JP2013545982A - スペクトル対スペクトルベースの水素−重水素交換制御 - Google Patents

スペクトル対スペクトルベースの水素−重水素交換制御 Download PDF

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Abstract

【課題】
【解決手段】イオン分離用の液体クロマトグラフィーデバイスを備えた質量分析計が開示されている。気相イオンニュートラル反応デバイスが、水素−重水素交換のような気相イオンニュートラル反応を実施する目的で、下流に配置される。制御システムが、反応デバイスを自動的に何度も第1の操作モードと第2の操作モードとの間で切り替える目的で配置され、その場合、第1の操作モードにおいては、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記反応デバイス内で反応させられ、第2の操作モードにおいては、反応させられる親イオンまたは前駆体イオンは実質的に希少かゼロになる。
【選択図】図5

Description

[関連出願の相互参照]
本願は、2010年12月9日に出願された米国暫定特許出願番号第61/421377号および2010年11月16日に出願された英国特許出願第1019337.3号に対する優先権および恩恵を請求する。これらの出願の全内容を、参照のためここで記載している。
本願は、質量分析計および質量分析法に関する。
生体分子(タンパク質およびペプチドを含む)の立体配座は、分子内非共有相互作用に非常に左右される。このような相互作用は、分子レベルで、生体分子の機能を制御する生物学的プロセス(分子の認識、調節、移送等)の大部分を決定する。
生体分子を投薬治療法として用いることへの関心が高まるにつれて、品質管理として、合成された生体分子が成分の観点から適切であるというだけではなく立体配座または形状の観点からも適切であることを判断する必要性が高まってきている。
Anal. Chem. 2009, 81, 10019-10028(非特許文献1)は、進行波イオンガイドにおける気相水素/重水素交換を開示している。
Anal. Chem. 2009, 81, 10019-10028
改良型の質量分析計および質量分析法の提供が望まれる。
本発明の一形態によると、
イオン分離用の第1デバイスと、
気相イオンニュートラル反応を実施するために第1デバイスの下流に配置された第2デバイスと、
第2デバイスを制御するための制御システムと、
質量分析器とを備えた質量分析計であって、
制御システムが、第2デバイスを第1の操作モードと第2の操作モードとの間で自動的に何度も切り替えるために配置および適用され、第1の操作モードにおいて親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が第2デバイス内で反応させられ、第2の操作モードにおいて、反応させられる親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになることを特徴とする質量分析計が提供される。
本発明の別の一形態によると、
イオン分離用の第1デバイスと、
気相イオンニュートラル反応を実施するために第1デバイスの下流に配置された第2デバイスと、
第2デバイスを制御するための制御システムと、
質量分析器とを備えた質量分析計であって、
制御システムが、質量分析計を、第1の操作モードと第2の操作モードとの間で自動的に何度も切り替えるために配置および適用され、第1の操作モードにおいて親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が第2デバイス内で反応させられ、第2の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンが第2デバイスを迂回させられることを特徴とする質量分析計が提供される。
第2デバイスは、気相水素−重水素交換を実施するために配置および適用されるのが好ましい。
第1の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が第2デバイス内で重水素化され、第2の操作モードにおいて、重水素化される親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになるのが好ましい。
質量分析計が、第2デバイスに試薬ガスまたは蒸気を供給するためのデバイスをさらに備え、試薬ガスまたは蒸気が(i)重水素化アンモニアまたはND3、(ii)重水素化メタノールまたはCD3OD、(iii)重水素化水またはD2O、および(iv)重水素化硫化水素またはD2Sからなる群から選択されるのが好ましい。
第2デバイスが、オゾン分解を実施するために配置および適用されてもよい。
制御システムが、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に、第2デバイスまたは質量分析計のいずれかを、第1と第2の操作モードの間で切り替えるために配置および適用されるのが好ましい。
第1デバイスが、液体クロマトグラフィーまたはキャピラリー電気泳動デバイスを備えていてもよい。
第2デバイスが、
(i)複数の電極を備え、各電極がアパーチャを備えるかまたはイオンガイド領域を形成することにより使用時にイオンがそこを通って送られるイオントンネルまたはイオンファンネルデバイス、
(ii)多極ロッドセットデバイス、または
(iii)平面上に配置された複数の平面電極であって、イオンが概ねデバイスを通って送られる平面電極からなる群から選択されてもよい。
第2デバイスが複数の電極を備え、1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が前記電極に印加されてもよい。
1実施態様によると、第1の操作モードにおいて、制御システムが、第2デバイス内での親イオンまたは前駆体イオンの平均残留時間がT1となるよう1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が電極に印加される振幅および/または速度を設定するために配置および適用され、
第2の操作モードにおいて、制御システムが、第2デバイス内での親イオンまたは前駆体イオンの平均残留時間がT2となるよう1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が電極に印加される振幅および/または速度を設定するために配置および適用され、
T2<T1であってもよい。
制御システムが、
(i)第1の操作モードにおいて第2デバイス中で反応させられ、第2デバイスから出射する親イオンまたは前駆体イオンが質量分析器により質量分析されて第1質量スペクトルまたは第1質量スペクトルデータを形成するようにし、
(ii)第2の操作モードにおいて第2デバイス中で反応させられずに第2デバイスから出射する親イオンまたは前駆体イオンが質量分析器により質量分析されて第2質量スペクトルまたは第2質量スペクトルデータを形成するようにし、
(iii)第1質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを第2質量スペクトルまたは第2質量スペクトルデータと比較するという目的で配置および適用されるのが好ましい。
質量分析計が、第2デバイスの下流に配置されたフラグメンテーションデバイスをさらに備え、フラグメンテーションデバイスが、第1の操作モードおよび/または第2の操作モードにおいて、第2デバイスから出射するイオンを断片化するために配置および適用されるのであってもよい。
フラグメンテーションデバイスが、電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス、電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス、または衝突誘発解離(「CID」)フラグメンテーションデバイスを備えていてもよい。
制御システムが、
(i)フラグメンテーションデバイスから出射する重水素化フラグメントイオンが質量分析器により質量分析されて第3質量スペクトルまたは第3質量スペクトルデータを形成するようにし、
(ii)フラグメンテーションデバイスから出射する非重水素化(重水素化されていない)フラグメントイオンが質量分析器により質量分析されて第4質量スペクトルまたは第4質量スペクトルデータを形成するようにし、
(iii)第3質量スペクトルまたは第3質量スペクトルデータを第4質量スペクトルまたは第4質量スペクトルデータと比較することを目的として配置および適用されるのが好ましい。
