JP2014003549A - 折り畳みアンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】持ち運ぶ際にはコンパクトになり、実際にアンテナとして使う時には、複数の周波数帯の電波を受信できる折り畳みアンテナ装置を提供する。
【解決手段】第1のアンテナ11が取り付けられる第1の筐体10と、第2のアンテナ21が取り付けられる第2の筐体20と、これら2つの筐体を折り畳み可能にしたヒンジ部30が設けられる。第1及び/または第2のアンテナは、筐体に収納される状態と、筐体から伸長された状態の2つの状態を取り、収納された状態で第1の周波数帯を受信し、伸長された状態で第2の周波数帯の電波を受信可能とする。
【選択図】図1

Description

本開示は、複数の異なる周波数帯の電波の受信に共用できる折り畳みアンテナ装置に関する。
マルチメディア放送の周波数帯として、700MHz帯と900MHz帯が割り当てられ、携帯電話等の通信に使うことが検討されている。また、旧アナログテレビジョン放送に使われていたVHSのハイバンド帯である200MHz帯をマルチメディア放送に使うことも既に実施されている。
従来、室内でVHFとUHFの両周波数帯を受信するためのアンテナとしては、いわゆる兎の耳をしたラビットアンテナ(rabbit ears antenna)や、折り返しダイポールアンテナの折り返し部分を円形にしたループアンテナとロッドアンテナを組み合わせたものが利用されている。ロッドアンテナはVHF帯を受信するためのアンテナとして利用され、ループアンテナはUHF帯を受信するためのアンテナとして利用される。
また、従来から使われているアンテナとして、ロッドアンテナとグランド(GND)で構成される移動体通信用の無指向性のアンテナがある。このような従来型アンテナでアンテナ性能を得ようとすると、ロッドアンテナとGND部とを合わせて1/2波長の長さが必要である。特にVHF帯のハイバンドである200MHz帯における1/2波長は70cm以上になり、持ち運びには不便であった。
なお、本開示の技術と関連する先行技術としては、アンテナの収納時と伸張時で異なる周波数帯の電波(例えば、800MHz帯と1.5GHz帯)を受信できるようにした携帯電話機用のデュアルバンド用アンテナがある(特許文献1参照)。
特開2003−283224号公報
特許文献1に記載のアンテナは、アンテナを収納したときに、給電部に電気的に接続される第1の金属部と、アンテナを伸長したときに給電部に電気的に接続される第2の金属部が設けられている。そしてアンテナ特性を調整するための棒状金属部が、第1の金属部と第2の金属部の間に設けられている。
しかし、特許文献1に記載の技術では、アンテナゲインはアンテナの長さに依存しているので、受信する電波の1/2波長が、筐体の長さとロッドアンテナの長さの和を超えるような低い周波数の電波(例えばVHFのハイバンド帯)を受信することはできない。
また、携帯電話端末のような小型の端末でVHF帯の電波を受信するためには、アンテナゲインを高くしなければならない。更に、携帯用として持ち運びができるという利便性も要求される。発明者らは、従来から車載アンテナを含む小型のアンテナの設計及び製作に取り組んできたが、その応用として、今回コンパクトで薄型のアンテナを考案した。
本開示は、VHFのハイバンド帯(200MHz帯)を含む複数の異なる周波数帯の電波を受信可能とした折り畳みアンテナ装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本開示の折り畳みアンテナ装置は、第1のアンテナが取り付けられる第1の筐体と、第2のアンテナが取り付けられる第2の筐体とを備える。また、第1の筐体と第2の筐体とが開閉可能に支持されるヒンジを備え、第1の筐体と第2の筐体を折り畳みできるようにする。
そして、第1のアンテナ及び/または第2のアンテナは、第1の筐体または第2の筐体に収納された状態と、第1の筐体から引き出された状態の二つの状態を取ることができるようになっている。
本開示によれば、省スペースでアンテナゲイン特性の良いアンテナを実現できる。また、UHF帯とVHFのハイバンド帯(200MHz帯)を含む複数の異なる周波数帯の電波を受信することができる。
