JP2014000076A - セリンパルミトイルトランスフェラーゼ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド;特定のアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるか、または特定のアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド;特定のアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるか、または特定のアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、からなる群より選択されるポリペプチドのいずれか1つを含む、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ。
【選択図】なし
Description
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;および
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、
からなる群より選択されるいずれか1つを含む、セリンパルミトイルトランスフェラーゼを提供する。
また本発明は、上記セリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を提供する。
また本発明は、上記セリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含有するベクターを提供する。
また本発明は、上記ベクターを含むか、または上記セリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をゲノム上に含む形質転換細胞を提供する。
さらに本発明は、上記形質転換細胞を培養する工程を含むセリンパルミトイルトランスフェラーゼの製造方法を提供する。
また本明細書において、「1〜複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列」としては、1〜800個、好ましくは1〜400個、より好ましくは1〜200個、さらに好ましくは1〜100個、さらにより好ましくは1〜50個、なお好ましくは1〜20個、なおさらに好ましくは1〜10個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列が挙げられる。
生成されるセラミド前駆体の量は、反応液からセラミド前駆体を抽出し、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどに供することによって測定することができる。また、基質に放射性同位体を使用すれば、生成物の放射性同位体量を定量することによって生成されるセラミド前駆体の量を測定することができる。例えば、細胞培養液からのセラミド前駆体の抽出には、クロロホルム、メタノール、アセトンなどの有機溶媒を使用することができる。
上記(d)〜(f)の遺伝子は、好ましくは、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有するポリペプチドをコードしている。より好ましくは、当該ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフが配列番号4の381位から388位、またはそれに相当する領域に存在するポリペプチドをコードしている。
例えば、本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を内在的に有する宿主細胞においては、当該セリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の上流に、野生型とは異なるプロモーター、好ましくは、上述した宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーターを導入し、連結することにより、当該セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子を過剰発現させてセリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を強化することができる。
一方、本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を内在的に有しない宿主細胞においては、当該微生物に本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を発現可能に導入することによって、本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を付与することができる。発現可能に導入する手段としては、例えば、当該セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子の上流に、上述した宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーターが連結されたベクターを用いる方法や、上述した蛋白質の高発現を誘導するプラスミドに当該セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子を連結して宿主細胞に導入する方法、または宿主細胞に当該セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子をゲノムに導入して、当該宿主細胞で発現量の多い遺伝子のプロモーターの下流に連結する方法、などが挙げられる。
これらの方法により、当該本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を過剰発現する形質転換細胞を得ることができる。
S.bombicola NBRC10243株を、50g/LのYPD Broth(日本BD製)5mLを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、SL培地(10%(D)−グルコース、1%尿素、0.5%BactoTMYeast Extract、10%パルミチン酸エチル(東京化成工業)、塩酸にてpH5.0となるよう調整)5mLに2%植菌した。培養器は100mL容試験管を用い、30℃、250rpmで48時間培養し、菌体を回収した。
