JP2014003157A - スピン波スイッチングデバイス、スピン波導波路、及びスピン波の進行方向を制御する方法 - Google Patents

スピン波スイッチングデバイス、スピン波導波路、及びスピン波の進行方向を制御する方法 Download PDF

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将貴 山田
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Abstract

【課題】スピン波の進行方向を所望の方向に変更するための技術を提供する。
【解決手段】スピン波反射層を備えたスピン波スイッチング素子(スピン波セレクタスイッチ)を適用し、スピン波反射層の磁化方向を制御することにより、スピン波の反射・透過の選択を可能とする。また、本発明によるスピン波セレクタスイッチをアレイ状に配列することにより、スピン波を任意の方向へ伝播させるスピン波導波路を提供する。
【選択図】図8

Description

本発明は、スピン波スイッチングデバイス、スピン波導波路、及びスピン波の進行方向を制御する方法に関する。
近年の高度情報化社会において、情報量の増加に伴い、世界的に消費電力も爆発的に増大している。また、近年では、データを集中管理する情報のクラウド化が顕著であり、大容量通信に伴う消費電力低減が最大かつ喫緊の課題となっている。情報処理を担う従来のルータに関しては、制御集積回路部や配線部による消費電力がその大部分を占めている。そのため、これらの低消費電力化を実現するにあたり、電流を用いた手段から、スピン波による情報伝達が提案されている(非特許文献1参照)。スピン波による情報伝達手段を用いると、リーク電流の影響を低減できるのと同時に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の構成数を減らせるため、システムの低消費電力化が可能となる。
S.K.Kim、"MicromagneticComputer Simulations of Spin Waves in Nanometre-scale Patterned Magnetic Elements"、J.Phys.D:Appl.Phys.43(2010)264004 D.Chiba et al、"Magnetization Vector Manipulation by Electric Field" Nature 455 (2008) 515 A.Khitun and K.L.Wang、"Non-Volatile Magnonic Logic Circuits Engineering"、J.Appl.Phys.110(2011)034309
しかし、スピン波の進行方向は、直進方向しか伝播できないことが知られている。その一方で、FPGAに代表される集積回路においては、経路のとり方によって演算が決定されるため、スピン波を用いた集積回路において、任意の経路でスピン波を伝播する機構が必須となっている。このため、スピン波を情報伝達手段とする交差導波路を多く備えた集積回路は実現されていなかった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、スピン波の進行方向を所望の方向に変更するための技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、スピン波反射層を備えたスピン波スイッチング素子(スピン波セレクタスイッチ)を適用し、スピン波反射層の磁化方向を制御することにより、スピン波の反射・透過の選択を可能とする。また、本発明によるスピン波セレクタスイッチをアレイ状に配列することにより、スピン波を任意の方向へ伝播させるスピン波導波路を提供する。
より具体的には、本発明の基本的な構成単位によるスピン波スイッチング素子(スピン波スイッチングデバイス)は、入射スピン波の導波路である第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2の磁性体と、とを有する。この第1の磁性体と第2の磁性体は第1の接合界面で接合されている。また、第2の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、第2の磁性体における禁制帯幅より小さい。そして、第1の磁性体へ入射されたスピン波は、第1の接合界面で反射、或いは透過をするようになっている。
本発明によれば、スピン波の進行方向を自在に変更することができるようになる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本発明の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
平行磁化の場合のスピン波の反射、および、透過原理を示す模式図である。 異なる磁化方向を持つスピン波の分散関係を示す模式図である。 垂直磁化の場合のスピン波の反射、および、透過原理を示す模式図である。 スピン波スイッチング素子の基本構成を示す図である。 スピン波スイッチング素子におけるスピン波の反射・透過過程を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(1)の構成を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(1)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(2)の構成を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(2)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(1)である。 