前述のとおり、本開示は、結合電磁共振器を使用した無線エネルギー伝達に関連する。しかし、かかるエネルギー伝達は、電磁共振器に限定されず、本明細書に記載の無線エネルギー伝達システムは、もっと一般的で、幅広い種類の共振器および共振物を用いて実施され得る。
当業者には認識されるように、共振器ベースの送電に対して考慮すべき重要なことには、共振器効率および共振器結合を含む。例えば、結合モード理論(CMT:coupled mode theory)、結合係数および因子、品質係数(Q係数とも呼ばれる)、およびインピーダンス整合など、かかる問題の広範囲にわたる議論が、例えば、2010年9月23日に米国特許20100237709としてとして公開された、「RESONATOR ARRAYS FOR WIRELESS ENERGY TRANSFER」という名称の米国特許出願第12/789,611号、および2010年7月22日に米国特許20100181843として公開された、「WIRELESS ENERGY TRANSFER FOR REFRIGERATOR APPLICATION」という名称の米国特許出願第12/722,050号で提供されており、本明細書で完全に規定されているように、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
「共振器」は、エネルギーを少なくとも2つの異なる形式で保存できる共振構造として定義され得、そこで、保存されているエネルギーは、2つの形式の間で変動する。共振構造は、共振(モーダル)周波数fおよび共振(モーダル)場をもつ特定の振動モードを有する。角共振周波数ωは、ω=2πfと定義され得、共振周期Tは、T=1/f=2π/ωと定義され得、かつ、共振波長λは、λ=c/fと定義され得、ここで、cは、関連する場の波(電磁共振器に対しては、光)の速度である。損失機構、結合機構または外部エネルギー供給もしくは排出機構がない場合は、共振器Wによって保存されるエネルギーの総量は、一定のままであるが、エネルギーの形式は、その共振器でサポートされる2つの形式の間で変動し、その場合、1つの形式が最大のとき、他は最小であり、逆もまた同様である。
例えば、共振器は、保存されているエネルギーの2つの形式が磁気エネルギーおよび電気エネルギーであるように、構築され得る。さらに、共振器は、電場によって保存されている電気エネルギーが主として構造内に閉じ込められ、他方、磁場によって保存されている磁気エネルギーが主として共振器の周りを囲んでいる領域に存在するように、構築され得る。言い換えれば、総計の電気および磁気エネルギーは等しいが、それらの局所化は異なり得る。かかる構造を使用すると、少なくとも2つの構造の間でのエネルギー交換が、少なくとも2つの共振器の共振近傍磁界によって仲介され得る。これらのタイプの共振器は、「磁気共振器」と呼ばれ得る。
無線送電システムで使用される共振器の重要なパラメータは、共振器の「品質係数」、または「Q係数」、または「Q」であり、それは、エネルギー減衰を特性化し、共振器のエネルギー損失に反比例する。それは、Q=ω*W/Pと定義され得、ここで、Pは、定常状態で失われる時間平均電力である。すなわち、高Qをもつ共振器は比較的低い固有損失を有し、比較的長い間、エネルギーを保存することができる。共振器は、その固有の減衰率2Γでエネルギーを失うため、そのQ(その固有のQとも呼ばれる)は、Q=ω/2Γによって与えられる。品質係数は、振動周期の数Tも表し、共振器内のエネルギーがe−2πだけ減衰するのにかかる時間である。共振器の品質係数または固有の品質係数またはQは、固有の損失機構のみに起因することに留意されたい。発電機gまたは負荷lに接続または結合された共振器のQは、「負荷品質係数(loaded quality factor)」または「負荷Q」と呼ばれ得る。エネルギー伝達システムの一部にすることを意図していない無関係な物体の存在下での共振器のQは、「摂動品質係数(perturbed quality factor)」または「摂動Q」と呼ばれ得る。
それらの近接場の任意の部分を介して結合されている共振器は、相互に作用し、エネルギーを交換し得る。このエネルギー伝達の効率は、共振器が実質的に同一の共振周波数で動作する場合、著しく向上できる。限定としてではなく一例として、Q
sをもつ供給源共振器、およびQ
dをもつ装置共振器を仮定する。高Q無線エネルギー伝達システムは、高Qである共振器を利用し得る。各共振器のQは、高い可能性がある。共振器Qの幾何平均
も高いか、またはその代りに高い可能性がある。
「結合係数」kは、
の間の数であり、供給源および装置共振器がサブ波長の距離に置かれている場合、それらの共振周波数と無関係(または、ほとんど無関係)であり得る。むしろ、結合係数kは、相対的な幾何学および、それらの結合を仲介する場の物理的な減衰の法則が考慮に入れられる供給源共振器と装置共振器との間の距離によってほとんど決定され得る。CMTで使用される結合係数
は、共振器構造の他の特性と同様に、共振周波数の強関数であり得る。共振器の近接場を利用する無線エネルギー伝達の適用例では、放熱によって失われる電力を減少できるように、共振器のサイズを共振波長よりもずっと小さくすることが望ましい。いくつかの実施形態では、高Q共振器は、サブ波長構造である。いくつかの電磁実施形態では、高Q共振器構造は、100kHzよりも高い共振周波数を有するように設計される。他の実施形態では、共振周波数は、1GHzよりも少ない。
例示的な実施形態では、これらのサブ波長共振器により、遠距離場に放射される電力は、共振器の共振周波数およびシステムの動作周波数を低下させることによってさらに減少され得る。他の実施形態では、遠距離場の放射は、遠距離場における破壊性を妨げるために、2つ以上の共振器を遠距離場に対して配列することによって減少され得る。
無線エネルギー伝達システムでは、共振器は、無線エネルギー供給源、無線エネルギー捕捉装置、中継器またはそれらの組合わせとして使用され得る。実施形態では、共振器は、エネルギーの伝達、エネルギーの受信またはエネルギーの中継を交互に行い得る。無線エネルギー伝達システムでは、振動近接磁場を生成するために、1つまたは複数の磁気共振器がエネルギー源に結合され、通電され得る。振動近接磁場内にある他の共振器は、これらの場を捕捉し、そのエネルギーを、有効なエネルギーの無線伝達を可能にする負荷に電力供給または充電するために使用され得る電気エネルギーに変換する。
有効なエネルギー交換におけるいわゆる「有効な」エネルギーは、許容可能な率で電力供給または充電を行うために、装置に供給する必要のあるエネルギーまたは電力である。有効なエネルギー交換に対応する伝達効率は、システムまたは適用例によって異なり得る。例えば、何キロワットもの電力を伝送する高出力車両充電の適用例は、伝達システムの様々なコンポーネントを著しく加熱することなく、車両バッテリーを再充電するのに十分な有効なエネルギー交換となる有効な量の電力を供給するために、少なくとも80%の効率である必要があり得る。いくつかの家庭用電化製品の適用例では、有効なエネルギー交換は、10%を超える任意のエネルギー伝達効率、または充電バッテリーを「満タン」に維持し、かつ、長時間に渡って動作するために許容可能な任意の他の量を含み得る。埋め込まれた医療機器の用途では、有効なエネルギー交換は、患者に害を与えないが、バッテリーの寿命を延ばすか、またはセンサーもしくはモニターもしくは刺激装置を目覚めさせる、任意の交換であり得る。かかる適用例では、100mWまたはそれ以下の電力が有効であり得る。分散センシングの用途では、マイクロワットの送電が有効であり得、伝送効率は1%を大きく下回っている可能性がある。
電力供給または再充電用途における無線エネルギー伝達のための有効なエネルギー交換は、浪費されるエネルギーレベル、熱放散、および関連する場の強度が受忍限度内であり、費用、重量、サイズ、および同類のものなどの関連要因と適切にバランスが取れている限り、効率的、非常に効率的、または十分に効率的であり得る。
共振器は、供給源共振器、装置共振器、第1の共振器、第2の共振器、中継器共振器などと呼ばれ得る。実施態様は、3つ以上の共振器を含み得る。例えば、単一の供給源共振器は、エネルギーを複数の装置共振器または複数の装置に伝達し得る。エネルギーは、第1の装置から第2の装置へ、次いで、第2の装置から第3の装置へ、などと伝達され得る。複数の供給源は、エネルギーを単一の装置、または単一の装置共振器に接続された複数の装置、または複数の装置共振器に接続された複数の装置に伝達し得る。共振器は、交互にまたは同時に、供給源、装置として機能し得、かつ/または共振器は、ある位置の供給源から別の位置の装置に電力を中継するために使用され得る。中間の電磁共振器は、無線エネルギー伝達システムの距離範囲を拡張するため、および/または集中近接磁場の領域を生成するために使用され得る。複数の共振器は、共にデイジーチェーンで接続され得、延長された距離を渡り、広範な供給源および装置で、エネルギーを交換する。例えば、供給源共振器は、いくつかの中継器共振器を介して、電力を装置共振器に伝送し得る。供給源からのエネルギーは、第1の中継器共振器に伝達され得、第1の中継器共振器は、電力を第2の中継器共振器に伝送し得、そして、第2の中継器共振器は第3の中継器共振器に、といった具合に、最後の中継器共振器がそのエネルギーを装置共振器に伝達するまで伝達し得る。この点において、無線エネルギー伝達の範囲および距離は、中継器共振器を追加することにより、延長および/または調整し得る。高電力レベルは、複数の供給源の間で分割され、複数の装置に伝送され、遠く離れた場所で再結合され得る。
共振器は、結合モード理論モデル、回路モデル、電磁場モデルなどを使用して設計され得る。共振器は、調節可能な特性サイズを有するように設計され得る。共振器は、異なる電力レベルを処理するように設計され得る。例示的な実施形態では、高出力共振器は、低出力共振器より大きな導体および高い電流または電圧の定格コンポーネントを必要とし得る。
図1は、無線エネルギー伝達システムの例示的な構成および配置の概略図を示す。無線エネルギー伝達システムは、エネルギー源102および随意でセンサーおよび制御装置108に結合された、少なくとも1つの供給源共振器(R1)104(随意でR6、112)を含み得る。エネルギー源は、供給源共振器104を駆動するために使用され得る電気エネルギーに変換できる、任意のタイプのエネルギー源であり得る。エネルギー源は、バッテリー、太陽電池パネル、電気の主管(electrical main)、風力または水力タービン、電磁共振器、発電機、および同類のものであり得る。磁気共振器の駆動に使用される電気エネルギーは、共振器によって振動磁場に変換される。振動磁場は、随意でエネルギードレイン110に結合される装置共振器(R2)106、(R3)116であり得る他の共振器によって捕捉され得る。振動磁場は、無線エネルギー伝達システムを延長または調整するように構成される中継器共振器(R4、R5)に随意で結合され得る。装置共振器は、供給源共振器、中継器共振器および他の装置共振器の近くにある磁場を捕捉し、それらを、エネルギードレインによって使用され得る電気エネルギーに変換し得る。エネルギードレイン110は、電気エネルギーを受信するように構成された、電気、電子、機械または化学装置、および同類のものであり得る。中継器共振器は、供給源、装置および中継器共振器の近くにある磁場を捕捉し得、そのエネルギーを他の共振器に渡し得る。
無線エネルギー伝達システムは、エネルギー源に結合された単一の供給源共振器104およびエネルギードレイン110に結合された単一の装置共振器106を含み得る。実施形態では、無線エネルギー伝達システムは、1つまたは複数のエネルギー源に結合された複数の供給源共振器を含み得、1つまたは複数のエネルギードレインに結合された複数の装置共振器を含み得る。
実施形態では、エネルギーは、供給源共振器104と装置共振器106との間で直接伝達され得る。他の実施形態では、エネルギーは、1つまたは複数の供給源共振器104、112から1つまたは複数の装置共振器106、116へ、装置共振器、供給源共振器、中継器共振器、および同類のものであり得る任意の数の中間共振器を介して、伝達され得る。エネルギーは、トークンリング、メッシュ、アドホック、および同類のものなどのトポロジーの任意の組合わせで配列されたサブ回路網を含み得る回路網または共振器114の配列を介して、伝達され得る。
実施形態では、無線エネルギー伝達システムは、集中型の検出および制御システム108を含み得る。実施形態では、共振器のパラメータ、エネルギー源、エネルギードレイン、回路網トポロジー、動作パラメータなどが、システムの特定の動作パラメータを満足するよう、制御プロセッサから監視および調整され得る。中央制御プロセッサは、大域的なエネルギー伝達効率を最適化するため、伝送する電力量を最適化するためなど、システムの個々のコンポーネントのパラメータを調整し得る。他の実施形態は、実質的に分散されている検出および制御システムを有するように設計され得る。検出および制御は、各共振器または共振器のグループ、エネルギー源、エネルギードレイン、および同類のものに組み込まれ得、供給されたる電力を最大限にするため、そのグループ内のエネルギー伝達効率を最大限にするためなど、グループ内の個々のコンポーネントのパラメータを調整するように構成され得る。
実施形態では、無線エネルギー伝達システムのコンポーネントは、装置、供給源、中継器、電源、共振器、および同類のものなど、他のコンポーネントに対する無線または有線データ通信リンクを有し得、分散型または集中型の検出および制御を可能にするために使用できるデータの送信および受信を行い得る。無線通信チャネルは、無線エネルギー伝達チャネルから分離され得るか、または同一であり得る。一実施形態では、電力交換に使用される共振器は、情報を交換するためにも使用され得る。いくつかの場合には、情報は、電源または装置回路内のコンポーネントを調節すること、およびポートパラメータまたは他の監視装置でその変化を検出することにより交換され得る。共振器は、システム内の他の共振器の反射インピーダンスに影響し得る共振器のインピーダンスなどの共振器パラメータを調整、変更、変化、ディザリングなどを行うことにより、相互に信号を送り得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、無線送電システム内の共振器間での電力および通信信号の同時伝送を可能にし得るか、または無線エネルギー伝達中に使用される同一の磁場を使用して、異なる期間中に、もしくは異なる周波数で、電力および通信信号の伝送を可能にし得る。他の実施形態では、無線通信は、WiFi、Bluetooth(登録商標)、赤外線、および同類のものなど、別個の無線通信チャネルで可能にされ得る。
実施形態では、無線エネルギー伝達システムは、複数の共振器を含み得、全体的なシステム性能は、システム内の様々な素子を制御することにより改善され得る。例えば、低消費電力の装置は、それらの共振周波数を、高消費電力の装置に電力を供給する高電源の共振周波数から離して調整し得る。このようにして、低および高電源デバイスは、安全に動作するか、または単一の高電源から充電し得る。さらに、充電ゾーン内の複数の装置は、先着順サービス、ベストエフォート型、保証電力(Guaranteed Power)など、様々な消費制御アルゴリズムのうちの任意のものに従って調節された、それらの装置で利用可能な電力を見つけ得る。電力消費アルゴリズムは、本来は階層的であって、特定のユーザーまたは装置のタイプに優先権を与え得るか、または供給源内で利用可能な電力を等分することにより任意の数のユーザーをサポートし得る。電力は、本開示に記述するいずれかの多重化技術によって共有され得る。
実施形態では、形状、構造、および構成の組合わせを使用して、電磁共振器が実現または実施され得る。電磁共振器は、誘導素子、分布インダクタンス、または総インダクタンスLをもつインダクタンスの組合わせ、および容量性素子、分布容量、または総容量Cをもつ容量の組合わせを含み得る。容量、インダクタンスおよび抵抗を含む電磁共振器の最小回路モデルを図2Fに示す。共振器は、誘導素子238および容量性素子240を含み得る。コンデンサ240に貯蔵されている電場エネルギーなど、初期エネルギーが提供されると、システムは、コンデンサが伝達するエネルギーをインダクタ238に貯蔵される磁場エネルギーに放出すると振動し、インダクタは同様に、エネルギーを、コンデンサ240に貯蔵される電場エネルギーに伝達して戻す。これらの電磁共振器における固有損失は、誘導および容量性素子における抵抗ならびに放射損失に起因する損失を含み、図2F内で抵抗R242によって表される。
図2Aは、例示的な磁気共振器構造の簡略図を示す。磁気共振器は、導体ループの終端で誘導素子202および容量性素子204として機能する導体のループを含み得る。電磁共振器のインダクタ202およびコンデンサ204は、バルク回路素子であり得るか、またはインダクタンスおよび容量が分布され得、導体が構造内で形成、成形、または位置付けられる方法に起因し得る。
例えば、インダクタ202は、図2Aに示すように、表面領域を囲むように導体を成形することによって実現され得る。このタイプの共振器は、容量性負荷ループインダクタまたは容量性負荷誘導ループと呼ばれ得る。任意の数の回転で、任意の形状および寸法の表面を囲む、導電構造(線、管、細長片など)を大まかに示すために「ループ」または「コイル」という用語が使用されることに留意されたい。図2Aでは、囲まれた表面領域が円形であるが、表面は任意の広範な他の形状およびサイズであり得、特定のシステム性能仕様に達するように、および/または特定の容積もしくは空間内に適合するように設計され得る。実施形態では、インダクタンスは、インダクタ素子、分布インダクタンス、回路網、配列、インダクタおよびインダクタンスの直列および並列の組合わせ、ならびに同類のものを使用して、実現され得る。インダクタンスは、固定または可変であり得、共振周波数動作条件と同様に、インピーダンス整合を変えるために使用され得る。
共振器構造に対する所望の共振周波数を達成するために必要な容量を実現する様々な方法がある。コンデンサ極板204は、図2Aに示すように形成され、利用され得るか、または容量は、マルチループ導体の隣接する巻線間で分布および実現され得る。容量は、コンデンサ素子、分布容量、回路網、配列、容量の直列および並列の組合わせ、ならびに同類のものを使用して、実現され得る。容量は、固定または可変であり得、共振周波数動作条件と同様に、インピーダンス整合を変えるために使用され得る。
磁気共振器で使用される誘導素子は、2つ以上のループを含み得、内側へまたは外側へまたは上方へまたは下方へまたはいくつかの方向の組合わせで螺旋状になり得る。一般に、磁気共振器は、様々な形状、サイズおよび巻数を持ち得、また、様々な導体材料から構成され得る。例えば、導体210は、ワイヤー、リッツ線、リボン、パイプ、導電インク、ペンキ、ジェル、および同類のものから形成された配線、または回路基板上にプリントされた単一もしくは複数の配線から形成された配線であり得る。誘導ループを形成する回路基板208上の配線パターンの例示的な実施形態を図2Bに示す。
実施形態では、誘導素子は、任意のサイズ、形状、厚さなどの磁性材料を用いて形成され得、かつ広範な透磁率および損失値をもつ材料から成り得る。これらの磁性材料は、固形物であり得、中空容積を囲み、一緒に貼られているかまたは並べられている、多数の磁性材料の細かい断片から形成され得、そして、それらは、高導電性材料から作られた導電性シートまたは筐体と統合され得る。導体は、磁場を生成するために磁性材料に巻き付けられ得る。これらの導体は、その構造の1つまたは2つ以上の軸に巻き付けられ得る。複数の導体は、カスタマイズされた近接場パターンを形成するためおよび/または構造の双極子モーメントを正しい方向に向けるために、磁性材料に巻き付けられ、並列接続で、または直列で、またはスイッチで結合され得る。磁性材料を含む共振器の例を図2C、図2D、図2Eに示す。図2Dでは、共振器は、導体224のループの軸に平行な磁気双極子モーメント228を有する構造を作る磁性材料222のコアに巻かれた導体のループ224を含む。共振器は、磁性材料214に直交方向に巻かれた複数の導体のループ216、212を含み得、導体がどのように駆動されるかに応じて、図2Cに示すように2つ以上の方向に向けられ得る磁気双極子モーメント218、220を有する共振器を形成する。
電磁共振器は、その物理的特性によって定義される特性、固有の、または共振周波数を有し得る。この共振周波数は、共振器によって保存されたエネルギーが、共振器の電場W
E(W
E=q
2/2C、式中qは、コンデンサC上の電荷である)によって保存されたエネルギーと磁場W
B(W
B=Li
2/2、式中iは、インダクタLを流れる電流である)によって保存されたエネルギーとの間で変動する周波数である。このエネルギーが交換される周波数は、共振器の特性周波数、固有周波数、または共振周波数と呼ばれ得、ωによって与えられる:
共振器の共振周波数は、共振器のインダクタンスL、および/または容量Cを調整することによって変更され得る。一実施形態では、システムパラメータは、最適な動作条件にできるだけ近い状態にするため、動的に調節または調整可能である。しかし、前述した考察に基づき、いくつかのシステムパラメータが可変でないか、またはコンポーネントが動的に調整できない場合でさえ、十分に効率的なエネルギー交換が実現され得る。
実施形態では、共振器は、コンデンサおよび回路素子の回路網内に配置されている2つ以上のコンデンサに結合された誘導素子を含み得る。実施形態では、コンデンサおよび回路素子の結合回路網は、共振器の2つ以上の共振周波数を定義するために使用され得る。実施形態では、共振器は、2つ以上の周波数で、共振、または部分的に共振し得る。
実施形態では、無線電源は、電力供給に結合された少なくとも1つの共振器コイルを含み得、それは、クラスD増幅器またはクラスE増幅器またはそれらの組合わせなど、スイッチング増幅器であり得る。この場合、共振器コイルは、事実上、電力供給に対する電源負荷である。実施形態では、無線電源デバイスは、電源負荷に結合された少なくとも1つの共振器コイルで構成され得、その電源負荷は、クラスD整流器またはクラスE整流器またはそれらの組合わせなど、スイッチング整流器であり得る。この場合、共振器コイルは、事実上、電源負荷に対する電力供給であり、その負荷のインピーダンスは、共振器コイルからの負荷の動作対排出の比率にも直接関連する。電力供給と電源負荷との間の送電効率は、電源の出力インピーダンスが負荷の入力インピーダンスにどのくらい厳密に一致しているかによって影響され得る。電力は、負荷の入力インピーダンスが電力供給の内部インピーダンスの複素共役に等しい場合、最大限可能な効率で負荷に供給され得る。最大限の送電効率を獲得するための電力供給または電源負荷の設計は、しばしば「インピーダンス整合」と呼ばれ、システムにおける有効対損失電力の比率の最適化とも呼ばれ得る。インピーダンス整合は、電力供給と電源負荷との間にインピーダンス整合回路網を形成するために、コンデンサ、インダクタ、変圧器、スイッチ、抵抗、および同類のものなどの回路網または素子の組を追加することによって、行われ得る。実施形態では、素子の位置決めにおける機械的調整および変更が、インピーダンス整合を達成するために使用され得る。変化する負荷に対して、インピーダンス整合回路網は、負荷に面している電力供給端子におけるインピーダンスおよび電力供給の特性インピーダンスが、動的環境および動作シナリオにおいてさえ、実質的に互いの複素共役のままであることを確実にするように動的に調整される可変コンポーネントを含み得る。
実施形態では、インピーダンス整合は、電力供給の駆動信号のデューティサイクル、および/もしくは位相、および/もしくは周波数を調整することにより、またはコンデンサなど、電力供給内の物理的コンポーネントを調整することにより、達成し得る。かかる調整機構は、調整可能なインピーダンス整合回路網を使用することなく、または、例えば、より少ない調整可能コンポーネントを有するものなど、簡略化した調整可能なインピーダンス整合回路網を用いて、電力供給と負荷との間のインピーダンス整合を可能にし得るため、有利であり得る。実施形態では、駆動信号のデューティサイクル、および/または周波数、および/または位相を電力供給に合わせると、拡張した同調範囲または精度、より高い電力、電圧および/または電流の能力、より高速な電子制御、より少ない外部コンポーネント、および同類のものを備えた、動的インピーダンス整合システムを生じ得る。
いくつかの無線エネルギー伝達システムでは、インダクタンスなどの共振器のパラメータは、周囲の物体、温度、配向、他の共振器の数および位置などの環境条件に影響され得る。共振器の動作パラメータにおける変更は、無線エネルギー伝達における送電効率など、特定のシステムパラメータを変更し得る。例えば、共振器の近くに置かれている高伝導性材料は、共振器の共振周波数をシフトし、他の共振物からそれを離調し得る。いくつかの実施形態では、リアクタンス素子(例えば、誘導素子または容量性素子)を変更することによりその周波数を修正する共振器フィードバック機構が採用される。許容可能な整合条件を達成するために、少なくともいくつかのシステムパラメータが動的に調節可能または調整可能な必要があり得る。ほぼ最適な動作条件を達成するためには、すべてのシステムパラメータが動的に調節可能または調整可能であり得る。しかし、十分に効率的なエネルギー交換は、すべてまたはいくつかのシステムパラメータが可変でなくても、実現し得る。いくつかの例では、少なくともいくつかの装置は、動的に調整可能でない可能性がある。いくつかの例では、少なくともいくつかの供給源は、動的に調整可能でない可能性がある。いくつかの例では、少なくともいくつかの中間共振器は、動的に調整可能でない可能性がある。いくつかの例では、どのシステムパラメータも動的に調整可能でない可能性がある。
いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータにおける変更は、動作環境または動作点における変化を受けると、補足的または逆の向きもしくは方向に変わる特性をもつコンポーネントを選択することにより、軽減され得る。実施形態では、システムは、温度、電力レベル、周波数、および同類のものに起因する逆依存(opposite dependence)またはパラメータ変動を有する、コンデンサなどのコンポーネントを用いて設計され得る。いくつかの実施形態では、温度関数などのコンポーネント値がシステムのマイクロコントローラ内のルックアップテーブルに保存され得、温度センサーからの読出しが、温度によって誘発されたコンポーネント値の変化を補償するように他のパラメータを調整するために、システム制御フィードバックループで使用され得る。
いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータ値における変化が、調整可能コンポーネントを含む能動調整回路で補償され得る。システムおよびコンポーネントの動作環境および動作点を監視する回路が、設計に組み込まれ得る。監視回路は、コンポーネントのパラメータにおける変化を能動的に埋め合わせるために必要な信号を提供し得る。例えば、温度の読取りは、システムの容量における予期される変化を計算するため、または、その容量の以前に測定された値を示すために使用され得、温度範囲にわたって所望の容量を維持するために、他のコンデンサに切り替えるか、またはコンデンサを調整することによって補償を可能にする。実施形態では、RF増幅器スイッチング波形が、システム内のコンポーネント値または負荷変化を補償するように調整され得る。いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータにおける変化は、能動冷却、加熱、能動的な環境調整、および同類のものを用いて補償され得る。
パラメータ測定回路は、システム内の特定の電力、電圧、および電流、信号を測定または監視し得、プロセッサまたは制御回路は、それらの測定値に基づいて特定の設定または動作パラメータを調整し得る。さらに、システム全体にわたって、電圧および電流信号の振幅および位相、ならびに電力信号の振幅が、システム性能を測定または監視するためにアクセスされ得る。本開示全体で参照される測定信号は、電圧信号、電流信号、電力信号、温度信号、および同類のもののみならず、ポートパラメータ信号の任意の組合わせであり得る。これらのパラメータは、アナログおよびデジタル技術を用いて測定され得、それらはサンプリングおよび処理され得、いくつかの既知のアナログおよびデジタル処理技術を用いてデジタル化または変換され得る。実施形態では、特定の測定量の既定値がシステムコントローラまたは記憶場所にロードされ、様々なフィードバックおよび制御ループで使用される。実施形態では、測定された信号、監視された信号、および/または事前設定された信号が、共振器および/またはシステムの動作を制御するために、フィードバック回路またはシステムで使用され得る。
調整アルゴリズムが、磁気共振器の周波数Qおよび/またはインピーダンスを調整するために使用され得る。そのアルゴリズムは、システムに対する所望の動作点からの逸脱度に関連する入力基準信号として取り得、システムを所望の動作点(または複数の動作点)に戻すために、システムの可変または調整可能な素子を制御する、その逸脱に関連する訂正または制御信号を出力し得る。磁気共振器用の基準信号は、共振器が無線送電システム内で電力を交換している間に、取得され得るか、またはそれらは、システム動作中に回路から交換され得る。システムに対する補正が、継続的に、定期的に、閾値を超えると、デジタル方式で、アナログ方式で、および同類のもので、適用または実行され得る。
