定義
アミノ酸:本明細書で用いる用語「アミノ酸」とは、広義において、ポリペプチド鎖に取り込むことができる如何なる化合物及び/又は物質をも意味する。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は一般式H2N−C(H)(R)−COOHを有する。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は天然のアミノ酸である。幾つかの実施形態においては、アミノ酸は合成アミノ酸又は非天然アミノ酸であり、幾つかの実施形態においては、アミノ酸はD−アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸やN−アルキルアミノ酸、乳酸)であり、幾つかの実施形態においては、アミノ酸はL−アミノ酸である。「標準的なアミノ酸」とは、天然のペプチドに通常存在する20種類の標準的なL−アミノ酸のいずれかを意味する。「標準的でない又は通常でないアミノ酸」とは、合成によって調製したか天然源から得たかに関わらず、標準的なアミノ酸以外の如何なるアミノ酸をも意味する。本明細書で用いる「合成アミノ酸又は非天然アミノ酸」は化学的に改変されたアミノ酸を包含し、その例としては、塩、アミノ酸誘導体(例えば、アミド)及び/又は置換体が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸(例えば、ペプチド内のカルボキシ末端及び/又はアミノ末端アミノ酸)の改変は、メチル化、アミド化、アセチル化、及び/又はペプチドの活性に悪影響を及ぼさずにその循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって行うことができる。通常でない又は非天然アミノ酸の例としては、シトルリンやオルニチン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルスレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン及びN−メチル−アラニン(MeAla)が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸がジスルフィド結合に関与する場合もある。用語「アミノ酸」は「アミノ酸残基」と交換可能に用い、遊離アミノ酸及び/又はペプチドのアミノ酸残基を指す場合がある。当該用語が用いられている文脈から、遊離アミノ酸又はペプチドの残基のどちらを指すかは明らかであろう。
動物:本明細書で用いる用語「動物」とは、動物界の如何なるメンバーをも意味する。幾つかの実施形態においては、「動物」は任意の発達段階におけるヒトを意味する。幾つかの実施形態においては、「動物」は任意の発達段階における非ヒト動物を意味する。ある実施形態においては、非ヒト動物は哺乳動物(例えば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類及び/又はブタ)である。幾つかの実施形態においては、動物としては、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫及び/又は他の虫類が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、動物はトランスジェニック動物、遺伝子改変動物及び/又はクローンとすることができる。
抗体:本明細書で用いる用語「抗体」とは、天然のものであろうと、全合成又は部分合成によって作出されたものであろうと、如何なる免疫グロブリンをも意味する。当該用語には、特異的結合能力を維持する全ての抗体誘導体も包含される。また、当該用語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同又は殆ど相同である結合ドメインを有する如何なるタンパク質をも網羅する。このようなタンパク質は天然源に由来してもよく、部分合成又は全合成によって作出されていてもよい。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。抗体は、ヒトクラス:IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのいずれかを含む如何なる免疫グロブリンクラスのメンバーであってもよい。本明細書においては用語「抗体断片」及び「抗体の特徴的部分」は交換可能に用いられ、全長未満の抗体の如何なる誘導体をも意味する。一般に、抗体断片は、全長抗体の特異的結合能力の少なくとも大部分を保持している。抗体断片の例としては、FabやFab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFv二重特異性抗体及びFd断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗体断片は如何なる手段によっても作出することができる。例えば、抗体断片は、無傷抗体の断片化によって酵素的又は化学的に作出することができ、及び/又は、部分抗体配列をコードする遺伝子から組換えによって作出することができる。或いは又は更には、抗体断片は全合成又は部分合成によって作出することができる。抗体断片は必要に応じて単鎖抗体断片を含むことができる。或いは又は更には、抗体断片は、例えば、ジスルフィド結合によって互いに連結した複数鎖を含むことができる。抗体断片は必要に応じて多分子複合体を含むことができる。機能性抗体断片は通常、少なくとも約50個のアミノ酸を含み、より通常には、少なくとも約200個のアミノ酸を含む。
約:本明細書において、1つまたはそれ以上の対象となる値に対して用いる用語「約」又は「およそ」とは、記載された基準値と同等の値を意味する。ある実施形態においては、特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、「約」又は「およそ」とは、記載された基準値に対して(プラスマイナスで)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はそれ以内の値の範囲を意味する(但し、数値が可能な値の100%を超える場合を除く)。
生物活性:本明細書で用いる語「生物活性」とは、生物系及び/又は生物内で活性を有する如何なる物質の特性をも意味する。例えば、ある生物に投与した際に該生物に対して生物学的作用を有する物質は生物活性であると考えられる。特定の実施形態においては、タンパク質又はポリペプチドが生物活性である場合、該タンパク質又はポリペプチドの生物活性の少なくとも1種を共有する該タンパク質又はポリペプチドの部分は通常、「生物活性」部分と称する。
生物標的:本明細書で用いる語「生物標的」とは、本明細書に記載の系、方法、アッセイ及び/又は組成物で用いることができる如何なる標的をも意味する。「生物標的」は、以下の1以上を意味することができる:(1)PRPKタンパク質、PRPKをコードする核酸、及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体;(2)TPRKBタンパク質、TPRKBをコードする核酸、及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体;(3)OSGEPタンパク質、OSGEPをコードする核酸、及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、変異体及び/若しくは誘導体;(4)LAGE3及びそのホモログタンパク質、LAGE3をコードする核酸及びそのホモログ、及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体;並びに/或いは(5)PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3及びそのホモログのうちの任意の2以上の複合体。
特徴的部分:本明細書で用いる、ある物質の「特徴的部分」とは、広義において、関連するインタクトな物質とある程度の配列同一性及び/又は構造同一性及び/又は少なくとも1種の機能的特徴を共有する部分である。例えば、タンパク質又はポリペプチドの「特徴的部分」は、共にタンパク質又はポリペプチドの特徴を成す1個の連続アミノ酸配列、又は複数の連続アミノ酸配列の集合体を含む部分である。幾つかの実施形態においては、このような連続配列の各々は通常、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、29、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50又はそれ以上のアミノ酸を含む。一般に、特徴的部分は、関連するインタクトなタンパク質と、上述の配列同一性に加えて、少なくとも1つの機能的特徴を共有する部分である。幾つかの実施形態においては、特徴的部分は生物学的に活性であることができ、及び/又は該部分が含まれるポリペプチドに対して生物活性をもたらすことができる。
対照:本明細書で用いる用語「対照」とは、当該技術分野で知られている意味を有する(即ち、結果を比較するのに用いる標準物質である)。通常、対照は、変化条件を分離して該変化条件についての結果を得ることにより、実験における整合性を高めるのに用いる。幾つかの実施形態においては、対照は、比較対象物を得るための試験反応又はアッセイと同時に行なわれる反応又はアッセイである。一実験、「試験」(即ち、試験される変化条件)が適用される。第二の実験、「対照」においては、当該試験される変化条件は適用されない。幾つかの実施形態においては、対照は履歴的対照(即ち、以前に実施された試験又はアッセイのもの、又は以前に知られている量又は結果)である。幾つかの実施形態においては、対照は、印刷又は他の方法で保存された記録であるか、又はそれを含んでいる。対照は陽性対照であっても陰性対照であってもよい。
コア構造要素:本明細書で用いる用語「コア構造要素」とは、生物活性又はその欠如に関与する特定の特性を示す分子の特徴又は特徴の集合を意味する。例えば、イソインドリノン部分を含む試験剤群はコア構造要素を共有するということができる。コア構造要素は例えば、環系であってもよく、又はコア構造要素は例えば、長さ及び原子同一性において類似の線形構造であってもよい。
操作された:一般に、用語「操作された」とは、人手によって操作された様相を意味する。例えば、ポリヌクレオチドにおいて、天然では互いに連結されていない2以上の配列が人手によって処理されて、操作されたポリヌクレオチド内で互いに直接連結された場合、該ポリヌクレオチドは「操作された」と考えられる。例えば、本発明の幾つかの実施形態においては、操作されたポリヌクレオチドは、天然では第1のコード配列とは作動性に関連するが第2のコード配列とは作動性に関連しないことが分かっているが、人手によって第2のコード配列と作動性に関連するように連結された制御配列を含む。
発現:本明細書において、核酸配列の「発現」とは、次の各事象の1以上を意味する:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による);(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング及び/又は3’末端形成による);(3)RNAのポリペプチド又はタンパク質への翻訳;(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
異種:本明細書において核酸(例えば、制御配列及び/又は遺伝子を含む核酸)又はポリペプチドへの言及に用いる用語「異種」とは、人工的に細胞に導入された、及び/又は細胞内に存在するが天然起源ではない核酸又はポリペプチドを意味する。幾つかの実施形態においては、異種核酸は、細胞内に天然に存在する核酸と同一のヌクレオチド配列を有する。多くの実施形態においては、異種核酸は、細胞内に天然に存在する任意の核酸とは異なるヌクレオチド配列を有する。幾つかの実施形態においては、特定の細胞に対して異種の核酸は、異種核酸が導入された細胞とは異なる源生物に天然に存在する核酸と同一の核酸配列を有する。
宿主細胞:本明細書で用いる「宿主細胞」は、本開示に従って操作される細胞である。本明細書で用いる「改変宿主細胞」は、他の同一親細胞及び/又は特定の基準細胞(例えば、野生型細胞)と比べて、本開示に従って改変、操作又は処理されている任意の宿主細胞である。
導入する:細胞又は生物への核酸の導入に関して本明細書で用いる用語「導入する」は、最も広い意味を有し、例えば、形質転換法(例えば、塩化カルシウム介在形質転換やエレクトロポレーション、微粒子銃)による導入を包含すると共に、形質導入や抱合、接合、交配等の他の方法による導入も包含するものとする。幾つかの実施形態においては、ベクターを用いて核酸を細胞又は生物に導入する。
インビトロ:本明細書で用いる用語「インビトロ」とは、多細胞生物内ではなく、人工環境内(例えば、試験管や反応容器、細胞培養等)で生じる事象を意味する。
インビボ:本明細書で用いる用語「インビボ」とは、非ヒト動物等の多細胞生物内で生じる事象を意味する。
単離:本明細書で用いる用語「単離」とは、(1)(天然において及び/又は実験的設定において)当初産生した際に関係する成分の少なくとも一部から分離された、及び/又は(2)人手によって作出、調製及び/又は製造された、物質及び/又は実体物を意味する。単離された物質及び/又は実体物は、それが当初関係していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、又は100%から分離することができる。幾つかの実施形態においては、単離された剤は約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%を超えるか、実質的に100%か、又は100%純粋である。本明細書においては、ある物質が他の成分を実質的に含まない場合、該物質は「純粋」である。本明細書で用いる用語「単離細胞」とは、多細胞生物に含まれない細胞を意味する。
改変:本明細書において、用語「改変」は、人手によって操作された実体物(例えば、細胞や生物)を指すのに用いることができる。例えば、幾つかの実施形態においては、改変は、改変を受けていない他の同一基準生物に対して宿主生物の特性を適切に変化させる任意の化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変であることができるか、又はそれを含むことができる。多くの実施形態においては、改変は遺伝的改変を含む。幾つかの実施形態においては、改変は少なくとも1種の化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変を含み、幾つかの実施形態においては、改変は一を超える化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変を含む。一を超える改変を用いるある様相においては、該改変は、化学的、生理学的、遺伝的又は他の改変の任意の組み合わせ(例えば、1以上の遺伝的、化学的及び/又は生理学的改変)を含むことができる。
モジュレーター:本明細書で用いる用語「モジュレーター」とは通常、活性の変化又は誘発をもたらす化合物を意味する。例えば、モジュレーターの存在は、ある活性の大きさをモジュレーターが存在しない場合と比べて増加又は低下させることができる。ある実施形態においては、モジュレーターは、1以上の活性の大きさを低下させる阻害剤又は拮抗剤である。ある実施形態においては、阻害剤は1以上の生物活性を完全に妨げる。ある実施形態においては、モジュレーターは、少なくとも1種の活性の大きさを増加させる活性化剤又は作動剤である。ある実施形態においては、モジュレーターの存在によって、その非存在下では生じない活性がもたらされる。本明細書で用いる「阻害する」、「低下させる」、「防止する」、「拮抗する」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な減少を意味する。幾つかの実施形態においては、その低下は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の低下である。本明細書で用いる「刺激する」、「増加させる」、「作動させる」、又は本明細書で用いるこれらの用語の如何なる変形も、生物活性の測定可能な増加を意味する。幾つかの実施形態においては、その増加は、対照に対する生物活性の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の増加である。モジュレーターは「サイレントモジュレーター」であってもよく、この場合、モジュレーターは対象となる標的と相互作用する(例えば、結合する)が、該標的の活性の誘発又は変化をもたらさない。
天然産物:本明細書で用いる用語「天然産物」とは、生体で産生される又は産生可能な化合物又は化学物質を意味する。幾つかの実施形態においては、天然産物は、ポリヌクレオチドやペプチド、ポリペプチド、オリゴ糖等の生体高分子ではない。天然産物と構造的に同一な化合物は、該化合物自身が実際には人手によって(例えば、化学合成によって)調製されたとしても「天然産物」と称することができる。
核酸:本明細書で用いる用語「核酸」とは、その広義において、オリゴヌクレオチド鎖に取り込むことができる如何なる化合物及び/又は物質をも意味する。幾つかの実施形態においては、「核酸」はRNAを包含すると共に、一本鎖及び/又は二本鎖DNA及び/又はcDNAを包含する。更に、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」及び/又はその類似の用語は、核酸アナログ、即ち、ホスホジエステル骨格以外を有するアナログを包含する。例えば、当該技術分野で公知であり、骨格内にホスホジエステル結合に代わってペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」は本発明の範囲内であると考えられる。用語「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに変性バージョンである、及び/又は同一アミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を包含する。タンパク質及び/又はRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含むことがある。
ペプチド:本明細書で用いる用語「ペプチド」又は「ポリペプチド」とは、ペプチド結合された多数のアミノ酸又はイミノ酸(又はその等価物)を含む高分子を意味する。本明細書で用いるポリペプチド又はペプチドの表示においては、標準的な用法や慣習に従って、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。ペプチドは、アミノ酸以外の部分を含んでもよく(例えば、糖タンパク質やプロテオグリカン等であってもよく)、及び/又は処理又は改変されていてもよい。ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸又はその両方を含んでもよく、当該技術分野で公知の種々のアミノ酸改変又はアナログのいずれを含んでもよい。有用な改変としては、例えば、末端アセチル化やアミド化等が挙げられる。幾つかの実施形態においては、ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸及びその組み合わせを含むことができる。幾つかの実施形態においては、ペプチドは最大25個のアミノ酸を含むことができる。本明細書において、最大25個のアミノ酸を含むペプチドは短ペプチドとも称される。また、用語「ペプチド」又は「ポリペプチド」は、ポリペプチドの特定の機能クラス、例えば、デサチュラーゼやエロンガーゼ等を指すのにも用いる。当業者には、本明細書(又は本明細書に具体的に記載された参考文献やデータベース)に記載の全配列を有するポリペプチドだけを包含するのではなく、そのような全ポリペプチドの機能性断片(即ち、少なくとも1種の活性を保持する断片)を示すポリペプチドも包含するのに「ポリペプチド」という用語が十分に一般的であるとすることが理解されよう。更に、当業者は、タンパク質配列が通常は活性を破壊することなく多少の置換に耐えることを理解している。従って、活性を保持するポリペプチドであって、同一クラスの他のポリペプチドに対して少なくとも約30〜40%(多くは、約50%、60%、70%又は80%を超える)の全配列同一性を共有し、更に通常は同一性が更に高い少なくとも一領域(多くは、1以上の高保存領域において90%、又は更に95%、96%、97%、98%又は99%を超える)を含み、通常は、少なくとも3〜4個(多くは、少なくとも20個若しくはそれ以上)のアミノ酸を包含する如何なるポリペプチドも、本明細書における関連する用語「ポリペプチド」に包含される。類似及び/又は同一の他の領域は、当業者によって本明細書に記載の種々のポリペプチドの配列の解析により確認することができる。当業者に知られているように、同一性及び/又は類似性の程度を評価するためにアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を比較する種々の戦略が公知であり、そのためのツールが入手可能である。このような戦略としては、例えば、手動アラインメントやコンピュータ支援配列アラインメント、その組み合わせが挙げられる。配列アラインメントを行うための多くのアルゴリズム(通常はコンピュータによって実行される)は、広く入手可能であり、又は当業者によって作成することができる。代表的なアルゴリズムとしては、例えば、Smith及びWatermanの局所相同性アルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2:482);Needleman及びWunschの相同性アラインメントアルゴリズム(J.Mol.Biol.、1970、48:443);Pearson及びLipmanの類似性探索法(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、1988、85:2444);及び/又はこれらのアルゴリズムのコンピュータ実装(例えば、ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージ リリース7.0、ジェネティクス・コンピュータ・グループ(ウィスコンシン州マディソン、575 サイエンス Dr.)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)が挙げられる。このようなアルゴリズムを組み込んだ容易に入手可能なコンピュータプログラムとしては、例えば、BLASTNやBLASTP、Gapped BLAST、PILEUP、CLUSTALW等が挙げられる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを用いる場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを用いることができる。或いは、実務者はその実験的要件及び/又は他の要件に応じて非デフォルトパラメータを用いることができる(例えば、ncbi.nlm.nih.gov参照)。
純粋:本明細書においては、ある物質及び/又は実体物が実質的に他の成分を含まない場合、該物質(実体)は「純粋」である。例えば、特定の物質及び/又は実体物の約90%超を含む調製物は通常、純粋な調製物と考えられる。幾つかの実施形態においては、物質及び/又は実体は少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%純粋である。
基準剤:本明細書で用いる用語「基準剤」とは、特定のアッセイで公知の活性を有する物質(例えば、化学化合物や小分子、天然産物、タンパク質、ペプチド、核酸)を意味する。また、基準剤は「標準物質」と称することもできる。基準剤は、特定のアッセイで正の活性を示す陽性標準物質であってもよく、特定のアッセイでは不活性であることが知られている陰性標準物質であってもよい。基準剤は、対象となる剤と同時期のものであってもよく、履歴的な標準物質であってもよい。ある実施形態においては、試験剤と基準剤を同等のアッセイ条件下で評価する。
小分子:当該技術分野では、一般に「小分子」はサイズが約5キロダルトン(Kd)未満の有機分子として理解されている。幾つかの実施形態においては、小分子は約4Kd未満、約3Kd未満、約2Kd未満又は約1Kd未満である。幾つかの実施形態においては、小分子は約800ダルトン(D)未満、約600D未満、約500D未満、約400D未満、約300D未満、約200D未満又は約100D未満である。幾つかの実施形態においては、小分子は約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満又は約500g/mol未満である。幾つかの実施形態においては、小分子は非重合体である。幾つかの実施形態においては、小分子はタンパク質、ペプチド又はアミノ酸ではない。幾つかの実施形態においては、小分子は核酸又はヌクレオチドではない。幾つかの実施形態においては、小分子は糖類又は多糖類ではない。
源生物:本明細書で用いる用語「源生物」とは、本発明に従ってレシピエント又は宿主細胞に導入しようとするポリヌクレオチド、ポリペプチド又は他の化合物(例えば、異種核酸)を天然に含有又は産生する生物である。幾つかの実施形態においては、選択すべき特定の源生物は本開示の実施に対して重要ではない。それに関する考えとしては、例えば、可能性のある源と宿主生物が進化においてどの程度密接に関連しているか、また、源生物と他の源生物(即ち、他の関連する核酸及び/又はポリペプチドを選択する源生物)がどの程度関連しているかということを挙げることができる。複数の異なる異種核酸を宿主細胞に導入及び/又は宿主細胞で発現しようとする場合、異なる配列は異なる源生物に由来してもよく、同一の源生物に由来してもよい。ほんの一例を挙げると、幾つかの場合においては、本開示の目的を達成するため、個々のポリペプチドは複合タンパク質活性の個々のサブユニットを示す場合もあり、及び/又は、個々のポリペプチドは他のポリペプチドと共に機能する必要がある場合もある。幾つかの実施形態においては、このようなポリペプチドが同一の源生物に由来するか、及び/又は、宿主細胞で一緒に発現された際に適切に機能するに十分な関連があることが望ましい場合が多い。幾つかの実施形態においては、このようなポリペプチドが異なる、更には関連もしない、源生物に由来することもある。異種ポリペプチドを宿主細胞で発現しようとする場合、宿主細胞のコドン優先度に合わせて調整された該ポリペプチドをコードする核酸配列を用いる、及び/又は、宿主細胞内で活性な調節要素にコード配列を連結させることが望ましいことが多いことが更に理解されよう。ある実施形態においては、所定のポリペプチドをコードする遺伝子配列が宿主細胞自身に由来する(即ち、異種ではない)場合であっても、該遺伝子配列を最適化する。例えば、対象となるポリペプチドをコードする遺伝子配列が所定の宿主細胞から単離された場合でも、該遺伝子配列が宿主細胞株での発現に最適化されたコドンではないことがある。このような実施形態においては、宿主細胞のコドン優先度にあうように該遺伝子配列を更に最適化することができる。当業者であれば、宿主細胞のコドン優先度を知り、本明細書に記載の及び/又は当該技術分野で公知の方法及び試薬を用いてそれに合わせることができるであろう。
対象:本明細書で用いる用語「対象」又は「患者」とは、例えば、実験、診断、予防及び/又は治療の目的で、本発明に係る剤又は組成物を投与することができる如何なる生物をも意味する。代表的な対象としては、動物(例えば、マウスやラット、ウサギ、非ヒト霊長類、ヒト等の哺乳動物や、昆虫、他の虫類等)が挙げられる。
実質的:本明細書で用いる用語「実質的」とは、対象となる特質や特性の全程度又はほぼ全程度を示す質的条件を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的現象や化学的現象が完結する、及び/又は完全性へ進む、又は絶対的な結果を達成又は回避することがめったにないことは理解されよう。従って、本明細書における「実質的」は、多くの生物学的現象や化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捕らえている。
罹患:疾患、障害及び/又は状態を「罹患している」個体は、該疾患、障害及び/又は状態であると診断されたか、或いはその1以上の症状を示している。
感受性の:疾患、障害及び/又は状態に「感受性の」個体は、該疾患、障害及び/又は状態であるとは診断されていない。幾つかの実施形態においては、疾患、障害及び/又は状態に感受性の個体は、該疾患、障害及び/又は状態の症状を示さないことがある。幾つかの実施形態においては、疾患、障害及び/又は状態に感受性の個体は、該疾患、障害及び/又は状態を発症する。幾つかの実施形態においては、疾患、障害及び/又は状態に感受性の個体は、該疾患、障害及び/又は状態を発症しない。
治療剤:本明細書で用いる語「治療剤」とは、対象に投与した際に治療作用を有し、及び/又は所望の生物学的作用及び/又は薬理学的作用を誘発する如何なる剤をも意味する。幾つかの実施形態においては、本発明の治療剤は、本発明に係るペプチド阻害剤又はその誘導体を指す。
治療指数:本明細書で用いる語「治療指数」とは、治療作用(「E」)と毒性作用(「T」)を比較した際の薬物の選択性の定量的尺度を意味する。治療指数は、薬物を投与した対象において見られる任意の応答レベルでED50/TD50として算出することができる。ED50は試験対象の50%で所望の治療作用の強度を得るのに必要な用量である。TD50は試験対象の50%で毒性作用を得るのに必要な用量である。
治療:本明細書で用いる用語「治療」(“treat”、“treatment”又は
“treating”)は、特定の疾患、障害及び/又は状態の1以上の症状又は徴候を
、一部又は完全に緩和、改善、軽減、阻害、防止、遅延させ、その重症度を低下させ、及び/又はその発生率を低下させるのに用いる如何なる方法をも意味する。治療は、疾患に伴う状態を発症する危険性を低下させる目的で、該疾患の徴候を示さない及び/又は該疾患の初期徴候のみを示す対象に対して施すことができる。
ベクター:本明細書で用いる「ベクター」とは、連結された他の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味する。幾つかの実施形態においては、ベクターは、真核細胞及び/又は原核細胞等の宿主細胞内において該ベクターが連結された核酸の染色体外複製及び/又は発現を可能とする。作用的に連結された遺伝子の発現を導くことが可能なベクターを本明細書では「発現ベクター」と称する。
以下、本明細書全体を通して用いられる具体的な官能基、化学用語及び一般用語の定義をより詳細に説明する。本発明では、化学元素の同定は「Handbook of Chemistry and Physics」第75版内表紙の元素周期律表(CAS編)に従う。また、具体的な官能基の一般定義は同書に記載されている。更に、有機化学の一般原理、具体的な官能性部分及び反応性については、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith及びMarch 「March’s
