JP2013544488A - テトラネクチン−アポリポタンパク質a−i脂質粒子を産生するための方法、脂質粒子自体、及びその使用 - Google Patents

テトラネクチン−アポリポタンパク質a−i脂質粒子を産生するための方法、脂質粒子自体、及びその使用 Download PDF

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Abstract

本明細書において、以下の工程を含む脂質粒子を産生するための方法を報告する:i)変性アポリポタンパク質を含む第1溶液を提供すること、ii)第1溶液を、少なくとも2つの脂質及び界面活性剤を含むが、しかし、アポリポタンパク質を含まない第2溶液に加えること、及びiii)工程ii)において得られた溶液から界面活性剤を除去し、それにより、脂質粒子を産生すること。

Description

本発明は、リポタンパク質及び脂質粒子の分野にある。本明細書においてアポリポタンパク質、ホスファチジルコリン及び脂質、ならびにテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子を産生するための方法が報告されている。
発明の背景
血漿リポタンパク質は、血液中の脂質輸送及び代謝を行う可溶性タンパク質−脂質複合体である。リポタンパク質のいくつかの主要なクラスが、それらの密度、サイズ、化学組成、及び機能に基づいて区別される。それらの間で、高密度リポタンパク質(HDL)粒子(高密度脂質粒子として代替的に表示される)は、180kDa〜360kDaのそれらの平均分子量において変動するいくつかのサブクラスで構成される。それらの平均脂質及びタンパク質含量は、各々の50重量%である。ホスファチジルコリン(PC)は総脂質の38%を占め、コレステリルエステルならびに少量の他の極性及び非極性脂質(遊離コレステロールを含む)が続く。主なタンパク質成分はアポリポタンパク質A−I(アポA−I)であり、ヒトHDL中の総タンパク重量の約60%に相当する。
ヒト身体、特に循環体液(例えば血液など)中のコレステロールは、孤立分子としてではなく、特定のタンパク質との複合体の形態(リポタンパク質)で存在している。コレステロールの主要な分画は、低密度リポタンパク質(LDL)と又は高密度リポタンパク質(HDL)と複合体化される。LDL粒子は、主要タンパク質性化合物として、アポリポタンパク質Bを含むのに対し、HDL粒子は、主要タンパク質性化合物として、アポリポタンパク質A−Iを含む。
HDL粒子により取り込まれたコレステロールは、酵素レシチンコレステロール−アシル−トランスフェラーゼ(LCAT)によりエステル化される。コレステロールエステルは、増加した疎水性を有し、HDL粒子のコアに向かって拡散する。HDLコレステロール−エステル粒子は、肝臓に送達され、循環から除去されうる。
HDL粒子及びその主要なポリペプチドアポリポタンパク質A−Iが、逆コレステロール輸送(RCT)に参加する。それにおいて、アポリポタンパク質A−Iは、細胞から、例えば、血管の壁の細胞からのコレステロールの排出、脂質の結合、及びレシチン−コレステロール−アセチル−トランスフェラーゼの活性化、ならびに、それにより肝臓による血漿流量を介したコレステロールの排除を増加させる。これは、細胞膜タンパク質ATP結合カセットトランスポーターA−I(ABCA−I)を含む能動輸送プロセスである。
アポリポタンパク質A−I及びアポリポタンパク質ベースの治療薬(例、再構成HDL粒子)は、前世紀の70年代後半及び80年代前半には既に同定されていた。脂質粒子を含むアポリポタンパク質A−I−Milanoについて、臨床的な証明(動脈硬化患者における有意なプラーク低下を意味する)を示すことができた。アポリポタンパク質A−I−Milano(野生型アポリポタンパク質A−Iの二量体)は、アポリポタンパク質A−I分子の自然発生する変異体に従って設計された。二量体形成は、ジスルフィド結合の形成を可能にするシステインによるアミノ酸残基173(アルギニン)の交換により可能になる。
WO 2009/131704において、コレステロール及び無機物質を含むコアを含む他の分子を捕捉するために適したナノ構造が報告されている。混合物を得る約1時間内での中間混合物からの界面活性剤の枯渇を含む、ナノスケール結合二重層を産生するための方法が、WO 2009/097587に報告されている。WO 2006/125304において、冠動脈疾患を処置又は予防するための医薬的組成物が報告されている。脂質代謝及び心血管疾患に関連するアポリポタンパク質をコードする組成物が、US 2002/10142953に報告されている。WO 2005/084642において、アポタンパク質蝸牛状(cochelate)組成物が報告されている。WO 2007/137400において、弁狭窄症の処置のための方法及び化合物が報告されている。急性冠症候群の処置及び予防のため医薬的製剤、方法、及び投薬計画が、WO 2005/041866に報告されている。
US 6,287,590において、同時凍結乾燥によるペプチド/脂質複合体形成が報告されている。アポリポタンパク質A−Iアゴニスト及び脂質異常障害を処置するためのそれらの使用が、US 6,037,323に報告されている。
WO 2009/097587において、ナノスケール結合二重層、使用及び生産の方法が報告されている。改善された耐容性を有する免疫原性組成物中での疎水性タンパク質の製剤が、WO 2005/065708に報告されている。WO 2006/069371において、アテローム性動脈硬化症を防止、阻害、及び/又は逆転させるための血漿脂質化の方法が報告されている。膜タンパク質を含むプロテオリポソームの形成が、FR 2 915 490に報告されている。
発明の概要
本明細書において、タンパク質を含む脂質粒子を産生するための方法が報告されている。脂質粒子は、少なくとも1つの脂質及び界面活性剤を含む溶液中への迅速な希釈により、変性タンパク質を含む溶液から開始して形成することができることが見出されている。この工程において、界面活性剤の濃度は、CMCを下回って低下する。この方法を用いて、先行する変性(naturation)工程を省略することができ、このように、本明細書において報告される方法を用いて、脂質粒子のより速い産生が可能である。
一実施態様において、希釈は約1:3(v:v)〜約1:20(v:v)である。
一実施態様において、希釈は約1:5(v:v)〜約1:10(v:v)である。
一実施態様において、希釈は約1:5(v:v)である。
一実施態様において、界面活性剤は、約3の少なくとも倍率で希釈される。一実施態様において、界面活性剤は、約5の少なくとも倍率で希釈される。
本明細書において報告される一局面は、以下の工程:
i)変性タンパク質を含む第1溶液を提供すること、
ii)第1溶液を、少なくとも1つの脂質及び界面活性剤を含むが、しかし、タンパク質を含まない第2溶液に加えること、及び
iii)工程ii)において得られた溶液から界面活性剤を除去し、それにより、脂質粒子を産生すること
を含む脂質粒子を産生するための方法である。
一実施態様において、第1溶液は脂質を含まない。
一実施態様において、タンパク質は組換え産生されたタンパク質である。
一実施態様において、タンパク質はアポリポタンパク質である。別の実施態様において、アポリポタンパク質は、精製されたアポリポタンパク質である。
一実施態様において、アポリポタンパク質は、配列番号01、02、及び04〜52、及び66〜67のアミノ酸配列より選択されるアミノ酸配列を有し、又は、配列番号01、02、及び04〜52、ならびに66及び67のアミノ酸配列の少なくとも80%を含む、少なくとも連続フラグメントを含む。
一実施態様において、アポリポタンパク質は配列番号01、02、及び04〜52、ならびに66及び67より選択されるアミノ酸配列を有する、又は、そのアミノ酸配列の少なくとも80%の少なくとも連続フラグメントである。
一実施態様において、アポリポタンパク質はアポリポタンパク質A−Iである。一実施態様において、アポリポタンパク質A−Iはヒトアポリポタンパク質A−Iである。さらなる実施態様において、アポリポタンパク質は、配列番号01、又は配列番号02、又は配列番号66、又は配列番号67のアミノ酸配列を有するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iである。
一実施態様において、アポリポタンパク質は、R151C及びR197Cより選択される突然変異を伴う配列番号6のアミノ酸配列を有する。
一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の少なくとも2倍である容積を有する。
一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の約3倍〜約20倍を有する。一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の約5倍〜約10倍を有する。
一実施態様において、少なくとも1つの脂質は、リン脂質、脂肪酸、及びステロイド脂質より選択される。
一実施態様において、少なくとも1つの脂質は、場合により、リン脂質、脂肪酸、及びステロイド脂質より互いに非依存的に選択される少なくとも2つの脂質である。別の実施態様において、少なくとも1つの脂質は1〜4つの脂質のものであり、即ち、それは1つの脂質、2つの脂質、3つの脂質、及び4つの脂質を含む群より選択される。
一実施態様において、第2溶液はリン脂質、脂質、及び界面活性剤を含む。
一実施態様において、第2溶液はリン脂質、脂質、界面活性剤、及びバッファー塩からなる。
一実施態様において、脂質は2つの異なるリン脂質である。別の実施態様において、脂質は2つの異なるホスファチジルコリンである。別の実施態様において、第1ホスファチジルコリンと第2ホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリンのグリセロール骨格にエステル化された1つもしくは2つの脂肪酸残基又は脂肪酸残基の誘導体において異なる。一実施態様において、第1ホスファチジルコリンはPOPCであり、第2ホスファチジルコリンはDPPCである
一実施態様において、界面活性剤は、糖ベースの界面活性剤、ポリオキシアルキレンベースの界面活性剤、胆汁塩ベースの界面活性剤、合成界面活性剤、又はそれらの組み合わせより選択される。別の実施態様において、界面活性剤は、コール酸、ツヴィッタージェント(Zwittergent)、又はその塩より選択される。
本明細書において報告される方法の一実施態様において、第1溶液は脂質粒子を実質的に含まない。
一実施態様において、本方法は、工程ii)後及び工程iii)に先立ち、以下の工程iia)工程ii)において得られた溶液をインキュベートすることを含む。一実施態様において、インキュベーション及び/又は除去は4℃〜45℃の温度である。
一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約2時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約12時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約16時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。
一実施態様において、界面活性剤は、高いCMCを伴う界面活性剤である。別の実施態様において、界面活性剤は、少なくとも5mMのCMCを伴う界面活性剤である。別の実施態様において、界面活性剤は、少なくとも10mMのCMCを伴う界面活性剤である。
一実施態様において、界面活性剤の濃度は、第2溶液中の少なくとも0.5×CMCである。
一実施態様において、除去は、ダイアフィルトレーション又は透析又は吸着による。吸着は、一実施態様において、親和性又は疎水性クロマトグラフィーより選択される。一実施態様において、除去は透析よる。
一実施態様において、第1溶液は第1容積を有し、第2溶液は第2容積を有し、第1溶液中のタンパク質が定められた濃度を有し、ならびに、第2溶液中の脂質及び界面活性剤が各々定められた濃度を有し、ならびに、工程ii)において、アポリポタンパク質の、脂質の、及び界面活性剤の濃度が変化/低下され、脂質粒子の形成を可能にする。
一実施態様において、本方法は以下の工程:
iv)脂質粒子を精製し、それにより脂質粒子を産生すること
を含む。
本明細書において報告される一局面は、本明細書において報告される方法により得られる脂質粒子である。
本明細書において報告される一局面は、本明細書において報告される方法を用いて得られるアポリポタンパク質を含む脂質粒子を含む医薬的組成物、ならびに動脈硬化症の処置のための医薬の製造のための本明細書において報告される脂質粒子の使用である。
発明の詳細な説明
定義
用語「アポリポタンパク質」は、脂質又はリポタンパク質粒子中にそれぞれ含まれるタンパク質を意味する。
用語「アポリポタンパク質A−I」は、タンパク質−脂質及びタンパク質−タンパク質の相互作用特性を伴う両親媒性のヘリカルポリペプチドを意味する。アポリポタンパク質A−Iは、243アミノ酸残基を有する成熟ポリペプチドに切断されるプロアポリポタンパク質として分泌される267アミノ酸残基のプレプロアポリポタンパク質として肝臓及び小腸により合成される。アポリポタンパク質A−Iは、しばしばプロリンであり、一部の場合において、いくつかの残基から構成されるストレッチからなるリンカー部分により分離される22アミノ酸残基の各々からなる6〜8の異なるアミノ酸リピートからなる。例示的なヒトアポリポタンパク質A−Iアミノ酸配列が、GenPeptデータベースエントリNM−000039又はデータベースエントリX00566;GenBank NP−000030.1(gi 4557321)に報告されている。ヒトアポリポタンパク質A−I(配列番号06)の内、自然発生バリアントが存在する。例えばP27H、P27R、P28R、R34L、G50R、L84R、D113E、A−A119D、D127N、K131の欠失、K131M、W132R、E133K、R151C(アミノ酸残基151がArgからCysに変化されている:アポリポタンパク質A−I−Paris)、E160K、E163G、P167R、L168R、E171V、P189R、R197C(アミノ酸残基173がArgからCysに変化されている:アポリポタンパク質A−I−Milano)、及びE222Kなど。また、保存的アミノ酸修飾を有するバリアントも含まれる。
一実施態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは、免疫グロブリンAプロテアーゼ(IgAプロテアーゼ)の切断部位のフラグメントを含む。IgAプロテアーゼからの公知の認識部位は、以下の配列を含み、「↓」は切断された結合の位置を意味する:

それにおいて、最初の3つが最も頻繁に選ばれ、切断される。
用語「アポリポタンパク質模倣体」は、それぞれのアポリポタンパク質の機能を模倣する合成ポリペプチドを意味する。例えば、「アポリポタンパク質A−I模倣体」は、天然アポリポタンパク質A−Iとして、コレステロールの除去、即ち、逆コレステロール排出に関して同程度の生物学的機能を示す合成ポリペプチドである。一実施態様において、アポリポタンパク質A−I模倣体は、疎水性−親水性界面にクラスター化された正荷電アミノ酸残基及び親水性面の中央にクラスター化された負荷電アミノ酸残基を伴う少なくとも1つの両親媒性アルファ−ヘリックスを含む。アポリポタンパク質A−Iの機能を模倣するために、アポリポタンパク質模倣体は、15〜29アミノ酸残基、一実施態様において、22アミノ酸残基