スピン波セレクタスイッチ(2)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(2)である スピン波セレクタスイッチ(2)を備えたスピン波導波路(1)の構成を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(3)の構成を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(3)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(1)である。 スピン波セレクタスイッチ(3)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(2)である。 スピン波セレクタスイッチ(3)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(3)である。 スピン波セレクタスイッチ(3)におけるスピン波の反射・透過過程を示す図(4)である。 スピン波セレクタスイッチ(3)を備えたスピン波導波路(2)の構成を示す図である。 スピン波セレクタスイッチ(2)の作製方法を示す図である。
本発明は、ルータの配線部やFPGA(Field-Programmable Gate Array)に代表される集積回路などに適したスピン波スイッチング素子、及びそれを備えたスピン波導波路に関する。そして、本発明は、スピン波の進行方向を適切な方向に制御することによって、スピン波を用いた集積回路の実現への道を開くものである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ここでは、本発明を適用するのに好ましいスピン波セレクタスイッチ、および、それを用いたスピン波導波路について、詳細に説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。なお、以下説明する本発明の実施形態では、磁性半導体或いはピエゾの歪みを用いて、電界(電圧印加)を掛けることにより磁化方向を制御する方法を示しているが、電界に限らず、磁場或いは電流を変化させることにより、磁化方向を制御するようにしても良い。ただし、電界によって磁化方向を制御するほうが消費電力を抑えるには好適である。
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
<スピン波の反射及び透過の原理>
図1は、磁性体に対するスピン波の反射、及び透過の原理を説明するための図である。ここでは、スピン波を入射する第1の磁性体1と透過スピン波が伝播する第2の磁性体2が接合されている場合のスピン波の反射、及び透過の過程に関して説明する。尚、第1の磁性体1は、スピン波のバンド構造において、禁制帯(電子がない領域)を持たない磁性材料であり、Ni、Co、Feを基本とする磁性体であるがこの限りではない。一方、第2の磁性体2は、YIG(Yittorium Iron Garnet)やEuSなど、スピン波のバンド構造において、禁制帯を持つ磁性体である。
本構成(図1(a)参照)において、第1の磁性体1と第2の磁性体2の磁化の方向が平行の場合、その界面において、入射角度に依存して、スピン波の反射、および、透過が起きることが知られている(非特許文献2参照)。図1(b)は、第1の磁性体1、及び第2の磁性体2におけるスピン波の波数ベクトルの等エネルギー曲線(曲線3及び4)を示している。例えば、スピン波の入射角が45度の場合、第2の磁性体2のバンドにおいては、45度(集積回路を作製する場合に90度にスピン波を曲げて進行させたい場合に有効)入射のスピン波がその禁制帯(図1(b)斜線領域:禁制帯の領域は材料によって異なるため、適切な入射角は材料によって適宜最適なものある)に当たるため、第2の磁性体2においては、スピン波は励起されない。そのため、45度で第2の磁性体2に入射したスピン波は、第1及び第2の磁性体界面において反射され、第1の磁性体1内で−45度方向に反射スピン波が励起される。その結果、スピン波の入射角が45度の場合、スピン波は全反射を起こす。一方、スピン波の入射角度が0度に近い場合は、第2の磁性体2のバンドにおいては禁制帯から外れるため、第2の磁性体2においてスピン波は励起され、スピン波が第1及び第2の磁性体界面を透過する。その結果、スピン波の入射角が0度に近い場合、第1の磁性体1では反射スピン波、第2の磁性体2では透過スピン波がそれぞれ励起される。
続いて、図2を参照して、第1及び第2の磁性体の磁化方向が異なる場合のスピン波の反射、透過に関して説明する。図2は、異なる磁化方向を持つスピン波の分散関係の磁化方向依存性の模式的に示す図である。スピン波においては、磁化の方向とスピン波の進行方向(波数ベクトル)の向きによって、分散関係が異なる。図2(b)は、磁化の方向と波数ベクトルが平行、あるいは、垂直の場合における等エネルギー曲線を、曲線3、及び曲線5によって示している。図2(b)に示されるように、波数ベクトルに対して、磁化の方向が平行から垂直へと変化した場合、その等エネルギー曲線の形状も変化し、3に対して5の方が小さくなることが特徴である。
図3は、第1の磁性体1における磁化の方向が、第2の磁性体2の磁化方向に対して垂直の場合のスピン波の反射、および、透過の原理を示す図である。図2において説明したように、第1の磁性体1における等エネルギー曲線は、磁化が波数ベクトルと垂直な場合、平行な場合のそれと比較すると、小さい曲線となる。そのため、図1で説明したのと同様の素子構成においては、例えば、スピン波の入射角度が45度の場合においても、第2の磁性体2における禁制帯に交わることなく、スピン波を励起する事が可能となる。つまり、磁化の方向を波数ベクトルと垂直にした場合、例えば、45度のスピン波が入射されても、第1の磁性体では反射スピン波、第2の磁性体では透過スピン波がそれぞれ励起される。本発明では、この磁化の方向を規定する事で、スピン波の反射と透過とを制御することが可能となる。
<スピン波スイッチング素子(スピン波スイッチングデバイス)の基本構成>
