JP2013521337A - 小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共−輸送のアリールフルオロホスフェート阻害剤 - Google Patents

小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共−輸送のアリールフルオロホスフェート阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、血中リン酸塩レベルを減少させ、高血圧を治療する点で、小腸刷子縁膜腸ナトリウム/リン酸塩共-輸送の阻害剤であり、高リン酸塩血症の治療に有用である、フルオロリン酸塩、その医薬組成物に関する。

Description

発明の分野
本発明は、血中リン酸塩を減少させるための効果的な治療である、小腸刷子縁膜腸Na-介在リン酸塩共-輸送を阻害するために働く親水性アリールフルオロホスフェート、高リン酸塩血症の治療法、及び阻害剤の製造法に関する。
関連出願の相互参照
本願は、2010年3月5日に出願された米国仮出願第61/310,902号の出願日の利益を請求する。
背景
二次性副甲状腺機能亢進症は、腎性骨ジストロフィー、高血圧、代謝性アシドーシスを引き起こし、心臓病の原因となる、慢性腎不全(CRF)の一般的かつ重度の症状である。
減少した腎臓リン酸塩排出に起因する高リン酸塩血症は、慢性腎不全を有する患者における二次性副甲状腺機能亢進症の原因となると考えられている。最近、リン酸塩ロードを減少させることは、二次性副甲状腺機能亢進症を減少させ、おそらく腎臓機能を保護することができることが確立されている。
哺乳動物において、小腸のリン酸塩吸収は、小腸近位部(十二指腸及び空腸)の刷子縁膜で起こる。リン酸塩吸収は、活性成分及び活性でない成分を有する。リン酸塩の活性な取り込みは、Na+取り込みと一緒になって、Na+/リン酸塩コトランスポータによるその電気化学ポテンシャル勾配を下げる。リン酸塩吸収の活性成分は、食事のリン及び血清1,25-ジヒドロキシビタミンD3によって制御される。食事のリンの変化は、小腸内のNaPi IIbの発現を変えることが報告されている。Na+-非依存性リン酸塩取り込みは、その 電気化学ポテンシャル勾配を未知のメカニズムによって起こる。小腸基底外側膜を越えるリン酸塩輸送のメカニズムは特定されていない。
カルコンは、重要な生物学的活性を有する一種の芳香族ケトンであり、膜輸送に対するその効果はよく知られている。フロリジンはカルコンのメンバーであり、腎臓及び小腸の刷子縁膜Na+/グルコースコトランスポータの潜在的な阻害剤である。フロリジン、フロレチンのアグリコン(aglucone)は、バンド3(AE-1、9、10)を含む様々な膜トランスポータ、及び促進拡散グルコース担体(GLUT-4、9、14)を阻害する。リン酸化フロレチン誘導体2'-PPは、小腸Na+/リン酸塩コトランスポータであって、主な腎臓近接小管Na+/リン酸塩コトランスポータではない、コトランスポータの強力な阻害剤であることが明らかになっている。高リン酸塩血症の治療のための2'-PPの主な限界は、それがリン酸エステルであることであり、そのため、小腸刷子縁膜ホスファターゼ、アルカリホスファターゼを含むホスファターゼによって分解される。
したがって、小腸刷子縁膜Na+介在リン酸塩共輸送を阻害する新規又は改善された薬剤は、CRFによって起こり、腎性骨ジストロフィー、高血圧、代謝性アシドーシスをもたらし、心臓病の原因となる、二次的な高リン酸塩血症の治療を目的とした新規かつより効果的な医薬を開発するために続いて必要とされる。2'-FPPは2'-PPの30倍強力であり、エステラーゼに対してより安定であり、CRFの治療に有用であることがよく知られている2'-PPを超える主な利益及び改善を示す。本明細書に記載の化合物、組成物及び方法は、これらの要求及び他の目的に関する。
発明の要約
本発明は、特に、式I:
Figure 2013521337
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、その構成メンバーは本明細書に定義されている化合物を提供する。当該化合物は、小腸刷子縁膜ナトリウム介在リン酸塩共-輸送を阻害することができる。
本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物をさらに提供する。
当該化合物は、当該化合物が投与される患者に臨床的に有利な結果を与える量で存在し得る。したがって、本組成物は、本明細書に記載の化合物の治療上有効量を含み得る。
本発明は、小腸上皮組織と式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させることを含む、小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共輸送を阻害する方法をさらに提供する。
本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効量を患者に投与することによる、異常な血中リン酸塩レベルに関連した疾患又は障害を治療する方法を提供する。
本発明は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効量を患者に投与することによる、患者の慢性腎不全、腎性骨ジストロフィー、高血圧、代謝性アシドーシス及び心臓病の疾患を治療する方法をさらに提供する。腎不全は、末期の腎不全でもよい。
本発明は、本明細書に記載の症状の治療を含む、医薬の製造における使用のための、又は治療での使用のための医薬の製造のための、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩をさらに提供する。
本発明は、式I:
Figure 2013521337
[式中、
RはC2-4アルキルであり;
Wは、NRA、O及びSから選択され;
Zは、単結合、-C(O)-、NRA、0及びSから選択され;
X1及びX2は各々独立に-OH、-NHRA及び-C(0)OHから選択され;
RAは、H又はC1-3アルキルであり;
mは、1、2、3又は4であり;そして、
nは、1、2、3又は4である。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の製造法を提供する。
本発明は、式I-1の化合物の製造法を提供する。
Figure 2013521337
本発明は、式I-2の化合物の製造法を提供する。
Figure 2013521337
本発明は、式I-3の化合物の製造法を提供する。
Figure 2013521337
本発明は、式I-4の化合物の製造法を提供する。
Figure 2013521337
詳細な説明
本発明は、特に小腸刷子縁膜腸ナトリウム/リン酸塩共-輸送を阻害し、例えば血中リン酸塩を高リン酸塩血症の治療において減少させるために有用である、化合物を提供する。本発明の化合物は、式I:
Figure 2013521337
[式中、
