JP2014001109A - 水素精製装置及び水素精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないエネルギーの消費量にて、高い水素回収率で水素を精製することができる水素精製装置及び水素精製方法を提供する。
【解決手段】水素を選択的に透過させる水素分離膜を用いて、前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第1の水素分離部と、前記第1の水素分離部の後段に配置され、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜を用いて、前記第1の水素分離部で水素が分離された前記混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第1の二酸化炭素分離部と、前記第1の二酸化炭素分離部の後段に配置され、前記水素分離膜を用いて、前記第1の二酸化炭素分離部で二酸化炭素が分離された前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第2の水素分離部と、を備え、前記二酸化炭素分離膜が、ゼオライトを含む、水素精製装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素精製装置及び水素精製方法に関する。
近年、地球温暖化への対策として、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を削減する努力が世界的に行われている。このような情勢下、水素をエネルギー源とするために、高純度の水素を精製する技術の開発が急務となっている。水素を精製する技術としては、下記特許文献1に開示されたPSA法(Pressure Swing Adsorption)が知られている。
特開2012−087012号公報
PSA法では、多孔質の吸着剤を用い、高い圧力下で混合ガス中の不純物(二酸化炭素など)を吸着剤に吸着させて、高純度の水素を分離・回収した後、低い圧力(真空)下で不純物を吸着剤から脱着させて吸着剤の再生を行う。よってPSA法では、吸着工程での雰囲気の加圧、脱着工程での雰囲気の減圧にエネルギーを消費する。例えば、PSA法において、真空ポンプを用いた脱着工程では、0.39kW/Nm程度の電力が消費される。以上のように、PSA法は水素の分離回収に多大なエネルギーとコストを要する方法である。以上より、少ないエネルギーの消費量にて、高い水素回収率で水素を精製することができる水素精製装置及び水素精製方法が求められていた。
そこで、本発明は、少ないエネルギーの消費量にて、高い水素回収率で水素を精製することができる水素精製装置を提供することを目的とする。
本発明に係る水素精製装置の一態様は、少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素を精製する水素精製装置であって、水素を選択的に透過させる水素分離膜を用いて、混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第1の水素分離部と、第1の水素分離部の後段に配置され、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜を用いて、第1の水素分離部で水素が分離された混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第1の二酸化炭素分離部と、第1の二酸化炭素分離部の後段に配置され、水素分離膜を用いて、第1の二酸化炭素分離部で二酸化炭素が分離された混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第2の水素分離部と、を備え、二酸化炭素分離膜が、ゼオライトを含む。
上記態様では、第2の水素分離部の後段に配置され、二酸化炭素分離膜を用いて、第2の水素分離部で水素が分離された混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第2の二酸化炭素分離部を更に備える。
上記態様では、第1の水素分離部の前段に配置され、二酸化炭素分離膜を用いて、混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第3の二酸化炭素分離部を更に備え、第1の水素分離部は、水素分離膜を用いて、第3の二酸化炭素分離部で二酸化炭素が分離された混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する。
上記態様では、ゼオライトがNaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライトであり、使用温度が120℃以下である。
上記態様では、水素分離膜は、Pd−Cu合金を含み、使用温度が300℃以下である。
本発明に係る水素精製方法の一態様は、少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素を精製する水素精製方法であって、水素を選択的に透過させる水素分離膜を用いて、混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第1の水素分離工程と、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜を用いて、第1の水素分離工程で水素が分離された混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第1の二酸化炭素分離工程と、水素分離膜を用いて、第1の二酸化炭素分離工程で二酸化炭素が分離された混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第2の水素分離工程と、を備え、二酸化炭素分離膜が、ゼオライトを含む。
