JP2014007238A - コイル注形用樹脂組成物および電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】密着性に優れた硬化物を形成することができるコイル注形用樹脂組成物および電子部品を提供しようとするものである。
【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)硬化剤、(C)反応性希釈剤、(D)充填剤、(E)石油樹脂を必須成分とするコイル注形用樹脂組成物であって、成分(A)、(B)、および(C)の合計量100質量部に対し、成分(E)を0.5〜10質量部含み、成分(D)を樹脂組成物中に40〜80質量%含むことを特徴とするコイル注形用樹脂組成物および同コイル注形用樹脂組成物を液状注形材料としてコイル部品を注形してなる電子部品である。
【選択図】なし
【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)硬化剤、(C)反応性希釈剤、(D)充填剤、(E)石油樹脂を必須成分とするコイル注形用樹脂組成物であって、成分(A)、(B)、および(C)の合計量100質量部に対し、成分(E)を0.5〜10質量部含み、成分(D)を樹脂組成物中に40〜80質量%含むことを特徴とするコイル注形用樹脂組成物および同コイル注形用樹脂組成物を液状注形材料としてコイル部品を注形してなる電子部品である。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気機器用コイルにおいて金属ケース有する機器に対し、金属ケースから剥離せず密着性が良好なコイル注形用樹脂組成物およびそれを注形材料として用いて硬化させた電子部品に関する。
従来、モーターやトランスに組み込まれるコイルにおいては、巻線を保護するために絶縁ワニスによる絶縁処理が行われている。この絶縁処理によって、巻線の絶縁の他、巻線の物理的支持、巻線からの発熱のスロット壁への伝達、ワイヤーのピンホールや加工傷の被覆などの様々な機能がコイルに付与されている。
上記目的に加え、金属ケース有する機器についてはケースとの密着性が必要であり、密着性が不十分であれば、電気機器の稼動により、振動や音が発生し、また隙間から、埃や水分などが浸透し、本来の機器としての性能が失われる。
上記用途では充填剤として、無機充填剤を用い、電気絶縁性を向上させるのが主であるが、従来のポリエステル樹脂、硬化剤、充填剤の組み合わせでは、ポリエステル樹脂と充填剤の線膨張係数の差、およびポリエステル樹脂と金属ケースとの接着力不足により、剥離する原因となっている。
特許文献1〜4では樹脂成分としてエポキシ樹脂が開発されているが、樹脂自体の硬度が高いため、クラックや剥離の発生、および硬化時に熱を有する。このため、低温で硬化させることができる不飽和ポリエステル樹脂による改良が検討されてきた。
特許文献5〜8では被膜の柔軟性を改良させるため、不飽和ポリエステル樹脂に粘着剤または接着剤としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂やポリエチレンワックス、アミン硬化型ゴム分散エポキシ樹脂等を使用しているが、消泡性が悪く、表面状態に凹凸を生じるため、埃や水分などが溜まり、本来の機器としての性能が失われる場合がある。
上記目的に加え、金属ケース有する機器についてはケースとの密着性が必要であり、密着性が不十分であれば、電気機器の稼動により、振動や音が発生し、また隙間から、埃や水分などが浸透し、本来の機器としての性能が失われる。
上記用途では充填剤として、無機充填剤を用い、電気絶縁性を向上させるのが主であるが、従来のポリエステル樹脂、硬化剤、充填剤の組み合わせでは、ポリエステル樹脂と充填剤の線膨張係数の差、およびポリエステル樹脂と金属ケースとの接着力不足により、剥離する原因となっている。
特許文献1〜4では樹脂成分としてエポキシ樹脂が開発されているが、樹脂自体の硬度が高いため、クラックや剥離の発生、および硬化時に熱を有する。このため、低温で硬化させることができる不飽和ポリエステル樹脂による改良が検討されてきた。
特許文献5〜8では被膜の柔軟性を改良させるため、不飽和ポリエステル樹脂に粘着剤または接着剤としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂やポリエチレンワックス、アミン硬化型ゴム分散エポキシ樹脂等を使用しているが、消泡性が悪く、表面状態に凹凸を生じるため、埃や水分などが溜まり、本来の機器としての性能が失われる場合がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、金属ケースの密着性を改良させる効果を持つ石油樹脂を特定量含むコイル注形用樹脂組成物および電子部品に関する。
すなわち、本発明は、
(1)(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)硬化剤、(C)反応性希釈剤、(D)充填剤、(E)石油樹脂を必須成分とするコイル注形用樹脂組成物であって、成分(A)、(B)、および(C)の合計量100質量部に対し、成分(E)を0.5〜10質量部含み、成分(D)を樹脂組成物中に40〜80質量%含むことを特徴とするコイル注形用樹脂組成物、
(2)前記成分(E)の石油樹脂の重量平均分子量が400〜2,000である上記(1)に記載のコイル注形用樹脂組成物、
