JP2014005435A - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高い衝撃強度を有し、高温時の耐融着性および耐ブリードアウト性、生分解性に優れた樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】1〜50重量部のポリ乳酸樹脂(A)、99〜50重量部の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)および1〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなり、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の配合比の合計が100重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】1〜50重量部のポリ乳酸樹脂(A)、99〜50重量部の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)および1〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなり、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の配合比の合計が100重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、高い衝撃強度を有し、高温時の耐融着性および耐ブリードアウト性、生分解性に優れた樹脂組成物、及びこの樹脂組成物からなる成形体の提供を目的とする。
近年では、地球環境保全の見地から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目されている。溶融成形が可能な生分解性ポリマーとしては、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレートやポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなる脂肪族ポリエステル、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなる芳香族ポリエステルなどがよく知られている。
これらの中でも、ポリ乳酸樹脂は、モノマーである乳酸を、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により安価に製造できるようになり、また、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能なバイオポリマーとして様々な用途への適用が期待されている。
しかし、ポリ乳酸等の脂肪族オキシカルボン酸系樹脂は、非常に硬質な樹脂であり、衝撃強度が弱いため、単独では実用的な柔軟性と衝撃強度とを兼ね備えることができない。これに対して、脂肪族ポリエステルおよび芳香族脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)などは軟質な樹脂であるため、軟質樹脂に一部硬質樹脂をブレンドするなど、軟質樹脂と硬質樹脂とを組み合わせ、所望の柔軟性および衝撃強度を付与する技術が開発されている。
例えば、特許文献1では、ポリ乳酸樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂からなる軟質樹脂に、増粘作用を有する反応性ポリマーおよび脂肪族ジカルボン酸エステル系の可塑剤とからなる樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、ポリ乳酸樹脂と脂肪族ポリエステル系樹脂に、カルボジイミド化合物、充填剤、可塑剤とからなる混合組成物が開示されている。しかしながら、これらは何れも、実用的な耐融着性を得ることが困難であった。
また、特許文献3では、脂肪族多塩基酸と2種以上のアルコールまたはエーテルアルコールとのエステルからなる可塑剤により、ポリ乳酸樹脂に柔軟性を付与する技術が開示されている。しかしながら、衝撃強度が実用的に十分ではないため、大きな衝撃強度を必要としない用途に限定されるのが課題であった。
特許文献4では、ポリ乳酸と生分解性芳香族脂肪族ポリエステルに、液状可塑剤となからなる樹脂組成物が開示されている。また、特許文献5では、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂と軟質系生分解性ポリエステル樹脂に、多価アルコール脂肪酸エステル系の可塑剤とからなる樹脂組成物が開示されている。また、特許文献6では、ガラス転移点Tgが30℃以上の生分解性ポリエステルとガラス転移点Tgが10℃以下の生分解性ポリエステルと可塑剤とからなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらは何れも、実用的な耐ブリードアウト性を得ることが困難であった。
本発明は、高い衝撃強度を有し、高温時の耐融着性および耐ブリードアウト性、生分解性に優れた樹脂組成物、及びこの樹脂組成物からなる成形体の提供を目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係る樹脂組成物および成形体は以下の通りの構成を有するものである。
(1):1〜50重量部のポリ乳酸樹脂(A)、99〜50重量部の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)および1〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなり、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の配合比の合計が100重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
(2):生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の融点が100℃以上である、(1)の樹脂組成物。
(3):生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、ポリブチレンアジペートテレフタレートである、(1)または(2)の樹脂組成物。
(4):3〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなる、(1)〜(3)の樹脂組成物。
(5):さらに0.01〜5重量部のエポキシ基含有ポリオレフィン(D)を配合してなる、(1)〜(4)の樹脂組成物。
(6):23℃、50%RHの環境下において50kJ/m2以上のノッチありシャルピー衝撃強度を有する、(1)〜(5)の樹脂組成物。
(7):(1)〜(6)の樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
