JP2013522399A - バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法 - Google Patents

バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013522399A
JP2013522399A JP2012557407A JP2012557407A JP2013522399A JP 2013522399 A JP2013522399 A JP 2013522399A JP 2012557407 A JP2012557407 A JP 2012557407A JP 2012557407 A JP2012557407 A JP 2012557407A JP 2013522399 A JP2013522399 A JP 2013522399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bnc
bacterial cellulose
cellulose
phase
bacterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012557407A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013522399A5 (ja
JP5975221B2 (ja
Inventor
ヘスラー,ナディーネ
スルタノワ,バルノ
クレムン,ディーター
Original Assignee
フリードリヒ−シラー−ユニバーシタット イエナ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フリードリヒ−シラー−ユニバーシタット イエナ filed Critical フリードリヒ−シラー−ユニバーシタット イエナ
Publication of JP2013522399A publication Critical patent/JP2013522399A/ja
Publication of JP2013522399A5 publication Critical patent/JP2013522399A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5975221B2 publication Critical patent/JP5975221B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B15/00Preparation of other cellulose derivatives or modified cellulose, e.g. complexes
    • C08B15/10Crosslinking of cellulose
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/40Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material
    • A61L27/44Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material having a macromolecular matrix
    • A61L27/48Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material having a macromolecular matrix with macromolecular fillers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/04Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2400/00Materials characterised by their function or physical properties
    • A61L2400/12Nanosized materials, e.g. nanofibres, nanoparticles, nanowires, nanotubes; Nanostructured surfaces
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31971Of carbohydrate
    • Y10T428/31975Of cellulosic next to another carbohydrate
    • Y10T428/31978Cellulosic next to another cellulosic

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

本発明の課題は、添加物や複合材料生成を必要とせずに、バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料を提供し、それらのBNC特性に所定の影響を与えることにある。本発明によれば、数種の異なるセルロース産生バクテリア株から成るバクテリア合成ナノセルロースは、均一相(2)及び/又は層状相(3)から成る数種類のバクテリアセルロース網目構造に合成される。本発明のBNC材料は、その構造と材料特性が非常に多目的に規定できるため、医療分野や工業技術分野、食品分野等、広範な応用に適している。
【選択図】図2

