JP2013516984A - 試料中の異常核酸の増幅を確実にするための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般には、試料中の核酸全体の一部として存在する異常核酸の増幅を確実するための方法に関する。ある実施形態においては、本発明の方法は、被験体からの試料を提供すること(ここで、試料は核酸全体を含み、全体の一部は異常核酸である)、核酸全体を試料から抽出すること、抽出された核酸を定量的に分析し、それによって試料中の増幅可能な核酸の量を決定すること、および増幅反応のために核酸を、試料中の異常核酸の増幅を確実にする量で提供すること(ここで、提供される量は定量的分析工程の結果に基づく)を含む。
Description
(関連出願)
この発明は2010年1月19日に出願された米国特許出願番号第12/689,597号(本出願)の利益、およびこの出願への優先権を主張する。上記出願の全容は、参考として本明細書に援用される。
この発明は2010年1月19日に出願された米国特許出願番号第12/689,597号(本出願)の利益、およびこの出願への優先権を主張する。上記出願の全容は、参考として本明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明は、一般には、試料中の核酸全体の一部として存在する異常核酸の増幅を確実にするための方法に関する。
本発明は、一般には、試料中の核酸全体の一部として存在する異常核酸の増幅を確実にするための方法に関する。
(背景)
体液からの核酸分子を変異の存在について分析することに依存するアッセイが開発されており、このことは、がんなどのある種の疾患の早期診断を導いている。しかし、典型的な体液試料においては、大多数の核酸は分解しており、目的とする変異を含む任意の変化した核酸は、体液試料中の核酸総量に対して少量(例えば1%未満)で存在する。その結果、確率的なサンプリングバイアスによる、少量の異常核酸の検出の失敗を生じる。
体液からの核酸分子を変異の存在について分析することに依存するアッセイが開発されており、このことは、がんなどのある種の疾患の早期診断を導いている。しかし、典型的な体液試料においては、大多数の核酸は分解しており、目的とする変異を含む任意の変化した核酸は、体液試料中の核酸総量に対して少量(例えば1%未満)で存在する。その結果、確率的なサンプリングバイアスによる、少量の異常核酸の検出の失敗を生じる。
試料中の異常核酸を検出するために、典型的には増幅反応が行われる。しかし、増幅反応の確率的な性質のために、試料中に少量存在する分子集団が見落とされることが多い。実際、希少核酸が最初の数回の増幅で増幅されない場合、この希少事象が確実に検出されるという可能性はますます低くなる。したがって、結果として得られる偏った増幅後の核酸集団は、それが得られた試料の真の状態を表していない。
確率的なサンプリングを回避するために、異常核酸が増幅後の集団中に確実に示されるように、増幅反応に供給する必要がある核酸分子の適切な量を決定するための増幅前プロトコルが企てられている。一般に、体液からの核酸は精製され、試料中の核酸全体の濃度が測定される。試料中の核酸の総濃度を使用して、異常核酸が増幅前および増幅後の反応物中に示される可能性を増加させるのに必要な核酸量を決定する。
試料調製物からの予想核酸収量を決定する標準方法は、試料中に存在する核酸の総量を(例えば、光学濃度測定に基づいて)決定することである。しかし、この方法は、核酸全体を示すものであって、少量の異常核酸にアクセスするのに重要である増幅可能な集団を示すものではない。
本発明は、一般には、試料からの異常核酸の増幅を確実にするための方法に関する。本発明の方法は、試料中の核酸の総量を単に決定することを越えて、増幅に使用可能な核酸のベースラインを提供する。これらの方法は、核酸集団すべて(例えば、正常および変異)が、使用可能な量の核酸生成物を生成する増幅を使用したアッセイにおいて、確実に示されるようにする。本質的に、本発明の方法は、確率的なサンプリングバイアスを伴わずに、不均一試料における異常核酸の小集団の検出を可能にする。
本発明の方法は、後続の増幅反応のために増幅可能な核酸のベースラインを提供する。本発明の方法を使用すると、試料中に存在する核酸種の多様性の分析に十分な核酸集団が確保される。好ましい方法は、調査(interrogation)のために代表的な量の異常核酸が存在することを確実にするのに必要とされる、核酸のベースライン量を確立するための、試料中の増幅可能な核酸全体の定量化を含む。増幅可能な核酸を定量化するのに任意の公知の方法を使用することができる。しかし、好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)、特に定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR:quantitative polymerase chain reaction)である。
本発明の方法は、核酸を試料から抽出することを含むことができる。核酸抽出は、当該技術分野で公知の任意の方法によって達成される。例えば、Maniatis,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.280−281(1982)を参照されたい。ある実施形態においては、試料をアフィニティーカラムに適用し、それによって核酸をカラムに結合させ、次いで結合核酸をカラムから溶出させる。