(3)前記成分(E)の石油樹脂がマレイン化石油樹脂または1,3-ペンタジエン系石油樹脂である上記(1)または(2)に記載のコイル注形用樹脂組成物、
(4)前記成分(D)の充填剤は珪砂を60%以上含む混合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成および
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成物を液状注形材料としてコイル部品を注形してなる電子部品を提供する。
(1)(A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)硬化剤、(C)反応性希釈剤、(D)充填剤、(E)石油樹脂を必須成分とするコイル注形用樹脂組成物であって、成分(A)、(B)、および(C)の合計量100質量部に対し、成分(E)を0.5〜10質量部含み、成分(D)を樹脂組成物中に40〜80質量%含むことを特徴とするコイル注形用樹脂組成物、
(2)前記成分(E)の石油樹脂の重量平均分子量が400〜2,000である上記(1)に記載のコイル注形用樹脂組成物、
(3)前記成分(E)の石油樹脂がマレイン化石油樹脂または1,3-ペンタジエン系石油樹脂である上記(1)または(2)に記載のコイル注形用樹脂組成物、
(4)前記成分(D)の充填剤は珪砂を60%以上含む混合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成および
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成物を液状注形材料としてコイル部品を注形してなる電子部品を提供する。
本発明のコイル注形用樹脂組成物は、金属ケースの内部にコイルが封入されて硬化した硬化物に対して冷却と加熱を複数回繰り返しても金属ケースから剥離することなく密着性を有するものであり、かつ60℃程度の低温硬化が可能な発明であるため、耐熱性が低い機器製品および部品に対し、有効な発明である。
以下、本発明の注形用樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明で用いる成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂は酸成分とアルコール成分とを混合し、加熱下、脱水縮合反応(エステル化)により得られるものである。
ここで用いる酸成分としては、通常、α、β−不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸が併用される。α、β−不飽和多塩基酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物などが挙げられる。飽和多塩基酸としてはフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。不飽和多塩基酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
本発明で用いる成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂は酸成分とアルコール成分とを混合し、加熱下、脱水縮合反応(エステル化)により得られるものである。
ここで用いる酸成分としては、通常、α、β−不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸が併用される。α、β−不飽和多塩基酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物などが挙げられる。飽和多塩基酸としてはフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。不飽和多塩基酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
またアルコール成分としては、多価アルコールが挙げられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール−1,4、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−2,3、ジエチレングリコール、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3、水素化ビスフェノールA、2,2−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
また、成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂には、上記酸成分以外の変性成分を加えることができ、変性成分として大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸等の食用油脂肪酸などを併用することができる。
これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。変性成分を使用することにより、硬化物に対してより柔軟性を付与することができる。