のリピートポリペプチドを含む。
用語「少なくとも1つ」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上を意味する。用語「少なくとも2つ」は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上を意味する。
用語「心血管疾患」は、一般的に、心臓又は血管に関する疾患又は状態、例えば動脈硬化、冠動脈心疾患、脳血管疾患、大動脈腸骨動脈疾患、虚血性心疾患、又は末梢血管疾患などを意味する。そのような疾患は、疾患の結果としての有害事象、例えば心筋梗塞、脳卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全、大動脈瘤などに先立って発見されないことがあり、大部分が被験体の死亡をもたらす。
用語「コール酸」は、3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラン−24−oic酸又はそれらの塩、特にナトリウム塩を意味する。脂質粒子の形成は、アポリポタンパク質を界面活性剤可溶化脂質とそれらのそれぞれの転移温度でインキュベートすることにより実施することができる。
用語「臨界ミセル濃度」及びその省略形「CMC」は、互換的に使用することができ、個々の界面活性剤分子(単量体)が自然にミセル(ミセル、丸棒、ラメラ構造など)に凝集するものを上回る、サーファクタント又は界面活性剤の濃度を意味する。
用語「保存的アミノ酸修飾」は、本発明に従って脂質粒子又はアポリポタンパク質の特性に影響を与えない、又は変えないアミノ酸配列の修飾を意味する。修飾は、当技術分野において公知の標準的技術(例えば部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発など)により導入することができる。保存的アミノ酸修飾は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基を用いて置換されているものを含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸を含む。「バリアント」タンパク質は、従って、本明細書において、アミノ酸配列において、「親」タンパク質のアミノ酸配列と、10まで、一実施態様において、約2〜約5の付加、欠失、及び/又は置換だけ異なる分子を指す。アミノ酸配列の改変は、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327、及びQueen, C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033により記載される通りに、分子モデリングに基づく突然変異誘発により実施することができる。
用語「界面活性剤」は、表面活性化学物質を意味する。「界面活性剤」は、一般的に、非極性の疎水性部分及び極性の親水性部分を伴う両親媒性分子である。用語「双性イオン界面活性剤」は、全体的なゼロ電荷を有し、同時に、少なくとも1つの正荷電部分及び少なくとも1つの負荷電部分を含む表面活性化学的化合物を意味する。一実施態様において、界面活性剤は、糖ベースの界面活性剤、ポリオキシアルキレンベースの界面活性剤、胆汁塩ベースの界面活性剤、合成界面活性剤、又はそれらの組み合わせより選択される。用語「糖ベースの界面活性剤」は、n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−ノニル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−ベータ−D−マルトピラノシド、又は5−シクロヘキシルペンチル−ベータ−D−マルトピラノシド、及びそれらの誘導体より選択される界面活性剤を意味する。用語「胆汁塩ベースの界面活性剤」は、コール酸ナトリウム、コール酸カリウム、コール酸リチウム、3[(3コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−イル−プロパンスルホン酸(CHAPS)、3[(3コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CHAPSO)、及びそれらの誘導体より選択される界面活性剤を意味する。用語「ポリオキシアルキレンベースの界面活性剤」は、Tween 20、Triton X-100、Pluronic F68、及びそれらの誘導体より選択される界面活性剤を意味する。用語「合成界面活性剤」は、Zwittergent 3-6、Zwittergent 3-8、Zwittergent 3-10、Zwittergent 3-12、及びそれらの誘導体より選択される界面活性剤を意味する。
用語「高密度リポタンパク質粒子」又はその省略形「HDL粒子」は、互換的に使用することができ、主なタンパク質性化合物としてアポリポタンパク質A−Iを含む脂質−タンパク質複合体を意味する。
用語「イムノアッセイ」は、固相上に吸着/固定化された抗体(捕捉抗体)、抗原、及び、酵素を用いてコンジュゲートした、抗原の別のエピトープに対する抗体(トレーサー抗体)との複合体の形成を含む、モノクローナル抗体を用いた標準的な固相イムノアッセイを意味する。このように、サンドイッチが形成される:固相−捕捉抗体−抗原−トレーサー抗体。サンドイッチにより触媒される反応において、抗体コンジュゲート酵素の活性は、インキュベーション培地中の抗原濃度に比例する。標準的なサンドイッチ方法は、また、二重抗原架橋イムノアッセイと呼ばれる。なぜなら、捕捉及びトレーサー抗体が抗原の異なるエピトープに結合するためである。アッセイの他の型は、ラジオイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、及び酵素連結イムノアッセイである。そのようなアッセイ、ならびに実際的な適用及び手順を行うための方法が、当業者に公知である。イムノアッセイは、同種又は異種イムノアッセイとして実施することができる。
用語「脂質排出を増加させる」及びその文法的な等価物は、脂質排出の増加レベル及び/又は速度を意味し、脂質排出を促し、脂質排出を増強し、脂質排出を促進し、脂質排出を上方調節し、脂質排出を改善し、及び/又は細胞もしくはプラークからの脂質排出を増大させる。一実施態様において、脂質排出は、リン脂質、トリグリセリド、コレステロール、及び/又はコレステロールエステルの排出を含む。
用語「DMPC」はリン脂質ジミリストイルホスファチジルコリンを意味する。
用語「DPPC」は、リン脂質1,2−ジ−パルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリンを意味し、また、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリンとして言及される。
用語「多量体」は、2又はそれ以上の単量体からなる複合体を意味する。多量体は、単量体の間の非共有結合性相互作用により形成される。各単量体は多量体化ドメインを含む。一実施態様において、多量体は2つ又は3つの単量体を含む。別の実施態様において、多量体化ドメインは、各単量体中に含まれる個々の多量体化ドメイン間の非共有結合性相互作用を介して相互作用する。用語「多量体化ドメイン」は、2つ又はそれ以上の単量体分子を共有結合的又は非共有結合的に会合することが可能なアミノ酸配列を意味する。多量体化ドメインは、異なる、類似の、又は同一のアミノ酸配列の多量体化ドメインと相互作用することが可能である。一実施態様において、多量体化ドメインは、配列番号53のコンセンサスアミノ酸配列と少なくとも68%同一であるアミノ酸配列を有するテトラネクチン三量体化構造要素又はその誘導体である。一実施態様において、配列番号53の位置50のシステイン残基は、異なるアミノ酸残基により、別の実施態様において、セリン残基、又はスレオニン残基、又はメチオニン残基により置換される。多量体化ドメインを含むポリペプチドは、また、多量体化ドメインを含む1つ又は複数の他のポリペプチドと会合することができる。多量体形成は、適した条件下でポリペプチドを混合することにより簡単に開始することができる。別の実施態様において、多量体化ドメインは配列番号53のアミノ酸配列を有し、それにおいて、1〜10残基が、アミノ酸配列のN又はC末端から欠失されている又はそれに加えられている。さらなる実施態様において、多量体化ドメインは配列番号53のアミノ酸配列を有し、それにおいて、6又は9のアミノ酸残基がアミノ酸配列のN末端から欠失されている。さらに別の実施態様において、多量体化ドメインは配列番号53のアミノ酸配列を有し、それにおいて、N末端アミノ酸残基L又はN末端アミノ酸残基C及びLが欠失されている。一実施態様において、多量体化ドメインはテトラネクチン三量体化構造要素であり、配列番号54のアミノ酸配列を有する。多量体は、一実施態様において、ホモマーである。
多量体はホモマー又はヘテロマーでありうる。なぜなら、多量体化ドメインを含む異なるアポリポタンパク質は、多量体に組み込まれるように組み合わせることができるからである。一実施態様において、多量体は三量体のホモマーである。
一実施態様に従い、多量体化ドメインはテトラネクチンから得られる。一実施態様において、多量体化ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を有するテトラネクチン三量体化構造要素を含む。テトラネクチン三量体化構造要素の三量体化効果は、2つの他のテトラネクチン三量体化構造要素のコイルドコイル構造と相互作用し、三量体を形成するコイルドコイル構造により起こされる。テトラネクチン三量体化構造要素は、ヒトテトラネクチンから、ウサギテトラネクチンから、マウステトラネクチンから、又はサメ軟骨のC型レクチンから得てもよい。一実施態様において、テトラネクチン三量体化構造要素は、配列番号53のコンセンサス配列と少なくとも68%、又は少なくとも75%、又は少なくとも81%、又は少なくとも87%、又は少なくとも92%の同一性を有する配列を含む。
用語「非共有結合性相互作用」は、非共有結合力、例えばイオン性相互作用力(例、塩橋)、非イオン性相互作用力(例、水素結合)、又は疎水性相互作用力(例、ファンデルワールス力又はπ−スタッキング相互作用)などを意味する。
用語「相転移温度」は、脂質の物理的状態において秩序あるゲル相からの変化を誘導するために要求される温度を意味し、そこでは、炭化水素鎖は完全に伸長され、無秩序な液晶相に密接に充填され、そこでは、炭化水素鎖がランダムに配向されて、流体である。脂質粒子の形成は、使用されるリン脂質/リン脂質混合物の相転移温度で又はそれ以上で行ってもよい。一部のホスファチジルコリン及びそれらの混合物の相転移温度を、以下の表1に列挙する。
用語「ホスファチジルコリン」は、1つのグリセロール部分、2つのカルボン酸部分、及び1つのホスホコリン部分からなる分子を意味し、それにおいて、グリセロール部分がエステル結合(即ち、2つのカルボン酸エステル結合及び1つのリン酸エステル結合)により共有結合的に他の部分に結合しており、それにより、リン酸エステル結合はグリセロール部分の1−ヒドロキシル基又は3−ヒドロキシル基のいずれかに対する。用語「カルボン酸部分」は、少なくとも1つのアシル基(R−C(O)O)を含む有機部分を意味する。ホスファチジルコリンは任意の種類又は供給源でありうる。一実施態様において、ホスファチジルコリンは、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジラウリルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルコリン、1−オレオイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ならびにそれらの類似体及び誘導体より選択される。
全てのリン脂質は、本明細書において使用される通り、任意の供給源、即ち、(適切な場合)大豆、牛乳、卵、又はさらには動物(ヒトを除く)の内臓に由来しうる。それらは、天然起源由来、又は半合成もしくはさらには完全合成でありうる。
「ポリペプチド」は、天然に又は合成的に産生されるかを問わず、ペプチド結合により連結されたアミノ酸からなるポリマーである。約20未満のアミノ酸残基のポリペプチドが「ペプチド」として言及されうるのに対し、2つ又はそれ以上のポリペプチドからなる、又は100を超えるアミノ酸残基の1つのポリペプチドを含む分子は「タンパク質」として言及されうる。ポリペプチドは、また、非アミノ酸成分(例えば炭水化物基、金属イオン、又はカルボン酸エステルなど)を含みうる。非アミノ酸成分は、細胞により加えてもよく、それにおいてポリペプチドが発現されており、細胞の型によって変動しうる。ポリペプチドは、それらのアミノ酸骨格構造又は同をコードする核酸に関して、本明細書において定義される。付加基(例えば炭水化物基など)は、一般的には特定されないが、しかし、それにもかかわらず、存在しうる。
用語「POPC」はリン脂質1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリンを意味し、また、1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルコリンとして言及される。
用語「迅速な」は、最大で10時間以内に完了するプロセスを意味する。迅速な希釈は、第1溶液が最大で10時間で第2溶液に加えられるプロセスである。一実施態様において、プロセスは、最大で5時間、さらなる実施態様において、最大で2時間で完了する。
用語「実質的に含まない」は、タンパク質及び1つ又は複数の脂質を含む溶液が、5%未満(w/w)の脂質粒子、2.5%未満の脂質粒子、1%未満の脂質粒子、又は0.5%未満の脂質粒子を含むことを意味する。
用語「バリアント」は、また、本明細書において報告されるアポリポタンパク質のバリアント又はアポリポタンパク質模倣体を含み、それにおいて、バリアント中に、それぞれのアポリポタンパク質又はアポリポタンパク質模倣体のアミノ酸配列が1つ又は複数のアミノ酸置換、付加、又は欠失を含む。修飾は、アポリポタンパク質受容体又はアポリポタンパク質変換酵素についてのアポリポタンパク質の親和性を増加もしくは減少させうる、又は、それぞれのアポリポタンパク質と比較して、アポリポタンパク質バリアントの安定性を増加させうる、又は、水溶液中のそれぞれのアポリポタンパク質と比較して、アポリポタンパク質バリアントの溶解度を増加させうる、又は、宿主細胞における/によるそれぞれのアポリポタンパク質と比較して、アポリポタンパク質バリアントの組換え産生を増加させうる。
本明細書において報告される
脂質粒子が、界面活性剤及び少なくとも1つの脂質を含むが、しかし、タンパク質を含まない溶液中への迅速な希釈により、変性タンパク質を含むが、しかし、界面活性剤及び脂質を含まない溶液から直接的に形成することができることが見出されている。一般的に要求される変性(naturation)工程を省略することができ、このように、脂質粒子の産生のためのより簡単で頑強な方法を提供する。加えて、より均質な脂質粒子が形成される。
脂質粒子の産生のための方法
本明細書において、以下の工程:
i)変性タンパク質を含む第1溶液を提供すること、
ii)第1溶液を、脂質及び界面活性剤を含むが、しかし、タンパク質を含まない、即ち、タンパク質不含である第2溶液に加えること、及び
iii)工程ii)において得られた溶液から界面活性剤を除去し、それにより、脂質粒子を産生すること
を含む、タンパク質を含む脂質粒子を産生するための方法が報告されている。
一実施態様において、アポリポタンパク質を含む脂質粒子を産生するための本方法は、以下の工程:
i)変性アポリポタンパク質を含む第1溶液を提供すること、
ii)第1溶液を、脂質及び界面活性剤を含むが、しかし、アポリポタンパク質を含まない第2溶液に加えること、及び
iii)工程ii)において得られた溶液から界面活性剤を除去し、それにより、脂質粒子を産生すること
を含む。
一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の少なくとも2倍である容積を有する。
一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の約3倍〜約20倍を有する。一実施態様において、第2溶液は、第1溶液の容積の約5倍〜約10倍を有する。
一実施態様において、第2溶液は、リン脂質、脂肪酸、及びステロイド脂質より互いに非依存的に選択される少なくとも2つの異なる脂質を含む。別の実施態様において、少なくとも2つの異なる脂質は、2つの異なるホスファチジルコリンである。一実施態様において、第1ホスファチジルコリンはPOPCであり、第2ホスファチジルコリンはDPPCである。
一実施態様において、界面活性剤は、コール酸、Zwittergent、又はその塩より選択される。
自然発生する又は組換え産生されたポリペプチド(例えば、ヒトHDL粒子に由来するアポリポタンパク質A−I又は脱脂アポリポタンパク質A−Iなど)からの脂質粒子の産生のための多数の異なる方法が報告されている。それにおいて、例えば、リン脂質(例えばパルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンなど)と界面活性剤(例えばコール酸ナトリウムなど)の水性混合物を、精製アポリポタンパク質A−Iとインキュベートし、それにおいて、アポリポタンパク質A−Iが未変性、即ち、非変性形態で用いられる。界面活性剤は、脂質粒子の形成後に透析又はダイアフィルトレーションにより除去される。
本明細書において報告される方法は、単一工程において完全に変性したタンパク質をリフォールディング及び脂質化することを可能にする。本明細書において報告される方法を使用することにより、改善した産物の質を伴う脂質粒子を得ることができ、タンパク質の時間がかかる前処理を省略することができ、及び、バイオ医薬品産生のための大規模処理が初めて可能である。
本明細書において報告される方法は、単一工程において完全に変性したアポリポタンパク質A−Iをリフォールディング及び脂質化することを可能にする。本明細書において報告される方法を使用することにより、改善した産物の質を伴う脂質粒子を得ることができ、アポリポタンパク質A−Iの時間がかかる前処理を省略することができ、及び、バイオ医薬品産生のための大規模処理が初めて可能である。
脂質粒子形成プロセス開発のために考慮しなければならない主なポイントは、i)生物学的活性のための要件、及びii)脂質粒子の製造可能性に向けられる技術的要件である。例えば、アポリポタンパク質を含む脂質粒子の形成のために、これらの要件は、反対方向を指す。
技術的な観点から、16の炭素原子及びより短い鎖を伴うカルボン酸部分を含む飽和リン脂質が選ばれうる(例、ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、DPPC;ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、DMPCなど)。それとは対照的に、生物学的データから、少なくとも16の炭素原子の鎖を伴うカルボン酸部分を含む非飽和リン脂質(例、パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、POPC;ステアロイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、SOPC)は、より効果的で、非肝臓毒性であると仮定することができる。
脂質の組み合わせの選択は、アポリポタンパク質を含む脂質粒子の効力及び肝臓の安全性を決定する。ウサギを使用した脂質粒子を含むDMPCのインビボ試験では、30mg/kgを用いて処置されたウサギが重度の副作用が示したが、しかし、生存したのに対し、100mg/kgを用いて処置たされたウサギは死亡したことが見出されている。結果は、脂質化が、コレステロール動員のため及び結果的に分子の効力のために必要とされることを明らかに示した(図23)。
インビトロの機能テストでは、単一のホスファチジルコリン(例えばDPPC又はPOPCなど)を含む脂質粒子がLCATを活性化することが確認された。
また、コレステロール排出が、異なるリン脂質の組み合わせについて、より高いことが示された。
これらの結果は、また、インビボデータにより確認され、全ての組み合わせについてのコレステロール動員を実証する。しかし、単一のホスファチジルコリンDPPCだけ、又はDPPC及びスフィンゴミエリン(SM)の組み合わせを含む脂質粒子について、肝臓酵素における増加を決定することができる(図1)。
このように、また、局面は、本明細書において報告される方法により得られる脂質粒子である。
技術的な観点から、純粋なDPPCを用いた脂質粒子の形成は、純粋なPOPCを用いた形成と比較して、より簡便である。沈殿物形成のリスクが、異なるリン脂質の組み合わせを使用することにより低下する。また、純粋なDPPCについての41℃の相転移温度は、4℃の相転移温度を有する純粋なPOPCと比較して、脂質粒子の調製を簡単にすることができる。また、得られた産物はより均質である。これは、SEC−MALLS、タンパク質−脂質組成の決定(タンパク質コンジュゲート分析)も可能にする分析ツールを介した脂質粒子分析により確認することができる。図2において、サイズ排除クロマトグラフィー(UV280検出)において分解されたサンプルのクロマトグラムを示す。サンプルの不均質は、複数の分離又はセミデタッチピークの発生により見ることができる。
純粋なPOPCが脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのPOPC分子の数は、一実施態様において40〜85、一実施態様において50〜80、一実施態様において54〜75である。
純粋なDPPCが脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのDPPC分子の数は、一実施態様において50〜150、一実施態様において65〜135、一実施態様において76〜123、及び一実施態様において86〜102である。
モル比1:3のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において約50〜約120、一実施態様において約65〜約105、及び一実施態様において約72〜約96である。
