JP2014001438A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結鉱の生産率を低下させることなく、製鋼スラグを焼結原料の一部として有効活用することができる焼結鉱の製造方法を提案する。
【解決手段】主に鉄鉱石、CaO系およびSiO系副原料、返鉱および固体燃料から構成される造粒原料を混合し、水分を添加し、造粒して造粒粒子とし、これを焼結原料としてパレットに装入して焼結原料装入層を形成した後、上記焼結原料装入層の上層に点火し、パレット下方に配設されたウインドボックスで空気を吸引して焼結原料中の固体燃料を燃焼させて焼結鉱を製造する方法において、上記造粒原料の一部として製鋼スラグを用いる際には、上記造粒原料を製鋼スラグとそれ以外の原料とに分けてそれぞれを別々に造粒し、かつ、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上16mm未満とした上で、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散させて焼結機のパレットに装入する焼結鉱の製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、高炉に主要鉄源として装入する焼結鉱の製造方法に関し、具体的には、上記焼結鉱を製造する際の焼結原料の一部として製鋼スラグを用いる焼結鉱の製造方法に関するものである。
高炉製鉄法において主要な鉄源となる焼結鉱は、一般に、次のような工程で製造されている。先ず、主原料となる約10mm以下の粉鉱石に、返鉱、フラックス源としての、石灰石、ドロマイト、製鋼スラグなどのCaO系副原料と、珪石、蛇紋岩などのSiO系副原料、ならびに、固体燃料(炭材)としての粉コ−クス等を均一に混合して造粒原料とし、これらに適量の水を加えて造粒し、擬似粒子である造粒粒子とする。
次いで、上記造粒粒子を焼結原料としてグレート式の焼結機のパレットに充填して焼結原料層(装入層)を形成した後、上記装入層の表層部に含まれる炭材(コークス)の炭材に点火し、パレット下方に配設されたウインドボックスで空気を吸引して酸素を装入層内に導入しながらコークスを燃焼させ、その燃焼熱で焼結原料を1200〜1380℃の温度に加熱して焼結させ、得られた焼結ケーキを焼結機出側のクラッシャー等で粉砕し、例えば目開き5mm程度の篩でスクリーニングし、+5mmは成品として高炉に送り、−5mmは返鉱として繰り返し、造粒粒子の原料として使用する。
このようにして製造される焼結鉱は、冷間強度や被還元性、還元粉化性などの特性に優れていることが要求される。そして、これらの特性は、使用する鉄鉱石の種類(産地)によって大きく変化するため、それぞれの特性に合わせて副原料の配合割合やコークス粉の添加量を適宜調整している。また、近年では、鉄鋼生産量の増加に伴って、焼結鉱の生産性を高めることが要求され、また、高炉の生産性を高めるため、より高品質の焼結鉱が要求されるようになってきている。そのため、近年においては、高品質の焼結鉱を生産性よく製造する技術の開発が重要な課題となっている。
ところで、製鉄所の製鋼工程から発生する製鋼スラグには、転炉等の脱炭工程で発生する脱炭スラグ(転炉スラグ)、脱珪工程で発生する脱珪スラグ、脱硫工程で発生する脱硫スラグ、脱燐工程で発生する脱燐スラグ、二次製錬工程で発生する二次製錬スラグおよび連続鋳造工程で発生する連鋳スラグなどがある。しかし、上記製鋼スラグは、鉄鋼分野では余り有効な再利用がなされていない。というのは、例えば、脱炭スラグは、脱燐工程でリサイクルされる場合があるが、融点が高いため、脱燐炉において多量に使用することは難しい。そのため、製鋼スラグは、従来、土木分野を中心にして再利用されており、生産量の約40%が埋立てや廃棄処分されている。しかし、近年の環境規制の強化に伴い、埋立てや廃棄処分される量も徐々に減少してきている。また、セメント原料としても使用されているが、その量はわずかでしかない。
そこで、製鋼スラグにはCaO分が多く含まれていることに着目し、これを焼結鉱の製造プロセスにおいてフラックスとして再利用することが検討されている。例えば、特許文献1には、焼結配合原料に転炉スラグを用いるに際して、ミルスケールを混合することで焼結鉱の品質を向上する技術が、特許文献2には、ゲーサイト成分の多い鉄鉱石に、鉄鉱石との反応性の低い転炉スラグを混合することで、焼結鉱の強度を弱める反応を抑制する技術が開示されている。また、特許文献3には、石灰石と比較して鉄鉱石との反応性に劣る転炉スラグの粒度を細かくして反応面積を大きくし、反応速度を高めることで、フラックスとして使用する技術が開示されている。また、特許文献4には、焼結鉱の品質低下を招く難焼結性のドロマイトを易焼結性の製鋼スラグと選択的に組み合わせることで、焼結鉱の品質低下を防止しつつ効率的に製鋼スラグをリサイクルする技術が開示されている。