本発明によれば、少ないエネルギーの消費量にて、高い水素回収率で水素を精製することができる。
本発明の実施形態に係る水素精製装置の構成を示す概略構成図であり、水素分離膜モジュールを最前段に配置した例である。 本発明の実施形態に係る水素精製装置の構成を示す概略構成図であり、二酸化炭素分離膜モジュールを最前段に配置した例である。 水素分離膜モジュール及び二酸化炭素分離膜モジュールの内部構造の一例を示す図である。 本発明の実施例と比較例における、エネルギー効率と高純度水素回収率を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例における、水素精製開始からの経過時間と、水素回収率、二酸化炭素回収率、透過二酸化炭素濃度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例の二酸化炭素分離膜と比較例の液体促進輸送膜における、水素のガス透過度及び二酸化炭素のガス透過度を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る水素精製装置の構成を示す概略構成図であり、水素分離膜モジュールを最前段に配置した例である。図2は、本発明の実施形態に係る水素精製装置の構成を示す概略構成図であり、二酸化炭素分離膜モジュールを最前段に配置した例である。図1及び図2に示すように、水素精製装置1,2は、水素製造装置100から供給される混合ガスから水素を精製する装置である。水素精製装置1,2は、混合ガスから高純度の水素を回収すると共に高純度の二酸化炭素を回収する機能を有している。水素精製装置1,2は、99%以上の純度の水素を回収することができ、90%以上の純度の二酸化炭素を回収することができる。燃料電池等で用いる水素を精製する場合、99.99%の高純度とすることが好ましい。また、水素精製装置1,2は、高い回収率で水素を回収することができ、高い回収率で二酸化炭素を回収することができる。なお、水素の回収率とは、当初混合ガスに含まれていた水素のうち分離膜を透過した水素の割合である。二酸化炭素の回収率とは、当初混合ガスに含まれていた二酸化炭素のうち分離膜を透過した二酸化炭素の割合である。
本実施形態では、混合ガスは、少なくとも水素(H)及び二酸化炭素(CO)を含む。また、混合ガスは、メタン(CH)、一酸化炭素(CO)等を含んでいてもよい。水素製造装置100としては、例えば、水蒸気改質によって水素を生成する水素製造装置などが挙げられるが、水素と二酸化炭素を含む混合ガスを供給することができるものであれば、特に限定されない。なお、水素製造装置100から供給される混合ガスの圧力は、1.5〜2.5MPaGであることが好ましい。
混合ガスの水素の濃度及び二酸化炭素の濃度に応じて、図1の水素精製装置1と図2の水素精製装置2の何れかを用いることが好ましい。すなわち、水素製造装置100からの混合ガスの水素の濃度が高い場合は図1の水素精製装置1を用いることが好ましく、二酸化炭素の濃度が高い場合は図2の水素精製装置2を用いることが好ましい。具体的には、二酸化炭素濃度が70%以下の場合は、図1の水素精製装置1を用いることが好ましく、70%以上の場合は、図2の水素精製装置1を用いることが好ましい。
図1に示す水素精製装置1は、水素を選択的に透過させる水素分離膜11を有する水素分離膜モジュール(第1の水素分離部)10Aと、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜21を有する二酸化炭素分離膜モジュール(第1の二酸化炭素分離部)20Aと、水素を選択的に透過させる水素分離膜11を有する水素分離膜モジュール(第2の水素分離部)10Bと、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜21を有する二酸化炭素分離膜モジュール(第2の二酸化炭素分離部)21Bと、を備えている。水素精製装置1は、混合ガスに対して上流から下流へ向かって順番に、水素分離膜モジュール10A、二酸化炭素分離膜モジュール20A、水素分離膜モジュール10B、二酸化炭素分離膜モジュール20Bの順で配置されている。
具体的には、水素分離膜モジュール10Aは、水素分離膜11を用いて、水素製造装置100から供給される混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離して回収する。水素分離膜モジュール10Aで水素を分離された混合ガスは、二酸化炭素の濃度が上がり、二酸化炭素分離膜21で二酸化炭素を分離し易い状態となる。二酸化炭素分離膜モジュール20Aは、水素分離膜モジュール10Aの後段に配置され、二酸化炭素分離膜21を用いて、水素分離膜モジュール10Aで水素が分離された混合ガス(すなわち、水素分離膜モジュール10Aからの非透過ガス)に含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離して回収する。二酸化炭素分離膜モジュール20Aで二酸化炭素を分離された混合ガスは、水素の濃度が上がり、水素分離膜11で水素を分離し易い状態となる。水素分離膜モジュール10Bは、二酸化炭素分離膜モジュール20Aの後段に配置され、水素分離膜11を用いて、二酸化炭素分離膜モジュール20Aで二酸化炭素が分離された混合ガス(すなわち、二酸化炭素分離膜モジュール20Aからの非透過ガス)に含まれる水素を当該混合ガスから分離して回収する。水素分離膜モジュール10Bで水素を分離された混合ガスは、二酸化炭素の濃度が上がり、二酸化炭素分離膜21で二酸化炭素を分離し易い状態となる。二酸化炭素分離膜モジュール20Bは、水素分離膜モジュール10Bの後段に配置され、二酸化炭素分離膜21を用いて、水素分離膜モジュール10Bで水素が分離された混合ガス(すなわち、水素分離膜モジュール10Bからの非透過ガス)に含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離して回収する。なお、図1に示す水素精製装置1において、最後段の二酸化炭素分離膜モジュール20Bを省略してもよい。