本発明によれば、高い衝撃強度を有し、高温時の耐融着性および耐ブリードアウト性、生分解性に優れた樹脂組成物成形体が提供される。
以下、本発明の一実施態様に係る樹脂組成物をさらに詳細に説明する。
本実施態様の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)およびアジピン酸エステル系可塑剤(C)からなる樹脂組成物である。
本実施態様においては、機械特性、耐熱性の観点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂(A)を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂(A)の総乳酸成分の内、L体が70%以上含まれるかあるいはD体が70%以上含まれることが好ましく、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることがより好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが更に好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかあるいはD体が98%以上含まれることがとりわけ好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。
ポリ乳酸樹脂(A)の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
ポリ乳酸樹脂(A)の融点は、耐熱性の観点から、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましく、特に160℃以上であることが好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)の融点は、通常乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点が120℃以上のポリ乳酸樹脂(A)は、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることにより、また融点が150℃以上のポリ乳酸樹脂(A)は、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることにより、融点が160℃以上のポリ乳酸は、L体が98%以上含まれるかあるいはD体が98%以上含まれることにより得ることができる。
また、本実施態様で用いるポリ乳酸樹脂(A)としては、耐熱性の点で、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いることが好ましい。ポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成させる方法としては、例えば、L体が90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のポリ−L−乳酸とD体が90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のポリ−D−乳酸を溶融混練、溶液混練または固相混練などにより混合する方法が挙げられる。混合によりポリ乳酸ステレオコンプレックスを得る方法においては、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のいずれの重量平均分子量も10万以上であってもよいが、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のいずれか一方の重量平均分子量が10万以下、好ましくは5万以下であり、他方の重量平均分子量が10万超、好ましくは12万以上である組合せを適用することが好ましい。また、別の方法として、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸をブロック共重合体、すなわちステレオブロックポリ乳酸とする方法も挙げることができ、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを容易に形成させることができるという点で、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸をブロック共重合体とする方法が好ましい。
かかるポリ乳酸樹脂(A)の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
本実施態様で使用される生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)は、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものが挙げられる。芳香族脂肪族ポリエステル樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂に比べ、比較的融点が高く、耐融着性に優れているため好ましい。すなわち、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の融点が100℃以上であることが好ましく、105℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが最も好ましい。生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の融点が100℃未満であると、高温環境下において樹脂組成物または樹脂組成物からなる成形体がブロッキングしてしまう可能性が高いため、好ましくない。
生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)は、例えば、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分を縮合して得られる。ここで、上記の芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、上記の脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。さらに、上記の脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分あるいは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上を用いてもよい。
