JP2013538996A - ポケットピボット機構を含むブレードテンショナ用のブレードテンショナとブラケット - Google Patents

Abstract

ブレード型のチェーンテンショナ（Ｔ）が、主壁（ＭＷ）とその主壁から突き出た傾斜部（Ｒ）と内側凹状ピボット面（ＰＳ）を含むピボットポケット（Ｐ）とを含むブラケット（Ｋ）を備える。このブラケット（Ｋ）にテンショナブレードアセンブリが動作可能に結合される。テンショナブレードアセンブリは高分子のシュー（Ｓ）と、そのシュ―に接続されたばね（Ｇ）とを含んでいる。シューは傾斜部上に支えられた自由端と、ピボットポケットと係合するピボット端（Ｓ１）と、自由端とピボット端（Ｓ１）との間にある中央体とを含む。シューのピボット端は、外側凸ピボット面を含むピボットバレル（Ｓ４）を備えている。ピボットバレル（Ｓ４）はピボットポケットと係合し、ピボットバレルの外側ピボット面はピボットポケットの内側ピボット面に摺動自在に当接して、ピボットバレル（Ｓ４）がピボットポケット（Ｐ）内で往復角運動可能となっている。

Description

関連出願の相互参照

本出願は、２０１０年８月３０日に出願された米国特許仮出願第６１／３７８，３０６号の出願日からの優先権およびその利益を主張するものであり、この米国特許仮出願のすべての開示は参照により本明細書に明示的に援用されるものとする。

本発明は一般に自動車用チェーン駆動技術に関し、特に、限定された空間における移動チェーンへの張力付与に有効な機械式ブレード型のチェーンテンショナ装置に関する。このようなブレード型のチェーン張力付与装置は、チェーンに係合するブレード、すなわち、主としてレジン系プラスチック材料すなわち“プラスチック”材料から成形されたシュー部材を含み、その中に金属ばねが組み込まれて、プラスチック製シューの可撓性、低摩擦性および良好な摩耗特性の利点を活かしつつ、シューの部分アセンブリに必要な剛性と減衰特性を付与している。

図１は既知のブレード型テンショナ装置Ｔ’を示している。これは一般的に金属打抜きで成形されたブラケットＫ’と、そのブラケットに動作可能に固定されたテンショナブレードアセンブリＢＡＳ’とを備えている。図１Ｂに示すように、使用時にはブラケットＫ’は、関連するエンジンブロックＥＢに動かないように固定されて、１つまたは複数のカムシャフトスプロケットＣＭＳの回転位置を、クランクシャフトスプロケットＣＫＳの回転位置に対して位相を合わせる、すなわち“調時”するためのチェーン駆動システムの一部となっている。１つまたは複数のボルトまたはそのほかの締め具ＢＴ’がブラケットＫ’の主壁ＭＷ’にある取付け穴ＫＡ’を通ってエンジンブロックＥＢまたはほかの関連する支持構造にねじ止めされて、ブラケットＫ’を作動位置にしっかりと固定する。ローラ／ブッシュチェーンまたは逆歯チェーンなどのようなチェーン１５が、クランクシャフトスプロケットＣＫＳ並びにカムシャフトスプロケットＣＭＳと係合し、クランクシャフトスプロケットに対してカムシャフトスプロケットの位相合わせ／調時を行う。クランクシャフトスプロケットＣＫＳは方向ＤＩＲに向かって回転し、チェーン１５には張り側（ｔａｕｔ ｓｔｒａｎｄ ｐｏｒｔｉｏｎ）１６と弛み側（ｓｌａｃｋ ｓｔｒａｎｄ ｐｏｒｔｉｏｎ）１７がある。

図示した既知のテンショナＴ’は、ブラケットＫ’の主壁ＭＷ’から横方向に突き出て、ポリマー樹脂材料で形成された固定チェーンガイドＦＧ’に係合して支持する固定ガイドフランジＸＦ’を備える、任意選択の第１の部分Ｔ１’を含んでいる。固定チェーンガイドＦＧ’には、図１Ｂに示すようにチェーンの張り側１６に摺動自在に係合しかつ支持／案内するガイド面が含まれている。

