JP2013523785A - キノリン由来化合物によるタウタンパク質凝集の阻害方法およびアルツハイマー病の治療方法 - Google Patents

キノリン由来化合物によるタウタンパク質凝集の阻害方法およびアルツハイマー病の治療方法 Download PDF

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Abstract

タウタンパク質凝集のインヒビターとして、式(I)で示されるキノリン誘導体を投与することからなるタウタンパク質凝集の阻害方法およびアルツハイマー病の治療方法。

[式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである]

Description

本発明は、NFT類形成前、タウ凝集の潜在的なブロッカーとしての重合タウ結合リガンドである特異的キノリン分子に関する。当該キノリンは、好ましくは、窒素含有環のメタ位置にアミノ基またはメチル基を有し、またタウポリマーの最も高い解離活性を示し、それ故、アルツハイマー病の治療に有用である。本発明はNFT類の形成を防止し、また同時にそれらを解離し、従って、アルツハイマー病の治療および予防に有用なキノリン化合物を提供する。
アルツハイマー病(AD)は、緩慢に進行する神経変性障害であり、主として65歳未満の老齢集団の2%、85歳以上の老齢集団のほぼ50%が罹患する認知症の最も一般的な原因である。従って、深刻な疫学的過程を回避するためには、その治療法に緊急性があるが、もしかかる治療法が見出されないならば、次の10年でこの過程は縛りのないものとなろう(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。EAはまた、それが現代社会に最大の経済的衝撃を与える障害の一つでもあるために、最も重要な公衆衛生問題の一つである。(非特許文献4;非特許文献5)。ADは、緩徐に進行する認知症、老齢化の始まり、そして皮質に観察し得る神経細胞の喪失と老人斑もしくは神経炎性局面(SP)および神経細線維もつれ(NFT)の存在(それらの濃度は正常の生理学的加齢により予測される濃度よりも明らかにより高い)と関連する矛盾のない臨床病理学的実体と考えられる(非特許文献6;非特許文献7)。シナプスの変性と神経細胞死の結果として、AD患者においては前頭葉および側頭葉などの脳の特定領域、学習および記憶過程に関与する最終部分が影響を受け、そのサイズが低下する;このことはマッソン(Mattson;2004)が明瞭に証明している(非特許文献8)。認知症には異なる病因による他のタイプの認知症、例えば、血管系起源のもの、ビタミンB12欠損、神経変性(前頭葉−側頭葉認知症)および取り分け、感染症(梅毒、HIV関連認知症およびクロイツフェルト−ヤコブ病など)(非特許文献9)によるものが存在するため、DAの鑑別診断および確認診断は死後の神経病理分析を必要とする(非特許文献10)。この診断は、脳組織からの切片を組織学的に分析することからなるが、その場合、特に、海馬およびマイネルト核などの脳領域に共存するSPおよびNFTの十分な数を提供しなければならない。この診断は、臨床判定基準と神経検診、本疾患の典型的な症候の確認、および他の認知症原因の除外に基づくものである(非特許文献11)。この観点で強調し得ることは、一方で、信頼レベルと確度の高いバイオマーカーの欠落がADの研究を遅延させていること、また他方でそのことがこの病理の早期の診断をより難しくしていることである。
臨床的に、ADは言語記憶および目視空間見当識などの認知機能の進行性の悪化および低下を特徴とする。さらに、ADは徐々に記憶を喪失すること、決まった仕事をやり遂げる能力の低下、空間と時間の見当識障害、学習困難、言語能力の喪失、推理力劣化、急激な気分の変化、および人格の変質を特徴とする(非特許文献12)。初期段階でニューロンの喪失は観察されないが、ニューロン機能障害が徐々により深刻な段階にまで進行して、そこではより深刻な認知劣化が観察される;それは、海馬領域、鼻内皮質において、次いで前前頭皮質および側頭皮質においての神経細胞喪失と関連している;このことはM.(2004)が明瞭に証明している(非特許文献13)。
ADは広範囲の漸次神経細胞喪失と関連するが、主たる神経病態事象はSPとNTFの析出にある。SPは主としてAβ(1−42)変異体から形成される(非特許文献14)。NFTの場合、それらはタウとして知られる神経細胞の細胞骨格に会合したタンパク質からなり、AD患者脳ではそれが過剰リン酸化されている(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。未知のメカニズムにより、タウは重要な形質転換、例えば、その正常な生物学的機能に影響する種々のキナーゼおよびホスファターゼの規制解除活性による異常なリン酸化を受ける(非特許文献18)。これらの状況下に、タウは、SPと共にEAの特徴的組織病理学的マーカーを構成する構造体であるNTFを起源として凝集し始める(非特許文献19)。SPおよびNTFは主として、海馬、大脳皮質および扁桃などの学習、記憶および情動に関わる脳領域に存在する。
その病因に関して明らかなことは、EAの特徴的損傷、すなわちNFTおよび老人斑(SP)は、その発病の引きがねとなる事象ではなく、経年的に起った過程が遅れて現れた結果であることである。別の仮説がADについて提案されているが、最近、AD統合理論が大きな支持を得てきており(非特許文献20;非特許文献21)、この説はAD発病の初期段階においては、生来の免疫系において一連の傷害−警報シグナルが存在することを示唆する。内因性傷害損傷のシグナル、例えば、Aβオリゴマー、LDLオキシダーゼ、フリーラジカル、機械的傷害、および外部因子、例えば、取り分け、外傷性全身障害、高脂肪摂取、ビタミンB欠乏、感染および鉄過負荷などにより生じる進行性グリコシル化産物(AGE)などのシグナルが、AGE受容体を使ってミクログリアを活性化する。別途に、LDL−オキシダーゼは、トール型受容体(TLR)、取り分け、TLR4を活性化する。さらなる傷害シグナル、例えば、外傷性全身障害およびフリーラジカルなどは、恐らく別の受容体において作用する(記載文献:非特許文献22;非特許文献23)。別個に、また種々の組み合わせで、これらのシグナルは生来の免疫系において警告メカニズムの引きがねを弾き、結果として、転写因子の一つNFκ−Bレベルを上昇させる;該転写因子はミクログリアにより放出される炎症前サイトカイン遺伝子(TNF−アルファ、IL−1β、IL−6)の発現を増加させ、また罹患したニューロンの誤先導されたシグナルカスケードを促進する(非特許文献24)。この方法においては、これらサイトカインのレベルが脳脊髄液(LCR)中で増加する。これらのシグナルは、cdk−5などの細胞サイクル酵素の活性化による神経細胞傷害と直接関係しているようであり、かかる酵素はタウタンパク質の過リン酸化様の変化において、また対らせん状フィラメント(PHF)の形成、神経細胞変性に至る過程、および認知過程と伝達過程に影響する進行性の深刻な臨床的発現において見ることができる(非特許文献25)。
老人斑(SP)は神経末端が移動する細胞外空隙に位置する構造体であり、細線維とβ−アミロイド(Aβ)との無定形凝集体の小さな沈殿物からなる(非特許文献26)。それらは長さの変わり得る39〜43個のアミノ酸長のAβペプチドの中枢沈降物周囲における変性体と神経細胞延長部分の環状集合体からなる。これらのぺプチドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解プロセシングに由来する(非特許文献27)。
3種の酵素がこのプロセスに関与している。APPはα−セクレターゼの組合せ作用により、次いで、γ−セクレターゼの作用により断片化され、種々の可溶性APPフラグメントを生成する。しかし、APPに対する作用が最初にβ−セクレターゼにより、次いで、γ−セクレターゼの作用により遂行される場合、フラグメントAβ−1−40とAβ1−42が放出されて、アミロイド生成経路を開始し、自己凝集の最大能力を有する後半のフラグメントを生成する(非特許文献28)。
Aβ−細胞外プラークの存在は、EAの神経病理学における中心となる事実である。β−アミロイド理論(非特許文献29)は、Aβ−凝集体が多くの神経毒性経路の始動因子であり、中でも興奮毒性、カルシウム恒常性の変化、大量のフリーラジカル産生、および神経炎症性過程が含まれ得るという事実に基づく。他方、小型のペプチドオリゴマーが毒性形状であり得ることを示唆する様々な研究が存在する(非特許文献30;非特許文献31)。
いくつもの研究が、SPはAD脳と正常な老齢対照の双方に、それが老齢者に重大な関係がある限り見出されることを証明しており、従って、該老人斑は認知症マーカーである以上に老年性マーカーであり得ることを証明している(非特許文献32)。従って、アミロイド成分の形成は,正常な加齢では共通しており、それ故に恐らくAβがNFT形成に優先する;しかし、両方のキーとなる細胞事象の存在がADにおいては必要とされ、それが補足的に罹患したニューロンの活性喪失に導く(非特許文献33)。
タウタンパク質は通常、微小管に会合して見出されるタンパク質であり、それらの集合体においては、動力学的不安定性に対する微小管の安定化、および細胞骨格の他のフィラメントへの微小管の結合などの重要な機能を有する(非特許文献34;非特許文献35)。タウタンパク質はMAPまたは微小管会合タンパク質の一部である。ヒトにおいては、それが殆どの場合もっぱらニューロンに見出され(非特許文献36;非特許文献37)、それ自体、唯一の遺伝子の発現から誘導される6種のイソ型で提示される。この遺伝子は染色体17の長腕、21位(17q21)に見出され、13個のエキソンを有する;このものが交互の切断とスプライス過程により、352個ないし441個のアミノ酸を有する6種の分子イソ型を生成する(非特許文献38)。
ゲダート(非特許文献39)が提案する図式は、タウ遺伝子の構造についての情報と、ヒト脳中の6種のイソ型への交互スプライシングによるその発現を要約している。このプロセスの結果として、45kDないし65kDの6種のイソ型が生成するが、それらは成長過程で異なって発現され、なおその上、異なるニューロンのサブ集団に分布して見出され得る(非特許文献40)。
タウタンパク質のN−末端領域は、そのイソ型がエキソン2および/または3を提示すること、または提示しないことで長さが可変となる。この領域は、タウタンパク質が微小管と相互作用したことでそれ自体がそこから外部に突出しているために、突出ドメインとして知られる。この突出により、タウはアクチンもしくはスペクトリンフィラメントなどの細胞骨格の他の要素と相互作用することができる(非特許文献41;非特許文献42;非特許文献43)か、または原形質膜と相互作用し得る(非特許文献44;非特許文献45)。
他方、C−末端ドメインには、微小管への結合に関わる反復配列ドメインが“縦列”に位置している(非特許文献46;非特許文献47)。これらはそれぞれ高度に保存された18個のアミノ酸の3個または4個のセグメントを提示し、約13個のアミノ酸領域により隔てられている(非特許文献48)。この結合ドメイン(非特許文献49)は、微小管の集合と安定化に関わっている(非特許文献50)。その他にも、このものはG−アクチンなどの他のタンパク質との会合が証明されている。
マッチオニら(Maccioni et al.)は、1989年に、タウタンパク質の主たるイソ型の全体構造を441個のアミノ酸をもつh67(2N4R)として図式化した。
