JP2013538564A - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、薬剤、詳細には式Aの、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)で、式中、
X1はフェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであることができ、
X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
X3はチロシンまたはバリンであることができ、
X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができる
もの、またはペプチドのフラグメントまたは変形体を包含するペプチドを提供し、前記ペプチドのフラグメントまたは変形体は、ウイルス、たとえば、インフルエンザの処置における使用のために、ウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスが細胞に対して結合するのを抑制するように、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である。

Description

本発明の分野を記載する。本発明は、薬剤に関し、より一層具体的にはウイルスの表面でのヘマグルチニン(血球凝集素)-ノイラミニダーゼ構造を含む、ウイルスのコート表面上にヘマグルチニンを有するウイルスの処置のために有用なペプチドまたはペプチド疑似体(ミメティック)に関し、特には、インフルエンザの処置のために有用なペプチドまたはその疑似体に関する。さらに、本発明は前記薬剤、特には、ペプチドまたはペプチド疑似体を含む、組成物に関し、およびウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルス、たとえばインフルエンザによる感染に先立つ予防上の処置および/またはその後の処置として薬剤または組成物の使用に関する。
本発明の背景を記載する。いくつかのウイルスは、それらの表面上に(赤)血球凝集素を含むことが知られており、これはシアル酸含有細胞受容体にそのようなウイルスが付着するのを可能にし、それによって感染が起こると考えられている。
普通にフルー(流感)と呼ばれるインフルエンザは、RNAウイルスによって引き起こされる感染症である。ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)は、インフルエンザウイルス粒子の外側にある二つの大きな糖タンパク質である。HAは標的細胞上のシアル酸糖質へのウイルスの結合を媒介すると考えられる一方、NAは感染細胞からのウイルスの放出を媒介すると考えられている。
ウイルスの分類では、インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスA型、インフルエンザウイルスB型およびインフルエンザウイルスC型と称される。インフルエンザウイルスA型は、抗体応答に基づき、異なる血清型、たとえば、H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3およびH10N7に細分することができる。B型インフルエンザは、ほぼ独占的に、ヒトに感染する一方で、C型インフルエンザは、ヒト、イヌおよびブタに感染するが、インフルエンザA型またはB型よりもあまり一般的でない。
西洋では、季節性インフルエンザは、多数の死亡例に関与し、たとえば、アメリカではインフルエンザ感染を有して入院させられた最大200,000名から毎年30,000名近くが死亡する。パンデミックの場合には、これらの数字は著しく大きくなり、流行性のインフルエンザ株は、特に悪性だった場合、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルによれば、そのような流行が72兆ポンド前後の費用を英国に負担させるだろうと推定されている。
現時点では、いくつかの抗ウイルス薬が開発されており、それらは、インフルエンザを制御して、伝染をブロックするのに活用される。広義には、これらは、次の範疇に分けることができる。
1.ノイラミニダーゼインヒビター〔NAIの、オセルタミビル(TamifluTM)タミフル(商品名)およびザナミビル(RelenzaTM)リレンザなどのようなもの〕。これらは、感染細胞からのウイルスの出口をブロックする。
2.アダマンタン誘導体(例は、アマンタジン(SymmetrelTM)シンメトレルおよびリマンタジン(FlumadineTM))フルマジン。これらは、インフルエンザウイルスM2イオンチャネルタンパク質の機能をブロックする。
3.細胞内へのウイルスの侵入をブロックする薬剤。
4.細胞におけるインフルエンザ感染をブロックする薬剤、例は、RNAポリメラーゼのインヒビターおよびsiRNA。
本発明の概略を記載する。本発明は、ウイルスの表面にヘマグルチニンを含むウイルス、たとえば、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体(呼吸器多核体)ウイルス(RSV)、風疹ウイルス、狂犬病ウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、イヌジステンパーウイルス、アザラシジステンパーウイルス、牛疫ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルスあるいはメタニューモウイルスの処置における使用のために、式Aの薬剤に関するものである。
好適には、本発明は、呼吸器合胞体ウイルス、メタニューモウイルスおよびインフルエンザから選択された、特には、メタニューモウイルスおよびインフルエンザのウイルスでの処置における使用のために、式Aの薬剤に関連しうる。
本発明の薬剤は、フィトヘマグルチニンへの結合において有用でありうる。
特に、本発明は、インフルエンザの処置における使用のための式Aの薬剤に関する。
式Aの薬剤は、ウイルスの特定のヘマグルチニンに、詳細には、インフルエンザのヘマグルチニンに、より具体的には、インフルエンザA型のヘマグルチニンに、より具体的には、インフルエンザのタイプH1N1、H3N2、H5N1およびH7N1、より具体的には、インフルエンザA/WSN/33 H1N1、A/PR8/34 H1N1、A/England(イングランド)/195/09/PR8 H1N1、H3N2 A/Victoria(ビクトリア)/3/75/PR8、A/Udorn(ユードルン)/72 H3N2およびA/Vietnam(ベトナム)/1194/04/PR8 H5N1に特異的に結合することが可能でありうる。
本発明者は、式Aの薬剤のヘマグルチニンへの結合によって、ウイルスの、詳細には、インフルエンザウイルスの、細胞に感染するための能力を抑制し、薬剤が、ウイルスによる、詳細には、インフルエンザによる対象体の感染、およびウイルスによる感染のリスクを最小限に抑えるように、予防上の方法において作用可能になることを決定した。
したがって、本発明の第一の見地(態様)は、式Aの薬剤を提供することであり、それは、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)を有し、式中、
X1はフェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであることができ、
X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
X3はチロシンまたはバリンであることができ、
X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができる
ペプチド、またはペプチドのフラグメント(断片)または変形体(変異体)を包含し、前記薬剤またはペプチドのフラグメントまたは変形体は、ウイルスの処置における使用のために、ウイルスの表面にヘマグルチニン(血球凝集素)を有するウイルス、たとえば、インフルエンザが細胞に対して結合するのを抑制するように、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である。
したがって、本発明は、ウイルスの表面にヘマグルチニンを含むウイルスと関係する病状に、特には、インフルエンザの病状を処置するための方法を提供する。この方法は、対象(体)、たとえば、ヒトに、本発明の1またはそれよりも多く(1以上)の薬剤の治療上の量を投与し、それによって前記ウイルスの確立されたウイルス感染を処置するか、またはウイルス感染、特には、インフルエンザのものを予防的に処置することによって実践される。具体化(実施形態)において、薬剤は、ウイルス上のヘマグルチニン受容体を抑制またはブロック(遮断)する。
実施形態では、薬剤は、細胞へのインフルエンザの結合を抑制するためにインフルエンザ上のヘマグルチニンに結合することができる。このような実施形態では、薬剤は、インフルエンザの処置、特には、インフルエンザの予防的処置のために用いることができる。薬剤のヘマグルチニンへの結合を定めることを可能にする適切な機能試験は、ELISAに基づくアッセイであり、たとえば、ここに記載するインフルエンザのヘマグルチニン結合アッセイ(ELISA)またはウイルスの表面上にヘマグルチニンを有する異なるそれぞれのウイルスを使用するこのELISAの適切な修飾などである。
実施形態では、式Aの薬剤は、次の
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
または
FP1 WLVFFVIFYFFR 配列番号18
のCまたはN末端から少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つのアミノ酸を有するペプチドを含むことができ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
まださらなる実施形態では、式A薬剤は、FP2またはFP1の少なくとも4つ、5つ、または6つの連続したアミノ酸であることができ、ペプチドは、ヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。まださらなる実施形態では、式Aの薬剤は、FP2の、少なくとも4つ、5つ、または6つの連続したアミノ酸であることができ、ペプチドは、ヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
複数の実施形態では、式Aの薬剤は、FP2またはFP1、詳細にはFP2のC末端の1、2、3、4、5、6、7つのアミノ酸を含まないペプチドであることができ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
実施形態では、式Aの薬剤は、FP2またはFP1、詳細にはFP2のN末端の1、2、3、4、5、6、7つのアミノ酸を含まないペプチドであることができ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
実施形態では、FP2またはFP1の少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの連続するアミノ酸を有するペプチド断片の少なくとも1つ、2つ、または3つのアミノ酸は、別のアミノ酸で保存的に置換されてもよく、そこではペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。実施形態において、式Aの薬剤は、ペプチドWLVFFVIAYFAR(FP2)(配列番号11)の少なくとも4つの連続するアミノ酸を有することができ、またはペプチドFP2の変形体であることもでき、ペプチド変形体は、別のアミノ酸で保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸を含み、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。前記変形体はさらに、たとえば、ペプチドの安定性を高めるために、本明細書で述べるさらなるペプチド疑似体(ペプチドミメティック)の修飾を含むことができると理解される。
保存的置換によって、当業者によって理解されるように、1つのアミノ酸の置換で、生物学的および/または化学的に類似している別のアミノ酸による置換が意味される。
本明細書で論じる特定の配列FP1、FP2、FP3、FP4、FP7、FP8、およびFP9によって例示されるように、本発明の薬剤は、コイル(状)構造またはアルファヘリックス構造を形成することができる一般に脂肪族または疎水性であるペプチドのアミノ酸配列を有する少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6つのアミノ酸を含むペプチドであってもよい。理論に束縛されるものではないが、そのようなペプチドの三次元構造は、コイル構造、たとえば、α-ヘリックスの一方の側での少なくとも一つの疎水性領域またはパッチを提供しうる。あるいはまた、三次元構造は、αヘリックスのようなコイル構造の対向面上に、または疎水性領域が離間しているコイル構造の同一面上に少なくとも2つの疎水性領域を提供しうる。実施形態では、本発明の薬剤は、次の、
FFVIFY(配列番号2)
WLVFFV(配列番号5)、または
FFVIAYFAR(配列番号16)
FFVIAY(配列番号22)、
IAYFAR(配列番号23)
を包含するアミノ酸配列を有するペプチドであることができる。
特定の実施形態では、本発明の薬剤は、詳細には、配列番号2、5、16、22、または23がペプチドまたはその擬似体を含んでよく、そこでは1つ2つ、または3つのフェニルアラニンのアミノ酸残基がチロシンに置換される。さらに、本発明の薬剤は、N-末端アミノ酸がDアミノ酸として提供されるペプチドまたはその擬似体を含むことができる。
理論によって束縛されることを望まないが、本発明者には、有利な薬剤で、本発明のペプチドまたはペプチドの変異体は、コイル状構造、とりわけ、αヘリックス構造の採用を促進することがあると考えられる。そのようなコイル構造はペプチドがウイルスとの相互作用を可能にする点で有利であると考えられる。構造の予測は、適切なコンピュータープログラム、たとえば、GOLD-Protein-Ligand Docking(ゴールド-プロテイン-リガンドドッキング)〔University of Sheffield(シェフィールド大学)、GlaxoSmithKline plc and CCDC(グラクソスミスクライン社およびCCDC)およびExPASy ProtParamプログラム、PEP FOLDモーバイルプログラムを用いて履行することができる。実施形態において、提供されるペプチドがFFVIFY(配列番号2)であるとき、RRKK(配列番号3)は、コイル構造を採用することが考えられているRRKKFFVIFY(配列番号4)を提供するために、ペプチドのN末端端部に提供することができる。アミノ酸配列、たとえば、RRKKのようなものの付加は、水溶液中、たとえば、疎水性を減少させることにより、ペプチドの溶解性を有利に向上させて、インビトロおよびインビボで投与されるペプチドの高用量を許すことができる。理解されるように、他の親水性ペプチド配列、たとえば、アルギニン×9は、ペプチドの増加した溶解性を可能にすることができ、本発明のペプチドにコンジュゲートすることができる。
実施形態において、提供されるペプチドが、アミノ酸配列WLVFFV(配列番号5)またはFFVIFY(配列番号2)を有するとき、WLVFFVRRKK(配列番号6)およびFFVIFYRRKK(配列番号7)をそれぞれ提供するために、ペプチドのC末端端部にRRKK(配列番号3)を提供することが有利であることが見出された。これらのペプチドは、コイル構造をとると考えられ、そして加えて、配列番号5および配列番号2に対する低下した疎水性を有する。
実施形態では、本発明のペプチドは、少なくとも1つの配列番号8、9、2、および10から選択されるアミノ酸配列(テーブルaによって説明するようなもの)、またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合でき、ウイルスの細胞への結合が抑制される配列番号8、9、2および10によって提供されるアミノ酸配列の断片または変異体を含むことができる。実施形態では、本発明のペプチドは、インフルエンザのヘマグルチニンに特異的に結合することができ、そしてインフルエンザの細胞への結合を抑制する。細胞への本発明の薬剤の結合は、ELISAアッセイを用いて、インフルエンザ、または適切なウイルスを参照して、ここに定められたように決定することができる。あるいはまた、ウイルスによって引き起こされるプラークの数を減らし、または減らされたウイルスの臨床徴候を観察するために、機能性試験を用いて、ヘマグルチニンへの結合を評価することができる。
ここでは、標準的な1文字コードシンボルを利用し、たとえば、Wはトリプトファンであり、Lはロイシンであり、Vはバリンであり、Fはフェニルアラニンであり、Yはチロシンであり、Rはアルギニンであり、Iはイソロイシンであり、およびAはアラニンである。
配列番号8のアラニン変異体が示される(配列番号10)。フェニルアラニンのアラニンでの置換は、ペプチドがH3およびH5ウイルスならびにH1ウイルスの効果的なインヒビター(抑制物質)であることに起因して決定される。これらの位置での小さな脂肪族アミノ酸の他の置換も有効であろうと予想することができる。特定の実施形態において、本発明のペプチドは、次の少なくとも1つのものから選択されるアミノ酸配列を含むことができる。
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13
FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6
FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15
FP12 FFVIAYFAR 配列番号16
FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、そしてウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、そしてインフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13、6、7、14、15、16または17によって提供されるようなアミノ酸配列の断片または変異体である。
実施形態では、ペプチドは次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11〜14によって提供されるようなアミノ酸配列の断片またはその変異体から選択されるアミノ酸配列を含むことができる。
実施形態では、本発明のペプチドは、次の、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11〜13によって提供されるようなアミノ酸配列の断片またはその変異体から選択されるアミノ酸配列を含むことができる。
実施形態では、本発明のペプチドは、次の、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号12または13によって提供されるようなアミノ酸配列の断片または変異体から選択されるアミノ酸配列を含むことができる。
実施形態では、本発明のペプチドは、アミノ酸配列WLVFFVIAYFAR(配列番号11)またはヘマグルチニンに特異的に結合することが可能な配列番号11の断片または変異体を含むことができる。実施形態では、本発明のペプチドは、無関係に、インフルエンザの処置における使用のために、配列番号1〜18、22または23、詳細には、2〜17、22または23のいずれかを含むことができる。
実施形態において、配列番号11はRRKKまたはKKKKまたはNもしくはC末端での別の親水性ペプチドを含むように修飾することができる。特定の実施形態で、配列番号11は、配列FFVIAYFAR(配列番号16)を有するトランケーテッド(切断)ペプチドとして提供することができる。代わりの実施形態では、配列番号11は、2、3、4、5、6、7、または8のアミノ酸が保存的に置換されている九量体(ninemer)として提供することができる。
実施形態では、本発明の薬剤は、長さが6〜20個の間のアミノ酸、好適には、長さが6〜15個のアミノ酸、より一層好適には、長さが6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個のアミノ酸であることができる。
本発明の実施形態において、本発明のペプチドは、次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6、
FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、
FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15、
FP12 FFVIAYFAR 配列番号16
FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13、6、7、14、15、16、または17によって提供されるようなアミノ酸配列の断片または変異体から選択されるアミノ酸配列からなることができる。
さらなる実施形態において、本発明のペプチドは、次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13、または14によって提供されるようなアミノ酸配列の断片または変異体の少なくとも1から選択されるアミノ酸配列からなることができる。
さらなる実施形態において、本発明のペプチドは、次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
またはウイルスのヘマグルチニンに特異的に結合し、ウイルスの細胞への結合を抑制すること、特には、インフルエンザのヘマグルチニンに結合し、インフルエンザの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13によって提供されるようなアミノ酸配列の断片または変異体から選択されるアミノ酸配列からなることができる。
実施形態では、本発明のペプチドは、アミノ酸配列WLVFFVIAYFAR(配列番号11)からなることができる。
式Aの薬剤の組み合わせが、同時にまたは順次に対象に提供することができることを理解すべきである。
本発明の第二の態様において、第一の態様に従って記載したように、対象におけるウイルス感染、特には、対象におけるインフルエンザ感染の防止または予防的処置での使用のために、薬剤、特には、式Aのペプチドが提供される。
好適には、式Aの薬剤は、第一の態様に従い説明するように、対象におけるウイルス感染の防止または予防的処置に用いることができ、そこではウイルスは、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、風疹ウイルス、狂犬病ウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、イヌジステンパーウイルス、アザラシジステンパーウイルス、牛疫ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、メタニューモウイルス、またはセンダイウイルスから選択される。
特に、本発明は、インフルエンザの予防的治療で使用するための式Aの薬剤に関する。
特定の実施形態では、式Aの薬剤は、本発明の第一の態様に従って説明されるように、A型のインフルエンザ、より具体的には、インフルエンザ型H1N1、H3N2、H5N1およびH7N1、より一層具体的には、A/WSN/33 H1N1、A/PR8/34 H1N1、 A/イングランド(England)/195/09/PR8 H1N1、A/ビクトリア(Victoria)/3/75/PR8 H3N2、A/ユードルン(Udorn)/72 H3N2およびA/ベトナム(Vietnam)/1194/04/PR8 H5N1型のインフルエンザの防止または予防上の処置に用いることができる。
特定の実施形態では、式Aの薬剤は、配列番号1から17のいずれか1つから、特には、配列番号11、12、13、または14、より一層特には、配列番号11、12、または13、最も具体的には、配列番号11または13から選択することができる。
理解されるように、対象は、インフルエンザなどのようなウイルスに決して曝露されなかったかもしれず、またはインフルエンザなどの異なるタイプのような、異なる株またはタイプのウイルスに曝露されたかもしれない。対象が以前にあるインフルエンザウイルス株によって感染しているかもしれないが、対象を異なる株にさらすべきであり、対象の免疫システムは、異なる株に対する新たな免疫応答をマウントされる。薬剤、たとえば、式Aの、ペプチドは、ヘマグルチニンがウイルスの表面に発現されるウイルス、たとえば、インフルエンザに対象を曝露するのに先立ち、最初に、またはウイルス、たとえば、異なる株の、インフルエンザに、対象の感染のリスクを最小限に抑えるために、対象に提供することができる。
本発明の若干のペプチドは、キナーゼに結合すること、およびそのようなキナーゼ、たとえば、インフルエンザに感染した対象における炎症反応の媒介に関与するキナーゼの自己リン酸化およびシグナル伝達を防止するのに作用することが可能であるけれども、本発明者は、意外にも、多数の薬剤、特に、ペプチドで、本発明のものが、ヘマグルチニンに結合することができ、細胞(call)内へのウイルスの侵入を抑制、たとえば、細胞内へのインフルエンザの侵入を抑制するが、キナーゼ自己リン酸化を調節することが可能でないことを決定した。実施形態では、そのような薬剤/ペプチドは、ウイルスの表面にヘマグルチニンを発現しているウイルス、たとえば、インフルエンザに感染する危険性を有する対象に、感染、たとえば、インフルエンザ感染の危険性を最小限にするために、予防的な処置として提供することができる。実施形態では、対象での炎症反応の調節が可能なペプチドの使用を排除することができる。実施形態では、キナーゼ自己リン酸化の調節が可能なペプチドの使用を排除される。特定の実施形態では、WLVFFVIFYFFR(配列番号18)の使用を排除することができる。
特定の実施形態では、位置X2またはX5のアミノ酸がアラニンに置換された本発明のアミノ酸配列を含むペプチド、特には、アミノ酸配列WLVFFVIAYFAR(配列番号11)を有するペプチドは、ペプチドの免疫調節活性をブロックするために決定されたけれども、インフルエンザに対するペプチドの抗ウイルス活性に影響を与えない。理論に束縛されることを望まないが、アラニンアミノ酸として、X2および/またはX5を提供することは、H3N2ウイルスだけでなく、H1N1およびH5N1に関連して提供されるウイルス感染の抑制を増加させることが考えられる。
本発明は、本明細書に開示される本発明のペプチドの、インフルエンザの処置またはインフルエンザによる感染の防止のための薬の製造における使用を提供する。さらに、ここには、インフルエンザの処置または対象でのインフルエンザによる感染を予防するための方法が提供され、それには、薬剤、たとえば、本明細書に開示されるような本発明のペプチドの有効量を前記対象に投与することが含まれる。
本発明の薬剤、たとえば、ペプチド、または物質またはそのような薬剤を含む組成物は、単独で、または他の処置と組み合わせて、同時または連続して、処置すべき条件に依存して投与することができる。そのような組合せは、たとえば、処置すべき条件、成分の反応活性および組合せの薬学的特性に基づいて選択することができる。たとえば、本発明の薬剤は、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ノイラミニダーゼインヒビター、粘液溶解薬、去痰薬、呼吸器作用薬(bronchialdilators)、抗生物質または鎮痛薬などのような他の抗ウイルス剤と併用することができる。
本発明のさらなる態様によれば、本発明の薬剤の治療上の量を、それを必要とする対象に投与するステップ(工程)を含む、治療方法が提供される。適切には、対象は、ウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスに感染する危険性があるか、またはそれに感染する、たとえば、インフルエンザに感染する危険性があるか、それに感染するものである。
本発明での医療上の処置の方法に使用される本発明のどのような薬剤またはペプチドも、好適には投与は、「予防上有効な量」または「治療上有効な量」において(場合に応じて)のものであり、このことは個体に対して利益を示すのに十分なものである。実際の投与される量、および投与の速度および時間経過は、治療されるものの性質および重症度に依存するものである。処置での処方、例は、投薬量等の決定は、一般医および他の医師の責任の範囲内である。
実施形態では、薬剤、たとえば、ペプチドで、本発明のものは、哺乳動物に提供することができる。特定の実施形態では、薬剤、たとえば、ペプチドは、ヒト(群)、ブタ(群)、ウマ(群)、ネコ(群)、トリ、たとえば、家禽の少なくとも1種に提供することができる。特定の実施形態では、本発明の薬剤は、たとえば、ペプチドで、本発明のものは、ヒトに提供することができる。
標的療法は、抗体または細胞特異的リガンドのようなターゲティングシステム(標的系)を使用することにより、細胞の一定のタイプに対してより一層特異的に本発明の薬剤を配送(デリバリー)するために使用されうる。ターゲティングは、さまざまな理由から、たとえば、薬剤が受け入れがたいほど毒性である場合、またはそうでなければあまりにも高い投薬量を必要とする場合、またはそうでなければ標的細胞に入ることができない場合には、望ましいことがある。
薬剤、たとえば、ペプチドで、本発明のものが、抗ウイルス活性を付与するように作用するかどうかを定める際、本発明者は、新しいアミノ酸配列を有する本発明のペプチドを決定した。これらのペプチドはそれ自体、本発明のさらなる態様を形成すると考えられる。
本発明の第3の態様に従い、本明細書に開示するような式Aの薬剤が提供される。複数の実施形態では、対象での炎症反応の調節が可能なペプチドの使用を排除することができる。実施形態では、キナーゼ自己リン酸化の調節が可能なペプチドの使用が排除される。特定の実施形態では、WLVFFVIFYFFR(配列番号18)の使用を排除することができる。
複数の実施形態において、式Aの薬剤が提供され、それは、配列番号1〜17、21、22、または23のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを含むか、またはそれかなる。実施形態では、式Aの薬剤が提供され、それは、WLVFFVIAYFAR(FP2)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列をもつペプチドまたはペプチドの変異体を含むか、またそれからなり、ペプチド変異体は、別のアミノ酸で保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸を含み、ペプチドは特異的にヘマグルチニンに結合することができることを特徴とする。実施形態では、式Aの薬剤が提供され、それは、配列番号1〜17のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチドを含むか、またはそれからなる。実施形態では、式Aの薬剤が提供され、それは、アミノ酸配列の配列番号22または23または11を有するペプチドを含むか、またはそれからなる。実施形態では、次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、
FFVIFY 配列番号2、
FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15、
FP12 FFVIAYFAR 配列番号16、
FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドまたはペプチドの変異体または断片が提供され、前記断片は、ヘマグルチニン、特に、インフルエンザによって提供されるヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である。実施形態では、ペプチドは、ウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスの細胞内への進入が最小化されるように、ヘマグルチニンに結合することができる。
実施形態では、式Aの薬剤は、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
のCまたはN末端からの少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6のアミノ酸を有するペプチドを含むことができ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
代わりの実施形態では、式Aの薬剤は、FP2のC末端1、2、3、4、5、6、7のアミノ酸を含んでいないペプチドであってもよく、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
まださらに別の実施形態では、式Aの薬剤は、FP2のN末端1、2、3、4、5、6、7のアミノ酸を含んでいないペプチドであることができ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
またさらなる実施形態では、式Aの薬剤は、FP2の少なくとも4、5、または6の連続したアミノ酸であることができる。
実施形態では、FP2の少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6個の連続するアミノ酸を有するペプチド断片の少なくとも1つ、2つ、または3つのアミノ酸は、別のアミノ酸に保存的に置換されてよく、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする。
実施形態では、本発明の薬剤は、次の、
FFVIFY(配列番号2)
WLVFFV(配列番号5)、または
FFVIAYFAR(配列番号16)
FFVIAY(配列番号22)、
IAYFAR(配列番号23)
を包含するアミノ酸配列を有するペプチドであることができる。
特定の実施形態では、本発明の薬剤、特には、配列番号2、5、16、22、または23は、ペプチドまたはその擬似体を含むことができ、そこでは、1またはそれよりも多くのフェニルアラニンのアミノ酸残基がチロシンに置換されている。さらに、本発明の薬剤は、N-末端アミノ酸がDアミノ酸として設けられるペプチドまたはその擬似体を含んでもよい。
実施形態では、ペプチドは、次の、
FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、または
FFVIFY 配列番号2
から選択されるアミノ酸配列からなることができる。
実施形態では、ペプチドは、次の、
FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15、
FP12 FFVIAYFAR 配列番号16または
FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
から選択されるアミノ酸配列からなることができる。