特開昭59−205421号公報 特開平05−043953号公報 特開平05−051653号公報 特開平11−229046号公報
しかしながら、表1に、転炉スラグと脱硫スラグの成分組成例を示したように、製鋼スラグは、その種類によって成分組成や融点が大きく異なり、また、脱硫スラグは、CaO以外に、多くのAlを含んでいるのが特徴である。このAlは、焼結鉱を焼成する際、必要な溶融相の溶融温度を上昇させて流動性を低下するため、焼結鉱の生産性を著しく阻害する。また、転炉スラグはPが高く、高炉では脱Pができないため、製鋼での脱Pコストが上昇するという問題もある。そのため、製鋼スラグを焼結原料として再使用することについては、従来、あまり積極的に行われていないのが実情である。
Figure 2014001438
本発明は、製鋼スラグが有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、焼結鉱の生産率を低下させることなく、製鋼スラグを焼結原料の一部として有効に活用するとともに、製鋼スラグのリサイクル率を高めることができる焼結鉱の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた結果、以下のことに想到した。
従来、焼結原料(造粒粒子)を製造するに際しては、製鋼スラグを鉄鉱石(粉鉱石)や石灰石などの主原料と均一に混合して造粒することだけを考えていた。しかし、混合して造粒した場合には、製鋼スラグの悪影響が造粒粒子全体、つまり、焼結原料全体に及んでしまう。そこで、製鋼スラグと、製鋼スラグ以外の原料とを分別して別々に、かつ適正な大きさに造粒した上で、製鋼スラグ由来の造粒粒子を製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散して混合して焼結機のパレットに装入してやれば、製鋼スラグによる弊害を製鋼スラグ由来の造粒粒子内に封じ込めることができるので、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子にまで悪影響を及ぼすことがないことに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、主に鉄鉱石、CaO系およびSiO系副原料、返鉱および固体燃料から構成される造粒原料を混合し、水分を添加し、造粒して造粒粒子とし、これを焼結原料としてパレットに装入して焼結原料装入層を形成した後、上記焼結原料装入層の上層に点火し、パレット下方に配設されたウインドボックスで空気を吸引して焼結原料中の固体燃料を燃焼させて焼結鉱を製造する方法において、上記造粒原料の一部として製鋼スラグを用いる際には、上記造粒原料を製鋼スラグとそれ以外の原料とに分けてそれぞれを別々に造粒し、かつ、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上16mm未満とした上で、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散させて焼結機のパレットに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
本発明の焼結鉱の製造方法における上記製鋼スラグ由来の造粒粒子は、JIS Z8801−1に規定された目開き6.7mmの篩上、16mmの篩下のものであることを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記製鋼スラグを造粒原料に用いるときは、製鋼工程で発生した製鋼スラグを粒径1mm以下に破砕することを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記製鋼スラグとして製鋼工程で発生した脱硫スラグを造粒原料に用いるときは、粒径1mm以下への破砕を省略することを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記製鋼スラグ由来の造粒粒子の含水率を、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子より低くすることを特徴とする。