RはC2-4アルキルであり;
Wは、NRA、O及びSから選択され;
Zは、単結合、-C(O)-、NRA、0及びSから選択され;
X1及びX2は各々独立に-OH、-NHRA及び-C(0)OHから選択され;
RAは、H又はC1-3アルキルであり;
mは、1、2、3又は4であり;そして、
nは、1、2、3又は4である。]
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
他の実施態様では、X1及びX2は各々独立にOR1及びOR2から選ばれ、ここでX1及びX2は各々独立に-OH又は保護基である。他の実施態様では独立にCCOR1及びCOOR2から選ばれ、R1及びR2は各々独立はH又は保護基である。
ある実施態様では、Rは-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-である。
ある実施態様では、WはNRA及びOから選択される。
ある実施態様では、WはOである。
ある実施態様では、Zは単結合及び-C(O)-から選択される。
ある実施態様では、Zは-C(O)-から選択される。
ある実施態様では、X1及びX2は各々独立にOH及びNH2から選択される。
ある実施態様では、X1及びX2は共にOHである。
ある実施態様では、nは1又は2である。
ある実施態様では、mは1又は2である。
ある実施態様では、mは2であり、nは1である。
ある実施態様では、Rは-CH2-CH2-であり、Zは-C(O)-である。
ある実施態様では、WはOであり、X1及びX2は共にOHである。
本明細書では、用語「アルキル」は、直鎖又は分枝である飽和炭化水素基を意味する。例示的なアルキル基は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル)等を含む。アルキル基は、1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4、又は1〜約3個の炭素原子を含んでよい。
本明細書で用いる「アリール」は、単環式又は多環式(例えば、2、3又は4個の縮合環)芳香族炭化水素、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル等を言う。ある実施態様では、アリール基は6〜約20の炭素原子を有する。
本明細書で用いる「ヘテロアリール」は、イオウ、酸素又は窒素等の少なくとも1つのヘテロ原子環メンバーを有する芳香族ヘテロ環を言う。ヘテロアリール基は、単環式及び多環式(例えば、2、3又は4個の縮合環を有する)系を言う。ヘテロアリール基の例は、特に限定されないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリニル等を含む。二環式ヘテロアリール基の例は、限定されないが、プリニル、インドリル等を含む。ある実施態様では、ヘテロアリール部分における任意の環形成Nは、オキソによって置換され得る。ある実施態様では、ヘテロアリール基は、1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施態様では、約3〜約20の炭素原子を有する。ある実施態様では、ヘテロアリール基は、3〜約14、4〜約14、9〜約10、又は5〜6個の環形成原子を含む。ある実施態様では、ヘテロアリール基は、1〜約4、1〜約3、又は1〜2個のヘテロ原子を有する。
さらに承知されたいが、明確化のために、別箇の実施態様の内容に記載されている本発明のある特徴はまた、1つの実施態様において組み合わせて提供され得る。反対に、簡潔さのために、1つの実施態様の内容に記載されている本発明の様々な特徴また、別箇に又は任意の好適なサブコンビネーションで提供され得る。
本明細書に記載の化合物は、非対称(例えば、1以上の立体中心を有する)である。特に指定しない限り、すべての立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオマーを意図する。非対称的に置換された炭素原子を含む本発明の化合物は、光学的に活性であるか又はラセミ形態で単離され得る。光学的に不活性な出発物質から光学的に活性な形態を調製するための方法は、当該分野で知られており、例えばラセミ混合物の分割又は立体選択的合成による。多くのオレフィンの幾何学異性体、C=N二重結合等もまた、本明細書に記載の化合物に存在してよく、すべてのかかる安定な異性体は本発明に画されている。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体が記載され、異性体の混合物として又は分離した異性体として単離され得る。
化合物のラセミ混合物の分割は、当該分野で公知の多数の方法のいずれかによって実施され得る。例示的な方法は、光学的に活性な塩-形成有機酸であるキラル分割酸を用いる分画再結晶化を含む。分画再結晶化法のための好適な分割剤は、例えば、光学的に活性な酸、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、又は様々な光学的に活性なカンファースルホン酸、例えばβ-カンファースルホン酸の、D及びL形態である。分画再結晶化法のための好適な他の分割剤は、α-メチルベンジルアミン(例えば、S及びR形態、又はジアステレオマー的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロへキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロへキサン等の立体異性体的に純粋な形態を含む。
ラセミ混合物の分割はまた、光学的に活性な分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)で充填されたカラム上での溶出によって行なわれ得る。好適な溶出溶媒組成は、当業者によって決定され得る。
本発明の化合物は互変異性体をも含む。互変異性体は、プロトンの同時移動と共に、単結合を隣接する二重結合と交換することから得られる。互変異性体は、同一の経験的な式及び総電荷を有する異性体プロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体を含む。例示的なプロトトロピー互変異性体は、ケトン-エノールペア、アミド-イミド酸ペア、ラクタム-ラクチムペア、エナミン-イミンペア、及びプロトンがヘテロ環系の2以上の位置を占め得る環状形態、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-,2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、並びに1H-及び2H-ピラゾールを含む。互変異性体は、好適な置換によって平衡又は立体的に1つの形態に固定(rocked)され得る。
本発明の化合物は、中間体又は最終化合物に存在するすべての原子の同位体をも含み得る。同位体は、同一の原子番号を有するが異なった質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウム及びジュウテリウムを含む。