本発明はまた、薬学的に許容か可能な賦形剤と一緒に式Aの薬剤を含む製薬上調剤物を提供する。本発明のペプチドは、精製され、合成形または組換え形態で提供することができる。
そのような薬剤、たとえば、ペプチドを、直接に投与する代わりに、それは細胞中に導入されたエンコーディング核酸から、例は、ウイルスベクターからの発現によって標的細胞において生産されうる。ベクターは、処置される特定の細胞(群)を標的にすることができ、またはそれは標的細胞(群)によって多かれ少なかれ選択的に切り替えられる調節要素を含みうる。
本発明の第4の態様に従い本発明の第三の態様の特定のアミノ酸配列において、本明細書中に記載のようにペプチドをエンコードすることができる核酸配列が提供される。
本発明の第5の態様に従い本発明の第4の態様の核酸を含む発現構築物が提供され、特には、本発明の第4の態様の核酸は、本明細書に開示するペプチド、特には、本発明の第3の態様のペプチドおよび核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター領域のアミノ酸配列をエンコードすることができる。作動可能に連結することによって、コンポーネントが、それらの意図された方法で機能することを可能にする関係にあるように説明されるコンポーネントの並置を意味する。プロモーター領域は、発現構築物が発現される意図された宿主細胞において機能的な調節要素を含めることができる。発現構築物は、当技術分野で既知のような技術を使用し、選択された宿主細胞での使用のために当該技術分野で知られるようなプロモーターおよび調節要素を利用して提供することができる。
好適な実施形態では、発現を制御する調節要素は、ウイルス感染に誘導することができる。
ウイルスベクター等のようなベクターは、異なる標的細胞の多種多様な核酸を導入するために先行技術で使用されてきた。典型的に、ベクターが標的細胞にさらされ、その結果、トランスフェクション(形質移入)が、所望のペプチドの発現からの有用な治療または予防効果を提供するために、細胞の十分な割合で起こりうる。トランスフェクトされた核酸は、不変的に、標的細胞のそれぞれのゲノムに組み込まれていてもよく、長期の効果が提供され、またあるいは、処置は周期的に繰り返さなければならない。活性な薬剤をコードする核酸は、このようにして、遺伝子治療の方法で、例として、個体の処置において、例は、ウイルス感染、たとえば、インフルエンザを防止し、または(完全または部分的に)治癒させることを目的として使用することができる。これは、たとえば、チキンまたは他の家禽、またはブタなどのような家畜化動物(家畜)(domesticated animal)などへの本発明の薬剤を提供するために特に有用でありうる。家禽または家畜は、したがって、ウイルス感染、たとえば、インフルエンザ感染の影響をあまり受けなくなる。これは、パンデミックウイルスの発生につながることがある、たとえば、トリインフルエンザウイルスの保有宿主を低減するのに有利でありうる。本発明のペプチドを発現することができるトランスジェニック(形質転換)動物は、本発明の別の側面を提供する。
多種多様なベクター、双方のウイルスベクターおよびプラスミドベクターは、当技術分野で知られ、米国特許第5,252,479号明細書および国際公開第93/07282号を参照。遺伝子治療でウイルスベクターを使用する代わりに、細胞に核酸を導入する他の既知の方法には、マイクロインジェクション法などの機械的な技法、リポソームによって媒介される移植、および受容体媒介DNA移植が含まれ、それらを利用することができる。
本発明の薬剤のさらなる使用は、本質的に薬剤を発現する固有ミクロフローラ(常在性細菌叢)の構成要素のエンジニアリングを通じてウイルス感染の防止および制御にある。そのような使用のための一例の方法論としてはたらく方法は、HIV-1エントリーおよび融合ペプチド阻害剤を発現するヒトの膣内細菌叢からのLactobacillus(乳酸桿菌)のエンジニアリングでありうる〔Pusch(プッシュ)O、Kalyanaraman(カリャナラマン)R、Tucker(タッカー)LD、Wells(ウェルズ)JM、Ramratnam (ラムラトナム)B、Boden(ブーデン)D、2006年、An anti-HIV microbicide engineered in commensal bacteria: secretion of HIV-1 fusion inhibitors by lactobacilli(共生細菌において組み換えられた抗HIV殺菌剤:乳酸菌によるHIV-1融合インヒビターの分泌)、AIDS(エイズ)、20:1917-22;およびLiu(リュー)JJ、Reid(リード)G、Jiang(チアン)Y、Turner(ターナー)MS、Tsai(ツァイ)CC、2007年、Activity of HIV entry and fusion inhibitors expressed by the human vaginal colonizing probiotic Lactobacillus reuteri RC-14(ヒト膣内コロナイズプロバイオティクスのラクトバシラス・ロイテリRC-14によって発現されるHIV侵入および融合インヒビター)、Cell. Microbiol.(セルラー・ミクロバイオロジー)、9:120-30〕、デコイ(おとり)受容体〔Chang(チャン)TL、Chang CH、Simpson(シンプソン)DA、Xu(スー)Q、Martin(マーティン)PK、Lagenaur(ラジェナウア)LA、 Schoolnik(スクールニク)GK、Ho(ホー)DD、Hillier(ヒリアー)SL、Holodniy(フルドニイ)M、Lewicki(レビツキ)JA、Lee(リー)PP、2003年、Inhibition of HIV infectivity by a natural human isolate of Lactobacillus jensenii engineered to express functional two-domain CD4(機能的な2つのドメインのCD4を発現するように操作されたラクトバシラス・ジェンセニーの天然ヒト分離体によるHIV感染力の抑制)、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ)、100:11672-7〕またはウイルス複製に拮抗するケモカイン〔Vangelista(ヴァンジェリスタ)L、Secchi(セッキ)M、Liu X、Bachi(バッチ)A、Jia(チャ)L、Xu Q、Lusso(ルッソ)P、2010年、Engineering of Lactobacillus jensenii to secrete RANTES and a CCR5 antagonist analogue as liveHIV-1 blockers(ライブHIV-1ブロッカーとしてRANTESおよびCCR5アンタゴニストアナログを分泌するためのラクトバシラス・ジェンセニーのエンジニアリング)、Antimicrob. Agents Chemother.(アンチミクロバイアル・エージェンツ・アンド・ケモセラピー)、54:2994-3001〕。
このようにして、本発明のさらなる態様は、本発明の薬剤を構成的に、または誘導可能に発現するように遺伝子操作された常在微生物叢の細菌または細胞を含む。実施形態では、細菌は乳酸桿菌であることができる。好適には、薬剤は、本書に記載された薬剤で、特には、配列番号1〜17のいずれかのものから選択された薬剤であってよい。さらには、本発明の薬剤を提供するために、そのような細菌を修飾する方法が提供される。そのような微生物叢の細菌は、プロバイオティクス培養物として対象体に提供することができる。
そのような薬剤を発現する細菌はバイオシールドと考えることができる。このような「バイオシールド」は、おびただしい数の感染症の制御に有効であることもあるが、HIV-1の定宿主性(ホスト特異的性質)はこれまでに保護効率の分析を妨げてきた。本発明のペプチドの鳥類の腸内乳酸菌における発現は、アプローチの可能性の貴重な証明としてはたらき、広大な市場へのアクセスを容易にするであろう。最近の研究は、ニワトリの腸内で効果的に持続する乳酸菌〔Stephenson(スティーブンソン)DP、Moore(ムーア)RJ、Allison(アリソン)GE、2010年、Lactobacillus strain ecology and persistence within broiler chickens fed different diets: identification of persistent strains(異なる飼料を与えられるブロイラー内の乳酸菌株の生態および持続性:持続性菌株の識別)、Appl. Environ. Microbiol.(アプライド・アンド・エンバイロンメンタル・ミクロバイオロジー)、76:6494-503〕、および家禽において異種抗原の発現に適する乳酸菌を確認した〔Stephenson DP、Moore RJ、Allison GE、2011年、Transformation of, and heterologous protein expression in, Lactobacillus agilis and Lactobacillus vaginalis isolates from the chicken gastrointestinal tract(ニワトリ消化管から分離したラクトバシラス・アジリスおよびラクトバシラス・バジナリスにおける異種タンパク質抗原の、形質転換、および発現)、Appl. Environ. Microbiol.、77:220-8;およびMota(モタ)RM、Moreira(モレイラ)JL、Souza(ソウザ)MR、Horta(オルタ)MF、Teixeira(テイシェイラ)SM、Neumann(ノイマン)E、Nicoli(ニコリ)JR、Nunes(ヌネス)AC、2006年。Genetic transformation of novel isolates of chicken Lactobacillus bearing probiotic features for expression of heterologous proteins: a tool to develop live oral vaccines.(異種タンパク質の発現のためのプロバイオティクスの特色を担うニワトリの乳酸菌の新しい分離株の遺伝的形質転換:経口生ワクチンを開発するためのツール)、BMC Biotechnol.(BMCバイオテクノロジー)、6:2〕。
このような実施形態での、本発明者の決定を利用して提案される方法論(methology)の例は次のようなものである。
1.少なくとも1の薬剤、特には分泌され、および表面にアンカー固定された形態での本発明のペプチドを発現させるために、鳥類適応性乳酸菌を操作する(エンジニアリング)。
2.薬剤、たとえば、ペプチドであり、乳酸菌によって生産された本発明のものの能力を、ウイルスの侵入、たとえば、インフルエンザウイルス侵入を、およびインビトロ(生体外)での増殖を妨害することについて評価する。
3.家禽におけるウイルス複製の部位で持続し、インビボ(生体内)での本発明のペプチドを生産するために乳酸菌の能力を評価する。
4.ペプチドを発現する乳酸菌が、実験的なウイルス感染、たとえば、トリインフルエンザウイルス感染に対してニワトリを保護するかどうかを評価する。
5.ペプチドおよびベクターシステムの特性を、保護の大きさ(マグニチュード)および持続期間を増加させるために最適化する。
プロバイオティクス細菌は、近年、広くパブリックアクセプタンスを得ており、普通に家禽生産でAvigaurd(R)〔アビガード(商標)〕およびBroilact(ブロイルアクト)(R)などのような調剤物において使用されている。それらは、飲用水において投与されてよく、培養するのに安価であり、動物または人間の健康に無視できるほどの脅威しかもたらさない。有益な分子、本発明の薬剤のようなものを発現するように遺伝子操作された常在フローラの変形体は、デリバリーシステムとして病原体または遺伝子組換えの弱毒化誘導体があまり問題とならないことを証明することができる。一旦開発すれば、そのようなベクターシステムは、おびただしい量の病原体宿主の組合せおよびプロセスを標的にするために適合させることができた。
本発明のペプチドは、化学合成および遺伝子工学を含む当技術分野で既知の標準的技術を用いて難なく調製することができる。本発明のペプチドは、本明細書に例示される特定のペプチドだけでなく、その変異体ペプチドを含むことができ、それは、たとえば、示されたペプチドよりも長くても短くてもよい。たとえば、当技術で熟練の者(当業者)は難なく、ペプチドの一方または双方の端部に付加された1から約15個以上までのアミノ酸を有するペプチドを作成することができたものであり、より好適には、1、2、3、4、5、6、7、8、または9のアミノ酸は、本発明のペプチドの一方または双方の端部に付加される。ペプチドで、本発明の範囲内であると考えられるコアペプチドの一方または双方の端部に付加されたアミノ酸を有するものの例としては、以下のものである。
FP11 FFVIAY(RRKK)(配列番号15)
FP12 FFVIAYFAR +/- RRKK(配列番号16)
FP13 FFVIFYFFR +/- RRKK(配列番号17)
FP14 IFYFFR(RRKK)- C末端にRRKKを伴うFP7(配列番号19)
同様に、当業者は約1、2、3、4または5つのアミノ酸が本発明のペプチドの一方または双方の端部から除去されたペプチドを容易に調製することができる。本発明には、制限されないが、変異体ペプチドが含まれるが、そのようなペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20の示したペプチドよりも長さが長いか、または短いアミノ酸を有することができ、そこでは、変異ペプチド(伸長されたか、または先端などを切ったもの)がまだ細胞へのウイルス侵入、たとえば、インフルエンザウイルスの細胞への結合をブロックすることでの活性を保持するかまたは増強された活性を示す。特には、そのようなペプチドは、ヘマグルチニンと特異的に結合し、細胞内へのウイルスの侵入を抑制するはずである。典型的には、そのようなペプチドは、長さで少なくとも5または6つのアミノ酸であってもよい。理論に束縛されることを望まないが、本発明者は、本明細書で論じるコアペプチドに対する親水性配列の添加が、ペプチドの二次構造を変化させることができ、そのようにしてペプチドがコイル構造として提供されると考えている。
細胞内へのウイルス侵入を抑制することによって、ウイルス侵入において、本発明のペプチドまたは薬剤の存在下で、少なくとも20%の減少があることを意味し、そこでは、ペプチドまたは薬剤が存在しないコントロール(対照)と比較され、より好適には、対照細胞と比較するとき、ウイルス感染において、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の減少である。適切には、テストコントロール細胞はMadin-Darby(メイディン・ダービー)イヌ腎臓細胞または肺上皮細胞でありうる。ウイルス侵入に対するペプチドまたは薬剤の影響は、本発明の試験ペプチドまたは薬剤の非存在下での、およびペプチドまたは薬剤の増加した量の存在下でのプラーク形成単位の既知の数でテスト細胞を感染させること、および存在する薬剤の量に対する感染の減少の程度を決定することにより、実験的に試験することができる。実施形態では、少なくとも50%の感染の減少をもたらしたペプチドまたは薬剤はさらに特徴付けられる。
変異体ペプチドは、本明細書に特に提供されるペプチドのアミノ酸配列で具体的に提供されるアミノ酸の保存的置換を有するペプチドを含むことができる。当業者によって理解されるように、アミノ酸は、一般的には、以下のクラス、非極性、無荷電極性、塩基性および酸性のものに分類することができる。たとえば、非極性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれ、無(非)荷電極性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。塩基性アミノ酸には、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが含まれ、および酸性アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。1つのクラスのアミノ酸が同じクラスの別のアミノ酸で置換されることによる保存的置換は、前記薬剤がウイルスの細胞への、たとえば、インフルエンザの細胞への結合を抑制することができ、そして薬剤がヘマグルチニンに結合することができる限り、本発明の範囲内にあると考えられる。特定の実施形態では、1、2、3、4、または5つのアミノ酸を置換することができる。
変異体は、本発明のペプチドの多量体を含むことができ、特には、配列番号1から17 、22または23、たとえば、配列番号1から17まで、22または23の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5を互いにコンジョイン(結合)することができる。そのような多量体は、単量体単位(たとえば、配列番号1〜17のいずれか1つ)、およびそのような単量体単位間の開裂可能な部位(すなわち、酵素的に切断可能な部位)を含む多量体ペプチドを調製すること、および次いで所望の単量体を産生するために多量体を切断するによって、単量体ペプチドを調製するために用いることができる。多量体の使用は、有利には、ヘマグルチニンに対するペプチドの結合親和性を増加させることができる。多量体(マルチマー)はホモマーまたはヘテロマーであることができる。たとえば、ホモマーは、同一のアミノ酸配列を有する本発明のペプチドのみを含めることができる一方、ヘテロマーは、本発明の1つ以上の異種ペプチドを含むことができる。