図4は、スピン波スイッチング素子の基本単位の概略構成を示すである。
スピン波スイッチング素子の基本単位は、第1の磁性体1と、第2の磁性体2と、(Ga、Mn)Asなどに代表される磁性半導体6と、ゲート電圧VGを印加できる端子と、を有している。第1及び第2の磁性体1及び2の材料としては、図1で示した材料とする。尚、磁性半導体6は、第1の磁性体1と接しており、磁気的な結合を有する。また、スピン波を励起させるために、永久磁石などで面内方向の外部磁場を印加している。ここで、ゲート電圧を印加させると、磁性半導体の異方性の方向を制御することが可能となる(非特許文献2)。そのため、磁性半導体6と磁気的に結合した第1の磁性体1の磁化方向も、ゲート電圧の大きさに依存して、その角度を変えることが可能となる。
本発明においては、磁化のゲート電圧VGをオフにした場合、第1及び第2の磁性体の磁化の向きが平行となり、ゲート電圧VGをオンにした場合、第1の磁性体1の磁化方向が、第2の磁性体2のそれと直交する様に、ゲート電圧VGの大きさが調整される。ここでは、磁性半導体に電圧を掛けると容易軸が90度程度スイッチするという性質を利用している。また、第1の磁性体1と磁性半導体6をカップリングしておき、磁性半導体6の磁化方向を変更するとそれに伴って第1の磁性体1の磁化方向も変更するという性質がある。
図5は、スピン波スイッチング素子の基本単位におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。
ゲート電圧VGがオフの場合、前述したように、外部磁場によって、第1及び第2の磁性体の磁化の向きが平行な状態となる。この場合、第1の磁性体1内で励起されたスピン波は、第1及び第2の磁性体との界面において、反射、あるいは、透過を起こす。その挙動は、スピン波の波数ベクトルと界面の法線方向との相対角度に依存する。例えば、第1の磁性体1としてNiFe、第2の磁性体2としてYIGを用い、スピン波の波数ベクトルと界面の法線方向との相対角度が45度の場合は、スピン波は界面で全反射を起こす。そのため、第2の磁性体2中にはスピン波は励起されず、スピン波は伝播しない。
一方、ゲート電圧VGがオンの場合は、第1と第2の磁性体の磁化方向が直交するため、図3で記述したとおり、第2の磁性体2においてもスピン波が励起され、結果として、第1の磁性体1に入射したスピン波は、界面を透過する。つまり、ゲート電圧VGの制御によって、スピン波の伝播が制御可能となり、本構成の素子は、スピン波のスイッチング素子として機能する。
<スピン波セレクトスイッチ(スピン波スイッチングデバイス)の構成(1)>
図6は、本発明の実施形態によるスピン波セレクタスイッチの構成(1)の概略を示す図である。当該スピン波セレクタスイッチは、第1の磁性体1と、第2の磁性体2と、第3の磁性体8と、第3の磁性体8の磁化を固定するための反強磁性体7、磁性半導体6と、ゲート電圧VGを印加できる端子と、を有している。
反強磁性体7は、MnIrやMnPtなどに代表される一般的な材料である。第3の磁性体8は、第2の磁性体2と同様にYIGやEuSなど、スピン波のバンド構造において、禁制帯を持つ磁性体である。第3の磁性体8の磁化方向は、第2の磁性体2の磁化方向と直交する方向に固定されている。また、第2の磁性体2の磁化方向は、永久磁石などにより、面内の一方向を向いている。
一方、第1の磁性体1の磁化方向は、磁性半導体6の異方性の向きに依存しており、ゲート電圧VGがオフの場合は、第2の磁性体2と平行、ゲート電圧VGがオンの場合は、第3の磁性体8と平行になる様な構造となっている。
図7は、第1のスピン波セレクタスイッチ(図6の構成)におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。尚、第1の磁性体1と第2の磁性体2との界面は、スピン波の波数ベクトルと45度の角度をなしている。同様に、第1の磁性体1と第3の磁性体8との界面において、スピン波の波数ベクトルと45度の角度をなしている。
本構成において、ゲート電圧VGがオフの場合(図7(a))は、第1の磁性体1に入射されたスピン波は、第1と第2の磁性体の界面にて、全反射を起こす。反射されたスピン波の波数ベクトルは、90度角度を変化させ進行し、第1と第3の磁性体の界面へ伝播する。この場合、第1の磁性体1と第3の磁性体8との磁化方向は直交するため、伝播されたスピン波によって、第3の磁性体8中にスピン波が励起される。その結果、第3の磁性体8の磁化方向にスピン波が伝播する。
一方、ゲート電圧VGがオンの場合(図7(b))は、第1の磁性体1に入射されたスピン波は、第1と第2の磁性体の磁化方向が直交するため、その界面にて透過する。それと同時に、図3で示したように、第1の磁性体1には反射スピン波も励起される。つまり、第1の磁性体1と第2の磁性体2との界面を透過するスピン波がある一方、反射するスピン波も存在する。しかし、ゲート電圧VGがオンの場合(図7(b))は、第1及び第3の磁性体の磁化方向が平行であるため、第1の磁性体1中に励起された反射スピン波は、第1の磁性体1と第3の磁性体8との界面において反射され、結果として、透過スピン波と同じ方向の波数ベクトルを持つ。その結果、第1の磁性体1に入射されたスピン波は、全て、第2の磁性体2の磁化方向へ伝播する。
以上、第1の磁性体1に入射されたスピン波は、ゲート電圧VGがオフの場合は第3の磁性体8へと、ゲート電圧VGがオンの場合は第2の磁性体2へと、伝播するスピン波セレクタスイッチが提供可能となる。
<スピン波セレクトスイッチ(スピン波スイッチングデバイス)の構成(2)>
図8は、本発明の実施形態によるスピン波セレクタスイッチの構成(2)の概略を示す図である。当該スピン波セレクタスイッチは、第1の磁性体1と、第2の磁性体2と、第3の磁性体8と、第4の磁性体9と、第5の磁性体11と、第3の磁性体8の磁化を固定するための第1の反強磁性体7と、第5の磁性体11の磁化を固定するための第2の反強磁性体10と、磁性半導体6と、ゲート電圧VGを印加できる端子と、を有している。