実施形態では、損失の多い異物および物体が、無線送電システムの共振器の磁気および/または電気エネルギーを吸収することにより、効率低下の可能性を取り込み得る。これらの影響は、損失の多い異物および物体の影響を最小限にするように共振器を位置付けることによって、および構造的な場成形素子(例えば、導電性構造、板、およびシート、磁性材料構造、板、およびシート、ならびにそれらの組合わせ)をそれらの効果が最小限になるように配置することによって、様々な実施形態で軽減され得る。
損失の多い材料の共振器への影響を低下させる1つの方法は、高伝導性材料、磁性材料、またはそれらの組合わせを、それらが損失性物体を回避するように共振器場を成形するために使用することである。例示的な実施形態では、高伝導性材料および磁性材料の層状構造が、共振器の電磁場を偏向させることにより、それらの近くにある損失性物体を回避するように、その電磁場の調整、成形、方向づけ、再配向などを行い得る。図2Dは、導体シート226の下にあり得る損失性物体を回避するように、共振器の場を調整するために使用され得る磁性材料の下に導体シート226を有する共振器の上面図を示す。良導体226の層またはシートは、所与の適用例に最も適している可能性があるので、銅、銀、アルミニウムなどの、任意の高伝導性材料を含み得る。特定の実施形態では、良導体の層またはシートは、共振器の動作周波数において導体の表皮厚さよりも厚い。導体シートは、好ましくは、共振器のサイズよりも大きく、共振器の物理的な範囲を超えて延在し得る。
電送されている電力量が、アクティブな場の容積に立ち入り得る人または動物に対して安全上の問題を提示し得る環境およびシステムでは、安全対策がシステムに含まれ得る。電力レベルが特殊化安全対策を必要とする環境では、共振器のパッケージング、構造、材料、および同類のものが、磁気共振器内の誘導ループからの間隔または「隔離」区域を提供するように設計され得る。さらなる保護を提供するために、高Q共振器ならびに電力および制御回路は、高い電圧または電流を筐体内に制限し、かつ、共振器および電気部品を、天候、湿度、砂、埃、および他の外部要素、ならびに衝突、振動、擦れ、爆発、および他のタイプの機械的衝撃から保護する、筐体内に配置され得る。かかる筐体は、電気部品および共振器に対する許容可能な動作温度範囲を維持するための熱散逸など、様々な要因に対する注意を必要とする。実施形態では、筐体は、複合材料、プラスチック、木材、コンクリート、および同類のものなどの非損失性材料で構築され得、共振器コンポーネントに対して損失性物体からの最小限の距離を提供するために使用され得る。損失性物体または金属性の物体、塩水、油および同類のものを含み得る環境からの最小限の分離距離が、無線エネルギー伝達の効率を向上させ得る。実施形態では、共振器または共振器のシステムの摂動Qを増加させるために、「隔離」区域が使用され得る。実施形態では、最小限の分離距離は、より確実な、またはより不変な共振器の動作パラメータを提供し得る。
実施形態では、共振器ならびにそれらそれぞれのセンサーおよび制御回路が、他の電子ならびに制御システムおよびサブシステムとの様々なレベルの統合を有し得る。いくつかの実施形態では、電力および制御回路ならびに装置共振器は、完全に別個のモジュールであるか、または既存のシステムに対して最小限の統合を有する筐体であり、電力出力および制御ならびに診断インタフェースを提供する。いくつかの実施形態では、装置は、共振器および回路組立体を筐体内部の空洞部に収容するように構成されるか、または装置のハウジングまたは筐体に組み込まれる。
共振器回路例
図3および図4は、無線エネルギー伝達システムの例示的な供給源のための発電、監視、および制御コンポーネントを示す高レベルブロック図である。図3は、ハーフブリッジのスイッチング電力増幅器ならびに関連する測定、調整、および制御回路のうちのいくつかを含む供給源のブロック図である。図4は、フルブリッジのスイッチング増幅器ならびに関連する測定、調整、および制御回路のうちのいくつかを含む供給源のブロック図である。
図3に示すハーフブリッジのシステムトポロジーは、制御アルゴリズム328を実行する処理装置を含み得る。制御アルゴリズム328を実行する処理装置は、マイクロコントローラ、特定用途向け回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、および同類のものであり得る。処理装置は、単一の装置であり得るか、または装置の回路網であり得る。制御アルゴリズムは、処理装置の任意の部分上で実行し得る。アルゴリズムは、特定の用途のためにカスタマイズし得、アナログおよびデジタル回路ならびに信号の組合わせを含み得る。マスターアルゴリズム(master algorithm)は、電圧信号およびレベル、電流信号およびレベル、信号位相、デジタルカウント設定、ならびに同類のものを測定および調整し得る。
システムは、無線通信回路312に結合された、随意の供給源/装置および/または供給源/他の共振器通信回路332を含み得る。随意の供給源/装置および/または供給源/他の共振器通信回路332は、マスター制御アルゴリズムを実行する同一の処理装置の一部であり得、マイクロコントローラ302内の一部または回路であり得、無線送電モジュールの外部にあり得、有線で電力供給されるかまたはバッテリーで電力供給される用途で使用される通信コントローラと実質的に類似しているが、無線送電を強化またはサポートするためのいくつかの新しいまたは異なる機能を含むように適合され得る。
システムは、少なくとも2つのトランジスタゲートドライバ334に結合されたPWM発生器306を含み得、制御アルゴリズムによって制御され得る。2つのトランジスタゲートドライバ334は、インピーダンス整合回路網コンポーネント342を介して供給源共振器コイル344を駆動する2つの電力トランジスタ336に、直接またはゲート駆動変圧器を経由して結合され得る。電力トランジスタ336は、調整可能な直流供給304に結合されて電力供給され得、調整可能な直流供給304は、可変バス電圧Vbusによって制御され得る。Vbusコントローラは、制御アルゴリズム328によって制御され得、マイクロコントローラ302または他の集積回路の一部であるか、またはそれに組み込まれ得る。Vbusコントローラ326は、増幅器の電力出力および共振器コイル344に供給される電力を制御するために使用され得る調整可能な直流供給304の電圧出力を制御し得る。
システムは、信号を、例えば、アナログ・デジタル変換器(ADC)314、316などのプロセッサおよび/または変換器に入力する前に、成形、変更、フィルタリング、処理、バッファリング、および同類のことを行う信号フィルタリングおよびバッファリング回路318、320を含め、検出および測定回路を含み得る。ADC 314、316などのプロセッサおよび変換器は、マイクロコントローラ302に組み込まれ得るか、または、処理コア330に結合され得る別個の回路である得る。測定信号に基づき、制御アルゴリズム328は、PWM発生器306、通信コントローラ332、Vbus制御326、供給源インピーダンス整合コントローラ338、フィルタリング/バッファリング素子318、320、変換器314、316、共振器コイル344を生成、制限、開始、除去(extinguish)、制御、調整、または変更し得、マイクロコントローラ302の一部であるか、それに組み込まれるか、または別個の回路であり得る。インピーダンス整合回路網342および共振器コイル344は、本明細書に記載のように、コンデンサ、スイッチ、インダクタ、および同類のものなどの、電気的に制御可能で、可変、または調整可能コンポーネントを含み得、これらのコンポーネントは、供給源インピーダンス整合コントローラ338から受信した信号に従って、それらのコンポーネント値または動作点を調整し得る。コンポーネントは、共振器に供給された電力と共振器によって供給された電力、共振器の共振周波数、共振器のインピーダンス、共振器のQ、および任意の他の結合システム、および同類のものを含め、共振器の動作および特性を調節するように調整され得る。共振器は、容量性負荷ループ共振器、磁性材料またはそれらの任意の組合わせを含む平面共振器を含め、本明細書に記載の任意のタイプまたは構造の共振器であり得る。
図4に示すフルブリッジのシステムトポロジーは、マスター制御アルゴリズム328を実行する処理装置を含み得る。制御アルゴリズム328を実行する処理装置は、マイクロコントローラ、特定用途向け回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、および同類のものであり得る。システムは、無線通信回路312に結合された、供給源/装置および/または供給源/他の共振器通信回路332を含み得る。供給源/装置および/または供給源/他の共振器通信回路332は、マスター制御アルゴリズムを実行する同一の処理装置の一部であり得、マイクロコントローラ302内の一部または回路であり得、無線送電モジュールの外部にあり得、有線で電力供給されるかまたはバッテリーで電力供給される用途で使用される通信コントローラと実質的に類似しているが、無線送電を強化またはサポートするためのいくつかの新しいまたは異なる機能を含むように適合され得る。
システムは、マスター制御アルゴリズムで生成された信号によって制御され得る、少なくとも4つのトランジスタゲートドライバ334に結合された少なくとも2つの出力をもつPWM発生器306を含み得る。4つのトランジスタゲートドライバ334は、4つの電力トランジスタ336に、直接または、インピーダンス整合回路網342を介して供給源共振器コイル344を駆動し得るゲート駆動変圧器を経由して結合され得る。電力トランジスタ336は、調整可能な直流供給304に結合されて電力供給され得、調整可能な直流供給304は、マスター制御アルゴリズムによって制御され得るVbusコントローラ326によって制御され得る。Vbusコントローラ326は、増幅器の電力出力および共振器コイル344に供給される電力を制御するために使用され得る調整可能な直流供給304の電圧出力を制御し得る。
システムは、信号を、アナログ・デジタル変換器(ADC)314、316などのプロセッサおよび/または変換器に入力する前に、成形、変更、フィルタリング、処理、バッファリング、および同類のことを行う信号フィルタリングおよびバッファリング回路318、320ならびに差動/シングルエンド変換回路402、404を含め、検出および測定回路を含み得る。ADC 314、316などのプロセッサおよび/または変換器は、マイクロコントローラ302に組み込まれ得るか、または、処理コア330に結合され得る別個の回路である得る。測定信号に基づき、マスター制御アルゴリズムは、PWM発生器410、通信コントローラ332、Vbusコントローラ326、供給源インピーダンス整合コントローラ338、フィルタリング/バッファリング素子318、320、差動/シングルエンド変換回路402、404、変換器314、316、共振器コイル344を生成、制限、開始、除去、制御、調整、または変更し得、マイクロコントローラ302の一部であるか、それに組み込まれるか、または別個の回路であり得る。
インピーダンス整合回路網342および共振器コイル344は、本明細書に記載のように、コンデンサ、スイッチ、インダクタ、および同類のものなどの、電気的に制御可能で、可変、または調整可能コンポーネントを含み得、これらのコンポーネントは、供給源インピーダンス整合コントローラ338から受信した信号に従って、それらのコンポーネント値または動作点を調整し得る。コンポーネントは、共振器に供給された電力と共振器によって供給された電力、共振器の共振周波数、共振器のインピーダンス、共振器のQ、および任意の他の結合システム、および同類のものを含め、共振器の動作および特性の調節を可能にするように調整され得る。共振器は、容量性負荷ループ共振器、磁性材料またはそれらの任意の組合わせを含む平面共振器を含め、本明細書に記載の任意のタイプまたは構造の共振器であり得る。
インピーダンス整合回路網は、コンデンサ、インダクタ、および本明細書に記載のコンポーネントの回路網などの、固定値コンポーネントを含み得る。インピーダンス整合回路網の部分A、B、およびCは、本明細書に記載のとおり、インダクタ、コンデンサ、変圧器、およびかかるコンポーネントの直列および並列の組合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、インピーダンス整合回路網の部分A、B、およびCは、空(短絡した)であり得る。いくつかの実施形態では、部分Bは、インダクタおよびコンデンサの直列の組合わせを含み、部分Cは空である。
フルブリッジトポロジーは、同等なハーフブリッジ増幅器と同じDCバス電圧を使用して、より高い出力電力レベルでの動作を可能にし得る。図3のハーフブリッジの例示的なトポロジーは、シングルエンド駆動信号を提供し得るが、他方、図4の例示的なフルブリッジトポロジーは、差動駆動を供給源共振器308に提供し得る。インピーダンス整合トポロジーおよびコンポーネントおよび共振器構造は、本明細書に記載のように、2つのシステムによって異なり得る。
図3および図4に示す例示的なシステムは、供給源増幅器内のマイクロコントローラのシャットダウンを引き起こすため、または増幅器の動作を変更もしくは中断するために使用され得る、故障検出回路340をさらに含み得る。この保護回路は、増幅器の反流、直流供給304からの増幅器バス電圧(Vbus)、供給源共振器308および/もしくは随意の同調板に渡る電圧、またはシステム内のコンポーネントに損傷を生じ得るか、もしくは望ましくない動作状態を生じさせ得る任意の他の電圧または電流信号を監視するための1つの高速比較器または複数の比較器を含み得る。好ましい実施形態は、異なる用途に関連した潜在的に望ましくない動作モードによって決まり得る。いくつかの実施形態では、保護回路が実施されないか、または回路が装着されない可能性がある。いくつかの実施形態では、システムおよびコンポーネント保護は、マスター制御アルゴリズムならびに他のシステム監査および制御回路の一部として実施され得る。実施形態では、専用故障回路340は、システムシャットダウン、出力電力の減少(例えば、Bbusの減少)、PWM発生器に対する変更、動作周波数における変更、同調素子に対する変更、または動作点モードを調整するため、システム性能を向上させるため、および/もしくは保護を提供するために、制御アルゴリズム328によって実施され得る任意の他の合理的な動作を引き起こし得るマスター制御アルゴリズム328に結合された出力(図示せず)を含み得る。
本明細書に記載のとおり、無線送電システム内の供給源は、供給源コイル344を、マスター制御アルゴリズムの一部であり得るシステム制御ループに対して誤りまたは制御信号として駆動するインピーダンス整合回路網342の入力インピーダンスの測定値を使用し得る。例示的な実施形態では、3つのパラメータの任意の組合わせにおける変動が、環境条件における変化、結合における変化、装置電力需要における変化、モジュール、回路、コンポーネントまたはサブシステム性能における変化、システム内の供給源、装置、または中継器の数の増加または減少、ユーザー主導の変化、および同類のものを補償するように、無線電力供給源を調整するために使用され得る。例示的な実施形態では、増幅器デューティサイクルに対する変化、可変コンデンサおよびインダクタなどの可変電気部品のコンポーネント値に対する変化、およびDCバス電圧に対する変化が、無線供給源の動作点または動作範囲を変更するために使用され、特定のシステム動作値を向上し得る。異なる用途に対して適用された制御アルゴリズムの詳細は、所望のシステム性能および動作に応じて変わり得る。
本明細書に記載し、図3および図4に示すようなインピーダンス測定回路は、2チャネル同時サンプリングADCを使用して実施され得、これらのADCは、マイクロコントローラチップに組み込まれ得るか、または別個の回路の一部であり得る。供給源共振器のインピーダンス整合回路網および/または供給源共振器への入力における電圧および電流信号の同時サンプリングは、電流および電圧信号の位相および振幅情報をもたらし得、既知の信号処理技術を用いて処理されて、複素インピーダンスパラメータをもたらし得る。いくつかの実施形態では、電圧信号のみまたは電流信号のみの監査で十分であり得る。
本明細書に記載のインピーダンス測定は、他のいくつかの既知のサンプリング方法よりも相対的に単純であり得る直接サンプリング法を使用し得る。実施形態では、測定された電圧および電流信号は、ADCに入力される前に、フィルタリング/バッファリング回路によって調整、フィルタリングおよびスケーリングされ得る。実施形態では、フィルタリング/バッファリング回路は、様々な信号レベルおよび周波数で動作するように調整可能であり得、フィルター波形および幅などの回路パラメータが、手動により、電子的に、自動的に、制御信号に応答して、マスター制御アルゴリズムによって、および同類のもので調整され得る。フィルタリング/バッファリング回路の例示的な実施形態を図3、図4、および図5に示す。
図5は、フィルタリング/バッファリング回路で使用され得る例示的な回路コンポーネントのより詳細な図を示す。実施形態では、およびシステム設計で使用されるADCのタイプに応じて、シングルエンド増幅器トポロジーは、差動からシングルエンド信号フォーマットに変換するハードウェアを不要にすることにより、システム、サブシステム、モジュールおよび/またはコンポーネント性能を特性化するために使用されるアナログ信号測定経路の複雑さを低減し得る。他の実施形態では、差動信号フォーマットが望ましい可能性がある。図5に示す実施態様は例示的なものであり、本明細書に記載する機能を実施する唯一可能な方法と解釈すべきではない。むしろ、アナログ信号経路は異なる入力要件のコンポーネントを採用し得、したがって、異なる信号経路アーキテクチャを持ち得ることを理解すべきである。
シングルエンドおよび差動増幅器トポロジーの両方では、共振器コイル344を駆動するインピーダンス整合回路網342への入力電流は、コンデンサ324全体の電圧を測定することによるか、または一種の電流センサーを用いて取得され得る。図3の例示的なシングルエンド増幅器トポロジーに対して、電流は、インピーダンス整合回路網342からの接地電流経路上で検知され得る。図4に示す例示的な差動電力増幅器に対して、共振器コイル344を駆動するインピーダンス整合回路網342への入力電流は、コンデンサ324の端子全体で差動増幅器を用いるか、または一種の電流センサーを用いて、測定され得る。図4の差動トポロジーでは、コンデンサ324は、供給源電力増幅器の負の出力端子で重複され得る。
両方のトポロジーでは、供給源共振器およびインピーダンス整合回路網への入力電圧および電流を表すシングルエンド信号が取得されると、信号波形の所望の部分を取得するために信号502がフィルタリングされ得る。実施形態では、信号は、その信号の基本成分を取得するためにフィルタリングされ得る。実施形態では、低域、帯域通過、ノッチ、および同類のものなど、実行したフィルタリングのタイプ、ならびに、楕円(elliptical)、チェビシェフ、バターワース、および同類のものなど、使用したフィルタートポロジーは、システムの特定の要件によって決まり得る。いくつかの実施形態では、フィルタリングは必要とされないであろう。
電圧および電流信号は、随意の増幅器504によって増幅され得る。随意の増幅器504の増幅率は、固定または可変であり得る。増幅器の増幅率は、手動により、電子的に、自動的に、制御信号に応答して、および同類のもので制御され得る。増幅器の増幅率は、フィードバックループで、制御アルゴリズムに応じて、マスター制御アルゴリズムによって、および同類のもので調整され得る。実施形態では、増幅器に対して必要な性能仕様は、信号強度および所望の測定精度によって決まり得、異なる用途シナリオおよび制御アルゴリズムによって異なり得る。
測定されたアナログ信号は、それらに加えられた直流オフセット506を有し得、それは、信号を、いくつかのシステムに対しては0〜3.3Vであり得るADCの入力電圧範囲にするために必要とされ得る。いくつかのシステムでは、この段階は、使用する特定のADCの仕様に応じて、必要でない可能性がある。
前述のように、発電機と電源負荷との間の送電効率は、発電機の出力インピーダンスが負荷の入力インピーダンスにどのくらい厳密に一致しているかによって影響され得る。図6Aに示すような例示的なシステムでは、電力は、負荷604の入力インピーダンスが発電機または電力増幅器602の内部インピーダンスの複素共役に等しい場合、最大限可能な効率で負荷に供給され得る。高いおよび/または最大限の送電効率を獲得するための発電機または負荷インピーダンスの設計は、「インピーダンス整合」と呼ばれ得る。インピーダンス整合は、図6Bに示すように、発電機602と電源負荷604との間に、インピーダンス整合回路網606を形成するために、コンデンサ、抵抗、インダクタ、変圧器、スイッチ、および同類のものなど、適切な回路網または素子の組を挿入することによって、行われ得る。他の実施形態では、素子の位置決めにおける機械的調整および変更が、インピーダンス整合を達成するために使用され得る。前述のように、変化する負荷に対して、インピーダンス整合回路網606は、負荷に面している発電機端子におけるインピーダンスおよび発電機の特性インピーダンスが、動的環境および動作シナリオにおいてさえ、実質的に互いの複素共役のままであることを確実にするように動的に調整される可変コンポーネントを含み得る。実施形態では、動的インピーダンス整合は、発電機の駆動信号のデューティサイクル、および/もしくは位相、および/もしくは周波数を調整することにより、または、図6Cに示すように、コンデンサなどの発電機内の物理的コンポーネントを調整することにより、達成し得る。かかる調整機構は、調整可能なインピーダンス整合回路網を使用することなく、または、例えば、より少ない調整可能コンポーネントを有するものなど、簡略化した調整可能なインピーダンス整合回路網606を用いて、発電機608と負荷との間のインピーダンス整合を可能にし得るため、有利であり得る。実施形態では、駆動信号のデューティサイクル、および/または周波数、および/または位相を電力供給に合わせることは、拡張した同調範囲または精度、より高い電力、電圧および/または電流の能力、より高速な電子制御、より少ない外部コンポーネント、および同類のものを備えた、動的インピーダンス整合システムを生じ得る。以下に記載する、インピーダンス整合の方法、アーキテクチャ、アルゴリズム、プロトコル、回路、測定、制御、および同類のものは、本明細書に記載のように、発電機が高Q磁気共振器を駆動するシステムにおいて、および高Q無線送電システムにおいて有用であり得る。無線送電システムでは、発電機は、供給源共振器とも呼ばれる、共振器を駆動する電力増幅器であり得、その共振器は、電力増幅器に対する負荷であり得る。無線電力の用途では、電力増幅器から共振器への電力供給効率を制御するため、電力増幅器と共振器との間のインピーダンス整合を制御することが望ましい。インピーダンス整合は、共振器を駆動する電力増幅器の駆動信号のデューティサイクル、および/または位相、および/または周波数を調整または調節することにより、達成され得るか、または一部達成され得る。
スイッチング増幅器の効率
クラスD、E、F増幅器、および同類のものまたはそれらの任意の組合わせなどのスイッチング増幅器は、増幅器のスイッチング素子上で電力が
散逸されない場合、最大限の効率で電力を負荷に供給する。この動作条件は、スイッチング素子全体の電圧およびスイッチング素子を流れる電流の両方がゼロである場合に、最もクリティカルなスイッチング動作(すなわち、スイッチング損失につながる可能性が最も高いもの)が行われるように、システムを設計することにより達成され得る。これらの条件は、それぞれ、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)およびゼロ電流スイッチング(ZCS)条件と呼ばれ得る。増幅器がZVSおよびZCSで動作する場合、スイッチング素子全体の電圧またはスイッチング素子を流れる電流のいずれかがゼロであり、したがって、スイッチ上で電力は
散逸し得ない。スイッチング増幅器は、特定の周波数または周波数範囲で、直流(または超低周波交流)電力から交流電力に変換し得、フィルターは、スイッチング処理によって生成され得る望ましくない調波が、負荷に達し、そこで
散逸するのを防ぐために、負荷の前に導入され得る。実施形態では、スイッチング増幅器は、重要な品質係数(例えばQ>5)をもち、同時にZVSおよびZCSをもたらす、特定のインピーダンス
の共振器負荷に接続される場合に、最大限の電力変換効率で動作するように設計され得る。Z
0=R
0−jX
0を増幅器の特性インピーダンスとして定義し、最大限の送電効率の達成が、共振器負荷を増幅器の特性インピーダンスに適合させるインピーダンスと同等になるようにする。
スイッチング増幅器では、スイッチング素子のスイッチング周波数fswitch(ここで、fswitch=ω/2π)、およびスイッチング素子のONスイッチ状態持続時間のデューティサイクルdcは、増幅器の全てのスイッチング素子に対して同一であり得る。本明細書では、クラスDおよびクラスDE増幅器の両方、すなわち、dc<=50%のスイッチング増幅器を示すために用語「クラスD」を使用する。
増幅器の特性インピーダンスの値は、スイッチング素子の動作周波数、増幅器トポロジー、およびスイッチングシーケンスによって決まり得る。いくつかの実施形態では、スイッチング増幅器は、ハーフブリッジトポロジーであり、また、いくつかの実施形態では、フルブリッジトポロジーであり得る。いくつかの実施形態では、スイッチング増幅器は、クラスDであり、また、いくつかの実施形態では、クラスEであり得る。前述の実施形態のいずれかでは、ブリッジの素子が対称であると仮定すると、スイッチング増幅器の特性インピーダンスは、形式
R0=FR(dc)/ωCa,X0=Fx(dc)/ωCa (1)
を有し、式中dcは、スイッチング素子のONスイッチ状態のデューティサイクルであり、関数FR(dc)およびFX(dc)は、図7(クラスDおよびEの両方に対して)に示されており、ωは、スイッチング素子が切り替わる周波数であり、また、Ca=naCswitch(ここで、Cswitchは、スイッチと並列接続で配置されたトランジスタ出力容量およびあり得る外部コンデンサの両方を含む、各スイッチ全体の容量であり、一方、フルブリッジに対して、na=1およびハーフブリッジに対して、na=2)である。クラスDに対して、解析方程式
FR(dc)=sin2u/π,FX(dc)=(u−sinu*cosu)/π(2)
を記述することもでき、式中、u=π(1−2*dc)であり、クラスD増幅器の特性インピーダンスレベルが、デューティサイクルdcが50%に向かって増加するにつれて低下することを示す。dc=50%のクラスD増幅器の動作に対して、ZVSおよびZCSの達成は、スイッチング素子が実質的に出力容量を有せず(Ca=0)、負荷が厳密に共振状態(X0=0)であり、一方、R0が任意であり得る場合に限り可能である。
インピーダンス整合回路網
適用例では、駆動された負荷は、それが接続されている、外部駆動回路の特性インピーダンスとは大きく異なっているインピーダンスを有し得る。さらに、駆動された負荷は共振回路網ではない可能性がある。インピーダンス整合回路網(IMN)は、IMN回路および負荷から構成される回路網の入力において見られるインピーダンスを調整するため、図6Bに示すように、負荷の前に接続され得る回路網である。IMN回路は、通常は、この調整を、駆動周波数に近い共振器を作成することにより、達成し得る。かかるIMN回路は、発電機から負荷への送電効率を最大限にする(共振器およびインピーダンス整合−スイッチング増幅器に対するZVSおよびZCS)ために必要な全ての条件を達成するので、実施形態では、IMN回路は、駆動回路と負荷との間に使用され得る。
図6Bに示す構成に対して、仮に、インピーダンス整合回路網(IMN)および負荷(今後は、合わせてIMN+負荷として示す)をZl=Rl(ω)+jXl(ω)としよう。この回路網の特性インピーダンスZ0=R0−jX0の外部回路に対するインピーダンス整合条件は、その結果、Rl(ω)=R0、Xl(ω)=X0である。
可変負荷の調整可能なインピーダンス整合のための方法
負荷が可変であり得る実施形態では、負荷と、線形またはスイッチング電力増幅器などの外部駆動回路との間のインピーダンス整合は、可変負荷を外部回路の固定特性インピーダンスZ0に適合させるように調整し得るIMN回路内の調節可能/調整可能コンポーネントを使用することにより達成され得る(図6B)。インピーダンスの実数部および虚数部の両方を適合させるために、IMN回路内の2つの調整可能/可変素子が必要とされ得る。
実施形態では、負荷は、インピーダンスR+jωLをもつ誘導性(共振器コイルなど)であり得、そのため、IMN回路内の2つの調整可能素子は、2つの調整可能容量回路網または1つの調整可能容量回路網と1つの調整可能インダクタンス回路網または1つの調整可能容量回路網と1つの調整可能相互インダクタンス回路網であり得る。
負荷が可変であり得る実施形態では、負荷と、線形またはスイッチング電力増幅器などの駆動回路との間のインピーダンス整合は、増幅器の特性インピーダンスZ0を、IMN回路および負荷(IMN+負荷)から構成される回路網の(負荷変動に起因する)可変入力インピーダンスに適合させるように調整し得る増幅器回路内の調節可能/調整可能コンポーネントまたはパラメータを使用することにより達成され得、ここで、IMN回路も調整可能であり得る(図6C)。インピーダンスの実数部および虚数部の両方を適合させるために、増幅器およびIMN回路内の合計2つの調整可能/可変素子またはパラメータが必要とされ得る。開示されるインピーダンス整合方法では、IMN回路内の調整可能/可変素子の必要数を減らすことができ、またはIMN回路内の調整可能/可変素子に対する要件を完全に取り除くことさえできる。いくつかの例では、電力増幅器内の1つの調整可能素子およびIMN回路内の1つの調整可能素子が使用され得る。いくつかの例では、電力増幅器内の2つの調整可能素子およびIMN回路内の調整可能素子は0個で使用され得る。