本発明によれば、製鋼スラグと他の造粒原料とを別々に造粒しその他の原料由来の造粒粒子中に均一に分散させて焼結機のパレットに装入するようにしたので、Alを多く含む製鋼スラグの弊害を製鋼スラグ由来の造粒粒子内に封じ込め、その他の原料由来の造粒粒子に及ぼす悪影響を最小限に抑制することができる。また、本発明によれば、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を、その他の原料由来の造粒粒子より大きな6.7mm以上16mm未満としているので、その他の原料由来の造粒粒子中に分散させたときには、焼結原料全体としての平均粒径が増大して通気性が向上するので、焼結時間が短縮され、焼結反応も促進されて生産性を高めることができる。
また、本発明によれば、製鋼スラグをいったん破砕して細粒化し、製鋼スラグ粒子内部のフリーCaO(未反応CaO)を露出させてから造粒した場合には、上記フリーCaOがバインダーとなるので、製鋼スラグ由来の造粒粒子の強度を高めることができる。なお、製鋼スラグとしてCaOを多く含む脱硫スラグを用いる場合には、上記細粒化のための破砕を省略することができる。また、製鋼スラグを造粒原料に用いた場合には、造粒粒子の外側に未反応のCaOが存在することになるため、焼結時におけるカルシウムフェライトの生成が促進されるという効果もある。
したがって、本発明によれば、焼結機の生産性を害することなく、製鋼スラグを焼結原料の一部として有効に再利用することが可能となるので、製鋼スラグのリサイクル率の向上に大きく寄与する。
従来の焼結原料(造粒粒子)の製造方法を説明する図である。 焼結原料(造粒粒子)の分別造粒方法を説明する図である。 本発明における焼結原料(造粒粒子)の装入方法を説明する図である。 焼結鍋実験の結果を示すグラフである。 本発明の焼結原料(造粒粒子)の製造方法を説明する図である。 焼結鍋実験の結果を示すグラフである。
発明者らは、製鋼スラグを焼結原料として積極的に有効活用する方策について鋭意検討を重ねた。その結果、従来、製鋼スラグを焼結原料の一部として用いる際には、鉄鉱石や石灰石などの原料と均一に混合した後、造粒粒子としていた。そこで、従来とは発想を転換し、製鋼スラグを、製鋼スラグ以外の原料と分別して造粒した上で、製鋼スラグ由来の造粒粒子を、その他の原料由来の造粒粒子中に均一かつ離間させた状態にして(分散させて)、焼結機のパレットに装入してやれば、製鋼スラグの弊害をその造粒粒子内に封じ込めることができるのではないかと考えた。すなわち、従来は、製鋼スラグを他の造粒原料と均一に混合して造粒原料として使用していたため、製鋼スラグの悪影響が焼結原料の全体に及んでいたが、製鋼スラグを他の原料とは分別して造粒し、他の原料から得られる造粒粒子から隔離してやれば、製鋼スラグの弊害はその造粒粒子内にとどまり、他の造粒粒子に悪影響を及ぼすことがないのではないかと考えた。
そこで、発明者らは、上記考えを確認するため、配合条件を表2に示したT1〜4の4水準に変えた造粒原料を準備し、以下の方法で造粒粒子とした。なお、この実験では、製鋼スラグとして、表3に示した転炉スラグを用いた。
・T1:図1に示したように、製鋼スラグ以外の原料をミキサに投入して均一に混合し、適量の水分を添加した後、ドラムミキサで造粒粒子とした。得られた造粒粒子の粒径は算術平均で3.3mm、調和平均で1.10mmであった。
・T2:T1と同様、製鋼スラグと製鋼スラグ以外の造粒原料のすべてをミキサに投入して均一に混合し、適量の水分を添加した後、ドラムミキサで造粒粒子とした。得られた造粒粒子の粒径は、算術平均で3.2mm、調和平均で0.90mmであった。
・T3:図2に示しように、製鋼スラグ以外の原料は、ミキサおよびドラムミキサを用いて、算術平均で3.3mmの大きさの造粒粒子とし、一方、製鋼スラグは、1mm以下に粉砕した後、ペレタイザを用いて、粒径が2.8mm以上6.7mm未満の大きさの造粒粒子とした。次いで、上記製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子と、製鋼スラグ由来の造粒粒子の2種の造粒粒子を、調和平均の粒径が1.10mmとなるように均一に混合した。ここで、上記粒径が2.8mm以上6.7mm未満の造粒粒子は、ペレタイザで得た造粒粒子を篩にかけたときの2.8mm目篩上、6.7mm目篩下のものをいう。