第4の磁性体9、及び第5の磁性体11は、第2の磁性体2、及び第3の磁性体8と同様の特徴を持つ。第2の反強磁性体10は、第1の反強磁性体7に代表される材料とする。当該スピン波セレクタスイッチでは、第3の磁性体8、及び第5の磁性体11の磁化方向は、第2の磁性体2、及び第4の磁性体9の磁化方向と直交する方向に固定されている。また、第2の磁性体2と第4の磁性体9の磁化方向は、永久磁石などにより面内の一方向を向いている。
一方、当該スピン波セレクタスイッチでは、第1の磁性体の磁化方向は、図6と同様に、磁性半導体6の異方性の向きに依存しており、ゲート電圧がオフの場合は、第2及び第4の磁性体と平行、ゲート電圧がオンの場合は、第3及び第5の磁性体と平行になる様な構造となっている。また、当該スピン波セレクタスイッチでは、スピン波は、第4の磁性体9、或いは第5の磁性体11から、第1の磁性体1へと入射される構造を採用している。
図9は、第4の磁性体9にスピン波が入射した場合に、スピン波セレクタスイッチ(図8の構成例)におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。尚、第4の磁性体9と第1の磁性体1との界面は、スピン波の波数ベクトルと90度の角度をなしているがその限りではない。同様に、第1の磁性体1と第2或いは第3の磁性体との界面は、スピン波の波数ベクトルと45度の角度をなしている。本構成においては、第4の磁性体9よりスピン波が入射されるが、第4と第1の磁性体との界面法線ベクトルとスピン波の波数ベクトルとの相対角度が0のため、第1の磁性体1の磁化方向に依存せず、全てのスピン波が透過する。
一方、図7に示したように、ゲート電圧VGのオン・オフによって、第1の磁性体1内におけるスピン波の伝播方向が変化する。当該スピン波セレクタスイッチの構成(2)においては、ゲート電圧VGがオフの場合(図9(a))は、第3の磁性体8の方向、ゲート電圧がオンの場合(図9(b))は、第2の磁性体2の方向にスピン波が伝播する。
図10は、第5の磁性体11からスピン波が入射された場合のスピン波セレクタスイッチの構成(2)におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。尚、第5の磁性体11と第1の磁性体1との界面は、スピン波の波数ベクトルと90度の角度をなしているがその限りではない。図9で示したように、ゲート電圧VGがオフの場合、第1の磁性体1の磁化と、第3或いは第5の磁性体の磁化は、直交する方向であるため、第3の磁性体8の方向にスピン波が伝播する。同様に、ゲート電圧VGがオンの場合、第1の磁性体1の磁化と、第3或いは第5の磁性体の磁化は、平行となるため、第1の磁性体1と第3の磁性体8との界面において、スピン波は反射し、第2の磁性体2の方向にスピン波が伝播する。
以上のように、スピン波の入射方向に依らず、ゲート電圧VGがオフの場合(図10(a))には第3の磁性体方向に、ゲート電圧がオンの場合(図10(b))には第2の磁性体2に、スピン波がそれぞれ伝播するスピン波セレクタスイッチが提供可能となる。
<スピン波導波路(1)>
図11は、スピン波セレクタスイッチの構成(2)を用いてスピン波導波路(1)を構成した例を示す図である。当該導波路は、図8で示したスピン波セレクタスイッチ構成(2)をアレイ状に配置し、各配線の交点に磁化方向を制御可能な磁性体を備えた構造となっている。
図9及び10に示した通り、ゲート電圧VGのオン・オフによって、スピン波の進行方向を変化させることが可能となる。例えば、ジグザク状にスピン波を伝播させたい場合は、隣り合う交点のゲート電圧をオンとオフにすればよい。この様に、本発明の実施形態によるスピン波セレクタスイッチを応用することにより、スピン波を任意の方向へ伝播させるスピン波導波路が提供可能となる。また、このスピン波導波路自体が、スピン波を用いたFPGA集積回路を表しており、本発明により、スピン波を用いた低消費電力集積回路を提供することが可能となる。
<スピン波セレクタスイッチ(スピン波スイッチングデバイス)の構成(3)>
図12は、本発明の実施形態によるスピン波セレクタスイッチの構成(3)の概略を示す図である。当該スピン波セレクタスイッチは、第1の磁性体1と、第2の磁性体2と、第3の磁性体8と、第4の磁性体9と、第5の磁性体11と、第4の磁性体9の磁化を固定するための第1の反強磁性体7と、第5の磁性体11の磁化を固定するための第2の反強磁性体10と、ピエゾ素子12と、ゲート電圧VGを印加できる端子と、を有している。各構成磁性体の材料は、図8で示した材料と同じである。
第2の磁性体2及び第3の磁性体8の磁化方向は、永久磁石などの外部磁界により、膜面に垂直方向となっている。第4の磁性体9及び第5の磁性体11の磁化方向は、面内方向に固定されている。第1の磁性体と第2及び第4の磁性体との界面とスピン波の波数ベクトルとは、第2の磁性体2の細線方向に135度および45度をなしている。また、第1の磁性体と、第3及び第5の磁性体との界面は、第3の磁性体8の細線方向に45度及び135度の角度をなしている。また、第3及び第5の磁性体と、第2及び第4の磁性体とは、ねじれの位置にある。さらに、ピエゾ素子12は、第1の磁性体1の上層に積層されているが、上下反対の構成でも問題がない。
第1の磁性体の磁化方向は、ピエゾ素子12の歪により制御可能で、ゲート電圧VGがオフの場合は、第2及び第3の磁性体と平行で面に垂直方向、ゲート電圧VGがオンの場合は、第4及び第5の磁性体と平行で、かつ面内方向となる様に制御される。また、スピン波は、第2の磁性体2、或いは第5の磁性体11から、第1の磁性体1へと入射する。本構造は、上述のスピン波セレクタスイッチの構成(1)及び(2)とは異なり、第1の磁性体1の積層方向にもスピン波が伝播することが特徴となっている。また、導波路の作製において、界面の形状制御という観点で優位性がある。