回収した菌体のTotal RNAを抽出した。RNAの抽出にはRNeasy Mini Kit(キアゲン)を用い、方法は添付のプロトコールを一部改変した。すなわち、回収した菌体にBuffer Y1(1mL)を添加し、30℃で30分振とうする際に、バッファーにザイモリエイス−20Tを100U/mLとなるよう添加し、細胞壁を溶解させた。得られたTotal RNAよりSMARTer cDNA synthesis Kit(クロンテック)を用いて、完全長cDNAライブラリを合成した。遺伝子発現解析は株式会社ジナリスに委託し、cDNA配列情報、およびアノテーションデータを得た。
なお、S.cerevisiae由来LCBの191位に相当するアミノ酸残基はバリンであることがセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性に必要であるとされているが、配列番号2および4に示すアミノ酸配列ではバリンではなくアラニンであった。
さらに、配列番号1示される遺伝子および配列番号3で示される遺伝子は、S.bombicola KSM36株ゲノムにも存在することが分かった。以後の実施例において、配列番号1および配列番号3で示されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子を、それぞれ本発明のLCB1遺伝子およびLCB2遺伝子と称する。
(1)ウラシル要求性株の取得
S.bombicola KSM36株(FERM BP−799)を0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2% グルコース、0.03%ウラシルおよび1.5%Agarを含むSD−U寒天培地に接種したのち、30℃で1ヶ月間培養し、得られた菌体を1mLの0.8%食塩水に一白金耳懸濁し、0.68%Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2%グルコース、0.03%ウラシル、および5−フルオロオロチン酸、1.5%Agarを含むSD-UF寒天培地に100μL塗抹し30℃で2週間培養した。生育したコロニーを再度SD−UF寒天培地で培養した後、それぞれについてウラシル要求性、5−フルオロオロチン酸耐性を確認し、ウラシル要求性株を取得した。
S.bombicola KSM36株および得られたウラシル要求性株を50g/LのYPD Broth(日本BD製)5mLを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。培養液1mLを5000rpm、4℃で5分間遠心して集めた菌体からGenとるくんTM(TAKARAバイオ)を用い、添付の方法に従ってゲノムDNAを抽出した。表1記載のプライマー(配列番号5,6)およびKOD−plus.ver2(TOYOBO)を用いてウラシル生合成に関わるオロチジンでカルボキシラーゼをコードするURA3遺伝子を増幅し、PCR産物を鋳型としてURA3遺伝子の配列をシーケンス解析し、S.bombicola NBRC10243株の配列(GenBank accession No.DQ916828)と比較した。その結果、S.bombicola KSM36株はS.bombicola NBRC10243株のURA3遺伝子と同じ配列を有すること、ウラシル要求性株は皆54位のシステインがチロシンに変異していることが確認された。得られた変異体をS.bombicola KSM36−ura3株として取得した。
実施例2で得られたS.bombicola KSM36株ゲノムDNAを鋳型に、表2記載の配列番号7と8のプライマーおよび配列番号9と10のプライマーを用いて、本発明のLCB1遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。同様に、配列番号13と14のプライマーおよび配列番号15と16のプライマーを用いて、本発明のLCB2遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。さらに、配列番号11と12のプライマーおよび配列番号17と18のプライマーを用いて、当該プライマー領域を含むURA3遺伝子領域を増幅した。次に得られたPCR産物を鋳型にSOE-PCRによって本発明のLCB1遺伝子上流領域とURA3遺伝子と該LCB1遺伝子下流領域(配列番号7、10のプライマー)、または本発明のLCB2遺伝子上流領域とURA3遺伝子と該LCB2遺伝子下流領域(配列番号13、16のプライマー)の組み合わせでDNAを連結させ、pTA2ベクターとライゲーションすることによってpTA2-lcb1::URA3プラスミドおよびpTA2-lcb2::URA3プラスミドを構築した。さらに、pTA2-lcb1::URA3プラスミドを鋳型に表2記載の配列番号7、10のプライマーを使用してLCB1遺伝子欠損用カセットを増幅し、またpTA2-lcb2::URA3プラスミドを鋳型に表2記載の配列番号13、16のプライマーを使用してLCB2遺伝子欠損用カセットを増幅したのち、High pure PCR product purification kitを用いて精製した。
上記(1)で作製したS.bombicola KSM36−ura3株を、5mLのYPD Brothを含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた培養液を、YPD Broth50mLを含む坂口フラスコに1%植菌し、30℃、120rpmでOD600=1〜2になるまで培養した。増殖した菌体を3000rpm、4℃で5分間遠心して集菌した後、氷上で冷やした滅菌水20mLで2回洗浄した。菌体を氷冷した1mLの1Mソルビトール溶液に懸濁し、5000rpm、4℃で5分間遠心し、上清を捨てたのち、400μLの1Mソルビトール溶液を加えて氷上に置き、ピペッティングで懸濁した。この酵母懸濁液を50μLずつ分注し、形質転換用のDNA溶液を1μg加えた。酵母懸濁液を氷冷した0.2cmギャップのチャンバーに移したのち、GENE PULSER II(BIO−RAD)を用いて25μF,350Ω、2.5kVのパルスをかけた。氷冷した1Mソルビトール入りYPD Brothを加えて1.5mL容チューブに移し、30℃で2時間振とうした後、5000rpm、4℃で5分間遠心して菌体を回収し、200μLの1Mソルビトール溶液に再懸濁して100μLずつ選択培地に塗抹し、30℃で約1週間培養した。選択培地には、0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、20〜200μM フィトスフィンゴシン(Cosmoferm)、0.05% レオドールO320V(花王)、および1.5% Agarを含むSD-ura+PHS寒天培地を使用した。生育したコロニーをSD-ura-PHS培地および0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、および1.5% Agarを含むSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura-PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は本発明のLCB1遺伝子欠損株の場合は表2記載の配列番号7、10のプライマー、本発明のLCB2遺伝子欠損株の場合は表2記載の配列番号13、16のプライマーを用いてKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、および配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、S.bombicola KSM36−Δlcb1株、およびS.bombicola KSM36−Δlcb2株として取得した。
