JP2014004800A - 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法 - Google Patents

金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014004800A
JP2014004800A JP2012143856A JP2012143856A JP2014004800A JP 2014004800 A JP2014004800 A JP 2014004800A JP 2012143856 A JP2012143856 A JP 2012143856A JP 2012143856 A JP2012143856 A JP 2012143856A JP 2014004800 A JP2014004800 A JP 2014004800A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser beam
grooves
metal member
beam spot
scanning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012143856A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Yamashita
孝宏 山下
Fuminari Kitakata
文成 北方
Nobuhiro Ikeda
伸広 池田
Takahiro Matsuo
高博 松尾
Masanori Nakamura
匡徳 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Shin Kobe Platechs Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd, Shin Kobe Platechs Co Ltd filed Critical Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Priority to JP2012143856A priority Critical patent/JP2014004800A/ja
Publication of JP2014004800A publication Critical patent/JP2014004800A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】 レーザ光の照射により金属部材表面に付与された微細凹凸の形状を工夫し、レーザ光照射による加工工数を増やさずに金属部材と樹脂部材の接合部の気密性・液密性を確保する。
【解決手段】 樹脂部材の成形により、金属部材と樹脂部材とが同じ平面内で接合され一体化されている樹脂成形品である。前記金属部材の樹脂部材との接合面には、レーザ光照射による平行な微細幅寸法の溝の集合領域が付与されている。溝の集合領域を構成する前記溝のそれぞれは、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものである。そして、前記平行な隣り合う溝と溝は、前記レーザ光スポットの径の30%以上の微細な幅寸法の凸条により隔てられている
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属部材をインサート或いはアウトサートした樹脂成形品、殊に、前記金属部材の一部が、成形品を構成する樹脂部材から外部に露出している樹脂成形品に関する。また、その製造法に関する。
樹脂部材と金属部材とが一体化された樹脂成形品が、自動車部品や電気機器部品として種々採用されている。前記樹脂成形品が、例えば、射出成形により製造されている場合、金属部材と樹脂部材の界面の接合強度を確保するために、樹脂部材と一体化させる金属部材の表面にレーザ光照射による微細な凹凸付与がなされている。
特許文献1(特許第4020957号公報)と特許文献2(特開2010−167475号公報)には、具体的に、以下の構成が開示されている。
すなわち、金属部材の表面を一つの走査方向にレーザスキャニング加工し、さらに、同一面内で前記走査方向と交差する別の走査方向にもレーザスキャニング加工して(クロススキャニング加工して)、微細な凹凸を金属表面に付与する技術が開示されている。クロススキャニング加工は、複数回重畳的に実施され、付与された微細な凹凸は、微細三次元網目形状に形成された凹状部と少なくとも一部がブリッジ形状またはオーバーハング形状をなした凸部となっている。ここで、ブリッジ形状とは、生成された凸部の頂上同士が溶融してつながりアーチ状になり下部に孔が開いている形状である。
上記の微細な凹凸が付与された金属表面に樹脂材料を射出成形すると、微細三次元網目形状の凹状部とブリッジ部下空孔に樹脂材料が入り込む結果、金属表面(接合面)と樹脂材料が接する表面積が増大すると同時に極めて高いアンカー効果が得られるとしている。