水素分離膜モジュール10A,10Bは、混合ガスが流入する流入口12と、水素分離膜11を透過した透過ガス(高純度の水素を含む)を排出する透過ガス排出口13と、水素分離膜11を透過しなかった非透過ガスを排出する非透過ガス排出口14と、を備えている。また、二酸化炭素分離膜モジュール20A,20Bは、混合ガスが流入する流入口22と、二酸化炭素分離膜21を透過した透過ガス(高純度の二酸化炭素を含む)を排出する透過ガス排出口23と、二酸化炭素分離膜21を透過しなかった非透過ガスを排出する非透過ガス排出口24と、を備えている。水素分離膜モジュール10Aの流入口12は、水素製造装置100からの混合ガスが通過するラインL1と接続されている。二酸化炭素分離膜モジュール20Aの流入口22は、水素分離膜モジュール10Aの非透過ガス排出口14からの非透過ガスが通過するラインL2と接続されている。水素分離膜モジュール10Bの流入口12は、二酸化炭素分離膜モジュール20Aの非透過ガス排出口24からの非透過ガスが通過するラインL3と接続されている。二酸化炭素分離膜モジュール20Bの流入口22は、水素分離膜モジュール10Bの非透過ガス排出口14からの非透過ガスが通過するラインL4と接続されている。二酸化炭素分離膜モジュール20Bの非透過ガス排出口24は、ラインL5と接続されており、非透過ガスは、当該ラインL5を通過してオフガスとして所定の用途に利用される。また、水素分離膜モジュール10A,10Bの透過ガス排出口23は、水素回収ラインL6と接続されている。水素分離膜11を透過した透過ガスは、高純度の水素として水素回収ラインL6を通過して回収される。二酸化炭素分離膜モジュール20A,20Bの透過ガス排出口23は、二酸化炭素回収ラインL7と接続されている。二酸化炭素分離膜21を透過した透過ガスは、高純度の二酸化炭素として二酸化炭素回収ラインL7を通過して回収される。
図2に示す水素精製装置2は、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜21を有する二酸化炭素分離膜モジュール(第3の二酸化炭素分離部)20Cと、水素を選択的に透過させる水素分離膜11を有する水素分離膜モジュール(第1の水素分離部)10Aと、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜21を有する二酸化炭素分離膜モジュール(第1の二酸化炭素分離部)20Aと、水素を選択的に透過させる水素分離膜11を有する水素分離膜モジュール(第2の水素分離部)10Bと、を備えている。水素精製装置2は、混合ガスに対して上流から下流へ向かって順番に、二酸化炭素分離膜モジュール20C、水素分離膜モジュール10A、二酸化炭素分離膜モジュール20A、水素分離膜モジュール10Bの順で配置されている。
具体的には、二酸化炭素分離膜モジュール20Cは、二酸化炭素分離膜21を用いて、水素製造装置100から供給される混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離して回収する。二酸化炭素分離膜モジュール20Cで二酸化炭素を分離された混合ガスは、水素の濃度が上がり、水素分離膜11で水素を分離し易い状態となる。水素分離膜モジュール10Aは、二酸化炭素分離膜モジュール20Cの後段に配置され、水素分離膜11を用いて、二酸化炭素分離膜モジュール20Cで二酸化炭素が分離された混合ガス(すなわち、二酸化炭素分離膜モジュール20Cからの非透過ガス)に含まれる水素を当該混合ガスから分離して回収する。水素分離膜モジュール10Aで水素を分離された混合ガスは、二酸化炭素の濃度が上がり、二酸化炭素分離膜21で二酸化炭素を分離し易い状態となる。二酸化炭素分離膜モジュール20Aは、水素分離膜モジュール10Aの後段に配置され、二酸化炭素分離膜21を用いて、水素分離膜モジュール10Aで水素が分離された混合ガス(すなわち、水素分離膜モジュール10Aからの非透過ガス)に含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離して回収する。二酸化炭素分離膜モジュール20Aで二酸化炭素を分離された混合ガスは、水素の濃度が上がり、水素分離膜11で水素を分離し易い状態となる。水素分離膜モジュール10Bは、二酸化炭素分離膜モジュール20Aの後段に配置され、水素分離膜11を用いて、二酸化炭素分離膜モジュール20Aで二酸化炭素が分離された混合ガス(すなわち、二酸化炭素分離膜モジュール20Aからの非透過ガス)に含まれる水素を当該混合ガスから分離して回収する。