S.bombicola KSM36株、S.bombicola KSM36−Δl
cb1株、およびS.bombicola KSM36−Δlcb2株を100μMフィ
トスフィンゴシンおよび0.05%レオドールO320Vを含むYPD寒天培地(YPD-PHS寒天培地)に塗抹し、生育したコロニーを5mLのYPD-PHS培地を含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。得られた菌体を3000rpm、4℃で5分間遠心して集菌した後、5mLのSD−ura培地で3回洗浄し、OD600が約0.3になるように合わせてSD−ura培地または20〜100μMフィトスフィンゴシンおよび0.05%レオドールO320Vを含むSD−ura−PHS培地または20μMジヒドロスフィンゴシンおよび0.05%レオドールO320Vを含むSD−ura−DHS培地に植菌した。培養器は500mL容ひだ付フラスコを用い、30℃、210rpmで48時間培養し、培養挙動を解析した。
D−ura培地では増殖しないのに対し、SD−ura−PHS培地では増殖し、フィトスフィンゴシン濃度が100μMのときS.bombicola KSM36株とほぼ同等に増殖することが確認された。この性質は、S.cerevisiaeのlcb1変異株の性質と一致し、評価した遺伝子がセリンパルミトイルトランスフェラーゼのLCBサブユニットの遺伝子であることが確かめられた。よって、S.cerevisiae由来LCBの191位に相当するアミノ酸残基はバリンであることは必須ではないとの予想外の結果が得られた。
Claims (12)
- 以下からなる群より選択されるポリペプチドのいずれか1つを含む、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ:
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と43%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と55%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド;および
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド。 - 前記(A)〜(C)のポリペプチドが、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置にシステイン残基を有する、請求項1記載のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ。
- 前記(D)〜(F)のポリペプチドが、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する、請求項1または2記載のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ。
- 前記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドと、前記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドとの組み合わせを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ。
- Starmerella bombicola由来のセリンパルミトイルトランスフェラーゼである、請求項1〜4のいずれか1項記載のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ。
- 請求項1〜5のいずれか1項由来のセリンパルミトイルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
- 以下からなる群より選択される遺伝子のいずれか1つを含む、請求項6記載の遺伝子:
(a)配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子;
(b)配列番号1で示される塩基配列と40%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(c)配列番号1で示される塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;
(d)配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子;
(e)配列番号3で示される塩基配列と50%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;および
(f)配列番号3で示される塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、且つセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子。 - 前記(a)〜(c)からなる群より選択される遺伝子と、前記(d)〜(f)からなる群より選択される遺伝子との組み合わせを含む、請求項6又は7記載の遺伝子。
- Starmerella bombicola由来の遺伝子である、請求項6〜8のいずれか1項記載の遺伝子。
- 請求項6〜9のいずれか1項記載の遺伝子を含有するベクター。
- 請求項10記載のベクターを含むか、または請求項6〜9のいずれか1項記載の遺伝子をゲノム上に含む形質転換細胞。
- 請求項11記載の形質転換細胞を培養する工程を含むセリンパルミトイルトランスフェラーゼの製造方法。
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