JP2013535778A - 高臨界電流容量を持つ高温超伝導テープ導体 - Google Patents

高臨界電流容量を持つ高温超伝導テープ導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、可撓性金属基板を有する高温超伝導テープ導体に関するもので、該高温超伝導テープ導体は、上記可撓性金属基板上に配置されると共に該可撓性金属基板とは反対の側に段丘を有する少なくとも1つの中間層を備える。上記段丘の平均幅は1μm未満であり、該段丘の平均高は20nmより大きい。当該高温超伝導テープ導体は上記中間層上に配置された少なくとも1つの高温超伝導層を有し、該高温超伝導層は3μmより大きな層厚を有する。導体幅に対する当該高温超伝導テープ導体の電流容量は、77Kにおいて600A/cmより大きい。

Description

本発明は、高温超伝導テープ導体に関する。
以下において、可撓性金属基板箔を基礎とし、該基板上において1以上の中間層上に少なくとも1つのHTS層が重ねられた超伝導体構造を、高温超伝導テープ導体(HTSテープ導体)又は単にテープ導体と称する。緩衝層とも称される上記1以上の中間層は、例えば、拡散障壁として作用することができるか、又は結晶配向をもたらすことができると共に、HTS層に対するエピタキシ支持体として作用することができる。
HTSテープ導体は、電気及びエネルギ技術においては、ワイヤ、ケーブル又はループ若しくはコイルが形成される普通の導体材料である。HTSテープ導体の品質を評価するための及び容量を表すための特徴パラメータは、当該導体が如何なる観察可能な抵抗もなしに電流を伝送することができる臨界電流容量(critical ampacity)である。高い技術電流密度(即ち全導体断面により伝送される電流)とは、当該文脈では、非常に大きな電流及び電力を非常に小さな空間(断面積)で伝送することができるということを意味する。
電流密度が高いほど、より小型の電気系(ケーブル、モータ、コイル等)を設計することができる。更に、交流応用分野では、超伝導体内で発生される低交流損失は、伝送電流I対臨界電流Iを意味する比率I/Iに強く依存する(Supercond. Sci. Technol. 22 (2009) 055014; Physica C 445-448 (2006) 712)。このように、Iを倍増することは、同一の伝送電流負荷に対して約1桁の交流電流損失の低減につながる。また、HTSテープ導体の価格は、一般に性能に関係し、キロアンペア-メートル当たりのユーロ(ユーロ/kA・m)で示される。電流容量はHTS層によってのみ与えられるので、この層の改善は性能関連製造コストの低減につながる。何故なら、他の製造工程(基板、中間層等)のコストは変わらないままであるからである。このように、臨界伝送電流の改善は、用途に最適化されたHTSテープ導体の製造の間における中心的狙いである。
直ぐに明らかな対策は、実効HTS導体断面が増加するようなHTS層の厚さの増加であり、かくして電流容量は層厚に伴い線形に増加する。しかしながら、実際には、付加的層厚が電流容量の如何なる更なる増加にもつながらない点まで、HTS層の固有電流容量は層厚の増加に伴い減少することが観察される。このように、上記の付加的層厚は、電流の伝送に対して何の助けにもならない死んだ材料に過ぎない。従って、質的に高い値のHTS層厚は、現在のところ、3〜5μm未満の厚さに限られている。
高温超伝導体(HTS)は酸化物セラミック超伝導体であり、CuO2層が結晶構造における中心的エレメントである。この材料類の通常の代表的物質は化学分子式RBa2Cu3O7(以下では、RBCOと略称する)を持つ化合物であり、ここで、Rは希土類からの元素(例えば、Dy、Gd、Ho等)又はイットリウム(Y)である。
HTSの明白な特徴は、その強い結晶異方性である。CuO2面は当該結晶中に所謂a-b軸により広がり、これに垂直な方向はc軸と称されている。該結晶異方性は、なかでも超伝導電流容量、規定された方向に沿う拡散係数及び結晶成長速度等の、HTSの殆ど全ての物理的及び電気的特性に影響を及ぼす。
HTSが基板上に物理的又は化学的方法により薄層として堆積される場合、これらは多数の個別の晶子(クリスタライト)又は粒子(グレイン)からなる。これらの結晶配向が互いに強く変化する場合、大角度の粒子境界が超伝導電流の流れを、臨界電流容量が単一粒子の本来の電流容量より数桁低くなるように妨害する。従って、高電流容量のHTSテープ導体中の粒子は、或る程度の変化範囲内で相互に配列されねばならない。