テンショナＴ’にはさらにブレードアセンブリＢＡＳ’を備える第２の部分Ｔ２’がある。テンショナの第２の部分Ｔ２’の一部として、ブラケットＫ’は主壁ＭＷ’から外側へ垂直に突き出て、主壁ＭＷ’に溶接またはその他の方法でしっかりと固定された冷間圧造スチールまたはその他のピンＮ’を備えている。図１Ａは、図１の（ブレードアセンブリＢＡＳ’を除外したブラケットＫ’のみの）線１Ａ−１Ａでの断面図であり、主壁ＭＷ’に抵抗溶接またはその他の溶接ＮＷ’によって固定されたピボットピンＮ’を示している。テンショナの第２の部分Ｔ２’の一部として、ブラケットＫ’にはさらに、主壁ＭＷ’から外側へ突き出ている支持フランジＴＦ’がある。支持フランジＴＦ’の端部は傾斜部Ｒ’を形成すなわち画定し、外壁ＯＷ’が傾斜部Ｒ’の外側端部から横に延びて主壁ＭＷ’と平行となって、主壁ＭＷ’と外壁ＯＷ’と傾斜部Ｒ’との間に溝ＣＨ’（図１Ａ）が画定されるようになっている。

既知のテンショナブレードアセンブリＢＡＳ’は、ブラケットＫ’に動作可能に結合され、ポリマーすなわち“プラスチック”のシューＳ’と、そのシューＳ’に取外し可能に結合された金属ばねＧ’とを含んでいる。ブレードアセンブリＢＡＳ’の第１の端、すなわちピボット端Ｓ１’にはボスすなわち円筒Ｓ４’があり、ピボットピンＮ’の上に摺動自在に嵌るピボット穴ＳＢ’がある。ブレードアセンブリＢＡＳ’の反対側の第２の端、すなわち自由端Ｓ２’は、溝ＣＨ’の中にあって傾斜部Ｒ’で支持されている。図１に示されている保持ピンＲＰ’は、輸送時と、自由端Ｓ２’を傾斜部Ｒ’上に固定するハンドリングのためにのみ利用され、図１Ｂと１Ｃに示すように、ブレードアセンブリＢＡＳ’の使用時には取り外される。チェーン１５の弛み側１７の張力及び位置の変化とそれに対応する矢印「ＡＭＰＬ」で示されるような弛み側１７の振動運動に応答して、ブレードアセンブリＢＡＳ’がピボット端Ｓ１’において矢印「ＲＯＴＡＴＥ」で示されるような関連する往復の角運動すなわち回転運動をするが、これに伴い、傾斜部Ｒ’上の第２の自由端Ｓ２’が矢印「ＴＲＡＮＳ」で示されるように摺動して往復並進運動することが可能となっており、これによりブラケットＫ’は、ブレードアセンブリＢＡＳ’をチェーンの通過面に対して適正な位置に保持する。図１ＣはテンショナＴ’の部分図であり、このブレードアセンブリＢＡＳ’の動作時の運動を、ブレードアセンブリＢＡＳ’の第１の（湾曲した）位置を実線で、ブレードアセンブリＢＡＳ’の第２の（圧縮された）位置を鎖線で示している。

シューのピボット穴ＳＢ’とブラケットの主壁ＭＷ’を貫通してエンジンブロックＥＢまたはほかの関連する支持構造体にねじ止めされる段付きボルトまたは他の任意の好適な締め具でピボットピンＮ’を置き換えて、シューＳ’のピボット端Ｓ１’がブラケットＫ’に対して回転できるようにすることができる。テンショナＴ’がピボットピンＮ’を備えていようが段付きボルトを備えていようが、いずれの場合においても、特定のエンジン環境においては組立環境が限られており、十分な構造強度を持つ鋼製の打抜きブラケットを使用可能な空間内で組立てることができない。すなわち鋼製の打抜きブラケットＫ’は場合によっては、必要とする固定／取付け点の位置のために、または組立または設計関連の理由で不評である。

上記のような次第で、これに代わるテンショナとテンショナのブラケット構造を提供することが望まれていた。

本発明の一実施形態によれば、ブレード型のチェーンテンショナが、主壁と、その主壁から突き出た傾斜部と、内側凹状のピボット面を含むピボットポケットと、を含むブラケットを備える。このブラケットにテンショナブレードアセンブリが動作可能に結合される。テンショナブレードアセンブリはポリマーのシューと、そのシュ―に結合されたばねとを含んでいる。シューは傾斜部上に支えられる自由端と、ピボットポケットと係合するピボット端と、自由端とピボット端との間にある中央体とを含む。シューのピボット端は、外側凸状のピボット面を含むピボットバレルを備えている。ピボットバレルはピボットポケットと係合し、ピボットバレルの外側ピボット面はピボットポケットの内側ピボット面に摺動自在に当接して、ピボットバレルがピボットポケット内で往復角運動可能となっている。

