JP2014005498A - 防錆剤 - Google Patents

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裕一 坂西
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Abstract

【課題】従来に比べて少ない使用量で、十分な防錆性能を有する疎水膜を形成することができる防錆剤を提供する。
【解決手段】本発明の防錆剤は、下記式(1)で表される化合物を含むポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを少なくとも含有する。式(1)中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、1以上の整数である。
【化1】
Figure 2014005498

【選択図】なし

Description

本発明は、金属の防錆剤に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、分散媒に分散して金属に塗布することにより優れた防錆効果を示す疎水膜を形成することができる防錆剤に関するものである。
従来から、防錆を目的として、長鎖脂肪酸とアルキルアミン若しくはアルカノールアミンの塩を、石油製品、油脂、有機溶剤等の分散媒に分散して金属表面に塗布することはよく知られている。一般に、アルキルアミン若しくはアルカノールアミンの防錆効果は第三級アミン、第二級アミン、第一級アミンの順に増大し、また、低級アミンより高級アミンの方が優れている。すなわち、長鎖アルキル基若しくは長鎖アルカノール基を有する第一級アミンがより好ましい防錆効果を示す。しかしながら、この長鎖アルキル基若しくは長鎖アルカノール基を有する第一級アミンと長鎖脂肪酸の塩は実際の防錆機能を有するアミン部分に対してアルキル基若しくはアルカノール基の比率が大きくなるため、多量に使用しないと十分な防錆性能が得られない点が問題であった。
また、特許文献1、2には、ヒドロキシアリール脂肪酸と長鎖アルキルアミンの塩が提案されている。前記ヒドロキシアリール脂肪酸と長鎖アルキルアミンの塩もまた、前記と同様に、実際の防錆機能を有するアミン部分に対してアルキル基の比率が大きくなるため、多量に使用しないと十分な防錆性能が得られない点が問題であった。すなわち、低使用量において十分な防錆性能を発揮できる防錆剤が見いだされていないのが現状であった。
米国特許第3573333号明細書 特開昭63−117097号公報
従って、本発明の目的は、従来に比べて少ない使用量で、十分な防錆性能を有する疎水膜を形成することができる防錆剤を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アルコールとグリシジルエーテルとを反応させて得られる、2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルに、更にグリシドールを反応させて得られる化合物は、2つの疎水基が短いスペーサーで結合し、更に水溶性の高いポリグリセリン部分を親水基として有するため優れた界面活性能を有し、少量でも優れた防錆性能を有する疎水膜を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づき、さらに研究を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2014005498
(式中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、1以上の整数である)
で表される化合物を含むポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを少なくとも含有する防錆剤を提供する。
本発明は、また、前記防錆剤と分散媒とを含有する防錆剤組成物を提供する。
本発明の防錆剤は、2分子のモノメリック型界面活性剤(一疎水基一親水基型界面活性剤)が短いスペーサーで結合した形状を有する特定のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有する。そして、前記特定のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの親水基は金属表面に対して強い吸着力を有し、金属表面において、親水基を金属表面側に、疎水基を外側に向けて密に吸着することができ、従来に比べて少ない使用量でも、発錆因子の侵入を遮断する優れた防錆性能を有する疎水膜を形成することができる。また、ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルは、グリセリンの重合度を調整することにより、容易に防錆性能をコントロールすることができ、用途に応じた防錆性能を有する防錆剤が容易に得られる。
本発明の防錆剤は、ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを少なくとも含有する。
本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルは、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含有する。式(1)中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、1以上の整数である。
Figure 2014005498
式(1)の括弧内のC362は、下記式(2)及び(3)で示される両方の構造を有する。
−CH2−CHOH−CH2O− (2)
−CH(CH2OH)CH2O− (3)
