Arabidopsis NRT1/PTRファミリーにおけるタンパク質配列のルーツ化されていない系統樹。ARAMEMNON植物膜タンパク質データベース(Schwacke et al., Plant Physiol. 131: 16-26)から、タンパク質配列を検索した。At3g47960(AtGTR1)タンパク質サブクレードは、括弧でマークする。モノクロ階調の円は、Xenopus卵母細胞における相対的なin vitro GSL取り込み活性を反映しており、白色は取り込みゼロを示し、黒色は観察された最大の取り込みを示す。マークされていない遺伝子は、試験しなかった。近隣結合法(Saitou and Nei, 1987, Mol Biol Evol. 4(4):406-25)を使用して、系統発生関係を推測した。Poisson補正法(Zuckerkandl and Pauling, 1965, In Bryson V, Vogel HJ (eds), Academic Press, New York, pp 97-166)を使用して、系統発生関係を計算した。ギャップ及び欠測データを含むすべての位置を、データセットから削除した(完全削除オプション)。最終的なデータセットには、合計300個の位置があった。系統発生解析をMEGA4(Tamura et al., 2007, Mol Biol Evol 24: 1596-1599)で実行した。
Arabidopsis GTRアミノ酸配列のアライメント。POT1−6_AT..p:AtGTR1〜6(配列番号2、4、6、8、10及び12)
GTR1における30アミノ酸のN末端延長を含むArabidopsis GTRアミノ酸配列1〜6(配列番号142、4、6、8、10及び12)のアライメント。
配列番号66の126位(GlyからArg)、145位(GlyからArg)、192位(GluからLys)、229位(Trpから終止)及び359位(SerからPhe)のアミノ酸に対応するアミノ酸の置換を有するBrGTR2−A2タンパク質並びに野生型BrGTR2−A2タンパク質を発現するXenopus卵母細胞における4−MTB取り込み。アッセイ条件:0.5mM 4−MTB、1時間。各バーは4回反復の平均であり、誤差は標準偏差である。
Xenopus卵母細胞においてAtGTR1及び2媒介性GSL輸送の生化学的アッセイ。A及びB、AtGTR媒介性GSL輸送のpH依存性。A、卵母細胞抽出物のLC−MS分析によって測定したAtGTR2媒介性4−MTB取り込み、n=卵母細胞3個。B、pH5(●)、pH6(◆)及びpH7(▲)の異なる膜電位において、1mM 4−MTBによって誘導したAtGTR1電流を測定した。pH5、−60mVで誘導した電流に対して、電流を標準化した。エラーバーはSDであり、n=卵母細胞4個。C及びD、AtGTR媒介性グルコシノレート輸送の動態分析。−60mVの膜電位における標準化したグルコシノレート依存性電流を、4−MTBの濃度に対してプロットし、線は、データに対するMichaelis-Menten式の適合を示す;エラーバーはSDである。AtGTR1(n=卵母細胞6個);AtGTR2(n=卵母細胞5個)。100μM 4−MTBで誘導した電流に対して、各卵母細胞データセットを標準化した。E及びF、AtGTRの基質特異性。E、2mM 4−MTB、2mM NO3 −、2mMグルコース+2mM SO4 −−又は2mM Ala−His+2mM Asp−Ala+2mM Gly−Leu+2mM Ala−Phe+2mM Gly−Glu+2mM Gly−Gly−Gly溶液の存在下における0,04mMC−14ラベル化pOHBG(pH5)のAtGTR1及びAtGTR2取り込み、エラーバーはSDであり、n=卵母細胞8個。F、内因性及び外因性グルコシノレート、正、負及び中性の各ジペプチド並びに2個のトリペプチドによって誘導したAtGTR1電流。−60mVに固定して100μM 4−MTB(pH5)により誘導した電流に対して、電流を標準化した。エラーバーはSDであり、n=卵母細胞4個。
Arabidopsis野生型及びGTRノックアウト植物に由来する種子におけるグルコシノレート含量。A〜D、野生型、atgtr1、atgtr2及びatgtr1/atgtr2植物にそれぞれ由来する各長角果のすべての種子におけるGSL含量を示すHPLCトレース。A、野生型植物に由来する54個の種子。B、atgtr2に由来する51個の種子。C、atgtr1に由来する53個の種子。D、atgtr1/atgtr2植物に由来する39個の種子。E、ネイティブなAtGTR2相補構築物でトランスフォーメーションしたatgtr1/atgtr2植物に由来する20個の種子。略語は、検出したグルコシノレートの接頭辞を意味する。4ohb:4−ヒドロキシブチル−GSL、4msb:4−メチルスルフィニルブチル−GSL、5msp:5−メチルスルフィニルペンチル−GSL、6msh:6メチルスルフィニルヘキシル−GSL、7msh:7−メチルスルフィニルヘプチル−GSL、4mtb:4−メチルチオブチル−GSL、8mso:8−メチルスルフィニル−GSL、i3m:インドール−3−イル−メチル−GSL、5mtp:5−メチルチオブチル−GSL、3bzop:3−ベンゾイルプロピル−GSL、4bzob:4−ベンゾイルブチル−GSL、7mth:7−メチルチオヘプチル−GSL、8−メチルチオオクチル−GSL.2−プロペニル−GSL:精製中の減少を標準化する内部標準GSL。
発生の間の土壌栽培Arabidopsis植物に由来する異なる植物部分における総脂肪族グルコシノレート(Y軸で「gls」と略される)含量。採取時点:抽だい前:3週齢植物、抽だい(及び長角果発生の開始)後:5週齢植物、老化(及び種子成熟):8週齢。「抽だい後」及び「老化」の時点に関しては、同じ植物から組織を採取する。A、種子。B、ロゼット。C、茎(花を含む)、すべての茎生葉、すべてのインタクトな長角果(発生中及び成熟種子を含む)。D、単一の長角果壁。バーは平均±SDを表す。(総脂肪族GSLは、ベンゾイルオキシGSLを含むメチオニンに由来するGSLすべてを含む)
発生の間の水耕栽培Arabidopsis植物に由来する異なる植物部分における総脂肪族グルコシノレート(Y軸で「gls」と略される)含量。採取時点は、土壌栽培植物に関して図2に記載した通りである。A、根。B、ロゼット抽だい。C、植物1mgあたりの脂肪族グルコシノレート濃度。
Arabidopsis GTRアミノ酸配列の一部のアライメントの詳細:AtGTR2:配列番号4のアミノ酸位置454〜アミノ酸位置493;BrGTR2:配列番号26のアミノ酸位置450〜アミノ酸位置489;AtGTR1:配列番号2のアミノ酸位置440〜アミノ酸位置479(又は配列番号142のアミノ酸位置470〜509);AtGTR3:配列番号6のアミノ酸位置438〜アミノ酸位置467;AtGTR5:配列番号10のアミノ酸位置463〜アミノ酸位置495;AtGTR6:配列番号12のアミノ酸位置423〜アミノ酸位置449;及びAtGTR4:配列番号8のアミノ酸位置425〜アミノ酸位置451。
突然変異BrGTR2タンパク質における突然変異を相対的に表示した、GTR2タンパク質の予測タンパク質構造。破線矢印は、GTR1、GTR2及びGTR3タンパク質に特徴的なループを示す(図7における枠で囲まれた配列によっても示される)。
B. rapa種子における3−ブテニル含量。X軸は、種子のBrGTR2遺伝子型を示す;暗い柱は、ホモ接合性突然変異体に由来する種子を示すのに対して、明るい柱は、各突然変異体に関する野生型分離個体(WTS)に由来する種子を示す。WTは、突然変異していない参照野生型種子を表す。Y軸は、3−ブテニル濃度(nmol/mg単位)を示す。パネルA)各植物に由来する種子のグルコシノレート濃度;n=種子3個から標準偏差を計算する。パネルB)すべての「W229X−」(終止コドン)突然変異体の平均グルコシノレート濃度、n=種子27個、n=種子12個及びn=種子3個から標準偏差をそれぞれ計算した。
突然変異及び参照B. napus種子における総グルコシノレート含量。Y軸は、種子の遺伝子型を示す。参照は、突然変異していない同系野生型種子である。
野生型AtGTR1及びGTR2と比較した、リン酸化/脱リン酸化模倣構築物の4−MTB取り込み;X軸は、異なる構築物の遺伝子型を表す。
Brassica rapaの様々な組織におけるグルコシノレートの濃度。X軸は分析した植物部分を示し、Y軸はnmolグルコシノレート/mg生重量を示す。この分析は、Brgtr2植物全体におけるグルコシノレート濃度がWTよりも高いこと、及び、この濃度増加は、茎及び根ではなく葉及び長角果におけるグルコシノレートレベルが原因であることを示している。n=5から標準偏差を計算する。
様々な組織の生重量。X軸は重量を量った植物部分を示し、Y軸はmg生重量を示す。この分析は、Brgtr2植物がWTよりも大きいこと、及び、この増加は、葉及び茎の重量が主な原因であることを示している。BrGTR2 WT長角果の低重量は、真のWT及びBrgtr2長角果(データは示さず)と比較して、これらにおける種子の量が少ないことが部分的な原因であることに注意すべきである。n=5から標準偏差を計算する。
一般的な定義
本明細書において使用される「グルコシノレート」(本明細書において「GSL」又は「GLS」と略される)という用語は、スルホン化アルドキシム部分を含むアミノ酸由来チオグルコシド有機アニオンを指す。親アミノ酸及びさらなる側鎖改変に依存する可変側鎖は、異なる化学的及び生物学的特性をGSLにもたらす。約120個の異なるGSLが文献に記載されており、それらはすべて、わずか8個の異なるアミノ酸に由来する。親アミノ酸は、分類基準として便利に使用される。Ala、Leu、Ile、Val及びMetに由来するGSLは「脂肪族GSL」と称され、Tyr及びPheに由来するGSLは「芳香族GSL」と称され、Trpに由来するGSLは「インドールGSL」と称される。GSLの種類の大きな多様性は、親アミノ酸の側鎖の多数の改変によって引き起こされる。特に、メチオニンは、広範なトランスフォーメーションを受ける。Brassicaceaeにおける主な脂肪族GSLは、鎖伸長型のMetに由来する側鎖を有し、例えば、脂肪族チオ−GSL 3−メチルチオプロピル(3−MTP)−、4−メチルチオブチル(4−MTB)−、5−メチルチオペンチル(5−MTP)−、6−メチルチオヘキシル(6−MTH)−、7−メチルチオヘプチル(7−MTH)−及び8−メチルチオオクチル(8−MTO)−GSL;脂肪族スルフィニル−GSL 3−メチルスルフィニルプロピル(3−MSP)−、4−メチルスルフィニルブチル(4−MSB)−、5−メチルスルフィニルペンチル(5−MSP)−、6−メチルスルフィニルヘキシル(6−MSH)−、7−メチルスルフィニルヘプチル(7−MSH)−及び8−メチルスルフィニルオクチル(8−MSO)−GSL;脂肪族ヒドロキシ−GSL 3−ヒドロキシプロピル(3−OHP)−及び4−ヒドロキシブチル(4−OHB)−GSL;脂肪族ベンゾイルオキシ−GSL 3−ベンゾイルオキシプロピル(3−BZOP)−及び4−ベンゾイルオキシブチル(4−BZOB)−GSL並びに脂肪族アルケニル−GSL 2−プロペニル(2−P)−及び3−ブテニル(3−B)−GSLである。Brassicaceaeにおける主な芳香族GSLは、Pheに由来する側鎖を有し、例えば、芳香族GSL 2−フェニルエチル(2−PE)−GSLである。Trpに由来するインドール側鎖を有するGSLも少し存在し、例えば、インドール−GSL インドール−3−イルメチル(i3M)−GSLである。GSLは、植物中で、GSL特異的チオグルコシダーゼミロシナーゼと同時に存在している。この酵素は、植物中で、GSLから物理的に分離されているが、組織が破壊されると、その基質と接触する。その結果として生じる加水分解産物は、GSL分子1個あたり1個の遊離グルコース分子と1個のアグリコン分子とからなる。アグリコンは不安定であり、イソチオシアネート、ニトリル、チオシアネート及び多少は毒性の他の化合物へと容易に再構成する。親アミノ酸の側鎖に応じて、これらの加水分解産物は、GSLの実際の生物学的活性に寄与するのに対して、インタクトなGSLは、不活性な貯蔵型であると考えられている。
本明細書において使用される植物又は植物部分の「グルコシノレート含量」という用語は、GSLの種類に関係なく、脂肪族、芳香族及びインドールGSLを含むGSLの総量を指す。従って、植物若しくは植物部分の「総GSL含量」又は「GSL含量」は、その植物又は植物部分の総GSLの含量を意味し、GSLは、それらの側鎖のサイズに応じて有意に異なる分子量を有するので、(重量(mg/kg)基準よりもむしろ)分子(nmol/g又はμmol/g)基準で表される。GSLの蓄積は、組織及び発生段階によって異なる。若葉及び生殖組織(例えば、長角果及び種子)は最高濃度のGSLを含むのに対して、老化葉は最低濃度のGSLを含む。中間濃度は、根、葉及び茎などの「大きな」器官全体で見られる。加えて、GSLプロファイルの組成は、器官によって著しく変化する。根及び栄養組織では、GSL含量は、インドール及び脂肪族GSLから構成されるのに対して、芳香族は存在しない。長角果及び種子では、少量の芳香族及びインドールGSLが見られるのに対して、残りのGSL含量は、脂肪族GSLからすべて構成されている。
「キャノーラ」、「00(double−zero)菜種」又は「ダブルロー(double−low)菜種」は、標準植物育種技術によって交配されて、油部分における低レベルのエルカ酸(2%未満)、及び、ミール部分における低レベルのGSL(30μmol/g未満)を有する菜種(Brassica napus及びBrassica campestris又はrapa)の子孫である。(00)菜種の「種子」は、小さくて、円形であり、直径1〜2mmである。それは、食用植物油として使用するために抽出される約42〜43%の油を含む。残りの「種子ミール」は、動物飼料に広く使用されているタンパク質源である。菜種中のGSLは、毒性であり、ほとんどの動物にとって嫌なものなので、減らされており、このため、動物飼料における菜種ミールの含有レベルを非常に低いレベルに制限している。キャノーラ及び菜種ミールは、世界中で動物飼料によく使用されており、マッシュとしてバルク形態で又はペレットで販売されている。
本発明の方法による植物若しくは植物部分の「総GSL含量の減少」又は「総GSL含量の増加」は、類似の遺伝的背景を有する参照植物又は植物部分の総GSL含量と比較して測定される。総GSL含量は、任意の適切な方法によって測定され得る。植物材料の総GSL含量を定量化する方法、及び、植物材料のGSL組成を決定する方法は、当技術分野において周知であり、例えばHansen et al. (2007, Plant J. 50 (5): 902-910)によって記載される、sephadex陰イオン交換カラムから脱硫酸化及び溶出したメタノール抽出物のHPLC分析を含むHPLC−UV脱硫酸化法;例えばBotting et al. (2002, J. Agric. Food Chem. 50 (5): 983-988)によって記載される、MALDI−TOF質量分析によるインタクトなGSLの分析;例えばFont et al. (2005, J. Agric. Sci. 143: 65-73)によって記載される近赤外反射スペクトル;例えばClarke (2010, Anal. Methods 2: 310-325)によって要約される、活性分解産物を分光光度的に生じさせる方法;例えばRochfort et al. (2008, Phytochemistry 69: 1671)によって記載される、インタクトなグルコシノレートのHPLC質量分析を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「生物燻蒸」は、いくつかの土壌病原体及び疾患をコントロールするために、Brassicaceae(例えば、キャベツ、カリフラワー、ケール及びマスタード)、Capparidaceae(例えば、クレオメ)及びMoringaceae(例えば、西洋ワサビ)種などのGSL含有植物を、生物学的に活性な輪作緑肥作物として使用することを指す。
「作物植物」は、Brassica napus、(AACC、2n=38)、Brassica juncea(AABB、2n=36)、Brassica carinata(BBCC、2n=34)、Brassica rapa(syn.B. campestris)(AA、2n=20)、Brassica oleracea(CC、2n=18)、又はBrassica nigra(BB、2n=16)などの作物として栽培される植物種を指す。この定義は、Arabidopsis thalianaなどの雑草を包含しない。
「核酸」又は「核酸分子」という用語は、一本又は二本鎖形態のDNA又はRNA分子、特に本発明のタンパク質又はタンパク質フラグメントをコードするDNAを指す。「内因性核酸」は、植物細胞内の核酸(例えば、Brassica細胞の核ゲノム内に存在するGTR遺伝子の内因性アレル)を指す。「単離された核酸」は、もはやその自然環境中、例えばin vitro又はリコンビナント細菌若しくは植物のホスト細胞中にない核酸を指すのに使用される。
「遺伝子」という用語は、細胞においてRNA分子に転写され(例えば、イントロン配列を含むmRNA前駆体に転写され、次いで成熟mRNAにスプライシングされるか、又は、イントロン配列を含まないmRNAに直接的にスプライシングされるか、又は、miRNA前駆体にスプライシングされ)、調節領域(例えば、プロモーター)に機能的に連結されたDNA領域(転写領域)を含むDNAフラグメントを意味する。従って、遺伝子は、いくつかの機能的に連結されたDNAフラグメント(例えば、プロモーター、例えば翻訳開始に関与する配列を含む5’リーダー配列、(タンパク質)コード領域(cDNA又はゲノムDNA)、及び例えば転写終結部位を含む3’非翻訳配列)を含み得る。「内因性遺伝子」は、「外来遺伝子」、「トランスジーン」、又は「キメラ遺伝子」から区別するのに使用され、特定の植物属、種、又は品種の植物に由来する遺伝子を指し、それはトランスフォーメーションによりその植物中に導入されていない(すなわち、それは「トランスジーン」ではない)が、それは通常、その属、種、又は品種の植物中に存在するか、又は、別の植物の属、種、又は品種の植物からその植物に導入され、それにおいては通常、通常の育種技術により又は体細胞交雑により(例えば、プロトプラスト融合により)存在する。同様に、遺伝子の「内因性アレル」は、植物のトランスフォーメーションにより植物又は植物組織に導入されないが、例えば、植物の突然変異誘発及び/又は選択により生成されるか、又は、植物の自然集団をスクリーニングすることにより得られる。
本明細書において使用される「キメラ核酸構築物」は、植物種において通常は見られない核酸構築物を指す。キメラ核酸構築物は、DNA又はRNAであり得る。「キメラDNA構築物」及び「キメラ遺伝子」は、互換的に使用され、植物種において通常は見られない遺伝子を意味するか、又は、遺伝子のプロモーター又は1つ以上の他の調節領域が、転写DNA領域の一部又は全部に本来は結合していない任意の遺伝子を指す。
「遺伝子の発現」又は「遺伝子発現」は、適切な調節領域、特にプロモーターに機能的に連結されたDNA領域がRNA分子に転写されるプロセスを指す。次いで、RNA分子は、細胞内で、(転写後プロセスにより)例えばRNAスプライシングによりさらにプロセシングされ、翻訳が開始され、アミノ酸鎖(ポリペプチド)に翻訳され、翻訳終止コドンにより翻訳が終結する。「機能的に発現される」という用語は、本明細書において、機能タンパク質が産生されることを示すのに使用される;「非機能的に発現される」という用語は、有意に減少した機能性(生物学的活性)を有するか、又は機能性(生物学的活性)を有しないタンパク質が産生されること、又は、タンパク質が産生されないことを示すのに使用される(さらに以下を参照のこと)。RNA分子は、それが別の核酸又はタンパク質と相互作用できるか、又は生物学的に活性なポリペプチド又はタンパク質に翻訳され得る場合に、生物学的に活性である。遺伝子は、遺伝子発現の最終産物が、生物学的に活性なRNA(例えば、アンチセンスRNA、リボザイム又はmiRNAなど)である場合に、RNAをコードすると言われる。遺伝子は、遺伝子発現の最終産物が、タンパク質又はポリペプチドである場合に、タンパク質をコードすると言われる。遺伝子は、遺伝子発現の最終産物が、GTR機能活性をダウンレギュレーションできる(すなわち、GTR遺伝子発現及び/又はGTRタンパク質活性をダウンレギュレーションできる)場合に、GTR阻害RNAをコードすると言われる。
本発明の目的のために、「植物機能プロモーター」及び「植物発現プロモーター」という用語は、植物、植物組織、植物器官、植物部分又は植物細胞において転写を開始できるプロモーターを意味する。これは、任意の植物起源プロモーターを含むが、植物細胞において転写を指令できる任意の非植物起源プロモーターも含む。
この点において使用され得るプロモーターは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写産物のプロモーター(Harpster et al., 1988, Mol. Gen. Genet. 212: 182-190)、CaMV 19Sプロモーター(US 5,352,605; WO 84/02913; Benfey et al., 1989, EMBO J. 8:2195-2202)、地下クローバーウイルスプロモーターNo4又はNo7(WO 96/06932)、ルビスコ小サブユニットプロモーター(US 4,962,028)、ユビキチンプロモーター(Holtorf et al., 1995, Plant Mol. Biol. 29:637-649)、T−DNA遺伝子プロモーター(例えば、Agrobacteriumに由来するオクトピン合成(OCS)及びノパリン合成(NOS)プロモーター)、及び、植物において構成的に発現することが当業者に公知である遺伝子のさらなるプロモーターなどの構成的プロモーターである。
この点において使用され得るさらなるプロモーターは、2Sアルブミンプロモーター(Joseffson et al., 1987, J. Biol. Chem. 262:12196-12201)、ファセオリンプロモーター(US5,504,200; Bustos et al., 1989, Plant Cell 1.(9):839-53)、レグミンプロモーター(Shirsat et al., 1989, Mol. Gen. Genet. 215(2):326-331)、「未知の種子タンパク質」(USP)プロモーター(Baumlein et al., 1991, Mol. Gen. Genet. 225(3):459-67)、ナピンプロモーター(US5,608,152; Stalberg et al., 1996, Planta 199:515-519)、Arabidopsisオレオシンプロモーター(WO 98/45461)、Brassica Bce4プロモーター(WO 91/13980)、及び、植物において種子特異的に発現することが当業者に公知である遺伝子のさらなるプロモーターなどの組織特異的又は器官特異的プロモーター、好ましくは種子特異的プロモーターである。
使用され得る他のプロモーターは、器官原基特異的プロモーター(An et al., 1996, Plant Cell 8: 15-30)、茎特異的プロモーター(Keller et al., 1988, EMBO J. 7(12): 3625-3633)、葉特異的プロモーター(Hudspeth et al., 1989, Plant Mol. Biol. 12: 579-589)、葉肉特異的プロモーター(例えば、光誘導性ルビスコプロモーター)、根特異的プロモーター(Keller et al., 1989, Genes Dev. 3: 1639-1646)、塊茎特異的プロモーター(Keil et al., 1989, EMBO J. 8(5): 1323-1330)、維管束組織特異的プロモーター(Peleman et al., 1989, Gene 84: 359-369)、雄しべ選択的プロモーター(WO 89/10396, WO 92/13956)、裂開帯特異的プロモーター(WO 97/13865)などの組織特異的又は器官特異的プロモーターである。
本発明によるキメラRNA構築物は、WO90/12107、WO03/052108又はWO2005/098004に記載されているような手段及び方法を使用して、植物細胞に送達され得る。
「タンパク質」又は「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、特定の作用機序、サイズ、3次元構造、又は由来に関係なく、アミノ酸の鎖からなる分子を指す。従って、GTRタンパク質の「フラグメント」又は「部分」は、依然として「タンパク質」と称され得る。「単離されたタンパク質」は、もはやその自然環境中、例えばin vitro又はリコンビナント細菌若しくは植物のホスト細胞中にないタンパク質を指すのに使用される。
「輸送タンパク質」という用語は、特定の物質又は特定のクラスの密接に関連する物質が、膜を通過するのを助ける膜貫通タンパク質を指すのに使用される。「グルコシノレート輸送タンパク質」(本明細書において「GTR」と略される)は、グルコシノレートの輸送に関与するプロトン依存性オリゴペプチド輸送(POT)タンパク質である。
「GTR遺伝子」という用語は、本明細書において、グルコシノレート輸送(GTR)タンパク質をコードする核酸配列を指すのに使用される。
本明細書において使用される「アレル」という用語は、特定のローカスにある遺伝子の1つ以上の別の形態のいずれかを意味する。生物の二倍体(又は複二倍体)細胞において、所定の遺伝子のアレルは、染色体上の特定の位置又はローカス(ローサイ(複数形))に位置する。1つのアレルは、相同染色体の対の各染色体上に存在する。
本明細書において使用される「相同染色体」という用語は、同じ生物学的特性の情報を含み、かつ、同じローカスにある同じ遺伝子だがその遺伝子のおそらく異なるアレルを含む染色体を意味する。相同染色体は、減数分裂中に対を形成する染色体である。「非相同染色体」は、生物のすべての生物学的特性を表わし、セットを形成し、細胞中のセットの数は倍数性と称される。二倍体生物は、2セットの非相同染色体を含み、各相同染色体は、異なる親から遺伝される。複二倍体の種において、本質的に2セットの二倍体ゲノムが存在し、それにより2つのゲノムの染色体は、「類似相同(ホメオロガス)染色体」と称される(そして同様に、2つのゲノムのローカス又は遺伝子は、類似相同ローカス又は遺伝子と称される)。二倍体、又は複二倍体の植物種は、特定のローカスに多数の異なるアレルを含み得る。
本明細書において使用される「ヘテロ接合性」という用語は、2つの異なるアレルが特定のローカスに存在するが、細胞中の相同染色体の対応する対に個別に位置する場合に存在する遺伝的条件を意味する。反対に、本明細書において使用される「ホモ接合性」という用語は、2つの同一のアレルが特定のローカスに存在するが、細胞中の相同染色体の対応する対に個別に位置する場合に存在する遺伝的条件を意味する。
本明細書において使用される「ローカス」(ローサイ(複数形))は、例えば遺伝子又は遺伝子マーカーが見出される染色体上の特定の場所(単数)若しくは場所(複数)又は部位を意味する。例えば、「GTR−A1ローカス」は、GTR−A1遺伝子(及び2つのGTR−A1アレル)が見出され得るAゲノムの染色体上の位置を指すのに対して、「GTR−C1ローカス」は、GTR−C1遺伝子(及び2つのGTR−C1アレル)が見出され得るCゲノムの染色体上の位置を指す。
本発明の「植物(単数)」又は「植物(複数)」を参照する場合はいつでも、植物部分、親の識別特徴(特に、特定の植物部分におけるグルコシノレート含量)を保持する植物の後代(例えば、自家受粉又は交雑により得られる種子、例えば雑種種子(2つの自殖の親系統を交雑することにより得られる)、雑種植物、及びそれらに由来する植物部分も、特に示さない限り、本明細書に包含されることが理解される。
本明細書において使用される「植物部分」は、植物細胞、植物組織、植物器官、長角果又は種子鞘、種子、切断部分(例えば、根、葉、花、花粉など)を含む植物の任意の部分を指す。
「分子アッセイ」(又は試験)は、本明細書において、1つ又は両方のGTRローカスでの(例えば、GTR−A1又はGTR−C1ローカスの1つ又は両方での)1つ以上の特定のGTRアレルの存在又は非存在を(直接的又は間接的に)示すアッセイを指す。一実施態様では、それによって、特定の(野生型又は突然変異)アレルが、任意の植物個体におけるローカスでホモ接合性又はヘテロ接合性であるか否かを決定することが可能になる。
本明細書において使用される「野生型(wild type)」(「wildtype」又は「wild−type」とも記載される)は、それが自然界で最も多く存在する植物又は遺伝子の典型的な形態を指す。「野生型植物」は、自然集団におけるこのような植物の最も多い表現型を有する植物を指す。「野生型アレル」は、野生型表現型を作るために必要とされる遺伝子のアレルを指す。対照的に、「突然変異植物」は、自然集団におけるこのような植物の異なる稀な表現型を有する植物、又は、ヒトの介入により(例えば、突然変異誘発により)作られる植物を指し、「突然変異アレル」は、突然変異表現型を作るために必要とされる遺伝子のアレルを指す。
本明細書において使用される「野生型GTR」(例えば、野生型GTR−A1又はGTR−C1)という用語は、植物、特にBrassicaceae植物、特にArabidopsis及びBrassica植物内で見出される自然発生GTRアレルを意味し、機能性GTRタンパク質(例えば、それぞれ機能性GTR−A1又はGTR−C1)をコードする。対照的に、本明細書において使用される「突然変異GTR」(例えば、突然変異GTR−A1又はGTR−C1)という用語は、機能性GTRタンパク質をコードしないGTRアレルすなわち、非機能性GTRタンパク質(例えば、それぞれ非機能性GTR−A1又はGTR−C1)をコードするGTRアレルを指し、これは、本明細書において使用される場合、生物学的活性を有しないか、又は対応する野生型の機能性GTRタンパク質と比較して有意に減少した生物学的活性を有するGTRタンパク質、又は、GTRタンパク質を全くコードしないGTRタンパク質を指す。このような「突然変異GTRアレル」(「完全ノックアウト」又は「ヌル」アレルとも称される)は、野生型GTRアレルであり、1つ以上の突然変異であって、好ましくは、in vivoの細胞における機能性GTRタンパク質の(絶対又は相対)量の有意な減少をもたらす突然変異をその核酸配列中に含む。GTRタンパク質をコードする核酸配列の突然変異アレルは、本明細書において、「gtr」(例えば、それぞれgtr−a1又はgtr−c1)と称される。突然変異アレルは、「自然突然変異」アレル(これは、自然界で見出される(例えば、ヒトによる突然変異原の適用なしに自発的に産生される)突然変異アレルである)又は「誘発突然変異」アレル(これは、ヒトの介入により(例えば、突然変異誘発により)誘発される)のいずれかであり得る。