譬えタウタンパク質が一連の翻訳後の修飾(非特許文献51)を受け得るとしても、そのリン酸化はその活性の調節に特に重要な役割を演じている。主要なタウイソ型は、強力なリン酸化部位として作用する79個のセリンまたはトレオニンを提示する(非特許文献52)。従って、異なるキナーゼタンパク質とホスファターゼの組合わさった活性は、タウの個別の形状全体に作用し得るが、このタンパク質においては非常に多くの構造状態を生成し、これら残基の各個において、またそれぞれのイソ型において異なるレベルのリン酸化を含み得る。その結果、キナーゼタンパク質によって証明されるこれらのリン酸化メカニズムの平衡性、およびホスファターゼタンパク質による脱リン酸化は、最終的に、その活性レベルを結果として規定するタウ構造状態を調節する(非特許文献53;非特許文献54)。細胞レベルでタウをリン酸化するキナーゼタンパク質には、カルモジュリンキナーゼ、プロテインp38、およびGsk3b酵素(非特許文献55)およびcdk5(TPKIIとしても知られる)が含まれ、後者はタウ活性により支配される神経形成過程の制御に関わっている(表1参照)(非特許文献56;非特許文献57)。
ニューロン極性の確認および軸索成長における輸送と成長円錐生成の過程において欠くことのできないタウなどのタンパク質(非特許文献58;非特許文献59)は、制御された様式でその機能を遂行するために、極めて正確なメカニズムにより調節される必要があることを認識することは興味深い。従って、この調節における重要な変化は、微小管への、または細胞骨格の他の要素へのその結合能力を変え得るか、またはタウ過剰リン酸化などの病理学的症状の発症に、またタウを、アルツハイマー型変性症に見られるような神経毒作用をもつタンパク質とする自己凝集に寄与し得る(非特許文献60)。他のタンパク質との違いとして、タウタンパク質は温度と酸性条件に耐性であり、その結果、MAP類およびチューブリンなどの他の熱に不安定なタンパク質との分離工程が可能となる。また、酸の存在下に変性するものと、このものを分離することも可能である(非特許文献61)。
ガルシアら(非特許文献62)は、タウのリン酸化部位と、この工程に関与する酵素を示しているが、そのことから、様々なキナーゼが多くの部位でタウのリン酸化に影響を与えており、その大多数がC−末端に見出されると結論することができる。
EAの発病過程では、タウが多数の部位において不可逆的に過リン酸化され始め(非特許文献63)、そしてそれが対らせん状フィラメント(PHF)と呼ばれる異常フィラメント構造で集積して、最終的にNFTを産生し、この様式でニューロン極性の限定など、その生理学的に重要な機能と、微小管が担持する軸索輸送手段の制御を失うこととなる(非特許文献64)。タウの過剰リン酸化は、異なるキナーゼとホスファターゼの作用の不均衡の結果であり、その正常機能を損なって、結果として神経細胞損傷を惹き起こす過剰にリン酸化されたタンパク質を生じる(非特許文献65)。今なお研究中であるとしても、現在、Aβオリゴマーが、取り分けニューロンシグナル送達メカニズムを改変に導き(非特許文献66;非特許文献67)、またタウ過剰リン酸化に導く変化の引き金を引く因子となることが受け容れられている。従って、これはADの発病に向かう進行の初期事象である。しかし、障害の強度と病理学的障害間の確立された相関関係は、神経細線維もつれにより提示される(非特許文献68)。
真核細胞の細胞骨格は、ニューロン形態のしっかりした細胞構造である。このものは微小管、アクチンミクロフィラメントおよび中間体フィラメントから構成される(非特許文献69;非特許文献70)。これらのポリマーはこのネットワークの組織を規定する動力学的高分子相互作用の一つのタイプにより、織り込まれた形状で共存し、細胞質の広範なドメインに伸長して、細胞膜、核、および中心体、ミトコンドリア、リソソームなどの細胞小器官とさらに相互作用する(非特許文献71;非特許文献72)。
微小管は必須の細胞骨格成分であり、軸索、樹状突起および特異的接触の形成および維持に関わっている。MAPタンパク質は微小管の活動と安定性に寄与している。それらには、MAP1A、MAP1B、MAP2タンパク質および最後にタウタンパク質が存在する(非特許文献73;非特許文献74)。
タウタンパク質は、ニューロン極性の維持および分化ニューロンにおける限定的構成の安定化に重要である。さらに、タウ活性は大脳ニューロン中で成長する錐体の形態形成の鍵であり、その構造には局所アクチンフィラメントネットワークも関与している(非特許文献75)。さらに、軸索成長の促進における主要な役割が示唆されている(非特許文献76)。他方、MAP−2はむしろニューロンの短い突起の生成に関係する。
キノリン類は結合した2つのベンゼン環を有し、そのCが窒素原子から構成される有機ヘテロ環状芳香族化合物である。キノリン類は工業レベルおよび臨床レベル双方で適用されている。注目し得ることは、ある種のキノリン誘導体が、主として臨床レベルで、麻酔剤、抗腫瘍剤および抗マラリア剤として活性であることが見出されていることである(非特許文献77)。
具体的には、抗マラリア剤として使用されるキノリンは、数百年もの間、解熱剤として使用された物質、キニーネにその起源を有する。それにも拘わらず、キニーネはその毒性およびその投与と関連する幾つかの欠点を有するため、クロロキンなどの関連化合物が合成されているが、このものは第二次世界大戦の間に開発されたキノリンであって、現今はヒトの泥沼熱に対して使用される最も重要な武器である(非特許文献78)。プラスモジウム属の生体サイクルが進展する異なる段階に対しての有効性により、キノリン型抗マラリア剤は、“赤血球の多数分裂阻止剤”として分類されているが、その作用は寄生虫の無性生殖赤血球段階において作用し、赤血球の多数分裂を中断して、この方式で感染を停止し、最終的に体内から寄生虫を除去する(非特許文献79)。これらキノリン類の使用のために、前臨床および臨床期の研究が受け容れられて、それらのヒトでの使用が承認された。
取り分け、特許文献1および特許文献2は、タウタンパク質の蓄積と関連する疾患の診断に、特定のキノリン誘導体を使用することについて記載している。特に、これらの文献が開示している化合物は:a)4−[2−(2−ベンズイミダゾリル)エテニル]−N,N−ジエチルベンゼンアミン(BF−126)、2−[(4−メチルアミノ)フェニル]キノリン(BF−158)および2−(4−アミノフェニル)キノリン(BF−170)、および他のキノリンフェニル誘導化合物であり、それらはアルツハイマー病におけるタウ病態のインビボ磁気画像診断に使用される。さらに、それらはベータ−アミロイド線維には低親和性を示し、またタウ神経細線維もつれに対しては高親和性を示しており、さらにアルツハイマー病の他の特徴的な作用を示している。
特許文献3は、肝臓X受容体と関連する疾患、例えば、急性冠動脈症候群、アルツハイマー、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症などの治療に有用なキノリン誘導体を開示している。しかし、当該文献のR1遊離基は常にアルキル誘導体からなり、一方、本発明においては相当するR2遊離基はフェニル遊離基である。
特許文献4は、本発明のキノリン誘導体とは構造的に異なるキノリン誘導体を開示しているが、本誘導体はタウタンパク質が蓄積する疾患の診断画像に、またその組成物およびキットに使用することもできる。さらに、この特許は脳標品の神経細線維もつれを染色する方法、ベータシート構造が疾患の原因となるか、または原因となる可能性のある場合の疾患の治療および/または予防のための医薬組成物について開示している。
特許文献5および特許文献6は、本発明のキノリン化合物とは構造的に異なる2−アミン−キノリンから、および6−置換チオ−2−アミン−キノリンから誘導される化合物(これらの化合物は、β部位アミロイド開裂酵素として知れるβ−セクレターゼ、BACE、BACE1、Asp2またはメンパシン2を阻害する)、それらを含む医薬組成物、およびアルツハイマー病、老衰、認知症および軽い認知障害の治療におけるそれらの使用について開示している。
特許文献7は、本発明のキノリン化合物とは構造的に異なり、アテローム性動脈硬化症および糖尿病と関連する動脈硬化症などの動脈硬化症、異常資質血症、高コレステロール血症、脂質関連疾患、炎症性サイトカインにより誘発される炎症性疾患、アレルギー性皮膚病などの皮膚病、糖尿病もしくはアルツハイマー病、老衰、認知症および軽い認知障害の治療および/または予防に有用なキノリン誘導化合物を開示している。
従って、老人性アミロイド斑を分解する薬物での試行に失敗して後、世界レベルでの努力の大部分は、より小さなタウ凝集体に、また同じ神経細線維もつれ(NFT)に向けられているが、一方、本発明はNFTの形成を阻害し、同時にNFTを分解することで、結果としてアルツハイマー病の治療と予防に有用であるキノリン化合物を提供する。
米国特許第7,117,830号 米国公開公報2005//009865 国際特許公開WO2008/049047 欧州特許EP1574500(A1) 国際特許公開WO2009/097401 WO2009/097278 国際特許公開WO2009/133692
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本発明は、タウタンパク質凝集のインヒビターとして、式(I):
[式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである]
で示されるキノリン誘導体を投与することからなるタウタンパク質凝集の阻害方法およびアルツハイマー病の治療方法に関する。
図1は、本発明にて開発されたタウの精製手法を示す。取り分け、本図は3度目の遠心分離を75%飽和硫酸アンモニウムで実施した後に、上清の精製、沈殿の主要ステップをまとめたものである。 図2は、キノリンとタウタンパク質系との相互作用の評価のために、結合と置換テストに使用するベンズイミダゾールであるアステミゾールおよびその放射性同位体H−ASTの構造を示す。 図3は、インビトロでのキノリンとのスカッチャードおよびH−AST置換に使用する手法の図解説明図であり、その場合、チューブを僅かに撹拌しながら25℃で4時間インキュベートし、乾燥は濾紙により実施し、次いで、1mlの発泡液と共にバイアルに加え、最後のインキュベーションを暗所で10分間実施する。 図4aは、2.0スリットにより290nmで励起したTHQ55(下記表1参照)および380nmと480nmでの発光の蛍光パターンを示す。 図4bは、5.0スリットにより290nmで励起したTHQ55(下記表1参照)および380nmと480nmでの発光の蛍光パターンを示す。 図5は、ウシ脳の点染色を示す。タウタンパク質の純度特性。図の上方部分は、硫酸アンモニウムによる沈殿から得られた上清を説明するものであり、下方部分は、硫酸アンモニウムによる沈殿からの沈殿物を説明する。A)h(ヒト)タウの点染色。B)bタウの点染色で上清1は硫酸アンモニウム沈殿の上清であり、沈殿物1は硫酸アンモニウム飽和透析沈殿物である。 図6は、タウタンパク質の精製手法を示す。A)SDS−PAGE。硫酸アンモニウムでの精製により得られるウシのタウタンパク質(bタウ)の特性を示す。レーン1:分子量標準オールブルー(カタログ番号#161−0373;バイオ−ラッド);レーン2および3:硫酸アンモニウム沈殿物からの上清6.0μL;レーン4および5:6.0μLのウシのタウ(bタウ)3.36mg/mL(陽性対照として使用);レーン6および7:6.0μLのbタウ10.0mg/mL。B)ウエスタンブロット:本タンパク質の精製にて得られた異なるタウイソ型を示す。bタウ精製物(レーン2および3)およびhタウ(レーン6および7)の両方について、タンパク質イソ型の存在を確立し、それらが55kDaないし65kDaであることを見出す。レーン1:分子量標準オールブルー(カタログ番号#161−0373;バイオ−ラッド);レーン2および3:6.0μLのウシのタウ(bタウ)10.0mg/mL;レーン4および5:6.0μLのウシのタウ(bタウ)3.36mg/mL;レーン6:6.0μLのhタウ1.3mg/mL;レーン7:6.0μLのhタウ0.65mg/mL。 