JP2013507920A - 高カロテノイド食品の酸化および異臭を防止する方法 - Google Patents
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Abstract
比較的高いレベルのカロテノイドを含む乾燥食品を維持するとともに、その貯蔵寿命を向上させる方法が開示されている。その方法は、カロテノイドおよび多価不飽和脂肪酸の酸化を防止するため、アスコルビン酸カルシウムを使用する。本処理は、ニンジン搾りかすパウダーなどの処理済み乾燥食品材料を製造するために使用し得る。この乾燥食品材料は、後に再び水を加えられてカロテノイドが豊富な生地(dough)として使用し得る上、押し出し加工(extruding)、シーティング(sheeting)、または他の成形方法により形つくられるとともに、カットされて予備成形物とされ、そのまま食べられる常温保存可能なスナック食品に熱的に加工される。本処理は、スライスされたニンジンなどの生の食品材料から熱的に加工されて製造されるスナック食品の貯蔵寿命を向上させるためにも使用し得る。
Description
本発明は、高カロテノイド食品の酸化および異臭を防止する方法に関する。
色や香りは、消費者がスナック食品に期待する2つの感覚特性である。好ましい色を食品にもたらす天然化合物のうちの多くは、栄養学的に利点もある。例えば、様々なカロテノイドの相対量は、一部の果物や野菜の特徴的な色に関連している。カロテノイドは、その栄養価のために食品に望ましいものである。例えば、ベータカロテンは、ビタミンAおよびレチニンの前駆体である。ニンジンは、カロテノイドが豊富であり、したがって天然の色や香りを持ったスナック食品を製造するための理想的な材料である自然食品の一例である。
一般的に、常温保存可能なスナック食品は、水分含量を低下させることにより常温保存可能な状態にされる。そのまま食べられて保存性のあるスナック食品の場合では、約3重量%よりも水分含量を低下させることにより常温保存可能にされる。同様に、生の食品材料は乾燥パウダーや粉体にされ、これが後に再び水を加えられ生地(dough)を作るための材料として使用されることが可能である。そうした乾燥パウダーや粉体は、一般的に、常温保存可能な水分含量である約6重量%〜約15重量%の水分含量にまで乾燥される。
残念なことに、脱水食品や脱水食品材料中におけるカロテノイドの安定性は乏しい。カロテノイドは非常に不飽和であるため、上述したような脱水食品中において、カロテノイドは非常に酸化の影響を受けやすい。そうした不安定な状態は、脱水したニンジンにより示され、ニンジンの脱水に続く急速な退色は、色を有する(color−bearing)カロテノイドが酸化により変質することを視覚的に示している。そうした酸化は、食品の異臭発生も促進させる。さらに、酸化や異臭発生は、フライされたニンジンチップス(およびカロテノイドが豊富な他の食品)において、脂肪酸とカロテノイドとの共酸化により加速される。
天然の材料をより多く含む食品に引きつけられる消費者の絶え間ない願望の一部として、好ましい色や香りを与える天然の食品材料を使用する製造食品が望まれている。したがって、常温保存可能で、かつ従来の材料と比較して酸化の影響を受け難いスナック食品およびスナック食品材料を製造する方法が望まれる。
本発明の一態様は、比較的高いレベルのカロテノイドを含む低水分食品の貯蔵寿命を延長させるための方法に向けられており、非酵素的に褐変する食品を提供する工程であって、該食品は天然のカロテノイドを少なくとも約20ppmの濃度で有する上記工程と、アスコルビン酸カルシウムを上記食品に添加する工程であって、上記食品が少なくとも約0.1重量%のアスコルビン酸カルシウムを含むように、脱水に先立ってアスコルビン酸カルシウムを添加する工程と、水分含量が常温保存可能な約15重量%未満になるように、上記食品を脱水する工程とを備える。
一態様では、本発明は、常温保存可能な脱水ニンジンパウダーをニンジン搾りかすから製造することに向けられている。一態様では、本発明は、少なくとも約20ppmの濃度