本開示の第1の実施形態例である折り畳みアンテナの概略構成を示す図である。 本開示の第1の実施形態例に用いられるアンテナと内部の回路構成を示す図である。 本開示の折り畳みアンテナに用いられるバランの例を示す図である。 本開示の第1の実施形態例に用いられる折り畳みアンテナを180°開いたときの外観図(A)とその内部構造(B)を示す図である。 本開示の第1の実施形態例のアンテナと筐体内の基板との接続関係を示す図である。 本開示の第1の実施形態例である折り畳みアンテナの第1筐体と第2筐体を180°に開き、ロッドアンテナを伸長したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す図である。 本開示の第1の実施形態例である折り畳みアンテナの第1筐体と第2筐体を180°に開き、ロッドアンテナを収納したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を比較例として示す図である。 本開示の第1の実施形態例である折り畳みアンテナを第1筐体と第2筐体を略90°L字に開き、ロッドアンテナを伸長したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す図である。 本開示の第1の実施形態例である折り畳みアンテナを第1筐体と第2筐体を略90°L字に開き、ロッドアンテナを収納したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す図である。 図2の回路構成において、同軸ケーブル長を15cmとしてバランを入れたとき(A)と、バランを入れないとき(B)のノイズフロア特性、及び同軸ケーブル長を75cmとしてバランを入れたとき(C)のノイズフロア特性を示す図である。 本開示の第2の実施形態例である折り畳みアンテナの概略構成を示す図である。 本開示の第2の実施形態例である折り畳みアンテナに用いられる1個のロッドアンテナと同軸ケーブルの接続関係を示す図である。 本開示の第2の実施形態例である折り畳みアンテナを第1筐体と第2筐体を180°に開き、ロッドアンテナを伸長したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す図である。 本開示の第2の実施形態例である折り畳みアンテナを第1筐体と第2筐体を90°L字に開き、ロッドアンテナを伸長したときのVHF帯とUHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す図である。
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係る折り畳みアンテナについて、図1〜図14を参照して説明する。説明の順序は以下のとおりである
<1.第1の実施形態例の説明>
[第1の実施形態例の折り畳みアンテナの構造]
[第1の実施形態例の折り畳みアンテナの周波数−ピークゲイン特性]
[第1の実施の形態例の折り畳みアンテナのノイズ特性]
<2.第2の実施形態例の説明>
[第2の実施形態例の折り畳みアンテナの構造]
[第2の実施形態例の折り畳みアンテナの周波数−ピークゲイン特性]
<1.第1の実施形態例の説明>
以下、図1、図2を参照して、本開示の折り畳みアンテナの第1の実施形態例(以下、「本例」ということもある)について説明する。
[折り畳みアンテナの構造]
図1は、本例の折り畳みアンテナの構造の概略を示している。図1に示すように、本例の折り畳みアンテナは、折り畳み可能とした第1の筐体10と第2の筐体20から構成される。すなわち、第1の筐体10と第2の筐体20はヒンジ部30を中心に0°〜180°まで開閉できるようになっている。そして、第1の筐体10と第2の筐体20は、その角度が90°と180°のときに不図示の係止部材によって係止されるようになっている。また、第2の筐体20には、第1の筐体10が入れ子として収納できるような凹部24が形成されている。このように、二つの筐体10、20を入れ子構造にした折り畳みアンテナは、厚みを薄くすることができるので、携帯用のアンテナとして小型化することができる。
また、第1の筐体10及び第2の筐体20には、それぞれ基板12、22が収納されており、この基板12、22もアンテナの一部として機能するようになっている。この基板12と基板22は、それぞれが収納される筐体10、20の大きさに対応するサイズに形成されており、この基板12、22のサイズも含めて、全体のアンテナ特性が定まる。ただし、第1の筐体10と第2の筐体20とを入れ子構造にしたため、第1の筐体10内に設けられる基板12のサイズは、第2の筐体20内に設けられる基板22のサイズと比べて小さくなる。ここでは、基板12を第1の基板とし、基板22を第2の基板とする。
図1には図示されていないが、第1の筐体10の端部には、ロッドアンテナ11が収納されるスペースが設けられている。また、第2の筐体20の端部にも、ロッドアンテナ21が収納されるスペースが設けられている。このロッドアンテナ11がダイポールアンテナの第1のアンテナエレメント(第1のアンテナ)を構成し、ロッドアンテナ21が第2のアンテナエレメント(第2のアンテナ)を構成する。
ロッドアンテナ11及びロッドアンテナ21は、複数段の入れ子状に構成されており、伸縮可能になっている。そして、ロッドアンテナ11及びロッドアンテナ21の中の、入れ子状の初段(筐体側)には、そのロッドアンテナ11、21の方向を360°自在に回転できるように自在継手(ユニバーサルジョイント)13と23が設けられている。