モル比1:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において50〜120、一実施態様において60〜100、一実施態様において71〜92、及び一実施態様において71〜85である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において50〜105である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において60〜95である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において60〜90である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において60〜88である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において62〜80である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において66〜86である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において64〜70である。
モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物が脂質粒子を産生するために使用される場合での脂質粒子中の1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、一実施態様において約66である。
アポリポタンパク質及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、一実施態様においてアポリポタンパク質とPOPCのモル比1:40〜1:100を用い、一実施態様においてモル比1:40〜1:80を用い、及び一実施態様においてモル比約1:60を用いる。
アポリポタンパク質及びDPPCを含む脂質粒子の産生のために、一実施態様においてアポリポタンパク質とDPPCのモル比1:70〜1:100を用い、一実施態様においてモル比1:80〜1:90を用い、及び一実施態様においてモル比約1:80を用いる。
アポリポタンパク質、POPC、及びDPPCを含む脂質粒子の産生のために、一実施態様において1:3モル比のPOPCとDPPCを伴うアポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比1:60〜1:100を用い、一実施態様においてモル比1:70〜1:90を用い、及び一実施態様においてモル比約1:80を用いる。
アポリポタンパク質、DPPC、及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、一実施態様において1:1モル比のPOPCとDPPCを伴うアポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比1:60〜1:100を用い、一実施態様においてモル比1:60〜1:80を用い、及び一実施態様においてモル比約1:70を用いる。
アポリポタンパク質、DPPC、及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、一実施態様において3:1モル比のPOPCとDPPCを伴うアポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比1:60〜1:100を用い、一実施態様においてモル比1:50〜1:70を用い、及び一実施態様においてモル比約1:60を用いる。
一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約2時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約12時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約16時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。
一実施態様において、脂質の混合物を、脂質粒子を産生するために使用する場合、混合物は、4℃〜45℃、一実施態様において10℃〜38℃、及び、一実施態様において15℃〜35℃の相転移温度を有する。
アポリポタンパク質を含む脂質粒子の形成のために、異なる方法が公知である(例えば凍結乾燥、凍結融解、界面活性剤可溶化(透析が続く)、マイクロ流動化、超音波処理、及び均質化など)。
脂質粒子は、一実施態様において、平均数1〜10のアポリポタンパク質分子、一実施態様において、1脂質粒子当たり1〜8のアポリポタンパク質分子、及び、一実施態様において、1脂質粒子当たり1〜4のアポリポタンパク質分子を含みうる。
一実施態様において、脂質粒子は、1脂質粒子当たり平均数少なくとも1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10のアポリポタンパク質分子を含みうる。一実施態様において、平均数は1である。
一実施態様において、脂質粒子は、アポリポタンパク質の他、1つ又は複数のさらなるポリペプチドを含む。
限定されることなく、脂質粒子は、酵素の補因子及び/又は脂質、特にコレステロール、脂質を取り込むための担体としての役割を果たしうる。
1つ又は複数の界面活性剤が、本明細書において報告される脂質粒子中に存在することができる。そのような界面活性剤は、任意の医薬的に許容可能な界面活性剤、例えば非イオン性又はイオン性界面活性剤などでありうる。非イオン性界面活性剤は、1つ又は複数のヒドロキシル基を含む有機化合物のアルキレンオキシド誘導体でありうる。一実施態様において、非イオン性界面活性剤は、エトキシル化及び/又はプロポキシ化アルコール又はエステル化合物又はそれらの混合物より選択される。別の実施態様において、エステルは、ソルビトール及び脂肪酸のエステル(例えばソルビタンモノオレエート又はソルビタンモノパルミテート、油性スクロースエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリプロポアルキルエーテル、ブロックポリマー及びセチルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体及びポリグリセリン脂肪酸エステルなど)より選択される。一実施態様において、非イオン性界面活性剤は、Pluronic(登録商標)、Poloxamer(登録商標)、Span(登録商標)、Tween(登録商標)、Polysorbate(登録商標)、Tyloxapol(登録商標)、Emulphor(登録商標)、又はCremophor(登録商標)より選択される。
イオン性界面活性剤は胆管薬剤であることができる。一実施態様において、イオン性界面活性剤は、コール酸もしくはデオキシコール酸、又はそれらの塩及び誘導体より、あるいは遊離脂肪酸(例えばオレイン酸、リノール酸、及びその他など)より選択される。
一実施態様において、イオン性界面活性剤は、カチオン性脂質(C10−C24アルキルアミン又はアルカノールアミンなど)及びカチオン性コレステロールエステルより選択される。一実施態様において、界面活性剤は、高いCMCを伴う界面活性剤である。さらなる実施態様において、界面活性剤は、少なくとも5mMのCMCを伴う界面活性剤である。
一実施態様において、脂質粒子は、0.75重量%未満の界面活性剤を含む。
一実施態様において、脂質粒子は、0.30重量%未満の界面活性剤を含む。
一実施態様において、脂質粒子は、0.1重量%未満の界面活性剤を含む。
一実施態様において、脂質粒子は、0.05重量%未満の界面活性剤を含む。
一実施態様において、界面活性剤は、糖ベースの界面活性剤、ポリオキシアルキレンベースの界面活性剤、胆汁塩ベースの界面活性剤、合成界面活性剤、又はそれらの組み合わせより選択される。別の実施態様において、界面活性剤は、コール酸又はZwittergentである。
本発明に従った方法の一実施態様において、第1溶液は脂質粒子を実質的に含まない。
一実施態様において、本方法は、工程ii)後及び工程iii)に先立ち、以下の工程iia)工程ii)において得られた溶液をインキュベートすることを含む。一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約0.5時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約2時間〜約60時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約12時間〜約20時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。一実施態様において、ポリペプチドを、約16時間にわたり界面活性剤とインキュベートする。
一実施態様において、インキュベーション及び/又は除去は4℃〜45℃の温度である。
一実施態様において、除去は、ダイアフィルトレーション又は透析による。
一実施態様において、第1溶液は第1容積を有し、第2溶液は第2容積を有し、第1溶液中のタンパク質(例えばアポリポタンパク質など)が定められた濃度を有し、第2溶液中の脂質及び界面活性剤が、各々が定められた濃度を有し、それにおいて、工程ii)において、アポリポタンパク質の、脂質の、及び界面活性剤の濃度が変化/低下され、脂質粒子の形成を可能にする。アポリポタンパク質溶液の希釈ならびに脂質及び界面活性剤の添加を用いて、一方ではアポリポタンパク質と脂質の適した比率、及び、また、他方では脂質と界面活性剤の適した比率を調整し、脂質粒子の形成を可能にした。
一実施態様において、本方法は以下の工程:
iv)脂質粒子を精製し、それにより脂質粒子を産生すること
を含む。
例えば、アポリポタンパク質を含む脂質粒子の産生のために、16の原子及びより短い鎖を伴うカルボン酸部分を含む飽和リン脂質が技術的な観点から選ばれうる(例、ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、DPPC;ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、DMPCなど)。それとは対照的に、生物学的データから、少なくとも16のC原子の鎖を伴うカルボン酸部分を含む非飽和リン脂質(例、パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、POPC;ステアロイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、SOPC)は、より効果的で、非肝臓毒性であると推測することができる。
ホスファチジルコリンDPPC及びPOPCならびにそれらの混合物は、アポリポタンパク質を含む脂質粒子の形成のために使用することができる。これらの例示的なホスファチジルコリンは、1つのカルボン酸部分において異なり、ホスホグリセロール骨格に対してエステル化された1つの同一のカルボン酸部分を有する。脂質粒子の製造は、DPPCを使用した場合にはより簡単であった。対照的に、POPCは、特に、コレステロールエステル中への動員コレステロールの変換のために必要であるレシチンコレステロールアセチルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素の活性化のための基質として、インビトロ機能アッセイにおいてより効果的であった。異なるモル比の2つのホスファチジルコリン(例、POPC及びDPPCとして)の混合物を含む脂質粒子が、1つのホスファチジルコリンだけを含む脂質粒子と比較して、有利であることが見出されている(図4を参照のこと)。
例えば、脂質粒子はPOPCだけを含むことができる。1アポリポタンパク質単量体当たりのPOPC分子の数は、アポリポタンパク質と脂質のモル比1:40〜1:80までが脂質粒子の産生において使用される場合、54〜75の間で変動しうる。一実施態様において、アポリポタンパク質とPOPCのモル比は1:40〜1:80であり、一実施態様において、モル比は1:50〜1:70であり、一実施態様において、モル比は約1:60である。
このように、アポリポタンパク質及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、アポリポタンパク質とPOPCのモル比は一実施態様において1:40〜1:100であり、一実施態様において、モル比は1:40〜1:80であり、及び、一実施態様において、モル比は約1:60である。
例えば、脂質粒子はDPPCだけを含むことができる。1アポリポタンパク質単量体当たりのDPPC分子の数は、アポリポタンパク質と脂質のモル比1:40〜1:80までが脂質粒子の産生において使用される場合、76〜123の間で変動しうる。一実施態様において、アポリポタンパク質とDPPCのモル比は1:70〜1:100であり、一実施態様において、モル比は1:75〜1:90であり、一実施態様において、モル比は約1:80である。
例えば、脂質粒子を、モル比1:3のPOPC及びDPPCの混合物から開始して産生することができる。1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、アポリポタンパク質と脂質のモル比1:60〜1:100までが脂質粒子の産生において使用される場合、72〜112の間で変動しうる。一実施態様において、アポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比は1:70〜1:90であり、一実施態様において、モル比は1:75〜1:85であり、一実施態様において、モル比は約1:80である。
このように、アポリポタンパク質、POPC、及びDPPCを含む脂質粒子の産生のために、1:3モル比のPOPCとDPPCを伴うアポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比は、一実施態様において、1:60〜1:100であり、一実施態様において、モル比は1:70〜1:90であり、及び、一実施態様において、モル比は約1:80である。
例えば、脂質粒子を、モル比1:1のPOPC及びDPPCの混合物から開始して産生することができる。1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、アポリポタンパク質と脂質のモル比1:60〜1:100までが脂質粒子の産生において使用される場合、71〜111の間で変動しうる。一実施態様において、アポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比は1:60〜1:80であり、一実施態様において、モル比は1:65〜1:75であり、一実施態様において、モル比は約1:70である。
このように、アポリポタンパク質、DPPC、及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、1:1モル比のPOPCとDPPCを伴うアポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比は、一実施態様において、1:60〜1:100であり、一実施態様において、モル比は1:60〜1:80であり、及び、一実施態様において、モル比は約1:70である。
例えば、脂質粒子を、モル比3:1のPOPC及びDPPCの混合物から開始して産生することができる。1アポリポタンパク質単量体当たりのリン脂質分子の数は、アポリポタンパク質と脂質のモル比1:60〜1:100までが脂質粒子の産生において使用される場合、46〜93の間で変動しうる。一実施態様において、アポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比は1:50〜1:70であり、一実施態様において、モル比は1:55〜1:65であり、一実施態様において、モル比は約1:60である。
このように、アポリポタンパク質、DPPC、及びPOPCを含む脂質粒子の産生のために、アポリポタンパク質とPOPC及びDPPCのモル比(それによりPOPCとDPPCは3:1モル比である)は一実施態様において1:60〜1:100であり、一実施態様において、モル比は1:50〜1:70であり、及び、一実施態様において、モル比は約1:60である。
一実施態様において、アポリポタンパク質は、アポリポタンパク質の水溶液として提供され、組換え産生後の下流プロセシング又はアポリポタンパク質産生の任意の他の供給源から得ることができ、変動する純度を伴う異なる濃度のアポリポタンパク質を含むことができる。
基本的に、脂質粒子形成は、それらのそれぞれの転移温度でポリペプチドと界面活性剤可溶化脂質をインキュベートすることにより達成される。透析による界面活性剤の除去は、脂質二重層からなる脂質粒子の形成をもたらす。
基本的に、脂質粒子形成は、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I又はその多量体を、界面活性剤可溶化脂質と、それらのそれぞれの転移温度でインキュベートすることにより達成することができる。透析による界面活性剤の除去は、α−ヘリックスアポリポタンパク質により囲まれた脂質二重層からなる脂質粒子の形成をもたらす。
脂質粒子は、沈殿及び/又はクロマトグラフィー工程の組み合わせにより精製することができる。例えば、過剰な界面活性剤、即ち、脂質粒子の部分ではない界面活性剤を、疎水性吸着クロマトグラフィー工程において除去することができる。一実施態様において、脂質粒子を精製するための方法の工程は、疎水性吸着クロマトグラフィー工程を含む。別の実施態様において、疎水性吸着工程用のクロマトグラフィー材料は、Extracti Gel D(Pierce Biotechnology, Rockford IL, USAより入手可能)、CALBIOSORB(商標)(Calbiochem, San Diego, CA, USAより入手可能)、SDR 30 HyperD(商標) Solvent-Detergent Removal Chromatography Resin(PALL Corporation, Ann Arbor, MI, USAより入手可能)より選択される。脂質粒子は、界面活性剤不含の溶液を用いて疎水性吸着材料から回収される。
一実施態様において、透析を使用して、高CMCを伴う界面活性剤を除去する。
医薬的及び診断的組成物:
本明細書において報告される方法により得られる脂質粒子は、疾患又は状態の処置及び/又は診断のために使用することができる。
本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I又は本明細書において報告される脂質粒子は、非正常な脂質レベル又は身体成分内の脂質の沈着(例えば血管中のプラークなど)により特徴付けられる、疾患又は状態の処置及び/又は診断のために使用することができる。
LCAT触媒コレステロールエステル化を裏付け、得られたタンパク質−脂質複合体の能力を決定するために、コレステロールを、エタノールコレステロール溶液の迅速な添加により、本明細書において報告される脂質粒子に取り込ませた。純粋なPOPCを含む脂質粒子は、それらのアポリポタンパク質成分(例えば野生型アポリポタンパク質A−I又はテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iなど)に非依存的にDPPCを含む複合体よりも良いLCAT基質である(図3)。
POPC及びDPPCの異なる混合物を含む脂質粒子中のコレステロールエステル化の初期速度は、コレステロールエステル化の初期速度から分かる通り、混合物が純粋なホスファチジルコリンのいずれよりも良いLCAT基質であることを示している(表3及び図4を参照のこと)。
THP−1単球性白血病細胞をホルボールミリスチン酸アセテートに曝露させて得られ、放射性標識コレステロールトレーサーを負荷したマクロファージ様ヒトTHP1細胞を、コレステロールアクセプターテスト化合物に曝露させた。
アクセプターテスト化合物により誘導される排出速度を、上清中のコレステロール放射活性と細胞プラスそれらの上清中の放射活性の合計の比率として計算し、アクセプターを含まない培地に曝露した細胞と比較し、線形近似により分析することができる。並列実験を、主にABCA−1を上方調節し、ABCA−1媒介性輸送に向けた排出に偏らせることが公知であるRXR−LXRアゴニストに曝露された及び暴露されていない細胞を使用して実施することができる。
RXR−LXR脂質粒子を用いて前処理されていない細胞において、非脂質化テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを用いて得られた排出と比較し、コレステロール排出におけるより高い増加を見ることができる。排出に対する脂質混合物の小さな影響だけが、テストシリーズにおいて観察することができる(図5)。RXR−LXRを用いて前処理した細胞において、脂質粒子(非脂質化テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I)のコレステロール排出における同程度の増加を見ることができる。全体的な増加は、前処理していない細胞を用いて観察されるものと比較して、より高かった。排出に対する脂質混合物の小さな影響だけが、テストシリーズにおいて観察することができる(図6)。
異なる脂質粒子を、ウサギにおいてインビボでテストした。脂質粒子を静脈内注入として適用し、連続血液サンプリングを適用後96時間にわたり実施した。肝酵素、コレステロール、及びコレステロールエステルの値を決定した。血漿中濃度は、初期分布相(血漿中濃度の対数線形下落が続く)を含む、全てのテストされた脂質粒子について同程度である(図7)。表4から分かる通り、薬物動態パラメーターは、全てのテスト化合物について類似している。観測された半減期は1.5日に近い。
図8から分かる通り、コレステロールは血漿中に動員され、エステル化される。血漿コレステロールエステルレベルは、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの濃度が既に減少している後でさえ、増加し続ける。血漿中テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iレベルが約0.5mg/ml(通常の野生型アポリポタンパク質A−Iの約50%)まで低下している場合、増加したコレステロールエステルレベルを検出することができる。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子は、ウサギにおいて、ならびにマウスにおいて肝臓酵素を誘導しない(図1及び9から分かる通り)。また、溶血を、静脈内適用後2時間に得られた血漿サンプル中で決定することはできない(図10)。
従って、本発明の局面は、本明細書において報告されるアポリポタンパク質又は本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子を含む医薬的組成物及び診断用組成物である。
本明細書において報告される脂質粒子は、非脂質化アポリポタンパク質及び他の脂質粒子と比較して、改善したインビボ特性を有する(以下の表5に示す通り)。