のカロテノイドを含む生の非酵素的に褐変する食品から、従来よりも優れた貯蔵性を有する真空フライ食品製品を製造することに関連する。一態様では、本発明は、常温保存可能な真空フライニンジン片を製造することに向けられている。本発明の上記並びにさらなる特徴および有利な効果は、以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
のカロテノイドを含む生の非酵素的に褐変する食品から、従来よりも優れた貯蔵性を有する真空フライ食品製品を製造することに関連する。一態様では、本発明は、常温保存可能な真空フライニンジン片を製造することに向けられている。本発明の上記並びにさらなる特徴および有利な効果は、以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
別の態様では、本発明の実施形態や特徴は、添付の図面と併せて本発明の下記詳細な説明が考慮される時に明らかになるであろう。添付の図面は概要であって、一律の比率に従って描くことを意図しているものではない。図において、異なる図に例示される同一または実質的に類似している構成要素は、単一の数字または表記法で表されている。明瞭のため、すべての構成要素が、各図で表記されているわけではない。また、本発明の各実施形態の構成要素は、当業者に本発明が理解可能となるために例示が必要ではない部分において開示されていないものがある。参照により本明細書に組み込まれるすべての特許出願及び特許はその全体が引用によって援用される。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が基準となる。
図1は、本発明の一実施形態にかかり、ニンジン搾りかす(carrot pomace)から製造されるパウダーにおける酸化および続く異臭を防止する方法の概略フローチャートを示す。図1に示されるように、ニンジン搾りかす120は、生のニンジン100からニンジンジュース110を製造する際、副産物として得られる。ニンジン搾りかすパウダーは、従来のニンジンパウダーと比較して、含まれる糖分が少なく、特に、還元糖が少ない。そのため、ニンジン搾りかす120から作られるパウダーは、加工上および栄養上のどちらにおいても、通常のニンジンパウダーと比較して利点がある。糖濃度が低いと、加熱処理においてメイラード反応による褐変が抑えられる。さらに、ニンジン搾りかすは、従来のニンジンパウダーと比較して高濃度の約52%の食物繊維を含む。
上述したとおり、ニンジン搾りかす120などの食品材料は、典型的には、乾燥されることにより、食品製品中における腐敗細菌や病原性細菌が除去されるとともに、種々の酵素が不活化される。そうした乾燥処理は、細胞壁を弱めて細胞膜を破壊し得る。その結果、乾燥または脱水において本来の環境の保護が失われて、特に製品が空気および光に晒されるとカロテノイドが容易に酸化される。
カロテノイドは不飽和度が高いため、乾燥食品では、たとえ室温や冷蔵保存下に置かれていたとしても、本来の水分豊富な環境と比較して、酸化が非常に早く生じる。このように、カロテノイドは、元の細胞構造中では通常安定であるが、乾燥や脱水の間に外部環境に晒されると、光や空気中の酸素に晒されて容易に酸化され得る。
驚いたことに、脱水140に先立ち、ニンジン搾りかす120に対してアスコルビン酸カルシウム130が添加されると、ニンジン搾りかす120中のベータカロテンや他のカロテノイドの酸化が有意に抑えられる。脱水140は、オーブン乾燥や他の適切な乾燥方法により行われ、赤外線乾燥やマイクロ波乾燥を含むがこれらに限定されない。理論に束縛されるものでないが、カルシウムイオンが細胞物質のペクチンとゲルを作成し、これに
より、カロテノイドを酸化し得る酸素の透過が抑制されると考えられる。ペクチン質は、細胞壁の中葉に存在し、水の移動において機能するとともに、細胞間ネットワークのための接着物質として機能する。ペクチン質が水の豊富な酸性の媒質中で加熱されると、加水分解されてペクチンが形成される。同様の反応は、果物や野菜が成熟する際に生じる。例えば、天然の生ニンジンの組織では、約10重量%のレベルでペクチンが検出される。アスコルビン酸カルシウム由来のカルシウムは、ニンジン組織内で、近傍のペクチン分子間の架橋として作用し、そうした架橋構造により、酸素フリーラジカルといった酸化力のある物質の透過が妨げられると考えられる。
