JP2014001113A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ファイバの有効コア断面積の低下を防ぐために、コアの中心部の屈折率が高くなることを防止する光ファイバ母材の製造方法を提供する。
【解決手段】CVD法により石英管内に少なくともSiClとOを供給し、石英管の外側を熱源で加熱しながら、石英管内にガラス微粒子を堆積させる工程、そのガラス微粒子に少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、石英管内から溶液を排出し、ガラス微粒子を乾燥させる工程、熱源の温度を上げてガラス微粒子を焼結し、それを透明ガラス化する工程、石英管内に少なくともOとSiClを供給して、石英管の内圧を制御しながら熱源の温度をさらに上げて石英管の一端を潰す工程、石英管内に少なくともOを供給し、石英管の開放端付近でベントし、石英管の内圧を制御しながら石英管の軸方向に熱源をトラバースさせ、石英管を縮径することで石英管を中実化する工程、を有する光ファイバ母材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コラップスに起因する有効コア断面積の低下を抑制した光ファイバ母材の製造方法に関する。
ファイバレーザには、希土類添加光ファイバが用いられている。この希土類添加光ファイバの母材は、例えば、以下に示す製造方法によって製造される。
(1)CVD法により、出発部材である石英管内に四塩化ケイ素(SiCl)および酸素(O)を供給し、石英管の外側を熱源により加熱しながら、石英管内に二酸化ケイ素(SiO)からなるガラス微粒子(スート)を堆積させる。
(2)石英管内に希土類元素を含む溶液を満たして、ガラス微粒子に希土類元素を添加する。一定時間経過後、石英管内から溶液を排出し、ガラス微粒子を乾燥させる。
(3)熱源の温度を上げて、ガラス微粒子を焼結し、ガラス微粒子を透明ガラス化する。
(4)石英管内に酸素を流しながら、熱源の温度をさらに上げて、石英管の一端を潰す。
(5)石英管内に酸素を流入させて、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に熱源を数回トラバースさせて、石英管を縮径し、最終的に石英管を中実化する。
上記の工程(4)と工程(5)を合わせて、コラップス工程と言う(例えば、特許文献1参照)。
コラップス工程では、(a)石英管の一端を潰す、(b)石英管を縮径化する、(c)石英管を中実化する、という3つの重要なプロセスが行われる。
石英管の一端を潰すプロセスは、石英管の内圧を制御するために行われる。石英管の一端を潰すタイミングは、光ファイバ母材の用途に合わせて、石英管を縮径化する前、石英管を縮径化している最中、あるいは、石英管を中実化する直前のいずれかとされる。
石英管を中実化するプロセスは、どの場合も共通であり、コラップス工程の最終段階に行われる。
図12は、従来の光ファイバ母材の製造方法における石英管の中実化工程の一例を示す模式図である。
従来の光ファイバ母材の製造方法では、上記の工程(5)において、石英管101が縮径される際に、ガラス微粒子102に添加されていた希土類元素(ドーパント)103が揮発して、石英管101内の空間に、希土類元素103が充満する。
この状態で、石英管の軸方向に熱源104をトラバースさせて、石英管101を中実化すると、揮発した希土類元素103がガラス微粒子102の表面に結合する。そのため、コアの外周部よりも中心部に、より多くの希土類元素103が分布し、コアの中心部の屈折率が、コアの外周部の屈折率よりも高くなることがある。これにより、コアの中心部の比屈折率差(Δ)が、コアの外周部の比屈折率差(Δ)よりも増加し、コアの中心部に電界が集中して、光ファイバの有効コア断面積が制限される問題がある。光ファイバの有効コア断面積が小さくなると、レーザの高出力化を妨げる非線形光学効果の影響が大きくなる。そのため、一般的に、光ファイバの有効コア断面積は大きいことが望まれている。
特許第4487560号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光ファイバの有効コア断面積の低下を防ぐために、コアの中心部の屈折率が高くなることを防止する光ファイバ母材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素および酸素を供給し、前記石英管の外側を熱源により加熱しながら、前記石英管内にガラス微粒子を堆積させる工程と、前記石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、前記石英管内から前記溶液を排出し、前記ガラス微粒子を乾燥させる工程と、前記熱源の温度を上げて、前記ガラス微粒子を焼結し、前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程と、前記石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給して、前記石英管の内圧を制御しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の一端を潰す工程と、前記石英管内に少なくとも酸素を供給して、前記石英管の開放端付近でベントし、前記石英管の内圧を制御しながら、前記石英管の軸方向に前記熱源をトラバースさせて、前記石英管を縮径することにより、前記石英管を中実化する工程と、を有する光ファイバ母材の製造方法を提供する。
本発明の光ファイバ母材の製造方法は、前記石英管を中実化する工程において、前記石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することが好ましい。