制御システムが、
(i)重水素化親イオンまたは重水素化前駆体イオンを、LC溶出時間および/またはイオン移動度ドリフト時間に基づいて、対応する非重水素化親イオンまたは非重水素化前駆体イオンと相関させる、および/または、
(ii)重水素化フラグメントイオンおよび/または非重水素化フラグメントイオンを、LC溶出時間および/またはイオン移動度ドリフト時間に基づいて、対応する重水素化親イオンもしくは重水素化前駆体イオンおよび/または非重水素化親イオンもしくは非重水素化前駆体イオンと相関させることを目的として配置および適用されるのが好ましい。
本発明の一形態によると、
第1デバイス中でイオンを分離し、
第1デバイスの下流に配置された第2デバイス中で前記イオンに対し気相イオンニュートラル反応を実施し、
イオンを質量分析する質量分析法であって、
同方法においてさらに、
第1の操作モードと第2の操作モードとの間で第2デバイスを自動的に何度も切り替えることを特徴とする質量分析法であって、第1の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が第2デバイス内で反応させられ、第2の操作モードにおいて、反応する親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになる質量分析法が提供される。
本発明の一形態によると、
第1デバイス中でイオンを分離し、
第1デバイスの下流に配置された第2デバイス中で前記イオンに対し気相イオンニュートラル反応を実施し、
イオンを質量分析する質量分析法であって、
同方法においてさらに、
第1の操作モードと第2の操作モードとの間で質量分析計を自動的に何度も切り替えることを特徴とする質量分析法であって、第1の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が第2デバイス内で反応させられ、第2の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンが第2デバイスを迂回させられる質量分析法が提供される。
同方法においてさらに、第1の操作モードと第2の操作モードとの間を、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に切り替えるのが好ましい。
本発明の一形態によると、
気相イオンニュートラル反応デバイスと、
気相イオンニュートラル反応デバイスを制御するための制御システムとを備えた質量分析計であり、
第1の操作モードにおいてイオンが気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に長い平均残留時間T1を持つよう配置され、第2の操作モードにおいてイオンが気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に短いかまたはゼロの残留時間T2を持つよう配置されるように、気相イオンニュートラル反応デバイス内でイオンの残留時間を自動的に何度も変化させることを目的として、制御システムが配置および適用される質量分析計が提供される。
気相イオンニュートラル反応デバイスが水素−重水素交換デバイスまたはオゾン分解デバイスを備えるのが好ましい。
第1の操作モードにおいてイオンが重水素化され、第2の操作モードにおいてイオンが非重水素化されたままであるのが好ましい。
制御システムが、第1の操作モードと第2の操作モードとの間を少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に切り替えるために配置および適用されるのが好ましい。
本発明の一形態によると、
気相イオンニュートラル反応デバイス中で気相イオンニュートラル反応をイオンに対し実施することを含む質量分析法であり、
方法においてさらに、
第1の操作モードにおいてイオンが気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に長い平均残留時間T1を持つよう配置され、第2の操作モードにおいてイオンが気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に短いかまたはゼロの平均残留時間T2を持つよう配置されるように、気相イオンニュートラル反応内でのイオンの残留時間を自動的に何度も変化させる質量分析法が提供される。
水素−重水素交換は、共有結合した水素原子が重水素原子に置換される化学反応である。
好ましい実施態様によると、LCまたはその他の分離デバイス(例えばイオン移動度分離器)を質量分析計に連結し、スペクトル対スペクトルベースで(on a spectrum to spectrum basis)非交換および水素/重水素交換条件を交代させながら、「MSE」等の「ショットガン」技術に類似の方法で、正確な保持時間(またはドリフト時間)測定を用いるのが好ましい。それにより、多数の親イオンまたは前駆体イオンが同時に断片化され、それらのプロダクトイオンが記録される。
水素/重水素交換を施されたプロダクトイオンは、自身のLC溶出(および/またはイオン移動度ドリフト)時間の配列の近似性(closeness of alignment)に応じて、対応する親イオンまたは前駆体イオンと関連するのが好ましい。好ましい実施態様によれば、水素/重水素交換データのデコンボリューションを大幅に簡略化してもよい。というのは、水素/重水素交換済みの交換イオンは、自身の対応する前駆体イオンまたは親イオンと同じかまたは略同様の保持(ドリフト)時間を共用するものだからである。水素/重水素交換を用いて親イオンまたは前駆体イオンを修飾するのみならず、前駆体イオンまたは親イオンおよび水素/重水素交換プロダクトイオンをさらに解離してもよい。
衝突誘発解離(「CID」)がいわゆる「スクランブリング」を誘発し、それによって、CIDプロセスの最中に、親イオンまたは前駆体イオンの水素原子と交換された重水素原子が、CIDプロセスの結果起こるイオンの「発熱」によって「可動性」になることは知られている。その結果、前駆体イオンの表面または長さ方向に沿っての重水素原子のポジション/ロケーションが変化することもある。最近の仮説では、電子移動解離(「ETD」)に関連する低エネルギープロセスがこの制限を受けることが無いため、交換された重水素原子のロケーションが固定されたままになるとされる。したがって、ETDは特に有効であると考えられている。というのも、交換されたイオンのロケーションの判断が可能になり、分析生体分子(および/またはタンパク質もしくはペプチド)の立体配座についての診断に一層役立つからである。しかしそれでも、CIDを用いて作成されたデータは、指紋およびその他の分析については今でも有用である。
好ましい実施態様は、質量分析計内で気相水素−重水素交換(HDx)を活用しての生体分子、タンパク質およびペプチド立体配座の判断を改善可能なLC MSデータの取得を著しく向上させる方法に関する。正確な保持時間測定を利用しスペクトル対スペクトルベースで非交換条件と交換条件を交替させることにより、水素/重水素交換データのデコンボリューションが非常に簡略化される。というのも、ショットガン技術に類似の方法においては、いずれの交換イオンも、自身の前駆体イオンと溶出時間が共通するからである。その上、交互スキャン上のフラグメンテーションと連結させると、生体分子、タンパク質またはペプチド上の交換/暴露水素原子のロケーションの判断が一層容易になる。
本発明の様々な実施態様を、図面を参照しつつ実施例に基づいて以下に記す。
図1は、分離デバイス、分離デバイスの下流に配置された水素−重水素交換デバイス、および、水素−重水素交換デバイスの下流に配置された質量分析器を含む本発明の一実施態様を示す。 図2は、分離デバイス、分離デバイスの下流に配置された水素−重水素交換デバイス、水素−重水素交換デバイスの下流に配置されたフラグメンテーションデバイス、および、フラグメンテーションデバイスの下流に配置された質量分析器を含む本発明の一実施態様を示す。 図3は、分離デバイス、水素−重水素交換デバイス、マルチモードHDxデバイス(HDx、ETD、CIDのいずれかの操作モードで操作可能)、IMSデバイス(IMS、CIDまたはイオンガイドのいずれかの操作モードで操作可能)、さらに別のマルチモードHDxデバイス(HDx、ETD、またはCIDのいずれかの操作モードで操作可能)、および質量分析器を含む、本発明の実施態様を示す。 図4は、水素−重水素交換データを得るのに用いられた修正型四重極飛行時間型質量分析器を示す。 図5Aは、親イオンが水素−重水素交換されなかった時の、質量電荷比が432.9である親イオンの質量スペクトルを示す。図5Bは質量スペクトルを示すものであり、ここでは、進行波電圧をイオンガイドの電極に印加することによって、重水素化アンモニアを含むイオンガイドを介して親イオンを並進させ、また、進行波電圧の速度およびパルス高さを、親イオンの残留時間が相対的に短くなるよう設定した。そして、図5Cは、対応する質量スペクトルを示すものであり、ここでは、親イオンの残留時間が相対的に長くなるよう進行波電圧の振幅をゼロまで低減させた。 図6Aは、非重水素化親イオンの再構成質量クロマトグラムを示し、図6Bは、対応する重水素化水素/重水素交換種イオンの再構成質量クロマトグラムを示すものである。ここでは、イオンガイドに印加された進行波電圧の振幅を、2スキャン毎にゼロまで低減させた。