「有意に減少した量の機能性GTRタンパク質」(例えば、機能性GTR−A1又はGTR−C1タンパク質)は、突然変異GTRアレルを含まない細胞により産生される機能性GTRタンパク質の量と比較して少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%(すなわち、機能性GTRタンパク質が細胞により産生されない)の、突然変異GTRアレルを含む細胞により産生される機能性GTRタンパク質の量の減少を指す。この定義は、in vivoでGSL輸送活性を有しない「非機能性」GTRタンパク質(例えば、トランケーションされたGTRタンパク質)の産生、機能性GTRタンパク質の絶対量の減少(例えば、GTR遺伝子における突然変異のために、機能性GTRタンパク質が作られないこと)、及び/又は、機能性野生型GTRタンパク質の活性と比較して、有意に減少したGSL輸送活性を有するGTRタンパク質の産生を包含する(このようなGTRタンパク質では、コードされるGTRタンパク質のGSL輸送活性に重要な1つ以上のアミノ酸残基が、以下に例示する通り、別のアミノ酸残基に置換されている)。本明細書において使用される「突然変異GTRタンパク質」という用語は、突然変異GTR核酸配列(「gtr」アレル)によりコードされるGTRタンパク質であって、突然変異が、非突然変異の野生型GTR配列(「GTRアレル」)によりコードされるGTRタンパク質の活性と比較して、in vivoにおけるGTR活性の有意な減少及び/又は消失をもたらす、GTRタンパク質を指す。
本明細書において使用される「突然変異誘発」は、植物細胞(例えば、複数のBrassica種子又は他の部分、例えば花粉など)を、細胞のDNAにおいて突然変異を誘発する技術(例えば、変異原性薬剤、例えば化学物質(例えば、エチルメチルスルホネート(EMS)、エチルニトロソ尿素(ENU)など)との接触、又は、電離放射線(中性子(例えば、高速中性子突然変異誘発など)、アルファ線、ガンマ線(例えば、コバルト60供給源により供給されるもの)、X線、UV照射など、又は、これらの2つ以上の組み合わせ)に供するプロセスを指す。従って、1つ以上のGTRアレルの所望の突然変異誘発は、化学的手段の使用により(例えば、1つ以上の植物組織とエチルメチルスルホネート(EMS)、エチルニトロソ尿素(ENU)などとの接触により)、物理的手段(例えば、x線など)の使用により、又はガンマ照射(例えば、コバルト60供給源により供給されるもの)により達成され得る。放射線照射により引き起こされる突然変異は、大きな欠失又は他の甚だしい損傷(例えば、転座又は複雑な再配列)であることが多いのに対して、化学的突然変異原により引き起こされる突然変異は、より個別な損傷(例えば、点突然変異)であることが多い。例えば、EMSは、グアニン塩基をアルキル化し、それは塩基の誤対合をもたらす:アルキル化されたグアニンは、チミン塩基と対合し、主にG/CからA/T転位をもたらす。
本明細書において使用される「非自然発生」という用語は、植物に関して使用される場合、人間により改変されているゲノムを有する植物を意味する。トランスジェニック植物は、例えば、外因性の核酸分子(例えば、転写された場合に、内因性遺伝子(例えば、本発明のGTR遺伝子)の発現を減少させることができる生物学的に活性なRNA分子を生じる転写領域を含むキメラ遺伝子)を含み、従って、人間により遺伝子改変されている非自然発生植物である。加えて、変異原性薬剤への曝露の結果としての内因性遺伝子における突然変異(例えば、内因性GTR遺伝子(例えば、調節エレメント又はコード配列)における突然変異)を含む植物も、人間により遺伝的に改変されているので、非自然植物と見なす。さらに、例えば、同じ又は別の種(例えば、Brassica juncea又はrapa)の植物を用いる方向性を持った育種プロセス(例えば、マーカー利用育種及び選択又は遺伝子移入)の結果としての、内因性遺伝子における突然変異(例えば、内因性GTR遺伝子における突然変異(これは、自然界ではその特定の植物種において存在しない))を含む特定の種(例えば、Brassica napus)の植物も、非自然発生植物と見なされる。対照的に、自発的な又は自然発生の突然変異だけ含む植物(すなわち、人間により遺伝的に改変されていない植物)は、本明細書において定義される「非自然発生植物」ではなく、従って、本発明内に包含されない。当業者は、非自然発生植物が、典型的には、自然発生植物と比較して変化したヌクレオチド配列を有し、非自然発生植物も、そのヌクレオチド配列を変えることなく、例えば、そのメチル化パターンを改変することにより人間により遺伝的に改変され得ることを理解する。
遺伝子又はタンパク質の「オルソログ」という用語は、本明細書において、別の種において見出される相同遺伝子又はタンパク質を指し、それは、その遺伝子又はタンパク質と同じ機能を有するが、その遺伝子を持つ種が分岐した(すなわち、遺伝子が共通の祖先から種分化により進化した)時点から配列において(通常は)分岐している。従って、例えば、Brassica napusGTR遺伝子のオルソログは、他の植物種(例えば、Brassica junceaなど)において、両配列の比較(例えば、配列全体にわたる又は特定のドメインにわたるパーセンテージ配列同一性に基づき)及び/又は機能解析に基づき同定され得る。
「品種」は、本明細書において、UPOV条約に準拠して使用され、単一植物分類群の公知の最下位階級内で植物をグループ化することを指し、そのグループ化は、所定の遺伝子型又は遺伝子型の組み合わせに起因する特徴の発現により定義され得、前記特徴の少なくとも1つの発現により任意の他の植物グループ化から識別され得、変化せずに繁殖する(安定である)ためのその適合性に関する単位と見なされる。
「含む」という用語は、記載した部分、工程、又は構成要素の存在を特定すると解釈すべきであるが、1つ以上のさらなる部分、工程、又は構成要素の存在を除外しない。従って、特定の形質を含む植物は、さらなる形質を含み得る。ヌクレオチド又はアミノ酸の配列を含む核酸又はタンパク質は、実際に引用されたものよりも多くのヌクレオチド又はアミノ酸を含み得る(すなわち、より大きな核酸又はタンパク質に組み込まれ得る)。機能的又は構造的に定義されるDNA領域を含むキメラ遺伝子は、さらなるDNA領域などを含み得る。
単数形の単語(例えば、植物(plant)又は根(root))を指す場合、複数形(例えば、複数の植物(a plurality of plants)、複数の根(a plurality of roots))も本明細書において含まれると理解される。従って、不定冠詞「a」又は「an」による要素の参照は、文脈が明らかに1つ又は1つだけの要素が存在することを必要としない限り、1を超える要素が存在する可能性を除外しない。従って、不定冠詞「a」又は「an」は、通常は、「少なくとも1つ」を意味する。
本発明の目的のために、2つの関連するヌクレオチド又はアミノ酸配列の「配列同一性」は、パーセンテージで表わし、比較される位置の数により割った同一の残基(×100)を有する2つの最適にアライメントした配列における位置の数を指す。ギャップ(すなわち、残基が一方の配列において存在するが、他方においては存在しないアラインメント中の位置)は、非同一残基を有する位置と見なされる。2つの配列の「最適なアラインメント」は、The European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS, Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16(6): 276-277;例えば、http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.htmlを参照のこと)におけるNeedleman及びWunschのグローバルアラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J Mol Biol 48(3): 443-53)に従って、デフォルト設定(ギャップ開始ペナルティ=10(ヌクレオチドに関して)/10(タンパク質に関して)及びギャップ伸長ペナルティ=0.5(ヌクレオチドに関して)/0.5(タンパク質に関して))を使用して、2つの配列を全長にわたりアラインメントすることにより見出される。ヌクレオチドに関して、使用するデフォルトスコアリングマトリックスは、EDNAFULLであり、タンパク質に関して、デフォルトスコアリングマトリックスは、EBLOSUM62である。
RNA分子のヌクレオチド配列が、対応するDNA分子のヌクレオチド配列を参照して定義される場合はいつでも、ヌクレオチド配列中のチミン(T)は、ウラシル(U)で置換されるべきであることは明らかである。参照するのがRNA又はDNA分子であるかは、本出願の文脈から明らかである。
本明細書において使用される「実質的に同一の」又は「本質的に類似の」は、上記に定義されるように最適にアラインメントされた場合に、少なくとも一定の最小パーセンテージの配列同一性(以下でさらに定義される)を共有する配列を指す。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、所定のヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するのに使用され得る。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なるであろう。一般的には、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度及びpHで特定の配列に関して熱融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。Tmは、ターゲット配列の50%が、パーフェクトマッチプローブとハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度及びpH下)である。典型的には、塩濃度がpH7で0.02モルであり、温度が少なくとも60℃であるストリンジェントな条件が選択される。塩濃度を減少させること及び/又は温度を増加させることによって、ストリンジェンシーが増加する。RNA−DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを使用するノーザンブロット)のためのストリンジェントな条件は、例えば、0.2×SSC、63℃における20分間の洗浄を少なくとも1回含むものであるか、又は同等の条件である。
「高ストリンジェンシーな条件」は、例えば、6×SSC(20×SSCは、3.0M NaCl、0.3M Naクエン酸(pH7.0))、5×Denhardt’s(100×Denhardt’sは、2%Ficoll、2%ポリビニル・ピロリドン、2%ウシ血清アルブミン)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウ(SDS)、及び非特異的コンペティターとしての20μg/ml変性キャリアDNA(一本鎖魚精子DNA、平均長120〜3000ヌクレオチド)を含む水溶液における65℃でのハイブリダイゼーションにより提供され得る。ハイブリダイゼーションに続き、高ストリンジェンシーな洗浄が、いくつかの工程において、0.2〜0.1×SSC、0.1%SDSにおけるハイブリダイゼーション温度での最終洗浄(約30分)で行われ得る。
「中ストリンジェンシーな条件」は、上記溶液におけるハイブリダイゼーションと同等であるが、約60〜62℃の条件を指す。中ストリンジェンシーな洗浄は、1×SSC、0.1%SDSにおけるハイブリダイゼーション温度で行われ得る。
「低ストリンジェンシー」は、上記溶液におけるハイブリダイゼーションと同等で、約50〜52℃の条件を指す。低ストリンジェンシーな洗浄は、2×SSC、0.1%SDSにおけるハイブリダイゼーション温度で行われ得る。Sambrook et al.(1989)及びSambrook and Russell(2001)も参照のこと。
発明の詳細な説明
本発明は、モデル植物Arabidopsis thaliana(Nour-Eldin, 2007、前掲)におけるGSL輸送(GTR)タンパク質及び対応するGTR遺伝子の同定に基づく。本発明者らは、ArabidopsisのGTR遺伝子が、GTR1〜6と名付けられた6個のホモログ(図1a)で小さいサブクレードを形成することを見出した。本発明者らは、GTR1又はGTR2トランスポーターのいずれかをノックアウトしたArabidopsis植物の種子は、野生型植物と比較して、総脂肪族GSL濃度がそれぞれ有意に減少しなかったか又は約50%減少したこと、及び、GTR1及びGTR2トランスポーターの両方をノックアウトしたArabidopsis植物の種子は、ゼロGSL種子表現型であったことをさらに見出した。驚くべきことに、gtrノックアウト植物に由来する老化葉のGSLレベルは高かったのに対して、野生型植物では、老化すると葉はGSLが激減していた。本発明者らは、Brassica rapa(ゲノムAA、2n=20)及びBrassica oleracea(ゲノムCC、2n=18)がそれぞれ、3個のGTR1遺伝子及び3個のGTR2遺伝子をそれらのゲノム中に含むのに対して、Brassica napus(ゲノムAACC、2n=4x=38)(これは、その起源が二倍体祖先に由来するため、本質的には、2個の二倍体ゲノム(A及びCゲノム)を含む異質四倍体(複二倍体)種である)は、6個のGTR1遺伝子及び6個のGTR2遺伝子(6個のGTR1及びGTR2遺伝子の3個はAゲノム上に位置し、3個はCゲノム上に位置する)をそのゲノム中に含むことをさらに見出した。Brassica juncea(ゲノムAABB、2n=4x=36)(これは、本質的には、2個の二倍体ゲノム(A及びBゲノム)を含む別の異質四倍体種である)も、6個のGTR2遺伝子(6個のGTR2の3個はAゲノム上に位置し、3個はBゲノム上に位置する)をそのゲノム中に含む。Aゲノム上に位置するGTR1及びGTR2遺伝子は、本明細書において「GTRx−Ay」(xは1又は2であり、yは1、2又は3である)と称され、Cゲノム上に位置するGTR1及びGTR2遺伝子は、本明細書において「GTRx−Cy」(xは1又は2であり、yは1、2又は3である)と称される。Bゲノム上に位置するGTR1及びGTR2遺伝子は、本明細書において「GTRx−By」(xは1又は2であり、yは1、2又は3である)と称される。B. napusに由来するGTRx−Ay遺伝子は、B. napusに由来する対応するGTRx−Cy遺伝子と「類似相同」であると言われる。すなわち、「A遺伝子」は、Aゲノム上に見られ、二倍体祖先B. rapa(AA)に由来するのに対して、「C遺伝子」は、B. napusのCゲノム上に見られ、二倍体祖先B. oleracea(CC)に由来する。同様に、B. junceaに由来するGTRx−Ay遺伝子は、B. junceaに由来する対応するGTRx−By遺伝子と「類似相同」であると言われる。すなわち、「A遺伝子」は、Aゲノム上に見られ、二倍体祖先B. rapa(AA)に由来するのに対して、「B遺伝子」は、B. napusのBゲノム上に見られ、二倍体祖先B. nigra(BB)に由来する。
任意の二倍体ゲノムにおけるように、2つの「アレル」が、ゲノム中の各GTRローカスにおける各GTR遺伝子に関して、in vivoで存在し得る(一方のアレルが一方の染色体上で見出される遺伝子配列であり、他方が相同染色体上で見出される遺伝子配列である)。各GTR遺伝子に関して存在する異なるアレル候補の数は、種集団において、全体として2よりもずっと大きくなり得るが、これらの2つのアレルのヌクレオチド配列は、任意の所定の植物において、同一であり得るか(ホモ接合性植物)、又は異なり得る(ヘテロ接合性植物)。
本明細書において、Brassicaceae種に由来する野生型及び突然変異GTR遺伝子/アレルの核酸配列、並びに野生型及び突然変異GTRタンパク質が提供される。また、Brassicaceae植物、並びに、それらのゲノム中に野生型及び突然変異GTRアレルの特定の組み合わせを含むBrassicaceae植物及び植物部分において、突然変異及び野生型GTRアレルを生成及び組み合わせ、それによりGSL含量がこれらの植物の特定の部分において改変される方法が提供される。突然変異GTRアレルを他の植物に移すためのこれらの植物の使用も、本発明の実施態様であり、記載される植物のいずれかの植物産物も同様である。加えて、GTR遺伝子及び/又はアレルを組み合わせるか、又は検出するためのマーカー利用選択(MAS)のためのキット及び方法が提供される。本発明の異なる実施態様は、本明細書において以下に詳細に記載される。
本発明の核酸配列
Brassicaceae、特にBrassica種、特にBrassica napus、Brassica juncea、Brassica rapa又はBrassica oleracea、しかしさらに他のBrassica作物種に由来するGTR遺伝子の、機能性GTRタンパク質をコードする野生型GTR核酸配列、及び、突然変異gtr核酸配列(1つ以上の突然変異、好ましくはコードされるGTRタンパク質のGSL輸送活性の消失又は有意な減少をもたらすか、又は、GTRタンパク質の無産生をもたらす突然変異を含む)の両方が提供される。例えば、A及び/又はCゲノムを含むBrassica種は、GTR−A又はGTR−C遺伝子の異なるアレル(これは、本発明の単一の植物において同定され、組み合わせられ得る)を含み得る。さらに、突然変異誘発方法は、野生型GTRアレルにおいて突然変異を生成し、それにより本発明の使用のための突然変異gtrアレルを作製するのに使用され得る。特定のGTRアレルは、好ましくは、植物において交雑及び選択により組み合わせられるため、一実施態様では、植物(例えば、Brassica植物、好ましくはBrassica napus、Brassica juncea、Brassica rapa又はBrassica oleraceaと交雑され得るか、又は「合成」Brassica napus植物を作るために使用され得るBrassica植物)内の(すなわち、内因性の)GTR及び/又はgtrの核酸配列が提供される。異なるBrassica種の間でのハイブリダイゼーションが、当技術分野において記載されている(例えば、Snowdon(2007, Chromosome research 15:85-95)を参照のこと)。種間ハイブリダイゼーションは、例えば、遺伝子を、例えば、B. napus(AACC)中のCゲノムからB. carinata(BBCC)中のCゲノムへ、あるいは、例えば、B. napus(AACC)中のCゲノムからB. juncea(AABB)中のBゲノムへ(それらのCゲノムとBゲノムの間の非正統的組換えの散発性事象により)移すのに使用され得る。「再合成」又は「合成」Brassica napus系統は、元の祖先、B. oleracea(CC)及びB.rapa(AA)を交雑することにより作製され得る。種間、及びさらには属間の不適合性バリアは、Brassica作物種とそれらの近縁種の間での交雑において、例えば、胚救出技術又はプロトプラスト融合により上手く克服され得る(例えば、Snowdon、上記を参照のこと)。
しかしながら、単離されたGTR及びgtr核酸配列(例えば、植物からクローニングにより単離されたか、又はDNA合成により合成的に作られた)、並びにその変異体及びこれらのいずれかのフラグメントも、本明細書において提供される。というのも、これらは、機能性及び突然変異アレルの所望の組み合わせを有する植物を作製するために、いずれの配列が植物又は植物部分において内因的に存在し、その配列が機能性若しくは非機能性タンパク質をコードするのか又はタンパク質をコードしないのか(例えば、下に記載するリコンビナントホスト細胞における発現による)を判断するために、及び、ある植物に由来する特定のアレルを選択して別の植物へ移すために使用され得るからである。
本発明の「GTR核酸配列」又は「GTR変異体核酸配列」は、配列番号2と少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は、配列番号1又と少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列である。これらの核酸配列は、また、配列表において提供されるGTR配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」とも称され得る。
配列表に図示されるGTR1〜6の核酸配列は、Arabidopsisから単離され、GTRx−Ayの核酸配列は、B. rapa、B. juncea及びB. napusから単離され、GTRx−Byの核酸配列は、B. junceaから単離され、GTRx−Cyの核酸配列は、B. oleracea及びB. napusから単離された。野生型GTRの配列は図示されるのに対して、これらの配列及びこれらに本質的に類似する配列の突然変異gtr配列は、野生型GTRの配列を参照して、本明細書において以下及び実施例に記載される。GTRタンパク質をコードするゲノムDNA及び対応するmRNA前駆体は、3個のイントロン(5’末端からイントロン1〜3と番号付けされる)によって分断される4個のエクソン(5’末端からエクソン1〜4と番号付けされる)を含む。配列表に図示されるように、cDNA及び対応するプロセシングされたmRNA(すなわち、スプライスされたRNA)において、イントロンは除去されており、エクソンは結合している。エクソン配列は、イントロン配列よりも進化的に保存されているため、あまり変化しない。
本発明の「GTR1、2、3、4、5又は6核酸配列」又は「GTR1、2、3、4、5又は6変異体核酸配列」は、それぞれ配列番号2、4、6、8、10若しくは12と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であるか、又は配列番号1、3、5、7、9若しくは11と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する核酸配列である。これらの核酸配列は、配列表において提供されるGTR配列と「本質的に類似」又は「本質的に同一」であるとも称され得る。
従って、本発明は、野生型の機能性GTR1、2、3、4、5又は6タンパク質(その変異体及びフラグメント(以下でさらに定義される)を含む)をコードする核酸配列、並びに、これらのいずれかの突然変異核酸配列であって、核酸配列における突然変異が、好ましくは、野生型GTRタンパク質と比較して、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換をもたらす、突然変異核酸配列の両方を提供する。好ましくは、核酸配列における突然変異は、1つ以上のアミノ酸変化(すなわち、野生型アミノ酸配列との関連で、1つ以上のアミノ酸が挿入、欠失、及び/又は置換される)をもたらし、それによりGTRタンパク質のGSL輸送活性が有意に減少するか、又は完全に消失する。GTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は完全な消失は、本明細書において、GSL含量が、突然変異GTRタンパク質を発現する植物の特定の部分において、対応する野生型GTRタンパク質を発現する植物と比較して改変されるような、GTRタンパク質のGSL輸送活性の減少又は消失を指す。
特異的GTR核酸又はタンパク質の機能性を決定するために、これらは、Nour-Eldin et al. (2006, Plant Methods 2: 17)及び以下の実施例に記載されるように、例えば、Xenopus卵母細胞において機能的にスクリーニングされ得る。
植物、特にBrassicaceae植物における特異的GTRアレル又はタンパク質の機能性を決定するために、GSL含量は、例えばHansen et al. (2007, Plant J. 50 (5): 902-910)によって記載されるように、又は、以下の実施例に記載されるように、例えばsephadex陰イオン交換カラムから脱硫酸化及び溶出されたメタノール抽出物のHPLC−UV分析を実施することによって、例えば、異なる型の特異的GTRアレル又はタンパク質(例えば、突然変異型及び野生型の特異的GTRアレル又はタンパク質)を含む植物の特異的部分の間で比較され得る。
内因性の核酸配列及び単離された核酸配列の両方が、本明細書において提供される。また、本発明の別の態様によれば、プライマー又はプローブとして及びキットの構成要素としての使用のための、上記に定義されるGTR配列及びGTR変異体核酸配列のフラグメントが提供される(以下をさらに参照のこと)。GTR核酸配列若しくはgtr核酸配列又はその変異体(定義される通り)の「フラグメント」は、様々な長さ、例えば、GTR配列又はgtr配列(又は変異体配列)の少なくとも10、12、15、18、20、50、100、200、500、600の連続ヌクレオチドであり得る。
機能性GTRタンパク質をコードする核酸配列
配列表に記載される核酸配列は、Arabidopsis、B. rapa、B. oleracea、B. juncea及びB. napusに由来する野生型の機能性GTRタンパク質をコードする。従って、これらの配列は、それらが単離された植物に対して内因性である。Brassica作物種、品種、育種系統、又は野生型アクセッションを含む他のBrassicaceae植物は、同じGTRタンパク質又はその変異体をコードする他のGTRアレルに関してスクリーニングされ得る。例えば、核酸ハイブリダイゼーション技術(例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用する、例えばサザンブロット解析)又はPCRベースの技術は、他のBrassicaceae植物、例えば様々なBrassica napus、oleracea及びrapaの品種、系統、又はアクセッションに対して内因性であるGTRアレルを同定するのに使用され得、しかしさらにはBrassica juncea(特に、Aゲノム上のGTRアレル)及びBrassica carinata(特に、Cゲノム上のGTRアレル)植物、器官及び組織が、他の野生型GTRアレルに関してスクリーニングされ得る。このような植物、植物器官又は組織をGTRアレルの存在に関してスクリーニングするために、配列表に提供されるGTR核酸配列、又はこれらのいずれかの変異体若しくはフラグメントが使用され得る。例えば、配列全体又はフラグメントが、プローブ又はプライマーとして使用され得る。例えば、特異的プライマー又は縮重プライマーは、植物、植物器官又は組織のゲノムDNAから、GTRタンパク質をコードする核酸配列を増幅するのに使用され得る。これらのGTR核酸配列は、単離され、標準的な分子生物学的技術を使用して配列決定され得る。次いで、バイオインフォマティクス解析は、アレルを特性決定するのに、例えば、いずれのGTRアレルに配列が対応するか、及び、いずれのGTRタンパク質又はタンパク質変異体が配列によりコードされるかを決定するために、使用され得る。
当技術分野において公知のリコンビナントDNA技術(例えば、Arabidopsis植物(これは、1つ以上の完全ノックアウトgtr突然変異アレルに関してホモ接合性である)又はBrassica植物(これは、1つ以上の完全ノックアウトgtr突然変異アレルに関してホモ接合性である)を使用する遺伝子相補試験)によって、又は、Nour-Eldin et al. (2006, Plant Methods 2, 17)によって記載されているように、Xenopus卵母細胞においてGTRタンパク質を機能的スクリーニングすることによって、核酸配列が機能性GTRタンパク質をコードするか否かが分析され得る。
加えて、GTR核酸配列及びその変異体(又はこれらのいずれかのフラグメント)は、本質的に類似の配列に関して核酸データベースをスクリーニングすることにより、in silicoで同定され得ると理解される。同様に、核酸配列は、化学的に合成され得る。以下にさらに記載される本発明の核酸分子のフラグメントも提供される。フラグメントは、後述される特定の保存された機能ドメインだけをコードする核酸配列を含む。
突然変異GTRタンパク質をコードする核酸配列
野生型核酸配列と比較して、1つ以上のヌクレオチドの欠失、挿入、又は置換を含む核酸配列は、本発明の別の実施態様であり、このような突然変異核酸分子のフラグメントも同様である。このような突然変異核酸配列(gtr配列と称される)は、以下でさらに記載される様々な公知の方法を使用して作製及び/又は同定され得る。この場合でも、このような核酸分子は、内因性形態及び単離された形態の両方で提供される。一実施態様では、突然変異は、コードされるGTRタンパク質のアミノ酸配列において1つ以上の変化(欠失、挿入、及び/又は置換)をもたらす(すなわち、それは「サイレント突然変異」ではない)。別の実施態様では、核酸配列における突然変異は、野生型タンパク質と比較して、コードされるGTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は完全な消失をもたらす。
従って、核酸分子は、例えば、1つ以上の以下の突然変異を含み得る:(a)「ミスセンス突然変異」又は「置換突然変異」(これは、アミノ酸の別のアミノ酸への置換をもたらす核酸配列の変化である);(b)「ナンセンス突然変異」又は「終止コドン突然変異」(これは、未成熟終止コドンの導入及びそれによる翻訳の終結をもたらす(トランケーションされたタンパク質をもたらす)核酸配列の変化である);植物遺伝子は、翻訳終止コドン「TGA」(RNA中のUGA)、「TAA」(RNA中のUAA)、及び「TAG」(RNA中のUAG)を含む;従って、(リーディングフレーム中の)翻訳される成熟mRNA中にあるはずのこれらのコドンの1つに起こる任意のヌクレオチドの置換、挿入、欠失は、翻訳を終結させる;(c)1つ以上のアミノ酸の「挿入突然変異」(これは、1つ以上のコドンが、核酸のコード配列において加えられたことが原因である);(d)1つ以上のアミノ酸の「欠失突然変異」(これは、1つ以上のコドンが、核酸のコード配列において欠失されたことが原因である);(e)「フレームシフト突然変異」(これは、突然変異の下流において異なるフレームで翻訳される核酸配列をもたらす)。フレームシフト突然変異は、様々な原因(これは、例えば、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、又は重複であるが、mRNA前駆体のスプライシングに影響を与えて(スプライス部位突然変異)、フレームシフトをもたらし得る突然変異でもある)を有し得る。(f)「スプライス部位突然変異」(mRNA前駆体配列の正しいスプライシングを変化させるか、又は無効にして、野生型と異なるアミノ酸配列のタンパク質をもたらす)。例えば、RNAスプライシング中に1つ以上のエクソンが省略されて、省略されたエクソンによってコードされるアミノ酸を欠くタンパク質が生じ得る。又は、リーディングフレームが誤ったスプライシングによって変更され得るか、又は1つ以上のイントロンが残り得るか、又は別のスプライスドナー若しくはアクセプターが生成され得るか、又はスプライシングが別の位置で(例えば、イントロン内で)開始され得るか、又は別のポリアデニル化シグナルが発生され得る。正しいmRNA前駆体スプライシングは、GTRをコードする遺伝子のヌクレオチド配列における様々な突然変異によって影響され得る複合プロセスである。植物などの高等真核生物では、主なスプライセオソームは、5’スプライス部位(ドナー部位)にGU及び3’スプライス部位(アクセプター部位)にAGを含むイントロンをスプライシングする。このGU−AGルール(又はGT−AGルール;Lewin, Genes VI, Oxford University Press 1998, pp885-920, ISBN 0198577788を参照のこと)は、真核性核遺伝子のスプライス部位の約99%に受け継がれているのに対して、5’及び3’スプライス部位に他のジヌクレオチド(例えば、GC−AG及びAU−AC)を含むイントロンはそれぞれ、わずか約1%及び0.1%を占めるにすぎない。5’スプライス部位(ドナー部位)にGU及び3’スプライス部位(アクセプター部位)にAGを含むイントロンの例は、配列表に示される。
