JPH0974232A - ジョセフソン接合素子 - Google Patents

ジョセフソン接合素子

Info

Publication number
JPH0974232A
JPH0974232A JP7226695A JP22669595A JPH0974232A JP H0974232 A JPH0974232 A JP H0974232A JP 7226695 A JP7226695 A JP 7226695A JP 22669595 A JP22669595 A JP 22669595A JP H0974232 A JPH0974232 A JP H0974232A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
substrate
josephson junction
superconductor
superconductor thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7226695A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Karimoto
慎一 狩元
Kazunori Miyahara
一紀 宮原
Keiichi Tanabe
圭一 田辺
Shugo Kubo
衆伍 久保
浩二 ▲鶴▼
Koji Tsuru
Minoru Suzuki
実 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP7226695A priority Critical patent/JPH0974232A/ja
Publication of JPH0974232A publication Critical patent/JPH0974232A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】イントリンシックジョセフソン接合列における
接合数を制御して、ジョセフソン接合が近接したコヒー
レント動作による大出力マイクロ波発信器、電圧スイッ
チング型論理素子、従来のジョセフソン素子より出力電
圧が大きい半導体とのハイブリッド素子等に応用がで
き、超伝導エレクトロニクス応用範囲を拡大し得るジョ
セフソン接合素子構造を提供する。 【解決手段】層状構造の超伝導層を有し、かつ層間がト
ンネル型ジョセフソン接合として機能する超伝導体薄膜
を備えたジョセフソン接合素子であって、超伝導体薄膜
は、表面が階段状構造を有する薄膜堆積用基板のテラス
に対して平行にエピタキシャル成長により成膜し、表面
が階段状構造を有する超伝導体薄膜上に1個もしくは複
数個の薄膜成長ステップを挾んで電極端子を形成した構
造のジョセフソン接合素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミリ波帯のSIS
(Superconductor-Insulator-Superconductor)ミキサ
や、電圧スイッチング型の論理回路、コヒーレント動作
による高出力のミリ波発信器(ジョセフソン発信器)等
への応用が可能なジョセフソン接合素子に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル接合型ジョセフソン接合(以下
SIS接合と言う)は、非常に薄い絶縁体(数nm程
度)を超伝導体で挟み込んだ構造のものであって、超伝
導体のエレクトロニクスへの応用における重要な基盤技
術である。しかしながら、高温超伝導体はコヒーレンス
長が極端に短いため(c軸方向で数オングストローム程
度、a−b面内で数nm程度)、絶縁体界面付近で構
造、電子状態の乱れをコヒーレンス長以下にしなければ
ならない。このような界面作製技術は現在未完成であ
り、高温超伝導体を用いたSIS接合は実現されていな
い。銅酸化物高温超伝導体は、2次元性の強い物質であ
り、超伝導電流を担うCuO2面と、キャリアを供給す
る層(絶縁体または半導体もしくは常伝導金属)が積層
された構造を持つ。近年、高温超伝導体の一つであるB