また、本発明は、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素および酸素を供給し、前記石英管の外側を熱源により加熱しながら、前記石英管内にガラス微粒子を堆積させる工程と、前記石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、前記石英管内から前記溶液を排出し、前記ガラス微粒子を乾燥させる工程と、前記熱源の温度を上げて、前記ガラス微粒子を焼結し、前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程と、前記石英管内に少なくとも酸素を供給しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の軸方向に前記熱源をトラバースさせて、前記石英管を縮径する工程と、前記石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の一端を潰す工程と、前記石英管内に少なくとも酸素を供給して、前記石英管の開放端付近でベントし、前記石英管の内圧を制御しながら、前記石英管の軸方向に前記熱源を少なくとも1回トラバースさせて、前記石英管を縮径することにより、前記石英管を中実化する工程と、を有する光ファイバ母材の製造方法を提供する。
本発明の光ファイバ母材の製造方法は、前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程および/または前記石英管を中実化する工程において、前記石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することが好ましい。
本発明によれば、石英管内に四フッ化ケイ素が含まれた状態で、石英管を中実化することにより、コアとなる透明ガラスの最表面にF−SiO層を堆積させ、コアの中心部の比屈折率差(Δ)のみを選択的に下げることができる。
実施例1の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 実施例1の光ファイバ母材の屈折率分布の例を示すグラフである。 実施例2の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 実施例2の光ファイバ母材屈折率分布の例を示すグラフである。 比較例1の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 比較例1の光ファイバ母材の屈折率分布の例を示すグラフである。 実施例3の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 実施例3の光ファイバ母材の屈折率分布の例を示すグラフである。 実施例4の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 実施例4の光ファイバ母材の屈折率分布の例を示すグラフである。 比較例2の光ファイバ母材の有効コア断面積の度数分布と正規分布を示すグラフである。 従来の光ファイバ母材の製造方法における石英管の中実化工程の一例を示す模式図である。
本発明の光ファイバ母材の製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(1)第一実施形態
本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、CVD(chemical vapor deposition)法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素(SiCl)および酸素(O)を供給し、石英管の外側を熱源により加熱しながら、石英管内に二酸化ケイ素(SiO)からなるガラス微粒子(スート)を堆積させる工程(以下、「スート堆積工程」と略記する。)と、石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、石英管内から溶液を排出し、ガラス微粒子を乾燥させる工程(以下、「液浸工程」と略記する。)と、熱源の温度を上げて、ガラス微粒子を焼結し、ガラス微粒子を透明ガラス化する工程(以下、「焼結工程」と略記する。)と、石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素(SiF)を供給して、石英管の内圧を制御しながら、熱源の温度をさらに上げて、石英管の一端を潰す工程(以下、「縮径工程」と略記する。)と、石英管内に少なくとも酸素を供給して、石英管の開放端付近でベントし、石英管の内圧を制御しながら、石英管の軸方向に熱源をトラバースさせて、石英管を縮径することにより、石英管を中実化する工程(以下、「コラップス工程」と略記する。)と、を有する方法である。
(スート堆積工程)
スート堆積工程では、CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素(SiCl)および酸素(O)を供給し、石英管の外側を、酸水素バーナなどの熱源により加熱しながら、石英管内に、主に二酸化ケイ素(SiO)からなるガラス微粒子(スート)を堆積させる。
CVD法としては、一般的な手法が用いられる。
また、「主に二酸化ケイ素からなるガラス」とは、「シリカガラス」のことである。
さらに、「石英管内に堆積させる」とは、「石英管の内表面上に堆積させる」ことを指す。
また、スート堆積工程において、ガラス微粒子を堆積する際の石英管の外壁面の温度は、1700〜1800℃であることが好ましい。
スート堆積工程では、例えば、同時にアルミニウム(Al)やリン(P)を気相でガラス微粒子に添加することも可能である。この時、Alを添加する場合には三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを、Pを添加する場合にはオキシ塩化リン(POCl)ガスを、それぞれ使用するのが一般的である。
(液浸工程)
液浸工程では、石英管内に堆積させたガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させる液浸法により、希土類元素を、石英管内に堆積させたガラス微粒子に添加する。