二酸化炭素分離膜モジュール20Cは、二酸化炭素分離膜モジュール20Aと同じく、混合ガスが流入する流入口22と、二酸化炭素分離膜21を透過した透過ガス(高純度の二酸化炭素を含む)を排出する透過ガス排出口23と、二酸化炭素分離膜21を透過しなかった非透過ガスを排出する非透過ガス排出口24と、を備えている。二酸化炭素分離膜モジュール20Cの流入口22は、水素製造装置100からの混合ガスが通過するラインL1と接続されている。水素分離膜モジュール10Aの流入口12は、二酸化炭素分離膜モジュール20Cの非透過ガス排出口24からの非透過ガスが通過するラインL2と接続されている。二酸化炭素分離膜モジュール20Aの流入口22は、水素分離膜モジュール10Aの非透過ガス排出口14からの非透過ガスが通過するラインL3と接続されている。水素分離膜モジュール10Bの流入口12は、二酸化炭素分離膜モジュール20Aの非透過ガス排出口24からの非透過ガスが通過するラインL4と接続されている。水素分離膜モジュール10Bの非透過ガス排出口14は、ラインL5と接続されており、非透過ガスは、当該ラインL5を通過してオフガスとして所定の用途に利用される。また、水素分離膜モジュール10A,10Bの透過ガス排出口23は、水素回収ラインL6と接続されている。水素分離膜11を透過した透過ガスは、高純度の水素として水素回収ラインL6を通過して回収される。二酸化炭素分離膜モジュール20A,20Cの透過ガス排出口23は、二酸化炭素回収ラインL7と接続されている。二酸化炭素分離膜21を透過した透過ガスは、高純度の二酸化炭素として二酸化炭素回収ラインL7を通過して回収される。
水素分離膜モジュール10及び二酸化炭素分離膜モジュール20は、少なくとも、混合ガスが供給される供給部(供給室)と、分離膜11,21を透過した透過ガス(水素または二酸化炭素)を回収する回収部(回収室)と、供給部と回収部とを隔てる分離膜11,21と、を備えていればよい。この条件を満足する限り、分離膜モジュールの構成は限定されない。分離膜11,21の化学吸着能、及び供給部内の混合ガスの圧力と回収部内の雰囲気の圧力との差に駆動されて、回収部内の水素または二酸化炭素が分離膜11,21を透過して回収部へ移動する。透過ガスの圧力は低下する一方、非透過ガスは、高い圧力のまま、後段の分離膜モジュール10,20へ供給される。従って、水素製造装置100から高い圧力で供給された混合ガスは、途中で圧力を付与される必要なく、各段の分離膜モジュール10,20での分離・回収が行われる。
なお、図1,2に示すように4段のみに限らず、水素分離膜モジュール10及び二酸化炭素分離モジュール20を更に交互に配置して、それ以上の段数としてもよい。
水素分離膜モジュール10及び二酸化炭素分離膜モジュール20の構造の一例を図3に示す。図3(a)に示す分離膜モジュール10,20は、筒体15,25の内部に円筒状の分離膜11,21を配置することによって、構成されている。当該円筒状の分離膜11,21の内周側の空間が、混合ガスが供給される供給室SPを構成している。外周側の空間(分離膜11,21と筒体15,25との間の空間)が、分離膜11,21を透過した透過ガスを回収する回収室RCを構成している。筒体15,25の一方の端面には、混合ガスを流入させる流入口12,22及び非透過ガスを排出する非透過ガス排出口14,24が設けられる。流入口12,22及び非透過ガス排出口14,24は、供給室SPと連通されている。筒体15,25の他方の端面には、透過ガスを排出する透過ガス排出口13,23が設けられる。透過ガス排出口13,23は、回収室RCと連通されている。流入口12,22から流入した混合ガスは、分離膜11,21の内周側の供給室SP内に供給される。供給室SPと回収室RCの圧力差により、水素分離膜11は、混合ガスに含まれる水素の一部を透過させて、外周側の回収室RCで回収する。二酸化炭素分離膜21は、混合ガスに含まれる二酸化炭素の一部を透過させて、外周側の回収室RCで回収する。透過ガスは、透過ガス排出口13,23から排出される。一方、分離膜11,21を透過しなかった混合ガスは、非透過ガスとして非透過ガス排出口14,24から排出される。なお、供給室SP内では、内壁を設けることで混合ガスの流れを形成しているが、当該内壁の構成は特に限定されない。
図3(b)に示す分離膜モジュール10,20は、筒体15,25の内部に円筒状の分離膜11,21を配置することによって、構成されている。当該円筒状の分離膜11,21の外周側の空間(分離膜11,21と筒体15,25との間の空間)が、混合ガスが供給される供給室SPを構成している。内周側の空間が、分離膜11,21を透過した透過ガスを回収する回収室RCを構成している。筒体15,25の外周面には、混合ガスを流入させる流入口12,22及び非透過ガスを排出する非透過ガス排出口14,24が設けられる。流入口12,22及び非透過ガス排出口14,24は、供給室SPと連通されている。筒体15,25の一方の端面には、透過ガスを排出する透過ガス排出口13,23が設けられる。透過ガス排出口13,23は、回収室RCと連通されている。流入口12,22から流入した混合ガスは、分離膜11,21の外周側の供給室SP内に供給される。供給室SPと回収室RCの圧力差により、水素分離膜11は、混合ガスに含まれる水素の一部を透過させて、内周側の回収室RCで回収する。二酸化炭素分離膜21は、混合ガスに含まれる二酸化炭素の一部を透過させて、内周側の回収室RCで回収する。透過ガスは、透過ガス排出口13,23から排出される。一方、分離膜11,21を透過しなかった混合ガスは、非透過ガスとして非透過ガス排出口14,24から排出される。
なお、分離膜モジュール10,20の構成は、図3に示すものに限定されず、あらゆる構成を採用してよい。例えば、円筒状の分離膜11,21を筒体15,25内に複数本有していてもよい。また、円筒状ではなく平面状の分離膜11,21を用いてもよい。また、水素分離膜モジュール10と二酸化炭素分離膜モジュール20とで、同じ構成を採用してもよいが、互いに異なる構成を採用してもよい。また、水素分離膜モジュール10Aと水素分離膜モジュール10Bとで、同じ構成を採用してもよいが、互いに異なる構成を採用してもよい。また、二酸化炭素分離膜モジュール20Aと二酸化炭素分離膜モジュール20B(あるいは二酸化炭素分離膜モジュール20C)とで、同じ構成を採用してもよいが、互いに異なる構成を採用してもよい。
また、分離膜モジュール10,20での分離膜11,21の使用温度を調整するために、ヒーターなどの加熱機構を設けてもよい。