図7は、キノリンの存在および不存在下のタウフィラメントの形態学的研究を示す。A)陰性対照の電子顕微鏡像(ヘパリンを含まないタウおよびキノリン類を含まないタウ)。B)キノリン処理なしに、ヘパリン200μg/mLにより得られたタウフィラメントの顕微鏡像(陽性対照)。挿入図は30,000倍の倍率を説明する。C)ヘパリンおよびTHQ55(下記表1参照)とタウのインキュベーションの電子顕微鏡像。D)ヘパリンおよびTHQ4S(下記表1参照)とタウのインキュベーションの電子顕微鏡像。E)アフィニティカラム経由ヒト脳からの精製PHFの電子顕微鏡像。F)THQ55(下記表1参照)とインキュベートしたPHF。 図8は、キノリンがタウ凝集から生じるフィラメントの構造を変化させることを示す。A)キノリンTHQ4SおよびTHQ55(下記表1参照)による処理後の視野あたりのフィラメント数のプロット;B)これらの処理後のフィラメントの長さ(μm);およびC)得られるフィラメントの幅(nm)。凝集の研究は、これらのキノリンがタウC−末端の調節領域に結合し、その重合を防止して構造に影響を与えることを示す。(バー1:重合対照;バー2:THQ4S(下記表1参照);バー3:THQ55(下記表1参照)。 図9は、キノリンの存在下または不存在下でのアミロイドペプチドの凝集を示す。A)Aβ1−42の凝集のために得られた対照の電子顕微鏡像(陰性対照)。B)37℃で7日間撹拌することによるAβ−42の重合。C)THQ4S(下記表1参照)存在下、Aβ1−42のインキュベーションの電子顕微鏡像。D)THQ55(下記表1参照)存在下、Aβ1−42のインキュベーションの電子顕微鏡像。標品はすべて15,000倍の倍率で可視化する。 図10は、キノリンがAβ1−42フィラメントの構造を僅かに変化させることを示す。A)キノリンTHQ4S(下記表1参照)およびTHQ55(下記表1参照)で処理した後のフィラメントの長さ(μm)(バー2および3);バー1はキノリンなしの対照の重合を示す。B)キノリンTHQ4S(下記表1参照)およびTHQ55(バー2およびバー3)(下記表1参照)で処理した後のフィラメント数;バー1はキノリンなしの対照の重合を示す。 図11は、異なる濃度のキノリンの存在および不存在下、タウ凝集の比濁分析の研究について示す。線は異なる状況を着色して示す:+対照(緑);−対照(赤);研究標品 プラス1.0μM濃度のTHQ55(下記表1参照)(ql、黄色);研究標品 プラス10μM濃度のTHQ55(下記表1参照)(ql0、青色);研究標品 プラス50μM濃度のTHQ55(下記表1参照)(q50、淡青色);研究標品 プラス10μM濃度のアステミゾール(Ast10、褐色)。 図12はH−ASTのスカッチャードグラフである。ヘパリンにより誘導されたタウフィラメントで実施したこれらの飽和の研究は、H−ASTがタウに対して高親和性で結合することを示す。 図13は、PHFの集合に関わるタウC−末端の構造核をもつモノクローナル抗体MN423(淡青色リボン)の構造を示す;このものはペンタ−ペプチド387DHGAE391(着色球)に関係する。 図14は、PHF−タウC−末端に関係するペンタ−ペプチドとTHQ4S(下記表1参照)との相互作用の6種の好適な立体配置についての予測バイオ−コンピューター分析を示し、オートドック(登録商標)ソフトウエアによりモデル化したものである。白抜き矢印はキノリンのNの位置を示す。
本明細書中、上に提示したデータによると、またニューロン中のNFT沈降物が徐々に神経変性過程に導き得るという状況下で、そしてこれらのキノリン類がタウタンパク質に対して一定の親和性を有すること(Okamura N., Suemoto T., Furumoto S., Suzuki M., Shimadzu H., Akatsu H., Yamamoto T., Fujiwara H., Nemoto M., Maruyama M., Arai H., Yanai K., Sawada T., Kudo Y. (2005), Quinoline and bencimidazole derivatives: candidate probes for in vivo imaging of tau pathology in Alzheimer’s disease(キノリンおよびベンズイミダゾール誘導体:アルツハイマー病のタウ病因のインビボ画像化用候補プローブ), J. Neurosci. 25: 10857-10862)に基づき、本発明者は、NFTの形成前の過剰リン酸化タウの凝集の強力なブロッカーとして、タウタンパク質、特に、アルツハイマー重合型タウに結合する分子リガンドの探索を実施し、臨床上適合する一群のキノリン類の能力、およびADに対して可能性のある治療ルートにおいて、インビトロで産生されるPHF形状のタウタンパク質の凝集を阻害するそれらの誘導体(THQ類)(下記表1参照)を評価した。
1)2−(4−メチルフェニル),6−(O−メチル)キノリン(THQ−3S)
2)2−(4−メチルフェニル),6−(メチル)キノリン(THQ−4S);
3)2−(4−アミノフェニル),6−(メチル)キノリン(THQ−55);
4)2−(4−アミノフェニル)キノリン(THQ−56);
5)2−(4−メチルフェニル),8−(ブロモ)キノリン(THQ−9S);および
6)2−(5−メチルフェニル),6−(メチル)キノリン(THQ−12S)
脳のタウタンパク質と相互作用し、病的症状のこの過剰リン酸化タンパク質の自己生成過程に影響を与え得るすでに考察した結合分子は、アルツハイマー病ドメインの研究において、生物医学的適合性を目標として有する、と評価された。
この目標を達成するために、以下の工程を実施した:
ヒト脳からの脳タウタンパク質と対らせん状フィラメント(PHF)およびウシのタウタンパク質を分離して特性化し、そのすべてをヘパリンで重合させた(Mandelkow E.M., Mandelkow E. (1993), Tau as a marker for Alzheimer's disease(アルツハイマー病用マーカーとしてのタウ), Trends Biochem Sci. 18 (12): 480-3);
オクタノール/水分配係数を確立し、実験的に血液−脳関門(BHE)を通過するキノリンの能力と脂溶性とを相関させた;
分離したタンパク質および組換えタンパク質から出発して、タウタンパク質らせん状フィラメントを生成させ、特性化した。別途、Aβ1−42組換えペプチドから出発して、アミロイド凝集体を生成させ、特性化した;
選択したキノリンとタウタンパク質およびその凝集体との相互作用を研究し、特性化した;および
理論的ドッキングコンピューター利用研究を実施して、アッセイした化合物のタンパク質構造中の可能な相互作用部位を確立する。
指定された関係を展開するために、最近殺処理されたウシの脳および/またはアルツハイマー病患者に属する死後のヒトの−80℃に保存された脳を使用した。
アフィニティカラムにより、ヒトの脳から精製したヒトのPHFを入手した。
アルツハイマー病の治療を目的とし、表1にすでに記載したように、本発明に関連する範囲内の生物医学的に重要なキノリン類を有機合成により取得した。
キノリンの標品はメタノール中、1.0mg/mLの濃度で調製し、異なる濃度で段階希釈を実施した;それらについて、290nmの励起波長および260と500nm間の発光によりその蛍光を確立した。
分配係数(logPo/W)は文献(Takacs-Novak K., Nagy P., Jozan M., Orfi L., Dunn W.J. 3rd, Szasz G. (1992), Relationship between partitioning properties and (calculated) molecular surface, SPR investigation of midazoquinazoloneb derivatives(分配性と(計算)分子表面間の関連性、ミダゾキナゾロンb誘導体のSPRによる研究), Acta. Pharm. Hung. 62 (1-2): 55-64)記載どおりに実施した;その際、2相を用いるが、その水相は有機相からなるn−オクタノール溶液で飽和した緩衝液(PBS 0.1X pH7.4)からなる。
検討される各キノリンの1.0mg/mLの保存液は、オクタノールで飽和したPBS緩衝液(0.1X pH7.4)で調製した。キノリン標品THQ9SおよびTHQ12S(表1参照)をその粘性に応じて、30秒以内の超音波により処理した。これらの溶液から出発して、UV〜可視領域のそれらの最大吸収を確立するために、1.0mg/mL〜100μg/mLの範囲の濃度で希釈を実施した。
次いで、テストしたキノリンをn−オクタノールで飽和したPBS(0.1X pH7.4)に溶解し、室温で30分間撹拌した。次に、この懸濁液を48時間静置し、さらに3,000rpmで10分間遠心分離して相分離した。オクタノール/水の分配係数およびLogPは共に、以下の等式1を用いて各化合物についてのUV〜可視領域の吸光度の差を用いて確立した:
等式1:
[オクタノール中THQ]=[THQスタート]−[THQ緩衝液]
式中:
[THQ緩衝液]=各標品の吸光度により確立された濃度
THQスタートの濃度は下記等式2を用いて確立する:
次に、指数Pを等式3で示すように両相間に確立する:
最後に、分配係数をLogPにより確立する。
本テストのために、2種の対照を使用した:脂溶性ではない四級アミンである臭化クリジニウム、および高脂溶性バルビツール系麻酔薬であるナトリウムチオペンタール。該テストの各部分は三重測定で実施した。
タウタンパク質は、本質的にファリアス法(Farias G.A., Vial C., and Maccioni R.B. (1992), Specific macromolecular interactions between tau and the microtubule system(タウおよび微小管系間の特異的高分子相互作用), Molecula and Cellular Biochemistry, 112: 81-88)を若干修飾した方法に従って得る。最近殺処理されたウシの脳および/または死後のヒトの−80℃に保存された脳から髄膜、血管および表面の血液をきれいに落とし、その脳を温度依存的に集合と解離の繰り返しサイクルプロトコールに従って処理加工する。
ADに罹患している側頭葉および前頭葉などの脳領域を均一化緩衝液(溶液A)中、4℃でホモジナイズする。このホモジネートを4℃で30分間、42,000g(19,450rpm;T647.5ローター使用)で遠心分離する;この段階で上清を集める。次いで、この上清に、必要なMT重合成分(溶液B)を加える。この溶液を37℃で緩やかに撹拌しながら1時間インキュベートする。得られるより粘度の高い液体を遠沈管に分割する。引き続き、形成される微小管を、37℃で30分間、42,000gで遠心分離することにより形成されたペレットから分離する。この微小管ペレットを次いで、微小管均一化緩衝液(溶液C)で処理する。調製容量は約60mLである(各ペレット容量あたり3倍容量の溶液)。
次に、ドーンス(dounce)ホモジナイザーを用いて、氷上、15分間、均一化を行う。この工程はタウの収率が重要である。得られるスラリーは、熱に不安定なチューブリンと他の混入物を沈殿させるために、100℃の熱水浴に5分間漬ける。その後、このスラリーを4℃で30分間、42,000gで遠心分離する;この段階で、上清を確保し、75%飽和硫酸アンモニウムで、4℃、一夜処理してタウタンパク質を沈殿させる(Farias G.A., Munoz J.P., Garrido J., Maccioni R.B., Tubulin, actin, and tau protein interactions and the study of their macromolecular assemblies(チューブリン、アクチン、およびタウタンパク質、それらの高分子集合体の研究), (2002) J. Cell. Biochem. 85: 315-324)。次に、これを4℃で30分間、42,000gで遠心分離する;そこで、沈殿を溶液Dに再懸濁し、透析して塩を除く。透析は既知細孔(12kDaサイズ)の透析膜により、4℃で24時間の撹拌下、2.5mM−トリス−HCl緩衝液を3回取り替えて、24時間実施する。得られる溶液を“セントリコン限界濾過”システムにより、4℃で30分間、2,000gで遠心分離することにより濃縮する。図1は、タウ精製のために実施した工程をまとめたものである。