本明細書で用いる用語「化合物」は、本明細書に記載の一般式に合致する構造を含む、すべて立体異性体、幾何異性体、相変異性体、及び記載の構造の同位体を意味する。
すべての化合物及びその薬学的に許容される塩は、他の物質、例えば水及び溶媒(例えば、水和物及び溶媒和物)と一緒に見出される。
ある実施態様では、本発明の化合物又はその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離された」とは、化合物が形成され又は検出される環境から少なくとも部分的に又は実質的に分離されることを意味する。部分的な分離は、例えば、本発明の化合物が豊富である組成物を含み得る。実質的な分離は、本発明の化合物又はその塩の重量で、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は少なくとも約99%、を含む組成物を含み得る。化合物又はその塩を単離する方法は、当該分野では常套である。
用語「その薬学的に許容される」は、本明細書では健全医学的判断の範囲内において、合理的な利益/リスク比と相応した、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症がないヒト及び動物の組織と接触させる用途に適切である、化合物、物質、組成物、及び/又は投薬形態に言うために採用される。
本明細書で用いる表現「周囲温度」及び「室温」は、当該分野では理解されており、一般的に温度、例えば、反応が行われる部屋の温度に近い反応温度、例えば約20℃〜約30℃の温度を言う。
本発明は、本明細書に記載の化合物のその薬学的に許容される塩も含む。本明細書で用いる「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、存在する酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を言う。薬学的に許容される塩の例は、限定されないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩などを含む。本発明の薬学的に許容される塩は、例えば、非-毒性の無期又は有機酸から形成された親化合物の慣用的な非-毒性塩を含む。本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成され得る。一般的に、かかる塩は、これらの化合物の酸又は塩基形態を、水又は有機溶媒、あるいは2つの混合物(一般的に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)又はアセトニトリル(ACN)等の非-水溶性媒体が好ましい)中での好適な塩基又は酸の化学量論量と反応させることによって調製され得る。好適な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418 and Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977) に見出され、その各々は本明細書に参照としてその全体が組み込まれている。
合成:本発明の方法及び中間体は、血中リン酸塩レベル及び高リン酸塩血症を減少させる点で有効である、小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共輸送の阻害剤の調製において有用である。その塩を含む本発明の化合物は、公知の有機合成技術を用いて調製され、及び多数の可能な合成経路の任意に従って合成され得る。
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で行われる。好適な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸点までの範囲に渡る温度で、出発物質(反応物)、中間体、又は生成物と実質的に比-反応性でよい。所定の反応は、1つの溶媒又は1つ超の溶媒の混合物中で実施され得る。特定の反応ステップによって、特定の反応ステップのための好適な溶媒は当業者により選択され得る。
本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護の必要性、並びに好適な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、本明細書に参考としてその全体が組み込まれている、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, Wiley & Sons, Inc., New York (1999) に見出される。
反応は、当該分野で公知の任意の好適な方法にしたがってモニターされ得る。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴分光学(例えば、1H又は13C)、赤外吸収分光学、分光測定(例えば、UV-可視)、質量分光学によって、あるいはクロマトグラフ法、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターされ得る。
本発明の化合物を調製するための例示的な合成法を、以下のスキームに示す。例えば、本発明の化合物は、スキーム1に示される一般的な逆合成スキームによって調製され得る。式1の化合物は、式2の化合物をフッ素化剤に供することによって調製され得る。式2の化合物は、式3の化合物からPr2を除くことによって合成され得る。式3の化合物は、式4の化合物のリン酸化から容易に調製され得る。最後に、式5の化合物は、選択的脱保護によって合成され、それはリン酸化の結合点(W)を明らかにする。
Figure 2013521337
従って、本発明は、式I:
Figure 2013521337
[式中、
RはC2-4アルキルであり;
Wは、NRA、O及びSから選択され;
Zは、単結合、-C(O)-、NRA、0及びSから選択され;
X1及びX2は各々独立に-OH、-NHRA及び-C(0)OHから選択され;
RAは、H又はC1-3アルキルであり;
mは、1、2、3又は4であり;そして、
nは、1、2、3又は4である。]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の製造法であって、以下:
a) 式I-1:
Figure 2013521337
(Pr1及びPr2は、保護基である)
の化合物からPr2中のPr1を除いて、式I-2:
Figure 2013521337
の化合物を製造し、
b) 式I-2の化合物をリン酸化剤と反応させて、式I-3:
Figure 2013521337
の化合物を製造し、
c) 還元剤を用いて式I-3の化合物からPr2を除いて、式I-4:
Figure 2013521337
の化合物を製造し、
d) 式I-4の化合物をフッ素化剤と反応させて、式Iの化合物を製造すること、
を含む、方法を提供する。
ある実施態様において、Pr1