既に述べたように、核酸配列における突然変異は、好ましくは、in vivoで有意に減少したGSL輸送活性を含むか、若しくはGSL輸送活性を含まない突然変異タンパク質をもたらすか、又はタンパク質の無産生をもたらすことが望ましい。野生型タンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換を含むタンパク質をもたらす任意の突然変異は、GSL輸送活性の有意な減少又は消失を引き起こし得る。しかしながら、タンパク質の特定の部分における突然変異は、突然変異GTRタンパク質の機能の減少をもたらす可能性がより高い(例えば、トランケーションされたタンパク質をもたらす突然変異により、保存されたドメイン又は機能ドメインの重要な部分が欠如している)と理解される。
Arabidopsis GTR1、2、3、4、5及び6タンパク質の保存された機能ドメインは、AtGTR1(配列番号2)がAt3g47960であり、AtGTR2(配列番号4)がAt5g62680であり、AtGTR3(配列番号6)がAt1g18880であり、AtGTR4(配列番号8)がAt1g69860であり、AtGTR5(配列番号10)がAt1g69870であり、AtGTR6(配列番号12)がAt1g27080であるArabidopsis Information Resource(TAIR)データベース(http://www.arabidopsis.org/)で発見され得るか、並びに/又は、Arabidopsis GTR1、2、3、4、5及び6タンパク質配列を最適にアライメントして、アミノ酸配列F/VALTKPTLGM/LAPRKGE/AISS(配列番号2の448〜466位のアミノ酸又は配列番号142のアミノ酸位置478〜496)及びそれと本質的に類似する配列(例えば、配列番号4の462〜480位のアミノ酸及び配列番号6の436〜454位のアミノ酸);アミノ酸配列L/INxxxLDxY/FY/FxxxxxxxxxNxxY/F(配列番号2の545〜567位のアミノ酸又は配列番号142の575〜597位)及びそれと本質的に類似する配列などの保存されたドメイン(図1を参照のこと)を決定することによって発見され得る。
Brassica GTRタンパク質の対応する保存された機能ドメインは、Brassica及びArabidopsis GTRタンパク質を最適にアライメントして、TAIRデータベースのアノテーション情報に基づいて、決定され得る。
Arabidopsis GTR1、2及びGTR3は上記配列F/VALTKPTLGM/LAPRKGE/AISSを含むのに対して、Arabidopsis GTR4、5及びGTR6はその配列を含まないことが見出された(図7のアライメントを参照のこと)。以下の実施例に詳述されるように、GTR1、GTR2及びGTR3は、Xenopus卵母細胞試験において、グルコシノレートの最大取り込み活性を示した。予測したように、GTR2タンパク質のタンパク質構造は、12個の膜貫通ドメインを含む(図8)。図8の破線矢印によって示されるように、この保存された配列は、タンパク質のカルボキシ末端付近でGTR1/2/3特異的ループを形成する。
BnGTR1−A1(配列番号14アミノ酸位置456〜474);BnGTR1−A2(配列番号16アミノ酸位置459〜477);BnGTR1−A3(配列番号18アミノ酸位置457〜475);BnGTR1−C1(配列番号20アミノ酸位置456〜474);BnGTR1−C2(配列番号22アミノ酸位置459〜477);BnGTR1−C3(配列番号24アミノ酸位置457〜475);BnGTR2−A1(配列番号26アミノ酸位置458〜476);BnGTR2−A2(配列番号28アミノ酸位置458〜476);BnGTR2−A3(配列番号30アミノ酸位置458〜476);BnGTR2−C1(配列番号32アミノ酸位置458〜476);BnGTR2−C2(配列番号34アミノ酸位置401〜419);BnGTR2−C3(配列番号36アミノ酸位置457〜475);BrGTR1−A1(配列番号38アミノ酸位置456〜474);BrGTR1−A2(配列番号40アミノ酸位置459〜477);BrGTR1−A3(配列番号42アミノ酸位置457〜475);BrGTR2−A1(配列番号44アミノ酸位置458〜476);BrGTR2−A2(配列番号46アミノ酸位置458〜476);BrGTR2−A3(配列番号48アミノ酸位置458〜476);BoGTR1−C1(配列番号50アミノ酸位置456〜474);BoGTR1−C2(配列番号52アミノ酸位置459〜477);BoGTR1−C3(配列番号54アミノ酸位置457〜475);BoGTR2−C1(配列番号56アミノ酸位置458〜476);BoGTR2−C2(配列番号58アミノ酸位置458〜476);BoGTR2−C3(配列番号60アミノ酸位置458〜476);BjGTR2−A1(配列番号120アミノ酸位置458〜476);BjGTR2−A2(配列番号122アミノ酸位置458〜476);BjGTR2−A3(配列番号124アミノ酸位置458〜476);BjGTR2−B1(配列番号126アミノ酸位置405〜423);BjGTR2−B2(配列番号128アミノ酸位置458〜476)及びBjGTR2−B3(配列番号130アミノ酸位置452〜470)を含む類似ドメインが、Brassica種のGTR1及びGTR2タンパク質において見られ得る。
最近、Arabidopsis thalianaのGTR1タンパク質は、配列番号2に表されるGTR1タンパク質と比較した場合に、30アミノ酸の長さを有するアミノ末端延長ペプチドを含み得ることも見出され、プロテオミクスデータによって裏付けられた。N末端延長を有する変異体は、配列番号142において提供され、このようなタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号141において提供される。類似のN末端延長ペプチドは、B. rapa GTR1_A1、GTR1_A2、GTR1_A3、B. napus GTR1_A1、GTR1_A2、GTR1_A3、B. oleracea GTR_C1、GT1_C2、GTR1_C3及びB. napus GTR_C1、GT1_C2、GTR1_C3(配列番号143〜150)において見られ得る。類似の延長は、例えば、B. junceaに存在するGTR1_B1、GTR1_B2及びGTR1_B3において見られ得ることが予測され得る。この30/23アミノ酸配列を変化させる突然変異は、突然変異GTR1タンパク質をもたらし得、これは、植物細胞中の異なる細胞内部位に局在するため、機能が減少したか、又は活性ではないGTR1タンパク質である。また、アミノ末端ペプチドは、タンパク質と相互作用して、一定の条件下(例えば、異なる種類のストレス)で、GTR1活性に影響を与える調節機構を提供し得、この領域における突然変異は、この方法で機能性にも影響を与え得る。
従って、一実施態様では、上記突然変異の種類のいずれかの1つ以上を含む核酸配列が提供される。別の実施態様では、1つ以上の終止コドン(ナンセンス)突然変異、1つ以上の置換(ミスセンス)突然変異、及び/又は1つ以上のスプライス部位(フレームシフト)突然変異を含むgtr配列が提供される。上記突然変異核酸配列のいずれかは、それ自体で(単離形態で)提供され、このような配列を内因的に含む植物及び植物部分も同様である。本明細書における以下の表において、最も好ましいgtrアレルが記載される。
本明細書において使用されるGTRアレルにおけるナンセンス突然変異は、GTRアレルにおける突然変異であり、それにより1つ以上の翻訳終止コドンが、対応する野生型GTRアレルのコードDNA及び対応するmRNA配列に導入される。翻訳終止コドンは、TGA(mRNA中のUGA)、TAA(UAA)、及びTAG(UAG)である。従って、コード配列においてインフレーム終止コドンの生成を引き起こす任意の突然変異(欠失、挿入、又は置換)は、翻訳の終結及びアミノ酸鎖のトランケーションをもたらす。一実施態様では、ナンセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、単一ヌクレオチド置換(例えば、CAGからTAG、TGGからTAG又はTGA、CGAからTGA、CAAからTAAなどの突然変異)により、インフレーム終止コドンがGTRコドン配列中に導入されているGTRアレルである(以下の表を参照のこと)。一態様では、ナンセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、配列番号66における229位のアミノ酸のコドンに対応する位置に、終止コドンを含むGTRアレル(例えば、以下の実施例3の表7に示されるGTRアレル)である。別の実施態様では、ナンセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、二重ヌクレオチド置換(例えば、CAGからTAA、TGGからTAA、CGAからTAAなどの突然変異)により、インフレーム終止コドンがGTRコドン配列中に導入されているGTRアレルである(以下の表を参照のこと)。さらに別の実施態様では、ナンセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、三重ヌクレオチド置換(例えば、CGGからTAAなどの突然変異)により、インフレーム終止コドンがGTRコドン配列中に導入されているGTRアレルである(以下の表を参照のこと)。トランケーションされたタンパク質は、突然変異の下流のコードDNAによりコードされるアミノ酸(すなわち、GTRタンパク質のC末端部分)を欠き、突然変異の上流のコードDNAによりコードされるアミノ酸(すなわち、GTRタンパク質のN末端部分)を保持する。突然変異GTRタンパク質が、野生型GTRタンパク質と比較してよりトランケーションされるほど、トランケーションは、GTRタンパク質の活性の有意な減少又は消失をよりもたらし得る。
本明細書における以下の表は、本明細書において提供されるArabidopsis及びBrassica GTR配列における可能なナンセンス突然変異の範囲を記載する:
AtGTR1に関して、この数は、30AAのN末端延長を考慮した位置に関して言及するために、90nt又は30AAにより増加され得る。
配列番号137のBnGTR1−C2に関して、終止コドンは、EMS変異誘発によって、以下の各位置で誘発され得る:103〜105、127〜129、1227〜1229、1239〜1241、1257〜1259、1344〜1346、1398〜1400、1425〜1427、1458〜1460、1473〜1475、1641〜1643、1647〜1649、1710〜1712、1868〜1870、1886〜1888、1931〜1933、1970〜1972、1991〜1993、2000〜2002、2162〜2164、2252〜2254、2276〜2278、2309〜2311、2321〜2323、2366〜2368、2387〜2389、2516〜2518、2618〜2620、2687〜2689、2690〜2692。
当然ながら、突然変異は、上記表において示されるものに限定されず、配列表に図示され、上記表において言及されるもの以外にも、類似の終止コドン突然変異がgtrアレルにおいて存在し得ると理解される。
本明細書において使用されるGTRアレルにおけるミスセンス突然変異は、GTRアレルにおける任意の突然変異(欠失、挿入、又は置換)であり、それにより1つ以上のコドンが、対応する野生型GTRアレルのコードDNA及び対応するmRNA配列に変化して、野生型GTRタンパク質中の1つ以上のアミノ酸の、突然変異GTRタンパク質中の1つ以上のアミノ酸への置換が起こる。一実施態様では、ミスセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、1つ以上の上記保存されたアミノ酸が置換されているGTRアレルである。一態様では、ミスセンス突然変異を含む突然変異GTRアレルは、配列番号66の126、145、192又は359位に対応する位置のアミノ酸が置換されているGTRタンパク質をコードするGTRアレル(例えば、以下の実施例3の表7に示されるもの)である。
本明細書において使用されるGTRアレルにおけるフレームシフト突然変異は、突然変異の下流において異なるフレームで翻訳される核酸配列をもたらすGTRアレルにおける突然変異(欠失、挿入、重複など)である。上記のように、スプライス部位突然変異は、フレームシフトをもたらし得る。本明細書において提供されるArabidopsis及びBrassica GTR配列における可能なEMS誘発性スプライス部位突然変異は、配列表に示される5’スプライス部位のGUドナー部位又は3’スプライス部位のAGアクセプター部位で突然変異をもたらす(例えば、これらの部位でG/CからA/Tの変化をもたらす)ものである。
本発明のアミノ酸配列
Brassicaceae、特にBrassica種、特にBrassica napus、しかしさらには他のBrassica作物種に由来する野生型(機能性)GTRアミノ酸配列及び突然変異GTRアミノ酸配列(1つ以上の突然変異、好ましくはGTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は消失をもたらす突然変異を含む)の両方が提供される。例えば、A及び/又はC若しくはBゲノムを含むBrassica種は、異なるGTR−A、GTR−B又はGTR−Cアミノ酸をコードし得る。加えて、突然変異誘発方法は、野生型GTRアレルにおいて突然変異を生成し、それによりさらなる突然変異GTRタンパク質をコードし得る突然変異アレルを作製するのに使用され得る。一実施態様では、Brassica植物内の(すなわち、内因性の)野生型及び/又は突然変異GTRアミノ酸配列が提供される。しかしながら、単離されたGTRアミノ酸配列(例えば、植物から単離されたか、又は合成的に作られた)、並びにその変異体及びこれらのいずれかのフラグメントも、本明細書において提供される。
本発明の「GTRアミノ酸配列」又は「GTR変異体アミノ酸配列」は、配列番号2と少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。これらのアミノ酸配列は、配列表において提供されるGTR配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」とも称され得る。
配列表に図示されるGTR1〜6タンパク質のアミノ酸配列は、Arabidopsisから単離され、GTRx−Ayタンパク質のアミノ酸配列は、B. rapa、B. juncea及びB. napusから単離され、GTRx−Cyタンパク質のアミノ酸配列は、B. oleracea及びB. napusから単離され、GTRx−Byタンパク質のアミノ酸配列は、B. junceaから単離された。野生型GTRのアミノ酸配列は図示されるのに対して、これらの配列及びこれらに本質的に類似する配列の突然変異配列は、野生型GTRのアミノ酸配列を参照して、本明細書において以下及び実施例に記載される。
本発明の「GTR1、2、3、4、5又は6アミノ酸配列」又は「GTR1、2、3、4、5又は6変異体アミノ酸配列」は、それぞれ配列番号2、4、6、8、10若しくは12と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。これらのアミノ酸配列は、配列表において提供されるGTR配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」とも称され得る。
従って、本発明は、野生型の機能性GTR1、2、3、4、5又は6タンパク質(その変異体及びフラグメント(以下でさらに定義される)を含む)のアミノ酸配列、並びに、これらのいずれかの突然変異アミノ酸配列であって、アミノ酸配列における突然変異が、好ましくは、対応する野生型GTRタンパク質のGSL輸送活性と比較して、GTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は完全な消失をもたらす、突然変異アミノ酸配列の両方を提供する。GTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は完全な消失は、本明細書において、GSL含量が、突然変異GTRタンパク質を発現する植物の特定の部分において、対応する野生型GTRタンパク質を発現する植物と比較して改変されるような、GTRタンパク質のGSL輸送活性の減少又は消失を指す。
内因性のアミノ酸配列及び単離されたアミノ酸配列の両方が、本明細書において提供される。また、上記に定義されるGTRアミノ酸配列及びGTR変異体アミノ酸配列のフラグメントが提供される。GTRアミノ酸配列又はその変異体(定義される通り)の「フラグメント」は、様々な長さ、例えば、GTR配列(又は変異体配列)の少なくとも10、12、15、18、20、50、100、150、175、180の連続アミノ酸であり得る。
機能性GTRタンパク質のアミノ酸配列
配列表に図示されるアミノ酸配列は、Arabidopsis、B. rapa、B. oleracea、B. juncea及びB. napusに由来する野生型の機能性GTRタンパク質をコードする。従って、これらの配列は、それらが単離された植物に対して内因性である。上記のように、Brassica作物種、品種、育種系統、又は野生型アクセッションを含む他のBrassicaceae植物は、同じアミノ酸配列又はその変異体を有する他の機能性GTRタンパク質に関してスクリーニングされ得る。
加えて、GTRアミノ酸配列及びその変異体(又はこれらのいずれかのフラグメント)は、本質的に類似の配列に関してアミノ酸データベースをスクリーニングすることにより、in silicoで同定され得ると理解される。本発明のアミノ酸分子のフラグメントも提供される。フラグメントは、上記の保存された機能ドメインのアミノ酸配列を含む。
突然変異GTRタンパク質のアミノ酸配列
野生型アミノ酸配列と比較して、1つ以上のアミノ酸の欠失、挿入、又は置換を含むアミノ酸配列は、本発明の別の実施態様であり、このような突然変異アミノ酸分子のフラグメントも同様である。このような突然変異アミノ酸配列は、上記の様々な公知の方法を使用して作製及び/又は同定され得る。この場合でも、このようなアミノ酸分子は、内因性形態及び単離形態の両方で提供される。
一実施態様では、アミノ酸配列における突然変異は、野生型タンパク質と比較して、GTRタンパク質のGSL輸送活性の有意な減少又は完全な消失をもたらす。上記のように、基本的には、野生型タンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換を含むタンパク質をもたらす任意の突然変異は、GSL輸送活性の有意な減少又は消失を引き起こし得る。しかしながら、タンパク質の特定の部分における突然変異は、突然変異GTRタンパク質の機能の減少をもたらす可能性がより高い(例えば、トランケーションされたタンパク質をもたらす突然変異により、機能ドメインの有意な部分、例えば膜貫通ドメイン若しくは基質結合ドメインが欠如しているか、又は置換されている)と理解される。一態様では、膜貫通ドメインにおいてミスセンス突然変異を含む突然変異GTRタンパク質は、配列番号66の126位又は359位に対応する位置のアミノ酸が置換されているGTRタンパク質(例えば、以下の実施例3の表7に示される突然変異GTRタンパク質)である。
従って、一実施態様では、1つ以上の欠失又は挿入突然変異を含む突然変異GTRタンパク質であって、欠失又は挿入が、in vivoで有意に減少した活性を有するか、又は活性を有しない突然変異タンパク質をもたらす、突然変異GTRタンパク質が提供される。このような突然変異GTRタンパク質は、少なくとも1、少なくとも2、3、4、5、10、20、30、50、100、100、150、175、180又はそれ以上のアミノ酸が、野生型GTRタンパク質と比較して欠失又は挿入されているGTRタンパク質であって、欠失又は挿入が、in vivoで有意に減少した活性を有するか、又は活性を有しない突然変異タンパク質をもたらす、GTRタンパク質である。
別の実施態様では、トランケーションされた突然変異GTRタンパク質であって、トランケーションが、in vivoで有意に減少した活性を有するか、又は活性を有しない突然変異タンパク質をもたらす、突然変異GTRタンパク質が提供される。このようなトランケーションされたGTRタンパク質は、対応する野生型GTRタンパク質のC末端部分において機能ドメインを欠き、対応する野生型GTRタンパク質のN末端部分を保持するGTRタンパク質である。突然変異GTRタンパク質が、野生型GTRタンパク質と比較してよりトランケーションされるほど、トランケーションは、GTRタンパク質の活性の有意な減少又は消失をよりもたらし得る。
さらに別の実施態様では、1つ以上の置換突然変異を含む突然変異GTRタンパク質であって、置換が、in vivoで有意に減少した活性を有するか、又は活性を有しない突然変異タンパク質をもたらす、突然変異GTRタンパク質が提供される。このような突然変異GTRタンパク質は、特定の機能(例えば、基質又はプロトン結合における機能)を有する保存されたアミノ酸残基が置換されているGTRタンパク質である。
リン酸化/脱リン酸化状態が変化されている変異体GTRタンパク質も提供される。このようなタンパク質の例は、リン酸化部位のセリン又はスレオニン残基がアスパラギン酸(その部位で構成的リン酸化を模倣する)又はアラニン(その部位で構成的脱リン酸化を模倣する)に置換されている、本明細書において記載されるGTR1又はGTR2タンパク質であり、例えば、以下:
a.22位のSのAへの置換
b.22位のSのDへの置換
c.105位のTのAへの置換
d.105位のTのDへの置換
e.605位のSのAへの置換
f.605位のSのDへの置換
を有する配列番号2のアミノ酸配列を含むGTR1タンパク質、
又は、以下:
g.52位のSのAへの置換
h.52位のSのDへの置換
i.135位のTのAへの置換
j.135位のTのDへの置換
k.635位のSのAへの置換
l.635位のSのDへの置換
を有する配列番号142のアミノ酸配列を含むGTR1タンパク質、
又は、以下:
m.58位のTのAへの置換
n.58位のTのDへの置換
o.117位のTのAへの置換
p.117位のTのDへの置換
q.323位のTのAへの置換
r.323位のTのDへの置換
を有する配列番号4のアミノ酸配列を含むGTR2タンパク質である。
本明細書において記載されるものなどのBrassica種に由来するGTR1及びGTR2タンパク質において、対応する置換が行われ得る。
本発明の方法
突然変異gtrアレルは、当技術分野における様々な従来の方法を使用して(例えば、gtrゲノム又はcDNAの一部又は全部を増幅するためのPCRベースの方法を使用して)、作製(例えば、突然変異誘発により誘発)及び/又は同定され得る。
突然変異誘発に続き、植物は、処理された種子から生育されるか、又は、公知の技術を使用して処理された細胞から再生される。例えば、突然変異誘発された種子は、従来の生育手順に従って植えられ得、そして、自家受粉種子が植物に形成される。あるいは、例えばCoventry et al.(1988, Manual for Microspore Culture Technique for Brassica napus. Dep. Crop Sci. Techn. Bull. OAC Publication 0489. Univ. of Guelph, Guelph, Ontario, Canada)により記載されるように、倍加半数体小植物は、処理された小胞子又は花粉細胞から抽出されて、直ぐにホモ接合性植物を形成し得る。この世代又はその後の世代におけるこのような自家受粉の結果として形成されるさらなる種子は、収穫され、当技術分野における従来の技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの技術(gtrアレルの増幅)又はハイブリダイゼーションベースの技術(例えば、サザンブロット解析、BACライブラリースクリーニングなど)及び/又はgtrアレルの直接配列決定)を使用して、突然変異GTRアレルの存在に関してスクリーニングされ得る。特定の突然変異アレルをスクリーニングするためのいくつかの技術が公知であり、例えば、Deleteagene(商標)(Delete-a-gene; Li et al., 2001, Plant J 27: 235-242)は、高速中性子突然変異誘発によって作製された欠失突然変異をスクリーニングするために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを使用し、TILLING(ゲノム内ターゲット誘発性局所損傷(targeted induced local lesions in genomes);McCallum et al., 2000, Nat Biotechnol 18:455-457)は、EMS誘発性点突然変異を同定する、等。突然変異GTRアレルにおける点突然変異(いわゆる一塩基多型又はSNP)の存在に関してスクリーニングするために、当技術分野において従来法であるSNP検出方法を使用することができる(例えば、オリゴライゲーション(oligoligation)ベースの技術、単一塩基伸長ベースの技術、又は制限酵素部位における差異に基づく技術(例えばTILLINGなど))。
上記のように、特定の野生型GTRアレルの突然変異誘発(自発的並びに誘発的)は、その結果として得られる突然変異GTRアレルにおいて1つ以上の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチド(以下、「突然変異領域」と称される)の存在をもたらす。従って、突然変異GTRアレルは、野生型GTRアレルにおける1つ以上の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチドの位置及び配置により特徴付けられ得る。1つ以上のヌクレオチドがそれぞれ挿入、欠失、又は置換された野生型GTRアレルにおける部位は、本明細書において、「突然変異領域又は配列」とも称される。本明細書において使用される「5’又は3’隣接領域又は配列」は、突然変異(又は対応する野生型)GTRアレルにおけるDNA領域又は配列であって、1つ以上の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチドを含むDNA、好ましくは、突然変異GTRアレル(又は対応する野生型GTRアレル)における突然変異領域の直ぐ上流及び近接して(5’隣接領域又は配列)又は直ぐ下流及び近接して(3’隣接領域又は配列)位置する突然変異(又は対応する野生型)GTRアレルに由来するDNAとは異なるDNAの少なくとも20bp、好ましくは少なくとも50bp、少なくとも750bp、少なくとも1500bp、及び最大5000bpの、突然変異(又は対応する野生型)GTRアレルにおけるDNA領域又は配列を指す。本明細書において使用される「連結領域」は、突然変異領域及び5’又は3’隣接領域が互いに連結されている、突然変異(又は対応する野生型)GTRアレルにおけるDNA領域を指す。従って、「突然変異領域と5’又は3’隣接領域の間の連結領域に及ぶ配列」は、突然変異配列並びにそれと近接する隣接配列を含む。
特定の突然変異GTRアレル又は特定の突然変異GTRアレルを含む植物若しくは植物材料、又は特定の突然変異GTRアレルを含む植物材料を含む産物を同定するために開発されたツールは、対応する野生型GTRアレルのゲノム特徴と比較した、特定の突然変異GTRアレルの特定のゲノム特徴(例えば、突然変異領域を含むゲノム領域の特定の制限地図、分子マーカー、又は隣接領域及び/又は突然変異領域の配列)に基づく。
ひとたび特定の突然変異GTRアレルが配列決定されれば、分子生物学的技術により、サンプルの核酸(DNA又はRNA)における突然変異GTRアレルの5’隣接、3’隣接、及び/又は突然変異領域内の配列を特異的に認識するプライマー及びプローブが開発され得る。例えば、PCR法は、生物学的サンプル(例えば、植物、植物材料、又は植物材料を含む産物)において突然変異GTRアレルを同定するために開発され得る。このようなPCRは、少なくとも2つの特異的「プライマー」に基づく:一方は、突然変異GTRアレルの5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他方は、突然変異GTRアレルの3’又は5’隣接領域内の配列をそれぞれ認識する;あるいは、一方は、突然変異GTRアレルの5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他方は、突然変異GTRアレルの突然変異領域内の配列を認識する;あるいは、一方は、突然変異GTRアレルの5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他方は、特定の突然変異GTRアレルの3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列(以下でさらに記載される)をそれぞれ認識する。
特定のフラグメント(「突然変異GTR特異的フラグメント」又は識別アンプリコン)が特定の突然変異GTRアレルを含む核酸サンプルから増幅されるように、プライマーは、好ましくは、最適化されたPCR条件下で、5’又は3’隣接領域内の配列、突然変異領域内の配列、又は特定の突然変異GTRアレルの3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列を「特異的に認識する」15〜35の間のヌクレオチドの配列を有する。これは、最適化されたPCR条件下で、ターゲット突然変異GTRアレルだけが増幅され、植物ゲノム中の他の配列は増幅されないことを意味する。
本発明に好適なPCRプライマーは、以下のものであり得る:
−特定の突然変異GTRアレル又はその相補体の5’又は3’隣接配列から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチド、好ましくは20の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、長さ17nt〜約200ntに及ぶオリゴヌクレオチド(すなわち、例えば、本発明の突然変異GTRアレルにおいて欠失、挿入、又は置換された1つ以上のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列、例えば上記ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいは上記表において示される終止コドン突然変異又は上記置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいはその相補体)(5’隣接配列を認識するプライマー);又は
−特定の突然変異GTRアレル又はその相補体の突然変異領域の配列から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチド、好ましくは20のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、長さ17nt〜約200ntに及ぶオリゴヌクレオチド(すなわち、例えば、本発明のGTR遺伝子において挿入又は置換されたヌクレオチドの配列あるいはその相補体)(突然変異配列を認識するプライマー)。