実施形態では、電力増幅器内の調整可能素子またはパラメータは、トランジスタ、スイッチ、ダイオードおよび同類のものに適用される駆動信号の周波数、振幅、位相、波形、デューティサイクルおよび同類のものであり得る。
実施形態では、調整可能な特性インピーダンスを有する電力増幅器は、クラスD、E、Fの調整可能スイッチング増幅器またはそれらの任意の組合わせであり得る。方程式(1)および(2)を組み合わせると、この回路網に対するインピーダンス整合条件は、
Rl(ω)=FR(dc)/ωCa,Xl(ω)=FX(dc)/ωCa (3)
である。
調整可能スイッチング増幅器のいくつかの例では、1つの調整可能素子は、容量Caであり、それは、スイッチング素子と並列接続で配置されている外部コンデンサを調整することによって調整され得る。
調整可能スイッチング増幅器のいくつかの例では、1つの調整可能素子は、増幅器のスイッチング素子のONスイッチ状態のデューティサイクルdcであり得る。デューティサイクルdcのパルス幅変調(PWM)による調整は、出力電力制御を達成するためにスイッチング増幅器で使用されてきた。本明細書では、PWMは、インピーダンス整合を達成するため、すなわち、方程式(3)を満足するため、したがって、増幅器効率を最大限にするためにも使用され得ることを開示する。
調整可能スイッチング増幅器のいくつかの例では、1つの調整可能素子は、スイッチング周波数であり得、それは、IMN+負荷回路網の駆動周波数でもあり、また、IMN+負荷回路網の共振周波数に実質的に近くなるように設計され得る。スイッチング周波数の調整は、増幅器の特性インピーダンスおよびIMN+負荷回路網のインピーダンスを変更し得る。増幅器のスイッチング周波数は、もう1つの調整可能パラメータと共に適切に調整され得、そのため、方程式(3)が満足される。
動的インピーダンス整合のために増幅器のデューティサイクルおよび/または駆動周波数を調整する利点は、これらのパラメータが電子的に迅速に、かつ広範囲に渡って調整可能なことである。対照的に、例えば、大きな電圧を維持でき、かつ、十分に大きい調整可能範囲を有する調整可能コンデンサおよび品質係数は、費用がかかるか、時間がかかるか、または必要なコンポーネント仕様を利用できない可能性がある。
可変負荷の調整可能なインピーダンス整合のための方法例
クラスD電力増幅器802、インピーダンス整合回路網804、および誘導負荷806の回路レベルの構造を示す簡略化回路図を図8に示す。この概略図は、電源810、スイッチング素子808、およびコンデンサを含むスイッチング増幅器804を備えたシステムの基本的なコンポーネントを示す。インピーダンス整合回路網804は、インダクタおよびコンデンサ、ならびにインダクタおよび抵抗としてモデル化された負荷806を含む。
本発明の調整方式の例示的な実施形態は、図8に示すように、スイッチング周波数fで動作し、かつ、IMNを経由して低損失誘導素子R+jωLを駆動する、ハーフブリッジクラスD増幅器を含む。
いくつかの実施形態では、L´は調整可能であり得る。L´は、インダクタ上の可変タップ点によるか、または調整可能キャパシタを直列または並列でインダクタに接続することにより、調整し得る。いくつかの実施形態では、Caは調整可能であり得る。ハーフブリッジトポロジーに対して、Caは、コンデンサCswitchの並列和のみが増幅器動作に対して重要であるため、これらのコンデンサのいずれか一方または両方を変化させることにより調整し得る。フルブリッジトポロジーに対して、Caは、コンデンサCswitchの組合わせ(ブリッジの2つの部分に関連する2つの並列和の直列和)のみが増幅器動作に対して重要であるため、1つ、2つ、3つ、または全てのコンデンサを変化させることにより調整し得る。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、IMNのコンポーネントのうちの2つが調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、L´およびC2が調整し得る。そこで、図9は、f=250kHz、dc=40%、Ca=640pFおよびC1=10nFに対して、誘導素子の可変RおよびLの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能コンポーネントの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。IMNは常に増幅器の固定特性インピーダンスに適合されるので、誘導素子は可変であるが、出力電力は常に一定である。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、スイッチング増幅器内の素子も調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、容量Caは、IMNコンデンサC2と共に調整し得る。そこで、図10は、f=250kHz、dc=40%、C1=10nFおよびωL´=1000Ωに対して、誘導素子の可変RおよびLの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能コンポーネントの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図10から、C2は、主にLにおける変動に応じて調整する必要があること、および出力電力はRが増加するにつれて減少することが推測できる。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、デューティサイクルdcは、IMNコンデンサC2と共に調整し得る。そこで、図11は、f=250kHz、Ca=640pF、C1=10nFおよびωL´=1000Ωに対して、誘導素子の可変RおよびLの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能パラメータの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図11から、C2は、主にLにおける変動に応じて調整する必要があること、および出力電力はRが増加するにつれて減少することが推測できる。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、容量Caは、IMNコンデンサL´と共に調整し得る。そこで、図11Aは、f=250kHz、dc=40%、C1=10nFおよびC2=7.5nFに対して、誘導素子の可変Rの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能パラメータの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図11Aから、出力電力はRが増加するにつれて減少することが推測できる。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、デューティサイクルdcは、IMNコンデンサL´と共に調整し得る。そこで、図11Bは、誘導素子の可変Rの関数としてf=250kHz、Ca=640pF、C1=10nFおよびC2=7.5nFに対して、誘導素子の可変Rの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能パラメータの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図11Bから、出力電力はRが増加するにつれて減少することが推測できる。
調整可能なインピーダンス整合のいくつかの実施形態では、IMN内の素子は調整可能でなく、スイッチング増幅器内の素子のみが調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、デューティサイクルduは、容量Caと共に調整し得る。そこで、図11Cは、f=250kHz、C1=10nF、C2=7.5nFおよびωL´=1000Ωに対して、誘導素子の可変Rの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能パラメータの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図11Cから、出力電力はRの非単調な関数であることが推測できる。これらの実施形態は、Lにおける変動(および、したがって共振周波数)があまり大きくない場合に、動的インピーダンス整合を達成することが可能であり得る。
いくつかの実施形態では、IMN内に固定素子を有し、また、前述の説明のように、Lが大きく変動する場合、動的インピーダンス整合は、外部周波数f(例えば、スイッチング増幅器のスイッチング周波数)の駆動周波数を、共振器の可変共振周波数に従うように、変更することにより達成され得る。スイッチング周波数fおよびスイッチのデューティサイクルdcを2つの可変パラメータとして使用すると、RおよびLはいずれの可変コンポーネントも必要とせずに変化するので、完全なインピーダンス整合が達成できる。そこで、図12は、Ca=640pF、C1=10nF、C2=7.5nFおよびL´=637μHに対して、誘導素子の可変RおよびLの関数としてインピーダンス整合を達成するために必要な2つの調整可能パラメータの値、ならびに、増幅器の(所与のDCバス電圧における)出力電力の関連する変動を示す。図12から、前述の説明のように、fは、主にLにおける変動に応じて調整する必要があることが推測できる。
無線送電システムのための調整可能なインピーダンス整合
無線送電の適用例では、低損失誘導素子は、1つまたは複数の装置共振器または、例えば、中継器共振器などの他の共振器に結合された供給源共振器のコイルであり得る。誘導素子のインピーダンスR+jωLは、供給源共振器のコイル上の他の共振器の反射インピーダンスを含み得る。誘導素子のRおよびLの変動は、供給源共振器および/もしくは他の共振器の近くの外部摂動またはコンポーネントの熱ドリフトに起因して生じ得る。誘導素子のRおよびLの変動は、無線送電システムの通常の使用中にも、供給源に関する装置および他の共振器の相対運動に起因して生じ得る。供給源に関するこれらの装置および他の共振器の相対運動、または他の供給源の相対運動もしくは位置は、装置の供給源への可変結合(および、したがって、可変反射インピーダンス)となり得る。さらに、誘導素子のRおよびLの変動は、無線送電システムの通常の使用中にも、それらの負荷の消費電力における変化など、他の結合共振器内部の変化に起因して生じ得る。これまでに開示した全ての方法および実施形態は、この誘導素子の、それを駆動する外部回路との動的インピーダンス整合を達成するために、この事例にも当てはまる。
現在開示されている無線送電システムのための動的インピーダンス整合方法を明示するために、負荷抵抗を駆動する装置共振器の装置コイルに誘導的に結合されている、低損失供給源コイルを含む供給源共振器を考える。
いくつかの実施形態では、動的インピーダンス整合は、供給源回路において達成し得る。いくつかの実施形態では、動的インピーダンス整合は、装置回路においても達成し得る。完全なインピーダンス整合が(供給源および装置の両方で)取得される場合、供給源誘導素子の実効抵抗(すなわち、供給源コイルの抵抗R
S+装置からの反射インピーダンス)は
である。(同様に、装置誘導素子の実効抵抗は
であり、ここで、R
dは、装置コイルの抵抗である)。運動に起因するコイル間の相互インダクタンスの動的変動は、
の動的変動となる。それ故、供給源および装置の両方が動的に調整される場合、相互インダクタンスの変動は、供給源回路側からは、供給源誘導素子抵抗Rにおける変動として見られる。このタイプの変動では、Lが変化しない可能性があるので、共振器の共振周波数は実質的に変化しない可能性があることに留意されたい。それ故、動的インピーダンス整合に対して提示した全ての方法および例は、無線送電システムの供給源回路に対して使用され得る。
図9〜図12で、抵抗Rは、供給源コイルおよび装置コイルの供給源コイルへの反射インピーダンスの両方を表すので、増加するUに起因してRが増加するにつれ、関連する無線送電効率が向上することに留意されたい。いくつかの実施形態では、ほぼ一定の電力が、装置回路によって駆動される負荷において必要とされ得る。装置に伝送される電力の一定レベルを達成するために、供給源回路の必要な出力電力は、Uが増加するにつれて減少する必要があり得る。動的インピーダンス整合が、増幅器パラメータのいくつかを調整することによって達成される場合、増幅器の出力電力は、それに応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、出力電力の自動変動は、一定の装置電力要件を満足するように、Rと共に単調に減少するのが好まれる。出力電力レベルが、発電機の直流駆動電圧を調整することによって設定される実施形態では、出力電力のRに対する単調な減少をもたらす調整可能パラメータのインピーダンス整合セットの使用は、一定の電力が、直流駆動電圧の適度な調整のみで、装置内の電力負荷において維持できることを暗示し得る。出力電力レベルを調整するための「ノブ」が、インピーダンス整合回路網内のスイッチング増幅器またはコンポーネントのデューティサイクルdcまたは位相である、実施形態では、出力電力のRに対する単調な減少をもたらす調整可能パラメータのインピーダンス整合セットの使用は、一定の電力が、この電力「ノブ」の適度な調整のみで、装置内の電力負荷において維持できることを暗示し得る。
図9〜図12の例では、Rs=0.19Ωであれば、範囲R=0.2−2Ωは、ほぼUsd=0.3−10.5に対応する。これらの値に対して、供給源および装置の両方が動的にインピーダンス整合されている場合、図14では、点線で、負荷において一定の電力レベルを維持する必要がある出力電力(2乗された直流電圧に正規化された)を示す。実線および点線との間の同様の傾向が、出力電力のかかる変化をもつ調整可能なパラメータの組がなぜ好ましい可能性があるかを明らかにする。
いくつかの実施形態では、動的インピーダンス整合が供給源回路で達成され得るが、インピーダンス整合は、装置回路では達成され得ないか、または部分的のみ達成され得る。供給源コイルと装置コイルとの間の相互インダクタンスが変動するので、装置の供給源への可変反射インピーダンスは、供給源誘導素子の実効抵抗Rおよび実効インダクタンスLの両方の変動となり得る。これまでに提示した動的インピーダンス整合のための方法は、適用可能であり、無線送電システムの調整可能供給源回路に対して使用できる。
一例として、図14の回路を考えるが、この図では、f=250kHz、Ca=640pF、RS=0.19Ω、LS=100μH、C1S=10nF、ωL´S=1000Ω、Rd=0.3Ω、Ld=40μH、C1d=87.5nF、C2d=13nF、ωL´d=400ΩおよびZl=50Ωであり、ここで、sおよびdは、それぞれ供給源および装置共振器を示し、システムはUsd=3で整合される。スイッチング増幅器のデューティサイクルdcおよびコンデンサC2Sの調整は、調整不能な装置が、供給源と装置との間の相互インダクタンスMを変化させる供給源に相対して移動しているので、共振器を動的にインピーダンス整合するために使用され得る。図14では、増幅器の直流電圧ごとの出力電力の変化に従って、調整可能パラメータの必要な値を示す。点線は、再度、負荷における電力を一定値にできるように、必要とされる増幅器の出力電力を示す。
いくつかの実施形態では、供給源駆動回路の駆動周波数fの調整は、さらに、供給源と1つまたは複数の装置との間の無線送電のシステムに対して、供給源における動的インピーダンス整合を達成するために使用され得る。前述の説明のとおり、この方法は、供給源インダクタンスLS、および、したがって供給源共振周波数において変動がある場合にさえ、供給源の完全な動的インピーダンス整合を可能にする。供給源から装置への効率的な送電のため、装置共振周波数は、整合された駆動および供給源共振周波数の変動に従うように調整する必要がある。供給源または装置共振器のいずれかの共振周波数において変動がある場合は、装置容量の調整(例えば、図13の実施形態では、C1dまたはC2d)が必要であり得る。実際には、複数の供給源および装置を備える無線送電システムでは、駆動周波数の調整は、1つのみの供給源−物体共振周波数(source−object resonant frequency)を調整する必要性を軽減するが、残りの全ての物体は、それらの共振周波数を駆動周波数に整合させるように調整する機構(調整可能容量など)が必要であり得る。
共振器の熱管理
無線エネルギー伝達システムでは、無線伝達プロセス中に失われたエネルギーの一部が熱として散逸される。エネルギーは、共振器コンポーネント自体内で散逸し得る。例えば、高Q導体およびコンポーネントでさえ、多少の損失または抵抗を有し、これらの導体およびコンポーネントは、電流および/または電磁場がそれらを流れる際に加熱し得る。エネルギーは、共振器の周囲の材料または物体内で散逸し得る。例えば、不完全導体または誘電体周囲または近くの共振器で散逸した渦電流は、それらの物体を加熱し得る。それらの物体の材料特性に影響を及ぼすことに加えて、この熱は、導電性、放射性、または対流性プロセスを通って共振器コンポーネントに伝達され得る。これらの加熱効果のいずれも共振器Q、インピーダンス、周波数など、および、それ故、無線エネルギー伝達システムに影響し得る。
磁性材料のブロックまたはコアを含む共振器では、ヒステリシス損失および誘電渦電流から生じた抵抗損失に起因して、磁性材料内で熱が生成され得る。両方の影響は、材料における磁束密度によって決まり、両方とも、特に、流束密度または渦電流が集中または局所化し得る領域内で、相当量の熱を生成できる。流束密度に加えて、振動磁場の周波数、磁性材料組成および損失、ならびに磁性材料の周囲または動作温度が、どのようにヒステリシス損失および抵抗損失が材料を加熱するかに影響し得る。
実施形態では、磁性材料の加熱を最小化するために、材料の種類、ブロックの寸法、および同類のものなどの磁性材料の特性、ならびに磁場パラメータが、特定の動作電力レベルおよび環境に対して、選択され得る。いくつかの実施形態では、磁性材料ブロックにおける変化、亀裂、または欠陥が、無線送電用途における磁性材料の損失および加熱を増加させ得る。
欠陥のある磁性ブロック、またはより大きなユニットに配置された磁性材料の小さいサイズのタイルまたは断片から構成された磁性ブロックについて、そのブロックにおける損失が不均一であり得、磁性材料の隣接するタイルまたは断片の間に不均等性または比較的狭い間隙がある領域に集中し得る。例えば、不規則な間隙が材料の磁性ブロック内に存在すると、その材料を通る様々な磁束経路の実効磁気抵抗が実質的に不規則であり得、磁場は、磁気抵抗が最低であるブロックの部分により集中し得る。いくつかの場合には、実効磁気抵抗は、タイルまたは断片の間の間隙が最も狭いか、または欠陥の密度が最も低いところで最低であり得る。磁気材料が磁場を導くので、磁束密度は、実質的にブロック全体で均一ではあり得ないが、相対的により低い磁気抵抗を提供する領域に集中し得る。磁性材料ブロック内の磁場の不規則な集中は、材料における不均一な損失および熱放散となり得る。
例えば、図15に示すように、導体1506ループの軸に垂直な継ぎ目1508を形成するように結合された、磁性材料の2つの別個のタイル1502、1504から構成される磁性材料ブロックに巻かれた導体1506を含む磁気共振器を考える。磁性材料タイル1502、1504の間の継ぎ目1508内の不規則な間隙は、共振器内の磁場1512(破線の磁力線で概略的に表す)を、磁性材料の横断面の部分領域1510内に集中させ得る。磁場は磁気抵抗の最も少ない経路をたどるので、磁性材料の2つの断片の間の空隙を含む経路は、磁性材料の断片がより小さい空隙に触れるか、またはより小さい空隙を有する点において磁性材料の幅を横切る磁気抵抗経路よりも事実上高い磁気抵抗経路を作成し得る。磁束密度は、それ故、磁性材料の比較的小さい交差領域を優先的に流れ、結果として、その小領域1510内の磁束の高い集中となる。
対象の多くの磁性材料では、より不均一な流束密度分散がより高い総合損失をもたらす。その上、より不均一な流束密度分散は、材料飽和となり、磁束が集中している領域の局部加熱を引き起こし得る。局部加熱は、磁性材料の特性を変更し得、場合によっては損失を悪化させる。例えば、いくつかの材料の操作の関連するレジーム(regime)では、ヒステリシスおよび抵抗損失が温度とともに増大する。材料の加熱が材料損失を増加させ、その結果、さらなる加熱となる場合、材料の温度が上昇し続け、是正処置が取られなければ、急騰さえし得る。ある場合には、温度が100°Cまたはそれ以上に達し得、無線送電の磁性材料および性能を低下させ得る。ある場合には、磁性材料が損傷し得るか、または、周囲の電子部品、パッケージングおよび/または筐体が過度の熱によって損傷し得る。
実施形態では、磁性材料ブロックのタイルまたは断片の間の変動または不規則性が、整合、研磨、研削、および同類のものによって最小化され得、タイルまたは断片の縁部が、磁性材料タイル間の締りばめを確実にするため、実質的により均一な磁気抵抗を磁性材料ブロックの横断面全体にわたって提供する。実施形態では、磁性材料ブロックは、タイルが間隙なくしっかりと締め付けられることを確実にするため、タイル間に圧縮力を提供するための手段を必要とし得る。実施形態では、タイルが密着したままであることを確実にするため、タイル間に接着剤が使用され得る。
実施形態では、磁性材料の隣接するタイルの不規則な間隔は、磁性材料の隣接するタイル間に意図的な間隙(deliberate gap)を追加することにより、削減し得る。実施形態では、意図的な間隙は、磁性材料タイルまたは断片の間の均一または規則正しい分離を確実にするために、スペーサとして使用され得る。可撓性材料の意図的な間隙も、タイルの移動または振動に起因する間隔における不規則性を削減し得る。実施形態では、磁性材料の隣接するタイルの縁部が、電気絶縁体を用いて、貼られ、浸され、覆われるなどされ得て、ブロックの削減された断面積を渦電流が流れるのを防ぎ、従って、材料における渦電流損失を低下させる。実施形態では、セパレータが共振器パッケージングに組み込まれ得る。スペーサは、1mm以下の間隔を提供し得る。
実施形態では、タイル間のスペーサの機械的特性は、外部の衝撃および振動のみならず、本質的効果(例えば、磁気歪み、熱膨張、および同類のもの)に起因する、タイルの寸法および/または形状における変化などの機械的効果に対する全体構造の耐性を向上させるように選択され得る。例えば、スペーサは、個々のタイルの膨張および/または収縮に順応するために、所望の量の機械的弾力性を有し得、また、タイルが機械的振動にさらされる場合にタイルへの圧力を削減する役に立ち得、したがって、磁性材料における亀裂および他の欠陥の出現を削減する役に立つ。
実施形態では、磁性材料ブロックから構成される個別のタイルを、共振器の双極子モーメントに垂直なタイル間の継ぎ目または間隙の数を最小限にするように配置することは好ましくあり得る。実施形態では、磁性材料タイルを、共振器を含む導体のループによって形成された軸に垂直なタイル間の間隙の数を最小限にするように配置および向けることは好ましくあり得る。
例えば、図16に示す共振器構造を考える。共振器は、3×2の配列に配置された6つの別々の個々のタイル1602を含む磁性材料ブロックに巻かれた導体1604を含む。タイルの配列は、磁性材料ブロックを一方向に横切ると2本のタイルの継ぎ目1606、1608、および磁性材料ブロックを直交方向に横切ると1本のみのタイルの継ぎ目1610となる。実施形態では、共振器の双極子モーメントがタイルの継ぎ目の最も少ない数に垂直になるように、導線1604を磁性材料ブロックに巻き付けることが好ましくあり得る。本発明人は、共振器の双極子モーメントと平行な継ぎ目および間隙1606、1608の周囲に誘導加熱が比較的少ないことに気付いた。共振器の双極子モーメントに垂直な継ぎ目および間隙は、クリティカルな継ぎ目またはクリティカルな継ぎ目領域とも呼ばれる。しかし、渦電流損失を削減するために、共振器の双極子モーメントと平行な間隙(1606および1608など)を電気的に絶縁することは、さらに望ましくあり得る。かかる平行な間隙によって分離されたタイル間の不均一な接触は、渦電流が狭い接触点を流れるようにし得、かかる点における大きな損失となる。
実施形態では、間隔における不規則性は、磁性材料が熱くなる際に、材料特性の局部的悪化を防ぐため、クリティカルな継ぎ目領域の十分な冷却で許容され得る。磁性材料の温度を限界温度以下に維持すると、十分に高い温度によって生じる熱暴走を防ぎ得る。クリティカルな継ぎ目領域の適切な冷却で、無線エネルギー伝達の性能は、不規則な間隔、亀裂、またはタイル間の間隙に起因する追加の損失および加熱効果にもかかわらず、満足のいくものであり得る。
磁性材料の過度の局部加熱を防ぐための共振器構造の効果的な放熱は、いくつかの課題を提起する。放熱板および熱伝導のために一般に使用される金属材料は、無線エネルギー伝達用に共振器によって使用される磁場と相互作用する可能性があり、システムの性能に影響する。それらの位置、サイズ、方向、および使用は、これらの放熱材料の存在下で、共振器の摂動Qを過度に低下させないように設計すべきである。さらに、フェライトなど、磁性材料の比較的低い熱伝導率のせいで、磁気共振器に近接して相当量の損失性材料を配置することを必要とし得る十分な冷却を提供するために、放熱板と磁性材料との間に比較的大きな接触領域が必要とされ得る。
実施形態では、共振器の十分な冷却が、熱伝導材の戦略的な配置を用いて、無線エネルギー伝達性能への最小限の影響で達成され得る。実施形態では、熱伝導材の細長片が、導線のループ間に、磁性材料ブロックと熱的に接触して配置され得る。
熱伝導材の細長片を備えた共振器の一例示的な実施形態を図17に示す。図17Aは、導電性細長片がなく、間隙または継ぎ目を形成する磁性材料のより小さいタイルを含む磁性材料ブロックを有する共振器構造を示す。図17Bおよび図17Cに示すように、熱伝導材の細長片1708は、導体のループ1702の間に、磁性材料ブロック1704と熱的に接触して配置され得る。共振器のパラメータに対する細長片の影響を最小限にするため、いくつかの実施形態では、細長片を導体のループに平行に、または共振器の双極子モーメントに垂直に配置することは好ましくあり得る。導体の細長片は、できるだけ多くのタイル間の継ぎ目または間隙、特に、共振器の双極子モーメントに垂直なタイル間の継ぎ目をカバーするように配置され得る。
実施形態では、熱伝導材は、銅、アルミニウム、真鍮、熱エポキシ、ペースト、パッド、および同類のものを含み得、少なくとも共振器内の磁性材料の熱伝導率(いくつかの市販のフェライト材料に対して、〜5W/(K−m))である熱伝導率を有する任意の材料であり得る。熱伝導材も導電性である実施形態では、材料は、短絡または、磁性材料もしくは共振器の導体ループとの直接電気接触を防ぐために、電気絶縁体の層または被覆を必要とし得る。
実施形態では、熱伝導材の細長片が、熱を共振器構造から、熱エネルギーを安全に散逸できる構造または媒体へ伝導するために使用され得る。実施形態では、熱伝導性細長片が、受動もしくは強制対流、放熱、または環境への伝導を使用して熱エネルギーを散逸可能な、その導体細長片の上に配置された大きな平板などの放熱板に接続され得る。実施形態では、システムは、熱伝導性細長片から熱エネルギーを散逸できる共振器構造の外部または内部であり得、かつ、液体冷却システム、強制換気システム、および同類のものを含み得る、任意の数の能動冷却システムを含み得る。例えば、熱伝導性細長片は、中空であるか、または、磁性材料を冷却するために、ポンプで注入されるかまたは押し出される冷却液のための経路を含み得る。実施形態では、良導体(銅、銀、アルミニウム、および同類のものなど)で作られた場偏向器(field deflector)は、放熱器の一部として2倍になり得る。磁性材料と場偏向器との間のスペースに熱および電気導電性細長片を追加すると、そのスペース内の電磁場が通常、場偏向器の存在によって抑制されるので、摂動Qに対して限界効果を有し得る。かかる導電性細長片は、異なる細長片の間での温度分散をより均一にするために、磁性材料および場偏向器の両方に熱的に接続され得る。
実施形態では、熱伝導性細長片は、少なくとも1つの導体ループが磁性材料に巻き付くことができるように間隔が空けられる。実施形態では、熱伝導材の細長片は、磁性材料のいくつかまたは全ての間隙または継ぎ目のみに位置付けられ得る。他の実施形態では、細長片は、実質的にそのスパンにわたって、磁性材料と接するように位置付けられ得る。他の実施形態では、細長片は、磁性材料内の流束密度に適合するように分散され得る。共振器の通常動作下でより高い磁束密度をもち得る磁性材料領域は、熱伝導性細長片とのより高い接触密度を持ち得る。実施形態では、例えば、図17Aに示すものなど、磁性材料内の最も高い磁束密度は、磁性材料ブロックの中心に向かって認められ得、より低い密度は、共振器の双極子モーメントの方向に、ブロックの端部に向かって認められ得る。