Advanced Organic Chemistry」,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001;Larock,「Comprehensive Organic Transformations」,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,「Some Modem Methods of Organic Synthesis」,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
特に明示しない限り、本明細書に示す構造は、その構造のあらゆる異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座)異性体)、例えば、不斉中心に関するR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、及びZ及びE立体配座異性体を包含することを意味する。従って、本発明化合物の単一の立体化学的異性体のみならず、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座)異性体の混合物も本発明の範囲内である。特に明示しない限り、本発明化合物の全ての互変異性体も本発明の範囲内である。更に、特に明示しない限り、本明細書に示す構造は、特定の同位体に富む1種以上の原子が存在することのみが異なる化合物も包含することをも意味している。例えば、水素が重水素又は三重水素に置き換えられているか、或いは炭素が13Cリッチ又は14Cリッチの炭素に置換された構造の化合物も本発明の範囲内である。この種の化合物は、例えば、本発明による分析ツールとして、バイオアッセイにおけるプローブとして、又は治療剤として有用である。
特定のエナンチオマーが好ましい場合、幾つかの実施形態においては、対応するエナンチオマーを実質的含まない形で提供することができ、これは「光学的に富化された」と称することもできる。本明細書において「光学的に富化された」とは、当該化合物の一方のエナンチオマーの比率が極めて高い構成を有することを意味する。ある実施形態においては、当該化合物の少なくとも約90重量%が好ましいエナンチオマーから構成される。他の実施形態においては、当該化合物の少なくとも約95重量%、約98重量%又は約99重量%が好ましいエナンチオマーから構成される。好ましいエナンチオマーは、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及びキラルな塩の形成と結晶化を含む当業者に知られたいずれかの方法によってラセミ混合物から単離するか、又は不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら,Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981年);Wilenら,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,N.Y.,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,Ind.1972)を参照されたい。
アシル―本明細書において「アシル」という用語は、一般式−C(=O)RX1、−C(=O)ORX1、−C(=O)−O−C(=O)RX1、−C(=O)SRX1、−C(=O)N(RX1)2、−C(=S)RX1、−C(=S)N(RX1)2、−C(=S)S(RX1)、−C(=NRX1)RX1、−C(=NRX1)ORX1、−C(=NRX1)SRX1及び−C(=NRX1)N(RX1)2(式中、RX1は、水素;ハロゲン;置換若しくは非置換のヒドロキシル;置換若しくは非置換のチオール;置換若しくは非置換のアミノ;置換若しくは非置換のアシル;環式若しくは非環式の、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐の脂肪族;環式若しくは非環式の、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐の複素脂肪族;環式若しくは非環式の、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルキル;環式若しくは非環式の、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルケニル;置換若しくは非置換のアルキニル;置換若しくは非置換のアリール;置換若しくは非置換のヘテロアリール;脂肪族オキシ;複素脂肪族オキシ;アルキルオキシ;ヘテロアルキルオキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;脂肪族チオキシ;複素脂肪族チオキシ;アルキルチオキシ;ヘテロアルキルチオキシ;アリールチオキシ;ヘテロアリールチオキシ;モノ若しくはジ脂肪族アミノ;モノ若しくはジ複素脂肪族アミノ;モノ若しくはジアルキルアミノ;モノ若しくはジヘテロアルキルアミノ;モノ若しくはジアリールアミノ又はモノ若しくはジヘテロアリールアミノであるか、或いは2個のRX1基が共に5員環若しくは6員環の複素環を形成する)で表される基である。アシル基の例としては、アルデヒド(−CHO)、カルボン酸(−CO2H)、ケトン、アシルハライド、エステル、アミド、イミン、カーボネート、カルバメート及び尿素が挙げられる。アシルの置換基は特に限定されないが、結果として安定な部分を形成する、本明細書に記載する任意の置換基(例えば、それぞれ更に置換されていても置換されていなくてもよい、脂肪族、アルキル、アルケニル、アルキニル、複素脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アシル、オキソ、イミノ、チオオキソ、シアノ、イソシアノ、アミノ、アジド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、ハロ、脂肪族アミノ、複素脂肪族アミノ、アルキルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルアリール、アリールアルキル、脂肪族オキシ、複素脂肪族オキシ、アルキルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、脂肪族チオキシ、複素脂肪族チオキシ、アルキルチオキシ、ヘテロアルキルチオキシ、アリールチオキシ、ヘテロアリールチオキシ、アシルオキシ等)が挙げられる。
脂肪族―本明細書において「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、直鎖(即ち非分岐)、分岐又は環式(「炭素環式」)であることができ、完全に飽和していても1以上の不飽和単位を有していてもよい、置換されていてもよい炭化水素部分(但し芳香族を除く)を指す。特に示さない限り、脂肪族基は1〜12個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態においては、脂肪族基は1〜6個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態においては、脂肪族基は1〜4個の炭素原子を有し、更なる他の実施形態においては、脂肪族基は1〜3個の炭素原子を有する。好適な脂肪族基としては、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル及びアルキニル基、更にこれらの組み合わせ((シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、(シクロアルキル)アルケニル等)が挙げられるが、これらに限定されない。
アルケニル―本明細書において「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族部分から水素原子1個を抜き取ることにより得られる、置換されていてもよい1価の基を指す。ある実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。更なる実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基は、2〜5個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含む。他の実施形態においては、2〜3個の炭素原子を含むアルケニル基が用いられる。アルケニル基としては例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル等が挙げられる。
アルキル―本明細書において「アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する脂肪族部分から水素原子1個を抜き取ることにより得られる、置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。幾つかの実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、1〜5個の炭素原子を含む。他の実施形態において、用いられるアルキル基は、1〜4個の炭素原子を含む。更なる他の実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含む。更なる他の実施形態において、アルキル基は、1〜2個の炭素を含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、ドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
アルキニル―本明細書において「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族部分から水素原子1個を抜き取ることにより得られる、置換されていてもよい1価の基を指す。ある実施形態において、本発明に用いられるアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。ある実施形態において、本発明に用いられるアルキニル基は、2〜5個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、本発明に用いられるアルキニル基は、2〜4個の炭素原子を含む。他の実施形態において、用いられるアルキニル基は、2〜3個の炭素原子を含む。アルキニル基の代表的な例としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
アリール―本明細書において「アリール」という用語は、単独で用いられるか、或いは「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」のように大きな基の一部として用いられ、全体として5〜10員の環を有する置換されていてもよい単環又は二環系であって、この系の少なくとも1環が芳香環であり、且つこの系の各環が3〜7員環である系を指す。「アリール」という用語は「アリール環」という用語と互換的に使用することができる。本発明のある実施形態において、「アリール」は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル(anthracyl)等(これらに限定されない)を含み、1以上の置換基を有することができる芳香環系を指す。
アリールアルキル―本明細書において「アリールアルキル」という用語は、アリール基(例えば、芳香族又は複素芳香族基)で置換されたアルキル基を指す。
2価の炭化水素鎖―本明細書において「2価の炭化水素鎖」という用語(「2価のアルキレン基」とも称する)は、ポリメチレン基、即ち(CH2)z−(式中、zは1〜30、1〜20、1〜12、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、2〜30、2〜20、2〜10、2〜8、2〜6、2〜4又は2〜3の正の整数である)である。置換された2価の炭化水素鎖とは、1以上のメチレン水素原子が置換基に置き換えられたポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換された脂肪族基に関し後に記載するものが挙げられる。
カルボニル―本明細書において「カルボニル」という用語は、炭素−酸素二重結合を有する1価又は2価の部分を指す。カルボニル基の非限定的な例としてはアルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノン、アシルハライド、無水物、尿素、カルバメート、カーボネート、チオエステル、ラクトン、ラクタム、ヒドロキサメート、イソシアネート、及びクロロホルメートが挙げられる。
環式脂肪族―本明細書において「環式脂肪族」、「炭素環」又は「炭素環式」という用語は、単独で用いられるか、或いは大きな部分の一部として用いられ、3〜10員の、本明細書に記載する、置換されていてもよい飽和又は一部不飽和の脂肪族単環又は二環系を指す。環式脂肪族基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル及びシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、シクロアルキルは3〜6個の炭素を有する。
ハロゲン―本明細書において「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、及びヨウ素(ヨード、−I)から選択される原子を指す。
複素脂肪族―本明細書において「複素脂肪族」又は「複素脂肪族基」という用語は、炭素原子に加えて1〜5個のヘテロ原子を有し、直鎖(即ち非分岐)、分岐又は環式(「複素環式」)であってもよく、完全に飽和していても1以上の不飽和単位を含んでいてもよい、置換されていてもよい炭化水素部分を指す(但し芳香族を除く)。特に示さない限り、複素脂肪族基は1〜6個の炭素原子を含み、そのうち1〜3個の炭素原子は酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子でそれぞれ独立に置換されることができる。幾つかの実施形態においては、複素脂肪族基は1〜4個の炭素原子を含み、そのうち1〜2個の炭素原子は、場合により、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子でそれぞれ独立に置換されている。更なる他の実施形態においては、複素脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含み、そのうち1個の炭素原子は、場合により及び独立に、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている。好適な複素脂肪族基としては直鎖又は分岐のヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
ヘテロアラルキル―本明細書において「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基であって、アルキル部及びヘテロアリール部が独立に置換されていてもよいアルキル基を指す。
ヘテロアリール―本明細書において「ヘテロアリール」という用語は、単独で用いられるか、或いは大きな部分の一部(例えば「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」)として用いられ、5〜10環員、好ましくは5、6又は9個の環員を有する置換されていてもよい基であって、この環状配置の中で6、10、又は14個のπ電子を共有しており、且つ炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。ヘテロアリール基としてはチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル及びプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「ヘテロアリール」及び「ヘテロアリ−(heteroar−)」という用語は、複素芳香環が1以上のアリール環、炭素環又は複素環と縮合しており、該複素芳香環上に付加基又は付加部位がある基も包含する。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環又は二環とすることができる。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」又は「複素芳香族」という用語と互換的に使用することができ、これらの用語はいずれも置換されていてもよい環を包含する。
ヘテロ原子―本明細書において「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化形態及び塩基性窒素の任意の4級化形態を包含する。「窒素」という用語には置換された窒素も包含される。
複素環式―本明細書において「複素環」、「複素環式」、「複素環式基」及び「複素環」という用語は互換的に使用される。これらは、飽和又は一部不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて上に定義した1以上のヘテロ原子を有し、5〜7員の単環式又は7〜10員の二環式の、置換されていてもよい安定な複素環部分を指す。この複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子にペンダント基を付加させて安定な構造を生じせしめることができ、且つ環員の原子はいずれも置換されていてもよい。このような飽和又は一部不飽和複素環式基の例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書においては、「複素環」「複素環式」「複素環」、「複素環式基(group)」、「複素環式部分」及び「複素環式基(radical)」という用語は互換的に使用される。これらは、複素環が1以上のアリール、ヘテロアリール又は炭素環と縮合しており、付加基又は付加部位が複素環上にある基(インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、テトラヒドロキノリニル等)も包含する。複素環式基は単環又は二環とすることができる。「複素環アルキル」という用語は、複素環で置換されたアルキル基であり、アルキル部及び複素環部がそれぞれ独立に置換されていてもよいものを指す。
不飽和―本明細書において「不飽和」という用語は、1以上の二重結合又は三重結合を有する部分を意味する。
一部不飽和―本明細書において「一部不飽和」という用語は、少なくとも1個の二重結合又は三重結合を含む環部分を指す。「一部不飽和」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書に定義したアリール部分及びヘテロアリール部分を包含することは意図しない。
置換されていてもよい―本明細書において、本発明の化合物は「置換されていてもよい」部分を含むことができる。一般に、「置換された」という用語は、「場合により」という語が先行するか否かに拘わらず、指定された部分の1以上の水素が好適な置換基に置き換えられることを意味する。特に示さない限り、「置換されていてもよい」基は、その基の置換可能な各位置に好適な置換基を有することができる。いずれかの構造の2以上の位置を特定の基から選択される2以上の置換基で置換することができる場合、各位置の置換基は同一であっても異なっていてもよい。本発明で想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物を形成するものである。本明細書において、「安定な」という用語は、化合物をその生成及び検出を可能とする条件、及びある実施形態においては、本明細書に開示する1以上の目的のための回収、精製及び使用の条件に付しても、実質的に変化しない化合物を指す。
「置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子における好適な1価の置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン;−(CH2)0-4R°;−(CH2)0-4OR°;−O−(CH2)0-4C(O)OR°;−(CH2)0-4CH(OR°)2;−(CH2)0-4SR°;R°で置換されていてもよい−(CH2)0-4Ph;R°で置換されていてもよい−(CH2)0-4O(CH2)0-1Ph;R°で置換されていてもよい−CH=CHPh;−NO2;−CN;−N3;−(CH2)0-4N(R°)2;−(CH)0-4N(R°)C(O)R°;−N(R°)C(S)R°;−(CH2)0-4N(R°)C(O)NR°2;−N(R°)C(S)NR°2;−(CH2)0-4N(R°)C(O)OR°;−N(R°)N(R°)C(O)R°;−N(R°)N(R°)C(O)NR°2;−N(R°)N(R°)C(O)OR°;−(CH2)0-4C(O)R°;−C(S)R°;−(CH2)0-4C(O)OR°;−(CH2)0-4C(O)SR°;−(CH2)0-4C(O)OSiR°3;−(CH2)0-4OC(O)R°;−OC(O)(CH2)0-4SR−;SC(S)SR°;−(CH2)0-4SC(O)R°;−(CH2)0-4C(O)NR°2;−C(S)NR°2;−C(S)SR°;−SC(S)SR°;−(CH2)0-4OC(O)NR°2;−C(O)N(OR°)R°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CH2C(O)R°;−C(NOR°)R°;−(CH2)0-4SSR°;−(CH2)0-4S(O)2R°;−(CH2)0-4S(O)2OR°;−(CH2)0-4OS(O)2R°;−S(O)2NR°2;−(CH2)0-4S(O)R°;−N(R°)S(O)2NR°2;−N(R°)S(O)2R°;−N(OR°)R°;−C(NH)NR°2;−P(O)2R°;−P(O)R°2;−OP(O)R°2;−OP(O)(OR°)2;SiR°3;−(C1-4直鎖若しくは分岐アルキレン)O−N(R°)2又は−(C1-4直鎖若しくは分岐アルキレン)C(O)O−N(R°)2(式中、R°は、それぞれ、以下に定義するように置換されていてもよく、且つ独立に、水素、C1-6脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、一部不飽和、若しくはアリール環であるか、或いは上の定義に拘わらず、2個の独立に存在するR°が介在原子と共に、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜12員の、次に定義するように置換されていてもよい飽和、一部不飽和、又はアリール単環式若しくは二環式の環を形成する)である。
R°(又は2個の独立に存在するR°が介在する原子と共に形成した環)における好適な1価の置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン、−(CH2)0-2R●、−(ハロR●)、−(CH2)0-2OH、−(CH2)0-2OR●、−(CH2)0-2CH(OR●)2、−O(ハロR●)、−CN、−N3、−(CH2)0-2C(O)R●、−(CH2)0-2C(O)OH、−(CH2)0-2C(O)OR●、−(CH2)0-2SR●、−(CH2)0-2SH、−(CH2)0-2NH2、−(CH2)0-2NHR●、−(CH2)0-2NR● 2、−NO2、−SiR● 3、−OSiR● 3、−C(O)SR●、−(C1-4直鎖又は分岐アルキレン)C(O)OR●又は−SSR●(式中、R●は、それぞれ非置換であるか、又は「ハロ」が前置されている場合は1以上のハロゲンのみで置換されており、且つ独立に、C1-4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、一部不飽和若しくはアリール環から選択される)である。R°の飽和炭素原子における好適な2価の置換基としては=O及び=Sが挙げられる。
「置換されていてもよい」基の飽和炭素原子における好適な2価の置換基としては、以下:=O、=S、=NNR* 2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、−O(C(R* 2))2-3O−又は−S(C(R* 2))2-3S−(式中、R*は、それぞれ独立に、水素、以下に定義するように置換されていてもよいC1-6脂肪族、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換で5〜6員の飽和、一部不飽和若しくはアリール環から選択される)が挙げられる。「置換されていてもよい」基に近接する置換可能な炭素に結合した好適な2価の置換基としては、−O(CR* 2)2-3O−(式中、R*は、それぞれ独立に、水素、下記に定義するように置換されていてもよいC1-6脂肪族、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換で5〜6員の飽和、一部不飽和若しくはアリール環から選択される)が挙げられる。
R*の脂肪族基の好適な置換基としては、ハロゲン、−R●、−(ハロR●)、−OH、−OR●、−O(ハロR●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR●、−NH2、−NHR●、−NR● 2又は−NO2(式中、R●は、それぞれ非置換であるか、又は「ハロ」が前置されている場合は1以上のハロゲンのみで置換されており、且つ独立に、C1-4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0-1Ph又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、一部不飽和若しくはアリール環である)が挙げられる。
「置換されていてもよい」基の置換可能な窒素における好適な置換基としては、−R†、−NR†2、−C(O)R†、−C(O)OR†、−C(O)C(O)R†、−C(O)CH2C(O)R†、−S(O)2R†、−S(O)2NR†2、−C(S)NR†2、−C(NH)NR†2又は−N(R†)S(O)2R†(式中、R†は、それぞれ独立に、水素、以下に定義するように置換されていてもよいC1-6脂肪族、非置換の−OPh、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子をする非置換で5〜6員の飽和、一部不飽和若しくはアリール環であるか、或いは上の定義に拘わらず、2個の独立に存在するR†が介在原子と共に、窒素、酸素若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換で3〜12員の飽和、一部不飽和又はアリール単環式若しくは二環式の環を形成する)が挙げられる。
R†の脂肪族基における好適な置換基は、独立に、ハロゲン、−R●、−(ハロR●)、−OH、−OR●、−O(ハロR●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR●、−NH2、−NHR●、−NR● 2又は−NO2(式中、R●は、それぞれ、非置換であるか、又は「ハロ」が前置されている場合は1以上のハロゲンのみで置換されており、且つ独立に、C1-4脂肪族、−CH2Ph、−O(CH2)0-1Phであるか、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立に選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6個員の飽和、一部不飽和、若しくはアリール環である)である。
好適な保護基―本明細書において「好適な保護基」という用語は、化合物内の位置に応じてアミノ保護基又はヒドロキシル保護基を指し、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley&Sons,1999に詳述されているものを包含する。
好適なアミノ保護基としては、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−及び4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル−(10)−カルボニル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’−フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、o−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、Ν,Ν’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタカルボニルクロム−又はタングステン)カルボニル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミダート、ジベンジルホスホルアミダート、ジフェニルホスホルアミダート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド及びフェナシルスルホンアミドが挙げられる。
好適なヒドロキシル保護基としては、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルへキシルシリル(dimethylthexylsilyl)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネートアルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチルカーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α−ナフトエート、硝酸、アルキルΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバメート、ホウ酸、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェナート、硫酸、メタンスルホネート(メシラート)、ベンジルスルホネート及びトシレート(Ts)が挙げられる。1,2−又は1,3−ジオールを保護する場合、保護基としては、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、1−t−ブチルエチリデンケタール、1−フェニルエチリデンケタール、(4−メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p−メトキシベンジリデンアセタール、2,4−ジメトキシベンジリデンケタール、3,4−ジメトキシベンジリデンアセタール、2−ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1−メトキシエチリデンオルトエステル、1−エトキシエチリデンオルトエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルトエステル、α−メトキシベンジリデンオルトエステル、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2−オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ−t−ブチルシリレン基(DTBS)、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体(TBDS)、環式カーボネート、環式ボロネート、エチルボロネート及びフェニルボロネートが挙げられる。