より、カロテノイドを酸化し得る酸素の透過が抑制されると考えられる。ペクチン質は、細胞壁の中葉に存在し、水の移動において機能するとともに、細胞間ネットワークのための接着物質として機能する。ペクチン質が水の豊富な酸性の媒質中で加熱されると、加水分解されてペクチンが形成される。同様の反応は、果物や野菜が成熟する際に生じる。例えば、天然の生ニンジンの組織では、約10重量%のレベルでペクチンが検出される。アスコルビン酸カルシウム由来のカルシウムは、ニンジン組織内で、近傍のペクチン分子間の架橋として作用し、そうした架橋構造により、酸素フリーラジカルといった酸化力のある物質の透過が妨げられると考えられる。
さらに、結果として得られるアスコルビン酸や、そのエステル誘導体は、酸素フリーラジカルのスカベンジャーとしても作用して酸化剤に対して保護し得るため、それによりカロテノイドの酸化の可能性がさらに最小化され得る。それゆえに、一実施形態では、湿ったニンジン搾りかすは、十分量のアスコルビン酸カルシウムを添加することにより処理される。一実施形態では、湿ったニンジン搾りかすが少なくとも約0.1重量%のアスコルビン酸カルシウム、また、一実施形態では、約0.2重量%〜約0.3重量%のアスコルビン酸カルシウムを押すときに、アスコルビン酸カルシウムは十分量となる。こうして処理された湿ったニンジン搾りかすが乾燥されると、結果として得られる乾燥ニンジン搾りかすは、未処理の乾燥ニンジン搾りかすと比較して、望まれない酸化のレベルが低くなる。
一実施形態では、ニンジン搾りかすは、約50℃〜約60℃の温度で、約8時間〜約12時間脱水されて、水分含量が約15重量%未満、一実施形態では、約6重量%〜約15重量%になる。約85重量%の水を含むニンジン搾りかすは、乾燥基準の重量で、少なくとも約0.67%のアスコルビン酸カルシウムを含む脱水食品製品となる。上述した処理は、ニンジン搾りかすに関して述べたが、この処理は、高レベルのカロテノイド(例えば、約20ppmを超えるレベル)や酸素の影響を受けやすい他の好ましい多価不飽和脂肪酸を含む、いかなる所望の食品材料に対しても使用し得る。そうした食品の例は、下の表1に示される。一実施形態では、少なくとも約0.1重量%のアスコルビン酸カルシウムや、約0.2重量%〜約0.3重量%のアスコルビン酸カルシウムが、表1に挙げられた食品由来の食品ピューレやパルプに対して添加される。
図2は、本発明の一実施形態にかかり、好ましいレベルのたとえばカロテノイドなどの多価不飽和脂肪酸を有するフライ食品において酸化および異臭の発生を防止する方法の概略フローチャートを示す。新鮮なまたは冷凍された果物や野菜製品を含む生の製品は、混合装置への移送の前に、処理される(210)。この移送は、コンベアなど当業者に既知のいかなる手段によって実行されてもよく、さらには手動によって実行されてもよい。本明細書での「冷凍(frozen)」とは、少なくとも部分的に冷凍されたり、凍結水分を含んだりする製品を指す。したがって、この用語は、部分的に冷凍された製品および完全に冷凍された製品のいずれも包含する。いくつかの実施形態では、部分的に冷凍された製品は、個別急速冷凍(IQF)製品を含む。ここで説明する本実施形態は、概ねIQF製品に関連するが、本発明は、何らかの冷凍製品に適用するものとして限定されないことに注意されるべきである。本明細書での「IQF製品」との用語は、IQF製品として保存されるとともに注入可能な、いかなる果物や野菜も指す。IQF製品は、約−10°F(−23℃)から、約32°F(O℃)未満の温度を持ち得るが、典型的には、約−10°F(−23℃)から約10°F(−12℃)の温度に保たれる。
ステップ210の処理は、洗浄、芯抜き、穴開け、カット、スライス、解凍、およびその他、特定の製品で必要とされる、注入に先立つ各処理が含まれ得る。したがって、食品製品の処理210は、選択される果物または野菜に応じて異なる。製品加工のバッチサイズは、混合装置のサイズ、注入処理される製品の好ましいバッチサイズ、注入溶液に対す
る製品の好ましい比に依存する。ある好ましい実施形態では、製品の、注入溶液に対する比は1:3である。