熱伝導性細長片の使用が、潜在的なホットスポットにおける温度のみならず、磁性材料全体の温度を下げるのにどのように役立つかを示すために、本発明人は、図17Cに示すものに類似した共振器構造の有限要素シミュレーションを実行している。周波数235kHzで動作し、それぞれが40Aのピーク電流を搬送する、10回巻いたリッツ線(構造の対称面から25mm、40mm、55mm、90mmおよび105mmのところで対称的に配置された)で磁場を発生させた、寸法が30cm×30cm×5mmの磁性材料EPCOS N95のブロックを含み、中心軸が構造の対称面から75mm、0mm、および+75のところに配置されている、3本の3×3/4×1’のアルミニウム(合金6063)の中空正方形管(肉厚1/8”)を用いて、50cm×50cm×4mmの場偏向器に熱的に接続されている構造がシミュレートされた。場偏向器および中空管に起因する摂動Qが(中空管のない同一構造に対する1710に比べて)1400であることが分かった。シールドおよび管において散逸した電力は35.6Wと計算され、他方、磁性材料において散逸した電力は58.3Wであった。構造が空気対流および放熱および24℃の周囲の温度によって冷却されると仮定すると、構造内の最高温度は(中空管の間のほぼ中間にある磁性材料内の点において)85℃であり、他方、中空管に接触している磁性材料の一部における温度は約68℃であった。比較すると、熱伝導性中空管のない同一の共振器が、同一の40Wピークの励磁電流に対して磁性材料において62.0Wを散逸し、磁性材料における最高温度が111℃であることが分かった。
導電性細長片の利点は、管と良い熱的接触にある磁性材料の一部に欠陥が取り込まれる場合でも、さらに明らかである。磁性材料の中心に置かれ、かつ、双極子モーメントに垂直に配向された、長さ10cmおよび0.5mmの空隙は、磁性材料において散逸された電力が69.9W(前述した欠陥のない例に比べて追加の11.6Wは、その空隙の近くに高度に集中している)まで増加するが、導電性管は、磁性材料における最高温度が、11℃〜96℃の比較的緩やかな上昇のみであることを保証する。対照的に、導電性管のない同じ欠陥は、その欠陥の近辺で161℃の最高温度となる。導電性管本体を大きな熱質量と熱的に接続することまたはそれらを能動的に冷却することなど、対流および放熱以外の冷却システムは、同じ電流レベルで、この共振器に対するさらに低い動作温度をもたらす。
実施形態では、材料の熱伝導性細長片は、磁性材料内に不規則な間隙を生じ得る亀裂が入る最も高い可能性を有し得る領域に位置付けられ得る。かかる領域は、材料上に高応力もしくは歪みのある領域、または共振器のパッケージングからの支援または支持が弱い領域であり得る。戦略的に配置された熱伝導性細長片は、亀裂または不規則な間隙が磁性材料内にできる時に、磁性材料の温度がその限界温度以下で維持されるであろうことを確実にし得る。限界温度は、磁性材料のキュリー温度、または共振器の特性が所望の性能パラメータを超えて劣化されている任意の温度として定義され得る。
実施形態では、放熱構造は、磁性材料に対する機械的支持を提供し得る。実施形態では、放熱構造は、共振器に対して、外部の衝撃および振動のみならず、(熱膨張、磁気歪み、および同類のものに起因する)その素子の固有の寸法における変化に対する非常に大きな耐性を提供するように、(例えば、エポキシ、熱パッド、および構造の異なる素子と熱的に接続するための適切な機械的特性を有する同類のものを使用することにより)所望の量の機械的弾力性を有し、亀裂および他の欠陥が生じるのを防ぐように設計され得る。
共振器が、磁性材料に巻き付いた直交巻線を含む実施形態では、導体材料の細長片が、2つの直交する隣接したループの組によって区切られた領域内の磁性材料と熱的に接触するように調整され得る。実施形態では、細長片は、磁性材料と少なくとも1つの点で熱的に接触しながら、少なくとも1つの直交巻線の導体の周囲に適するように適切な刻み目を含み得る。実施形態では、磁性材料は、隣接するループの間に置かれた、いくつかの熱伝導性ブロックと熱的に接触している可能性がある。熱伝導性ブロックは、次いで、良熱導体によって熱的に相互に接続および/または放熱され得る。
本明細書の記述全体を通して、材料の熱伝導性細長片という用語は、材料の形状の例示的な見本として使用されており、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、任意の形状および外形で置き換え得ることを理解すべきである。正方形、楕円形、細長片、ドット(dot)、細長形状、および同類のものは全て、本発明の精神の範囲内である。
無線電力中継器共振器
無線送電システムは、1つまたは複数の供給源共振器、装置共振器、または追加の中継器共振器とエネルギーを交換するように構成された中継器共振器を組み込み得る。中継器共振器は、無線送電の範囲を拡張するために使用され得る。中継器共振器は、供給源によって生成された磁場を変更、分布、集中、強化、および同類のことを行うために使用され得る。中継器共振器は、供給源共振器の磁場を損失性および/または金属性の物体の周辺に導くために使用され得るが、それらの物体は、そうしなければ磁場をブロックし得る。中継器共振器は、低電力伝送領域、または供給源の周辺の低磁場領域を取り除くか、もしくは減少させるために使用され得る。中継器共振器は、供給源と対象の装置共振器または共振器との間の結合効率を向上させるために使用され得、また、異なる配向の共振器、または双極子モーメントが好都合に配置されていない共振器の間の結合を向上させるために使用され得る。
供給源磁気共振器によって生成された振動磁場は、中継器共振器の導体部分で電流を引き起こすことが可能である。これらの電流は、共振器内で振動し、それによって供給源の磁場領域または磁場分散を拡張または変更するので、それら自身の磁場を生成し得る。
実施形態では、中継器共振器は、1つまたは複数の装置共振器に対する供給源として動作し得る。他の実施形態では、装置共振器は、同時に、磁場を受信し、磁場を反復し得る。さらに別の実施形態では、共振器は、供給源共振器、装置共振器、または中継器共振器としての動作を交互に行い得る。交互に行うことは、時分割多重化、周波数多重化、自己調節、または集中制御アルゴリズムを通して達成され得る。実施形態では、複数の中継器共振器は、空間的に変動する磁場を達成するために、領域内に位置付けられ、共振器に同調および離調され得る。実施形態では、強磁場の局所領域が、共振器の配列によって作成され得、強磁場領域の位置は、電気部品、または配列内の共振器の動作特性を変更することによってあちこち移動させ得る。
実施形態では、中継器共振器は、空心の容量性負荷ループ磁気共振器であり得る。実施形態では、中継器共振器は、磁気材料の芯の容量性負荷ループ磁気共振器であり得る。容量性負荷ループ磁気共振器であり得る。実施形態では、中継器共振器は、中継器共振器が相互に作用または結合するように設計されている、供給源または装置または少なくとも1つの他の中継器共振器の周波数のそれと実質的に等しい共振周波数を有するように調節され得る。他の実施形態では、中継器共振器は、中継器共振器が相互に作用または結合するように設計されている、供給源または装置または少なくとも1つの他の中継器共振器の周波数よりも実質的大きいか、または実質的に小さい共振周波数を有するように離調され得る。好ましくは、中継器共振器は、100またはそれ以上の固有の品質係数Qをもつ高Q磁気共振器であり得る。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、100未満の品質係数を有し得る。いくつかの実施形態では、
である。他の実施形態では、
である。さらに別の実施形態では、
である。
実施形態では、中継器共振器は、供給源、負荷、コントローラ、モニター、制御回路および同類のものに接続するための、追加の回路のない共振器を含む誘導および容量性コンポーネントのみを含み得る。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、追加の制御回路、調整回路、測定回路、または監視回路を含み得る。追加の回路は、中継器共振器の電圧、電流、位相、インダクタンス、容量、および同類のものを監視するために使用され得る。中継器共振器の測定されたパラメータは、中継器共振器を調整または調節するために使用され得る。コントローラまたはマイクロコントローラは、中継器共振器によって、中継器共振器の容量、共振周波数、インダクタンス、抵抗、および同類のものを能動的に調整するために使用され得る。調整可能な中継器共振器は、中継器共振器がその電圧、電流、温度、または電力制限を超えるのを防ぐために必要であり得る。中継器共振器は、例えば、中継器共振器に伝送される電力量を減らすため、または中継器共振器と結合する他の装置もしくは共振器に伝送する電力量を調整もしくは制御するために、その共振周波数を離調し得る。
いくつかの実施形態では、中継器共振器の電力および制御回路は、中継器共振器によって捕捉されたエネルギーによって電力供給され得る。中継器共振器は、電力または監視回路に電力を供給するために、交流/直流、交流/交流、または直流/直流変換器およびレギュレータを含み得る。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、瞬間的または長期間の無線送電の中断中に、電力および制御回路に電力を供給するために、バッテリーまたは超コンデンサなどの追加のエネルギー貯蔵コンポーネントを含み得る。バッテリー、超コンデンサ、または他の電力貯蔵コンポーネントは、中継器共振器がいずれかの無線電源の範囲内にあるとき、通常動作中に、定期的または継続的に再充電され得る。
いくつかの実施形態では、中継器共振器は、1つの供給源または複数の供給源から1つの特定の位置もしくは装置または複数の位置もしくは装置への送電を調整するために使用され得るWiFi、Bluetooth(登録商標)、近接場(near field)、および同類のものなどの、通信または信号送信機能を含み得る。1つの場所に散在する中継器共振器は、磁場を供給源から特定の位置、領域、または装置に拡張するために、選択的に特定の共振周波数に同調またはそれから離調するように信号通知され得る。複数の中継器共振器は、選択的に、同調、または離調、または供給源から特定の領域もしくは装置に電力を中継するために使用され得る。
中継器共振器は、供給源から中継器共振器へ伝達または捕捉されたエネルギーのいくらか、ほとんど、または全てが使用のために利用可能であり得る装置を含み得る。中継器共振器は、中継または供給源の範囲を拡張しながら、電力を1つまたは複数の電気装置もしくは電子装置に提供し得る。いくつかの実施形態では、照明、LED、ディスプレイ、センサー、および同類のものなどの低電力消費装置が、中継器共振器の一部であり得る。
いくつかの可能な使用構成を図18〜図20に示すが、それらの図では、電源1800に結合された供給源共振器1804、装置1802に結合された装置共振器1808、および中継器共振器1806を含む無線送電システムの配置例を示す。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、供給源の範囲を拡張するために、供給源と装置共振器との間で使用され得る。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、図18Bに示すように、装置共振器の後ろに、かつ、供給源から装置共振器よりもさらに離れて位置付けられ得る。図18Bに示す構成に対して、中継器共振器が使用されなかった場合に比べ、供給源と装置との間のより効率的な送電が可能であり得る。図18Bに示す構成の実施形態では、中継器共振器が装置共振器よりも大きい方が好ましくあり得る。
いくつかの実施形態では、中継器共振器は、双極子モーメントが高い結合係数またはエネルギー伝達効率に対して位置合わせされていない非同軸共振器または共振器の間の結合を強化するために使用され得る。例えば、中継器共振器は、供給源と装置との間に、図19Aに示すように装置共振器に合わせるか、または図19Bに示すように供給源共振器に合わせる、中継器共振器を配置することによって、同軸上に並べられていない、供給源と装置共振器との間の結合を強化するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、複数の中継器共振器が無線送電を複数の方向に拡張するため、または、図20Aに示すように、複数の中継器共振器に次々に、送電距離を延長するために使用され得る。いくつかの実施形態では、負荷または電子装置に接続された装置共振器は、図20Bに示すように、別の装置、中継器共振器、または装置共振器に対する中継器共振器として、同時に、または交互に動作し得る。所与のシステムまたは動作シナリオで使用され得る共振器の数に論理上の制限はないが、特定数の共振器を好ましい実施形態とする実用上の問題があり得ることに留意されたい。例えば、システム費用を考慮すると、特定の用途で使用され得る共振器の数が制約され得る。システムのサイズまたは統合を考慮すると、特定の用途で使用される共振器のサイズが制約され得る。
いくつかの実施形態では、中継器共振器は、供給源または装置共振器と同じ寸法、サイズ、または構成を有し得る。いくつかの実施形態では、中継器共振器は、供給源または装置共振器とは異なる寸法、サイズ、または構成を有し得る。中継器共振器は、装置共振器よりも大きいか、または供給源共振器よりも大きいか、または両方よりも大きい特性サイズを有し得る。より大きな共振器は、供給源と装置との間のより大きい分離距離において、供給源と中継器共振器との間の結合を強化し得る。
いくつかの実施形態では、2つ以上の中継器共振器が無線送電システムで使用され得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の供給源または装置を備える、2つ以上の中継器共振器が使用され得る。
中継器共振器を備える戸棚下の照明
中継器共振器は、照明用途における送電を強化するために使用され得る。中継器共振器を使用する無線送電システムの一適用例を、キッチンの照明構成のための図21に示す。供給源共振器2112、2114と、照明2104に組み込まれた装置共振器2106との間の送電は、しょうめい2104または装置共振器2106の上側または隣接して位置付けられた追加の中継器共振器2108によって強化または向上され得る。
照明に隣接してより大きな中継器共振器を追加すると、供給源と照明との間の結合および送電効率が向上し得、より小さく、あまり目立たない、より効率的な供給源もしくは供給源共振器、またはより小さい照明、または装置共振器の使用を可能にし得る。
実施形態では、中継器共振器は、戸棚の内部に適合する大きさの平面状で、平たい、長方形コイルに巻かれた容量性負荷ループであり得る。中継器共振器は、剛性または可撓性のパッドまたは覆いに組み込まれ得、その共振器の上に戸棚にいつも入っているものを置くことを可能にする。中継器共振器は、密着紙、マット、滑り止め加工したプレースマット、および同類のものなど、戸棚の内側を覆うために一般に使用される材料内に組み込まれ得る。実施形態では、中継器共振器は、戸棚の底面に取り付けるように設計され得るか、照明用の取付け機構または取付けポイントを用いて組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、照明は、追加の装置共振器を必要としない可能性があるが、中継器共振器に直接接続し得るか、またはそれに組み込まれ得る。
実施形態では、装置共振器は照明に組み込まれ、中継器共振器に結合するように設計され得る。各照明は、それ自身の装置共振器ならびに本明細書に記載の電力および制御回路と統合され得る。各照明は、適切な交流/交流、交流/直流、または直流/直流変換器および装置の発光部に電力を供給し、制御するためのドライバを含み得る。照明に埋め込んだ装置共振器の上の中継器共振器を用いて、照明を戸棚下のどこにでも自由自在に位置づけて、照明を戸棚下の特定の領域または点に向け、移動させることが可能であり得る。統合された共振器および装置電力および制御回路を備える照明は、接着剤または任意の数の既知の留め具を使用して、戸棚の底面に取り付けられ得る。
実施形態では、供給源共振器は、電気コンセントのカバーまたは任意のタイプの敷桁である供給源に統合され得る。戸棚下の照明用の供給源の一例を図22に示す。供給源共振器2204は、既存のコンセント2206の周囲をカバーし、適合し得る電気コンセントのカバー2202に統合され得る。供給源の電力および制御回路2208は、カバーに統合され得る。カバーは、コンセントの1つに差し込むか、または接続して、電力および制御回路が120VACまたは230VAC、および同類のものでコンセントから直接に電力供給されるのを可能にし得、供給源を内蔵式にして、追加の配線、プラグ、電気コンセント、接続箱、および同類のものを必要としない。供給源は、レセプタクルカバーを無線供給源カバーと置換することにより、エンドユーザーによって変更され得る。
実施形態では、供給源共振器は、戸棚の下に配置された電気コンセントに差し込む供給源に統合され得る。供給源は、電気コンセントの外または周囲に広がって、共振器ならびに電力および制御回路が統合され得る拡張容積または箱を提供し得る。
実施形態では、供給源共振器は、供給源の電力および制御回路用にアウトレットボックスまたはアウトレット接続箱が使用され得る、完全なコンセントを置き換えるように設計され得る。コンセントを置換するカバーは、機能的なコンセントカバーと同様の形状および型を有し得るが、無線電力を伝送するため、カバーの周囲に統合された共振器を有し得る。実施形態では、カバーは、キッチンの調度品に合うように装飾的であり得る。実施形態では、無線電力回路は、障害割込み回路および他の必要な安全、省電力、または調節回路を含み得る。
実施形態では、供給源は、供給源をオンまたはオフにするための手動もしくは自動スイッチまたはセンサーを含み得、それにより、中心地で無線電力供給される照明のスイッチをオンまたはオフできるようにする。供給源は、領域内の他の照明がオンまたはオフにされると、自動的にオンまたはオフするようにタイマーまたは光センサーと統合され得る。例えば、無線送電システムは、室内の人の存在の検出または時刻に従って、照明をオンまたはオフにするために、人感センサー(motion sensor)またはタイマーを含み得る。
一構成例では、10回巻いたリッツ線を含み、かつ、100を超える品質係数Qを有する、15cmずつの供給源共振器が、つり棚の23cm下の壁に取り付けられる。8回巻いたリッツ線を含み、かつ、100を超える品質係数Qを有する、統合された直径7.5cmの共振器を備える1つの丸い照明が、戸棚の底面上の供給源共振器の23cm上に取り付けられる。10回巻いたリッツ線を含み、かつ、100を超える品質係数を有する、29cm×86cmの矩形中継器共振器が、戸棚内の供給源の24cm上に配置される。この例示的な実施形態では、中継器共振器は、壁に取り付けた供給源と戸棚下に取り付けた照明との間の送電効率を高めるために使用される。中継器共振器がなければ、送電効率は、5%未満であった。説明のとおりに位置付けられた中継器共振器を使用すると、送電効率は、50%を超えた。
1つの供給源共振器および1つの装置共振器に関して特定の実施形態を説明してきたが、複数の供給源および/または複数の装置を使用するシステムがこの記述に包含されることに留意されたい。共振器は、供給源共振器、装置共振器、または中継器共振器のいずれかになるように、同時に、または交互に調整され得ることにも留意されたい。
高出力共振器筐体
実施形態では、高Q共振器ならびに電力および制御回路は、高い電圧または電流を筐体内に制限し、共振器および電気部品を、天候、湿度、砂、埃、および他の外部要素、ならびに衝突、振動、擦れ、爆発、および他の機械的衝撃から保護する、特別パッケージングまたは筐体を必要とし得る。実施形態では、パッケージングおよび筐体は、筐体内の電気部品および共振器に対する動作温度範囲を維持するための熱散逸に対して、特別の配慮を必要とし得る。パッケージングおよび筐体は、無線送電中に、筐体または周囲の材料またはコンポーネントにおける損失またはエネルギー散逸を削減するために、特別の配慮を必要とし得る。
車両充電用途のために設計された共振器筐体の一実施形態の分解図を図23に示す。この筐体は、支持板2306、良導体の層またはシート2304、分離器部品2312、ならびに共振器2310を囲む筐体カバー2302、電力および制御回路または電子コンポーネント2308の一部または全て、ならびに筐体部品の一部または全てを含む。支持板2306は、筐体の構造的完全性を支持し得る剛性材料から作られ得る。例えば、支持板は、カバーを取り付けるため、およびいくつかの実施形態では、10キログラムまたは20キログラムにもなり得る共振器の重量を支持するための十分な剛性を提供する、アルミニウム、鋼、鋳鉄、真鍮、木材、プラスチック、任意のタイプの複合材料、および同類のものから作られ得る。支持板は、この例示的な実施形態では、筐体を車両に取り付けるための取付け穴を含み得る。
良導体の層またはシート2304は、支持板2306の上に含まれ得る。いくつかの実施形態では、良導体の層またはシートは、支持板から電気的および/または熱的に分離され得る。他の実施形態では、良導体の層またはシートが支持板と電気的および/または熱的に接触しているのが好ましくあり得る。
分離器部品2312は、導体シートの上に配置され得、良導体の層またはシートと共振器7910との間に特定の分離距離を提供し得る。良導体の層またはシートと共振器との間の好ましい分離は、共振器の動作周波数、共振器の寸法、共振器に含まれる材料、伝送される電力レベル、共振器を囲む材料、および同類のものによって決まり得る。
筐体カバー2302は、内部の共振器および任意の内部コンポーネントをカバーまたは囲み、かつ保護するように、支持板に取り付けられ得る。図23の筐体設計に対して、磁性材料の長方形形状に巻かれた導体を含む図2Dに示されるのもなどの平面共振器を使用することが好ましくあり得る。
実施形態では、良導体の層またはシートは、銅、銀、アルミニウム、および同類のものなどの任意の高伝導性材料を含み得る。実施形態では、良導体の層またはシートは、共振器動作周波数における導体の表皮厚さよりも厚い可能性がある。実施形態では、良導体の層またはシートは、振器動作周波数における導体の表皮厚さよりも数倍厚い可能性がある。実施形態では、共振器を、筐体の外側かつ支持板2306の後ろまたは下にあり得る損失性および/または金属性材料から遮断するために、導体シートが、共振器のサイズよりも大きいか、または共振器の物理的な範囲を超えて拡張するのが有益であり得る。実施形態では、導体シートは、共振器の周囲を少なくとも1cm越えて拡張し得る。他の実施形態では、導体シートは、共振器の周囲を少なくとも2cm越えて拡張し得る。実施形態では、導電シートのサイズは、取り付けた共振器の摂動Qが、取り付けられていない筐体内の共振器の摂動Qの少なくとも2%になるように、選択され得る。実施形態では、導電シートのサイズは、取り付けた共振器の摂動Qが、取り付けられていない筐体内の共振器の摂動Qの少なくとも10%になるように、選択され得る。他の実施形態では、導電シートのサイズは、取り付けた共振器の摂動Qが、取り付けられていない筐体内の共振器の摂動Qの少なくとも25%になるように、選択され得る。実施形態では、導電シートのサイズは、取り付けた共振器の摂動Qが、取り付けられていない筐体内の共振器の摂動Qの少なくとも50%になるように、選択され得る。他の実施形態では、導体シートは、可能な限り大きく、かつまだ筐体内に収まり得る。
実施形態では、導体シートと共振器との間に間隔を提供する、分離器部品は電気絶縁体であり得る。実施形態では、分離器部品も、共振器からの熱放散のために提供され得る良熱導体であることは好都合であり得る。実施形態では、分離器部品は、空気および冷却液循環を含む能動冷却のための提供を含み得る。分離器部品は、筐体の共振器とほぼ同じサイズであり得るか、または共振器よりも小さい可能性がある。分離器部品のサイズは、共振器の剛性によって決まり得る。実施形態では、分離器部品は、共振器と導体シートとの間に少なくとも0.5cmの間隔を提供し得る。他の実施形態では、分離器部品は、共振器と導体シートとの間に少なくとも1cmの間隔を提供し得る。実施形態では、分離器部品は、共振器の特定部分に対してより強い分離を提供するように成形され得る。
実施形態では、分離器部品の厚さおよび材料は、囲まれた共振器の摂動Qが、非摂動Qの少なくとも2%になるように、選択され得る。実施形態では、分離器部品の厚さおよび材料は、囲まれた共振器の摂動Qが、非摂動Qの少なくとも10%になるように、選択され得る。実施形態では、分離器部品の厚さおよび材料は、囲まれた共振器の摂動Qが、非摂動Qの少なくとも25%になるように、選択され得る。実施形態では、分離器部品の厚さおよび材料は、囲まれた共振器の摂動Qが、非摂動Qの少なくとも50%になるように、選択され得る。
実施形態では、筐体カバーは、非損失性材料、好ましくは、非金属材料で作られ得る。実施形態では、筐体カバーは、プラスチック、ナイロン、テフロン(登録商標)、レキソライト(Rexolite)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ゴム、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル、ポリスチレン、および同類のもので作られ得る。材料は、共振器を、衝撃、振動、およびカバー上の持続負荷から保護するための十分な構造強度を提供するように選択され得る。材料は、車両向けに想定された動作環境に耐えるように選択され得る。
実施形態では、筐体は、追加の支持、剛性、耐久性、許容差、生存性、および同類のものを与えるために追加の層を含み得る。実施形態では、筐体は、銃弾、手榴弾、簡易爆発物(IED)、および他の兵器に耐えるため、ケブラーシートまたは層の後ろに取り付けられ得るか、またはケブラーで覆われ得る。実施形態では、筐体は、特別な熱材料、電気材料、耐候性材料、光学材料、および同類のものを含み得る。実施形態では、筐体は、安全システム、制御システム、監査システム、請求システム、および同類のものを可能にする材料または部品を含み得る。
いくつかの実施形態では、筐体およびパッケージングは、電子部品および回路を含み得る。電子部品は、共振器のコンデンサ、インダクタ、スイッチ、および同類のもの、または、インピーダンス整合に使用されるコンデンサ、インダクタ、スイッチ、および同類のものを含み得る。いくつかの実施形態では、筐体は、増幅器、整流器、コントローラ、電圧センサー、電流センサー、温度センサー、および同類のものを含め、電力および制御回路の一部および全てを囲み得る。電力および制御回路は、追加の冷却または温度調節を必要とし得、能動冷却システムもしくは、空気または冷却液を筐体または筐体の一部に循環させる外部の能動冷却システムへの接続を必要とし得る。実施形態では、電気または電子部品を、共振器の双極子モーメントと一列に並ばないように、位置付けるかまたは配置することは好ましくあり得る。実施形態では、電気または電子部品を、共振器の摂動Qが最小限になるように、位置付けるかまたは配置することは好ましくあり得る。実施形態では、電気または電子部品を、それらが共振器によって生成された電磁場から遮断されるように、かつ、共振器が電気および電子筐体の損失性部分(lossy portion)から遮断されるように、筐体内の良導体の層またはシートの下に位置付けるかまたは配置することは好ましくあり得る。
装置共振器を備える筐体は、車、ロボット、カート、スクーター、オートバイ、自転車、電動台車、または任意の他の車両の下に取り付けるよう、所定の大きさにされ、設計され得る。いくつかの例示的な取付けおよび充電構成を図24に示す。装置および供給源共振器ならびに筐体は、車両充電システム用に3kWを上回り得るか、またはロボット充電システム用に500Wであり得る各用途に対して適切な電力レベルになるように、所定の大きさにされ、構成され得る。装置共振器は、供給源共振器からエネルギーを受信するように構成され得、車両のバッテリー、電力電子機器または装置、および同類のものを再充電するために使用され得る。1つまたは複数の筐体および装置共振器2404は、車両2402の底面に、車両の前面に、車両の後部に向かって、および図24Aに示すように、取り付けられ得る。車両は、底面に取り付けられた1つの筐体を有し得るか、または底面に取り付けられた筐体とともに複数の共振器を有し得る。
実施形態では、共振器および筐体は、車両の内部に取り付けられ得る。いくつかの車両では、床板、車輪格納部(wheel well)、スペアタイヤ収納部(spare tire well)、または車の他の部分が、プラスチック、カーボンファイバー、および同類のものなどの、非損失性または非金属材料から構成され得、共振器は車の内部にあるが、磁場が通過する窓を提供する。
実施形態では、装置共振器は、筐体内の電子機器、コンポーネント、および共振器に対して能動冷却または加熱を提供するために、冷却液用の伝達手段への接続を含み得る。
実施形態では、供給源共振器は、図24Bに示すように、筐体2408に取り付けられ、ゴムマット2410、または台に統合され得る。ゴムマットおよび筐体は、車庫の床または駐車スペースに配置され得、かつ、電源に接続され得、図24Cに示すように、車両がパッドおよび供給源共振器の上を通って、装置共振器を供給源共振器と合わせると、車両に対する無線送電を可能する。
適切なサイズの筐体および共振器2412は、ロボット、遠隔制御または自律走行車2414の底面に適合するように設計され得る。ロボットは、電力をロボットに伝送し得る供給源共振器を備えたドッキングケージ(docking cage)または充電領域と共に設計され得る。
受動コンポーネント補償