図13及び14は、第2の磁性体2よりスピン波が入射された場合のスピン波セレクタスイッチの構成(3)におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。
第2の磁性体よりスピン波が入射する場合、第2の磁性体2と第1の磁性体1との界面においては、スピン波の禁制帯の大小関係より、界面と波数ベクトルの角度に依らず、全てのスピン波が第1の磁性体1へと透過する。
第1の磁性体1中に励起されたスピン波に関しては、ゲート電圧VGがオフの場合(図13)、第1の磁性体1と第2の磁性体2との界面において、スピン波の全反射が起こる。反射されたスピン波の波数ベクトルは、第1の磁性体1中で面内から面直へ方向を変え、その結果、積層方向へスピン波は伝播される。更に、反射スピン波は、第1の磁性体1と第5の磁性体11との界面において再び反射し、第1の磁性体1と第3の磁性体8との界面を透過したスピン波が、第3の磁性体8へと伝播される。
一方、ゲート電圧がオンの場合(図14)、第1の磁性体の磁化は、ピエゾ素子12の歪の効果によって、外部磁場の方向から面内の方向へと遷移する(非特許文献3参照)。その結果、第4の磁性体9より入射されたスピン波は、第2の磁性体2へと透過する。
図15及び16は、第5の磁性体11からスピン波が入射された場合のスピン波セレクタスイッチ構成(3)におけるスピン波の反射・透過の過程を示す図である。図14と同様に、ゲート電圧VGがオフの場合、スピン波は、第3の磁性体8の方向へ透過する。また、ゲート電圧VGがオンの場合、第1の磁性体1と第3の磁性体8との界面で反射されたスピン波は、第1の磁性体1中で、積層方向へ進行方向を変える。この反射スピン波は、第1の磁性体1と第2の磁性体2との界面において反射され、再び方向を変えたスピン波は、第1の磁性体1と第4の磁性体9との界面を透過し、第4の磁性体9へと伝播する。
以上、スピン波セレクタスイッチの構成(3)においても、スピン波セレクタスイッチの構成(2)と同様に、入射方向に依らず、ゲート電圧VGがオフの場合、スピン波は直進し、ゲート電圧VGがオンの場合、角度を変えてスピン波が伝播するスピン波セレクタスイッチの提供が可能となる。
<スピン導波路(2)>
図17は、スピン波セレクタスイッチの構成(3)をアレイ状に配置したスピン波導波路(2)の概略構成例を示す図である。本構造においては、界面制御という観点で作製が簡易であり、積層方向の伝播を可能にするため、CMOSなどとの組み合わせが可能となる。
<スピン導波路(2)の作製方法>
図18は、スピン波導波路(2)の作製方法を示す図である。
図18を参照して、スピン波セレクタスイッチアレイ(スピン導波路(2))の作製の各工程に関して説明する。
1.ビア形成
基板は、ガリウム・カドリウム・ガーネット(GGG)基板を用い、ダマシン法を用いて接地用の貫通配線用ビア13を形成する。
2.磁性膜形成
第2の磁性体2及び第1の反強磁性体7として、イットリウム・鉄・ガーネット薄膜(膜厚20nm)、反強磁性膜としてマンガン白金薄膜(膜厚20nm)を、スパッタ法を用いて製膜する。イットリウム・鉄・ガーネットの作製は、基板を過熱しながら行った。尚、製膜後、基板オリフラ方向に平行になるように、磁場中加熱処理を行って、反強磁性体の磁化方向を揃えた。
3.パターン形成
第2の磁性体2及び第1の反強磁性体7のパターンをフォト露光とイオンミリングによって形成する。レジストの高さとミリングの角度の制御によって、第1の磁性体1と、第2の磁性体2或いは第1の反強磁性体7との界面角度をコントロールする。今回の例では、レジスト高さ200nm、ミリング角度を45度とした場合、界面の角度が45度となった。また、第2の磁性体2及び第1の反強磁性体7のパターンの線幅を1μmとし、長さを5μmとした。その後、リフトオフによりレジストを除去する。
4.反強磁性体除去
第2の磁性体2上の反強磁性層を除去するために、局所イオン注入による磁化状態の破壊を行った。第1の反強磁性体7上には、レジストパターンで保護し、イオンを照射させることで、第2の磁性体2のみの反強磁性体の磁性を消失させる。
5.磁性膜形成
第1の磁性体1を作製するために、ニッケル薄膜(膜厚50nm)をスパッタ法により作製した。尚、作製前に第2の磁性体2及び第1の反強磁性体7の表面を、逆スパッタによりクリーニングしている。
6.パターン形成
第1の磁性体1のパターンをフォト露光とイオンミリングによって形成する。線幅は、1μmとした。
7.絶縁膜14の形成
層間絶縁をとるために、酸化シリコンとアルミナの膜(膜厚50nm)を形成した。最表面は、化学・機械研磨により平坦化する。
8.パターン形成
第1の磁性体1のパターンをフォト露光とイオンミリングによって形成する。レジストの高さとミリングの角度の制御によって、第1の磁性体1と、第3の磁性体8或いは第5の磁性体11との界面角度をコントロールする。また、第3の磁性体8及び第5の磁性体11のパターン用のステンシル・ガイドパターンは、線幅1μmとし、長さを5μmとした。
9.磁性膜形成
第3の磁性体8及び第5の磁性体11用の磁性膜として、イットリウム・鉄・ガーネット薄膜(膜厚20nm)、反強磁性膜としてマンガン白金薄膜(膜厚20nm)を、スパッタ法を用いて製膜する。尚、製膜後、基板オリフラ方向に平行になるように、磁場中加熱処理を行って、反強磁性体の磁化方向を揃えた。
10.反強磁性体除去
第3の磁性体8上の反強磁性層を除去するために、局所イオン注入による磁化状態の破壊を行った。第5の磁性体11上には、レジストパターンで保護し、イオンを照射させることで、第3の磁性体8のみの反強磁性体の磁性を消失させる。
11.ピエゾ素子接合
ピエゾ素子12を第1の磁性体1上に形成し、電圧印加用の端子をピエゾ素子12上に作製する。その後、電圧端子と外部トランジスタを設置し、スピン波導波路の構成(2)が実現される。
<まとめ>