・T4:上記T3で得た製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子と、製鋼スラグ由来の造粒粒子とを、調和平均の粒径が1.20mmとなるように均一に混合した。
Figure 2014001438
Figure 2014001438
次いで、上記のようにして得たT1〜T4の造粒粒子を焼結原料として焼結実験を行った。焼結実験は、内径が290mmφ、高さが400mmの焼結試験鍋を用いて、T1およびT2の造粒粒子は、造粒粒子をそのまま焼結原料として試験鍋に充填し、一方、T3およびT4の造粒粒子は、図3に示したように、製鋼スラグ由来の造粒粒子が、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散するように混合して試験鍋に充填し、その後、充填層の最表面に点火し、試験鍋の下方からブロアを用いて一定圧力で吸引して装入層上方の空気を充填層内に導入して焼結原料中に含まれる粉コークスを燃焼させることにより行った。なお、上記焼結実験では、焼結開始から終了するまでの所要時間、焼結中に試験鍋内を通過する平均の空気量(風量)および得られた焼結鉱の冷間強度SI(シャッターインデックス)を測定し、それらの結果から、焼結鉱の生産率を求めた。
図4に、上記焼結実験の結果を、焼結原料(造粒粒子)の調和平均径と併せて示した。ここで、図4について、製鋼スラグを含まない原料のみを用いたT1をベースとして他の条件の結果をみると、製鋼スラグを均一に混合した、造粒粒子の調和平均径が小さいT2では、焼結時の平均風量、焼結鉱の冷間強度が共に低下し、生産率も大きく低下していることがわかる。
これに対して、製鋼スラグ由来の原料と、製鋼スラグ以外の原料とを分別して造粒し、かつ、製鋼スラグ由来の造粒粒子が製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散するように混合し、混合後の調和平均径をT1と同じ1.10mmとしたT3では、焼結時の平均風量、焼結鉱の冷間強度、生産率とも若干低下しているものの、T2ほど大きな低下は認められない。
さらに、製鋼スラグ由来の原料と、製鋼スラグ以外の原料とを、調和平均径がT3より大きい1.20mmとなるよう混合したT4の場合には、製鋼スラグを用いているにもかかわらず、焼結時の平均風量、焼結鉱の冷間強度、生産率のいずれもT1より改善されている。
ここで、製鋼スラグを含む全ての造粒原料を均一に混合して造粒したT2の造粒粒子径が、算術平均径、調和平均径ともに製鋼スラグを含まない造粒原料を造粒したT1よりも小さくなっている理由は、製鋼スラグが造粒性を阻害しているためと考えられる。
一方、製鋼スラグとその他の原料を別々に分別造粒することで、ペレタイザで造粒粒子の粒径を大きくできる理由は、製鋼スラグをいったん1mm以下に破砕してから造粒しているため、製鋼スラグ内部の未反応CaOが表面に露出し、これがバインダーとなって造粒性が向上したためと考えられる。
また、製鋼スラグ由来の造粒粒子を大きくすることは、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子と混合したときの調和平均径も大きくすることができるので、焼結原料装入層の通気性も向上する。その結果、混合後の調和平均径をT1と同じとしたT3の場合には、焼結時の平均風量がT2ほど低下しないため、焼結時間はT2より短縮される。さらに、混合後の調和平均径をT1より大きくしたT4の場合には、通気性がより改善されるため、焼結時間もより短縮される。
また、製鋼スラグと製鋼スラグ以外の原料とを別々に造粒した場合には、Alによる弊害を製鋼スラグ由来の造粒粒子内に封じ込めることができるので、製鋼スラグに含まれるAlに起因する焼結鉱への悪影響(溶融温度上昇に伴う冷間強度の低下)を抑制することができる。その結果、分別造粒したT3の場合には、焼結鉱の冷間強度がT2に比べて向上する。
さらに、混合後の調和平均径をT3より大きくしたT4の場合には、製鋼スラグ由来の造粒粒子数が減少し、製鋼スラグにより悪影響を受ける箇所がより限定されるので、焼結鉱の強度をさらに高めることができる。その結果、T4の場合には、製鋼スラグを利用しているにもかかわらず、平均風量、冷間強度、生産率のいずれもT1を上回っている。
上記のように、製鋼スラグを焼結原料として使用する場合には、他の原料と均一に混合して造粒するのではなく、他の原料と分別して造粒粒子とし、かつ、製鋼スラグ由来の造粒粒子を他の原料から得られた造粒粒子から隔離して焼結機に装入してやれば、Alの弊害を製鋼スラグ由来の造粒粒子内に収まり、他に悪影響を及ぼすことがなくなるので、焼結鉱の生産率を大きく低下することなく、製鋼スラグを有効活用することが可能となることが判明した。