本例の折り畳みアンテナを構成する各部のサイズは、例えば、以下のようなサイズに設定することができる。第1の筐体10を第2の筐体20の凹部24に収納した筐体のサイズは、例えば、縦60mm、横99.5mm、高さ14.5mmである。また、ロッドアンテナ11及び21は、伸長された状態で、それぞれの筺体端からアンテナ先端までの長さが140mmである。また、図1に示すように、第2の筐体20には、φ2.5mmの高周波コネクタ28が設けられている。このコネクタは主にオーディオ用途に使われるコネクタである。
ここで、第1の筐体10と第2の筐体20を180°に開き、140mmのロッドアンテナ11と21を伸長すると、アンテナの全長(物理長)が約480mmになる。この値は、200MHzの1/2波長に相当する750mmよりもかなり短い。480mmの長さで何故VHF帯のハイバンド(200MHz)が受信できるかの詳細な理由については後述するが、これを実現することができたのは、ロッドアンテナと同軸ケーブルの間にローディングコイル(図2参照)を挿入したことによる。
図2は、本例の折り畳みアンテナに用いられる第1の筐体10と第2の筐体20の内部回路図である。この回路自体は、通常のアンテナの回路図とほぼ同じものであり、本例の折り畳みアンテナに特有のものではない。
上述したように、本例の折り畳みアンテナは、ロッドアンテナ11とロッドアンテナ21によってダイポールアンテナを構成している。ロッドアンテナ11、21にはそれぞれローディングコイル15、25が接続されている。ローディングコイル15は、入れ子となる第1の筐体10内に設けられるもので、そのインダクタンスは130nHである。ローディングコイル25は、第2の筐体20内に設けられるものであり、ローディングコイル15よりやや小さい120nHのインダクタンスとされている。
このローディングコイル15、25は、延長コイルとも言われ、ダイポールアンテナの各アンテナエレメントの途中に挿入されており、アンテナの物理的長さを短縮する機能を持っている。短縮のためのコイルなのに何故延長コイルというかは、短縮された物理的な長さを電気的に延長する機能を有するからである。この電気的に延長した長さは電気長と呼ばれている。
ローディングコイル15のインダクタンスを130nHとし、ローディングコイル25のインダクタンスを120nHとしてその値を変えているのは、第1の筐体10内に配置される第1の基板12と第2の筐体20内に配置される第2の基板22のサイズが異なるからである。基板12、22のサイズとそれに接続されるローディングコイル15、25を含め、物理的な長さを電気長に変換した場合に、ダイポールアンテナを構成する各エレメントの電気長が、受信する電波の略1/4波長になるように、ローディングコイル15、25の値が定められる。
また、図2に示すように、ロッドアンテナ11、21にはバラン26が接続され、バラン26は直流カット用コンデンサ27を介して、不図示の同軸線に接続される端子28に接続されている。バラン26は平衡側のアンテナと、端子28に接続される不平衡側の同軸線を接続するための平衡−不平衡変換器であり、ソータバランまたはフロートバランとも言われる。バラン26を省略すると、同軸線を構成する一方の導体がアンテナとして動作することがあるため、指向性が乱れたり、利得が低下したりする場合がある。
このように、バラン26は、同軸線を介してアンテナに繋がるセット端末からのノイズを抑制する機能を持っている。つまり、バラン26を接続することによって、セット筺体からの不平衡(コモンモード)ノイズがアンテナに誘起されるのを抑制することができる。これは不平衡側の同軸線及び基板12,22からの信号が、不平衡−平衡変換されてアンテナ側に伝わるからである。
このようにバラン26を使用すると、同軸線側の不平衡がアンテナ側の平衡に効率よく変換することができる。例えば、ダイポールアンテナを直接同軸線に接続する場合には、アンテナ給電側で同軸線のグランド側と芯線側に、平衡信号が誘起される。そして、この誘起された平衡信号が同軸線を伝搬していき、機器を接続する同軸線の部分(機器接続点)において不平衡信号になる。この機器接続点が同軸線の真のGND点となり、この真のGND点からアンテナ給電点に向かって被覆部のGNDに誘起される信号振幅が大きくなっていく。つまり、同軸線の機器接続点からアンテナ給電点に向かって対GNDに対するインピーダンスが上がって行く。
(角田コメント:ここのところはバランが必ずしも必須の構成にはならないことを説明したものです。自信のないところなので、チェック及び修正をお願いします。)