校正曲線描出のために、ウシアルブミン血清を用い、ブラッドフォード法(Bradford M.M. (1976), A Rapid and Sensitive Method for the Quantitation of Microgram Quantities of Protein Utilizing the Principle of Protein Dye Binding(タンパク質色素結合の原理を利用するマイクログラム量のタンパク質を定量する迅速高感度法), Analytical Biochem. 72: 248-254)によりタンパク質濃度を確立する。
タウタンパク質の精製とその濃度の確立の後、均一量のタンパク質を、10%のポリアクリルアミド変性ゲル上で荷電した(Laemmli U.K. (1970), Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4(バクテリオファージT4頭部の集合に際しての構造タンパク質の開裂), Nature 227 (5259): 680-5);次いで、それらをニトロセルロース膜に移し、その一つをPBS中の5%脱脂乳によりブロックした。次に、この膜を一次抗体(PBS1X中、1%脱脂乳中に1:1000に希釈)と4℃で一夜インキュベートする。この膜をPBS−トゥイーン(0.05%)で3回洗浄した後、ペルオキシダーゼと会合させた二次抗体(PBS1X中、1%脱脂乳中に1:1000に希釈)とインキュベートした。最後に、発光システムを用いて検出を実施し、標品を写真乾板上で分析した。
以下の一次抗体を免疫検出に使用した;タウタンパク質のリン酸化状態を研究するために、タウタンパク質のSer202およびThr205リン酸化エピトープを認識するAT8抗体を使用した;それらのリン酸化状態から独立して、タウタンパク質エピトープを認識するタウ5;および長さが42個のアミノ酸からなるβ−アミロイドペプチドを認識するRBX抗β−アミロイド1−42。これらの抗体は、すべて製造者の指示に従って使用した。
タンパク質凝集の研究
タウ凝集におけるキノリンの効果;電子顕微鏡による研究(ME)
精製した高濃度タウタンパク質を、ポリアニオンの存在下(200μg/mL濃度のヘパリン)、最終容量10μLとしてPHFの形状で重合させる。この混合物を37℃でインキュベートし、緩やかに撹拌しながら7日間維持する。同時に、タウタンパク質、ヘパリン(200μg)および研究下の異なるキノリン(THQ4SおよびTHQ55(表1参照))を含有する別の標品を同様の方法で、10μMの濃度と10μLの最終容量でインキュベートし、これらの手段によりこのタンパク質の重合においてキノリンが有する効果を証明した。並行して、蒸留水中で調製した2.0mg/mL濃度の組換えタウタンパク質を用いての研究を実施した。表2は本実験のパラメータを要約したものである。
このように形成された凝集物は、2%酢酸ウラニルによるネガティブ染色により、電子顕微鏡を用いて可視化した。最終的に、視野あたりの線維数を計測し、そのものの長さと幅を測定し、25の視野についての平均値を求めた。
表2:タウタンパク質凝集:陽性対照として、タウおよびヘパリン−含有溶液(キノリン含有せず)を用い、陰性対照としてタウおよび水を用いる;一方、研究下の標品は、タウ、ヘパリンおよびキノリンTHQ4SもしくはTHQ55(表1参照)を10μMの濃度で含んでいた。“X”は存在を示し、“−”は存在しないことを示す。
PHF解離におけるキノリンの影響;ME研究
400μg/mL濃度のPHFを、最終濃度10μMの研究下のキノリンと共に、容量10μLとして、緩やかに撹拌しながら37℃で7日間インキュベートする。結果は、2%酢酸ウラニルでのネガティブ染色により電子顕微鏡法で可視化した。
Aβ1−42ペプチド凝集におけるキノリンの影響:ME研究
Aβ1−42ペプチドをpH7.4の1×PBS 緩衝液に溶解し、滅菌、濾過して、最終濃度1.0mg/mL、最終容量100μLの溶液を得た。タウタンパク質との比較パラメータを得るために、Aβ1−42ペプチドをAβ細線維と凝集体の形状で重合させた。この溶液を37℃でインキュベートし、緩やかに撹拌しながら7日間維持した(Ward R.V., Jennings K.H., Jepras R., Neville W., Owen D.E., Hawkins J., Christie G., Davis J.B., George A., Karran E.H., and Howlett D.R. (2000), Fractionation and characterization of oligomeric, protofibrillar and fibrillar forms of beta-amyloid peptide(ベータ−アミロイドペプチドのオリゴマー、プロトフィブリルおよび細線維形状の分画および特性化), Biochem. J. 348: 137-144)。同時に、同様の方法で、Aβ1−42ペプチドおよび研究下の異なるキノリン(THQ4SおよびTHQ55(表1参照))を含有する別の標品を同様の方法で、濃度10μM,最終容量100μLとしてインキュベートし、キノリンがAβ1−42ペプチド凝集体に対して有する影響を証明した。表3は本実験のパラメータを要約する。
このように形成された凝集体は、2%酢酸ウラニルでのネガティブ染色により電子顕微鏡法で可視化した。最終的に、視野あたりのファイバー数を計測し、そのものの長さと幅を測定し、25の視野についての平均値を求めた。
表3:Aβ1−42ペプチド凝集の研究:陽性対照として、β−アミロイドペプチドを1.0mg/mLの濃度で含む溶液を、37℃で緩やかに撹拌しながら使用し、陰性対照と比較した;陰性対照もβ−アミロイドペプチドを含むが、−80℃に保存し、従って、重合していないものである;一方、研究下の標品はβ−アミロイドペプチドおよびTHQ4SとTHQ55キノリン(表1参照)を10μMの濃度で含んでいた。“X”は存在を示し、“−”は存在しないことを示す。
電子顕微鏡観察用標品の調製
タウ、Aβ1−42およびPHFタンパク質の凝集体を酢酸ウラニルでのネガティブ染色により電子顕微鏡法で可視化した。これを達成するために、6.0μLの標品を使用し(タウ、PHFまたはAβ1−42凝集体)、銅グリッド(パーロジオンおよび炭素蒸気にて予め処理)に収容し、室温で1分間吸着させた。過剰の標品を濾紙で取り除いた。次に、再蒸留水で調製した2%酢酸ウラニル6.0μLをグリッド上に配置し、30秒間乾燥させ、ネガティブ染色に使用した。最後に、グリッドを顕微鏡下で観察した。
タウ凝集におけるキノリンの影響;比濁分析による研究
タウ凝集は、UV分光光度法によりλ340nmでのその吸光度により測定した。ウシ脳から精製した高濃度タウタンパク質を0.1M−MES緩衝液(pH7.2)に再懸濁し、ポリアニオンの存在下(200μg/mL濃度のヘパリン)、最終容量1.0mLとしてPHFの形状で重合させた。この混合物を37℃でインキュベートし、緩やかに撹拌しながら7日間維持した。同時に、タウタンパク質、ヘパリン(200μg/mL)および1.0〜50μMの異なる濃度の選択したキノリンを含有する別の標品を最終容量1.0mLとして、同様の方法でインキュベートし、キノリンがタウ凝集に対して有する影響を証明した。表4は、この実験のパラメータを要約する。ある種のベンズイミダゾール誘導体がタウ凝集を防止しないことが知られている;この状況下、対照は、タウ(2.0mg/mL)、ヘパリン(200μg/mL)およびアステミゾールを10μM濃度で含むものを使用した。これらのキノリン類の吸光度を測定するために、さらなる対照として、タウタンパク質を水と置き換えた。各標品は三重測定で実施した。
表4:キノリンの存在下および不存在下でのタウ凝集の比濁分析の研究:陽性対照として、タウとヘパリンを含有する溶液を使用し、陰性対照として、タウと水を使用した;一方、研究下の標品は、タウ、ヘパリンおよびTHQ55キノリン(表1参照)を1.0〜50μMの間の異なる濃度で含んでいた。他の凝集対照は、タウ、ヘパリンおよびアステミゾール(AST)を10μMの濃度で含んでいた。“X”は存在を示し、“−”は存在しないことを示す。
タウ凝集におけるキノリンの影響:沈降の研究
緩やかな撹拌下、37℃で7日間インキュベートした後、キノリンの存在下および不存在下にタウ凝集体の沈降を実施した。この目的のために、比濁分析用に調製した各標品の400μLを採り、それらを37℃で25分間、42,000g(AH−650ローターにより18,000rpm)で遠心分離した。この遠心分離の各標品から得られたペレットを弱アルカリ性の0.1M−MES緩衝液(pH7.2)50μLに再懸濁し、それぞれについてタンパク質濃度を確立した。本手法においては、標品容量が非常に少ないために、ナノ光度計を用いて、λ280nmにて、沈降再懸濁したタンパク質濃度を測定した。
キノリン類とタウとの相互作用およびH−ASTとのインビトロ置換テスト
発明者による先の実験室でのテストにおいて、また他の著者ら(Okamura N., Suemoto T., Furumoto S., Suzuki M., Shimadzu H., Akatsu H., Yamamoto T., Fujiwara H., Nemoto M., Maruyama M., Arai H., Yanai K., Sawada T., Kudo Y. (2005), Quinoline and becimidazole derivatives: candidate probes for in vivo imaging of tau pathology in Alzheimer’s disease(キノリンおよびベンズイミダゾール:アルツハイマー病におけるタウ病因のインビボ画像診断用の候補プローブ), J. Neurosci. 25: 10857-10862; Rojo L., Avila M., Chandia M., and Maccioni R.B. (2007), 18F Lansoprazole as PET radiotracer, Chemical and biological studies towards the development of a New PET Radiotracer(PET放射性トレーサーとしての18Fランソプラゾール、新規PET放射性トレーサーの開発に向けた化学的生物学的研究), International Conference on Clinical PET and Molecular Nuclear Medicine(臨床上PETおよび分子核医学に関する国際会議)、11月10〜14日、バンコク)から、臨床用のある種ベンズイミダゾールに特異的なKdおよび結合最大値を、タウタンパク質により確立した相互作用を経て、取り分け、[O−メチル−3H]−アステミゾール(図2)について確立した。この背景として、スカッチャードおよび置換テストをすでに考察したキノリンで実施した。
図3の図式は、両方の実験に使用した手法を要約したものである。