コレステロールが血液中に動員される効率は、インビボでのアポリポタンパク質の投与後、総コレステロールのそれぞれの可動域をアポリポタンパク質濃度と比較することにより決定することができる。定量的評価のために、ベースライン補正された総コレステロールの濃度−時間曲線下面積(AUC)とアポリポタンパク質の濃度−時間曲線下面積の商を計算した。
本明細書において報告される脂質粒子、特に、配列番号01のテトラネクチン−アポリポタンパク質ならびにモル比3:1のPOPC及びDPPCを含む脂質粒子は、増強されたインビボでのコレステロール動員を示す。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I
上に概要を示す脂質粒子の他、本明細書においてテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iも報告されている。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは、ヒトテトラネクチン三量体化構造要素及び野生型ヒトアポリポタンパク質A−Iの融合タンパク質である。ヒトテトラネクチン部分のアミノ酸配列は、位置10のイソロイシン残基(自然発生する切断部位)で開始する最初の9アミノ酸だけ短縮することができる。この切断の結果として、位置4のスレオニン残基でのO−グリコシル化部位が欠失されている。テトラネクチン三量体化構造要素とヒトアポリポタンパク質A−Iの間で、5アミノ酸残基「SLKGS」(配列番号03)が除去された。
改善された発現及び精製のために、コンストラクトを、IgAプロテアーゼ切断部位を含むN末端精製タグ(例、ヘキサヒスチジンタグ)を含み、生成した。特異的切断の結果として、2つのアミノ酸(アラニン及びプロリン)が、精製後、本発明に従ったテトラネクチン−アポリポタンパク質A−IのN末端に残る。テトラネクチンアポリポタンパク質A−Iは配列番号01のアミノ酸配列を有する。
テトラネクチン三量体化構造要素は、個々のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体の各々の間の非共有結合性相互作用により構成される、三量体テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I多量体の形成を可能にするドメインを提供する。
異なる産生方法を使用することにより、精製タグ及びIgAプロテアーゼ切断部位を省略して、配列番号2のアミノ酸配列のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iをもたらすことができる。
一実施態様において、アポリポタンパク質は、保存的アミノ酸置換を含むバリアント又はアポリポタンパク質A−I模倣体でありうる。
アポリポタンパク質A−Iは、NMR分光法を介して、又はモノクローナルもしくはポリクローナル抗アポリポタンパク質A−I抗体を使用することにより、酵素的に決定することができる。本明細書において報告される他の局面は、従って、本明細書において報告される通り、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iに特異的に結合するポリクローナル及びモノクローナル抗体である。そのような抗体は、当業者に公知の方法を用いて得ることができる。また、イムノアッセイにおける使用のための抗体の標識は、当業者に公知の方法を用いて実施することができる。
一実施態様において、アポリポタンパク質は、保存的アミノ酸置換を含むバリアント、又はアポリポタンパク質A−I模倣体でありうる。一実施態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは、配列番号02、又は配列番号66、又は配列番号67のアミノ酸配列を有し、それにおいて、Xは配列番号68〜配列番号105より選択される。
このように、一実施態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは

のアミノ酸配列を有する。
一実施態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは

のアミノ酸配列を有する。
一実施態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iは

のアミノ酸配列を有し、それにおいて、Xは以下のアミノ酸配列

のいずれかでありうる。
異種ポリペプチドがE. coli株において産生される場合、アミノ末端メチオニン残基は、通常、プロテアーゼにより効率的に切断されず、このように、アミノ末端メチオニン残基は、産生されたポリペプチド中に部分的に存在している。
以下の実施例、配列リスト、及び図面を提供し、本発明の理解を助け、その真の範囲は添付の特許請求の範囲において示される。示される手順は、本発明の精神から逸脱することなく変更することができることが理解される。
配列リストの説明

それらの脂質組成において異なる5つの脂質粒子を用いて行われたインビボのウサギ試験の結果。上:コレステロール動員、及び、このように、効力を、全ての調製バッチについて示すことができた。下:肝臓酵素の増加が、単一リン脂質としてのDPPCの使用により生成された脂質粒子について注目された。 本発明に従ったPOPC及びアポリポタンパク質の脂質粒子のSEC−MALLS分析;モル比1:20〜1:160。 LCAT活性に対するDPPC及びPOPCの影響。 POPC及び/又はDPPCを含む脂質粒子中のコレステロールエステル化の初期速度。 RXR−LXRアゴニストを用いてプライムしていない細胞におけるTHP−1由来泡沫細胞へのコレステロール排出。 RXR−LXRアゴニストを使用したABCA−I経路活性化後のTHP−1由来泡沫細胞へのコレステロール排出。 異なるアポリポタンパク質組成物の時間依存的血漿中濃度。 血漿中のコレステロール動員及びエステル化の時間及び濃度経過。 100mg/kgの単回静脈内注射後のマウスにおける本発明に従ったアポリポタンパク質を含む異なる組成による肝臓酵素放出の比較。 インビボのウサギ試験−血漿中の自然溶血。 250mM Tris−HCl、140mM NaCl、pH7.5を使用した脂質粒子の分析的SEC。 50mM KHPO、250mMアルギニン塩酸、7.5%トレハロース(pH7.5)を使用した脂質粒子の分析的SEC。 モル比1:20〜1:320のPOPC及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子の未変性PAGE(レーン1:未変性マーカー;レーン2:モル比1:320;レーン3:モル比1:160;レーン4:モル比1:80;レーン5:モル比1:80(f/t);レーン6:モル比1:40;レーン7:モル比1:20;レーン8:アポリポタンパク質(六量体を形成する))。 モル比1:20〜1:160のPOPC及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLS分析。 POPC及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSECクロマトグラムの重ね合わせ(UV280シグナル)。 モル比1:40で得られた、POPC及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLS分析。 モル比1:20〜1:100を用いて得られた、DPPC及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子の未変性PAGE(1:分子量マーカー;2:脂質を伴わないテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I;3:1:20;4:1:40;5:1:60;6:1:80;7:1:100)。 モル比1:60(最上曲線)〜1:100(最低曲線)で得られた、POPC:DPPC = 3:1の混合物及びテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLS分析(UV280シグナル)。 コール酸、Zwittergent 3-8、3−10、及び3−12を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子の未変性PAGE SDS。各ゲル上のレーン1:純粋なアポリポタンパク質;各ゲル上のレーン2:参照としての0.1×CMCコール酸脂質化サンプル。 3×CMC Zwittergent 3-8及びPOPC(モル比、アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLSタンパク質コンジュゲート分析。 2×CMC Zwittergent 3-10及びPOPC(モル比、アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLSタンパク質コンジュゲート分析。 POPCを使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子のSEC−MALLSタンパク質コンジュゲート分析。上:未変性テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iから形成された脂質粒子;下:変性テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iから形成された脂質粒子。 DMPC(1:100)(ジミリストイルホスファチジルコリン)(a)を用いて脂質化した、PBS中で脂質化していない(b)テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを用いて実施したインビボのウサギ試験の結果。 DMPC(1:100)(ジミリストイルホスファチジルコリン)(a)を用いて脂質化した、PBS中で脂質化していない(b)テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを用いて実施したインビボのウサギ試験の結果。 5℃及び40℃で保存された、野生型アポリポタンパク質A−I(A)及び本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I(B)を含む脂質粒子のSE−HPLCクロマトグラム。 5℃及び40℃で保存された、野生型アポリポタンパク質A−I(A)及び本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I(B)を含む脂質粒子のSE−HPLCクロマトグラム。
材料及び方法
サイズ排除−HPLC:
クロマトグラフィーは、ASI-100 HPLCシステム(Dionex, Idstein, Germany)上のTosoh Haas TSK 3000 SWXLカラムを用いて行った。溶出ピークを、UVダイオードアレイ検出器(Dionex)により280nmでモニターした。1mg/mlへの濃縮サンプルの溶解後、カラムを、安定したベースラインが達成されるまで、200mMリン酸二水素カリウム及び250mM塩化カリウム(pH7.0)からなるバッファーを用いて洗浄した。分析ランを、流量0.5ml/分を使用し、30分にわたり室温で、均一濃度条件下で実施した。クロマトグラムを、Chromeleon(Dionex, Idstein, Germany)を用いて手動で統合した。凝集(%)を、高分子量形態の曲線下面積(AUC)を単量体ピークのAUCと比較することにより決定した。
動的光散乱(DLS):
DLSは、典型的にはサブミクロンサイズ範囲において粒子サイズを測定するための非侵襲的技術である。本発明において、温度制御された石英キュベット(25℃)を伴うZetasizer Nano S装置(Malvern Instruments, Worcestershire, UK)を、1nmと6μmの間のサイズ範囲をモニターするために使用した。後方散乱されたレーザー光の強度を、173°の角度で検出した。強度は、粒子拡散スピードに依存している速度で変動し、それは、次に、粒子サイズにより支配される。粒子サイズデータは、従って、散乱光強度における変動の分析から生成することができる(Dahneke, B.E. (ed.), Measurement of Suspended Particles by Quasielectric Light Scattering, Wiley Inc. (1983);Pecora, R., Dynamic Light Scattering: Application of Photon Correlation Spectroscopy, Plenum Press (1985))。強度ごとのサイズ分布を、DTSソフトウェア(Malvern)の複数のナローモードを使用して計算した。実験は、未希釈サンプルを用いて行った。
SEC−MALLS:
SEC−MALLSは、サイズ排除クロマトグラフィーと3つの検出器システムとの組み合わせである:i)UV検出、ii)屈折率検出、及びiii)光散乱検出。サイズによる分離のために、GE HealthcareからのSuperose 6カラム10/300 GLカラムを使用する。本方法を、PBSバッファー(pH7.4)を用いて、流量0.4ml/分を適用し、均一濃度で実行する。3つの検出器システムを直列に連結する。完全な脂質粒子(タンパク質−脂質粒子)シグナルは、屈折率検出器によりモニターされるのに対し、280nmで決定されるUV吸光度は、タンパク質部分により誘導されたシグナルを決定する。脂質分画の割合は、完全シグナルからのタンパク質UVシグナルの単純な引き算により得られる。光散乱を適用することによって、それぞれの種の分子量の検出、及び、このように、脂質粒子の完全で詳細な説明を可能にする。
界面活性剤の決定:
残留界面活性剤の決定は、蒸発光散乱検出器(RP−ELSD)と合わせた逆相クロマトグラフィーにより行った。カラムとして、Phenomenex(Aschaffenburg, Germany)からのLuna C18(4.6×150mM、5μm、100A)を使用した。10kDaメンブレンを通した遠心分離後、90μlのフロースルースルーをHPLC分離のために使用した。溶出を、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含む74%(v/v)メタノール溶液を用いて、均一濃度条件下で実施した。カラム温度を30℃に設定した。検出を、蒸発光散乱検出器により、噴霧温度30℃、蒸発温度80℃、及び気体流1.0l/分を適用して実施した。残留界面活性剤の定量化を、コール酸の場合において、0.22μg〜7.5μgコール酸の範囲で、検量線の確立により行った。
タンパク質の決定:
タンパク質濃度を、アミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を使用して、280nmでの光学密度(OD)を決定することにより決定した。
組換えDNA技術:
標準的な方法を使用して、DNAを操作した(Sambrook, J., et al., Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載される通り)。分子生物学的試薬を、製造者の指示に従って使用した。
実施例1
E. coli発現プラスミドの作製及び記述
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドを、組換え手段により調製した。発現された融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、NからC末端方向で、以下:
− アミノ酸メチオニン(M)
− CDLPQTHSL(配列番号55)のアミノ酸配列を有するインターフェロン配列のフラグメント、
− GSリンカー、
− HHHHHH(配列番号56)のアミノ酸配列を有するヘキサヒスチジンタグ、
− GSリンカー、
− VVAPPAP(配列番号60)のアミノ酸配列を有するIgAプロテアーゼ切断部位、及び
− 配列番号02のアミノ酸配列を有するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I
の通りである。
上に記載するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、前駆体ポリペプチドであり、そこから、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドが、IgAプロテアーゼを使用したインビトロでの酵素的切断により放出された。
前駆体ポリペプチドをコードする融合遺伝子を、適切な核酸セグメントの連結により、公知の組換え方法及び技術を用いて組み立てた。化学合成により作製した核酸配列をDNA配列決定により確認した。配列番号31の融合タンパク質をコードする配列番号01のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの産生のための発現プラスミドを、以下の通りに調製した。
E. coli発現プラスミドの作製
プラスミド4980(4980−pBRori−URA3−LACI−SAC)は、E. coliにおけるコア−ストレプトアビジンの発現のための発現プラスミドである。それは、プラスミド1966(1966−pBRori−URA3−LACI−Tリピート;EP−B1422237において報告される)に由来する3142bp長のEcoRI/CelIIベクターフラグメントと、435bp長のコア−ストレプトアビジンをコードするEcoRI/CelIIフラグメントとのライゲーションにより生成した。
コア−ストレプトアビジンE. coli発現プラスミドは以下の要素:
− E. coliにおける複製のためのベクターpBR322からの複製起点(Sutcliffe, G., et al., Quant. Biol. 43 (1979) 77-90に従ったbp位置2517−3160に対応する)、
− E. coli pyrF変異体株(ウラシル要求性)の相補性によるプラスミド選択を許すオロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼをコードするSaccharomyces cerevisiaeのURA3遺伝子(Rose, M. et al. Gene 29 (1984) 113-124)、
− 以下を含むコア−ストレプトアビジン発現カセット、
− Stueber, D., et al.(前を参照のこと)に従った合成リボソーム結合部位を含むT5ハイブリッドプロモーター(Bujard, H., et al. Methods. Enzymol.155 (1987) 416-433及びStueber, D., et al., Immunol. Methods IV (1990)121-152に従ったT5−PN25/03/04ハイブリッドプロモーター)、
− コア−ストレプトアビジン遺伝子、
− 2つのバクテリオファージ由来の転写ターミネーター、λ−T0ターミネーター(Schwarz, E., et al., Nature 272 (1978) 410-414)及びfd−ターミネーター(Beck E. and Zink, B. Gene 1-3 (1981) 35-58)、
− E. coliからのlacIリプレッサー遺伝子(Farabaugh, P.J., Nature 274 (1978) 765-769)
を含む。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体ポリペプチドの発現のための最終的な発現プラスミドを、唯一の隣接EcoRI及びCelII制限エンドヌクレアーゼ切断部位を使用してベクター4980からコア−ストレプトアビジン構造遺伝子を切り出し、前駆体ポリペプチドをコードするEcoRII/CelII制限部位に隣接する核酸を、3142bp長のEcoRI/CelII4980ベクターフラグメント中に挿入することにより調製した。
実施例2
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの発現
融合タンパク質の発現のために、E. coli栄養要求性(PyrF)の相補性により、抗生物質不含のプラスミド選択を可能にするE. coli宿主/ベクターシステムを用いた(EP 0972838及びUS 6,291,245)。
E. coli K12株CSPZ−2(leuB、PROC、trpE、TH−1、ΔpyrF)を、発現プラスミドp(IFN−His6−IgAテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I)を用いたエレクトロポレーションにより形質転換した。形質転換されたE. coli細胞を、最初に、寒天プレート上で、37℃で増殖させた。
発酵プロトコール1:
前発酵のために、約1g/lのL−ロイシン、約1g/lのL−プロリン、及び約1mg/lのチアミンHClを添加したSambrook et al.(Molecular Cloning: A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2nd edition (December 1989))に従ったM9培地を使用してきた。
前発酵のために、バッフルを伴う1000mlエルレンマイヤーフラスコ中のM9培地300mlに、初代シードバンクアンプルからの2mlを用いて接種した。培養を、光学密度(578nm)1−3が得られるまで、37℃で13時間にわたりロータリーシェーカー上で実施した。
発酵のために、Riesenberg et al.(Riesenberg, D., et al., J. Biotechnol. 20 (1991) 17-27)に従ったバッチ培地を使用した:27.6g/lグルコース*HO、13.3g/l KHPO、4.0g/l (NHHPO、1.7g/lクエン酸塩、1.2g/l MgSO*7HO、60mg/l鉄(III)クエン酸塩、2.5mg/l CoCl*6HO、15mg/l MnCl*4HO、1.5mg/l CuCl*2HO、3mg/l HBO、2.5mg/l NaMoO*2HO、8mg/l Zn(CHCOO)*2HO、8.4mg/l Titriplex III、1.3ml/l Synperonic 10%消泡剤。バッチ培地に、5.4mg/lチアミン−HClならびに1.2g/lのL−ロイシン及びL−プロリンをそれぞれ添加した。フィード1溶液は、19.7g/l MgSO*7HOを添加した700g/lグルコースを含んだ。pH調節のためのアルカリ溶液は、50g/lのL−ロイシン及び50g/lのL−プロリンそれぞれを添加した水性12.5%(w/v)NH3溶液であった。全ての成分を脱イオン水中に溶解した。
発酵を10l Biostat C DCU3発酵槽(Sartorius, Melsungen, Germany)中で行った。6.4lの無菌発酵バッチ培地プラス前発酵からの300mlの接種材料を用いて開始し、バッチ発酵を37℃、pH6.9±0.2、500mbar、及び通気速度10l/分で実施した。最初に添加したグルコースが枯渇した後、温度を28℃にシフトし、発酵はフェッドバッチモードに入った。ここで、溶解酸素(pO2)の相対値を、一定に増加する撹拌スピード(10時間内に550rpmから1000rpmに及び16時間内に1000rpmから1400rpmに)及び通気スピード(10時間中に10l/分から16l/分に及び5時間中に16l/分から20l/分に)との組み合わせにおいてフィード1を加えることにより、50%(例、DO-stat、例、Shay, L.K., et al., J. Indus. Microbiol. Biotechnol. 2 (1987) 79-85を参照のこと)に保った。追加のアミノ酸を用いた供給は、約8時間の培養後にpHがより低い調節限界(6.70)に達した際でのアルカリ溶液の添加に起因した。組換え治療用タンパク質の発現は、光学密度70で1mM IPTGの添加により誘導した。
発酵の終わりに、細胞質及び可溶性の発現されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体に移し、発酵槽中の全培養ブロスを収集前の1又は2時間にわたり50℃に加熱する加熱工程を用いる(例、EP B 1 486 571を参照のこと)。その後、発酵槽の内容物を、フロースルー遠心機を用いて遠心分離し(13,000rpm、13l/時間)、収集したバイオマスを、さらなる処理まで−20℃で保存した。合成されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体タンパク質が、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体(IB)の形態で不溶性細胞デブリ分画において独占的に見出された。
合成された融合タンパク質が、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体(IB)の形態で不溶性細胞デブリ分画において独占的に見出された。
発酵槽から取り出されたサンプル(誘導に先立つ1つ及びタンパク質発現の誘導後の専用の時間点での他)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分析する。すべてのサンプルから、同じ量の細胞(OD標的=5)を、5mLのPBSバッファー中に再懸濁し、氷上で超音波処理を介して破壊する。次に、各懸濁液の100μlを遠心分離し(15,000rpm、5分間)し、各上清を回収し、別々のバイアルに移す。これは、可溶性と不溶性の発現標的タンパク質を識別することである。各上清(=可溶性)分画に300μl、各ペレット(=不溶性)分画に400μlのSDSサンプルバッファー(Laemmli, U.K., Nature 227 (1970) 680-685)を加える。サンプルを振盪下で、95℃で15分間にわたり加熱し、サンプル中の全てのタンパク質を可溶化し、低下させる。室温まで冷却後、各サンプルの5μlを4〜20%TGX Criterion Stain Freeポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad)に移す。加えて、5μlの分子量標準(Precision Plus Protein Standard, Bio-Rad)及び既知の産物タンパク質濃度(0.1μg/μl)を伴う3量(0.3μl、0.6μl、及び0.9μl)定量化標準をゲル上に位置付ける。