ある実施形態においては、試料は細胞外循環核酸分子を含む。別の実施形態においては、核酸は部分的に分解している。別の実施形態においては、異常核酸は、試料中の核酸分子の総量の約1%以下で存在する。一般に、異常核酸分子は、がんなどの疾患を示す。例示的ながんとしては、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、頚部、乳房、胃、卵巣、食道、頸、頭部、皮膚、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肝臓、肺、膣、甲状腺、がん腫、肉腫、グリア芽細胞腫、多発性骨髄腫、血液または胃腸が挙げられる。
本発明の別の一態様は、確率的なバイアスを伴わずに異常核酸の検出を可能にする量の核酸全体を含む試料の分析を含む、被験体における疾患を診断するための方法を提供する。この方法は、さらに、核酸全体を試料から抽出すること、抽出核酸を定量的に分析すること、およびそれによって疾患の徴候の存在の更なる分析に有用である試料中の増幅可能な核酸分子の量を決定することを含むことができる。
(発明の詳細)
本発明は、一般には、代表的な増幅可能な核酸集団を不均一試料から提供するための方法に関する。本発明の方法は、不均一な核酸集団を含む任意の試料に適用可能である。
本発明は、一般には、代表的な増幅可能な核酸集団を不均一試料から提供するための方法に関する。本発明の方法は、不均一な核酸集団を含む任意の試料に適用可能である。
本発明の方法は、異常または変異配列の検出に特に有用である。異常または変異核酸は、がんまたは前がん細胞を示す。本発明は、任意の特定のタイプの異形の検出に限定されず、変異は、付加変異、付加−欠失変異、欠失変異、フレームシフト変異、ミスセンス変異、点変異、読み枠シフト変異、復帰変異、転位変異および転換変異、並びにマイクロサテライト変化を含めて、多数の形態を取り得る。
ある実施形態においては、異常核酸分子は、がんなどの疾患を示す。がんを示す変異は、当該技術分野で公知である。例えば、Hesketh(The Oncogene Facts Book,Academic Press Limited,1995)を参照されたい。
試料は、ほ乳動物試料、例えば、ヒトの組織または体液とすることができる。本発明のある方法は、さらに、核酸全体を試料から抽出することを含む。一般に、核酸は、参照によりその全体が本明細書に援用されるManiatis,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.280−281,1982)によって記述されたものなどの種々の技術によって生物試料から抽出される。ある実施形態においては、抽出は、試料をアフィニティーカラムに導入し、それによって試料中の核酸分子をカラムに結合させること、および結合した核酸分子をカラムから溶出させ、それによって核酸分子を試料から抽出することを含む。例えば、Abdalla et al.(Application Note 10,DNA Sample Preparation:Isolation of DNA from as Little as 25μL of Urine Using Norgen’s Urine DNA Isolation Kit)を参照されたい。
抽出後、核酸を定量化して、増幅可能な核酸の量を決定する。増幅可能な核酸を定量化するのに任意の公知の方法を使用することができる。しかし、好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特に定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)である。QPCRは、ポリメラーゼ連鎖反応に基づく技術であり、標的核酸分子を増幅し、同時に定量化するのに使用される。QPCRは、DNA試料中の特定の配列の検出と定量化(絶対的複製数としての、またはDNA入力もしくは追加の正規化遺伝子に対して正規化されたときの相対量としての)の両方を可能にする。手順は、ポリメラーゼ連鎖反応の一般的原理に従い、更なる特徴として、増幅されたDNAは、各増幅サイクル後にリアルタイムで、反応物中に蓄積される際に定量化される。QPCRは、例えば、Kurnit et al.(米国特許第6,033,854号)、Wang et al.(米国特許第5,567,583号および同5,348,853号)、Ma et al.(The Journal of American Science,2(3),2006)、Heid et al.(Genome Research 986−994,1996)、SambrookおよびRussell(Quantitative PCR,Cold Spring Harbor Protocols,2006)、ならびにHiguchi(米国特許第6,171,785号および同5,994,056号)に記載されている。これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