従って、通常のコーティング技術によりb軸的にテクスチャ化されたHTS層が作製され、その場合、a-b軸は基板表面に平行な下層に対して一定の関係で配置され、c軸は該軸に垂直である。これは、層のc軸配向と言われている。通常、この配置はエピタキシャル処理により微小長規模でも達成されるが、これは適切な下層が当該結晶性HTS層の成長方向を定めることを意味する。適切な下層は、例えば、サファイヤ、MgO、LaAlO3等の単結晶ディスクであり、その結晶対称及び格子定数は当該HTS層に適合される。また、薄い金属シートが互いに良好に配置された粒子を伴って生成されるように、幾つかの金属を機械的変形及び除去により前処理することもできる。これは、所謂RABiTS法(米国特許第5964966号)等の従来技術である。
米国特許出願公開第2008/0113869号公報は、テクスチャ化されておらず且つニッケル基合金を含む基板を有する超伝導部材を開示しており、上記ニッケル基合金は主にニッケル及び20重量%以上の合金成分を有し、上記基板はモリブデン及びマンガンを実質的に含まない。更に、該超伝導部材は、上記基板上に配置された緩衝層、及び該緩衝層上に被着された高温超伝導層(HTS)を有している。
しかしながら、多くの金属及び合金における晶子は斯様な単純な方法では整列させることができない。これらの場合、当該金属基板上に直接的に又は中間層を介して堆積される緩衝層を、更なる層のためのエピタキシャル順応支持体を設けるための適切なプロセス制御により整列させるための方法が選択される。そのようにすることにより、なかでも、二軸配向HTS層の成長も可能となる。この技術においては、一般的に2つのPVD法(物理的気相成長法)、即ち“イオンビーム支援蒸着法(IBAD)”又は“傾斜基板蒸着法(ISD)”が使用される。上記IBAD法では堆積の間において当該層上に付加的に向けられるイオンビームが所望の配向に影響を与え(ヨーロッパ特許第0872579号、米国特許第5432151号)、これとは対照的に、上記ISD法では、配向は、当該基板が到来するコーティング材料の到来方向に対して傾斜される場合の成長選択性により発生される(ヨーロッパ特許第0909340号及び同第06999411号)。
出願人のドイツ国特許出願公開第19754475号公報は、アモルファス又は多結晶基板、テクスチャ化緩衝層及び配向薄層を該順番で備えた被覆材料を開示しており、上記緩衝層と薄層との間には少なくとも1つのカバー層が包まれている。上記少なくとも1つのカバー層により、製造に起因する上記緩衝層における間隙及び凹凸が補償され、上記配向酸化物薄膜は該膜のエピタキシャル成長のために設けられた上記表面により高品質を有するようになる。
完全なエピタキシによれば、HTS層における臨界電流密度は層厚とは完全に無関係であるべきであり、HTS層の厚さを単に増加させることにより高伝送電流が達成されるべきである。しかしながら、実際には、層厚の増加に伴い臨界電流密度の大きな低下が観察され、今までのところ、3〜5μmを越える厚いHTS層において伝送電流の大きな増加を達成することが成功するのみである。この強い層厚依存性の幾つかの可能性のある主たる原因を、以下に簡単に説明する。
上記基板と上記HTS層との間の異なる熱膨張係数は、一般的に>650℃なる高い温度で堆積されるHTS層が冷却の間にストレスを受けるようにさせ得る。例えばサファイヤ、LaAlO3、YSZ(イットリウム安定化ジルコニウム酸化物)等の殆どの通常の酸化物基板材料のみならずシリコンも、HTS層よりも大幅に低い膨張係数を有するので、引張応力を受けることになる。特定の層厚から始まって、この引張応力は亀裂により緩和されるが、その場合において、臨界電流は大凡数桁低下するか、又は当該層を介して、最早、連続的な超伝導経路がつながることがなくなる(W. Prusseit et al., Physica C 201, (1992), 249-256)。
上記文献から、この問題を当該HTS層に固有の多孔性を生じさせることにより解決する方法が知られている。多孔の成長は、当該層が応力を一層良好な態様で吸収することを可能にするか、又は孔により亀裂の広がりを停止させることを可能にする。サファイヤ上では、例えばYBa2Cu3O7の臨界層厚は約300〜400nmで到達される。多孔性は、例えば当該膜中のイットリウムの余剰により(K. Develos-Bagarinao, H.Yamazaki, in: YBCO
Superconductor Research Progress, Ed.: Li-Chun Liang, S53 - 92, Nova Science Publ. (2008), ISBN: 978-1-60456-083-1)、又は完全なエピタキシ配向から或る程度の食い違いで、スライス及び研磨された基板上におけるエピタキシャル成長により(Appl. Phys. Lett. 86 (19) (2005) 192507, IEEE Trans. Appl. Supercond. 17, (2007), 3459 - 3462)実現することができる。後者は、結晶軸(c軸)が典型的には基板垂線から約1°〜6°ずれることを意味する。そのようにすることにより、サファイヤ上に亀裂のないYBa2Cu3O7層を1μmまでの厚さで作製することが可能となった。しかしながら、多孔性は電流密度の損失にもつながるので、差し引きの後、伝送電流の改善のみが観察された。