2Sr2Ca1Cu28(以下Bi−2212と言う)
のバルク単結晶薄片を用いた実験では、c軸方向にジョ
セフソントンネリングを起こしていることが報告されて
いる。これは、結晶内部に自然にSIS接合が形成され
ており(以下イントリンシックジョセフソン接合と言
う)、c軸方向に直列に連結していることを示す(以下
これをイントリンシックジョセフソン接合列と言う)。
図4に、Bi−2212のユニットセルと、イントリン
シックジョセフソン接合列の構成の模式図を示す。ユニ
ットセル当たり、2個のSIS接合が含まれていること
になる。このイントリンシックジョセフソン接合を利用
すれば、SIS接合作製時に、上記のような高度な界面
作製技術は不要となる。さらに、このイントリンシック
ジョセフソン接合列は、接合数を制御することにより、
電圧スイッチング型論理素子やコヒーレント動作による
大出力ミリ波発信器に応用可能である。以下に、報告さ
れているバルクを加工して作製したイントリンシックジ
ョセフソン接合列の作製例を示す。イントリンシックジ
ョセフソン接合列の特性をはじめて報告したグループ
は、試料サイズが30μm×30μm角で厚さ3μmの
バルク単結晶の表面と裏面に電極を取り付けて、ジョセ
フソン接合の特性評価を行っている〔R.Kleiner,Phys.R
ev.Lett.68,2394(1992)〕。当然のことながら、このよ
うな方法では、接合の大きさ、数は、切り出した単結晶
のサイズとなるため特性を制御することができない。こ
れを改良した例として、バルク単結晶をフォトリソグラ
フィーにより加工した報告もある〔F.X.Regi,J.Appl.Ph
ys.76(7),1 October 1994:接合部の典型的なサイズ
は、50μm×50μm角で厚さ0.7μm〕。これら
バルクを加工した例では、非線形な電流−電圧特性や、
ジョセフソン電流は確認されているが、明瞭なヒステリ
シス、エネルギーギャップは観察されていない。現在、
作製されている単結晶は、主にフラックス法で作製され
ており、その大きさが数μm〜数mm角程度であり、表
面および内部にフラックス等の異物が混入していること
が一般的であり、接合作製時には、それらの部分を避
け、かつ露出した平坦な表面を利用しているのが現状で
ある。このような作製法では、特性を制御することが非
常に困難であり、エレクトロニクスへの応用は不適当で
ある。ところが、薄膜を利用すれば、上記の問題点は解
決できる。しかしながら、超伝導体薄膜を用いたイント
リンシックジョセフソン接合列の作製は、今までに報告
されていない。これは、表面が平坦なBi系超伝導体薄
膜の作製が困難であるところに、その理由があるものと
考えられる。Bi系超伝導体のエピタキシャル薄膜は、
MBE法、CVD法、MOCVD法、スパッタ法等で作
製されているが、その表面には数nmから数十nm程度
の凹凸が観察されている。Bi系超伝導体の薄膜成長
は、一般的には、2次元核成長であり、その単位はハー
フユニットセル(Bi−2212のc軸方向の長さは
1.5nm)と報告されている。上記の凹凸は、成長核
がランダムに発生することに起因するものと考えられ
る。このような表面に凹凸のある薄膜では、接合数を厳
密に制御することができないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく、従来
の超伝導薄膜の成長において、その表面には数nmから
数十nm程度の凹凸が観察されており、例えば、Bi系
超伝導体の薄膜成長は2次元核成長であり、その単位は
ハーフユニットセル(Bi−2212のc軸方向の長さ
は1.5nm)と言われている。この凹凸は、成長核が
ランダムに発生することに起因するものと考えられてお
り、このような凹凸が表面にある薄膜において接合数を
厳密に制御することができないという問題があった。本
発明の目的は、上記従来技術における問題点を解消し、
超伝導体薄膜を用いたイントリンシックジョセフソン接
合列の作製において、そのイントリンシックジョセフソ
ン接合列における接合数を制御して、ジョセフソン接合
が近接したコヒーレント動作による大出力マイクロ波発