表示されている化学的可変部(例えば、R基)が環の結合と交差する結合に付加している場合、いずれも、1以上のこの種の可変部が、交差している結合を有する環に任意選択的に付加されていることを意味する。この種の環上のR基はそれぞれ任意の好適な位置に付加することができ、一般に、この基が親環上の水素に替わって付加されていることを意味すると理解される。このことには、2個のR基が同一の環原子に付加される可能性も含まれる。更に、環上に2以上のR基が存在する場合は、それぞれ同じ環に付加しているR基と同一であっても異なっていてもよく、各基は、たとえそれらが同一の識別子で表すことができるとしても、同一分子のいずれか位置に付加している可能性がある他の基と独立して定められる。
本発明に用いるタンパク質に関する情報:
PRPK:CAS登録番号183450−12−6。Pubmed name(アクセッションナンバー、バージョンナンバー):TP53−調節キナーゼ[ホモ・サピエンス](NP_291028.3 GI:41327715);RecName:Full=TP53−調節キナーゼ;AltName:Full=p53−関連プロテインキナーゼ;AltName:Full=Nori−2(Q96S44.2 GI:26398348);TP53RKタンパク質[ホモ・サピエンス](AAH10637.1 GI:14714958);TP53RKタンパク質[ホモ・サピエンス](AAH10637.1 GI:14714958);TP53調節キナーゼ[ホモ・サピエンス](AAH09727.1 GI:16307277);TP53調節キナーゼ[ホモ・サピエンス](AAH66309.1 GI:42542637)。
TPRKB:CAS登録番号562887−50−7。Pubmed name(アクセッションナンバー、バージョンナンバー):p53−関連プロテインキナーゼ結合タンパク質,CGI−121タンパク質−ヒト(JC7956 GI:60729596);TP53RK結合タンパク質[ホモ・サピエンス](NP_057142.1 GI:7705590);CGI−121 S1アイソフォーム[ホモ・サピエンス](AAN76357.1 GI:26224772);CGI−121 L1アイソフォーム[ホモ・サピエンス](AAN76356.1 GI:26224770);RecName:Full=TP53RK結合タンパク質;AltName:Full=PRPK結合タンパク質(Q9Y3C4.1 GI:74735252)。
OSGEP:CAS登録番号129430−53−1。Pubmed name(アクセッションナンバー、バージョンナンバー):OSGEP[ホモ・サピエンス](CAG33513.1 GI:48146581);RecName:Full=プロバブルO−シアログリコプロテインエンドペプチダーゼ;Short=hOSGEP(Q9NPF4.1 GI:47605574);推定O−シアログリコプロテインエンドペプチダーゼ[ホモ・サピエンス](NP_060277.1 GI:8923380);O−シアログリコプロテインエンドペプチダーゼ[ホモ・サピエンス](BAB33172.1 GI:13358864);O−シアログリコプロテインエンドペプチダーゼ[ホモ・サピエンス](BAB33147.1 GI:13358802);O−シアログリコプロテインエンドペプチダーゼ[ホモ・サピエンス](AAH32310.1 GI:21619574)。
LAGE3:Pubmed name(アクセッションナンバー、バージョンナンバー):L抗原ファミリー、メンバー3[ホモ・サピエンス](CAI43195.1 GI:57284198);L抗原ファミリー、メンバー3[ホモ・サピエンス](NP_006005.2 GI:24430137);RecName:Full=L抗原ファミリー、メンバー3;AltName:Full=タンパク質ITBA2;AltName:Full=タンパク質ESO−3(Q14657.2 GI:54041570);L抗原ファミリー、メンバー3[ホモ・サピエンス](AAH15744.2 GI:37589922);L抗原ファミリー、メンバー3[ホモ・サピエンス](AAH62330.1 GI:38383094);L抗原ファミリー、メンバー3[ホモ・サピエンス](CAQ08986.1 GI:168984692)。LAGE3ホモログ:CTAG2タンパク質[ホモ・サピエンス](AAI14934.1 GI:133777817、AAI28046.1 GI:118341658);癌/精巣抗原(cancer/testis antigen)2、アイソフォームLAGE−1b[ホモ・サピエンス](NP_066274.1 GI:10337609);癌/精巣抗原2、アイソフォームCRA_b[ホモ・サピエンス](EAW72669.1 GI:119593075);癌/精巣抗原2、アイソフォームCRA_a[ホモ・サピエンス](EAW72668.1 GI:119593074);癌/精巣抗原2、アイソフォームLAGE−1a[ホモ・サピエンス](NP_758965.1 GI:50233789);RecName:Full=癌/精巣抗原2;Short=CT2;AltName:Full=L抗原ファミリー、メンバー1;Short=LAGE−1;AltName:Full=自己免疫原性癌/精巣抗原NY−ESO−2;AltName:Full=癌/精巣抗原6.2;Short=CT6.2(O75638.2 GI:296434470);LAGE−1aタンパク質転写変異体1[ホモ・サピエンス](AAV98585.1 GI:56567192);LAGE−1aタンパク質転写変異体2[ホモ・サピエンス](AAV98584.1 GI:56567190);癌/精巣抗原2[ホモ・サピエンス](AAH02833.1 GI:12803969)。
特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、その幾つかの実施形態において、PRPK/TPRKB複合体と相互作用する剤を同定する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、PRPK、TPRKB、OSGEP及びLAGE3とそのホモログを含むKEOPS複合体と相互作用する剤を同定する方法を提供する。幾つかの実施形態において、このような方法はハイスループットスクリーニング方法を含む。幾つかの実施形態において、この方法は、インビトロ、インサイト及び/又はインビボのアッセイを含む。本発明は、そのある実施形態において、本発明の方法により同定された剤を包含する。
本発明は、その幾つかの実施形態において、PRPKを調節する剤を同定する方法を提供する。
本発明は、その幾つかの実施形態において、増殖(例えば、B細胞増殖)を阻害する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、IL−2産生を誘導する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、TNF−α産生を阻害する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、ナチュラルキラー細胞活性化を誘導する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、免疫シナプス形成を増強する方法を提供する。
本発明は、その幾つかの実施形態において、炎症、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本発明は、その幾つかの実施形態において、発癌状態又は癌性状態を治療する方法を提供する。
PRPK−TPRKB及びKEOPS複合体
驚くべきことに、本発明者らは、PRPK及びTPRKBが、レナリドミド及びポマリドマイド等の化合物の免疫調節活性及び増殖抑制活性を媒介することを見出した。PRPK及びTPRKBは、レナリドミド、ポマリドマイド及びサリドマイドをベースとするアフィニティー試薬によって捕捉された。
PRPK及びTPRKBは、古細菌及び酵母からヒトまで進化的に保存されているが、特にヒトにおいては、これらのタンパク質の機能についてごく僅かしか分かっていない。これらヒトタンパク質について記載する出版物は僅かであるが、以下に重要な文献における知見の概要を記す。
酵母及び古細菌において、Bud32及びCgi121(それぞれPRPK及びTPRKB)は、Kae1及びPcc1と呼ばれる2種の他のタンパク質と共にKEOPSと称される機能的複合体を形成することが既に示されている。酵母KEOPS複合体は、テロメア維持及び転写調節に必要とされる(Downeyら、Cell、124:1155−1168(2006年); Kisseleva−Romanovaら、EMBO J.25:3576〜3585(2006年))。KEOPS複合体の構造は、複数の起源(主として古細菌)のタンパク質ではあったが、結晶学により研究された(Maoら、Mol. Cell 32:259−275(2008年);Heckerら、EMBO J.27:2340−2351(2008年))。構造に基づく配列アライメントにより、Bud32(PRPK)は、タンパク質キナーゼの構築特性を有するが通常は基質認識に関与する活性化ループを欠く、異型キナーゼであることが示された。ヒトKEOPS複合体の形成及び生物機能は、これまでに開示されていない。
更に、本発明者らは、KEOPS複合体における2種の他のタンパク質のヒトオルソログであるOSGEP並びにLAGE3及びそのホモログ(それぞれKae1及びPcc1)もまた、ポマリドマイドをベースとするアフィニティー試薬によって捕捉されることを確認した。これは、KEOPS複合体がヒトにおいて形成され得ることの最初の証拠である。文献において、PRPK及びTPRKBの潜在的な機能について記載された報告は殆どない。PRPKは、IL−2で活性化された細胞溶解性T細胞において上方制御される転写産物として先ず同定された(Abeら、J.Biol.Chem.276:44003−44011(2001年))。PRPKがキナーゼ活性を保有し、p53のSer15をインビトロでリン酸化し得ることが示唆された(Facchinら(2003年)FEBS Letters 549:63)。組換えPRPKのキナーゼ活性は、PRPKを細胞ライセートとプレインキュベートしない限り観察されなかったが、この結果はPRPKが他の細胞成分によって調節され得ることを示唆する。PRPKとTPRKBとの間の物理的相互作用は、インビトロで証明され(Miyoshiら(2003年)Biochem.Biophys.Res.Commun.303:399−405)、またPRPKがAktにより活性化され得ることという証拠があり(Facchinら、Cell Mol Life Sci 64:2680−2689(2007年))、これが癌に関連する重要な調節経路の一部となり得ることを示唆している。CTAG2及びCTG1B等、LAGE3のヒトホモログは、癌及び精巣において特異的に発現する癌/精巣抗原として知られており、癌の免疫療法の標的であり(Caballeroら、Cancer Sci(2009年)100、2014)、同様にKEOPS複合体を形成し得る。
PRPK−TPRKB及びKEOPS複合体モジュレーター
本発明は、その幾つかの実施形態において、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3及びそのホモログ又はそれらの複合体若しくは組み合わせを調節する剤を同定する方法を提供する。本発明の方法は、対象タンパク質(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3及びそのホモログ又はそれらの複合体若しくは組み合わせ)を含む系を用意することと、試験剤を用意することと、該試験剤を該系と接触させることと、該試験剤と該対象タンパク質(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3及びそのホモログ又はそれらの複合体若しくは組み合わせ)との間の相互作用を検出することとを含む。
試験剤
一般に、本発明に係る方法により、いかなる剤をスクリーニングすることもできる。幾つかの実施形態において、本発明において複数の試験剤がスクリーニングされる。試験剤の例としては、化学物質、小分子、タンパク質又はペプチド、抗体、共結晶、ナノ結晶、核酸(例えば、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム、アプタマー等)、炭水化物(例えば、単糖類、二糖類又は多糖類)、脂質(例えば、リン脂質、トリグリセリド、ステロイド等)、アミノ酸、天然物及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。試験剤はまた、コンピュータに基づくラショナルドラッグデザイン方法を用いて設計することができる。通常、複数の試験剤(例えば、試験剤のライブラリー)が、モジュレーター候補のスクリーニングアッセイにおいてテストされる。例えば、試験剤は、化学合成されたライブラリーとして提供することができる。幾つかの実施形態において、試験剤は、コンビナトリアルライブラリー、ファージディスプレイライブラリー、核酸ライブラリー、アミノ酸ライブラリー、ペプチドライブラリー又はそれらの組み合わせとして提供される。ある実施形態においては、ライブラリーはインシリコで設計され、スクリーニングのために合成される。
幾つかの実施形態においては、本発明に係る方法を用いて小分子試験剤がスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、新規に合成された化合物ライブラリーをスクリーニングすることにより、標的調節機能を有する新規化合物を同定することができる。幾つかの実施形態において、薬物(FDAに認可された薬物等)を含有する公共のライブラリーをスクリーニングすることにより、その標的調節活性がそれ以前に不明であった既存の化合物を同定することができる。幾つかの実施形態において、既存の化合物の誘導体又はアナログを含有する改変ライブラリーを、本技術分野で周知の方法を用いて合成し、スクリーニングすることにより新規又は改善された標的モジュレーターを同定することができる。適切な小分子化合物ライブラリーは、ChemBridgeライブラリーズ(chembridge.com)、BIOMOLインターナショナル、ASINEX、ChemDiv、ChemDB、ICCB−ロングウッド等、民間のベンダーから入手することができる。幾つかの実施形態において、適切な小分子ライブラリーは、多様性及び優れた「薬剤的」特性を目的として選択された市販の化合物の大規模なコレクション(例えば100,000種超の化合物)を含む。幾つかの実施形態において、小分子は個々にスクリーニングされる。
幾つかの実施形態において、本発明に従って抗体をスクリーニングすることができる。例えば、抗体は、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3及びそのホモログを標的とするよう設計することができる。
抗体は、本技術分野で公知の方法を用いて作製することができる。例えば、抗体産生のためのプロトコールは、Harlow及びLane、Antibodies:A Laboratory Manual(1988年)に記載されている。抗体は、通常、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラクダ、ラマ、サメ又は他の適切な宿主において作製することができる。或いは、抗体はニワトリにおいて作製し、IgY分子を産生することもできる(Schadeら,(1996年)ALTEX 13(5):80−85)。幾つかの実施形態において、本発明に適した抗体はヒトに近縁の霊長類の抗体である。例えば、治療上有用な抗体をヒヒにおいて産生するための一般的手法は、例えば、Goldenbergら,国際公開番号WO91/11465(1991年)及びLosmanら.,Int.J.Cancer 46:310(1990年)を参照することができる。幾つかの実施形態において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を用いて調製することができる(Milstein及びCuello(1983年)Nature,305(5934):537−40)。幾つかの実施形態において、モノクローナル抗体は、組換え法によって作製することもできる(米国特許第4,166,452号明細書、1979年)。
幾つかの実施形態において、本発明に適した抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体を含むことができる。ヒト化型の非ヒト抗体は、非ヒトIgに由来する最小配列を含有するキメラIg、Ig鎖又は断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他のAbの抗原結合サブシーケンス等)である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、通常「移入」可変ドメインから取り込まれた「移入」残基と称される。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列に対して齧歯類CDR又はCDR配列を置換することによって達成される(Riechmannら,Nature,332(6162):323−7,1988年;Verhoeyenら,Science,239(4847):1534−6,1988年)。このような「ヒト化」抗体は、実質的にインタクトなヒト可変ドメインに満たない部分が非ヒト生物種由来の対応する配列によって置換されたキメラAbである(米国特許第4,816,567号明細書、1989年)。幾つかの実施形態において、ヒト化抗体は、通常、一部のCDR残基と、恐らくは一部のFR残基が、齧歯類Abにおける類似の部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び結合能を有するマウス、ラット又はウサギ等の、非ヒト生物種のCDR由来の残基(ドナー抗体)によって置換されたヒトIg(レシピエント抗体)を含む。場合により、対応する非ヒト残基は、ヒトIgのFvフレームワーク残基に置換される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDR又はフレームワーク配列にも存在しない残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、全てではないにしろ殆どのCDR領域が非ヒトIgのCDR領域と一致し、全てではないにしろ殆どのFR領域がヒトIgコンセンサス配列のFR領域である、少なくとも1個の、通常は2個の可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、最適には、通常はヒトIgの、Ig定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む(Riechmannら,Nature,332(6162):323-7,1988年;Verhoeyenら,Science,239(4847):1534-6,1988年)。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboomら,Mol.Immunol.(1991年)28(9):1027−37;マークス(Marksら,J.Mol.Biol.(1991年)222(3):581−97)やヒトモノクローナル抗体の調製法(Reisfeld及びSell、1985年、Cancer Surv.4(1):271−90)等、種々の技法を用いて産生することもできる。同様に、内在性Ig遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されているトランスジェニック動物へのヒトIg遺伝子の導入は、ヒト抗体の合成に活用することができる。曝露すると、ヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再構成、構築及び抗体レパートリー等、あらゆる点においてヒトにおいて観察される抗体産生と酷似している(Fishwildら,High−avidity human IgG kappa monoclonal antibodies from a novel strain of minilocus transgenic mice,Nat.Biotechnol.1996年7月;14(7):845−51;Lonbergら,Antigen−specific human antibodies from mice comprising four distinct genetic modifications,Nature 1994 April 28;368(6474):856−9; Lonberg及びHuszar, Human antibodies from transgenic mice,Int.Rev.Immunol.1995;13(1):65−93; Marksら,By−passing immunization: building high affinity human antibodies by chain shuffling.Biotechnology(NY).1992 July;10(7):779−83)。
幾つかの実施形態においては、ペプチド及び/又はタンパク質試験剤は、本発明によりスクリーニングすることができる。本明細書において、用語「タンパク質」及び「ペプチド」は、互換的に用いることができる。ある実施形態においては、ペプチドのサイズは約5〜約40、約10〜約35、約15〜約30又は約20〜約25アミノ酸の範囲に亘る。適切なペプチドライブラリーは、組換えバクテリオファージによって作製されたランダムペプチドライブラリー、例えば、Scott及びSmith,Science,249:386−390(1990年);Cwirlaら,Proc.Natl.Acad.Sci.、87:6378−6382(1990年);Devlinら,Science,249:404−406(1990年)、或いは化学ライブラリーとなることができる。「ファージ法」を用いると、非常に大規模なライブラリーを構築することができる(106〜108化学物質)。第二のアプローチは主に、ゲイセン法(Geysenら,Molecular Immunology 23:709−715(1986年);Geysenら,J.Immunologic Method 102:259−274(1987年))及びFodorらの方法Science,251:767−773(1991年))が例として挙げられる化学的手法を用いる。Furkaら、第14回国際生化学会議、5巻、要旨FR:013(1988年);Furka,Int.J.Peptide Protein Res.37:487−493(1991年)は、ペプチドの混合物を作製する方法について記載している。
PRPKは、p53をリン酸化することが知られている。よって、PRPKのペプチドモジュレーターは、p53に存在するアミノ酸を含むことができる。幾つかの実施形態において、試験剤は、TPRKB、OSGEP若しくはLAGE3ホモログタンパク質及び/又はそれらの特徴的部分を含むことができる。
幾つかの実施形態において、試験剤は、ペプチドミメティックである。本明細書において、用語「ペプチドミメティック」とは、天然の結合パートナー、受容体及び/又は酵素との相互作用においてペプチドの代わりをする構造を意味する。ミメティックは、親和性、効力及び/又は基質機能を有することができる。特定の実施形態において、ペプチドミメティックは構造にかかわらず特定のペプチドの機能を示す。ペプチドミメティックは、所望の機能特性を生じるアミノ酸残基及び/又は他の化学部分を含むことができる。
幾つかの実施形態において、合成ライブラリー(Needelsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10700−4(1993年);Ohlmeyerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−10926(1993年);Lamら,国際公開番号WO92/00252;Kocisら,国際公開番号WO94/28028、これらそれぞれを本明細書を構成するものとしてその全ての内容をここに援用する)等は、本発明において対象標的のモジュレーターのスクリーニングに用いることができる。モジュレーター候補が同定されると、化学アナログはChemBridgeライブラリーズ(chembridge.com)、BIOMOLインターナショナル、ASINEX、ChemDiv、ChemDB、ICCB−ロングウッド等、民間のベンダーから市販されている化学物質のライブラリーから選択するか、或いは新規に合成することができる。
幾つかの実施形態において、本発明によりアンチセンス分子がスクリーニングされる。アンチセンス分子は、特定のmRNAと相補的なヌクレオチド配列を有するRNA又は一本鎖DNA分子である。実験室で調製されたアンチセンス分子が、研究対象の遺伝子によって転写された正常なmRNAを含有する細胞に注入されると、アンチセンス分子は、該mRNAと塩基対形成して、mRNAのタンパク質への翻訳を阻害することができる。その結果生じた二本鎖RNA又はRNA/DNAは、このような分子に特異的に結合する酵素によって消化される。従って、該mRNAの枯渇が起こり、遺伝子産物の翻訳を遮断するため、アンチセンス分子は、有害タンパク質の産生を遮断する医薬における用途がある。アンチセンスRNAを作製及び利用する方法は、当業者にとってよく知られている(例えば、C.Lichtenstein及びW.Nellen(Ed)Antisense Technology: A Practical Approach, Oxford University Press(1997年12月);S.Agrawal及びS.T.Crooke, Antisense Research and Application(Handbook of Experimental Pharmacology)131巻)Springer Verlag(1998年4月);I. Gibson,Antisense and Ribozyme Methodology: Laboratory Companion, Chapman&Hall(1997年6月);J.N.M. Mol及びA.R.Van Der Krol,Antisense Nucleic Acids and Proteins, Marcel Dekker;B.Weiss,Antisense Oligonodeoxynucleotides and Antisense RNA Novel Pharmacological and Therapeutic Agents,CRC press(1997年6月);Stanleyら, Antisense Research and Applications,CRC press(1993年6月);C.A.Stein及びA.M.Krieg,Applied Antisense Oligonucleotide Technology(1998年4月)を参照されたい)。
アンチセンス分子及びリボザイムは、核酸分子を合成するための本技術分野で公知のいずれの方法により調製することができる。これらの方法は、固相ホスホラミダイト化学合成等、オリゴヌクレオチドを化学合成するための技法を含む。また、RNA分子は、UGGTをコードするDNA配列のインビトロ及びインビボ転写により作製することもできる。このようなDNA配列は、T7又はSP6等、適切なRNAポリメラーゼプロモーターを備える多種多様なベクターへと組み込むことができる。或いは、アンチセンスRNAを構成的又は誘導により合成するこれらのcDNAコンストラクトは、細胞株、細胞又は組織へと導入することができる。
RNA分子は、細胞内安定性及び半減期を増強するよう修飾することができる。可能な修飾として、分子の5’及び/又は3’末端における隣接配列の付加、或いは分子骨格におけるホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエート又は2’O−メチルの使用が挙げられるが、これらに限定されない。この概念は、イノシン、キューオシン及びワイブトシン等、従来とは異なる塩基並びに内在性エンドヌクレアーゼによって容易には認識されないアセチル、メチル、チオと同様に修飾された形態のアデニン、シチジン、グアニン、チミン及びウリジンを含めることにより拡大することができる。
RNA干渉(RNAi)は、上述のアンチセンス及びリボザイムに基づくアプローチとは異なる、二本鎖RNA(dsRNA)によって媒介される転写後遺伝子サイレンシングの機序である。dsRNA分子は、先ず、DICER(Bernsteinら,Nature,409:363、2001年)と称するRNase III様酵素により、2本の
21nt鎖で構成されたより短いdsRNA分子へとプロセシングされた後、種々の系列の細胞において配列特異的mRNA分解を導くと考えられている。該2本の21nt鎖は、それぞれ5’リン酸基及び3’ヒドロキシルを有し、もう一方の鎖と正確に相補的な19nt領域を含むことで、2ntの3’オーバーハングが隣接した19ntの二重鎖領域となる。このように、RNAiは、通常各鎖に1〜2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有する約19ヌクレオチド長の二本鎖領域を含み、通常全長約21〜約23ヌクレオチドを生じる低分子干渉RNA(siRNA)によって媒介される。
siRNAは、種々の長さをとることができ、例えば、二本鎖部分が、15〜29ヌクレオチドの範囲となり得ることも理解できるであろう。siRNAが、片方又は両方の末端に平滑末端又は3’オーバーハングを有し得ることも理解できるであろう。このような3’オーバーハングは、存在するのであれば、多くの場合1〜5ヌクレオチドの長さである。
siRNAは、トランスフェクション、エレクトロポレーション又はマイクロインジェクション等の方法により哺乳類細胞へと導入された場合、或いは種々のプラスミドに基づくアプローチのいずれかにより細胞において発現した場合、遺伝子発現を下方制御することが示された。siRNAを用いたRNA干渉は、例えば、Tuschl,T.,Nat.Biotechnol,20:446−448、2002年5月において概説されている。Yu、J.ら,Proc.Natl.Acad.Sci、99(9),6047−6052(2002年);Sui,G.ら,Proc.Natl.Acad.Sci、99(8),5515−5520(2002年);Paddison,P.ら,Genes and Dev.,16,948−958(2002年);Brummelkamp,T.ら,Science,296,550−553(2002年);Miyagashi,M.及びTaira,K.,Nat.Biotech.,20,497−500(2002年);Paul,C.ら,Nat.Biotech.,20,505−508(2002年)も参照されたい。