当然ながら、プライマーは、言及した17の連続ヌクレオチドより長くなり得る(例えば、18、19、20、21、30、35、50、75、100、150、200nt又はさらに長くなり得る)。プライマーは、全体的に、隣接配列及び突然変異配列の言及したヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列からなり得る。しかしながら、プライマーのそれらの5’末端の(すなわち、3’に位置する17の連続ヌクレオチドの外側の)ヌクレオチド配列は、それほど重要ではない。従って、プライマーの5’配列は、適宜、隣接配列又は突然変異配列から選択されるヌクレオチド配列からなり得るが、いくつかの(例えば、1、2、5、10)ミスマッチを含み得る。プライマーの5’配列は、さらに全体的に、隣接配列又は突然変異配列と無関係のヌクレオチド配列(例えば、制限酵素認識部位を表わすヌクレオチド配列など)からなり得る。ミスマッチを有するこのような無関係の配列又は隣接DNA配列は、好ましくは、100より長くならず、より好ましくは50又はさらに25ヌクレオチドより長くならない。
さらに、適切なプライマーは、隣接配列と突然変異配列の間の連結領域(すなわち、例えば、本発明の突然変異GTRアレルにおいて欠失、挿入、又は置換された1つ以上のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列と挿入又は置換された1つ以上のヌクレオチドの配列あるいは欠失された1つ以上のヌクレオチドの3’又は5’にそれぞれ隣接する配列の連結領域、例えば上記本発明のGTR遺伝子におけるナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の間の連結領域、あるいは上記表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上記置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、潜在的な終止コドン突然変異又は置換突然変異の配列の間のそれぞれ連結領域)に及ぶヌクレオチド配列を含み得るか、又は、それからなり得る(ただし、ヌクレオチド配列が突然変異領域又は隣接領域のいずれかにもっぱら由来しないことを条件とする)。
適切に選択されたPCRプライマー対が、また、互いに相補的な配列を含んではならないことも当業者に直ちに明らかである。
本発明の目的のために、「配列番号Xにおいて表わされるヌクレオチド配列の相補体」は、それらの相補ヌクレオチドを通じてChargaff則(A←→T;G←→C)に従ってヌクレオチドを交換し、5’から3’の方向において(すなわち、表わしたヌクレオチド配列の逆方向において)配列を読むことにより表わしたヌクレオチド配列に由来するヌクレオチド配列である。
特定の突然変異GTRアレルを同定するのに好適なプライマーの例は、実施例において記載される。
本明細書において使用される「配列番号Zの位置Xから位置Yまでのヌクレオチド配列」は、両方のヌクレオチドのエンドポイントを含むヌクレオチド配列を示す。
好ましくは、増幅されたフラグメントは、50〜1000の間のヌクレオチドの長さ、例えば50〜500の間のヌクレオチドの長さ、又は100〜350の間のヌクレオチドの長さを有する。特異的プライマーは、5’又は3’隣接領域内の配列、突然変異領域内の配列、又は特定の突然変異GTRアレルの3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列と80〜100%の間で同一である配列を有し得る(ただし、ミスマッチによって、依然として、これらのプライマーを用いた特異的突然変異GTRアレルの特異的な同定が最適化されたPCR条件下で可能になることを条件とする)。しかしながら、許容可能なミスマッチの範囲は、実験的に容易に決定され得、当業者に公知である。
「突然変異GTR特異的フラグメント」の検出及び/又は同定は、様々な方法で(例えば、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定を通じて又は蛍光ベースの検出方法を通じて)起こり得る。突然変異GTR特異的フラグメントは、また、直接配列決定され得る。増幅されたDNAフラグメントの検出のための他の配列特異的方法も、当技術分野において公知である。
標準的なPCRプロトコールは、当技術分野において記載されている(例えば、'PCR Applications Manual" (Roche Molecular Biochemicals, 2nd Edition, 1999)及び他の参考文献)。PCRのための最適な条件(特異的プライマーの配列を含む)が、各特異的な突然変異GTRアレルに関しての「PCR identification protocol」において特定される。しかしながら、PCR同定プロトコールにおける多くのパラメーターは、実験室条件を特定するために調整される必要があり得、わずかに改変されて、類似の結果が得られ得ると理解される。例えば、DNAの調製のための異なる方法の使用は、例えば、プライマーの量、ポリメラーゼ、MgCl2濃度、又は使用するアニーリング条件の調整を必要とし得る。同様に、他のプライマーの選択は、PCR同定プロトコールのための他の最適条件を指示し得る。しかしながら、これらの調整は、当業者に明らかであり、現行のPCR適用マニュアル(例えば、上記に引用するもの)においてさらに詳述される。
特定の突然変異GTRアレルを同定するためのPCR同定プロトコールの例は、実施例において記載される。
あるいは、特異的プライマーは、生物学的サンプル中の特定の突然変異GTRアレルを同定するための「特異的プローブ」として使用され得る突然変異GTR特異的フラグメントを増幅するのに使用され得る。生物学的サンプルの核酸を、プローブと、プローブとその対応する核酸中のフラグメントとのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させることによって、核酸/プローブハイブリッドの形成が起こる。このハイブリッドの形成は、検出され得(例えば、核酸又はプローブのラベル化)、それによりこのハイブリッドの形成は、特定の突然変異GTRアレルの存在を示す。特異的プローブとのハイブリダイゼーションに基づく(固相担体上又は溶液中のいずれかでの)このような同定方法は、当技術分野において記載されている。特異的プローブは、好ましくは、最適化された条件下で、特定の突然変異GTRアレルの5’又は3’隣接領域内及び/又は突然変異領域内の領域(以下、「突然変異GTR特異的領域」と称される)に特異的にハイブリダイズする配列である。好ましくは、特異的プローブは、10〜1000bp、50〜600bpの間、100〜500bpの間、150〜350bpの間、少なくとも80%、好ましくは80〜85%の間、より好ましくは85〜90%の間、特に好ましくは90〜95%の間、最も好ましくは95%〜100%の間で特定の領域のヌクレオチド配列と同一である(又は相補的である)配列を含む。好ましくは、特異的プローブは、特定の突然変異GTRアレルの特定の領域と同一である(又は相補的である)約13〜約100の連続ヌクレオチドの配列を含む。
本発明に好適な特異的プローブは、以下のものであり得る:
−特定の突然変異GTRアレル又はその相補体の5’又は3’隣接配列から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、長さ13nt〜約1000ntに及ぶオリゴヌクレオチド(すなわち、例えば、本発明の突然変異GTRアレルにおいて欠失、挿入、又は置換された1つ以上のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列、例えば上記ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいは上記表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上記置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列)、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列(5’隣接配列を認識するプローブ);又は
−特定の突然変異GTRアレル又はその相補体の突然変異配列から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、長さ13nt〜約1000ntに及ぶオリゴヌクレオチド(すなわち、例えば、本発明のGTR遺伝子において挿入又は置換されたヌクレオチドの配列あるいはその相補体)、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列(突然変異配列を認識するプローブ)。
プローブは、全体的に、隣接配列及び突然変異配列の言及したヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列からなり得る。しかしながら、プローブのそれらの5’又は3’末端のヌクレオチド配列は、それほど重要ではない。従って、プローブの5’又は3’配列は、適宜、隣接配列又は突然変異配列から選択されるヌクレオチド配列からなり得るが、隣接配列又は突然変異配列とは無関係のヌクレオチド配列からなり得る。このような無関係の配列は、好ましくは、50より長くならず、より好ましくは25又はさらに20又は15ヌクレオチドより長くならない。
さらに、適切なプローブは、隣接配列と突然変異配列の間の連結領域(すなわち、例えば、本発明の突然変異GTRアレルにおいて欠失、挿入、又は置換された1つ以上のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列と挿入又は置換された1つ以上のヌクレオチドの配列あるいは欠失された1つ以上のヌクレオチドの3’又は5’にそれぞれ隣接する配列の連結領域、例えば上記本発明のGTR遺伝子におけるナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の間の連結領域、あるいは上記表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上記置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、潜在的な終止コドン又は置換突然変異の配列の間のそれぞれ連結領域)に及ぶヌクレオチド配列を含み得るか、又は、それからなり得る(ただし、言及したヌクレオチド配列が突然変異領域又は隣接領域のいずれかにもっぱら由来しないことを条件とする)。
特定の突然変異GTRアレルを同定するのに好適なプローブの例は、実施例において記載される。
特異的プローブにハイブリダイズする「突然変異GTR特異的領域」の検出及び/又は同定は、様々な方法で(例えば、ゲル電気泳動後のサイズ推定を通じて又は蛍光ベースの検出方法を通じて)起こり得る。特異的プローブにハイブリダイズする「突然変異GTR特異的領域」の検出のための他の配列特異的方法も、当技術分野において公知である。
あるいは、1つ以上の突然変異gtrアレルを含む植物又は植物部分は、他の方法(例えば、「Delete-a-gene(商標)」(PCRを使用して、高速中性子突然変異誘発により生成される欠失突然変異体に関してスクリーニングする(Li and Zhang, 2002, Funct Integr Genomics 2:254-258により概説))、TILLING(ゲノム内ターゲット誘発性局所損傷(Targeting Induced Local Lesions IN Genomes))(変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)を使用してヘテロ二本鎖解析による塩基対変化を検出することでEMS誘発性点突然変異を同定する)(McCallum et al., 2000, Nat Biotech 18: 455、及びMcCallum et al. 2000, Plant Physiol. 123, 439-442))等を使用して作製及び同定され得る。述べたように、TILLINGは、突然変異に関してのハイスループットスクリーニングを使用する(例えば、突然変異野生型DNAヘテロ二本鎖のCel1切断、及び、配列決定ゲルシステムを使用した検出を使用する)。従って、1つ以上の突然変異gtrアレルを含む植物又は植物部分を同定するためのTILLING並びにこのような植物、植物器官、組織、及び種子を生成及び同定するための方法の使用は、本明細書において包含される。従って、一実施態様では、本発明の方法は、植物種子の突然変異誘発(例えば、EMS突然変異誘発)、植物個体又はDNAのプール、関心対象の領域のPCR増幅、ヘテロ二本鎖形成及びハイスループット検出、突然変異植物の同定、突然変異PCR産物の配列決定の工程を含む。他の突然変異誘発及び選択の方法は、このような突然変異植物を作製するのに等しく使用され得ると理解される。
GTRアレルにおいて突然変異を誘発する代わりに、自然(自発的)突然変異アレルは、当技術分野において公知の方法により同定され得る。例えば、ECOTILLING(Henikoff et al. 2004, Plant Physiology 135(2): 630-6)は、自然突然変異gtrアレルの存在に関して複数の植物又は植物部分をスクリーニングするのに使用され得る。上記突然変異誘発技術に関しては、好ましくは、同定されたgtrアレルが、その後に他のBrassica種(例えば、Brassica napus)に、交雑(種間又は種内交雑)及び選択により導入され得るように、A及び/又はCゲノムを含むBrassica種がスクリーニングされる。ECOTILLINGにおいて、育種系統又は関連種における天然多型は、植物の個体又はプールが、gtrターゲットのPCR増幅、ヘテロ二量体形成、及びハイスループット分析のために使用される上記TILLING方法論によりスクリーニングされる。この後、所望の突然変異アレルを取り込むための育種プログラムにおいて続いて使用され得る必要な突然変異を有する植物個体を選択し得る。
次いで、同定された突然変異アレルは配列決定され得、配列は野生型アレルと比較されて、突然変異を同定し得る。場合により、上記のように、機能性が試験され得る。このアプローチを使用し、複数の突然変異gtrアレル(及びこれらの1つ又は複数を含むBrassica植物)が同定され得る。次いで、所望の突然変異アレルは、以下でさらに記載される交雑及び選択の方法により、所望の野生型アレルと組み合わせられ得る。最後に、所望の数の突然変異gtr及び所望の数の野生型GTRアレルを含む単一の植物が作製される。
特定の突然変異GTRアレルの検出のためのPCRプライマー又は特異的プローブとして好適なオリゴヌクレオチドも、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定する方法を開発するのに使用され得る。
特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、突然変異及び/又は対応する野生型GTR特異的アレルの存在を決定するPCRベースのアッセイが開発され得る。
特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを特異的に認識する2つのプライマーは、それらが互いに向き合い、プライマーの間に位置する突然変異領域を有するように設計され得る。これらのプライマーは、5’及び3’隣接配列をそれぞれ特異的に認識するプライマーであり得る。このセットのプライマーは、突然変異体、並びに対応する野生型GTRアレルの同時診断的PCR増幅を可能にする。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを特異的に認識する2つのプライマーは、それらが互いに向き合い、それらの1つが突然変異領域を特異的に認識するように設計され得る。これらのプライマーは、野生型GTRアレルの5’又は3’隣接領域の配列及び突然変異領域をそれぞれ特異的に認識するプライマーであり得る。このセットのプライマーは、突然変異GTRアレルにおける突然変異領域の配列を特異的に認識する第3のプライマーと一緒に、突然変異GTR遺伝子、並びに野生型GTR遺伝子の同時診断的PCR増幅を可能にする。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを特異的に認識する2つのプライマーは、それらが互いに向き合い、それらの1つが5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するように設計され得る。これらのプライマーは、5’又は3’隣接配列及び野生型GTRアレルの突然変異領域と3’又は5’隣接領域の間の連結領域をそれぞれ特異的に認識するプライマーであり得る。このセットのプライマーは、突然変異GTRアレルの突然変異領域と3’又は5’隣接領域の間の連結領域を特異的に認識する第3のプライマーと一緒に、それぞれ、突然変異GTR遺伝子、並びに野生型GTR遺伝子の同時診断的PCR増幅を可能にする。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態は、突然変異及び野生型GTRアレルを特異的に認識する代替プライマーセットを使用することにより決定され得る。
植物が突然変異GTR遺伝子又は対応する野生型GTR遺伝子に関してホモ接合性である場合、上記診断的PCRアッセイは、突然変異又は野生型GTRアレルのいずれかに関して、典型的な、好ましくは長さが典型的な単一のPCR産物を生じる。植物が突然変異GTRアレルに関してヘテロ接合性である場合、2つの特定のPCR産物が現れ、突然変異及び野生型GTRアレルの両方の増幅を反映する。
野生型及び突然変異GTR特異的PCR産物の同定は、例えば、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定により(例えば、野生型及び突然変異GTRアレルから増幅されるフラグメントの間でサイズの差異をもたらす多くの挿入又は欠失したヌクレオチドを含む突然変異GTRアレルに関して、フラグメントは可視的にゲル上で分離することができる);ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後に2つの異なるフラグメントの存在又は非存在を評価することにより(それにより突然変異GTRアレルの診断的PCR増幅が、場合により、野生型GTRアレルの診断的PCR増幅とは別々に実施することができる);増幅されたフラグメントの直接配列決定により;又は蛍光ベースの検出方法により起こり得る。
特定の突然変異GTRアレルの接合性を決定するのに好適なプライマーの例は、実施例において記載される。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、突然変異及び/又は対応する野生型GTR特異的アレルの存在を決定するハイブリダイゼーションベースのアッセイが開発され得る:
特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを認識する2つの特異的プローブは、各プローブがGTR野生型GTRアレル内の配列を特異的に認識し、突然変異領域がプローブにより認識される配列間に位置するように設計され得る。これらのプローブは、5’及び3’隣接配列をそれぞれ特異的に認識するプローブであり得る。これらのプローブの1つ又は、好ましくは両方の使用によって、突然変異体、並びに対応する野生型GTRアレルの同時診断的ハイブリダイゼーションが可能になる。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを認識する2つの特異的プローブは、それらの1つがGTR野生型アレル内の配列を突然変異領域の上流又は下流で、好ましくは突然変異領域の上流で特異的に認識し、それらの1つが突然変異領域を特異的に認識するように設計され得る。これらのプローブは、野生型GTRアレルの5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域、及び突然変異領域の配列をそれぞれ特異的に認識するプローブであり得る。これらのプローブの1つ又は、好ましくは両方の使用によって、場合により、突然変異GTRアレルにおける突然変異領域の配列を特異的に認識する第3のプローブと一緒に、突然変異体及び野生型GTR遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションが可能になる。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態を決定するために、野生型GTRアレルを認識する特異的プローブは、プローブが、野生型GTRアレルの5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するように設計され得る。このプローブは、場合により、突然変異GTRアレルの5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する第2のプローブと一緒に、突然変異体及び野生型GTR遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションを可能にする。
あるいは、特定の突然変異GTRアレルの接合状態は、突然変異体及び野生型GTRアレルを特異的に認識する代替セットのプローブを使用することにより決定され得る。
植物が突然変異GTR遺伝子又は対応する野生型GTR遺伝子に関してホモ接合性である場合、上記診断的ハイブリダイゼーションアッセイは、突然変異又は野生型GTRアレルのいずれかに関して、典型的な、好ましくは長さが典型的な単一の特定のハイブリダイゼーション産物、例えば1つ以上のハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントなどを生じる。植物が突然変異GTRアレルに関してヘテロ接合性である場合、2つの特定のハイブリダイゼーション産物が現れ、突然変異体及び野生型GTRアレルの両方のハイブリダイゼーションを反映する。
野生型及び突然変異GTR特異的ハイブリダイゼーション産物の同定は、例えば、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定により(例えば、野生型及び突然変異GTRアレルからのハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントの間でサイズの差異をもたらす多くの挿入又は欠失したヌクレオチドを含む突然変異GTRアレルに関して、フラグメントは可視的にゲル上で分離することができる);ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後に2つの異なる特定のハイブリダイゼーション産物の存在又は非存在を評価することにより(それにより突然変異GTRアレルの診断的ハイブリダイゼーションが、場合により、野生型GTRアレルの診断的ハイブリダイゼーションとは別々に実施することができる);ハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントの直接配列決定により;又は蛍光ベースの検出方法により起こり得る。
特定の突然変異GTRアレルの接合性を決定するのに好適なプローブの例は、実施例において記載される。
さらに、PCRベース又はハイブリダイゼーションベースの増幅方法とは異なる特定の突然変異GTRアレルに特異的な検出方法も、本明細書において提供される特定の突然変異GTRアレルに特異的な配列情報を使用して開発され得る。このような別の検出方法は、特定の核酸構造の侵襲的切断に基づく線形シグナル増幅検出方法(Invader(商標)技術としても公知)(例えば、US patent 5,985,557 “Invasive Cleavage of Nucleic Acids”、6,001,567 “Detection of Nucleic Acid sequences by Invader Directed Cleavageにおいて記載され、これらは参照により本明細書において組み入れられる)、RT−PCRベースの検出方法(例えば、Taqman)、又は他の検出方法(例えば、SNPlex)を含む。簡単に説明すると、Invader(商標)技術において、ターゲット突然変異配列は、例えば、突然変異配列又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列のヌクレオチド配列を含むラベル化した第1の核酸オリゴヌクレオチドと、及び、突然変異配列の直ぐ下流及び近接する3’隣接配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされ得、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオチドにより重なる。このハイブリダイゼーションにより産生される二本鎖構造又は三本鎖構造によって、酵素(Cleavase(登録商標))を用いた選択的なプローブ切断が可能になり、ターゲット配列をインタクトなままにする。切断されたラベル化プローブは、その後に、さらなるシグナル増幅をもたらす中間工程をおそらくは通じて検出される。
本明細書において使用される「キット」は、本発明の方法を実施する目的のため、特に、生物学的サンプル中での特定の突然変異GTRアレルの同定又は特定の突然変異GTRアレルを含む植物材料の接合状態の決定のための試薬セットを指す。より具体的には、本発明のキットの好ましい実施態様は、特定の突然変異GTRアレルの同定のための少なくとも2つの上記特異的プライマー、又は接合状態の決定のための少なくとも2つ若しくは3つの特異的プライマーを含む。場合により、キットは、本明細書において記載される、PCR同定プロトコールにおける任意の他の試薬をさらに含み得る。あるいは、本発明の別の実施態様によれば、キットは、少なくとも1つの特異的プローブ(これは、特定の突然変異GTRアレルの同定に関して、上記のように、生物学的サンプルの核酸と特異的にハイブリダイズして、その中の特定の突然変異GTRアレルの存在を同定する)又は接合状態の決定のための少なくとも2つ又は3つの特異的プローブを含み得る。場合により、キットは、特異的プローブを使用した、生物学的サンプル中の特定の突然変異GTRアレルの同定のための任意の他の試薬(例えば、限定はされないが、ハイブリダイズバッファー、ラベル化)をさらに含み得る。
本発明のキットは使用され得、その構成要素は、品質管理(例えば、種子ロットの純度)、植物材料又は植物材料を含む若しくはそれに由来する材料(例えば、限定はされないが、食物又は飼料産物)における特定の突然変異GTRアレルの存在又は非存在の検出の目的のために特異的に調整され得る。
本明細書において使用される「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセス(例えばPCR、)における新生核酸の合成を刺激することができる任意の核酸を包含する。典型的には、プライマーは、10〜30ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いられ得る。プライマーは、一本鎖形態が好ましいが、二本鎖形態で提供され得る。プローブは、プライマーとして使用され得るが、ターゲットDNA又はRNAに結合するように設計され、増幅プロセスにおいて使用する必要はない。
本明細書において使用される「認識する」という用語は、特異的プライマーに関して言及する場合は、特異的プライマーが、方法に記載される条件(例えば、PCR同定プロトコールの条件)下で、特定の突然変異GTRアレルにおける核酸配列に特異的にハイブリダイズすることにより、特異性が、ポジティブコントロール及びネガティブコントロールの存在により決定されるという事実を指す。
本明細書において特異的プローブを指す場合に使用される「ハイブリダイズする」という用語は、プローブが特定の突然変異GTRアレルの核酸配列中の特定の領域に、標準的なストリンジェンシー条件下で結合するという事実を指す。本明細書において使用される標準的なストリンジェンシー条件は、本明細書において記載されるハイブリダイゼーションのための条件又はSambrook et al., 1989(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, NY)により記載される従来のハイブリダイズ条件を指し、例えば、以下の工程を含み得る:1)植物ゲノムDNAフラグメント又はBACライブラリーDNAをフィルター上に固定すること、2)フィルターを1〜2時間65℃で6×SSC、5×Denhardt’s試薬、0.5%SDS、及び20μg/ml変性キャリアDNA中でプレハイブリダイズすること、3)ラベル化されたハイブリダイゼーションプローブを加えること、4)16〜24時間インキュベートすること、5)フィルターを30分間68℃で6×SSC、0.1%SDS中で1回洗浄すること、6)フィルターを3回(30分間30ml中で2回及び10分間500ml中で1回)68℃で2×SSC、0.1%SDS中で洗浄すること、及び7)フィルターを4〜48時間X線フィルムに−70℃で曝露すること。
本明細書において使用される「生物学的サンプル」は、植物、植物材料、又は植物材料を含む産物のサンプルである。「植物」という用語は、任意の成熟段階にある植物組織、並びに任意のこのような植物から採取された又はそれに由来する任意の細胞、組織、又は器官、限定はされないが、任意の種子、葉、茎、花、根、単一細胞、配偶子、細胞培養物、組織培養物、又はプロトプラストなどを包含することを意図する。本明細書において使用される「植物材料」は、植物から得られるか、又は植物に由来する材料を指す。植物材料を含む産物は、植物材料を使用して産生されるか又は植物材料が混入し得る食品、飼料、又は他の産物に関する。本発明の文脈では、このような生物学的サンプルは、特定の突然変異GTRアレルに特異的な核酸の存在に関して試験され、これは、サンプル中の核酸の存在を意味すると理解される。従って、本明細書において言及される、生物学的サンプルにおいて特定の突然変異GTRアレルを同定するための方法は、特定の突然変異GTRアレルを含む核酸の生物学的サンプルにおける同定に関する。
また、本発明は、1つの植物における特定のGTRアレルの組み合わせ、ある植物から別の植物への1つ以上の突然変異GTRアレルの移入、1つ以上の特定の突然変異GTRアレルを含む植物、これらの植物から得られた後代、並びにこれらの植物に由来する植物細胞、植物部分、及び植物種子に関する。
従って、本発明の一実施態様では、1つの植物において2つ以上の選択された突然変異GTRアレルを組み合わせるための方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを各々含む2つ以上の植物を作製及び/又は同定すること、
(b)上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含む第1の植物と1つ以上の他の選択された突然変異GTRアレルを含む第2の植物とを交雑し、交雑からF1種子を回収し、そして、場合により、第2の植物に由来する1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを有する第1の植物に由来する1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物を同定すること、
(c)場合により、すべての選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物が得られるまで工程(b)を繰り返すこと、