Figure 2013521337
である。
ある実施態様において、Pr2はベンジルである。
ある実施態様において、リン酸化剤は亜リン酸エステルである。さらなる実施態様では、亜リン酸エステルはジベンジル亜リン酸塩である。別の実施態様では、リン酸化剤は、ホスホン酸である。さらなる実施態様では、ホスホン酸はフルオロホスホン酸である。
ある実施態様では、還元剤は水素ガスと遷移金属とからなる。
ある実施態様では、フッ素化剤はジニトロフルオロベンゼンである。さらなる実施態様では、フッ素化剤はフッ化水素酸である。
スキーム2から明らかなように、公知の化合物、フロリジンは、完全にベンジル保護された化合物6を提供するためにベンジル化される。酸性条件下での化合物6の処理は、フェノール7を与え、これは、ベンジル保護ホスフェート化合物8に変換された。8の触媒的水素化は、2'-ホスホフロレチン (9) を与え、これは、ジニトロフルオロベンゼン (DNFB) 又はフッ化水素酸 (HF) のようなフッ素化剤でフッ素化され、2'-フルオロホスホフロレチン (10) を与えた。
Figure 2013521337
あるいは、2'-ホスホフロレチン (9) は、無水フッ化水素酸を用いてフッ素化され得、2'-フルオロホスホフロレチン (10) を与えた(スキーム3)。
Figure 2013521337
2'-フルオロホスホフロレチンを調製するための別の経路は、公知の化合物であるフロリジンから出発するスキーム4に示される。フロリジンのべンジル化は、6を与え、これは選択的に脱保護されて、フェノール7を与えた。ジクロロクロメート(DCC)及びフルオロリン酸による処理は、フルオロリン酸8aを与えた。8aのベンジル基の除去は、アンモニウム及びDowex 50Wを用いて完了し、2'-フルオロホスホフロレチンを与えた。
Figure 2013521337
使用方法:本発明の化合物は、小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共輸送を阻害することができる。本発明の化合物はまた、血中リン酸塩レベル及び高リン酸塩血症を減少させるために効果的な処置であり得る。
本発明は、哺乳動物対象における高い血中リン酸塩レベルによって起こる又はそれに関連する疾患を治療するための方法であって、血中リン酸塩レベルの減少が望ましい対象を同定し、本発明の化合物又はその医薬組成物の治療上有効量をかかる治療を必要としている対象に投与すること、を含む方法をさらに提供する。ある実施態様では、当該対象は哺乳動物である。ある実施態様では、当該対象はヒトである。ある実施態様では、当該化合物は経口的に投与される。ある実施態様では、当該疾患は慢性腎不全である。ある実施態様では、慢性腎不全は、高リン酸塩血症、二次性副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、高血圧症、代謝性アシドーシス又は心臓病に関連し及び/又はそれを伴う。慢性腎不全は、末期の腎不全でよく、末期の腎不全に罹患している患者は本明細書に記載の治療に従う。
本明細書で用いる「接触すること」は、インビトロ系又はインビボ系で指定の部分をくっ付けることを言う。例えば、本発明の化合物を小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共輸送と「接触させること」は、個体又は患者、例えばヒトに対する本発明の化合物の投与、及び、例えば本発明の化合物を小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩共輸送の細胞性又は精製された調製物を含むサンプルに導入することを含む。
本明細書で用いる用語「個体」又は「患者」は交換的に用いられ、哺乳動物を含む任意の動物を意味し、好ましくは、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又は霊長類、及び最も好ましくはヒトである。
本明細書で用いる用語「治療上有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医による、組織、系、動物、個体又はヒト中で追求されるべき生物学的又は薬理反応を引き出す、活性化合物又は薬物の量を言う。
本明細書で用いる用語「治療すること」又は「治療」は、(1)疾患を予防すること;例えば、疾患、症状又は障害に罹患しやすいが、疾患の病因又は症候を未だ経験又は現していない、個体における疾患、症状又は障害を予防すること;(2)疾患を阻害すること;例えば、疾患の病因又は症候を経験又は現している、個体における疾患、症状又は障害を阻害すること;及び(3)疾患の重度を減少させる等の、疾患、症状又は障害を経験又は現している、個体における疾患、症状又は障害を緩和すること(すなわち、病因及び/又は症候を逆転させること)の1以上を言う。
医薬製剤及び投薬形態:医薬として用いる場合、本発明の化合物は、医薬組成物の形態として投与され得る。当該組成物は、医薬の分野で周知の方法で調製され、局所的又は全身性処置が望ましいかによって、処置されるべき部位によって様々な経路によって投与され得る。投与は経口でよい。
本発明はまた、1以上の薬学的に許容される担体(賦形剤)と共に、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を活性成分として含む医薬組成物を含む。ある実施態様では、組成物は、経口投与に好適である。本発明の組成物の製造において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈され、あるいは例えばカプセル剤、サチェ、紙又は他の容器の形態でかかる担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合には、賦形剤は、活性成分のためのビヒクル、担体又は媒体として働く固体、半固体又は液体物質でよい。したがって、組成物は、錠剤、ピル剤、粉剤、トローチ剤、サシェ、カッチェット、エリキシル、懸濁剤、乳化剤、液剤、シロップ、軟及び硬ゲラチンカプセル剤、及び殺菌包装粉剤の形態でよい。
製剤の調製において、活性化合物は、他の成分と混合する前に好適な粒径を提供するために粉砕され得る。活性化合物が実質的に不溶性である場合には、200メッシュ未満の粒径に粉砕され得る。活性化合物が実質的に水溶性である場合には、粒径は、製剤中で実質的に均一な分配を提供するように例えば約40メッシュに粉砕することにより調整され得る。
本発明の化合物は、錠剤形成及び他の形成種に好適な粒径を得るための湿式粉砕のような公知の粉砕法を用いて粉砕され得る。本発明の化合物の細粒化(ナノ粒子)調製物は、当該分野で公知の手段によって調製され得る。例えば、国際出願番号WO 2002/000196参照。
