JP2014004632A - 鋼板のレーザ溶接方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の結晶体から構成される発振機11から放出され、光ファイバ12により伝送され、光学系14で集光されたレーザビームを用いて突き合わされた鋼板を溶接する方法であって、光学系と鋼板との間に、レーザビームの照射により形成される溶融池Cから飛散するスパッタに向け、横方向から、前記溶融池に直接あたらないように気体を噴射する第1の気体噴射手段17を配置し、該第1の気体噴射手段の噴射口の下端に沿う延長線Akと溶融池との垂直距離が3mm以下の範囲となるように溶融池の直上を横切って気体を噴射しながらレーザビームを照射して溶接することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このように、被溶接材に付着したスパッタは、溶接部の品質を低下させるため、研削等の必要が生じ、生産効率の阻害要因となっている。
(1)スパッタの飛散方向に対して横の方向から気体(不活性ガス、空気、その混合ガス)を吹き付けることにより、溶融金属は気体の噴射方向に吹き飛ばされる。これによりスパッタが鋼板表面に付着するまでの飛散時間が長くなるためスパッタの表面が十分に冷却され、また溶融池からより離れた鋼板温度が低い場所に飛散するため、鋼板表面への固着が防止され、鋼板表面への付着に伴う溶接品質欠陥の発生を防止することができる。
(2)スパッタは溶融池から放射状に飛散するため、鋼板表面に近い位置で気体を吹き付けることにより効果的にスパッタ付着を防止することができる。
(3)溶融池直上の噴射速度が大きいと、溶融池から溶融金属が流出し、スパッタが増加する。したがって、例えば、幅方向に二つの噴射口を有するノズルから気体を噴射し、溶融池直上に比べその周囲の噴射速度を高くすることにより、気体の吹き付けに伴う溶融池からの溶融金属の流出が抑制され、溶接品質の低下を防止できる。
ノズル37の噴流がノズル17の噴流に干渉すると、ノズル17によるスパッタ吹き飛ばし効果が低下するため、ノズル37の噴流がノズル17の噴流と干渉しない距離Gを選定するのがよい。ここで、Ekは、ノズル37の噴射口の下端の延長線である。具体的には、ノズル37の距離Gはノズル17の噴射口の上端の軸線に平行な延長線の高さ以上とすることが望ましい。上限は特に限定されないが、実質的には集光レンズにスパッタが付着しないように、ノズル37は集光レンズ16より下方に設置する。なお、図4、図5では、ノズル37を1個設ける例を示したが、この例に限定されるものでなく複数個のノズルを配置しても良い。
すなわち、溶接方法M1又は溶接方法M2において供給される第1の噴流に加え、光学機器に近い側の高さ位置に第2の噴流が噴射されつつ溶接が行われる。当該第2の噴流は図5に表れるノズル37等により供給され、噴流の配置等については上記した通りである。
これによれば、光学機器に近い側にも噴流が備えられるので、光学機器へのスパッタの付着をさらに抑制することが可能となる。
各例における共通の条件は次の通りである。
・供試鋼板:低炭素鋼(C:0.02質量%)、板厚6.0mm
・レーザ発振機:ファイバレーザ発振機、出力10kW
・コリメートレンズ:焦点距離125mm
・集光レンズ:焦点距離200mm
・スポット条件:デフォーカス量5mm
・溶接速度:3.4m/分
溶接の評価は、スパッタの飛散高さおよび被溶接材へのスパッタ付着個数で行った。スパッタの飛散高さは、溶接部直上に飛散するスパッタを目視し、被溶接材表面から100mmを越える場合には「高」、50mmを越える場合には「中」、それ以下を「低」として、3水準にて判定した。そして、「中」および「低」を光学系レンズへのスパッタ付着がなく良好とした。被溶接材へのスパッタ付着個数は溶接長100mmあたりに付着しているスパッタの個数を数え、5個以下を良好とした。また、これらの評価から、スパッタ付着としての総合判定を行い、◎、○、×の3水準で評価し、前から順に、特に良好、良好、不良とした。結果を表2に示す。
2 被溶接材
10 レーザ溶接装置
11 レーザ発振機
12 光ファイバ
14 溶接ヘッド(光学系)
15 コリメートレンズ
16 集光レンズ
17、27 ノズル(第1の気体噴射手段)
37 ノズル(第2の気体噴射手段)
48 高さ調整手段
Claims (9)
- 複数の結晶体から構成される発振機から放出され、光ファイバにより伝送され、光学系で集光されたレーザビームを用いて突き合わされた鋼板を溶接する方法であって、
前記光学系と前記鋼板との間に、前記レーザビームの照射により形成される溶融池から飛散するスパッタに向け、横方向から、前記溶融池に直接あたらないように気体を噴射する第1の気体噴射手段を配置し、
該第1の気体噴射手段の噴射口の下端に沿う延長線と前記溶融池との垂直距離が3mm以下の範囲となるように前記溶融池の直上を横切って前記気体を噴射しながらレーザビームを照射して溶接することを特徴とする鋼板のレーザ溶接方法。 - 前記気体が溶接進行方向に噴射されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板のレーザ溶接方法。
- 前記第1の気体噴射手段から噴射する気体の速度分布が、前記鋼板表面に平行な断面において、前記噴射の方向の中央部で遅くなり、当該遅くなる部分が前記溶融池の真上を通過することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板のレーザ溶接方法。
- 前記光学系と前記第1の気体噴射手段との間に前記スパッタに横方向から気体を噴射する第2の気体噴射手段を配置し、
該第2の気体噴射手段から前記第1の気体噴射手段の気体噴射範囲より上方に気体を噴射しながらレーザビームを照射して溶接する請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板のレーザ溶接方法。 - 鋼板の端部を突き合わせ、該突き合わせ部にレーザを照射して溶接する鋼板のレーザ溶接装置であって、
複数の結晶体から構成される発振機と、
該発振機から放出されるレーザビームを伝送する光ファイバと、
前記光ファイバが接続され、コリメートレンズおよび集光レンズを有する光学系と、
前記レーザビームの照射により形成される溶融池から飛散するスパッタに向け、横方向から、前記溶融池に直接あたらないように気体を噴射する第1の気体噴射手段と、を備え、 前記第1の気体噴射手段は、該第1の気体噴射手段の噴射口の下端に沿う延長線と前記溶融池との垂直距離が3mm以下の範囲となるように前記溶融池の直上を横切って前記気体を噴射可能に配置されることを特徴とする鋼板のレーザ溶接装置。 - 前記第1の気体噴射手段は、前記鋼板に平行に並列される複数の噴射口を有するノズルを具備することを特徴とする請求項5に記載の鋼板のレーザ溶接装置。
- 前記第1の気体噴射手段と前記鋼板との距離を調整する高さ調整手段を備える請求項5又は6に記載の鋼板のレーザ溶接装置。
- 前記光学系と前記第1の気体噴射手段との間に、前記スパッタに横方向から、かつ前記第1の気体噴射手段の気体噴射範囲より上方に気体を噴射する第2の気体噴射手段を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の鋼板のレーザ溶接装置。
- 前記発振機は、並列に配置された複数のファイバ状またはディスク状の結晶体から構成される請求項5〜8のいずれか一項に記載の鋼板のレーザ溶接装置。
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