水素分離膜11は、水素を選択的に透過させることができるものであれば、特に限定されず、あらゆる種類の分離膜を適用できる。例えば、水素分離膜11として、多孔質膜(分子流によって分離するもの、表面拡散流によって分離するもの、毛管凝縮作用によって分離するもの、分子ふるい作用によって分離するものなど)や、非多孔質膜を適用することができる。
例えば、水素分離膜11は、Pd−Cu合金を含む。好ましくは、水素分離膜11は、Pd−Cu合金からなる。Pd−Cu合金製の水素分離膜11の使用温度は、150〜450℃が好ましく、300℃以下であることが好ましい。また、Pd−Ag合金を含む分離膜を適用してもよく、このときの使用温度は400〜600℃が好ましい。Nbを含む分離膜を適用してもよく、このときの使用温度は200〜400℃が好ましい。また、ゼオライト膜、無機膜(シリカ膜、カーボン膜など)、及び高分子膜(ポリイミド膜など)を適用してもよく、このときの使用温度は、常温〜200℃が好ましい。
二酸化炭素分離膜21は、ゼオライトを含む。二酸化炭素分離膜21は、ホージャサイト(Faujasite)型ゼオライトを含む。好ましくは、二酸化炭素分離膜21はホージャサイト型ゼオライトからなる。ホージャサイト型ゼオライトは、Na、Mg又はCaを含有するケイ酸塩であって、(Na,Ca,Mg)3.5[AlSi1748]・32(HO)で表される共通の化学組成を有するゼオライトである。ホージャサイト型ゼオライトは、直径が低分子量の分子の大きさとほぼ同じである細孔を有するため、分子ふるいとして作用する。つまり二酸化炭素分離膜21は、ホージャサイト型ゼオライトの細孔径よりも小さい特定の分子のみを選択的に透過させ、細孔径よりも大きい分子は透過させない。また、ホージャサイト型ゼオライトは固体酸であるため、細孔よりも小さい特定の分子のみを選択的に吸着する。このように、ホージャサイト型ゼオライトを含む二酸化炭素分離膜21は、分子の大きさに応じた分子ふるいの機能と、分子の組成に応じた化学吸着能と、を兼ね備えている。
仮に混合ガスが二酸化炭素、水素、メタン及び一酸化炭素の全てを含有する場合、これらの分子の中で二酸化炭素が最もホージャサイト型ゼオライト内に吸着され易い。したがって、二酸化炭素のみが選択的にホージャサイト型ゼオライト内に取り込まれて二酸化炭素分離膜21を透過する。他の分子は二酸化炭素に比べて二酸化炭素分離膜21を透過し難い。その結果、濃度が高い二酸化炭素を混合ガスから分離することができる。また、本実施形態によれば、二酸化炭素の回収率を高めることも可能である。なお、回収率とは、当初混合ガスに含まれていた二酸化炭素のうち二酸化炭素分離膜21を透過した二酸化炭素の割合である。
混合ガスは、二酸化炭素よりもホージャサイト型ゼオライトに吸着しやすい分子(例えば水)を含有しないことが好ましい。つまり、混合ガスにおける、二酸化炭素よりもホージャサイト型ゼオライトに吸着しやすい分子の含有率は、低いほど好ましい。よって、混合ガスにおける水分子の含有率は1mol%以下であればよい。また、混合ガス中の二酸化炭素の濃度(含有率)は50mol%であることが好ましい。混合ガス中の二酸化炭素の濃度が高いほど、分離された二酸化炭素の濃度が高まる傾向がある。
ホージャサイト型ゼオライトは、NaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライトであることが好ましい。ホージャサイト型ゼオライトは、NaY型ゼオライトであることがより好ましい。NaX型ゼオライトとは、金属元素(カチオン)としてNaを含有し、シリカアルミナ比が2より大きく3未満であるホージャサイト型ゼオライトである。NaY型ゼオライトとは、金属元素(カチオン)としてNaを含有し、シリカアルミナ比が3以上であるホージャサイト型ゼオライトである。シリカアルミナ比とは、ゼオライトを構成するSiOのモル数([SiO])と、ゼオライトを構成するAlのモル数([Al])との比([SiO]/[Al])である。
NaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライト中のNa(カチオン)は、二酸化炭素の化学吸着能に特に優れる。よって、NaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライトを含む二酸化炭素分離膜21を用いることにより、本実施形態に係る効果が顕著になる。
分離工程では、二酸化炭素分離膜21の温度を20〜120℃に調整することが好ましく、40〜110℃であることがより好ましい。これにより、二酸化炭素分離膜21における二酸化炭素の透過度(単位:mol/(m・s・Pa))が顕著に高くなる。二酸化炭素分離膜21の温度が約60℃であるとき、二酸化炭素分離膜21における二酸化炭素の透過度が最も高くなる。
二酸化炭素分離膜21の厚さは特に限定されないが、0.1〜10μmであればよい。二酸化炭素分離膜21が厚いほど、二酸化炭素の選択能が向上し、膜の強度も向上する傾向がある。二酸化炭素分離膜21が薄いほど、二酸化炭素の透過量が増加する傾向がある。二酸化炭素分離膜21の形状は特に限定されない。例えば、二酸化炭素分離膜21が管状であってもよい。