1、R2における直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル(ラウリル)、n−トリデシル、n−テトラデシル(ミリスチル)、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−ステアリル基等の直鎖状アルキル基;イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、イソヘプチル、s−ヘプチル、t−ヘプチル、イソオクチル、s−オクチル、t−オクチル、イソノニル、s−ノニル、t−ノニル、イソデシル、s−デシル、t−デシル、イソウンデシル、s−ウンデシル、t−ウンデシル、イソドデシル、s−ドデシル、t−ドデシル、イソトリデシル、s−トリデシル、t−トリデシル、イソテトラデシル、s−テトラデシル、t−テトラデシル、イソペンタデシル、s−ペンタデシル、t−ペンタデシル、イソヘキサデシル、s−ヘキサデシル、t−ヘキサデシル、イソヘプタデシル、s−ヘプタデシル、t−ヘプタデシル、イソステアリル基等の分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。
1、R2におけるヒドロキシル基を有している直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、前記直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基に1以上のヒドロキシル基を有する直鎖状若しくは分岐鎖状ヒドロキシアルキル基を挙げることができる。
1、R2における直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、n−ヘキセニル、n−ヘプテニル、n−オクテニル、n−ノネニル、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル、n−オレイル基等の直鎖状アルケニル基;イソヘキセニル、s−ヘキセニル、t−ヘキセニル、イソヘプテニル、s−ヘプテニル、t−ヘプテニル、イソオクテニル、s−オクテニル、t−オクテニル、イソノネニル、s−ノネニル、t−ノネニル、イソデセニル、s−デセニル、t−デセニル、イソウンデセニル、s−ウンデセニル、t−ウンデセニル、イソドデセニル、s−ドデセニル、t−ドデセニル、イソトリデセニル、s−トリデセニル、t−トリデセニル、イソテトラデセニル、s−テトラデセニル、t−テトラデセニル、イソペンタデセニル、s−ペンタデセニル、t−ペンタデセニル、イソヘキサデセニル、s−ヘキサデセニル、t−ヘキサデセニル、イソヘプタデセニル、s−ヘプタデセニル、t−ヘプタデセニル、イソオレイル基等の分岐鎖状アルケニル基等を挙げることができる。
本発明におけるR1、R2としては、なかでも、界面上に強固な柵層(パリセード層)を形成することができ、特に優れた防錆性能を有する疎水膜を形成することができる点で、炭素数8〜18(より好ましくは8〜14、特に好ましくは10〜12)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に、直鎖状アルキル基)が好ましい。
nはグリセリン単位の数を示し、1以上の整数であり、例えば1〜8、好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。nが上記範囲を下回ると、金属表面に対する吸着力が低下する傾向がある。一方、nが過剰であると、防錆性能が低下する傾向がある。
本発明の式(1)で表される化合物としては、例えば、ジグリセリンジオクチルエーテル、ジグリセリンジデシルエーテル、ジグリセリンジドデシルエーテル、ジグリセリンジテトラデシルエーテル、ジグリセリンジオレイルエーテル、ジグリセリンジステアリルエーテル、ジグリセリンジイソステアリルエーテル、トリグリセリンジオクチルエーテル、トリグリセリンジデシルエーテル、トリグリセリンジドデシルエーテル、トリグリセリンジテトラデシルエーテル、トリグリセリンジオレイルエーテル、トリグリセリンジステアリルエーテル、トリグリセリンジイソステアリルエーテル、テトラグリセリンジオクチルエーテル、テトラグリセリンジデシルエーテル、テトラグリセリンジドデシルエーテル、テトラグリセリンジテトラデシルエーテル、テトラグリセリンジオレイルエーテル、テトラグリセリンジステアリルエーテル、テトラグリセリンジイソステアリルエーテル等を挙げることができる。本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルは、前記式(1)で表される化合物を1種含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
本発明の式(1)で表される化合物は、2つの疎水基(R1、R2)が短いスペーサーで結合しているため反発すること無く界面に密に吸着することができ、極めて優れた界面活性能を有する。そのため、従来の半分以下の使用量でも、十分な防錆性能を有する疎水膜を形成することができる。
前記式(1)で表される化合物は、例えば、触媒の存在下、脂肪族アルコールにアルキル又はアルケニルグリシジルエーテルを反応させてグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを得、得られたグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルにグリシドールを反応させる方法(1)や、ポリグリセリン1モルに対して、アルキル又はアルケニルグリシジルエーテルを2モル付加する方法(2)等により製造することができる。本発明においては、なかでも前記方法(1)の方が分子内に確実に2つのアルキル基を導入することができるため、高い自己組織化能を付与することができる点で好ましい。