以上のように、本発明によって、スピン波の経路を任意の方向へ制御可能なスピン波導波路とスピン波を用いた低消費電力集積回路が実現される。
本発明によれば、スピン波セレクタスイッチを備えたスピン波導波路を集積回路の配線部に用いた場合、スピン波を任意の方向へ伝播させる事が可能となるため、スピン波を情報伝達手段とする集積回路が実現され、ルータやFPGAの低消費電力化が可能となる。
(1)本発明によるスピン波スイッチング素子(特に、図4及び5参照)は、入射スピン波の導波路である第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2の磁性体と、とを有している。そして、この第1の磁性体と第2の磁性体は、第1の接合界面で接合されている。当該第1の接合面において、第1の磁性体から進行してきたスピン波の接合界面に対する入射角は、例えば45度をなしている。ただし、この角度に限定されるものではなく、利用形態や用いる磁性体の禁制帯幅によって決定することが可能である。また、第2の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、第2の磁性体における禁制帯幅より小さくなっている。そして、第1の磁性体へ入射されたスピン波は、第1の接合界面で反射、或いは透過をするようになっている。このようにすることにより、スピン波を用いたスイッチング素子を実現することができ、スピン波を情報伝達手段とする回路に応用することが可能となる。
このとき、磁化方向制御手段(電界を変化させて磁化方向を制御する手段、磁場や電流を変化させて磁化方向を制御する手段等が考えられる)によって第1の磁性体における磁化の向きを、第2の磁性体の磁化と平行或いは直交する方向に制御する。電圧印加のON/OFFによって電界を変化させる場合、具体的には、第1の磁性体と面接触するように磁性半導体を設け、第1の磁性体と磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、第1の磁性体の磁化方向を制御する。或いは、他の例として、第1の磁性体と面接触するようにピエゾ素子を設け、第1の磁性体とピエゾ素子の両端に電圧を印加することにより、第1の磁性体の磁化方向を制御するようにしても良い。このようにすることにより、電流によって制御する場合よりも消費電力を大幅に抑えることができるようになる。
(2)本発明によるスピン波スイッチング素子(図6及び7参照)は、入射スピン波の導波路である第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2の磁性体と、第2の磁性体と異なるスピン波の導波路となる第3の磁性体とを有している。そして、この第1の磁性体と第2の磁性体は、第1の接合界面で接合されている。また、第1の磁性体と第3の磁性体は、第2の接合界面で接合されている。当該第1の接合界面において、第1の磁性体から進行してきたスピン波の接合界面に対する入射角は、例えば45度をなしている。また、第2の接合界面に入射してきたスピン波の第2の接合界面に対する入射角は、例えば45度をなしている。ただし、この45度に限定されるものではなく、利用形態や用いる磁性体の禁制帯幅によって決定することが可能である。また、第2及び第3の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、第2の磁性体における禁制帯幅より小さくなっている。そして、第1の磁性体へ入射し、第1の接合界面で透過或いは反射し、第1の接合面で反射したスピン波は、第2の接合界面で反射、或いは透過をするようになっている。このようにすることにより、入射してきたスピン波を、少なくとも2つの異なる経路(磁性体の方向)に振り分け、スピン波を用いたスイッチング素子を実現することができ、スピン波を情報伝達手段とする回路に応用することが可能となる。
この場合、例えば、第3の磁性体の磁化方向を、第2の磁性体の磁化方向に直交する方向に固定する。そして、磁化方向制御手段によって、第1の磁性体における磁化の向きを、第2の磁性体の磁化と平行或いは直交する方向に制御することにより、スピン波の進行方向を、第2の磁性体及び第3の磁性体間で切り替える。より具体的には、第1の磁性体と面接触する磁性半導体を設け、第1の磁性体と磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、第1の磁性体の磁化方向を制御する。電圧の印加がONのとき、第1の磁性体の磁化方向は第2の磁性体と平行に制御され、このときスピン波は第1の接合界面を透過して第2の磁性体の方向に進行するように制御される。一方、電圧の印加がOFFのとき、第1の磁性体の磁化方向は第3の磁性体と平行に制御され、このときスピン波は第2の接合面を透過して第3の磁性体の方向に進行するように制御される。磁化方向制御手段として、電圧印加によって電界を変化させて磁化方向を制御する手段他、磁場や電流を変化させて磁化方向を制御する手段等が考えられる。ただし、電圧印加による方法を用いた場合の方が、消費電力を大幅に抑えることが可能となる。
(3)本発明によるスピン波スイッチング素子(図8乃至9参照)は、第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2及び第3の磁性体と、入射スピン波の導波路である第4及び第5の磁性体と、を有する。第2乃至第5の磁性体は第1の磁性体を介して接合されている。第1乃至第5の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、第2乃至第5の磁性体の禁制帯幅よりも小さくなっている。そして、第4の磁性体或いは第5の磁性体から第1の磁性体に入射したスピン波は、第2の磁性体或いは第3の磁性体に透過するようになっている。このようにすることにより、2方向から入射してきたスピン波を異なる2方向に振り分けることができるスピン波スイッチング素子(スピン波セレクタスイッチ)を実現することができる。