2つの一般的定量化方法、(1)二本鎖DNAに挿入される蛍光色素の使用、および(2)相補DNAとハイブリッドを形成すると蛍光を発する修飾DNAオリゴヌクレオチドプローブがある。第1の方法では、DNA結合色素は、PCRにおいて二本鎖(ds)DNAすべてに結合し、色素の蛍光を発する。したがって、PCR中のDNA産物の増加は、蛍光強度を増加させ、これは、各サイクルで測定され、したがってDNA濃度を定量化することができる。反応物は標準PCR反応物と同様に調製されるが、蛍光(ds)DNA色素が追加される。反応は、サーマルサイクラー中で実施され、各サイクル後に、蛍光レベルが検出器によって測定される。色素は、(ds)DNA(すなわち、PCR産物)に結合したときにのみ蛍光を発する。標準希釈物を基準にして、PCRにおける(ds)DNA濃度を測定することができる。他のリアルタイムPCR法と同様に、得られた値は、それに付随する絶対的単位をもたない。測定されたDNA/RNA試料と標準希釈物との比較から、標準に対する試料の割合または比が得られ、異なる組織または実験条件間の相対比較が可能になる。定量化の精度を保証するために、安定的に発現される遺伝子に対して標的遺伝子の発現を正規化することが重要である。これによって、試料間の核酸の量または質における起こり得る差を補正することができる。
第2の方法は、配列特異的RNAまたはDNAベースのプローブを使用して、プローブ配列を含むDNAのみを定量化する。したがって、レポータープローブを使用すると特異性が顕著に増加し、多少の非特異的DNA増幅の存在下でも定量化することができる。そのため、遺伝子すべてが類似した効率で増幅されるのであれば、多重増幅(multiplexing)、すなわち、同じ反応において異なる色の標識を有する特異的プローブを使用することによって幾つかの遺伝子をアッセイすることができる。
この方法は、一般に、蛍光レポーター(例えば、6−カルボキシフルオレセイン)をプローブの一端に有し、蛍光のクエンチャー(例えば、6−カルボキシ−テトラメチルローダミン)を反対側の端に有する、DNAベースのプローブを用いて実施される。レポーターがクエンチャーに近接すると、その蛍光の検出が妨げられる。ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)の5’から3’方向のエキソヌクレアーゼ活性によってプローブが破壊されると、レポーター−クエンチャーの近接が打破され、したがって蛍光発光がクエンチされずに検出される。各PCRサイクルにおいてレポータープローブによって標的とされる産物が増加すると、プローブの破壊とレポーターの遊離によって、蛍光が比例して増加することになる。反応物は標準PCR反応物と同様に調製されるが、レポータープローブが追加される。反応が開始すると、PCRのアニーリング段階中にプローブとプライマーの両方がDNA標的にアニールされる。新しいDNA鎖の重合はプライマーから出発し、ポリメラーゼがプローブに達すると、その5’−3’−エキソヌクレアーゼがプローブを分解し、蛍光レポーターをクエンチャーから物理的に分離させて、蛍光が増加する。蛍光はリアルタイムPCRサーマルサイクラー中で検出され、測定され、産物の指数関数的増加に対応する蛍光の幾何的増加を利用して、各反応における閾値サイクルを決定する。
反応の指数関数期中、存在するDNAの相対濃度は、蛍光をサイクル数に対して対数スケールでプロットすることによって決定される(したがって、指数関数的に増加する量は直線になる)。バックグラウンドを超える蛍光の検出のための閾値が決定される。試料の蛍光が閾値を超えるサイクルは、サイクル閾値Ctと呼ばれる。DNA量は指数関数期中はサイクルごとに倍加するので、DNA相対量を計算することができる。例えば、Ctが他よりも3サイクル早い試料は、23=8倍テンプレートが多い。核酸(例えば、RNAまたはDNA)の量は、次いで、既知量の核酸の連続希釈物(例えば、非希釈物、1:4、1:16、1:64)のリアルタイムPCRによって作成される標準曲線と結果とを比較することによって決定される。
ある実施形態においては、QPCR反応は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescence resonance energy transfer)を利用する二重フルオロフォア手法、例えば、2種類のオリゴヌクレオチドプローブがアンプリコンにアニールするLIGHTCYCLERハイブリダイゼーションプローブを含む(例えば、米国特許第6,174,670号参照)。オリゴヌクレオチドは、効率的なエネルギー移動に適合した距離で分離されたフルオロフォアと、頭−尾配向(head−to−tail orientation)でハイブリダイズするように設計される。核酸に結合したとき、または伸長産物に組み込まれたときに、シグナルを発するように構成された標識オリゴヌクレオチドの別の例としては、SCORPIONSプローブ(例えば、Whitcombe et al.,Nature Biotechnology 17:804−807,1999および米国特許第6,326,145号)、Sunrise(またはAMPLIFLOUR)プライマー(例えば、Nazarenko et al.,Nuc.Acids Res.25:2516−2521,1997および米国特許第6,117,635号)、およびLUXプライマーとMOLECULAR BEACONSプローブ(例えば、Tyagi et al.,Nature Biotechnology 14:303−308,1996および米国特許第5,989,823号)が挙げられる。