好適な賦形剤の例は、ラクトース、デキストロース。スクロース。ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム。アルギン酸塩、タラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース。水、シロップ、及びメチルセルロースを含む。製剤は、更に以下を含んでよい:タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油等の滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;メチル-及びプロピルヒドロキシ-安息香酸エステル等の保存剤;甘味料;及び香味剤を含む。本発明の組成物は、当該分野で公知の手段を採用することによって、患者への投与後の活性成分の速放、徐放又は遅延放出を提供するように製剤化することができる。
組成物は、単位投薬形態で製剤化され得る。各形態は、活性成分の約5〜約1000 mg (1 g)、より一般的には約100〜約500 mgを含む。用語「単位投薬形態」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単一投薬量として好適な物理的に別個の単位を言う。各単位は、好適な薬学的賦形剤と共に、所望の薬学的効果を生じるように計算された活性物質の所定量を含む。
ある実施態様では、本発明の化合物又は組成物は、活性成分の約5〜約50 mgを含む。当業者は、このことが、活性成分の約5〜約10、約10〜約15、約15〜約20、約20〜約25、約25〜約30、約30〜約35、約35〜約40、約40〜約45、又は約45〜約50 mgを具体化することを理解されたい。
ある実施態様では、本発明の化合物又は組成物は、活性成分の約50〜約500 mgを含む。当業者は、このことが、活性成分の約50〜約100、約100〜約150、約150〜約200、約200〜約250、約250〜約300、約300〜約350、約350〜約400、又は約450〜約500 mgを具体化することを理解されたい。
ある実施態様では、本発明の化合物又は組成物は、活性成分の約500〜約1000 mgを含む。当業者は、このことが、活性成分の約500〜約550、約550〜約600、約600〜約650、約650〜約700、約700〜約750、約750〜約800、約800〜約850、約850〜約900、約900〜約950、又は約950〜約1000 mgを具体化することを理解されたい。活性化合物は、幅広い投薬量範囲で有効であり、一般的に薬学的に有効な量で投与される。しかしながら、ご承知のように、実際に投与される化合物の量は、通常、治療される症状、選択された投与経路、投与された実際の化合物、年齢、体重、及び個々の患者の応答、患者の症状の重度等を含む関連する環境に従って、医師によって決定されることになる。
錠剤等の固体組成物を調製するためには、主な活性成分は、医薬賦形剤と混合されて、本発明の化合物の均一混合物を含む固体予備製剤を形成する。これらの予備製剤組成物が均一であるという場合に、当該組成物が錠剤、ピル剤及びカプセル剤等の等しく効果的な単位投薬形態に容易に再分割され得るように、活性成分は、典型的には、当該組成物中に最終的に分散される。この固体予備製剤は、次いで、例えば約0.1〜約1000 mgの本発明の活性成分を含む上記の種類の単位投薬形態に再分割される。
本発明の錠剤又はピル剤は、被覆されあるいは混合されて、長期の作用の利益を与える投薬形態を提供する。例えば、錠剤又はピル剤は、内側投薬成分及び外側投薬成分を含み得、後者は前者を包む形態にある。これらの2つの成分は、胃での消化に抵抗し、内側成分を十二指腸にそのまま通過させるかあるいは放出を遅らせるために役立つ腸溶性層によって分離され得る。かかる腸溶性層又はコーティングのために様々な物質、例えば多数のポリマー酸及びポリマー酸の混合物を含む材料、例えばセラック、セチルアルコール及びセルロースアセテート、が使用され得る。
本発明の化合物及び組成物が経口的又は注射による投与のために導入され得る液状形態は、水溶液、好適には風味付けしたシロップ、水性又は油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油又はピーナッツ油等の食用油を有する風味付けしたエマルジョン、並びにエリキシル及び類似の薬学的ビヒクルを含む。
ある実施態様では、組成物は、局所的効果のための経口経路によって投与される。液状、懸濁又は粉状組成物は、好適な方法で製剤を送達する装置から経口的に投与され得る。患者に投与された化合物又は組成物の量は、投与されるもの、投与の目的、例えば予防又は治療、患者の状態、投与方式等に依って変動することになる。治療的適用において、組成物は、治癒する又は疾患の症状及びその合併症を少なくとも抑えるために十分な量で、疾患に既に罹患した患者に投与され得る。有効投薬量は、治療されるべき疾患の症状、並びに疾患の重度、年齢、体重及び患者の全身状態等の因子に因って主治医の判断に依拠することになる。
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態でよい。これらの組成物は、慣用的な殺菌技術によって殺菌され、あるいは殺菌濾過され得る。水溶液は、現状のまま使用のために包装されるか又は凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は投与前の殺菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3〜11、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8である。先述のある賦形剤、担体、又は安定剤の使用が薬学的塩の形成をもたらすだろうことを理解されたい。
本発明の化合物の治療的投薬量は、例えば、治療がなされる特定の用途、化合物の投与方式、患者の健康状態、及び処方する医師の判断に従って変動し得る。医薬組成物中の本発明の化合物の割合又は濃度は、投薬量、化学特性(例えば、疎水性)及び投与経路を含む多数の因子に因って変動し得る。例えば、本発明の化合物は、約0.1〜約10% w/vの非経口投与用の化合物を含む水性生理学的緩衝液で提供され得る。典型的な範囲は、約1 μg/kg〜約1 g/kgの体重/日である。
2'-ホスホフロレチン(phosphophoiretin)の試験において、我々は、動物に0.1 g/日を投与し、正常又は5/6日目の腎摘出術ラットにおいて3ヶ月試験で副作用のないことを観察した。他の試験では、2'-ホスホフルオロフロレチンを用いて、我々は、動物に0.02 g/日を投与した。我々は観察した。正常ラットにおいて2ヶ月試験で;5/6日目の腎摘出術ラットにおいて1ヶ月試験で;及び食塩感受性ダールラットにおいて1ヶ月試験で、副作用のないことを観察した。我々の化合物は、カルシウム塩(例えば、TUMS(登録商標))、LaC03(FOSRENOL(登録商標))、及びリン結合樹脂(RENAGEL(登録商標))と比較して遜色なかった。