Description

本発明はバクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法に関する。
本発明のBNC材料は、その構造と材料特性が非常に多くの目的に合わせて規定できるため、医療分野(創傷被覆材、種々のインプラント)や工業技術分野(膜、箔、バリア層)、食品分野(ノンカロリー食品、包装)等、広範な応用に適している。
更に、本発明のBNC材料の構造と特性は、望ましくない添加物を必要とせず、また合成の際に添加物と共に生成する複合材料を経由することなく、用途に合わせて変更することができる。これら特性としては、特に機械的強度、弾力性、透明度及び水分収支(特に乾燥後のある程度から完全な再膨潤の能力)、所謂フィルター/膜機能(浸透性)及び足場材料特性(細孔系、表面特徴、細胞による定着)、更にバイオコンパティビリティ(生体適合性、内皮化、生体固有細胞の移入、持続的な生体への統合)が挙げられる。
バクテリア合成ナノセルロース(BNC)に基づく均質生体材料又は多相生体材料を修飾する手法としては、該材料を合成後に変化させること(ポスト修飾)が一般に知られている(K.Y.リー、J.J.ブレイカー、A.ビスマーク、「改善された特性を有するグリーンなポリラクチドナノ複合材料の製造ルートとしてのバクテリアセルロースの表面官能化」、コンポジットサイエンスアンドテクノロジー(2009年)、69(15〜16)号、2724〜2733ページ;D.クレム、D.シューマン、F.クラーマー、N.ヘスラー、M.ホーヌング、H.P.シュマウダー、S.マルシュ、「研究と応用における革新的ポリマーとしてのナノセルロース」、アドヴァンスインポリマーサイエンス(2006年)、205号(多糖類II)、49〜96ページ)。
これに対し、バイオテクノロジー培養プロセスに基づく合成時にin situ修飾を行うこともできる(H.ワン、F.グアン、X.マ、S.レン、「修飾バクテリアセルロースの製造と性能の測定」、食品科技(2009年)、(5)号、28〜31ページ;N.ヘスラー、D.クレム、「ポリエチレングリコール及び炭水化物を添加物とするin situ改質によるバクテリアナノセルロース構造の改変」、セルロース(オランダ・ドルトレヒト)(2009年)、16(5)号、899〜910ページ;D.クレム、D.シューマン、F.クラーマー、N.ヘスラー、M.ホーヌング、H.P.シュマウダー、S.マルシュ、「研究と応用における革新的ポリマーとしてのナノセルロース」、アドヴァンスインポリマーサイエンス(2006年)、205号(多糖類II)、49〜96ページ)。
in situ修飾の場合、生合成中に種々の添加物が培地に添加される(例えば、M.ザイフェルト、「アセトバクター・キシリナムの培養における培地の組成によるバクテリアセルロースの構造の修飾」、博士論文、フリードリッヒ・シラー大学、イェーナ、2004年;O.M.アストレイ、E.シャンリオ、A.M.ドナルド、M.J.ギドレイ、「水和状態におけるアセトバクター・セルロース複合材料の構造」、インターナショナルジャーナル・オブ・バイオロジカル・マクロモレキュールズ(2001年)、29/3号、193〜202ページ;N.サカイリ、H.アサノ、M.オガワ、N.ニシ、S.トクラ、「アセトバクター・キシリナムの連続培養中にバクテリアセルロースフィラメントを直接採取する方法」、カーボハイドレートポリマー(1998年)、35/3〜4号、233〜7ページ;C.H.ヘイグラー、A.R.ホワイト、R.M.ブラウン・ジュニア、K.M.クーパー、「カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体によるin vivoでのセルロースリボンの集積の変化」、J.セルバイオロジー(1982年)、94号、64〜9ページ)。
カルボキシメチルセルロース(CMC)及びメチルセルロース(MC)を添加するとBNC網目構造に大きな影響が及ぼされることが開示されている。
これら両添加物が網目構造に保持されていると、細孔系に影響が及び、弾力性、吸水性、保水性、フィルター機能等、諸特性も変化する。この結果、新種のBNC材料が得られる(O.M.アストレイ、E.シャンリオ、A.M.ドナルド、M.J.ギドレイ、「水和状態におけるアセトバクター・セルロース複合材料の構造」、インターナショナルジャーナル・オブ・バイオロジカル・マクロモレキュールズ(2001年)、29/3号、193〜202ページ;N.サカイリ、H.アサノ、M.オガワ、N.ニシ、S.トクラ、「アセトバクター・キシリナムの連続培養中にバクテリアセルロースフィラメントを直接採取する方法」、カーボハイドレートポリマー(1998年)、35/3〜4号、233〜7ページ;C.H.ヘイグラー、A.R.ホワイト、R.M.ブラウン・ジュニア、K.M.クーパー、「カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体によるin vivoでのセルロースリボンの集積の変化」、J.セルバイオロジー(1982年)、94号、64〜9ページ)。
更に、一研究においては、BNCの生合成中に培地に植物細胞の細胞壁に由来する成分、例えばキシログルカンやペクチンを添加することで、天然セルロースとの構造相関を模倣した修飾BNCの生成が詳細に分析された(J.サイブルスカ、E.ファンストレールス、Q.T.ホ、C.M.カーティン、V.ファン・クレイフェルト、B.ニコライ、A.ズダネック、K.コンスタンキーヴィッツ、「人工細胞壁の機械的性質」、ジャーナル・オブ・フードエンジニアリング(2009年)、96(2)号、287〜294ページ)。
固形物は水溶性化合物とは異なり、生合成中でも添加物として培地に添加することができ、形成されたBNC網目構造に取り込まれる。
ウトハルトは、BNC網目構造へのガラス粒子の取り込み又はBNC網目構造へのシリカゲル及び無機塩(炭酸カルシウム)の取り込みを報告している(U.ウトハルト、「顕微外科においてBASYC(登録商標)インプラントとして応用する可能性を有するバクテリアセルロースの合成、特性及び構造設計」、博士論文、フリードリッヒ・シラー大学、イェーナ、2004年)。セラフィカらは特に金属(アルミニウム)粒子又は金属酸化物(酸化鉄)粒子のBNC網目構造への統合を述べている(G.セラフィカ、R.モルミノ、H.バンゲイ、「バクテリアセルロース中の固体粒子のインクルージョン」、アプライド・マイクロビオロジー・アンド・バイオテクノロジー(2002年)、58/6号、756〜60ページ)。
これらin situ法においては、添加物を用いてBNCベースの新しい生体材料を作出していることが問題となっている。
このように、構造及びこれに関連する特性の制御する際は、水溶性有機物質又はポリマー、水溶性無機物質又はポリマーと固形物質粒子とが用いられてきた。また、医薬品として使用した場合、添加物が保持されているBNCに対してアレルギー反応を誘起するリスクが生じる。
ポスト修飾の場合は、培養後に有機物質又は無機物質を導入することによりBNCを修飾することができ、また、修飾BNCの均質材料又は多相材料を製造することができる(B.R.エヴァンズ、H.オネイル、M.ヒュー、V.P.マリヴァン、I.リー、J.ウッドワード、「燃料電池用パラジウム・バクテリアセルロース膜」、バイオセンサー・アンド・バイオエレクトロニクス(2003年)、18/7号、917〜23ページ;B.R.エヴァンズ、H.M.オネイル、E.グリーンバウム、「多糖類複合材料に固定化された酵素及び光合成タンパク質による電子伝達」、要約、アメリカ化学会第57回南東部/第61回南西部合同地区大会、アメリカ合衆国テネシー州メンフィス、2005年11月1〜4日;W.A.ダウド、J.H.シン、Y.H.ツァン、「二酸化チタンナノ粒子を用いたセルロース繊維の表面官能化とそれらを組み合わせた殺菌活性」、サーフェスサイエンス(2005年)、599(1〜3)号、69〜75ページ;D.ツァン、L.チー、「バクテリアセルロース膜をテンプレートとするアナターゼナノワイヤからなるメソ細孔性チタニア網目構造の合成」、Chem.Commn.(2005年)、21号、2735〜7ページ)。