信器や、電圧スイッチング型論理素子、従来のジョセフ
ソン素子より出力電圧が大きくとれる半導体とのハイブ
リッド素子等に応用でき、超伝導エレクトロニクスへの
応用範囲を拡大することが可能な構造のジョセフソン接
合素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のジョセフソン接
合素子は、傾斜基板を薄膜堆積用基板に用いることによ
って、原子レベルで平坦であり、かつ均一な広さを持つ
テラスと、均一な成長ステップ段差を有する酸化物高温
超伝導薄膜を作製し、その薄膜のテラスと段差を用いて
イントリンシックジョセフソン接合列の接合数を制御す
ることにより達成される。そして、上記薄膜のテラス幅
やステップ段差は傾斜基板の傾斜角度で制御することが
でき、イントリンシックジョセフソン接合列の接合数
は、電極間のステップ段数によりその数を制御すること
ができる。上記本発明の目的を達成するために、本発明
は具体的には、特許請求の範囲に記載のような構成とす
るものである。すなわち、本発明は請求項1に記載のよ
うに、層状構造の超伝導体層を有し、かつ層間がトンネ
ル型ジョセフソン接合として機能する超伝導体薄膜を備
えたイントリンシックジョセフソン接合素子であって、
上記超伝導体薄膜は、表面が階段状構造を有する薄膜堆
積用基板のテラスに対して平行にエピタキシャル成長に
より成膜し、表面が階段状構造を有する超伝導体薄膜上
に1個もしくは複数個の薄膜成長ステップを挟んで電極
端子を形成した構造のジョセフソン接合素子とするもの
である。また、本発明は請求項2に記載のように、請求
項1において、薄膜堆積用基板は、MgO、SrTiO
3、Nd1-xLaxGaO3(0≦x≦0.2)、LaAl
3、Y1-xNdxAlO3(0≦x≦0.2)のうちから
選択される少なくとも1種の材料からなり、該基板の表
面が、該基板の(100)面と1度以上40度以下の範
囲で研磨された基板を用い、その上に超伝導体薄膜をエ
ピタキシャル成長することによりジョセフソン接合素子
を構成するものである。また、本発明は請求項3に記載
のように、請求項1または請求項2において、超伝導体
薄膜は、次の組成式 Bi(2+x)Sr(2-x)CuO6(0<x<0.4)、Bi2
Sr2CaCu28、(Bi1-xPbx)2Sr2Ca2Cu3
10(x<0.5)、Tl(2+x)Ba(2-x)CuO6(0<
x<0.4)、Tl2Ba2CaCu28、(Tl1-xPb
x)2Ba2Ca2Cu310(x<0.5)で示される酸化
物超伝導体薄膜、もしくは上記酸化物超伝導体薄膜の組
成式で示される化学量論的含有量に類似する組成の酸化
物超伝導体薄膜のうちから選択される少なくとも1種の
薄膜から成るジョセフソン接合素子とするものである。
【0005】一般に、2次元核成長による高温超伝導薄
膜は、成長核が不均一に形成されるため、結晶成長が不
均一となり、表面に凹凸が生じる。この表面の凹凸をな
くするためには、成長核を均一に発生させ、結晶の成長
速度を均等にすればよい。結晶成長の核を均一に発生さ
せる方法の一つとして、傾斜させて研磨された基板(傾
斜基板)を用いる方法がある。傾斜基板では、基板のエ
ッヂに核が発生し、その部分から基板のテラス上に結晶
が一方向に一様に成長する。また、その薄膜は、傾斜研
磨したことによる基板表面のテラスとステップを反映し
た階段状の表面を持つ。この成長形態を、ステップフロ
ー成長と呼んでいる。半導体の分野ではよく知られてお
り、薄膜上の各テラスは原子レベルで平坦であり、ステ
ップ段差、テラス幅は一定である。高温超伝導体におい
ても、傾斜基板を用いたステップフロー成長は幾つか報
告されているが、それを素子に応用した例はない。本発
明のジョセフソン接合素子では、傾斜基板上に堆積した
高温超伝導薄膜を使用するが、その平坦なテラスとステ
ップ段差を活用するところに特徴がある。傾斜基板上に
作製された薄膜は、テラス上では原子レベルで平坦であ
り、成長ステップ部分には均一な高さの段差が存在す
る。この段差の高さとテラス幅は、基板の傾斜角と薄膜