不飽和ポリエステル樹脂の調整は所定の原料を反応容器内で窒素などの不活性ガスを吹き込みながら150〜230℃程度で酸成分とアルコール成分が反応するときに生じる水を系外に除きながら縮合反応させる。全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1.1〜2当量の範囲で使用することが好ましい。反応は、少なくとも反応系が透明になるまで続ける必要があり、反応性の観点から得られる不飽和ポリエステル樹脂の酸価は30以下であることが望ましい。
これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。変性成分を使用することにより、硬化物に対してより柔軟性を付与することができる。
不飽和ポリエステル樹脂の調整は所定の原料を反応容器内で窒素などの不活性ガスを吹き込みながら150〜230℃程度で酸成分とアルコール成分が反応するときに生じる水を系外に除きながら縮合反応させる。全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1.1〜2当量の範囲で使用することが好ましい。反応は、少なくとも反応系が透明になるまで続ける必要があり、反応性の観点から得られる不飽和ポリエステル樹脂の酸価は30以下であることが望ましい。
本発明に用いられる不飽和ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)は、500〜10,000が好ましく、1,500〜5,000がより好ましい。500未満では、樹脂組成物の硬化性及び硬化物の特性が極端に劣る傾向があり、10,000を超えると粘度が高すぎ、コイルへの含浸作業性が悪化する傾向がある。
成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂は市販品を使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、京セラケミカル(株)の「プリミックス」シリーズ、昭和電工(株)のリゴラックシリーズ、ディー・エイチマテリアル(株)のサンドーマシリーズ等が挙げられる。
成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂は市販品を使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、京セラケミカル(株)の「プリミックス」シリーズ、昭和電工(株)のリゴラックシリーズ、ディー・エイチマテリアル(株)のサンドーマシリーズ等が挙げられる。
本発明に用いる成分(B)の硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが挙げられる。硬化剤の配合割合は不飽和ポリエステル樹脂(A)および次に述べる(C)反応性希釈剤の合計質量に対して0.1質量%〜5質量%である。0.1質量%未満では十分に硬化が進まないため、硬化物において十分な特性が得られず、5質量%を超えると硬化剤混合後の可使時間が短くなってしまうため好ましくない。
本発明に用いる成分(C)の反応性希釈剤としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体、各種アリルエステル等が挙げられる。例えば、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、2,5−ジメチルスチレン、3,4,6−トリメチルスチレン、P−クロルスチレン、P−メトキシスチレン等、アリルエステルとしては、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリルエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸アリル等がある。また、場合により(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル等も使用できる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
反応性希釈剤(C)の配合割合は、成分(A)、(B)、(C)成分の合計量中10〜80質量%であることが望ましい。配合割合が10質量%未満では作業性、コイルへの含浸性が悪くなり、配合割合が80質量%を超える場合は、不飽和ポリエステル樹脂は十分な反応性が得られず、硬化物の機械的強度が得られない。
反応性希釈剤(C)の配合割合は、成分(A)、(B)、(C)成分の合計量中10〜80質量%であることが望ましい。配合割合が10質量%未満では作業性、コイルへの含浸性が悪くなり、配合割合が80質量%を超える場合は、不飽和ポリエステル樹脂は十分な反応性が得られず、硬化物の機械的強度が得られない。
本発明に用いる成分(D)の充填剤としては無機充填剤が用いられる。無機充填剤としては、珪砂、タルク、シリカ、マイカ、クレーガラスなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。分散性、コイル注形用樹脂組成物の流動性等の観点から充填剤の平均粒度としては、0.01〜2.4mmである。
成分(D)の配合割合は成分(A)、(B)、(C)、(D)成分の合計量中40〜80質量%であることが必須であり、60〜80質量%であることが好ましい。この範囲であれば硬化物の密着性、消泡性および吸水性が良い。上記無機充填剤のうち、特性、コスト面から珪砂を60%以上含む混合物として用いることが好ましい。