無線送電システムの電気部品のパラメータは、システムの環境条件および/または動作パラメータもしくは特性によって影響され得る。コンポーネントの電気的値および性能は、環境の温度、湿度、振動、および同類のもの、ならびに無線送電システムモジュールによって影響され得る。例えば、温度における変化は、コンデンサの容量、誘導ループインダクタのインダクタンス、磁性材料の損失、および同類のものを変更し得る。高い周囲温度は、電気部品に影響を及ぼし、それらのパラメータを変更し得、その結果として、無線送電システムのパラメータに影響を及ぼし得る。例えば、周囲温度が上昇すると、無線送電システム内の共振器の共振周波数をシフトまたは変更し得るコンデンサの容量を増加させ得、その結果として、送電効率に影響を及ぼし得る。
いくつかの適用例では、動作点またはシステムの動作に起因するパラメータの変更は、無線送電に悪影響を及ぼし得る。例えば、無線送電システムの高電力レベルでの稼働は、コンポーネントにおいて大電流を必要とし得、電力散逸の増加およびコンポーネントの温度上昇を引き起こす。温度上昇は、コンポーネントの容量、インダクタンス、抵抗、および同類のものに影響を及ぼし得、無線送電システムの効率、共振周波数、および同類のものに影響を及ぼす可能性がある。
いくつかの適用例では、動作点に起因するパラメータの変更は、無線送電システムの性能に悪影響を及ぼし得る熱暴走を引き起こし得る。例えば、電力伝送および操作は、コンデンサなど、共振器のコンポーネントを加熱し得、それらの実効容量を変更する。容量における変化は、共振器の共振周波数をシフトし得、送電効率における急低下を引き起こし得る。送電効率における急低下は、その結果として、コンポーネントのさらなる加熱を引き起こし得、容量におけるさらなる変更を引き起こし、共振周波数における大幅なシフトを引き起こす、などとなる。
図25は、温度の1つの市販のセラミックコンデンサの容量への影響を示すグラフである。コンデンサの機能温度範囲にわたって、容量値は20%だけ変化し得る。いくつかの技術またはコンデンサのタイプに対して、機能温度範囲にわたる容量の変化は、50%または200%またはそれ以上にもなり得る。温度の関数としての容量の変化は、温度の単調な増加もしくは減少関数であり得るか、または1つもしくは複数の異なる温度において1つもしくは複数の最大値および最小値をもつ複合関数であり得る。温度の関数としての容量曲線の形状および挙動は、様々なコンデンサ技術のための設計パラメータであり得、一群のコンポーネントの特定の特性は、特定コンポーネントの設計および製作中に調整され得る。温度特性の設計は、絶縁破壊電圧、全電気容量、温度範囲、および同類のものなどの、他のパラメータの間のトレードオフであり得、したがって、いくつかの適用例に対して、その温度範囲にわたる容量変動は、完全にカスタマイズ可能または最適化可能ではない可能性がある。
無線送電システムの実施形態では、コンデンサなどのコンポーネントがシステムの様々な部分で使用され得る。例えば、コンデンサなどの電気部品は、共振器の一部として使用され得、共振器の共振周波数を設定し得る。コンデンサなどの電気部品は、本明細書に記載のように、インピーダンス整合回路網および回路の他の部分で使用され得る。温度に起因するコンポーネントのパラメータにおける変化は、共振の品質係数、共振周波数およびインピーダンス、システム効率および電力供給および同類のものなど、無線送電システムの重要な特性に影響を及ぼし得る。
いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータ値における変化が、調整可能コンポーネントを含む能動調整回路で補償され得る。コンポーネントおよびシステムの動作環境および動作点を監視する回路が、設計に組み込まれ得る。監視回路は、パラメータにおける変化を能動的に補う調整可能コンポーネントを含み得る。例えば、温度の読取りは、システムの容量における予期される変化を計算するために使用され得、所望の容量を維持するために、余分のコンデンサに切り替えるか、またはコンデンサを調整することによって補償を可能にする。
いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータにおける変化は、能動冷却、加熱、能動的な環境調整、および同類のものを用いて補償され得る。
いくつかの実施形態では、コンポーネントのパラメータにおける変更は、動作環境または動作点における変化を受けると、補足的または逆の向きもしくは方向に変わる特性をもつコンポーネントを選択することにより、軽減され得る。システムは、温度、電力レベル、周波数、および同類のものに起因する逆依存またはパラメータ変動を有する、コンデンサなどのコンポーネントを用いて設計され得る。例えば、システムのいくつかのコンデンサまたは他のコンポーネントが、特定の温度範囲にわたって正の温度係数をもつように、すなわち、図26Aに示すように、温度が上昇するにつれてコンポーネントの容量が増加するように、選択または設計され得る。システム内のいくつかのコンデンサまたは他のコンポーネントが、特定の温度範囲にわたって負の温度係数をもつように、すなわち、図26Aの台のグラフに示すように、温度が下降するにつれてコンポーネントの容量が減少するように、選択または設計され得る。係数を適切に選択することにより、逆の温度係数をもつ2つのコンデンサコンポーネントの並列配置が、温度変化に起因する容量変動を相殺する。すなわち、1つのコンポーネントの容量が、温度における上昇に起因して増加するので、他のコンポーネントの容量が減少し、それにより、全体容量における正味ゼロ変更を生じる。
受動パラメータ変動補償は、多数の用途に対して好都合であり得る。受動補償方法は、能動センサーおよび制御またはコントローラが必要でない可能性があるため、能動調整方法よりも費用が安く、かつ簡略であり得る。受動補償方法は、従来型のコントローラおよびセンサーが機能し得ないか、または配備が困難であり得る適用例に対して好都合であり得る。高温、高放熱環境では、デジタルまたはアナログの能動監視および制御回路が実用的でないか、または配備不可能になり得る。受動補償方法は、より高い信頼性を持ち得、システム性能安定化を達成するために必要とする正味コンポーネントがより少ないので、より小型で費用がより安い可能性がある。
実施形態では、受動補償方法は、能動調整および制御方法またはシステムと組み合わされ得る。受動補償は、能動調整および制御方法およびシステムが動作または補償する必要があり得る範囲を減少し得る。いくつかの実施形態では、受動補償による補償は、十分でない。熱係数またはコンポーネント値における変動は、不完全な受動補償となり、追加の能動調整を必要とし得る。能動調整に対する受動補償の追加により、能動調整方法に対する必要な調整範囲要件が減少し得る。能動調整は、不完全または部分的な受動調整補償に起因する小さな変化および不完全性を補うためにのみ必要であり得、それは、システム内に受動補償が含まれていなければ補償を必要としたであろうパラメータにおける総変更のうちのほんの一部であり得る。
いくつかの実施形態では、受動補償は、システムの完全な温度範囲または動作範囲にわたって実施され得る。いくつかの実施形態では、受動補償は、システムの部分的な温度または動作範囲にわたって実施され得、能動調整システムまたは方法からの追加の調整を必要とし得る。
受動補償は、様々な熱パラメータをもつコンポーネントを、直列、並列接続、またはそれらの任意の組合わせで配置されたコンポーネントを使用して、様々に配置することによって達成され得る。受動補償は、同一の環境またはコンポーネントの変化に起因する異なるパラメータ変動を有する少なくとも2つのコンポーネントで達成され得る。いくつかの実施形態では、所望の範囲にわたって必要な補償を取得するために、直列、並列接続、またはそれらの任意の組合わせで配置された3つ以上のコンポーネントを使用する必要があり得る。例えば、図26Bに示す容量曲線をもつ3つのコンポーネントは、それらの完全な温度範囲にわたる容量変動に起因する受動補償を達成するために、並列接続で配置され得る。いくつかの実施形態では、1つのコンポーネントが、いくつかのコンポーネントの変動をオフセットするために使用され得る。
いくつかのシステム実施形態では、共振器またはシステムの特定部分が、他の部分よりも大きなパラメータ変動にさらされ得る。例えば、回路のいくつかの部分は、太陽、熱源、より高い損失コンポーネント、筐体または換気ブロック、および同類のものに局部的にさらされることに起因して、他よりも加熱され得る。いくつかのシステムでは、コンポーネントに非対称な方法で影響し得る温度勾配の温度差を防ぐために、筐体、共振器、回路、または設計全体にわたってコンポーネントを分散させることは好都合であり得る。
いくつかの実施形態では、コンポーネントパラメータの変動が、安全機構として使用され得るか、または送電のパラメータを調整または強化するために使用され得る。コンポーネントは、特定または所定のパラメータ差を有するように選択または設計され得る。例えば、コンデンサなどのコンポーネントは、特定の温度値を上回って、下回って、またはその中間で、容量の急増または激減を有するように選択され得る。特定の温度の後に急増を有する容量曲線をもつコンデンサが、閾値温度に達すると、自動的に装置共振器を離調するために、装置すなわち電力捕捉(power capture)共振器で使用され得る。かかる特性は、過度の熱は、装置がその電力定格を超えていることを意味し得るため、受動安全機能として使用され得る。適切にコンポーネントを選択すると、そのコンポーネントは、装置共振器を供給源の共振周波数から離調して、装置共振器によって捕捉される電力を減少させ、装置の過熱または電力定格超過を防ぎ得る。
本節で概説した方法および設計は、多くの異なるタイプの電気部品および多くのタイプのパラメータ変動に適用可能であることを理解されたい。方法および設計は、主に、コンデンサ、容量、および容量変動の要因としての温度を用いて概説したが、当業者には、本方法および設計は、無線送電システムの様々な他のコンポーネントで使用され得ることが明らかであろう。同様の挙動が、温度変動、電圧レベル、電流レベル、湿度、振動、気圧、磁場強度、電場強度、素子への曝露、および同類のものに起因する、インダクタのインダクタンス、コンデンサの容量、磁性材料の磁気抵抗および損失、ならびに同類のものの変化を補償するために利用され得る。
いくつかの実施形態では、1つのタイプのコンポーネントのパラメータ変動が、他のタイプのコンポーネントの変動で補償され得る。例えば、共振器コイルのインダクタンスにおける変動が、コンデンサなどの他のコンポーネントの温度変動によって補償され得る。
受動補償を備える電気素子が、直列に、または並列接続で配置され得るか、または共振器のインダクタ、無線電源、または無線電源デバイスにわたって分散され得る。
例示的な共振器最適化
共振器の特性または性能および無線送電のパラメータは、共振器の構造、構成、または動作における変化によって影響され得る。共振器の構成、構造、または動作に対する変更が、共振器の品質係数の最適化、磁場の分布の変更、損失の減少、または共振器の他の物体との相互作用の減少もしくは変更のために使用され得る。
実施形態では、磁性材料に巻き付けた導体ループのスパンが、共振器の周辺の磁場の分布に影響を及ぼし得る。平面共振器構造、または図27Aに示すような、磁性材料に巻き付けた導体を有する共振器に対して、構造の周辺の磁場の分布が、導体巻線のスパンによって変更または影響され得る。共振器構造を含む磁性材料のコア2702に巻き付けた導体2704は、磁性材料をカバーする特定のスパンを有するように巻き付けられ得る(長さは、図27Aに寸法Bで示されている)。このスパンまたは寸法は、例えば、個々の導体ループの間の間隔を広く、または狭くして導体を巻き付けることにより、磁性材料に巻き付ける導体ループの数を変更することにより、および同類のことにより選択または変更し得る。導体を巻き付けた磁性材料のスパンまたは寸法(図27Aに寸法Aとして定義)に比べて、導体ループのスパンは、共振器の周辺で生成または局所化された最大磁場に影響し得る。例えば、導体のスパン(図27Aの寸法B)が、導体が巻き付けられた磁性材料の長さ(図27Aの寸法A)と実質的に等しい場合、共振器内で生成または誘導された磁場は、導体ループによって磁性材料の端部まで導かれ、集中され得、結果として、共振器2710の磁性材料の終点において相対的に高い磁場となる。導体のスパンが、導体が巻き付けられた磁性材料の長さよりもずっと小さい場合、共振器によって生成された磁場は、導体ループに近接して集中されて、それらの位置で高い磁場となり得る。いくつかのシステムまたは適用例に対して、共振器の周辺の最大磁場強度は、限界パラメータであり得、「磁場のホットスポット」すなわち、共振器の周辺の他の領域に比較して、相対的に高い磁場をもつ領域を取り除くか、または減少させるために、磁場が、可能な限り、実質的に共振器の周辺に均一に分散していることを確実にするのが好ましくあり得る。より均一な場の分散のために、導体ループのスパンを実質的にコア材料の全長の50%にし、磁性材料の等量が導体ループを越えて共振器の双極子モーメントの方向に延在するように、中心に置くのが好ましくあり得る。共振器の周辺の最大磁場強度が限界パラメータであり得るシステムまたは適用例に対して、磁性材料のスパンを実質的に、磁性材料2704に巻き付けた導体のスパンの2倍にすることが好ましくあり得る。
同一の磁性材料構造上の導体巻線の3つの異なるスパンについて最大磁場強度を比較する、有限要素法シミュレーションを実行した場合、磁場の分布における変化が見られた。このシミュレーションは、幅45cm、長さ45cm、厚さ1cmの磁性材料ブロックを含む共振器の間の無線送電をモデル化した。最大磁場強度が、3.3kWの電力を伝送する構成に対して、175kHzで動作および共振する2つの共振器の間の21cmの分離で、計算された。場は、10cm、20cm、および30cmのスパンで、磁性材料に10回巻き付けられた導体ループをもつ共振器に対して計算された。磁性材料のほぼ半分のスパン(20cm)である導体スパンを有する構成に対して、装置共振器から3cmの距離にある最大磁場は0.75×10−3TRMSであった。10cmおよび30cmの導体スパンに対して、最大磁場強度は、両方とも0.95×10−3TRMSであり、それぞれ、導体または磁性材料の端部で集中した。
最大磁場強度が限界パラメータであり得るシステムおよび適用例に対して、導体ループを巻き付けた磁性材料の尖った縁部または角を減らすことも好ましくあり得る。磁性材料の角を削るか、または角に丸みを与えることが好ましくあり得る。
実施形態では、共振器の電力および制御回路を、磁性材料を含む筐体内に位置付けることは、共振器の摂動品質係数を最適化するために使用され得る。電力および制御回路の一部であり得、かつしばしば共振器の近辺に配置される必要のある外部回路基板または電子機器は、共振器および無線送電システムのパラメータに影響し得る。回路基板または電子部品は、共振器に負荷をかけ、損失を誘導し、そして、共振器の容量、品質係数、インダクタンス、および同類のものに影響し得る。実施形態では、増幅器、電力変換装置、マイクロプロセッサ、スイッチ、回路基板、および他の損失性物体を含み得る、電力および制御回路は、共振器パラメータへの回路の摂動効果を取り除くか、または減少させ得る共振器の磁性材料の内部に完全にまたは部分的に囲まれ得る。
電子部品を収納するために共振器の磁性材料を使用する一実施形態の図を図27Bに示す。この図は、磁性材料2702に巻き付けた導体ループ2704を含む磁気共振器の横断面を示す。磁性材料2702は、電力および制御回路2708または他の電気もしくは電子回路および装置の一部もしくは全てが磁性材料2702の内部にあり得るように、中空の構造体であり得る。回路を共振器の磁性材料の内部に位置付け、かつ囲むことは、共振器固有のQに対する電子機器の摂動Qを取り除くか、または実質的に減少させ得、結果として、外部、または共振器の近辺に配置されているが磁性材料には囲まれていない回路に比べて、無線送電効率が得られる。磁性材料の筐体は、共振器の導体によって、または磁性材料内部の回路および物体の周辺ならびにそれから離れた外部の供給源によって生成された振動磁場を導き、それによって磁場が損失性電子部品および/または他の物体と相互に作用するのを防ぎ得る。
肉厚0.5cmの磁性材料の中空の箱および磁性材料の中心に20回巻き付けたリッツ線導体を含む、例示的な11cm×5cm×20cmの磁気共振器が、共振器の品質係数に対する損失性材料の影響、および磁性材料の中空の構造体がこれらの損失性材料の摂動Qを減少させる能力を示すために使用され得る。前述した例示的な共振器の固有のQは、品質係数Q=360を有した。いくつかの実施形態では、電力および制御回路を含む回路基板であり得る、回路基板が、共振器を摂動させ、構造の摂動品質係数を130まで減少させる、磁性材料の外側上の共振器導体の上に直接置かれた。しかし、同一の回路基板を、共振器を含んだ磁性材料の中空の箱の内側に置いても、共振器の品質係数に何の影響も及ぼさず、摂動品質係数が実質的に固有の品質係数と等しくなった。
実施形態では、共振器の磁性材料は、換気、通信、配線、接続、取り付け穴、冷却、および同類のもののために使用され得る、穴、ノッチ(notch)、間隙、および同類のものを含み得る。電力および制御回路が磁性材料の内側に取り付けられる場合、共振器の外側の導体またはリッツ線に接続するために、穴が必要とされ得る。実施形態では、磁性材料は、共振器の品質係数に最小限の影響を及ぼし得る磁性材料の一部または全ての面または領域上に、追加の穴、間隙、スペース、くぼみ(void)、および同類のものを有し得る。例えば、図27Bに示す設計に対して、共振器の双極子モーメントの反対端部上の磁性材料2712の壁は、他の側面上の磁性材料よりも重要でなく、また、共振器の重量または費用を最小限にするいくつかの実施形態では、優先事項である。
いくつかの実施形態では、磁性材料の筐体は、1つまたは複数の同一または異なる磁性材料のセクション、部分、タイル、ブロックまたは層を含み得る。いくつかの実施形態では、磁性材料は、その磁性材料が留められているか、接着されているか、または取り付けられている回路基板または支持構造を必要とし得る。いくつかの実施形態では、筐体の内側上の磁性材料の表面が、銅、銀、および同類のものなど、1つまたは複数の良導電体の層で覆われ得る。磁性材料筐体の内側は、筐体と任意の内部電子部品または装置との間の短絡を防ぐために、電気絶縁体でさらに覆われ得る。いくつかの実施形態では、磁性材料筐体が、分解または組み立てられ得、内部電子機器および部品にアクセスできるように、複数の部品から設計されることは好ましくあり得る。実施形態では、磁性材料筐体は、装置の電子機器ならびに共振器の電力および制御回路の周囲の装置パッケージングの一部であるか、またはそれに統合され得る。共振器の導体ループは、装置および磁性材料筐体の全体に巻き付き得る。実施形態では、磁性材料筐体は、前述のように、最小限のクリティカルな継ぎ目の数、および/または磁性材料の加熱を弱めるために取り付けられた冷却構造で、設計され得る。
密閉構造を、回路基板または電気部品などの物体を完全にまたは部分的に囲むために使用できる構造の少なくとも一部に提供しながら、磁性材料の形状は、任意の数の拡張部分、突起部、または様々な形状を含み得ることが当業者には明らかであろう。設計および構成は、直交方向に巻き付いた複数の導体の使用、または共振器と磁性材料を含まない容量性負荷ループ共振器との組合わせなど、磁性材料を使用する共振器または平面共振器に対して、本明細書で説明する特徴および設計を含むようにさらに拡張または変更され得る。
実施形態では、共振器を損失誘導性物体から遮断するために使用される導体シートの形成は、導体シートの有効サイズを大きくするか、またはシールドの物理的寸法を大きくすることなく、共振器の結合を強化し得る。また、導体シールドの形成は、無線送電中に、損失または外部物体へのエネルギー散逸を減少させ得、摂動物体の存在下で共振器の品質係数を高め得る。本明細書に記載のように、高Q共振器の間に位置付けられた高伝導性材料およびその周辺環境は、図21に示すように、周辺環境内であるが導体シートの反対側上の物体におけるエネルギー散逸に起因する損失を減少させ得る。導体シートの縁部を、それらが磁場をそのシートの周囲の物体から偏向させるように形成することにより、導体シートの寸法が削減され得るか、または導体シールドの有効性が向上され得る。図28Aは、磁性材料ブロック2702に巻き付けた導体2704を含む共振器の上の成形した導体シート2802を示す。この構成では、導体シート2802は、シート2806の上の任意の損失性物体を、下の共振器によって誘導または生成され得る磁場から遮断する。実施形態では、導体シートが、共振器よりも大きい寸法をもつか、または共振器を越えて延在することは好ましくあり得る。損失性物体が実質的に共振器よりも大きい適用例では、導体シートの寸法またはサイズを大きくすることは有益であり得る。しかし、多くの適用例では、導体シートの寸法は、重量、利用可能なスペース、費用、および同類のものなど、実施上の配慮事項によって制限され得る。導体シートの有効性または有効サイズは、導体の縁部を共振器に向かって形成することにより、導体シートの物理的な領域を広げることなく、増大され得る。
成形した端部を有す導体シートを含む共振器用の導体シールドの例示的な実施形態を図28Aおよび図28Bに示す。この例示的な実施形態では、導体シールド2802の端部が共振器に向かって、成形または下に曲げられており、2つのフラップ(flap)2804を作り出す。導体シールドの成形されたフラップ2804は、導体シールドの全長(図28Bにおける寸法C)に加えられないが、導体シールド2806の上の損失性物体からの導体の有効遮蔽を向上し得る。導体フラップは、磁場を下向に偏向および誘導して、共振器の側面の場の強度を弱め、かつ、導体シールドの端部の上または近辺にあり得る損失性物体との相互作用を弱め得る。導体シールドのこの構成および形状は、長さ(図28における寸法C)を伸ばすことなく、導体シールドの有効性を高め得る。
実施形態では、導体シートのフラップの形状、分離、および長さは、各用途、環境、他の共振器の位置、送電効率要件、および同類のものに対して明確に構成され得る。導体シールドのフラップの長さ(図28Bにおける寸法A)およびフラップの共振器からの間隔(図28Bにおける寸法B)は、各用途に対して所望の送電パラメータを達成するように、構成および変更され得る。
例示的な実施形態では、共振器遮蔽用途における導体シート成形の有効性は、導体ループを10回巻き付けた磁性材料の32cm×30cm×1cmのブロックを含み、そのループの軸が磁性材料の最長端部と平行になるように、20cmの磁性材料に広がり、包み込む、共振器を覆う導体シールドの例示的な形状およびサイズに対する有限要素法シミュレーションによって示され得る。共振器は、175kHzの共振周波数を有し、鋼の無限板から約2cmのところに、共振器の磁性材料の最大面を鋼板と平行にして、位置付けられる。鋼の無限板の存在下での共振器の摂動品質係数が、共振器と鋼板との間に位置付けられた導体シールドの様々なサイズおよび形状に対して計算され得る。いかなる遮蔽もなければ、共振器の摂動品質係数は、ほぼ24と計算される。共振器と鋼板との間に平らな(成形されていない)42cm×47cmの銅のシールドを配置すると、共振器の摂動Qが227まで高められた。共振器と鋼板との間に平らな(成形されていない)50cm×50cmの銅のシールドを配置すると、共振器の摂動Qが372まで高められた。導体シールドを、同一の42cm×47cm、および50cm×50cmのフットプリント(footprint)を有するが、今回は全ての端部に2.5cmのフラップを含むように形成すると、摂動品質係数がそれぞれ422および574まで高められた。この例示的な実施形態は、導体シールドのフットプリントを増やすことなく、遮断された共振器の摂動品質係数を高めるように導体シートが形成され得る単なる一方法を示す。
導体フラップの形状、サイズ、および構造は、例示的な実施形態とは異なって構成され得ることが、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、導体シールドは、図28に示すように、共振器の双極子モーメントに垂直な端部に関してのみ成形し得る。いくつかの実施形態では、導体シールドは、全ての端部に関して成形し得る。いくつかの実施形態では、フラップの長さ、サイズ、厚さおよび同類のものが共振器の周囲で均一でない可能性がある。フラップのサイズは、損失誘導性物体が少ない方の共振器の側面に対して小さく、また、より多くの損失誘導性物体があり得る側面に対しては大きい可能性がある。いくつかの実施形態では、フラップは、1つまたは複数の屈曲または湾曲部を有し得る。フラップは、導体の平面に対して90度以下で曲げられ得る。
中継器共振器の動作モード
中継器共振器は、供給源から、テーブル、机、棚、戸棚、ベッド、テレビ台、および他の調度品、構造、および/または容器の上、隣、または内側で、電力供給または充電され得る電子機器に組み込まれた1つまたは複数の共振器への無線送電を強化または改善するために使用され得る。中継器共振器は、電源への有線による電気的接続を必要とすることなく、調度品、構造、および/または容器の上または隣に通電された表面、容積、または領域を生成するために使用され得る。中継器共振器は、調度品、構造、および/または容器の外側にあり得る供給源と、調度品、構造、および/または容器の近くにある1つまたは複数の装置との間の結合ならびに無線送電を向上するために使用され得る。
図29に示す一例示的な実施形態では、中継器共振器2904は、テーブル表面2902と共に使用され得、装置共振器2912に組み込まれているか、または取り付けられている電子装置2910、2916、2914に電気供給または再充電するため、テーブルの上に電圧を加える。中継器共振器2904は、供給源2906から装置共振器2912への無線送電を改善するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、電源および供給源共振器は、壁、床、仕切板、天井、間仕切り、壁紙、床仕上げ材、および同類のものに組み込まれ得る。中継器共振器を含む1つの調度品は、その調度品および中継器共振器を、電源および供給源共振器を含む壁、床、天井、間仕切り、壁紙、床仕上げ材、および同類のものの近辺に位置付けることにより励起され得る。供給源共振器に近接し、かつ、その、供給源共振器と実質的に同じ共振周波数を有するように構成されている場合、中継器共振器は、供給源によって生成された振動磁場を介して供給源共振器と結合し得る。振動磁場は、振動磁場を生成する中継器共振器の導体ループ内に振動電流を生成し、それにより、電源および供給源共振器だけで生成された磁場の範囲または方向を拡張、拡大、再配向、集中、または変更する。中継器共振器を含む調度品は、その調度品を、電源および供給源共振器を収納している壁、床、天井などに置くことにより、調度品と電源および供給源共振器との間の物理的なケーブルまたは有線による電気的接続を必要とすることなく、有効に「コンセントにつなぐ」か、または「電圧を加え」て、調度品の上、下、または隣にある装置に無線電力を供給可能にし得る。中継器共振器からの無線電力が、装置共振器および装置共振器の近くにある電子装置に供給され得る。電源には、電気コンセント、配電網、発電機、太陽電池パネル、燃料電池、風力タービン、バッテリー、超コンデンサ、および同類のものを含み得るが、それらに限定されない。
実施形態では、中継器共振器は、特性サイズが小さく、配向が適切でなく、かつ/または供給源共振器から大きく離れている装置共振器に対する結合および無線送電効率を強化し得る。無線送電効率は、供給源と装置共振器との間の間隔に反比例し得、供給源または装置共振器のより小さい特性サイズと相対して記述され得る。例えば、5cm程度の特性サイズの、スマートフォン2912などのモバイル機器に組み込むように設計された装置共振器は、特性サイズが50cmの、壁に取り付けるように設計された供給源共振器2906よりも遥かに小さい可能性があり、これら2つの共振器の間の間隔は、60cm以上、つまり、装置共振器の特性サイズの約12倍以上であり得、結果として比較的低送電効率となる。しかし、50cm×100cmの中継器共振器が、図29に示すように、テーブルに組み込まれる場合、供給源と中継器との間の間隔は、供給源共振器のほぼ一特性サイズであり得、供給源から中継器への送電効率は、高くなる可能性がある。同様に、テーブルの上に置かれたスマートフォン装置共振器または中継器共振器は、装置共振器の一特性サイズよりも少ない分離距離を有し得、結果として、中継器共振器と装置共振器との間の送電効率が高くなる。供給源と装置との間の全体の伝送効率は、供給源から中継器および中継器から装置へのこれらの結合機構の両方を考慮に入れる必要があるが、中継器共振器の使用は、供給源と装置共振器との間の全体効率を改善するために提供され得る。
実施形態では、供給源および装置共振器の双極子モーメントが位置合わせされていないか、好都合でないか、または最適でない向きに位置付けられている場合、中継器共振器は、供給源と装置との間の結合および無線送電効率を強化し得る。図29に示す例示的なシステム構成では、壁に組み込まれた容量性負荷ループ供給源共振器は、壁の平面に垂直な双極子モーメントを有し得る。通常は平面上に置かれる、携帯電話機、コンピュータ、および同類のものなどの平たい装置は、容量性負荷ループ共振器が、携帯電話機の背面またはラップトップの底面など、装置の1つまたは複数のより大きな面に組み込まれる場合などに、テーブルの平面に垂直な双極子モーメントを有する装置共振器を含み得る。かかる相対配向は、例えば、供給源および装置共振器の双極子モーメントが同一平面にある場合よりも低い結合および送電効率をもたらし得る。大きなサイズの中継器共振器は、たとえ2つの共振器の双極子モーメントが直交していても、供給源共振器との間により強い結合を提供し得るので、図29に示すように、双極子モーメントを装置共振器の双極子モーメントに合せた中継器共振器は、中継器共振器の配向が装置共振器との結合に好都合であるが、供給源と装置との間の無線送電の全体効率を向上させ得る。