電気泳動を200Vで60分間にわたり実行し、その後、ゲルをGelDOC EZ Imager(Bio-Rad)に移し、UV照射を用いて5分間にわたり処理した。ゲル画像を、Image Lab分析ソフトウェア(Bio-Rad)を使用して分析した。3つの標準を用いて、線形回帰曲線を、係数>0.99を用いて計算し、それについて、元のサンプル中の標的タンパク質の濃度を計算した。
発酵プロトコール2:
前発酵のために、約1g/lのL−ロイシン、約1g/lのL−プロリン、及び約1mg/lのチアミンHClを添加したSambrook et al.(Molecular Cloning: A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2nd edition (December 1989))に従ったM9培地を使用してきた。
前発酵のために、バッフルを伴う1000mlエルレンマイヤーフラスコ中の改変M9培地の300mlに、寒天プレートから又は初代シードバンクアンプルからの1〜2mlを用いて接種した。培養を、光学密度(578nm)1−3が得られるまで、37℃で13時間にわたりロータリーシェーカー上で実施した。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの発酵及び高収率発現のために、以下のバッチ培地及びフィードを使用した:
8.85g/lグルコース、63.5g/l酵母エキス、2.2g/l NHCl、1.94g/l L−ロイシン、2.91g/l L−プロリン、0.74g/l L−メチオニン、17.3g/l KHPO*HO、2.02g/l MgSO*7HO、25.8mg/lチアミン−HCl、1.0ml/l Synperonic 10%消泡剤。フィード1溶液は、1.67g/l L−メチオニン及び5g/l L−ロイシン及びL−プロリンを各々添加した333g/l酵母エキス及び333g/l 85%グリセロールを含んだ。フィード2は、600g/l L−プロリンの溶液であった。pH調節のためのアルカリ溶液は10%(w/v)のKOH溶液であった。酸として75%グルコース溶液を使用した。全ての成分を脱イオン水中に溶解した。
発酵を10l Biostat C DCU3発酵槽(Sartorius, Melsungen, Germany)中で行った。5.15lの無菌発酵バッチ培地プラス前発酵からの300mlの接種材料を用いて開始し、フェドバッチ発酵を25℃、pH6.7±0.2、300mbar、及び通気速度10l/分で実施した。最初に添加したグルコースが枯渇する前に、培養は光学密度15(578nm)に達し、フィード1を70g/時間で開始した際、発酵はフェッドバッチモードに入った。培養中のグルコース濃度をモニターし、グルコース蓄積を避けながら、上限調節限界6.9に近いpHを保ちながら、フィード1が最高値150g/時間に増加した。光学密度50(578nm)で、フィード2を一定の供給速度10ml/時間で開始した。溶解酸素(pO2)の相対値を、撹拌スピード(500rpmから1500rpm)、通気スピード(10l/分から20l/分に)、及び圧力(300mbarから500mbarに)を並行して増加させることにより50%超に保った。組換え治療用タンパク質の発現を、光学密度90で1mM IPTGの添加により誘導した。
発酵槽から取り出された7つのサンプル(誘導に先立つ1つ及びタンパク質発現の誘導後の専用の時間点での他)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分析する。すべてのサンプルから、同じ量の細胞(OD標的=5)を、5mLのPBSバッファー中に再懸濁し、氷上で超音波処理を介して破壊する。次に、各懸濁液の100μlを遠心分離し(15,000rpm、5分間)し、各上清を回収し、別々のバイアルに移す。これは、可溶性と不溶性の発現標的タンパク質を識別することである。各上清(=可溶性)分画に300μl、各ペレット(=不溶性)分画に200μlのSDSサンプルバッファー(Laemmli, U.K., Nature 227 (1970) 680-685)を加える。サンプルを振盪下で、95℃で15分間にわたり加熱し、サンプル中の全てのタンパク質を可溶化し、低下させる。室温まで冷却後、各サンプルの5μlを10% Bis−Trisポリアクリルアミドゲル(Novagen)に移す。加えて、5μlの分子量標準(Precision Plus Protein Standard, Bio-Rad)及び既知の産物タンパク質濃度(0.1μg/μl)を伴う3量(0.3μl、0.6μl、及び0.9μl)定量化標準をゲル上に位置付ける。
電気泳動を200Vで35分間にわたり実行し、次に、ゲルを、クーマシーブリリアントブルーR色素を用いて染色し、加熱した水を用いて脱染し、デジタル化のために光学式デンシトメーター(GS710、Bio-Rad)に移した。ゲル画像を、Quantity One 1-D分析ソフトウェア(Bio-Rad)を使用して分析した。3つの標準を用いて、線形回帰曲線を、係数>0.98を用いて計算し、それについて、元のサンプル中の標的タンパク質の濃度を計算した。
発酵の終わりに、細胞質及び可溶性の発現されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体(IB)に移し、発酵槽中の全培養ブロスを収集前の1又は2時間にわたり50℃に加熱する加熱工程を用いる(例、EP B 1 486 571を参照のこと)。加熱工程後、合成されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体タンパク質が、IBの形態で不溶性細胞デブリ分画において独占的に見出された。
発酵槽の内容物を4〜8℃に冷却し、フロースルー遠心機を用いて遠心分離し(13,000rpm、13l/時間)、収集したバイオマスを、さらなる処理まで−20℃で保存した。収集された全バイオマス収率は、発現されたコンストラクトに依存して、39g/l〜90g/l乾燥物質の範囲であった。
実施例3
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの調製
封入体調製を、リン酸カリウム緩衝溶液又はTris緩衝溶液(0.1M、1mM MgSO、pH6.5を添加)中の収集された細菌細胞の再懸濁により行った。DNAseの添加後、細胞を、900barの圧力での均質化により破壊した。1.5M NaCl及び60mM EDTAを含むバッファー溶液を、均質化した細胞懸濁液に加えた。25%(w/v)HClを用いた5.0へのpH値の調整後、最終的な封入体スラリーがさらなる遠心分離工程後に得られた。スラリーを、さらなる処理まで使い捨て滅菌ビニール袋中で、−20℃で保存した。
封入体スラリー(約15kg)をグアニジン塩酸溶液(150l、6.7M)中に可溶化した。深層ろ過による可溶化液の清澄化後、この溶液をZnキレートアフィニティークロマトグラフィー材料に適用した。融合ポリペプチドをZn−キレートクロマトグラフィー材料により精製し、IgAプロテアーゼにより切断した。その後、ポリペプチドを、陰イオン交換クロマトグラフィー及び陽イオン交換クロマトグラフィー工程を用いてさらに精製した。これらの工程を、尿素を含む溶液(7M)中、即ち、変性条件下で実施した。これらの工程を、ポリペプチドフラグメント、エンドトキシン、及びさらなる不純物の除去のために使用した。6.7Mグアニジニウム塩酸を含む溶液中へのダイアフィルトレーションを行った。得られた最終溶液は、変性テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む。
実施例4
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのリフォールディング及び脂質化
a)一般的な方法
純粋な結晶POPC又はDPPC(Lipoid, Switzerland)は、リン脂質:コール酸のモル比1:1.35でコール酸を含む水性バッファー(脂質化バッファー)中に溶解されている。混合物を、透明な溶液が得られるまで、窒素雰囲気下で、光から保護して、室温で(POPC)又は55℃で(DPPC)インキュベートした。透明な脂質コール酸溶液を4℃(POPC)に冷却する、又は、41℃(DPPC)で保存する。精製テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、定められたアポリポタンパク質:リン脂質比で4℃(POPC)又は41℃(DPPC)で加えている。脂質粒子形成のために、反応混合物を、一晩、4℃(POPC)又は41℃(DPPC)で、窒素雰囲気下で、光から保護して、インキュベートした。最後に、コール酸を、脂質化バッファーに対する広範な透析(4℃/41℃)により除去した。最後に、サンプルを遠心分離して、沈殿物質を除去した。
純粋なPOPC又は純粋なDPPCを含むコール酸可溶化脂質溶液を、上に記載する通りに調製している。脂質混合物は、所望の比率で脂質溶液を組み合わせることにより調製し、それぞれのTm(Tm=相転移温度)での保存が続いた。テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子形成を、純粋な脂質溶液について記載される通りに実行したが、しかし、選ばれた脂質混合物のそれぞれのTmであった。
以下:
1.250mMアルギニン塩酸、7.5%スクロースをpH7.5添加した50mMリン酸カリウムバッファー。
2.250mMアルギニン塩酸、7.5%スクロース、及び10mMメチオニンをpH7.5で添加した50mMリン酸水素二カリウムバッファー。
3.140mM NaCl、10mMメチオニンをpH7.5で添加した250mM Tris−ヒドロキシルアミノメタン(TRIS)。
4.250mMアルギニン塩酸、7%トレハロース、及び10mMメチオニンをpH7.5で添加した50mMリン酸水素二カリウムバッファー
の脂質化バッファーをテストしている。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iサンプルから形成された脂質粒子の均質性が、分析的SECにより評価されている(図11及び12)。全体的に、脂質化バッファーの選択は、リン脂質の選択と比較して、軽微な効果だけ有する。DPPC脂質粒子が1つの主ピークとして溶出するのに対し、POPC脂質粒子は2つのピークパターンを示す。脂質化バッファーの選択は、アポリポタンパク質の精製プロセス及び安定化された脂質不含アポリポタンパク質の供給により影響された。脂質粒子形成が、脂質化バッファーにかかわりなく、実行可能であることが示された。テストされた種々のバッファーの間で、最も適切な脂質化バッファーは、250mM Tris、140mM NaCl、10mMメチオニン、pH7.5であると特定された。
脂質混合物は定められた量の各アポリポタンパク質を含んだ。リン脂質(例、POPC)の量をそれに従って計算した。脂質のモル量の全ての計算が、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体に基づいた。
b)POPC及びコール酸
モル比1:40〜1:160は、全体のプロセスの間に透明なままである。過剰なリン脂質を介した混濁又はタンパク質沈殿のいずれも観察されなかった。
脂質粒子サンプルを未変性PAGEにより分析している(図13を参照のこと)。最も均質なバンドパターンが、サンプル1:80を用いて見出された(レーン4)。また、1×凍結/解凍(−80℃)は、サンプルの外観を変えなかった(レーン5)。サンプル1:320及び1:160のバンドパターンは、複数のバンドをもたらす不均質な産物を示す(レーン2及び3)。サンプル1:40及びまた1:20は、主な産物バンドの下に追加のバンドを有する(レーン6及び7)。純粋なテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの移動パターンが、図13のレーン8に示されている。
SEC−MALLS分析を使用して、脂質粒子及びそれらのアポリポタンパク質−リン脂質組成の均質性に関する詳細な情報を得た(タンパク質コンジュゲート分析)。図14は、SEC分解サンプルのクロマトグラムを示す(UV280検出)。ここで、1:160サンプルは3つの分離ピークに分けられる。1:80サンプルは、二重ピークとして表示される通り、異なるサイズの少なくとも2種を含むように見えた。サンプル1:20から得られたピークが最も均質な産物を示す。
実験を、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I(3.84mg/ml;10mg/サンプル)を使用して行い、アポリポタンパク質:リン脂質のモル比を5の工程において1:40〜1:80に増加させた。1:40を下回るモル比では、脂質粒子形成が不完全である。1:80を上回るモル比を実験的に除く:透析によるコール酸の除去後、サンプルは混濁した。さらに、脂質粒子は、より高い脂質比でより不均質になった。
−3℃の転移温度でのインキュベーションの間に、全てのサンプルが光学的に透明なままであった。透析によるコール酸の除去後、サンプル1:40〜1:65の増加する混濁が観察された。沈殿物を遠心分離により除去することができたが、サンプルは後に透明なままであった。
SEC−MALLS分析を使用して、形成した脂質粒子及びそれらのアポリポタンパク質−リン脂質組成の均質性に関する詳細な情報を得た(タンパク質コンジュゲート分析)。全ての脂質粒子が分析用サイズ排除クロマトグラフィーで同程度に均質であったが(SEC;図15)、より低いモル比でより明白である軽微な後ピークを表示している。また、より高い分子量に向かった、より高いモル比でのピークパターンにおける顕著なシフトがある。それぞれの保持時間を表8に与える。
タンパク質−コンジュゲート分析(表8にまとめる)は、SECカラムから溶出された各脂質粒子についてのタンパク質(MWタンパク質)及び脂質成分(MW脂質)の全分子量の計算を可能にする。テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体(32.7kDa)及びPOPC(760Da)の分子量に基づき、脂質粒子の組成(nタンパク質及びn POPC)を計算することができる。全てのモル比で脂質粒子の主ピークにおいて見出されたアポリポタンパク質成分の分子量は約100kDaであり、1脂質粒子当たりのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I三量体に相当した。n(POPC)/n(タンパク質単量体)の比率は、脂質粒子中の1テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体当たりのPOPC分子の数を与える。1テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体当たりのPOPC分子の数は、1:40〜1:80までのモル比が適用されているが、54〜75の間で変動する。値%タンパク質は、脂質化の程度についてのパラメーターである。脂質粒子中のタンパク質のパーセンテージが低いほど、脂質化の程度がより高い。
c)DPPC及びコール酸
脂質化に先立ち、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、50mM KHPO、250mMアルギニン塩酸、7%トレハロース、10mMメチオニンに対してpH7.5で透析した。テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I(3.84mg/ml、1サンプル当たり3mg)を、5の工程において1:60〜1:100の増加する脂質濃度のモル比を使用して脂質化している。脂質化バッファーは、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、10mMメチオニン、pH7.5であった。
脂質粒子形成の間に、タンパク質の沈殿又は過剰な脂質を介した混濁のいずれも観察されなかった。最終産物中のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの収率は、より多くのDPPCが脂質化のために使用された場合により高かった。
残留脂質不含アポリポタンパク質が、未変性PAGE上の1:20サンプルにおいて見出された(レーン3、図17)。1:40及び1:60サンプルが未変性PAGE上で最も均質に見えるのに対し(レーン4及び5)、1:80及び1:100サンプルは主脂質粒子バンド(レーン6及び7)の上に追加のより高い分子のバンドを含む。
SEC−MALLSタンパク質コンジュゲート分析を使用して、DPPC脂質粒子形成の後に得られた脂質粒子の組成を特徴づけた(MW DPPC:734Da)。均質なSECピークが、1:80及びそれ以下のモル比で得られた。より高い脂質比で、前ピークが出現した(例、表11中の1:90サンプルを参照のこと)。
脂質化の最も高い程度(タンパク質の最も低いパーセンテージ)が、1:80〜1:90のモル比を用いて見出される。また、DLSは、14〜17nmの粒子サイズで、比率1:80〜1:90で最も均質な粒子形成(>98%)を明らかにした。
d)75% DPPC/25% POPC
脂質粒子形成を、以下のパラメーターを用いて、この実施例の項目a)〜c)において報告される通りに従って行った:
タンパク質:3.84mg/mlでのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I、1サンプル当たり3mg
脂質化バッファー:250mM Tris−HCl、140mM NaCl、10mMメチオニンpH7.5
脂質化:34℃で
透析:4℃で
テストしたモル比:5の工程における脂質増加を伴う1:60〜1:100。
脂質粒子形成は容易で、純粋な脂質を使用したプロセスと同程度であった。全てのサンプルが、プロセス及び透析の間に透明なままであった。脂質粒子の収率は、テストした全ての比率について類似していた(〜85%)。SEC−MALLS分析は、モル比1:80が、90.9%の主ピーク、無前ピーク、及び9.1%の後ピークを伴う最も均質な脂質粒子をもたらすことを示した。タンパク質コンジュゲート分析は、全てのサンプルの主な種における1脂質粒子当たり1テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I三量体の存在を明らかにした(図18ならびに表12及び表13を参照のこと)。
e)50% DPPC/50% POPC
脂質粒子形成を、以下のパラメーターを用いて、この実施例の項目a)〜c)において報告される通りに従って行った:
タンパク質:3.84mg/mlでのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I、1サンプル当たり3mg
脂質化バッファー:250mM Tris−HCl、140mM NaCl、10mMメチオニン、pH7.5
脂質化:27℃で
透析:室温で
テストしたモル比:5の工程における増加脂質を伴う1:60〜1:100。
全てのサンプルが、プロセス及び透析の間に透明なままであった。脂質粒子の収率は、テストした全ての比率について類似していた。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子形成のために50%DPPC及び50%POPCの脂質混合物を使用して、最も均質な産物がモル比1:70で得られた(表14を参照のこと)。産物は主ピークに関して89.9%純粋であり、1つの単一テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I三量体を含んだ(表15を参照のこと)。
f)25% DPPC/75% POPC
脂質粒子形成を、以下のパラメーターを用いて、この実施例の項目a)〜c)において報告される通りに従って行った:
タンパク質:3.84mg/mlでのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I、1サンプル当たり3mg
脂質化バッファー:250mM Tris−HCl、140mM NaCl、10mMメチオニン、pH7.5
脂質化:18℃で
透析:室温で
テストしたモル比:5の工程における増加脂質を伴う1:60〜1:100。
脂質粒子形成は容易で、純粋な脂質を使用したプロセスと同程度であった。全てのサンプルが、プロセス及び透析の間に透明なままであった。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの脂質粒子形成のために25%DPPC及び75%POPCの脂質混合物を使用して、最も均質な産物がモル比1:60で得られた(表17を参照のこと)。産物は主ピークに関して90.2%純粋であり、1つの単一テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I三量体を含んだ(表15を参照のこと)。
g)Zwittergentを使用した脂質粒子形成
脂質粒子形成を、以下のパラメーターを用いて、この実施例の項目a)〜c)において報告される通りに従って(コール酸が合成界面活性剤Zwittergentにより置換されたことを除く)行った:
タンパク質:23.5mg/mlでのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I
バッファー:50mM Tris−HCl、7.2mMグアニジニウム塩酸、10mMメチオニン、pH8
脂質化バッファー:250mM Tris−HCl、140mM NaCl、pH7.5
100%POPC、モル比アポリポタンパク質:リン脂質=1:60

テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子が、未変性PAGEで分析されている。脂質不含テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iが140kDaで移動するのに対し(図19中のレーン1)、脂質粒子は232kDa〜440kDaの間のより高い分子量に特徴的なシフトを示す。
脂質不含テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I(しかし、脂質粒子ではない)が、それぞれの界面活性剤の0.1×CMCだけを用いて調製した全てのサンプルにおいて検出された(図19、レーン2、8、13、及び19)。しかし、0.5×CMCの界面活性剤濃度が、Zwittergent 3-8及び3−10がテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを伴う脂質粒子形成を可能するために十分であった(レーン3、9、及び14)。Zwittergent 3−12を用いて、脂質粒子形成は、2.0×CMCの濃度に達するまで生じなかった(レーン21)。
図20は、3×CMC Zwittergent 3-8及びPOPC(モル比アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用した、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子のSEC−MALLSクロマトグラムを示す。タンパク質コンジュゲート分析の結果を表18にまとめている。脂質粒子分画は、SECクロマトグラム中の2つの重なるピークにおいて表示される通り、2つの異なる種からなる。しかし、これら2つの種は非常に類似しているが、主に1粒子当たりのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I分子の数において区別される(ピーク1について4.2及びピーク2について3.5)。
図21は、SEC−MALLS分析のクロマトグラムを示し、表19は、2×CMC Zwittergent 3-10及びPOPC(モル比アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子についてのタンパク質コンジュゲート分析の概要を示す。両方のピークは、それぞれ3.5及び5のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I分子を含む脂質粒子を含む。
Zwittergent 3−12及びPOPC(モル比アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子形成の結果を、表21にまとめる。脂質粒子分画は、SECクロマトグラム中の2つの重なるピークにおいて表示される通り、2つの異なる種からなる。しかし、これら2つの種は非常に類似しているが、主に1粒子当たりのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I分子の数において区別される。
コール酸及びPOPC(モル比アポリポタンパク質:リン脂質=1:60)を使用したテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子形成の結果を、表21にまとめる。脂質粒子分画は、SECクロマトグラム中の2つの重なるピークにおいて表示される通り、2つの異なる種からなる。しかし、これら2つの種は非常に類似しているが、主に1粒子当たりのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I分子の数において区別される。
実施例5
リフォールディング及び脂質粒子形成のための迅速な希釈方法
a)POPC及びコール酸ナトリウム
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、実施例1〜3(プロトコル1)に従って精製した。精製後、バッファーを、ダイアフィルトレーションにより、250mM Tris、140mM NaCl、6.7Mグアニジニウム塩酸(pH7.4)を含む溶液に交換した。タンパク質濃度を28mg/mlに調整した。
脂質ストック溶液は、100mol/lのPOPCを、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に室温で溶解することにより調製した。脂質ストック溶液を2時間にわたり室温でインキュベートした。リフォールディングバッファーは、77mlの脂質ストック混合物を1478mlの250mM Tris−HCl、140mM NaCl(pH7.4)中に希釈することにより調製した。このバッファーを、追加の7時間にわたり室温で撹拌した。
リフォールディング及び脂質粒子形成は、250mM Tris、140mM NaCl、6.7Mグアニジン塩酸(pH7.4)中の162mlのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのリフォールディングバッファーへの添加により開始した。これは、グアニジニウム塩酸の1:10希釈をもたらす。溶液を、一定で撹拌しながら、16時間にわたり室温でインキュベートした。界面活性剤の除去を、ダイアフィルトレーションにより行った。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、実施例1〜3(プロトコル2)に従って精製した。精製後、バッファーを、ダイアフィルトレーションにより、50mM Tris、10mM L−メチオニン、6.7Mグアニジニウム塩酸(pH7.4)を含む溶液に交換した。タンパク質濃度を20.4mg/mlに調整した。
脂質ストック溶液は、100mol/lのリン脂質(比率3:1のPOPC:DPPC)を、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、10mM L−メチオニン、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に室温で溶解することにより調製した。リフォールディングバッファーは、3.7mlの脂質ストック溶液を35.6mlの250mM Tris−HCl、140mM NaCl(pH7.4)中に希釈することにより調製した。このバッファーを、追加の2時間にわたり室温で撹拌した。
リフォールディング及び脂質粒子形成は、50mM Tris、10mM L−メチオニン、6.7Mグアニジン塩酸(pH8.0)中の9.8mlのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのリフォールディングバッファーへの添加により開始した。これは、グアニジニウム塩酸の1:5希釈をもたらす。溶液を、一定で撹拌しながら、室温で一晩インキュベートした。界面活性剤の除去を、ダイアフィルトレーションにより行った。
b)POPC及びDPPC及びコール酸ナトリウム
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、実施例1〜3に従って精製した。精製後、バッファーを、ダイアフィルトレーションにより、250mM Tris、140mM NaCl、6.7Mグアニジニウム塩酸(pH7.4)を含む溶液中に交換した。タンパク質濃度を30mg/mlに調整した。
2つの別々の脂質ストック溶液を調製した。溶液Aは、100mol/lのPOPCを、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に室温で溶解することにより調製した。溶液Bは、100mol/lのDPPCを、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に41℃で溶解することにより調製した。脂質ストック溶液A及びBは、比率3:1で混合し、2時間にわたり室温でインキュベートした。リフォールディングバッファーは、384mlの脂質ストック混合物を6365mlの250mM Tris−HCl、140mM NaCl(pH7.4)中に希釈することにより調製した。このバッファーを、追加の24時間にわたり室温で撹拌した。
リフォールディング及び脂質粒子形成は、250mM Tris、140mM NaCl、6.7Mグアニジン塩酸(pH7.4)中の750mlのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのリフォールディングバッファーへの添加により開始した。これは、グアニジニウム塩酸の1:10希釈をもたらす。溶液を、一定で撹拌しながら、室温で少なくとも12時間にわたりインキュベートした。界面活性剤の除去を、ダイアフィルトレーションにより行った。
c)異なるグアニジン塩酸濃度
本発明のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、封入体から金属キレートアフィニティークロマトグラフィープロセスにわたり精製した(実施例1〜3を参照のこと)。精製後、バッファーを、ダイアフィルトレーションにより、250mM Tris、140mM NaCl、6.7Mグアニジニウム塩酸(pH7.4)を含む溶液中に交換した。タンパク質濃度を28mg/mlに調整した。
脂質ストック溶液は、100モル/lのPOPCを、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に室温で溶解することにより調製した。脂質ストック溶液を2時間にわたり室温でインキュベートした。リフォールディングバッファーは、脂質ストック溶液を250mM Tris−HCl、140mM NaCl(pH7.4)中に希釈することにより調製した。このバッファーを、追加の12時間にわたり室温で撹拌した。テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの変動量をリフォールディングバッファー中に希釈した:1:5、1:7.5、1:10、1:12.5。これは、リフォールディングバッファー中のグアニジニウム塩酸の異なる残留濃度をもたらす。溶液を室温で一晩撹拌することを許し、リフォールディング及び脂質粒子形成を開始した。界面活性剤の除去を、透析により行った。
d)尿素の存在におけるPOPC及びコール酸ナトリウム
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、実施例1〜3に従って精製した。精製後、バッファーを、ダイアフィルトレーションにより、250mM Tris、140mM NaCl、6.7M尿素(pH7.4)を含む溶液に交換した。タンパク質濃度を28mg/mlに調整する。
脂質ストック溶液は、100mol/lのPOPCを、250mM Tris−HCl、140mM NaCl、135mMコール酸ナトリウム(pH7.4)を含むバッファー中に室温で溶解することにより調製する。脂質ストック溶液を2時間にわたり室温でインキュベートする。リフォールディングバッファーは、77mlの脂質ストック混合物を1478mlの250mM Tris−HCl、140mM NaCl(pH7.4)中に希釈することにより調製した。このバッファーを、追加の7時間にわたり室温で撹拌する。
リフォールディング及び脂質粒子形成は、250mM Tris、140mM NaCl、6.7M尿素(pH7.4)中の162mlのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのリフォールディングバッファーへの添加により開始する。これは、尿素の1:10希釈をもたらす。溶液を、一定で撹拌しながら、16時間にわたり室温でインキュベートした。界面活性剤の除去を、ダイアフィルトレーションにより行う。
e)POPC及びコール酸ナトリウム及び野生型アポリポタンパク質A−I
別の例示的な第2方法において、6.7Mグアニジン塩酸、50mM Tris、10mMメチオニン(pH8.0)中のヒトアポリポタンパク質A−I(野生型アポリポタンパク質A−I)を脂質化バッファー中に1:5(v/v)希釈し、タンパク質濃度0.6mg/mlをもたらした。脂質化バッファーは、7mMコール酸、4mM POPC及び1.3mM DPPCからなり、脂質とタンパク質の比率240:1に相当した。SEC−MALLSを用いて、複合体形成を分析した。約2つのアポリポタンパク質分子が、約200脂質分子からなる複合体中で見出された。
実施例6
変性又は未変性タンパク質から開始する脂質粒子形成
実施例4において報告される方法(第1方法)は、脂質粒子形成のために未変性アポリポタンパク質を要求するのに対し、実施例5において報告される方法(第2方法)は、脂質粒子形成のために完全に変性したアポリポタンパク質を用いて開始する。
例示的な第1方法において、6.7Mグアニジン塩酸、50mM Tris、10mMメチオニン(pH8.0)中の変性テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを250mM Tris、140mM NaCl、10mMメチオニン(pH 7.5)からなるタンパク質濃度3.46mg/mlのバッファーに対して広範に透析した。POPC及びコール酸の混合物を次に加えて、溶液中の6mM POPC及び8mMコール酸の最終濃度をもたらした。これは、テトラネクチン−リポタンパク質A−I単量体の1分子当たりPOPCの60分子の比率(60:1)に相当する。界面活性剤を、その後、ダイアフィルトレーションにより除去した。形成されたタンパク質脂質複合体の分析は、SEC−MALLSによった。この方法を使用して、不均質な産物が形成されたのに対し、形成された種の約60%は、3を上回るテトラネクチン−リポタンパク質A−I単量体を含んだ。
例示的な第2方法において、6.7Mグアニジン塩酸、50mM Tris、10mMメチオニン(pH8.0)中の変性テトラネクチンアポリポタンパク質A−Iを脂質化バッファー中に直接的に1:10(v/v)希釈し、タンパク質濃度2.5mg/mlをもたらした。脂質化バッファーは、6mMコール酸及び4.5mM POPCからなり、脂質とタンパク質の比率60:1に相当した。この方法を使用して、均質な産物が、単一の形成種の90%超を含んで形成されたのに対し、脂質の60分子がテトラネクチンアポリポタンパク質A−Iの1分子当たりに結合した(図22を参照のこと)。
実施例7
コール酸及びZwittergent可溶化POPC/DPPCを用いたインスリン−Fの脂質化
脂質粒子形成のために選ばれたタンパク質は、商業的に入手可能なインスリン(Humalog(登録商標)、Insulin Lispro、Lilly)である。タンパク質の分子量は5808Daである。脂質粒子中のインスリンについての検出限界を増加させるために、タンパク質を、NHS−フルオレセイン(6−[フルオレセイン−5(6)−カルボキサミド]ヘキサン酸Nヒドロキシスクシンイミドエステル、Sigma Aldrich # 46940-5MG-F)を用いて標識している。
NHS−フルオレセイン標識インスリン(インスリン−F)のZwittergent及びコール酸媒介性脂質化を、実施例4において報告されている通りに、POPC及びDPPCの1:1混合物を使用して行った。0.5mM脂質混合物を、PBS pH 7.4中の1×CMCコール酸、2×CMC Zwittergent 3-8、又は5×CMC Zwittergent 3-10のいずれかに溶解した。脂質の可溶化を、超音波浴中で、45℃で1時間にわたり達成した。インスリン−Fを、1:2(Zwittergent 3-8)又は1:1.2(Zwittergent 3-10及びコール酸)のタンパク質:脂質のモル比で、可溶化脂質に加えた。脂質化混合物を1時間にわたり室温でインキュベートし、界面活性剤を除去するためのPBS pH7.4に対する広範な透析が続いた。
形成された脂質粒子及びコントロールサンプルを、蛍光検出(494nm ext.、521nm em.)及びUV280吸収を使用したSE−HPLCで分析した。1脂質化アプローチ当たり3つの異なるサンプルをSE−HPLCで分析した:PBS中に溶解したインスリンF、PBS中のインスリンFを伴わないリポソーム、及びインスリンFを含む脂質粒子。非脂質化インスリンFが約40分の溶出時間でカラムから溶出する。ピークを、蛍光及びUV280検出により検出する。脂質化インスリンFサンプルが、蛍光及びUV280により検出される2つの別々のピークとしてカラムから溶出する。遅いピーク(約40分で最高のピーク)が、インスリンFコントロールサンプルと同時移動する。15分の溶出時間での早いピークが、純粋なインスリンFよりも高い分子量を有し、脂質化インスリンFからなる。タンパク質不含の脂質粒子が15分の溶出時間で溶出する。
実施例8
アポリポタンパク質の適用
a)LCAT活性に対するDPPC及びPOPCの影響
パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のいずれか及び組換え野生型アポリポタンパク質A−I又はテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iのいずれかを含む脂質粒子を、LCATによるコレステロールエステル化を支持するそれらの能力について検証した。
トリチウム化コレステロール(4%;モルベースでのホスファチジルコリン含量と比べて)は、エタノールコレステロール溶液の添加により脂質粒子に取り込まれた。LCAT触媒コレステロールエステル化を支持する、得られたタンパク質−脂質複合体の能力を、125μl(10mM Tris、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaN3;pH 7.4;2mg/ml HuFAFアルブミン;4mMベータメルカプトエタノール)中の0.2μg/ml組換えLCAT酵素(ROAR biochemical)の存在において1時間にわたり37℃でテストした。反応をクロロホルム:メタノール(2:1)の添加により停止させ、脂質を抽出した。「パーセント」エステル化を、TLC及びシンチレーション計数によるコレステロール−コレステリルエステル分離後に計算した。トレーサーの20%未満が形成されたエステル中に取り込まれたため、反応速度は実験条件下で一定であると考えることができた。データを、XLfitソフトウェア(IDBS)を使用して、ミカエリスメンテン方程式に適合させた。結果の可視化については、図3を参照のこと。
b)LCAT活性に対するPOPC/DPPCの混合物の影響
脂質粒子を、界面活性剤としてコール酸を使用して、組換え野生型アポリポタンパク質A−Iを3Hコレステロール、POPC/DPPC混合物、及びコール酸と1:4:80:113モル比で混合することにより調製した。DPPC/POPC混合物は100% POPC;75% POPC;50% POPC;25% POPCのいずれかを含んだ。
透析によるコール酸除去後、LCAT触媒コレステロールエステル化を支持する、得られたタンパク質−脂質複合体の能力をテストした。Hコレステロール(4%;モルベースでのホスファチジルコリン含量と比べて)は、エタノールコレステロール溶液の添加により脂質粒子に取り込まれた。LCAT触媒コレステロールエステル化を支持する、得られたタンパク質−脂質複合体の能力を、125μl(10mM Tris、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaN;pH 7.4;2mg/ml HuFAFアルブミン;4mMベータメルカプトエタノール)中の0.2μg/ml組換えLCAT酵素(ROAR biochemical)の存在において1時間にわたり37℃でテストした。反応をクロロホルム:メタノール(2:1)の添加により停止させ、脂質を抽出した。「パーセント」エステル化を、TLC及びシンチレーション計数によるコレステロール−コレステリルエステル分離後に計算した。トレーサーの20%未満がエステル中に取り込まれたため、反応速度は実験条件において一定であると考えることができた。データを、XLfitソフトウェア(IDBS)を使用して、ミカエリスメンテン方程式に適合させた(図4に示す)。
c)THP−1由来泡沫細胞へのコレステロール排出
マクロファージ様ヒトTHP−1細胞を、THP−1単球性白血病細胞をホルボールミリスチン酸アセテートに露出させることにより得た。その後、細胞を、Hコレステロールトレーサーを含むアセチル化LDLの存在におけるさらなる培養により添加した。これらのモデル泡沫細胞を、次に、4〜8時間にわたりコレステロールアクセプターテスト化合物に暴露した(下を参照のこと)。
細胞培養上清を収集し、細胞を5%NP40中に溶解した。分画排出を、細胞プラス上清中の放射活性の合計と比べた、上清中のコレステロール放射活性の比率として計算した。アクセプターを含まない培地に曝露された細胞からの排出を減算し、排出速度を線形近似により計算した。排出速度を、細胞からの排出を使用して、参照としての10μ/ml野生型アポリポタンパク質A−Iに対して標準化した(相対排出速度)。2つの別々の実験において得られた相対的排出速度を、コレステロールアクセプター濃度の関数としてプロットし、データをミカエリスメンテン方程式に適合した。
並列実験を、ABCA−1トランスポーターを上方調節し、コレステロール輸送をABCA−1媒介性排出に向けて偏らせることが公知であるRXR−LXRアゴニストに曝露された細胞を使用して実施した。
脂質混合物の適度な影響だけが、テストシリーズにおいて観察された(図5及び表29)。
泡沫細胞のRXR−LXR前処理は、非脂質化材料への排出を強く増加し、非処理細胞を上回る最大速度の6倍増加を伴った。脂質粒子に対する影響はずっと少なく、2倍増加を伴い、コレステロール排出へのABCA−1トランスポーターのより低い寄与を反映した(図6)。
d)インビボ試験
5つの脂質粒子バリアントを試験した:
i)POPCだけ
ii)DPPCだけ
iii)POPC:DPPC 3:1
iv)POPC:DPPC 1:1
v)DPPC:SM 9:1
ウサギに0.5時間わたり80mg/kgで静脈内注入し(n=3ウサギ/テスト化合物)、注入後96時間にわたる連続血液サンプリングが続く。
ELISAを用いたアポリポタンパク質レベルの分析:
− 薬物レベル
− 肝臓酵素、コレステロール、コレステロールエステルの血漿値に関するデータ。
血漿中濃度は、全てのテストされた組成物について非常に類似しており、少し顕著な初期「分布」相、それに続く濃度の対数線形下落を示す(図7、表3)。
決定された薬物動態(PK)パラメーターは、全てのテストされた化合物について類似していた。また、低い個体間変動が見出されている。決定された半減期は1.5日近くであり、即ち、野生型アポリポタンパク質A−Iと比較して増加した。分布の容積は血漿容積に類似している(ウサギにおける約40ml/kg)。
f)コレステロール動員
コレステロールが血漿中に動員され、エステル化される。血漿コレステリルエステルレベルは、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iが既に減少している後でさえ、増加し続ける。血漿テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iレベルが0.5mg/mlまで減少している場合(通常の野生型アポリポタンパク質A−Iの約50%)、増加したコレステロールエステルレベルが依然として検出可能である(図8)。
g)肝臓酵素放出
POPCを含むテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含む脂質粒子は、肝臓酵素放出を誘導しない(図1)。ウサギと類似して、POPC又はPOPC/DPPC混合物を含む、本発明に従ったテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの単一静脈内注射はマウスにおいて安全である。DPPC:POPCをモル比1:3で含むアポリポタンパク質組成物は、POPC単独と同程度であった(図9)。
有意な溶血は、5つの調製物のいずれにおいても注入から2時間後まで観察されなかった。溶血を、テトラネクチンアポリポタンパク質A−Iの静脈内適用後2時間目に得られた血漿サンプル中の赤色として測光法で決定した。全血の100%溶血(0.44%Triton X-100最終濃度により生成される)を較正のために使用した(図10)。
h)ヒト臍帯静脈内皮細胞に対するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの抗炎症効果
継代5〜10のHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を、それぞれのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I調製物中で16時間にわたりインキュベートし、TNFαを用いて最後の4時間にわたり刺激した。VCAM1表面発現を、特異的な抗体を用いて、FACSにより検出した。
実施例9
脂質粒子の安定性
N末端ヒスチジンタグ及びIgAプロテアーゼ切断部位を含む野生型アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、上の実施例において報告される通りにカラムクロマトグラフィーにより精製した。ヒスチジンタグをIgAプロテアーゼ切断により除去した。脂質粒子(HDL粒子)を、タンパク質とLipoid S100大豆リン脂質混合物の1:150比率を使用して組み立てた。粒子を、5mMリン酸ナトリウム及び1%スクロースを含むバッファー中で、pH値7.3で保存した。SE−HPLCは、10日間にわたる脂質化及びインキュベーション後のインキュベーション時に3つの明確なピークを明らかにした。40℃でのインキュベーション後、保持時間10.8分での主要なピークを検出することができ(全タンパク質の47%)、それは、5℃で保存されたサンプル中には存在しない。10.8分のピークは、タンパク質の不安定化に起因する、可溶性の大きな分子量の集合体の形成を示す。
POPC:DPPC混合物(POPCとDPPC比率3:1)から出発して得られた、本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを含むHDL粒子を、また、5℃及び40℃でインキュベートした。上昇温度でのインキュベーションは、わずかな程度の前ピーク形成に導いたが、しかし、10.8分での高分子量集合体への有意なシフトはなかった(11分で<2%増加)。これは、野生型アポリポタンパク質A−Iを含む粒子と比較して、改善されたHDL粒子の安定性を示す。
実施例10
コレステロール動員
コレステロールが血液中に動員される効率は、インビボでのアポリポタンパク質の投与後、総コレステロールのそれぞれの可動域をアポリポタンパク質濃度と比較することにより決定することができる。定量的評価のために、ベースライン補正された総コレステロールの濃度−時間曲線下面積(AUC)とアポリポタンパク質の濃度−時間曲線下面積の商を計算した。
この実験において、以下の物質:
− N末端ヒスチジンタグ及びIgAプロテアーゼ切断部位を含む野生型アポリポタンパク質A−IをE. coliにおいて発現させ、上の実施例において報告される通りにカラムクロマトグラフィーにより精製した;ヒスチジンタグをIgAプロテアーゼ切断により除去した;脂質粒子(HDL粒子)を、タンパク質とLipoid S100大豆リン脂質混合物の1:150比率を使用して組み立てた
− アポリポタンパク質A−I Milanoバリアント;脂質粒子(HDL粒子)を、タンパク質とPOPCの1:40比率を使用して組み立てた
− 本明細書において報告されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I;脂質粒子(HDL粒子)を、タンパク質とPOPC及びDPPCの1:60比率(比率3:1でのPOPC及びDPPC)を使用して組み立てた
を分析した。
3つのHDL粒子をラットに適用した。それぞれのAUC比率について得られた値を表30に示す。