(d)場合により、
− 上記のように、突然変異GTRアレルの接合状態を決定することにより、選択された突然変異GTRアレルに関してホモ接合性又はヘテロ接合性であるF1植物を同定すること、又は
− 1つ以上の選択された突然変異GTRアレルに関してホモ接合性である植物を、以下の工程の1つを実施することにより作製すること:
− 上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物の処理された小胞子又は花粉細胞から倍加半数体植物を抽出すること、
− 上記のように、1つ以上の世代(y)に関して1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物を自家受粉し、自家受粉からのF1 Sy種子を回収し、そして、1つ以上の突然変異GTRアレルに関してホモ接合性であるF1 Sy植物を同定すること。
本発明の別の実施態様では、1つ以上の突然変異GTRアレルをある植物から別の植物に移すための方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含む第1の植物を作製及び/又は同定すること、又は、上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを1つの植物において組み合わせることにより第1の植物を作製すること(ここで第1の植物は、1つ以上の突然変異GTRアレルに関してホモ接合性又はヘテロ接合性である)、
(b)上記のように、1つ以上の突然変異GTRアレルを含む第1の植物と1つ以上の突然変異GTRアレルを含まない第2の植物とを交雑し、交雑からF1種子を回収し(ここで第1の植物がその突然変異GTRアレルに関してホモ接合性である場合、種子は、突然変異GTRアレルに関してヘテロ接合性であり、第1の植物はその突然変異GTRアレルに関してヘテロ接合性である場合、種子の半分は、突然変異GTRアレルに関してヘテロ接合性であり、種子の半分は、不対性である(すなわち、突然変異GTRアレルを含まない)、そして、場合により、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物を同定すること、
(c)上記のように、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むF1植物を、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含まない第2の植物と、1つ以上の世代(x)にわたり戻し交雑し、交雑からBCx種子を回収し、そして、各世代において、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルを含むBCx植物を同定すること、
(d)場合により、1つ以上の選択された突然変異GTRアレルに関してホモ接合性であるBCx植物を、以下の工程の1つを実施することにより作製すること:
− 上記のように、1つ以上の所望の突然変異GTRアレルを含むBCx植物の処理された小胞子又は花粉細胞から倍加半数体植物を抽出すること、
− 上記のように、1つ以上の世代(y)に関して1つ以上の所望の突然変異GTRアレルを含むBCx植物を自家受粉し、自家受粉からBCx Sy種子を回収し、そして、1つ以上の所望の突然変異GTRアレルに関してホモ接合性であるBCx Sy植物を同定すること。
本発明の一態様において、第1及び第2の植物は、Brassicaceae植物、特にBrassica植物、特にBrassica napus植物、又は別のBrassica作物種(例えば、Brassica rapa、B. juncea又はBrassica oleracea)に由来する植物である。本発明の別の態様において、第1の植物は、Brassicaceae植物、特にBrassica植物、特にBrassica napus植物、又は別のBrassica作物種に由来する植物であり、第2の植物は、Brassicaceae育種系統、特にBrassica育種系統、特にBrassica napus育種系統、又は別のBrassica作物種に由来する育種系統に由来する植物である。本明細書において使用される「育種系統」は、好ましくは、雑種子孫を産生するために使用される好ましい遺伝子型及び/又は表現型により他の植物系統から識別可能であるホモ接合性植物系統である。
本発明者らは、GTR1又はGTR2トランスポーターのいずれかをノックアウトしたArabidopsis植物の種子は、野生型植物と比較して、総脂肪族GSL濃度がそれぞれ有意に減少しなかったか又は約50%減少したこと、及び、GTR1及びGTR2トランスポーターの両方をノックアウトしたArabidopsis植物の種子は、ゼロGSL種子表現型であったことをさらに見出した。加えて、GSLレベルは、gtrノックアウト植物の花序及び根組織において、野生型植物のこれらの組織におけるGSLレベルと比較して減少した。驚くべきことに、gtrノックアウト植物に由来する老化葉のGSLレベルは高かったのに対して、野生型植物では、老化すると葉はGSLが激減していた。加えて、gtrノックアウト植物の長角果壁のGSLレベルは、野生型植物と比較して増加した。B. rapaにおいて、同様の観察を行った。
従って、本発明者らは、GTR活性、特にGTR2活性又はGTR1及びGTR2活性が減少しているBrassicaceae植物では、種子、花序及び根組織におけるGSL含量が検出不能に減少しているのに対して、緑色組織(例えば、ロゼット葉、茎生葉、長角果壁)におけるGSLのレベルは、依然として高いことを見出した。この観察結果は、本発明のGTRタンパク質、特にGTR1及びGTR2タンパク質が、緑色組織(例えば、ロゼット葉、茎生葉及び長角果壁(いわゆる「ソース」組織))から種子、花及び、植物の生活環の一定時期における根(いわゆる「シンク」組織)へのGSLの輸送に関与する輸送経路の不可欠な要素であることを示している。
一実施態様では、本発明は、真核細胞又は生物(例えば、Xenopus卵母細胞及び植物)におけるGSL輸送を改変する方法であって、前記真核細胞又は生物における機能性GTR活性を改変することを含む、方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、植物及び植物部分におけるGSL含量を改変する方法であって、前記植物又は植物部分における機能性GTR活性を改変することを含む、方法を提供する。
植物及び植物部分におけるGSL含量の改変は、例えば、アブラナ科植物の油糧種子のミールの質、ガン予防活性、並びに、園芸用アブラナ科植物の風味、並びに/又は、草食動物及び病原体に対する抵抗性、並びに、生物燻蒸活性に対して改変を行うことを可能にする。
一態様では、GSL含量は、機能性GTR活性を減少させることによって、植物種子において減少される。
本明細書において使用される「種子」は、胚、内胚乳及び/又は種皮を含む。
別の態様では、GSL含量は、機能性GTR活性を減少させることによって、緑色植物組織において増加又は維持される。
本明細書において使用される「緑色植物組織」は、葉、ロゼット葉、茎生葉及び長角果壁を指す。
さらに別の態様では、GSL含量は、機能性GTR活性を減少させることによって、植物種子において減少され、緑色植物組織において増加される。
本発明の一実施態様では、植物は、高含量のGSLを有するBrassicales又はCapparales目に由来する植物である。このような植物の非限定的な例は、Akaniaceae科、Bataceae科、Brassicaceae又はCruciferae科、Capparaceae科、Caricaceae科、Gyrostemonaceae科、Koeberliniaceae科、Limnanthaceae科、Moringaceae科、Pentadiplandraceae科、Resedaceae科、Salvadoraceae科、Setchellanthaceae科、Tovariaceae科及びTropaeolaceae科の植物である。
本発明の具体的な実施態様では、植物は、Brassicaceae科に属する。本発明のさらにより具体的な実施態様では、植物は、Brassica napus植物(例えば、菜種、キャノーラ及びルタバガ)、Brassica rapa植物(例えば、白菜及びカブ)、Brassica oleracea植物(例えば、ケール、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ及びコールラビ)、Brassica carinata植物(アビシニアマスタード)、Brassica juncea植物(インディアンマスタード)又はBrassica nigra植物(黒マスタード)である。
例えば、種子におけるGSL含量を減少させることによる種子ミールの質の改変に関して、最も重要な作物は、油糧種子の形態のBrassica種(例えば、B. napus、B. rapa(syn B. campestris)、B. juncea及びB. carinata)である。
例えば、緑色植物組織におけるGSL含量を増加させることによる風味及びガン予防特性の増強に関して、最も重要な種は、B. oleracea(例えば、ブロッコリー及びカリフラワーを含む)、園芸用の形態のB. napus(例えば、スイード[=ルタバガ、napobrassica種]、菜種油)及びB. rapa(カブ及び白菜[=チンゲン菜]の両方を含む)、アブラナ科のサラダ(例えば、Eruca sativa及びDiplotaxis tenuifoliaを含む)及び園芸用の形態のRaphanus(例えば、ダイコン(Raphanus sativa))である。
GSL含量は、機能性GTR活性を減少させることによって、改変され得る。本明細書において使用される、植物又は植物部分における「機能性GTR活性」は、前記植物又は植物部分において存在するGTR活性を指す。機能性GTR活性は、GTR遺伝子発現レベル及びGTR活性の結果である。従って、植物又は植物部分における機能性GTR活性は、GTR遺伝子発現レベルをダウンレギュレーションすることによって、若しくは、GTR活性をダウンレギュレーションすることによって、又は、それらの両方によって、減少され得、本発明によれば、植物、植物組織、植物器官、植物部分又は植物細胞のGSL含量の改変は、GTR遺伝子発現レベルのダウンレギュレーションによって、GTR活性のダウンレギュレーションによって、又は、それらの両方によって、達成され得る。
便利なことに、GTR遺伝子発現レベル又はGTR活性は、GTR遺伝子発現レベルを変化させるキメラ遺伝子の導入によって、及び/又は、GTR活性を変化させるキメラ遺伝子の導入によって、及び/又は、GTRをコードする内因性遺伝子の変化によって、遺伝的にコントロールされる。
本発明によれば、GSL含量を改変するために、機能性GTR活性は、有意に減少されることが好ましい。好ましくは、ターゲット細胞における機能性GTR活性は、ターゲット細胞における正常レベル及び/又は活性の約75%、好ましくは約80%、特に約90%、より具体的には約95%、より好ましくは約100%減少されるべきである。GTRタンパク質などの特異的タンパク質の含量を決定する方法は当業者に周知であり、特異的抗体を使用してこのようなタンパク質を(組織化学的に)定量化することを含むが、これに限定されない。GTR活性を定量化する方法は、以下の実施例に記載される。
従って、本発明の一実施態様では、植物又は植物部分のGSL含量を改変するための方法は、GTR遺伝子発現をダウンレギュレーションする工程を含む。本発明の別の実施態様では、植物、植物組織、植物器官、植物部分又は植物細胞のGSL含量を改変するための方法は、GTR活性をダウンレギュレーションすることを含む。
本発明の実施態様では、GTR遺伝子発現は、以下の機能的に連結されたDNA領域:
a)植物又は植物部分で機能する植物発現プロモーター;
b)転写されると、GTR遺伝子発現をダウンレギュレーションできるGTR阻害RNA分子を生じるDNA領域;及び
c)転写終結及びポリアデニル化に関与する、植物細胞において機能的なDNA領域
を含むキメラDNA構築物を植物又は植物部分に導入することによって、ダウンレギュレーションされる。
転写DNA領域は、翻訳に利用可能なGTR mRNAのレベルを減少させる生物学的に活性なRNAをコードする。これは、共抑制(センスRNA抑制)、アンチセンスRNA、二本鎖RNA(dsRNA)又はマイクロRNA(miRNA)を含む十分に確立された技術によって、達成され得る。
一実施態様では、GTR遺伝子発現は、共抑制によりGTR遺伝子発現をダウンレギュレーションできるセンスRNA分子を生じるキメラDNA構築物を導入することによって、ダウンレギュレーションされ得る。転写DNA領域は、転写されると、転写又は転写後的な方法により、ターゲット植物又は植物細胞におけるGTR遺伝子の発現を減少させることができるいわゆるセンスRNA分子を生じる。転写DNA領域(及びその結果として生じるRNA分子)は、植物細胞又は植物において存在するGTRをコードする遺伝子のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも20の連続ヌクレオチドを含む。
別の実施態様では、GTR遺伝子発現は、GTR遺伝子発現をダウンレギュレーションできるアンチセンスRNA分子を生じるキメラDNA構築物を導入することによって、ダウンレギュレーションされ得る。転写DNA領域は、転写されると、転写又は転写後的な方法により、ターゲット植物又は植物細胞におけるGTR遺伝子の発現を減少させることができるいわゆるアンチセンスRNA分子を生じる。転写DNA領域(及びその結果として生じるRNA分子)は、植物細胞又は植物において存在するGTRをコードする遺伝子のヌクレオチド配列の相補体と少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも20の連続ヌクレオチドを含む。
しかしながら、GTRをコードする領域の約20ntのアンチセンス又はセンスRNA領域の最小ヌクレオチド配列は、20ntからターゲット遺伝子のサイズと等しい長さまでサイズが変化するより大きなRNA分子に含まれ得る。従って、前記アンチセンス又はセンスヌクレオチド領域は、約21nt〜約5000ntの長さ、例えば21nt、40nt、50nt、100nt、200nt、300nt、500nt、1000nt、2000nt又はさらに約5000nt、又はより大きな長さであり得る。また、本発明の目的のために、使用される阻害GTR RNA分子又はトランスジーンのコード領域のヌクレオチド配列が、内因性GTR遺伝子(この発現が、植物細胞において減少されることを目的とする)と完全に同一又は相補的であることは必要ではない。配列が長いほど、全体的な配列同一性の要件はより低ストリンジェントになる。従って、センス又はアンチセンス領域は、内因性GTR遺伝子又はその相補体のヌクレオチド配列と約40%又は50%又は60%又は70%又は80%又は90%又は100%の全体的な配列同一性を有し得る。しかしながら、述べたように、アンチセンス又はセンス領域は、内因性GTR遺伝子のヌクレオチド配列と約95〜約100%の配列同一性を有する20の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含むべきである。約95〜約100%の配列同一性のストレッチは、約50、75又は100ntであり得る。
アンチセンスRNA又はセンスRNAによって媒介される遺伝子発現レベルのダウンレギュレーションに関する上記キメラ遺伝子の効率は、異常な、非ポリアデニル化GTR阻害RNA分子の発現をもたらすDNAエレメントの組み込みによって、さらに高められ得る。その目的に好適なこのようなDNAエレメントの1つは、WO 00/01133に記載される、自己スプライシングリボザイムをコードするDNA領域である。この効率は、WO 03/076619に記載される、核局在性又は保留性シグナルを有する生成されたRNA分子を提供することによっても、高められ得る。
さらに別の実施態様では、GTR遺伝子発現は、GTR遺伝子発現をダウンレギュレーションできる二本鎖RNA分子を生じるキメラDNA構築物を導入することによって、ダウンレギュレーションされ得る。DNA領域が転写されると、RNAは、センス及びアンチセンス領域の間の従来型の塩基対合によって、dsRNA分子を形成でき、それにより、センス及びアンチセンス領域は、上記ヌクレオチド配列になる。dsRNAをコードし、GTR発現を減少させる本発明のキメラ遺伝子は、WO 99/53050(参照により本明細書に組み込まれる)の開示に従って、例えば、センス及びアンチセンス領域の間のスペーサー配列に位置するイントロン(例えば、異種イントロン)をさらに含み得る。このようなトランスジーンの構築を達成するために、WO 02/059294 A1に記載されているベクターが使用され得る。
さらに別の実施態様では、GTR遺伝子発現は、GTR mRNAの切断を誘導できるmiRNAにプロセシングされるmiRNA前駆体RNA分子を生じるキメラDNA構築物を導入することによって、ダウンレギュレーションされる。miRNAは、植物、しかし他の真核生物においても遺伝子発現をレギュレーションする内因性低分子RNAである。植物において、これらの約21ヌクレオチド長のRNAは、DICERLIKE1(DCL1)の切断活性によって、長い内因性miRNA前駆体のステムループ領域からプロセシングされる。植物miRNAは、保存されたターゲットmRNAと高度に相補的であり、それらのターゲットの切断を誘導する。miRNAは、とりわけ発生に関与する経路の複合ネット操作の遺伝子発現をもたらす重要な要素であると思われる。
本明細書において使用される「miRNA」は、RISC複合体にロードされて、miRNA分子のヌクレオチド配列と本質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲットRNA分子の切断を指令し得る約20〜22ヌクレオチド長のRNA分子であり、それにより、1つ以上の以下のミスマッチが起こり得る:
− 前記miRNAの5’末端のヌクレオチドと、ターゲットRNA分子の対応するヌクレオチド配列の間のミスマッチ;
− 前記miRNAの1位〜9位のヌクレオチドのいずれか1つと、ターゲットRNA分子の対応するヌクレオチド配列の間のミスマッチ;
− 前記miRNAの12位〜21位のヌクレオチドのいずれか1つと、ターゲットRNA分子の対応するヌクレオチド配列の間の3個のミスマッチ、但し連続するミスマッチは2個以下である;
miRNAの10及び11位において、いかなるミスマッチも許容されない(すべてのmiRNA位置は、miRNA分子の5’末端から出発して示される)。
本明細書において使用される「miRNA前駆体」分子は、dsRNAステム及び一本鎖RNAループを含み、二本鎖RNAステムにおいてmiRNAのヌクレオチド配列及びその相補配列のmiRNA*をさらに含む二次構造をとることができる、約100個〜約200個、好ましくは約100個〜約130個のヌクレオチドのRNA分子である。好ましくは、miRNA及びその相補体は、miRNA dsRNAステムの自由末端から約10〜約20個のヌクレオチドに位置する。一本鎖ループ領域の長さ及び配列は重要ではなく、例えば、30〜50nt長の間で大きく変わり得る。好ましくは、非対合RNA構造と対合RNA構造の間の自由エネルギーの差は、−20〜−60kcal/mole、特に約−40kcal/moleである。miRNAとmiRNA*の間の相補性は完全である必要はなく、非対合ヌクレオチドの約1個〜3個のバルジが許容され得る。RNA分子によってとられる二次構造は、当技術分野における通常のコンピューターアルゴリズム(例えば、mFold、UNAFold及びRNAFold)によって、予測され得る。DCL活性によって放出されてRISC複合体にロードされる、miRNA前駆体に由来するdsRNAステムの特定の鎖は、5’末端における相補性の程度によって決定され、それにより、切断されたdsRNAステムの異なる鎖のヌクレオチド間の水素結合にその5’末端においては最も関与しない鎖は、RISC複合体にロードされ、ターゲットRNA分子分解の配列特異性を決定する。しかしながら、経験的には、「誤った」鎖がRISC複合体にロードされたために、特定の合成miRNA前駆体分子に由来するmiRNA分子が機能的ではない場合、この問題が、miRNA前駆体分子のdsRNAステムの各鎖上のmiRNA分子とその相補体の位置を交換することによって解決され得ることは、直ちに明らかである。当技術分野において公知であるように、2個の水素結合を含むAとUの間の結合、又は、2個の水素結合を含むGとUの間の結合は、3個の水素結合を含むGとCの間の結合よりも弱い。
miRNA分子は、天然に存在するそれらのmiRNA前駆体分子に含まれ得るが、それらは、既存のmiRNA前駆体分子から通常プロセシングされるmiRNA分子のヌクレオチド配列を、関心対象の別のmiRNAのヌクレオチド配列と交換することによって、既存のmiRNA前駆体分子骨格にも導入され得る。miRNA前駆体分子の骨格も、完全に合成のものであり得る。同様に、合成miRNA分子は、既存のmiRNA前駆体分子骨格又は合成miRNA前駆体分子骨格に含まれ、それらからプロセシングされ得る。
本発明の別の実施態様では、GTRタンパク質活性は、以下の機能的に連結されたDNA領域:
a)植物、植物組織、植物器官、植物部分又は植物細胞で作動するプロモーター;
b)転写されると、GTR活性をダウンレギュレーションできるGTR阻害RNA分子を生じるDNA領域;及び
c)転写終結及びポリアデニル化に関与するDNA領域
を含むキメラDNA構築物を植物、植物組織、植物器官、植物部分又は植物細胞に導入することによって、ダウンレギュレーションされ得る。
一態様では、内因性GTRタンパク質活性をダウンレギュレーションできるGTR阻害RNA分子は、GTR活性のレベルを減少させることができる生物学的に活性なタンパク質に翻訳され得るRNA分子である。これは、例えば、GTRタンパク質に対する不活性化抗体によって、達成され得る。「GTRタンパク質に対する不活性化抗体」は、GTRタンパク質のいくつかのエピトープ(例えば、基質/プロトン結合ドメイン又は上記の保存されたドメイン)に特異的に少なくとも結合するか、又は輸送をすることができないコンフォメーションに輸送タンパク質をトラップして(例えば、JBC 274(22): 15420-15426, 1999に記載される)、ターゲットタンパク質の活性を阻害する抗体又はその一部である。
GTR遺伝子発現レベルのダウンレギュレーションによって、及び/又は、GTRタンパク質活性のダウンレギュレーションによって機能性GTR活性を減少させるのに使用されるキメラDNA構築物は、従来の方法で、単一植物細胞の核ゲノムに安定的に挿入され得、こうしてトランスフォーメーションされた植物細胞は、従来の方法で、改変されたGSL含量を有するトランスフォーメーション植物を製造するのに使用され得る。これに関して、機能性GTR活性を減少させるのに使用されるキメラDNA構築物を含む、Agrobacterium tumefaciensのT−DNAベクターは、植物細胞をトランスフォーメーションするのに使用され得、その後、トランスフォーメーション植物は、例えば、EP0116718、EP0270822、WO84/02913及び公開されたEuropean Patent application EP 0 242 246及びGould et al. (1991)に記載されている手順を使用して、トランスフォーメーションされた植物細胞から再生され得る。Agrobacteriumによって媒介される植物トランスフォーメーション用のT−DNAベクターの構築は、当技術分野において周知である。T−DNAベクターは、EP0120561及びEP0120515に記載されているバイナリーベクター、又は、EP0116718に記載されている、相同的組換えによってAgrobacterium Ti−プラスミドに組み込むことができるコインテグレートベクターのいずれかであり得る。好ましいT−DNAベクターは、T−DNA境界配列の間にあるか、又は少なくとも右側境界配列の左側に位置する転写DNA領域に機能的に連結されたプロモーターをそれぞれ含む。境界配列は、Gielen et al. (1984)に記載されている。AgrobacteriumへのT−DNAベクターの導入は、エレクトロポレーション又は三親接合(triparental mating)などの公知の方法を使用して行われ得る。当然ながら、他の種類のベクターが、遺伝子直接導入(例えば、EP0223247に記載される)、花粉媒介性トランスフォーメーション(例えば、EP0270356及びWO85/01856に記載される)、例えばUS4,684,611に記載されるプロトプラストトランスフォーメーション、植物RNAウイルス媒介性トランスフォーメーション(例えば、EP0067553及びUS4,407,956に記載される)、リポソーム媒介性トランスフォーメーション(例えば、US4,536,475に記載される)及び他の方法などの手順を使用して、植物細胞をトランスフォーメーションするのに使用され得る。得られたトランスフォーメーション植物は、従来の植物育種スキームで、改変された総GSL含量を有するさらにトランスフォーメーションされた植物を製造するのに使用され得る。
本発明の別の実施態様では、GTRの機能活性は、内因性GTR遺伝子のヌクレオチド配列の改変によって、減少され得る。好ましい実施態様では、GTR遺伝子発現をレギュレーションする配列は、GTR遺伝子発現レベルがダウンレギュレーションされるように変化される。
内因性GTR遺伝子のこのような改変を達成する方法は、例えば、US patent 5,527,695に記載されている方法によって、内因性GTR遺伝子を突然変異GTR遺伝子に交換する相同的組換えを含む。好ましい実施態様では、内因性GTR遺伝子のヌクレオチド配列のこのような部位特異的改変は、WO 96/22364又はUS patent 5,565,350に記載されているキメラDNA/RNAオリゴヌクレオチドの導入によって、達成される。
内因性GTR遺伝子のこのような改変を達成する方法は、突然変異誘発も含む。機能性GTR活性が減少されている突然変異植物細胞及び植物系統が使用されて、本明細書において記載されるトランスジェニック植物細胞及び植物系統と同じ効果になり得ることは、当業者には直ちに明らかである。植物細胞又は植物のGTR遺伝子における突然変異は、当技術分野において公知のスクリーニング方法を使用して、容易に同定され得、それにより、化学的な突然変異誘発(例えば、EMS突然変異誘発など)は、高感度検出法(例えば、変性HPLCなど)と併用される。このような技術の例は、McCallum et al, Plant Physiology 123 439-442又はWO 01/75167に記載されているいわゆる「ゲノム内ターゲット誘発性局所損傷(Targeted Induced Local Lesions in Genomes)」法である。しかしながら、特定のゲノム領域あるいはアレルにおける突然変異を検出する他の方法も利用可能であり、既存の又は新たに作製された挿入突然変異植物系統のスクリーニングを含み、それにより、これらの突然変異植物系統のゲノムDNAのプールは、挿入されたDNAフラグメントに特異的なプライマーと、挿入が予測されるゲノム領域又はアレルに特異的なプライマーとを使用するPCB増幅に供される(例えば、Maes et al., 1999, Trends in Plant Science, 4, pp 90-96を参照のこと)。従って、GTR遺伝子における突然変異を含む植物細胞及び植物系統を同定する方法が、当技術分野において利用可能である。次いで、この突然変異細胞又は植物系統の集団は、機能性GTR活性及びGSL含量に関して試験され得、類似の遺伝的背景を有する非突然変異細胞又は植物系統と比較され得る。
上記方法によって得られる植物並びにその部分及び産物(種子、種子ミール、種子油、緑色植物組織(例えば、ロゼット葉、茎生葉、長角果壁)、根組織を含む)、並びに、例えば動物飼料、害虫管理(例えば、生物燻蒸)及びガン予防におけるそれらの使用が、さらに提供される。
本発明の特定の実施態様によれば、本発明の方法によって得られるトランスフォーメーション又は突然変異植物細胞及び植物は、それぞれ、関心対象タンパク質をコードする核酸を含む少なくとも1つの他の又は少なくとも1つのキメラ遺伝子を含み得る。このような関心対象タンパク質の例は、グルホシネート系除草剤に対する耐性のためのbar又はpat酵素(EP 0 257 542, WO 87/05629 and EP 0 257 542, White et al. 1990)、グリホサート系除草剤に対する耐性のためのEPSPS酵素(例えば、二重突然変異トウモロコシEPSPS酵素(US 6,566,587及びWO 97/04103))、又は、HPPD阻害除草剤に対する耐性のためのHPPD酵素(例えば、イソオキサゾール(WO 96/38567))などの除草剤に対する抵抗性のための酵素を含む。
本発明の方法によって得られるトランスフォーメーション又は突然変異植物細胞及び植物は、当技術分野において周知の育種手順(例えば、交雑、自家受粉及び戻し交雑)においてさらに使用され得る。育種プログラムは、交雑してF1(雑種第1)世代を作製し、続いて何世代か自家受粉する(F2、F3などを作製する)ことを含む。育種プログラムは、戻し交雑(BC)工程も含み得、それにより、子孫は、反復親と称される親系統の1つと戻し交雑される。
本発明の方法によって得られるトランスフォーメーション又は突然変異植物細胞及び植物は、その後のトランスフォーメーション手順においてもさらに使用され得る。
以下の非限定的な実施例は、本発明により得られる植物の特徴を記載する。特に明記しない限り、すべてのリコンビナントDNA技術は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, NY及びVolumes 1 and 2 of Ausubel et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USAに記載されている標準プロトコールに従って行われる。植物分子操作に関する標準的な材料と方法は、Plant Molecular Biology Labfax (1993) by R.D.D. Croy published by BIOS Scientific Publications Ltd (UK) and Blackwell Scientific Publications, UKに記載されている。
明細書及び実施例において、以下の配列を参照する:
配列番号1:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR1タンパク質をコードするGTR1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号2:配列番号1によってコードされる野生型GTR1タンパク質。
配列番号3:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR2タンパク質をコードするGTR2遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号4:配列番号3によってコードされる野生型GTR2タンパク質。
配列番号5:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR3タンパク質をコードするGTR3遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号6:配列番号5によってコードされる野生型GTR3タンパク質。