次に、発明者らは、製鋼スラグを他の造粒原料と分別造粒する場合において、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径の適正範囲を検討すべく、以下の実験を行った。
表4に示した造粒原料を、製鋼スラグ以外の原料と製鋼スラグとを別々にし、図5に示したように、製鋼スラグ以外の原料は、ミキサおよびドラムミキサを用いて造粒粒子の粒径が算術平均で3.2mmとなるように造粒し、一方、製鋼スラグは、ペレタイザを用いて、造粒粒子の粒径が2.8mm以上6.7mm未満と6.7mm以上16mm未満の2水準の大きさとなるように造粒した。なお、製鋼スラグは、CaOを多く含む脱硫スラグを使用し、破砕することなく造粒を行った。ここで、上記粒径が2.8mm以上6.7mm未満の造粒粒子とは、ペレタイザで得た造粒粒子を篩にかけたときの2.8mm目篩上、6.7mm目篩下のものを、また、粒径が6.7mm以上16mm未満の造粒粒子とは、ペレタイザで得た造粒粒子を篩にかけたときの6.7mm目篩上、16mm目篩下のものをいう。
Figure 2014001438
次いで、大きさの異なる上記2種類の製鋼スラグ由来の造粒粒子を別々に製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散するように混合して、内径が290mmφ、高さが400mmの焼結試験鍋に充填し、前述した実験と同様にして、焼結実験を行った。なお、充填後の焼結原料の算術平均径は、製鋼スラグの造粒粒子の粒径が2.8mm以上6.7mm未満のものは3.25mm、6.7mm以上16mm未満のものは3.29mmであった。
また、上記焼結実験では、焼結開始から終了するまでの所要時間(焼結時間)、得られた焼結鉱の成品歩留り(焼結実験で得られた焼結ケーキを破砕し、篩い分けしたときの粒径が10mm以上の粒子の質量%)から焼結鉱の生産率を求め、その結果を図6に示した。この図から、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上16mm未満の大きさにした場合には、2.8mm以上6.7mm未満の大きさにした場合に比べて、焼結時間が短縮され、歩留まりも向上した結果、生産性が大きく向上していることがわかる。
このような結果が得られた理由は、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径が2.8mm以上6.7mm未満では、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子の粒径より大きいとはいえ、まだ近接しているが、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径が6.7mm以上16mm未満ともなると、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子の2倍を超える粒径となるため、このような大きな粒子が、焼結原料中に存在することによって、焼結原料全体の平均粒径が増大し、通気抵抗が減少する。その結果、通気性を向上させた状態で焼結操業を行うことが可能となるので、焼結が促進されて焼結鉱の強度が高まり、生産性が向上したものと考えられる。
本発明は、上記に説明したように、主として鉄鉱石、CaO系やSiO系副原料、返鉱および固体燃料(粉コークス等の炭材)から構成される造粒原料に適量の水分を添加し、造粒して造粒粒子とし、これを焼結原料としてパレットに充填して焼結原料装入層を形成し、その後、上記焼結原料装入層中の固体燃料に点火し、パレット下方に配設されたウインドボックスで空気(酸素)を装入層内に吸引・導入して焼結原料中の炭材を燃焼させることによって焼結鉱を製造する点において、従来技術との違いはない。
しかし、本発明においては、上記焼結原料となる造粒原料を、製鋼スラグと、製鋼スラグ以外の原料とに分別してそれぞれを別々に造粒(分別造粒)するとともに、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上16mm未満とした上で、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させてパレットに装入し、焼結するところに特徴がある。