成分(D)の配合割合は成分(A)、(B)、(C)、(D)成分の合計量中40〜80質量%であることが必須であり、60〜80質量%であることが好ましい。この範囲であれば硬化物の密着性、消泡性および吸水性が良い。上記無機充填剤のうち、特性、コスト面から珪砂を60%以上含む混合物として用いることが好ましい。
本発明に用いる成分(E)の石油樹脂としては、マレイン化石油樹脂、1,3-ペンタジエン系石油樹脂、炭素数4〜5炭化水素留分重合物、炭化水素留分・スチレン類共重合物、ジシクロペンタジエン・酢酸ビニル共重合物、ジシクロペンタジエン・アリルアルコール共重合物等が挙げられる。好ましいのは重量平均分子量400〜2000の石油樹脂である。400以上であれば金属との密着性が良く、2000以下であれば消泡性が良い。
成分(E)の石油樹脂の配合量は、前記成分(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して0.5〜10質量部である。
本発明のコイル注形用樹脂組成物において成分(E)の石油樹脂は主として密着性改良剤として機能する。
成分(E)の石油樹脂の配合量は、前記成分(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して0.5〜10質量部である。
本発明のコイル注形用樹脂組成物において成分(E)の石油樹脂は主として密着性改良剤として機能する。
本発明のコイル注形用樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、硬化剤、反応性希釈剤、充填剤、および石油樹脂を必須成分としているが、本発明の目的に反しない限り、必要に応じて硬化促進剤や重合禁止剤を添加することができる。
硬化促進剤としては、ナフテン酸またはオクチル酸の金属塩(マンガン、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、カルシウム等の金属塩)が挙げられ、これらは一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルカテコールなどを適宜添加配合することができる。
硬化促進剤としては、ナフテン酸またはオクチル酸の金属塩(マンガン、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、カルシウム等の金属塩)が挙げられ、これらは一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルカテコールなどを適宜添加配合することができる。
さらに、本発明のコイル注形用樹脂組成物には、前記成分に加えて樹脂組成物の粘度を調整する目的も兼ねて樹脂分調整剤を添加することができる。樹脂分調整剤としては、通常、前記反応性希釈剤(C)と同じものを使用することが好ましい。
本発明のコイル注形用樹脂組成物は、上記のような所定量の各成分を、常法により配合・混練することにより得ることができる。例えば所定量の各成分をニーダーに投入し、25〜30℃で20〜40分間混合することで、コイル注形用樹脂組成物を調製することができる。
このコイル注形用樹脂組成物を成形硬化することでモータ、コイル等の電子部品を封止して、成形品を得ることができる。封止成形は適宜の手法を採用して行うことができ、例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等により行うことができる。また成形時の成形条件は適宜設定されるが、例えば成形温度130〜140℃、成形時間は〔成形品の最大肉厚(mm)〕×〔20〜30(秒/mm)〕、成形圧力は9.8〜14.7MPaとすることができる。
本発明のコイル注形用樹脂組成物を注形材料として用いた本発明の電子部品の具体例としては、リアクトルコイル、トランス、照明安定器等が挙げられる。
次に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔合成例1〕
大豆油脂肪酸220質量部、無水マレイン酸340部、無水フタル酸340質量部、エチレングリコール480部を窒素ガス下で200〜230℃に加熱しながら脱水縮合反応させた。酸価が25に到達した時点で減圧脱水を行い、不飽和ポリエステル樹脂を調製した。不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量は700であった。
大豆油脂肪酸220質量部、無水マレイン酸340部、無水フタル酸340質量部、エチレングリコール480部を窒素ガス下で200〜230℃に加熱しながら脱水縮合反応させた。酸価が25に到達した時点で減圧脱水を行い、不飽和ポリエステル樹脂を調製した。不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量は700であった。
<実施例1>
次いで、合成例1で調製した不飽和ポリエステル樹脂〔成分(A)〕64質量部にハイドロキノン0.03質量部とともに反応性希釈剤〔成分(C)〕としてスチレン35質量部を添加して混合希釈し、さらに硬化促進剤としてナフテン酸マンガン溶液0.2質量部を添加して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液と硬化剤〔成分(B)〕としてメチルエチルケトンパーオキサイド1質量部を混合した。次いで、成分(A)〜(C)の合計量100質量部に対し、充填剤〔成分(D)〕300質量部(「珪砂N50」の150質量部と「珪砂N80」の150質量部)、石油樹脂〔成分(E)〕としてマレイン化石油樹脂を5質量部、シリコーン系消泡剤を0.1質量部添加し、さらに、樹脂分調整剤としてスチレン3質量部を添加してコイル注形用樹脂組成物を得た。添加時期は異なるが、反応性希釈剤〔成分(C)〕として添加したスチレンと樹脂分調整剤として添加したスチレンはコイル注形用樹脂組成物中で同じように硬化して硬化物の一部を形成する。