また、特許文献3(特開平10−294024号公報)には、金属表面にレーザ光を照射して、表面をストライプ状、点線状、波線状、ローレット状、あるいは梨地状凹凸形状に荒らすことが開示されている。しかし、特許文献3には、その技術と荒らされた表面性状について具体的には開示されていない。
さらに、特許文献4(特開2008−087409号公報)には、金属材の表面にレーザ光を照射して複数の微細孔を備えた凹陥部を形成することが開示されている。しかし、特許文献4には、その技術と微細孔の形状について具体的には開示されていない。
特許第4020957号公報 特開2010−167475号公報 特開平10−294024号公報 特開2008−087409号公報
上記特許文献1や特許文献2に開示された技術は、クロススキャニング加工をしているので、加工工数が増大する。
本発明が解決しようとする課題は、レーザ光の照射により金属部材表面に付与された微細凹凸の形状を工夫し、レーザ光照射による加工工数を増やさずに金属部材と樹脂部材の接合部の気密性・液密性を確保することである。
本発明は、樹脂部材の成形により、金属部材と樹脂部材とが同じ平面内で接合され一体化されている樹脂成形品を対象としている。
そして、前記金属部材の樹脂部材との接合面には、レーザ光照射による平行な微細幅寸法の溝の集合領域が付与されており、前記溝のそれぞれは、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものであり、前記平行な隣り合う溝と溝は、前記レーザ光スポットの径の30%以上の微細な幅寸法の凸条により隔てられていることを特徴とする(請求項1)。
前記溝は、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものであるので、十分な深さを有している。また、隣り合う溝と溝を隔てる前記凸条の頂部には、溝が形成される時に昇華して飛散した金属が冷却され付着することにより複雑な凹凸が生成している。この複雑な凹凸は、一方向・同一線上で複数回の走査を繰り返し、その都度、昇華し冷却されて析出した微細金属塊が積み重なって生成されたものであることから、極めて複雑で微細な凹凸形状を呈している。この金属部材に樹脂部材を成形により一体化すると、前記溝には樹脂材料が深く入り込み、他方で、凸条の頂部の複雑・微細な凹凸の間隙にも樹脂材料が侵入して複雑・微細な凹凸を確実に抱え込む。
上記において、平行な隣り合う溝と溝を隔てている凸条の幅を、レーザ光スポットの径の30%以上としているのは、30%より小さいと凸条の頂部に複雑・微細な凹凸を十分に付与する広さを確保できないためである。前記凸条の幅寸法のレーザ光スポットの径に対する割合の上限は、凸条の頂部に複雑・微細な凹凸が付与されない金属部材の地肌のままの箇所が残存しない値に設定することが好ましい。これは、レーザ光の出力の大きさ、金属部材の材質等によって決定される。
上記の請求項1に係る発明において、平行な微細幅寸法の溝の集合領域は、一方向の溝の集合体で構成されるリング形状又は矩形若しくは多角形の枠形状の領域とすることができる(請求項2)。
本発明に係る製造法は、金属部材の樹脂部材との接合面にレーザ光を照射して平行な微細幅寸法の溝の集合領域を形成する。前記溝のそれぞれの形成は、レーザ光スポットによる走査を、一方向へ同一線上で複数回繰り返すことによって実施し、レーザ光スポットによる走査の送りピッチをレーザ光スポットの径より小さく設定する。そして、走査方向と直交する方向への移動ピッチ距離を、平行な隣り合う溝と溝を隔てる微細幅寸法の凸条が残るように調整して、前記凸条の幅寸法をレーザ光スポットの径の30%以上とすることを特徴とする(請求項3)。
前記のレーザ光スポットによる複数回の走査は、先ず、溝の集合領域の全体を区画するために、一方向へのレーザ光スポットによる走査を1回行なうごとに走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動して、隣接する溝形成に移るという操作を繰り返して一通り行ない、これと同一軌跡をなぞりながら、同様のレーザ光スポットによる走査を繰り返すことを特徴とする(請求項4)。
本発明においては、金属部材の接合部に付与されている溝の集合領域のそれぞれの溝が、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものであり十分な深さを有しているので、樹脂部材の成形により前記溝には樹脂材料が深く入り込み、接合部界面の高い気密性・液密性を確保することができる。また、凸条の頂部に生成された複雑・微細な凹凸の間隙に樹脂材料が侵入して、当該樹脂材料が複雑・微細な凹凸を確実に抱え込んでいるので、金属部材と樹脂部材の接合強度も大きくなっている。さらに、レーザ光スポットによる走査方向は、一方向であるので、特許文献1、特許文献2に見られるクロススキャニング加工と異なり、加工工数が少なくて済む。
請求項2に係る発明のように、平行な微細幅寸法の溝の集合領域を、一方向の平行な溝の集合体で構成されるリング形状又は矩形若しくは多角形の枠形状の領域としたときは、リング形状又は枠形状の内側を樹脂成形品から露出させ、リング形状又は枠形状の内側と外側の間の高い気密性・液密性を確保することができる。