本発明の別の実施形態によれば、ブレード型チェーンテンショナは、傾斜部とピボットポケットを含むブラケットを備える。ピボットポケットは凹状のピボット面を含む。ブレードアセンブリはブラケットに動作可能に結合される。ブレードアセンブリは、第１の端部と、第２の端部と、その第１の端部と第２の端部の間に広がる中央体とを含むポリマーのシューを備える。ブレードアセンブリはさらに、ポリマーのシューの第１の端部に結合された第１の端部と、ポリマーのシューの第２の端部に結合された第２の端部とを含む金属ばねを備えている。シューの第１の端部は、凸状のピボット面を含むピボットバレルを含む。ピボットバレルの凸状のピボット面がピボットポケットの凹状のピボット面に摺動自在に当接して、ピボットポケット内でピボットバレルの往復角運動が可能となるように、ピボットバレルがピボットポケットと係合する。シューの第２の端部は、傾斜部上を往復並進運動できるように傾斜部上に支持されている。ピボットポケットの凹状のピボット面は、ピボットバレルの凸状のピボット面の外径の周囲に１８０度を超えて広がる領域を含んでいて、ピボットバレルをピボットポケット内に捕える。

別の実施例によれば、チェーンテンショナ装置が、（ｉ）中心軸の周囲に広がる部分円弧円筒面により画定される凹状のピボット面を含むピボットポケットと、（ｉｉ）支持傾斜部とを含むブラケットを備えている。ブレードアセンブリはブラケットに保持されて、シューと、シューに結合されたばねとを備えている。シューは、凸状のピボット面を備えるピボット端を含んでいる。ピボット端は、凸状のピボット面がピボットポケットの凹状のピボット面と当接するようにしてピボットポケットと係合する。シューはまた、ピボット端からは離間して、支持傾斜部上に支持された自由端を含む。

本発明の別の態様によれば、チェーンテンショナ装置の組立方法は、テンショナブレードアセンブリのピボットバレルをピボットポケットの中心軸に沿って軸方向にピボットポケットの中へ摺動させることによってテンショナブレードセンブリをブラケットへ動作可能に結合し、凸状の部分円弧円筒面を備えるピボットバレルの外側ピボット面と、凹状の部分円弧円筒面を備えるピボットポケットの内側ピボット面とが相互に摺動自在に当接し、かつ中心軸に関して共軸となる。次に、テンショナブレードアセンブリを中心軸の周りに枢動させて、テンショナブレードアセンブリの自由端を移動させてブラケットの支持傾斜部分に接触させる。

ブラケットとブラケットに固定されたテンショナブレードアセンブリとを備える既知のブレード型テンショナ装置の図である。 図１の線１Ａ−１Ａにおける（ブレードアセンブリなしでブラケットのみを示す）断面図である。 チェーンドライブシステムの一部として、関連するエンジンブロックに動作可能に固定された既知のテンショナ装置の図である。 実線のブレードアセンブリの第１の（湾曲した）状態と、鎖線のブレードアセンブリの第２の（圧縮された）状態を利用して作動時の運動を示した、既知のテンショナの部分図である。 本発明の例示的実施形態により提供されるテンショナの正面等角図である。 図２Ａのテンショナの背面等角図である。 図２Ａのテンショナの正面図である。 図３の矢印３Ａの方向から見た、テンショナの側面図である。 図２Ａのテンショナのブラケット部分の拡大部分正面図である。 図２Ａのテンショナのブラケット部分の拡大部分等角図である。 図２Ａのテンショナのブレードアセンブリ部分の等角図である。 ブラケットに部分的に組み込まれたブレードアセンブリを示す、図３と同様のテンショナの正面図である。 組込位置と作動位置におけるブレードアセンブリの部分を示す、図４Ａと同様の図である。 組込位置と作動位置におけるブレードアセンブリの部分を示す、図４Ａと同様の図である。 図６Ｂの正面図に対応する、大きく拡大された背面図である。