本実施態様において、最も好適に用いられる上記の芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、上記の脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、上記の脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールが挙げられる。これらはいずれも工業的商業的に入手しやすいため好ましい。これらから得られる上記の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)は、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂となる。
このような上記の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)としては、上記の他に、例えば、テトラメチレンアジペートとテレフタレートとの縮合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートとの縮合体等が挙げられる。このうち、テトラメチレンアジペートとテレフタレートとの縮合体としては、例えば、Eastman Chemicals社製の「EastarBio」が商業的に入手することができる。また、ポリブチレンアジペートとテレフタレートとの縮合体としては、BASF社製の「エコフレックス」が商業的に入手することができる。
本実施態様で用いる樹脂組成物のポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の配合比(重量比)は、(A)と(B)の合計を100重量部として、(A)が1〜50重量部、(B)が99〜50重量部であり、より好ましくは、(A)が10〜40重量部、(B)が90〜60重量部、最も好ましくは、(A)が15〜30重量部、(B)が85〜70重量部である。ポリ乳酸樹脂(A)が1重量部未満であると、本発明の効果である高温時の耐融着性が低下し、50重量部を超えると衝撃強度が低下する。
本実施態様の樹脂組成物には、ポリ乳酸樹脂(A)の柔軟化を目的として、アジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合することができる。アジピン酸エステル系可塑剤(C)は、アジピン酸と2種以上のアルコールまたはエーテルアルコールとのエステル化合物である。
アジピン酸エステル系可塑剤(C)の原料となるアルコールの具体例としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1,1−ジメチル−1−エタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、フェノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が好ましく、ベンジルアルコール、1−ブタノール、オクタノール、フェネチルアルコールがより好ましい。
また、アジピン酸エステル系可塑剤(C)の原料となるエーテルアルコールとしては、上記アルコールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。具体例としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテルのようなエチレンオキサイド付加物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピングレリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノベンジルエーテルのようなプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
これらの中では、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
アジピン酸エステル系可塑剤(C)の数平均分子量は、特に限定されないが、一般に分子量が小さいほど可塑効果が大きい反面、安定性が低く、成型品表面へのブリードアウトによるブロッキングおよび汚れ発生の可能性が大きくなる。そのため、混基エステルの数平均分子量は200〜1500の程度が好ましく、300〜1000程度がより好ましい。
本実施態様の樹脂組成物に添加するアジピン酸エステル系可塑剤(C)の添加量は、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100重量部に対して、1〜30重量部であり、より好ましくは2〜15重量部であり、最も好ましくは3〜10重量部である。アジピン酸エステル系可塑剤(C)が1重量部未満であると、ポリ乳酸樹脂(A)の柔軟化効果が不十分であり、30重量部を超えると高温時の耐融着性が損なわれるため、好ましくない。
さらに、本実施態様で用いる樹脂組成物には、エポキシ基含有ポリオレフィン(D)を配合することで、衝撃強度を向上することができる。エポキシ基含有ポリオレフィン(D)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートを重合成分とするポリマー[例えば、エチレン/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリレート共重合体(例えば、エチレン/グリシジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのエチレン/グリシジジル(メタ)アクリレート/C1−10アルキル(メタ)アクリレート共重合体)、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートと他の共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン/グリシジルメタクリレート/ビニルアルコール共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合体など)などのオレフィン系単量体(エチレンなどのC2−10アルケン)とグリシジル(メタ)アクリレートとを少なくとも重合成分とするポリマーなどが挙げられる。なお、このようなエポキシ基を有するポリマーは、住友化学から「ボンドファーストE」、「ボンドファースト2C」、日本ポリオレフィン(株)から「レクスパールRA」、「レクスパールET」、「レクスパールRC」、日本油脂(株)から「モディパー」などとして入手できる。
エポキシ基含有ポリオレフィン(D)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがさらに好ましい。0.01重量部未満では衝撃強度の向上効果が無く、5重量部を超えると生分解性が損なわれるため、好ましくない。