希土類元素は、目的に応じて適宜選択されるが、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)およびネオジム(Nd)などが挙げられる。これら希土類元素は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
液浸法としては、一般的な手法が用いられる。例えば、希土類元素を含有する原料化合物の水溶液を調製し、この水溶液に、ガラス微粒子を堆積させた石英管を所定時間浸漬すればよい。希土類元素の原料化合物は、希土類の塩化物が好ましく、例えば、希土類元素がYbである場合には、三塩化イッテルビウム(YbCl)が好ましい。
希土類元素の原料化合物は、通常、蒸気圧が低いため、石英管内に気相で添加することは極めて困難であり、コア中の希土類元素の濃度を所望の値に制御することは極めて困難である。そこで、本実施形態においては、希土類元素を液浸法で添加する。
液浸工程では、使用する原料化合物の溶液中において、希土類元素の原料化合物と相互作用して沈殿を生じる化合物を併用することができない。したがって、このような沈殿を生じる化合物を原料化合物とするドーパントは、液浸工程では添加できない。
浸漬後は、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出し、石英管内のガラス微粒子を乾燥させる。
そして、ガラス微粒子の乾燥は、石英管内に酸素ガスなどのガスを継続して供給することにより行うことが好ましい。
(焼結工程)
焼結工程では、スート堆積工程よりも熱源の温度を上げて石英管を加熱して、石英管内に堆積され、希土類元素を添加したガラス微粒子を焼結し、ガラス微粒子を透明ガラス化する。
ガラス微粒子の焼結としては、一般的な手法が用いられる。
焼結工程において、熱源を石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外側を加熱する。
希土類元素を添加したガラス微粒子を焼結する際の石英管の外壁面の温度は、2000〜2200℃であることが好ましい。
(縮径工程)
縮径工程では、ガラス微粒子が透明ガラス化された石英管内に、少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給し、石英管内に四フッ化ケイ素を充満させて、熱源を石英管の端で停止させ、熱源の温度をさらに上げて、石英管の一端を潰す。
縮径工程において、熱源を石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外側を加熱する。
また、縮径工程において、石英管を加熱する熱源の温度は、焼結工程において、ガラス微粒子を焼結する際の熱源の温度よりも高くする。このとき、熱源が酸水素バーナであれば、バーナに供給する酸水素ガスの流量は、水素が100〜110slm、酸素が40〜50slmであることが好ましい。
また、縮径工程では、例えば、酸素および四フッ化ケイ素と同時に、石英管内にヘリウムを供給することも可能である。
(コラップス工程)
コラップス工程では、縮径工程において石英管の一端を潰し終えた後、希土類元素を添加した石英管内に少なくとも酸素を供給して、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に熱源をトラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化する。
コラップスには、一般的な手法が用いられる。
そして、コラップス工程を行うことにより、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材が得られる。
コラップス工程において、縮径工程と同等の熱源の温度で石英管を縮径および中実化する。このとき、熱源が酸水素バーナであれば、バーナに供給する酸水素ガスの流量は、水素が100〜110slm、酸素が40〜50slmであることが好ましい。
また、コラップス工程において、大気圧基準で、石英管の内圧を50〜80Paに制御することが好ましく、60〜70Paに制御することがより好ましい。
石英管の内圧が50Pa未満では、石英管が短時間で潰れ、コア非円率が大きくなる。一方、石英管の内圧が80Paを超えると、石英管が破損するおそれがある。
コラップス工程は、希土類元素を添加した石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給し、石英管内に四フッ化ケイ素を充満させながら行うことが好ましい。
このようにすることにより、石英管内のフッ素雰囲気の状態を安定に保つことができる。
本実施形態の光ファイバ母材の製造方法によれば、ガラスの屈折率を下げるフッ素の作用を利用して、石英管内に四フッ化ケイ素が充満した状態で、石英管を中実化することにより、コアとなる透明ガラスの最表面にF−SiO層が堆積され、コアの中心部の比屈折率差(Δ)を下げることができる。これにより、コアの中心部の比屈折率差(Δ)のみを選択的に下げることができる。また、スート堆積工程において、石英管内に四フッ化ケイ素を供給しながら、二酸化ケイ素からなるガラス微粒子を堆積させると、縮径工程において、添加したフッ素が揮発して、石英管の外へ排出される問題がある。そこで、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法では、石英管内に四フッ化ケイ素を供給しながら、縮径工程、あるいは、縮径工程およびコラップス工程を行うことにより、コアとなる透明ガラスの最表面を構成するSiO層にフッ素を効果的に添加、定着させることができる。特に、コラップス工程においても、石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することにより、石英管内のフッ素雰囲気の状態を安定に保つことができるので、コアの中心部の比屈折率差(Δ)の長手方向の安定性が向上する。