次いで、合成例1で調製した不飽和ポリエステル樹脂〔成分(A)〕64質量部にハイドロキノン0.03質量部とともに反応性希釈剤〔成分(C)〕としてスチレン35質量部を添加して混合希釈し、さらに硬化促進剤としてナフテン酸マンガン溶液0.2質量部を添加して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液と硬化剤〔成分(B)〕としてメチルエチルケトンパーオキサイド1質量部を混合した。次いで、成分(A)〜(C)の合計量100質量部に対し、充填剤〔成分(D)〕300質量部(「珪砂N50」の150質量部と「珪砂N80」の150質量部)、石油樹脂〔成分(E)〕としてマレイン化石油樹脂を5質量部、シリコーン系消泡剤を0.1質量部添加し、さらに、樹脂分調整剤としてスチレン3質量部を添加してコイル注形用樹脂組成物を得た。添加時期は異なるが、反応性希釈剤〔成分(C)〕として添加したスチレンと樹脂分調整剤として添加したスチレンはコイル注形用樹脂組成物中で同じように硬化して硬化物の一部を形成する。
得られたコイル注形用樹脂組成物およびそのコイル硬化物について以下に示すような評価を行った。結果を第1表に示す。
(1)ゲルタイム
JIS C 2105に準拠して注形用樹脂組成物10gを試験管に入れ、60℃にてゲル化するまでの時間を5分ごとに測定した。
(2)粘度
JIS C 2105に準拠して、回転粘度計を用い、25℃における粘度を測定した。
(3)ゴム硬度
注形用樹脂組成物をJIS K 7215に準拠して105℃で10時間硬化させた後、ゴム硬度計により測定した。
(4)耐クラック性
ブリキ製のシャーレ中に注形用樹脂組成物30gを入れてその中心部にステンレス製のワッシャーを配置して、105℃×10時間で硬化させたものを試験片とし、メタノール/ドライアイス中−20℃×30分と乾燥空気雰囲気で120℃×60分の冷却と加熱を5サイクル繰り返した後、クラックの有無を目視にて確認した。
(5)絶縁破壊強度
図1に示すように、ブリキ製の容器3に注形用樹脂組成物およびコイル1を入れて105℃×10時間で硬化させた硬化物2について絶縁破壊強度測定装置〔東京精電(株)製、ITS−5050MS〕を用いて絶縁破壊強度を測定した。
表1中の数値(kV)は絶縁破壊を生じたときの印加電圧である。
*PEW(ポリエステルワイヤー):φ1.0mmのポリエチレン被覆導線を螺旋状に10回巻いて、直径50mmのコイル1とした。
(6)密着性
上記(5)で絶縁破壊強度を測定した後、ブリキ製の容器3と注形用樹脂組成物の硬化物2の密着性を目視にて確認して以下の基準で評価した。
○:剥離無し
△:一部剥離あり
×:全面剥離あり
(7)消泡性
上記(5)で使用した注形用樹脂組成物の硬化物2の上部表面の気泡の有無を目視にて確認して以下の基準で評価した。
○:気泡無し
△:一部気泡あり
×:多数気泡あり
(8)吸水性
上記(5)と同様の試験片を作製し、ブリキ製の容器3から注形用樹脂組成物およびコイル1を取り出したものを試験片とした。試験片を25℃の水中に1000時間浸漬させたときの重量変化を測定した。
○:1.0%未満
△:1.0%〜2.0%未満
×:2.0%以上
(1)ゲルタイム
JIS C 2105に準拠して注形用樹脂組成物10gを試験管に入れ、60℃にてゲル化するまでの時間を5分ごとに測定した。
(2)粘度
JIS C 2105に準拠して、回転粘度計を用い、25℃における粘度を測定した。
(3)ゴム硬度
注形用樹脂組成物をJIS K 7215に準拠して105℃で10時間硬化させた後、ゴム硬度計により測定した。
(4)耐クラック性
ブリキ製のシャーレ中に注形用樹脂組成物30gを入れてその中心部にステンレス製のワッシャーを配置して、105℃×10時間で硬化させたものを試験片とし、メタノール/ドライアイス中−20℃×30分と乾燥空気雰囲気で120℃×60分の冷却と加熱を5サイクル繰り返した後、クラックの有無を目視にて確認した。
(5)絶縁破壊強度
図1に示すように、ブリキ製の容器3に注形用樹脂組成物およびコイル1を入れて105℃×10時間で硬化させた硬化物2について絶縁破壊強度測定装置〔東京精電(株)製、ITS−5050MS〕を用いて絶縁破壊強度を測定した。
表1中の数値(kV)は絶縁破壊を生じたときの印加電圧である。
*PEW(ポリエステルワイヤー):φ1.0mmのポリエチレン被覆導線を螺旋状に10回巻いて、直径50mmのコイル1とした。
(6)密着性
上記(5)で絶縁破壊強度を測定した後、ブリキ製の容器3と注形用樹脂組成物の硬化物2の密着性を目視にて確認して以下の基準で評価した。
○:剥離無し
△:一部剥離あり
×:全面剥離あり
(7)消泡性
上記(5)で使用した注形用樹脂組成物の硬化物2の上部表面の気泡の有無を目視にて確認して以下の基準で評価した。
○:気泡無し
△:一部気泡あり
×:多数気泡あり
(8)吸水性