配列番号7:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR4タンパク質をコードするGTR4遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号8:配列番号7によってコードされる野生型GTR4タンパク質。
配列番号9:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR5タンパク質をコードするGTR5遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号10:配列番号9によってコードされる野生型GTR5タンパク質。
配列番号11:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR6タンパク質をコードするGTR6遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号12:配列番号11によってコードされる野生型GTR6タンパク質。
配列番号13:Brassica napusに由来する野生型GTR1−A1タンパク質をコードするGTR1−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号14:配列番号13によってコードされる野生型GTR1−A1タンパク質。
配列番号15:Brassica napusに由来する野生型GTR1−A2タンパク質をコードするGTR1−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号16:配列番号15によってコードされる野生型GTR1−A2タンパク質。
配列番号17:Brassica napusに由来する野生型GTR1−A3タンパク質をコードするGTR1−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号18:配列番号17によってコードされる野生型GTR1−A3タンパク質。
配列番号19:Brassica napusに由来する野生型GTR1−C1タンパク質をコードするGTR1−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号20:配列番号19によってコードされる野生型GTR1−C1タンパク質。
配列番号21:Brassica napusに由来する野生型GTR1−C2タンパク質をコードするGTR1−C2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号22:配列番号21によってコードされる野生型GTR1−C2タンパク質。
配列番号23:Brassica napusに由来する野生型GTR1−C3タンパク質をコードするGTR1−C3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号24:配列番号23によってコードされる野生型GTR1−C3タンパク質。
配列番号25:Brassica napusに由来する野生型GTR2−A1タンパク質をコードするGTR2−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号26:配列番号25によってコードされる野生型GTR2−A1タンパク質。
配列番号27:Brassica napusに由来する野生型GTR2−A2タンパク質をコードするGTR2−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号28:配列番号27によってコードされる野生型GTR2−A2タンパク質。
配列番号29:Brassica napusに由来する野生型GTR2−A3タンパク質をコードするGTR2−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号30:配列番号29によってコードされる野生型GTR2−A3タンパク質。
配列番号31:Brassica napusに由来する野生型GTR2−C1タンパク質をコードするGTR2−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号32:配列番号31によってコードされる野生型GTR2−C1タンパク質。
配列番号33:Brassica napusに由来する野生型GTR2−C2タンパク質をコードするGTR2−C2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)(部分配列)。
配列番号34:配列番号33(部分配列)によってコードされる野生型GTR2−C2タンパク質。
配列番号35:Brassica napusに由来する野生型GTR2−C3タンパク質をコードするGTR2−C3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号36:配列番号35によってコードされる野生型GTR2−C3タンパク質。
配列番号37:Brassica rapaに由来する野生型GTR1−A1タンパク質をコードするGTR1−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号38:配列番号37によってコードされる野生型GTR1−A1タンパク質。
配列番号39:Brassica rapaに由来する野生型GTR1−A2タンパク質をコードするGTR1−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号40:配列番号39によってコードされる野生型GTR1−A2タンパク質。
配列番号41:Brassica rapaに由来する野生型GTR1−A3タンパク質をコードするGTR1−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号42:配列番号41によってコードされる野生型GTR1−A3タンパク質。
配列番号43:Brassica rapaに由来する野生型GTR2−A1タンパク質をコードするGTR2−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号44:配列番号43によってコードされる野生型GTR2−A1タンパク質。
配列番号45:Brassica rapaに由来する野生型GTR2−A2タンパク質をコードするGTR2−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号46:配列番号45によってコードされる野生型GTR2−A2タンパク質。
配列番号47:Brassica rapaに由来する野生型GTR2−A3タンパク質をコードするGTR2−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号48:配列番号47によってコードされる野生型GTR2−A3タンパク質。
配列番号49:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR1−C1タンパク質をコードするGTR1−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号50:配列番号49によってコードされる野生型GTR1−C1タンパク質。
配列番号51:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR1−C2タンパク質をコードするGTR1−C2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号52:配列番号51によってコードされる野生型GTR1−C2タンパク質。
配列番号53:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR1−C3タンパク質をコードするGTR1−C3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号54:配列番号53によってコードされる野生型GTR1−C3タンパク質。
配列番号55:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR2−C1タンパク質をコードするGTR2−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号56:配列番号55によってコードされる野生型GTR2−C1タンパク質。
配列番号57:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR2−C2タンパク質をコードするGTR2−C2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号58:配列番号57によってコードされる野生型GTR2−C2タンパク質。
配列番号59:Brassica oleraceaに由来する野生型GTR2−C3タンパク質をコードするGTR2−C3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号60:配列番号59によってコードされる野生型GTR2−C3タンパク質。
配列番号61:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR1タンパク質をコードするGTR1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号62:配列番号61によってコードされる野生型GTR1タンパク質。
配列番号63:Arabidopsis thalianaに由来する野生型GTR2タンパク質をコードするGTR2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号64:配列番号63によってコードされる野生型GTR2タンパク質。
配列番号65:Brassica rapa ecotype pekinensisに由来する野生型GTR2−A2タンパク質をコードするGTR2−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号66:配列番号65によってコードされる野生型GTR2−A2タンパク質。
配列番号67:プライマーBrGTR2−A2−f(8位のウラシル)
配列番号68:プライマーBrGTR2−A2−r(8位のウラシル)
配列番号69:プライマーBrGTR2−A2−Till−f
配列番号70:プライマーBrGTR2−A2−Till−r
配列番号71:プライマーBrGTR2−A2−Inner−fw
配列番号72:プライマーBrGTR2−A2−Inner−fw2
配列番号73:プライマーBrGTR2−A2−Inner−rv
配列番号74:プライマーBrGTR2−A2−126−f(10位のウラシル)
配列番号75:プライマーBrGTR2−A2−126−r(10位のウラシル)
配列番号76:プライマーBrGTR2−A2−145−f(9位のウラシル)
配列番号77:プライマーBrGTR2−A2−145−r(9位のウラシル)
配列番号78:プライマーBrGTR2−A2−192−f(9位のウラシル)
配列番号79:プライマーBrGTR2−A2−192−r(9位のウラシル)
配列番号80:プライマーBrGTR2−A2−229−f(11位のウラシル)
配列番号81:プライマーBrGTR2−A2−229−r(11位のウラシル)
配列番号82:プライマーBrGTR2−A2−359−f(10位のウラシル)
配列番号83:プライマーBrGTR2−A2−359−r(10位のウラシル)
配列番号84:プライマーAtGTR2f(8位のウラシル)
配列番号85:プライマーAtGTR2r(8位のウラシル)
配列番号86:プライマーAtGTR4e1f(8位のウラシル)
配列番号87:プライマーAtGTR4e1r(9位のウラシル)
配列番号88:プライマーAtGTR4e2f(9位のウラシル)
配列番号89:プライマーAtGTR4e2r(13位のウラシル)
配列番号90:プライマーAtGTR4e3f(13位のウラシル)
配列番号91:プライマーAtGTR4e3r(9位のウラシル)
配列番号92:プライマーAtGTR4e4f(9位のウラシル)
配列番号93:プライマーAtGTR4e4r(8位のウラシル)
配列番号94:プライマーAtGTR5f(8位のウラシル)
配列番号95:プライマーAtGTR5r(8位のウラシル)
配列番号96:プライマーT7
配列番号97:プライマーpNB1rev
配列番号98:プライマーAtGTR1_N879742_RP
配列番号99:プライマーAtGTR1_N879742_RP
配列番号100:プライマーAtGTR1_N870210_RP
配列番号101:プライマーAtGTR1_N870210_RP
配列番号102:プライマーAtGTR1_N409421_RP
配列番号103:プライマーAtGTR1_N409421_RP
配列番号104:プライマーAtGTR1_RP_fw
配列番号105:プライマーAtGTR1_RP_rev
配列番号106:プライマーAtGTR2_RP_fw
配列番号107:プライマーAtGTR2_RP_rev
配列番号108:プライマーAtGTR3_RP_fw
配列番号109:プライマーAtGTR3_RP_rev
配列番号110:プライマーAtGTR1pf
配列番号111:プライマーAtGTR1pr
配列番号112:プライマーAtGTR2pf
配列番号113:プライマーAtGTR2pr
配列番号114:プライマーAtGTR1r−YFP
配列番号115:プライマーYFPf−AtGTR1−融合
配列番号116:プライマーYFPr−AtGTR1−3’utr−融合
配列番号117:プライマーAtGTR1(3’utr)f−YFP融合
配列番号118:プライマーAtGTR1(3’utr)r
配列番号119:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−A1タンパク質をコードするGTR2−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号120:配列番号119によってコードされる野生型GTR2−A1タンパク質。
配列番号121:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−A2タンパク質をコードするGTR2−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号122:配列番号121によってコードされる野生型GTR2−A2タンパク質。
配列番号123:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−A3タンパク質をコードするGTR2−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号124:配列番号123によってコードされる野生型GTR2−A3タンパク質。
配列番号125:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B1タンパク質をコードするGTR2−B1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)(エクソン2上の部分配列)。
配列番号126:配列番号125(部分配列)によってコードされる野生型GTR2−B1タンパク質。
配列番号127:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B2タンパク質をコードするGTR2−B2遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号128:配列番号127によってコードされる野生型GTR2−B2タンパク質。
配列番号129:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B3タンパク質をコードするGTR2−B3遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号130:配列番号129によってコードされる野生型GTR2−B3タンパク質。
配列番号131:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−C1タンパク質をコードするGTR2−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号132:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−A2タンパク質をコードするGTR2−A2遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号133:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−A3タンパク質をコードするGTR2−A3遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号134:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B1タンパク質をコードするGTR2−B1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号135:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B2タンパク質をコードするGTR2−B2遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号136:Brassica junceaに由来する野生型GTR2−B3タンパク質をコードするGTR2−B3遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号137:Brassica napus(変異体)に由来する野生型GTR1−C1タンパク質をコードするGTR1−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含む)。
配列番号138:Brassica napusにおけるGTR1発現の発現のダウンレギュレーションのためのdsRNA構築物。
配列番号139:Brassica napusにおけるGTR2発現の発現のダウンレギュレーションのためのdsRNA構築物。
配列番号140:Brassica napusにおけるGTR1及びGTR2発現の発現のダウンレギュレーションのためのdsRNA構築物。
配列番号141:30アミノ酸NH2末端延長を含むArabidopsis thalianaに由来する野生型GTR1タンパク質をコードするGTR1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号142:配列番号141によってコードされる30アミノ酸N末端延長を含む野生型GTR1タンパク質。
配列番号143:23アミノ酸NH2末端延長を含むBrassica napusに由来する野生型GTR1_A1タンパク質をコードするGTR1−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号144:配列番号143によってコードされる23アミノ酸N末端延長を含む野生型GTR1−A1タンパク質。
配列番号145:23アミノ酸NH2末端延長を含むBrassica napusに由来する野生型GTR1タンパク質をコードするGTR1−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号146:配列番号145によってコードされる23アミノ酸N末端延長を含む野生型GTR1−C1タンパク質。
配列番号147:23アミノ酸NH2末端延長を含むBrassica rapaに由来する野生型GTR1−A1タンパク質をコードするGTR1−A1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号148:配列番号147によってコードされる23アミノ酸N末端延長を含む野生型GTR1−A1タンパク質。
配列番号149:23アミノ酸NH2末端延長を含むBrassica oleraceaに由来する野生型GTR1−C1タンパク質をコードするGTR1−C1遺伝子のコードDNA(イントロンを含まない)。
配列番号150:配列番号149によってコードされる23アミノ酸N末端延長を含む野生型GTR1−C1タンパク質。
実施例において特に記載のない限り、すべてのリコンビナントDNA技術は、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, in Volumes 1 and 2 of Ausubel et al.(1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USA and in Volumes I and II of Brown (1998) Molecular Biology LabFax, Second Edition, Academic Press (UK)に記載されている標準的な分子生物学的技術に従って行われる。植物分子操作に関する標準的な材料と方法は、Plant Molecular Biology Labfax (1993) by R.D.D. Croy, jointly published by BIOS Scientific Publications Ltd (UK) and Blackwell Scientific Publications, UKに記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応に関する標準的な材料と方法は、Dieffenbach and Dveksler (1995) PCR Primer: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、及びMcPherson at al.(2000) PCR - Basics: From Background to Bench, First Edition, Springer Verlag, Germanyに見られ得る。
当業者であれば、本明細書における開示を考慮して、過度の負担なく、以下で具体的に記載されていない本発明のあらゆる方法を実施し得る。
実施例1:GTRタンパク質の同定及び特性決定
Arabidopsis GTR配列の同定及び特性決定
最も豊富なArabidopsis GSL4−メチルチオブチルグルコシノレート(4−MTB)のXenopus卵母細胞への取り込みに関して、全長cDNAとして利用可能なArabidopsisトランスポーターのライブラリー(RIKEN bioresource center (Ibaraki, Japan)製)を、10個の遺伝子のプールで機能的スクリーニングした。構築したライブラリーは、Arabidopsis膜タンパク質ライブラリーデータベースにおいて、「有機溶質トランスポーター」又は10〜14個の膜貫通セグメントを有する「機能未知」として分類される239個のトランスポーターからなる(Nour-Eldin et al., 2006, Plant Methods 2 : 17)。本研究において意図する輸送タンパク質ターゲットは、アポプラストからのインポーターである可能性があったので、Xenopus卵母細胞取り込みアッセイを酸性バッファー(pH5)で実施した。この手順に従って、At3g47960(本明細書においてAtGTR1と名付けられる;配列番号1、2、61及び62)及びAt1g18880(本明細書においてAtGTR3と名付けられる;配列番号5及び6)をGSLトランスポーターとして同定した(Nour-Eldin, 2007、前掲)。
At3g47960及びAt1g18880は、NRT/PTRトランスポーターファミリーに属し(Steiner et al., 1995, Molecular Microbiology 16: 825-834; Tsay et al., 2007, FEBS letters 581: 2290-2300)、これは、硝酸塩、亜硝酸塩及びペプチドトランスポーターからなることが示されている(Tsay et al., 2007, FEBS letters 581: 2290-2300; Segonzac et al., 2007, Plant Cell 19 : 3760-3777; Komarova et al., 2008, Plant Physiol 148 : 856-869)。系統発生解析により、これらの2個の遺伝子は、6個のホモログで小さなサブクレードを形成することが示された(図1aを参照のこと):At3g47960(本明細書においてAtGTR1と名付けられる;配列番号1、2、61及び62)、At5g62680(本明細書においてAtGTR2と名付けられる;配列番号3、4、63及び64)、At1g18880(本明細書においてAtGTR3と名付けられる;配列番号5及び6)、At1g69860(本明細書においてAtGTR4と名付けられる;配列番号7及び8)、At1g69870(本明細書においてAtGTR5又はNRT1.7と名付けられる;配列番号9及び10)、At1g27080(本明細書においてAtGTR6又はNRT1.6と名付けられる;配列番号11及び12)図1b及び表4は、異なるAtGTR配列の間の配列同一性を示す。
Brassica種GTR配列の同定及び特性決定
上記で同定したArabidopsis GTR1及びGTR2配列と本質的に類似する配列に関してゲノムデータベースをスクリーニングすることによって、Brassica napus、Brassica rapa及びBrassica oleracea GTR1及びGTR2核酸配列並びにアミノ酸配列をin silicoで同定した。Arabidopsis GTR1ホモログとの類似性の減少(表5a及びb)に従って、Brassica GTR1配列をGTR1−(A/C)1、2及び3と名付けた(配列表の配列番号13〜24、配列番号37〜42、配列番号49〜54及び配列番号61〜62を参照のこと)。同様に、Arabidopsis GTR2ホモログとの類似性の減少(表6a及びb)に従って、Brassica GTR2配列をGTR2−(A/C)1、2及び3と名付けた(配列表の配列番号25〜36、配列番号43〜48、配列番号55〜60及び配列番号63〜66を参照のこと)。B. junceaヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を配列番号119〜136に提供する。
加えて、B. napus胚トランスクリプトームデータベースにおいて、GTR1及びGTR2配列のタイプ1並びに2の配列(すなわち、GTR1−A1、GTR1−C1、GTR1−A2、GTR1−C2、GTR2−A1、GTR2−C1、GTR2−A2及びGTR2−C2配列)を同定したところ、これらのタイプのGTR1及びGTR2配列は、B. napus胚で発現していることが示された。
さらに、プライマーBrGTR2−A2−f(配列番号67)及びBrGTR2−A2−r(配列番号68)を使用してB. rapa ecotype pekinensisの葉から単離したcDNAをクローニングすることによって、Brassica rapa GTR2−A2核酸配列及びアミノ酸配列(配列表における配列番号65及び66)を同定した。
実施例2:GTRタンパク質の機能特性決定
Arabidopsis及びBrassica GTRタンパク質の機能特性決定
Xenopus卵母細胞における4−MTBの取り込み活性に関して、Arabidopsis NRT/PTRファミリーに由来するAtGTR1〜5、BrGTR2−A2及び12個の他のメンバーを個別に試験した。
AtGTR1及び2は、AtGTR3に対して5倍高い取り込み活性を示したのに対して、AtGTR4及びAtGTR5は、AtGTR1と比較して、10%4−MTB取り込み活性を示した。すべての他の試験したNRT/PTRの取り込み活性は、未注射卵母細胞と区別できなかった。
BrGTR2−A2を発現する卵母細胞は、卵母細胞1個について1時間あたり約2.5nmol 4−MTBを取り込んだ(図2)のに対して、未注射卵母細胞は、4−MTBの検出可能な取り込みを示さなかった。比較すると、AtGTR2を発現する卵母細胞は、1時間あたり約5nmol 4−MTBを取り込んだ(図3A)。
Arabidopsisグルコシノレート輸送タンパク質の生化学的特性決定
最も高いGSL取り込み活性を示したAtGTR1及びAtGTR2を、Xenopus卵母細胞で生化学的に特性決定した。両遺伝子に関して、取り込み培地のpHを6から5に下げると、卵母細胞内の4−MTB蓄積が約8倍高くなったのに対して、pH7における取り込みは、pH5における未注射卵母細胞と区別できなかった(図3A)。これにより、AtGTRがプロトン:GSLシンポーターであることが示された。
AtGTR1及びAtGTR2をそれぞれ発現する卵母細胞を100μM 4−MTB、pH5及びに曝露し、電圧を−50mVに固定して電流記録を実施すると、30nA範囲の内向き電流が生じた。これは、GSLに曝露した場合のAtGTRを介した陽イオンの純流入を示している。GSL誘発性内向き電流は、+30〜−120mVの範囲内の過分膜電位を伴って、電圧依存的に増加した(図3B及びF)。GSLは、1分子あたり負電荷1個を運ぶので、負に帯電した基質を輸送する場合、GSLに対するプロトンの化学量論的組成は、少なくとも2:1でなければならず、これが、一般的には、プロトン依存性オリゴペプチド輸送タンパク質(POT)の典型的な特性であると思われる(Daniel et al. , 2006, Physiology 21 : 93-102)。−60mVに固定したpH5において、AtGTR1及び2による4−MTBの取り込みは、それぞれ、Michaelis-Menten飽和速度に従い、Km=20±1.2μM及びKm=18,7±4,2μMという4−MTBに対するAtGTR1及びATGTR2の高親和性を示した(図3C〜D)。これは、GSLが、in plantaにおけるAtGTRの生理学的基質である可能性があることを示唆している。注目すべきことに、500μM 4−MTBにおけるAtGTR2の基質依存性輸送速度は、250μM及び1mMにおいてよりも25%低かった。この観察結果も、GSL取り込みの直接LC−MS検出によって測定した基質依存性輸送速度において注目に値するものであった。
側鎖を変化させて、GSLに対するAtGTRの基質特異性を調査した。pH5で−50mVに固定したAtGTR1を発現する卵母細胞を、100μMの内因性短鎖メチオニンに由来するGSL 4−MTB、4−メチルスルフィニルブチル−GSL及び外因性フェニルアラニンに由来するp−ヒドロキシベンジル−GSL(pOHBG)で灌流した場合、AtGTR1に関して、30、10及びnAの規模の内向き電流が観察された(図3F)。同様に、AtGTR2は、卵母細胞抽出物のLC−MS分析によって測定した3個のグルコシノレートすべてを取り込んだ(データは示さず)。これにより、トランスポーターは、GSL側鎖に関して広範な特異性を有することが示された。