(2)第二実施形態
本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、CVD(chemical vapor deposition)法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素(SiCl)および酸素(O)を供給し、石英管の外側を熱源により加熱しながら、石英管内に二酸化ケイ素(SiO)からなるガラス微粒子(スート)を堆積させる工程(以下、「スート堆積工程」と略記する。)と、石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、石英管内から溶液を排出し、ガラス微粒子を乾燥させる工程(以下、「液浸工程」と略記する。)と、熱源の温度を上げて、ガラス微粒子を焼結し、ガラス微粒子を透明ガラス化する工程(以下、「焼結工程」と略記する。)と、石英管内に少なくとも酸素を供給しながら、熱源の温度をさらに上げて、石英管の軸方向に熱源をトラバースさせて、石英管を縮径する工程(以下、「第一縮径工程」と略記する。)と、石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素(SiF)を供給しながら、熱源の温度をさらに上げて、石英管の一端を潰す工程(以下、「第二縮径工程」と略記する。)と、石英管内に少なくとも酸素を供給して、石英管の開放端付近でベントし、石英管の内圧を制御しながら、石英管の軸方向に熱源を少なくとも1回トラバースさせて、石英管を縮径することにより、石英管を中実化する工程(以下、「コラップス工程」と略記する。)と、を有する方法である。
(スート堆積工程)
スート堆積工程では、CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素(SiCl)および酸素(O)を供給し、石英管の外側を、酸水素バーナなどの熱源により加熱しながら、石英管内に、主に二酸化ケイ素(SiO)からなるガラス微粒子(スート)を堆積させる。
CVD法としては、一般的な手法が用いられる。
また、スート堆積工程において、ガラス微粒子を堆積する際の石英管の外壁面の温度は、1700〜1800℃であることが好ましい。
スート堆積工程では、例えば、同時にアルミニウム(Al)やリン(P)を気相でガラス微粒子に添加することも可能である。
(液浸工程)
液浸工程では、石英管内に堆積させたガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させる液浸法により、希土類元素を、石英管内に堆積させたガラス微粒子に添加する。
希土類元素は、目的に応じて適宜選択されるが、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)およびネオジム(Nd)などが挙げられる。これら希土類元素は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
液浸法としては、一般的な手法が用いられる。
浸漬後は、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出し、石英管内のガラス微粒子を乾燥させる。
そして、ガラス微粒子の乾燥は、石英管内に酸素ガスなどのガスを継続して供給することにより行うことが好ましい。
(焼結工程)
焼結工程では、スート堆積工程よりも熱源の温度を上げて石英管を加熱して、石英管内に堆積され、希土類元素を添加したガラス微粒子を焼結し、ガラス微粒子を透明ガラス化する。
ガラス微粒子の焼結としては、一般的な手法が用いられる。
焼結工程において、熱源を石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外側を加熱する。
希土類元素を添加したガラス微粒子を焼結する際の石英管の外壁面の温度は、2000〜2200℃であることが好ましい。
(第一縮径工程)
第一縮径工程では、ガラス微粒子が透明ガラス化された石英管内に、少なくとも酸素を供給しながら、焼結工程よりも熱源の温度を上げて、石英管の軸方向に熱源をトラバースさせて、石英管を縮径する。
第一縮径工程において、熱源が酸水素バーナであれば、酸水素バーナに供給する酸水素ガスの流量は、水素が100〜110slm、酸素が40〜50slmであることが好ましい。
また、縮径工程では、例えば、酸素と同時に、石英管内にヘリウムを供給することも可能である。
(第二縮径工程)
第二縮径工程では、ガラス微粒子が透明ガラス化された石英管内に、少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給し、石英管内に四フッ化ケイ素を充満させて、熱源を石英管の端で停止させ、熱源の温度をさらに上げて、石英管の一端を潰す。
また、第二縮径工程において、第一縮径工程と同等の熱源の温度で石英管を外側から加熱する。このとき、熱源が酸水素バーナであれば、バーナに供給する酸水素ガスの流量は、水素が100〜110slm、酸素が40〜50slmであることが好ましい。
また、第二縮径工程では、例えば、酸素および四フッ化ケイ素と同時に、石英管内にヘリウムを供給することも可能である。
(コラップス工程)
コラップス工程では、第二縮径工程において石英管の一端を潰し終えた後、希土類元素を添加した石英管内に少なくとも酸素を供給して、石英管の開放端付近でベントし、石英管の内圧を制御しながら、石英管の軸方向に熱源を少なくとも1回トラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化する。
コラップスには、一般的な手法が用いられる。
そして、コラップス工程を行うことにより、コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材が得られる。