図29に示す例示的な実施形態では、壁に取り付けられた50cm×50cmの供給源共振器2906と、テーブルの上に置かれ、供給源共振器の中心から約60cm離れた、スマートフォンサイズの装置共振器2912との間の直接送電効率が、中継器共振器の存在なしで、ほぼ19%と計算された。図に示すように、50cm×100cmの中継器共振器を追加し、かつ、供給源および装置共振器の相対位置および配向を維持すると、供給源共振器から装置共振器への結合効率が約60%まで向上した。この一例では、供給源共振器から中継共振器への結合効率が約85%であり、中継共振器から装置共振器への結合効率が約70%であった。この例示的な実施形態では、改善は、中継器共振器のサイズおよび配向の両方に起因することに留意されたい。
図29に示す例示的なシステムなど、中継器共振器を使用するシステムの実施形態では、中継器共振器は、テーブルまたは調度品の上面に組み込まれ得る。他の実施形態では、中継器共振器は、テーブル表面の下に取り付けられるか、または取り付けるように構成され得る。他の実施形態では、中継器共振器は、テーブルの脚、パネル、または構造用支持材に組み込まれ得る。中継器共振器は、テーブルの棚、引出し、リーフ、支持物、および同類のものに取り付けられ得る。さらに別の実施形態では、中継器共振器は、テーブル表面の上に置くことができる、マット、パッド、クロス、鍋つかみ、および同類のものなどに組み込まれ得る。中継器共振器は、ボウル、照明器具、食器、額縁、本、小間物、ろうそく立て、ホットプレート、生け花、かご、および同類のものなどの品目に組み込まれ得る。
実施形態では、中継器共振器は、装置と供給源共振器との間の結合を改善するため、または調度品、構造、もしくは容器の一部である得る損失性物体から中継器共振器を遮断するために、中継器共振器の場を形成するため、磁性材料のコアを使用するか、または、磁性材料の形状を使用するか、または伝導性表面を使用し得る。
実施形態では、前述のテーブル例に加えて、中継器共振器は、椅子、長椅子、本棚、カート、照明器具、ラグ、カーペット、マット、上掛け、額縁、机、カウンター、クローゼット、ドア、窓、スタンド、島式カウンター、戸棚、食器戸棚、扇風機、シェード、シャッター、カーテン、足載せ台、および同類のものに組み込まれ得る。
実施形態では、中継器共振器は、共振器を調整し得るか、または共振器の内側および共振器の外側の任意の数の電圧、電流、位相、温度、場、および同類のものを制御および監視し得る電力および制御回路を有し得る。中継器共振器ならびに電力および制御回路は、1つまたは複数の動作モードを提供するように構成され得る。中継器共振器の動作モードは、中継器共振器としてのみ動作するように構成され得る。他の実施形態では、中継器共振器の動作モードは、中継器共振器および/または供給源共振器として動作するように構成され得る。中継器共振器は、例えば、供給源共振器が機能していないか、または調度品の近くにない場合に、中継器共振器を供給源に変わるように駆動するために、電力および制御回路の増幅器にエネルギー源を供給する電気コンセントなどの、電源への接続を可能にする随意の電力ケーブルまたはコネクタを有し得る。他の実施形態では、中継器共振器は、中継器共振器によって捕捉された直流または交流電力を受信するために、接続または電気もしくは電子装置に接続するためのプラグを提供する装置共振器としても機能し得る、第3の動作モードを有し得る。実施形態では、これらのモードは、ユーザーによって選択され得るか、または供給源磁場、電力接続、もしくは装置接続の可用性に基づき、中継器共振器の電力および制御回路によって自動的に選択され得る。
実施形態では、中継器共振器は、壁、床、他の物体または構造に組み込まれている任意の数の供給源共振器と共に動作するように設計され得る。中継器共振器は、壁、調度品、天井、および同類のものから永久的にまたは一時的に改装されているか、掛けられているか、または吊り下げられている供給源と共に動作するように構成され得る。
中継器共振器の調度品との使用を、テーブルおよび卓上装置を示す例示的な実施形態で説明してきたが、同一の構成および設計がいくつかの同様の構成、調度品類、および装置で使用および配備し得ることが当業者には明らかであろう。例えば、戸棚またはスタンドが供給源の近くに置かれている場合、中継器共振器が、テレビ、映画プレーヤ、リモコン、スピーカー、および同類のものなどのスタンドまたは戸棚の上にある電子装置に電力供給または再充電するのに十分なエネルギーを伝達可能になるように、中継器共振器がテレビもしくはメディアスタンドまたは戸棚に組み込まれ得る。
実施形態では、中継器共振器は、電子機器、電子玩具、リモコン、ゲームコントローラ、および同類のものを保存するために使用できるバケツまたはたんすに取り付けられ得る。たんすまたはバケツが供給源の近くに位置付けられると、中継器共振器は、バッテリーの再充電を可能にするため、組込みの装置共振器を用いて、たんすまたはバケツ内部の装置への供給源からの送電を強化し得る。
中継器共振器の使用を示す別の例示的な実施形態を図30に示す。この実施形態では、中継器共振器は、配置内の電源および機器の使用および状態に応じて、3つの異なる動作モードで使用され得る。この図は、内部のコンポーネントを示すために透明に描かれているハンドバッグ3002を示す。この例示的な実施形態では、別個のバッグ、手さげかばん、ポケット、または、形態電話、MP3プレーヤ、カメラ、コンピュータ、電子書籍表示装置、iPad、ネットブック、および同類のものなどの電子装置3010を保存もしくは運搬するために使用され得るバッグ3002内部の区画(compartment)3006がある。その区画には、少なくとも3つの動作モードで動作し得る共振器3008を取り付けられ得る。1つのモードでは、共振器3008は、再充電可能もしくは交換可能なバッテリーもしくはバッテリーパックまたは他のタイプの可搬式電力供給3004を含み得る電力および制御回路と結合し得、ハンドバッグ3002またはハンドバッグの区画3006内に置かれた電子装置に対して無線再充電または電力供給するための無線電源として動作し得る。この構成および設定では、バッグおよび区画は、電子機器のための、可搬式、無線再充電または動力装置として使用され得る。
共振器3008は、外部供給源および供給源共振器(図示せず)と、バッグまたは区画内部の装置3010の装置共振器3012との間の結合および無線送電効率を改善するため、外部供給源からの無線送電を拡張する中継器共振器としても使用され得る。中継器共振器は、バッグまたは区画内部の装置共振器よりも大きい可能性があるか、または供給源への改善された結合を有し得る。
別のモードでは、共振器は、電子装置、および無線電源で使用される可搬式電源の両方に対して電力を供給する中継器共振器として使用され得る。外部供給源または供給源共振器の近くに位置付けられると、捕捉された無線エネルギーが、バッテリー3004を充電するか、または区画3006の可搬式エネルギー源を再充電して、供給源共振器としての将来の使用を可能にするために、中継器共振器によって使用され得る。装置と共にバッグ全体が、供給源共振器の近くに置かれて、区画バッテリー3004および区画3006またはバッグ3002内部の装置3010のバッテリーの両方の再充電を可能にし得る。
実施形態では、区画はバッグまたは容器に組み込まれ得るか、またはバックパック、財布、買い物袋、旅行かばん、装置ケース、および同類のものなど、任意のバッグもしくは格納筐体に配置され得る追加もしくは別個の区画であり得る。
実施形態では、共振器が、供給源共振器としてのみ、中継器共振器としてのみ、または同時にもしくは断続的に供給源、装置および中継器共振器の任意の組合わせとして構成され得るように、共振器は、電力および制御回路の共振器回路への結合を切り替えるスイッチを含み得る。3つの動作モード間での共振器の制御および切替えが可能な回路構成の例示的なブロック図を図31に示す。この構成では、共振器を形成するために、容量性負荷誘導ループ3008が調整回路網3128に結合される。調整回路網3128は、共振器の共振周波数、インピーダンス、抵抗、および同類のものを設定、構成、または変更するために使用され得る。共振器は、少なくとも2つの回路分岐、装置回路分岐3104、または供給源回路分岐3106のいずれか1つに共振器を結合または接続し得るか、または非アクティブ状態の間もしくは特定の中継器動作モードに対して、少なくとも2つの回路分岐のいずれかから切り離すために使用され得る、任意の数の半導体スイッチ、継電器、および同類のものを含む、スイッチング素子3102に結合され得る。装置回路分岐3104は、共振器が中継器または装置モードで動作しているときに使用され得る。装置回路分岐3104は、共振器の電気エネルギーを、装置、負荷、バッテリー、および同類のものによって必要とされる特定の直流または交流電圧に変換し得、また、インピーダンス整合回路網3108、整流器3110、直流/直流または直流/交流変換器3110、および電力3114を必要とする任意の装置、負荷、またはバッテリーを含み得る。装置回路分岐は、装置動作モード中および/または中継器操作モード中は、アクティブであり得る。中継器動作モード中、装置回路分岐は、負荷に電力供給または充電するために、共振器が同時に外部供給源から別の共振器に振動磁場を同時に繰り返しながら、いくらかの電力を共振器から排出するように構成され得る。
供給源回路分岐3106は、共振器の中継器および/または供給源動作モードの間に使用され得る。供給源回路分岐3106は、他の共振器に無線送電するために使用され得る振動磁場を生成するように共振器を駆動するための振動電気エネルギーを提供し得る。供給源回路分岐は、電源3122を含み得、これは、共振器の装置動作モード中に充電されるバッテリーなどと同じエネルギー蓄積装置であり得る。供給源回路分岐は追加のインピーダンス整合コンポーネント3116の中を通るように共振器を駆動するために使用され得る振動電圧を生成するために、電源の電圧を変換する直流/交流または交流/交流変換器3120を含み得る。供給源回路分岐は、共振器の供給源動作モード中および/または中継器動作モード中にアクティブであって、電源3122から他の共振器への無線送電を可能にする。中継器動作モード中、供給源回路分岐は、共振器への電力を増幅または補足するために使用され得る。中継器動作モード中、外部磁場が弱すぎて、中継器共振器が装置に電力供給または充電するために十分に強い場を伝達または反復できない可能性がある。電源3122からの電力は、他の装置に電源供給または充電するために十分であり得る、より強い振動磁場を生成するため、外部磁場から共振器3008に誘導された振動電圧を補足するために使用され得る。
いくつかの状況では、装置および供給源回路分岐は、共振器から切り離され得る。中継器動作モード中、共振器は適切な固定周波数およびインピーダンスに合わされ得、受動的な方法で動作し得る。すなわち、容量性負荷誘導ループおよび調整回路網におけるコンポーネント値が、能動的に制御されない方法によってである。いくつかの実施形態では、装置回路分岐は、共振器を監視、構成、および調整するために使用される制御および測定回路に電力を供給するために、中継器動作モード中にアクティブ化および接続を必要とし得る。
実施形態では、複数モードで動作可能な共振器の電力および制御回路は、共振器および回路の動作特性を監視するために、回路の任意のコンポーネントまたはサブブロック内に、プロセッサ3126および、アナログ・デジタル変換器などの測定回路を含み得る。共振器の動作特性は、回路のパラメータを調整もしくは制御するため、または動作モード間で切り替えるために、プロセッサによって解釈または処理され得る。例えば、共振器内の電圧、電流、および電力センサーが、どの動作モードおよびどの回路分岐をアクティブ化するかを決定するために、共振器が外部磁場の範囲内であるかどうか、または装置が存在するかどうかを判断するために使用され得る。
中継器共振器を有する例示的な実施形態を説明および示してきたが、説明を簡略にするため、説明では単一の中継器共振器に限定していたことを理解されたい。全ての例は、異なるアクティブな動作モードの複数の装置または中継器共振器を有するように拡張し得る。
無線電力変換装置
いくつかの無線エネルギー伝達システムおよび構成では、無線送電のパラメータまたは構成を変換するために、無線エネルギー変換器が使用され得る。いくつかの実施形態では、システムは、1つもしくは複数の異なっていて、おそらくは互換性のないパラメータを有する無線エネルギーを操作および伝達することができるか、それを行うように構成されている、1つもしくは複数の供給源または1つもしくは複数の装置を有し得る。無線送電のパラメータまたは特性を解釈または変換するために無線エネルギー変換器が使用されて、互換性がないか、または異なるパラメータをもつ無線エネルギーを受信または補足するように構成され得る供給源と装置との間のエネルギー伝達を可能にする。本開示全体を通して、無線電力変換装置、無線エネルギー変換器、無線変換器、ならびに無線電力変換、無線エネルギー変換、および無線変換という用語が区別しないで使用され得ることに留意されたい。
実施形態では、無線送電の特性を変換するために無線電力変換装置が使用され得、異なるパラメータまたは特性を有する無線エネルギー伝達用に設計または構成され得る供給源と装置との間の送電を可能にする。例えば、供給源共振器が、特定の共振周波数で動作するように構成または設計され得、その周波数で振動磁場を介してエネルギーを伝達し得る。装置共振器が、異なる共振周波数で動作するように構成または設計され得、振動磁場が装置共振周波数であるか、またはそれに近い場合に限り、エネルギーを無線で受信するように設計または構成され得る。供給源および装置の共振周波数が実質的に異なる場合、エネルギーはほとんど、または全く伝達され得ない。無線電力変換装置は、無線エネルギーが装置によって利用され得るように特性またはパラメータをもつように、供給源によって伝達された無線エネルギーを変換するために使用され得る。無線電力変換装置は、例えば、1つの周波数で振動磁場を介してエネルギーを受信し得、その捕捉したエネルギーを使用して、供給源とは異なる共振周波数をもつ装置によって利用および受信され得る異なる周波数で振動磁場を生成し得る。
図32は、無線電力変換装置の例示的な機能および使用を示す。無線エネルギー伝達システムでは、1つまたは複数の供給源3210が、1つまたは複数の周波数で振動磁場3214を生成し得る。無線電力変換装置3208は、供給源3210と結合され、振動磁場3214からエネルギーを捕捉し、供給源共振器周波数とは異なり得、かつ、装置3212によって利用され得る1つまたは複数の周波数で、振動磁場3216を生成することにより、補足したエネルギーの一部または全てを伝達し得る。無線電力変換装置3208は、供給源3210と装置3212との間に配置する必要はないが、供給源および装置の両方の概ね近くに配置する必要のみあり得ることに留意することは重要である。装置が、供給源によって生成されるものとは異なるパラメータまたは特性をもつエネルギーを操作または受信するように構成されている場合、たとえ供給源と装置が互いにすぐ近くにあっても、装置は供給源から相当量の電力を受信し得ないことに留意されたい。実施形態では、無線電力変換装置は、供給源のパラメータを装置によって受信されるパラメータに適合させるために使用され得、変換器がなければ、互換性がないであろう供給源と装置との間の無線送電効率を向上させ得る。いくつかの実施形態では、無線電力変換装置は、中継器共振器としても機能し得、供給源と装置の間または装置の近くに置かれている場合は、無線送電の範囲を拡張、強化、または変更し得る。
無線電力変換装置は、多くの無線電力システムおよび用途にとって有益であり得る。いくつかの実施形態では、無線電力変換装置は、通常互換性のない共振器または無線送電システム間で無線送電の特性を変換するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、無線電力変換装置は、異なる電力需要、電力出力、および同類のものの供給源と装置との間の無線配電を管理、分離、または強化するために、無線送電システムによって利用され得る。実施形態では、いくつかの無線送電システムおよび構成は、異なる電力需要の装置を採用し得る。システム内のいくつかの装置は、数百ワットの電力を必要とし得るが、他の装置は、数ワット以下の電力しか必要としない可能性がある。無線電力変換装置のないシステムでは、電力需要および装置電力要件におけるかかる差は、装置のハードウェアおよび動作に対して追加の設計上の制約および制限を課し得る。例えば、全ての装置が同一の周波数で動作するように構成されているシステムでは、数ワットの低電力需要の装置は、数百ワットの電力を必要とする装置と等しい電圧、電流、および磁場強度に耐えるように設計する必要があり得る。実施形態では、低出力装置共振器から成る回路コンポーネントは、大量の電力を熱として散逸する必要があり得る。低出力装置における、高い電圧、電流、電力、および同類のものの要件を減少させる一方法は、低出力装置の共振周波数を高電力の供給源共振周波数から離調すること、または装置を供給源から定期的にまたは調整可能な間隔で切り離すための、周波数ホッピングまたは時分割多重化技術を使用することであり得る。これらの方式は、装置によって受信された平均電力を減少させ得、また、短期間、高い電圧、電流、電力、および同類のものに耐えることが可能なコンポーネントは、長期間、または連続操作に対して、かかる電圧、電流、および電力に耐える必要のあるコンポーネントよりも小さくて、費用も安く、かつ、より能力があるため、装置で使用され得るコンポーネントの範囲を拡張し得る。
実施形態では、装置の共振周波数が調整可能でない場合、または共振周波数が、高電力供給源と低出力装置との間の無線送電をサポートする動作点に合わせることが可能な場合など、無線送電をサポートするために無線電力変換装置が使用され得る。
例示的な実施形態では、無線電力構成は、200ワット以上の電力を壁内の供給源からテレビに無線伝送し得る。かかる実施形態では、テレビの近くに置かれ得る、テレビのリモコン、ゲームコントローラ、追加のディスプレイ、DVDプレーヤ、音楽プレーヤ、ケーブルボックス、および同類のものにも、無線電力を供給することは有用であり得る。これらの装置の各々は、異なる電力レベルを必要とし得、供給源から利用可能なものよりもずっと低い電力レベルを必要とし得る。かかる実施形態では、例えば、テレビの動作を邪魔することなく、供給源で利用可能な電力を調整することは不可能であり得る。さらに、テレビのリモコン、ゲームコントローラ、追加のディスプレイ、DVDプレーヤ、音楽プレーヤ、ケーブルボックス、および同類のものは、例えば図15に示すように、戸棚またはテーブル上に据えられた低電力通電された表面供給源など、他の無線電源から電力を受信することも可能であり得る。無線電力変換装置がなければ、低出力装置の無線送電ハードウェアを、数百ワットをテレビに供給可能な供給源によって生成された電圧、電留、および磁場に耐えるように設計し、ならびに、例えば、低出力装置が低電力通電された表面供給源から電力を受信する場合に有効である必要があり得る。回路は、このタイプの操作を可能にする低点力装置に対して設計され得るが、いくつかの実施形態では、低出力装置回路を低電力供給源用に最適化し、一部の動作領域において、電力変換装置を使用して高電力供給源から利用可能な高電力レベルを低電力レベルに変換することが好ましくあり得る。無線電力変換装置は、高電力供給源によって生成された無線電力の一部を捕捉し得、様々なシステム要件に従ってその電力を調整し、その調整済みの電力を、この例示的な実施形態で参照した低出力装置による受信に適した、異なる周波数、電力レベル、磁場強度、間隔、および同類のもので再供給し得る。
いくつかの実施形態では、例えば、50ワット以上の電力を必要とする高出力装置を、100kHz〜500kHzの範囲などの低周波数で操作することは好ましくあり得る。安全性の考慮に対する許容可能な磁場制限は比較的高く、放射電力レベルはより低い動作周波数でより低い可能性がある。いくつかの実施形態では、高Q共振器を実現し、かつ/または、より小型またはより効率的であり得る、コンデンサ、交流/直流変換器、および同類のものなどの、電気および電子装置を利用することは、ことは好ましくあり得、より小型でかつ/または隙間のない共振器ならびに電力および制御回路の統合を可能にする。
いくつかの実施形態では、無線電力変換装置が、異なるパラメータをもつ複数の供給源から単一の供給源に伝送された無線電力を変換するために使用され得、また、無線電力パラメータを複数の装置に適合するように変換するために使用され得る。実施形態では、無線電力変換装置は、異なるパラメータで動作する他の供給源からの無線電力を変換することにより、特定の無線電力供給源を増幅するために使用され得る。
無線電力変換装置を採用する無線送電システム構成の例示的な実施形態を図33に示す。構成の一部として、無線電力変換装置3314は、異なるパラメータで動作するように構成または設計され得る1つまたは複数の供給源3322、3324からの振動磁場3332、3330からエネルギーを捕捉し得る。無線電力変換装置3314は、エネルギーを捕捉し、エネルギーを捕捉した供給源3322、3324とは異なる1つまたは複数のパラメータで磁場3334、333、3338を生成し、そのエネルギーを1つまたは複数の装置3316、3318、3320に伝達し得る。構成の別の態様では、無線電力変換装置3314は、異なるパラメータで動作するように設計され得る1つまたは複数の供給源3322、3324からエネルギーを捕捉し、別の供給源3326の場3328に適合するパラメータで磁場3334を生成するために使用され得、供給源3322、3324からの場および異なるパラメータをもつ場3330、3332に対して「増幅」またはブーストを提供する。
実施形態では、無線電力変換装置は、1つまたは複数のパラメータで無線エネルギーを捕捉するように構成されているか、または構成可能な1つまたは複数の磁気共振器、および1つまたは複数のパラメータで無線エネルギーを伝達するように構成されているか、または構成可能な1つまたは複数の共振器を含み得る。例えば、振動磁場の周波数パラメータを変換するように設計された無線電力変換装置を図34Aに示す。無線電力変換装置3412は、1つまたは複数の周波数に合わせられているか、または同調可能な1つまたは複数の磁気共振器3414、3416を有し得る。振動磁場3402によって共振器3414内で生成された振動電圧は、直流/交流変換器3408によって整流および使用されて、1つまたは複数の異なる周波数で振動磁場3404を生成する振動電流を有する別の共振器3416を駆動し得る。実施形態では、無線電力変換装置の直流/交流変換器は、周波数および出力電力レベルの範囲を生成するため、コントローラ3410を用いて調整されるか、または調整可能であり得る。
実施形態では、受信用の共振器3414の振動電圧は、図34Bに示すように、受信した電圧および電流を最初に直流に変換することなく、交流/交流変換器3418を使用して、異なる周波数で振動電圧に変換され、無線電力変換装置の共振器3416に電圧を加えるために使用され得る。実施形態では、ダイオード、非線形素子、周波数逓倍器、周波数分割器、および同類のものが、補足したエネルギーの周波数を、最初に直流電圧に変換することなく、異なる周波数に変換するために使用され得るように、補足および伝達した磁場が、互いにマルチプル(multiple)であるように、無線電力変換装置を、磁場の周波数を変換するように構成および設計することは好ましくあり得る。
実施形態では、無線電力変換装置は、1つの周波数でのエネルギー捕捉と、別の周波数でのエネルギー伝達との間で時分割多重化される1つまたは複数の共振器を含み得る。時分割多重化電力変換装置のブロック図を図35に示す。時分割多重化電力変換装置3502は、振動磁場3504を捕捉し、交流/直流変換器3514を使用して、生成された交流エネルギーを直流エネルギーに変換し、超コンデンサ、バッテリー、および同類のものなどの、エネルギー貯蔵素子3508を充電するように調整され得る。一定期間の後、共振器3516が、異なる周波数に合わせられ得、エネルギー貯蔵素子3508に貯蔵されたエネルギーが、増幅器または直流/交流変換器3512に電力供給するために使用されて、新しい共振周波数での振動電圧を有する同調共振器3516を駆動し、それにより、振動磁場を生成する。実施形態では、共振器3516は、電力の補足から伝送に、数ミリ秒、秒、または分毎に変わり得る。共振器は、貯蔵素子内のエネルギーが所定のレベルに達するとすぐに、電力の捕捉から伝送に変わるように構成され得、貯蔵素子内のエネルギーが所定のレベルを下回ると、補足に戻り得る。実施形態では、高電力供給源から低電力要件をもつ装置へ電力を変換する無線電力変換装置は、時分割多重化周期のほんのわずかの間だけ、電力を捕捉する必要があり、残りの周期の間は、必要な装置電力レベルで低速で電力を伝送し得る。
無線電力変換装置を利用する実施形態システムでは、区域、部屋、または領域が、壁、天井、間仕切りおよび同類のものに組み込まれ得る複数の供給源によって、低電力磁場で満たされるか、または励起され得る。低電力磁場を捕捉し、異なる周波数、パラメータ、および電力レベルに変換するために、領域内の異なるクラスまたはタイプの装置に電力を伝送するため、異なる無線電力変換装置が、異なる位置に分散されるか、または戦略的に位置付けられ得る。無線電力変換装置を利用するシステム実施形態では、供給源は、供給源の変更または再構成を必要とすることなく、特殊な電力需要または構成を有する多数の様々な装置と共に機能および動作するように構成または拡張し得る。
実施形態では、無線電力変換装置は、いかなる追加のエネルギー入力も必要とせず、無線送電のパラメータおよび特性を単に変換し得る。実施形態では、無線電力変換装置は、伝達されたエネルギーを補うために使用され得る、バッテリー、太陽電池パネル、および同類のものから追加のエネルギー入力を受け得る。
実施形態では、無線電力変換装置は、任意の数の周波数または電力レベルまたはエネルギー多重化方式から任意の数の周波数または電力レベルまたはエネルギー多重化方式に変換するように調整または構成され得るように、調整可能および構成可能であり得る。無線電力変換装置は、例えば、供給源の電力レベルもしくは周波数、または最強もしくは適切な磁場を有する供給源を検知することにより自動的に調整され得る。変換装置は、望まれるか、または必要とされ得る変換のパラメータに関して、供給源または複数の供給源、装置または複数の装置、中継器または複数の中継器、マスターコントローラまたは他の変換装置による構成を可能にする通信または信号送信機能を含み得る。変換装置は、供給源もしくは複数の供給源に対して通信もしくは信号送信をしてオンもしくはオフするか、または、変換装置がエネルギーを伝達しているか、もしくは変換装置が無線送電の特性を適合、変換、もしくは解釈している、装置もしくは複数の装置、中継器もしくは複数の中継器の電力要件に応じて、電力レベルを増加もしくは減少させ得る。
無線電力変換装置の多くの特定の実施形態では、振動磁場の周波数を変更する変換装置に関して説明してきたが、周波数は例示的なパラメータであり、本発明の精神から逸脱することなく、他のパラメータが変換され得ることを理解されたい。実施形態では、電力変換装置は、位相、振幅、および同類のものを含め、任意の数のパラメータを変更し得る。いくつかの実施形態では、無線電力変換装置は、周波数ホッピングのシーケンスもしくはタイミングを変更し得るか、または単一の周波数供給源が、一定もしくは周期的な周波数ホッピング動作モードを採用もしくは期待する装置に電力を供給できるようにする。いくつかの実施形態では、変換装置は、電力レベル、配電アルゴリズムおよびシーケンスを調整するため、および優先的または階層的な充電または電力供給サービスを実施するために、時分割多重化技術を使用し得る。
実施形態では、無線電力変換装置は、無線送電のパラメータを変換し得、かつ、またはその代わりに、供給源場によって生成された場の分散も変更し得る。無線電力変換装置は、異なるサイズまたは異なる間隔の装置での動作を許可または強化するために、供給源の磁場を再分散するように構成され得る、複数サイズまたは可変サイズの共振器を含み得る。実施形態では、小型の供給源共振器は、大型の装置共振器への送電において最も効率的ではない可能性がある。同様に、大型の供給源共振器は、小型の装置共振器への送電において最も効率的ではない可能性がある。無線電力変換装置は、供給源または装置共振器の変更または再構成を必要とすることなく、装置共振器への無線送電効率を改善するために、磁場を捕捉および再分散する2つ以上の異なるサイズの共振器を含み得る。
例えば、図36Aに示すように、大型の捕捉共振器3616および小型の伝送共振器3618を備える無線電力変換装置3614が、小型の装置共振器3612の近くに配置され得、大型の離れた供給源共振器3608と小型の装置共振器3612との間の無線送電効率を改善し得る。同様に、図36Bに示すように、小型の捕捉共振器3618および大型の伝送共振器3616を備える無線電力変換装置3614が、小型の供給源共振器3608の近くに配置され得、大型の離れた装置共振器3612と小型の供給源共振器3608との間の無線送電効率を改善し得る。変換器共振器は、供給源共振器から変換器共振器への無線送電効率を最大限にするサイズの1つまたは複数の捕捉共振器、および変換器共振器から装置共振器への無線送電効率を最大限にするサイズの1つまたは複数の伝送共振器を含み得る。いくつかの実施形態では、捕捉共振器によって捕捉されたエネルギーが、伝送共振器に直接電力供給するために使用され得る。実施形態では、捕捉共振器によって捕捉されたエネルギーが、伝送共振器にエネルギー供給するために使用される前に、変換、変更、測定、または増幅され得る。異なるサイズの共振器を備えた無線電力変換装置は、改善されたシステム効率をもたらし得る。