成長条件に支配される。逆にいえば、一定の薄膜成長条
件のもとでは、基板の傾斜角を変化させることによりテ
ラス幅およびステップ段差の高さを制御することができ
る。この段差の高さは、結晶の成長単位の整数倍であ
り、Bi系超伝導薄膜ではハーフユニットセルの整数倍
となる。Bi系超伝導体は、ジョセフソン接合をハーフ
ユニットセルに一つ含む構造となっており、段差の高さ
を制御することはジョセフソン接合の数を制御すること
になる。本発明のジョセフソン接合素子では、上記の段
差を利用して接合数を制御し、接合数を制御したイント
リンシックジョセフソン接合素子を実現するものであ
る。次に、本発明のイントリンシックジョセフソン接合
素子について、請求項別に作用ならびに効果について説
明する。本発明は請求項1に記載のように、層状構造の
超伝導体層を有し、かつ層間がトンネル型ジョセフソン
接合として機能する超伝導体薄膜を備えたイントリンシ
ックジョセフソン接合素子であって、上記超伝導体薄膜
は、表面が階段状構造を有する薄膜堆積用基板のテラス
に対して平行にエピタキシャル成長により成膜し、表面
が階段状構造を有する超伝導体薄膜上に1個もしくは複
数個の薄膜成長ステップを挟んで電極端子を形成した構
造のジョセフソン接合素子とするものであって、表面が
階段状構造を有する薄膜堆積用基板(傾斜基板)上に超
伝導体薄膜を堆積することにより、均一な幅で、かつそ
の表面が平坦なテラスと、均一な高さのステップ段差を
有する超伝導薄膜が得られるものであり、上記ステップ
段差の単数個または複数個を挟むように電極を配設する
ことによりジョセフソン接合列の数を制御することがで
き、制御されたイントリンシックジョセフソン接合列を
作製することが可能となる。この素子は、ジョセフソン
接合が近接したコヒーレント動作による大出力マイクロ
波発信器や電圧スイッチング型論理素子、従来のジョセ
フソン素子より出力電圧の大きい半導体とのハイブリッ
ド素子等に応用可能であり、超伝導エレクトロニクスへ
の応用の範囲が拡大できる効果がある。また、本発明は
請求項2に記載のように、請求項1において、薄膜堆積
用基板は、MgO、SrTiO3、Nd1-xLaxGaO3
(0≦x≦0.2)、LaAlO3、Y1-xNdxAlO3
(0≦x≦0.2)のうちから選択される少なくとも1
種の材料からなり、該基板の表面が、該基板の(10
0)面と1度以上40度以下の範囲で研磨された基板を
用い、その上に超伝導体薄膜をエピタキシャル成長を行
うものである。このように、基板材料と基板の結晶方位
および超伝導体薄膜のエピタキシャル成長温度等を規定
することにより、上記請求項1におけるジョセフソン接
合列の数を制御することが可能となり、制御されたイン
トリンシックジョセフソン接合列を容易に作製すること
ができる効果がある。また、本発明は請求項3に記載の
ように、請求項1または請求項2において、超伝導体薄
膜は、次の組成式 Bi(2+x)Sr(2-x)CuO6(0<x<0.4)、Bi2
Sr2CaCu28、(Bi1-xPbx)2Sr2Ca2Cu3
10(x<0.5)、Tl(2+x)Ba(2-x)CuO6(0<
x<0.4)、Tl2Ba2CaCu28、(Tl1-xPb
x)2Ba2Ca2Cu310(x<0.5)で示される酸化
物超伝導体薄膜、もしくは上記酸化物超伝導体薄膜の組
成式で示される化学量論的含有量に類似する組成の酸化
物超伝導体薄膜のうちから選択される少なくとも1種の
薄膜を用いるものである。このような高温酸化物超伝導
体薄膜は、上記した層状構造を有し、制御されたイント
リンシックジョセフソン接合列を容易に作製することが
できる効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施の形態〉SrTiO3の(100)面を6
度傾けて研磨した基板に、基板温度650℃で高周波ス
パッタリング法により、Bi2Sr2CaCu28薄膜を
150nm堆積した。高分解能SEM、AFM(Atomic
Force Microscopy)およびX線回折測定結果から、こ
の薄膜は基板テラスに対し、c軸配向のステップフロー