コラップス工程において、第一縮径工程や第二縮径工程と同等の熱源の温度で石英管を縮径および中実化する。このとき、熱源が酸水素バーナであれば、バーナに供給する酸水素ガスの流量は、水素が100〜110slm、酸素が40〜50slmであることが好ましい。
コラップス工程は、希土類元素を添加した石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給し、石英管内に四フッ化ケイ素を充満させながら行うことが好ましい。
このようにすることにより、石英管内のフッ素雰囲気の状態を安定に保つことができる。
本実施形態の光ファイバ母材の製造方法によれば、ガラスの屈折率を下げるフッ素の作用を利用して、石英管内に四フッ化ケイ素が充満した状態で、石英管を中実化することにより、コアとなる透明ガラスの最表面にF−SiO層が堆積され、コアの中心部の比屈折率差(Δ)を下げることができる。これにより、コアの中心部の比屈折率差(Δ)のみを選択的に下げることができる。また、スート堆積工程において、石英管内に四フッ化ケイ素を供給しながら、二酸化ケイ素からなるガラス微粒子を堆積させると、第二縮径工程において、添加したフッ素が揮発して、石英管の外へ排出される問題がある。そこで、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法では、石英管内に四フッ化ケイ素を供給しながら、少なくとも第二縮径工程を行い、必要に応じて、焼結工程やコラップス工程においても石英管内に四フッ化ケイ素を供給することにより、コアとなる透明ガラスの最表面を構成するSiO層にフッ素を効果的に添加、定着させることができる。特に、コラップス工程においても、石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することにより、石英管内のフッ素雰囲気の状態を安定に保つことができるので、コアの中心部の比屈折率差(Δ)の長手方向の安定性が向上する。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
出発管として、外径32mm、厚さ2.5mmの天然石英からなる石英管を用いて、以下のようにして光ファイバ母材を作製した。
CVD法により、石英管内にSiClおよびOを供給し、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱しながら、石英管内にSiOガラス微粒子を堆積させた。
この工程において、石英管内に供給するSiClの流量を600sccm、Oの流量を1.65slmとした。
また、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が1780℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱した。
次いで、液浸法により、SiOガラス微粒子にYbを添加した。具体的には、YbClを純水に溶解させた水溶液に、SiOガラス微粒子を堆積させた石英管を3時間浸漬した後、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出した後、石英管内に酸素ガスを継続して供給することにより、SiOガラス微粒子を6時間乾燥させた。
次いで、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が2100℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱し、石英管内に堆積され、Ybを添加したSiOガラス微粒子を焼結し、SiOガラス微粒子を透明ガラス化した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給しながら、酸水素バーナを石英管の端で停止させ、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管の一端を潰した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管の一端を潰し終えた後、石英管内へのSiFの供給を止めて、石英管内へのOの供給を継続し、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化し、実施例1の光ファイバ母材を得た。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナを、速度5〜10mm/minで6回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
上記の製造方法により、光ファイバ母材を3本製造した。
光ファイバ母材の1本当たりについて、10箇所の屈折率を測定した。それぞれの箇所について、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図1に示す。
図1に示す曲線は、得られた30箇所の有効コア断面積の標準偏差から計算した、正規分布を表す。
また、光ファイバ母材の屈折率分布の例を図2に示す。なお、図2において、横軸は母材中心からの距離を表す。
[実施例2]
出発管として、外径32mm、厚さ2.5mmの天然石英からなる石英管を用いて、以下のようにして光ファイバ母材を作製した。
CVD法により、石英管内にSiClおよびOを供給し、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱しながら、石英管内にSiOガラス微粒子を堆積させた。
この工程において、石英管内に供給するSiClの流量を600sccm、Oの流量を1.65slmとした。
また、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が1780℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱した。