この場合においても、磁化方向制御手段によって、第1の磁性体における磁化の向きを、第2の磁性体の磁化と平行な方向、或いは第3の磁性体の磁化と平行な方向に切り替えるようにする。そして、当該素子においては、第2及び第4の磁性体の磁化の向きは平行であり、第3及び第5の磁性体の磁化の向きは平行であり、第1及び第3の磁性体の磁化の向きは直交している。この場合、磁化方向制御手段によって、第1の磁性体における磁化の向きを、第2の磁性体の磁化の向きと平行な方向、或いは第3の磁性体の磁化の向きと平行な方向になる方向に切り替えることにより、第4の磁性体、及び/又は第5の磁性体に入射したスピン波の進行方向を制御するようになっている。
より具体的には、第1の磁性体と面接触する磁性半導体を設け、第1の磁性体と磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、第1の磁性体の磁化方向を制御する。(i)電圧の印加がONのときは、第1の磁性体の磁化方向は第2の磁性体と平行に制御される。このとき、第4の磁性体に入射したスピン波は、第1の磁性体と第4の磁性体との第1の接合界面と、第1の磁性体と第2の磁性体との第2の接合界面を透過し、第2の磁性体の方向に進行する。一方、第5の磁性体に入射したスピン波は、第1の磁性体と第5の磁性体との第3の接合界面を透過し、第1の磁性体と第3の磁性体との第4の接合界面を反射し、当該反射したスピン波は、第2の接合界面を透過し、第2の磁性体の方向に進行する。(ii)電圧の印加がOFFのとき、第1の磁性体の磁化方向は第3の磁性体と平行に制御される。このとき、第5の磁性体に入射したスピン波は、第3の接合界面及び第4の接合界面を透過し、第3の磁性体の方向に進行する。一方、第4の磁性体に入射したスピン波は、第1の接合面を透過して第2の接合界面に反射し、当該反射したスピン波は、第4の接合界面を透過し、第3の磁性体の方向に進行するように制御される。
(4)以上のようなスピン波スイッチング素子(スピン波セレクタスイッチ)を複数用いて、アレイ状に配列し、スピン波導波路を構成することが可能なる(図11及び17参照)。
1・・・第1の磁性体、2・・・第2の磁性体、3・・・第1の磁性体のスピン波バンド(Ms//k)、4・・・第2の磁性体のスピン波バンド(Ms//k)、5・・・第1の磁性体のスピン波バンド(Ms⊥k)、6・・・磁性半導体、7・・・第1の反強磁性体、8・・・第3の磁性体、9・・・第4の磁性体、10・・・第2の反強磁性体、11・・・第5の磁性体、12・・・ピエゾ素子、13・・・ビア配線、14・・・絶縁膜

Claims (13)

  1. 入射スピン波の導波路である第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2の磁性体と、とを有し、
    前記第1の磁性体と前記第2の磁性体は第1の接合界面で接合されており、
    前記第2の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、
    前記第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、前記第2の磁性体における禁制帯幅より小さく、
    前記第1の磁性体へ入射されたスピン波は、前記第1の接合界面で反射、或いは透過をすることを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  2. 請求項1において、
    さらに、前記第1の磁性体における磁化の向きを、前記第2の磁性体の磁化と平行或いは直交する方向に制御する磁化方向制御手段を有することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  3. 請求項2において、
    さらに、前記第1の磁性体と面接触する磁性半導体を有し、
    前記磁化方向制御手段は、前記第1の磁性体と前記磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、前記第1の磁性体の磁化方向を制御することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  4. 請求項2において、
    さらに、前記第1の磁性体と面接触するピエゾ素子を有し、
    前記磁化方向制御手段は、前記第1の磁性体と前記ピエゾ素子の両端に電圧を印加することにより、前記第1の磁性体の磁化方向の制御することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  5. 請求項1において、
    さらに、前記第1の接合界面とは異なる第2の接合界面で前記第1の磁性体と接合され、前記第2の磁性体と異なるスピン波の導波路となる第3の磁性体を有し、
    前記第3の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、
    前記第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、前記第3の磁性体における禁制帯幅より小さく、
    前記第1の磁性体へ入射し、前記第1の接合界面で透過或いは反射し、前記第1の接合面で反射したスピン波は、前記第2の接合界面で反射、或いは透過をすることを特徴とするスピン波スイッチングデバイス 。
  6. 請求項5において、
    前記第3の磁性体の磁化方向は、前記第2の磁性体の磁化方向に直交する方向に固定されており、
    さらに、前記第1の磁性体における磁化の向きを、前記第2の磁性体の磁化と平行或いは直交する方向に制御することにより、前記スピン波の進行方向を、前記第2の磁性体及び前記第3の磁性体間で切り替える磁化方向制御手段と、を有することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  7. 請求項6において、