基質特異性の調査を拡大して、NRT/PTRトランスポーターファミリーに関して以前に同定した基質、すなわち、ジペプチド及びトリペプチド並びに硝酸塩、を含めた。AtGTR1を発現する卵母細胞を、pH5、133μMのジペプチド(ala−his、gly−leu、asp−ala)及びトリペプチド(gly−gly−gly及びmet−ala−ser)で灌流すると、いかなる検出可能な電流も生じなかった。しかしながら、1mM NO3−で灌流すると電流は生じたが、これらの量は、100μM 4−MTBで灌流した場合に測定した電流のわずか1/10になった(図3F)。これにより、AtGTRは、おそらく二重基質特異性を有することが示された。これをさらに調査するために、AtGTR1及びAtGTR2を発現する卵母細胞を、50x超の非ラベル化4−MTB、NO3 −及びジペプチド/トリペプチドの混合物の存在下で40μM C14ラベル化pOHBGに曝露した。50x超の4−MTBのみが、pOHBGの取り込みをバックグラウンドレベルに減少させたのに対して、他の化合物は、有意な阻害効果を有しなかった(図3E)。まとめると、本発明者らの生化学的分析により、AtGTR1及びAtGTR2は、高親和性、特異的、起電性なプロトン駆動性GSLトランスポーターであり、広範囲のGSLに対して広範な特異性を有することが示された。
材料と方法−実施例2:
Xenopus卵母細胞におけるトランスポーターcDNAライブラリーの機能的スクリーニング:2箇所改変したが本質的にはNour-Eldin et al. (2006, Plant Methods 2 : 17)に記載されているように、Xenopus卵母細胞において、239個のArabidopsisトランスポーターのライブラリーの調製及び機能的スクリーニングを実施した。第1に、in vitro転写前に、DNA鋳型をプールしなかった。代わりに、各PCR産物を個別にin vitro転写し、次いで、プール1個あたり10個の転写産物にプールした。転写を個別に実施して、プールしたPCRフラグメントの転写効率が変化する可能性により、遺伝子プールがアンバランスになるのを防止した。第2に、ライブラリーを、10個の転写産物をそれぞれ含む23個のプールと、9個の転写産物を含む24番目のプールとに分割した。1mM 4−MTB(Arabidopsis配列の場合)又は0.5mM 4−MTB(Brassica配列の場合)を含むKulori(pH5)中、室温で、取り込みアッセイを実施した。続いて、注射した卵母細胞へのGSL取り込みを媒介した転写産物プールを、個別の転写産物として注射して、GSLトランスポーターを同定した。
Xenopus卵母細胞における発現のための構築物:プライマー対AtGTR2f(配列番号84)及びAtGTR2r(配列番号85)並びにプライマー対AtGTR5f(配列番号94)及びAtGTR5r(配列番号95)(Nour-Eldin et al., 2006, Nucl Acids Res 34 : e122)をそれぞれ使用して、葉組織に由来するcDNAから、AtGTR2及びAtGTR5のコード配列をクローニングした。第1エクソンに関するプライマー対AtGTR4e1f及びAtGTR4e1r(配列番号86及び87)、第2エクソンに関するプライマー対AtGTR4e2f及びAtGTR4e2r(配列番号88及び89)、第3エクソンに関するプライマー対AtGTR4e3f及びAtGTR4e3r(配列番号90及び91)、並びに、第4エクソンに関するプライマー対AtGTR4e4f及びAtGTR4e4r(配列番号92及び93)を使用するPCR増幅によって、AtGTR4をクローニングし、続いて、ゲノムDNAに由来するその4個のエクソンを融合した。以前に記載されているように(Geu-Flores et al., 2007, Nucl Acids Res 35 :e55)、USER融合及びpNB1uへのクローニングを実施した。
B. rapa ecotype pekinensisの葉から単離したcDNAから、BrGTR2−A2のコード配列(配列番号65)をクローニングした。プライマーBrGTR2−A2−f(配列番号67)及びBrGTR2−A2−r(配列番号68)を使用してCDSをクローニングし、Xenopus発現ベクターpNB1u(Nour-Eldin et al., 2006, Nucl Acids Res 34 : e122)にUSERクローニングした。
プライマーT7(配列番号96)及びpNB1rev(配列番号97)を使用するPCRによって、in vitro転写のための直鎖状鋳型を作製した。以下のように、50μlの反応容量で、cRNAをin vitro転写した:80U T7RNAポリメラーゼ(Fermentas);0,01M DTT;0,1μg/μl BSA;60μM 3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G RNA Cap Structure Analog (New England Biolabs);20U Ribolock(商標)RNase阻害剤(Fermentas);0,01Uピロホスファターゼ(Fermentas);1mM rATP、rUTP、rCTP及び0,05mM rGTP(LAROVA)を含むT7RNAポリメラーゼ転写バッファー中、37℃で、1〜5μgの直鎖状鋳型を30分間インキュベーションした。次いで、rGTPを添加して1mMの最終濃度とし、反応液を3時間インキュベーションした。塩化リチウム沈殿によってRNAを精製し、ヌクレアーゼフリーのH2Oに溶解させて、0,5μg/μlの最終濃度とした。
Xenopus卵母細胞におけるGSL輸送アッセイ:
卵母細胞処置及び注射:以前に記載されているように(1998, Methods Enzymol. 296: 17-52)卵母細胞を準備し、50ngのcRNAを注射した。輸送活性をアッセイする前に、卵母細胞を、17℃で3〜4日間インキュベーションした。
アッセイ条件:TRISでpH5に調整した生理食塩水バッファーkulori(90mM NaCl、1mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgCl2、5mM MES)中で、アッセイを実施した。kuloriバッファー(pH5)中で、卵母細胞を5分間プレインキュベーションして細胞内定常状態pHを確保し、続いて、示された濃度の基質を含む500μlのkuloriバッファー(pH5)に移し、室温で1時間インキュベーションした。氷冷kuloriバッファー(pH5)で、卵母細胞を4回洗浄した。
輸送定量化:放射性ラベル化基質を用いるアッセイの場合、4mlのシンチレーションバイアルに入れた100μlの10%SDS中で20〜30分間振とうすることによって、単一の卵母細胞を破裂させた。2.5mlのEcoScint(商標)scintillation fluid (National Diagnostics)を添加し、シンチレーション計数によって、取り込まれた化合物を定量化した。非ラベル化基質を用いるアッセイの場合、LC−MSによって、卵母細胞抽出物を分析した。繰り返し1回あたり卵母細胞5個のバッチで、卵母細胞を分析した。洗浄した卵母細胞を、1mg/mlスルファターゼ(Sigma A-25-120)を含む100μlのkulori(pH5)中でホモジナイズし、室温で12時間放置した。次いで、等容量の100%メタノールを添加し、サンプルを−20℃で1時間インキュベーションし、20000gで15分間遠心分離した。Bruker HCT-Ultra ion trap mass spectrometer (Bruker Daltonics, Bremen, Germany)と連結したAgilent 1100 Series LC (Agilent Technologies, Germany)を使用するLC−MS分析によって、脱硫酸化グルコシノレートを含む3μlの上清を分析した。Zorbax SB-C18 column (Agilent; 1,8 mm, 2,1 mm X 50 mm)を0,2ml/分の流速で使用し、オーブン温度を35℃に維持した。移動相を、A、0,1%(v/v)HCOOH及び50μM NaClを含む水;B、0,1%(v/v)HCOOHを含むアセトニトリルとした。勾配プログラムを、0〜0,5分、等張2%B;0,5〜7,5分、直線勾配2〜40%B;7,5〜8,5分、直線勾配40%〜90%B;8,5〜11,5分等張90%B;11,6〜15分、等張2%Bとした。11,2〜13,5分の合間に、流速を0,3ml/分に増加した。質量分析計をポジティブエレクトロスプレーモードで実行した。
実施例3:突然変異GTR遺伝子を有する植物及び植物部分の作製並びに特性決定
突然変異GTR遺伝子を有する植物の作製及び特性決定
AtGTR1(atgtr1−1)、AtGTR2(atgtr2−1)及びAtGTR3(atgtr3−1)のArabidopsis T−DNA突然変異体を、それぞれ、SALK T-DNA collection (Alonso et al., 2003, Science 301: 653-657)から同定した。in silicoゲノム配列分析により、atgtr1−1は、第1エクソンにT−DNA挿入を含むのに対して、atgtr2−1は、コード領域の第4エクソンにT−DNA挿入を含み、atgtr3−1は、第3エクソンにT−DNA挿入を含むことが示された。遺伝子型決定[atgtr1に関するプライマー対AtGTR1_N879742_RP(配列番号98)及びAtGTR1_N879742_LP(配列番号99)、atgtr2に関するAtGTR2_N870210_RP(配列番号100)及びAtGTR2_N870210_LP(配列番号101);並びにatgtr3に関するAtGTR3_N409421_RP(配列番号102)及びAtGTR3_N409421_LP(配列番号103)を使用する]、及び、RT−PCR分析[AtGTR1に関するプライマー対AtGTR1_RT_fw(配列番号104)及びAtGTR1_RT_rev(配列番号105)、AtGTR2に関するAtGTR2_RT_fw(配列番号106)及びAtGTR2_RT_rev(配列番号107)並びにAtGTR3に関するAtGTR3_RT_fw(配列番号108)及びAtGTR3_RT_rev(配列番号109)を使用する]により、atgtr1、atgtr2及びatgtr3ホモ接合性突然変異体は、それらの各AtGTRに関するヌル突然変異体であったことが示された。atgtr1突然変異植物とatgtr2突然変異植物を交雑することによって、ダブルノックアウト突然変異体を作製した。野生型、atgtr1、atgtr2及びatgtr1/atgtr2遺伝子型のそれぞれに関して、分離F2集団から、3個のホモ接合性系統を同定した。
配列番号65のBrGTR2−A2配列、並びに、tillingプライマーBrGTR2−A2−Till−f(配列番号69)、BrGTR2−A2−Till−r(配列番号70)、BrGTR2−A2−Inner−fw(配列番号71)、BrGTR2−A2−Inner−fw2(配列番号72)及びBrGTR2−A2−Inner−rv(配列番号73)を使用するTILLINGによって、突然変異B. rapa ecotype R-0-18植物集団(RevGenUK)において、BrGTR2−A2のBrassica rapa置換突然変異体を同定した。20個の置換突然変異を見出した:7個のサイレント突然変異(同じアミノ酸をコードするコドンをもたらす核酸突然変異)、8個の重篤でない突然変異(同じ機能クラスに属するアミノ酸をコードするコドンをもたらす核酸突然変異)、4個の重篤な突然変異(異なる機能クラス(例えば、大型に対して小型、極性に対して非極性、非脂肪族に対して脂肪族、非芳香族に対して芳香族、極性に対して疎水性、非酸性側鎖に対して酸性側鎖)に属するアミノ酸をコードするコドンをもたらす核酸突然変異)、及び、1個の終止コドン突然変異。B. rapa ecotype R-0-18に由来するBrGTR2−A2のゲノムDNA配列において見出された重篤又は終止突然変異コドンのヌクレオチド位置、及び、配列番号66における対応するアミノ酸位置を、表7に示す。B. rapa ecotype pekinensisに由来するBrGTR2−A2の示したアミノ酸をコードするコドンは、配列番号65における示したアミノ酸位置に見出すことができる。各突然変異に関して、プライマーBrGTR2−A2−Inner−fw(配列番号71)、BrGTR2−A2−Inner−fw2(配列番号72)及びBrGTR2−A2−Inner−rv(配列番号73)を使用し、得られたアンプリコンを配列決定し、表7に示した位置における野生型又は突然変異コドンの存在を決定して、ホモ接合性野生型及び突然変異B. rapa植物を同定した。突然変異植物を生育し、異なる植物部分においてGSL含量を測定する。
突然変異植物を生育し、異なる植物部分においてGSL含量を測定する。結果を図9にまとめる。Brgtr2ノックアウト突然変異体に由来する種子(BrGTR2(W229X Mut1−9))は、「真の」WT B. rapa種子及びBrGTR2 S(W229X)WTSの両方と比較して、グルコシノレート含量が減少していた。各遺伝子型の種子をプールする場合、減少は、BrGTR2(W229X−WT)植物と比較して、〜80%である。アミノ酸G145R(G145R Mut1〜4)の突然変異をしたBrGTR2を含むB. rapa植物は、非常にばらつきのあるグルコシノレート含量を示しているが、これは、種子グルコシノレート含量に影響を与える遺伝子におけるさらなるEMS誘発性点突然変異の分離が、おそらく原因である。
突然変異Brassica rapa GTR2−A2タンパク質の機能特性決定
Xenopus卵母細胞における4−MTBの取り込み活性に関して、同定した突然変異BrGTR2−A2タンパク質を個別に試験した。以前に記載されているように(Geu-Flores et al., 2007, Nucl Acids Res 35 :e55)、USER融合によって、BrGTR2−A2に点突然変異を作製した。つまり、コード配列を、所望の突然変異位置に隣接する2個のフラグメントとしてPCR増幅する。各フラグメントは、塩基置換が組み込まれた相補的なテイルを有する。加えて、ウラシル特異的切断試薬(USER)により切断されると長い一本鎖オーバーハング(これは、他のフラグメントに由来する相補的なテイルと容易にかつしっかりとアニーリングする)を生じるウラシル残基を、各テイルは含む。各フラグメントの末端終結部において、突然変異の上流に位置するフラグメントのためのフォワードプライマーとしてBrGTR2−A2−fプライマーを使用し、突然変異の下流に位置するフラグメントのためのリバースプライマーとしてBrGTR2−A2−rを使用した。ジャンクションにおいて使用したプライマーを、配列番号74及び75(表7に示されるアミノ酸126置換のためのフォワード及びリバースプライマー)、配列番号76及び77(表7に示されるアミノ酸145置換のためのフォワード及びリバースプライマー)、配列番号78及び79(表7に示されるアミノ酸192置換のためのフォワード及びリバースプライマー)、配列番号80及び81(表7に示されるアミノ酸229置換のためのフォワード及びリバースプライマー)並びに配列番号82及び83(表7に示されるアミノ酸359置換のためのフォワード及びリバースプライマー)に示す。pNB1uベクターへの挿入後に配列決定することによって各クローンを確認し、上記のようにRNAを作製し、卵母細胞に注射した。各クローンの取り込み活性を図2及び表7に示す。
結論としては、終止コドンを含むBrGTR2は非機能的であり、これは、トランケーション型のタンパク質がin plantaで非機能的であることを示しているのに対し、残りの突然変異は様々な輸送活性を示した。これらの様々な輸送活性は、置換を受けるアミノ酸位置が、BrGTR2輸送活性に重要であることを示している。POTタンパク質の提案モデルによれば、膜貫通ヘリックス番号1、2、4、5、7、8、10及び11は、トランスポーターの中心孔を1列に並べ、輸送機構に関与する。残りのヘリックス(番号3、6、9及び12)は周辺に見られ、構造的安定性を付与し得る。突然変異BrGTR2(G126R)及びBrGTR2(S359F)は、それぞれ膜貫通ヘリックス3及び7に存在する。ヘリックス3は、輸送機構に関与しないはずである;従って、BrGTR2(G126R)は、タンパク質の三次構造をひどく破壊し、取り込み活性がほとんどなくなった原因の可能性があるという仮説を立てることができる。ヘリックス7は、輸送が起こる場所である中心孔を1列に並べる;従って、このBrGTR2(S359F)に関して見られた取り込み活性の増加は、小さい側鎖(セリン)から大きい側鎖(フェニルアラニン)に転移して、孔の拡大が起こったためである可能性がある。さらに、S359F転移の極性の変化は、活性の増加に寄与する可能性がある。突然変異BrGTR2(G145R)は、4−MTBの取り込みに有意な変化を引き起こさない。ヘリックス4とヘリックス5の間の細胞質ループにおける突然変異BrGTR2(E192K)は、グルコシノレート取り込みの減少を引き起こすようである。負に帯電したグルタミン酸から正に帯電したリシンへのアミノ酸シフトは、非常に劇的であり、おそらくタンパク質構造を破壊する可能性がある。さらに、リン酸化部位は、AtGTR2のペプチド配列「ser−glu−ser−gly−lys−arg」上に示唆された。AtGTR2とBrGTR2のアライメントは、この配列が保存されていること、及び、当該ペプチドがBrGTR2の残基191〜196に対応することを示している。従って、突然変異グルタミン酸(E192K)の周囲のセリン(191及び193)の一方が、正常にリン酸化(又は脱リン酸化)される場合、これは、リシンへの転移によって防ぐことができる;次いで、これが取り込み活性を減少させ得る。
突然変異GTR Arabidopsis植物の種子におけるGSL含量の特性決定
ヘテロ接合性atgtr1、atgtr2及びatgtr3突然変異体に由来する分離後代のGSL分析により、ホモ接合性atgtr3植物に由来する種子は、野生型レベルの総脂肪族及びインドールGSLを含むことが示された。同様に、atgtr1は、種子1個あたりの総脂肪族及びインドールグルコシノレート含量が有意に減少していなかったのに対して、atgtr2種子は、総脂肪族GSL濃度が約50%減少していた(図4A〜C及び5A)。加えて、インドールGSL含量は、atgtr2種子において検出できなかった。植物1個体あたり20個の種子を分析したところ、各ホモ接合性atgtr1/atgtr2系統に由来する種子におけるGSLレベルは、検出限界未満であったが、これは、種子へのGSL輸送においてAtGTR1及びAtGTR2の複合的な活動が果たす重要な役割を示している。野生型及びatgtr1/atgtr2植物に由来する10mgの種子を分析したところ、atgtr1/atgtr2植物に由来する種子において、野生型と比較して250倍低いレベルの微量のグルコシノレートを検出できた。
分子相補性に関して、それぞれ、2kbプロモーターと、YFPに融合したゲノム配列と、3’UTRとを含むAtGTR1構築物、及び、2kbプロモーターとそれに続くゲノム配列とからなるAtGTR2構築物を、atgtr1/atgtr2二重突然変異体に導入したところ、種子における脂肪族及びインドールGSL含量の両方を回復させることが示された(図4E〜F)。これにより、atgtr1/atgtr2突然変異体におけるGSLフリーの種子の表現型は、AtGTR1及びAtGTR2輸送タンパク質の欠如が原因であることが実証された。
突然変異GTR Arabidopsis植物の葉におけるGSL含量の特性決定
抽だい前、抽だい後及び老化時のロゼット全体において、GSLレベルを測定した。野生型植物に由来するロゼットにおいて、脂肪族GSL含量を測定したところ、抽だいの前後ではロゼット1個あたりそれぞれ28±13及び68±19nmolであり、老化ロゼットでは8±3nmolであった。対照的に、atgtr1/atgtr2植物に由来するロゼットでは、脂肪族GSL含量は、ロゼット1個あたり抽だい前の27±11nmolから抽だい後の410±78nmolに劇的に増加し、老化時はロゼット1個あたり161±31nmolに保たれていた。atgtr1及びatgtr2単一ノックアウト系統のロゼットは、atgtr1/atgtr2のロゼットと比較して、中間レベルを含んでいた(図4B)。脂肪族GSLと比較して、インドールGSL含量は、ロゼット組織において、より大きな変動を示した。しかしながら、抽だい後及び老化時において野生型とatgtr1/atgtr2のロゼットを比較すると、atgtr1/atgtr2のロゼットは、平均して2倍高いインドールGSLを含んでいた。まとめると、これらの観察結果は、ロゼット組織が、脂肪族及びインドールGSLの両方を連続的に合成して輸出することを示しており、AtGTR1及びAtGTR2の両方が、野生型植物におけるこの活動に重要であることを実証している。
突然変異GTR Arabidopsis植物の茎、花、葉、長角果及び長角果壁におけるGSL含量の特性決定
抽だい後の植物から、花序(長角果及び茎生葉を含まない)、茎生葉、すべてのインタクトな長角果(種子を含む)、及び、単一の切開した長角果(最も未成熟及び最も成熟なもの)に由来する長角果壁において、GSL含量を別々に測定した。加えて、老化時において、単一の長角果壁を分析した。
抽だい後の野生型では、花序(長角果及び茎生葉を含まない)は、花序1個あたり200±46nmolの脂肪族GSLを含んでいたのに対して、atgtr1/atgtr2植物に由来する花序は、61±28nmolを含んでおり、atgtr1及びatgtr2植物の花序は、中間レベルを含んでいた(図5C)。抽だい後の野生型植物に由来する茎生葉では、脂肪族GSL含量は、茎生葉合計で59±15nmolの量であったのに対して、atgtr1/atgtr2突然変異体は、それらの茎生葉において181±20nmolを含んでいた(図5C)。脂肪族GSLの含量の増加は、長角果壁においても観察され、抽だい後のatgtr1/atgtr2植物における濃度は、長角果壁1個あたり8.8±3nmolであったのに対して、野生型植物では、長角果壁1個あたり2.9±0,8nmolであった。老化時において、野生型に由来する長角果壁におけるGSLレベルは、長角果壁1個あたり0.3±0,13nmolに減少したのに対して、atgtr1/atgtr2の長角果壁は、3±0,78nmolに保たれていた(図5D)。
まとめると、これらの観察結果は、この発生段階において、ロゼット組織に加えて茎生葉及び長角果壁が、GSL源として機能するのに対して、花序全体又はその一部は、AtGTR1及びAtGTR2媒介性GSL輸送のシンクを構成するようであることを示している。長角果を分析した際の2つのさらなる観察結果は、注目に値する。第1に、抽だい後の野生型又はatgrt1/atgtr2突然変異体に由来するインタクトな長角果を分析した際に、GSL含量に有意差は観察されず(図5C)、これは、この発生段階において、インタクトな長角果のGSL含量が、AtGTR1及びAtGTR2の活性にもっぱら依存していないことを示している(図5D)。第2に、他の組織とは対照的に、抽だい後のatgtr1及びatgtr2単一突然変異体は、atgtr1/atgtr2と比較して中間の表現型を示さず、反対に、atgtr1及びatgtr2は両方とも野生型と似ていたが、これはおそらく、両方のトランスポーターを突然変異させることの興味深い相乗効果を示している(図5D)。
抽だい後の植物の様々な組織における総脂肪族GSL含量のバランスを計算すると、atgtr1/atgtr2植物は、ロゼット及び茎生葉において、野生型と比較して、約460nmolの過剰分を含むことが見られる。この増加は、atgtr1/atgtr2植物の茎及びインタクトな長角果における約160nmolの減少によってのみ達成されるので、これは、野生型と比較して、atgtr1/atgtr2植物の地上部合計で総脂肪族GSL含量の約300nmolの増加をもたらす(表8)。
突然変異GTR Arabidopsis植物の根におけるGSL含量の特性決定
抽だい前後の水耕栽培植物に由来する根、ロゼット及び花序において、GSL濃度を測定した。抽だい前では、野生型の根における脂肪族グルコシノレート含量は、1,75±0.28nmol/mg生重量であったのに対して、atgtr1/atgtr2の根に含まれるのは、20倍少なかった(0,08±0,06nmol/mg)。抽だい後では、野生型植物に由来する根は、0,8±0,14nmol/mgの脂肪族グルコシノレートを含んでいたのに対して、atgtr1/atgtr2植物に由来する根は、0.2±0.06nmol/mg(すなわち、4倍未満)を含んでいた(図6A)。土壌栽培植物とは対照的に、抽だい前の水耕栽培植物に由来する対応するロゼットにおける脂肪族グルコシノレート含量は、atgtr1/atgtr2植物(1,33±0,11nm/mg)では、野生型(0,64±0,1nmol/mg)と比較して、2倍超であった(図6B)。抽だい後では、野生型とatgtr1/atgtr2植物に由来するロゼットの間の倍差は、より顕著になり、野生型植物は、0.35±0,13nmol/mgを含んでいたのに対して、atgtr1/atgtr2のロゼットは、1.44±0,16nmol/mg(すなわち、4倍超の濃度)を含んでいた(図6B)。最後に、野生型とatgtr1/atgtr2植物に由来する花序の間の脂肪族グルコシノレート濃度に、有意差は見られなかった(図6B)。まとめると、これらの観察結果は、atgtr1/atgtr2の地上組織におけるグルコシノレート蓄積の大幅な増加が、根に輸送されるはずであった量によって説明できることを示している。従って、根は、グルコシノレート輸送に関する、まだ同定されていない強力なシンクを構成する。
Arabidopsis植物におけるAtGTR1及び2の組織、細胞並びに細胞内局在の特性決定
β−D−グルクロニダーゼ(beta−D−glucoronidase)(GUS)の発現を駆動するのに、2kbの各プロモーターを使用した。抽だい前は、pGTR1::GUS活性は、排水組織の周囲の明確なスポットに限定されていた。対照的に、抽だい後は、ロゼット葉の維管束組織、葉肉及び表皮を含む葉全体にわたって、pGTR1::GUS活性を検出した。発生中の花では、pGTR1::GUS活性は、萼片の表皮の個々の細胞において見られたのに対して、発生中の長角果は、表皮及び珠柄において活性を示した。この発現パターンにより、AtGTR1は、抽だい後の葉全体にわたって、細胞間のグルコシノレート輸送において普遍的な役割を果たす可能性があることが示された。表皮への局在により、グルコシノレートは、葉の外周に輸送される可能性があることが示された。
pGTR2::NLS−GFP−GUSトランスジェニック植物では、GUS活性は、発生を通じて維管束組織において強くかつ主に検出され、いくらかの活性が、葉の表皮においても検出された。さらに、GUS活性は、萼片の維管束構造、花弁及び発生中の花の花糸において検出された。発現は、長角果壁の維管束組織及び発生中の種子の珠柄においても検出された。比較すると、GUS活性は、いかなる発生段階の非トランスフォーメーション植物のいかなる組織においても検出できなかった。AtGTR2が維管束組織において明らかに限定的かつ構成的に発現していることにより、維管束組織におけるバリアを越えてグルコシノレートを輸送して、シンクへの長距離輸送を可能にする主な役割が示された。
材料と方法−実施例3:
植物材料及び生育条件:地上組織におけるGSL分析及び発現局在研究に関して、20℃、16時間明期(700μE*m*-2*s-1)のグロースチャンバーにおいて、4cmの植木鉢に入れた土壌で、Arabidopsis植物(ecotype Columbia-0)を栽培した。根におけるGSL分析に関して、(Lehmann et al. 2009, Mol Plant 2: 390-406)に記載されている水耕システムにおいて、植物を生育した。つまり、空のピペット−チップボックス内に保持した0.5mlのマイクロチューブに入れた0.5%植物寒天/50%Gibeaut’s栄養溶液(Gibeaut et al., 1997, Plant Physiol 115 : 317-319)上で、種子を発芽させた。発芽後約1週間にチューブの底を切り取り、ボックスを100%栄養溶液で満たした。約2週間後に植物をより大きなコンテナに移し、20℃、16時間:8時間光周期の下で生育した。栄養溶液を毎週交換し、遺伝子型を別々のコンテナで生育した。土壌栽培植物に関して記載したように、グルコシノレート分析のための個々の組織の回収を実施した。
植物組織からのGSL抽出及び分析:atgtr1−1×atgtr2−1の交雑から生じた各遺伝子型の各系統(それぞれに関して同定した3つ)において、3つの時点でGSLレベルを分析した。1)抽だい前:花序の出現前の10〜14枚の葉を有する完全に形成されたロゼットを特徴とする3週齢植物(成長段階1.10〜1.12)、2)抽だい後:全長が最低である長角果、及び、少なくとも7〜10個の発生中の長角果が存在することを特徴とする5週齢植物(成長段階6.10〜6.30)、3)老化:老化して乾燥した緑色組織、及び、発生した長角果すべてが成熟種子を含むことを特徴とする8〜9週齢植物(成長段階9.7)。成長段階の定義は、以前に記載されている通りである(Boyes et al., 2001, Plant cell 13: 1499-1510)。各遺伝子型の各系統において、抽だい前後の水耕栽培植物のロゼット、根及び花序におけるGSLレベルも分析した。
土壌栽培又は水耕栽培した抽だい前後の植物で実施した分析に関して、新鮮組織を採取し、ホモジナイズした。具体的には、抽だい後の長角果壁の分析に関して、長角果壁及び未成熟種子に切開する前に、インタクトな長角果を凍結乾燥した。老化植物の分析に関して、乾燥組織を採取し、ホモジナイズした。成熟種子の分析に関して、20個の種子を分析した。GSLを抽出し、以前に記載されているように(Hansen et al. 2007, Plant J 50 : 902-910)、C 18 reversed phase column (Supelcosil LC-18-DB、25cm×4.6mm、5μm粒径、Supelco, Bellefonte, PA, USA)を備えるHP1200 Series HPLC(Agilent製)を用いて、1ml分−1の流速(注入量45μl)で水(溶媒A)−アセトニトリル(溶媒B)勾配を使用することにより、脱硫酸化GSLとして分析した。勾配を以下のようにした:1.5〜7%B(5分)、7〜25%(6分)、25〜80%(4分)、80%B(3分)、80−35%B(2分)、35〜1.5%B(2分)及び1.5%B(3分)。200〜400nm(2nm間隔)のダイオードアレイ検出によって、溶出液をモニタリングした。公知の基準のもの(Reichelt et al., 2002)との保持時間及びUV吸収スペクトルの比較に基づいて、脱硫酸化GSLを同定した。応答係数(Brown et al., 2003; Fiebig and Arens, 1992)に対して計算したnmolとして、結果を示す。