図1は、分離デバイス1、分離デバイス1の下流に配置された水素−重水素交換デバイス2、および水素−重水素交換デバイス2の下流に配置された質量分析器3を含む、本発明の好ましい実施例の概略図である。分離デバイス1が、サンプルをイオン化しイオンを質量分析計に導入するための手段を備えるのが好ましい。水素−重水素交換デバイス2が、気相水素−重水素交換を実施できるのが好ましく、水素−重水素交換を可能および不可能にする手段を持つのが好ましい。例えば、好ましい実施態様によれば、水素−重水素交換デバイス2が、複数の電極を備えたイオントンネルイオンガイドを備えていてもよく、それらの電極はそれぞれアパーチャを持ち、使用時にはイオンがそのアパーチャを通って送られる。1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC電圧波形を、水素−重水素交換デバイス2の電極に印加してもよい。水素−重水素交換の発生を可能および/または不可能にできるように、進行波電圧の振幅および/または速度を制御してもよい。分析型質量分析器3を、水素−重水素交換デバイス2の下流に設けるのが好ましい。
好ましい実施態様では、分離デバイス1はLCまたはナノLCシステムを備えるのが好ましく、また、ESI/ナノまたはESIイオン源および大気圧イオン化(「API」)注入口(inlet)を含むのが好ましい。別の実施態様では、分離デバイス1がイオン移動度分離器を備えてもよい。別のさほど好ましくない実施態様では、分離デバイス1が四重極質量分析器または線形イオントラップを備えていてもよい。それ以外のさほど好ましくない分離テクニックであっても、除外されない。
好ましい実施態様では、水素/重水素交換が水素−重水素交換デバイス2内で実施されるのが好ましい。同デバイスは、複数の電極を備えた積層リングイオンガイドを備え、それらの電極がそれぞれアパーチャを持ち、使用時にはイオンがそのアパーチャを通して送られる。イオンガイドの長さの少なくとも一部に沿ってイオンを進ませる目的で、進行波または1つもしくは複数の過渡DC電圧もしくは過渡DC波形が、積層リングイオンガイドの電極に印加されるのが好ましい。300m/sのデフォルト進行波速度を用いて相対的に高いイオンパルス(例えば5〜10V)を電極に印加する時に、イオンが進行波の頂点を超えて転がらないようにするのが好ましい。その結果、イオンガイド内部でのイオン残留時間が相対的に短くなるので、イオンガイド内での水素−重水素交換が効果的に不可能になる。なぜなら、イオン残留時間が短すぎて水素−重水素交換が起こらないからである。
一実施態様によると、進行波の振幅を低減させて相対的に低い電圧(例えば≦0.2Vまたは0V)にすることによって、水素/重水素交換を可能にしてもよい。この結果、進行波電圧を効果的にOFFに切り替えられるため、イオン残留時間が増加して水素−重水素交換が起こり得るようになる。
別の実施態様によると、進行波の振幅を一定に保ち、進行波の速度を制御することによって水素−重水素交換を制御してもよい。たとえば、進行波の振幅を中間レベルに設定しパルス速度を非常に高く設定すれば(例えば600m/s〜1000m/s)、イオンが簡単に進行波を超えて転がるかもしれない。その結果、イオン残留時間はその後相対的に長くなり水素−重水素交換が可能になる。パルス速度を相対的に遅く(例えば80m/s〜300m/s)設定することによって、水素−重水素交換を不可能にしてもよい。パルス速度が低めであると、イオンが進行波に捕獲されイオンガイドの長さに沿って進ませられるかもしれない。結果的に、イオン残留時間が相対的に短くなり水素−重水素交換が不可能になるのが好ましい。
別のさほど好ましくない実施態様によると、水素/重水素交換をイオンガイド内で実施し、デバイス内を通過するイオンの残留時間を他の方法で制御してもよい。
一実施態様によると、水素−重水素交換デバイスが、分割式多極デバイスを備えていてもよく、軸性駆動場(axial driving field)(DCまたは擬似ポテンシャル)を、イオンガイドの長さに沿ってかつイオンガイドを通ってイオンを進ませるのに用いてもよい。
好ましい実施態様では、ND3、CD3OD、D2O、またはD2Sのような水素/重水素交換試薬ガスまたは蒸気を、イオンガイドまたは水素−重水素交換デバイス内に提供してもよい。
好ましい実施態様では、分析型質量分析器3が、飛行時間分析器またはフーリエ変換静電気トラップ(オービトラップ(Orbitrap)(RTM)等)を備えていてもよい。別のさほど好ましくない実施態様では、他のタイプの質量分析器を用いてもよい。
好ましい実施態様では、交互(alternate)質量スペクトルが取得されるのが好ましい。その場合、水素/重水素交換デバイス2が、操作の交換および非交換モード間でONおよびOFF切り替えされるよう配置されているのが好ましい。そうして得られる質量スペクトルは、それらの溶出プロフィルを用いてデコンボリューションされるのが好ましい。
一実施態様では、水素−重水素交換プロダクトイオンを対応する前駆体イオンまたは親イオンと調和させる(match)プロセスを自動化および改良する目的で、「ベイズスプレー(BayesSpray)」のようなコンピュータアルゴリズムを用いてデコンボリューションを実施してもよい。そのアルゴリズムは以前から用いられており、前駆体分析物およびMS/MSフラグメントの複合混合物(complex mixture)のデコンボリューションに特に適している。
ベイズスプレーは、質量測定データ用のベイジャン・マルコフ連鎖モンテカルロ(Bayesian Markov chain Monte Carlo)デコンボリューションアルゴリズムであり、そのアルゴリズムは2010年5月21日に出願された英国特許1008542.1に記載されており、その内容は本願中に挿入されている。ピークの各同位体クラスターについて、各重水素化レベルと関連した全信号が再構成されるため、データが非常に簡潔になっている。クロマトグラフ保持時間に基づいて前駆体イオンまたは親イオンをプロダクトイオンに関連付けることによって、重水素吸収度が直接的に表される。このデコンボリューションの自動化プロセスを、前駆体イオンまたは親イオンの特徴リスト(または「指紋」)および各前駆体イオンまたは親イオンの重水素化のパターンを生成するのに用いるのが好ましい。加えて、各前駆体イオンまたは親イオンの重水素化度も記録される。ベイズスプレーに対する様々な水素/重水素交換個別修正(specific modification)(重水素化の直接モデリングを含む)により、デコンボリューションの速度および/または固定されたプロセシング時間で得られる結果の品質を改良することが可能になる。
別の実施態様では、他のデコンボリューション技術を用いてもよい。
図2は、本発明の別の実施態様の概略を示すものであり、フラグメンテーションデバイス4が水素−重水素交換デバイス2の下流かつ質量分析器3の上流に設けられている。フラグメンテーションデバイス4が電子移動解離(「ETD」または「nETD」)デバイスあるいはそれ程好ましくはないが電子捕獲解離(「ECD」)デバイスを備えていてもよい。別の実施態様では、フラグメンテーションデバイス4が衝突誘発解離(「CID」)デバイスを備えていてもよい。好ましい実施態様では、ETDまたはCIDを、例えばWO2009/066089に記載されているような進行波使用可能(enabled)積層リングイオンガイド内で実施してもよい。別のさほど好ましくない実施態様では、フラグメンテーションを、多極イオンガイド等の交流型(alternative type)イオンガイドで誘発してもよい。