本発明に係る実施例と従来例1において、金属部材の接合面に付与された微細幅寸法の溝の集合領域を拡大して示した上方からと斜め45度上方からの写真図である。 本発明に係る実施例と従来例1において、金属部材と樹脂部材の接合部の断面を拡大して示した写真図である。 本発明に係る実施例と従来例1において、金属部材の接合面に付与された微細幅寸法の溝の集合領域を模式的に示した平面図((A)は実施例における金属部材、(B)は従来例1における金属部材)と樹脂成形品の断面図である。 本発明に係る実施例において、溝形成のためのレーザ光スポットによる走査方向とレーザ光の光源からの照射方向の位置関係を例示した説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る樹脂成形品は、金属部材をインサート或いはアウトサートし樹脂部材を例えば射出成形して、金属部材と樹脂部材を接合し一体化したものとされる。金属部材に何らの処理も付与されていない場合は、金属部材と樹脂部材とは単に接触しているだけであり、両者の界面での結合はなく容易に剥離してしまうし、気密性・液密性も保てない。そこで、本発明においては、以下に説明するように、金属部材の接合面に、レーザ光を照射して形成される平行な微細幅寸法の溝の集合領域が付与されている。
図1上段実施例の写真は、実施例における平行な微細幅寸法の溝の集合領域を、(a)、(b)、(c)、(d)の各スケールで観察した拡大写真を示しており、(c)、(d)の写真においては、上方から見たとき(c)と斜め45度上方から見たとき(d)の様子を示している。溝(写真においてより黒い色調で現れている縦方向の縞)は、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向(写真では縦方向)へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものである。そして、前記平行な隣り合う溝と溝は、前記レーザ光スポットの径の30%以上の微細な幅寸法の凸条(写真においてより灰白色の色調で現れている縦方向の縞)により隔てられている。
レーザ光スポットの径は、20〜100μmであり、通常採用されているものである。レーザ光スポットの一方向への同一線上での走査の送りピッチは、レーザ光スポットの径の10〜50%が好ましく、照射しているレーザ光スポットの周縁が、一つ前に照射されたレーザ光スポットの周縁に一部重なるように調整する。
また、凸条の幅寸法は、前記レーザ光スポットの径の30%以上で設定される。言い換えれば、或る一つの溝から隣接する次の溝形成に移るときの走査方向と直交する方向への移動ピッチ距離を、前記レーザ光スポットの径の130%以上で設定する。凸条の幅寸法は、20μm以上とすることが好ましい。しかし、凸条の幅寸法を大きく設定し過ぎて、凸条の頂部に複雑・微細な凹凸が付与されない金属部材の地肌のままの箇所が残存してしまわないようにする。凸条の頂部に付与される複雑・微細な凹凸の状況は、レーザ光の出力の大きさ、金属部材の材質等によって変化するので、レーザ光の出力の大きさ、金属部材の材質等に応じ、凸条の幅寸法の上限を適宜決定する。
一方向の溝のそれぞれの形成は、レーザ光スポットの送りピッチをレーザ光スポットの径より小さく設定し、走査を同一線上で複数回繰り返して実施する。ここで、走査の同一線上での複数回繰り返しは、先ず、溝の集合領域の全体を区画するために、一方向へのレーザ光スポットによる走査を1回行なうごとに走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動して、隣接する溝形成に移るという操作を繰り返して一通り行ない、これと同一軌跡をなぞりながら、同様のレーザ光スポットによる走査を繰り返す方法を採用する。なお、走査の同一線上での複数回繰り返しは、一つの溝ごとに所定の溝深さになるまで走査を繰り返して溝形成を完了し、次いで、走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動して、隣接する溝の形成工程に移るという方法により溝の集合領域を区画する方法を採用することを妨げるものではないが、前者の方法を採用することが好ましい。
図1上段実施例における上方から見た写真(c)と斜め45度上方から見た写真(d)から理解できるように、上記のレーザ光スポットによる繰り返し走査の結果、付与された溝は十分な深さを有し、溝壁面・底面とも比較的均一で微細な凹凸形状を呈している。一方、隣り合う溝と溝を隔てる凸条の頂部には、レーザ光スポットによる走査の繰り返しの都度、昇華して飛散し冷却されて析出した微細金属塊が付着して積み重なっているので、極めて複雑で微細な凹凸が生成している。
溝の深さは、好ましくは、50〜100μmであり、走査の繰り返し回数は、レーザ光の出力の大きさと金属部材の材質を勘案しながら決定される。