前記方法(1)は、より具体的には、下記工程(1)及び工程(2)を経て製造することが好ましい。尚、下記式中のR1、R2、nは前記に同じ。
工程(1):下記式(4)で表されるアルコールに下記式(5)で表されるグリシジルエーテルを反応させることにより下記式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを得る
工程(2):工程(1)で得られた下記式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル1当量に対し、グリシドールをn当量反応させる
Figure 2014005498
式(4)で表されるアルコールにおけるR1は、上記式(1)で表される化合物におけるR1に対応し、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜18(より好ましくは8〜14、特に好ましくは10〜12)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に、直鎖状アルキル基)が好ましい。
式(4)で表されるアルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール等の飽和アルコール;オレイルアルコール、イソオレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール等の不飽和アルコール等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
式(5)で表されるグリシジルエーテルにおけるR2は、上記式(1)で表される化合物におけるR2に対応し、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜18(より好ましくは8〜14、特に好ましくは10〜12)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に、直鎖状アルキル基)が好ましい。
式(5)で表されるグリシジルエーテルとしては、例えば、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、イソステアリルグリシジルエーテル等のR2が直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であるグリシジルエーテル;オレイルグリシジルエーテル、イソオレイルグリシジルエーテル、リノリルグリシジルエーテル(=リノレニルグリシジルエーテル)等のR2が直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基であるグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
上記工程(1)の反応における式(4)で表されるアルコールの使用量としては、式(5)で表されるグリシジルエーテル1当量に対して、例えば3〜10当量程度、好ましくは6〜8当量である。式(4)で表されるアルコールの使用量が上記範囲を外れると、上記式(1)で表される化合物の収率が低下する傾向がある。
上記工程(1)の反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、プロトン酸、ルイス酸の何れも使用できる。プロトン酸としては、例えば、超強酸(例えば、SbF5、SbF5−HF、SbF5−FSO3H、SbF5−CF3SO3H等)、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化ホウ素酸、p−トルエンスルホン酸、クロロ酢酸、ピクリン酸、ヘテロポリ酸等の有機酸及び無機酸が挙げられる。また、ルイス酸としては、例えば、BF3、BF3O(C252、AlCl3、FeCl3、スズアルコキシド(例えば、スズテトライソプロポキシド等)、スズハライド(例えば、四塩化スズ(=塩化スズ(IV))、四臭化スズ等)等を挙げることができる。
前記酸触媒の使用量としては、式(4)で表されるアルコールに対して、例えば0.5〜6モル%程度、好ましくは1〜5モル%である。酸触媒の使用量が上記範囲を上回ると、副生成物の生成が促進されるため、上記式(1)で表される化合物の純度が低下する傾向がある。一方、酸触媒の使用量が上記範囲を下回ると、上記式(1)で表される化合物の収率が低下する傾向がある。
工程(1)の反応温度としては、例えば50〜150℃程度、好ましくは60〜100℃である。反応時間は、例えば30分〜5時間程度、好ましくは30分〜2時間である。
工程(1)の反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
工程(2)の反応は、塩基性触媒の存在下で行うことが好ましい。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;酢酸ナトリウム等のアルカリ金属有機酸塩;トリエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン等のアミン類(第3級アミン等)や含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
塩基触媒としては、なかでも、製造コストを抑えることができる点で、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドを使用することが好ましい。
前記塩基性触媒の使用量としては、式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルに対して、例えば20〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。塩基性触媒の使用量が上記範囲を上回ると、副生成物であるポリグリセリンの生成を助長する傾向がある。一方、塩基性触媒の使用量が上記範囲を下回ると、式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルが未反応のまま残存する傾向がある。