多量体は、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の対合の結果であってよく、および/または、たとえば、リポソーム形成によって間接的に連結することができる。一実施形態では、共有結合性会合は化学的または組換え操作の結果であることができる。あるいはまた、そのような共有結合性会合は、本発明の異種ペプチド配列に含まれる1つ以上のアミノ酸残基を含むことができる。別の実施形態において、本明細書に記載される2つ以上のポリペプチドは、ペプチドリンカーを介して接合される。ペプチドリンカーによって分けられた複数のペプチドを含むタンパク質は、慣習的な組換えDNA技術を用いて生産することができる。
多量体はまた、本発明のペプチドをロイシンジッパーまたはイソロイシンジッパーポリペプチド配列に融合することによって調製することができる。既知のロイシンジッパーの中でも、自然に発生するペプチドおよびその誘導体は二量体化または三量体化する(trimerize)。溶液中で二量体化または三量体化するポリペプチド配列に融合した本明細書中に記載のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞中で発現させることができ、そして得られた可溶性多量体の融合タンパク質は、この技術で既知の技術を用いて培養上清から回収することができる。
多量体はまた、この技術で知られる化学的技法を用いて生成してもよい。たとえば、本明細書に記載された多量体に含まれることが望ましいペプチドは、リンカー分子およびこの技術で既知のリンカー分子の長さの最適化技術を用いて化学的に架橋することができる。さらに、多量体は、多量体に含まれることが望まれるペプチドの配列内に位置するシステイン残基間の1以上の分子間架橋を形成するために、この技術で既知の技術を用いて生成することができる。
実施形態において、変異体はまた、非ペプチド性化合物(群)および/または本発明のアミノ酸配列の機能を模倣し、および/または本発明の薬剤/ペプチドの立体構造または活性を模倣する非天然アミノ酸を含むことができる。そのような擬似体、インビボでの製薬上の用途のために好ましいことが多い非ペプチドの「小分子」を含めることができる擬似の、またはペプチド擬似の変異体は、本発明のアミノ酸配列の機能および結合特性を保持する。当業者は、提供されるアミノ酸配列に基づいてそのような擬似体またはペプチド擬似体を調製するための方法に気づくであろう。
実施形態において、変異体は、非天然のアミノ酸が本発明の薬剤のアミノ酸のために置換されることがあるペプチドを含むことができ、それは置換されたアミノ酸を有する薬剤が、細胞へのウイルスの、たとえば、細胞へのインフルエンザの結合を抑制する能力、およびヘマグルチニンに特異的に結合する能力を保持している限りである。非天然アミノ酸の例には、制限されないが、オルニチン、シトルリン、ヒドロキシプロリン、ホモセリン、フェニルグリシン、タウリン、ヨードチロシン、2,4-ジアミノ酪酸、[アルファ]-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、[ガンマ]-アミノ酪酸、[イプシロン]-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、ノルロイシン、ノルバリン、サルコシン、ホモシトルリン、システイン酸、[タウ]-ブチルグリシン、[タウ]-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、[ベータ]-アラニン、フルオロ-アミノ酸、[ベータ]-メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸、C-メチルアミノ酸、N-メチルアミノ酸、およびアミノ酸アナログが一般的には含まれる。非天然アミノ酸にはまた、誘導体化された側鎖基を有するアミノ酸が含まれる。変異体はまた、ペプチドの薬学的に許容可能な塩を含むことができる。
実施形態では、本発明の薬剤は、1以上のアミノ酸がDアミノ酸の形態で提供されうる本発明のアミノ酸配列を有していてもよい。特定の実施形態では、ペプチドの最初のアミノ酸は、有利には、ペプチドを安定にさせるためにDアミノ酸として提供されうる。あるいはまた、アミノ酸(amino aids)またはアミノ酸類似体が、天然のペプチド結合を介して接続されていないペプチドに似た分子を提供することができ、たとえば、そのような結合には、エステル、チオエステル、チオアミド、レトロアミド(retroamide)、還元カルボニル、ジメチレンおよびケトメチレンの結合などが、この技術において知られるように含まれる。本発明のペプチドのペプチド擬似体はまた、リン酸化、スルホン化、ビオチン化、または他の構成部分の付加または削除によって化学的に修飾されたアミノ酸を有することができる。アミノ酸類似体およびペプチド擬似体は、しばしば、より経済的な生産、より高い化学的安定性、強化された薬理学的特性(半減期、効力、効能など)または生物学的障壁、たとえば、消化管(腸)を横断するためのより大きな能力などのような強化された、または望ましい特性を有する。
本発明の薬剤の変異体または本発明において使用するための変異体には、さらに、本発明のペプチドのリバース(逆)類似体もしくはレトロ類似体またはそれらの合成誘導体が含まれる。リバースペプチドはペプチドのアミノ酸配列を反転させることによって生産される。そのようなリバースペプチドは、内部プロテアーゼ感受性部位の周囲のコンフォメーションおよびN末端とC末端の特徴を除いて、親ペプチドと同じ一般的な三次元構造を保持すると考えられる。逆ペプチドは、非反転の「通常」のペプチドの生物学的活性を保持するだけでなく、増加した生物活性を含め、高められた特性を所有することができる意味である。
したがって、薬剤の模倣剤または擬似体は(特にペプチドであれば)、製薬上の使用のために設計されてもよい。既知の薬学的に活性な化合物、たとえば、本発明の薬剤に対する模倣剤の設計は、「リード」化合物に基づく医薬品の開発への既知のアプローチである。模倣の設計、合成およびテストは、ターゲット特性に対して多数の分子が無作為にスクリーニングされるのを回避するために使用することができる。本発明の薬剤のような所定のターゲット特性を有する化合物からの模倣剤の設計において普通に採用されるいくつかのステップがある。まず、最初に、ターゲット特性を決定する上で絶対的でかつ/または重要である化合物の特定の部分が決定される。ペプチドの場合、これは、体系的にペプチド中のアミノ酸残基を変化させることによって、例は、順番に各残基を置換することによって行うことができる。化合物の活性領域を構成するこれらの部分または残基は、その「ファーマコフォア(薬理作用団)」として知られている。一旦ファーマコフォアが見出されたら、その構造は、その物理的性質、例として、供給源、例は、分光法、X線回折データおよびNMRの範囲からのデータを用いて、立体化学、結合、サイズおよび/または電荷に従ってモデル化される。コンピューター解析、類似性マッピング(原子間の結合よりはむしろ、ファーマコフォアの電荷および/または容量をモデル化する)および他の技術は、このモデル化プロセスで使用することができる。このアプローチの変形では、ペプチドおよびその結合パートナー(ヘマグルチニン)の三次元構造がモデル化される。このことは、リガンドおよび/または結合パートナーが結合に対する立体配座を変化させ、モデルがこの模倣剤の設計を考慮することができるようされるのに特に便利でありうる。鋳型分子は、その後選択され、その上でファーマコフォアを模倣する化学基がグラフトされうる。鋳型分子およびそれにグラフトされた化学基を都合よく選択することができ、その結果、模倣剤は合成が容易になり、薬理学的に許容可能になる可能性が高く、生体内で分解されず、その一方で、リード化合物の生物学的活性を保持する。このアプローチによって見出された模倣剤または模倣剤群は、それらがターゲット特性(ヘマグルチニンへの結合/細胞内へのウイルス侵入を抑制する能力)を有するかどうか、またはそれらがこのターゲット特性をどの程度示すかをスクリーニングすることができる。次いで、さらなる最適化または修飾は、インビボまたは臨床試験のために1以上の最終的な模倣剤に到達するように実行することができる。本明細書に開示されるようなスクリーニング方法を用いてウイルス活性を調節する能力を有するものとして識別された薬剤の模倣剤は、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の薬剤またはペプチドは、ポリマー部分などのような様々な部分に、ペプチド薬物の物理化学的特性を修飾するために、たとえば、酸および酵素分解に対する抵抗性を増加させ、および粘膜を超えたそのような薬物の浸透を高めるために、コンジュゲート(結合)させることができる。あるいは、または加えて、ペプチドは、プロドラッグとして提供することができる。ペプチドは、プロドラッグとして薬物デリバリーデバイスに存在してよい。ペプチドの、遊離アミノ基、ヒドロキシル基、またはカルボン酸基は、ペプチドをプロドラッグに変換するために用いることができる。プロドラッグは、アミノ酸残基、またはペプチド結合を介して共有結合的に結合している2以上(例としては、2、3、または4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、遊離アミノ基、種々のポリマー、たとえば、ポリエチレングリコールなどのようなポリアルキレングリコールのヒドロキシ基またはカルボン酸基に変化されている化合物を含めることができる。プロドラッグには、また、カルボナート(炭酸塩)、カルバマート、アミドおよびアルキルエステルが、本発明のペプチドにC-末端カルボン酸を介して、共有結合的に結合している化合物が含まれうる。本発明のペプチドを含むプロドラッグまたは、プロドラッグで、それから本発明のペプチド(類似体および断片を含む)が放出または放出可能なものは、本発明の変形体とみなすことができる。
さらに、変形体には、別のタンパク質に対して連結または結合した本発明の薬剤、たとえば、抗体または抗体断片またはデフェンシンを含むキメラまたは融合タンパク質が含まれる。組換え融合タンパク質は、組換えDNA技術によって人工的に作ることができる。実施形態では、本発明の薬剤は、エフェクター分子に連結または結合させることができ、エフェクター分子は、ウイルスまたは効果を引き起こすウイルスの標的細胞に作用することができ、小分子、製薬上の薬物、毒素、脂肪酸、検出可能なマーカーまたは酵素であり得る。たとえば、エフェクターは、細胞傷害性小分子、放射性同位元素、蛍光色素、抗ウイルス薬、または他の同様のものであってもよい。
組成物
薬剤、たとえば、本発明で使用するためのペプチドは、単独で投与してもよいが、好ましくは、製薬上組成物として投与され、それは意図された投与経路に応じて選択される適切な薬学的賦形剤、希釈剤または担体を大抵含む。本発明のペプチドを含む組成物は、この技術で知られるようにして調剤することができ、たとえば、適切な調剤物は、特には、本発明のペプチドのアミノ酸の、薬剤の薬学的に許容可能な塩の形態が含まれうる。薬学的に許容可能な塩は、酸および塩基付加塩の双方を含み、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の方法で望ましくはないものの塩を指す。
本発明において有用な化合物および組成物は、薬学的に有用な組成物を調製するための既知の方法に従って調剤することができる。調剤物は、よく知られており、当業者には容易に入手できる多数の供給源において詳細に記載されている。たとえば、E. W. Martin(マーティン)によるRemington's Pharmaceutical Science(レミントンの薬学)は、本発明に関連して用いられる調剤を説明する。概して、本発明の組成物は、生物活性ペプチドまたはペプチド擬似体の有効量が、組成物の効果的な投与を容易にするために、適切な担体と結合されるように処方される。たとえば、慣習上薬学的に許容可能な基材(担体)および希釈剤は当業者に知られている。対象となるペプチド模倣剤で使用するための担体または希釈剤の例には、制限されないが、水、生理食塩水(サリン、生理学的塩類溶液)があり、ミネラルオイル(鉱油)を含む油、エタノール、ジメチルスルホキシド、ゼラチン、シクロデキストラン(cyclodextrans)、ステアリン酸マグネシウム、ブドウ糖(デキストロース)、セルロース、糖類、炭酸カルシウム、グリセリン、アルミナ、でんぷん(澱粉)、および同等の担体および希釈剤、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。本発明の薬剤、たとえば、本発明のペプチドまたはペプチド模倣剤の製剤はまた、懸濁剤、保護剤、潤滑剤、緩衝剤、保存剤(防腐剤)、および安定剤を含むことができる。
本発明の薬剤はまた、リポソーム技術、徐放性カプセル剤、植込み型ポンプ、ナノ粒子、微粒子および生分解性の容器を利用して投与することができる。これらのデリバリー(配送)方法は、有利には、長期間に渡って均一な投薬量を提供することができる。本発明の方法に使用される組成物はまた、多種多様な形態にすることができる。これらには、たとえば、タブレット(錠剤)、ピル(丸剤)、粉体(散剤)、溶液(液剤)または懸濁剤、坐剤、注射や注入可能な溶液、およびスプレー(噴霧剤)のような固体、半固体、および液体剤形が含まれる。
本発明の薬剤、たとえば、ペプチドは、また、化学基を付加することによって、PEG(ポリエチレングリコール)などのように修飾することができる。PEG化(PEGylated)ペプチドは、典型的には免疫原性反応が少ないように生成され、インビボで投与したとき、PEG化されていないペプチドと比較して、インビボでの延長された半減期を示す。タンパク質やペプチドをPEG化するための方法は、この技術で知られている(たとえば、米国特許第4179337号明細書参照)。対象のペプチドはまた、細胞膜の透過性を向上させるために修飾される場合がある。一実施形態では、細胞膜透過性は、ペプチドまたは抗体にステロイドなどのような親油性部分を取り付けることによって改善することができる。この技術で既知の他の基は、本発明のペプチドおよび抗体にリンクさせることができる。
当業者によって理解されるように、薬剤、たとえば、本発明のアミノ酸配列を有するペプチドは、酸性(pH<3)または塩基性(pH>10より高い)の下でインビボまたはインビトロで随意に加水分解可能なエステルとして提供することができる。あるいは、本明細書に開示されるアミノ酸配列を有する薬剤、たとえば、ペプチドは、実質的に人間の消化管で安定でありえるが、血液または細胞内環境において加水分解可能であるりうる。あるいはまた、本発明のアミノ酸配列は、遊離アミノ基またはカルボキシル基を含む薬剤の調製のための中間的な形態において提供することができる。アミノ酸残基が1以上のキラル中心を含む場合、D、L、メソまたはテオまたはエリスロラセミ体、スクラメート(sclaemates)またはそれらの混合物を含むいずれかが使用されうる。好適には、本発明のアミノ酸配列のアミノ酸接合体(アミノ酸コンジュゲート)を開裂させるための酵素には、カルボキシペプチダーゼまたは同様のたのものを含むことができる。
好適には、本発明の薬剤、たとえば、本発明のアミノ酸配列を有するペプチドには、細胞型への輸送に影響を与えることができるキナーゼに対する輸送特性および/または感受性を本発明のアミノ酸配列に提供する追加のアミノ酸を設けることができる。あるいはまた、本発明のペプチドは、生物学的利用能、溶解性または本発明のアミノ酸配列の溶解性を高めるための付加的なアミノ酸を設けてもよい。本発明のペプチドへのアミノ酸配列の付加は、たとえば、腸またはそのような他のものなどの内腔において、体内で見出されたプロテアーゼによる加水分解に対して相対的抵抗性を、本発明のペプチドに提供するように選択することができる。好適には、調剤物は無菌の形態で調製することができる。
本発明のペプチドまたはペプチド模倣剤またはペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与は、当業者によって決定することができるように、連続または独立した間隔で指定することができる。
ペプチドは、任意の適切な経路を経由して、処置を必要とする患者に投与することができる。投与のいくつかの適切な経路には、(制限されないが)、経口、直腸、経鼻、、局所(頬および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内および硬膜外を含む)の投与が挙げられる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ペプチドが胃の中で放出されないように、腸溶性コーティングを有する適切なカプセルまたは錠剤で投与することができる。代わりの実施形態において、投与は、肺への送達のためのエアロゾルによることができる。この技術に関連した熟練者は、適切な溶液を、等張性ビークル(等張媒体)、たとえば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸エステル化(Lactated)リンゲル注射液を用いて調製することが十分に可能である。必要に応じて、保存(防腐)剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤を含むことができる。組成物はまた、血液を含む一定の組織に配置されたミクロスフェア、リポソーム、他の微粒子送達システムまたは徐放性製剤を介して投与することができる。