金属基板上では、熱膨張の効果は通常は重要ではない。何故なら、金属の膨張係数はHTS層のものより高いので、該層は圧縮応力のみを受ける状態となり、亀裂の形成は見られないからである。従って、テープ導体のHTS層においては原理により数マイクロメートルの層厚さえ実現することができる。しかしながら、ここでも、層厚に対する臨界電流密度の強い依存性が観察される(Appl. Phys. Lett. 75, (1999), 3692 - 3694)。
これらの依存性の特徴及び原因は、しばしば、製造方法に基づくものである。事実、層のエピタキシャル成長は決して完全ではなく、例えば配向がずれた粒子(殆どの場合、a軸粒子)又は不純物相等の成長欠陥が現れる。これらが一旦発生されると、これらは更なる層成長の間において、最早、消滅することはない。更に、これらは当該層中に蓄積するか、又は電流の流れを事実上妨害するほど成長する。RBCOにおいては、a軸配向の粒子の発生が、しばしば、観測される。何故なら、c方向の格子パラメータは一般的にa軸格子パラメータの正確に3倍であり、両配向に対して同等なほど類似したエピタキシ条件が満たされるからである。また、HTSにおける結晶成長速度は強く異方的であり、a方向における晶子はc方向におけるよりも大幅に速く成長するので、これら粒子は当該層中において容器に入れられた釘又は小さな板のように観察され、これらは電流の流れを壁のように妨害する。一定の核生成率に対する層厚の増大により、斯様な粒子の益々多くのものが発生され、これらは長さ方向の成長故に互いに垂直である壁の網を最終的に構築する。このように、更なる層の成長は、伝送電流に対する如何なる貢献も付加することのない死んだ表面近接層となるだけである。
HTS層の厚さを増加させることにより一層大きな電流を達成しようと欲する場合、このように、これらの欠陥を抑圧し又は斯かる欠陥の成長を厳格に制限することが重要である。このことのために、従来技術では2つのみの成功する方法が知られている。一方、HTS層に発生される欠陥を、YBa2Cu3O7(500nm)及びCeO2(30nm)からなる二重層の周期的シーケンスによる薄いCeO2-中間層によって押しのけ又は補償し、後続のHTS層に対して再び可能な限り完全な支持体が設けられるようにすることが試みられた(Appl. Phys. Lett.87 (2005), 162505)。これらの方法によれば、HTS多層を備え、3.5μmの厚さ及び1400A/cmの臨界電流容量(75Kで)を有するテープ導体片を製造することができた。しかしながら、2つの成分の交互の堆積は、製造技術方法の複雑さを示すと共に、望ましくない費用要因につながる。
他方、バンドコーティングの間においてHTSコーティングの間の温度を特に均一な空洞放射ヒータにより可能な限り一定に維持し、この対策により成長のための理想的条件を提供しようと試みられた。この構成により、6μmまでの厚さで、約1000A/cm(77Kで)のGdBCO層を堆積することができた。しかしながら、このヒータ案の使用は、ここで使用されるPLDコーティング法(PLD:パルスレーザ堆積法)に限定される。何故なら、この方法は、ヒータの壁に相対的に小さなコーティング開口しか必要としないからである。しかしながら、PLD法は、かなり高価な実験室技術であり、大規模な費用効果的テープ導体製造にとっては不適切であると思われる。
厚いHTS層の他の一般的な問題は、十分な酸素添加(oxygen load)にある。高温>650°における層作製の間においては、最初に半導体正方RBa2Cu3O6相が生成される。酸素中で冷却するとようやく、構造的相転移の結果として単位セル内に第7の酸素原子が組み込まれ、超伝導的斜方晶系のRBa2Cu3O7-δとなるが、ここで、小さな酸素の不足δ<0.15は電流容量に悪影響は有さないので、許容され得る。しかしながら、酸素中における冷却の間においては、当該層に酸素を支持体までの全厚にわたって十分に添加する(ロードする)ことが重要である。このように、HTS層内での酸素拡散も、高度に異方的である。従って、例えばYBCOにおいては、c方向の拡散パラメータDはab方向の拡散パラメータDabよりも4ないし5桁までも小さい(J. Appl. Phys. 69 (1991), 7189-7201)。更に完全なc軸配向HTS層が、成長により生じる粒子境界(表面に対して垂直である)により広がるが、酸素の最終添加の間の処理時間にとってはc方向の遅い拡散速度が非常に重要である。厚い膜に対して添加時間が大幅に増加されない場合、当該HTS層の一層深い領域は酸素が十分に添加されず、従って電流伝送のためには使用することができない。より厚い層の完全な添加は、恐らく、極端に長い処理時間を必要とし得、これは製造における製造ライン当たりの出力を制限することになる。