種々のBNC修飾体がポスト修飾により製造されている。例えば、種々のタイプのモノマーや合成ポリマー(H.ヤノ、S.ナカハラ、「ナノメータユニットのウェブ様網目構造を有する植物微細繊維束から製造されるバイオ複合材料」、ジャーナル・オブ・マテリアルサイエンス(2004年)、39/5号、1635〜8ページ;V.ダベイ、L.K.パンデイ、C.サクゼナ、「新規キトサン含浸バクテリアセルロース膜及びキトサンポリ(ビニルアルコール)ブレンド膜を用いるエタノール/水共沸混合物のパーベーパレーション分離」、ジャーナル・オブ・メンブランサイエンス(2005年)、251(1〜2)号、131〜136ページ;V.ダベイ、C.サクゼナ、L.シング、K.V.ラマナ、R.S.チョーハン、「バクテリアセルロース膜を通した水/エタノール2成分系混合物のパーベーパレーション」、セパレーション・アンド・ピューリフィケーションテクノロジー(2002年)、27/2号、163〜71ページ;W.A.ダウド、J.H.シン、Y.H.ツァン、「二酸化チタンナノ粒子を用いたセルロース繊維の表面官能化とそれらを組み合わせた殺菌活性」、サーフェスサイエンス(2005年)、599(1〜3)号、69〜75ページ;PVA等の構造形成ポリマー(T.ワン、Y.チュー、「バクテリアセルロース/ポリ(ビニルアルコール)複合体ゲルの調製」、発明専利申請公開説明書CN101570616、2009年);ゼラチン(K.ヤスダ、J.P.ゴング、Y.カツヤマ、A.ナカヤマ、Y.タナベ、E.コンドウ、M.ウエノ、Y.オサダ、「高靭性ダブルネットワークヒドロゲルの生物力学特性」、バイオマテリアルズ(2005)、26/2号、4468〜75ページ;A.ナカヤマ、A.カクゴ、J.P.ゴング、Y.オサダ、M.タカイ、T.エラタ、S.カワノ、「バクテリアセルロースを用いた高機械的強度ダブルネットワークヒドロゲル」、アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ(2004年)、14/11号、1124〜8ページ);及びカルシウム塩、金属、金属酸化物等の無機物質(B.R.エヴァンズ、H.オネイル、M.ヒュー、V.P.マリヴァン、I.リー、J.ウッドワード、「燃料電池用パラジウム・バクテリアセルロース膜」、バイオセンサー・アンド・バイオエレクトロニクス(2003年)、18/7号、917〜23ページ;B.R.エヴァンズ、H.M.オネイル、E.グリーンバウム、「多糖類複合材料に固定化された酵素及び光合成タンパク質による電子伝達」、要約、アメリカ化学会第57回南東部/第61回南西部合同地区大会、アメリカ合衆国テネシー州メンフィス、2005年11月1〜4日;ダウド、J.H.シン、Y.H.ツァン、「二酸化チタンナノ粒子を用いたセルロース繊維の表面官能化とそれらを組み合わせた殺菌活性」、サーフェスサイエンス(2005年)、599(1〜3)号、69〜75ページ;D.ツァン、L.チー、「バクテリアセルロース膜をテンプレートとするアナターゼナノワイヤからなるメソ細孔性チタニア網目構造の合成」、Chem.Commn.(2005年)、21号、2735〜7ページ)が使用されている。
しかしながら更なる一問題点は、新種のBNCを開発するために2段階(BNCの合成とその修飾)を必要とすることである。更に、ポスト修飾においてはBNCの一部が改変されるため、そのユニークな構造と卓越した特性が失われてしまうこともある。また、ポスト修飾においては添加物が使用されるので、望ましくない。
新規BNC材料を調製するための更なる手段としては、種々の異なる株のバクテリアを一緒に培養することが挙げられる。A.セトら(A.セト、Y.サイトウ、M.マツシゲ、H.コバヤシ、Y.ササキ、N.トノウチ、T.ツチダ、F.ヨシナガ、K.ウエダ、T.ベップ、「グルコンアセトバクター・キシリナムとラクトバチルス・マリの共培養による効率的なセルロースの製造」、アプライド・マイクロビオロジー・アンド・バイオテクノロジー(2006年)、73(4)号、915〜921ページ)、C.チョイら(KR2002/067226)及びH.セトら(JP10201495)は、セルロース産生バクテリア株の共培養(アセトバクター・キシリナム(st−60−12))とラクトバチルス株(ラクトバチルス・マリ(st−20))により合成セルロースの収量を最適化できることを開示している。この最適化はセルロースの生合成を促進するラクトバチルス株の代謝生成物、例えば酢酸に基づいている(A.セト、Y.サイトウ、M.マツシゲ、H.コバヤシ、Y.ササキ、N.トノウチ、T.ツチダ、F.ヨシナガ、K.ウエダ、T.ベップ、「グルコンアセトバクター・キシリナムとラクトバチルス・マリの共培養による効率的なセルロースの製造」、アプライド・マイクロビオロジー・アンド・バイオテクノロジー(2006年)、73(4)号、915〜921ページ;KR2002/067226;及びJP10201495)。
アセトバクター・アセチ・subsp.キシリナム(NCI1005)とATCC10245株又はNCI1051株とを共培養した場合、ポリマー合成が促進された。セルロースの生産と後続の分解により培養液中の栄養素が増加し、それによってポリマー収量が増加した。また、培養液中にセルロースが存在することにより、水溶性の分岐多糖類の合成が可能となった(K.タジマ、H.イトウ、M.フジワラ、M.タカイ、J.ハヤシ、「アセトバクター種の共培養によるバクテリアセルロース生産性の向上と分岐多糖類バクテリアセルロース複合材料の調製」、繊維学会誌(1995)、51(7)号、323〜32ページ;K.タジマ、M.フジサワ、M.タカイ、「セルロースの生物学的制御」、マクロモレキュラーシンポジア(1995年)、99号(機能的多糖類)、149〜55ページ)。
しかしながら、当業界で知られている共培養方法は、セルロースの生産性の向上又は複合材料生成のみを対象とするものであり、公知のセルロース産生バクテリア株を培養してセルロースを合成するだけである。
これに対し、BNCの構造と特性を変化させる目的で数種の異なるバクテリア株を培養することは知られていなかった。
BNC特性の修飾は添加物によってのみ行われ、添加物は培養時又は培養後に添加され、BNC構造内に取り込まれる。
更に、生成された複合材料は均質構造のみであって、多相生体材料系を得ることは非常に困難であった。
T.ワン、Y.チュー、「バクテリアセルロース/ポリ(ビニルアルコール)複合体ゲルの調製」、発明専利申請公開説明書CN101570616、2009年) C.チョイら(KR2002/067226) H.セトら(JP10201495)