同システムは、以下の4つのスペクトルサイクルを有するのが好ましい。それらは、(i)親イオンスキャン、すなわち水素/重水素交換不可、フラグメンテーション不可;(ii)重水素化親イオンスキャン、すなわち水素/重水素交換可能、フラグメンテーション不可;(iii)フラグメントイオンスキャン、すなわち水素/重水素交換不可、フラグメンテーション可能;および、(iv)重水素化フラグメントイオンスキャン、すなわち水素/重水素交換可能、フラグメンテーション可能、である。そうして得られた質量スペクトルをデコンボリューションするのが好ましく、フラグメントイオンをそれ自体の溶出プロフィルを用いて前駆体イオンまたは親イオンに割り当てるのが好ましい。
本発明のさらなる実施態様が図3に示されている。その実施態様は、マルチモードイオン移動度分離器デバイス6のいずれかの側に配置された2つのマルチモードHDxデバイス5により、先の実施態様を拡大したものである。
マルチモードHDxデバイス5は、水素−重水素交換デバイス、ETDデバイスまたはCIDデバイスとして操作可能なイオンガイドを備えるのが好ましい。
マルチモードイオン移動度分離器デバイス6は、イオン移動度分離器、CIDフレグメンテーションデバイスまたはイオンガイドとして操作可能なイオンガイドを備えるのが好ましい。
好ましい実施態様では、2つのマルチモードHDxデバイス5および/またはイオン移動度分離器デバイス6が進行波使用可能積層リングイオンガイドを備えているが、形状寸法はこれに限定されない。一実施態様では、HDxを水素−重水素交換デバイス2で実施してもよく、その後、第1マルチモードHDxデバイス5でETDを、その後イオン移動度分離デバイス6でイオン移動度分離(「IMS」)を、その後に第2マルチモードHDxデバイス5でCIDを実施する。デコンボリューションは、LC保持時間およびイオン移動度ドリフト時間に基づいて実施されるのが好ましい。
当業者であれば、本発明の権利範囲を狭めることなく他の有効な形状寸法を考案するであろうことは明らかである。
図4に示すような修正型ウォーターズ・シナプト(Waters Synapt)(RTM)混成型四重極飛行時間型質量分析計での実験データが生成された。質量分析計は、分析物スプレー41、ロックスプレー・バッフル(lockspray baffle)42およびロックマス・レファレンス・スプレー(lockmass reference spray)43を備える。イオンは遮断弁および着脱式サンプルコーン(removable sample cone)44を通過して、オイルフリー・スクロールポンプ45により排気された真空チャンバに入る。イオンはその後、空冷式ターボモレキュラポンプによって排気された下流の真空チャンバ内に設けられたT波イオンガイド46を通過する。イオンはその後、四重極47およびダイナミックレンジ増大(「DRE」)レンズ48を内蔵した下流の真空チャンバに入る。この真空チャンバも、空冷式ターボモレキュラポンプによって排気されている。イオンはその後、T波トラップ49、T波イオン移動度分離器(「IMS」)デバイス51を内蔵したイオンゲート50および、下流T波移動イオンガイド52を有するさらに別の真空チャンバに入る。この真空チャンバも、空冷式ターボモレキュラポンプによって排気されている。イオンはその後、アインツェルレンズ53を内蔵した短い真空チャンバを通過する。その真空チャンバは空冷式ターボモレキュラポンプによって排気されている。イオンは最後に、飛行時間型質量分析器を内蔵し同様に空冷式ターボモレキュラポンプによって排気されている真空チャンバに到達する。イオンは、トランスファーレンズ54を通過し、その後プッシャー電極55によって直角に加速されて飛行時間ドリフト領域に入る。イオンは、レフレクトロン56によって逆方向に反射され、イオン検出器57に向かう。
同質量分析計は、完全に重水素化したアンモニア(ND3)を四重極ロッドセット質量フィルタ47の上流に配置されたT波イオンガイド46に導入できるようにするソースイオンガイド吸気口に接続された吸気口ニードル弁を追加することにより改良された。
重水素化アンモニアが進行波イオンガイド46に導入されないようにニードル弁が閉鎖されたとき、進行波イオンガイド46の圧力は1.40×10-3mbarであった。
ND3が進行波イオンガイド46に導入されたとき、進行波イオンガイド46における表示圧力は、1.42×10-3mbarであった。
アンジオテンシンI(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-His-Leu (C62891714))を、標準ESIプローブを用いてイオン化し、質量電荷比が432.9である三価(triply charged)前駆体イオンまたは親イオンを監視した。
正常状態下で(すなわち、ND3をソース進行波イオンガイド46に導入せずに)アンジオテンシンIの質量スペクトルが得られた。これを図5Aに示す。
図5Bは、対応する質量スペクトルを示す。この質量スペクトルは、ND3をソース進行波イオンガイド46に導入し、イオンガイド46に印加される進行波の進行波速度をパルス電圧高さ4.5Vで86m/sに設定することにより得られた。このパルス電圧高さでは、イオンが進行波イオンガイド46を通って送られ、進行波イオンガイド46内の残留時間が相対的に短くなった。結果的に、水素−重水素交換が効果的に不可能になった。
図5Cは、水素−重水素交換が効果的に可能になった場合に得られた、対応する質量スペクトルを示す。水素−重水素交換は、進行波イオンガイド46に印加される進行波電圧のパルス高さを0Vまで低減させることにより可能になった。これは、進行波をOFFに切り替え、それによって進行波イオンガイド46(これは後に水素−重水素交換デバイスとして作動)内でのイオン残留時間を増加させる効果があった。
図5A〜5Cを比較すると、図5Bからは、進行波のパルス高さが4.5Vと相対的に高いとき重水素の吸収が最小になることが明らかである。しかしながら、図5Cから明らかなように、水素−重水素交換の発生を可能にするために進行波を事実上OFFに切り替えたとき、反応または残留時間が増加して、その結果、平均9個の水素原子(3Daシフト)が重水素と交換された。
図6Aおよび6Bは、非重水素化および水素/重水素交換種の再構成質量クロマトグラムを示すものであって、それぞれ水素/重水素交換がスペクトル対スペクトルベースで(on a spectrum by spectrum basis)制御可能であることを示す。図6Aおよび6Bにおいて、進行波パルス電圧は2スキャン毎に4.5V(水素−重水素交換不可)と0V(水素−重水素交換可能)の間で切り替えられた。
気相イオンが中性ガスと反応する水素−重水素交換との関連で好ましい実施態様を記載してきたが、本発明は、オゾン分解を含むそれ以外の気相イオンニュートラル反応もカバーすることを意図している。
<ベイズスプレー(BayesSpray)>
質量分析計は、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、ホスホペプチド、高分子およびフラグメントまたは質量分析計内で生じたこれらの生成物の混合物の同定、特徴付けならびに相対的および絶対的な定量化を含む多くの用途に用いることができる。現在これらの結果を作成する上で限界因子となっているものの1つが、質量分析計から生成された生データの分析、特に、複雑な質量スペクトル中に存在する種の分離(isolation)および質量測定である。
質量分析計によって生成されるデータは、イオン化プロセス、同位体の存在および個別の計器毎の特徴が原因で複雑化している。
質量分析計から生成される生データの分析目的で現在採用されている方法には、最大エントロピーデコンボリューションおよび極性逆転(通常は線型フィルタによる)に基づく様々な代数学的技術が含まれる。
データをデコンボリューションしようとすると、線型反転によって個々のピークがシャープになる(sharpen)が、これには、重複するピークを多く含む複合スペクトルの再構成を台無しにする「リンギング(ringing)」が引き起こされるという望ましくない副作用がある。ピークは互いに干渉し合い、リンギングは物理的にありえない負の強度領域を生成しがちになる。
最大エントロピー("Disentangling electrospray spectra with maximum entropy", Rapid Communications in Mass Spectrometry, 6, 707-711参照)は、最適の「最高(best possible)」な結果を所定のデータから生成するために設計される非線形最大化反転(nonlinear maximisation inversion)である。分光測定法では、再構成された質量スペクトルI(M)の質の自然な測定(natural measure)がそのエントロピーである。