ある実施態様では、投薬量の範囲は、約0.01 mg/kg〜約100 mg kg/体重/日である。投薬量は、疾患又は障害の進行の種類及び程度、特定の患者の全身状態、選択された化合物の相対的な生物学的効果、賦形剤の形成、及びその投与経路のような変数に依拠するようである。有効投薬量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られる投薬量-反応曲線から外挿され得る。
実施例1 ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)を用いる2'-フルオロホスホフロレチン(2'-FPP)の合成
Figure 2013521337
2'-フルオロホスホフロレチン (2'-FPP) は、Peerce他、Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 283: G848-G855, 2002の方法に従って合成した。
ステップ1 4,6,4-トリ-O-ベンジルフロレチン
再蒸留ジメチルホルムアミド (35 ml) 及び炭酸カリウム (3.1 g) にフロリジン (2 g) を溶解した。この溶液にベンジルブロミド (2.7 ml) を加え、反応混合物を23℃で3日間攪拌した。この溶液を真空下で蒸留し、残渣を室温で冷却した。当該残渣を水/酢酸エチル (2:1) で3回抽出した。有機層を併せて減圧濃縮した。その残渣を1.4-ジオキサン (200 ml) に溶解し、0.4 Nの最終濃度になるようにHClを滴下した。混合物を3時間還流した。反応混合物を冷却し、1 Mの重炭酸ナトリウムで希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出を3回繰り返した。併せた有機抽出物を水で洗浄し、NaCl (0.9%) で2回洗浄した。無水Na2S04を有機層に添加し混合した。減圧濾過によりNa2S04を除いた。新鮮Na2S04を当該溶液に加え、次いで、23℃で12時間攪拌した。減圧濾過によりNa2S04を除き、ろ液を濃縮して、4,6,4-トリ-O-ベンジルフロレチンを得た (2.1 g, 92%収率): 1H-NMR (CDC13) δ 13.6 (s, 1H); 7.46-7.29 (m, 15H); 6.86 (d, J=8.8 Hz, 2H); 6.8 (d, J=8.8 Hz, 2H); 6.35 (d, J=2.3 Hz, 1H); 6.21 (d, J=2.3 Hz, 1H); 5.17 (s, 2H); 5.14 (s, 2H); 5.07 (s, 2H); 3.2 (t, J=7.1 Hz, 2H) ppm。
ステップ2 ジベンジルホスホトリベンジルフロレチン
4,6,4-トリ-O-ベンジルフロレチン (2.1 g) をN,N-ジメチルアセトアミド (DMAc) に溶解し、氷上に置いた。水素化ナトリウム (60%) を加え、混合物を23℃で1時間攪拌した。当該溶液を冷却し、水素化なトリムを四塩化炭素で不活性化した。ジベンジル亜リン酸塩 (1.31 ml) のN,N-ジメチルアセトアミドを加え、当該溶液を30分間攪拌した。当該溶液を酸性化し、水とヘキサン/酢酸エチル (1:1) で分配した。水層をヘキサン/酢酸エチルで3回抽出した。併せた有機層を0.9% NaClで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過によって除いた。濾液を減圧濃縮し、酢酸エチル/ジクロロメタン/へキサン (5:25:70) を溶出液としてシリカゲルカラムクラマトグラフィーで精製した。ジベンジルホスホトリベンジルフロレチン (750 mg, 43%収率) を回収した: 1H-NMR (CDC13) δ 7.42-7.29 (m, 25 H); 6.93 (d, J=8.8 Hz, 2H); 6.78 (d, J=8.8 Hz, 2H); 6.63 [ダブルダブレット (dd), J=1.2, 2 Hz, 1H]; 6.4 (dd, J=0.6, 2.1 Hz, 1H); 5.06 (s, 5.04, 2H); 5.04 (s, 2H); 4.97 (d, J=4.8 Hz, 4H); 4.87 (s, 2H); 3.03 (t, J=8.4 Hz, 2H); 2.83 (t, J=8.2 Hz, 2H) ppm。
ステップ3 2'-フルオロホスホフロレチン (2'-FPP)
ジベンジルホスホトリベンジルフロレチンを酢酸エチルに溶解した。パラジウムカーボン (10%、200 mg) を加え、当該溶液をH2ガス下で2時間攪拌した。当該溶液をセライト (Sigma- Aldrich) で濾過した。セライトケーキを酢酸で2回洗浄し、併せた洗浄物を減圧濃縮して、乾燥後、2'-PP (400 mg, 29%収率) を得た: 融点 (mp) 171-172℃, 1H-NMR (d6-DMSO) δ 13.0 (s, 1H); 10.7 (bs, 1H); 9.2 (bs, 1H); 7.03 (d, J=8.6 Hz, 2H); 6.64 (d, J=8.4 Hz, 2H); 6.63 (dd, J=1.2, 2.1 Hz, 1H); 2.77 (d, J=7.6 Hz, 2H) ppm。
D20中の31P-NMRは、4 ppmに98%のリンシグナルからなる単一ピークを与えた。DMSO中の31P-NMRは、4.3パルス/分の単一ピークを与えた。H-デカップル化13C-NMR実験は、阻害剤と帰属された12個の特有の炭素種を与えた。
エレクトロスプレイ質量分析は、355の質量/イオン電荷(質量+プロトン)を示し、これは、354の2'-PPの計算分子量と一致した。
2'-PPは、100 mMのテトラメチルアンモニウム重炭酸塩で平衡化したイオン交換カラムを通過させ、減圧濃縮し、10 mM DNFBに添加した。反応を23℃で4時間攪拌し、クロロホルム:メタノール (70%: 30%) でのシリカゲルカラム溶出で反応物を洗浄した。フラクションを乾燥し、0.1 M NaOHで沈殿させた。沈殿を集め、セファデックスG-10でバッファ交換し、減圧濃縮した。
実施例2 フッ化水素酸を用いる2'-フルオロホスホフロレチン (2'-FPP) の合成
2'-FPPの別の合成は、フッ化水素酸をDNFBと置換することによって行った。
1 mlのDMFに溶解した20 mgの2'-PPから出発して、0.1 mlの0.1 M HFを加え、当該溶液を23℃で2時間静置した。反応混合物を冷却し、12 N NaOHでpH 8に中和した。沈殿した生成物は、100 mM TMAHCO3で平衡化したセファデックスG-10を通過させ、凍結乾燥した。
2'-FPPの純度は、クロロホルム:メタノール (7:3) 又はクロロホルム:3-プロパノール (8:2) を用いて薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって試験した。TLC後の2'-FPPの分析は、フロレチンと2'-PPとを比較することによって行った。TLCプレートは、フィスケ・サバロウ反応によってリン酸塩を試験し、ジルコニウム-アリザリンレーキHClでフッ素化した。アリザリンレーキとの陽性反応は、60℃で1時間、TLCを加熱することを必要とした。1H-NMR (d6-DMSO) δ 10.7 (s, 1H); 9.3, (s, 1H); 7.17 (t, 2H J=8.6 Hz), 6.8 (t, 2 H); 6.6 (d, 2H, J=8.4 Hz), 3.2 (t, 2H, J=2 Hz); 2.9 (t, 2H, J=2.1 Hz); 1.9 (弱一重項) ppm。