K.Y.リー、J.J.ブレイカー、A.ビスマーク、「改善された特性を有するグリーンなポリラクチドナノ複合材料の製造ルートとしてのバクテリアセルロースの表面官能化」、コンポジットサイエンスアンドテクノロジー(2009年)、69(15〜16)号、2724〜2733ページ D.クレム、D.シューマン、F.クラーマー、N.ヘスラー、M.ホーヌング、H.P.シュマウダー、S.マルシュ、「研究と応用における革新的ポリマーとしてのナノセルロース」、アドヴァンスインポリマーサイエンス(2006年)、205号(多糖類II)、49〜96ページ H.ワン、F.グアン、X.マ、S.レン、「修飾バクテリアセルロースの製造と性能の測定」、食品科技(2009年)、(5)号、28〜31ページ N.ヘスラー、D.クレム、「ポリエチレングリコール及び炭水化物を添加物とするin situ改質によるバクテリアナノセルロース構造の改変」、セルロース(オランダ・ドルトレヒト)(2009年)、16(5)号、899〜910ページ M.ザイフェルト、「アセトバクター・キシリナムの培養における培地の組成によるバクテリアセルロースの構造の修飾」、博士論文、フリードリッヒ・シラー大学、イェーナ、2004年 O.M.アストレイ、E.シャンリオ、A.M.ドナルド、M.J.ギドレイ、「水和状態におけるアセトバクター・セルロース複合材料の構造」、インターナショナルジャーナル・オブ・バイオロジカル・マクロモレキュールズ(2001年)、29/3号、193〜202ページ N.サカイリ、H.アサノ、M.オガワ、N.ニシ、S.トクラ、「アセトバクター・キシリナムの連続培養中にバクテリアセルロースフィラメントを直接採取する方法」、カーボハイドレートポリマー(1998年)、35/3〜4号、233〜7ページ C.H.ヘイグラー、A.R.ホワイト、R.M.ブラウン・ジュニア、K.M.クーパー、「カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体によるin vivoでのセルロースリボンの集積の変化」、J.セルバイオロジー(1982年)、94号、64〜9ページ J.サイブルスカ、E.ファンストレールス、Q.T.ホ、C.M.カーティン、V.ファン・クレイフェルト、B.ニコライ、A.ズダネック、K.コンスタンキーヴィッツ、「人工細胞壁の機械的性質」、ジャーナル・オブ・フードエンジニアリング(2009年)、96(2)号、287〜294ページ U.ウトハルト、「顕微外科においてBASYC(登録商標)インプラントとして応用する可能性を有するバクテリアセルロースの合成、特性及び構造設計」、博士論文、フリードリッヒ・シラー大学、イェーナ、2004年 G.セラフィカ、R.モルミノ、H.バンゲイ、「バクテリアセルロース中の固体粒子のインクルージョン」、アプライド・マイクロビオロジー・アンド・バイオテクノロジー(2002年)、58/6号、756〜60ページ B.R.エヴァンズ、H.オネイル、M.ヒュー、V.P.マリヴァン、I.リー、J.ウッドワード、「燃料電池用パラジウム・バクテリアセルロース膜」、バイオセンサー・アンド・バイオエレクトロニクス(2003年)、18/7号、917〜23ページ B.R.エヴァンズ、H.M.オネイル、E.グリーンバウム、「多糖類複合材料に固定化された酵素及び光合成タンパク質による電子伝達」、要約、アメリカ化学会第57回南東部/第61回南西部合同地区大会、アメリカ合衆国テネシー州メンフィス、2005年11月1〜4日 W.A.ダウド、J.H.シン、Y.H.ツァン、「二酸化チタンナノ粒子を用いたセルロース繊維の表面官能化とそれらを組み合わせた殺菌活性」、サーフェスサイエンス(2005年)、599(1〜3)号、69〜75ページ D.ツァン、L.チー、「バクテリアセルロース膜をテンプレートとするアナターゼナノワイヤからなるメソ細孔性チタニア網目構造の合成」、Chem.Commn.(2005年)、21号、2735〜7ページ H.ヤノ、S.ナカハラ、「ナノメータユニットのウェブ様網目構造を有する植物微細繊維束から製造されるバイオ複合材料」、ジャーナル・オブ・マテリアルサイエンス(2004年)、39/5号、1635〜8ページ V.ダベイ、L.K.パンデイ、C.サクゼナ、「新規キトサン含浸バクテリアセルロース膜及びキトサンポリ(ビニルアルコール)ブレンド膜を用いるエタノール/水共沸混合物のパーベーパレーション分離」、ジャーナル・オブ・メンブランサイエンス(2005年)、251(1〜2)号、131〜136ページ V.ダベイ、C.サクゼナ、L.シング、K.V.ラマナ、R.S.チョーハン、「バクテリアセルロース膜を通した水/エタノール2成分系混合物のパーベーパレーション」、セパレーション・アンド・ピューリフィケーションテクノロジー(2002年)、27/2号、163〜71ページ K.ヤスダ、J.P.ゴング、Y.カツヤマ、A.ナカヤマ、Y.タナベ、E.コンドウ、M.ウエノ、Y.オサダ、「高靭性ダブルネットワークヒドロゲルの生物力学特性」、バイオマテリアルズ(2005)、26/2号、4468〜75ページ A.ナカヤマ、A.カクゴ、J.P.ゴング、Y.オサダ、M.タカイ、T.エラタ、S.カワノ、「バクテリアセルロースを用いた高機械的強度ダブルネットワークヒドロゲル」、アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ(2004年)、14/11号、1124〜8ページ A.セト、Y.サイトウ、M.マツシゲ、H.コバヤシ、Y.ササキ、N.トノウチ、T.ツチダ、F.ヨシナガ、K.ウエダ、T.ベップ、「グルコンアセトバクター・キシリナムとラクトバチルス・マリの共培養による効率的なセルロースの製造」、アプライド・マイクロビオロジー・アンド・バイオテクノロジー(2006年)、73(4)号、915〜921ページ K.タジマ、H.イトウ、M.フジワラ、M.タカイ、J.ハヤシ、「アセトバクター種の共培養によるバクテリアセルロース生産性の向上と分岐多糖類バクテリアセルロース複合材料の調製」、繊維学会誌(1995)、51(7)号、323〜32ページ K.タジマ、M.フジサワ、M.タカイ、「セルロースの生物学的制御」、マクロモレキュラーシンポジア(1995年)、99号(機能的多糖類)、149〜55ページ
本発明の課題は、添加物と複合材料の生成を必要とせずにバクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料を提供することであって、その製造時にバクテリアセルロースの特性に非常に広範囲に亘る影響が及ぼされた多相生体材料を提供することにある。
本発明によれば、少なくとも2種の異なるセルロース産生バクテリア株から得られるバクテリア合成ナノセルロースに基づく生体材料が共通の培地で合成され、複数の、即ち少なくとも2種のバクテリアセルロース網目構造体が合成される。バクテリアセルロースの特性は添加される添加物又は添加物との合成時に生じる複合材料の生成によって決定されるのではなく、合成された数種の異なるバクテリアセルロース網目構造から成る相系が制御されることによって決定される。
上述の少なくとも2種のバクテリアセルロース網目構造体は、特に分子構造及び/又は超分子構造が異なる。例えば、複合均一相系として合成される場合、生体材料が共通の均一相が形成される。
少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体を合成することにより、BNC網目構造に特異的な独立単一相がそれぞれ互いにしっかりと結合した層状の相系も合成することができる。
少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体が、少なくとも1個の複合均一相と少なくとも1個の単一相から形成された層状相系として形成される場合、複合均一相と単一相が結合された構成も実現できる。
合成に使用される種々のセルロース産生バクテリア株の選択と数に応じて、また特に培地組成による合成条件の選択に応じて、バクテリアセルロース網目構造体を合成することのみにより(即ち、合成の出発成分として望ましくない添加物を不可避的に添加する必要なく)、上述の合成プロセスにおいてバクテリアセルロースの特性を非常に広範囲に変化させることができ、その結果、適切に制御された新しい生体材料が製造される。
これらバクテリアセルロースの特性とは、例えば細孔径の適切な拡大又は縮小、更にBNC材料の透明度と安定性に関するものであるが、これらは公知のバクテリア株の自体公知の培養、又はin situ修飾やポスト修飾の適用によっては達成することができなかった。
驚くべきことに本発明によれば、BNC材料の合成自体に伴う矛盾する特性、例えば含水量が非常に高いゼラチン状の粘稠性と高い強度を有する緻密な材料構造体を、バクテリア合成ナノセルロースの同一の材料において達成することさえ実現可能である。従って、BNC材料にとって新たな用途の可能性が考えられる。