Figure 2013545982
これは負数情報として、結果の清浄度を測定するものであり、その結果(対数による)はどこにおいても正数であって物理的に許容される。最大エントロピースペクトルIMaxEnt以外の如何なるスペクトルI*も他の構造を持ち、定義上それはデータによって要求されなかったので、信頼性がない。
現代のプロフェッショナルの基準では、確率的(ベイズの定理ともいう)解析から生成される定量化エラーバーが要求される。最大エントロピー結果のどの部分が信頼できてどの部分が信頼できないとされるかを正確に理解するためには、「最良(the best)」だけではなく妥当な(plausible)範囲も必要である。不確実性の概算目的で、最大エントロピー結果をめぐる二次式が、何らかの具体的な性質の不確実性を定義していると思われるガウス近似を生じる。このアプローチは既に実践されているが、その展開には疑いがもたれている。
多くの現代の計器は、相応に大きな数Nの瓶までデジタル化され得る高解像スペクトルを生成する。計測の質の向上に伴って、Nが増加するので、特定の瓶での信号の割合が1/Nとして小さくなる。同様のことが、二次近似によって生成された分散についてもいえる。よって、最大エントロピー結果周辺のエラーバーの寸法は、平方根1/Nとして、よりゆっくりと減少する。局在瓶(local bin)で(3±1)パーセントとして無理なく正数でスタートした再構成信号は、100倍の解析度(resolution)で(0.03±0.1)パーセントになり、負数となる確率が無視できなくなる(with a substantial probability of being negative)。スペクトル全体にわたり、典型的な結果中に多くの負数が存在するであろうということが略確実になる。しかし、信号は正数であると想定されるので、考えられる典型的な結果のほとんど全てが、小さい数値についてはありえないということになる。
よって、二次近似は小さい数値では崩壊する。その場合は、エラーバーが明らかに不適切で、局在構造が適切に定量化されない。したがって、現代の計器性能およびアプリケーションに対応するために、厳密さ、パワーおよび柔軟性のある改良型デコンボリューション法が必要になってくる。
サンプルの少なくとも1つの特性を同定し特徴付ける方法が開示されている。その方法は、質量分析計を用いてサンプルから少なくとも1つのデータの測定スペクトルを生成し、そのデータの少なくとも1つの測定スペクトルをベイズの推論によってデコンボリューションすることによりデータの妥当なデコンボリューションスペクトルの族を生成し、データの妥当なデコンボリューションスペクトルの族から潜在的なスペクトルを推論し、データの潜在的なスペクトルを用いてサンプルの少なくとも1つの特性を同定および/または特徴付けるステップを含む。
同方法はまた、例えばデータの妥当なデコンボリューションスペクトルの族から、潜在的なデータスペクトルと関連した不確実性を同定するステップを含む。
デコンボリューションステップにおいて、追加的または選択的に、さらに事前(a prior)を割り当てる、例えば、1つまたは複数(例えば少なくとも2つ)のステップを含む処理手順を使用してもよい。その処理手順では、初めに全強度に対して事前を割り当ててから、例えばその事前を、特定の荷電状態に割り当てられている全強度の相対的割合を包含するよう修正する。
任意で、そのデコンボリューションステップが、入れ子サンプリング(nested sampling)技術の使用をさらに含むものであってもよい。
その工程において、例えばサンプルの少なくとも1つの特性を同定および/または特徴付ける目的で、同位体組成の予想比率を変化させることを含んでもよい。
同方法ではさらに、潜在的なデータスペクトルの少なくとも1つの特徴を、例えば公知のスペクトルのライブラリーと比較することによって、例えばサンプルの少なくとも1つの特性を同定および/または特徴付けることを含んでもよい。
また同方法では、潜在的なデータスペクトルの少なくとも1つの特徴を、例えば構成要素の候補と比較することによって、例えばサンプルの少なくとも1つの特性を同定および/または特徴付けることを含んでもよい。
デコンボリューションステップには、重点抽出法の使用が含まれる。
任意で、データの少なくとも1つの測定スペクトルがエレクトロスプレー質量スペクトルデータを含んでいてもよい。
さらに同方法において、データの少なくとも1つの測定スペクトルについての時間的分離性(temporal separation)を記録することを含んでもよく、および/またはデータの潜在的なスペクトルを、例えばその記録された時間的分離性を用いて、メモリ手段等に保存することを含んでもよい。
また同方法において、例えばデータの少なくとも1つの測定スペクトルに関する時間的分離性を記録し、記録された時間分離性を使用することによって、例えばサンプルの前記の、またはさらに別の少なくとも1つの特徴を同定および/または特徴付けることを含んでもよい。
サンプルを同定および/または特徴付けるためのシステムが開示されている。そのシステムは、サンプルからデータの少なくとも1つの測定スペクトルを生成するための質量分析計と、データのその少なくとも1つの測定スペクトルをベイズの推論によってデコンボリューションすることによってデータの妥当なデコンボリューションスペクトルの族を生成し、そのデータの妥当なデコンボリューションスペクトルの族からデータの潜在スペクトルを推論する目的で構成またはプログラミングまたは適用されるプロセッサとを備え、そのプロセッサはさらに、サンプルの少なくとも1つの特性を同定および/または特徴付けるために、データの潜在スペクトルを用いるよう構成またはプログラミングまたは適用されている。
同システムが、データの潜在的なスペクトルを保存するための第1のメモリ手段および/または公知のスペクトルのライブラリーが保存されている第2のメモリ手段をさらに含んでいてもよい。さらにプロセッサを、上記の方法を実行するために構成またはプログラミングまたは適用してもよい。
コンピュータプログラム要素が例えば、上記の方法を実践するための工程をプロセッサに実行させるための、コンピュータ読取可能なプログラムコード手段等を備えることが開示されている。
コンピュータプログラム要素が、コンピュータ読取可能な媒体に組み入れ(embody)てもよい。
プログラムが保存されているコンピュータ読取可能な媒体が開示されている。例えばそれによると、そのプログラムがコンピュータに対し、上記の方法を実践するためにある工程を実行させる。
上記のような方法を実行するのに適する、または実行するために特に適用された質量分析計、および/または上記のようなプログラム要素を含む、上記のようなコンピュータ読取可能な媒体が開示されている。
質量分析計を適用して上記のような質量分析計とするための改造キットが開示されている。同キットは、上記のようなプログラム要素および/または上記のようなコンピュータ読取可能な媒体を含んでいてもよい。
質量スペクトルデータのデコンボリューション用の方法および装置が提供されている。この方法においては、入れ子サンプリング技術を用いて実践されたベイズの推論を、改良型デコンボリューション質量スペクトルデータを生成する目的で用いるのが好ましい。
ベイズの推論は、不確実性を適宜考慮した上で、データ分析に対し標準確率微積分学を適用するものである。
ベイズの推論は、絶対的な解答を提供するものではない。代わりにデータは、我々の事前情報を調整して事後の結果とする。よいデータは事前の無知を無効にする上で十分に信頼性があるが、ノイズの多いデータまたは不完全なデータはそうではない。これを説明するためには、確率計算の規則は、あらゆる合理的な結果をも十分にカバーできる範囲にわたる事前確率分布の割り当てを必要とする。質量範囲(標的質量は必ずその中になければならない)が明記されているかもしれず、確実性は低いが、どれほどの数の標的質量が合理的であるかということについての情報を提供することも可能かもしれない。
事前情報は、データが取得される前に、標的のスペクトル(好ましい実施態様では親質量のスペクトル)が何であればよいのかについて、予測が表明できるよう十分詳細に明記されなければならない。確率分布を通じての標的Tの適切な範囲を以下に記す。
事前(T)=標的Tの事前確率
これはベイズの用語では「事前(the prior)」として知られている。