成長していることが明らかになった。各ステップ段差は
3nm、テラス幅は200nmでほぼ均一であり、各テ
ラスは平坦でその表面の凹凸はAFMの測定限界0.3
nm以下であった。これは、テラスが原子レベルで平坦
なことを示している。表1に、Bi2Sr2CaCu28
超伝導体薄膜における基板の傾斜角と薄膜のステップ段
差およびテラス幅の関係を示す。
【0007】
【表1】
【0008】表1に示すように、基板の傾斜角度が1度
未満の場合には、2次元核成長の薄膜となり、1.5n
m〜90nm程度の表面凹凸が観察された。傾斜角が4
0度を越えると薄膜中に(11n)(n=0〜9)配向
の結晶粒が混在した。実験的に求めたステップフロー成
長をする基板の傾斜角は1度以上40度以下であった。
基板温度が550℃未満では薄膜が多結晶となり、85
0℃より高いと薄膜が分解し析出物が観察された。上記
薄膜をフォトリソグラフィーで加工し、図1および図2
に示すように、電圧端子7a、7b間に5個の段差部4
(図2の段差1〜段差5)を有する構造の素子を作製し
た。図1は素子の上面図を示し、図2は素子の断面図を
示す。図1において、段差部(段差1〜段差5)4と直角
方向の接合の幅wは20μmとなるようにエッチングに
より除去した。薄膜のエッジ部分と電極のショートを避
けるために、接合の両側に絶縁層(SiO)3を堆積し
た。電極間(電圧端子7a、7b間)に5個の段差1
段差5を含む、すなわち電極間の距離は1μmとなるよ
うに金を蒸着し、それぞれ電圧端子7a、7bとした。
電流端子6a、6bは、電圧端子7a、7bの外側に配
置し、その間隔を2μmとした。この電極配置で電流を
流した場合には、図2に示す段差部4の最上部の段差1
と最下部の段差5の間の電圧のみが検出されることにな
る。図3に、40Kで測定したI−V特性を示す。明瞭
なヒステリシスを示すイントリンシックジョセフソン接
合列特有の特性が得られた。図3の電流Ijは、接合の
ジョフセソン電流を示す。また、nVgは素子のギャッ
プ電圧を示し、Bi2Sr2CaCu28のエネルギーギ
ャップ(Δ=Vg/2=20mV)のn倍である。nは
素子に含まれる接合の数である。I−V特性から求めた
ジョセフソン接合の数は10個であり、表2に示すBi
2Sr2CaCu28超伝導体薄膜における段差数、接合
数およびギャップ電圧の関係(基板傾斜角6度)から求
めた接合数と一致した。
【0009】
【表2】
【0010】さらに、本発明のジョセフソン接合素子に
用いられる基板(請求項2に記載)すべてにおいて、基
板種による差異は見られず、Tl2Ba2CaCu28
膜を用いた場合でも上記と同様の結果を得ることができ
た。
【0011】〈第2の実施の形態〉(Bi1-xPbx)2
2Ca2Cu310(x<0.5)薄膜を、基板温度80
0℃で、傾斜角2度のLaAlO3基板上に、共蒸着法
によって2000nm堆積した。(Bi1-xPbx)2Sr
2Ca2Cu310(x<0.5)超伝導体薄膜における基
板傾斜角とステップ段差およびテラス幅の関係を表3に
示す。
【0012】
【表3】
【0013】この関係は、本発明のジョセフソン接合素
子に用いられる基板(請求項2に記載)すべてにおいて
同じであった。傾斜角2度の基板に薄膜を作製した場
合、薄膜のそれぞれのステップ段差は、1.9nmで均
一であった。この高さは、(Bi1-xPbx)2Sr2Ca2
Cu310のハーフユニットセルに相当し、1個の接合
を含むことが明らかになった。第1の実施の形態と同様
の手法で、段差4個分を含むように、3μmの間隔を開
けて銀を電圧端子として蒸着した。電流端子は電圧端子
の両側に5μmの間隔を開けて同様に銀を蒸着した。ま
た、接合の幅wは10μmとした。表4に(Bi1-x
x)2Sr2Ca2Cu310(x<0.5)超伝導体薄膜
における段差数、接合数およびギャップ電圧の関係(基
板傾斜角2度)を示す。
【0014】
【表4】
【0015】なお、表4に示す範囲内では、液体窒素温
度でジョセフソン接合列特有のI−V特性が得られた。
また、(Tl1-xPbx)2Ba2Ca2Cu310(x<0.