る製品の好ましい比に依存する。ある好ましい実施形態では、製品の、注入溶液に対する比は1:3である。
本発明にかかる一実施形態において、処理ステップ210の例として、たとえば生のニンジンなどの生の製品が注入のために処理される。生ニンジンは、保存を制限する望まれない酵素を破壊し、かつ/またはニンジンの食感を向上させるため、ブランチング処理される。
ブランチング処理されたニンジンは、その後、当業者に既知の方法によりスライスされるとともに急速冷凍され得る。指定された時間に、冷凍されたニンジンは、大気中の容器で約45°F(7℃)にまで解凍され得る。製品が好ましい温度に達するまで、容器の底部ジャケットに温水(100°F〜120°F)(37℃〜49℃)が30〜45分間循環されるとともに5分ごとに製品が温水と混合されるようにしてもよい。
処理ステップ210とは別に、注入溶液が用意される(220)。別の実施形態では、ステップ210および220は、同時に組み合わせて実行される。すなわち、およそ40°F(4℃)〜55°F(12℃)に、より好ましくは45°F(7℃)〜50°F(10℃)に維持された注入溶液にIQF製品が浸漬されることにより、これらIQF製品が解凍される。本明細書中で使用される注入溶液(infusion solution)とは、食品がこの溶液から出た時に、約0.2重量%〜約0.3重量%のアスコルビン酸カルシウムを含有するような有効量のアスコルビン酸カルシウムを意味する。好ましいアスコルビン酸カルシウム濃度を有する食品製品を得るべく、複数の注入ステップが使用され得るとともに、様々な時間、温度、圧力、および濃度の関係が使用され得ると理解される。これらすべての関係は、本発明の特許請求の範囲に包含されると理解される。一実施形態では、注入溶液は、この溶液の約0.5体積%〜約1.5体積%のアスコルビン酸カルシウムを含む。
その後、準備された食品製品は、任意の便利な方法により、注入溶液と混合される(230)。混合される食品製品が注入溶液に完全に浸漬されるように、十分な量の注入溶液が混合される。製品と注入溶液との間において十分な接触が維持されることを確実にするには、完全な浸漬が望まれる。注入溶液の温度は、微生物増殖を避けるべく、40°F(4℃)〜55°F(12℃)の温度、より好ましくは45°F(7℃)〜50°F(10℃)の温度であるべきである。
一実施形態では、注入溶液の初期ブリックス濃度は、ブリックス計での測定として約40度〜約50度であり、好ましくは、約45度である。ブリックス計とは、ショ糖溶液に使用される液体比重計を指し、その度数による読取値が、ある温度の溶液中にあるショ糖または固体の重量百分率を表すように目盛が付けられている。したがって、ブリックス度は、溶液中のショ糖または固体の重量濃度を指す。食品製品の初期ブリックス濃度は、使用される果物や野菜のタイプに依存するが、典型的には、約16ブリックス度未満である。溶液は、約30ブリックス度〜約60ブリックス度の濃度に維持され得る。
一実施形態では、食品製品は初めに、およそ760トル(1atm)の大気圧で30分間〜60分間注入処理される(140)。この時間は、特定の製品や好ましい最終製品の属性に応じて変更されよう。注入溶液への浸漬において、製品はアスコルビン酸カルシウムを取り込み始める。注入処理の条件は、典型的には、注入処理される果物片や野菜片の物理的特性により決定される。こうした物理的特性としては、食品製品の大きさや均質性、最終製品における食感、風味、外観、含油率などの所望の性質が挙げられる。
一実施形態では、大気圧での注入工程の後、食品製品は真空下注入を受ける(250)
。大気下注入の期間の後に製品を減圧下に置き、その製品の片において近傍のペクチン分子間に構造的なカルシウム架橋を形成させ、真空が適用される際に製品の細胞壁の損傷を防止することが好ましい。大気下注入の方法および真空下注入の方法が共に使用されるとき、注入工程の効果が最大となる。真空下注入は、製品への固体の物質移動の促進に寄与し、大気下注入と比較して、必要とされる注入時間を著しく減少させる。また、真空下注入は、製品の形状をより良く維持する傾向にあり、特に、最終段階の真空フライ(vacuum frying)と組み合わされると、製品の形状がより良く維持される。組み合わせの場合であっても単独の場合であっても、両方の注入法が単一の装置で実行できることが望ましく、また、好ましい製品特性が得られるべく、それぞれの方法に使用される時間や、真空下注入期間のための圧力レベルについて必要に応じて変更できることが望ましい。ある代替の実施形態では、真空下注入のステップ250が使用されない。