スカッチャードテストの場合、固定タウタンパク質濃度(230nM)および10〜120nMの可変H−AST濃度を使用し、8%エタノール(EtOH8%)で最終容量20μLとした。このテストに先立ち、タウタンパク質を処理して、37℃で緩やかに撹拌しながら7日間インキュベートした。次に、タウタンパク質とH−ASTを25℃で緩やかに撹拌しながら4時間インキュベートした。次いで、この溶液を真空下に10分間濾過し、その濾紙を室温で乾燥し、1.0mLのシンチレーション液でバイアルに移した。次いで、これを暗所に放置し、最後に、シンチレーションカウンター装置により、1分当たりのカウント(cpm)を測定する。
薬物の置換テストにおいては、すでに示した同じ手法を用いたが、唯一の相違点は、ヒトタウタンパク質とH−ASTの濃度を固定し(それぞれ、230nMと52nM)、またコールドリガンド(THQ4SおよびTHQ55(別々に、表1参照))を(表6に示されるように)10nM〜10μMの可変濃度とし、8%EtOH20μLの最終容量としたことにある。次に、タウタンパク質、H−ASTおよびキノリンを25℃で緩やかに撹拌しながら4時間インキュベートし、;図3に示した手順を続けて行う。
表5:置換テストに使用したTHQ4SおよびTHQ55キノリン濃度:コールドリガンド(THQ4SおよびTHQ55(別々に、表1参照))を10nM〜10μMの可変濃度で使用した。H−ASTとタウタンパク質は、それぞれ52nMおよび230nMの固定濃度で使用した。
ドッキングテスト
コンピューターによる研究のために、タウタンパク質フラグメントの結晶化構造を入手することが必要であった。C−末端に位置するPHFの構造核にあるペンタペプチドの構造は、“タンパク質データバンク”(PDB)公開データベースから入手した。2V17:Aは387DHGAE391のPDBコードである。この小さなフラグメントにより、キノリンとタウタンパク質との間に起こる相互作用を予測することを可能とする対数近似値を得るために、ドッキングの研究を実施した。
統計分析:

標準偏差の計算は、エクセルスプレッドシート(マイクロソフトXP)にて実施した;これにより値のばらつきを平均値(平均の値)に比較して測定する。
観察記録
DESVESTは、変数が一集団の標本を代表するという仮定に基づいている。もしそのデータが総集団を代表するならば、DESVESTPが標準偏差の計算に使用される。
・ 標準偏差は、不偏法または“n−1”法を用いて計算する。
・ DESVESTでは次の式を使用する:

正または誤などのテキストおよび論理値は考慮しない。
蛍光テスト
このテストは、キノリンとタウタンパク質間の相互作用を確立するために、また両方の分子の蛍光パターンを得るために実施し(Friedhoff P., Schneider A., Mandelkow E.M., and Mandelkow E. (1998), Rapid Assembly of Alzheimer-like Paired Helical Filaments from Microtubule-Associated Protein Tau Monitored by Fluorescence in Solution(溶液中の蛍光によりモニターした微小管会合タンパク質タウからのアルツハイマー様対らせん状フィラメントの急速な集合), Biochemistry 37: 10223-10230)、これらの化合物が高濃度(1.0mg/mLより高い)で弱い蛍光を発することを発見した;このことは、結合テストを実施する際に、またKd、KiおよびBmax定数を確立する際に、より多くのタンパク質の使用を必要とすることを暗示し、さらに製造レベルによって限界のあることを示している。
この方法において、THQ55キノリン(表1参照)が最良の結果を示す化合物であることが判明した。このキノリンは1.0mg/mLの濃度であり、λ290nmで励起すると、λ350と480nmで発光した。蛍光強度は、最初のテストにおいて最大1000から80および30であり、最大1000から30および478となる後の事例では、装置の“スリップ”または光開口部を大きくした。蛍光アッセイはTHQ4SおよびTHS12Sキノリン(表1参照)についても実施したが、スリップの開口部を大きくしても蛍光強度は低すぎた(1000の最大でも10未満)。
図4a)および4b)は、THQ55(表1参照)についての蛍光の確立において得られた結果を示す。
オクタノール/水LogP分配係数の決定
作業仮説に従い、これらの分子において我々が研究すべきことは、ADに罹患しているヒトの脳にそれら分子が到達し得るかどうか、また罹患した領域においてそれらの作用を発揮し得るかどうかを評価することである。この状況下、第一のステップはLogPで表される脂溶性の決定である。この薬物の理化学的薬物動態学的特性(表6)は、その脂溶性(LogPとして表される)が比較的高いことを示している。
表6:使用したキノリン誘導体系統群の分子性質:LogPとして表されるオクタノール/PBSの分配係数;TPSA:総極性表面積;VM:分子体積;PM:分子量;nON:水素受容原子;nOHNH:水素供与原子。
総極性表面積(TPSA)の計算は、これらの化合物の各極性基の個々の寄与に基づいて文献記載の方法(Ertl P., Rohde B., Selzer P. (2000), Fast calculation of molecular polar surface area as a sum of fragment-based contributions and its application to the prediction of drug transport properties(フラグメント−ベースの寄与の総計としての分子極性表面積の迅速な計算および薬物輸送性予測へのその適用), J. Med. Chem. 43: 3714-3717)に従って実施したが、その計算は、これらの薬物がBHEの良好な吸収と浸透性を有する他の薬物同様のTPSA値を有することを示す。分子の性質の分析は、文献(Lipinski C.A., Lombardo L., Bominy B.W., Feeney P.J. (1997), Experimental and computational approaches to estimate solubility and permeability in drug discovery and development settings(薬物発見と開発設定における溶解性と浸透性を評価するための実験方法とコンピューター計算方法), Adv. Drug Delivery Rev. 23: 4-25)記載の“5のルール”に従うと、この薬物がヒトにおいてBHEの浸透を促進する構造を有することを示す。
タウタンパク質の精製
タウタンパク質の純度を決定するために、硫酸アンモニウム塩で沈殿させ、透析した後に、ドットブロット法により特性化した。ドットブロット法については、タウ−5を一次抗体として使用し、ヤギで発生分化させ、ペルオキシダーゼを結合させたマウス抗IgGを二次抗体として使用した(図5)。
この技法を用いて、すべてのタウタンパク質を、上清ではなく、硫酸アンモニウム塩との沈殿として得ることを確立した。SDS−PAGEとウエスタンブロット法を用いて、精製により得られる沈殿中に存在するタウイソ型のパターンを確立した(図6)。
マイクロブラッドフォード法を用いて、精製において得られたウシタウとヒトタウ両方の濃度を確立した。次に、ヒトタウとウシタウ両方の標品のそれぞれを濃縮するために、凍結乾燥を実施した;引き続く研究のために適当なそれらの濃度は、タウ精製の場合、12%ないし14%の収率で得られた;それらのすべては文献記載の方法に従った(Farias G.A., Vial C., and Maccioni R.B. (1992), Specific macromolecular interactions between tau and the microtubule system(タウおよび微小管システム間の特異的高分子相互作用), Molecula and Cellular Biochemistry, 112: 81-88; Farias G.A., Munoz J.P., Garrido J., Maccioni R.B., Tubulin, actin, and tau protein interactions and the study of their macromolecular assemblies(チューブリン、アクチン、およびタウタンパク質相互作用、およびそれらの高分子集合体の研究), (2002) J. Cell Biochem. 85: 315-324)。表7は、両方の工程において得られたタンパク質の総量を示す。
表7:精製工程において得られたタウタンパク質の濃度:濃度はマイクロブラッドフォード法により決定した。精製した後、標品を凍結乾燥して、次のテスト用の適切な濃縮物を得た。
タンパク質凝集の研究:
ヒトタウの凝集におけるキノリン類の影響;電子顕微鏡法による研究:
緩やかな撹拌下、37℃で7日間、タンパク質をインキュベートした後のタウ凝集体は、PHFと同様の形態学的特性を有することが観察された。このことは、ウシ脳から単離されたタウおよびヒト脳から単離されたタウの両方について達成された(図7a)および7b))。
欠失を有し、そのC−末端ドメインを有しない変異タウが、PHFタイプの構造を生じないということを示す証拠(Jakes R, Novak M., Davison M., and Wischik M. (1991), Identification of 3 and 4 repeat tau isoformas within the PHF in Alzheimer’s Disease(アルツハイマー病におけるPHF内の3個および4個の反復タウイソ型の同定), EMBO J. 10: 2725-2729)に基づく、PHFの形成を証明する凝集についての研究は、異なるキノリンが、タウのC−末端調節領域に結合することを示す。従って、該キノリンはその重合を防止し、またフィラメントの構造に影響を与える(図7c)および7d))。結果はまた、視野当たりのフィラメント数およびフィラメント構造それぞれの長さと幅の両方に減少を示した(図8)。これらのキノリン類(最終濃度10μM)をヒト脳から精製したPHFと共にインキュベートした場合、対照により提示される凝集体数に減少が観察された。この結果は、重合の防止と共に、キノリンがADに罹患した患者に形成されるPHFを解離すること示している(図7e)および7f))。
Aβ1−42ペプチドの凝集におけるキノリンの影響;電子顕微鏡法での研究(ME)
緩やかな撹拌下、37℃で7日間インキュベートした後、このペプチドの凝集体は、アミロイド線維の形成を示すものとして得られた(図9)。
これらの凝集の研究は、キノリン類が、タウ凝集でのように、Aβ1−42ペプチドの重合を妨げ、フィラメントの構造に影響を与えることを示した。結果は、視野あたりのフィラメント数の減少を示すが、線維長は増大を示す(図10)。このことは、それがタウとAβ1−42凝集体に対するキノリンの影響を差別化しているという理由で、強調することが重要な興味深い観察である。この沈降テスト(Maccioni R.B. and Seeds N.W. (1978), Enhancement of tubulin assembly as monitored by a rapid filtration assay(迅速濾過アッセイによりモニターした場合のチューブリン集合体の増進), Arch. Biochem. Biophys. 185 (1): 262-71)は、さらに、凝集したアミロイドの総集団が、タウポリマーとは対照的に、実質的に減少しないことを示すが、その場合は明らかに凝集するタウモノマーの量に減少が認められる。