ここで、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上とする理由は、上述した封じ込め効果および生産性向上効果をより高めるには、焼結機のパレットに焼結原料を装入する際における製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させる製鋼スラグ由来の造粒粒子数を少なくし、製鋼スラグ由来の造粒粒子間の間隔を大きくしてやることが好ましいからである。
しかし、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を16mm未満とする理由は、16mm以上の大きさとなると、焼結原料層の通気抵抗が減少して通風量が過剰となり、焼結時間が短縮し過ぎて、焼結に必要な高温域(1200℃以上)での保持時間が不足し、焼結不足や焼結ムラを招く。また、16mm以上となると、造粒粒子の強度が保てず、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に混在させたときに崩壊し易くなり、却って通気性を阻害するおそれもある。よって、上限は16mm程度とする。
上記のように、本発明によれば、製鋼スラグに含まれるAlによる弊害を、製鋼スラグ由来の造粒粒子内に封じ込めることができるだけでなく、製鋼スラグに含まれるAlにより悪影響を受ける箇所が減少するので、上記封じ込め効果をより高めることができる。さらに、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径の増大は、焼結原料装入層の通気性の向上するため、焼結鉱の冷間強度が向上する。したがって、本発明を適用することにより、製鋼スラグ使用に伴う焼結操業への悪影響を取り除くことができるだけでなく、焼結機の生産性の向上を図ることが可能となる。
なお、本発明では、製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径は、篩分けした時の粒径で表わすものとし、例えば、6.7mm以上16mm未満の大きさの造粒粒子とは、ペレタイザ等で造粒して得た造粒粒子をJIS Z8801−1で規定された目開き6.7mmの篩で篩分けしたときの篩上でかつ目開き16mmの篩で篩分けしたときの篩下の造粒粒子のことをいう。
また、従来技術では、造粒原料中に添加できる製鋼スラグの量は、Alによる悪影響によって全造粒原料の5mass%程度でしかなかったが、製鋼スラグとその他の原料を分別造粒し、製鋼スラグ由来の造粒粒子を製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させる本発明では、上述した封じ込め効果の発現によって、生産率を大きく低下させることなく、8mass%を超えて添加することが可能となる。
さらに、本発明では、製鋼スラグを、6.7mm以上16mm未満の大きさに造粒した上で製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させるので、通気性を改善することができるが、その改善効果は、製鋼スラグによる悪影響を上回るものがある。その結果、本発明では、製鋼スラグを全造粒原料の15mass%程度まで添加することが可能である。しかし、過剰の添加は、通風量が過剰となり、焼結時間が短縮し過ぎて、焼結に必要な高温域(1200℃以上)での保持時間が不足し、焼結不足や焼結ムラを招くおそれがある。また、製鋼スラグの添加量が過剰となると、製鋼スラグ由来の造粒粒子数が増加し、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させたときの製鋼スラグ由来の造粒粒子の間隔が小さくなるので、封じ込め効果を享受できなくなる。したがって、封じ込めの効果および生産性の向上効果を安定して得るためには、上限は12mass%程度とするのがより好ましい。
また、本発明において、焼結原料として製鋼スラグを用いる理由は、製鉄所内で発生した製鋼スラグのリサイクル率を高めることの他に、製鋼スラグ中に含まれるCaOをCaO源として有効利用したり、未反応のフリーCaOによる造粒性の向上が期待できるからである。上記フリーCaOによる造粒性向上効果をより高めるためには、製鋼スラグをいったん小さく破砕して細粒化し、製鋼スラグ粒子内部に含まれるフリーCaOを露出させてから、造粒原料として使用することが好ましく、また、その場合、破砕する粒径は1mm以下とするのが好ましい。ただし、製鋼スラグの中の、主としてCaO系の脱硫材を用いて脱硫を行った際に発生したスラグ(脱硫スラグ)を用いる場合には、未反応のフリーCaOが表面に露出しているので、そのまま使用するか、1mm以下まで破砕する処理は不要である。