このように同軸線自体も、平衡−不平衡変換機能を持っているため、図2のバラン26は、本例の折り畳みアンテナを構成する上で必ずしも必須の構成ではない。しかし、図2に示すようにバラン26を挿入した方がアンテナの特性が良くなることは明らかであり、本例では、平衡−不平衡変換器としての機能を持った巻線数1対1のバラン26(ソータバラン)を用いている。なお、バランの一例を図3(A)〜(C)に示すが、バランには様々な構造を持つものが知られており、これらのバランの中から、用途に応じて最適なバランが選択される。例えば、図3(A)のソータバランは、コモンモードノイズの除去を主眼とする場合に用いられるが、接続する回路のインピーダンスの大きさに応じてインピーダンス変換を行う必要がある場合には、図3(B)(C)に示すバランが主として用いられる。
図4は、本例の折り畳みアンテナの第1の筐体10と第2の筐体20を180°開いた状態の外観(A)と、各筐体の内部構造(B)を示す図である。第1の筐体10内には、ロッドアンテナ11、基板12、及びローディングコイル15が配置され、これらが電気的に接続されている。また、第2の筐体20内にも、基板22が配置され、ロッドアンテナ21とローディングコイル25(図2参照)が接続されている。また、ローディングコイル25はバラン26に接続されている。バラン26は第2の筐体20内の基板22に接続されている。
図4では、ロッドアンテナ11、21を筐体10、20に収納した状態を示しているが、これを伸張させると、ロッドアンテナ11の先端からロッドアンテナ21の先端までの物理的な長さは約480mmになる。一方、図4に示すようにロッドアンテナ11、21を収納した状態では、第1の筐体10の先端から第2の筐体20の先端までの長さは、約200mmである。
この第1の筐体10と第2の筐体20内の基板12、22とロッドアンテナ11、21の間に、延長コイルとして機能するローディングコイル15、25を挿入すると電気長が延びる。そして、図6に後述するように、ロッドアンテナ11、21を収納した状態でUHF帯を受信し、ロッドアンテナ11、21を伸長した状態でVHF帯のハイバンド(200MHz帯)を受信することができる。
図5(A)〜(C)は、本例の折り畳みアンテナにおいて、図4に示すように第1の筐体10と第2の筐体20を180°開いたときの、基板12と基板22の接続、及びバラン26、コンデンサ27、高周波コネクタ28の電気的な接続関係を示した図である。図5(C)は、図5(B)の黒○印の部分を拡大して示した図である。
図5(A)〜(C)では基板12、22の一方の面(これを「表面」と呼ぶ)を12a、22aで示し、基板12、22の他方の面(これを「裏面」と呼ぶ)を12b、22bで示している。基板11、22の表面12a、22aと裏面12b、22bは電気的に接続されている。
図5(A)(B)に示すように、第1の筐体10内に配置される基板12と、第2の筐体20内に配置される基板22は、ヒンジ部30を介して導線によって接続されている。また、図5(C)に示すように、第2の基板22は、バラン26とコンデンサ27を介して、Φ2.5mm高周波コネクタ28に接続されている。このように接続することで、後述するように、第1の筐体10と第2の筐体20とは、それぞれの内部に配置される基板12、22とロッドアンテナ11、21を合わせた状態でアンテナとしての機能を持つことになる。
<本例の折り畳みアンテナの周波数−ピークゲイン特性>
[筐体を180°開いたときの周波数−ピークゲイン特性]
図6(A)、(B)及び表1、表2は、本例の折り畳みアンテナの第1の筐体10と第2の筐体20を180°開いた状態で、かつロッドアンテナ11と21を伸長したときのアンテナの周波数−ピークゲイン特性を示したものである。表1と図6(A)は、VHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示し、表2と図6(B)は、UHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す。なお、図6(A)、(B)で、実線は水平偏波Hを示し、破線は垂直偏波Vを示している。
図6(A)及び表1から分かるように、VHF帯のハイバンドである170〜220MHz近辺では、主たる偏波である水平偏波Hで−10dBd以上のゲインが得られている。ここで単位(dBd)は、完全半波長のダイポールアンテナと比較したときのデシベル値である。
また、図6(B)及び表2から、470〜900MHzのUHF帯の全帯域に亘って、水平偏波Hで−10dBd以上のゲインが確保されていることが分かる。そして、垂直偏波Vでも670〜770MHz近辺で、高いゲインが得られることが分かる。
図7(A)、(B)及び表3、表4は、本例の折り畳みアンテナの第1の筐体10と第2の筐体20を180°開いた状態に置き、ロッドアンテナ11と21をそれぞれの筐体10、20内に収納したときのアンテナの周波数−ピークゲイン特性を比較例として示したものである。
図7(A)及び表3はVHF帯、図7(B)及び表4はUHF帯の周波数−ピークゲイン特性である。