BNC材料の構造と特性は、使用するバクテリア株の水性細胞分散液の容積比によって非常に広範囲に通りに規定でき、多相生体材料の合成において特性を「オーダーメイド」で制御できる。
この「オーダーメイド」は、ウエットな形態又は乾燥形態(高温圧縮、空気乾燥又は冷凍乾燥)において、医療分野(創傷被覆材、種々のインプラント)や工業技術分野(膜、箔、バリア層)、食品分野(ノンカロリー食品、包装)等においてBNC材料を使用することに関連する全ての構造と特性に適用可能である。これには機械的強度、弾力性、透明度及び水分収支、及び足場材料特性(細孔系、表面特徴、細胞による定着)、更にバイオコンパティビリティ(生体適合性、内皮化、生体固有細胞の移入、持続的な生体への統合)が挙げられる。
BNC材料の合成プロセスにおいてその構造と特性には、各セルロース産生バクテリア株の培養の変更(接種前又は接種中にバクテリア株を集合させること)、種々異なる培地の使用、或いは種々の培養パラメーター(温度、時間、容積、培養器)の採用によって変化させることができる。
本発明は、所謂「純粋な」BNC材料に限定されるものではなく、例えばN−アセチルグルコサミン又はグルコサミンを炭素源として使用する際に、修飾された炭素源に基づくセルロース状の構造体を産生する特定のバクテリア株の使用も包含する。
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
共通の均一相系を形成する数種の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成るバクテリア合成ナノセルロース(BNC)。 それぞれ独立した層状単一相を形成する2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成るBNC。 2層の単一相と複合均一相とから成る層状相系を形成する2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体を有するBNC。
図1に数種(例えば2種)の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成るバクテリア合成ナノセルロース(BNC生体材料)を示す。これら網目構造体は複合均一相(1)から成る共通の相系を形成している。
本相系は2種のグルコンアセトバクター株、本例ではATCC23769とDSM11804から成り、合成面積7cmの培養器(図示せず)で合成される。本実施例において、合成面積は特定の相を形成するために自由に調節できる。両バクテリア株は別々に調製された後、培養器において共合成のために一緒に接種される。
添加される培地は炭素源(好ましくは種々の糖類及びそれらの誘導体)、窒素源(好ましくはペプトン)、ビタミン源(好ましくは酵母抽出物)及び必要に応じた緩衝系(好ましくはリン酸水素二ナトリウム及びクエン酸)から成る。
生合成は28〜30℃で3〜21日間実施し、不連続合成法と連続合成法の双方について実験した。
培地とバクテリア株の比を5:1又は2:1とすることで、合成された両BNC網目構造体から非常に安定で透明な複合均一BNC相系(図l参照)が得られる。
接種比(接種されたバクテリア株の相互比)は50:50(ATCC23769:DSM11804)であり、バクテリア株は等量で合成に使用される。この接種比を変えると、細孔系(安定性)の制御、また均一なBNC生体材料の透明度へを変化させることが可能となる。例えば接種比が10:90の場合、しっかりと安定した、透明且つ弾力的なBNCフリースの形成が見られた。この接種比を逆転させる(例えば90:10)ことにより、透明度を保ちながら強度と弾力を減ずることができる。
更に、氷酢酸を最大2%加えることにより、得られるBNC生体材料の均質性を更に改善できる。
図2に、同様に2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成る本発明のBNC生体材料を示す。合成されたこれら網目構造体は独立した単一相2、3から成る層状相系を形成する。独立した単一相2、3は各々対応するバクテリア株のBNCフリースに相当し、公知の特性を有する。両単一相は相互にしっかりと結合している。
2種のグルコンアセトバクター株、本例ではATCC10245及びDSM14666から成り、第1の例で挙げた培養器で合成される。合成面積は特定の相を形成するためにも同様に自由に調節できる。この例においても、両バクテリア株は別々に調製され、共合成のために一緒に培養器に入れられる。
本例においても、添加される培地は炭素源(好ましくは種々の糖類及びそれらの誘導体)、窒素源(好ましくはペプトン)、ビタミン源(好ましくは酵母抽出物)及び必要に応じた緩衝系(好ましくはリン酸水素二ナトリウム及びクエン酸)から成る。
生合成は28〜30℃で3〜21日間実施し、不連続合成法と連続合成法の双方について実験した。
培地と上述バクテリア株の比を20:1とし、第1の実施例とは異なるグルコンアセトバクター株を使用することにより合成を行うと、独立してはいるが固く結合した単一相2、3の2層から成る安定した層系が得られる。しかし、これら単一相2、3は少なくともここで使用したバクテリア株の場合、外見上ほとんど識別できない(二相系のBNC網目構造のようには見えない)。そのため合成されたBNC生体材料は、外見上は均質なフリースの如く作用するが、構造的には上述した2種類のバクテリアセルロース網目構造体から成る。
バクテリア株は接種比は50:50(ATCC10245:DSM14666)で使用する。
この比を一方のバクテリアに有利となるように変化させることにより、単一相2又は3の厚さや、結果として生じる特性(吸水性及び保水性等)を的確に制御することができる。更に、接種比を70:30(培地とバクテリア株の比20:1は維持)とした場合、厚さは維持しながらBNCフリースの透明度が改善された。
図3に、同様に2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成るが、特定の層状相系に合成された本発明のBNC生体材料を示す。2個の独立した単一相(2、3)は各々対応するバクテリア株のBNCフリースに相当し、公知の特性を有する。両単一相(2、3)は複合均一相(1)を介して互いにしっかりと結合している。
2種類のグルコンアセトバクター株ATCC23769とDSM14666から成るこの相系も上述の合成面積7cmの培養器(図示せず)で合成される。この培養において合成面積を変えることにより、単一相2、3の形成に的確な影響を及ぼすことができる。面積を拡大(接種比50:50)すると、単一相2(バクテリア株DSM14666に対応)が単一相3(バクテリア株ATCC23769に対応)よりも優先的に得られる。
図3に示すBNC生体材料の相系は、上述のバクテリア株を使用し、それらを別々に調製した後、一緒に接種することによって達成される。これに対して、これらのバクテリア株を一緒に調製して共培養すると、複合均一相系(図1参照)が形成されることになる。
本例において使用される培地も、炭素源混合物(好ましくは種々の糖類及びそれらの誘導体)、窒素源(好ましくはペプトン)、ビタミン源(好ましくは酵母抽出物)及び必要に応じた緩衝系(好ましくはリン酸水素二ナトリウム及びクエン酸)から成る。
生合成は、培地とバクテリア株の比を20:1として、28〜30℃で3〜21日間実施し、不連続合成法と連続合成法の双方について実験した。
バクテリア株の接種比を50:50にすると、上述の2個の単一相2、3とその間に位置する均一相1から成り、且つ層状の外観を有するBNC相系(図3)が得られる。この接種比の場合、各単一相は等しい割合で存在する。
接種比を一方のバクテリアに有利になるように変化させると、単一相2、3の厚さと、その結果生じる特性(吸水性及び保水性等)を的確に制御できる。
1 複合均一相
2 独立した単一相
3 独立した単一相