表5は、粉砕前の脱硫スラグ全体についての成分分析値と、その脱硫スラグを+2.8mm、−0.25mmに細粒化したときの脱硫スラグ表面を成分分析した値を比較して示したものであり、2.8mm以上の粒子ではフリーCaOが8mass%程度であるのに対して、−0.25mm以下の粒子ではフリーCaOが20mass%以上に達している。これは、脱硫スラグ中に含まれるフリーCaOは、粒子内部の細粒部に偏析していることを示している。したがって、脱硫スラグ中に含まれるフリーCaOを造粒の際のバインダーとして最大限に活用するためには、脱硫スラグでも、いったん1mm以下に破砕し、スラグ中のフリーCaOを露出させてから、造粒原料として使用するのがより好ましい。
Figure 2014001438
また、図1、図2および図5には、製鋼スラグの造粒設備として、ペレタイザを用いる例を示したが、ペレタイザで造粒する場合には、製鋼スラグに添加する水分は、製鋼スラグ以外の原料の場合に比べて高い、10mass%程度とするのが好ましい。その理由は、製鋼スラグには、給水し易いフリーCaOが多く含まれ、かつ、粉鉱石に比べて細粒のものが多いためである。中でもフリーCaOを多く含む脱硫スラグの場合には、15mass%程度とするのが好ましい。
そのため、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子は、製鋼スラグ由来の造粒粒子より含水率を低くすることが好ましい。何故ならば、製鋼スラグ由来の造粒粒子のように高水分の造粒粒子を製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子に混合して原料装入層を形成すると、焼結原料全体の持ち込み水分量が増加し、湿潤帯において大きな圧損増加を生じるため、生産性が大きく低下するからである。
あるいは、製鋼スラグ、特に脱硫スラグを用いる場合には、造粒後、乾燥を加えて、造粒粒子中の含水率を好ましくは7mass%以下、より好ましくは5mass%以下に低減してから焼結原料として使用するのが好ましい
次に、本発明における製鋼スラグ由来の造粒粒子と、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子の造粒方法とを分別して造粒する方法について説明する。
まず、製鋼スラグ以外の造粒原料は、図5の上段に示したように、混合ミキサで均一に混合し、造粒用ドラムミキサに供給して造粒粒子(擬似粒子)とした後、ベルトコンベア等で焼結機に搬送する。一方、製鋼スラグは、図5の下段に示したように、ペレタイザ等を用いて製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子より大きな6.7mm以上16mm未満に造粒した後、ベルトコンベア等で焼結機搬送する。
なお、製鋼スラグの造粒設備としては、上記ペレタイザの他に、アイリッヒミキサ、ペレガイア((株)北川鉄工製)等の混合強化型の造粒装置を好適に用いることができる。
次に、上記のようにして得た製鋼スラグ由来の造粒粒子を製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に分散させて焼結機に装入する方法について説明する。
上記のようにして得た2種類の造粒粒子を混合して焼結機のパレットに装入する方法としては、例えば、ベルトコンベア上に搭載された製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子上に、製鋼スラグ由来の造粒粒子を払い出して積層状態とした後、あるいは、ベルトコンベア上に搭載された製鋼スラグ由来の造粒粒子上に、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子を払い出して積層状態とした後、焼結機のパレットに原料を装入するサージホッパに搬送し、このサージホッパ内で混合する方法、あるいは、別途、混合用ドラムミキサを設置し、このミキサに上記2種類の造粒粒子を供給し、混合処理を行った後、サージホッパに供給する方法等を挙げることができる。また、また、上記積層状態にした造粒粒子をベルトコンベアで搬送中に、ジャンクション(乗り継ぎ)部分で2種類の造粒粒子を混合させる方法でも、比較的均一な混在状態とすることができる。