実際に、RNAiによる特異的な遺伝子発現のインビボ阻害は、哺乳類を含む種々の生物において達成されてきた。例えば、Songら,Nature Medicine,9:347−351(2003年)は、Fas siRNA化合物を自己免疫性肝炎の実験室マウスへと静脈内注射することにより、マウス肝細胞におけるFas mRNAレベル及びFasタンパク質の発現を特異的に低下させたことを開示している。siRNAを動物に送達するための数通りの他のアプローチも成功したことを証明した。例えば、McCafferyら,Nature,418:38−39(2002年);Lewisら、Nature Genetics,32:107−108(2002年);及びXiaら,Nature Biotech.,20:1006−1010(2002年)を参照されたい。
siRNAは、2本の別個の核酸鎖からなっていても、或いはヘアピン(ステムループ)構造を形成できる自己相補的領域を備える1本の鎖からなっていてもよい。構造、長さ、ミスマッチの数、ループのサイズ、オーバーハングにおけるヌクレオチドの同一性等における多くの変化が、効果的なsiRNA誘発性遺伝子サイレンシングと一致する。いかなる理論に束縛されることも望まないが、種々の異なる前駆体の細胞内プロセシング(例えば、DICERによる)が、遺伝子サイレンシングを効果的に媒介できるsiRNAを生じると考えられる。一般に、イントロンではなくエクソンを標的とすることが望ましく、標的転写産物の3’部分内の領域と相補的な配列を選択することが特に望ましいことであり得る。一般に、およそ等モル比の異なるヌクレオチドを含む配列を選択して、単一の残基が複数回反復した配列を回避することが好ましい。
このように、siRNAは、通常各鎖に1〜2ヌクレオチドの3’オーバーハングを備え、約19ヌクレオチド長の二本鎖領域を有し、全長約21〜約23ヌクレオチドを生ずるRNA分子を含むことができる。本明細書において、siRNAは、インビボでプロセシングされてこのような分子を生じ得る種々のRNA構造も含む。このような構造は、互いにハイブリダイズして、ステム、ループ及び必要に応じてオーバーハング、好ましくは、3’オーバーハングを形成する2個の相補的エレメントを含有するRNA鎖を含む。通常、ステムは、およそ19bp長であり、ループは、約1〜20、好ましくは約4〜約10、より好ましくは約6〜約8ヌクレオチド長であり、及び/又はオーバーハングは、通常、約1〜約20、好ましくは約2〜約15ヌクレオチド長である。本発明のある実施形態において、ステムは、最小19ヌクレオチド長であり、最大約29ヌクレオチド長となることができる。4ヌクレオチド以上のループは、より短いループよりも立体障害を生じる可能性が低く、従って好ましくなり得る。オーバーハングは、5’リン酸及び3’ヒドロキシルを含むことができる。オーバーハングは、複数のU残基、例えば、1〜5個の間のU残基を含むことができるが、必ずしもその必要がある訳ではない。
幾つかの実施形態において、本発明に適したsiRNA化合物は、標的経路に関与するタンパク質及び遺伝子の配列情報に基づいて設計することができる。例えば、siRNAは、対象の生物標的、生物標的の活性化因子、阻害因子又は基質を標的とするよう設計することができる。
適切なsiRNAは、従来のRNA合成方法を用いて合成することができる。例えば、siRNAは、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホラミダイト及び通常のDNA/RNA合成機を用いて化学合成することができる。RNA合成のための種々の適用可能な方法は、例えば、Usmanら,.Am.Chem.Soc.,109:7845−854(1987年)及びScaringeら,Nucleic Acids Res.,18:5433−441(1990年)に開示されている。siRNAのカスタム合成サービスは、Ambion(米国テキサス州オースティン)、Dharmacon Research(米国コロラド州ラファイエット)、Pierce Chemical(米国イリノイ州ロックフォード)、ChemGenes(米国マサチューセッツ州アッシュランド)、Proligo(ドイツ、ハンブルク)及びCruachem(英国グラスゴー)等、民間のベンダーから利用できる。
本発明のsiRNAは、天然のRNAヌクレオチドだけで構成されていてもよいし、代わりに、先にアンチセンス分子に関して言及した1以上のヌクレオチドアナログ及び/又は修飾を含んでいてもよい。siRNA構造は、例えば、消化(例えばエキソヌクレアーゼによる)を低下させるために1以上の遊離型の鎖末端にヌクレオチドアナログを含むことによって安定化させることができる。或いは、siRNA分子は、関連分子をコードするDNA配列のインビトロ転写によって作製することができる。このようなDNA配列は、T7、T3又はSP6等、適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する多種多様なベクターへと組み込むことができる。
幾つかの実施形態において、本発明により天然物ライブラリーをスクリーニングすることができる。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、本発明によるスクリーニングのためにインシリコで(例えば、対象タンパク質又は複合体の構造解析に基づき)設計され、合成される。
幾つかの実施形態において、ラショナルドラッグデザインは、公知の生物活性候補物質の構造的アナログの予測及び/又は作製のために用いることができる。このようなアナログを作製することにより、天然の物質よりも有効及び/若しくは安定的となり、変化に対し異なる感受性を有し、並びに/又は種々の他の分子の機能に影響を及ぼし得る薬物を作り出すことが可能になる。アプローチの一法において、公知の候補物質及び/又はその特徴的部分の三次元構造を作成することができる。幾つかの実施形態において、三次元構造の作成は、X線結晶学、NMR構造、コンピュータモデリング及び/又はこれらアプロー
チの組み合わせにより達成される。
幾つかの実施形態においては、試験剤は式I:
(式中、Xは−C(=O)−又は−CH2−であり;
R1、R2、R3及びR4は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又は−N(R5)2であり;
各R5は独立して水素又はC1-6アルキルであるか、又は2個のR5はそれらが結合した窒素と共に複素環を形成し;
R6は水素、ハロ、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R7は水素、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R8、R8'、R9及びR9'は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表される化合物である。
幾つかの実施形態においては、試験剤は式II:
(式中、Xは−C(=O)−又は−CH2−であり;
R1、R2及びR3は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり;
各R5は独立して水素又はC1-6アルキルであるか、又は2個のR5はそれらが結合した窒素と共に複素環を形成し;
R6は水素、ハロ、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R7は水素、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R8、R8'、R9及びR9'は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表される化合物である。
本発明は、その幾つかの実施形態において、式III:
(式中、Xは−C(=O)−又は−CH2−であり;
R1、R2、R3及びR4は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又は−N(R5)2であり;
各R5は独立して水素又はC1-6アルキルであるか、又は2個のR5はそれらが結合した窒素と共に複素環を形成し;
R6は水素、ハロ、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R7は水素、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R8、R8'、R9及びR9'は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであって、R7、R8、R8'、R9及びR9'の少なくとも1個は水素ではない)で表される化合物を提供する。
幾つかの実施形態においては、試験剤は式IIIで表される化合物である。
本発明は、その幾つかの実施形態において、式IIIa又はIIIb:
で表される化合物を提供する。
本発明は、その幾つかの実施形態において、式IV:
(式中、Xは−C(=O)−又は−CH2−であり;
Yは−C(=O)−又は−C(R10)(R10')−であり;
Zは−C(=O)−又は−C(R11)(R11')−であり;
R1、R2、R3及びR4は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又は−N(R5)2であり;
各R5は独立して水素又はC1-6アルキルであるか、又は2個のR5はそれらが結合した窒素と共に複素環を形成し;
R6は水素、ハロ、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R7は水素、ベンジル又はC1-8アルキルであり;
R8、R8'、R9、R9'、R10、R10'、R11及びR11'は独立して水素、ハロ、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表される化合物を提供する。
本発明は、その幾つかの実施形態において、次の各式で表される化合物を提供する。
ある実施形態においては、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは、次の特許1以上に記載されている:米国特許第5,635,517号明細書、同第6,045,501号明細書、同第同第6,281,230号明細書、同第6,315,720号明細書、同第6,555,554号明細書、同第6,561,976号明細書、同第6,561,977号明細書、同第6,755,784号明細書、同第6,908,432号明細書、同第7,119,106号明細書、同第7,189,740号明細書及び同第7,465,800号明細書。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは、次の特許の1以上に記載されていない:米国特許第5,635,517号明細書、同第6,045,501号明細書、同第6,281,230号明細書、同第6,315,720号明細書、同第6,555,554号明細書、同第6,561,976号明細書、同第6,561,977号明細書、同第6,755,784号明細書、同第6,908,432号明細書、同第7,119,106号明細書、同第7,189,740号明細書及び同第7,465,800号明細書。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン3−イル)−5−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン3−イル)−4−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン3−イル)−6−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン3−イル)−7−アミノイソインドリン、1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリンである。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−6−アミノイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−7−アミノイソインドリン、1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン又は1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリンではない。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物29、31、27又は23である。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物29、31、27又は23ではない。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物18である。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物18ではない。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物2〜21のうち1以上である。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物2〜21のうち1以上ではない。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは、化合物24〜26のうち1以上である。ある実施形態において、本発明の試験剤及び/又はモジュレーターは化合物24〜26のうち1以上ではない。
PRPK−TPRKB及びKEOPS複合体モジュレーターの同定及び/又は特性評価
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を調節する剤を同定する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と結合する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、基準剤の親和性と比べた場合、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と1mM未満の範囲内の親和性で結合する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、細胞増殖を阻害する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、B細胞増殖を阻害する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、IL−2産生を誘導する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、TNF−α産生を阻害する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、TNF−α産生を誘導する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、炎症、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患の症状を治療する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、発癌状態又は癌性状態の症状を治療するための剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、PRPKキナーゼ活性を調節する剤を同定することにより、PRPK、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを同定する。更に他の実施形態において、本発明の方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログの発現及び/又はレベルを調節する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを同定する。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、ナチュラルキラー細胞を活性化する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、免疫シナプス形成を誘導する剤を同定することにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする。
本明細書において、語「生物標的」は、(1)PRPKタンパク質、PRPKをコードする核酸及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体:(2)TPRKBタンパク質、TPRKBをコードする核酸及び/又はそれらの相同体、一部、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体:(3)OSGEPタンパク質、OSGEPをコードする核酸及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/若しくは誘導体:(4)LAGE3とそのホモログのタンパク質、LAGE3とそのホモログをコードする核酸及び/又はそれらの相同体、部分、変異体、突然変異体及び/又は誘導体:及び/又は(5)PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログのうち2種以上の複合体を意味する。
試験剤の効力は、種々の濃度の試験剤を用いて得られたデータから用量反応曲線を作成することにより評価することができる。更に、対照アッセイを行って、比較のためのベースラインを提供することができる。ある実施形態において、対照アッセイは、候補物質の不在下で行われる。ある実施形態において、対照アッセイは、基準剤の存在下で行われる。
幾つかの実施形態において、本発明に係る剤は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を、試験剤を欠く以外は同一条件下観察される活性と比較して少なくとも約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%以上阻害及び/又は活性化する。幾つかの実施形態において、本発明に係る剤は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を、基準標準を用いた比較可能な条件下で観察される活性と比較して少なくとも約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%以上阻害及び/又は活性化する。
本発明の全スクリーニング方法は、有効剤が発見できない可能性があるとの事実にもかかわらず、それ自体が有用であることが理解できるであろう。本発明は、有効剤を発見する方法だけでなく、試験剤をスクリーニングするための方法を提供する。
スクリーニング
幾つかの実施形態において、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターのスクリーニングが利用される。幾つかの実施形態において、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターのハイスループットスクリーニングが利用される。幾つかの実施形態において、このようなスクリーニングは、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と結合する物質を同定する。
本発明のハイスループットアッセイにおいて、1日で最大数千種の試験剤のスクリーニングが可能である。マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された試験剤毎に別個のアッセイを実施することができる。また、濃度及び/又はインキュベーション時間の効果を観察する場合は、試験剤1種に対しそれぞれ5〜10ウェルで検査することができる。このように、1枚の標準マイクロタイタープレートは、96種の試験剤をアッセイすることができる。1536ウェルプレートを用いる場合、1枚のプレートで容易に約100〜約1500種の異なる試験剤をアッセイすることができる。1日で多数のプレートをアッセイすることができ、最大約6,000種、20,000種、50,000種、或いは100,000種を超える異なる試験剤のアッセイスクリーニングが可能である。
固相反応であるため、対象の生物標的は、例えばタグを介して、共有結合及び/又は非共有結合により、直接的又は間接的に固体成分と結合することができる。タグは、種々の成分のいずれかを含むことができる。一般に、タグを結合する物質(タグ結合剤)は、固体支持体に固定され、タグを付加された対象分子は、タグ及び/又はタグ結合剤の相互作用により固体支持体と結合される。
文献に詳述されている公知の分子相互作用に基づき、多くのタグ及び/又はタグ結合剤を用いることができる。例えば、タグが天然の結合剤を持つ場合、例えば、ビオチン、プロテインA及び/又はプロテインGは、適切なタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、免疫グロブリンのFc領域等)と併せて用いることができる。ビオチン等、天然の結合剤を持つ分子及び/又は適切なタグ結合剤に対する抗体は、広く入手できる(Sigma Immunochemicals,1998年カタログ、ミズーリ州セントルイス)。
同様に、ハプテン性化合物及び/又は抗原性化合物のいずれかを適切な抗体と組み合わせて用い、タグ/タグ結合剤ペアを形成することができる。数千種の特異的抗体が市販され、多くの追加的な抗体が文献に記載されている。例えば、一般的な一配置において、タグは、第一の抗体であり、タグ結合剤は、第一の抗体を認識する第二の抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、受容体−リガンド相互作用は、タグ及び/又はタグ結合剤ペアとして適切である。これらの例としては、トランスフェリン、c−kit、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体及び/又は抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリー等(例えば、Pigottら,The Adhesion Molecule Facts Book I,1993年を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、毒(toxin及び/又はvenom)、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、オピエート、ステロイド等)、細胞内受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド、ビタミンD及び/又はペプチド等、種々の小分子リガンドの効果を媒介する)、薬物、レクチン、炭水化物、核酸(直鎖状及び/又は環状ポリマー立体配置)、タンパク質、リン脂質及び/又は抗体は、種々の細胞受容体と相互作用することができる。
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド及び/又はポリアセテート等、合成ポリマーは、適切なタグ及び/又はタグ結合剤を生成することができる。当業者には明らかなように、多くの他のタグ/タグ結合剤ペアは、本明細書に記載されているアッセイ系において有用である。
ペプチド、ポリエーテルその他等、一般的なリンカーは、タグとして機能することができ、約5〜200アミノ酸のポリGly配列等、ポリペプチド配列を含むことができる。このようなフレキシブルなリンカーは当業者に公知のものである。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers Inc.(アラバマ州ハンツビル)から入手できる。これらのリンカーは、アミド結合、スルフヒドリル結合及び/又はヘテロ官能基結合を必要に応じて有する。
タグ結合剤は、現在利用できる種々の方法のいずれかを用いて固体基質に固定される。固体基質は、一般に、基質の全体及び/又は一部を、タグ結合剤の一部分と反応性の表面に化学基を固定する化学試薬に曝露することにより、誘導体化及び/又は官能性を持たせる。例えば、長鎖部分との結合に適切な化学基は、アミン、ヒドロキシル、チオール及び/又はカルボキシル基を含む。アミノアルキルシラン及び/又はヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面等、種々の表面に官能性を持たせることができる。このような固相バイオポリマーアレイの構築は、文献に詳述されている(例えば以下を参照、ペプチドの固相合成について記載するMerrifield,1963年,J.Am.Chem.Soc.85:2149;ピンにおける固相成分の合成について記載するGeysenら,1987年,J.Immun.Meth.102:259;セルロースディスクにおける種々のペプチド配列の合成について記載するFrankら,1988年,Tetrahedron,44:6031;Foforら,1991年,Science,251:767、Sheldonら,1993年,Clinical Chemistry 39(4):718、及びKozalら,1996年,Nature Medicine,2:753、これらは全て固体基質に固定されたバイオポリマーのアレイについて記載する)。タグ結合剤を基質に固定するための非化学的なアプローチには、熱、UV照射による架橋等、他の一般的方法が含まれる。
インビトロアッセイ
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングするためのインビトロ方法を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、方法は一般に、(1)PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を含む系を用意することと、(2)試験剤を用意することと、(3)該試験剤を系と接触させることと、(4)該試験剤によるPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の調節を測定及び/又は検出することとを含む。
通常、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体が用意され、試験剤と直接的に及び/又は間接的に接触させられる。続いて、試験剤によるPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の調節が、検出及び/又は測定される。その後、適切な剤を単離及び/又は解析することができる。ライブラリーのスクリーニングのための、当業者にとって公知のハイスループットアッセイ手段は市販されており、本明細書に記載されている。
幾つかの実施形態において、インビトロアッセイは、結合アッセイを含む。候補物質と生物標的(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体)との結合は、その中での又はそれとの立体的、アロステリック及び/又は電荷−電荷相互作用により阻害を生じ得る。生物標的は、溶液中に遊離していても支持体に固定されていてもよく、並びに/又は細胞中に及び/若しくは細胞表面上に発現していてもよい。生物標的及び/又は試験剤を標識することにより結合の検出が可能となる。生物標的は標識化学種であることが多く、標識することで結合を妨害したり増強したりする機会を減少させる。試験剤の1種が標識された競合的結合形式をなすことができ、遊離の標識対結合標識の量を測定すれば、結合への効果を決定することができる。
幾つかの実施形態において、結合アッセイは、生物標的の試験剤への曝露並びに生物標的及び試験剤間の結合の検出に関与する。結合アッセイは、インビトロで(例えば、実質的に適用した成分のみを含む試験管内で、無細胞抽出物において、及び/又は実質的に精製された成分において)行うことができる。別法として、又はこれに加えて、このアッセイはインサイト及び/又はインビボで(以下で更に詳述する通り、例えば、細胞内、組織内、器官内及び/又は生物内で)行うことができる。
ある実施形態においては、試験剤は生物標的と接触され、その効果が検出される。アッセイの一形態においては、例えば、試験剤はPRPKタンパク質と接触され、PRPKタンパク質との結合が試験される。TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体に対しても同様のアッセイを行うことができる。PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログの断片、部分、相同体、変異体及び/又は誘導体を用いてよいことは理解されよう。
幾つかの実施形態においては、固定化されていない試験剤を用いて、固体支持体に固定化された生物標的と結合する剤を同定するためのアッセイを利用し、生物標的と試験剤が互いに結合するか否か及び/又はどの程度結合するか決定する。また、試験剤を固定化して、生物標的を固定化しないこともできる。このようなアッセイを利用してPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と結合できる剤を同定することができる。
一実施形態においては、生物標的を認識する抗体(例えば、PRPK抗体)が固体支持体(例えば、プロテインAビーズ)と結合されている。この抗体は生物標的と接触させられ、この標的は固定化された抗体と結合する。続いて、形成された複合体は試験剤(精製タンパク質、細胞抽出物、コンビナトリアルライブラリー等)と接触させられる。試験剤が生物標的と相互作用する場合、試験剤は固体支持体へと間接的に固定化される。固体支持体における試験剤の存在は、本技術分野で公知の標準的技法(ウエスタンブロッティングが挙げられるがこれに限定されない)によりアッセイすることができる。この種のアッセイは本技術分野において「免疫沈降」アッセイとして知られている。
一実施形態においては、生物標的(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体)はアガロースビーズ等、ビーズ上に固定化される。ある実施形態においては、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ及び/又はそれらの特徴的部分は、細菌、酵母、昆虫及び/又は高等真核生物の細胞株においてGST融合タンパク質として発現され、及び/又はグルタチオン−アガロースビーズを用いて粗細胞抽出物から精製される。対照としてGST融合タンパク質ではない試験剤と、固定化された生物標的との結合が生物標的なしで決定される。続いて、試験剤と固定化された生物標的との結合が決定される。この種のアッセイは本技術分野において「GSTプルダウン」アッセイとして知られている。別法として、又はこれに加えて、試験剤が固定化され、生物標的が固定化されていなくてもよい。