5)超伝導体薄膜を用いた場合においても同様の結果が
得られた。
【0016】〈第3の実施の形態〉Bi(2+x)Sr(2-x)
CuO6(0<x<0.4)薄膜をレーザ蒸着により、基
板温度600℃で、傾斜角30度のNdGaO3基板に
250nm堆積した Bi(2+x)Sr(2-x)CuO6(0<x<0.4)超伝導体
薄膜における基板傾斜角とステップ段差およびテラス幅
の関係を表5に示す。
【0017】
【表5】
【0018】表5に示すように、傾斜角30度の場合の
各段差の高さは9.6nmであった。これは、Bi(2+x)
Sr(2-x)CuO6のハーフユニットセルの8倍に相当
し、8個の接合を含むことが明らかになった。表6に、
Bi(2+x)Sr(2-x)CuO6超伝導体薄膜における段差
数、接合数およびギャップ電圧の関係(傾斜角30度)
を示す。
【0019】
【表6】
【0020】上記した第1〜第2の実施の形態と同様の
方法で、電極間に段差5個分が含まれるように電圧端子
間を1.2μm、電圧端子間が2μmとなるように電極
を形成した。接合幅は5μmとした。本実施の形態にお
いても、請求項2に記載されたすべての基板において、
基板の種類の違いによる特性の相違は見られなかった。
液体ヘリウム温度でI−V特性を測定した結果、接合
数40個以下では、明瞭なジョセフソン特性が得られた
が、接合数が100以上の場合は、非平衡超伝導効果に
よるギャップの抑圧が起こり、ギャップ電圧は接合数に
比例しなかった。また、Ti(2+x)Ba(2-x)CuO
6(0<x<0.4)薄膜でも同様の結果が得られた。
【0021】上記第1〜第3の実施の形態で用いた酸化
物超伝導体薄膜の組成式において、上記組成式で示され
る化学量論的含有量より若干ずれた組成の酸化物超伝導
体薄膜であっても何ら問題を生じることなく本発明のジ
ョセフソン接合素子を実現することができた。
【0022】
【発明の効果】上述したごとく、傾斜基板上に超伝導体
薄膜を作製することによって、均一な幅で、かつその表
面が平坦なテラスと、均一な高さのステップ段差を有す
る超伝導体薄膜が得られた。この単数個または複数個の
ステップ段差を挟むように電極を配設することにより、
ジョセフソン接合列の数を制御することができ、イント
リンシックジョセフソン接合列を作製することができ
た。この素子は、ジョセフソン接合が近接したコヒーレ
ント動作による大出力マイクロ波発信器や電圧スイッチ
ング型論理素子、従来のジョセフソン素子より出力電圧
を大きくできる半導体とのハイブリッド素子等に応用可
能であり、超伝導エレクトロニクスへの応用範囲を拡大
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態で例示したイントリ
ンシックジョセフソン接合素子の上面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態で例示したイントリ
ンシックジョセフソン接合素子の断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態で例示したイントリ
ンシックジョセフソン接合素子の電流−電圧特性(40
K)を示すグラフ。
【図4】従来のBi2Sr2CaCu28高温超伝導体の
ユニットセルとイントリンシックジョセフソン接合を示
す模式図。
【符号の説明】
1…基板 2…超伝導体薄膜 3…絶縁膜(SiO) 4…段差部(段差1〜段差5) 5…テラス 6a、6b…電流端子 7a、7b…電圧端子 w…接合の幅 I…絶縁体 S…超伝導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 衆伍 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 ▲鶴▼ 浩二 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 鈴木 実 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】層状構造の超伝導体層を有し、かつ層間が
    トンネル型ジョセフソン接合として機能する超伝導体薄
    膜を備えたイントリンシックジョセフソン接合素子であ
    って、上記超伝導体薄膜は、表面が階段状構造を有する
    薄膜堆積用基板のテラスに対して平行にエピタキシャル
    成長により成膜し、表面が階段状構造を有する超伝導体
    薄膜上に、1個もしくは複数個の薄膜成長ステップを挟
    んで電極端子を形成して成ることを特徴とするジョセフ
    ソン接合素子。
  2. 【請求項2】請求項1において、薄膜堆積用基板は、
    MgO、 SrTiO3、Nd1-xLaxGaO3(0≦x
    ≦0.2)、 LaAlO3、Y1-xNdxAlO3(0≦
    x≦0.2)のうちから選択される少なくとも1種の材
    料からなり、該基板の表面が、該基板の(100)面と
    1度以上40度以下の範囲で研磨された基板を用い、そ
    の上に超伝導体薄膜をエピタキシャル成長して成ること
    を特徴とするジョセフソン接合素子。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、超伝導
    体薄膜は、次の組成式 Bi(2+x)Sr(2-x)CuO6(0<x<0.4)、Bi2
    Sr2CaCu28、(Bi1-xPbx)2Sr2Ca2Cu3
    10(x<0.5)、Tl(2+x)Ba(2-x)CuO6(0<
    x<0.4)、Tl2Ba2CaCu28、(Tl1-xPb
    x)2Ba2Ca2Cu310(x<0.5)で示される酸化