次いで、液浸法により、SiOガラス微粒子にYbを添加した。具体的には、YbClを純水に溶解させた水溶液に、SiOガラス微粒子を堆積させた石英管を3時間浸漬した後、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出した後、石英管内に酸素ガスを継続して供給することにより、SiOガラス微粒子を6時間乾燥させた。
次いで、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が2100℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱し、石英管内に堆積され、Ybを添加したSiOガラス微粒子を焼結し、SiOガラス微粒子を透明ガラス化した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給しながら、酸水素バーナを石英管の端で停止させ、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管の一端を潰した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給するとともに、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化し、実施例2の光ファイバ母材を得た。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナを、速度5〜10mm/minで6回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
上記の製造方法により、光ファイバ母材を3本製造した。
光ファイバ母材の1本当たりについて、10箇所の屈折率を測定した。それぞれの箇所について、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図3に示す。
また、光ファイバ母材の屈折率分布の例を図4に示す。
[比較例1]
出発管として、外径32mm、厚さ2.5mmの天然石英からなる石英管を用いて、以下のようにして光ファイバ母材を作製した。
CVD法により、石英管内にSiClおよびOを供給し、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱しながら、石英管内にSiOガラス微粒子を堆積させた。
この工程において、石英管内に供給するSiClの流量を600sccm、Oの流量を1.65slmとした。
また、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が1780℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱した。
次いで、液浸法により、SiOガラス微粒子にYbを添加した。具体的には、YbClを純水に溶解させた水溶液に、SiOガラス微粒子を堆積させた石英管を3時間浸漬した後、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出した後、石英管内に酸素ガスを継続して供給することにより、SiOガラス微粒子を6時間乾燥させた。
次いで、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が2100℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱し、石英管内に堆積され、Ybを添加したSiOガラス微粒子を焼結し、SiOガラス微粒子を透明ガラス化した。
次いで、石英管内に、Oを供給しながら、酸水素バーナを石英管の端で停止させ、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管の一端を潰した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管内に、Oを供給するとともに、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化し、比較例1の光ファイバ母材を得た。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナを、速度5〜10mm/minで6回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
上記の製造方法により、光ファイバ母材を3本製造した。
光ファイバ母材の1本当たりについて、10箇所の屈折率を測定した。それぞれの箇所について、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図5に示す。
また、光ファイバ母材の屈折率分布の例を図6に示す。
正規分布曲線の山の高さは、一般的に標準偏差に反比例することが知られている。すなわち、標準偏差が大きければ、正規分布曲線は横に広がって山が低くなり、逆に標準偏差が小さければ、正規分布曲線は山が高くなる性質を持つ。この正規分布の特性を踏まえて、図1、3、5を見ると、正規分布曲線の山の高さは、実施例2で最も高くなり、次に実施例1が高く、比較例1で最低となっていることが分かる。標準偏差の大小は、そのまま母集団のばらつきの大小と言い換えられるから、実施例2の光ファイバ母材の製造方法は、ばらつきが最小となる最も安定な手法であり、次に実施例1が安定な手法であり、比較例1は最も不安定な手法となる。
従来の製造方法である比較例1では、中実化の際に、石英管内の空間に揮発したドーパントの空間分布によって、コアの中心部の屈折率が変化しやすい。このとき、石英管の長手方向のある位置では屈折率が上昇するが、別のある位置では屈折率がそれほど変化しない、といった現象が起こり得る。このため、有効コア断面積のばらつきが大きくなる。