どれほどの数の質量が提示されるかにもよるが、非常に多くの推定標的(possible target)が存在し、これらの質量およびそれに関連する強度について無数の異なる値を取ることが可能であろう。実用的な計測は通常、若干多めの検量線パラメータも持っており、それによっても標的の不確実性が増加する。それにもかかわらず、どのような提案標的(およびどのような提案検量線)に対しても、平均データ(擬似データとして知られる)が計算可能であるほどに計器が十分よくできていると仮定される。実際のデータはノイズが多く、擬似データに正確に適合することはないであろう。ノイズは推定される公知の計器特徴の一部であるため、実際のデータと擬似データとの間の不適合が生じ、実際のデータがどのようなものであったのかという確率を計算する必要が生じる。この確率は「尤度(likelihood)」として知られる。
尤度(T)=確率(実際のデータD所定の提案標的T)
これは、ベイズの入力のもう半分である(あとの半分は事前)。
確率微積分学の積法はその後、同時分布を呈する。
Figure 2013545982
複雑なデータが存在する場合、代数学的な操作によって同時分布を処理する可能性は急速に無くなるので、必ずしも均一ではない重量w1、w2、…wnを伴う、概して数十個の妥当な標的T1、T2…Tnの集団として数値的に計算する必要がある。
これらの加重された集団を生じる方法が必要である。これらの方法は、同時分布を提供することとなる。
確率積法を用いて、逆のやり方でベイズの出力が得られる。
Figure 2013545982
「証拠(evidence)」は、事前モデルが実際のデータをどれほど上手に予測し得たかを測定するものであり、それにより、代替案に対するモデルの質が査定される。それは、重量の合計として評価される。「事後(posterior)」は、標的が何であったかについての推論であり、通常はユーザの主な目的である。それは、相対的なwによって加重された、妥当な標的の集合として評価される。
同時分布は、よって、ベイズの推論の証拠および事後の双方(both halves)を含む。入れ子サンプリングは、この分布の計算の好ましい方法である。
データを無視して事前のみからランダムサンプルを取ることは容易である。各サンプル標的は自身の尤度値を持つため、原則としては、ランダムプロポーザルを取ることによって高い尤度の良好な標的を発見することが可能であろう。問題は、選択肢が有りすぎることである。質量スペクトルが、それぞれ100ppmに位置する100本の線(10000に1の精度)を持つと仮定する。10000100=10400中たった1つの試行が正しい解答に到達するのである。10400のサンプルを計算することは明らかに時間がかかりすぎであるため、非実用的である。
この例は、事後が事前と比べて指数関数的に一層厳格(tighter)であることを証明するものである。データの各関連ビットは妥当な結果の数を半減させる(halve)ので、2の因数で圧縮する(compress)。関連ビットの数は(やや過剰な)データセットのサイズよりもかなり小さくなるであろうが、それでも何百または何千になるであろう。指数関数的な圧縮を成し遂げるために、事前から事後へ反復的に橋渡しを行う(bridge)ことが重要である。1つのステップをO(1)、例えば(say)2の因数によって、過度に非能率なことを行わずに圧縮可能であるので、要求される圧縮を、実行可能な数(例えば何百または何千)の反復で達成可能である。
要求されるデコンボリューションが、エレクトロスプレー質量分析データのものであることが好ましい。この場合、そのデータは各標的質量に付随した変異荷電の存在により複雑化する。入れ子サンプリングにより、各親質量からの信号をどのように電荷全体に分布するかという余分な不確実性に直面しても、達成されるべき必要な確率計算が可能になる。
入れ子サンプリング("Nested sampling for general Bayesian computation", Journal of Bayesian Analysis, 1, 833-860 (2006)参照)は、大型で困難なアプリケーション用として特に設計された推論アルゴリズムである。質量分析では、反復が重要である。なぜなら、本質的にシングルパスアルゴリズムは、強度(intensities)が全て正数でなければならないとする非線形制約下ではスペクトルを推論することができないからである。入れ子サンプリング反復はデータから安定して規則正しく情報(負数エントロピーとしても知られる)を抽出し、より一層近接した適合(ever-closer fits)の質量スペクトルを生じる。
最終的な「最大尤度」解(solution)を進める(proceed)ことが可能であっても、実際には、本質的に妥当かつデータに対して確率解析的に正しい(correct)適合をもたらすスペクトルの分布を定義する上で十分な情報を取得した時点で、アルゴリズムが止められる。結局、単一の解はどのようなものであっても若干変則的になるが、その一方で、プロフェッショナルとしての基準では、対応する不確実性の適切な推定値で結果を提供することが要求されており、それはその集合を通じて初めて達成可能である。
入れ子サンプリングは原則として任意の尤度および任意の事前に対応できるが、それでも尚、適切な事前を選ぶほうが有利である(尤度関数は、装置のメーカーによって明記されているように応答によって固定されている)。割り当てられた事前が適切でない場合、そのデータは不必要に驚くべきものになるであろう。つまり、不必要に低い証拠値として現れ、それは結果的に、計算できないほど(おそらくは極端に)長くなる。
とりわけエレクトロスプレーでは、適切でない事前を選ぶのは容易である。なぜなら、所定の質量Mが相当な範囲にわたり、おそらくは20000の質量について10〜20の範囲のどこかで変化する電荷Zを担う可能性があるからである。擬似データを予測しなければならないため、この分布に関する事前が必要である。観察されたM/Zデータにおいて荷電状態が別々に出現したとすると、各荷電状態について別々の事前を割り当てるのが合理的かもしれない。例を以下に示す。
(Z=10およびZ=11および…Z=20)の事前
=(Z=10の事前)×(Z=11の事前)×…×(Z=20の事前)
しかしながらその後、質量が低い全信号強度で出現する可能性は非常に低くなる。なぜなら、その合計を小さくしようとすれば、11の強度のそれぞれを小さくする必要があるからである。このことは通常は予想されない。すなわち、現実のスペクトルは通常は多くの弱い信号を有するが、事前ではこのことは、非常に可能性が低いからである。よって、入れ子サンプリングは極端にゆっくりと進行し、実際には様々な誤答のどこかでフリーズする。
信号強度用に2段階の事前を用いるほうがよい。まず、主事前(master prior)を全強度Iに割り当てる。一実施態様では、これがコーシーであってもよい。
Figure 2013545982
全強度が固定されていると、荷電状態の副次的(subsidiary)事前が、特定の電荷に割り当てられた相対的割合の事前となる。一実施態様では、これが均一であってもよい。
(Z=10およびZ=11および…Z=20所定のI)の事前=定数
他の実施態様では、荷電状態信号は荷電により相関および/または加重され得る。このような種類の2段階事前により、アルゴリズムが不適切にフリーズすることはなくなる。
入れ子サンプリングからの即時出力は、数十の典型的なスペクトルの集合であり、それぞれが親質量のリストの形態になっている。これらの質量は、電荷全体に渡って別々にかつ妥当に分布した強度を持つ。まさに(入れ子サンプリングのきっかけをつくった)統計力学のように、その集合を、揺らぎを伴う中間的な特性を定義する目的で用いることができる。このようにして、統計的不確実性を表す適切なエラーバーおよび各質量がそのデータとどのように関連するのかについての十分な知識でもって、入れ子サンプリングの結果をより改良し、確実に推論された質量のリストとすることができる。
個々の親質量は、自らの同位体分布を伴うか、またはそれにより支配されてもよい。典型的なデコンボリューションでは、所定の質量Mの同位体組成は、平均的な化学組成によって定められた、ある種の比率パターンに固定される。
親:同位体♯1:同位体♯2:…
標準的な配置では、擬似データは試行用親質量から、この質量依存同位体分布でのコンボリューションによって生成され、拡張して荷電状態をカバーするようになり、最終的には計器のピーク形状により渦巻状になる(convolve)。