成分のうち一方を固定化するための別のアフィニティー精製系、例えば、Ni−NTAアガロース及び/又はヒスチジンのタグを付けた成分を用いてこの種のアッセイを行うことができる。
生物標的と試験剤との結合は、本技術分野で周知の種々の方法により決定することができる。例えば、固定化されていない成分を(例えば、放射性標識、エピトープタグ及び/又は酵素−抗体コンジュゲートにより)標識することができる。また、結合は免疫学的検出技法により決定することができる。例えば、反応混合物をウエスタンブロットし、固定化されていない成分を検出する抗体によりブロットをプローブで探索できる。別法として、又はこれに加えて、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を利用して結合をアッセイすることができる。
本発明のPRPK、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体モジュレーターの活性は、例えば、PRPKのキナーゼ活性をアッセイすることにより決定することができる。このようなアッセイにおいて、組換え手段により生成されたPRPK及び/又はその特徴的部分は、放射標識リン酸を含有する適切なリン酸ドナー(例えば、ATP)の存在下で基質と接触され、放射標識の基質へのPRPK依存性取り込みが測定される。「基質」とは、PRPKに触媒される反応において、ATP等、ドナー分子から移動されたγ−リン酸基のアクセプターとして機能する適切なヒドロキシル部分を含有する任意の物質を指す。基質はPRPKの内在性基質であることができる(例えば、p53)。基質はタンパク質又はペプチドであることができ、リン酸化反応は基質のセリン及び/又はスレオニン残基において生じ得る。当業者には周知であるが、非天然基質は上述のようなキナーゼアッセイにおいて適切な基質として機能することができ、このようなアッセイに一般に用いられる特異的基質の例としてはヒストンタンパク質又はミエリン塩基性タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
当業者には周知であるが、キナーゼ依存性基質リン酸化の検出は、放射標識リン酸の基質への取り込みの測定以外の多くの手段によって達成され得る。例えば、リン酸基の取り込みは、電気泳動移動度、吸光度、蛍光及び/又はリン光、クロマトグラフィー特性その他等、基質の物理化学的特性に影響を及ぼし得る。基質の物理化学的特性のこのような変化は、当業者であれば容易に測定することができ、キナーゼ活性の指標として用いることができる。
インサイトアッセイ
本発明は、その幾つかの実施形態において、試験剤を細胞と接触させて、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターをスクリーニングする方法を提供する。続いて、細胞を、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の活性と関連する種々のパラメータに関してアッセイすることができる。幾つかの実施形態においては、細胞はPRPK−TPRKB複合体及び/若しくはKEOPS複合体のうち1以上のメンバーを過剰発現する、並びに/又はこれら複合体の一方又は両方が作用する生物学的経路の改変を含む。本発明は、このような過剰発現する及び/又は改変された細胞を提供する。当業者であれば、本開示を参照することにより、このような細胞の範囲をよく理解し、このような細胞を構築、特性評価及び/又は利用するための多種多様な確立され、容易に得られる戦略を十分理解できるであろう。
ある実施形態においては、細胞はPRPK、TPRKB、OSGEP並びにLAGE3及びそのホモログのうち2種以上の間の結合に関して直接的にアッセイすることができる。結合を評価するための免疫組織化学的技法、コンフォーカル技法及び/又は他の技法は当業者に周知である。このようなスクリーニングアッセイにおいては、特異的に遺伝子操作された細胞等、種々の細胞株を利用することができる。スクリーニングアッセイにおいて用いられる細胞の例として、Jeko−1、NCI−H929、Jurkat、PBMC(末梢血単核球)、HS−Sultan、多発性骨髄腫細胞株、HEK−293FT、Raji、Daudi、Ramos、B細胞株及び、T細胞株が挙げられる。細胞は増殖因子により刺激された細胞等、刺激された細胞であることができる。当業者であれば、本明細書に開示される発明が、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とその相同体、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の活性と相関するパラメータを測定するための多種多様なインサイトアッセイを包含することを理解できるであろう。
アッセイによっては細胞及び/又は組織培養物が必要とされ得る。細胞は、PRPK、TPRKB、OSGEP並びにLAGE3及びそのホモログのうち2種以上の間の結合に関する上の記述の通り、多くの種々の生理学的アッセイのいずれかを用いて試験することができる。また、分子の分析法としては、タンパク質発現をモニターするための及び/又はタンパク質−タンパク質相互作用を試験するためのウエスタンブロッティング;ノーザンブロッティング、RNAディファレンシャルディスプレイ及び/又はmRNA発現をモニターするためのマイクロアレイ解析;リン酸化をモニターするためのキナーゼアッセイ;他の化学修飾をモニターするための質量分析等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と結合し、それによって、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の活性を調節し得る剤を同定するための方法を提供する。PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と結合する物質を同定するインサイト方法の一方法は、ツーハイブリッド系アッセイ(Fieldsら,1994年,Trends in Genetics 10:286、及びColasら,1998年,TIBTECH 16:355)である。このアッセイにおいて、酵母細胞は、本発明に係る生物標的(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体)とGal4及び/又はLexA等、転写因子のDNA結合ドメインとからなる第一の融合タンパク質を発現する。細胞は、対応するDNA結合ドメインの結合部位をそのプロモーターに有するレポーター遺伝子を更に含む。活性化ドメイン(例えば、Gal4及び/又は単純ヘルペスウイルスVP16由来)と融合した候補物質からなる第二の融合タンパク質を発現するベクターで細胞を形質転換することにより、試験剤が生物標的と相互作用する場合、レポーター遺伝子の発現は大幅に増加し得る。
別のアッセイは、固相に結合した生物標的とそのスクリーニングされる試験剤との相互作用に基づく。従って、生物標的(例えば、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体)は、放射性、蛍光及び/又は発光標識等、検出可能マーカーを含有することができる。更に、候補物質は間接的検出(例えば、発色基質を用いた酵素の利用による及び/又は検出可能抗体の結合による)を可能とする他の物質とカップリングすることができる。試験剤との相互作用によるPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の立体構造の変化は、例えば、検出可能マーカーの発光の変化により検出することができる。別法として、又はこれに加えて、固相に結合したタンパク質複合体は質量分析により分析することができる。
幾つかの実施形態においては、スクリーニングアッセイは、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体活性の下流の細胞効果をモニターすることにより、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の活性をアッセイすることができる。このような効果として、p53のリン酸化及びPI3K/AKT経路におけるシグナル伝達効果、及び/又は増殖、増殖停止、分化、糖鎖付加の変化、遺伝子発現の変化、転写調節、テロメア長における効果、サイトカイン産生における効果及び/又はアポトーシス等、他の細胞応答が挙げられるがこれらに限定されない。
他の一実施形態においては、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログのレベルは、タンパク質及び/又はmRNAのレベルを測定することにより決定される。タンパク質及び/又はその特徴的部分のレベルは、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログと選択的に結合する抗体を用いたウエスタンブロッティング及び/又はELISA等のイムノアッセイを用いて測定される。mRNAの測定のため、増幅(例えば、PCR、LCRを用いた)及び/又はハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、RNAseプロテクション、ドットブロッティング)を用いることができる。タンパク質及び/又はmRNAのレベルは、直接的に及び/又は間接的に標識された検出薬、例えば、本明細書に記載される蛍光標識及び/又は放射性標識された核酸、放射性標識及び/又は酵素標識された抗体等を用いて検出される。
別法として、又はこれに加えて、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログの発現は、レポーター遺伝子系を用いて測定することができる。このような系は、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、O−ガラクトシダーゼ及び/又はアルカリホスファターゼ等のレポーター遺伝子と作動可能に結合したPRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログタンパク質プロモーターを用いて構築することができる。更に、PRPK、TPRKB、OSGEP及び/又はLAGE3とそのホモログは、赤色及び/又は緑色蛍光タンパク質(例えば、Mistiliら,1997年、Nature Biotech.15:961を参照)等、第二のレポーターとの接続を介した間接レポーターとして用いることができる。レポーター構築物は、通常、細胞にトランスフェクトされる。候補物質により処理した後、レポーター遺伝子の転写、翻訳及び/又は活性の量が、当業者に公知の標準的技法により測定される。
本発明はその幾つかの実施形態において、PRPKがインビボでp53のリン酸化を誘導できるかを決定するための方法を提供する。このような方法において、細胞には野生型若しくは変異型PRPK及び/又はp53を発現するベクターがトランスフェクトされる。トランスフェクション後の一定の時点において細胞抽出物又は細胞全体が調製され、ウエスタンブロッティング若しくは質量分析(ライセート)により、又は細胞内ウエスタン、免疫蛍光法若しくはハイコンテンツなイメージング(細胞全体)により、p53のリン酸化の程度が解析される。
インビボアッセイ
インビボアッセイは、特異的欠損を有するよう、並びに/又は生物における種々の細胞に到達及び/若しくは影響を及ぼす候補物質の能力の測定に用いることのできるマーカーを有するよう遺伝子操作されたトランスジェニック動物等、種々の動物モデルの使用を伴う。そのサイズ、取り扱いが容易であること、並びに/又はその生理学的及び/若しくは遺伝学的構造に関する情報の理由から、マウスは特にトランスジェニックのための一実施形態である。しかし、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、スナネズミ、ウッドチャック、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ及び/又はサル(チンパンジー、テナガザル及び/又はヒヒ等)等、他の動物も同様に好ましい。モジュレーターのアッセイも、これらの種及び/又は本明細書に列挙されていない他の有用な種のいずれかに由来する動物モデルを用いて行うことができる。
このようなアッセイにおいて、1以上の試験剤が動物に投与され、試験剤で処理されていない同様の動物と比較して、1以上の特性を変化させる試験剤の能力により、モジュレーターが同定される。特性は、細胞増殖、IL−2産生、TNF−α産生並びにPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のその他の効果(例えば、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、発癌状態又は癌性状態等)と関連する症状に関して本明細書に記載されている特性のいずれかであることができる。
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害の発症を治療、安定化及び/又は遅延し得る剤をスクリーニングする方法を提供する。幾つかの実施形態において、剤はPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを含む。本発明に係る剤によるこれら動物の治療は、適切な形態の物質の動物への投与に関与するであろう。投与は、経口、経鼻、頬側及び/又は局所が挙げられるがこれらに限定されない、臨床及び/又は非臨床目的に利用できる任意の経路によって行われるであろう。別法として、又はこれに加えて、投与は、気管内注入、気管支注入、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、吸入及び/又は静脈内注射(例えば、全身性静脈内注射)、血液及び/又はリンパ液供給を介した局所投与、及び/又は患部への直接投与によって行うことができる。
従って、本発明は、その一様相において、哺乳類におけるPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害の発症の治療、安定化及び/又は遅延に剤が有用であるかを決定するための方法及び/又は組成物を含むスクリーニング系を提供する。幾つかの実施形態においては、候補物質がPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、障害又は状態等と関連する症状の発症を改善、安定化及び/又は遅延する場合、候補物質は、そのような疾患、状態又は障害の発症を治療、安定化及び/又は遅延すると決定される。
インビボにおける化合物の有効性の決定には、種々の異なる判断基準が関与し得る。毒性及び/又は用量反応の測定は、動物においてインビトロ及び/又はインサイトアッセイよりも有意義に行うことができる。インビボアッセイは、多発性骨髄腫、血管新生阻害、慢性リンパ性白血病又は急性リンパ芽球性白血病のための動物疾患モデル、固形腫瘍動物モデル、いずれかの腫瘍関係の動物モデル、炎症動物モデル、及び自己免疫疾患動物モデルを含むことができる。
使用方法
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、細胞増殖、IL−2産生又はTNF−α産生、ナチュラルキラー活性化と関連する疾患、状態又は障害を治療する方法を提供する。ある実施形態において、このような方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の調節に関与する。ある実施形態において、このような方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の活性化に関与する。ある実施形態において、このような方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体の阻害に関与する。
幾つかの実施形態において、本発明は、PRPK/TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体及び/又はそれらのいずれかのサブユニット若しくは成分を調節する剤と細胞とを接触させることを含み、対照と比較した細胞増殖の減少を検出することを必要に応じて更に含む、細胞増殖を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、PRPK/TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体及び/又はそれらのいずれかのサブユニット若しくは成分を調節する剤とB細胞とを接触させることを含み、対照と比較したB細胞増殖の減少を検出することを必要に応じて更に含む、B細胞増殖を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、PRPK/TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体及び/又はそれらのいずれかのサブユニット若しくは成分を調節する剤と細胞とを接触させることを含み、対照と比較したIL−2産生の増加を検出することを必要に応じて更に含む、IL−2産生を誘導する方法を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、PRPK/TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体及び/又はそれらのいずれかのサブユニット若しくは成分を調節する剤と細胞とを接触させることを含み、対照と比較したTNF−α産生の減少を検出することを必要に応じて更に含む、TNF−αを阻害する方法を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害を治療する方法を提供する。ある実施形態において、本発明の方法により治療される疾患、障害又は状態は、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、発癌性若しくは癌性状態、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、敗血症、狼瘡、癩性結節性紅斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、多発性硬化症、統合失調症、宿主対移植片病、HIV、糖尿病、細菌性感染症、嘔吐、循環器疾患、マラリア、高血圧、動脈硬化症、喘息、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、カヘキシー、結腸直腸癌、頭頸部癌、特発性肺線維症、白血病、肺癌、メラノーマ、疼痛又は前立腺癌である。ある実施形態において、本発明の方法において用いられる剤は、睡眠薬、鎮静剤、抗凝固薬、救援療法、免疫賦活薬、免疫抑制剤、アジュバント、殺菌薬又は神経系薬剤である。
本発明のある様相において本方法は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を調節する剤を含む医薬組成物を用意することを更に含む。本発明のある様相において本方法は、式I、II又はIIIで表される剤を含む医薬組成物を用意することを更に含む。他の側面においては、当該候補物質を含む医薬組成物は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害に罹患した患者における細胞等の細胞に投与される。
更に他の実施形態において、本発明は、(1)PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害の症状を呈する患者を用意することと、(2)PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体を調節する剤を投与することとを含む、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害を治療する方法を提供する。ある実施形態において、本発明はPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/若しくはKEOPS複合体と関連する疾患、状態若しくは障害に罹患しているか若しくはそれに対する感受性が高い個体、並びに/又はPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/若しくはKEOPS複合体と関連する疾患、状態若しくは障害のモジュレーターによる治療に応答する可能性が高い(若しくは可能性が低い)個体の同定及び/又は分類を可能にする。
医薬組成物
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されているPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを含む医薬組成物を提供する。本発明は、対象への投与のために適切に製剤化された、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターの1以上を治療上有効量で含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、1以上の追加的な治療上有効な物質を必要に応じて含むことができる。
一実施形態において、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体と関連する疾患、状態又は障害を治療する方法が提供される。本方法は、本発明のPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターうちの少なくとも1種類を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターは、治療するべき特定の疾患、障害又は状態の症状の治療に用いられる他の薬物と共に投与することができる。幾つかの実施形態において、組成物はヒトに投与される。
本発明は、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターを有効成分として含む医薬組成物の調製及び/又は使用を包含する。このような医薬組成物は、対象への投与に適した形態の有効成分単独からなることができる。また、医薬組成物は、有効成分と、1以上の薬学的に許容される担体、1以上の追加的な成分及び/又はそれらの組み合わせとを含むことができる。有効成分は、本技術分野で周知のとおり、生理学的に許容される陽イオン及び/又は陰イオンとの組み合わせ等、生理学的に許容されるエステル及び/又は塩の形態で医薬組成物中に存在することができる。
本明細書において「生理学的に許容される」エステル及び/又は塩という用語は、医薬組成物の他の全ての成分と適合性があり、該組成物の投与対象に有害な影響を与えない、有効成分のエステル及び/又は塩の形態を意味する。
本明細書に記載する医薬組成物の製剤は、薬理学分野において知られているか、或いは今後開発されるいずれの方法により調製することができる。一般に、このような調製方法は、有効成分を担体及び/又は1種以上の他の補助成分と混合させることと、次いで、必要及び/又は所望に応じて、生成物を所望の単回又は複数回用量単位に成形及び/又は包装することとを含む。
本明細書において提供される医薬組成物に関する記載は原則としてヒトに投与するのに適した医薬組成物を対象とするが、一般に、この種の組成物はあらゆる種類の動物に投与するのに適していることが当業者には理解されるであろう。ヒトに投与するのに適した医薬組成物から種々の動物に投与するのに適した組成物への変更は十分に理解されており、獣医薬理学分野の当業者であれば、(もし行う場合は)単に通常の実験を行うだけでこうした変更を設計及び/又は実施することができる。本発明の医薬組成物を投与することが想定されている対象としては、ヒト及び/又は他の霊長類;哺乳動物(ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及び/又はイヌ等の商用哺乳動物を含む)及び/又は鳥類(ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/又はシチメンチョウ等の商用鳥類を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、単回用量単位及び/又は複数の単回用量単位として、バルクで調製、包装及び/又は販売することができる。本明細書において「用量単位」は、医薬組成物を所定量の有効成分を含有するように分割した量である。一般に、この有効成分の量は対象に投与しようとする有効成分の用量及び/又はこの用量を例えば半分や3分の1等に等分した好都合な量に等しい。
本発明の医薬組成物における有効成分、医薬的に許容される担体及び/又は任意の更なる成分の相対量は、治療対象の特性、体型及び/又は状態によっても、更には組成物の投与経路によっても変化するであろう。例えば、本組成物は有効成分を0.1%〜100%(w/w)含むことができる。
一般に、本医薬組成物は、治療剤に加えて、所望される特定の剤形に適した以下の追加成分の1種以上を含むことができる。そのような追加成分とは、賦形剤、界面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、造粒及び/若しくは崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、着色剤、防腐剤、生理学的に分解可能な組成物(ゼラチン等)、水性媒体及び/若しくは溶媒、油性媒体及び/若しくは溶媒、懸濁化剤、分散剤及び/若しくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝剤、塩、増粘剤、フィラー、乳化剤、抗酸化剤、抗生物質、抗真菌剤、安定剤、医薬的に許容される高分子及び/若しくは疎水性材料、並びに/又はこれらの組合せであるが、これらに限定されない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy(21版,Lippincott Williams&Wilkins,2005)には、医薬的に許容される組成物の配合に使用することができる他の更なる成分及び/又はその調製のための公知の技法が開示されている。
本医薬組成物は、水性又は油性の注射用無菌サスペンジョン及び/又は液剤の形態で、調製、包装及び/又は販売することができる。このサスペンジョン及び/又は液剤は公知の技術に従い配合することができ、有効成分に加えて、本明細書に記載する分散剤、湿潤剤、及び/又は懸濁化剤等の追加成分を含むことができる。この種の注射用無菌製剤は、無毒性の非経口投与可能な希釈剤及び/又は溶媒、例えば、水及び/又は1,3ブタンジオール等を用いて調製することができる。他に許容される希釈剤及び/又は溶媒としては、リンゲル液、生理食塩水及び/又は不揮発性油(合成モノ及び/又はジグリセリド等)が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用な非経口投与可能な製剤としては、有効成分を、微結晶形態でリポソーム製剤中に、及び/又は生分解性ポリマー系の成分として含有するものが挙げられる。徐放性組成物及び/又は移植用組成物は、エマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー及び/又は難溶性塩等、医薬的に許容される高分子及び/又は疎水性材料を含有することができる。
本発明の化合物の効果を持続させるためには、皮下及び/又は筋肉注射によって本化合物を緩慢に吸収させることが望ましい場合が多い。これは、水への溶解性が低い結晶性材料及び/又は非晶性材料の液体サスペンジョンを使用することによって達成することができる。その後の本化合物の吸収速度は溶解速度に依存し、溶解速度は結晶サイズ及び/又は結晶形態に依存し得る。別法として、又はこれに加えて、本化合物を油状媒体に溶解及び/又は懸濁させることによって、非経口投与された化合物の吸収を遅延させることができる。注射用デポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコール酸等の生分解性ポリマーで本化合物をマイクロカプセル化する母材を形成することにより製造される。化合物の放出速度は、化合物対ポリマーの比率及び/又は使用した具体的なポリマーの性質に応じて制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及び/又はポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射製剤は、本化合物を生体組織と適合するリポソーム及び/又はマイクロエマルジョンで内包することにより調製される。
本発明の注射製剤の滅菌は、例えば、細菌保持フィルターで濾過するか、及び/又は無菌固体組成物形態の滅菌剤(使用前に、無菌水及び/又はそれ以外の注射用無菌媒質に溶解及び/又は分散させることができる)を混合することによって行うことができる。
経口投与に適した本発明の医薬組成物の製剤としては、それぞれ所定量の有効成分を含有する、錠剤、硬若しくは軟カプセル剤、カシュー剤、トローチ剤及び/又はドロップ剤等の分離形態にある固体用量単位で調製、包装、及び/又は販売することができるが、これらに限定されない。経口投与に適した他の製剤としては、散剤及び/又は顆粒剤、水性又は若しくは油性サスペンジョン、水性若しくは油性液剤及び/又はエマルジョン剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「油性」液体とは、炭素を含む液状分子を含み、水よりも極性が低いものである。
本発明の医薬製剤の粉末配合物及び/又は顆粒配合物は公知の方法を用いて調製することができる。この種の配合物は、例えば、錠剤の形成、カプセル剤の充填及び/又は水性若しくは油性サスペンジョン及び/又は液剤の調製(水性又は油性媒体を添加する)に使用される装置に直接装入することができる。
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルジョン剤及び/又は油中水型エマルジョン剤の形態で、調製、包装及び/又は販売することができる。油相には、オリーブ油及び/又は落花生油等の植物油、流動パラフィン等の鉱油及び/又はこれらの組合せを用いることができる。この種の組成物は更に、アラビアゴム及び/又はトラガカントゴム等の天然ゴム、大豆及び/又はレシチンリン脂質等の天然リン脂質、脂肪酸及び/又はヘキシトール無水物の組合せから誘導されるエステル及び/又は部分エステル(モノオレイン酸ソルビタン等)、及び/又はこの種の部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)等の1種以上の乳化剤を含むことができる。これらのエマルジョン剤は、例えば、甘味及び/又は香味剤等の、更なる成分を含有することができる。
本発明の医薬組成物の経口投与に適した液状製剤としては特に限定されないが、液状形態並びに/又は使用前に水及び/若しくは他の好適な媒体で再構成させることが意図される乾燥製品形態の何れかとして、調製、包装及び/又は販売することができる水性物が挙げられる。