車両充電構成
無線電力変換装置は、車両への電力供給、充電、または電気エネルギー供給のために使用され得る。前述のように、車両のバッテリー充電のため、または車両内または車両上の電子システムおよび装置の充電または電力供給のために、電力は、車両の外側に磁場を生成する1つまたは複数の供給源共振器から、車両の上、下、横、取り付けられた、および同類のものの1つまたは複数の共振器へと、車両に供給され得る。
実施形態では、システムを充電する車両の供給源および装置共振器は、特定の配置を必要とし得るか、または分離距離、横方向オフセット、軸方向のずれ、および同類のものなど、動作パラメータに関する制限があり得る。実施形態では、無線送電システムは、距離、オフセット、配置、および同類のものが、システムの指定された動作パラメータの範囲内にあることを確実にする、可能にする、監視する、または容易にする設計を含み得る。実施形態では、無線送電システムは、距離、オフセット、配置、および同類のものが、特定の構成に対する安全性、効率性、送電の振幅、および同類のものに関して、最も実現可能または最適な動作特性であることを可能にする、監視する、または容易にする設計およびシステムを含み得る。
車の実施形態では、例えば、車の底面に取り付けられた装置共振器が、車の下に位置付けられた供給源から電力を受信し得る。車は、供給源の上を運転すること、またはその上に駐車することにより、装置共振器によって捕捉されたエネルギーから、電力の受信、バッテリー充電、周辺機器への電力供給、および同類のものを行い得る。サイズ、タイプ、設計、配向、電力レベル、周囲、および同類のものに応じて、車の供給源および車は、供給源に関して、特定の境界内または場所に位置付けられる必要があり得る。無線送電システムは、供給源および装置共振器または車両の適切な配向、位置、または配置を可能にする、容易にする、導く、促進する、または確実にする機能を含み得る。
実施形態では、機械視覚システムに結合されたデジタルカメラが、供給源および装置共振器の配置を補助または自動化するために使用され得る。供給源および装置共振器のビデオカメラ映像が車両内のユーザーに表示されて、供給源の位置に関して指示を出し得る。いくつかの実施形態では、カメラおよび機械視覚は、聴覚、振動、または視覚的な表示器を用いた位置情報でユーザーに警告するために、処理装置および適切な機械視覚アルゴリズムと結合され、車の配置および位置決めを前処理し得る。処理および位置合わせアルゴリズムは、位置決めおよび位置表示器が障害物または車の位置制限を考慮に入れるように、車両の他のシステムからの位置決めおよび位置情報を含み得る。例えば、処理および位置合わせアルゴリズムは、駐車スペース、車庫、および同類のものの制約内に位置付けるのを支援するために、車のバンパー内の赤外線または音響センサーに結合され得る。
実施形態では、カメラシステムまたは機械視覚システムが、共振器配置のプロセスまたはプロセスの一部を自動化するために使用される処理装置および適切な機械視覚アルゴリズムと結合され得る。いくつかの実施形態では、供給源または装置は、位置決めおよび配向情報用のカメラを使用して一列に並ぶ位置に移動する、ロボットまたは自動化した、軌道、アーム、プラットフォームに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、カメラ、機械視覚アルゴリズム、および処理装置が、車両のセンサーおよび制御装置と結合されて、車が供給源と適切な位置に自身で位置決めおよび駐車できるようにし得る。
実施形態では、カメラシステムまたは機械視覚システムは、供給源と装置共振器との間の障害物ならびに無関係な物体および/または物質を検出するか、または検出する役に立ち得る。実施形態では、カメラシステムまたは機械視覚システムは、動き、外部からの物体、または任意のタイプの未定義のまたは異常な動作環境または構成について、供給源および装置の周囲の間隔および/または近辺を常に監視し得る。カメラおよび/またはアルゴリズムによっていずれか未定義のまたは異常な動作環境または構成が検出されると、システムは、電力供給を停止するか、または送電を制限するように設計され得、ドライバー、ユーザー、またはオペレータに警告するように設計され得る。実施形態では、カメラおよび機械視覚システムは、多岐にわたる環境、車両、供給源、およびシステム内で、またはそれらと共に機能するように設計できる自己学習または訓練可能なアルゴリズムと結合されるか、またはそれによって制御され得、一定期間の監視下での動作の後、多くの環境で動作するように学習するか、または訓練され得る。
実施形態では、カメラが、供給源内またはその周囲に取り付けられ得、ビデオまたは処理された情報が、車両の内側または外側の電子機器またはユーザーに無線で送信され得る。実施形態では、カメラは、車に取り付けられ得、また、車の下に取り付けられ得る。実施形態では、カメラは、位置合わせ手順が開始されるか、または装置もしくは供給源がごく接近している場合にのみ開く自動ドアもしくはハウジングに取り付けられ得る。機械式ドアまたはハウジングは、必要に応じて開閉して、カメラのレンズおよび電子機器を道路の破片、水、泥、および同類のものから保護し得る。
実施形態では、伝送されたか、かつ/または反射された音響、マイクロ波、RF、光、および同類のものの信号が、自動的に、またはユーザーの助けを借りて、供給源および装置共振器を指定された精度の範囲内で位置合わせするために使用され得る。指定された精度は、ユーザー設定可能なパラメータであり得るか、または制御システムによって設定されるパラメータであり得る。設定可能なパラメータは、時刻、配電網上での需要、電気の費用(例えば、kW時で見積もる)、グリーンエネルギーの可用性および同類のものに応じて調整され得る。設定可能なパラメータは、設定可能なパラメータは、設定可能なパラメータは、公益事業者によって、地方機関によって、自動車会社によって、サービス会社によって、個々のユーザーによって、および同類のものによって制御され得る。
実施形態では、供給源および装置共振器の位置合わせを支援または自動化するために、様々なセンサーシステムが使用され得る。最善の位置合わせを確立するように、車両の位置を判断し、車両のオペレータまたはユーザーを導くために、音響、圧力、接触、誘導、容量、および同類のもののセンサーが、車両内または周囲に配置され得る。様々なバンパー、レーザー、ボール、笛、スクレーパー(scraper)、ひも、ベル、スピーカー、および同類のものも、適切な位置合わせの位置付けのために、ユーザーまたはオペレータに対する表示器として使用され得る。実施形態では、車両を供給源の適切な、または許容可能な制限内に誘導または位置付けるのを助けるために、任意の数の駐車案内または駐車支援装置がシステムに組み込まれ得る。
実施形態では、1つまたは複数の圧力、温度、容量、誘導、音響、赤外線、紫外線、および同類のもののセンサーが、供給源、装置、供給源ハウジング、車両、または周囲の領域に組み込まれ得、供給源と装置共振器との間の障害物ならびに無関係な物体および/または物質を検出するか、または検出する役に立ち得る。実施形態では、センサーおよび安全システムは、動き、外部からの物体、または任意のタイプの未定義のまたは異常な動作環境または構成について、供給源および装置の周囲の間隔および/または近辺を常に監視し得る。実施形態では、例えば、供給源共振器をカバーするハウジングは、供給源共振器の筐体を押す重量または力を監視する圧力センサーを含むか、またはその上に取り付けられ得る。例えば、余分な圧力または追加の検出重量は、供給源の上に放置されている無関係または望ましくない物体を示し得、無線送電システムを操作するには安全でないか、または望ましくない可能性があることを示す。センサーの出力は、無線送電システムの処理素子に結合され得、センサーが作動するか、または異常を検出すると、無線送電を停止するか、または阻むために使用され得る。実施形態では、システムおよびセンサーは、ユーザーまたはオペレータに無線送電の中断を警告するために、音響、視覚、または振動表示器に結合され得る。いくつかの実施形態では、障害物または無関係の物体が存在するか否かを判断するために、複数のセンサー、複数の検出パラメータが同時に使用され得る。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、無線送電をオフにするか、または止めるために、圧力または温度センサーなど、少なくとも2つのセンサーが作動する必要があるように構成され得る。
実施形態では、車両の権限のない使用を検出するために、盗難抑止または検出システムが、無線送電システムの様々なセンサーおよびカメラを利用する供給源および装置に組み込まれ得る。
実施形態では、供給源および装置共振器は、供給源と装置コイルとの間の送電効率の位置合わせへの依存を低減するために、寸法および形状が同一でない可能性がある。いくつかの実施形態では、供給源共振器を、供給源と装置共振器との間の所望のエネルギー伝達効率に対する位置決め公差を増加させ得る装置共振器よりも大きくすることは有益であり得る。
実施形態では、供給源および装置共振器の様々な形状が、駐車の変動に関連し得るものなど、供給源と装置とのずれの影響を低減するために使用され得る。駐車の変動には、前方および逆の変動、左右の変動、角度のオフセット(車両が斜めに駐車されている場合)、ならびに同類のものを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、供給源および装置共振器は、車両の前方および逆方向での位置合わせにおいて変動する傾向があり得る。かかる実施形態では、車両の位置的不確定要素の方向と平行な誘導ループの長軸に配向した、つまり、供給源共振器と同じ短軸長を有する正方形装置共振器と対になった、矩形供給源誘導ループの使用により、装置共振器と同じ寸法の正方形供給源共振器によって達成されたであろうよりも、供給源/装置共振器の位置の移動に応じてより良い平均効率がもたらされ得る。位置的不確定要素がその方向であれば、矩形供給源誘導ループの長軸が車両の長さに合わせられ得、左右の位置的不確定要素が予期される場合は、車両の幅に合わせられ得ることに留意されたい。側面または左右のオフセットの車両への依存を低減するための供給源および装置誘導ループの相対的形状を示す例示的な実施形態を図37に示す。この図は、供給源共振器が車の下に配置され、装置共振器が車の底面に取り付けられている場合に、上面斜視から車を見下ろした例示的な相対的形状を示す。車3702の左右のオフセット機能を向上させるため、供給源および装置を含む容量性負荷ループ共振器は、異なる寸法であり得る。供給源3704の寸法は、車の左右の寸法または軸において、装置3706の寸法よりも長い可能性がある。
実施形態では、供給源と装置との間のずれの影響が、正確な位置合わせを必要としない共振器の設計で軽減または制限され得る。実施形態では、供給源および装置共振器は、平面共振器または磁性材料のコアに巻かれた導体を含む共振器を含み得る。実施形態では、平面共振器の双極子モーメントが、車両の位置的不確定要素の寸法に垂直に配向し得る。共振器の設計は、送電効率の影響を最小限にして、共振器の双極子モーメントに垂直なずれを許し得る。
実施形態では、装置共振器およびそれらの各電力および制御回路は、車両の他の電子および制御システムおよびサブシステムとの様々なレベルの統合を有し得る。いくつかの実施形態では、電力および制御回路ならびに装置共振器は、完全に別個のモジュールまたは車両の既存のシステムと最小限に統合した筐体であり得、電力出力および制御および診断インタフェースを車両に提供する。他の実施形態では、装置共振器または共振器ハウジングの一部は、車両の本体、構造、車台、パネルに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、車両は、車両の底面のくぼんだ領域に共振器および回路組立体を収納して、コイル筐体の底面が車体の底面とぴったり重なるように構成され得る。いくつかの実施形態では、くぼんだ領域は、そのくぼんだ領域に対して、電気めっき、薄板かぶせ、噴霧、塗布、および同類のものをされ得るアルミニウム、銅、銀、および同類のものなどの高伝導性材料でさらに内側を覆われ得る。
実施形態では、装置および供給源は、能動冷却または加熱を含み得る。装置共振器および回路は、高出力用途における高温を防ぐために、車両の冷却システムに組み込まれ得る。実施形態では、装置共振器および回路は、ラジエータ、ファン、冷却液、および同類のものを備えた独自の能動冷却または加熱システムを含み得る。実施形態では、共振器ならびに電力および制御回路は、温度制御を支援するための、様々な形状、外形、突起部、放熱板、および同類のものを含み得る。
無線電力システムでは、車両電力制御システムは、ユーザーが特定の時刻について充電ステーションを予約できるようにして、他のユーザーが供給源から充電するのを防ぐ、動力装置予約システムを含み得る。風力または太陽光発電など、より環境に優しいエネルギー源を使用する特定の電源または供給源をユーザーに選択させるために、中央情報が使用され得る。
実施形態では、車両の装置共振器も電源として使用され得る。実施形態では、車両の電力が、停電中の建物または電力のない小屋に電力を供給するために使用され得る。実施形態では、車両が、電力を建設車両または仕事現場でのツールに伝送するために使用され得る。
共振器配列
実施形態では、2つ以上の小型の共振器または導体を巻き付けた2つ以上の磁性材料ブロックが、小型の共振器の物理的なサイズよりも大きいか、または磁性材料ブロックのサイズよりも大きい、有効サイズをもつ大型の共振器を形成するように配置され得る。より大きな有効サイズをもつ共振器は、より大きな距離にわたって改善された結合を有し得、より高い効率を有し得、位置的不確定要素に関して改善された不変性は、より高い電力レベル、および同類のものを伝送することが可能であり得る。小型の共振器または小型の磁性材料ブロックの配列は、製造可能性、費用、拡張性、変動性、および同類のものに関して、単一の大型の共振器に勝る利点を提供し得る。
例えば、図38Aに示す実施形態では、磁性材料ブロック3804に巻かれた導体3806を含む平面共振器は、1つの単一共振器または磁性材料の1つのブロックを使用して実施され得る。共振器は、磁性材料ブロックの横断面に実質的に等しい囲まれた領域を有するループを形成する、磁性材料の完全な幅に巻かれた導体3806を備えた、磁性材料3804の実質的に連続するブロックを含み得る。共振器は、共振器の物理的な寸法に実質的に等しい有効サイズ3802を有し得る。
別の実施形態では、平面共振器が2つ以上の小型の共振器または磁性材料ブロックの配列を用いて実施され得る。これらの小型の共振器は、磁性材料ブロックの横断面に実質的に等しい囲まれた領域を有するループを形成する導体が巻き付けられた磁性材料の小型ブロックを含み得る。図38Bの例に示すように、各々に導体3810が巻き付けられた、2つの小型の磁性材料ブロック3803が、2つの磁性材料ブロックの配列の物理的な寸法に実質的に等しい有効サイズ3802をもつ共振器を作成するために、並べて配置され得る。実施形態では、各々がブロック3812に巻かれた導体3814を含む、3つ以上の磁性材料ブロックが、磁性材料ブロックの配列の物理的寸法に実質的に等しい有効サイズ3802を有する大型の実効共振器を作成するため、図38Cおよび図38Dに示すように、2または3次元の配列に配置され得る。小型の共振器の配列は、所望の有効サイズおよび形状を有する配列を作成するような大きさにされて、配置され得、その配列は、単一の実質的に連続する磁性材料ブロックを含む共振器の代わりに使用され得る。
実施形態では、導体を巻き付けた各磁性材料ブロックは、別個の共振器として取り扱われ得、各個々のブロックのパラメータ調整のためのコンデンサまたはインダクタなどの追加の電気素子に結合され得る。他の実施形態では、磁性材料ブロックに巻き付けた導体の一部または全ては、磁性材料ブロックと導体との完全な配列を単一の共振器にするために、一緒に接続されて、コンデンサ、インダクタ、および同類のものなどの追加の電気素子に結合され得る。実施形態では、複数の小型の誘導または共振器構造が、直列に、または並列接続で、または直列および並列接続の回路網内に接続され得る。
いくつかの実施形態では、小型の共振器または導体を巻き付けた小型の磁性材料ブロックの配列は、製造可能性、費用、拡張性、変動性、および同類のものに関して、単一の大型の共振器に勝る利点を提供し得る。磁性材料は、多くの場合脆く、特に大型の共振器について、共振器の磁性材料の大きな連続する断片は、損傷および亀裂を受けやすい可能性がある。磁性材料の小型の別個のブロックは、分離、補強、パッケージ化、および同類のことを行い易いので、共振器の小型の配列は、振動および損傷に対してより耐性があり得る。同様に、導体が巻き付いた磁性材料の別個のブロックの配列を含む共振器は、よりスケーラブルまたは拡張可能であり得る。共振器配列は、用途または配備構成に応じて、共振器の有効サイズを増加または減少させるために、個別の共振器素子を追加あるいは除去するか、または磁性材料の個別のブロックを配列に追加もしくは配列から除去することによって、大型または小型にされ得る。かかる配列は、広範な共振器の有効サイズおよび形状が、複数の小型の共振器を組み立てることによって実現され得るという点において有利であり得る。そこで、単一または2〜3の標準的な共振器が、大量にストック、テスト、製造、および同類のことが行われ、無線送電システムに対して提供される、多岐にわたる共振器のサイズおよび形状をサポートするために使用され得る。
実施形態では、小型の共振器の配列または磁性材料ブロックの配列を含む共振器は、大型の、磁性材料の実質的に連続する断片を備えた共振器と実質的に同一または類似のシステムパラメータおよび無線送電特性を有し得、無線送電の性能または特性に著しい影響を与えることなく、大型の、磁性材料の実質的に連続する断片を備えた共振器を交換または置換するために使用され得る。無線送電構成の一実施形態では、供給源と装置との間の無線送電のパラメータは、装置共振器3904が単一の磁性材料の実質的に連続するブロックに巻き付けた導体として実施され(図39A)、装置共振器3904が2つの同じ大きさの磁性材料ブロックに巻き付けた2つの導体として実施され(図39B)、また、装置共振器3904が4つの同じ大きさの磁性材料ブロックに巻き付けた4つの導体として実施された(図39C)配列に対して、有限要素法モデルを使用して計算され、比較された。各装置の構成では、共振器の有効サイズが30cm×32cmで維持され、実質的に連続する磁性材料ブロックに巻き付けた導体を含む30cm×32cmの供給源共振器3902の20cm真上に位置合わせされた。図39Aの3904で示すように、装置共振器が単一の磁性材料ブロックを含む構成では、実効装置共振器の品質係数が450と計算され、供給源と装置との間の結合係数kが0.124と計算され、結果として、供給源と装置との間で96.4%の予測される無線送電効率となった。図39Bの3904で示すように、装置共振器が、導体が巻き付けられ、0.1cmの空隙で分離された、2つの小型の磁性材料ブロックを含む構成では、実効装置共振器の品質係数が437と計算され、供給源と装置との間の結合係数kが0.115と計算され、結果として、供給源と装置との間で96.2%の予測される無線送電効率となった。図39Cに示すように、装置共振器が、導体が巻き付けられ、0.2cmの空隙で分離された、4つの小型の磁性材料ブロックを含む構成では、実効装置共振器の品質係数が437と計算され、供給源と装置との間の結合係数kが0.109と計算され、結果として、供給源と装置との間で96%の予測される無線送電効率となった。
実施形態では、小型の磁性材料ブロックを含む共振器の配列のパラメータが、磁性材料、導体、および同類のものの配向、位置決め、配列、および構成によって影響され得る。重要であることが分かった一係数は、共振器と、大きな有効面積をもつ共振器を含み得る小型の磁性材料ブロックとの間の分離距離である。例えば、図40に示すような、別個の磁性材料ブロックをもつ4つの別個の小型の共振器を含む、大きな有効面積をもつ共振器を考える。図でAおよびBと示されている分離距離のサイズは、共振器のパラメータおよび無線送電効率に影響し得る。例えば、図39Cに示し、前述した構成および配向に対して、寸法Aおよび寸法Bの両方を0.2cmから2cmに変更すると、供給源から装置への無線送電効率が、96%から94.8%に低下した。
実施形態では、磁性材料ブロック間の間隙を最小限にすることが好ましくあり得、特に、共振器の双極子モーメント4002の軸と平行でない間隙に対して好ましくあり得る。実施形態では、許容可能な、または好ましい空隙のサイズは、大型の共振器の全体あるいは有効サイズ、個々の小型の共振器のサイズ、電力レベル、および同類のものによって決まり得る。実施形態では、磁性材料ブロック間の間隙が、共振器配列の有効サイズの最大サイズの10%未満であることを確実にすることは好ましくあり得る。実施形態では、磁性材料ブロック間の間隙が、共振器配列の有効サイズの最小サイズの10%未満であることを確実にすることは好ましくあり得る。
実施形態では、個別の小型の共振器または、導体を巻き付け、大型の実効共振器を含む、個別の磁性材料ブロックは、小型の磁性材料ブロックまたは小型の共振器の間のより小さい分離間隙を可能にするための特徴、形状、設計、ノッチ、および同類のものを含み得る。いくつかの実施形態では、図41に示すように、隣接する共振器間の間隙4106は、隣接する共振器の導体巻線4104を交互に配列することにより減少し得、図41Aに示すように、隣接する共振器の導体が、別の共振器の導体の隣接する巻線間に適合できるようにする。いくつかの実施形態では、図41Bに示すように、導体4104のための刻み目を生成するために、磁性材料ブロック4102が成形され得、刻み目、ノッチ、穴、および同類のもの4108を有し得て、隣接する磁性材料ブロックが共に接近し、導体4104の厚さよりも小さい可能性がある分離4106を有することが可能になる。
実施形態では、共振器間の間隙は、磁性材料ブロック、粉末、エポキシ、および同類のもので完全または部分的に充填され得る。いくつかの実施形態では、その磁性材料は、小型の共振器を含む磁性材料ブロックとは異なり得る。いくつかの実施形態では、共振器間の振動または衝撃伝達を防止または削減し得る磁性材料の柔軟体を使用することは好ましくあり得る。
実施形態では、大型の実効共振器を含む小型の磁性材料ブロックの各々は、別個の導体断片で巻かれ、別個の調整および整合回路網に結合され得る。導体の巻き付いた各磁性材料ブロックは、個別の共振器であり得、他の共振器とは無関係に、調節または調整され得る。実施形態では、各共振器または共振器のグループは、全ての共振器ならびに電力および制御回路が同一の周波数および位相または所定の周波数および位相のオフセットで動作することを確実にするために、発振器またはクロックと同期され得る別個の電力および制御回路に結合され得る。実施形態では、単一の電力および制御回路が全ての共振器に対して使用され得、供給源の場合には、振動電圧と並列接続した全ての共振器を駆動し得、または、装置の場合には、1つの電力および制御回路が、各共振器導体上の振動電圧を捕捉および変換し得る。
実施形態では、単一の導体が、共振器の磁性材料ブロックの全てまたはグループを連続して巻き付けるために使用され得る。導体は、1つの磁性材料ブロックに巻き付けられ、次いで、2番目に巻き付けられ、といった具合に、複数の磁性材料ブロック間に直列接続を提供し得る。かかる実施形態では、単一の電力および制御回路が、振動電流を有する導体に通電するために使用され得る。
実施形態では、共振器配列を含む個別の小型の共振器および磁性材料ブロックは全て、実質的に等しい寸法であり得る。他の実施形態では、磁性材料ブロックは、不均一であり得、様々な厚さまたは不規則な形状を有し得る。
実施形態では、導体で巻き付けられ、大型の実効共振器を含む、個別の小型の共振器または個別の磁性材料ブロックが全て、導体によって形成された全てのループが同軸上になるように、または導体によって形成された全てのループの軸が全て平行になるように、巻き付けられ得る。他の実施形態では、導体は、導体によって形成された全てのループの軸の全てが平行ではないように、巻き付けられ得る。いくつかの磁性材料ブロックは、導体が他の導体の他のループに垂直な軸をもつループを形成するように、巻き付けられるか、または配置され得、そして、2つ以上の方向に磁気双極子モーメントを有するか、またはその機能を有する大型の実効共振器を形成するために使用され得る。
実施形態では、小型の磁性材料ブロックの配列を含む共振器は、巻かれた導体のない、磁性材料ブロックを含み得る。
小型の磁性材料ブロックまたは小型の共振器の配列を含む共振器の実施形態では、導体は、無線送電中に、電力レベル、距離、磁場制限、および同類のものに応じて、選択的に通電されるか、またはアクティブ化され得る。実施形態では、例えば、複数の導体を包含する配列を含む供給源共振器は、低レベルの無線送電が必要とされる場合に、導体の1つまたは一部のみに通電し得、高レベルの無線送電が必要とされる場合に、導体のほとんどまたは全てに通電し得る。
実施形態では、距離または横方向オフセットを含め、供給源および装置の相対的位置に応じて、異なる導体または異なる数の導体が通電され得る。例えば、図37に示すように、供給源共振器が、装置共振器よりも大きな寸法であり得る、車両充電用途のための実施形態では、供給源共振器は、装置共振器の真下にあるブロックおよび導体のみが通電され得る、小型の磁性材料ブロックまたは小型の共振器を含み得る。かかる実施形態では、供給源および装置共振器は、最強の磁場が常に装置共振器の下の領域に限定されることを確実にしながら、より大きな横方向オフセットを許容し得る。
大型または小型にかかわらず、どの磁性材料ブロックの説明も、磁性材料の単一の巨大なブロック、タイル、構造、結晶、シート、四角形、形状、外形、および同類のものを含むか、または実質的に連続する形状を形成するために付着されているか、まとめられているか、組み立てられているか、または互いに固定されている、類似または異なるタイプの磁性材料の別個の小型のブロック、タイル、構造、結晶、シート、四角形、形状、外形、および同類のものの任意の組合わせを含み得るブロックに言及し得ることを理解されたい。
統合共振器シールド構造
無線送電のいくつかの実施形態および用途では、共振器構造を、電子装置、回路基板、金属性の物体、損失性物体、および同類のものなどの別の物体にごく接近して配置することが必要であるか、または望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、バッテリー、回路基板、損失性物体、および/または金属などの、いくつかの他のタイプの物体への近接近は、送電システムの性能に悪影響を及ぼすか、または摂動を与え得る。いくつかの物体への近接近は、送電に関与する1つまたは複数の共振器の品質係数を低下させ得るか、または2つ以上の共振器の間の結合に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、共振器によって生成された電磁場も、例えば、電子装置または回路の動作に影響を及ぼすか、または物体の加熱を引き起こすことにより、共振器の周囲の物体に影響を及ぼし得る。
実施形態では、電磁場の物体への影響ならびに物体の無線送電のパラメータまたは共振器のパラメータへの影響は、共振器と物体との間にシールド構造を導入することにより、少なくとも部分的に軽減され得る。いくつかの実施形態では、シールド構造および共振器が1つの構造に統合されて、共振器の品質係数Qへの最小限の影響および同様に外部の物体への最小限の影響で、共振器構造が物体の近くに設置または配置できるようになる。いくつかの実施形態では、統合された共振器およびシールド構造は、少なくとも1つの寸法において、各部品から別々に組み立てられた共振器およびシールドを含む構造よりも小さい可能性がある。
前述のように、平面共振器または磁性材料ブロックを備えた共振器に対して、外部の物体からの摂動に対して遮蔽する一方法は、共振器と物体との間に良導電体のシートを設置することである。例えば、図42Aに示すように、磁性材料ブロック4214およびブロック4214にぐるぐると巻き付けられた導線4216を含む平面共振器に対して、良導電体のシート4212を含むシールドが、共振器4218に隣接して位置付けることができ、導体シールド4212の下に置かれている物体の影響から共振器を少なくとも部分的に保護し、同様に、シールド4220の下に位置付けられている物体を、共振器によって生成され得る電磁場の影響から少なくとも部分的に保護する。図には共振器コンデンサが明示的に示されていないことがあるが、本明細書で説明する磁気共振器が、前述のように、空中または磁性材料ブロックに巻き付けられたいずれかの導線ループから成る誘導素子、および容量性素子を含むことは明らかであろうことに留意されたい。
図42Aに示すような導電性シールドを追加することの1つの物理的影響は、導電性シールドの反対側への「影像(image)」共振器の生成である。当業者であれば、本明細書で記述する「影像」は、完全導体に沿って電磁気境界条件を複製するために使用される影像電荷および影像法と似ていることを理解するであろう。「影像」共振器は、共振器自体内の電磁流を映す「影像」電流を有するであろう。シールドのサイズが共振器のサイズよりも無限に大きいという制約においては、実際の共振器の領域内の電磁場は、実際の共振器によって生成された場と、影像共振器によって生成された場の重ね合わせとして表現できる。いくつかの実施形態では、共振器構造にシールドを含めることの追加の有益性は、シールドが共振器構造における磁性材料の有効厚さを2倍にすることである。