米国特許第5964966号 米国特許出願公開第2008/0113869号公報 ヨーロッパ特許第0872579号 米国特許第5432151号 ヨーロッパ特許第0909340号 ヨーロッパ特許第06999411号 ドイツ国特許出願公開第19754475号公報
従って、本発明の課題は、上述した欠点を少なくとも部分的に回避する高電流容量を持つHTSテープ導体を提供することである。
本発明の一実施例によれば、この課題は請求項1に記載のHTSテープ導体により解決される。一実施例において、可撓性金属基板を備える高温超伝導テープ導体は、上記可撓性金属基板上に配置される少なくとも1つの中間層と、該中間層上に配置される少なくとも1つの高温超伝導層とを有し、上記中間層は上記可撓性金属基板とは反対の側に段丘(テラス群:terraces)を有し、これら段丘の平均幅は1μm未満であり、且つ、これら段丘の平均高は20nmより大きく、前記少なくとも1つの高温超伝導層は前記少なくとも1つの中間層上に配置されると共に3μmより大きな層厚を有し、当該高温超伝導テープ導体の導体幅に関係する電流容量(ampacity)は77Kにおいて600A/cmより大きい。
上記に規定されたHTSテープ導体は、大きな層厚に対してさえも非常に大きな伝送電流を搬送することができる。このことは、本発明によるHTSテープ導体の製造の間においてHTS層の成長モードが、層厚の増加に対する臨界電流密度の劣化の前述した理由のうちの最も重要なものが抑圧されるように制御されることにより達成される。特に、段丘状のHTS成長モードは、超伝導a-b面内に閉じ込められる欠陥が過度に成長され得ることを妨げる。HTS層のa-b面が基板面に対して傾斜角を有すると特に有利であることが証明された。当該層の段丘状成長は、達成される電流密度に対して大きな性能損失を容認しなければならないということなしに、3μmを越えるまでのHTS層厚の増加を可能にする。そのようにすることにより、HTSテープ導体の電流容量は、従来技術に対して大幅に増加され得る。段丘の1つ(テラス)はファセットと、即ち中間層の平らな表面(当該HTS層のエピタキシャル層成長を考慮して無視することができる狂いを除いて)と称することもできる。
他の態様において、前記高温超伝導層は5μm〜10μmの層厚を有する。
他の態様によれば、前記少なくとも1つの中間層の段丘の平均高は50nm〜200nmの範囲を有する。
他の態様において、上記段丘の最大平均高は、前記高温超伝導層の層厚の20%を越えることはない。
更に他の態様において、前記少なくとも1つの中間層の段丘の平均幅は400nm未満である。
他の態様によれば、前記金属基板はハステロイから形成された200μmまでの厚さのシートを有する。
他の有利な態様において、前記少なくとも1つの中間層は1.5μm〜3.5μmの厚さの酸化マグネシウム層を有する。
他の態様によれば、前記高温超伝導層は、RBa2Cu3O7層を有し、ここで、Rはジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)及びイットリウム(Y)からなる群からの1つの元素であり、特にはDyBa2Cu3O7からなる高温超伝導層である。
他の態様において、前記段丘の表面は前記金属基板の面に対して実質的に平行である。
他の態様によれば、前記少なくとも1つの中間層の段丘は異方性エッチングにより形成される。
図1は、0.8μmの厚さを持つYBCO層の臨界電流密度の、MgO基板の傾斜角の関数としての進展を示すと共に、該基板及びHTS層における結晶配向の関係を示す。 図2は、異なる傾斜角度のMgO基板上の異なる厚さのYBCO層の臨界電流密度を示す。 図3は、ISD法により作製された段状の傾斜されたMgO表面の電子顕微鏡写真である。 図4は、傾斜された結晶軸を持つ結晶支持体の表面に垂直な断面図であり、Aは傾斜切断され研磨された単結晶であり、BはISD法により作製された層であり、c軸及び段丘状表面の垂線の両方向は基板垂線から約角度βだけずれている。 図5は、平坦な支持体上(A)及び段状支持体上(B)のc軸配向HTS層におけるa軸配向粒子の成長の概略断面図である。 図6は、平坦な支持体上(A)及び段状支持体上(B)のc軸配向HTS層における不純物相の成長及び包み込みを示す概略断面図である。 図7は、HTSテープ導体のISD-MgO層上のDyBCO層の電子顕微鏡断面写真である。 図8は、ISD-MgO緩衝層を備えたテープ導体における異なる厚さのDyBCO層の電流容量を示す。 図9は、結晶傾斜のない段状支持体上のc軸配向HTS層におけるa軸粒子及び不純物相の成長及び不純物包み込みを示す概略断面図である。