図3(A)に示すように、金属部材1の接合面に付与される平行な微細幅寸法の溝の集合領域2は、例えば、リング形状である。上述したレーザ光スポットによる走査の繰り返しにより個々の溝が形成され、その溝の集合体により区画されたリング形状が、溝の集合領域2である。或いは、同様の溝の集合体により区画された矩形若しくは多角形の枠形状が、溝の集合領域である。前記リング形状又は矩形若しくは多角形の枠形状の溝の集合領域は、中心を同じくして二重或いはそれ以上に囲まれ付与されていてもよい。
そして、例えば、図3(C)に示すように、金属部材1の片面に樹脂部材3が成形により一体化された樹脂成形品4とする。樹脂部材3は、金属部材1の溝の集合領域2に強固に接合している。
図2上段の写真は、実施例における金属部材と樹脂部材の接合部の断面を、(a)、(b)、(c)、(d)の各スケールで観察したものである。これは、溝と交差する方向の断面の拡大写真であり、上側の灰白色の色調で現れている部分が金属部材であり、下側の黒色と灰白色の斑模様で現れている部分が樹脂部材である。また、(b)は(a)における右端二つの溝を拡大して示しており、(c)は(b)における左側の溝を拡大して示し、(d)は(b)における右側の溝を拡大して示している。
図2上段実施例の断面写真から理解できるように、溝の集合領域のそれぞれの溝は、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成され十分な深さを有しているので、樹脂部材の成形により前記溝には樹脂材料が深く入り込んでいる。これが、接合部界面の高い気密性・液密性を確保することに寄与している。また、凸条の頂部に生成された複雑・微細な凹凸の間隙に樹脂材料が侵入して、当該樹脂材料が複雑・微細な凹凸を確実に抱え込んでいる。これが、金属部材と樹脂部材の接合強度を大きくすることに寄与している。図3(C)に示した例では、樹脂部材3が円筒部を有しており、当該円筒部の内側と外側の間の気密性・液密性が良好に保たれる。
既述のように、一方向の溝のそれぞれの形成は、レーザ光スポットによる走査の送りピッチをレーザ光スポットの径より小さく設定し、走査を同一線上で複数回繰り返して実施する。図4は、溝形成のためのレーザ光スポット5の走査方向とレーザ光の光源からの照射方向の位置関係を例示したものである。
図4(A)は走査方向の線上に光源が位置する場合であり、平面視による走査方向と照射方向とが一致している。この場合、図4(B)に示すように、金属部材の表面に対してほぼ垂直な深さ方向を有する溝6と、隣接する溝6と溝6を隔てる金属部材の表面に対してほぼ垂直な凸条7が形成される。なお、レーザ光の光源を固定し、光源からのレーザ光スポットを反射させる反射板の角度を変えることにより走査を制御している場合は、レーザ光スポットによる走査で或る一つの溝形成をした後、走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動して隣接する溝形成に移ったとき、厳密に言うと走査方向と照射方向とは一致せず、ずれを生じている。しかし、走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動の距離は小さいので、前記生じるずれはわずかであり、この場合も、平面視による走査方向と照射方向とは一致していると表現する。
図4(C)は走査方向の線上に光源が位置しない場合であり、平面視による走査方向と照射方向とが交叉している。この場合、図4(D)に示すように、隣接する溝6と溝6を隔てる凸条7が、表面に対し傾斜した状態で形成される。この例では、金属部材と樹脂部材のより大きい接合強度を期待できる。また、溝の集合領域を任意の区画に分け、前記区画毎に光源を相対的に移動させ、2以上の方向からそれぞれ照射することもできる。この場合、凸条7は、前記区画毎に表面に対して2以上の方向に傾斜した状態で形成される。この例では、金属部材と樹脂部材のさらに大きい接合強度を期待できる。
本発明において、金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼等の金属材料から目的、用途に応じて適宜選択することができ、表面にニッケル、スズ、クロム、その他の金属のメッキが施されていてもよい。
また、本発明において、樹脂部材は、ポリフェニレンサルファイド、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等の樹脂材料から目的、用途に応じて適宜選択することができ、各種樹脂をブレンドしたもの、繊維状や粒状の充填材を適宜添加したものであってもよい。また、樹脂部材の成形は、射出成形、圧縮成形等の成形手段を適宜採用することができる。
以下、本発明の実施例を、従来例と対比して説明する。
〔実施例〕
図3(A)に示すように、金属部材1(アルミニウム板)の表面に、平行な微細幅寸法の溝の集合領域2(リング形状)を付与した。リングは、内径8mm、外径10mmであり、溝の集合領域2の幅寸法は1mmとなる。
照射するレーザ光は、Ybファイバレーザ、波長1070nm、出力42Wである。
レーザ光スポットの径を70μmとし、レーザ光スポットによる走査の一方向への送りピッチを20μmとした。走査速度は、1000mm/秒である。