Claims (9)

  1. 少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体から成る、バクテリア合成ナノセルロース(BNC)に基づく多相生体材料。
  2. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、分子構造において異なることを特徴とする、請求項1に記載の多相生体材料。
  3. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、超分子構造において異なることを特徴とする、請求項1に記載の多相生体材料。
  4. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、複合均一相系(1)として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の多相生体材料。
  5. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、独立した単一相(2、3)が互いにしっかりと結合した層状相系として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の多相生体材料。
  6. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、少なくとも1層の複合均一相(1)と、少なくとも1層の単一相(2、3)とから成る層状相系として形成されていることを特徴とする、請求項4及び5に記載の多相生体材料。
  7. バクテリア合成ナノセルロース(BNC)に基づく多相生体材料の製造方法であって、一緒に又は別々に調製された少なくとも2種の異なるセルロース産生バクテリア株から共通の培地で数種の異なるバクテリアセルロース網目構造体を合成する製造方法において、少なくとも2種の異なるバクテリア株を選択することと、これらバクテリア株を調製し接種することと、合成条件に影響を与えることと、により該多相生体材料のBNC構造とBNC特性が規定される製造方法。
  8. 前記少なくとも2種の異なるバクテリアセルロース網目構造体は、互いに独立して調製されてから合一されて共合成に付されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも2種のバクテリアセルロース網目構造体は、共合成をするための接種の前に合一されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
JP2012557407A 2010-03-19 2011-03-15 バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法 Active JP5975221B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE102010012437.0 2010-03-19
DE201010012437 DE102010012437A1 (de) 2010-03-19 2010-03-19 Mehrphasige Biomaterialien auf Basis bakteriell synthetisierter Nanocellulose und Verfahren zu ihrer Herstellung
PCT/DE2011/000269 WO2011113423A1 (de) 2010-03-19 2011-03-15 Mehrphasige biomaterialien auf basis bakteriell synthetisierter nanocellulose und verfahren zu ihrer herstellung