これに対して、実施例1、2では、SiFを供給しながら、石英管の一端を潰すことによって、石英管内がフッ素で満たされ、この状態で中実化することにより、コアとなる透明ガラスの最表面に薄いF−SiO層が一様に形成される。それに伴って、コアの中心部の屈折率が外周部よりも低くなり、有効コア断面積が比較的高い領域に集中してばらつきが減少する。このとき、実施例2のように、一連のコラップス工程の間、SiFを供給し続けることにより、石英管内のフッ素雰囲気状態が一定に保たれ、安定性がより向上する。
以上、フッ素雰囲気下、石英管の一端を潰す工程を有する実施例1、2の光ファイバ母材の製造方法は、有効コア断面積の低下を抑制するために有効である。また、石英管の縮径化工程および中実化工程においても、フッ素雰囲気下で行うことにより、有効コア断面積のばらつきが小さくなり、さらに、安定に光ファイバ母材を製造することが可能である。
[実施例3]
出発管として、外径32mm、厚さ2.5mmの天然石英からなる石英管を用いて、以下のようにして光ファイバ母材を作製した。
CVD法により、石英管内にSiClおよびOを供給し、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱しながら、石英管内にSiOガラス微粒子を堆積させた。
この工程において、石英管内に供給するSiClの流量を600sccm、Oの流量を1.65slmとした。
また、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が1780℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱した。
次いで、液浸法により、SiOガラス微粒子にYbを添加した。具体的には、YbClを純水に溶解させた水溶液に、SiOガラス微粒子を堆積させた石英管を3時間浸漬した後、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出した後、石英管内に酸素ガスを継続して供給することにより、SiOガラス微粒子を6時間乾燥させた。
次いで、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が2100℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱し、石英管内に堆積され、Ybを添加したSiOガラス微粒子を焼結し、SiOガラス微粒子を透明ガラス化した。
次いで、石英管内に、Oを供給しながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管を縮径した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナを、速度10〜20mm/minで5回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給しながら、酸水素バーナを石英管の端で停止させ、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管の一端を潰した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管の一端を潰し終えた後、石英管内へのSiFの供給を止めて、石英管内へのOの供給を継続し、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に酸水素バーナを1回トラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化し、実施例3の光ファイバ母材を得た。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナを、速度5〜10mm/minでトラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
上記の製造方法により、光ファイバ母材を3本製造した。
光ファイバ母材の1本当たりについて、10箇所の屈折率を測定した。それぞれの箇所について、実質的にLP03モードがカットオフされる条件で、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図7に示す。
また、光ファイバ母材の屈折率分布の例を図8に示す。
[実施例4]
出発管として、外径32mm、厚さ2.5mmの天然石英からなる石英管を用いて、以下のようにして光ファイバ母材を作製した。
CVD法により、石英管内にSiClおよびOを供給し、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱しながら、石英管内にSiOガラス微粒子を堆積させた。
この工程において、石英管内に供給するSiClの流量を600sccm、Oの流量を1.65slmとした。
また、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が1780℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱した。
次いで、液浸法により、SiOガラス微粒子にYbを添加した。具体的には、YbClを純水に溶解させた水溶液に、SiOガラス微粒子を堆積させた石英管を3時間浸漬した後、水溶液から石英管を取り出して、石英管内から水溶液を排出した後、石英管内に酸素ガスを継続して供給することにより、SiOガラス微粒子を6時間乾燥させた。
次いで、酸水素バーナを、速度150mm/minで石英管の軸方向にトラバースさせながら、石英管の外壁面の温度が2100℃になるように、酸水素バーナにより、石英管の外側を加熱し、石英管内に堆積され、Ybを添加したSiOガラス微粒子を焼結し、SiOガラス微粒子を透明ガラス化した。
次いで、石英管内に、Oを供給しながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管を縮径した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slmとした。