また、一つの溝から隣接する次の溝形成に移るときの走査方向と直交する方向への移動ピッチ距離(隣接する溝の幅方向の中心間距離)を100μmとした。
上記の条件で、先ず、溝の集合領域2の全体を区画するために、レーザ光スポットによる走査を1回行なうごとに走査方向と直交する方向へ100μm移動して、隣接する溝形成に移るという操作を繰り返して一通り行ない、これと同一軌跡をなぞりながら、同様のレーザ光照射の走査を10回繰り返した。なお、溝形成のためのレーザ光スポット5の走査方向とレーザ光の光源からの照射方向の位置関係は、図4(A)に示したとおりとした。
上記のようにして形成された溝6は、幅が約55μm、金属部材1の表面からの深さが約60μmである。また、形成された凸条7は、幅寸法が約45μm、溝底部からの高さが約110μmである。凸条7の頂部は、金属部材1の表面よりも突出しており、これは、レーザ光スポットによる走査の繰り返しの都度、昇華して飛散し冷却されて析出した微細金属塊が付着して積み重なった結果である(図2上段実施例の断面写真(a)を参照)。
上記の金属部材1に射出成形により樹脂部材3(ポリフェニレンサルファイド)を成形し、図3(C)に示した形状の両者を一体化した樹脂成形品4とした。
〔従来例1〕
図3(B)に示すように、金属部材1’(アルミニウム板)の表面に、微細幅寸法の溝の集合領域2’(リング形状)を付与した。リングの寸法形状は、上記の実施例と同様である。
本従来例が、上記実施例と異なる点は、レーザ光スポットによる走査が直交する二方向からである(実施例は一方向からの走査のみ)点と、レーザ光スポットによる走査の繰り返しが各方向5回である(実施例は一方向からの走査のみ10回)点である。
本従来例においては、図1下段従来例の拡大写真の観察から理解できるように、直交する二方向からのレーザ光スポットによる走査によって、直交する溝が明確に形成されているわけではなく、言わば、周囲に凹陥部が形成された結果、残存した部分が凸部として現出した状態となっている(図1下段従来例の写真(c)(d)を参照)。そして、前記凸部の頂部は、金属部材1’の表面とほぼ同一高さのままである(図2下段従来例の断面写真(a)を参照)。
〔従来例2〕
上記従来例1において、リングの幅寸法を3mmとし、そのほかは従来例1と同様とした。
〔従来例3〕
上記従来例1において、リングの幅寸法を5mmとし、そのほかは従来例1と同様とした。
〔従来例4〕
上記従来例1において、幅寸法1mmのリングを1mmの間隔で同心円状に配置した三重とし、そのほかは従来例1と同様とした。
上記実施例と従来例の樹脂成形品について、気密性・液密性の評価試験を実施した。
気密性評価は、樹脂成形品の円筒部にエアパイプを接続し、これを水中に没して、円筒内に外圧より最大で0.6Mpa高い圧力をかけて、円筒内から円筒外への空気漏れの有無を確認した。
液密性評価は、樹脂成形品の円筒内部に浸透液((株)タイホーコーザイ製、ミクロチェック浸透液)を注入し、常温で2週間放置して円筒内から円筒外への浸透液の染み出しの有無を確認した。
表1には、上記評価試験の結果と、溝の集合領域を付与するための加工時間を比較して示した。
表1から明らかなように、本発明に係る実施例では、少ない加工時間で気密性・液密性が確保されていることが分かる。図2下段従来例の写真(c)(d)を観察すると、レーザ光スポットによる走査で形成された凹陥部が複雑で微細な凹凸形状を呈しており、樹脂材料が侵入できない未充填箇所を確認できる。樹脂材料が複雑で微細な凹凸形状を抱き込んで金属部材と樹脂部材の大きな接合強度は確保できるものの、前記樹脂材料未充填箇所の存在により、特に、気密性の確保が不十分になっていると推測される。
1,1’ 金属部材
2,2’ 溝の集合領域
3 樹脂部材
4 樹脂成形品
5 レーザ光スポット
6 溝
7 凸条

Claims (4)

  1. 樹脂部材の成形により、金属部材と樹脂部材とが同じ平面内で接合され一体化されている樹脂成形品であって、
    前記金属部材の樹脂部材との接合面には、レーザ光照射による平行な微細幅寸法の溝の集合領域が付与されており、
    前記溝のそれぞれは、レーザ光スポットによる走査を、レーザ光スポットの径より小さい送りピッチで一方向へ同一線上で複数回繰り返して形成されたものであり、
    前記平行な隣り合う溝と溝は、前記レーザ光スポットの径の30%以上の微細な幅寸法の凸条により隔てられていることを特徴とする樹脂成形品。
  2. 平行な微細幅寸法の溝の集合領域は、一方向の溝の集合体で構成されるリング形状又は矩形若しくは多角形の枠形状の領域である請求項1記載の樹脂成形品。
  3. 樹脂部材の成形により、金属部材と樹脂部材とが同じ平面内で接合され一体化される樹脂成形品の製造法であって、
    前記金属部材の樹脂部材との接合面にレーザ光を照射して平行な微細幅寸法の溝の集合領域を形成する工程を含み、
    前記溝のそれぞれの形成は、レーザ光スポットによる走査を、一方向へ同一線上で複数回繰り返すことによって実施し、レーザ光スポットによる走査の送りピッチをレーザ光スポットの径より小さく設定するとともに、