経口投与用の液状剤形としては、医薬的に許容されるエマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、液剤、サスペンジョン、シロップ剤及び/又はエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。液状剤形は、任意の有効化合物に加えて、当該技術分野において慣用されている不活性希釈剤、例えば、水、生理食塩水及び/若しくは他の溶媒、可溶化剤、並びに/又は乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、胡麻、大豆、杏仁、パーム、落花生、紅花、椰子、オリーブ、カカオ脂、パーム核、シアバター、ヒマワリ、アーモンド、アボカド、ボラージ、カルナウバ、ヘーゼルナッツ、ヒマシ、綿実、月見草、オレンジラフィー、菜種、米糠、胡桃、小麦胚芽、桃仁、ババス、マンゴー種子、ブラックカラント種子、ホホバ、マカデミアナッツ、シーバックソン、サザンカ(sasquana)、椿、マロー、メドウフォーム種子、コーヒー、エミュ、ミンク、ブドウ種子、アザミ、ティートゥリー、カボチャ種子、ククイナッツ及び/又はこれらの混合物)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及び/又はソルビタンの脂肪酸エステル、エチルアルコール、鉱油(流動パラフィン等)及び/又はこれらの混合物等を含有することができる。
経口用組成物は、不活性希釈剤に加えて、懸濁化剤、分散及び/又は湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、防腐剤、緩衝剤、塩、香味剤、着色剤及び/又は甘味剤等の1種以上を含むがこれらに限定されない更なる成分を更に含有することができる。油性サスペンジョンは、更に増粘剤を含有することができる。公知の懸濁化剤としては、ソルビトールシロップ、水素化食用脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム及び/又はセルロース誘導体(ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)が挙げられるが、これらに限定されない。
公知の分散及び/又は湿潤剤としては、天然リン脂質(レシチン等)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、脂肪酸及び/又はヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、及び/又は脂肪酸及び/又はヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物(例えば、それぞれ、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、及び/又はポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられるが、これらに限定されない。公知の乳化剤としては、レシチン及び/又はアラビアゴムが挙げられるが、これらに限定されない。公知の防腐剤としては、メチル、エチル及び/若しくはn−プロピルパラヒドロキシ安息香酸、アスコルビン酸、並びに/又はソルビン酸が挙げられるがこれらに限定されない。公知の甘味剤としては、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ショ糖及び/又はサッカリンが挙げられる。油性サスペンジョン用の公知の増粘剤としては、例えば、ミツロウ、パラフィンワックス及び/又はセチルアルコールが挙げられる。
有効成分を水性溶媒又は油性溶媒に溶解させた液剤は、液状サスペンジョンと実質的に同様の方法で調製することができ、主な違いは有効成分が溶媒に懸濁しているのではなく溶解していることにある。本発明の医薬組成物の液剤は、液状サスペンジョンに関し記載した各成分を含むことができるが、懸濁化剤は有効成分を溶媒に溶解するのに必要ではないことが理解されるであろう。水性溶媒としては、例えば、水及び/又は生理食塩水が挙げられる。油性溶媒としては、例えば、アーモンド油、落花生油、油性エステル、エチルアルコール、植物油(落花生、オリーブ、胡麻及び/又は椰子油等)、分別植物油及び/又は鉱油(流動パラフィン等)が挙げられる。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び/又は顆粒剤が挙げられる。錠剤の製造に使用される医薬的に許容される賦形剤としては、不活性希釈剤、造粒及び/又は崩壊剤、結合剤、及び/又は滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。公知の分散剤としては、ジャガイモデンプン及び/又はデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。公知の界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。公知の希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及び/又はリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。公知の造粒剤及び/又は崩壊剤としてはコーンスターチ及び/又はアルギン酸が挙げられるが、これらに限定されない。公知の結合剤としては、ゼラチン、アラビアゴム、アルファ化コーンスターチ、ポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。公知の滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ及び/又はタルクが挙げられるが、これらに限定されない。錠剤はコーティングされていなくてもよく、並びに/又は対象の胃腸管における崩壊が遅延し、それによって有効成分が徐々に放出及び/若しくは吸収されるように、公知の方法を用いてコーティングされていてもよい。一例として、モノステアリン酸グリセリル及び/又はジステアリン酸グリセリル等の材料を錠剤のコーティングに使用することができる。更なる一例として、錠剤を米国特許第4,256,108号明細書、同第4,160,452号明細書又は同第4,265,874号明細書に記載された方法を用いてコーティングすることにより浸透圧ポンプ錠(osmotically−controlled release tablet)を形成することができる。錠剤は、医薬的に洗練されて及び/又は口当たりのよい製剤を得るために、甘味剤、香味剤、着色剤、防腐剤及び/又はこれらの組合せのいずれかを更に含有することができる。
好適な結合剤としては、デンプン、PVP(ポリビニルピロリドン)、低分子量HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、微結晶セルロース、低分子量HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、低分子量カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、デキストリン、ショ糖、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及び/又はポリメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
フィラーとしては、微結晶セルロース、デンプン、ラクチトール、乳糖、好適な無機カルシウム塩、ショ糖、グルコース、マンニトール、ケイ酸及び/又はこれらの組合せからなる群から選択される剤が挙げられる。幾つかの実施形態においては、コアは結合剤及び/又はフィラーを含む。
固体剤形に適切な崩壊剤を添加することによって崩壊を促進することができる。崩壊剤を添加することによって、有効化合物の放出を促進し、及び/又は胃腸管内で濃度平衡に到達させることができる。好適な崩壊剤は当該技術分野において公知であり、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ及び/又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、クロスポビドン(架橋PVP)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、アルファ化デンプン(スターチ1500)、微結晶デンプン、非水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)及び/又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な界面活性剤は当該技術分野において公知であり、例えば、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、セチルアルコール、グリセロール脂肪酸エステル(例えば、トリアセチン、モノステアリン酸グリセロール等)、ポリオキシメチレンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ポリエトキシル化ヒマシ油及び/若しくはドクセートナトリウム等、並びに/又はこれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においては、コアは更に界面活性剤を含むことができる。
パラフィン等の溶解遅延剤、第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、例えば、セチルアルコール及び/若しくはモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、カオリン及び/若しくはベントナイトクレー等の吸収剤、並びに/又はタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑沢剤、並びに/或いはこれらの混合物。剤形がカプセル剤、錠剤、及び/又は丸剤である場合は緩衝剤を含有することができる。
固体組成物を、例えば、乳糖及び/又はミルクシュガー及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を用いて、軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤のフィラーとして用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び/又は顆粒剤等の固体剤形を、コーティング及び/又は外層(腸溶コーティング及び/若しくは製薬分野において周知の他のコーティング等)を用いて調製することができる。これらは場合により不透明化剤を含有することができ、並びに/又は有効成分のみを、及び/若しくは有効成分を優先的に、腸管の特定の部位で、場合により遅延方式で放出する組成物とすることができる。使用可能な埋め込み組成物の例としては高分子物質及び/又はワックスが挙げられる。
固体組成物は、上述した1種以上の賦形剤を用いてマイクロカプセルの形態で調製することができる。例えば、腸溶コーティング、徐放コーティング及び/若しくは製薬分野において周知の他のコーティング等のコーティング及び/又は外層を用いて、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び/又は顆粒剤を調製することができる。この種の固体剤形においては、有効化合物を、ショ糖、乳糖及び/又はデンプン等の少なくとも1種の不活性希釈剤と混合することができる。通常この種の剤形は、不活性希釈剤以外の更なる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び/又は微結晶セルロース等の打錠用滑沢剤及び/又は他の打錠助剤を含有することができる。剤形がカプセル剤、錠剤及び/又は丸剤である場合は緩衝剤を含有することができる。これらは場合により不透明化剤を含有することができ、並びに/又は有効成分のみを、及び/若しくは有効成分を優先的に、腸管の特定の部位で、場合により遅延方式で放出する組成物とすることができる。使用可能な埋め込み組成物の例としては高分子物質及び/又はワックスが挙げられる。
経直腸及び/又は経膣投与用組成物は坐剤とすることができる。これは、好適な無刺激性賦形剤(カカオ脂、ポリエチレングリコール、及び/又は坐剤ワックス等の室温で固体であるが体温では液体となり、それによって直腸内及び/又は膣腔内で溶けて有効化合物を放出する、)及び/又は担体と本発明の化合物とを混合することにより調製することができる。
本発明の化合物の局所及び/又は経皮投与用剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、液剤、噴霧剤、吸入剤及び/又はパッチ剤を挙げることができる。通常、有効成分は、医薬的に許容される担体及び/又は任意の必要な防腐剤及び/又は緩衝剤(必要に応じて)と無菌条件下で混合される。更に本発明は、経皮パッチ剤の使用を想定しており、これにより、多くの場合、化合物の身体への送達が制御されるという更なる利点が得られる。この種の剤形は、例えば、本化合物を適切な媒質中に溶解及び/又は分散する(dispensing)ことにより調製することができる。本化合物が皮膚を通過する流速を高めるために吸収促進剤を使用することができる。別法として、又はこれに加えて、速度制御膜を用いるか及び/又は本化合物をポリマーマトリックス及び/又はゲル中に分散させるかの何れかによって速度を制御することができる。
本明細書に記載する経皮用医薬組成物を送達するのに適した器具としては、米国特許第4,886,499号明細書、同第5,190,521号明細書、同第5,328,483号明細書、同第5,527,288号明細書、同第4,270,537号明細書、同第5,015,235号明細書、同第5,141,496号明細書及び同第5,417,662号明細書に記載されている短針器具等の器具が挙げられる。経皮用組成物は、国際公開WO99/34850号パンフレットに記載されている器具等、皮膚への有効刺入長を制限する器具及びそれと機能的に等価な器具を用いて投与することができる。液体噴射注入器を介して、及び/又は角質層に穿刺して真皮に到達するジェットを発生させる針によって、液状ワクチンを真皮に送達するジェット注入器具が好適である。ジェット注入器具は、例えば米国特許第5,480,381号明細書、同第5,599,302号明細書、同第5,334,144号明細書、同第5,993,412号明細書、同第5,649,912号明細書、同第5,569,189号明細書、同第5,704,911号明細書、同第5,383,851号明細書、同第5,893,397号明細書、同第5,466,220号明細書、同第5,339,163号明細書、同第5,312,335号明細書、同第5,503,627号明細書5,064,413号明細書、同第5,520,639号明細書、同第4,596,556号明細書、同第4,790,824号明細書、同第4,941,880号明細書、同第4,940,460号明細書、国際公開第97/37705号パンフレット及び国際公開第97/13537号パンフレットに記載されている。圧縮ガスを用いて粉末形態のワクチンを皮膚の外層から真皮へ加速する超高速(ballistic)粉末/粒子送達器具が好適である。別法として、又はこれに加えて、皮内投与のための古典的なマントゥー法において従来のシリンジを使用することができる。
局所投与に適した製剤としては、液状及び/又は半液状製剤、例えばリニメント剤、ローション剤、水中油型及び/又は油中水型エマルジョン剤(クリーム剤、軟膏剤、及び/又はペースト剤等)、及び/又は液剤及び/又はサスペンジョンが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与可能な製剤は、例えば、有効成分を約1%〜約10%(w/w)含むことができるが、有効成分の濃度は、有効成分の溶媒中への溶解度の上限まで高くすることもできる。局所投与用製剤は、本明細書に記載する1種以上の更なる成分を更に含むことができる。
本発明の医薬組成物は、頬側口腔を介して経肺投与するのに適した製剤として調製、包装及び/又は販売することができる。この種の製剤は、直径が約0.5〜約7nmの範囲にあるか、或いは約1〜約6nmの範囲にある、有効成分を含有する乾燥粒子を含むことができる。この種の組成物は、粉末剤を分散させる方向に噴射剤を流すことができる乾燥粉末剤用リザーバーを備える器具を用いて投与するか、及び/又は低沸点噴射剤に溶解及び/又は懸濁した有効成分を密閉容器内に収容する器具等の自己噴射型溶媒/粉末剤分注容器を用いて投与するための、乾燥粉末剤形態とするのが好都合である。この種の粉末剤は、粒子の少なくとも98重量%の直径が0.5nmを超え、粒子数の少なくとも95%の直径が7nm未満である粒子を含む。別法としては、粒子の少なくとも95重量%の直径が1nmを超え、粒子数の少なくとも90%の直径が6nm未満である。乾燥粉末剤組成物は、固体微粉末状希釈剤(糖等)を含有することができ、且つ単位剤形で提供すると好都合である。
一般に、低沸点噴射剤としては、大気圧下における沸点が65°F未満である液体噴射剤が挙げられる。一般に、噴射剤は、本組成物の50〜99.9%(w/w)を構成することができ、有効成分は本組成物の0.1〜20%(w/w)を構成することができる。噴射剤は更に、液体非イオン性及び/若しくは固体アニオン性界面活性剤、並びに/又は固体希釈剤(有効成分を含む粒子と同程度の粒度を有することができる)等の更なる成分を含有することができる。
肺送達用に配合された本発明の医薬組成物は、有効成分を液剤及び/又はサスペンジョンの小滴の形態で提供することができる。この種の製剤は、有効成分を含有し、場合により無菌の水性及び/又は希アルコール性液剤及び/又はサスペンジョンとして調製、包装及び/又は販売することができ、何らかの霧状化及び/又は微粒子状化器具を用いて好都合に投与することができる。この種の製剤は、サッカリンナトリウム等の風味剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤及び/又はヒドロキシ安息香酸メチル等の防腐剤等の1種以上を含むが、これらに限定されない更なる成分を更に含有することができる。この投与経路により提供される小滴の平均径は約0.1〜約200nmの範囲とすることができる。
本明細書において肺送達に有用なものとして記載する製剤は、本発明の医薬組成物を鼻腔内送達するのに有用である。鼻腔内投与に適した他の製剤は、有効成分を含む平均粒径が約0.2〜500μmである粗粒粉末剤を含む。この種の製剤は、嗅ぐ方法で、即ち鼻孔付近に保持した粉末剤の容器から鼻腔を通じて一気に吸い込むことにより投与される。
経鼻投与に適した製剤は、有効成分の含有率を例えば約0.1%(w/w)という少量から100%(w/w)という多量にすることまで可能であり、且つ本明細書に記載する1種以上の更なる成分を含むことができる。本発明の医薬組成物は、頬側投与に適した製剤として調製、包装及び/又は販売することができる。この種の製剤は、例えば、従来法を用いて製造された錠剤及び/又はドロップ剤の形態とすることができ、例えば、有効成分を0.1〜20%(w/w)とすることができる(残りは口内溶解性及び/又は分解性組成物、並びに、場合により本明細書に記載する1種以上の更なる成分を含む)。また、頬側投与に適した製剤は、有効成分を含む粉末剤及び/又はエアゾール化及び/又は微粒子化された液剤及び/又はサスペンジョンを含むことができる。この種の粉末化製剤、エアゾール化製剤及び/又はエアゾール化製剤は、分散時の粒子及び/又は小滴の平均サイズを約0.1〜約200nmの範囲とすることができ、本明細書に記載する1種以上の更なる成分を更に含むことができる。
本発明の医薬組成物は、眼内投与に適した製剤として調製、包装及び/又は販売することができる。例えばこの種の製剤は、水性又は油性液体担体中に有効成分を0.1/1.0%(w/w)で含有する液剤及び/又はサスペンジョン等の点眼剤の形態とすることができる。この種の点眼剤は、緩衝剤、塩及び/又は本明細書に記載する1種以上の他の更なる成分を更に含むことができる。他の眼内投与可能な有用な製剤としては、有効成分を微結晶形態及び/又はリポソーム製剤として含有するものが挙げられる。点耳剤及び/又は点眼剤は、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、皮下、脳室内、経皮、皮内、直腸内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤、クリーム剤及び/若しくは滴下剤を用いるなど)、粘膜上、頬側、経腸、舌下を含む種々の経路で、並びに/又は口腔スプレー、点鼻スプレー及び/若しくはエアゾールとして、投与することができる。一般に、最も適切な投与経路は剤の性質(例えば、胃腸管環境における安定性)、患者の状態(例えば、患者が経口投与に耐えられるか否か)等、種々の要素に依存するであろう。治療剤を肺及び/又は呼吸器系に送達するために現在最も一般的に利用されている経路は口腔及び/若しくは鼻腔スプレー、並びに/又はエアゾール経路である。しかしながら、本発明は、本発明の医薬組成物を薬物送達分野であり得る利点を考慮に含めた適切な経路で送達することを包含する。
医薬の配合及び/又は製造に関する一般的な検討については、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(21版、Lippincott Williams&Wilkins,2005)に記載されている。
投与
動物(例えば、ヒト)に投与することができる本発明の剤の用量は、通常、対象の体重1kg当たり1mg〜約100gの範囲である。投与される正確な用量は、治療すべき動物の種類及び/若しくは疾患状態の種類、動物の年齢、並びに/又は投与経路を含む(が、これらに限定されない)多くの要素に応じて変化するであろう。幾つかの実施形態においては、本化合物の用量は動物の体重1kg当たり約1mg〜約10gであろう。幾つかの実施形態においては、用量は対象の体重1kg当たり約10mg〜約1gであろう。
本化合物は1日数回の頻度で対象に投与することができ、及び/又はそれよりも低い頻度で、例えば、1日1回、週1回、2週に1回、月1回投与することもでき、及び/又は一層低い頻度で、例えば、数ヶ月に1回及び/又は年に1回若しくはそれよりも少なくてもよい。投与の頻度は当業者に容易に理解され、また、これらに限定されないが、治療すべき疾患の種類及び/又は重症度、対象の種類及び/又は年齢等の多くの要因に依存するであろう。
しかしながら、本発明の化合物及び/又は医薬組成物の1日当たりの総使用量は、治療を行う医師及び/又は獣医師によって、適切な医療的判断の範囲内で決定されることになることが理解されるであろう。特定の患者及び/又は対象の具体的な有効用量は、治療すべき障害及び障害の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成;患者及び/又は対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;投与する時間、投与経路及び使用する具体的な化合物の排出量;治療期間;使用する具体的な化合物と組み合わせて及び/又は同時に使用する薬物;及び/又は医療分野に周知の要素を含む、種々の要因に依存するであろう。
本発明の医薬組成物は、単独で又は1種以上の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。「組み合わせて」には、薬剤を必ず同時に投与すること、及び/又は一緒に送達するように配合することを示唆する意図はないが、これらの送達方法も本発明の範囲内である。一般に、各剤は、その剤に関し決定された用量及び/又はタイムスケジュールに沿って投与されるであろう。更に本発明は、本発明の医薬組成物を、バイオアベイラビリティを改善し、これらの代謝作用を低下及び/若しくは調節し、排出を阻害し、並びに/又はこれらの体内への分配を調節することができる剤と組み合わせて送達することを包含する。本発明の医薬組成物は、必要に応じていかなる対象(例えば、動物)の治療に使用することができるが、最も好ましくはヒトの治療に用いられる。
併用レジメンに用いられる治療(療法及び/又は手順)の特定の組合せには、所望の療法及び/又は手順及び/又は達成すべき所望の治療効果間の適合性が考慮されるであろう。ここで利用される療法は、同じ障害に対し所望の効果を達成でき(例えば、本発明の化合物を、同じ障害の治療に用いられる他の剤と同時に投与することができる)、及び/又は異なる効果を達成する(例えば、ある副作用を制御する)ことができることが理解されよう。
本発明の医薬組成物は、単独で、及び/又はPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体が関与する疾患の症状、状態、若しくは障害の治療に用いられる他の1種以上の剤と組み合わせて投与することができる。幾つかの実施形態において、この種の剤としてサリドマイド、レナリドミド、及び/又はポパリドマイドを挙げることができる。幾つかの実施形態においては、この種の剤としてボルテゾミブ又はデキサメタゾンを挙げることができる。幾つかの実施形態において、この種の剤として認可された腫瘍薬を挙げることができる。
組み合わせて用いられる治療上有効な剤は、単一の組成物として一緒に投与することも、異なる組成物として別々に投与することもできることが更に理解されよう。
幾つかの実施形態においては、本発明のPRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体及び/又はKEOPS複合体のモジュレーターは、PRPK、TPRKB、OSGEP、LAGE3とそのホモログ、PRPK−TPRKB複合体、及び/又はKEOPS複合体が関与する疾患、状態、又は障害の1種以上の他のモジュレーターと組み合わせて投与することができる。
一般に、組み合わせて使用される薬剤の投与量は、個別に使用する場合の使用量を超えないことが期待される。幾つかの実施形態においては、組み合わせて使用される量は、個別に投与される量を下回るであろう。
以下の代表的な実施例は、本発明の説明を補助することを意図するものであって、本発明の範囲を制限することを意図するものでもなく、そう解釈されるべきでもない。実際、実施例を含む、本明細書に引用する科学文献及び特許文献の参照を伴う本明細書の内容全体から、本明細書に記載されている以外の本発明の種々の改変及び更なる多くの実施形態は当業者に明らかであろう。更に、本明細書に引用された参考文献の内容が、当該分野の技術水準の説明の一助となるように本明細書に援用されていることが理解されるべきである。
以下の実施例には、本発明を種々の実施形態及びその均等物で実施できるようにするための重要な付加的な情報、例示及び手引きが含まれている。しかしながら、これら実施例は本発明を制限するものではないことが理解されるであろう。現在知られており、及び/又は今後開発される本発明の変形も、本明細書に記載され、特許請求の範囲に請求される本発明に包含されるべきものと解釈される。
合成に関する一般的情報
全ての反応は、オーブン乾燥又はフレームドライされたガラス器具内で、空気の影響を受けやすい物質を扱う標準的な技術を利用してアルゴン雰囲気で行った。商品として入手した試薬及び溶媒は全て供給された状態のまま使用した。無水THF、DMSO、ピリジン及びDCMは、ACROS chemicalsからモレキュラーシーブと共に購入した。反応物は磁気撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)法でモニターした。TLCは0.25mmのE.Merckシリカゲル60 F254プレコート済みプレートを使用し、可視化にバニリン染色、モリブデン酸塩染色又はUVを用いた。フラッシュクロマトグラフィーはSorbent Technologiesより入手したシリカゲル60(粒度0.032〜0.063mm)を用いて行った。分析操作及び逆相分取HPLCによる精製にダイオードアレイ検出器及びエレクトロスプレーイオン源を備えたAgilent 1100シリーズLC−MSDシングル四重極型システムを使用した。分取HPLC精製には全てAgilent C−18分取カラム(21.2×100mm、5μm)を使用し、0.1%ギ酸を含むアセトニトリル及び水の混合物を用いて流量を15ml/分とした。収率は、クロマトグラフィー及び分光学的に純粋な化合物を意味する。1H−NMRスペクトルはVarian400MHz分光器を使用し、内部重水素ロックを用いて周囲温度で記録した。内部標準にはCDCl3のδH7.26を用いた。NMRデータは以下のように示す:化学シフト(δTMS=0に対するδスケール(ppm単位))、積分値、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、dd=二重線の二重線、td=二重線の三重線、br=幅広い線)及び結合定数(J/Hz)。共鳴の一部又は全部の何れかが不明瞭な場合は不明瞭(obsc)として示す。質量スペクトルにはAgilent 1100シリーズLC−MSを使用した。
一般的な細胞培養
細胞株Jurkat、NCI−H929、HS−Sultan、HEK−293FT及びJeKo−1はATCCより入手し、供給者指定の培地条件を用いて37℃、5%CO2の培養器で維持した。凍結保存PBMCはAstarte Biologicsより入手し、解凍して供給者指定の培地条件で維持した。
実施例1
N−(2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)プロピオンアミド(27)
レナリドミド(0.020g、0.077mmol)のピリジン(0.8mL)溶液を0℃(氷浴)に冷却した。塩化プロピオニル(0.009mL、0.100mmol)を滴下し、反応物を16時間かけて室温に戻した。揮発性物質を真空下で除去し、未精製の残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:DCM中0→5%MeOH)に付して精製し、所望の生成物27をほぼ白色の粉末として得た(0.012g、50%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 11.04 (s, 1H), 9.79 (s, 1H), 7.80 (dd, J= 6.6, 2.3 Hz, 1H), 7.64 - 7.29 (m, 2H), 5.14 (dd, J= 13.2, 4.9 Hz, 2H), 4.35 (q, J= 7.5 Hz, 2H), 3.00 - 2.79 (m, 1H), 2.60 (m, 1H), 2.35 (m, 1H), 2.05 - 1.92 (m, 1H), 1.08 (t, J= 7.5 Hz, 3H)。MS (ESI) m/z C16H18N3O4 [M+H]+の計算値: 316.3, 実測値: 316.8。
実施例2
4−アミノ−2−(2−オキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(28)