上記(5)と同様の試験片を作製し、ブリキ製の容器3から注形用樹脂組成物およびコイル1を取り出したものを試験片とした。試験片を25℃の水中に1000時間浸漬させたときの重量変化を測定した。
○:1.0%未満
△:1.0%〜2.0%未満
×:2.0%以上
<実施例2〜8および比較例1〜6>
表1に示す量の配合成分を用いる以外は実施例1と同様にしてコイル注形用樹脂組成物および比較用の樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示す量の配合成分を用いる以外は実施例1と同様にしてコイル注形用樹脂組成物および比較用の樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例、比較例で使用した材料の入手先、品番等を以下にまとめて記載する。
(1)大豆油脂肪酸:TOENOL#1125〔ヨウ素価120、当栄ケミカル(株)〕
(2)無水マレイン酸:日本触媒(株)
(3)無水フタル酸:川崎化成工業(株)
(4)エチレングリコール:三菱化学(株)
(5)メチルエチルケトンパーオキサイド(硬化剤):パーメックN〔日油(株)〕
(6)反応性希釈剤:スチレン〔旭化成(株)〕
(7)珪砂N50:日瓢鉱業(株)、平均粒度0.55mm
(8)珪砂N80:日瓢鉱業(株)、平均粒度0.125μm
(9)マレイン化石油樹脂:クイントンD200〔重量平均分子量 1250、日本ゼオン製(株)〕
(10)1,3-ペンタジエン系石油樹脂:クイントンA100〔重量平均分子量:1350、日本ゼオン製(株)〕
(11)比較用樹脂(キシレン樹脂):ニカノールLL〔フドー(株)〕
(12)比較用樹脂(ケトン樹脂):K−90〔荒川化学工業(株)〕
(13)重合禁止剤:ハイドロキノン〔精工化学(株)〕
(14)硬化促進剤:ナフテン酸マンガン〔DIC(株)〕
(15)消泡剤:シリコーン系消泡剤〔楠本化成(株)〕
(16)樹脂分調整剤:スチレン〔旭化成(株)〕
(1)大豆油脂肪酸:TOENOL#1125〔ヨウ素価120、当栄ケミカル(株)〕
(2)無水マレイン酸:日本触媒(株)
(3)無水フタル酸:川崎化成工業(株)
(4)エチレングリコール:三菱化学(株)
(5)メチルエチルケトンパーオキサイド(硬化剤):パーメックN〔日油(株)〕
(6)反応性希釈剤:スチレン〔旭化成(株)〕
(7)珪砂N50:日瓢鉱業(株)、平均粒度0.55mm
(8)珪砂N80:日瓢鉱業(株)、平均粒度0.125μm
(9)マレイン化石油樹脂:クイントンD200〔重量平均分子量 1250、日本ゼオン製(株)〕
(10)1,3-ペンタジエン系石油樹脂:クイントンA100〔重量平均分子量:1350、日本ゼオン製(株)〕
(11)比較用樹脂(キシレン樹脂):ニカノールLL〔フドー(株)〕
(12)比較用樹脂(ケトン樹脂):K−90〔荒川化学工業(株)〕
(13)重合禁止剤:ハイドロキノン〔精工化学(株)〕
(14)硬化促進剤:ナフテン酸マンガン〔DIC(株)〕
(15)消泡剤:シリコーン系消泡剤〔楠本化成(株)〕
(16)樹脂分調整剤:スチレン〔旭化成(株)〕
本発明のコイル注形用樹脂組成物は、高電圧下で使用される電気コイル等、高信頼性を要求されるリアクトルコイル、トランス、照明安定器等に好適に使用できるものである。
1:コイル
2:コイル注形用樹脂組成物の硬化物
3:ブリキ製の容器
2:コイル注形用樹脂組成物の硬化物
3:ブリキ製の容器
Claims (5)
- (A)不飽和ポリエステル樹脂、(B)硬化剤、(C)反応性希釈剤、(D)充填剤、(E)石油樹脂を必須成分とするコイル注形用樹脂組成物であって、成分(A)、(B)、および(C)の合計量100質量部に対し、成分(E)を0.5〜10質量部含み、成分(D)を樹脂組成物中に40〜80質量%含むことを特徴とするコイル注形用樹脂組成物。
- 前記成分(E)の石油樹脂の重量平均分子量が400〜2,000である請求項1に記載のコイル注形用樹脂組成物。
- 前記成分(E)の石油樹脂がマレイン化石油樹脂または1,3-ペンタジエン系石油樹脂である請求項1または2に記載のコイル注形用樹脂組成物。
- 前記成分(D)の充填剤は珪砂を60%以上含む混合物である請求項1〜3のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のコイル注形用樹脂組成物を注形材料としてコイル部品を注形してなる電子部品。
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JP2012140999A JP2014007238A (ja) | 2012-06-22 | 2012-06-22 | コイル注形用樹脂組成物および電子部品 |
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-
2012
- 2012-06-22 JP JP2012140999A patent/JP2014007238A/ja active Pending
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KR20230036526A (ko) | 2021-09-07 | 2023-03-14 | 가부시끼가이샤 쓰리본드 | 광경화성 코팅제 |
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