シールドが平らで、大きく、共振器に近接し、かつ高伝導性である制約において、実際および影像構造の内部の導体区分(実際の共振器とその影像との間)上を流れる影像電流および実際の電流は、実質的に同じ大きさで向きが反対であり、それらが生成する電磁場は、実質的に相殺される。それ故、磁性材料の底面を横切る導線区分は、共振器の全体の場に対してほとんど寄与しない。しかし、それらの抵抗損失は、共振器Qを減少させ、それらの厚さは構造の全体の厚さを増加させる。
いくつかの実施形態では、導電性シールドは、より薄い共振器が、厚さが2倍の共振器と同様の性能を達成するために使用され得るように、平面共振器に近接して配置され得る。他の実施形態では、図42Aに示すように、薄型の共振器が、磁性材料の「底面」を横切る導線区分を移動または除去することによって、さらに薄くされ得る。前述のように、これらの導線区分は全体の場に対してほとんど寄与しないが、それらの抵抗損失は共振器Qを減少させ、それらの厚さは構造の全体の厚さを増加させる。これらの導線区分が共振器構造から移動または除去される場合、電流が誘導素子を通って共振器の磁性材料の周囲を流れることができるように、電流のための代替電気路を提供する必要がある。
シールドを維持しながら、磁性材料ブロックの下から導線区分を除去する一構造を図42Bに示す。実施形態では、電流は、残りの巻線部分を直接導体シールドに接続することにより、巻線の残りの部分に戻され得る。かかる共振器およびシールドの結合は、新しく統合されたシールドおよび残りの巻線における電流分布が、導体シールドが分離される構成内と実質的に同じであるという条件で、シールドに電気的に接続されていないが、連続的な巻付け配線を使用する、同等な共振器よりも高いQを有し得る。いくつかの実施形態では、統合共振器シールド構造における同一の電流分布が、各導線区分内の電流を個別に駆動または制御することにより達成され得る。他の実施形態では、電流分布は、以下に示すように、シールドを最適化された個別の導体区分に分割することによって達成され得る。
実施形態では、シールドを共振器の一部として明示的に組み込み、シールド機能を有していない共振器の他の部分に直接接続されている電流を搬送するために導体シールドを使用することは好都合であり得る。統合共振器シールド構造は、シールドで生成される影像電流の抵抗損失を除外し得、別個のシールドおよび共振器を使用する構造に比べて、さらに高い品質係数を有し得る。
統合共振器シールド構造の誘導部分の例示的な実施形態を図42Bに示し、導体シート4222、磁性材料ブロック4202、および導線区分4210を含む。磁性材料ブロック4202は、導体シート4222の上に位置付けられ、そのコアは、導線区分4210によって部分的に巻き付けられている。導線区分4210の端部は、磁性材料ブロックによって覆われていない導体シールドの反対側に接続される。言い換えれば、導線区分は、磁性材料ブロックに部分的にのみ巻き付けられる。つまり、導線区分は、磁性材料のコアに完全には巻き付けられず、むしろ、電気回路を完結するために、シールドまたはシールドの部分に接続される。図28Bでは、導線区分は、磁性材料ブロックの上面および両方の側面に巻き付けられている。導線区分は、導線区分の2つの端部間の電気的な接続を完結するために使用される導体シールドに接続する。実施形態では、導体シールドは、一部分において、導線区分のための電流路として機能する。
いくつかの実施形態では、統合共振器の巻線部分およびシールドにおける全体的な電流分布が、冗長電流の主な原因となった後でさえ、別々の共振器およびシールドのそれと実質的に異なり得る。この差は、例えば、巻線の残りの部分がシールドに(例えば、はんだ付けにより)簡単に接続されている場合に生じ得、その場合、別々の巻線が全てシールドと並列接続され、また、追加の電気制御が各導線区分に対して追加されなければ、電流は、最低のインピーダンスを示す巻線のそれらの部分で優先的に流れるであろう。かかる電流分布は、全ての用途に対しては適していない可能性がある。例えば、かかる電流分布は、損失を最小限にし、かつ/または性能を最適化するものではない可能性がある。
統合共振器シールド構造の一代替実施形態は、連続導体シールドを別個の電気的に絶縁された導体区分に分割することである。図42Cでは、統合共振器シールド構造は、導線区分の間の電気的接続を形成し、1つの連続的な伝導路を作成する、異なる導線区分4210、4214の端部に接続する、別個の絶縁された導体区分4202、4212、などに分割または分離される導体シールド4208を含む。最終結果は、導体シールドの電気的に絶縁された部分で交互に行われる導線区分の直列接続である。
統合共振器シールド構造の一実施形態の上面、側面、正面、および分解図を、それぞれ図43A、図43B、図43C、および図44に示す。統合共振器シールド構造は、導線区分4210、4214の端部に接続されている複数の絶縁された導体区分または経路4202、4212に分割される導体シールドを有し、導線区分は、次いで、磁性材料ブロックに部分的に巻き付けられるか、むしろ、導線区分は磁性材料の一部をカバーするように経路が定められる。図43Cの共振器の正面図から分かるように、導線区分4210は、磁性材料4204のコアに完全には巻き付いておらず、導体シールド4208の異なる部分に接続された導線区分4210の端部で部分的に巻いているだけである。
実施形態では、導体シールドが、複数の区分に分割され、結果として導線区分の各々またはいくつかが直列に接続されるように、そのシールド区分が導線区分の端部に接続するように、成形され得る。導線区分を直列に接続するように成形および構成された区分を有する例示的な導体シールドを図43Aに示す。導体シールド4208の各区分4202、4212は、2つの異なる導線区分の端部4210に接続するように成形される。この構成では、例えば、個々のシールド区分および導線区分は直列に接続されて、磁性材料4204のコアに上から下へ部分的に巻き付き、かつ、シールドの平面内の磁性材料ブロックに部分的に巻き付く、1つの連続的な導体を生成する。例えば、図43Aに示す実施形態に対して、有効導体は、1つの導線区分4306から始まり、磁性材料ブロック4204上の導線区分と、磁性材料ブロック4204の周囲に経路を定められた導体シールド4208の区分とを交番する。第1の導線区分4306は、磁性材料ブロック4204を越えて経路を定められ、導体シールド区分4310に接続し、それは、同様に、磁性材料を越えて経路を定められ、別の導体区分4314に接続する別の導線区分4312に接続し、導線区分と導体シールド区分との交番パターンが、導体シールド4308の最後の導体区分まで繰り返される。導体シールド上の区分と磁性材料のコア上の導線区分を結合すると、連続的な有効導体、したがって、振動磁場を介して無線電力を伝送または捕捉するために使用され得る、統合シールドを備えた磁気共振器が作成される。実施形態では、導線区分は、単線、リッツ線、より線、および同類のものなどの、任意のタイプのワイヤーを含み得る。別の実施形態では、導線区分は、PCBまたはフレックス回路配線、導体ストラップ、細長片、チューブ、テープ、インク、ジェル、ペンキ、および同類のものを含み得る。
図43Aに示す構造は、例えば、有効導体の2つの端部4306、4308を少なくとも1つのコンデンサおよび振動電圧電源に結合することにより、供給源磁気共振器として使用され得る。有効導体内の振動電流は、共振器シールド構造4304の下に置かれ得る損失性物体に対してシールドを提供しながら、導体シールド4208と実質的に平行である振動磁場を生成するであろう。さらに、生成される場は、特定の結合シナリオ下で、磁性材料ブロックの実際の寸法tの2倍の厚さの磁性材料ブロックを備えた共振器によって生成されているかのように見え得る。
実施形態では、有効導体が外部電源または外部の振動磁場によって励起される場合に、導線区分内の電流が実質的に同じ方向に流れるように、導線区分および導体シールドの区分を接続することは好ましくあり得る。例えば、図43Aに示す実施形態に対して、有効導体が導体端部またはリード線4308、4306を介して通電される場合に、全ての個々の導線区分4210などの中の全ての電流が同じ方向に流れるように、導線区分が接続されるが、このときの方向は、有効導体上の誘導電圧の極性によって決まる。導線区分内で同一方向に流れる電流は、最強の磁場を生成し得る。
実施形態では、シールド区分内の電流が、共振器の中心線4310の上または下にあるシールド区分に対して反対方向に流れるように、導体シールドの区分を接続および配置することは好ましくあり得る。例えば、図43Aに示す実施形態に対して、有効導体が端部4308、4306で通電される場合に、導体シールド4208の導体区分4202、4212において、共振器の中心線4310の上の電流が、共振器の中心線4310の下の電流とは逆の回転で流れるように、導体シールドの導体区分が接続される。つまり、中心線より上の導体区分内の電流が実質的に時計回りの方向に流れる場合、中心線より下の電流は、実質的に反時計回りの方向に流れるはずである。導体シールドの上および下の部分の逆に流れる電流は、共振器のそれぞれの部分によって生成される磁場を、互いに強化するか、または、共振器の双極子モーメントを導体シールドに平行な平面に向かって強化する同じ方向を指すように管理し得る。
実施形態では、統合構造に対して結果として生じる電流分布が、少なくとも、別々の共振器およびシールドを含む元のシステムと同様に(結果として生じる品質係数、シールドにおける有効性、別の共振器への結合、および同類のものによって定義されるように)実行され得るように、導体シールド区分を生成する統合シールドの分割が、自己矛盾なく行われ得る。
実施形態では、導体シールド上の区分の形状および分散は、シールドの各区分内、各導体巻線区分内、または結合した区分のセクション内の電流を均一にするように設計され得る。導体シールドを成形および分割し、各シールド区分が実質的に等しい電流を搬送するようにシールド区分を成形することは好ましくあり得る。かかる分散は、例えば、近接損失を減少させ得る。シールド区分の成形は、しばしば、それらが磁性材料に一番近いときにより狭いかまたは細くなり、また、遠いときにより厚いかまたは広くなるように行われ、いくつかの実施形態では、等しい電流に応じて導体区分の全てを駆動することから生じる分布が、統合されていない共振器シールド構造内の共振器に近接して配置されている固体シールドにおける電流分布に最も近いので、好ましくあり得る。
パターンの一般的特性は、例えば、図43Aに示す実施形態におけるシールド区分形状に見られ得る。この図では、導体区分4212、4202は、区分が磁性材料ブロック4204から遠ければ遠いほど、導体シールド4208のより広い領域に及ぶか、または広がる。統合されていない共振器シールド構造では、導体シールド内で誘導される実効電流は、磁性材料ブロック4204により近い領域で増加する。図43Aに示すようにシールド区分を成形すると、分割されたシールドをもつ統合構造において実質的に同様な電流分布を強制する。
実施形態では、導体シールドは、磁性材料ブロックの下にまで延在する必要はない。実施形態では、磁性材料ブロックの下の領域は、共振器の動作中、実質的に磁場がない可能性がある。実施形態では、導体シールドは、磁性材料ブロックの下に(そうしなければ、磁性材料ブロックと導体シールドが重なり合い得る領域に)穴またはカットアウトを有し得る。実施形態では、このシールド材料を除去すると、共振器構造がより軽くなるか、または作成費用がより安くなり得る。例えば、図44は、導体シールドの領域内にカットアウトまたは穴4402をもつ導体シールド4208を含む、統合共振器シールド構造の実施形態の分解図を示し、それがなければ、導体シールドは、組立構造内で磁性材料ブロック4204と重なり合う。
実施形態では、シールドの有効サイズが、共振器の磁性材料ブロックまたは誘導部分の寸法よりも大きい可能性がある。導体シールドの正確な寸法は、用途によって異なり得る。例えば、携帯電話または他の携帯用電子機器などの小型装置用に設計された共振器では、導体シールドが、各方向に磁性材料ブロックの長さの少なくとも15〜20%まで広がることを確実にすることは、好ましくあり得る。このシールドの拡張は、携帯電話または他の携帯用電子機器内の損失性材料からの追加の遮蔽を提供し得る。磁性材料に関してシールドのサイズは、そのシールドが効果があることを意図されている物体のタイプおよびサイズに応じて決まり得る。導体シールドのサイズは、例えば、シールドの背後の物体または材料があまり損失の多くない場合は、削減され得る。しかし、共振器が非常に損失の多い鋼の平面上に置かれ得る実施形態では、鋼における損失を最小限にするためにシールドはより大きくされることが好ましくあり得、シールドは、磁性材料ブロックの寸法よりも30%以上大きい寸法を有し得る。
実施形態では、分割されたシールドは、機械加工、電気めっき、電着塗装、エッチング加工、塗装、パターニング、および同類のものを含む、任意の数の製造技術によって、また、リジッドおよびフレキシブルプリント、蒸着、エッチング加工、および同類のものの回路基板技術によって、製造され得る。導体シールド上の個々の区分は、単一の断片の導体を機械加工することによって形成され得る。実施形態では、シールド区分間の分離には、追加の分離または絶縁スペース、層もしくは材料を含み得る。かかる追加の分離は、区分間の電気的遮蔽を改善し得、2つの隣接する導体配線間のアーク放電を防ぎ得る。
実施形態では、導体シールドは、絶縁体によって分離された複数の導体の層にさらに分割され得る。層状シールドは、前の節で説明したように、動作周波数における表皮厚さの影響によって設定された制限を越えて電流が流れる導体の横断面を増加するために使用され得る。実施形態では、層状シールドは、導体区分の交流抵抗を低減し、構造の品質係数を向上し得る。層状シールドは、薄くて小型の構造内で実質的に互いに直交配向の双極子モーメントを有する統合共振器シールド構造を達成するためにも使用され得る。かかる構造は、磁性材料ブロックの上に互いに直交する導線区分を含み得る。シールド区分の各層は、それ自体が、シールド内の電流密度プロファイルに対して追加の制御を提供し得る、導体のより狭いトラックにさらに分割され得、構造の性能をさらに向上させ得る。
実施形態では、導体シールドの区分は、磁性材料ブロックに部分的に巻かれた導線区分の直列接続を提供するように形成および配置され得る。例えば、図43Aに示す実施形態では、シールド区分4212、4202が、共振器の中心線4310に関して非対称である。各シールド配線は、2つの異なる導線区分4210の端部に接続するように成形されて、導線区分が中心線4310に関して対称形のパターンに配置できるようになる。かかる配置は、より単純な導線設計を可能にし得るので、いくつかの構成に対しては有利であり得る。磁性材料ブロックに部分的に巻かれた導線は、すべて平行、かつ共振器構造に対して直角である。他の実施形態では、シールド区分は、導体シールドの中心線に関して、完全にまたは部分的に対称であり得、磁心の上に部分的に巻き付いた導線区分が、異なるシールド区分の2つの端部に接続するように、配置されることを必要とする。例えば、図45Aに示す実施形態では、導体シールド4502のシールド区分4506、4510は、共振器の中心線4504に関して対称である。導体区分の直列接続は、磁性材料ブロック4204に部分的に巻かれた導線区分4508の非対称の配置、または対角配置によって提供される。いくつかの実施形態では、非対称または対称のシールド区分および非対称または対称の導線区分経路指定の組合わせが、共振器の所望の特性に応じて、直列または並列接続で一部または全ての導体を接続するために使用され得る。例えば、共振器内に大きな電流が存在し得るいくつかの高出力構成に対して、導体における損失を減少させるために、導線区分の少なくともいくつかが並列接続で接続される配列を使用することは有利であり得る。
実施形態では、磁性材料ブロックに部分的に巻かれた導線区分は、単一の線またはリッツ線などの編組線で構成され得る。実施形態では、導線は、フレックス回路もしくは配線またはプリント回路もしくは配線で構成され得、磁性材料ブロックの上に折り重なるように成形され得、導体シールドの導体区分と電気的に接続するために適切な接触または付着を有し得る。例えば、図45Bは、プリント基板、フレックス回路、および同類のものであり得る単一部品4514に導線区分が統合されている提示的な実施形態を示し、磁性材料ブロック4204の上に折り重なり、導体シールド4502の導体区分と適切に電気接触をし得るために形成される。
実施形態では、シールドおよび導線区分が、同一のプロセスで製作され得、製造コストを削減しながら、再現性および性能を潜在的に向上させる。実施形態では、統合シールドおよび導線区分構造は、フレキシブルPCBとして製作され得、共振器構造は、統合シールドおよび巻線内に磁性材料ブロックを単に挿入することにより完成され得、次いで、結果として生じる構造を適切な回路に接続する。図48Bに示す例示的な実施形態では、導体区分を有する導体シールド4614(図示せず)および個別の導体区分を含む導線区分4612(図示せず)の完全な構造は、導線区分4612が、磁性材料ブロックの配置を容易にするか、またはサポートするために、曲げられているか、または成形されている1枚のプリント基板であり得る。
実施形態では、共振器の支持回路の一部または全てが、統合共振器シールド構造の導体シールドと同じプリント基板上に製作され得る。例えば、プリント基板の一面が、導体シールドのプリント導体配線を有し得、他方、他の面が電子部品およびプリント配線を有し得、共振器用の電力および制御回路を含むために使用され得る。
実施形態では、磁性材料ブロックは、中空であり得るか、または有効磁場もしくは共振器が最小限である導体シールドに面する側面に空洞部を有し得る。磁性材料内の空洞部は、共振器への電力供給および制御のために使用される増幅器または整流器などの電気または電子機器を収納するために使用され得る。電子機器は、共振器の特性およびパラメータに著しく影響を及ぼすことなく、また、同様に、共振器の磁場によって著しく影響を受けることなく、空洞部内に配置され得る。例えば、図46Aは、底部側4608または磁性材料4602の導体シールド4502に面する側面が、部品または電子装置が配置され得る空洞部4604を有するように成形されている例示的な統合共振器シールド構造を示す。部品の空洞部4604への配置は、統合共振器シールド構造に対して、共振器構造の高さまたは厚さに対して最小限の影響または影響を与えることなく、磁性材料およびシールドの下に設計された電力および制御回路を提供し得る。いくつかの実施形態では、アンテナまたは同類のものが空洞部内に配置され得、磁性材料が実質的に透過的であるか、または少なくとも実効シールドではない周波数で操作され得る。かかる実施形態では、アンテナは、共振器の存在からほとんど減衰を被ることはない。
実施形態では、統合共振器シールド構造の導体シールドは、生成した磁場または共振器の影響を強化、改善、または変更するために、追加の屈曲、カーブ、フラップ、および同類のものを有し得る。統合共振器シールド構造の導体シールドは、別々の共振器および導体シールドを含む設計に対して本明細書で説明した、いずれかの屈曲、カーブ、フラップ、および同類のものを有し得る。例えば、導体シールド2802がフラップ2804を有するように成形されている図28Aに示す導体シールドと同様に、統合共振器シールド構造の導体シールドは、磁性材料ブロックに向かって延在するフラップを含むように成形され得、それは、より大きいサイズの導体シールドを必要とすることなく、統合シールドの有効サイズを増加し得る。
実施形態では、統合共振器シールド構造の設計は、特定の用途に対して必要とされ得る、特定の構成、電力レベル、周波数、配向、環境、および同類のもので動作するよう、一定の大きさに作られ、変更され、構成され得る。導線区分の数、導体シールド上の別個の導体区分の数、ワイヤーのゲージ、導体シールドの厚さ、磁性材料の厚さ、シールドの寸法、および同類のものは全て、特定の設計要件を満足するように変更または操作され得る。
実施形態では、統合共振器シールド構造は、2つ以上の磁気双極子モーメントを有する構造に変更または拡張され得る。磁性材料ブロックは、導体シールドの区分を導線区分に直列または並列または切替え型構成で接続するように配置して、導線区分で、直交方向または非平行方向に部分的に巻かれ得る。例えば、2つの直交する双極子モーメントを有する統合共振器シールド構造の例示的な実施形態を図47に示す。実施形態では、4つの突起部4708をもつ磁性材料ブロック4704は、磁性材料ブロック4704の周囲に延在し、構造の導体シールド4702の導体区分4710に接続する導線区分4706で部分的に巻かれている。シールド区分4710は、導線区分4706に直列、並列で接続するように成形され得るか、または異なる双極子モーメントが個別に励起できるようにスイッチを含み得る。構造は、磁性材料ブロックに直交方向に巻かれた導線区分を有し、各々が導体シールドの表面に平行な2つの直交する磁気双極子モーメントを生成することが可能である。導体シールドの区分は、構造4712の下に配置され得る摂動物体から共振器を遮断するために使用される統合されていないシールドに関連する損失を除去しながら、連続電流路を提供する。
医療および手術の用途
無線送電は、病院および手術室で使用され得る。患者の監視、薬物の投与、医療処置の実施、管理および医療記録の維持、ならびに同類のことを行うために、数多くの電気および電子機器が病院内および手術室で使用される。電気および電子機器は、頻繁に、移動され、再配置され、患者と共に移動され、または患者に取り付けられる。頻繁な移動は、装置への電力供給に関連した問題となり得る。頻繁に移動および再配置される機器および電子装置は、もつれたり、汚れたり、プラグが抜けたりするケーブルに起因し、つまずき危険、および同類のこととなる、電力ケーブルの危険および問題を生じ得る。一定期間直接の電気接続なしで動作可能なバッテリーバックアップを備えた装置は、頻繁な再充電またはプラグの差込み、および装置を使用または再配置するたびにコンセントからのプラグの抜取りを必要とする。無線送電は、病院および手術室環境における従来型の有線接続の問題および危険を除去するために使用され得る。
無線送電は、手術用ロボット、機器、センサー、および同類のものに電力供給するために使用され得る。多くの医療処置および外科手術は、医療処置または手術を実行または支援するためにロボットまたはロボット設備を利用する。無線送電は、ロボット設備、その設備の一部、またはその設備によって操作される器具もしくはツールに送電するために使用され得、それは、潜在的に危険で厄介なシステムの配線を削減し得る。
無線送電を利用する手術用ロボットの一構成例を図48に示す。この図は、手術用ロボット4806および手術用ベッド4804を示す。いくつかの実施形態では、手術用ロボットは、操作またはそのバッテリーもしくはエネルギー貯蔵システムの再充電のために、電力を無線で受信し得る。受信した電力は、システムまたは、モーター、コントローラ、および同類のものなどの部品に、従来型の有線方法で供給され得る。手術用ロボットは、供給源によって生成された振動磁気エネルギーを捕捉するために、その基部4816、首状部4802、種構造4804、および同類のもの内に装置共振器を有し得る。いくつかの実施形態では、ロボットは、手術用ベッドに統合されているか、取り付けられているか、または隣接している供給源4814から無線で電力供給され得る。
いくつかの実施形態では、供給源共振器または装置共振器は、図49に示すように、関節動作式アーム、つまり移動または構成可能な延長部に取り付けられ得る。アームつまり移動延長部4902は、十分なレベルの電力がロボットに供給されることを確実にするために供給源または装置を再配置するため、ロボットの位置の変化、電力需要、または無線送電効率に対応するように構成され得る。いくつかの実施形態では、移動可能な供給源または装置は、オペレータによって手動で移動され得るか、または自動化もしくはコンピュータ化されて、供給源と装置との間の特定の分離範囲もしくは配向に合わせるか、もしくは維持するように構成され得る。
実施形態では、移動可能アームつまり延長部は、供給源と装置との間に位置のオフセット、不一致、横方向オフセット、または高さのオフセットがあり得る状況または構成で使用され得る。実施形態では、供給源または装置共振器を収納するか、または位置付けるために使用される移動可能アームは、コンピュータ制御され得、また、最良の送電効率を獲得するために自律的に自身を位置付け得る。例えば、アームは、最も効率的な構成または位置を走査して、あらゆる方向に移動し得、その位置および位置合わせを微調整するために、学習または他のアルゴリズムを使用し得る。実施形態では、コントローラは、最良または最高のインピーダンス、電力、効率、電圧、電流、品質係数、結合率、結合係数測定、および同類のものを調整するか、または探し求めようとして、センサーから任意の数の測定値を使用し得る。
他の実施形態では、手術用ロボットは、ロボットによって操作されるか、またはロボットに組み込まれている、ロボットのモーター、センサー、ツール、回路、装置、またはシステムに電力を供給するために無線送電を使用し得る。例えば、多くの手術用ロボットは、多自由度の動きをする複雑な付加物を有し得る。ワイヤーのかさ高性、不撓性、または不信頼性のために、付加物の様々な接合部または可動部品に沿って、またはそれを介して電力を供給することは困難であり得る。
同様に、処置に必要な様々なツールまたは器具への電力供給は、体液の存在下での電力接続およびコネクタのせいで、信頼性および安全性の問題を引き起こす。手術用ロボットは、付加物の移動または、ロボットが操作する、患者の内部もしくは外部にあり得る、ツール、カメラ、および同類のものへの電力供給を可能にするために、モーター、電子機器、または装置に電力を供給するため、付加物またはツール内に配置されている1つまたは複数の供給源共振器4802および1つまたは複数の装置共振器4810、4812を利用し得る。電力は、付加物の関節接合または回転に関係なくワイヤーを必要とせずに無線で伝送され得、付加物の関節接合能力の程度を向上させ得る。いくつかの実施形態では、供給源は、ロボットに統合され、独自の電力を無線でまたは有線接続で受信し得るロボットによって電力供給され得る。いくつかの実施形態では、付加物およびツールに電力供給する供給源が、手術用ベッドの上、ベッドの下、または患者に隣接して取り付けられ得る。
当業者は、説明し、図に示すシステムは、特定の例示的な実施例であり、システムは、様々な形状および機能、ツール、ならびに同類のものから成る、多くの異なるロボット装置のうちの任意の1つを利用し得ることを理解するであろう。同様に、供給源は、用途およびロボットの使用に応じて、任意の数の様々な寸法の物体に取り付けられ得る。供給源は、図48に示すように、手術室のベッドまたは台に取り付けられ得る。他の実施形態では、供給源は、床、壁、天井、他の装置、および同類のものに取り付けられ得る。
無線送電は、IVまたは薬物送達ラックまたはコンピュータ台などの移動可能器具に対して電力供給または再充電するために使用され得る。かかる台またはラックは、頻繁に、一時的に別の場所に移動され、または患者と一緒にあちこち移動される。これらのラックに取り付けられた電子装置は、多くの場合バッテリーバックアップを有し、それらが移動または再配置できて、機能を維持できるように、一定期間、直接の電気接続なしでそれらを動作可能にする。しかし、従来型のラックは、移動または再配置されるごとに、再充電または電力供給のために、コンセントからプラグを抜いたり、コンセントに差し込んだりする必要があり、ケーブルが損傷し、または他のケーブルとからまるのを解く必要がある。
従来型の移動可能な有線薬物送達、患者監視、またはコンピュータラックに伴う問題は、無線送電システムをそれらの装置に統合することにより克服され得る。例えば、薬物送達ラックおよびコンピュータラックの実施形態例を図50に示す。装置共振器5008、5006ならびに電力および制御回路が、ラックの基部もしくは本体または支持構造に組み込まれるか、または取り付けられて、床、壁、充電ステーション、または他の物体に取り付けられた供給源共振器からの無線送電を可能にする。充電または電力供給されるため、ラック5002または台5014は、供給源に近接して、供給源の1メートルの距離範囲内に、または供給源の1フィートの分離範囲内に位置付けられ得る。無線送電可能なラックおよび電気機器は、プラグの抜き差し、またはケーブル管理を必要としない。無線送電可能なラックおよび電気機器は、ラックまたは電気機器を部屋の特定領域または供給源に近接して位置付けることにより、電力供給され得る。この構成では、例えば、患者を測定または診断するために短期間だけ使用され得る装置またはラックは、機器の正確な位置付けまたはプラグの抜き差しを必要とすることなく、充電場所から、測定を行うために患者の近くのどこにでも移動させ、そして、充電位置に戻され得る。
本発明は特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、他の実施形態も当業者には理解され、本開示の範囲に含まれることを意図し、それは、法で許される最も広い意味で解釈される。
本明細書で参照する全ての文書は、本明細書で完全に規定されているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。