバータ用クーラント流路6を液−液熱交換器8によって冷却しても良い。
流量調整要素88としては、金網や織布、不織布等に代表される連泡型の多孔体を用いることもできるが、これに限らず、例えば潤滑クーラントの温度に応じて機械的または電気的に第1流路部85と第2流路部86との間を開閉或いは流路断面積を調整し得る機構を用いることもできる。具体例を挙げると、サーモスタット式温度スイッチや、電磁弁等である。なお、電気的な流量調整要素88を用いる場合には、潤滑クーラント流路7に温度センサを配設すれば良い。潤滑クーラント流路7における温度センサの配設位置は特に問わないが、潤滑クーラントの温度の影響を受け易い動力伝達要素の近傍に配設するのが好ましく、動力伝達要素の上流側(実施形態では差動減速機5の上流側、第3経路部73のなかで流入口5iの近傍)に配設するのがより好ましい。
実施形態の冷却装置において、伝熱リブ83aの突出端83tおよび伝熱リブ85aの突出端85tは隔壁81cと離間している。したがって、発熱要素40の熱は潤滑クーラントに伝導され難く、潤滑クーラントは液−液熱交換器8において信頼性高く冷却される。また、伝熱リブ85a同士の間隙には、それぞれ、直進可能なクーラント流路85rが形成されている。このため伝熱リブ85aによる潤滑クーラントの流通抵抗増大が抑制されている。このため、流量調整要素88を通過し第1流路部85に流入した潤滑クーラントは、第1流路部85の外部に円滑に流出し得る。伝熱リブ83a、85aの形状は柱状、フィン状等種々の形状にできるが、何れの場合にも、伝熱リブ83aの突出端83tおよび伝熱リブ85aの突出端85tが隔壁81cと離間し、伝熱リブ85a同士の間隙、および、伝熱リブ83a同士の間隙には、直進可能なクーラント流路83r、85rが形成されるのが好ましい。
実施形態においては、筐体81はアルミニウム製であるが、筐体81の材料はこれに限定されない。熱伝導性を考慮すると、銅等を筐体81の材料として好ましく用いることができる。潤滑クーラントおよびインバータ用クーラントもまた、インバータ4、電動機3、動力伝達要素等の種類に応じて適宜選択できる。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
1 駆動部
2 冷却装置
3 電動機
32 電動機のケース
32c 電動機のオイル溜まり
36 電動機本体
4 インバータ
40 発熱要素
5 差動減速機(動力伝達要素)
52 差動減速機のケース
52c 差動減速機のオイル溜まり
55 差動減速機本体
6(65、66、83) インバータ用クーラント流路
7(71、72、73、75) 潤滑クーラント流路
71c オイルフィルタ
8 液−液熱交換器
81 液−液熱交換器の筐体
85 第1流路部
86 第2流路部
88 流量調整要素
9 気−液熱交換器を示す。

Claims (5)

  1. 電動機と、
    前記電動機を制御するインバータと、
    減速機、変速機の少なくともいずれかを含み、前記電動機による駆動力を駆動軸に伝達する動力伝達要素と、を備えた電動ユニットを冷却する冷却装置であって、
    前記インバータを冷却するクーラントが流通するインバータ用クーラント流路と、
    前記電動機および前記動力伝達要素の少なくともいずれかに接続され、前記電動機および前記動力伝達要素の内部に潤滑クーラントを流通させる潤滑クーラント流路と、
    前記インバータと一体と成り、前記電動機の外部に配置され、前記インバータ用クーラント流路を流通する前記インバータ用クーラントと、前記電動機または前記動力伝達要素に流入する前の前記潤滑クーラントとを熱交換する液−液熱交換器と、を備える電動ユニットの冷却装置。
  2. 前記液−液熱交換器において、
    前記インバータ用クーラント流路と前記潤滑クーラント流路は伝熱経路を介して隣接し、
    前記潤滑クーラント流路は、第1流路部と第2流路部とに分岐し、前記第1流路部と前記インバータ用クーラント流路との距離は前記第2流路部と前記インバータ用クーラント流路との距離よりも近く、
    前記潤滑クーラント流路の入口側において、前記第1流路部と前記第2流路部との間には流量調整要素が配置され、
    前記流量調整要素は、前記潤滑クーラントの温度が所定温度未満である場合に前記潤滑クーラントを主として前記第2流路部に流通させ、前記潤滑クーラントの温度が所定温度以上の場合に前記第1流路部における前記潤滑クーラントの流通量を増大させる請求項1に記載の電動ユニットの冷却装置。
  3. 前記流体調整要素は、複数の流路を持つ多孔体からなり、
    前記潤滑クーラントは温度により粘度が変化するオイルであり、
    前記潤滑クーラントが前記所定温度未満である場合には、前記潤滑クーラントが前記所定温度以上である場合に比べて、前記流体調整要素を通過する前記潤滑クーラントの流通抵抗が大きい請求項1または請求項2に記載の電動ユニットの冷却装置。
  4. 前記液−液熱交換器は、前記インバータの発熱要素を保持するとともに前記伝熱経路を構成する筐体と、前記筐体に形成されている前記インバータ用クーラント流路および前記潤滑クーラント流路とを含み、
    前記インバータ用クーラント流路は前記発熱要素の背面側に配置され、
    前記潤滑クーラント流路の前記第1流路部は前記インバータ用クーラント流路の背面側に配置され、
    前記潤滑クーラント流路の前記第2流路部は前記第1流路部および前記インバータ用クーラント流路の外周側に配置されている請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動ユニットの冷却装置。
  5. 前記液−液熱交換器は、前記インバータを冷却した後の前記インバータ用クーラントと、前記電動機を冷却し前記動力伝達要素に流入する前の前記潤滑クーラントとを熱交換する請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電動ユニットの冷却装置。
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