工程(2)の反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
工程(2)の反応温度としては、例えば50〜150℃程度、好ましくは60〜120℃である。反応時間は、例えば30分〜24時間程度、好ましくは5時間〜15時間、特に好ましくは7時間〜12時間である。工程(2)の反応は、例えば、リン酸水溶液、硫酸、塩酸、酢酸等を添加することにより停止することができる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル(100重量%)における式(1)で表される化合物の含有量としては、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。
本発明の防錆剤におけるポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量(2種以上を含有する場合は総量)としては、特に限定されることなく適宜調整することができ、例えば、防錆剤全量(100重量%)の例えば20%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、最も好ましくは80%以上である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量が上記範囲を下回ると、低使用量において十分な防錆性能を有する疎水膜の形成が困難となる傾向がある。
本発明の防錆剤は、上記ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル以外にも本発明の効果を損なわない範囲内で他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、公知慣用の防錆剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、流動性向上剤、油膜調整剤等を挙げることができる。
他の成分の含有量としては、防錆剤全量(100重量%)の例えば50重量%未満、好ましくは30重量%未満である。
本発明の防錆剤は上記ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルと必要に応じて他の成分を混合することにより調製することができる。
本発明の防錆剤は、例えば、分散媒で分散した状態で金属表面へ塗布する方法、気体にして金属表面に蒸着する方法、金属製配管等に通す液体(例えば、水)に添加する方法等により使用することができる。
[防錆剤組成物]
本発明の防錆剤組成物は、前記防錆剤と分散媒とを含有し、前記防錆剤を分散媒で分散することにより調製することができる。
前記分散媒としては、例えば、水、油剤(例えば、金属加工油、作動油、冷凍機油等の潤滑油;洗浄油、燃料油等の鉱油、合成油、動植物油等)、有機溶剤(例えば、脂肪族系有機溶剤、芳香族系有機溶剤等)、高分子化合物(例えば、樹脂モノマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等)等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、油剤や高分子化合物等の、それ単独でも防錆性能を有する疎水膜を形成することができる分散媒を使用することが、上記ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルが有する防錆性能との相乗作用により、一層優れた防錆性能を有する疎水膜を形成することができる点で好ましい。
防錆剤を前記分散媒で分散する方法については特に制限はないが、例えば、防錆剤を粉末、ビーズ、ペレット、塊状、液状等の形状で分散媒に分散してもよく、予め他の物質に分散してから前記分散媒に分散してもよい。
本発明の防錆剤組成物は、防錆剤を例えば0.01〜80重量%程度、好ましくは0.05〜50重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%含有することが好ましい。
また、本発明の防錆剤組成物は、分散媒を例えば20〜99.99重量%程度、好ましくは50〜99.95重量%、特に好ましくは80〜99.90重量%含有することが好ましい。
本発明の防錆剤組成物は、例えば、ロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬等の周知慣用の塗布方法により金属表面に塗布することができる。本発明の防錆剤組成物は、塗布された後、乾燥又は硬化処理を施すことにより疎水膜を形成する。
本発明の防錆剤及び防錆剤組成物を適用する金属としては、例えば、銅、燐青銅、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、ジュラルミン、マグネシウム合金、アルマイト、クロムメッキ、亜鉛メッキ、銀メッキ、ニッケルメッキ、半田メッキ、スズメッキ、カドミウムメッキ、鉄鋼等を挙げることができる。
本発明の防錆剤及び防錆剤組成物は、上記式(1)で表される、2分子のモノメリック型界面活性剤(一疎水基一親水基型界面活性剤)が短いスペーサーで結合した形状を有する特定のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有するため、従来に比べて少ない使用量でも、金属表面に、錆因子の侵入を遮断する優れた防錆性能を有する疎水膜を形成することができる。また、式(1)におけるグリセリンの重合度(n)を調整することにより、容易に防錆性能をコントロールすることができ、用途に応じた防錆性能を有する防錆剤を提供することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(ジグリセリンジデシルエーテルの製造)