    走査方向と直交する方向への移動ピッチ距離は、平行な隣り合う溝と溝を隔てる微細幅寸法の凸条が残るように調整して、前記凸条の幅寸法をレーザ光スポットの径の30%以上とすることを特徴とする樹脂成形品の製造法。
  4. レーザ光スポットによる複数回の走査は、先ず、溝の集合領域の全体を区画するために、一方向へのレーザ光スポットによる走査を1回行なうごとに走査方向と直交する方向へ所定ピッチ移動して、隣接する溝形成に移るという操作を繰り返して一通り行ない、これと同一軌跡をなぞりながら、同様のレーザ光スポットによる走査を繰り返すことを特徴とする請求項3記載の樹脂成形品の製造法。
JP2012143856A 2012-06-27 2012-06-27 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法 Pending JP2014004800A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012143856A JP2014004800A (ja) 2012-06-27 2012-06-27 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012143856A JP2014004800A (ja) 2012-06-27 2012-06-27 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014004800A true JP2014004800A (ja) 2014-01-16

Family

ID=50102985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012143856A Pending JP2014004800A (ja) 2012-06-27 2012-06-27 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014004800A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019132432A (ja) * 2014-11-14 2019-08-08 サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション 基板にポリマーを定着させる装置及び方法
CN110116275A (zh) * 2013-03-29 2019-08-13 大赛璐塑料株式会社 复合成型体的制造方法
US10894678B2 (en) 2016-09-07 2021-01-19 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Pick arm raise with one-way clutch and torque limiter
CN114147363A (zh) * 2021-12-07 2022-03-08 吉林大学 激光诱导非晶碳表面微纳复合结构及周边缺陷修复方法
CN115084571A (zh) * 2021-03-12 2022-09-20 丰田自动车株式会社 燃料电池单体的制造方法
WO2023063270A1 (ja) * 2021-10-15 2023-04-20 日本軽金属株式会社 金属部材及び金属樹脂接合体並びにそれらの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010167475A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Yamase Denki Kk 異種材料と金属材料との界面が気密性を有する異種材料接合金属材料及びその製造方法
JP2011240685A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Aisin Chemical Co Ltd 金属複合接合体のシール構造及びその製造方法
JP2013107273A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Daicel Corp 複合成形体の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010167475A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Yamase Denki Kk 異種材料と金属材料との界面が気密性を有する異種材料接合金属材料及びその製造方法
JP2011240685A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Aisin Chemical Co Ltd 金属複合接合体のシール構造及びその製造方法