本実施態様において、機械特性、成形性、耐熱性などに優れた樹脂組成物が得られるという点から、充填剤を配合することができる。充填剤としては、通常、樹脂組成物の充填剤として用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維などの繊維状無機充填剤、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレイ、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などの板状や粒状の無機充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維、絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤもしくはラクダなどの動物繊維、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉、籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材などの、繊維状、粉末状もしくはチップ状の有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、繊維状無機充填剤、板状無機充填剤、有機充填剤が好ましく、特に、ガラス繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭酸カルシウムウィスカー、タルク、マイカ、カオリン、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、紙粉、木粉が好ましい。繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。これらの充填剤は一種または二種以上で用いることができる。また、充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていても良い。
本実施態様において、充填剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.5〜30重量部がより好ましく、1〜15重量部が最も好ましい。
本実施態様においては、熱安定性に優れるという点から、リン系化合物を添加することが好ましい。溶融混練時および溶融成形時にポリ乳酸樹脂(A)が、熱履歴により熱分解する可能性があり、リン系化合物を添加することにより、熱分解を抑制でき、熱安定性を向上することができる。
本実施態様において、リン系化合物としては、特に制限はないが、例えば、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物等が挙げられる。かかるホスファイト系化合物の具体例としては、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,6−ヘキサメチレン−ビス(N−ヒドロキシエチル−N−メチルセミカルバジド)−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−サリシロイルヒドラジド−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド−ジホスァイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド−ジホスファイトなどが挙げられるが、少なくとも1つのP−O結合が芳香族基に結合しているものがより好ましく、具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられ、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスホナイトなどが好ましく使用できる。
ホスファイト系化合物の具体的な商品名としては、ADEKA製“アデカスタブ” C、PEP−4C、PEP−8、PEP−11C、PEP−24G、PEP−36、HP−10、2112、260、522A、329A、1178、1500、C、135A、3010、TPP、チバスペシャリティケミカル製“イルガフォス”168、住友化学工業製“スミライザー”P−16、クラリアント製“サンドスタブ” P−EPQ、GE製“ウエストン”618、619G、624などが挙げられる。
また、ホスフェート系化合物の具体例としては、モノステアリルアシッドホスファイト、ジステアリルアシッドホスファイト、メチルアシッドホスファイト、イソプロピルアシッドホスファイト、ブチルアシッドホスファイト、オクチルアシッドホスファイト、イソデシルアシッドホスファイトなどが挙げられ、中でも、モノステアリルアシッドホスファイト、ジステアリルアシッドホスファイトが好ましい。
ホスファイト系化合物の具体的な商品名としては、チバスペシャリティケミカル製“イルガノックス”MD1024、イーストマン・コダック製“インヒビター”OABH、ADEKA製“アデカスタブ”AX−71などを挙げることができる。
本実施態様において、リン系化合物として、中でも好ましくは、ADEKA製“アデカスタブ”AX−71(ジオクタデシルホスファイト)、PEP−8(ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)、PEP−36(サイクリックネオペンタテトライルビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト)であり、最も好ましくは“アデカスタブ”AX−71である。
本実施態様において、リン系化合物の配合量は、特に限定されないが、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
本実施態様において、リン系化合物をポリ乳酸樹脂(A)の融点以上で溶融混練する方法により配合する場合の混練温度は、150〜250℃の温度が好ましく、160〜240℃の温度がより好ましく、170℃〜230℃の温度が最も好ましい。
本実施態様において、リン系化合物を配合し、ポリ乳酸樹脂(A)の熱安定性が向上することで、溶融混練時や射出成形時の滞留によるポリ乳酸樹脂(A)の分子量低下が抑制され、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本実施態様において、エポキシ基含有ポリオレフィン(D)以外のカルボキシル基反応性化合物を配合することが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐久性、靭性をよりいっそう改良し得る点で好ましい。カルボキシル基反応性化合物としては、ポリ乳酸樹脂(A)のカルボキシル末端基と反応性のある化合物であれば特に限定されるものではないが、ポリ乳酸樹脂(A)の熱分解や加水分解などで生成する乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基とも反応性を有するものであればより好ましく、熱分解により生成する酸性低分子化合物のヒドロキシル基末端基とも反応性を有する化合物であることがさらに好ましい。このようなカルボキシル基反応性化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ基含有化合物、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのオキサゾリン化合物、オキサジン化合物、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも 一種の化合物を使用することが好ましく、なかでもエポキシ基含有化合物および/またはカルボジイミド化合物が好ましい。例えば、カルボキシル基反応性化合物として、カルボジイミド化合物が好ましく使用できる。カルボキシル基反応性化合物は、一種または二種以上の化合物を任意に選択して使用することができる。