3−アミノフタル酸(0.100g、0.552mmol)のDMF(1.1mL)溶液に3−アミノピペリジン−2−オン(0.063g、0.552mmol)を加え、反応物を90℃で18時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、暗褐色の粗精製残渣を逆相分取HPLCで精製することにより所望の生成物28をほぼ白色の粉末として得た(0.050g、35%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.83 (s, 1H), 7.43 (dd, J= 8.3, 7.1 Hz, 1H), 7.07 - 6.87 (m, 2H), 6.47 (br s, 2H), 4.49 (dd, J= 11.9, 6.3 Hz, 1H), 3.27 - 3.10 (m, 2H), 2.19 (dt, J= 12.0, 7.7 Hz, 1H), 2.05 - 1.72 (m, 3H)。MS (ESI) m/z C3H14N3O3 [M+H]+の計算値: 260.3, 実測値: 260.9。
実施例3
4−アミノ−2−(1−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(29)
NaOtBu(0.074g、0.769mmol)のDMSO(0.8mL)溶液にポマリドマイド(0.100g、0.366mmol)のDMSO(0.5mL+洗液0.5mL)溶液を滴下した。反応物を室温で10分間撹拌した後、ヨウ化メチル(0.025mL、0.403mmol)を加えた。18時間後、反応物に氷酢酸(0.1mL)を加え、揮発性物質を真空下で除去し、暗褐色の粗精製残渣を逆相分取HPLCで精製することにより29を淡黄色粉末として得た(0.02g、19%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.46 (dd, J= 8.4, 7.0 Hz, 1H), 7.00 (dd, J= 7.6, 5.6 Hz, 2H), 6.53 (br s, 2H), 5.11 (dd, J= 13.2, 5.7 Hz, 1H), 2.97 - 2.83 (m, 1H), 2.76 (s, 1H), 2.57 -2.51 (m, 1H), 2.06 - 1.91 (m, 1H)。MS (ESI) m/z C14H14N3O4 [M+H]+の計算値: 288.3,実測値: 288.5。
実施例4
(S)−4−アミノ−2−(6−オキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(30)
3−アミノフタル酸塩酸塩(0.144g、0.664mmol)及び(S)−5−アミノピペリジン−2−オン塩酸塩(0.100g、0.664mmol)を乾燥DMF(2.2mL)に加えた混合物にトリエチルアミン(0.933mL、6.64mmol)を加え、反応液を80℃で18時間加熱した。粗混合物に飽和NaHCO3水溶液(30mL)を加えるてクエンチし、DCM(3×20mL)で抽出した。有機相を合一し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し濃縮した。粗精製残渣を逆相分取HPLCで精製することにより所望の生成物30をほぼ白色の粉末として得た(0.08g、47%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.56 (s, 1H), 7.42 (dd, J= 7.7, 7.7 Hz, 1H), 6.94 (m, 2H), 6.48 (br s, 2H), 4.32 (m, 1H), 3.60 (app t, J= 11.3 Hz, 1H), 3.23 - 3.02 (m, 1H), 2.62 - 2.42 (obsc m, 1H), 2.42 - 2.21 (m, 2H), 1.86 (m, 1H)。MS (ESI) m/z C13H14N3O3 [M+H]+の計算値: 260.3, 実測値: 260.7。
実施例5
(S)−メチル2−(ベンジリデンアミノ)−6−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキサノエート(2)の合成
スターラーバーを備えた丸底フラスコ内でNε−Z−L−リジンメチルエステル塩酸塩(1g、3.022mmol)及びMgSO4(0.253g、2.1mmol)にDCM(4.3mL)を加えた。この懸濁液にトリエチルアミン(0.5mL、3.63mmol)、次いでベンズアルデヒド(0.3mL、3.022mmol)を10分間かけて加えた。反応物を室温で20時間撹拌した後、濾過した。次いで固体をDCMで洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮することにより2を無色油として得た(1g,87%)。これを更に精製することなく次の段階に用いた。
Rf = 0.68 (9:1 DCM:MeOH)。
ベンジル(4−(3−(ベンジリデンアミノ)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(3)の合成
2(4g、10.4mmol)及びアクリルアミド(1.11g、15.7mmol)のTHF(40mL)溶液にカリウムtert−ブトキシド(1.23g、11.0mmol)を0℃で少量ずつ15分間かけて加えた。3.5時間後、混合物の反応をNH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮し、3を得た(3.6g、82%)。これ以上の精製は行わなかった。
Rf = 0.33 (95:5 DCM:MeOH)。
ベンジル(4−(3−アミノ−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート塩酸塩(4)の合成
3(3.6g、8.54mmol)のTHF(21mL)溶液に4MのHCl水溶液を0℃で少量ずつ加えた。混合物を室温に戻し、5時間撹拌した。反応中に形成した白色の析出物を濾過してTHFで洗浄した。再結晶を2回行うことにより4を白色固体として得た(2.88g、91.2%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) a 11.30 (s, 1H), 8.62 (br s, 3H), 7.46 - 7.15 (m, 5H), 4.97 (m, 2H), 3.59 (m, 2H), 2.98 (m, 2H), 2.76 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 2.24 - 1.97 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.74 (m, 1H), 1.21 (m, 1H)。
ベンジル(4−(3−(4−ニトロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(5)の合成
4(0.326g、0.881mmol)、3−ニトロフタル酸無水物(0.211g、1.093mmol)、及び酢酸ナトリウム(0.097g、1.181mmol)の混合物に酢酸(4.0mL)を加え、得られた混合物を130℃で一夜撹拌した。20時間後、混合物を炭酸水素ナトリウムで慎重に中和し、DCMで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより5を白色固体として得た(0.241g、54%)。
ベンジル(4−(3−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(6)の合成
アルゴン中、5(0.24g、0.472mmol)のエタノール(15mL)懸濁液にラネーニッケル(W.R.Grace and Co.,Raney(登録商標)4200、H2O中スラリー)を加えた。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。1.5時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、EtOHを用いて濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより6を淡黄色固体として得た(0.112mg、49%)。
Rf = 0.38 (95:5 DCM:MeOH)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.97 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 7.71 - 7.52 (m, 2H), 7.49 - 7.18 (m, 5H), 7.10 (m, 1H), 5.07 - 4.85 (m, 2H), 2.96 (m, 2H), 2.55 (m, 2H), 2.44 (m, 1H), 2.22 (m, 2H), 2.02 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.22 (m, 2H)。MS (ESI) m/z C25H27N4O6 [M+H]+の計算値: 479.5, 実測値: 479.9。
4−アミノ−2−(3−(4−アミノブチル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン塩酸塩(7)の合成
アルゴン雰囲気中、2%HClを含むエタノール(60mL)に6(0.111g、0.232mmol)を溶解した溶液に活性炭担持パラジウム(0.025g)を加えた。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。4時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、エタノール及びメタノールを用いて濾過した。分取HPLCにより7を淡黄色固体として得た(0.055g、69%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.31 (s, 1H), 7.52 - 7.34 (m, 1H), 6.94 (m, 2H), 6.53 (br s, 2H), 2.74 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 2.65 (m, 1H), 2.63 - 2.56 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.44 (m, 1H), 2.31 (m, 1H), 2.21 (m, 1H), 2.02 (m, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.48 - 1.38 (m, 1H), 1.26 (m, 2H)。MS (ESI) m/z C17H21N4O4 [M+H]+の計算値: 345.4, 実測値: 345.7。
8(ポマリドマイドベースのアフィニティー試薬)の合成
アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約2mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(1.04mL)を得た。イソプロパノールを除去して、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、7(0.002g、0.00525mmol)及びトリエチルアミン(0.007mL、0.0525mmol)のDMSO(2.2mL)溶液を加え、得られた混合物を密封してローテーターを用いて室温で転動させた。16時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の7の存在の有無をLC−MSで確認した。7は観測されず、これに従い、混合物にトリエチルアミン(0.015mL、0.105mmol)及びエタノールアミン(0.006mL、0.10503mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。20時間後、SS−0007896を遠心沈殿させ、溶媒を除去し、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄し、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例6
ベンジル(4−(3−(5−ニトロ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(9)の合成
4(0.4g、1.08mmol)、4−ニトロフタル酸無水物(0.259g、1.34mmol)、及び酢酸ナトリウム(0.125g、1.45mmol)の懸濁液に酢酸(4mL)を加え、得られた混合物を130℃で撹拌した。6時間後、炭酸水素ナトリウムで混合物の反応をクエンチし、DCMで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより9を得た(0.45g、87%)。
Rf = 0.36 (95:5 DCM:MeOH)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.62 (par obsc s, 1H), 8.60 - 8.51 (par obsc m, 1H), 8.16 - 7.86 (m, 2H), 7.44 - 7.27 (m, 5H), 5.07 (m, 2H), 3.23 (m, 3H), 2.93 - 2.49 (m, 3H), 2.46 - 2.23 (m, 1H), 2.14 (m, 1H), 1.79 - 1.47 (m, 3H), 1.45 - 1.17 (m, 2H), 1.00 - 0.75 (m, 1H)。MS (ESI) m/z C25H25N4H8 [M+H]+の計算値: 509.5, 実測値: 509.3。
5−アミノ−2−(3−(4−アミノブチル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン塩酸塩(10)の合成
アルゴン下、9のエタノール(5mL)懸濁液にラネーニッケル(W.R.Grace and Co.,Raney(登録商標)4200、H2O中スラリー)を加えた。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。12時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、MeOHを用いて濾過して濃縮した。分取HPLCにより精製した後、1MのHCl溶液から蒸発させることにより10を得た(0.0063mg、15%)。
1H NMR (400 MHz, DMSOi) δ 8.22 (s, 2H), 7.31 (dd, J= 8.2, 2.1 Hz, 1H), 6.79 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 6.74 (dd, J= 8.2, 2.1 Hz, 1H), 2.78 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.65 - 2.40 (par obsc m, 2H), 2.40 - 2.25 (m, 1H), 2.17 - 1.89 (m, 2H), 1.60 - 1.41 (m, 2H), 1.24 (d, J= 44.1 Hz, 3H)。MS (ESI) m/z C17H21N4O4 [M-Cl]+ の計算値: 345.4, 実測値: 345.6。
11(CMPD 31ベースのアフィニティー試薬)の合成
アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約5mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(2.3mL)を得た。イソプロパノールを除去してアフィゲル−10をDMSO(3回)で洗浄した。次いで、10(0.0044g、0.0115mmol)及びトリエチルアミン(0.016mL、0.115mmol)のDMSO(5mL)溶液を加え、得られた混合物を密封して、ローテーターを用いて室温で転動させた。16時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の10の存在の有無をLC−MSで確認した。10は観測されなかったので、混合物にトリエチルアミン(0.032mL、0.23mmol)及びエタノールアミン(0.014mL、0.23mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。16時間後、SS−0008803を遠心沈殿させ、溶媒を除去し、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄し、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例7
ベンジル(4−(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(12)の合成
4(0.12g、0.324mmol)、無水フタル酸(0.060g、0.401mmol)、及び酢酸ナトリウム(0.037g、0.434mmol)の懸濁液に酢酸(1.5mL)を加え、得られた混合物を130℃で撹拌した。7時間後、混合物の反応を炭酸水素ナトリウムで停止し、DCMで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濃縮した。分取HPLCで精製することにより12を得た。
Rf = 0.32 (95:5 DCM:MeOH)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.05 - 7.64 (m, 5H), 7.44 - 7.27 (m, 4H), 5.16 - 5.00 (m, 2H), 4.90 (m, 1H), 3.34 - 3.09 (m, 3H), 2.92 - 2.77 (m, 1H), 2.77 - 2.45 (m, 3H), 2.36 - 2.18 (m, 1H), 2.17 - 1.99 (m, 1H), 1.38 (d, J=6.8 Hz, 2H)。 MS (ESI) m/z C25H26N3O6 [M+H]+ の計算値: 464.5, 実測値: 464.3。
2−(3−(4−アミノブチル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン塩酸塩(13)の合成
2%HClを含むエタノール(60mL)に13(0.024g、0.052mmol)を溶解した溶液に、アルゴン雰囲気中、活性炭担持パラジウム(0.005g)を加えた。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。2時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、エタノール及び水を用いて濾過した。分取HPLCにより13を得た(0.018g、94%)。
1H NMR (400 MHz, D20) δ 8.38 (s, 2H), 7.92 - 7.64 (m, 4H), 3.10 - 2.87 (m, 2H), 2.85 - 2.46 (m, 4H), 2.40 - 2.07 (m, 2H), 1.68 (dt, J= 15.2, 7.7 Hz, 2H), 1.57 - 1.26 (m, 2H)。MS (ESI) m/z C17H20N3O4 [M-Cl]+ の計算値: 330.4, 実測値: 330.6。
14(サリドマイドベースのアフィニティー試薬)の合成
アフィゲル−10(ゲル15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約8mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(4.2mL、3当量)を得た。イソプロパノールを除去し、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、13(0.0078g、0.021mmol)及びトリエチルアミン(0.0293mL、0.21mmol)のDMSO(9.0mL)溶液を加え、得られた混合物を密封し、ローテーターを用いて室温で転動させた。14時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の14の存在の有無をLC−MSで確認した。14は観測されなかったので、混合物にトリエチルアミン(0.058mL、0.42mmol)及びエタノールアミン(0.025mL、0.42mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。9時間後、SS−0008820を遠心沈殿させ、溶媒を除去して、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄し、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例8
ベンジル(4−(3−(4−アセトアミド−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(15)の合成
無水酢酸(0.098mL、1.04mmol)のピリジン(1mL)溶液に6(0.05g、0.104mmol)を加え、混合物を70℃で撹拌した。12時間後、混合物の反応を1%HCl水溶液でクエンチし、DCMで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濃縮した。分取薄層クロマトグラフィー(1:1 EtOAc:ヘキサン)により15を不純物を含む生成物として得た(0.02g、37%)。これを次の反応に使用した。
Rf = 0.16 (1:1 EtOAc:ヘキサン)。
N−(2−(3−(4−アミノブチル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)アセトアミド塩酸塩(16)の合成
2%HClを含むエタノール(2.0mL)に15(0.02g、0.038mmol)を溶解した溶液に、アルゴン雰囲気中、活性炭担持パラジウム(0.004g)を加えた。次いで、水素バルーンを用いて混合物を水素で飽和させた。2時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、濾過して濃縮した。分取HPLCにより16を得た(0.002g、12%)。
1H NMR (400 MHz, D20) δ 8.37 (s, 2H), 8.16 (d, J= 8.5 Hz, 1H), 7.76 (dd, J= 12.9, 5.5 Hz, 1H), 7.60 (d, J= 7.4 Hz, 1H), 2.95 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.73 (m, 3H), 2.61 - 2.47 (m, 1H), 2.41 - 2.10 (m, 4H), 1.80 - 1.59 (m, 2H), 1.43 (d, J= 39.6 Hz, 3H)。MS (ESI) m/z C19H23N405 [M-Cl]+ の計算値: 387.4, 実測値: 387.7。
17(アシル化されたアフィニティー試薬)の合成
アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約2mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(0.95mL、3当量)を得た。イソプロパノールを除去して、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、16(0.002g、0.00473mmol)及びトリエチルアミン(0.007mL、0.0473mmol)のDMSO(2.0mL)溶液を加え、得られた混合物を密封し、ローテーターを用いて室温で転動させた。20時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の16の存在の有無をLC−MSで確認した。16は観測されず、これに従い、混合物にトリエチルアミン(0.013mL、0.0946mmol)及びエタノールアミン(0.006mL、0.0946mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。12時間後、SS−0008821を遠心沈殿させ、溶媒を除去して、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄して、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例9
メチル2−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾエート(18)の合成
メチル2−メチル−3−ニトロベンゾエート(5g、25.6mmol)の乾燥DCM(20mL)溶液にNBS(4.56g、25.6mmol)及びAIBN(0.421g、2.56mmol)を加え、混合物を60℃で撹拌した。20時間後、更にAIBN(0.42g)を加え、混合物の撹拌を60℃で継続した。72時間後、混合物を濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン→10%EtOAC/ヘキサン)で精製することにより18を淡黄色固体として得た(5.2g、74%)。
Rf = O.3(9:1 ヘキサン:酢酸エチル)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.11 (dd, J= 7.9, 1.4 Hz, 1H), 8.03 - 7.91 (m, 1H), 7.54 (dd, J= 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 5.24 - 5.03 (s, 2H), 4.08 - 3.88 (s, 3H)。MS (ESI) m/z C9H9BrNO4 [M+H]+ の計算値: 275.1, 実測値: 275.5。
ベンジル(4−(3−(4−ニトロ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(19)の合成
18(0.25g、0.912mmol)及び4(0.337g、0.912mmol)をDMF(3.0mL)に加えた混合物を撹拌しながらトリエチルアミン(0.320mL、2.28mmol)を加え、得られた混合物を114℃〜130℃で撹拌した。18時間後、混合物を冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより19を淡褐色の綿状固体として得た(0.27g、60%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.99 (s, 1H), 8.45 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 8.08 (d, J= 7.6 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.80 (dd, J= 7.8 Hz, 7.8 Hz, 1H), 7.44 - 7.19 (m, 5H), 5.17 - 4.84 (m, 4H), 3.05 - 2.96 (m, 2H), 2.69 - 2.52 (m, 3H), 2.20 - 1.94 (m, 3H), 1.35 (m, 4H)。MS (ESI) m/z C25H27N4O7 [M+H]+ の計算値: 495.5, 実測値: 495.9。
ベンジル(4−(3−(4−アミノ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)カルバメート(20)の合成
アルゴン中、19(0.26g、0.526mmol)のEtOH:DMF(2:1、6mL)溶液にラネーニッケル(W.R.Grace and Co.,Raney(登録商標)4200、H2O中スラリー)を加えた。次いで、混合物を水素バルーンを用いて水素で飽和させた。16時間後、混合物を濾過することにより20及び21の混合物を得た(LC−MSにより判定)。混合物を更に精製することなく次の反応に使用した。
3−(4−アミノ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−3−(4−アミノブチル)ピペリジン−2,6−ジオン塩酸塩(21)の合成
アルゴン中で、不純物を含む20(0.1g、0.215mmol)のEtOH/DMF(2:1、3.5mL)溶液に活性炭担持パラジウム(20重量%)を加えた。次いで、混合物を水素バルーンを用いて水素で飽和させた。5時間後、混合物にアルゴンをフラッシュし、濾過して濃縮した。分取HPLCにより21を得た(0.012mg、16%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.43 (s, 1H), 7.14 (dd, J= 7.6 Hz, 7.5 Hz, 1H), 6.87 - 6.65 (m, 2H), 5.56 (s, 2H), 4.35 ((ABq, JAB = 17.6 Hz, ΔνAB = 15.4Hz, 2H), 2.82 - 2.71 (m,2H), 2.67 - 2.56 (m, 2H), 2.56 - 2.40 (m, 2H), 2.09 - 1.93 (m, 2H), 1.64 - 1.53 (m, 2H), 1.52 - 1.28 (m, 2H)。MS (ESI) m/z C17H23N4O3 [M+H]+ の計算値: 331.4, 実測値: 331.7。
22(レナリドミドベースのアフィニティー試薬)の合成
アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約9mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(6.65mL、3当量)を得た。イソプロパノールを除去し、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、21(0.011g、0.033mmol)及びトリエチルアミン(0.047mL、0.333mmol)のDMSO(10.0mL)溶液を加え、得られた混合物を密封してローテーターを用いて室温で転動させた。20時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の21の存在の有無をLC−MSで確認した。21は観測されず、これに従い、混合物にトリエチルアミン(0.093mL、0.666mmol)及びエタノールアミン(0.040mL、0.666mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。16時間後、SS−0017471を遠心沈殿させ、溶媒を除去し、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄して、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例10