    物超伝導体薄膜、もしくは上記酸化物超伝導体薄膜の組
    成式で示される化学量論的含有量に類似する組成の酸化
    物超伝導体薄膜のうちから選択される少なくとも1種の
    薄膜から成ることを特徴とするジョセフソン接合素子。
JP7226695A 1995-09-04 1995-09-04 ジョセフソン接合素子 Pending JPH0974232A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7226695A JPH0974232A (ja) 1995-09-04 1995-09-04 ジョセフソン接合素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7226695A JPH0974232A (ja) 1995-09-04 1995-09-04 ジョセフソン接合素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0974232A true JPH0974232A (ja) 1997-03-18

Family

ID=16849212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7226695A Pending JPH0974232A (ja) 1995-09-04 1995-09-04 ジョセフソン接合素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0974232A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103069596A (zh) * 2010-07-29 2013-04-24 泽瓦薄膜技术股份有限公司 具有高临界安培容量的高温超导带材导体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103069596A (zh) * 2010-07-29 2013-04-24 泽瓦薄膜技术股份有限公司 具有高临界安培容量的高温超导带材导体
US8983563B2 (en) 2010-07-29 2015-03-17 Theva Dunnschichttechnik Gmbh High temperature superconducting tape conductor having high critical ampacity

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5430011A (en) Crystal compensated superconducting thin film formed of oxide superconductor material
EP0325877B1 (en) A semiconductor substrate having a superconducting thin film
JP3189403B2 (ja) 超電導接合を有する素子およびその作製方法
JPH0974232A (ja) ジョセフソン接合素子
EP0458013B1 (en) Superconducting device structures employing anisotropy of the material energy gap
US5480859A (en) Bi-Sr-Ca-Cu-O superconductor junction through a Bi-Sr-Cu-O barrier layer
EP0476687B1 (en) Superconductor junction structure and process for fabricating the same
JP2831967B2 (ja) 超電導素子
US5656575A (en) Method and apparatus for fabricating weak link junctions on vicinally cut substrates
EP0323342B1 (en) A semiconductor substrate having a superconducting thin film
EP0476617B1 (en) Superconductor junction structure and process for fabricating the same
EP0557207B1 (en) Josephson junction device of oxide superconductor and process for preparing the same
JP3323278B2 (ja) 超電導デバイスの製造方法
US5831279A (en) Device and method providing weak links in a superconducting film and device comprising weak links
JP2698858B2 (ja) 酸化物超伝導体の成膜方法
JPH08139374A (ja) 超伝導素子
JPH1084141A (ja) 酸化物超電導体装置
JP2690588B2 (ja) ジョセフソン接合素子
JP2868286B2 (ja) 超電導素子およびこれを備えた回路素子
JPH04288885A (ja) トンネル型ジョセフソン素子
JPH06196762A (ja) 酸化物超伝導体接合及びその形成方法
JPH02181983A (ja) 超伝導トンネル接合素子
JPH08153904A (ja) 超伝導接合素子およびその製造方法
JPH05327047A (ja) ジョセフソン素子およびその製造方法
JPH0621521A (ja) 電流変調装置