本実施態様において、カルボキシル基反応性化合物の配合比は、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
また、本実施態様の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、離型剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着剤、金属石鹸のような滑剤、耐加水分解改良剤、接着助剤などの添加剤を任意に配合することができる。
本実施態様の樹脂組成物が有する、ISO179−1によるノッチありシャルピー衝撃強度は、23℃、50%RHの環境下において、50kJ/m2以上が好ましく、60kJ/m2以上がより好ましい。シャルピー衝撃強度が50kJ/m2以上であることで、大きな負荷がかかる過酷な環境下での使用が可能となるだけでなく、製品の薄肉軽量化も可能となる。
本実施態様の樹脂組成物は輸送用の配管内やホッパー、その他高温環境下におけるブロッキングが生じないという点で、高温時の耐融着性に優れていることが好ましい。90℃雰囲気下でブロッキングが生じないことが好ましく、100℃雰囲気下でブロッキングが生じないことがより好ましい。
本実施態様の樹脂組成物は、ISO 14855に準じるコンポスト試験において、処理期間45日間で60%以上の生分解度を示すことが好ましい。この生分解度を満足することによって、コンポスト処理による速やかな生分解性を示すものとなる。
ISO 14855とは、プラスチックの制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度および崩壊度の求め方についての基準である。ISO 14855における生分解度が処理期間45日間で60%未満であると、コンポストの処理効率が悪くなるため好ましくない。
本実施態様の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、ポリ乳酸樹脂(A)および芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法等が好ましく用いられる。
本実施態様の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)および生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)を主成分とする、高い衝撃強度を有し、生分解性および高温時の耐融着性に優れた樹脂組成物、及びこの樹脂組成物からなる成形品であり、射出成形や押出成形、ブロー成形等の方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
本実施態様において、成形法として、射出成形を選択する場合は、金型温度としては、耐熱性、成形性および外観性の点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、試験片の変形を抑制できるという点から、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。
次に、実施例によって本発明の実施態様に係る樹脂組成物をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。実施例および比較例で用いたポリ乳酸樹脂(A)、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)、アジピン酸エステル系可塑剤(C)、エポキシ基含有ポリオレフィン(D)、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂(E)、アジピン酸エステル系以外の可塑剤(F)の内容を下記に示す。
(A)ポリ乳酸樹脂
(A−1):(D体4.0%、Mw(PMMA換算)20万、融点168℃)
(A−1):(D体4.0%、Mw(PMMA換算)20万、融点168℃)
(B)生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂
(B−1)ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(BASF社製「エコフレックス」、融点110−120℃)
(B−1)ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(BASF社製「エコフレックス」、融点110−120℃)
(C)アジピン酸エステル系可塑剤
(C−1):ベンジル=2−(2−メトキシエトキシ)エチル=アジパート(大八化学社製「DAIFATTY−101」)
(C−1):ベンジル=2−(2−メトキシエトキシ)エチル=アジパート(大八化学社製「DAIFATTY−101」)
(D)エポキシ基含有ポリオレフィン
(D−1):エチレングリシジルメタクリレート共重合体(住友化学社製「ボンドファーストE」)
(D−1):エチレングリシジルメタクリレート共重合体(住友化学社製「ボンドファーストE」)
(E)生分解性脂肪族ポリエステル樹脂
(E−1):ポリブチレンサクシネートアジペート(昭和電工社製「ビオノーレ#3001」、融点95℃)
(E−1):ポリブチレンサクシネートアジペート(昭和電工社製「ビオノーレ#3001」、融点95℃)
(F)アジピン酸エステル系以外の可塑剤
(F−1):グリセリルトリアセテート(大八化学社製、トリアセチン)
(F−2):グリセリルジアセトモノラウレート(理研ビタミン社製、リケマールPL012)
(F−3):アセチル化モノグリセライド
(F−1):グリセリルトリアセテート(大八化学社製、トリアセチン)
(F−2):グリセリルジアセトモノラウレート(理研ビタミン社製、リケマールPL012)
(F−3):アセチル化モノグリセライド
なお、実施例1〜22、比較例1〜15につき、樹脂組成物の特性を次に示す方法に従って求めた。
(1)シャルピー衝撃試験
型締圧力が80トンである射出成形機(東芝機械株式会社製EC75SX)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクル90秒の成形条件にて、シャルピー衝撃試験片を作成した。得られた試験片を23℃、50%RHの環境下に24時間放置後、ISO179−1に準じてノッチありシャルピー衝撃強度を評価した。