図7(A)及び表3から分かるように、ロッドアンテナ11、21をそれぞれの筐体10、20内に収納すると、VHF帯では水平偏波H、垂直偏波Vとも−10dBd以上のゲインは得られない。一方、図7(B)及び表4から、ロッドアンテナ11、21を各筐体10、20内に収納しても、UHF帯では水平偏波Hの全帯域幅で−10dBd以上のゲインが得られていることが分かる。また、垂直偏波Vでも670MHz〜720MHzでは、−10dBd以上のゲインが得られている。
このことから、本例の折り畳みアンテナでは、ロッドアンテナ11、21をそれぞれの筐体10、20から引き出すと、UHF帯とVHF帯の両方が受信可能となることが分かる。しかし、ロッドアンテナ11、21をそれぞれの筐体10、20に収納すると、UHF帯の電波は受信できるが、VHF帯の電波の受信はできなくなることもわかった。
[90°L字に開いたときの周波数―ピークゲイン特性]
図8(A)、(B)及び表5、表6は、本例の折り畳みアンテナの第1の筐体10と第2の筐体20を90°L字に開放した状態で、かつロッドアンテナ11と21を伸長したときのアンテナの周波数−ピークゲイン特性を示したものである。図8(A)と表5は、VHF帯の周波数−ピークゲイン特性、図8(B)と表6は、UHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す。
図8(A)(B)及び表5、表6から、第1の筐体10と第2の筐体20の角度を略90°L字に配置すると、VHF帯、UHF帯とも水平偏波Hと垂直偏波Vの周波数特性が極めて類似することが分かる。図8(A)及び表5から分かることは、VHF帯のハイバンドである特に200〜220MHz付近で、水平偏波H、垂直偏波Vとも−10dBd以上のゲインが確保できていることである。また、図8(B)及び表6から、470〜900MHzのUHF帯の全帯域に亘って、水平偏波H及び垂直偏波Vとも略−10dBd以上のゲインが確保されていることが分かる。
図9(A)、(B)及び表7、表8は、本例の折り畳みアンテナの第1の筐体10と第2の筐体20を90°L字に開いた状態で、かつロッドアンテナ11と21を筐体内に収納したときのアンテナの周波数−ピークゲイン特性を示したものである。図9(A)と表7は、VHF帯の周波数−ピークゲイン特性、図9(B)と表8は、UHF帯の周波数−ピークゲイン特性を示す。
図9(A)(B)をみると分かるように、この場合も水平偏波Hと垂直偏波Vの周波数−ピークゲイン特性は類似する傾向になる。そして、図9(A)及び表7から分かるように、ロッドアンテナ11、21をそれぞれの筐体10、20内に収納すると、VHF帯では−10dBd以上のゲインは得られない。一方、図9(B)及び表8から、ロッドアンテナ11、21を各筐体10、20内に収納しても、UHF帯では水平偏波Hと垂直偏波Vともその全帯域に亘って略−10dBd以上のゲインが得られている。
この図9からも、ロッドアンテナ11、21を伸長すると、UHF帯とVHF帯の両方が受信可能となり、ロッドアンテナ11、21をそれぞれの筐体10、20に収納すると、UHF帯は受信可能であるが、VHF帯の電波の受信はできなくなることが分かる。
<第1の実施の形態例の折り畳みアンテナのノイズ特性>
図10(A)〜(C)は、無信号状態における、アンテナ出力でのノイズフロア特性を示す図である。縦軸は雑音レベル(dBm)を示し、横軸は周波数を示している。ここで、ノイズフロアとは、信号が入力されていないときの、雑音のレベルのことである。縦軸の単位dBmは1mWの出力に対する0dBm=1mWである。したがって、−120dBmは、雑音レベルが1mWの1/120になっていることを意味する。
図10(A)は、バラン26を挿入しないときの雑音レベルを示し、図10(B)はバランを挿入したときの雑音レベルを示す。いずれも同軸線の長さは150mmとしている。
図10(C)は同軸線の長さを750mmとし、かつバラン26を挿入して測定した雑音レベルである。図10(B)(C)に示すように、バラン26を挿入することによって、ノイズフロアが下がっていることがわかる。このように、バラン26を挿入してノイズフロアを下げると、信号のダイナミックレンジを大きくとることができ、信号対雑音比(S/N比)が向上するので、結果的にアンプのゲインを上げたことと等価になる。
バラン26を挿入しない図10(A)では、破線で示した雑音レベルが−122〜−123dBmとなっている。これに対して、バランを挿入した図10(B)と図(C)では、実線の雑音レベルが−126〜−127dBmとなっている。このことから、図10(B)(C)では、図10(A)のバランを挿入しない場合に比べて、3〜4dBmだけノイズ特性が改善されていることが分かる。