以下の詳細な説明では、本発明の現在のところ好ましい実施例を、図面を参照して説明する。
以下、先ず“臨界電流”なる用語を説明し、その後、本発明によるHTSテープ導体の現在好ましい実施例を詳細に説明する。
超伝導体は、直流電流を固有の臨界電流密度まで無損失で伝送することができる。この臨界値が到達され又は超過された場合、超伝導体内での磁力線(magnetic flow lines)の移動に起因する観測可能な電気損失が現れる。通常、技術工学では臨界の電流密度、即ちHTS層の断面に関係する電流の到達を定義するために1μV/cm評価基準が用いられる。臨界伝送電流は、臨界電流密度とHTS層断面積との積から得られる。HTSテープ導体の事実関係では、導体の幅に関係するA/cmでの臨界電流も、しばしば、用いられる。特記しない場合、値は77Kの測定温度に関係するものである。最後に、技術電流密度は完成した技術テープ導体の電流密度であり、臨界アンペア数、及び基板及び他の層及び積層体を含む全導体の断面積の商から得られる。
多層の堆積又は正確な温度制御等の従来技術から既知の対策とは独立に、HTS層の成長モードも、層厚の増加に伴う臨界電流密度の低下の前述した原因のうちの最も重要なものが抑圧されるように制御することができる。このことは、本発明によれば、段丘状の(terrace-like)層成長により達成される。当該HTS層のa-b面が基板表面に対して傾斜された角度で配置されることが特に有利であることが分かる。特に、この傾斜角が5°と30°との間である場合に良好な結果が得られる。
HTSテープ導体を製造するために、このような支持体は、例えばヨーロッパ特許第0909340号によるISD法により、傾斜されたMgO緩衝層を用いて準備することができる。(100)配向からのずれ及びMgO基板の表面形態のHTS層成長に対する影響を互いに分けて調べるために、第1ステップにおいて配向がずらされた(disoriented)研磨されたMgO単結晶に対してコーティング実験が行われた。傾斜角は[001]方向に対して付与されるので、0°は完全な(100)配向MgO基板を示す。傾斜は[110]方向に、即ち立方体MgO単位セル(単位格子)の境界の方向に行われる。
MgO基板上に異なる配向ずれでYBCO膜が、ヨーロッパ特許第1558782号によるYBCO粒体の電子ビーム気化により堆積された。0.8μmの層厚を持つYBCO層に関する結果が、表1に要約されている。第1行には[001]方向に対するMgO基板の傾斜角が示され、第2行には、X線回折により決定された基板垂線に対するYBCOc軸の傾斜が示されている。該超伝導層の品質は第3行の誘導的に決定された臨界電流密度により特徴付けられる。
Figure 2013535778
約10°の基板傾斜までは、当該HTS層は明らかに基板の事前設定に追随することができ、これはc軸の同様の傾斜において予測される。しかしながら、傾斜角が更に増加されると、HTS層は、最早、支持体に追従しない。基板表面の強い配向ずれは段の集積により明らかに補償され、HTS層のc軸は基板に垂直となることができる。20°なる非常に強い配向ずれの場合、結果(*により印されている)は傾斜の方向に強く依存する。何故なら、特定の方向では新たな有利なエピタキシ条件が生じ得ることがあり得るからである。
一般的に、非常に大きな角度に対してc軸テクスチャは依然として観察されるが、X線極図は基板面内のHTS層には明らかに定まった結晶配向は最早存在しないことも示している。結果が、ここでも、図1に図解的に示される。臨界電流密度は小さな傾斜角に対しては大幅に増加し、5°〜7°の間において最大値に達し、角度が更に大きくなるほど劇的に低下する。基板とHTS膜との間の配向の関係が下の領域(A、B、C)に示されている。
明らかなことに、転移(dislocations)及び微細孔(pores)は僅かな傾斜に対して磁力線(flow lines)に対する追加のピン留め中心として働くが(これは臨界電流容量を増加させる)、より大きな角度における欠陥の種類及び増加する密度は、結晶格子及び超伝導体特性の障害となる。試験は、支持体の配向ずれは特定の程度までは臨界電流密度の増加を可能にすることを証明している。しかしながら、MgO基板においては、5°〜7°より大きな傾斜角は成功するようには見えない。
次に、層厚の増加及び厚いHTS層の品質に対する上記傾斜の影響を調べる。従って、3μmまでの厚さのHTS層が、試験ロットの全MgO基板上に堆積された。その結果が、3つの傾斜角に関して図2に例示的に示されている。傾斜は臨界電流密度の絶対値に対して上述したような好ましい効果を有するが、これら値は、基板が傾斜されているか否かという事実とは無関係に、層厚の増加に伴い連続的に減少する。層厚の増加に対する基板傾斜の好ましい効果も観察されなかった。