質量スペクトルデータの分析を複雑にするもう1つの要因は、様々な自然発生的または人工的に導入される、分析対象の分子を含む元素の同位体変種の存在である。さらに、特定の組成物について仮想パターンからの逸脱が起こる可能性がある。これらは、確率因数がデータによりよく適合しようとする際に、間違った質量での調和アルテファクト(harmonic artefacts)を誘発する。配置によっては、以下の同位体の割合分布を用いてもよい。
(親、同位体♯1、同位体♯2、…)の事前
この分布は平均付近でピークを迎える必要があるが、またその一方で適切な柔軟性も有する。
各データセットについて、同位体的に純粋な種に対応する計器のピーク形状の適切なモデルを用いることができる。例えば、最大値の半分(half maximum)での固定された全幅を、四重極データ用に用いてもよい。その一方で、固定計器解像度を、TOFデータ用に明記することも考えられる。
さらなる配置では、計算の負荷を低減させるために「重要性抽出法」を用いて計算を再公式化してもよい。この統計的方法は、得られた結果の精度および忠実度を改善するという副次的効果を有する。当初の実施態様では、各親が自身の質量全体に渡って均一な事前を持ち、所定の尤度Lhood(M)が直接用いられる。
事前(M)=フラット
もしこれが存在する唯一の質量であれば、この尤度が以下のような同時分布を生じる。
同時(M)=事前(M)×尤度(M)
これは、最も単純な(単親)デコンボリューションを表す。
しかし、任意密度については、以下のようにも記すことができる。
同時(M)=密度(M)×(事前(M)×尤度/密度(M))
事前から始めて尤度を適用する代わりに、新しい密度で始めて改良型尤度を適用することもできる。
改良(M)=事前(M)×尤度(M)/密度(M)
もし、その密度が尤度から構造を除去して、それをさほど鮮鋭でも厄介でもない(less sharp and spiky)ものに修正すれば、計算の負荷が低減されるであろう。
たまたま、手近に自然の密度がある。ほとんどの質量分析データは本質的に線形であるため、以下のようになる。
擬似データ=(線形マトリックス)・(標的質量)
線形マトリックスを実データに対し逆に(その転置(transpose)として)印加すると、以下のような候補物質を生じる。
密度=(線形マトリックスの転置)・(実データ)
この密度は、真の標的の二重にぼやけたバージョン(doubly-blurred version)、すなわち、計器内で多数の荷電状態によって一旦ぼやけさせ、転置により再度ぼやけさせたものである。それでも、解析の計算タスクは、フラットな事前を用いて白紙の状態から開始するよりもはるかに少なくて済むことが多い。そのようなプログラムは、より一層迅速かつ正確に実行される。
別の配置では、デコンボリューションされているデータがTOF,クワドラポール(Quadrupole)、FTICR、オービトラップ、マグネティック・セクター(Magnetic sector)、3Dイオントラップ、または線形イオントラップ由来であってもよい。これらの例ではそれぞれ、ピーク形状と幅の適切なモデルを質量電荷比と強度との関数として用いる必要がある。
さらなる配置では、解析されているデータが、ESI、ETD等からイオン源によって作られるイオンから生成されてもよい。
これらの各例では、荷電状態の分布がその技術に特徴的である。例えば、MALDIイオン化によって生成されるイオンは普通は個別に荷電され、一方でエレクトロスプレーは大型分子について広い範囲にわたる荷電状態の分布を生成する。
さらに別の配置では、処理されているデータが、LC、GC、IMS、CE、FAIMSもしくはその組み合わせまたはその他の適切な分離デバイスを含む群から選ばれる(それらに限定されない)分離デバイスを用いて分離された種に由来してもよい。このような場合はそれぞれ、余分な分析寸法(extra analytical dimensions)を超える分布は、上記のような荷電状態に対する分布と同様に処理される。
またさらに別の配置では、解析されているデータが、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、ホスホペプチド、およびそのフラグメントまたはこれらの混合物を含むサンプルから生成されたものであってもよい。どの場合でも、採用されている1つまたは複数の同位体モデルは、分析中のサンプルの種類の組成を反映するものでなければならない。この実施態様の一部として、試行用質量を個々の分子タイプに割り当ててもよい。
本発明は好ましい実施態様を参照して記載されているが、付随の請求項で説明されているような本発明の権利範囲から逸脱することなく形状および詳細において様々な変更がなされ得ることが、当業者には理解可能であろう。

Claims (24)

  1. イオン分離用の第1デバイスと、
    気相イオンニュートラル反応を実施するために前記第1デバイスの下流に配置された第2デバイスと、
    前記第2デバイスを制御するための制御システムと、
    質量分析器とを備えた質量分析計であって、
    前記制御システムが、前記第2デバイスを、第1の操作モードと第2の操作モードとの間で自動的に何度も切り替えるために配置および適用され、前記第1の操作モードにおいて親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記第2デバイス内で反応させられ、前記第2の操作モードにおいて、反応させられる親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになることを特徴とする質量分析計。
  2. イオン分離用の第1デバイスと、
    気相イオンニュートラル反応を実施するために前記第1デバイスの下流に配置された第2デバイスと、
    前記第2デバイスを制御するための制御システムと、
    質量分析器とを備えた質量分析計であって、
    前記制御システムが、前記質量分析計を、第1の操作モードと第2の操作モードとの間で自動的に何度も切り替えるために配置および適用され、前記第1の操作モードにおいて親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記第2デバイス内で反応させられ、前記第2の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンが前記第2デバイスを迂回させられることを特徴とする質量分析計。
  3. 前記第2デバイスが気相水素−重水素交換を実施するために配置および適用される、請求項1または2に記載の質量分析計。
  4. 前記第1の操作モードにおいて、前記親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記第2デバイス内で重水素化され、前記第2の操作モードにおいて、重水素化される親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになる、請求項3に記載の質量分析計。
  5. 前記第2デバイスに試薬ガスまたは蒸気を供給するためのデバイスをさらに備え、前記試薬ガスまたは蒸気が(i)重水素化アンモニアまたはND3、(ii)重水素化メタノールまたはCD3OD、(iii)重水素化水またはD2O、および(iv)重水素化硫化水素またはD2Sからなる群から選択される、請求項3または4に記載の質量分析計。
  6. 前記第2デバイスがオゾン分解を実施するために配置および適用される、請求項1または2に記載の質量分析計。
  7. 前記制御システムが、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に、前記第2デバイスまたは前記質量分析計のいずれかを、前記第1と第2の操作モードの間で切り替えるために配置および適用される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  8. 前記第1デバイスが液体クロマトグラフィーまたはキャピラリー電気泳動デバイスを備える、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  9. 前記第2デバイスが、
    (i)複数の電極を備え、各電極がアパーチャを備えるかまたはイオンガイド領域を形成することにより使用時にイオンがそこを通って送られるイオントンネルまたはイオンファンネルデバイスと、
    (ii)多極ロッドセットデバイス、または