別の実施形態においては、QPCR反応は、蛍光Taqman法、および蛍光をリアルタイムで測定可能な機器(例えば、ABI Prism 7700 Sequence Detector)を使用する。Taqman反応は、2つの異なる蛍光色素で標識されたハイブリダイゼーションプローブを使用する。一方の色素はレポーター色素(6−カルボキシフルオレセイン)であり、他方はクエンチング色素(6−カルボキシ−テトラメチルローダミン)である。プローブがインタクトであると、蛍光エネルギー移動が起こり、レポーター色素蛍光発光がクエンチング色素によって吸収される。PCRサイクルの伸長期中に、蛍光ハイブリダイゼーションプローブが、DNAポリメラーゼの5’−3’核酸分解(nucleolytic)活性によって切断される。プローブが切断されると、レポーター色素発光はもはやクエンチング色素に効率的に移動されず、その結果として、レポーター色素蛍光発光スペクトルが増加する。
本発明の方法は、試料中の核酸の総量を単に決定することを越えて、増幅に使用可能な核酸のベースラインを提供する。これらの方法は、核酸集団すべて(例えば、正常および変異)が、使用可能な量の核酸生成物を生成する増幅を使用したアッセイにおいて確実に示されるようにする。
QPCR反応は、後続の増幅反応のために増幅可能な核酸のベースラインを提供する。本発明の方法は、試料中の核酸の総量を単に決定することを越えて、増幅に使用可能な核酸のベースラインを提供する。これらの方法は、核酸集団すべて(例えば、正常および変異)が、使用可能な量の核酸生成物を生成する増幅を使用したアッセイにおいて確実に示されるようにする。
増幅とは、核酸配列の追加のコピーの産生を指し、一般に、ポリメラーゼ連鎖反応または当該技術分野で周知である別の技術を使用して実施される(例えば、Dieffenbach and Dveksler,PCR Primer,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.[1995])。増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、ポリメラーゼ連鎖反応−一本鎖高次構造多型、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、および制限酵素断片長多型など、核酸分子を増幅する当該技術分野で公知の任意の増幅反応とすることができる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とは、クローン化または精製なしに、ゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増加させる、K.B.Mullis(参照により本明細書に援用される米国特許第4,683,195号および同4,683,202号)による方法を指す。標的配列を増幅するプロセスは、所望の標的配列を含むDNA混合物に過剰のオリゴヌクレオチドプライマーを導入することと、それに続くDNAポリメラーゼの存在下での正確な順序のサーマルサイクリングを含む。プライマーは、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的である。
増幅を行うために、混合物を変性させ、次いでプライマーを標的分子内のその相補配列にアニールさせる。アニーリング後、新しい相補鎖対を形成するように、プライマーをポリメラーゼで伸長させる。変性、プライマーアニーリングおよびポリメラーゼ伸長の工程を多数回繰り返して(すなわち、変性、アニーリングおよび伸長は1サイクルを構成し、多数のサイクルが存在し得る)、所望の標的配列の高濃度の増幅セグメントを得ることができる。所望の標的配列の増幅セグメントの長さは、プライマーの互いに対する相対位置によって決まり、したがって、この長さは制御可能なパラメータである。
PCRでは、ゲノムDNA中の特定の標的配列の単一コピーを、幾つかの異なる方法(例えば、染色、標識プローブとのハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマーの組み込み、続くアビジン−酵素結合体検出;増幅セグメントへのdCTPまたはdATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の組み込み)によって検出することができるレベルに増幅することができる。ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチド配列を、適切なプライマー分子セットを用いて増幅することができる。特に、PCRプロセス自体によって作製される増幅セグメントは、それ自体が、後続のPCR増幅の効率的テンプレートである。増幅された標的配列を使用して、組換えベクターに挿入されるDNA(例えば、遺伝子)のセグメントを得ることができる。
別の増幅方法および戦略を利用して、生物学的液体中の核酸を検出することもできる。例えば、別の一手法は、PCRとリガーゼ連鎖反応(LCR:ligase chain reaction)を組み合わせたものである。PCRは、LCRよりも速く増幅し、開始するのに標的DNAの少数のコピーしか必要としないので、LCRの前の第一工程としてPCRを使用することができる。次いで、増幅産物をLCRまたはリガーゼ検出反応(LDR)に対立遺伝子特異的様式で使用し、変異が存在したか否かを示すことができる。別の一手法は、増幅と対立遺伝子特異的識別の両方にLCRまたはLDRを使用する。後者の反応は、線形増幅をもたらす点で有利である。したがって、増幅産物の量は、もともとの検体中の標的DNA量を反映し、したがって定量化することができる。