傾斜切断及び研磨による単結晶基板の所望の配向ずれとは別に、例えば、ISD法は配向がずらされた支持体を準備する他の選択枝である。この方法では、好ましくはMgOの緩衝層材料が、傾斜された角度で多結晶の又はアモルファスの支持体上に堆積される。この場合、特徴的な成長柱が発生され、これら成長柱の(100)面は到来する材料の方向に傾斜される。成長選択により、MgO表面は2軸配向された晶子からなり、これら晶子は面内における5°〜15°の角度ずれ範囲内で同一の配向を有する。この場合、結果としてのMgO表面の[001]方向は、基板垂線に対して15°〜30°だけ傾斜された到達角度に依存する。このように、これは相対的に強い傾斜である。このMgO層の表面は、前述した傾斜切断されるが平坦な単結晶とは特徴的なファセット又はテラス構造により著しく相違する。これは、板葺き屋根を連想させもので、図3に電子顕微鏡的上面図で示されている。
図4は、傾斜された配向(矢印)を持つが平らな表面を持つ基板(A)と、基板垂線に対して角度βだけ傾斜された段丘(テラス群)により構築された表面を持つ基板(B)との間の特徴的相違を概略断面で示している。
HTS成長のために斯様な段丘状エピタキシ支持体が使用された場合、この成長は平らな表面を持つ基板上のHTS成長とは著しく且つ特徴的態様で異なる。平らな基板上のHTS層は、境界領域において、転移により生じるピンホールを補償して、傾斜に追従し又は(大きな角度ずれの場合)完全に独立に理想的なエピタキシ支持体から整列しなければならないが、当該層は、段丘状表面の単一ファセット(テラス)上で、最適に配向された(配向ずれのない)単結晶上におけるような或る種の微細エピタキシで発芽し且つ成長することができる。該表面は、小さな、角度をなして配置されているが、それ以外では完全なc軸配向された単結晶の集合として作用する。該HTS層は、全体の基板面に対して強い傾斜に追従する。このHTS成長は、ISD法の場合のテープ導体製造において現在特徴的であり、例えばX線回折による等の非常に簡単な方法で証明することができる。
HTS層における頻発する欠陥の発生及び成長に対する該成長モードの影響の原理的な差が、図5及び6に示されている。c方向が基板面内にあるような平らな基板上では(図5A)、a軸粒子は、a-b方向の一層速い成長速度により当該層から台形状で成長することができ、従って寸法が制限されることがない。
これとは対照的に、十分な段高を持つ段状表面のテラス上で発芽したHTS粒子は、通常、該テラスの幅により制限される。斯かるテラス的成長が当該HTS層内で継続する。テラスの有限の幅は、特に、HTS晶子が無原則に大きくなり得ず、隣の段の肩部により制限されるようにさせる。後者のものは、当該HTS層における欠陥の成長にも影響を与える。棒状のa軸配向粒子が核となる場合、これらの粒子の拡大も、これらの段により制限される(図5B(a))。更に、これら粒子は上に配置された段からのa-b方向の一層速い成長により過度に成長され得(図5B(b))、これにより終了され得る。
化学構造が周囲のHTS層とは相違する包み込まれた不純物相、即ち化学物質堆積の状況でも、非常に類似している。これが、図6に概略断面で示されている。このような化学物質堆積が平らな支持体上のHTS層中に生じた場合(図6A)、これら堆積物は、しばしば、周囲のHTS層により過度に成長されず(異なる自由表面エネルギにより)、進行する層成長の過程で更なる物質を上向き方向に包み込むので(破線及び点線により示される)、これら堆積物は時には当該HTS層から上方に突出する。これらの殆どが銅を豊富に含む化学物質堆積物はRBCO層において良く知られている。しかしながら、HTS層が段状の基板上で段丘的態様で成長する場合(図6B)、斯かる化学物質堆積物は、矢印(W)により示されるように、より高く位置する段からa-b方向(角度面)への一層速い成長により側部から過度に成長される。新たな物質の堆積は横方向に行われるので(破線及び点線により示されるように)、包み込みはa-b面に沿って行われ、当該層を垂直方向に横断することはない。該化学物質堆積物が、HTS層では粒子境界(KG)となる肩部に到達すると、該堆積物の成長は該肩部により完全に停止され得る。このことは、ISD法により製造されたHTSテープ導体サンプルの図7の電子顕微鏡断面写真に印象的に見られる。
該写真は、25,000倍で、下側領域に、MgO層の特徴的な柱状成長及び明るいHTS層に対する段状の境界領域を示している。該HTS層には、不純物相(矢印)の明るい及び暗い包み込み部が見られ、これら包み込み部は、図6Bで説明したように、傾斜されたHTS面に沿って角度的に延びると共に、殆どの場合、例えば破線矢印により強調された粒子境界において停止される。