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013522399A true JP2013522399A (ja) 2013-06-13
JP2013522399A5 JP2013522399A5 (ja) 2014-04-24
JP5975221B2 JP5975221B2 (ja) 2016-08-23

Family

ID=44141021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012557407A Active JP5975221B2 (ja) 2010-03-19 2011-03-15 バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法

Country Status (9)

Country Link
US (2) US20130004784A1 (ja)
EP (1) EP2547372B1 (ja)
JP (1) JP5975221B2 (ja)
CN (1) CN102791300B (ja)
CA (1) CA2792381C (ja)
DE (1) DE102010012437A1 (ja)
ES (1) ES2636481T3 (ja)
PL (1) PL2547372T3 (ja)
WO (1) WO2011113423A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210057490A (ko) * 2019-11-12 2021-05-21 충북대학교 산학협력단 증대된 박테리아 나노셀룰로오스 생산능을 갖는 글루콘아세토박터 한세니 돌연변이 균주 및 이를 이용한 박테리아 나노셀룰로오스 생산방법
JP2022528183A (ja) * 2019-04-11 2022-06-08 デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド バクテリア由来ナノセルロース生地材料

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010012437A1 (de) 2010-03-19 2011-09-22 Friedrich-Schiller-Universität Jena Mehrphasige Biomaterialien auf Basis bakteriell synthetisierter Nanocellulose und Verfahren zu ihrer Herstellung
CN103285427B (zh) * 2013-04-26 2014-11-05 中国国旅贸易有限责任公司 一种人工骨材料及其制备方法
MX2017009180A (es) * 2015-01-15 2018-03-28 JeNaCell GmbH Biomateriales de nanocelulosa sintetizada bacterialmente y de fases múltiples, y método para producirlos.
US10682257B2 (en) 2015-07-29 2020-06-16 Evophancie Biotech Ltd Biological fiber composite dressing
EP3123988B8 (en) * 2015-07-29 2018-06-27 Harvest Belle Biotech Biological fiber composite dressing
CA3005979C (en) * 2015-11-25 2024-04-23 JeNaCell GmbH Biotechnologically-produced cellulose-containing article for dermatological use
CN107522893A (zh) * 2017-07-13 2017-12-29 天津大学 一种抗菌复合细菌纤维素膜的制备方法
CN109224122A (zh) * 2018-09-20 2019-01-18 天津科技大学 一种抗菌液体创可贴及其制备方法
EP3715110B1 (en) * 2019-03-28 2024-04-17 Next-Gen Leather, S.L. Leather alternative material
CN114080242B (zh) * 2019-07-12 2023-08-18 赢创运营有限公司 在多相生物材料上负载微生物的方法
DE102020210058A1 (de) 2020-08-07 2022-02-10 Volkswagen Aktiengesellschaft Bezugsmaterial, insbesondere für ein Fahrzeug-Interieurbauteil
DE102021116255A1 (de) * 2021-06-23 2022-12-29 Hybrid Reality GmbH Verfahren zur herstellung eines utensils umfassend mehrere utensil-elemente

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070053960A1 (en) * 2005-08-31 2007-03-08 Board Of Regents, The University Of Texas System Multiribbon nanocellulose as a matrix for wound healing
JP2009024274A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Kenji Nakamura 含浸用シート及びそれを用いたウェットシート製品
JP2009077752A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Kenji Nakamura 化粧用ティッシュペーパー
US20090209897A1 (en) * 2008-02-20 2009-08-20 Lotec, Inc. Dba Vesta Sciences, Inc. Photoactivated Antimicrobial Wound Dressing and Method Relating Thereto

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4655758A (en) 1982-12-16 1987-04-07 Johnson & Johnson Products, Inc. Microbial polysaccharide articles and methods of production
US5144021A (en) * 1985-10-18 1992-09-01 Weyerhaeuser Company Reticulated cellulose and methods and microorganisms for the production thereof
US4954439A (en) * 1987-03-09 1990-09-04 Board Of Regents, The University Of Texas System Multiribbon microbial cellulose
US4950597A (en) * 1988-05-25 1990-08-21 The University Of Texas Board Of Regents Modification of cellulose normally synthesizied by cellulose-producing microorganisms
US5472859A (en) * 1993-08-02 1995-12-05 Brown, Jr.; R. Malcolm Enzymatic method for synthesis of cellulose 1
KR19990037728A (ko) * 1996-06-21 1999-05-25 가부시키가이샤 바이오 폴리머 리서치 박테리아 셀룰로스의 처리 방법
JPH10201495A (ja) 1997-01-22 1998-08-04 Bio Polymer Res:Kk セルロース生産菌とその他の微生物との混合培養によるバクテリアセルロースの製造方法
KR100423092B1 (ko) 2001-02-16 2004-03-18 변유량 혼합배양에 의한 미생물 셀룰로오스의 생산방법
US20040109853A1 (en) * 2002-09-09 2004-06-10 Reactive Surfaces, Ltd. Biological active coating components, coatings, and coated surfaces
US20060062768A1 (en) * 2004-09-23 2006-03-23 Olexander Hnojewyj Biocompatible hydrogel compositions
CN1850302A (zh) * 2006-05-19 2006-10-25 东华大学 一种人造皮肤用细菌纤维素湿膜的制备方法
CN100460020C (zh) * 2006-11-14 2009-02-11 东华大学 一种相互粘连多层细菌纤维素膜的制备方法
ITTO20060932A1 (it) * 2006-12-29 2008-06-30 Medestea Res & Production S P A Procedimento per la produzione di una pellicola a base di cellulosa, da utilizzare per la copertura, riparazione, rigenerazione e cicatrizzazione di lesioni cutanee e tissutali e pellicola cosi' ottenuta.
US20090269406A1 (en) * 2008-04-02 2009-10-29 Alyssa Panitch Therapeutic uses of biocompatible biogel compositions
CN101288778A (zh) * 2008-06-18 2008-10-22 天津大学 多孔细菌纤维素海绵的制备方法
CN101509026A (zh) * 2009-03-27 2009-08-19 上海应用技术学院 一种细菌纤维素复合膜及其制备方法和应用
CN101570616A (zh) 2009-06-08 2009-11-04 天津科技大学 一种细菌纤维素/聚乙烯醇复合凝胶材料及其制备方法
DE102010012437A1 (de) 2010-03-19 2011-09-22 Friedrich-Schiller-Universität Jena Mehrphasige Biomaterialien auf Basis bakteriell synthetisierter Nanocellulose und Verfahren zu ihrer Herstellung