実施例A: Na-依存性[32P]リン酸塩取り込みに対する2'-FPPの効果
小腸刷子縁膜(先端)小胞へのNa-依存性[32P]リン酸塩取り込みは、100 mM Na又は100 mM K cis (内部) 指向グラジエントの存在下で、迅速混合濾過実験及びフィルター維持カウントの液体シンチレーション計数を用いて試験した。2'-PP及び2'-FPPはいずれも、小腸刷子縁膜小胞へのNa-依存的リン酸塩取り込みを阻害した。2'-FPPは、Na-依存性リン酸塩取り込みを阻害する2'-PPよりも12倍強力であった。2'-PPの見掛けIC50は、46 nM±8 nM (n=4) であり、これは前の結果と同様であった (Peerce他, Biochem. Biophys. Res. Comm. 301: 8-12, 2003; Peerce and Clarke, AM. J. Physiol. 283: G848-G855, 2002)。2'-FPPのIC50は、3.6 nM±0.6 nM (n=4) であった。
実施例B: ラットアルカリホスファターゼ及び小腸BBMVホスファターゼによるp-ニトロリン酸塩加水分解に対するホスホフロレチンの効果
実施例Aに記載の結果は、2'-FPPに対する、小胞及び基質の3秒の曝露、及び小胞の5分の曝露を使用した。2'-FPPと比べた2'-PPの前記曝露及び分解は、2'-PPと比べた2'-FPPの増加した効力の原因となり得た。この可能性を試験するために、ラットアルカリホスファターゼ及び小腸BBMVホスファターゼによる、p-ニトロホスファターゼ加水分解に対するホスホフロレチンの効果を試験した。
2'-PPは、2'-FPPよりも、アルカリホスファターゼ活性及び小腸BBMVホスファターゼ活性の優れた阻害剤である。2 mM 2'-PPは、2'-FPPによる10%未満の阻害と比べて、小腸BBMVホスファターゼ活性の約50%阻害をもたらした。Na-依存性リン酸塩取り込みの阻害剤としての2'-PPの効力が2'-PPのホスファターゼ介在加水分解によって制限されたという解釈に一致して、アルカリホスファターゼ阻害剤の添加(アスコルビン酸+システイン)は、Na-依存性リン酸塩取り込みの2'-PP阻害についてIC50を34%減少させた (38 nM〜26 nM)。これらの結果は、2'-PPと比べて、2つの因子は、阻害剤又は小腸刷子縁膜小胞へのNa-依存性リン酸塩取り込みとしての2'-FPPの増加した効力の原因となっている、ことを示している:1) リン酸エステルのホスファターゼ触媒分解に対する2'-FPPの増加した抵抗性、及び2) リン酸塩と比べた、小腸Na-リン酸塩コトランスポータのリン酸塩部位に対するフルオロリン酸塩の増加した親和性。
実施例C: 2'-FPP及び2'-PPへのラット小腸の単一曝露の効果の持続期間
リン酸塩取り込みに対する2'-FPPの単一投薬量の効果の持続期間を試験するために、小腸ストリップを切断し(約5 cm四方)、2'-FPP又は2'-PPの存在下に1時間、12ウェル細胞培養プレートでインキュベートし、新鮮DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、[32P]リン酸塩及び変化する濃度の2'-FPP又は2'-PPに曝露した。
2'-PPへの単一曝露は、リン酸塩取り込みの60%超阻害をもたらし、当該阻害は6時間の投薬後曝露の間、安定であった。反対に、2'-PPへの曝露は、リン酸塩取り込みの40%阻害をもたらし、これは、6時間の投薬後曝露の間、35%未満の阻害に減少した。グルコース曝露は、2'-PP又は2'-FPPのいずれかへの曝露によって影響を受けなかった、このことは、ホスホフロレチンがNa-リン酸塩共輸送に特異的であり、小腸ストリップが実験中生存できたという前の報告と一致する。
これらの実験は、リン酸塩取り込みに対する2'-FPP濃度の効果を試験するために拡張した。
ラット十二指腸/空腸小腸ストリップ1 cm四方を、37℃及び5% C02で1時間、DMEM中でインキュベートした。インキュベーション後、2'-FPPを含むDMEMを交換し、ストリップを更に1時間インキュベートした。2'-FPPへの曝露の1時間後、DMEMを新鮮培地 + 5 μCiの[32P]リン酸塩と交換した。当該ストリップを1時間、トレーサリン酸塩に曝露し、10% TCAで再沈殿し、5000 gで30分間遠心した。上清のアリコートをシンチレーション計数のために取った。
小腸でのNa-依存的リン酸塩取り込みは、Na-依存的及びNa-非依存的成分の両方から成る。十二指腸及び空腸へのNa-依存的取り込みは、約70% Na-依存的、及び30% Na-非依存的なリン酸塩取り込みである。この結果は、小腸刷子縁膜ナトリウム/リン酸塩コトランスポータ、NaPi 2b、によって作動されるNa-依存的成分を阻害する2'-FPPと一致する。最大阻害は、総リン酸塩吸収の67%±5% (n=4) であった。2'-FPPについての見掛けのIC50は、160 nM±20 nM (n=4) であった。これは、2'-PPについて43±6% (n=3) の同一条件下での最大阻害、及びIC50の15 μM±3 μM (n=3) に匹敵する。
実施例D:
正常な腎機能を有する4〜5ヶ月齢成人ラットにおける血清リン酸塩及び血清カルシウムに対する2'-FPPの効果を試験した。ラットに、3 mlの0.5 μM 2'-FPPのリン酸緩衝生理食塩水 pH 7で、毎日、チューブによる栄養を補給した。約30分後、ラットを3時間、餌を与えた。食餌時間後、餌を除いた。ラットに任意に水を与えた。実験の3日目に、チューブによる栄養補給の前に血液を尾静脈から採取した。次いで、上記のように、動物にチューブによる栄養補給を行い、食餌を与えた。このプロセスを5、8、11及び14日目に繰り返した。14日目に、動物を屠殺し、実験を終了した。臨床キットを用いて血清リン酸塩、カルシウム及びBUNを決定した。
血清リンは、2'-FPPでの処置の第1週内に、正常腎機能を有する成人ラットにおいて、52% ± 6% (n= 8) 減少した、そして2週間実験の残りについては3 mg/dLで安定なままであった。血清Ca2+は、2'-FPPへの2週間曝露中、2.5%未満減少する2'-FPPによって影響を受けなかった。BUNは、実験の開始に10 mg/dlであり、実験過程で変化しなかった。25 μM 2'-PPで行った同一の条件下での前の実験は、血清リン酸塩中で30%±4%の減少を示したが、血清Ca2中では変化がなかった。

Claims (35)

  1. 式I:
    Figure 2013521337
    [式中、
    RはC2-4アルキルであり;
    Wは、NRA、O及びSから選択され;