本発明の一態様によれば、ブレード型のチェーンテンショナが、ポリマー材料またはその他のポリマーや複合材料で射出成形された新ブラケットを含み、このブラケットにポケットピボット機構が含まれていて、ブラケットとブラケットに結合されたテンショナブレードアセンブリのピボット端部との間が相対的に回転できるようになっている。ポケットピボット機構には、テンショナブレードアセンブリのピボット端をブラケットに捕捉するための固定タブが含まれている。通常、ブラケット強度を向上させるために、ガラスファイバ充填材または当技術分野において知られているそのほかの充填材材料が、ブラケットを画定するベースポリマ樹脂（例えばナイロンまたはその他の樹脂）に添加される。例示的なブラケットは、図１〜１Ｃに関連して説明したような既知のポリマブラケット及び既知のスチール打抜き成形ブラケットＫ’よりも利点を備えている。

より具体的には、図２Ａは本発明に従って提供される組立後のテンショナＴの正面等角図であり、図２ＢはテンショナＴの背面等角図である。図３はテンショナＴの正面図であり、図３Ａは図３の矢印３Ａから見たテンショナＴの側面図である。図２Ａは、輸送及びハンドリングのためにテンショナＴに仮止めされている取外し可能なピンＲＰを示している。テンショナＴを実使用するためには、取外し可能なピンＲＰが取り外される。

テンショナＴは、通常ガラス繊維充填材またはそのほかの添加充填材を含むナイロンまたはその他の好適なポリマー材料すなわち“プラスチック”材料で形成されたブラケットＫを含む。図示した実施形態においては、ブラケットＫは射出成形またはその他の類似のプロセスで形成された一体構造である。ブラケットＫは主壁ＭＷを含む。テンショナＴは、主壁ＭＷの第１の端部に結合された任意の第１の部分すなわち固定ガイド部Ｔ１と、主壁ＭＷの第２の端部に結合された第２の部分すなわちテンショナ部Ｔ２とを含む。

第１の部分Ｔ１は、主壁ＭＷから横方向に突き出た固定ガイドフランジＸＦを備え、同じくポリマー樹脂材料で形成された固定チェーンガイドＦＧに係合されてこれを支持する。固定チェーンガイドＦＧには、図１Ｂに示すような既知のテンショナＴ’に関連して説明したように、チェーン１５の張り側１６に摺動自在に係合しかつ支持するガイド面が含まれている。

テンショナＴの第２の部分Ｔ２は、主壁ＭＷから外側へ突き出た支持フランジすなわち支持棚ＴＦを備える。また図３を参照すると、支持棚ＴＦの外側端部は傾斜部Ｒを形成すなわち画定し、外壁ＯＷが傾斜部Ｒの外側端部から主壁ＭＷと平行に横に延びて、主壁ＭＷと外壁ＯＷと傾斜部Ｒとの間に溝ＣＨが画定されるようになっている。図示した実施形態においては、支持棚ＴＦは、主壁ＭＷに結合されてそこから外側に突き出ている、ブラケットＫの支持ブロックＫＢ部分の表面により提供される。

本発明により提供されるテンショナブレードアセンブリＢＡＳは、第２のテンショナ部Ｔ２の一部としてブラケットＫに動作可能に結合されている。テンショナブレードアセンブリＢＡＳは、ポリマーブレードすなわち「シュー」Ｓと、シューＳに結合された金属ばねＧを備えている。シューＳは一体成形された高分子構造体であり、ばねＧは一体のばね鋼部品または類似の板ばね構造である。シューＳは、ピボット端Ｓ１と自由端Ｓ２を含み、それぞれがばねＧの対向するそれぞれの端部を受けて保持するためのスロットＳＬ１、ＳＬ２（図５）を画定する。シューＳは、ピボット端Ｓ１と自由端Ｓ２との間にチェーン移動軸に沿って延在して両者を相互連結する中央体Ｓ３を含む。中央体Ｓ３の上側すなわち外側表面ＯＳは、張力を付与されるチェーンが摺動自在に係合するためのチェーン接触面を提供する。中央体Ｓ３は外側表面ＯＳの反対にあって、ばねＧの湾曲した中央部が接触する、下側すなわち内側表面を含む。シューＳの自由端Ｓ２は、溝ＣＨの中にあって傾斜部Ｒ上に支持されている（図３Ａも参照）。