なお、図10(C)に示すように、ケーブル長が750mmと長くなっても、ノイズフロア特性は殆ど劣化しないので、バランを挿入した効果を充分に確認することができる。このように、アンテナゲインを稼ぐだけでなく、ノイズを抑制することは、より良い受信感度を得るためにも極めて重要である。
<2.第2の実施形態例の説明>
次に、図11〜図12を参照して、本開示の折り畳みアンテナの第2の実施形態例について説明する。
図11に示す第2の実施形態例が、図1に示す第1の実施形態例と異なる点は、第2の筐体20に収納するロッドアンテナ21の代わりに、それと同等の長さを持つ同軸線31を用いるようにした点である。図1と同じ構成部分は同一符号を付している。
したがって、第2の実施形態例では、ロッドアンテナ11は1本になる。一般的にロッドアンテナは値段が高価なので、第2の実施形態例の折り畳みアンテナでは、第1の実施形態例の折り畳みアンテナに比べて、コスト削減が可能になる。
[第2の実施形態例の折り畳みアンテナの構造]
図11に示すように、第2の実施形態例では、図1に示した第2の筐体20の端部に設けられたロッドアンテナ21の代わりに、同軸線31とフェライトコア32が設けられている。つまり、第2の実施形態例では、第2の筺体20の端部からフェライトコア32までの外皮31bが図1のロッドアンテナ21の代わりの役割を果たしている。この第2の実施形態例では、第2の筐体20の筺体端とフェライトコア32までの長さを略140mmとした。この長さは、図1のロッドアンテナ21を引き延ばしたときの筐体端からの長さと同じである。同軸線の他端は同軸コネクタ33に接続されている。他の構成は図1に示した第1の実施形態例のアンテナ構造と同じなので、ここでは説明を省略する。
ここで、フェライトコア32と140mmの同軸線31が、図1のロッドアンテナ21と同様な機能を持つ理由は、次のように考えることができる。すなわち、フェライトコア32は、高周波インピーダンスが高いので、フェライトコア32までの同軸線31は、フェライトコア32より先の同軸線とは高周波的に遮断されていると考えられる。このため、第2の筐体20の端部からフェライトコア32までの同軸線31の外皮31bにあたる金属導体がダイポールアンテナを構成する一方のアンテナエレメントに相当する機能を持ち、実質的にロッドアンテナ21の代わりになる。なお、同軸線31の芯線31aは、信号を伝送する線路として利用されることは言うまでもない。
図12は、図11の第2の実施形態例の内部回路を簡略化して示したものである。ロッドアンテナ11には、ローディングコイル35が接続され、このローディングコイル35の他端が直流分阻止用のコンデンサ36を介して同軸線31の芯線31aに接続されている。図12では、バラン26(図2参照)を設けていないが、図12においてもバランを設けてよいことは言うまでもない。ここで、図12では、ロッドアンテナ11に接続されるローディングコイル35のインダクタンスを160nHとした。このインダクタンス値は、一方のアンテナエレメントを構成するロッドアンテナ11の電気長と、他方のアンテナエレメントを構成する同軸線31(筐体端からフェライトコア32まで)の電気長を略等しくするために、設計上設定した値である。
[折り畳みアンテナの周波数−ピークゲイン特性]
図13、図14及び表9〜12は、第2の実施形態例のアンテナ特性を示したものである。以下に説明するように、VHF帯、UHF帯ともに実用で十分に使用可能な特性となっていることが分かる。
図13(A)及び表9は、図11に示すような同軸線31を使用し、2つの筐体を180°開いたときのVHF帯における周波数−ピークゲイン特性を示すものである。ここで同軸線(同軸ケーブル)は4芯同軸で実験したが、これに限定される訳ではなく、通常の1芯同軸でも得られる周波数−ピークゲイン特性は変わらない。
図13(B)及び表10は、同じく同軸線31を使用し、2つの筐体を180°開いたときのUHF帯における周波数−ピークゲイン特性を示す。
図13(A)及び表9から分かるように、VHF帯のハイバンドである180〜220MHz近辺では、主たる偏波である水平偏波Hで−10dBd以上のゲインが得られている。
また、図13(B)及び表10から、470〜900MHzのUHF帯の全帯域に亘って、水平偏波Hで略−10dBd以上のゲインが確保されていることが分かる。このことから、第1の実施形態例で用いた第2筐体20のロッドアンテナ21の代わりに同軸線31にした場合でも、多少のゲインの劣化が認められるものの、十分に実用に耐えられることが分かった。
図14(A)及び表11は、同じく同軸線31を使用し、2つの筐体を90°L字に開いき、ロッドアンテナ11を伸長したときのVHF帯における周波数−ピークゲイン特性を示すものである。
また、図14(B)及び表12は、UHF帯の周波数−ピークゲイン特性である。フェライトコア32の位置、及びローディングコイル35のインダクタの値は図13の場合と同じ160nHである。