なお、上記に説明した造粒方法や装入方法は、単なる例示であり、他の方法を用いてもよいことは勿論である。
また、本発明において、製鋼スラグとは、転炉等の脱炭工程で発生する脱炭スラグ(転炉スラグ)、脱珪工程で発生する脱珪スラグ、脱硫工程で発生する脱硫スラグ、脱燐工程で発生する脱燐スラグ、二次製錬工程で発生する二次製錬スラグおよび連続鋳造工程で発生する連鋳スラグ等のことをいう。なお、脱珪スラグ、脱硫スラグおよび脱燐スラグは、溶銑予備処理スラグと称されることもある。
また、上記製鋼スラグ中の脱硫スラグとは、CaO系の脱硫材を用いて脱硫した際に発生したスラグのことをいう。
表6に示した各種配合率の、製鋼スラグを含む造粒原料を準備し、これらの原料を用いて、製鋼スラグとそれ以外の原料を均一に混合してから造粒する方法(混合造粒)と、製鋼スラグとそれ以外の原料とを別々に造粒する方法(分別造粒)の2つの方法で、同じく表6に示した粒径、含水率の造粒粒子とした後、それらの造粒粒子を焼結原料として、内径が290mmφ、高さが400mmの試験鍋に充填し、焼結実験を行った。なお、製鋼スラグとして、転炉スラグを用いる場合(発明例2を除く)には1mm以下に粉砕した後、脱硫スラグを用いる場合にはそのまま造粒原料に用いた。
焼結実験における上記焼結原料の試験鍋への充填は、混合造粒した造粒粒子を焼結原料とする場合は、従来技術と同様、そのまま試験鍋に装入し、分別造粒した造粒粒子を焼結原料とする場合は、図3に示したように、製鋼スラグ由来の造粒粒子が、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散するよう装入した。また、焼結実験では、焼結に要した時間と、得られた焼結鉱(焼結ケーキ)の成品歩留り(焼結試験で得られた焼結ケーキを破砕し、篩い分けしたときの粒径が10mm以上の粒子の質量%)を測定し、これらの値から生産率を求めることで、各実験条件を評価した。
Figure 2014001438
上記焼結実験の結果を表6中に併記した。この結果から、本発明に適合した条件で焼結操業を行うことにより、製鋼スラグを造粒原料としても、高品質の焼結鉱を生産性よく製造することができることがわかる。
上記説明では、焼結熱源として固体燃料のみを用いる焼結技術について説明したが、本発明の技術は、上記固体燃料のみを用いる技術に限定されるものではなく、例えば固体燃料に加えてさらに気体燃料や液体燃料を供給する焼結技術にも適用することができる。

Claims (5)

  1. 主に鉄鉱石、CaO系およびSiO系副原料、返鉱および固体燃料から構成される造粒原料を混合し、水分を添加し、造粒して造粒粒子とし、これを焼結原料としてパレットに装入して焼結原料装入層を形成した後、前記焼結原料装入層の上層に点火し、パレット下方に配設されたウインドボックスで空気を吸引して焼結原料中の固体燃料を燃焼させて焼結鉱を製造する方法において、
    前記造粒原料の一部として製鋼スラグを用いる際には、前記造粒原料を製鋼スラグとそれ以外の原料とに分けてそれぞれを別々に造粒し、かつ、
    製鋼スラグ由来の造粒粒子の粒径を6.7mm以上16mm未満とした上で、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子中に均一に分散させて焼結機のパレットに装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記製鋼スラグ由来の造粒粒子は、JIS Z8801−1に規定された目開き6.8mmの篩上、16mmの篩下のものであることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記製鋼スラグを造粒原料に用いるときは、製鋼工程で発生した製鋼スラグを粒径1mm以下に破砕することを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記製鋼スラグとして製鋼工程で発生した脱硫スラグを造粒原料に用いるときは、粒径1mm以下への破砕を省略することを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 前記製鋼スラグ由来の造粒粒子の含水率を、製鋼スラグ以外の原料由来の造粒粒子より低くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
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