LCRは、標的配列の全長に相補的である隣接オリゴヌクレオチドの対を利用する(Barany F.(1991)PNAS88:189−193;Barany F.(1991)PCR Methods and Applications 1:5−16)。標的配列がプライマー配列の接合部においてプライマーに完全に相補的である場合、DNAリガーゼは、隣接3’と5’の末端ヌクレオチドを連結し、結合配列を形成する。熱安定性DNAリガーゼをサーマルサイクリングに使用すると、結合配列が逐次的に増幅される。オリゴヌクレオチドの接合部における一塩基ミスマッチは、ライゲーションおよび増幅を妨げる。したがって、プロセスは対立遺伝子特異的である。変異体に特異的な3’ヌクレオチドを有する別のオリゴヌクレオチドセットは、変異対立遺伝子を特定する別の反応に使用される。一連の標準条件を使用して、任意の公知の部位における可能な変異すべてを検出することができる。LCRは、典型的には、ゲノムDNAの両方の鎖を、4種類のプライマーとのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの標的として利用し、その産物は繰り返しのサーマルサイクリングによって指数関数的に増加する。
この反応の一変形は、標的DNAに相補的であり、DNAリガーゼによって同様に連結される、2個の隣接するオリゴヌクレオチドを利用するリガーゼ検出反応(LDR)である(Barany F.(1991)PNAS88:189−193)。複数のサーマルサイクリング後、産物は線形様式で増幅される。したがって、LDRの産物量は標的DNA量を反映する。プライマーの適切な標識化によって、増幅産物を対立遺伝子特異的様式で検出することができ、もともとの標的DNA量を定量化することができる。このタイプの反応の一利点は、自動制御で定量化できることである(Nickerson et al.(1990)PNAS87:8923−8927)。
本発明の方法は、さらに、異常核酸分子を検出することを含むこともできる。検出は、当該技術分野で公知の任意の方法によることができる。例示的一方法は、異常核酸分子に結合する光学的に標識されたプローブ、例えば蛍光標識プローブを使用すること、次いで異常核酸分子に結合した標識プローブを検出することを含む。かかる方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、Lapidus et al.(米国特許第5,670,325号および同5,928,870号)およびShuber et al.(米国特許第6,203,993号および同6,214,558号)を参照されたい。
(参照による援用)
特許、特許出願、特許公報、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書への参照およびこれらの引用が、本開示を通してなされた。かかる文書はすべて、参考としてその全体が本明細書に援用される。
特許、特許出願、特許公報、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書への参照およびこれらの引用が、本開示を通してなされた。かかる文書はすべて、参考としてその全体が本明細書に援用される。
(均等物)
本発明は、その精神や本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的形態で具現化することができる。したがって、上記実施形態は、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示とみなすべきである。したがって、本発明の範囲は、上記明細書の記載ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって特許請求の範囲の意味および均等範囲に属する変更はすべて、本発明の範囲に包含されるものとする。
本発明は、その精神や本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的形態で具現化することができる。したがって、上記実施形態は、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示とみなすべきである。したがって、本発明の範囲は、上記明細書の記載ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって特許請求の範囲の意味および均等範囲に属する変更はすべて、本発明の範囲に包含されるものとする。
Claims (29)
- 試料中の核酸全体の一部として存在する異常核酸の増幅を確実にするための方法であって、該方法は、
被験体からの試料を提供する工程であって、ここで該試料は核酸全体を含み、該全体の一部は異常核酸である、工程、
該核酸全体を該試料から抽出する工程、
該抽出された核酸を定量的に分析して、該試料中の増幅可能な核酸の量を決定する工程、および
増幅反応のために該増幅可能な核酸を、該試料中の該異常核酸の増幅を確実にする量で提供する工程であって、ここで該提供される量は該定量的分析工程の結果に基づく、工程
を含む、方法。 - 定量的分析工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)を実施する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応である、請求項1に記載の方法。
- 抽出工程が、
前記試料をアフィニティーカラムに導入し、前記核酸を該カラムに結合させる工程、および