上記HTS層上には、更に、より暗い薄いシリコン層が見られるが、該層は該断面写真の準備のために必要とされたもので、他の意味は有さない。また、HTS表面は段丘状成長を証明する明らかな段を有している。該HTS層の傾斜角度はMgO段丘のものと同一である。しかしながら、HTS層におけるテラスの幅は、大幅に大きい。このことは、MgOにおける小さな段高を持つ一層小さな段は、速いa-b成長速度及び横方向拡散によってHTS層により覆われ且つ埋め合わされ得ることを示している。
また、傾斜された成長は、酸素添加の点でも利点を有する。何故なら、高い酸素拡散係数を持つa-b面が、基板に平行に配向されるのではなく、層表面に向かって開放されているからである。このことは、緩衝境界面までの当該HTS層の一層深い領域への酸素の拡散を促進し、処理時間を大幅に短縮する。
上述した所見及び結果により、傾斜された段丘状成長が当該HTS層内で保証される限り、通常の劣化メカニズムの多くが抑圧されるか又は少なくとも強力に修正されることに気付く。この成長モードによれば、かくして、高臨界伝送電流を持つHTS層を製造することが可能となる。証拠として、ヨーロッパ特許第0909340号に従ってISD法により被着され、且つ、基板垂線に対して25°なる[001]方向の傾斜を有する2.5μm厚のMgO緩衝層上に一連の層厚のDyBCO層が作製された。90μmの厚さを持ちハステロイC276からなる電解研磨されたシートが基板の役割を果たした。DyBCO層は700℃の基板温度においてDyBCO粉の電子ビーム蒸着により堆積された。表面上の500nmの厚さを持つ銀接触層が低抵抗接触子及び当該HTS層への電流誘導子としての役割を果たした。X線回折測定は、予測によるMgO層におけるのと同様に、基板垂線に対して25°のHTSc軸の同一の傾斜を示した。各々が10cmの長さ及び1cmの幅を持つテープ導体サンプルから、幾つかの短い断片が切り出され、1.1mmの幅を有する測定ブリッジを備えるようフォトリソグラフィック的に構造化された。これらのブリッジにより、且つ、4点測定により、液体窒素浴(77K)内での臨界伝送電流が決定された。この試験系列の結果が表2及び図8に要約されている。
Figure 2013535778
確かに、これらのサンプルでは、3μmより大幅に厚いHTS層厚の場合でさえも、層厚の増加に対して伝送電流の大幅な増加が観察された。5μmの厚さを持つHTS層においては、1000A/cmを越える幅に対して正規化された伝送電流が測定され、これは均質HTS層に関する世界記録である。図8における測定値のプロット及び典型的に観察される挙動(実線)との比較は、当該HTS層の電流容量は層厚に対して測定値の偏差内で線形に増加すること(破線の最良適合線)、及び通常の劣化メカニズムが強力に抑圧されていることを示している。この層厚の系列では如何なる上限にも達しなかったので、より厚いHTS層により電流容量が更に改善されることが期待される。
これらの試験からの技術的教示は、例えば適切な支持体によるHTS層に段丘状成長を導入することにより、極めて高い電流容量のHTSテープ導体を製造することができ、そのようにすることにより、好ましくは3μmを越える厚さを持つ、特に好ましくは5〜10μmの範囲内の層厚を持つ厚いHTS層を製造することができるということである。このような方法で製造されたHTSテープ導体においては、77Kにおいて600A/cmより大きな、特に好ましくは1000A/cmより大きな、導体の幅に関係する伝送電流を達成することができる。これらのテープ導体においては、基板垂線に対して約5°の周辺の、好ましくは20°と30°との間のc軸の傾斜が、X線回折により特徴的な印と証明することができる。断面の標本(preparation)は、緩衝層とHTS層との間の境界面の段を明らかに示しており、その場合における平均段高は少なくとも20nmである。
適切なエピタキシ下層を、例えばISD法により設けることができる。しかしながら、専ら対応するプロセス制御により又はコーティングの間における基板の傾斜との組み合わせで、傾斜され且つ段が付けられた緩衝層をエピタキシ下層として生成することができる他の方法も考えられる。この場合、支援イオンビームの使用及び既知のIBAD方の変更も可能であり得る。