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 1−(9H−フルオレン−9−イル)−3−オキソ−2,7,10,13−テトラオキサ−4−アザヘキサデカン−16−オエート(23)の合成
アルゴン下、Fmoc−12−アミノ−4,7,10−トリオキサドデカン酸(0.2g、0.451mmol)の乾燥THF(11mL)溶液にN−ヒドロキシコハク酸イミド(0.060g、0.519mmol)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.107g、0.5191mmol)を0℃で加えた。次いで、反応液を室温に戻した。20時間後、混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(95:5 DCM:MeOH)で精製することにより、ある程度の不純物を含む23を得た(0.116g、48%)。23を更に精製することなく次の反応段階に使用した。
Rf = 0.47 (95:5 DCM:MeOH)。
N−(4−(3−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)ブチル)−3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパンアミド(25)の合成
アルゴン雰囲気中、23(0.012g、0.022mmol)のDMSO(2mL)溶液に7(0.011g、0.0289mmol)及びトリエチルアミン(0.01mL、0.071mmol)を加え、混合物を室温で撹拌した。16時間後、粗混合物を直接分取HPLCで精製することにより25(0.005g、42%)、24(0.0014g、8.2%)及び未反応の7(0.0037g、48%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.39 (s, 2H), 7.86 (s, 1H), 7.49 - 7.37 (m, 1H), 7.04 - 6.82 (m, 2H), 6.53 (s, 2H), 3.59 - 3.36 (m, 11H), 3.03 - 2.93 (m, 2H), 2.84 - 2.76 (m, 2H), 2.33 - 2.16 (m, 5H), 2.05 - 1.96 (m, 2H), 1.44 - 1.31 (m, 3H), 1.25 - 1.16 (m, 3H)。MS (ESI) m/z C26H38N5O8 [M+H]+ の計算値: 548.6, 実測値: 548.5。
26の合成(化合物のアフィゲルへの担持)
アフィゲル−10(15μmol/mLゲル、50%スラリー)のイソプロパノール懸濁液約1mLをコニカルチューブに移し、遠心分離することによって沈渣(0.73mL、3当量)を得た。イソプロパノールを除去して、アフィゲル−10をDMSO(3×5mL)で洗浄した。次いで、25(0.002g、0.0036523mmol)及びトリエチルアミン(0.005mL、0.037mmol)のDMSO(10.0mL)溶液を加え、得られた混合物を密封してローテーターを用いて室温で転動させた。16時間後、コニカルチューブの遠心沈殿を行い、DMSO上清中の25の存在の有無をLC−MSで確認した。25は観測されず、これに従い、混合物にトリエチルアミン(0.0102mL、0.073mmol)及びエタノールアミン(0.004mL、0.073mmol)を加え、得られた混合物をローテーターを用いて室温で転動させた。20時間後、SS−0017436を遠心沈殿させ、溶媒を除去し、樹脂をDMSO(3×5mL)及びイソプロパノール(3×5mL)で洗浄して、−20℃のイソプロパノール中で保管した。
実施例11
IL−2産生アッセイ(図1及び図8を参照)
本プロトコールは、96ウェル形式においてJurkat及びPBMCによって産生されたIL−2の量を検出するための技法について説明する。本アッセイにより、レナリドミド、ポマリドマイド、全誘導体及びCMPD31阻害のIL−2産生EC50値を計算した。
細胞プレーティング及び化合物添加
ATCC(クローンE6−1)から入手した対数増殖Jurkat細胞又はAstarteから入手し凍結融解したヒトPBMC(末梢血単核球、正常ドナー41)を、1×106細胞/mLとなるよう10%FBS及び1%抗生物質/抗真菌薬溶液を含有するRPMI−1640培地に再懸濁した。各ウェル1×105細胞/100μLとなるように、96ウェル抗CD3プレート(Becton Dickinson、カタログ番号#354725)の各ウェルに細胞を蒔いた。カラム1及び12に対照を加えたが、8連のウェルにおける0.1%DMSOは、陰性又は0%IL−2産生対照であり、8連のウェルにおける0.1μg/mL抗CD28抗体(Becton Dickinson、カタログ#555725)は、陽性又は100%IL−2産生対照であった。
96ウェルU字底プレートのカラム2〜11において、Biomek FX液体ハンドラーを用いて化合物を100%DMSOにおいて3倍に系列希釈し、2つの10ポイント用量曲線を作成した。化合物の出発濃度は10mMであった。2μLの化合物用量曲線を含む娘(daughter)プレートをスタンプし、−80℃で保存した。
化合物娘プレートをRPMI−1640培地(200μL)に10×ストックとして再懸濁し、次に、この10×ストック(20μL)を各抗CD3抗体アッセイプレートウェルに加え、完全培地(80μL)を添加することにより最終体積200μLとした。CMPD31 IL−2阻害アッセイ用に、RPMI−1640培地に溶解したCMPD31の10×ストック(100μM)を調製し、全濃度のレナリドミド及びポマリドマイドの各アッセイウェルが最終濃度10μMとなるよう希釈した。18時間37℃で5%CO2にてアッセイプレートをインキュベートした。産生されたIL−2の量をELISAアッセイにより決定したが、これは、メーカーの説明書に従い、2通り、即ち標準ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)プロトコール方法(Becton Dickinson)又はAlphaLISAプロトコール(Perkin Elmer)のうちいずれか一方の方法で行った。
IL−2検出
簡潔に述べると、標準ELISAでは、化合物処理したアッセイプレートから得た上清(100μL)を、希釈液(50μL)と共に各IL−2検出ELISAプレートウェルに加え、プレートを2時間、室温にてインキュベートした。プレートを振って軽く叩いて水切りする操作にて、各プレートを洗浄バッファー(100μL)で5回洗浄した。調製した作業検出用溶液(100μL)を各ウェルに添加した。ELISAプレートを1時間室温にてインキュベートし、続いて上述の通りに7回洗浄し、次に、TMB一段階基質試薬(100μL)を各ウェルに添加した。次に、ELISAプレートを30分間、室温にてインキュベートし、その後停止溶液(50μL)を各ウェルに添加した。停止溶液添加後10分間以内に、Victor3プレートリーダーにおいて450nmで比色検出を行った。
簡潔に述べると、AlphaLISAプロトコールでは、化合物処理したアッセイプレートから得た上清(5μL)を、96ウェルの半分の領域の検出プレートに添加し、続いて2.5×MIX(20μL)をウェルに添加した。最終濃度10μL/mLとなるようAlphaLISA抗IL−2アクセプタービーズをウェルに添加し、最終濃度1nMとなるようビオチン化抗IL−2抗体を添加した。検出プレートを60分間、23℃でインキュベートし、40Ag/mL最終濃度となるよう2×SA−ドナービーズ(25μL)を添加した。検出プレートを30分間、23℃の暗所でインキュベートした。Biotek Syn4−alphaプレートリーダーを用いて、励起680nm及び発光570nmにより検出を行った。
プレート内対照に対しデータを標準化した。0.1%DMSOは0%IL−2産生を表し、0.1μg/mL抗CD28抗体は100%IL−2産生を表す。ActivityBaseバージョン7.0ソフトウェア(IDBS)又はGraphPad Prism5ソフトウェアにおいて、S字形用量反応(勾配変化のある法面)による基礎非線形回帰を用いてEC50値の用量曲線解析を行った。
実施例12
増殖阻害アッセイ(図1及び図8を参照)
本プロトコールは、96ウェル形式において増殖阻害アッセイを行うための技法について説明する。本アッセイを用いて、レナリドミド、ポマリドマイド、全誘導体及びCMPD31阻害の増殖阻害IC50値を計算した。
細胞培養及び細胞プレーティング
細胞株Jurkat、NCI−H929及びJeKo−1は、ATCCから入手し、ベンダー指定の培地要件により維持した。96ウェルプレートにおいて、アッセイ増殖培地(RPMI−1640、10%FBS、1%pen−strep)(90μL)中にウェル当たり3,750細胞(Jeko−1、HS−Sultan)又はウェル当たり5,000細胞(NCI−H929)となるよう細胞を蒔いた。プレート内の細胞を室温で1時間インキュベートし、続いて37℃、5%CO2加湿空気に設定したインキュベーターに移し一晩置いた。
化合物プレート作製
96ウェルU字底プレートのカラム2〜11において、Biomek FX液体ハンドラーを用いて化合物を100%DMSOにおいて3倍に系列希釈し、2つの10ポイント用量曲線を作成した。化合物の出発濃度は、10mMであった。2μLの化合物用量曲線を含む娘プレートをスタンプし、−80℃で保存した。カラム1及び12の列A、B、E及びFに100%DMSO(2μL)を、列C、D、G及びHに10mMドキソルビシン(2μL)をスタンプすることにより、対照プレートを作製した。DMSO及びドキソルビシンは、それぞれ100%及び0%増殖のプレーティング対照として用いた。
化合物添加、アッセイ検出及び解析
化合物及び対照娘プレートをアッセイ増殖培地(200μL)で100倍希釈し、続いて最終的に96ウェル細胞プレートへと更に10倍希釈した。全ウェルに対し0.1%DMSOにおける1000倍の最終希釈となる。CMPD31増殖阻害アッセイのため、RPMI−1640培地におけるCMPD31の10×ストック(100μM)を調製し、全濃度のレナリドミド及びポマリドマイドのアッセイウェルで最終濃度10μMとなるよう希釈した。化合物で処理したプレートを120時間、37℃、5%CO2にてインキュベートし、続いてCell Titer Blue(Promega Corporation)(10μL)を各ウェルに添加した。プレートを2時間、37℃、5%CO2にてインキュベートし、次にPerkin Elmer Victor3Vプレートリーダーにおいて、励起560nm、発光590nmでプレートを読み取った。プレート内対照に対しデータを標準化した。0.1%DMSOは、100%増殖を表すよう用い、10μMドキソルビシンは、0%増殖を表すよう用いた。ActivityBaseバージョン7.0ソフトウェア(IDBS)においてS字形用量反応(勾配変化のある法面)による基礎非線形回帰を用いて、IC50値の用量曲線解析を行った。
実施例13
標準小分子アフィニティクロマトグラフィーによる標的の発見(図2〜5及び図7を参照)
バッファーB(50mM HEPES、pH7.5、5%グリセロール、1.5mM MgCl2、150mM NaCl、1mM Na3VO4、25mM NaF、0.4%ノニデットP−40、1mM DTT及び10〜25mLのバッファーBにつき1個のコンプリート・ミニEDTAフリープロテアーゼ阻害剤錠剤)(2mL)に溶解することにより、プルダウン試料当たり2×108個のJeko−1、Jurkat若しくはHS−Sultan細胞又は5×107個のHeLa S3細胞から細胞ライセートを調製した。ライセートを氷上で30分間インキュベートし、続いて液体N2及び37℃ウォーターバスを用いて、ポリプロピレンチューブにおいて2回の凍結融解を行った。試料を1800rpmで5分間、4℃にて遠心分離した。上清を55,000rpmで1時間、4℃にて超遠心した。上清を収集し、対照アフィゲル試薬(アフィゲル−エタノールアミン又はアフィゲル−PEGリンカー)(10μL)と共にローテーターにおいて30分間4℃でインキュベートすることによりプレクリア(pre−cleared)した。プレクリアしたライセートを氷上の90μm孔径フリットを備えるMobicol 1mLカラムに移し、0.1rcfで10秒間遠心分離して、ライセートからアフィゲルビーズを分離した。プレクリアしたライセート及び過剰なポマリドマイドによるインキュベーションは、20倍過剰の競合物質濃度(500μM最終濃度)にて、ローテーターにおいて30分間4℃で行った。続いて、対照又はポマリドマイドベースのアフィゲル試薬(10μL)を各試料に添加し、プルダウンを1時間4℃で行った。90μm孔径フリットを備えるMobicol 1mLカラムにライセート及びアフィゲル試薬を移し、アフィゲルビーズをバッファーB(800μL)で3回、バッファーA(0.4%ノニデットP−40を含まないバッファーB)(800μL)で2回洗浄した。カラムを30秒間0.1rcfで遠心分離して、残留洗浄バッファーを完全に除去し、次に下側の栓を閉じた。カラムを1.5mL低結合エッペンドルフチューブ内に置き、10mM DTTを含む40μLの2×SDSサンプルバッファーにおいて50℃で30分間加熱し、結合したタンパク質をアフィゲル試薬から溶出させた。次に、カラムを開け、1600rpmで15秒間遠心分離することにより、溶離液を低結合エッペンドルフチューブに収集した。試料を4〜12%SDS−PAGEゲルにアプライして分離し、次に銀染色(SilverQuestキット、インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)した。過剰のアクチミド競合物質と競合するが、DMSOとは競合しないバンドを切り出し、Beth Israel Deaconess Medical Center Mass Spectrometry Core Facility(マサチューセッツ州ボストン)においてLC/MS/MS解析により同定を行った。
実施例14
過剰発現PRPK及びTPRKBに対するアフィゲル結合(図3〜5を参照)
C末端Myc−DDKタグ付きPRPK及びC末端Myc−DDKタグ付きTPRKBタンパク質を、メーカーのプロトコール(Roche、インディアナ州インディアナポリス)に従ってFuGENE−6トランスフェクション試薬を用いて、HEK−293FT細胞においてcDNA(Origene、メリーランド州ロックビルから入手)から一過性に過剰発現させた。トランスフェクションの1日前に、p100ディッシュ1枚につき2.5×106個のHEK−293FT細胞を蒔いた。トランスフェクション48時間後に、試料毎にp100ディッシュ1枚当たり1〜2mLのバッファーBにおいて細胞を溶解させた。活性(ポマリドマイドベース)又は不活性(CMPD31ベース、サリドマイドベース又はアシル化)アフィニティー試薬による標準小分子アフィニティクロマトグラフィーのため、上述の通りにプルダウンを行った。銀染色及び抗DDK(抗DDKモノクローナル抗体、Origene)ウエスタンブロットにより、各アフィニティー試薬によって捕捉されたPRPK及びTPRKBの量を決定した。種々の化合物及び誘導体(ポマリドマイド、レナリドミド、サリドマイド、CMPD31、CMPD30、CMPD29)を用いた競合実験も行った。
実施例15
Jurkat細胞におけるPRPK及びTPRKBの過剰発現(図6を参照)
C末端Myc−DDKタグ付きPRPK及びC末端Myc−DDKタグ付きTPRKBタンパク質を、FuGENE−6トランスフェクション試薬(Roche)を用いてJurkat細胞において一過性に過剰発現させた。PRPK及びTPRKB cDNAを用いて、各cDNA単独で又は組み合わせて(PRPK+TPRKB同時発現)5百万個のJurkat細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後に、RIPAバッファー(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl、1%ノニデットP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、5mM EDTA、1mM EGTA並びに10mLのRIPAバッファーにつき1個のコンプリート・ミニ・プロテアーゼ阻害剤及び1個のPhosSTOPホスファターゼ阻害剤錠剤)(200μL)において溶解させた後、発現レベルをアッセイした。DCタンパク質アッセイ(Bio−Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いてタンパク質レベルを評価し、30μgのライセートを4〜12%SDS−PAGEゲルで分離した後、抗Mycタグ抗体(7ID10、Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンバーズ)又は抗ビンキュリンローディング対照(hVIN−1、Sigma、ミズーリ州セントルイス)によるウエスタンブロットを行った。
実施例16
SILACに基づく定量的アフィニティクロマトグラフィー(図7を参照)
細胞を標識し、既に公開されているプロトコール(Ong S及びMann M、2006年、ネイチャー・プロトコルス;オンSら、2009年、PNAS)に従って実験を行った。簡潔に述べると、L−アルギニン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)、10%透析済FBS(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)を補充したSILAC RPMI−1640培地(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)において、「軽」アミノ酸(L−リジン、Sigma、ミズーリ州セントルイス)又は「重」アミノ酸(L−リジン−13C6、15N2、Cambridge Isotope、マサチューセッツ州アンドーバー)でJeko−1細胞を標識した。T225フラスコから得た80〜90%集密度のJeko−1細胞をスピンダウンし、PBSで2回洗浄し、軽又は重SILAC培地へと1:10で播種した。細胞を少なくとも2回継代培養し、SILAC培地において少なくとも5回細胞倍加する間増殖させた。最終増殖段階において、プルダウン実験に十分な量の細胞を得るため、1L細胞培養バッグ(Lampire、ペンシルベニア州パイパースビル)に細胞を播種した。アフィニティクロマトグラフィーのため、バッファーB(4mL)に溶解することにより、プルダウン試料当たり1×109個の軽又は重Jeko−1細胞から細胞ライセートを調製した。標準小分子アフィニティクロマトグラフィーのため、次の修正を加えつつ上述の通りにプルダウンを行った。試料毎に25μLの対照アフィゲル−PEGリンカーを用いて、ライセートを45分間プレクリアした。16倍過剰なポマリドマイド又はCMPD31を軽ライセートに加え、DMSOを重ライセートに加えることにより競合を行った。ポマリドマイドに基づくアフィゲル試薬(25μL)によりプルダウンを行った。プルダウン後、軽及び重試料を別々にバッファーB(800μL)で1回洗浄し、次に軽及び重試料をプールし、Mobicolカラムに加え、バッファーB(800μL)で3回、バッファーA(800μL)で3回洗浄した。10mM DTTを含む4×SDSサンプルバッファー(30μL)において試料を溶出させた。Steve Gygi博士とTaplin Mass Spectrometry Facility(ハーバード大学医学部、マサチューセッツ州ボストン)のメンバーにより、SILAC質量分析及びデータ解析が行われた。
実施例17
ナチュラルキラー細胞アッセイ(図9を参照)
免疫調節剤によるPBMCの処理。初期処理当日において、健常なドナー由来の凍結保存した末梢血単核球(PBMC;Astarte Biologics)を、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン−ストレプトマイシン及び25mM HEPESバッファーを含有するRPMI−1640(完全培地)において37℃で解凍した。PBMCを1000rpmで2回遠心分離して、残渣DMSO及びデブリを除去し、血球計算器において計数した。完全培地1mL当たり最終細胞密度1×106細胞の細胞を用いた。最終濃度1μg/mLの可溶性抗CD3抗体(BD Pharmingen、クローンUCHT1)によりPBMCを刺激し、種々の濃度のレナリドミド又はポマリドマイド有り又は無しの96ウェル丸底プレートへと加えて72時間、37℃、5%CO2下に置いた(最終DMSO濃度≦0.2%)。陽性対照PBMCは、抗CD3抗体無しで最終濃度120IU/mLのIL−2(R&D systems)により刺激した。
NK溶解活性評価のためのDELFIAアッセイ。処理72時間後、Perkin−Elmer製DELFIA細胞毒性アッセイを用いてメーカーの説明書に従って、NK細胞の溶解活性をアッセイした。即ち、K562細胞を完全培地において増殖させた。対数期において、細胞を20mM HEPESを含有するPBSで1回洗浄した。K562細胞を10%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するDMEMに再懸濁し、ヘマトサイトメーターで計数し、1mL当たり1×106細胞となるよう希釈した。50mLコニカルチューブにおいて、K562細胞(5mL)にBATDAリガンド(5μL)を添加した。10分間37℃のインキュベーションの後、20mM HEPES及び2.5mMプロベネシドを含有するPBSにおいて細胞を3回洗浄して、BATDAリガンド流出を阻害した。2.5mMプロベネシドを含有する完全培地にK562細胞を再懸濁し、最終密度1mL当たり5×104細胞となるよう希釈した。PBMCエフェクター細胞とK562標的細胞を混合する前に、PBMCの入ったプレートをスピンダウンし、最終容量50μLの新鮮な完全培地に再懸濁した。次にPBMCを別個の96ウェル丸底プレートに移し、そこにK562細胞(50μL)(ウェル当たり2500細胞)を加えた(エフェクター対標的比、およそ8:1)。アッセイプレートを5分間1000rpmで遠心分離して、NK−K562コンジュゲーションを高め、37℃でインキュベートした。インキュベーション2時間後、上清(20μL)を除去し、Perkin−Elmerマイクロ滴定プレートへと移した。上清にユーロピウム溶液(200μL)を加え、プレートをWallac Victorマイクロプレートリーダーに置いた。15分間の高速円軌道振盪の後、時間分解蛍光(励起340nm、発光615nm;遅延400μ秒;計数ウインドウ400μ秒、サイクル1000μ秒)を用いてプレートを読み取った。未加工の計数値を未処理DMSO対照(基礎NK活性、0%)及びIL−2(最大NK活性、100%)のパーセントとして標準化した。GraphPad Prism5ソフトウェアにおいて、S字形用量反応(勾配変化のある法面)による基礎非線形回帰を用いてEC50値の用量曲線解析を行った。
実施例18
免疫シナプスアッセイ
細胞染色及び処理。対数増殖しているATCC(クローンE6−1)のJurkat細胞及びATCCのRAMOS細胞を、1%抗生物質/抗真菌薬溶液を含有し血清を含有しないRPMI−1640培地において1×106細胞/mLになるよう再懸濁する。更に、未染色対照とするために、細胞の一定分量を10%FBS及び1%抗生物質/抗真菌薬溶液を含有するRPMI−1640培地に1×106細胞/mLになるよう再懸濁する。細胞1mL当たり5μLの色素を加えることにより、Vybrant(商標)マルチカラー細胞標識キット(Invitrogen)の色素DIOでRAMOS細胞を染色する。Vybrant(商標)マルチカラー細胞標識キット(Invitrogen)の色素DILでJurkat細胞を染色する。10分間、37℃、5%CO2にて細胞を染色する。染色後、10%FBS及び1%抗生物質/抗真菌薬溶液を含有する等容量のRPMI−1640培地並びに細胞を5分間、1000rpmで遠心分離して沈殿させる。培地を吸引除去し、ペレットを1×106細胞/mLとなるよう再懸濁することにより、細胞を1回洗浄する。培地を吸引し、細胞を1×106細胞/mLとなるよう再懸濁し、少量を用いて細胞を再計数し、5分間、1000rpmで再度遠心分離して細胞を沈殿させる。新たな細胞計数に基づき1×106細胞/mLとなるようペレットを再懸濁し、使用するまで37℃、5%CO2にてインキュベートする。その後、400μLの各細胞型を取り出し、微量遠心分離チューブに置き、固定して染色対照として用いるまで37℃、5%CO2にてインキュベートする。
試料毎に400μLの染色RAMOS細胞を微量遠心分離チューブに加える。試料を対象化合物で数時間、37℃、5%CO2にて処理する。処理後、染色Jurkat細胞(400μL)を微量遠心分離チューブに加え、500rpmで5分間、室温にて遠心分離する。遠心分離後、上清(400μL)を微量遠心分離チューブから除去し、37℃、5%CO2にて30分間インキュベートする。コンジュゲーションの直後、PBSに溶解した4%パラホルムアルデヒド溶液(Boston Bioproducts)(400μL)を加えることにより、試料を15分間室温にて固定する。
陽性対照として、細胞を2μg/mL SEEで1時間処理し、Jurkat細胞と30分間コンジュゲートさせる。陰性対照として、RAMOS細胞を単独で1時間インキュベートし、続いてJurkat細胞と30分間コンジュゲートさせる。追加的な対照は、FACS装置最適化のための未染色RAMOS及びJurkat細胞並びに染色RAMOS及びJurkat細胞を含む。
FACS解析。本データ取得プロトコールは、BD FacsCaliburフローサイトメーターの使用に対し最適化されている。フローサイトメーターは、個々に染色した対照チューブを用いて、PMT検出器における蛍光キャリーオーバーに対し適宜補正する必要がある。DIOは、FL−1チャネルにおいて検出され、DILは、FL−2チャネルにおいて検出される。流速が毎秒500イベントを超えなければ、試料毎に少なくとも10,000イベントが取得される。
等価物及び範囲
以上、本発明の特定の非限定的な好ましい実施形態について説明した。当業者であれば、通常の実験を行うだけで、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識し、又は確認することができるであろう。当業者であれば、添付の請求項で定義された本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、本記載に対する種々の変更や改変を行うことができることは理解されよう。
請求項において「a」や「an」、「the」等の冠詞は、そうではないと示されない限り、又は文脈から明らかではない限り、一又は一を超えることを意味し得る。ある群の1以上のメンバー間に「or」を含む請求項又は記載は、そうではないと示されない限り、又は文脈から明らかではない限り、該群の一メンバー、一を超えるメンバー又は全メンバーが所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は関連することを満たすと考えられる。本発明は、正確に群の一メンバーが所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は関連する実施形態を包含する。また、本発明は、群の2以上のメンバー又は全メンバーが所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は関連する実施形態も包含する。更に、本発明が、1以上の請求項又は明細書の関連部分由来の1以上の限定、要素、条項、説明用語等が他の請求項に導入されている全ての変形、組み合わせ、及び並べ替えを包含することは理解されたい。例えば、他の請求項に従属する請求項は、同じ基本請求項に従属する他の請求項の中に見出される1以上の限定を含むように改変することができる。更に、請求項が組成物を記載している場合、特に明記されない限り、又は矛盾や不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示の目的のいずれかのために組成物を用いる方法が包含され、本明細書に開示の製造方法又は当該技術分野で公知の他の方法のいずれかに従って組成物を製造する方法が包含されることは理解されたい。例えば、本明細書に記載又は当該技術分野で公知の位置のいずれか、及び/又は該記載又は公知の原因のいずれかによる接着の発生、進行及び/又は再発を阻害するために、本発明の組成物のいずれかを用いることができることは理解されたい。また、本明細書に記載又は当該技術分野で公知の位置のいずれか、及び/又は該記載又は公知の原因のいずれかによる接着の発生、進行及び/又は再発を阻害するために、本明細書に開示の組成物調製方法に従って製造された組成物のいずれかを用いることができることも理解されたい。更に、本発明は、本明細書に開示の組成物調製方法のいずれかに従って製造された組成物を包含する。
要素がリストとして、例えば、マーカッシュ群の形式で表される場合、要素の各下位群も開示され、任意の要素が群から除去可能であることは理解されたい。「含む(comprising)」という用語はオープンであるものとし、追加の要素又は段階を包含することが可能なことにも留意されたい。一般に、本発明又は本発明の様相が特定の要素、特徴、段階等を含むと言及された場合、本発明の特定の実施形態又は様相は、そのような要素、特徴、段階等からなるか、又は本質的にそれらからなることも理解されたい。簡潔にするため、このような実施形態は本明細書にその通りの言葉で具体的には記載されなかった。従って、1以上の要素、特徴、段階等を含む本発明の各実施形態においては、本発明は、このような要素、特徴、段階等からなるか、又は本質的にそれらからなる実施形態も提供する。
範囲が与えられている場合、終点は含まれる。更に、特に明記されない限り、又は文脈及び/又は当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態に記載の範囲内の任意の具体的な値を、文脈で特に明記されない限り、該範囲の下限の単位の1/10まで想定可能であることは理解されたい。特に明記されない限り、又は文脈及び/又は当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、該範囲内の任意の下位範囲を想定することができるが、下位範囲の終点は該範囲の下限の単位の1/10と同じ正確さで表されることも理解されたい。
更に、任意の1以上の請求項は、本発明の或る特定の実施形態を明示的に除外している場合があることを理解されたい。本発明の組成物及び/又は方法の任意の実施形態、要素、特徴、用途又は様相(例えば、任意の誘導体や任意の分子量範囲、任意の架橋剤、任意の結合ヒドロゲル前駆体の種類、生物活性剤又は特定の剤の任意のクラス、任意の物質組成、任意の投与経路又は投与位置、生物を投与する任意の目的等)は、任意の1以上の請求項の範囲から除外されることができる。簡潔な記載とするため、1以上の要素、特徴、目的又は様相が除外された実施形態の全てを本明細書に明確に記載しているわけではない。