該結合した核酸を該カラムから溶出させる工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記増幅反応を実施して、前記異常核酸を増幅する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記異常核酸を検出する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
- 正常核酸および前記異常核酸が無細胞循環核酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記無細胞循環核酸が部分的に分解した核酸である、請求項7に記載の方法。
- 前記異常核酸が、前記試料中の前記核酸全体の約1%以下として存在する、請求項1に記載の方法。
- 前記試料が組織または体液である、請求項1に記載の方法。
- 前記体液が、血液、血清、血漿、尿、脊髄液、リンパ液、精液、膣分泌物、腹水、唾液、粘膜分泌物および腹膜液からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記異常核酸が疾患を示すものである、請求項1に記載の方法。
- 前記疾患ががんである、請求項12に記載の方法。
- 前記がんが、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、頚部、乳房、胃、卵巣、食道、頸、頭部、皮膚、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肝臓、肺、膣、甲状腺、がん腫、肉腫、グリア芽細胞腫、多発性骨髄腫、血液または胃腸からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
- 体液中の無細胞循環核酸全体の一部として存在する無細胞循環異常核酸の増幅を確実にするための方法であって、該方法は、
被験体からの体液を提供する工程であって、ここで該体液は無細胞循環核酸全体を含み、該全体の一部は異常核酸である、工程、
該無細胞循環核酸全体を該体液から抽出する工程、
該抽出された核酸に対して定量的ポリメラーゼ連鎖反応を実施して、該体液中の増幅可能な核酸の量を決定する工程、および
ポリメラーゼ連鎖反応のために該増幅可能な核酸を、該体液中の該異常核酸の増幅を確実にする量で提供する工程であって、ここで該提供される量は該定量的ポリメラーゼ連鎖反応の結果に基づく、工程
を含む、方法。 - 前記ポリメラーゼ連鎖反応を実施して、前記異常核酸を増幅する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
- 前記ポリメラーゼ連鎖反応が、内部QPCR対照の存在下で実施される、請求項16に記載の方法。
- 前記異常核酸を検出する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
- 前記異常核酸が、前記体液中の前記核酸全体の分子の約1%以下として存在する、請求項15に記載の方法。
- 前記体液が、血液、血清、血漿、尿、脊髄液、リンパ液、精液、膣分泌物、腹水、唾液、粘膜分泌物および腹膜液からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
- 前記無細胞循環核酸全体が部分的に分解した核酸を含む、請求項15に記載の方法。
- 被験体における疾患を診断する方法であって、該方法は、
被験体からの試料を提供する工程であって、ここで該試料は核酸全体を含み、該全体の一部は疾患を示す異常核酸である、工程、
該核酸全体を該試料から抽出する工程、
該抽出された核酸を定量的に分析して、該試料中の増幅可能な核酸の絶対量を決定する工程、
増幅反応のために該増幅可能な核酸を、該試料中の該異常核酸の増幅を確実にする量で提供する工程であって、ここで該提供される量は該定量的分析工程の結果に基づく、工程、
該増幅反応を実施する工程、および
該増幅された核酸を検出する工程であって、ここで該異常核酸の検出は該疾患の存在を示す、工程
を含む、方法。 - 定量的分析工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)を実施する工程を含む、請求項22に記載の方法。
- 前記増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応である、請求項23に記載の方法。
- 正常核酸および前記異常核酸が無細胞循環核酸である、請求項22に記載の方法。
- 前記試料が組織または体液である、請求項22に記載の方法。
- 前記体液が、血液、血清、血漿、尿、脊髄液、リンパ液、精液、膣分泌物、腹水、唾液、粘膜分泌物および腹膜液からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
- 前記疾患ががんである、請求項22に記載の方法。
- 前記がんが、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、頚部、乳房、胃、卵巣、食道、頸、頭部、皮膚、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肝臓、肺、膣、甲状腺、がん腫、肉腫、グリア芽細胞腫、多発性骨髄腫、血液または胃腸からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
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