基板垂線に対するc軸の傾斜は、欠陥の成長及び酸素の添加の点で大きな利点を有するが、上述した予想は、欠陥の成長を抑圧し、制限するために斯かる傾斜が必須的に必要ということではないという結論を可能にする。横方向の過度の成長及び粒子の成長の制限のための前述したメカニズムの多くは、HTS膜に転写される表面の段を必要とするのみである。これが、図5及び図6を認識して、図9に概略的に示されている。粒子の境界は、支持体における段から開始する(破線)。化学物質堆積物(灰色)又はa軸粒子(白)は、より高い配置のレベルから及びテラスの段(粒子境界)において成長され得る。傾斜された段丘とは対照的に、固有の段丘がない場合、欠陥は、表面を越えるまで垂直に、この場合は最も高いレベルに配置される高所上に又は平らな表面上と同様に島上に現れ得る。基板に平行な段又は段丘は、基板に又は基板とHTS層との間に配置された少なくとも1つの緩衝層に、例えば異方性エッチング(乾式又は湿式化学的)により生成することができる。
段丘状エピタキシ支持体の製造とは独立に、段丘(テラス)の幅及び段の高さは、層成長及び欠陥成長に対する有効性を保証するために特有の要件を満たさねばならない。テラスの幅が、HTS層における成長により生じる典型的な粒子寸法よりも著しく大きい場合、これらテラスは成長の如何なる制限も示さず、効果のないままとなる。典型的には、a軸又はc軸成長に対して予測される粒子寸法は1μmのオーダである。従って、平均テラス幅は最大値として1μmの幅を有することが許容される。好ましくは、該幅は400nm未満である。
傾斜された段丘の場合、平均テラス幅bは傾斜角βを介して平均段高h=b・tanβと直接相関される。従って、5°と30°との間の角度範囲においては、最大平均段高は85nmと600nmとの間である。傾斜とは独立に、段は更に特定の最小高を有さねばならず、該最小高は典型的な欠陥核の寸法及び表面上の堆積された層成分の移動度により与えられる。芽生えた欠陥が当該段より高いか、又は該欠陥が容易に過度に成長されるようになり得る場合、如何なる効果もないままとなる。典型的には、有効なISD面の段高は、50nm〜200nmの範囲内である。大きな段丘内に小さな段(如何なる直接的効果も有さない)も出現するので、最小段高の下限は約20nmにより定めることができる。100nmの平均段高により、既にHTS層の厚み成長において良好な結果が達成される。これとは反対に段が非常に高くなると、これら段は当該HTS層における電流の流れに悪く影響する。段高が層厚と同等となり得る場合、層は不連続に成長し、閉じられない。所望のHTS層の厚さの20%までの最大段高が成功すると思われる。何故なら、そのようにすることにより、当該HTS層の伝送特性に対する悪影響が合理的な範囲内に留まるからである。

Claims (10)

  1. 可撓性金属基板を備える高温超伝導テープ導体であって、
    a.前記可撓性金属基板上に配置されると共に、該可撓性金属基板とは反対の側に段丘を有する少なくとも1つの中間層と、
    b.前記少なくとも1つの中間層上に配置されると共に、3μmより大きな層厚を有する少なくとも1つの高温超伝導層と、
    を有し、
    c.前記段丘の平均幅は1μm未満である一方、該段丘の平均高は20nmより大きく、
    d.当該高温超伝導テープ導体の導体幅に関係する電流容量が、77Kにおいて600A/cmより大きい、
    高温超伝導テープ導体。
  2. 前記高温超伝導層が5μm〜10μmの層厚を有する請求項1に記載の高温超伝導テープ導体。
  3. 前記少なくとも1つの中間層における前記段丘の平均高が50nm〜200nmの範囲を有する請求項1又は請求項2に記載の高温超伝導テープ導体。
  4. 前記段丘の最大平均高が前記高温超伝導層の層厚の20%を越えない請求項1ないし3の何れか一項に記載の高温超伝導テープ導体。
  5. 前記少なくとも1つの中間層における前記段丘の平均幅が400nm未満である請求項1ないし4の何れか一項に記載の高温超伝導テープ導体。
  6. 前記金属基板が200μmまでの厚さを持つ、ハステロイから形成されたシートを有する請求項1ないし5の何れか一項に記載の高温超伝導テープ導体。
  7. 前記少なくとも1つの中間層が1.5μm〜3.5μmの厚さの酸化マグネシウム層を有する請求項1ないし6の何れか一項に記載の高温超伝導テープ導体。
  8. 前記高温超伝導層はRBa2Cu3O7層を有し、ここで、Rはジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)及びイットリウム(Y)からなる群からの1つの元素であり、前記高温超伝導層が特にはDyBa2Cu3O7からなる高温超伝導層である請求項1ないし7の何れか一項に記載の高温超伝導テープ導体。
  9. 前記段丘の表面が、前記金属基板の面に対して実質的に平行である請求項1又は請求項2に記載の高温超伝導テープ導体。
  10. 前記少なくとも1つの中間層の前記段丘が、異方性エッチングにより形成される請求項9に記載の高温超伝導テープ導体。
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