8当量のデシルアルコールおよび塩化スズ(IV)1mol%を仕込み、80℃条件下にてデシルグリシジルエーテル1当量を1時間かけて滴下し反応させた。その後、4当量の水を加えて反応を停止し、得られた反応粗液をヘプタンで希釈し、吸引濾過を行い濾液を得た。得られた濾液中のヘプタンをエバポレーターで留去し、150℃、減圧度2mmHgの減圧留去にてアルコール留去して、ジデシルグリセロールを得た。
得られたジデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え、100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、1当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してジグリセリンジデシルエーテル(防錆剤(1))を得た。
実施例2(トリグリセリンジデシルエーテルの製造)
実施例1と同様にして得られたジデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、2当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してトリグリセリンジデシルエーテル(防錆剤(2))を得た。
実施例3(テトラグリセリンジデシルエーテルの製造)
実施例1と同様にして得られたジデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、3当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してテトラグリセリンジデシルエーテル(防錆剤(3))を得た。
実施例4(ジグリセリンジドデシルエーテルの製造)
8当量のドデシルアルコールおよび塩化スズ(IV)1mol%を仕込み、80℃条件下にてドデシルグリシジルエーテル1当量を1時間かけて滴下し反応させた。その後、4当量の水を加えて反応を停止し、得られた反応粗液をヘプタンで希釈し、吸引濾過を行い濾液を得た。得られた濾液中のヘプタンをエバポレーターで留去し、150℃、減圧度2mmHgの減圧留去にてアルコール留去して、ジドデシルグリセロールを得た。
得られたジドデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、1当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してジグリセリンジドデシルエーテル(防錆剤(4))を得た。
実施例5(トリグリセリンジドデシルエーテルの製造)
実施例4と同様にして得られたジドデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、2当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してトリグリセリンジドデシルエーテル(防錆剤(5))を得た。
実施例6(テトラグリセリンジドデシルエーテルの製造)
実施例4と同様にして得られたジドデシルグリセロール1当量に対し、1当量のナトリウムメトキシドを加え100℃、2mmHg条件にてメタノールを留去した後、3当量のグリシドールを10時間かけて滴下し反応させた。85%リン酸水溶液を0.6当量加えて反応を停止し、この反応粗液に同量のメタノールを加え希釈した。その後、加圧濾過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、更に250℃、2mmHgで低沸成分を留去してテトラグリセリンジドデシルエーテル(防錆剤(6))を得た。
評価
実施例1〜6で得られた防錆剤、及び比較例としての市販防錆剤(ソルビタンモノオレート、ジグリセリンモノオレイン酸エステル)の防錆性能試験を行った。防錆性能試験は、塩水噴霧試験(JIS Z 2371準拠)により行った。
具体的には、前記防錆剤を、分散媒としてSAE10油を使用し、防錆剤濃度が10重量%となるように分散して防錆剤組成物を調製した。得られた防錆剤組成物を試験片[冷間圧延鋼板(SPCC−B、JIS G 3141準拠)]に塗布し、試験片全体の面積(周囲5mmを除く)に対する錆の面積の比率に応じて、下記基準により防錆性能を評価した。
評価基準
◎:錆が認められない
○:錆の面積比率が10%未満
△:錆の面積比率が10%以上30%未満
×:錆の面積比率が30%以上50%未満
××:錆の面積比率が50%以上
上記結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2014005498
表1からも明らかなように、本発明の防錆剤は、比較例1、2の市販防錆剤に比べて、防錆性能に優れ、前記市販防錆剤では防錆性能を発揮できない低い濃度においても優れた防錆作用を示すことがわかる。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 2014005498
    (式中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、1以上の整数である)
    で表される化合物を含むポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを少なくとも含有する防錆剤。
  2. 請求項1に記載の防錆剤と分散媒とを含有する防錆剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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