テンショナ装置Ｔは、既知のテンショナ装置Ｔ’に関して説明し、図１Ｂに示したものと同様に、エンジンのタイミングチェーン駆動システムの一部として組み込まれる。１つまたは複数のボルトＢＴを利用してブラケットＫが、関連するエンジンブロックまたは図１Ｂの他の関連する支持構造に固定され、チェーン１５の張り側１６が固定チェーンガイドＦＧで案内され、チェーン１５の弛み側１７がブレードアセンブリＢＡＳによって張力を与えられるようになっている。既知のテンショナＴ’およびそのブレードアセンブリＢＡＳ’と同様に、ブレードアセンブリＢＡＳの外側表面ＯＳ上を摺動するチェーンの弛み側１７が、シューＳの中央体Ｓ３を上下するように湾曲させたり平坦にさせたりする。その結果シューの自由端Ｓ２が傾斜部Ｒ上を前後に摺動し、その一方でシューのピボット端Ｓ１がブラケットＫに対して相対的な第１と第２の角度方向に回転すなわち往復角運動をする。

既知のブラケットＫ’と違ってブラケットＫは、シューＳのピボット端Ｓ１をブラケットＫに対して回転自在に支持するのにピボットピンＮを必要としない。その代り、シューＳのピボット端Ｓ１は、ブラケットＫのピボットポケットＰ内で、ブラケットＫに枢動可能に保持されており、シューＳのピボット端Ｓ１が所要の揺動状の角度回転／枢動をすることを可能としている。図４Ａと４Ｂは、ブラケットＫのピボットポケットＰの領域を大きく拡大した図である。ピボットポケットＰは凹状ピボット面ＰＳを備え、これは部分円弧円筒面すなわち円弧の中心軸Ｘの周りに３６０度未満で拡がる円筒面を含むかまたはそれによって画定される。このようにピボットポケットＰは、ピボット面ＰＳの相対向する第１と第２の外周端ＰＳ１、ＰＳ２の間に画定される幅“ｄ”の開口を含む、すなわちその開口を画定する。ピボット面上のこの地点において幅“ｄ”は最小となる。すなわち幅”ｄ”は、ピボット面の外周長が最大となる点における、ピボット面の相対向する外周端ＰＳ１、ＰＳ２の間に画定される開口の最小幅である。ピボットポケットＰは、傾斜部Ｒからは離間しているがチェーンの移動軸沿いに整列した位置において、支持棚ＴＦを貫通またはそれに隣接して支持ブロックＫＢ内に画定される。図に示す実施形態において、支持ブロックＫＢは締結ボルトＢＴの１つを収容するための窪みＫＲを含み、この窪みＫＲは支持棚ＴＦを横切って、支持棚ＴＦを、傾斜部Ｒを備える第１の部分と、内部にまたは隣接してピボットポケットＰが画定される第２の部分とに分断する。凹状ピボット面ＰＳは、本明細書において、内側ピボット面と称されることもある。

また、ブレードアセンブリＢＡＳを分離して示す図４Ｃを参照すると、シューＳのピボット端Ｓ１は、対応するようにして、凸状の外側部分円弧円筒のピボット面Ｓ５から成るピボットボスまたはピボットバレルＳ４を含んでいる。これは外周方向に３６０度未満で広がる円筒面から成る。外側ピボット面Ｓ５の第１の領域Ｓ５ａにおいては、ピボット面はピボットバレルＳ４の前面端部Ｓ４ｆから背面端部Ｓ４ｒまで実質的に連続的に延びている。第２の領域Ｓ５ｂにおいては、外側ピボット面Ｓ５は、外側補強リブＳＲによって前面部Ｓ５ｆと背面部Ｓ５ｒとに分割される（図２Ｂも参照）。外側補強リブは、中心部Ｓ３がピボットバレルＳ４に合流する、ピボットバレルの前面端部Ｓ４ｆと背面端部Ｓ４ｒの間の中間の領域において、ピボットバレルＳ４から外方向へ突き出ている。外側ピボット面の前面部Ｓ５ｆと背面部Ｓ５ｒは、それぞれ外側補強リブから前面端部までと背面端部まで延びている。