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070053960A1 (en) * 2005-08-31 2007-03-08 Board Of Regents, The University Of Texas System Multiribbon nanocellulose as a matrix for wound healing
JP2009024274A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Kenji Nakamura 含浸用シート及びそれを用いたウェットシート製品
JP2009077752A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Kenji Nakamura 化粧用ティッシュペーパー
US20090209897A1 (en) * 2008-02-20 2009-08-20 Lotec, Inc. Dba Vesta Sciences, Inc. Photoactivated Antimicrobial Wound Dressing and Method Relating Thereto

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022528183A (ja) * 2019-04-11 2022-06-08 デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド バクテリア由来ナノセルロース生地材料
US12037712B2 (en) 2019-04-11 2024-07-16 DePuy Synthes Products, Inc. Bacterial derived nanocellulose textile material
JP7532406B2 (ja) 2019-04-11 2024-08-13 デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド バクテリア由来ナノセルロース生地材料
KR20210057490A (ko) * 2019-11-12 2021-05-21 충북대학교 산학협력단 증대된 박테리아 나노셀룰로오스 생산능을 갖는 글루콘아세토박터 한세니 돌연변이 균주 및 이를 이용한 박테리아 나노셀룰로오스 생산방법
KR102295345B1 (ko) 2019-11-12 2021-08-30 충북대학교 산학협력단 증대된 박테리아 나노셀룰로오스 생산능을 갖는 글루콘아세토박터 한세니 돌연변이 균주 및 이를 이용한 박테리아 나노셀룰로오스 생산방법

Also Published As

Publication number Publication date
PL2547372T3 (pl) 2017-10-31
US20130004784A1 (en) 2013-01-03
CA2792381A1 (en) 2011-09-22
WO2011113423A1 (de) 2011-09-22
CA2792381C (en) 2018-09-25
CN102791300B (zh) 2015-07-29
CN102791300A (zh) 2012-11-21
JP5975221B2 (ja) 2016-08-23
DE102010012437A1 (de) 2011-09-22
US10829567B2 (en) 2020-11-10
US20150225486A1 (en) 2015-08-13
ES2636481T3 (es) 2017-10-05
EP2547372A1 (de) 2013-01-23
EP2547372B1 (de) 2017-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5975221B2 (ja) バクテリア合成ナノセルロースに基づく多相生体材料とその製造方法
Sharma et al. Bacterial nanocellulose: Present status, biomedical applications and future perspectives
Cacicedo et al. Progress in bacterial cellulose matrices for biotechnological applications
Liu et al. Enhanced mechanical properties of bacterial cellulose nanocomposites produced by co-culturing Gluconacetobacter hansenii and Escherichia coli under static conditions
Grande et al. Development of self-assembled bacterial cellulose–starch nanocomposites
Lustri et al. Microbial cellulose—biosynthesis mechanisms and medical applications
Fang et al. In vivo curdlan/cellulose bionanocomposite synthesis by genetically modified Gluconacetobacter xylinus
Silvestre et al. Do bacterial cellulose membranes have potential in drug-delivery systems?
Bagewadi et al. Statistical optimization and characterization of bacterial cellulose produced by isolated thermophilic Bacillus licheniformis strain ZBT2
US20100065236A1 (en) Method of producing and the use of microfibrillated paper
de Olyveira et al. Bacterial nanocellulose for medicine regenerative
EP2432933A1 (en) Method of producing and the use of microfibrillated paper
EP3181153A1 (en) Wound care product comprising ecm-functionalized nanocellulose
Fontana et al. New insights on bacterial cellulose
Cherian et al. Bacterial nanocellulose for medical implants
Sukara et al. Potential values of bacterial cellulose for industrial applications
WO2016113400A1 (en) Multi-phase bacterially-synthesized-nanocellulose biomaterials and method for producing the same
Azmi et al. Fresh oil palm frond juice as a novel and alternative fermentation medium for bacterial cellulose production
Bagewadi et al. Structural and functional characterization of bacterial cellulose from Enterobacter hormaechei subsp. steigerwaltii strain ZKE7
Andrade et al. Bacterial cellulose: properties, production and applications
Park et al. Bacterial cellulose
Zhang et al. Using in situ nanocellulose‐coating technology based on dynamic bacterial cultures for upgrading conventional biomedical materials and reinforcing nanocellulose hydrogels
Ashjaran Properties and Applications of Bacterial Cellulose as a Biological Non-woven Fabric.
Trovatti Bacterial cellulose
KR102336328B1 (ko) 고체 원물이 포함된 바이오셀룰로오스, 이를 제조하기 위한 배지 조성물 및 이의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140304

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140304

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150602

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160216

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160315

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160705

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5975221

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250