図14(A)及び表11から分かることは、VHF帯のハイバンドである特に200〜220MHz付近で、水平偏波H、垂直偏波Vとも−10dBd以上のゲインが確保できていることである。しかし、同軸線31をアンテナとして利用して受信した水平偏波Hよりも、ロッドアンテナ34をアンテナとして受信した垂直偏波Vの方が幾分周波数−ピークゲイン特性が良好であることが確認された。
また、図14(B)及び表12から、470〜900MHzのUHF帯のうち、700MHz程度の帯域までは、水平偏波H及び垂直偏波Vとも略−10dBd以上のゲインが確保されていることが分かる。しかし、700MHz以上の帯域になると、ピークゲイン特性が−10dBd以下になることが分かった。
なお、図14(A)及び表11から、第1の筐体10と第2の筐体の角度を略90°L字に開くと、VHF帯では水平偏波Hと垂直偏波Vの周波数−ピークゲイン特性が似た特性となることが分かる。しかし、図14(A)及び表12から、UHF帯では水平偏波Hと垂直偏波Vの周波数−ピークゲイン特性が異なってくることが判明した。この違いは、垂直偏波Vを受信するロッドアンテナ34には、ローディングコイル35が接続されているのに対し、同軸線31にはローディングコイルが接続されていないことに、起因しているものと考えられる。しかし、水平偏波Hの周波数−ピークゲイン特性も470〜700MHzまでは、−10dBdのゲインを維持しており、十分に実用に耐えられるものとなっている。
なお、本開示の第1及び第2の実施形態例では、第1の筐体10と第2の筐体20を入れ子構造として説明しているが、必ずしも入れ子構造にする必要はない。
また、本開示の第1及び第2の実施形態例では、直流カット用のコンデンサを設けているが、同軸の信号線に直流電圧がかからない場合には、このコンデンサは不要である。
更に、インピーダンスマッチングを最適にするために、ロッドアンテナ等のアンテナエレメントの直近にマッチング素子を挿入してもよい。
また、本開示の第1及び第2の実施形態例では、VHFとUHFの両方でアンテナ特性を確保するため、ローディングコイルを設けているが、このローディングコイルは必ず必要であると言うことではない。
本開示の第1及び第2の実施形態例では、ロッドアンテナは収縮され、筐体内に収納可能としたが、ロッドアンテナを伸縮させて、筐体内に収納可能とする必要はない。
また、本開示の第1及び第2の実施形態例では、VHFの200MHz帯とUHF帯の両方を受信可能とするアンテナとして説明したが、サイズを変更して他の周波数帯を受信する構成とすることもできる。
以上、本開示の実施形態例について説明したが、本開示は上述した実施形態例に限られることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形例と応用例を含むものである。
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1のアンテナが取り付けられる第1の筐体と、
第2のアンテナが取り付けられる第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ部と、
を備える折り畳みアンテナ装置。
(2)
前記第1のアンテナは、前記第1の筐体に収納される状態と、前記第1の筐体から伸長された状態の2つの状態を取る、(1)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(3)
前記第2のアンテナは、前記第1の筐体に収納される状態と、前記第1の筐体から伸長された状態の2つの状態を取る、(2)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(4)
前記第1のアンテナが前記第1の筐体に収納され、前記第2のアンテナが前記第2の筐体に収納された状態で、第1の周波数帯の電波を受信し、
前記第1のアンテナが前記第1の筐体から引き出され、前記第2のアンテナが前記第2の筐体から引き出された状態で、前記第1の周波数帯よりも周波数の低い第2の周波数帯の電波を受信する、(2)または(3)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(5)
前記第1の周波数帯は、UHF帯であり、前記第2の周波数帯はVHFのハイバンド帯である、(4)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(6)
前記第2の筐体は、前記第1の筐体を入れ子として収納可能にした凹部を備える、(1)〜(5)のいずれかに記載の折り畳みアンテナ装置。
(7)
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段の入れ子構造にしたロッドアンテナである、(1)〜(6)のいずれかに記載の折り畳みアンテナ装置。