次に、本実施形態に係る水素精製装置1,2及び水素精製方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る水素精製装置1,2は、水素分離膜モジュール10A、二酸化炭素分離膜モジュール20A、水素分離膜モジュール10Bの順で各分離膜モジュールを備えている。従って、水素分離膜モジュール10Aの水素分離膜11で混合ガスから水素を分離する工程(第1の水素分離工程)、水素が分離された混合ガスから二酸化炭素分離膜モジュール20Aの二酸化炭素分離膜21で二酸化炭素を分離する工程(第1の二酸化炭素分離工程)、二酸化炭素が分離された混合ガスから水素分離膜モジュール10Bの水素分離膜11で水素を分離する工程(第2の水素分離工程)が実行される。一段目の水素分離膜モジュール10Aの水素分離膜11で水素を分離された混合ガスは、二酸化炭素の濃度が高くなっているため、そのまま後段の水素分離膜モジュール10Bで水素分離を行っても、効率よく水素を分離することはできない。しかし、一段目の水素分離膜モジュール10Aの後段で二酸化炭素分離膜モジュール20Aの二酸化炭素分離膜21で混合ガスから二酸化炭素を分離することで、混合ガスの水素の濃度を高くすることができる。水素の濃度が高い状態の混合ガスを後段の水素分離膜モジュール10Bで水素分離を行うことで、効率よく水素を分離することができる。従って、水素精製装置1,2は、高い水素回収率で水素を精製することができる。同時に、効率よく二酸化炭素を回収することも可能となる。
また、従来のPSA法による水素精製装置では、圧力調整機構(加圧装置及び真空装置)を設けて、吸着工程での加圧及び脱着工程での減圧を行わなくてはならないため、水素精製のためのエネルギー消費量が大きくなる。また、高純度水素の回収率を高められないという問題がある。また、二酸化炭素分離回収型の水素精製方法として、アミン吸収塔(二酸化炭素分離)及びPSA(水素精製)を組み合わせた方法を採用した場合、高純度水素精製時にアミン吸収塔での吸収液再生によるエネルギー消費量が大きくなり、エネルギー効率が低下するという問題がある。また、PSA(二酸化炭素分離)及びPSA(水素分離)を組み合わせた方法を採用した場合、二酸化炭素分離用PSAにおいて真空ポンプの設備が必要となるため、水素精製装置の設置面積が大きくなるという問題がある。一方、本実施形態に係る水素精製装置1,2では、ガスの圧力差を利用して分離を行うためエネルギーの消費量が小さくなる。水素製造装置100から高圧の混合ガスが供給され、当該供給圧力をそのまま各分離膜での分離のための駆動力として用いることができる。従って、PSA法のように加圧・減圧のための多大なエネルギーが不要となるため、少ないエネルギーの消費量にて、高い回収率で水素を精製することができる。また、加圧装置や真空装置などが不要であるため、水素精製装置1,2の設置面積も縮小することができる。
また、本実施形態に係る水素精製装置1,2では、二酸化炭素分離膜21がゼオライトを含んでいる。ゼオライトを含んだ二酸化炭素分離膜21の単位面積当たりの二酸化炭素の透過量は、従来の化学吸着法で用いる液体促進輸送膜の約200倍程度の値に達する場合もある。これにより、効率良く二酸化炭素を分離することができ、それに伴って、後段の水素分離膜モジュール10Bでも効率よく水素を分離できるようになる。また、単位面積当たりの二酸化炭素の透過量が大きいことで、二酸化炭素分離膜21は、その面積を液体促進輸送膜よりも小さくしたとしても、十分な分離能を維持する。従って、二酸化炭素分離膜21の膜面積を小さくすることで二酸化炭素分離膜モジュール20を小さくし、水素精製装置1,2の小型化を図ることが可能となり、コストの低減も可能となる。また、液体促進輸送膜を用いた場合は、膜面積が大きくなるため、使用温度の調整のための熱量が大きくなり、エネルギー消費量も多くなるが、本実施形態に係る水素精製装置1,2では、二酸化炭素分離膜21の小型化を図ることで、使用温度の調整のための熱量を抑えることができ、エネルギー消費量を少なくできる。
本実施形態に係る水素精製装置1では、水素分離膜モジュール10Bの後段に二酸化炭素分離膜モジュール20Bが配置されている。水素分離膜モジュール10Bで水素を分離された混合ガスは、二酸化炭素の濃度が高くなっているため、後段の二酸化炭素分離膜モジュール20Bにて効率よく二酸化炭素を回収することができる。
本実施形態に係る水素精製装置2では、水素分離膜モジュール10Aの前段に二酸化炭素分離膜モジュール20Cが配置されている。水素製造装置100からの混合ガスの二酸化炭素濃度が高い場合は、水素分離膜モジュール10Aで効率よく水素を回収することができない。しかしながら、前段で二酸化炭素分離膜モジュール20Cで混合ガスから二酸化炭素を分離して水素の濃度を高めることで、水素分離膜モジュール10Aにて効率よく水素を回収することができる。同時に、効率よく二酸化炭素を回収することもできる。
また、二酸化炭素分離膜21のゼオライトがNaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライトであり、使用温度が120℃以下であることが好ましい。当該ゼオライトは、他のゼオライトに比して二酸化炭素に対する吸着性が強い。従って、二酸化炭素の分離性能が向上する(回収した二酸化炭素の純度が上がる)。
また、水素分離膜11は、Pd−Cu合金を含み、使用温度が300℃以下であることが好ましい。この場合、後段のゼオライトを含む二酸化炭素分離膜21の性能に影響しない(水素分離膜モジュール内で発生する水の濃度が小さい)。水素分離膜モジュール内の反応で発生する水が少量であるため、後段のゼオライト膜において水の吸着によるCO分離阻害(水がゼオライト膜に吸着してCO透過量が減少し、透過CO濃度が低下する)が起こらない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験1]
実施例として、図1に示す構成に係る水素精製装置を用いて、水素製造装置(HPU)から供給される混合ガスから、99.99%の高純度水素を精製したときの、エネルギー効率及び高純度水素の回収率をプロセスシミュレータを用いて計算を行った。各分離膜モジュールの構成として図3(b)に示す構成を採用した。当該水素精製装置に供給した混合ガスの組成は、「H:CO:CO:CH=71.8:20.5:4.0:3.7」(単位はmol%)であった。混合ガスの供給量は、1214m/hであった。混合ガスの供給圧は、1.86MPaGであった。透過側水素の圧力を0.5MPaGとし、CO分離膜におけるCO/H分離係数を10とした。