    Zは、単結合、-C(O)-、NRA、0及びSから選択され;
    X1及びX2は各々独立に-OH、-NHRA及び-C(0)OHから選択され;
    RAは、H又はC1-3アルキルであり;
    mは、1、2、3又は4であり;そして、
    nは、1、2、3又は4である。]
    で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
  2. Rが-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  3. WがNRA及びOから選択される、請求項1又は2記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  4. WがOである、請求項1又は2記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  5. Zが単結合及び-C(0)-から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  6. Zが-C(0)-から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  7. X1及びX2が各々独立にOH及びNH2から選択される、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  8. X1及びX2が共にOHである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  9. nが1又は2である、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  10. mが1又は2である、請求項1〜9いずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  11. mが2であり、nが1である、請求項1〜10いずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  12. Rが-CH2-CH2-であり、Zが-C(0)-である、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  13. WがOであり、X1及びX2が共にOHである、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  14. 下記式:
    Figure 2013521337
    で表される化合物である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  15. 下記式:
    Figure 2013521337
    の化合物である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  16. 請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  17. 哺乳動物対象における高い血中リン酸塩レベルによって起こる又はそれに関連する疾患を治療するための方法であって、血中リン酸塩レベルの減少が望ましい対象を同定し、式I:
    Figure 2013521337
    の化合物の治療上有効量を当該対象に投与することを含む、方法。
  18. 前記対象が哺乳動物である、請求項17記載の方法。
  19. 前記対象がヒトである、請求項17記載の方法。
  20. 前記化合物が経口的に投与される、請求項17記載の方法。
  21. 投与される化合物が、下記式:
    Figure 2013521337
    の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項17記載の方法。
  22. 高い血中リン酸塩レベルによって起こる又はそれに関連する疾患の治療を必要とする患者における当該疾患を治療するための方法であって、請求項1記載の化合物又は組成物の治療上有効量を当該患者に投与することを含む、方法。
  23. 前記疾患が慢性腎不全である、請求項22記載の方法。
  24. 前記慢性腎不全が、高リン酸塩血症、二次性副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、高血圧症、代謝性アシドーシス又は心臓病に関連し及び/又はそれを伴う、請求項23記載の方法。
  25. 前記合物が、下記式:
    Figure 2013521337
    の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項22記載の方法。
  26. 式I:
    Figure 2013521337
    [式中、
    RはC2-4アルキルであり;
    Wは、NRA、O及びSから選択され;
    Zは、単結合、-C(O)-、NRA、0及びSから選択され;
    X1及びX2は各々独立に-OH、-NHRA及び-C(0)OHから選択され;
    RAは、H又はC1-3アルキルであり;
    mは、1、2、3又は4であり;そして、
    nは、1、2、3又は4である。]
    の化合物又はその薬学的に許容される塩の製造法であって、以下:
    a) 式I-1:
    Figure 2013521337
    (Pr1及びPr2は、保護基である)
    の化合物からPr2中のPr1を除いて、式I-2:
    Figure 2013521337
    の化合物を製造し、
    b) 式I-2の化合物をリン酸化剤と反応させて、式I-3:
    Figure 2013521337
    の化合物を製造し、
    c) 還元剤を用いて式I-3の化合物からPr2を除いて、式I-4:
    Figure 2013521337
    の化合物を製造し、
    d) 式I-4の化合物をフッ素化剤と反応させて、式Iの化合物を製造すること、
    を含む、方法。
  27. Pr1
    Figure 2013521337
    である、請求項26記載の方法。
  28. Pr2がベンジルである、請求項26記載の方法。
  29. 前記リン酸化剤が亜リン酸エステルである、請求項26記載の方法。
  30. 前記亜リン酸エステルがジベンジル亜リン酸塩である、請求項29記載の方法。
  31. 前記リン酸化剤がホスホン酸である、請求項26記載の方法。
  32. 前記ホスホン酸がフルオロホスホン酸である、請求項31記載の方法。
  33. 前記還元剤が、水素ガス及び遷移金属からなる、請求項26記載の方法。
  34. 前記フッ素化剤がジニトロフルオロベンゼンである、請求項26記載の方法。
  35. 前記フッ素化剤がフッ化水素酸である、請求項26記載の方法。
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