JP2013107273A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Daicel Corp 複合成形体の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110116275A (zh) * 2013-03-29 2019-08-13 大赛璐塑料株式会社 复合成型体的制造方法
JP2019132432A (ja) * 2014-11-14 2019-08-08 サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション 基板にポリマーを定着させる装置及び方法
CN111677759A (zh) * 2014-11-14 2020-09-18 美国圣戈班性能塑料公司 将聚合物锚定到基底上的装置和方法
CN111677759B (zh) * 2014-11-14 2022-07-01 美国圣戈班性能塑料公司 将聚合物锚定到基底上的装置和方法
US10894678B2 (en) 2016-09-07 2021-01-19 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Pick arm raise with one-way clutch and torque limiter
CN115084571A (zh) * 2021-03-12 2022-09-20 丰田自动车株式会社 燃料电池单体的制造方法
WO2023063270A1 (ja) * 2021-10-15 2023-04-20 日本軽金属株式会社 金属部材及び金属樹脂接合体並びにそれらの製造方法
CN114147363A (zh) * 2021-12-07 2022-03-08 吉林大学 激光诱导非晶碳表面微纳复合结构及周边缺陷修复方法
CN114147363B (zh) * 2021-12-07 2024-03-22 吉林大学 激光诱导非晶碳表面微纳复合结构及周边缺陷修复方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014004802A (ja) 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法
JP2014004800A (ja) 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法
JP2014004801A (ja) 金属部材を一体化した樹脂成形品とその製造法
JP5428358B2 (ja) 光学素子パッケージの製造方法
JP5889775B2 (ja) 複合成形体とその製造方法
TWI596001B (zh) 三維形狀造形物之製造方法
JP6897279B2 (ja) 3次元造形用ステージ
CN1334158A (zh) 制造三维物体的方法
JP5932700B2 (ja) 複合成形体の製造方法
CN103827476B (zh) 共振器
DE102009055786A1 (de) Gehäuse, optoelektronisches Bauteil und Verfahren zur Herstellung eines Gehäuses
JP2014079975A (ja) 複合型中空容器の製造方法及び複合型中空容器
JP6474006B2 (ja) 射出成形用金型
KR20170002945A (ko) 반도체 패키지 모듈 제조장치 및 제조방법
JP5798534B2 (ja) 複合成形体の製造方法
JP6057166B2 (ja) 構造物、構造物の製造方法、及び成形品の製造方法
DE102014103942B4 (de) Verfahren zur Herstellung eines Gehäuses für ein elektronisches Bauelement und eines elektronischen Bauelements, Gehäuse für ein elektronisches Bauelement und elektronisches Bauelement
JP6703689B1 (ja) 金型用ガス抜き部材の製造方法
JP6796165B1 (ja) 成形体、複合成形体および複合成形体の製造方法
WO2020250827A1 (ja) 金型および金型用ガス抜き部材の製造方法
KR101917768B1 (ko) 이종접합 성형체
KR20160121854A (ko) 중공 SiC 구조물의 제조방법
JP2005059574A (ja) 三次元形状造形物の製造方法
JP2018031037A (ja) 金属部材の成形方法
JP2019119092A5 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150512

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151217

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160206

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160427