型締圧力が80トンである射出成形機(東芝機械株式会社製EC75SX)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクル90秒の成形条件にて、シャルピー衝撃試験片を作成した。得られた試験片を23℃、50%RHの環境下に24時間放置後、ISO179−1に準じてノッチありシャルピー衝撃強度を評価した。
(2)耐融着性試験
ペレット状にカッティングした樹脂組成物500gを底径92mm、全高121mm、容量500mlのガラスビーカーに入れ、100gの荷重が均等にかかるようにし、乾燥器中で80℃×12時間エージングした。その後、ペレットが2粒以上ブロッキングしたペレットを計量し、耐融着性を評価した。
ペレット状にカッティングした樹脂組成物500gを底径92mm、全高121mm、容量500mlのガラスビーカーに入れ、100gの荷重が均等にかかるようにし、乾燥器中で80℃×12時間エージングした。その後、ペレットが2粒以上ブロッキングしたペレットを計量し、耐融着性を評価した。
(3)耐ブリードアウト性試験
押出機シリンダー温度190℃のスクリュー径65mmの一軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.3mm、温度165℃のスパイラル型環状ダイスより、ブロー比:3.4にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら30m/分にて引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、それぞれ幅1350mmのフィルムをワインダーにて巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが30μmのフィルムとした。フィルムを50mm×50mmに切断したフィルム状試験片を、恒温乾燥後中で80℃×24時間エージングを行った。その後、試験片表面の状態を目視で確認し、評価を行った。以下の基準で耐ブリードアウト性を評価した。
押出機シリンダー温度190℃のスクリュー径65mmの一軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.3mm、温度165℃のスパイラル型環状ダイスより、ブロー比:3.4にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら30m/分にて引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、それぞれ幅1350mmのフィルムをワインダーにて巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが30μmのフィルムとした。フィルムを50mm×50mmに切断したフィルム状試験片を、恒温乾燥後中で80℃×24時間エージングを行った。その後、試験片表面の状態を目視で確認し、評価を行った。以下の基準で耐ブリードアウト性を評価した。
○: 可塑剤のブリードなし
△: 可塑剤のブリード少しあり
×: 可塑剤のブリードあり
△: 可塑剤のブリード少しあり
×: 可塑剤のブリードあり
(4)生分解性試験
上記フィルム状試験片をISO 14855(プラスチックの制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度および崩壊度の求め方)に準じて、処理期間45日間後の生分解度を測定し、以下の基準で生分解性を評価した。
上記フィルム状試験片をISO 14855(プラスチックの制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度および崩壊度の求め方)に準じて、処理期間45日間後の生分解度を測定し、以下の基準で生分解性を評価した。
○:分解率65%以上
△:分解率30〜65%
×:分解率30%未満
各種評価結果を表1〜4に示す。
△:分解率30〜65%
×:分解率30%未満
各種評価結果を表1〜4に示す。
実施例1〜12より、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)にアジピン酸エステル系可塑剤(C)を添加することで、高い衝撃強度を有し、耐ブリードアウト性および高温時の耐融着性、生分解性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
実施例13〜22より、エポキシ基含有ポリオレフィン(D)を添加することで、衝撃強度がより優れた樹脂組成物を得ることができる。
一方、比較例1より、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)成分がないと、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができない。
また、比較例2より、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)のみでは、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例3、4より、アジピン酸エステル系可塑剤(C)の添加量が少ない場合、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができず、添加量が過剰では、耐ブリードアウト性、耐融着性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例3、4より、アジピン酸エステル系可塑剤(C)の添加量が少ない場合、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができず、添加量が過剰では、耐ブリードアウト性、耐融着性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例5、6より、エポキシ基含有ポリオレフィン(D)の添加量が少ない場合、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができず、添加量が過剰では、耐融着性、生分解性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例7〜9より、アジピン酸エステル系以外の可塑剤(F)を添加すると、耐ブリードアウト性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例10、11より、ポリ乳酸樹脂(A)の添加量が多い場合、衝撃強度に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例12より、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)単独では、耐融着性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