単位剤形(ユニット投薬形態)としては、たとえば、錠剤、カプセル剤、トローチ剤(ロゼンジ)、および粉末であることができる。適切には、錠剤は、圧縮または成形により提供することができる。圧縮錠剤は、適当な機械において、関係する薬剤を、粉末または顆粒などのような自由流動形態にて、随意に、バインダー(結合剤)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合して、圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、粉末活性剤を不活性液体希釈剤で湿らせたその混合物を、適切な機械において成形することによって製造することができる。活性剤をそこから遅いか、または放出制御されて提供するために、随意に、錠剤をコーティングし、または評価し、または調剤することができる。特定の実施形態では、活性剤は、トローチ剤として提供され、または口腔内に投与することができる。好適には、薬剤は、スクロース、ゼラチンまたはグリセリンを設けてもよい。実施形態では、薬剤は、うがい薬として、または経鼻投与等のために提供されてもよい。有利には、薬剤は、鼻腔内送達または肺への送達のためのエアゾールスプレーで提供することができ、それは対象体中への侵入点でウイルスと相互作用するように適切に配置されうる。
活性剤の有効用量は、少なくとも処置を受けている状態の性質、薬剤が予防的に使用されるか、または活性なウイルス感染、たとえば、インフルエンザ感染に対してか、デリバリーの方法および医薬製剤かどうかに依存している。
化合物のためのスクリーニング方法
適切には本発明の薬剤は、ヘマグルチニンに対する抑制活性を示すさらなる化合物を検出するためにスクリーニング方法に使用することができ、それには、標的ペプチドまたはポリペプチドに結合する薬剤の評価のために任意の慣習的な技術を用いる。本発明の関連の中では、典型的にそのようなさらなる化合物は、ヘマグルチニンへの結合およびインビトロでの細胞へのウイルス侵入の抑制についてスクリーニングし、次いで抑制活性を示す任意の化合物を、インビボでの活性についてスクリーニングする。特定の実施形態では、そのようなさらなる化合物を、インフルエンザ上のヘマグルチニンへの結合について、および細胞内へのインフルエンザ侵入の抑制についてスクリーニングする。
本発明のさらなる態様によれば、式Aのペプチドまたはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)で、式中、
X1はフェニルアラニン、イソロイシン、トリプトファンまたはであることができ、
X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
X3はチロシンまたはバリンであることができ、
X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができ、
ウイルス、特には、インフルエンザウイルスの細胞中への侵入を抑制するためにヘマグルチニンに結合することができるもの
に基づくペプチドまたは非ペプチドが含まれる薬剤を決定するための方法が提供され、その方法には、以下の工程が含まれる。すなわち、
a)テスト細胞をウイルス、たとえば、インフルエンザのウイルスに、テストされる薬剤の存在下および非存在下において、典型的には、ウイルス、たとえば、インフルエンザが、そのようなテスト細胞に感染するのを可能にする条件下で曝露すること、
b)感染したテスト細胞の数および/またはテスト細胞の感染率をウイルスに曝露した後に比較すること、および
c)テストされる薬剤が保護効果を提供し、および細胞の感染を抑制するかどうかを定めることである。
第一の実施形態では、この方法には、プラーク減少アッセイ(plaque reduction assay)が含まれうる。そのようなアッセイにおいて、試験される薬剤はヘマグルチニンに結合し、それはウイルスによる、たとえば、インフルエンザウイルスによる結合および細胞の感染を抑制することができる。陽性反応は、MDCK細胞の感受性の単層上のプラーク(ウイルス増殖の面積)の減少である。第二の実施形態では、本方法には、ペプチドコーティングされたプラスチック表面を使用して、ペプチドとウイルスとの相互作用を決定するために用いるELISAが含まれうる。たとえば、異なるウイルス、たとえば、インフルエンザA型ウイルスのサブタイプ由来のウイルスのヘマグルチニンを検出するために、ビオチン標識されたペプチドをストレプトアビジン(strep avidin)コーティングされたELISAプレートに加え、スクリーンとして使用することができる。同様に、適切なプラスチックまたは類似の材料、例は、シリコンチップ上のペプチドの固定化は、プラズモン表面共鳴などのようなテストを使用することができる。
有利には、本発明の薬剤は、表面、たとえば、作業エリアのようなハード表面、ドアハンドル、そのような手術用機器などのような機器またはそれが、前記表面または材料に抗ウイルス性、特には、抗インフルエンザ活性を付与されるように材料に適用することができるところに適用することができる溶液中に提供することができる。このことは、コーティングされたか、または含浸させた本発明の薬剤を含む物品の本発明のさらなる態様を提供する。たとえば、本発明の薬剤は、フェイスマスクの材料がウイルスに結合し、そしてウイルスを中和することができるように、フェイスマスクに提供することができる。
文脈が別なように要求しない限り、本発明の各態様の好ましい特色および実施形態は、準用する他の態様のそれぞれについてのようなものである。
この文書に引用された各文献、参考書、特許出願または特許は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれ、そのことは、それがこの文書の一部として読まれ、読者によって考慮されるべきであることを意味する。この文書中で引用された文献、参考書、特許出願または特許がこの文書で繰り返されていないことは、単に簡潔さのためであるに過ぎない。
文書に含まれる引用材料(マテリアル)または情報への参照は、材料または情報が共通の一般知識の一部であったか、またはどの国でも知られていたことを譲歩として理解されるべきではない。
明細書を通して、文脈が別なように要求しない限り、用語「含む(comprise)」または「含まれる(include)」、または変形で、「含む(comprises)」または「含める(comprising)」、「含まれる(includes)」または「含められる(including)」のようなものは、述べられた全体または全体のグループを含めることを意味するが、他の任意の全体または全体のグループの除外ではないと理解される。
本明細書で使用するように、単数形「一つ(a)」、「一つ(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに別でない限り、複数の言及を含む。
本明細書中で使用されるように、状態または対象を「処置する」ことは、臨床結果を含め、有益なまたは望ましい結果を得るためにステップ(措置)を取ることを指す。有益な結果は、処置(治療)されるウイルスの1以上の症状の緩和または改善を含めることができる。このことには、本発明の薬剤の有効量の提供が、ウイルスによる感染を防ぎ、または感染の発症を遅延させる予防上の処置が含まれうる。
本明細書において用いられるように、「対象(体)」は、制限されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ウサギ、マウス、家禽等を含む動物または哺乳動物に言及する。
本明細書で用いられる用語「投与する(施す)」には、自己投与(管理)を含む直接投与および間接投与の双方が含まれる。
本発明の実施形態を、次に添付の以下のような図面を参照しながら、単に一例として説明する。
アミノ酸配列、ProtParam(プロットパラム)アルゴリズム〔MW=分子量、pI=等電点、GRAVY=ハイドロパシシティ(hydropathicity)のグランドアベレージ、t1/2:推定半減期時間(哺乳類網赤血球、インビトロ)、不安定性:U=不安定、S=安定〕により予測されたそれらの化学的および物理的特性、およびPEP-FOLD モーバイル(Mobyle)によって定められた予測ペプチド二次構造の表である。 A)は、MDCK細胞のPR8(H1N1)ウイルス感染の抑制を定めることによって、FP1由来ペプチド(FP3)の抗ウイルス効果を決定するためのプラーク減少アッセイテストプレートの図面代用写真であり、そこではPR8(H1N1)が試験ウェル当たり250PFUで希釈され、二重試験(上段、下段)により、ここで、(左から右へ)100、10、1、0.1、0.01、0.001μgのFP3ペプチドをそれぞれの試験ウェルに加え、次いで陽性コントロール(細胞やウイルスを含む培地)および陰性コントロール(細胞を伴う培地、ウイルスなし)が続き、およびB)棒グラフは、ウェルあたり250 PFUに希釈したMDCK細胞およびPR8(H1N1)を含む試験ウェルごとに異なるFP3-RRKKペプチド質量でのプラーク数(平均値)を示し、左から右へ)DMSOコントロール(ウイルスおよびDMSO)、およびウェルあたり0.001、0.01、0.1、1、10、100μgのFP3-RRKKについてであり、標準偏差は、該当する場合各バーの上部に示されている。 DMSOコントロールと比較して、ノー(ウイルスおよびDMSOを伴うDMSOコントロール)、MDCK細胞を含む試験ウェルあたり0.001、0.01、0.1、1、10μgのFP2ペプチド(左側)およびFP10ペプチド(右側)の%でのプラーク減少を示す棒グラフをまとめたもので、そこでは、標準偏差は、該当する場合各バーの上部に示され、A)では、PR8(Eng/09)H1N1ウイルスは試験ウェルあたり250 PFUで希釈した(左側および右側)、B)では、A/WSN/33 H1N1ウイルスは試験ウェルあたり250 PFUで希釈し(左側)、および試験ウェルあたり200 PFUで希釈し(右側)、C)では、Vic/PR8 H3N2ウイルスは試験ウェルあたり250 PFUで希釈した(左側および右側)、およびD)では、Udorn(ユードルン)H3N2ウイルスは試験ウェルあたり250 PFUで希釈し(左側および右側)、4つの繰り返し/サンプルおよび結果は2〜4回の実験を代表するものである。 切断FPペプチドのIC50〔上段から下段に:A/WSN/33 H1N1、H1N1およびA/Engand(イングランド)/09/PR8 A/Vic/PR8 H3N2型ウイルスに対するFP7、FP9およびFP3(第二〜第四列)を示す表であり、そこでは、FP7およびFP9は、プラーク減少アッセイにおいて互いにおよびFP3と比較し、FP7(RRKK-IFYFFR)はH1N1およびH3N2型ウイルスの感染を抑制するのに失敗し、およびFP9(FFVIFYRRKK)はH1N1感染の抑制で非常に有効であったがしかし、FP3(WLVFFVIFYFFRRRKK)ほど効果的ではなかった。 本発明のペプチドが、細胞表面上でのインフルエンザウイルスの吸着を抑制するかどうかを定めるために使用されたインフルエンザ吸着アッセイの結果を棒グラフで示したもので、そこでは、MDCK細胞へのWSN(moi 6)ウイルスの結合の抑制が、ウイルス懸濁物mLあたり6、0.6、0.06、0.006、0.0006μgのFP3ペプチドでのテスト反応の492nm吸光度を測定することにより決定し、そこでは、チルド(冷却)したMDCK細胞をFP3ペプチド(1.5%v / vの終濃度でDMSOにより希釈)を伴うWSNウイルス懸濁物に4℃で1時間さらし、固定し、ポリクローナル抗インフルエンザ〔菌株USSR(ロシア)H1N1〕およびHRPコンジュゲート(HRP標識)二次抗体を使用して付着したウイルスについて探索し、およびそこでは、プレートをSigma(シグマ)FAST OPDキットを使用して発色し、492nmで読み取り、および反応を停止液の添加により停止し、平均値および4回の実験の標準誤差を提供する。 インフルエンザのヘマグルチニン結合アッセイ(ELISA)の結果を棒グラフによって示し、そこでは、492nmにおける吸光度を、フルー(インフルエンザ)ペプチドFP3 の濃度、100、10、1および0.1μg/ウェルについて測定し、そこでは、マイクロタイタープレートを、フルーペプチドFP3の増加した濃度で被覆し、洗浄し、BSAでブロッキングし、0.01ug/ウェルのバキュロウイルス由来の組換えヘマグルチニン(HA)(カリフォルニア04/2009H1N1インフルエンザA)と共にインキュベーションし、そしてそれを抗インフルエンザA(菌株USSR H1N1)抗体およびHRP標識二次抗体により検出し;プレートをSigmaFAST OPDキットを使用して発色し、そして反応を停止液の添加により停止し;吸光度を後に492nmで測定し;平均値および3回の実験の標準誤差を提供し、ペプチドおよびHAの間の相互作用は、MDCK細胞の表面に結合するウイルスの抑制について説明を提供する。このELISAの結果は明らかに、ペプチドがインフルエンザA型のHAを結合することができることを示している。 5×103pfu A/WSN/33 H1N1ウイルスに感染したBALB/cマウスでの、および未処置BALB/cマウスのFlupep(フルーペプ)FP1およびカルボキシフルオレセイン標識したFlupep FP1およびビークル(DMSO)の効果を示す図であり、そこでは、(上図)効果はFlupepおよびビークル(DMSO)の場合の感染後および未処置マウスの0〜7日間(毎日測定)での%初期体重(標準偏差は適切な場合、それぞれのバリューポイントについて示される)として決定され、および(下図)効果は、Flupep、カルボキシフルオレセイン標識したFlupep(FP1-CBXF)およびビークル(DMSO)処置および未処置マウスについて7〜8日間の肺ウイルス力価として決定した。 5×103 pfu A/WSN/33ウイルスに感染させたBALB/cマウスのウイルスの肺力価の散点ダイヤグラムを示し、それぞれ、(グループあたりの感染した4匹のマウス)で、PBSでの40μlの2%DMSO中20μgのペプチド(FP4、FP2、FP9、FP10)を接種したもの、未感染マウス、DMSO(DMSOコントロール)を接種したマウスおよび未処置のウイルスに感染したマウスであり、そこでは、肺におけるウイルス収量は、感染後7日で決定され;中央値がバーによって示される。 Aは、未感染マウスの肺細胞の投与後18日における本発明のペプチドを示し、Bは、A/WSN/33感染したBALB/cマウスの肺細胞感染後7日における本発明のペプチドを示す。 FP2またはFP4のいずれかの用量を変えることによる処置後A/Vietnam(ベトナム)/1194/04PR8(H5N1)プラーク形成のパーセンテージノックダウンを示す。 本発明のペプチドの予測された三次元構造を示す。 MDCKプラーク減少アッセイにおけるペプチドによるA/WSN/33(H1N1)のパーセントノックダウンを示し、それによってペプチドFP1 WLVFFVIFYFFR(配列番号18)に対する修飾がH1N1ウイルスに対する改善された抗ウイルス活性をもたらされた。切断(トランケート)されたペプチド(6-10量体、FP8およびFP9参照)はまだ著しい抗ウイルス活性を維持する。 A/England/195/09 A(H1N1)、A/Victoria(ビクトリア)/3/75 A(H3N2)およびリストされたヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)サブタイプを伴うPR8内部遺伝子が含まれるA/Vietnam/1194/04 A(H5N1)の組換えウイルスを含むサブタイプを使用したMDCKプラーク減少アッセイにおけるペプチドFP2(図13A)およびFP4(図13B)による様々なサブタイプのパーセントノックダウンを示す。 本発明のペプチドの毒性を考慮するために、溶血アッセイの結果を示し、それによって、アッセイは、分光光度計を用いて定量化される非生存細胞からのヘモグロビンの放出を測定する。ヒトO型赤血球を4時間、37℃、5%CO2で種々の量のペプチドと混合した(終濃度、例は、2000-0.98μg/ ml)。上清中に放出されたヘモグロビンを、波長540nmで測定した。パーセント溶血は直線の式を用いて計算し、そこでは、%溶血(X)=[光学濃度(y)−陰性コントロール光学濃度(c)]/[(陽性コントロール光学濃度−陰性コントロール光学濃度)/100](m)である。ペプチドは、プラークアッセイにおいてウェルあたり2.5μg/ml=1ugで提供された。0.0025μg/mlは最低毒性濃度を下回って良好である。 ペプチドの毒性をテストするために、さらなるアッセイの結果を示し、それによって、アッセイは、細胞生存率を測定し;生細胞内の細胞酵素は、WST-1テトラゾリウム塩をホルマザン色素へ切断し、それは分光光度計を用いて定量化される。24時間、37℃、5%CO2で、ペプチドの様々な量を含む100μlの培地(終濃度、例は、3.125-50μg/ウェル)においてマイクロプレートで細胞を培養する。細胞増殖試薬WST-1を細胞とともに2時間インキュベートし、そしてホルマザン生成物の吸光度を450nmで読む。 ペプチドFP2およびFP4の免疫原性を決定するアッセイの結果を示し、それによって、2.5%DMSO中のペプチド20μgを、6週齢、雌性BALB/cマウスに対し40μlの容量で鼻腔内経路を介して投与した。血清は先立つ1週間、0日後、7、14、28、50日に取得した。ペプチドは、0日、10日、および21日に投与した。 アッセイの結果が、FP4のペプチド(A)またはペグ化FP4ペプチド(B)の抗ウイルス効果を定めることを示し、それによって、2.5-5%DMSOが、を6週齢、雌のBalb/cマウスに50μlの容量で鼻腔内経路を介して投与された。ペプチドは、ウイルスと同時(A)またはウイルス後24および48時間(B)で投与した。 本発明のペプチドが、インビトロまたはインビボで、ウイルスと同時に提供される場合、これは劇的にウイルス複製/感染を制限することを示す。 パラインフルエンザプラークアッセイの結果を示し、そこでは、ウェルあたり100pfuでのウイルスを、1時間、ペプチドの指示された量と共にインキュベートしたが、および感染細胞単層をアビセル(カルボキシメチルセルロース)で重層し、10日間放置する。