図６Ａに示すように、外径Ｄはこの外側ピボット面Ｓ５上の相対する直径上の任意の２点間で画定される。ピボットポケットＰの内側ピボット面ＰＳは、ピボットバレルＳ４の外側ピボット面Ｓ５と同じ形状でそれに対応した寸法となっており、ピボット面Ｓ５により画定される外径ＤがピボットポケットＰの中にぴったりと嵌り、バレルＳ４の外側凸状のピボット面Ｓ５とピボットポケットＰの内側凹状のピボット面ＰＳとがポケット中心軸Ｘの周りに共軸となっており、かつ相互に摺動自在に係合または摺動自在に当接している。このようにして、ピボットバレルＳ４はブラケットＫに対して中心軸Ｘの周りを回転、すなわち第１の方向と第２の方向へ反転して角度方向に枢動することができる。本明細書に使用される「回転」という用語は、３６０度の回転を意味するものではない。そうではなく、「回転」は、円弧部分に沿う角度分の運動を意味し、それは３６０度未満である。

好ましくはピボットポケットＰは、開口ＰＭ（図４Ａ）の幅“ｄ”がピボットバレル外径Ｄよりも小さくなるように画定される。それはピボット面ＰＳが最大外周長において第１の端部ＰＳ１から第２の端部ＰＳ２まで１８０度を超えて延在するからである。このような場合、ピボットバレルＳ４をピボット軸Ｘに沿ってピボットポケットＰの中へ軸方向に摺動移動させることにより、ピボットバレルＳ４がピボットポケットＰに組込まれる。ピボットバレルＳ４はブラケットＫに対して連結され、ピボット軸Ｘに直交する方向にはどの方向にも移動することができない。ただし、ピボットバレルＳ４はピボット軸Ｘを中心として可逆的にブラケットＫに対して枢動することができる。ピボットバレルＳ４から外方向に突き出た外側補強リブＳＲがあるため、内側凹状のピボット面ＰＳの第２の外周端ＰＳ２の一部が軽減すなわち除去されて、取付斜面ＩＲを含む取付ノッチＩＮ（図４Ｂ）を画定する。これが、組込時にピボットバレルＳ４がピボット軸Ｘに沿って軸方向に移動してピボットポケットＰの中に入る際の、シューＳの外側補強リブＳＲに対する隙間を与える。ピボット面ＰＳの第２の外周端ＰＳ２の残りの部分が、取付斜面ＩＲに対して外方向に突き出た固定タブＬＴを画定する。ピボットバレルＳ４を軸方向にピボットポケットＰの中へ挿入して、ピボットバレルＳ４が軸方向にピボットポケットＰの中に完全に組込まれると、取付斜面ＩＲは外側補強リブＳＲが固定タブＬＴに当接するような寸法となっている。

図５と図６Ａは、ピボットバレルＳ４をピボットポケットＰに軸方向に挿入するために必要な組込位置に向いたテンショナブレードアセンブリＢＡＳを示す。図に示すようにシューの自由端Ｓ２が溝ＣＨの外壁ＯＷから離れた位置にある組込位置は、ピボットバレルＳ４を軸方向にピボットポケットＰの中に挿入する際に、シューＳの自由端Ｓ２が溝の外壁ＯＷを “通過”するために必要である。この組込位置において、外側補強リブＳ５は“取付”斜面ＩＲに平行な位置にあって当接している。取付斜面ＩＲはテンショナブレードアセンブリＢＡＳを組み込むための適切な角度位置に対する基準位置を提供するようになっている。ピボットバレルＳ４がピボット軸Ｘに沿って軸方向に完全にピボットポケットＰの中に進むと、その外側補強リブＳＲが固定タブＬＴに隣接する位置となるか、及び／又はそれに当接し、かつシューＳの自由端Ｓ２がブラケットＢの主壁ＭＷに隣接する位置となるか、及び／又はそれに当接する。次にピボットバレルＳ４がピボットポケットＰの中に完全に含まれて固定される。次に、シューＳの自由端Ｓ２を図５の矢印ＤＮの方向に回転させてブラケット傾斜部Ｒ表面に接触させる。そうして外壁ＯＷ内に画定されている開口Ｏ１とそれに位置合わせされたシューの自由端Ｓ２内の開口Ｏ２とを貫通して、取り外し可能ピンＲＰが挿入される。これは輸送及びその後のエンジンへの取付け時にブレードアセンブリＢＡＳを一時的に固定するためである。上記のように、ピンＲＰはテンショナＴを使用するために後で取り外される。ピボットポケットＰは、その前端に隣接する導入用面取りＥ１を任意選択で含むことができる。これはシューのピボットバレルＳ４を滑り込み挿入しやすくするためである。