キノリンの存在下および不存在下に得られるタウフィラメントの構造変化を分析する以外にも、当該凝集体中のこれらの分子の影響を定量することも興味のあることである。従って、キノリンの存在下および不存在下に、タウポリマーの沈降テスト(Maccioni R.B., Vera J.C., Dominguez J., Avila J. (1989), A discrete repeated sequence defines a tubulin binding domain on microtubule-associated protein tau(個別の反復配列は、微小管会合タンパク質タウ上のチューブリン結合ドメインを規定する), Arch. Biochem. Biophys. 275 (2): 568-79)並びに比濁テストを実施し、薬物の異なる濃度で重合したタウ量を分析した。
タウ凝集におけるキノリンの影響;比濁分析の研究
タウタンパク質の凝集阻害は、AD治療のために潜在的な治療用化合物の重要な側面である。THQ55キノリンTHQ55(表1参照)はこの目的に使用される。当該薬物は、タウ凝集を阻害する高い能力を示した;この事実は、λ340で吸光度を測定することにより証明され(図11)、またこの薬物が極めて低濃度で、凝集に対して潜在的な作用を有することを示した。
タウ凝集におけるキノリンの影響;沈降による研究
緩やかな撹拌下、37℃で7日間インキュベートした後、キノリンの存在下および不存在下に沈降タンパク質を濃縮し、λ280nmで測定した結果、インビトロテストにおいて、タウタンパク質の自己凝集に対して、THQ55(表1参照)は顕著な阻害作用を示した。この阻害作用は、10μMを超えるTHQ55(表1参照)の濃度でさらにより顕著であった。沈降において得られるタウポリマーの濃度を表8に示す。
表8:キノリンの存在下および不存在下でのタウ凝集についての沈降研究:陽性対照として、タウおよびヘパリンを含有する溶液を用い、陰性対照として、タウと水のみを使用した;一方、研究中の標品は1.0ないし50μMの異なる濃度でタウタンパク質、ヘパリンおよびキノリンTHQ55(表1参照)を含んでいた。他の凝集対照は、10μMの濃度でタウ、ヘパリンおよびアステミゾール(AST)を含む。
キノリンとタウの相互作用およびインビトロでのH−ASTとの置換テスト
タウ−ベンズイミダゾール系の特性化に基づき、タンパク質−リガンド相互作用パラメータを研究した。結果を図12および表9に示し、アステミゾールが高い親和性でタウフィラメントに結合することを示す。この現象は、インビトロで誘導されるタウフィラメントに対して、またAD脳由来の分離フィラメントに対しての親和性を比較したときに繰り返される(Rojo L., Avila M., Chandia M., and Maccioni R.B. (2007), 18F Lansoprazole as PET radiotracer, Chemical and biological studies towards the development of a New PET Radiotracer(PET放射性トレーサーとしてのランソプラゾール、新規PET放射性トレーサーの開発に向けての化学的生物学的研究), International Conference on Clinical PET and Molecular Nuclear Medicine(臨床用PETおよび分子核医学に関する国際会議)、11月10〜14日、バンコク)。
この状況下で、H−AST置換テストをキノリンとの間で実施し、タウとの親和性を決定した。図13に提示した結果は、タウ凝集体に対するキノリンの親和性を明らかにする。化合物THQ4SおよびTHQ55(表1参照)は、10μMを超える非常に高いKi値を示し、これらの薬物が放射性リガンドと置き換わらないことを示唆することが観察され得る。
表9:飽和データの比較分析:H−ASTに対するKd、Bmax、およびKb/Bmax、およびタウ凝集形状
ドッキングテスト
タウは、統計的もつれ(“ランダムコイル”)として大きな非構造性ドメインをもつ極めて線維性の高いタンパク質である(Von Bergen M., Barghorn S., Biernat J., Mandelkow E.M., Mandelkow E. (2005), Tau aggregation is driven by a transition from random coil to beta sheet structure(タウ凝集はランダムコイルからベータシート構造への遷移により推進される), Biochimica et Biophysica Acta. 1739: 158-166)ために、このタンパク質の完全な結晶化は達成されていない。タウは全体として規則正しい構造をもつタンパク質ではない。従って、今日まで、全タンパク質の結晶構造は知られておらず、ノバクら(Novak M., Wischik C.M., Edwards P., Pannell R., Milstein C. (1989), Characterization of the first monoclonal antibody against the pronase resistant core of Alzheimer PHF(アルツハイマーPHFのプロナーゼ耐性コアに対する最初のモノクローナル抗体の特性化), Prg. Clin. Biol. Res. 317: 755-61)が実施した研究は、C−末端ドメインに位置するペンタペプチド387DHGAE391からなり、PHFを形成するためにタウ集合体の調節領域に関与する唯一既知のフラグメントを記載しているにすぎない。この領域は、モノクローナル抗体MN423の活性に寄与する(Figure 13) (Sevcik J., Skrabana R., Dvorsky R., Csokova N., Iqbal K., Novak M. (2007), X-ray structure of the PHF core C-terminus: insight into the folding of the intrinsically disordered protein tau in Alzheimer's disease(PHFコアC−末端のX線構造:アルツハイマー病における固有の異常となったタンパク質タウの折りたたみに対する洞察), FEBS Lett. 581 (30): 5872-5878)。従って、これを根拠とする立体的表現は、文献に記載されているように、該タンパク質の対フィラメントに接触したときに、このタウフラグメントにより達成された(Novak M., Wischik C.M., Edwards P., Pannell R., Milstein C. (1989), Characterization of the first monoclonal antibody against the pronase resistant core of Alzheimer PHF(アルツハイマーPHFのプロナーゼ耐性コアに対する最初のモノクローナル抗体の特性化), Prg. Clin. Biol. Res. 317: 755-61;およびSkrabana R., Skrabanova M., Csokova N., Sevcik J., Novak M. (2006), Intrinsically disordered tau protein in Alzheimer's tangles; a coincidence or a rule?(アルツハイマーのもつれにおいて固有の障害を受けたタウタンパク質:合致か、または規則か?); Bratisl. Lek Listy. 107 (9-10): 354-8)。
この分析を完全なものとするために、これまでに知られているタウタンパク質もしくはそのフラグメントについての結晶学的構造を用いて、ソフトウエアオートドックIII(AutodockIII;登録商標)を使用し、コンピューターによるドッキングの研究を実施した。ドッキング研究を実施することにより、キノリンとタウタンパク質の間で生じるより安定な相互作用のタイプの予測を可能とするアルゴリズムの近似値を得た。このペンタペプチドとTHQ4Sキノリン(表1参照)間のドッキングは、結果として、−4.5ないし−4.47Kcal/molの範囲のそれぞれのドッキングエネルギーをもつ最も妥当な相互作用を示した(図14)。
表10は、THQ4S(表1参照)および結晶構造が完全に判明しているプロナーゼPHF−タウ−387DHGAE391に耐性のフラグメントに対するドッキングのバイオ−コンピューター分析から得た結果を要約したものである。従って、この表に記載された結合エネルギーは、代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)などの高親和性を有する薬物について、同じソフトウエアにより得られるエネルギーと比較したものである(Yanamala N., Tirupula K.C. and Klein-Seetharaman J. (2008), Preferential binding of allosteric modulators to active and inactive conformational states of metabotropic glutamate receptors(代謝調節型グルタミン酸受容体の活性型および不活性型立体配座に対するアロステリックモジュレーターの優先的結合), BMC Bioinformatics 9 (Suppl 1): S16)。より陰性のエネルギー値は、もしそれらが自由エネルギー(ΔG)として関係しているとするなら、より熱動力学的に好ましいと思われ、このキノリンがタウ−387DHGAE391フラグメントに類似していることを示しており、従って、このフラグメントはその結合と抗−凝集活性に関与し得ることを示唆している。
表10:“ドッキング”エネルギーの比較:高親和性受容体について得られたドッキングエネルギーと比較したTHQ4Sキノリンについて得られたエネルギー
すでに述べたように、本発明の目的は、NFT形成前のタウ凝集の強力な阻止剤として、重合化タウタンパク質に結合するリガンド分子の追求を目的とする。この方法で、一群の異なるキノリン類がタウタンパク質と相互作用する方法を確立すること、またこの方法で、AD内の生物医学の計画を達成することが可能とされた。このことは、神経変性への道筋において、タウに結合し、同時にその病因となる自己集合に干渉する新しい一群の分子の確認を遂行する、今のところ最初の発見であるはずである。この研究は、本質的にインビトロモデルにおいて実施されてきたが、その達成された結果に従うと、これらのキノリンがその重合したPHFの形状において、タウ凝集を阻止するための候補となろうと結論し得る。
蛍光テスト
本研究は、タウタンパク質とその凝集体に対するキノリンの親和性を決定すること、また他の著者らが以前に提案していたものを補強することを目的とした(Rojo L., Avila M., Chandia M., and Maccioni R.B. (2007), 18F Lansoprazole as PET radiotracer, Chemical and biological studies towards the development of a New PET Radiotracer(PET放射性トレーサーとしての18Fランソプラゾール、新規PET放射性トレーサー開発に向けた化学的生物学的研究), International Conference on Clinical PET and Molecular Nuclear Medicine(臨床用PETおよび分子核医学に関する国際会議), 11月10〜14日、バンコク; Okamura N., Suemoto T., Furumoto S., Suzuki M., Shimadzu H., Akatsu H., Yamamoto T., Fujiwara H., Nemoto M., Maruyama M., Arai H., Yanai K., Sawada T., Kudo Y. (2005), Quinoline and bencimidazole derivatives: candidate probes for in vivo imaging of tau pathology in Alzheimer’s disease(キノリンおよびベンズイミダゾール誘導体;アルツハイマー病におけるタウ病因のインビボ画像化のための候補プローブ), J. Neurosci. 25: 10857-10862)。最後に蛍光テストを実施したが、これらの化合物の発光パターンが低すぎるため、シグナルを得るために非常に高い濃度の薬物を必要とした。その結果、シグナルを得るために必要とされるキノリンの量によると、キノリンとの結合に要するタンパク質量が多すぎるために、この結合テストは考慮外となった。