材料および方法
マウスおよびウイルス感染
BALB/cマウスをHarlan UK Ltd(ハーラン・ユーケー社)(オックソン、英国)から購入した。すべての作業は、Animals (Scientific Procedures) Act〔動物(科学的処置法)法〕1986年に従い、英国のホームオフィス・ライセンスの下で実行した。5-6週齢の雌性マウスをすべての実験で使用した。ウイルスの通常在庫をMadin-Darby(メイディン・ダービー)イヌ腎臓(MDCK)細胞の感染によって調製し、標準的なプラークアッセイによりMDCK細胞上で滴定した。マウスを、ハロタンまたはイソフルラン〔Rhone Merieux Ltd(ローヌ・メリュー社)、Harlow(ハーロー)、Essex(エセックス)、英国〕を用いて麻酔し、40μlのPBS中のA/WSN/33インフルエンザウイルスの5×103 pfu、または50μl容量中の100pfuのいずれかを、ペプチドの存在下で、または不存在下に鼻腔内感染させた。ペプチドのマウスの治療効果評価のため、次にウイルス接種後24時間および48時間麻酔した。マウスを毎日秤量し、不活性、ラフルドフル(ruffled fur)、およびレイバードブレシング(呼吸困難)などを含む、臨床疾患の視覚的徴候について評価した。それらの元の体重の> 25%を失った動物を安楽死させた。感染後の様々な時点で、マウスをCO2窒息により安楽死させ、その肺を取り出し、PBS中でホモジナイズし、遠心分離により清澄化した。感染性ウイルスの力価をMDCK細胞上の標準的なプラークアッセイによって決定した。これらのペプチドの免疫原性を決定するために、本発明者らは、3つの別々の機会に;日0、10および21で、5-6週齢の雌性BABL/cマウスに対し、FP2またはFP4ペプチドの20μg/マウスを投与した。血液を、ペプチドの最初の投与に先立ち1週間取得し、最初のペプチド投薬の後日7、14、28および50に取得した。血清は、ELISAによるIgGの分析のために用いた。簡単に言えば、マイクロタイタープレートを、室温で24時間10ngのFP2またはFP4のペプチドで被覆し、次いで血清(1:10-1:1000)の添加およびヤギ抗マウスIgG HRP抗体〔Abd Serotec(Abdセロテク社)、英国〕を用いるマウスIgGの検出が続き、次いでSI
GMAFastTM〔シグマファスト(商品名)〕OPD(Sigma Aldrich(シグマ・アルドリッチ社)、St Louis(セントルイス)、MO(ミズーリ州)が続いた。プレートは3M H2SO4停止液添加後492nmで読み取った。
ウイルス
本明細書で考察するように、インフルエンザウイルスは、以下のものである。すなわち、A/WSN/33 H1N1、A/PR8/34 H1N1、A/England/195/09/PR8 H1N1、A/Victoria/3/75/PR8 A(H3N2)、A/Udorn/72 H3N2およびA/Vietnam/1194/04/PR8 A(H5N1)である。Main Darby(メイン・ダービー)イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)およびヒト肺上皮細胞系A549(ATCC)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)〔Invitrogen(インビトロジェン社)、GIBCO〕、50U/mlペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシン(Invitrogen、GIBCO)を補充したDulbecco’s modified Eagle’s medium(ダルベッコ改変イーグル培地)(DMEM)(窒素、GIBCO)中で維持した。すべてのウイルスを研究に使用する前にMDCK細胞で増殖させた。A/WSN/33 A(H1N1)およびUdorn A(H3N2)のインフルエンザウイルスは、Dr D Jackson, St Andrews(ドクターD・ジャクソン、セントアンドリュース)から入手した。他のすべてのウイルスは、親切にも、Professor Wendy Barclay(教授ウェンディ・バークレー)、Imperial College(インペリアル・カレッジ)、ロンドンによって提供された。A/Puerto Rico(プエルトリコ)/3/34(PR8;NIBSC菌株)の組換え変異体は、前述したように、逆遺伝学システムを使用して得られた〔Whiteley(ホワイトレイ)A;Major(メジャー)D;Legastelois(レガステロイス)I;Campitelli(カンピテリ)L;Donatelli(ドナテラ)I;Thompson(トンプソン)CI;Zambon(ザンボン)MC;Wood(ウッド)JM;ら(2007年7月)、Generation of candidate human influenza vaccine strains in cell culture - rehearsing the European response to an H7N1 pandemic threat.(細胞培養における候補ヒトインフルエンザワクチン株の生成 - H7N1パンデミックの脅威に対する欧州の対応のリハーサル)、Influenza Other Respi Viruses.(インフルエンザ・アンド・アザー・レスピレートリー・ヴァイルスイズ)1:157-166〕、A/England/195/09(H1N1)、A/Victoria/3/75(H3N2)、A/Vietnam/1194/04(H5N1)、A/Chicken(チキン)/Italy(イタリー)/13474/99(H7N1)。ウイルス力価は、MDCK細胞上で標準的なプラークアッセイを行うことにより取得した。簡単に説明すると、ウイルスの連続希釈物を1時間、37℃、5%CO2と共に細胞のコンフルエントな単層に添加した。1時間インキュベートした後、取り込まれなかったウイルスを除去し、単層を1%アガロースで重層し、37℃、5%CO2で3日間インキュベートし、その時間の後、細胞単層を10%中性緩衝化ホルマリン液で固定し、0/1%トルエンブルーで染色して、プラーク数を取得する。
ペプチド
ペプチドを製造し、そして高圧液体クロマトグラフィーによって精製した〔Cambridge Peptides(ケンブリッジペプチド社)、ケンブリッジ、英国〕。追加のペプチドは、School of Chemistry, University of Edinburgh(エディンバラ大学の化学学部)内で合成した。ペプチドパネルには、溶解度を高めるために、どちらかにアミノ-またはカルボキシル-RRKK配列を含むペプチドが包含された。FP2は2つのアラニン置換を有する。ペプチドFP7、8、および9は切断ペプチドであり、そしてFP10は、ペプチドFP1のスクランブルされた配列である。加えて、生物学的利用能を向上させ、タンパク質分解から保護するために、FP1-Dは、D-アミノ酸を用いて調製し(配列番号20)、そしてFP4は、ペプチドをポリエチレングリコール鎖とリンクすることにより、ペグ化し、PEG300-RRKKWLVFFVIFYFFR(配列番号21)を提供した。これらの合成ポリマー(PEG)は、内服用のためにFDAによって承認され、本来的に非免疫原性および非抗原性であることが知られている。
インフルエンザウイルスのプラークアッセイ
ウェルあたり2×106 MDCK細胞を有する6ウェルプレートをアッセイ二日前に設定し、そしてウイルスの連続希釈を10-2〜10-8に調製した。培地を6ウェルプレートから除去し、およびウェルを滅菌PBSで2回洗浄した。10-2〜10-8の希釈物400μlを、ウェルを複製するために追加した。これらのプレートを37℃でインキュベートし、1時間の間各10分揺すった。滅菌蒸留水中2%アガロース〔Biogene.com(バイオジーン・コム)カタログ番号300-200をは55℃で溶融し、維持した。NAT(N-アセチルトリプシンウシ膵臓タイプV-SシグマT6763)の10mg/mlのストックの10μlを、2×血清フリーDMEMの50mlに添加し、2μg/mlの終濃度を与え、培地を37℃に維持した。1時間後、ウイルス希釈物をプレートから除去した。2%アガロースの25mlを迅速に、培地の25mlのアリコートに添加し、よく混合し、2mlを各ウェルに添加した。設定後、プレートを反転し、3日間37℃でインキュベートした。プレートを、10%中性緩衝化ホルマリン〔Surgipath Europe(サージパス・ヨーロッパ)00600〕の4mlで一晩固定し、アガロースを、0.1%のトルイジン(toluidene)ブルーO〔Sigma(シグマ)T3260〕で20分間染色した接着細胞を残しながら除去した。プレートを水で洗浄し、そしてプラークを計数した。ウイルスストックは-70℃で保存した。
プラーク減少アッセイ
MDCK細胞を、ウイルスのプラークアッセイ用として6ウェルプレートにおいてウェルあたり2×106個の細胞でプレート培養した。MDCK細胞(ATCC)のコンフルエントな単層を、6ウェルディッシュにおいて増殖させ、ウェルあたり250プラークを得るために必要なウイルスの希釈物を感染させた。ウイルス吸着を、400μlの合計容量において、1時間、37℃、5%CO2でペプチドの存在下または不存在下で行った。プラーク減少アッセイのために、組み込まれていないウイルスおよび/またはペプチドを、完全DMEM、1%アガロースおよび2μg/mlトリプシン(NAT、ウシ膵臓からアセチル化した)〔Sigma Aldrich(シグマアルドリッチ社)、St Louis(セントルイス)、MO(ミズーリ州)〕、終濃度を含むオーバーレイの添加と共に除去した。インキュベーションは、72時間37℃、5%CO2で継続し、次いで、中性緩衝化ホルマリンで固定、および0.1%トルイジンブルー(Sigma Aldrich、St Louis、MO)での細胞単層の染色を続け、およびプラーク数、プラーク形成単位により決定されたウイルス濃度を取得した。ウイルス増殖アッセイのために、ウイルスおよび/またはペプチドとの初期の1時間のインキュベーション後に、400μlの接種を、NAT(2μg/ml)を含む完全DMEM培地での2mlの容量に増加させた。上清を24-72時間で収集し、ウイルス力価をプラーク減少アッセイによって決定した(上述の通り)。
プレートあたり2×106細胞を仮定し、ウイルスを400μl/ウェルの容量においてウェルあたり0.001または250 PFUのmoiを与えるために希釈した。ペプチドは、DMSOに溶解し、1.1%DMSOの終濃度において100ug〜0.001ug/ウェルの濃度でウイルスに添加した。プレートを、プラークアッセイのために処理した。コントロールはウイルスおよびDMSOのみ含む。
ウイルス吸着ELISA
マウス適応A/WSN/33(H1N1)ウイルスを、37℃で1時間、ペプチドの濃度を増加させて(たとえば、0.0006-6.0μg/ml)インキュベートし、チルドした。ウイルスまたはウイルスおよびペプチドの溶液を4℃で1時間、96ウェルプレートにおいてチルドしたMDCK細胞上に播種し(50μl/ウェル、M.O.Iの6)、冷リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄し、4%パラホルムアルデヒドを用い室温で30分間固定化し、冷PBSで洗浄し、4℃で一晩保存した。プレートを室温で1時間、トリス緩衝化生理食塩水(TBS)中の3%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし、ロバ抗ヒツジ/ヤギIgG HRP〔AbD Serotec(AbDセロテック社)、英国〕を用いて1時間37℃で探索した。プレートを、PBSで洗浄し、そしてHRP標識二次抗体、ロバ抗ヒツジ/ヤギIgG HRP(AbD Serotec、UK)の1:500希釈物を用い1時間37℃で探索し、PBSで洗浄し、200μl/ウェルのSIGMAFastTM〔シグマファスト(商品名)〕OPD(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)を使用して、室温で30分発色させ、カバーした。プレートは3MのH2SO4停止液添加後492nmで読み取った。
インフルエンザのヘマグルチニン結合アッセイ(ELISA)
Dynex Immulon(ダイネックスイムロン)4HBXの平底マイクロタイタープレートを、10%DMSOを含むリン酸緩衝化生理食塩水において希釈した本発明のペプチドで被覆した。コーティングは、5μg/ウェル(100μg/ml)により18時間室温で三回行った。プレートを洗浄し、次いで室温で1時間1%BSAのTBSによりブロックした。それらをその後TBST〔0.1%Tween(ツィーン)20〕で洗浄した。精製されたバキュロウイルス由来の組換えHA(ヘマグルチニン)〔California(カリフォルニア)2009/04 H1N1インフルエンザA、Source BioScience(ソースバイオサイエンス)AUTOGEN(オートゲン)#ABC1278〕を2時間室温で0.01μg/ウェルの濃度(50μlの容量)で添加した。広範囲に洗浄した後、ペプチド結合rHA(組換えヘマグルチニン)を、抗インフルエンザ抗体(ヤギ抗インフルエンザA、AbD Serotec)およびHRP標識二次抗体(ロバ抗ヒツジ/ヤギIgG-HRP、AbD Serotec)を用いて検出した。プレートをPBSで洗浄し、そしてHRP標識二次抗体、ロバ抗ヒツジ/ヤギIgG HRP(AbD Serotec、UK)の1:500希釈物を用いて37℃で1時間プローブし、PBSで洗浄し、そしてSIGMAFastTMOPD(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)の200μl/ウェルを使用して30分、室温で発色させ、覆った。プレートは3MのH2SO4停止液添加後492nmで読み取った。
細胞毒性(細胞傷害性)アッセイ
ペプチドの連続希釈物を0.9%生理食塩水において作成し、それに30%のヒトO型血液赤血球を加え、4時間、37℃でインキュベートした。上清中に放出されたヘモグロビンの量は、波長540nmで分光光度法により測定した。陰性コントロールウェルは、単独での生理食塩水に赤血球を含み、陽性コントロールウェルを0.1%トリトンX-100で処理した。パーセント溶血は、直線の式(一次式)y=mx+cを用いて計算し、ここで、%溶血(X)=[光学濃度(光学密度)(y)-陰性コントロール光学濃度(c)]/[(陽性コントロール光学濃度-陰性コントロール光学濃度)/100](m)である。MDCK細胞およびヒト肺上皮細胞株A549に対するペプチドの毒性を決定するために、細胞を37℃、5%CO2で24時間ペプチドの種々の濃度を伴う組織培養グレードの96ウェルマイクロプレートにおいて培養した。細胞生存率は、2時間のWST-1試薬〔Roche(ロシュ社)〕とのインキュベーションによって決定され、450nmでホルマザン生成物の吸光度が測定された。
血球凝集アッセイ
インフルエンザウイルスの(赤)血球凝集素(HA)(ヘマグルチニン)は、赤血球(RBCs)の凝集が可能である。このアッセイは、ペプチドがHAの結合をブロックするために使用することができるかどうかを調べるために使用された(血球凝集抑制アッセイ)。簡単に言うと、生理食塩水で希釈したウイルス/ペプチド混合物を、50μlの容量で96ウェルの丸底プレートにプレート培養し、一晩4℃で1%の赤血球(RBCs)を等量混合した。非凝集細胞は、ウェルの底にボタンペレットを形成する。凝集したRBCsはウェルを均等にコートする。力価は、完全な凝集を示す最後の希釈として決定する。
生理食塩水の87.5μlを96ウェル丸底プレートの1列目に、および50μlをすべての残りのウェルに加えた。ウイルスまたはペプチドの12.5μlを、レーン1において適切なウェルに添加した。レーン1をマルチチャンネルピペットにより混合し、そして50μlをレーン2に移した。2倍希釈をプレートの端部まで続けた。赤血球の50μl/ウェルを添加し、プレートを一晩4℃の氷上でインキュベートした。
大抵は、レーン1でのペプチドの出発濃度は100μg/mlであった。ウイルスのための出発濃度は108pfu/mlの付近であった。ヒト赤血球、O型またはB型、1%充填細胞容量を、生理食塩水で洗浄し、4℃で保存した。他のヒト血液型および種のRBCs(ヒツジおよびウマ)も試験した。
結果
FP1およびそれに由来するペプチドの物理的および化学的性質ならびに水溶液中での溶解性を向上させるための修飾。
いくつかのペプチドを、FP1(図1)と称する12量体(12mer)の元の構造に基づいて開発した。FP1の12merは、α-らせん構造を有し、疎水性であると予測された。本研究で用いるようにして、アミノ酸配列およびこれらのペプチドの物理的および化学的性質を、ExPASy-ProtParamツールによって定め、そしてこの決定結果を図1に示す。ペプチドの大部分は、疎水性であり、コイル状構造を示すことが予測された。組織培養において、マウスでの実験で使用するために、ペプチドを、最初にDMSOに溶解した後、2%DMSO溶液を与えるように、組織培養培地で希釈した。溶解度は、抗ウイルス活性を損なうことなく、ペプチドのN末端またはC末端にRRKKの添加によって改善されることが定められた。さらなる改善には、N末端、またはC末端またはN末端とC末端の両方で、アルギニンをリジンと交換することが含まれた。