図６Ｂと図７はブラケットＫ上の作動位置に組込まれたテンショナブレードアセンブリＢＡＳを示す。図６Ｂから、テンショナブレードアセンブリＢＡＳがその作動位置に組込まれると、シューＳの外側補強リブＳＲの少なくとも一部が、ピボットポケットＰの内側凹状のピボット面ＰＳを越えて取付ノッチＩＮ内に延びて、固定タブＬＴに隣接する。こうして、取付ノッチＩＮが外側補強リブＳＲに対する隙間を提供する。

本発明を好適な実施形態を参照して説明した。本発明の属する技術分野の当業者は修正および変更を思いつくであろうが、本発明はそのような修正および変更のすべてを包含するものとして解釈されることが意図されている。

Claims (17)

1. ブレード型チェーンテンショナであって、
   主壁と、前記主壁から突き出ている傾斜部と、内側凹状のピボット面を含むピボットポケットとを備えるブラケットと、
   前記ブラケットに動作可能に結合されたテンショナブレードアセンブリであって、ポリマーのシューと、前記シューに結合されたばねとを備え、前記シューは前記傾斜部上に支えられた自由端と、前記ピボットポケットと係合するピボット端と、前記自由端と前記ピボット端との間に延在する中央体とを含む、テンショナブレードアセンブリと、を備え、
   前記シューの前記ピボット端は、外側凸状のピボット面を含むピボットバレルを備え、前記ピボットバレルは前記ピボットポケットと係合し、前記ピボットバレルの前記外側凸状のピボット面は前記ピボットポケットの前記内側ピボット面に摺動自在に当接して前記ピボットバレルが前記ピボットポケット内で往復角運動可能となっている、ブレード型チェーンテンショナ。
2. 前記ピボットポケットの前記内側ピボット面と前記ピボットバレルの前記外側ピボット面は、それぞれ部分円弧円筒面を備えている、請求項１に記載のブレード型チェーンテンショナ。
3. 前記ピボットポケットの前記内側ピボット面は中心軸の周りに画定され、前記ピボットポケットの前記内側ピボット面と前記ピボットバレルの前記外側ピボット面は前記中心軸を中心として共軸に配置されている、請求項２に記載のブレード型チェーンテンショナ。
4. 前記ピボットポケットの前記内側ピボット面は、前記内側ピボット面の第１と第２の対向端部の間で３６０度未満の最大円周範囲に延在し、前記内側ピボット面の前記第１と第２の対向端部の間に幅“ｄ”の開口が画定されている、請求項１に記載のブレード型チェーンテンショナ。
5. 前記シューの前記外側ピボット面は、外径“Ｄ”を持ち、前記開口の幅“ｄ”は前記外側ピボット面の外径“Ｄ”より小さい、請求項４に記載のブレード型チェーンテンショナ。
6. 前記ピボットポケットの前記内側ピボット面の第２の端部の一部が、取付けノッチを画定するために除去されている、請求項５に記載のブレード型チェーンテンショナ。
7. 前記シューの前記ピボット端は、前記ピボットバレルから外側に突き出た外側補強リブをさらに備え、前記外側補強リブの少なくとも一部は前記取付けノッチに位置する、請求項６に記載のブレード型チェーンテンショナ。
8. 前記取付けノッチは、取付け傾斜部と前記取付け傾斜部から外に突き出た固定タブとを含み、前記外側補強リブは前記固定タブに隣接して存在する、請求項７に記載のブレード型チェーンテンショナ。
9. 前記外側凸状のピボット面は、
   前記外側凸状のピボット面が、前記ピボットバレルの前端から前記ピボットバレルの後端まで実質的に連続的に延びている、第１の領域と、
   前記外側凸状のピボット面が、前記外側補強リブによって、前記外側補強リブと前記ピボットバレルの前記前端の間に延びる前方部分と、前記外側補強リブと前記ピボットバレルの前記後端の間に延びる後方部分と、に分割される第２の領域と、
   を備える、請求項７に記載のブレード型チェーンテンショナ。
10. 前記ブラケットは、前記主壁に結合されて前記主壁から外側へ延びる支持ブロックを備え、前記傾斜部は前記支持ブロックの表面によって設けられる、請求項１に記載のブレード型チェーンテンショナ。