比較例13、14より、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)ではなく、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂(E)を用いた場合、耐融着生に優れた樹脂組成物を得ることができない。
本発明の樹脂組成物は、上述した種々の成形加工方法により成形することができ、特に限定されることなく様々な用途に好適に使用することができる。具体的には、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、繊維およびシート等が挙げられる。たとえば、本発明の樹脂組成物を成形して、ボールペン・シャープペンシル・鉛筆等の筆記用具の部材、歯ブラシ、ステーショナリーの部材、ゴルフ用ティー、始球式用発煙ゴルフボール用部材、経口医薬品用カプセル、肛門・膣用座薬用担体、皮膚・粘膜用貼付剤用担体、農薬用カプセル、肥料用カプセル、種苗用カプセル、コンポスト、釣り糸用糸巻き、釣り用浮き、漁業用擬餌、ルアー、漁業用ブイ、狩猟用デコイ、狩猟用散弾カプセル、食器等のキャンプ用品、釘、杭、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ブロック等として好適に使用できる。
また、本発明の樹脂組成物は、フィルム、通気性フィルムやシートの製造に好適な材料である。本発明の樹脂組成物を含むフィルム、通気性フィルム又はシートは、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポストバッグ、セメント袋、肥料袋、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、温室用フィルム、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク包装用フィルム、フェンス、海洋用・河川用・湖沼用オイルフェンス、粘着テープ、テープ、結束材、防水シート、かさ、テント、土嚢用袋、セメント袋、肥料用袋等として好適に使用することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物を含む発泡体は、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するレクリエーション用途に好適に用いることができる。たとえば、農業用寒冷紗、オイル吸収材、軟弱地盤補強材、人工皮革、フレキシブルディスクの裏地、土嚢用袋、断熱材、防音材、クッション材、ベッド・椅子等の家具用クッション材、床用クッション材、包装材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材等として好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、製糸条件、紡績条件、編織条件、後処理条件、染色条件、加工条件を、目的に応じて適宜設定することにより、所望の太さ、断面形状、繊度(テックス、デニール、番手等)、引っ張り強さ及び伸び率、結束強さ、耐熱性、捲縮度、吸水性、吸油性、嵩高さ、腰の強さ、風合い等の物性や特性を有する糸やテキスタイルに加工することができる。
本発明の樹脂組成物を加工して得られる糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバー(スフ)、トウ、ハイバルクスフ、ハイバルクトウ、紡績糸、混紡糸、加工糸、仮撚糸、異形断面糸、中空糸、コンジュゲート糸、POY(部分配向糸)、DTY(延伸加工糸)、POY−DTY、スライバー等をも包含する。また、本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは織布、編物、不織布、紐や縄を含む組物、綿状ハイバルクスフ、スライバー、多孔質スポンジ、フェルト、紙、網等の繊維構造体と認識されるもの一般を包含する。
したがって、本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するレクリエーション用途に好適に用いることができる。たとえば、農業用寒冷紗、防虫防鳥網、ふるい、釣り糸、漁網、投網、延縄、オイル吸収材、網、ロープ、ザイル、セイル(帆布)、幌、ターポリン、タイコン、コンテナバッグ、産業用通い袋、セメント袋、肥料袋、濾過材、埋立工事用透水布、軟弱地盤補強用布、人工皮革、製紙用フェルト、フレキシブルディスクの裏地、テント、土嚢用袋、植林用ネット、断熱材、防音材、遮光材、衝撃緩衝材、クッション材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ネット状パイプ、土木建築用水抜きパイプ等として好適に用いることができる。
Claims (7)
- 1〜50重量部のポリ乳酸樹脂(A)、99〜50重量部の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)および1〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなり、ポリ乳酸樹脂(A)と生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の配合比の合計が100重量部であることを特徴とする樹脂組成物。
- 生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)の融点が100℃以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 生分解性芳香族脂肪族ポリエステル樹脂(B)が、ポリブチレンアジペートテレフタレートである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 3〜30重量部のアジピン酸エステル系可塑剤(C)を配合してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- さらに0.01〜5重量部のエポキシ基含有ポリオレフィン(D)を配合してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 23℃、50%RHの環境下において50kJ/m2以上のノッチありシャルピー衝撃強度を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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- 2012-09-21 JP JP2012208024A patent/JP2014005435A/ja active Pending
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