ペプチド合成は、英国ケンブリッジ所在の、エディンバラ大学、化学学部またはCambridge Peptide(ケンブリッジ・ペプチド)で行った。純度はHPLCを用いてチェックし、および配列特異性は、質量分析法(Mass Spec.)を用いて決定した。
例はFP1およびその誘導体の抗インフルエンザウイルス特性を例示するために与える。
例1:プラーク減少でのペプチドの抗インフルエンザ活性の評価
プラーク減少アッセイを用いて、本発明のペプチドを、インフルエンザウイルスの複製を抑制するそれらの能力を決定するためにテストした。 ウイルスの代表的なセットは、マウス適応A/WSN/33(H1N1)、ヒトPR8組換えウイルスA/Victoria/3/75 A(H3N2)、A/England/195/09(H1N1)、A/Vietnam/1194/04(H5N1)、およびA/Chicken/Italy/13474/99(H7N1)が含まれ、テストされた。PR8組換えウイルスは、リストされている指定のウイルスから置き換えたHAおよびNAを有するA/Puerto Rico/8/34バックボーンをもつ。アッセイを、ビークル(DMSO、1.5%の最終濃度)の存在下でのウイルス、または増加させる濃度のペプチドの存在下でのウイルスを用いて行った。
本発明FP1のペプチドは、マウス適応A/WSN/33H1N1サブタイプが、ペプチドの1-10μg/ウェルの用量でのプラーク形成の94%ノックダウンを伴い、非常に効率的であることが見出された(図2)。このペプチドへの修飾は、ペプチドFP2、FP3およびFP4を形成するために、A/WSN/33 H1N1ウイルスに対する改善された抗ウイルス活性をもたらし(図3)、100%ノックダウンがもたらされた。切断(トランケートされた)ペプチド(FP8およびFP9)は、依然としてH1N1ウイルスに対する実質的な抗ウイルス活性を維持し、元のペプチド、FP1と同様に、94%ノックダウンがまたらされる。したがってペプチドのこのファミリーは、インビトロでH1N1のマウス適応インフルエンザウイルスを抑制することが可能である。
FP3およびFP4(配列番号12および配列番号13)(FP1配列のN末端またはC末端のいずれかにRRKKの付加を有するFP1の誘導体)と称する本発明のペプチドが、効率的にH1N1ウイルス-A/WSN/33およびA/England/195/09(IC50 66-100nM)の感染性を阻害することが見出された(図4)。
また、インフルエンザウイルスの他のサブタイプに対するペプチドの抗ウイルス活性を調べた。さまざまなH3N2、H5N1およびH7N1のHAおよびノイラミニダーゼ(NA)を有するPR8内部遺伝子を含む組換えウイルスを、FP2またはFP4の存在下でプラーク減少アッセイにおいて試験した。FP4の10μgでの処置は、A/WSN/33マウス適応H1N1の100%ノックダウンと比較して、PR8/Eng09 H1N1ウイルスの90%ノックダウンをもたらし、同様にPR8/Vic H3N2型ウイルスの97%ノックダウン、およびPR8/Viet H5N1ウイルスの完全なノックダウンであった。10μgのFP2のペプチドを用いた処置は、A/WSN/33 H1N1ウイルスの完全なノックダウン、66%、75%および65%のPR8/Eng09 H1N1、PR8/Vic H3N2またはPR8/Viet H5N1のそれぞれによるノックダウンをもたらす。FP1はネズミのガンマヘルペスウイルス68(MHV-68)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、またはヒトパラインフルエンザウイルスに対して抗ウイルス効果を有さなかった(データは示さず)。したがって、これらのペプチドは、インビトロモデルシステム内でのμM〜nM濃度でインフルエンザAウイルスを抑制するのに有効である。
FP3は弱くしかH3N2ウイルスA/UdornおよびA/Victoria/3/75を阻害しないことが見出された(IC50-16μM)。FP3のためのプラーク減少アッセイの例を図2に示す。
対照的に、FP2(配列番号11)は、H1N1およびH3N2ウイルスの両方を抑制することで非常に効率的であると決定された(IC50-1.6nM)。FP1での別の変形体はFP10(配列番号14)である。このペプチドは、コイル状の二次構造を保持し、H1N1(IC50<1.48nM)およびH3N2(IC50-72nM)インフルエンザウイルスの両方に対して極めて有効であると決定された(異なるインフルエンザAウイルスに対するFP3、FP7、FP9、FP2およびFP10による抑制の例は、図3および図4に示す)。
例2:FP1の切断ペプチドの影響。
FP1の切断形態はNH2(アミノ酸1-6、FP7)およびCOOH(アミノ酸7-12、FP8)末端を表す6個のアミノ酸およびミドルセクション(アミノ酸4-9、FP9)を含んで生成された。RRKKは、水溶液中での溶解性を向上させるために各6量体に加えられ、インビトロおよびインビボで投与されるペプチドの高用量を可能にした。プラーク減少アッセイでは、FP9はH1N1に対して活性で(IC50-1.5μM)およびH3N2型に対しては程度が低い(図4)。FP7は、インフルエンザウイルスの感染を抑制することができなかった。
例3:FP1由来ペプチドのD-異性体(WLVFFVIFYFFR-配列番号18)の有効性。
FP1のアンチマー(D-異性体)は、インビトロでH1N1およびH3N2ウイルスの両方を抑制することで構築した。D-異性体を含むペプチドは、プロテアーゼ消化に対するより高い耐性があり、したがってL体よりもはるかに長く宿主に残留することができる。FP1のD体は100nMでH1N1およびH3N2のウイルスの感染を抑制することが示された。
例4:FP1およびそれに由来するペプチドは細胞へのウイルスの結合を抑制する。
FP1それに由来するペプチドのエントリブロッカーとして役割を検討するため、チルドMDCK細胞をWSNに曝露し(m.o.i 6)、ペプチドの濃度(DMSOで希釈)を4℃で1時間増加させて、固定し、ポリクローナル抗インフルエンザA(菌株USSR H1N1)およびHRP標識二次(抗体)を使用して付着ウイルスについて探索した。図5に示した結果は、FP1およびそれから由来するペプチドはエントリブロッカーとして作用することを示す。
例5:FP1およびそれから由来するペプチドのヘマグルチニンへの結合
保護についてのメカニズムを決定するために、本発明のペプチドが、MDCK細胞表面上へのインフルエンザウイルスの付着を抑制したかどうかのマウス検討を試みた。MDCK細胞で被覆されたチルド組織培養処理マイクロタイタープレートを、ウイルスまたはウイルスおよびペプチド混合物(FP3)で処理した。その後プレートを洗浄し、固定化し、ブロックして、任意の細胞随伴ウイルスを、抗インフルエンザA抗体およびHRP標識二次抗体を用いて検出した。1.5%DMSOの存在下でのペプチドの投与量の増加は、MDCK細胞の細胞表面上へのA/WSN/33の吸着を抑制すると考えられる。ウイルスの付着は、ペプチドの6μg/mlを使用して完全に抑制されたが、細胞が単独でウイルスまたはビークル(DMSO)で処理されたときには、付着物の有意な抑制が認められなかった。このデータに基づいて、本発明者らは、ペプチドの抗ウイルス活性が細胞へのウイルスの付着の抑制によるものであることを提案する。ペプチドが直接ヘマグルチニン(HA)と相互作用するかどうかを判断するために、96ウェルのマイクロタイタープレートを、本発明のペプチドの濃度を増加させてコーティングし、洗浄し、BSAでブロッキングし、次いで0.01μg/ウェルのバキュロウイルス由来の組換えHA(カリフォルニア04/2009 H1N1インフルエンザA)とともにインキュベートし、それを抗インフルエンザ(菌株USSR H1N1)抗体およびHRP標識二次抗体で検出した。プレートはSigmaFAST OPDキットを使用して発色させて、停止液添加後、492nmで読み取った。データは、3つの繰返しの平均および標準誤差である。図6は、FP1およびそれから由来したペプチドは、用量依存的にHAに結合し、50%の抑制が10μgで発生することを示す。
例6:FP1およびそれから由来するペプチドの赤血球の凝集
FP1およびその派生体は、種特異的な方法において赤血球(RBCs)を凝集させると決定された。FP3およびFP4の両方がウマ赤血球(終点6.25μg/ml)およびヒト赤血球(終点0.78μg/ml)を凝集させると決定された。WSNおよびUdornの両方がヒト赤血球を凝集させると決定されたが、いずれもウマ赤血球は凝集しなかった。ヒトインフルエンザウイルスは、N-アセチルノイラミン酸アルファ2,6-ガラクトース〔Sアラルファ(Aalpha)2,6Gal〕結合を含むシアル酸を選択的に結合するが、トリおよびウマ科のウイルスは、N-アセチルノイラミン酸アルファ2,3-ガラクトース(SAalpha2,3Gal)を含有するものに選択的に結合する。これらのデータは、FP1がウイルスとシアル酸受容体について競争するかもしれないことを示唆する。
例7:マウスモデルにおけるインフルエンザウイルスの増殖に及ぼすWLVFFVIFYFFRの影響
Balb/cマウス(雌性5-6週齢)を5×103 pfuのWSN/33(H1N1)および/またはPBSにおける40μlの2%DMSOでのFP1の様々の濃度を用い鼻腔内接種した。最初の実験では、1μgのFP1(WLVFFVIFYFFR)濃度を、ウイルスと同時に、または感染後1日目または3日目に送った。減量および症状/状態の臨床徴候を毎日測定し、肺でのウイルス産生を7日目に決定した。
示された結果(図7)は、ウイルスと同時に与えたとき、このペプチドの抗ウイルス活性を示す。カルボキシフルオロセン(carboxyfluorosen)で標識されたFP1は、ペプチドの7日後の感染および投与(図9)でのウイルスとの肺細胞同時局在で見られ、肺環境中のペプチドの長期的な持続性が示された。
第二の実験では(図8)、FP2、FP4およびFP10を、インビボでの抗ウイルス効果について比較した。マウスへは、鼻腔内に、および7日後に4匹のマウス/グループからの肺に、ペプチドの5×103 pfuのWSNおよび20μgを投与し、ウイルス力価をプラーク減少アッセイによって決定した。すべての3つのペプチドは、インビトロでのウイルス感染性の効率的ノックダウンを示したのに対し、FP2およびFP4だけが、インビボでの抑制性プラーク形成に有効であった。FP10は対照群と同様の値を示した。
例8:本発明のペプチドのインフルエンザウイルスの致死量に対するマウスの保護。
インビトロで観察されたインフルエンザウイルス複製の抑制が結果的にインビボでの保護になったかどうかを定めるために、5-6週齢のBALB/cマウスを、本発明のペプチドの存在下でマウス適応A/WSN/33ウイルスを鼻腔内接種した。マウスを臨床徴候について毎日モニターし、重量を毎日書きとめ、7日目の肺からウイルス力価を取得した。
FP4ペプチドの20μgでのA/WSN/33ウイルスの前処置は、臨床的兆候を伴わないで、マウスの100%の生存率がもたらされた。修飾されたペプチドは生体内で抗ウイルス活性を維持し(図8)、日7の肺力価で2-4のログ減少がもたらされた(プラーク減少アッセイによって決定される)。注目すべきは、FP2もFP4もペプチドが、免疫原性であって、BALB/cマウスへのこれらのペプチドの反復投与および血清の1:10希釈でも、ELISAによる血清IgGレベルの決定によって定められた。このモデルは、マウスの気道に予防的に導入されたとき、A/WSN/33 H1N1ウイルスに対する強力な抗インフルエンザウイルス活性を示す。したがって、ペプチドは致死的H1N1感染からマウスを保護することができた。
例9:ウイルス増殖減少アッセイによる抗インフルエンザ活性の評価。
さらに、本発明のペプチドの抗ウイルス活性を調べるために、培養上清中の感染性ウイルスの産生を抑制するそれらの能力を評価した。MDCK細胞を、24時間、A/WSN/33 H1N1ウイルスおよびビークル(DMSO)、またはウイルスおよびペプチドで処理し、上清中に産生したウイルスをプラークアッセイによって決定する。感染がFP4のペプチドの1μg/mlの継続的な存在下に行われたとき、感染後24時間でのウイルス産生の99%減少があったが、ビークル(DMSO)単独での存在下の感染に比べたとき、ペプチドプラーク減少アッセイで得られたものと同様であった。ウイルスは、ポリエチレングリコール(PEG)と結合させたFP4の存在下で処置後24時間に検出されなかった。注目すべきは、FP4およびFP4-PEGの両方が、A/WSN/33ウイルスに対する標準的なペプチドプラーク減少アッセイで試験したとき、同様のプロファイルを有していたことである。FP2の1μg/ウェルの存在下での感染は、ウイルスの産生率で97%減少をもたらし、1μg/ウェルのFP1-Dの存在下で85%の減少をした。したがって、これらのペプチドは、インビトロのモデルシステム内で同時に投与したとき、感染性のA/WSN/33 H1N1ウイルスの生産を抑制するのに著しく有効である。
ペプチドの治療薬としての可能性を評価するために、MDCK細胞を、1μg/ウェルFP4、FP4-PEGまたはFP1-Dのいずれかのペプチドを添加して感染後4時間の後に、A/WSN/33 H1N1ウイルスおよびビークル(DMSO)で処理した。感染後24時間に収集した上清中のウイルス産生は、プラーク減少アッセイによって決定した。FP4がウイルスに同時に与えられたとき、それが24時間で99%だけ、ウイルス収量を減少させ、ペプチドが感染後4時間に添加されたとき、ウイルス収量が50%だけ減少し、FP4が、おそらく分解または細胞による取り込みの結果として、ペプチドの低下した利用能に起因して、その後のウイルス感染を効率的なようには抑制することができなかったことが示唆された。しかし、ペグ化FP4またはFP1-Dペプチドのいずれかでのウイルス感染した細胞の感染後4時間の処置は、ウイルスおよびビークル単独でのコントロールと比較して、24時間でのウイルス収量の68%減少をもたらした。ペグ化は、ペプチドおよび他の潜在的な薬剤を強めることができ、タンパク質分解酵素による分解に対して保護し、溶解性だけでなく生物学的利用能が増加する。インビトロモデルでは、FP4ペプチドのペグ化またはD-アミノ酸の使用は、治療的に与えられたとき、強化された抗ウイルス活性をもたらし、おそらく、利用能およびペプチドの半減期での増加のためである。
例10:本発明の薬剤はシアル酸と相互作用すると思われない。
初期の結果に拘束されることを望むものではないが、本発明のペプチドは、ペプチドの存在が赤血球を凝集するインフルエンザウイルスの能力を阻害しなかったので、シアル酸との相互作用を介して細胞への付着を阻害しなかったと考えられる。実際に、このためのメカニズムは不明であるが、ペプチドは赤血球を凝集した。シアル酸受容体を除去するために細菌シアリダーゼで赤血球を処置することは、これらの細胞をウイルスで凝集する能力を排除し、ペプチドではそうでなかった。したがって、このことは、シアル酸がウイルス/ペプチドの相互作用において役割を果たしていないことを示唆する。
これらの結果は、本発明のペプチドの、たとえば、気道への、鼻腔内試験による肺内での鼻腔内インフルエンザAウイルス力価を低減するために、予防的使用をサポートしている。このことは、処置したマウスの体重増加によって示されるように、感染の重症度の低減を導く。これらのペプチドはまた、受容体としてシアル酸を用いるパラインフルエンザウイルスの侵入を抑制する。実施した実験に基づいて、本発明のペプチドは、毒性がなく、非免疫原性であると思われ、耐性ウイルス変異体を生成しなかった。さらに、それらのことは、インフルエンザウイルスに感受性の動物集団に拡がるそのようなペプチドの適用、動物の健康を保護すること、人獣共通感染症の脅威を減らすことの両方を支持する。
本発明を、特定の例を参照して個々に示し、そして説明したが、形態および詳細における様々な転換が本発明の範囲から離れることなく行われうることは当業者に理解される。

Claims (44)

  1. アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)を有し、式中、
    X1はフェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであることができ、
    X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
    X3はチロシンまたはバリンであることができ、
    X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
    X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
    X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができる
    ペプチド、またはペプチドのフラグメントまたは変形体を包含する、式Aの薬剤であって、
    前記ペプチドのフラグメントまたは変形体は、表面にヘマグルチニンを有するウイルスの処置における使用のために、表面にヘマグルチニンを有するウイルスが細胞に対して結合するのを抑制するように、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である、薬剤。
  2. WLVFFVIAYFAR(FP2)またはWLVFFVIFYFFR(FP1)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体が包含され、前記ペプチドの変形体はヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である、請求項1に請求する式Aの薬剤。