11. 前記ピボットポケットは前記支持ブロック内に形成される、請求項１０に記載のブレード型チェーンテンショナ。
12. 前記ブラケットは、前記傾斜部の外側端部から横方向に延びる外壁を備え、前記ブラケットが前記主壁と前記傾斜部と前記外壁との間に位置する溝を備え、前記シューの前記自由端は前記溝の中に位置する、請求項１に記載のブレード型チェーンテンショナ。
13. ブレード型チェーンテンショナであって、
    傾斜部と、凹状のピボット面を備えるピボットポケットとを含むブラケットと、
    前記ブラケットに動作可能に結合されたブレードアセンブリであって、第１の端部と、第２の端部と、前記第１と前記第２の端部の間にある中央体と、を含むポリマーのシューから成るブレードアセンブリと、
    を備え、
    前記ブレードアセンブリはさらに、前記ポリマーのシューの前記第１の端部に結合された第１の端部と、前記ポリマーのシューの前記第２の端部に結合された第２の端部と、を含む金属ばねを備え、
    前記シューの前記第１の端部は凸状のピボット面を含むピボットバレルを備え、前記ピボットバレルは、前記ピボットバレルの前記凸状のピボット面が前記ピボットポケットの前記凹状のピボット面に摺動自在に当接して前記ピボットバレルが前記ピボットポケット内で往復角運動を可能とするように前記ピボットポケットと係合し、
    前記シューの前記第２の端部は、前記傾斜部上を往復並進運動するように前記傾斜部上に支持され、
    前記ピボットポケットの前記凹状のピボット面は、前記ピボットバレルを前記ピボットポケット内に捕捉するために前記ピボットバレルの凸状のピボット面の外径の周囲に１８０度を超えて広がる領域を含む、ブレード型チェーンテンショナ。
14. チェーンテンショナ装置であって、
    （ｉ）中心軸の周囲に広がる部分円弧円筒面により画定される凹状のピボット面を含むピボットポケットと、（ｉｉ）支持傾斜部と、を含むブラケットと、
    前記ブラケットに保持されたブレードアセンブリであって、前記ブレードアセンブリはシューと前記シューに結合されたばねとを備え、前記シューは凸状ピボット面を備えるピボット端を含み、前記ピボット端は前記凸状ピボット面が前記ピボットポケットの前記凹状ピボット面と当接するようにして前記ピボットポケットと係合し、前記シューは前記支持傾斜部上に支持された、前記ピボット端から離間した自由端を含む、ブレードアセンブリと、
    を備えるチェーンテンショナ装置。
15. 前記ピボットポケットの一部が前記凸状ピボット面の周りに１８０度を超えて延び、前記シューの前記ピボット端が前記中心軸の周りを前記ピボットポケットに対して相対的に角運動可能であり、前記ピボットポケットは前記シューの前記ピボット端が前記中心軸に対して横方向へ運動することを妨げる、請求項１４に記載のチェーンテンショナ装置。
16. 前記シューの前記自由端は、前記自由端が前記傾斜部から離間された取付け位置へ選択的に移動可能であり、前記シューの前記自由端が取付け位置にある場合に、前記シューの前記ピボット端は、前記中心軸に沿って前記ポケット内を軸方向に移動可能である、請求項１５に記載のチェーンテンショナ装置。
17. チェーンテンショナ装置の組立方法であって、
    テンショナブレードアセンブリのピボットバレルを、ピボットポケットの中心軸に沿って前記ピボットポケットの中へ摺動させることにより前記テンショナブレードセンブリをブラケットへ動作可能に結合して、凸状の部分円弧円筒面を備える前記ピボットバレルの外側ピボット面と、凹状の部分円弧円筒面を備える前記ピボットポケットの内側ピボット面とが相互に摺動自在に当接するとともに、前記中心軸の周りに共軸となり、
    前記テンショナブレードを前記中心軸の周りに枢動させて、前記テンショナブレードアセンブリの自由端を移動させて前記ブラケットの支持傾斜部分に接触させる、組立方法。

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