オクタノール/水のLogP分配係数の決定:
本発明の開発によると、分析した最初の性質の一つは、これらの分子、キノリン類が血液−脳関門を通過して、従って脳に達し得るか否かであった。これらの分子は、比較的高い脂溶性を示した。キノリンンの脂溶性と血液−脳関門(BHE)を通過する能力との間の相関関係は、6種の化合物の内、3種については最適であった。分子としての分析は、キノリン類がBHEを通過する他の薬物と同様の性質を有することを明らかにした。結果は、この説明の全般にわたって証明されるようにポジティブなものであり、これらの分子がインビトロのモデル研究に対応してBHEを通過し得るであろうことを示唆している。この状況下で、該化合物は可能性のある薬理学的適用において、神経レベルで興味のある一定の要件を満たさなければならない:(1)それらは高度に親油性であり、血液−脳関門(BHE)を通過する能力を有しなければならない;(2)低濃度で作用し、短時間脳内に留まらなければならない;(3)タウタンパク質およびその凝集体と相互作用しなければならない;および(4)非特異的結合が低くなければならない。この方法において、これらの薬物は、AD罹患患者の脳領域に直接の作用を示すようになる。本明細書に記載するキノリン類はこれらの要件を完全に満足する;すなわち、高い親油性の性質を示し、タウと相互作用し、そしてPHFなどの病因となるポリマーにおいてそれらの自己凝集を阻止することによりそれらの作用を示す。このような性質を満たす分子についてはこれまでに記載されたことがない故に、我々はこれを重要な発見であると考える。
最初のテストの一つは、LogPで表される脂溶性を確立することであった。我々の結果は、THQ4S、THQ55およびTHQ12S化合物(表1参照)の脂溶性が最適であり、それらをBHE通過の一連の候補とすることを示す。表2に示した理化学的性質および薬物動態学的性質によると、これらのキノリン類は、血液−脳関門での良好な吸収と浸透性を有する他の薬物と同様のTPSA値を有する。文献(Lipinski C.A., Lombardo L., Bominy B.W., Feeney P.J. (1997), Experimental and computational approaches to estimate solubility and permeability in drug discovery and development settings(薬物発見と開発設定における溶解性と浸透性を評価するための実験方法とコンピューター計算方法), Adv. Drug Delivery Rev. 23: 4-25)記載の“5のルール”に従い分子の性質を分析すると、この薬物がヒトにおけるBHEの浸透性を促進し、脳のレベルでそれらの作用を発揮し得ることを示す。重要な情報は、抗マラリア剤として使用される臨床用途の多くの薬物が、それらの構造中にキノリン核を有することである。この状況下では、それらのヒトでの使用が承認されているので、それらの薬理学的評価に際しては、前臨床相の研究が回避され得よう。これに基づき、またそれらの分子の性質に従って、THQ4SおよびTHQ55(表1参照)を使用した。別の関連情報として、神経細胞膜の浸透性は、さらにタウの細胞内凝集体の画像を得るために重要な因子を提示することが知られている(Small G.W., Agdeppa E.D., Kepe V., Satyamurthy N., Huang S.C., Barrio I.R. (2002), In vivo brain imaging of tangle burden in humans(ヒトにおけるもつれ荷重のインビボ脳画像), J. Mol. Neurosci. 19: 323-327)が、その場合、この化合物の高脂溶性が有利となる。
タウタンパク質の精製
タウタンパク質の精製に関しては、このタンパク質が酸性条件に抵抗性であり、従って精製の最終工程の一つにおいて、タウは多くの場合、過塩素酸での沈殿を用いて精製した(Farias G.A., Vial C., and Maccioni R.B. (1992), Specific macromolecular interactions between tauand the microtubule system(タウと微小管との間の特異的高分子相互作用), Molecula and Cellular Biochemistry 112: 81-88)。次に、ファリアスら(Farias G.A., Munoz J.P., Garrido J., Maccioni R.B., Tubulin, actin, and tau protein interactions and the study of their macromolecular assemblies(チューブリン、アクチン、およびタウタンパク質の相互作用、およびそれらの高分子集合体の研究), (2002) J. Cell Biochem. 85: 315-324)の公開に基づいて、硫酸アンモニウムの使用を変法として導入し、従って、タウの濃縮をその純度の僅かの上昇と共に可能とした。考察する価値のあるのは、タウ精製における重要なステップが、当初、文献に記載されているように、重合および脱重合のサイクルの正確な使用に基づくことである(Maccioni R.B., Rivas C.I., Vera J.C. (1988), Differential interaction of synthetic peptides from the carboxyl-terminal regulatory domain of tubulin with microtubule-associated proteins(チューブリンのカルボキシル末端調節ドメインからの合成ペプチドと微小管会合タンパク質との特異的な相互作用), EMBO J. 7 (7):1957-63)。
タンパク質凝集の研究
最も重要な研究の一つは、タウタンパク質の重合を阻止するこれら薬物の可視化である。その結果は、その凝集したPHF形態におけるタウタンパク質の明瞭な阻害を示す;その理由は、キノリンと該タンパク質のインキュベーションが、視野あたりのフィラメント数とこれらのフィラメント構造の幅を低下させるからである。比較として、同様のテストをヒトの組換えタウタンパク質で実施し、同様の結果を得たが、このタンパク質における凝集体の数は、組換えタンパク質がリン酸化されておらず、またヘパリンとインキュベートするPHF数が枯渇しているために、少なかった。該キノリンは、インビトロで形成されたタウフィラメントの長さを5倍低下させ、その幅を10倍低下させた。これらの薬物がAβの場合凝集するタウタンパク質に対してより高い親和性を示すことを証明するために、前記同様のテストを実施して、キノリンがアミロイド凝集の数を低下させるが、線維の長さを増加させることを明らかにした。キノリンは線維数を低下させるが、その長さは増大させる;このことは、それが集団の再分配と関係しており、凝集の妨害には関係していないことを示唆している。
これが、タウおよびAβ1−42凝集体に対するキノリンの影響の差によるものと強調することは重要である、とするのは興味のある見方であり、総アミロイド凝集塊は実質的に低下せず、その代わりに、タウポリマーとは反対に、再分配されることを物語っている;その場合、本明細書に後に記載するように、凝集するタウモノマーの量が減少する。
比濁分析と沈降アッセイ
電子顕微鏡法データを沈降テスト並びに比濁分析テストにより確認し、インビトロアッセイにおけるタウタンパク質の自己凝集に対するTHQ55(表1参照)の重要な阻害効果を明らかにした。タウ自己凝集に影響するこれらのキノリン類の能力の確固とした証拠は、キノリン(THQ55,表1参照)濃度を増大させながらのタウポリマーの比濁分析テスト、引き続く沈降テストより得た。従って、正確な顕微鏡観察に補足的な方法における沈降および比濁分析テストは、タウ凝集を防止するこれら薬物の能力を直接確認することを可能とした。この阻害作用は、10μMより高いTHQ55濃度(表1参照)でさらにより重要であった(図10および表8参照)。これらの結果は、このキノリンがタウ抗−凝集剤としての可能性を秘める候補であり、アルツハイマー病における神経細線維性もつれの制御に向けた治療法として相当に大きな適合性を有するであろうことを示唆している。
他方、アミロイド重合のインビトロインヒビターとして使用されている多くの小型分子が、それらの構造中に芳香環を含むということは考慮する価値がある。これらのインヒビターは、β−アミロイドに対するコンゴ−レッド、およびタウに対するアントラキノンとポルフィリンである(Pickhardt M., Gazova Z., von Bergen M., Khilistunova I., Wang Y., Hascher A., Mandelkow E.M., Biernat J. and Mandelkow E. (2005), Anthraquinones inhibit tau aggregation and dissolve paired helical filaments in vitro and in cells(アントラキノンは、インビトロおよび細胞において、タウ凝集を阻害し、溶解した対らせん状フィラメントを溶解する), J. Biol. Chem. 280: 3628-3635;Inouye H., Sharma D., Goux W.J. and Kirschner D.A. (2006), Structure of core domain of fibril-forming PHF/tau fragment(細線維形成PHF/タウフラグメントのコアドメインの構造), Biophys. J. 90: 1774-1789)。アントラキノンおよびポルフィリンとの相違として、キノリンはタウ抗凝集療法に向けての重要な候補であるが、その理由は、これらが低濃度でタウ凝集を阻止することに加えてBHEを通過し、さらには、ポルフィリン類およびアントラキノン類と違って、その患者での使用がすでに承認されていることである。タウタンパク質類似体について先に実施された電子顕微鏡法およびX線回折での研究は、βフォイルに一致する3種の残基のみが、PHFのフィラメント形状の重合に関わり得るということを証明している(Inouye H., Sharma D., Goux W.J. and Kirschner D.A. (2006), Structure of core domain of fibril-forming PHF/tau fragment(細線維−形成PHF/タウフラグメントのコアドメインの構造), Biophys. J. 90: 1774-1789)が、このことは、他の研究とも一致して、これらの相互作用が小型ペプチド間のH架橋または芳香性残基を経て確立されることを示している(Gazit E. (2002), A possible role for π-stacking in the self-assembly of amyloids fibrils(アミロイド細線維の自己集合におけるπ−スタッキングの可能な役割), FASEB J. 16: 77-83;Makin O.S., Atkins E., Sirkoski P., Johanson J. and Serpell L.C. (2005), Molecular basis for amyloid fibril formation and stability(アミロイド細線維形成と安定性のための分子基盤), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 315-320)。