レポーター及び相補構築物の構築:すべてのクローニングにE.coli株DH10Bを使用した。AtGTR1及びAtGTR2プロモーター:レポーター構築物に関して、AtGTR1プロモーター用のプライマーAtGTR1pf(配列番号110)及びAtGTR1pr(配列番号111)、並びに、AtGTR2プロモーター用のプライマーAtGTR2pf(配列番号112)及びAtGTR2pr(配列番号113)を使用して、Arabidopsis(Col-0)ゲノムDNAから、プロモーターを増幅した。pCambia3300u−NLS−GPF−GUS、すなわちβ−D−グルクロニダーゼに融合したGFPが後ろにある核局在シグナルの上流(Chytilova et al., 1999, Ann. Bot. 83: 645-654)に、プロモーターフラグメントをUSERクローニングした。相補構築物AtGTR2プロモーター−ATGTR2ゲノム遺伝子に関して、プライマープライマーAtGTR2pf(配列番号112)及びAtGTR2pr(配列番号113)を使用して、フラグメントをPCR増幅し、pCambia1300uにUSERクローニングした。相補構築物AGTR1プロモーター−AtGTR1ゲノム遺伝子−YFP−3’UTRに関して、プロモーター−ゲノム遺伝子フラグメント用のプライマーAtGTR1pf(配列番号110)及びAtGTR1r−YFP(配列番号114)、YFPフラグメント用のプライマーYFPf−AtGTR1−融合(配列番号115)及びYFPr−pot13’UTRfusion(配列番号116)、並びに、3’UTRフラグメント用のプライマーAtGTR1(3’UTR)f−YFP融合(配列番号117)及びAtGTR1(3’UTR)r(配列番号118)を使用して、各フラグメントをPCR増幅した。pCambia1300uベクターにフラグメントをUSER融合した。植物発現プラスミドを、安定的ArabidopsisトランスフォーメーションのためのAgrobacterium(GV3101)をトランスフォーメーションするのに使用した。
GUS活性に関するトランスジェニックArabidopsis植物の染色:1mM X−GIc、0.5%Triton X−100、20%(v/v)メタノール、100mM Tris−HCl(pH7.5)及び10mMアスコルビン酸塩を含む溶液に、X週齢Arabidopsis GTR1 prom−GFP−GUS及びGTR2 prom−GFP−GUS植物を浸し、37℃で16時間インキュベーションした。染色後に洗浄し、70%エタノール中でインキュベーションすることによって、クロロフィルを除去した。
実施例4:突然変異Brassica GTR遺伝子及びそれを含む植物及び植物部分の作製並びに特性決定
Brassica植物に由来する種子(M0種子)をEMSに曝露する。突然変異を起こした種子(M1種子)からM1植物を生育し、自家受粉させてM2種子を作製する。M2植物を生育し、植物サンプルからDNAサンプルを調製する。GTR遺伝子のタンパク質コード領域における終止コドンの導入、GTRタンパク質におけるアミノ酸の置換、又は、スプライス部位突然変異を引き起こすGTR遺伝子における点突然変異の存在に関して、DNAサンプルを、上記GTR特異的プライマーを用いて直接配列決定し、点突然変異の存在に関して配列を分析することによってスクリーニングする。M2植物のDNAサンプルにおいて同定した各突然変異GTR遺伝子に関して、GTR突然変異を含むM2植物と同じM1植物に由来するM2植物を生育し、各M2植物個体の植物サンプルから、DNAサンプルを調製する。同定したGTR点突然変異の存在に関して、DNAサンプルをスクリーニングする。
B. napusにおいて以下の突然変異アレルを単離し、M3湿潤種子において総グルコシノレート含量を試験した:
a.GTR2−C2−ems02
b.GTR2−C1−ems05
c.GTR2−C1−ems01
d.GTR2−A2−ems09
e.GTR2−A2−ems03
f.GTR2−A1−ems01
突然変異アレルに関するさらなる詳細は、表3a及び3bを参照のこと。結果を図10にまとめる。観察された総グルコシノレートの最大減少は、単一遺伝子ノックアウトによる51%であった。試験した各遺伝子コピーは、類似の効果をもたらした。高レベルのばらつきは、戻し交雑していない材料における多数の無関係なバックグラウンド突然変異に関係している可能性がある。
このようにして、突然変異GTRアレルを作製し、単離する。また、このような突然変異アレルを含む植物を、以下のように、植物(例えば、Brassica育種系統)における選択した突然変異体及び/又は野生型アレルを組み合わせるのに使用できる:突然変異GTR遺伝子を含むBrassica植物(ドナー植物系統)を、突然変異GTR遺伝子を持たないBrassica植物(アクセプター植物系統)と交雑する。以下の遺伝子移入スキームを使用する(突然変異GTR遺伝子をgtrと略すのに対して、野生型をGTRと示す):
初回交雑:gtr/gtr(ドナー植物) × GTR/GTR(アクセプター植物、例えば、育種系統)
F1植物:GTR/gtr
BC1交雑:GTR/gtr × GTR/GTR(アクセプター植物)
BC1植物:50%GTR/gtr及び50%GTR/GTR
突然変異GTRアレル(gtr)に関する分子マーカー(例えば、AFLP、PCR、Invader(商標)など)を使用して、50%GTR/gtrを選択する。
BC2交雑:GTR/gtr(BC1植物) × GTR/GTR(アクセプター植物)
BC2植物:50%GTR/gtr及び50%GTR/GTR
突然変異GTRアレル(gtr)に関する分子マーカーを使用して、50%GTR/gtrを選択する。
戻し交雑をBC3〜BC6まで繰り返す
BC3〜6植物:50%GTR/gtr及び50%GTR/GTR
突然変異GTRアレル(gtr)に関する分子マーカーを使用して、50%GTR/gtrを選択する。戻し交雑の回数を減らすために(例えば、BC6の代わりにBC3まで)、アクセプター植物系統の遺伝的背景に特異的な分子マーカーを使用できる。
BC3〜6 S1交雑:GTR/gtr × GTR/gtr
BC3〜6 S1植物:25%GTR/GTR及び50%GTR/gtr及び25%gtr/gtr
突然変異GTRアレル(gtr)に関する分子マーカーを使用して、gtrを含む植物を選択する。突然変異及び野生型GTRアレルに関する分子マーカーを使用して、突然変異GTRアレル(gtr/gtr)に関してホモ接合性であるBC3〜6 S1植物個体を選択する。次いで、これらの植物を種子生産に使用する。
突然変異GTR Brassica植物の部分におけるGSL含量の特性決定
突然変異GTR Arabidopsis植物に関して上記に記載したように、突然変異GTR Brassica植物において、種子、茎、花、葉、根、長角果及び長角果壁のGSL含量を分析する。さらなる育種、種子生産又は作物栽培のために、特定の植物部分において特定のGSL含量をもたらす突然変異GTR遺伝子の特定の組み合わせを含むBrassica植物を選択する。
ecotype「R-0-18」(Brassica rapa亜種trilocularisの近交系統)のWT及び突然変異(ゲノム内ターゲット誘発性局所損傷(Targeting Induced Local Lesions IN Genomes)、TILLINGによる)Brassica rapa種子を、Reverse Genetics UK (RevGenUK)から購入した。種子を植物基質上に播種し、Bactimos (B. thuringiensis israelensis)と水を与えた;播種後に、種子を4℃で2日間冷却層積して、一定の高発芽率を得た。最後に、発芽中の種子を、16時間日長及び温度20℃のグロースチャンバーに移した。分析に使用したB. rapa植物は、2.5月齢であった;それらは、緑色の未成熟種子を含む緑色の長角果を有していた。実験において使用した反復植物の数は、n=5植物であった。
B. rapaの葉及び他の組織の重量を量り、モルタル(葉及び根)又はブレンダー(茎及び長角果)のいずれかを使用して、液体N2中でホモジナイズした。内部標準としてp−ヒドロキシベンジルグルコシノレート(pOHB)を含む85%メタノール中で、ホモジナイズした氷冷植物材料から、グルコシノレートを抽出した。45μl DEAE sephadex(商標)A−25カラム材料でロードした96ウェルフィルタープレートに、上清の一部を移した。グルコシノレートはカラム材料に結合させたが、サンプルは、簡単な真空処理を行うことによってフィルタープレートから吸い出した。その後、カラムを70%メタノール及び水で洗浄した。スルファターゼ溶液(2mg/ml)をカラムに添加し、室温で一晩インキュベーションした。100μlの水をカラムに注入し、ショートスピンにより、脱硫酸化グルコシノレートを96ウェルフォーマットプレートに溶出した。サンプルをAgilent technologies 1200 series HPLC-DADシステムで分析し、Zorbax SB-AQカラムで分離した。wt及びノックアウトB. rapaの異なる組織におけるグルコシノレート濃度を図12にまとめ、これらの組織の重量を図13にまとめる。
実施例5:リン酸化/脱リン酸化状態が変化した突然変異GTR1及びGTR2アレルの作製並びに特性決定
http://phosphat.mpimp-golm.mpg.de/(ホスホプロテオミクスデータを収集しているデータベース)で検索可能な実験的に確認されたリン酸化部位に基づいて、構成的リン酸化又は脱リン酸化を模倣するArabidopsis thaliana GTR1及びGTR2アレルを構築した。リン酸化部位候補のアミノ酸(S又はT)をアスパラギン酸で置換することによって、リン酸化を模倣した。アラニンに置換することによって、脱リン酸化を模倣した。以下の構築物を作製した:
以下:
a.22位のSのAへの置換
b.22位のSのDへの置換
c.105位のTのAへの置換
d.105位のTのDへの置換
e.605位のSのAへの置換
f.605位のSのDへの置換
を有する配列番号2のアミノ酸配列(これは、以下:
g.52位のSのAへの置換
h.52位のSのDへの置換
i.135位のTのAへの置換
j.135位のTのDへの置換
k.635位のSのAへの置換
l.635位のSのDへの置換
を有する配列番号142のアミノ酸配列に対応する)を有するGTR1タンパク質をコードする構築物、
又は、以下:
m.58位のTのAへの置換
n.58位のTのDへの置換
o.117位のTのAへの置換
p.117位のTのDへの置換
q.323位のTのAへの置換
r.323位のTのDへの置換
を有する配列番号4のアミノ酸配列を有するGTR2タンパク質をコードする構築物。
また、492(又は522)位のプロリンをロイシンで置換したGTR1又はGTR2をコードする構築物も試験した。
100μMの濃度のグルコシノレート4−MTB(4−メチルスルフィニルブチルグルコシノレート)のプロトン依存性取り込みに関して、リン酸化/脱リン酸化構築物をアッセイした。構築物(100ng/μl)の1つのcRNAを5個の卵母細胞に注射(4回反復)し、17℃で5日間維持した。5日目に、卵母細胞をKulori(pH5)中で5分間プレインキュベーションし、次いで、アッセイ培地(100μMの濃度の4−MTBを含むKulori(pH5))に移した。1時間後に、4−MTBを含む培地から卵母細胞を取り出し、100%メタノール中で抽出する前に、4回洗浄した。4−MTBの取り込みを検出するためのLC−MS分析を行い、結果を図11に示す。
位置S22(S52*)におけるGTR1の構成的脱リン酸化は、輸送を完全に止めることが観察できた。同様に、同じ残基のリン酸化は、取り込みをインタクトな状態に維持することが観察できた。さらに、GTR2 T58の脱リン酸化は、輸送活性をインタクトな状態に維持するのに対して、同じ残基のリン酸化は、輸送を不活性化することが観察できた。GTR1のT105(T135*)及びGTR2のT117の構成的リン酸化並びに脱リン酸化は両方とも、輸送活性を遮断する。GTR1 P492(P522*)及びGTR3 P492のロイシンへの突然変異は、輸送活性を不活性化することも観察できた。つまり、特定の残基におけるリン酸化/脱リン酸化は、GTR1及びGTR2媒介性グルコシノレート輸送をレギュレーションするという結論を出すことができる。(*によって示したアミノ酸位置は、30AAのN末端延長を含むロングバージョンのGTR1に関するものである)
実施例6:dsRNA構築物を使用した、Brassica種におけるGTR1及び/又はGTR2発現のダウンレギュレーション
標準リコンビナントDNA技術を使用して、以下の機能的に連結されたDNAフラグメントを含むリコンビナント遺伝子をコードするdsRNAを構築する。
a)GTR1をダウンレギュレーションするリコンビナント遺伝子
i.植物発現プロモーター(例えば、CaMV35S)
ii.配列番号138のヌクレオチド配列を含むDNA領域
iii.転写終結及びポリアデニル化領域(例えば、3’nos領域)
b)GTR2をダウンレギュレーションするリコンビナント遺伝子
i.植物発現プロモーター(例えば、CaMV35S)
ii.配列番号139のヌクレオチド配列を含むDNA領域
iii.転写終結及びポリアデニル化領域(例えば、3’nos領域)
c)GTR1/GTR2をダウンレギュレーションするリコンビナント遺伝子
i.植物発現プロモーター(例えば、CaMV35S)
ii.配列番号140のヌクレオチド配列を含むDNA領域
iii.転写終結及びポリアデニル化領域(例えば、3’nos領域)
リコンビナント遺伝子をコードするこれらのdsRNAを、選択可能マーカー遺伝子(例えば、リン酸化アセチルトランスフェラーゼをコードする選択可能マーカー遺伝子)と共に、T−DNAベクターの境界の間に(別々に)導入する。従来の方法を使用して、T−DNAベクターを、ヘルパーTiプラスミドを含むAgrobacterium株に導入する。本質的にはDe Block et al. (1989), Plant Physiol. 91: 694に記載されているように、Brassica napusの胚軸外植片を入手し、培養し、トランスフォーメーションして、キメラ遺伝子をBrassica napus植物に移動させる。
トランスジェニックBrassica napus植物を同定し、葉及び種子におけるグルコシノレート含量に関して分析する。
従って、本発明は、以下の段落に記載される実施態様を含む。
段落1.
Brassicales植物又はその部分におけるグルコシノレート(GSL)含量を改変するための方法であって、前記植物若しくは前記植物部分の細胞における配列番号2又は配列番号142と少なくとも33%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのグルコシノレート輸送(GTR)タンパク質の機能活性を改変することを含む、方法。
段落2.
GTRタンパク質が、配列番号2、4、6、8、10、12又は142と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落1記載の方法。
段落3.
GTRタンパク質が、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、120、122、124、126、128、130、144、146、148又は150のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落1又は2記載の方法。
段落4.
GTRタンパク質が、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、120、122、124、126、128、130、144、146、148又は150から選択されるアミノ酸を含む、段落1又は2記載の方法。
段落5.
GTRタンパク質が、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、119、121、123、125、127、129、131、132、133、134、135、136、137、143、145、147又は149のいずれかと少なくとも80%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、段落1〜4のいずれか1つに記載の方法。
段落6.
GTRタンパク質が、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、119、121、123、125、127、129、131、132、133、134、135、136、137、143、145、147又は149から選択される核酸によってコードされる、段落1〜5のいずれか1つに記載の方法。
段落7.
少なくとも2つのGTRタンパク質の機能活性を改変することを含む、段落1〜6のいずれか1つに記載の方法。
段落8.
第1のGTRタンパク質が、配列番号2又は配列番号142と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のGTRタンパク質が、配列番号4と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落7記載の方法。
段落9.
前記第1のGTRタンパク質が、配列番号14、16、18、20、22、24、38、40、42、50、52、54又は144、146、148又は150のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のGTRタンパク質が、配列番号26、28、30、32、34、36、44、46、48、56、58、60、120、122、124、126、128又は130のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落7記載の方法。
段落10.
前記第1のGTRタンパク質が、配列番号14、16、18、20、22、24、38、40、42、50、52又は54又は144、146、148、150から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のGTRタンパク質が、配列番号26、28、30、32、34、36、44、46、48、56、58、60、120、122、124、126、128又は130から選択されるアミノ酸配列を含む、段落7記載の方法。
段落11.
前記第1のGTRタンパク質が、配列番号13、15、17、19、21、23、37、39、41、49、51、53又は137又は143、145、147、149のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有する核酸によってコードされ、前記第2のGTRタンパク質が、配列番号25、27、29、31、33、35、43、45、47、55、57、59、119、121、123、125、127、129、131、132、133、134、135、136のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、段落7記載の方法。
段落12.
前記第1のGTRタンパク質が、配列番号13、15、17、19、21、23、37、39、41、49、51、53又は137又は143、145、147、149から選択される核酸によってコードされ、前記第2のGTRタンパク質が、配列番号25、27、29、31、33、35、43、45、47、55、57、59、119、121、123、125、127、129、131、132、133、134、135、136から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、段落7記載の方法。
段落13.
前記植物又は植物部分の細胞における機能性GTR活性を減少させることを含む、段落1〜12のいずれか1つに記載の方法。
段落14.
GSL含量が、植物種子において減少される、段落13記載の方法。
段落15.
GSL含量が、緑色植物組織において増加される、段落13記載の方法。
段落16.
機能性GTR活性の前記減少が、GTR遺伝子発現のダウンレギュレーションを含む、段落9〜12のいずれか1つに記載の方法。
段落17.
機能性GTR活性の前記減少が、GTRタンパク質活性のダウンレギュレーションを含む、段落1〜16のいずれか1つに記載の方法。
段落18.
RNA分子を前記植物又は植物部分に導入することを含み、前記RNA分子は、前記GTR遺伝子の発現をダウンレギュレーションできるGTR阻害RNA分子を含む、段落17記載の方法。
段落19.
キメラDNA構築物を前記植物又は植物部分に導入することを含み、前記キメラDNA構築物は、以下の機能的に連結されたDNA領域:
a)前記植物又は植物部分で作動するプロモーター;
b)転写されると、前記GTR遺伝子の発現をダウンレギュレーションできるGTR阻害RNA分子を生じる転写DNA領域;
c)転写終結及びポリアデニル化に関与するDNA領域
を含む、段落18記載の方法。
段落20.
前記転写DNA領域が、センスRNA分子をコードし、前記DNA領域が、前記GTR遺伝子のDNA鎖と少なくとも95%の同一性を有する少なくとも20個のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、段落19記載の方法。
段落21.
前記転写DNA領域が、アンチセンスRNA分子をコードし、前記DNA領域が、前記GTR遺伝子のDNA鎖の相補体と少なくとも95%の同一性を有する少なくとも20個のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、段落19記載の方法。
段落22.
前記転写DNA領域が、
a)前記GTR遺伝子と少なくとも95%の同一性を有する少なくとも20の連続ヌクレオチドを含むセンスRNA領域;
b)前記センスRNA領域と相補的な少なくとも20個のヌクレオチドを含むアンチセンスRNA領域;
を含む二本鎖RNA分子をコードし、前記センス及びアンチセンスRNA領域が、二本鎖RNA領域を形成でき、前記二本鎖RNA分子が、前記GTR遺伝子の発現をダウンレギュレーションできる、段落19記載の方法。
段落23.
前記転写DNA領域が、配列番号138、139又は140のヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、段落22記載の方法。
段落24.
前記転写DNA領域が、前記GTR遺伝子から転写されるmRNAの切断を誘導できるmiRNAにプロセシングされるmiRNA前駆体分子をコードする、段落19記載の方法。
段落25.
前記プロモーターが、組織特異的又は誘導性プロモーターである、段落19〜24のいずれか1つに記載の方法。
段落26.
前記プロモーターが、種子特異的プロモーターである、段落25記載の方法。
段落27.
内因性GTR遺伝子のヌクレオチド配列を変化させることを含む、段落16又は17記載の方法。
段落28.
GTRタンパク質が、以下:
a)22位のSのAへの置換
b)22位のSのDへの置換
c)105位のTのAへの置換
d)105位のTのDへの置換
e)605位のSのAへの置換
f)605位のSのDへの置換
のいずれかを有する配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質であるか、
又は、GTRタンパク質が、以下:
g)52位のSのAへの置換
h)52位のSのDへの置換
i)135位のTのAへの置換
j)135位のTのDへの置換
k)635位のSのAへの置換
l)635位のSのDへの置換
のいずれかを有する配列番号142のアミノ酸配列を含むタンパク質である、段落27記載の方法。
段落29.
GTRタンパク質が、以下:
a)58位のTのAへの置換
b)58位のTのDへの置換
c)117位のTのAへの置換
d)117位のTのDへの置換
e)323位のTのAへの置換
f)323位のTのDへの置換
を有する配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質である、段落27記載の方法。
段落30.
GTRタンパク質が、
a)1241〜1243位に終止コドンを含む
配列番号25の核酸によってコードされる、段落27記載の方法。
段落31.
GTRタンパク質が、
a)929〜931位に終止コドンを含む
b)1145〜1147位に終止コドンを含む
配列番号31の核酸によってコードされる、段落27記載の方法。
段落32.
GTRタンパク質が、
a)870〜872位に終止コドンを含む
b)1380〜1382位に終止コドンを含む
配列番号27の核酸によってコードされる、段落27記載の方法。
段落33.
GTRタンパク質が、
a)780〜782位に終止コドンを含む
配列番号33の核酸によってコードされる、段落27記載の方法。
段落34.
GTRタンパク質が、以下の位置:
a)Gly126
b)Gly145
c)Glu192
d)Trp229
e)Ser359
のいずれかに突然変異を含む配列番号66のアミノ酸配列を有するタンパク質である、段落27記載の方法。
段落35.
前記植物が、Brassica植物である、段落1〜34のいずれか1つに記載の方法。
段落36.
段落1〜34のいずれか1つに記載の方法によって得られる、植物又は植物部分。
段落37.
段落36記載の植物に由来する、種子。
段落38.
段落37記載の種子に由来する、種子ミール。
段落39.
段落36記載の植物に由来する、緑色植物組織。
段落40.
段落35記載の植物又は段落37記載の種子に由来する、油。
段落41.
動物飼料における、段落36記載の植物又は植物部分の使用。
段落42.
害虫管理、特に生物燻蒸における、段落36記載の植物又は植物部分の使用。
段落43.
ガン予防における、段落36記載の植物又は植物部分の使用。
段落44.
植物又は植物部分において改変されたGSL含量を得るための、GTRをコードする核酸配列の使用。
段落45.
種子又は種子ミールを製造するための方法であって、減少された機能性GTR活性を有する植物を生育すること、及び、前記植物から種子を回収することを含む、方法。
段落46.
段落19〜32のいずれか1つに記載される、キメラDNA構築物。
段落47.
突然変異GTRタンパク質をコードする核酸であって、対応する野生型GTRタンパク質が、配列番号2又は配列番号142と少なくとも33%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、核酸。
段落48.
野生型GTRタンパク質が、配列番号2、4、6、8、10又は12又は配列番号142と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落33記載の核酸。
段落49.
段落47又は48記載の核酸によってコードされる、突然変異GTRタンパク質。
段落50.
生物学的サンプルにおける段落47又は48記載の核酸を同定するための方法であって、サンプルの核酸における突然変異DNA領域の存在を決定することを含み、前記突然変異DNA領域が、対応する野生型GTRタンパク質をコードする核酸と比較して、突然変異GTR核酸における少なくとも1つの欠失、挿入又は置換されたヌクレオチドを含む、方法。
段落51.
生物学的サンプルにおける段落45又は46記載の核酸を同定するためのキットであって、プライマー又はプローブのセットを含み、前記セットが、
− プライマー又はプローブの一方が、突然変異DNA領域の5’側に隣接するDNA領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他方が、突然変異DNA領域の3’側に隣接するDNA領域を特異的に認識する、プライマー又はプローブのセット、
− プライマー又はプローブの一方が、突然変異DNA領域の5’又は3’側に隣接するDNA領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他方が、突然変異DNA領域を特異的に認識する、プライマー又はプローブのセット、
− それぞれ、プライマー又はプローブの一方が、突然変異DNA領域の5’又は3’側に隣接するDNA領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他方が、3’又は5’隣接領域と突然変異DNA領域の間の連結領域を特異的に認識する、プライマー又はプローブのセット、
− 突然変異DNA領域の5’又は3’側に隣接するDNA領域と、突然変異DNA領域の間の連結領域を特異的に認識する、プローブ
からなる群より選択される、キット。
段落52.
配列番号2、4、6、8、10又は12又は142のアミノ酸配列をコードする、単離されたDNA配列。
段落53.
配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、120、122、124、126、128、130又は144、146、148又は150のアミノ酸配列をコードする、単離されたDNA配列。
段落54.
配列番号25、27、29、31、33、35、43、45、47、55、57、59、119、121、123、125、127、129、131、132、133、134、135、136又は143、145、147又は149のヌクレオチド配列を含む、単離されたDNA配列。
段落55.
以下の機能的に連結されたDNAフラグメント
a)異種植物発現プロモーター
b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、120、122、124、126、128、130又は142又は144、146、148又は150のアミノ酸配列をコードするDNA領域
c)植物細胞で機能的な転写終結及びポリアデニル化シグナル
を含む、キメラ遺伝子。
段落56.
段落55記載のキメラ遺伝子を含む、植物。
段落57.
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、120、122、124、126、128、130又は142又は144、146、148又は150のアミノ酸配列を含む、単離されたタンパク質。
段落58.
以下:
a)22位のSのAへの置換
b)22位のSのDへの置換
c)105位のTのAへの置換
d)105位のTのDへの置換
e)605位のSのAへの置換
f)605位のSのDへの置換
のいずれかを有する配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するGTRタンパク質をコードするか、
又は、以下:
g)52位のSのAへの置換
h)52位のSのDへの置換
i)135位のTのAへの置換
j)135位のTのDへの置換
k)635位のSのAへの置換
l)635位のSのDへの置換
のいずれかを有する配列番号142と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するGTRタンパク質をコードする、突然変異GTRアレル。
段落59.
以下:
a)58位のTのAへの置換
b)58位のTのDへの置換
c)117位のTのAへの置換
d)117位のTのDへの置換
e)323位のTのAへの置換
f)323位のTのDへの置換
を有する配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGTRタンパク質をコードする、突然変異GTRアレル。
段落60.
a)1241〜1243位に終止コドンを含む
配列番号25の核酸と少なくとも80%の配列同一性を有する突然変異GTRアレル。
段落61.
a)929〜931位に終止コドンを含む
b)1145〜1147位に終止コドンを含む
配列番号31の核酸と少なくとも80%の配列同一性を有する突然変異GTRアレル。
段落62.
a)870〜872位に終止コドンを含む
b)1380〜1382位に終止コドンを含む
配列番号27の核酸と少なくとも80%の配列同一性を有する突然変異GTRアレル。
段落63.
a)780〜782位に終止コドンを含む
配列番号33の核酸と少なくとも80%の配列同一性を有する突然変異GTRアレル。
段落64.
以下の位置:
a)Gly126
b)Gly145
c)Glu192
d)Trp229
e)Ser359
のいずれかに突然変異を含む配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するGTRタンパク質をコードする、突然変異GTRアレル。