  3. ペプチド変形体には、別のアミノ酸によって保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸が含まれ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする、請求項1または2に請求する式Aの薬剤。
  4. WLVFFVIAYFAR(FP2)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体であり、ペプチド変形体には、別のアミノ酸によって保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸が含まれ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする、請求項1または2に請求する式Aの薬剤。
  5. ペプチドはアミノ酸配列FFVIFY(配列番号2)またはWLVFFV(配列番号5)を有し、随意に、配列番号2または配列番号5はさらに、ペプチドのCまたはN末端でRRKK(配列番号3)を含むことができる、請求項1〜3のいずれか一項に請求する薬剤。
  6. ペプチドは、次の
    IFYFFR 配列番号8、および
    IAYFAR 配列番号10
    から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に請求する薬剤。
  7. ペプチドには、次の
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13
    FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
    FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15
    FP12 FFVIAYFAR 配列番号16
    FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
    またはヘマグルチニンと特異的に結合すること、および細胞へのウイルスの結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13、6、7、14、15、16または17によって提供されるアミノ酸配列のフラグメントまたは変形体から選択されるアミノ酸配列が含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に請求する薬剤。
  8. 次の
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、
    またはヘマグルチニンと特異的に結合すること、および細胞へのウイルスの結合を抑制することが可能である、配列番号11〜14によって提供されるアミノ酸配列のフラグメントまたは変形体から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが包含される、請求項7に請求する薬剤。
  9. 次の
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
    またはヘマグルチニンと特異的に結合すること、および細胞へのウイルスの結合を抑制することが可能である、配列番号11〜13によって提供されるアミノ酸配列のフラグメントまたは変形体から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが包含される、請求項8に請求する薬剤。
  10. 次の
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
    またはヘマグルチニンと特異的に結合すること、および細胞へのウイルスの結合を抑制することが可能である、配列番号12または13によって提供されるアミノ酸配列のフラグメントまたは変形体から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが包含される、請求項9に請求する薬剤。
  11. アミノ酸配列WLVFFVIAYFAR(配列番号11)を有するペプチドが包含される、請求項9に請求する薬剤。
  12. WLVFFVIAYFAR(FP2)またはWLVFFVIFYFFR(FP1)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体からなり、前記ペプチド変形体は、表面にヘマグルチニンを有するウイルスの処置における使用のために、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である、請求項1に請求する薬剤。
  13. 次の、
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
    FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6、
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、
    FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15、
    FP12 FFVIAYFAR 配列番号16および
    FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドからなる、請求項12に請求する薬剤。
  14. 細胞に対してウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスの処置における使用のためのものであり、前記ウイルスはインフルエンザである、請求項1〜13のいずれか一項に請求する薬剤。
  15. アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)で、式中、
    X1はフェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであることができ、
    X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
    X3はチロシンまたはバリンであることができ、
    X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
    X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
    X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができる
    もの、またはペプチドのフラグメントまたは変形体を包含する、式Aの薬剤であって、
    前記ペプチドのフラグメントまたは変形体は、対象体でのウイルス感染の防止における使用のために、ウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスが細胞に対して結合するのを抑制するように、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能であり、前記ウイルス感染はウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスによってのものである、薬剤。
  16. WLVFFVIAYFAR(FP2)またはWLVFFVIFYFFR(FP1)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体から構成され、前記ペプチドの変形体はヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である、請求項15に請求する式Aの薬剤。
  17. 別のアミノ酸によって保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸を有するペプチド変形体が包含され、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする、請求項16に請求する式Aの薬剤。
  18. WLVFFVIAYFAR(FP2)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体が包含され、ペプチド変形体には、別のアミノ酸によって保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸が含まれ、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする、請求項17に請求する式Aの薬剤。
  19. アミノ酸配列FFVIFY(配列番号2)またはWLVFFV(配列番号5)を有するペプチドが包含され、随意に、配列番号2または配列番号5はさらに、ペプチドのCまたはN末端でRRKK(配列番号3)を含むことができる、請求項15の薬剤。
  20. 次の
    IFYFFR 配列番号8、および
    IAYFAR 配列番号10
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドから構成される、請求項15の薬剤。
  21. 次の
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13
    FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
    FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15
    FP12 FFVIAYFAR 配列番号16
    FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドまたはヘマグルチニンと特異的に結合すること、およびウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスの細胞への結合を抑制することが可能である、配列番号11、12、13、6、7、14、15、16または17によって提供されるアミノ酸配列のフラグメントまたは変形体から構成される、請求項15の薬剤。
  22. 次の
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14
    FFVIFY 配列番号2
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントまたは変形体から構成され、前記フラグメントは、ヘマグルチニンと特異的に結合すること、およびウイルスの表面にヘマグルチニンを有するウイルスの細胞への結合を抑制することが可能である、請求項15の薬剤。
  23. WLVFFVIAYFAR(FP2)またはWLVFFVIFYFFR(FP1)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するペプチドまたはペプチドの変形体からなり、前記ペプチド変形体は、表面にヘマグルチニンを有するウイルスの処置における使用のために、ヘマグルチニンに特異的に結合することが可能である、請求項15に請求する薬剤。
  24. 次の、
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
    FP3 WLVFFVIFYFFRRRKK 配列番号12、
    FP4 RRKKWLVFFVIYFFR 配列番号13、
    FP8 WLVFFVRRKK 配列番号6、
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、
    FP11 FFVIAYRRKK 配列番号15、
    FP12 FFVIAYFAR 配列番号16および
    FP13 FFVIAYFARRRKK 配列番号17
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドからなる、請求項15に請求する薬剤。
  25. 次の
    FP2 WLVFFVIAYFAR 配列番号11、
    FP9 FFVIFYRRKK 配列番号7、
    FP10 IVWFYLFRFFVF 配列番号14、または
    FFVIFY 配列番号2
    から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドからなる、請求項15の薬剤。
  26. 対象体でのウイルス感染の防止における使用のための、請求項15〜25のいずれか一項の薬剤。
  27. 配列番号1〜17、21、22、または23のいずれか1つから選択したアミノ酸配列を有するペプチドが包含されるかまたはそれからなる、式Aの薬剤。
  28. 式Aの薬剤は、WLVFFVIAYFAR(FP2)の少なくとも4つの連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列をもつペプチドまたはペプチドの変形体が包含されるかまたはそれからなり、ペプチドの変形体は別のアミノ酸によって保存的に置換された1つおよび3つの間のアミノ酸を含み、ペプチドはヘマグルチニンに特異的に結合することができることを特徴とする、請求項27に請求する薬剤。
  29. 配列番号2〜17、21、22、または23のいずれか1つから選択したアミノ酸配列を有するペプチドが包含されるかまたはそれからなる、請求項27に請求する式Aの薬剤。
  30. 請求項27〜29のいずれか一項に請求するペプチドをコードすることができる核酸配列。
  31. 請求項30の核酸配列および核酸配列に操作可能に連結されたプロモーター領域を含む、発現構築物。
  32. 式Aのペプチドまたは式Aに基づくペプチドまたは非ペプチドが包含される薬剤を定めるための方法であって、式Aは、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6、(配列番号1)を包含し、式中、
    X1はフェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであることができ、
    X2はロイシンまたはフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、
    X3はチロシンまたはバリンであることができ、
    X4はロイシン、フェニルアラニンまたはイソロイシンであることができ、
    X5はフェニルアラニンまたはアラニンであることができ、および
    X6はバリン、アルギニンまたはチロシンであることができるものであり、
    次のステップ、
    a)テストされる薬剤の存在下および非存在下で、テスト細胞を、ウイルスがそのようなテスト細胞に感染するのを典型的に可能にする条件下に曝露すること、
    b)感染したテスト細胞の数および/またはテスト細胞の感染率をウイルスに曝露した後に比較すること、および
    c)テストする薬剤が保護効果を提供するか、および細胞の感染を抑制するかどうかを定めること
    を含む、方法。
  33. ウイルスを処置するかまたは対象体のウイルスによる感染を防ぐ方法であって、請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤または請求項30の核酸または請求項31の発現構築物の有効量を前記対象体に施すことを含む、方法。
  34. 請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤の有効量を前記対象体に投与することを含む、請求項33に請求するウイルスを処置するかまたは対象体のウイルスによる感染を防ぐ方法。
  35. ウイルスはインフルエンザである、請求項33または請求項34に請求する方法。
  36. 請求項27〜29のいずれか一項に請求するペプチドを含む薬剤をコードしうる核酸を含む細胞。
  37. 細胞は対象体の固有ミクロフローラに見出される細胞である、請求項36の細胞。
  38. 細胞は、ラクトバシラス、特には対象体に投与するのに適したプロバイオティクス培養物中で提供されるラクトバシラスである、請求項36または請求項37のいずれか一項に請求する細胞。
  39. 請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤は動物において発現される、請求項36〜38のいずれか一項に請求する細胞を含む動物。
  40. 動物は遺伝的に修飾され、その結果請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤は動物において発現される、請求項39に請求する動物。
  41. 動物は、家禽、家畜化動物、特にはニワトリまたはブタから選択される、請求項39または請求項40に請求する動物。
  42. 請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤、請求項30の核酸、請求項31の発現構築物または請求項36〜38のいずれか一項の細胞を、薬学的に許容可能な基材と組み合わせて含む、製薬上組成物。
  43. 請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤、請求項30の核酸、請求項31の発現構築物または請求項36〜38のいずれか一項の細胞の、抗ウイルス薬または予防薬としての使用。
  44. 請求項27〜29のいずれか一項に請求する薬剤、請求項30の核酸、請求項31の発現構築物または請求項36〜38のいずれか一項の細胞の、抗インフルエンザ薬または予防薬としての使用。
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