    さらに、前記第1の磁性体と面接触する磁性半導体を有し、
    前記磁化方向制御手段は、前記第1の磁性体と前記磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、前記第1の磁性体の磁化方向を制御し、
    前記電圧の印加がONのとき、前記第1の磁性体の磁化方向は前記第2の磁性体と平行に制御され、このとき前記スピン波は前記第1の接合界面を透過して前記第2の磁性体の方向に進行するように制御され、
    前記電圧の印加がOFFのとき、前記第1の磁性体の磁化方向は前記第3の磁性体と平行に制御され、このとき前記スピン波は前記第2の接合面を透過して前記第3の磁性体の方向に進行するように制御されることを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  8. 第1の磁性体と、透過スピン波の導波路である第2及び第3の磁性体と、入射スピン波の導波路である第4及び第5の磁性体と、を有し、
    前記第2乃至第5の磁性体は前記第1の磁性体を介して接合されており、
    前記第1乃至第5の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、
    前記第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、前記第2乃至第5の磁性体の禁制帯幅よりも小さく、
    前記第4の磁性体或いは前記第5の磁性体から前記第1の磁性体に入射したスピン波は、前記第2の磁性体或いは前記第3の磁性体に透過することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス 。
  9. 請求項8において、
    さらに、前記第1の磁性体における磁化の向きを、前記第2の磁性体の磁化と平行な方向、或いは前記第3の磁性体の磁化と平行な方向に切り替える磁化方向制御手段を有することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  10. 請求項9において、
    前記第2及び第4の磁性体の磁化の向きは平行であり、
    前記第3及び第5の磁性体の磁化の向きは平行であり、
    前記第1及び第3の磁性体の磁化の向きは直交しており、
    前記磁化方向制御手段は、前記第1の磁性体における磁化の向きを、前記第2の磁性体の磁化の向きと平行な方向、或いは前記第3の磁性体の磁化の向きと平行な方向になる方向に切り替えることにより、前記第4の磁性体、及び/又は前記第5の磁性体に入射したスピン波の進行方向を制御することを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  11. 請求項10において、
    さらに、前記第1の磁性体と面接触する磁性半導体を有し、
    前記磁化方向制御手段は、前記第1の磁性体と前記磁性半導体の両端に電圧を印加することにより、前記第1の磁性体の磁化方向を制御し、
    (i)前記電圧の印加がONのとき、
    前記第1の磁性体の磁化方向は前記第2の磁性体と平行に制御され、
    このとき前記第4の磁性体に入射した前記スピン波は、前記第1の磁性体と前記第4の磁性体との第1の接合界面と、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体との第2の接合界面を透過し、前記第2の磁性体の方向に進行し、
    前記第5の磁性体に入射したスピン波は、前記第1の磁性体と前記第5の磁性体との第3の接合界面を透過し、前記第1の磁性体と前記第3の磁性体との第4の接合界面を反射し、当該反射したスピン波は、前記第2の接合界面を透過し、前記第2の磁性体の方向に進行し、
    (ii)前記電圧の印加がOFFのとき、
    前記第1の磁性体の磁化方向は前記第3の磁性体と平行に制御され、
    このとき前記第5の磁性体に入射した前記スピン波は、前記第3の接合界面及び前記第4の接合界面を透過し、前記第3の磁性体の方向に進行し、
    前記第4の磁性体に入射した前記スピン波は、前記第1の接合面を透過して前記第2の接合界面に反射し、当該反射したスピン波は、前記第4の接合界面を透過し、前記第3の磁性体の方向に進行するように制御されることを特徴とするスピン波スイッチングデバイス。
  12. 複数の、請求項8に記載のスピン波スイッチングデバイスをアレイ状に配列して構成されることを特徴とするスピン波導波路。
  13. スピン波スイッチングデバイスにおけるスピン波の進行方向を制御する方法であって、
    前記スピン波スイッチングデバイスは、入射スピン波の導波路である第1の磁性体と、前記第1の磁性体と第1の接合界面で接合され、透過スピン波の導波路である第2の磁性体と、前記第1の接合界面とは異なる第2の接合界面で前記第1の磁性体と接合され、前記第2の磁性体と異なるスピン波の導波路となる第3の磁性体と、前記第1の磁性体と面接触する磁性半導体と、を有し、
    前記第2及び第3の磁性体は、それぞれのスピン波バンド構造において禁制帯を有し、
    前記第1の磁性体のスピン波バンドの禁制帯幅は、前記第2及び第3の磁性体における禁制帯幅より小さく、
    前記方法は、
    前記第1の磁性体と前記磁性半導体との間に電圧の印加し、前記第1の磁性体の磁化方向を前記第2の磁性体と平行に制御し、前記スピン波を前記第1の接合界面を透過させて前記第2の磁性体の方向に進行させるステップと、
    前記電圧の印加をOFFにし、前記第1の磁性体の磁化方向を前記第3の磁性体と平行に制御し、前記スピン波を、前記第2の接合面を透過して前記第3の磁性体の方向に進行させるステップと、
    を有することを特徴とする方法。
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