Claims (15)

  1. 以下:
    i)変性タンパク質を含む第1溶液を提供すること、
    ii)第1溶液を、少なくとも1つの脂質及び界面活性剤を含むが、しかし、タンパク質を含まない第2溶液に加えること、及び
    iii)工程ii)において得られた溶液から界面活性剤を除去し、それにより、脂質粒子を産生すること
    の工程を含む、脂質粒子を産生するための方法。
  2. 第2溶液が、第1溶液の容積の約3倍〜約20倍を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 第1溶液が脂質を含まないことを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項記載の方法。
  4. タンパク質が、配列番号01、02、04〜52、66、又は67のアミノ酸配列より選択されるアミノ酸配列を有するか、又は、配列番号01、02、04〜52、66、又は67のアミノ酸配列の少なくとも80%を含む少なくとも連続フラグメントを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. タンパク質が、配列番号01、又は配列番号02、又は配列番号66、又は配列番号67のアミノ酸配列を有するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iであることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 少なくとも1つの脂質が、2つの異なるホスファチジルコリンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 第1ホスファチジルコリンがPOPCであり、第2ホスファチジルコリンがDPPCであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
  8. 界面活性剤が、コール酸、ツィッタージェント、又はその塩より選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. 方法が、工程ii)の後そして工程iii)の前に、以下:
    工程iia) 工程ii)において得られる溶液をインキュベートすること
    を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. インキュベーション及び/又は除去が4℃〜45℃の温度であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. インキュベーションが約2時間〜約60時間であることを特徴とする、請求項9及び10のいずれか一項記載の方法。
  12. 界面活性剤が高いCMCを伴う界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. 除去が、ダイアフィルトレーション又は透析又は吸着によることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項記載の方法を用いて得られる脂質粒子。
  15. 請求項14記載の脂質粒子を含む医薬的組成物。
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