(8)
前記第1のアンテナはロッドアンテナであり、前記第2のアンテナは電気第1のアンテナと電気長が略等しい同軸線によって形成される、(1)〜(7)のいずれかに記載の折り畳みアンテナ装置。
(9)
前記第1のアンテナは前記第1の筐体内に設けられる第1の基板に接続され、前記第2のアンテナは前記第2の筐体内に設けられる第2の基板に接続される、(1)〜(8)のいずれかに記載の折り畳みアンテナ装置。
(10)
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナのそれぞれは、ローディングコイルを介して、前記第1の基板または前記第2の基板に取り付けられる、(9)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(11)
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナのそれぞれは、バランを経由して前記第1の基板または前記第2の基板に取り付けられる、(9)または(10)に記載の折り畳みアンテナ装置。
(12)
前記第1の基板または前記第2の基板は、前記第1の筐体または前記第2の筐体のサイズに対応するサイズに成形される、(9)〜(11)のいずれかに記載の折り畳みアンテナ装置。
10・・・第1の筐体、20・・・第2の筐体、11、21、34・・・ロッドアンテナ、12,22・・・基板、13,23・・・自在継手(ユニバーサルジョイント)、15、25、35・・・ローディングコイル、24・・・凹部、26・・・バラン(平衡−不平衡変換器)、27、36・・・直流カット用コンデンサ、28・・・2.5Φmm高周波コネクタ、30・・・ヒンジ部、31・・・同軸線、32・・・フェライトコア、33・・・同軸コネクタ、27、36・・・直流カット用コンデンサ

Claims (12)

  1. 第1のアンテナが取り付けられる第1の筐体と、
    第2のアンテナが取り付けられる第2の筐体と、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ部と、
    を備える折り畳みアンテナ装置。
  2. 前記第1のアンテナは、前記第1の筐体に収納される状態と、前記第1の筐体から伸長された状態の2つの状態を取る、
    請求項1に記載の折り畳みアンテナ装置。
  3. 前記第2のアンテナは、前記第2の筐体に収納される状態と、前記第2の筐体から伸長された状態の2つの状態を取る、
    請求項2に記載の折り畳みアンテナ装置。
  4. 前記第1のアンテナが前記第1の筐体に収納され、前記第2のアンテナが前記第2の筐体に収納された状態で、第1の周波数帯の電波を受信し、
    前記第1のアンテナが前記第1の筐体から引き出され、前記第2のアンテナが前記第2の筐体から引き出された状態で、前記第1の周波数帯よりも周波数の低い第2の周波数帯の電波を受信する、
    請求項3に記載の折り畳みアンテナ装置。
  5. 前記第1の周波数帯は、UHF帯であり、前記第2の周波数帯はVHF帯である、
    請求項4に記載の折り畳みアンテナ装置。
  6. 前記第2の筐体は、前記第1の筐体を入れ子として収納可能にした凹部を備える、請求項1に記載の折り畳みアンテナ装置。
  7. 前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段の入れ子構造にしたロッドアンテナである、
    請求項1に記載の折り畳みアンテナ装置。
  8. 前記第1のアンテナはロッドアンテナであり、前記第2のアンテナは電気第1のアンテナと電気長が略等しい同軸線によって形成される、
    請求項1に記載の折り畳みアンテナ装置。
  9. 前記第1のアンテナは前記第1の筐体内に設けられる第1の基板に接続され、前記第2のアンテナは前記第2の筐体内に設けられる第2の基板に接続される、
    請求項1に記載の折り畳みアンテナ装置。
  10. 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナのそれぞれは、ローディングコイルを介して、前記第1の基板または前記第2の基板に取り付けられる、
    請求項9に記載の折り畳みアンテナ装置。
  11. 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナのそれぞれは、バランを経由して前記第1の基板または前記第2の基板に取り付けられる、
    請求項9に記載の折り畳みアンテナ装置。
  12. 前記第1の基板または前記第2の基板は、前記第1の筐体または前記第2の筐体のサイズに対応するサイズに成形される、
    請求項9に記載の折り畳みアンテナ装置。

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