また、酸水素バーナを、速度10〜20mm/minで4回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給しながら、酸水素バーナを石英管の端で停止させ、石英管の外側を、酸水素バーナにより加熱し、石英管の一端を潰した。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
次いで、石英管内に、OおよびSiFを供給しながら、石英管の開放端付近でベントしながら、石英管の軸方向に酸水素バーナをトラバースさせて、石英管を加熱し、石英管を縮径することにより、石英管を中実化し、実施例4の光ファイバ母材を得た。
この工程において、石英管内に供給するOの流量を2slm、SiFの流量を10sccmとした。
また、酸水素バーナを、速度5〜10mm/minで2回トラバースさせた。
また、酸水素バーナに水素を105slm、酸素を42slm供給し、石英管外壁を加熱した。
上記の製造方法により、光ファイバ母材を3本製造した。
光ファイバ母材の1本当たりについて、10箇所の屈折率を測定した。それぞれの箇所について、実質的にLP03モードがカットオフされる条件で、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図9に示す。
また、光ファイバ母材の屈折率分布の例を図10に示す。
[比較例2]
比較例1で作製した母材について、実施例3、4と同様にして、実質的にLP03モードがカットオフされる条件で、有効コア断面積を算出した。算出した有効コア断面積の度数分布と正規分布を図11に示す。
図7、9、11より、各製造方法における正規分布曲線の山の高さを見ると、正規分布曲線の山の高さは、実施例4で最も高くなり、次に実施例3が高く、比較例2で最低となっていることが分かる。実施例3、4および比較例2を比べた場合、上述した実施例1、2および比較例1を比べた場合と同様の結果が得られた。すなわち、フッ素雰囲気下で石英管の一端を潰す工程を有する実施例3、4の光ファイバ母材の製造方法では、従来の光ファイバ母材の製法(比較例2)と比べて有効コア断面積のばらつきが減少し、一連のコラップス工程の間、SiFを供給し続けることにより、有効コア断面積のばらつきがさらに減少した。また、石英管の一端を潰す作業を縮径化の前(実施例1、2)または縮径化の後(実施例3、4)のどちらで行っても、同様の結果が得られた。

Claims (4)

  1. コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、
    CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素および酸素を供給し、前記石英管の外側を熱源により加熱しながら、前記石英管内にガラス微粒子を堆積させる工程と、
    前記石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、前記石英管内から前記溶液を排出し、前記ガラス微粒子を乾燥させる工程と、
    前記熱源の温度を上げて、前記ガラス微粒子を焼結し、前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程と、
    前記石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給して、前記石英管の内圧を制御しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の一端を潰す工程と、
    前記石英管内に少なくとも酸素を供給して、前記石英管の開放端付近でベントし、前記石英管の内圧を制御しながら、前記石英管の軸方向に前記熱源をトラバースさせて、前記石英管を縮径することにより、前記石英管を中実化する工程と、
    を有することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記石英管を中実化する工程において、前記石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. コアに希土類元素が添加された光ファイバ母材の製造方法であって、
    CVD法により、石英管内に少なくとも四塩化ケイ素および酸素を供給し、前記石英管の外側を熱源により加熱しながら、前記石英管内にガラス微粒子を堆積させる工程と、
    前記石英管内のガラス微粒子に、少なくとも希土類元素を含む溶液を含浸させた後、前記石英管内から前記溶液を排出し、前記ガラス微粒子を乾燥させる工程と、
    前記熱源の温度を上げて、前記ガラス微粒子を焼結し、前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程と、
    前記石英管内に少なくとも酸素を供給しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の軸方向に前記熱源をトラバースさせて、前記石英管を縮径する工程と、
    前記石英管内に少なくとも酸素および四フッ化ケイ素を供給しながら、前記熱源の温度をさらに上げて、前記石英管の一端を潰す工程と、
    前記石英管内に少なくとも酸素を供給して、前記石英管の開放端付近でベントし、前記石英管の内圧を制御しながら、前記石英管の軸方向に前記熱源を少なくとも1回トラバースさせて、前記石英管を縮径することにより、前記石英管を中実化する工程と、
    を有することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記ガラス微粒子を透明ガラス化する工程および/または前記石英管を中実化する工程において、前記石英管内に酸素および四フッ化ケイ素を供給することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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