    (iii)平面上に配置された複数の平面電極であって、イオンが概ね前記デバイスを通って送られる平面電極からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  10. 前記第2デバイスが複数の電極を備え、1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が前記電極に印加される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  11. 前記第1の操作モードにおいて、前記制御システムが、前記第2デバイス内での親イオンまたは前駆体イオンの平均残留時間がT1となるよう前記1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が前記電極に印加される振幅および/または速度を設定するために配置および適用され、
    前記第2の操作モードにおいて、前記制御システムが、前記第2デバイス内での親イオンまたは前駆体イオンの平均残留時間がT2となるよう前記1つまたは複数の過渡DC電圧または過渡DC波形が前記電極に印加される振幅および/または速度を設定するために配置および適用され、
    T2<T1である、請求項10に記載の質量分析計。
  12. 前記制御システムが、
    (i)前記第1の操作モードにおいて前記第2デバイス中で反応させられ、前記第2デバイスから出射する親イオンまたは前駆体イオンが前記質量分析器により質量分析されて第1質量スペクトルまたは第1質量スペクトルデータを形成するようにし、
    (ii)前記第2の操作モードにおいて前記第2デバイス中で反応させられずに前記第2デバイスから出射する親イオンまたは前駆体イオンが前記質量分析器により質量分析されて第2質量スペクトルまたは第2質量スペクトルデータを形成するようにし、
    (iii)前記第1質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを前記第2質量スペクトルまたは前記第2質量スペクトルデータと比較するという目的で配置および適用される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  13. 前記第2デバイスの下流に配置されたフラグメンテーションデバイスをさらに備え、前記フラグメンテーションデバイスが、前記第1の操作モードおよび/または前記第2の操作モードにおいて、前記第2デバイスから出射するイオンを断片化するために配置および適用される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  14. 前記フラグメンテーションデバイスが、電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス、電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス、または衝突誘発解離(「CID」)フラグメンテーションデバイスを備える、請求項13に記載の質量分析計。
  15. 前記制御システムが、
    (i)前記フラグメンテーションデバイスから出射する重水素化フラグメントイオンが前記質量分析器により質量分析されて第3質量スペクトルまたは第3質量スペクトルデータを形成するようにし、
    (ii)前記フラグメンテーションデバイスから出射する非重水素化フラグメントイオンが前記質量分析器により質量分析されて第4質量スペクトルまたは第4質量スペクトルデータを形成するようにし、
    (iii)前記第3質量スペクトルまたは前記第3質量スペクトルデータを前記第4質量スペクトルまたは前記第4質量スペクトルデータと比較することを目的として配置および適用される、請求項13または14に記載の質量分析計。
  16. 前記制御システムが、
    (i)重水素化親イオンまたは重水素化前駆体イオンを、LC溶出時間および/またはイオン移動度ドリフト時間に基づいて、対応する非重水素化親イオンまたは非重水素化前駆体イオンと相関させる、および/または、
    (ii)重水素化フラグメントイオンおよび/または非重水素化フラグメントイオンを、LC溶出時間および/またはイオン移動度ドリフト時間に基づいて、対応する重水素化親イオンもしくは重水素化前駆体イオンおよび/または非重水素化親イオンもしくは非重水素化前駆体イオンと相関させることを目的として配置および適用される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
  17. 第1デバイス中でイオンを分離し、
    前記第1デバイスの下流に配置された第2デバイス中で前記イオンに対し気相イオンニュートラル反応を実施し、
    前記イオンを質量分析する質量分析法であって、
    前記方法においてさらに、
    第1の操作モードと第2の操作モードとの間で前記第2デバイスを自動的に何度も切り替えることを特徴とする質量分析法であって、前記第1の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記第2デバイス内で反応させられ、前記第2の操作モードにおいて、反応する親イオンまたは前駆体イオンが実質的に希少かゼロになることを特徴とする質量分析法。
  18. 第1デバイス中でイオンを分離し、
    前記第1デバイスの下流に配置された第2デバイスで前記イオンに対し気相イオンニュートラル反応を実施し、
    前記イオンを質量分析する質量分析法であって、
    前記方法においてさらに、
    第1の操作モードと第2の操作モードとの間で前記質量分析計を自動的に何度も切り替えることを特徴とする質量分析法であって、前記第1の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンの少なくとも一部が前記第2デバイス内で反応させられ、前記第2の操作モードにおいて、親イオンまたは前駆体イオンが前記第2デバイスを迂回させられることを特徴とする質量分析法。
  19. 前記第1の操作モードと前記第2の操作モードとの間を、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に切り替えることをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
  20. 気相イオンニュートラル反応デバイスと、
    前記気相イオンニュートラル反応デバイスを制御するための制御システムとを備えた質量分析計であり、
    第1の操作モードにおいてイオンが前記気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に長い平均残留時間T1を持つよう配置され、前記第2の操作モードにおいてイオンが前記気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に短いかまたはゼロの残留時間T2を持つよう配置されるように、前記気相イオンニュートラル反応デバイス内でイオンの残留時間を自動的に何度も変化させることを目的として、前記制御システムが配置および適用されることを特徴とする質量分析計。
  21. 前記気相イオンニュートラル反応デバイスが水素−重水素交換デバイスを備える、請求項20に記載の質量分析計。
  22. 前記第1の操作モードにおいて前記イオンが重水素化され、前記第2の操作モードにおいて前記イオンが非重水素化されたままである、請求項21に記載の質量分析計。
  23. 前記制御システムが、前記第1の操作モードと前記第2の操作モードとの間を少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒毎に切り替えるために配置および適用される、請求項20、21、または22に記載の質量分析計。
  24. 気相イオンニュートラル反応デバイス中で気相イオンニュートラル反応をイオンに対し実施することを含む質量分析法であり、
    前記方法においてさらに、
    第1の操作モードにおいてイオンが前記気相イオンニュートラル反応デバイス内で相対的に長い平均残留時間T1を持つよう配置され、前記第2の操作モードにおいてイオンが前記気相イオンニュートラル反応内で相対的に短いかまたはゼロの平均残留時間T2を持つよう配置されるように、前記気相イオンニュートラル反応デバイス内でのイオンの残留時間を自動的に何度も変化させることを特徴とする質量分析法。
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