比較例として、従来のPSA法による水素精製装置を用いて、水素製造装置(HPU)から供給される混合ガスから、99.99%の高純度水素を精製したときの、エネルギー効率及び高純度水素の回収率をプロセスシミュレータを用いて計算を行った。当該水素精製装置に供給した混合ガスの組成は、「H:CO:CO:CH=71.8:20.5:4.0:3.7」(単位はmol%)であった。混合ガスの供給量は、1214m/hであった。混合ガスの供給圧は、1.86MPaGであった。また、PSA法による水素精製の条件として、水素回収率を80%とした。
もう一つの比較例として、化学吸着法及びPSA法による水素精製装置を用いて、水素製造装置(HPU)から供給される混合ガスから、99.99%の高純度水素を精製したときの、エネルギー効率及び高純度水素の回収率をプロセスシミュレータを用いて計算を行った。当該水素精製装置に供給した混合ガスの組成は、「H:CO:CO:CH=71.8:20.5:4.0:3.7」(単位はmol%)であった。混合ガスの供給量は、1214m/hであった。混合ガスの供給圧は、1.86MPaGであった。また、化学吸着法及びPSA法による条件は、化学吸着法におけるCO回収エネルギーを5730kJ/kg−COとし、後段のPSAにおける水素回収率を80%とした
上述の計算結果を図4に示す。図4に示すように、高純度水素回収率は、比較例である「PSA」は70%、「化学吸着法+PSA」は80%であるのに対して、実施例は90%であった。これにより、実施例は、水素分離と二酸化炭素分離を交互に行うことで効率よく水素が回収され、比較例に比して高純度水素回収率が高いことが理解される。また、エネルギー効率は、比較例である「PSA」は53%、「化学吸着法+PSA」は50%であるのに対して、実施例は65%であった。なお、エネルギー効率は、「回収できる水素のエネルギー/(供給される混合ガス中の水素のエネルギー+水素の分離に用いられるエネルギー)」で計算される。水素の分離に用いられるエネルギーとは、PSAの場合は、吸着工程と脱着工程のために圧力を変化させるのに消費されるエネルギーであり、実施例においては、分離膜を加熱するヒーターで消費されるエネルギーである。比較例では、圧力調整のために多大なエネルギーが消費される。これに対し、実施例では、水素製造装置からの混合ガスの供給圧力をそのまま各分離膜での分離のための駆動力に用いることができ、途中で圧力を調整する必要はないため、分離膜を加熱するヒーターのエネルギーのみが消費される。ヒーターによるエネルギー消費量は、PSAの圧力調整のためのエネルギー消費量に比して少ないため、実施例のエネルギー効率が高くなることが理解される。
[実験2]
次に、二酸化炭素分離膜としてゼオライトからなる分離膜を用いた場合と、液体促進輸送膜を用いた場合の、比較を行った。
実施例として、図3(b)に示す構成の水素分離膜モジュールの後段に、図3(b)に示す構成の二酸化炭素分離膜モジュールを設けた二段構成の水素精製装置を準備した。当該水素精製装置に供給した混合ガスの組成は、「H:CO:CO:CH=70:20:5:5」(単位はmol%)であった。混合ガスの供給量は、50L/hであった。混合ガスの供給圧は、2MPaGであった。二酸化炭素分離膜は、NaY型ゼオライトからなる。このときの二酸化炭素分離膜の有効膜長(分離膜からなる円筒の高さ)は2cm、膜面積(分離膜の片面の総面積)は10cmであった。二酸化炭素分離膜の厚さは約2μmであった。二酸化炭素分離膜の使用温度は60℃であった。二酸化炭素分離膜モジュールの回収室側の圧力は大気圧に維持した。二酸化炭素の回収にはスィープガスを用いなかった。水素分離膜は、Pd−Cu合金からなる。このときの水素分離膜の有効膜長は9.2cm、膜面積は80cmであった。水素分離膜の厚さは22μmであった。水素分離膜の使用温度は250℃であった。水素分離膜モジュールの回収室側の圧力は大気圧に維持した。水素の回収にはスィープガスを用いなかった。
比較例として、図3(b)に示す構成の水素分離膜モジュールの後段に、図3(b)に示す構成の液体促進輸送膜を用いた二酸化炭素分離膜モジュールを設けた二段構成の水素精製装置を準備した。当該水素精製装置に供給した混合ガスの組成は、「H:CO:CO:CH=70:20:5:5」(単位はmol%)であった。混合ガスの供給量は、300L/hであった。混合ガスの供給圧は、2MPaGであった。液体促進輸送膜は、イオン液体と多孔質支持体からなる。このときの液体促進輸送膜の有効膜長(分離膜からなる円筒の高さ)は2772cm(18cm長×154本)、膜面積(分離膜の片面の総面積)は2090cmであった。液体促進輸送膜の厚さは1.3mmであった。液体促進輸送膜の使用温度は80℃であった。液体促進輸送膜モジュールの回収室側の圧力は2MPaGに維持した。二酸化炭素の回収にはスィープガスを用いた。水素分離膜は、Pd−Cu合金からなる。このときの水素分離膜の有効膜長は100.9cm、膜面積は880cmであった。水素分離膜の厚さは22μmであった。水素分離膜の使用温度は250℃であった。水素分離膜モジュールの回収室側の圧力は大気圧に維持した。水素の回収にはスィープガスを用いなかった。