このタイプの相互作用は、線維形成を阻害するか、または既に形成された線維を破壊するために妥当な標的として使用し得よう。当該研究は、本発明の実験で得られた結果により確認されるが、その理由は、該キノリンが1位に1個のNを有するナフタレンに酷似した2つの芳香環からなるからである。井上ら(Inouye H., and Kischner D.A. (1991), Folding and function of the myelin proteins from primary sequence data(一次配列データからのミエリンタンパク質の折りたたみと機能), J. Neurosc. Res. 28: 1-17)が、PHFにおける核形成と重合に関わる小型のペプチドからなるC−末端に位置するタウドメインについて実施した別の研究は、チロシン間の可能な相互作用を示し、従って、該インヒビターは相互作用により芳香性残基に結合し得ることを示唆している(Hunter C.A., Sanders J.K.M. (1990), The nature of π-π interactions(π−π相互作用の性質), J. Am. Chem. Soc. 112: 5525-5534)。
H−ASTとのインビトロ置換の研究
ベンズイミダゾール誘導体が、特異的に高親和性で、タウタンパク質に結合するという事実に基づくと、gnaNFT(Rojo L., Avila M., Chandia M., and Maccioni R.B. (2007), 18F Lansoprazole as PET radiotracer, Chemical and biological studies towards the development of a New PET Radiotracer(PET放射性トレーサーとしての18Fランソプラゾール、新規PET放射性トレーサーの開発に向けた化学的生物学的研究), International Conference on Clinical PET and Molecular Nuclear Medicine(臨床上PETおよび分子核医学に関する国際会議)、11月10〜14日、バンコク; Okamura N., Suemoto T., Furumoto S., Suzuki M., Shimadzu H., Akatsu H., Yamamoto T., Fujiwara H., Nemoto M., Maruyama M., Arai H., Yanai K., Sawada T., Kudo Y. (2005), Quinoline and bencimidazole derivatives: candidate probes for in vivo imaging of tau pathology in Alzheimer’s disease(キノリンおよびベンズイミダゾール誘導体;アルツハイマー病におけるタウ病因のインビボ画像化のための候補プローブ), J. Neurosci. 25: 10857-10862)は、ベンゼン環核のそれらの構造類似性とベンズイミダゾール環の1位のNに基づいて、この相互作用を置き換え得る可能性を示唆している。この方法において、このものはベンズイミダゾールと置き換わり、インビトロでタウタンパク質の凝集体に結合するはずである。この目的にはH−ASTを使用するが、その結果は、得られる阻害定数(Ki)が非常に高く(10μMを超える)、これらの薬物は放射性リガンドと置き換わらないことを示す;そのためタンパク質に対するこれら化合物の親和性を得るための唯一の選択肢は、放射線標識キノリン(市販品としては入手できない)を使用することであろうことを示している。結果として、この実験は、この2種類のキノリンが、使用したベンズイミダゾールと置き換わる能力を有せず、従って、これらキノリン類のもつ非常に高いKiのために、タウに対するそれらの親和性はベンズイミダゾールよりも低いこと、または両方の分子において、タウタンパク質との相互作用部位が異なっている(この側面は研究すべきである)ことを示唆していることを示した。
ドッキングテスト
この状況下、キノリンとタウタンパク質間の相互作用の形状を予測するために“ドッキング”テストを実施した。これらの研究を実施するためには、結晶化したタウタンパク質フラグメントを取得することが必要であった。このことは、もしタンパク質の結晶構造が存在しないとすれば、ドッキングはなし得ないという理由で重要な局面である。グラベ(Glabe C.G. (2004), Conformation dependent antibodies target diseases of protein misfolding(立体配座依存性抗体はタンパク質の誤った折りたたみによる疾患を標的とする), Trends Biochem. Sci. 29: 542-547)が実施した研究は、モノクローナル抗体の三次構造が、タウの場合のように、本質的に障害されたタンパク質(IDP)の病理学的集合メカニズムの検討のための必須の手段であることを示している。ソコバら(Csokova N, Skrabana R, Urbanikova L, Kovacech B, Popov A, Sevcik J, Novak M. (2006), Preparation, crystallization and preliminary X-ray analysis of the Fab fragment of monoclonal antibody MN423, revealing the structural aspects of Alzheimer's paired helical filaments(モノクローナル抗体MN−423のFabフラグメントの調製、結晶化および予備的X線分析は、アルツハイマーの対らせん状フィラメントの構造的側面を明らかにする), Protein Pept Lett. 13:941-4)が実施した以前の研究は、モノクローナル抗体MN−423が、プロナーゼ抵抗性のタウC−末端の93〜95アミノ酸の配列からなるPHF/タウ構造核に特異的に結合することを見出した。このタウ配列(アミノ酸306〜391)を用いて、本発明者らは3カ月間このタンパク質の結晶化を実施した;その際、詳細な分析は、該抗体の反応性に寄与するペンタペプチド387DHGAE391が、PHF構造中のタウタンパク質の集合に関わり、該フィラメントの集合に際して、ベータ構造の既知配列を変化させることを示した(Sevcik J., Skrabana R., Dvorsky R., Csokova N., Iqbal K., Novak M. (2007), X-ray structure of the PHF core C-terminus: insight into the folding of the intrinsically disordered protein tauin Alzheimer's disease(PHFコアC−末端のX線構造:アルツハイマー病における本質的に障害されたタンパク質の折りたたみに対しての洞察), FEBS Lett. 581 (30): 5872-5878)。さらに、この配列がタウ中に高度に保存されたゾーンに位置し、C−末端の反復領域に関係していることを付け加えることは重要である。
上記の情報に基づき、またこの配列を用いて、ドッキング研究を実施した;この研究はキノリンとタウの相互作用間の数理モデルに基づく第一近似値を提示する。これらの研究を通して、これらのキノリン類、具体的にTHQ4S(表1参照)は、これらの化合物とタウタンパク質のフラグメント間の相互作用にとって有利なドッキングエネルギーを有することが確立された。THQ4S(表1参照)は、分子の性質が有利であり、THQ55(表1参照)よりも親油性であるため、これらのテストに選択した。THQ55(表1参照)とこのタウフラグメントとのドッキングは、未だに検討されていない一局面であり、譬え可能性としてTHQ55(表1参照)の相互作用のエネルギーが、THQ4S(表1参照)のエネルギーよりもさらにより陰性であり得るとしても、THQ55(表1参照)は、キノリンの芳香環の共鳴に影響を与え得る置換基に電子供与基を提供して、電子を非局在化するので、従って、Nをより陰性とし、タウの場合のように、陽イオンタンパク質との相互作用と協力する。さらに、このことはこの近似から得られる重要な情報、すなわち、キノリン中のこのN(図22、白抜き矢印で示す)がペプチドの最末端に突出するOと相互作用し、AlaとGluの間に形成される小さな空隙(“ポケット”構造)を構成するという情報により確認される。この窒素原子は、MN−423AβのArg106の1個のNと特異的に置き換わり得る。
得られた結果が妥当であるとしても、結合ドメインは、該ペプチドが非常に小さく、またタウとキノリン間の可能な相互作用の近似値を提供するだけであるため、正確に確立することができない。
従って、本発明の目的は、NFT形成の前に、タウ凝集の可能性のあるブロッカーとして、重合したタウに結合するリガンド分子の研究を主たる目的とする。正確な顕微鏡法による研究、沈降および比濁分析テストは、タウ凝集を妨げるこれら薬物の許容力を直接確認し得るものとする。
他方、これらの分子は比較的高い脂溶性を提供し、BHEを通過する他の薬物同様の分子性を示して、それにより結局、脳レベルでの作用を発揮することができる。これらの結果から結論されることは、これらのキノリン類およびその誘導体が、AD処置のために可能性のある治療方針において、タウ凝集の潜在的なインヒビター薬物として使用し得ることである。

Claims (10)

  1. 下記式で示される、タウタンパク質凝集のインヒビターとして適切なキノリン誘導体。

    [式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである。]
  2. が2−(4−アミノフェニル)であり、Rがメチルである請求項1記載のキノリン誘導体。
  3. アルツハイマー病(AD)の治療に適する請求項1または2に記載のキノリン誘導体。
  4. タウタンパク質凝集の阻害に有用な医薬の製造のための下記式で示されるキノリン誘導体の使用。

    [式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである]
  5. が2−(4−アミノフェニル)であり、Rがメチルである請求項4記載の使用。
  6. アルツハイマー病の治療に有用な医薬の製造のための請求項4または5に記載の使用。
  7. 下記式で示されるキノリン誘導体を投与することを特徴とするタウタンパク質凝集の防止方法。:

    [式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである]
  8. が2−(4−アミノフェニル)であり、Rがメチルである請求項8記載の方法。
  9. 下記式で示されるキノリン誘導体を投与することを含むアルツハイマー病の治療方法。

    [式中、Rは、2−(4−アミノフェニル)または2−(4−メチルフェニル)であり、Rはメチルである]
  10. が2−(4−アミノフェニル)であり、Rがメチルである請求項9記載の方法。
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