実施例及び比較例について、水素精製開始からの経過時間に対する、水素回収率、二酸化炭素回収率、透過二酸化炭素濃度を測定した。測定結果を図5に示す。透過二酸化炭素濃度とは、二酸化炭素分離膜モジュールの回収室内の気体中の二酸化炭素の濃度である。また、実施例の二酸化炭素分離膜及び比較例の液体促進輸送膜の水素と二酸化炭素のガス透過度を測定した。ガス透過度とは、ガス透過速度を膜面積およびガス分圧差で除した値である。測定結果を図6に示す。まず、実施例と比較例の分離膜の二酸化炭素の分離性能の比較を行う。図5の透過二酸化炭素濃度が高い程、分離性能が高いことを示し、図6の水素のガス透過度と二酸化炭素のガス透過度の差が大きい程、分離性能が高いことを示す。図5及び図6に示すように、比較例の方が若干分離性能が高いものの、実施例の二酸化炭素分離膜は十分に高い分離性能を有することが理解される。一方、図6から理解されるように、実施例のゼオライトからなる二酸化炭素分離膜は、比較例の液体促進輸送膜に比して、約200倍の二酸化炭素のガス透過度を示している。また、図5から理解されるように、実施例は比較例よりも二酸化炭素の回収率が高い。このことより、実施例の二酸化炭素分離膜は、比較例の液体促進輸送膜よりも膜面積を大幅に小さくしているにも関わらず、二酸化炭素の回収率を高くできることが理解される。二酸化炭素の回収率が高いと、非透過ガスの水素の濃度が高くなるため、二酸化炭素分離膜モジュールの後段に配置される水素分離膜モジュールにおいて、効率良く水素を回収することができる。液体促進輸送膜を用いる場合は、膜が大きくなることにより水素精製装置全体の大きさも大きくなってしまう。また、液体促進輸送膜は、ゼオライト膜よりも使用温度が高い上に膜面積も大幅に大きいため、加熱のための熱量が多くなりエネルギー効率も低下する。一方、ゼオライト膜を用いることで、二酸化炭素分離膜を小さくできるため、水素精製装置の小型化を図ると共にエネルギー効率も高くすることができる。
本発明は、水素を精製する技術として利用可能である。
1,2…水素精製装置、10A…水素分離膜モジュール(第1の水素分離部)、10B…水素分離膜モジュール(第2の水素分離部)、20A…二酸化炭素分離膜モジュール(第1の二酸化炭素分離部)、20B…二酸化炭素分離膜モジュール(第2の二酸化炭素分離部)、20C…二酸化炭素分離膜モジュール(第3の二酸化炭素分離部)、11…水素分離膜、21…二酸化炭素分離膜、100…水素製造装置。

Claims (6)

  1. 少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素を精製する水素精製装置であって、
    水素を選択的に透過させる水素分離膜を用いて、前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第1の水素分離部と、
    前記第1の水素分離部の後段に配置され、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜を用いて、前記第1の水素分離部で水素が分離された前記混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第1の二酸化炭素分離部と、
    前記第1の二酸化炭素分離部の後段に配置され、前記水素分離膜を用いて、前記第1の二酸化炭素分離部で二酸化炭素が分離された前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第2の水素分離部と、を備え、
    前記二酸化炭素分離膜が、ゼオライトを含む、水素精製装置。
  2. 前記第2の水素分離部の後段に配置され、前記二酸化炭素分離膜を用いて、前記第2の水素分離部で水素が分離された前記混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第2の二酸化炭素分離部を更に備える、請求項1に記載の水素精製装置。
  3. 前記第1の水素分離部の前段に配置され、前記二酸化炭素分離膜を用いて、前記混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第3の二酸化炭素分離部を更に備え、
    前記第1の水素分離部は、前記水素分離膜を用いて、前記第3の二酸化炭素分離部で二酸化炭素が分離された前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する、請求項1に記載の水素精製装置。
  4. 前記ゼオライトがNaX型ゼオライト又はNaY型ゼオライトであり、使用温度が120℃以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の水素精製装置。
  5. 前記水素分離膜は、Pd−Cu合金を含み、使用温度が300℃以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の水素精製装置。
  6. 少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガスから水素を精製する水素精製方法であって、
    水素を選択的に透過させる水素分離膜を用いて、前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第1の水素分離工程と、
    二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素分離膜を用いて、前記第1の水素分離工程で水素が分離された前記混合ガスに含まれる二酸化炭素を当該混合ガスから分離する第1の二酸化炭素分離工程と、
    前記水素分離膜を用いて、前記第1の二酸化炭素分離工程で二酸化炭素が分離された前記混合ガスに含まれる水素を当該混合ガスから分離する第2の水素分離工程と、を備え、
    前記二酸化炭素分離膜が、ゼオライトを含む、水素精製方法。
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