。大気下注入の期間の後に製品を減圧下に置き、その製品の片において近傍のペクチン分子間に構造的なカルシウム架橋を形成させ、真空が適用される際に製品の細胞壁の損傷を防止することが好ましい。大気下注入の方法および真空下注入の方法が共に使用されるとき、注入工程の効果が最大となる。真空下注入は、製品への固体の物質移動の促進に寄与し、大気下注入と比較して、必要とされる注入時間を著しく減少させる。また、真空下注入は、製品の形状をより良く維持する傾向にあり、特に、最終段階の真空フライ(vacuum frying)と組み合わされると、製品の形状がより良く維持される。組み合わせの場合であっても単独の場合であっても、両方の注入法が単一の装置で実行できることが望ましく、また、好ましい製品特性が得られるべく、それぞれの方法に使用される時間や、真空下注入期間のための圧力レベルについて必要に応じて変更できることが望ましい。ある代替の実施形態では、真空下注入のステップ250が使用されない。
減圧(真空の発生)時、細胞壁間に含まれるガスや水分が吸い出される。真空が解除されると、再加圧により、注入溶液およびそれに伴う固有の固体が、以前はガスで満たされていた空間に対して入り込む。本発明の一実施形態では、溶質の取り込みをさらに促進させるべく、真空パルスが使用される。真空パルスは、短時間の装置の減圧とその後の再加圧とを含む。減圧(真空)および加圧からなるこれらのサイクル毎に、より効率的な注入が促進され、結果として注入時間が短縮される。
サイクルの回数や、低い圧力または高い圧力に各製品が置かれる時間については、製品に依存する。一部の製品は、1サイクルしか必要としない一方、他の製品では、減圧および加圧のサイクルを複数回持つことが望ましい。一実施形態では、典型的には、それぞれの真空パルスは2〜5分間維持される。そして、少なくとも1〜2回の真空パルスが適用されることにより、最も効率的に製品への注入がされることになる。例えば、IQFニンジンでは、減圧(真空)段階は、約1〜3分間、より好ましくは2分間継続する。
一実施形態では、次の再加圧は、およそ4〜6分間、より好ましくは5分間継続し、続いて、約1〜3分間、より好ましくは約2分間の減圧がされる。一実施形態では、IQFニンジンは、3段階で注入処理される。すなわち、最初に大気圧で50〜70分間、好ましくは60分間、次に真空(減圧)下で約1〜3分間、より好ましくは約2分間、その後、二度目の大気圧段階のおよそ40〜50分間、より好ましくは45分間で終了される。
一実施形態では、真空下注入50は、注入溶液中の製品を約200トル(約27kPa)〜約600トル(約80kPa)の減圧下(不完全真空)に置くことにより実行され、10分間以内の時間で注入処理される製品の必要に応じて変更される。解凍されたニンジンスライスでは、約200トル(約27kPa)〜約400トル(約53kPa)の範囲の減圧(真空)が好まれる。しかしながら、そうした圧力範囲は、例示の目的で示したものであって、限定するものではない。真空パルスに含まれる滞在時間および圧力は、製品や好ましい最終製品に応じて相当に変化し得る。
その後、製品は、水分含量が約3重量%よりも、より好ましくは約2重量%よりも低くなるまで、または他の好ましい水分含量になるまで、真空フライされる(270)。一実施形態では、食品材料は、従来のフライ方法と比較してはるかに低い温度で油中でフライされる(揚げられる)。ある一実施形態では、製品は、およそ250°F(121℃)〜270°F(132℃)の温度において、およそ10〜50分間フライされる。この初期の約1〜5分間には、スチームが供給される。これは、フライされる高水分の果物や野菜材料が効果的に脱水され得るべく、フライ油の温度が好ましいレベルに維持され得るようにするためである。フライは、およそ10〜40トル(1.3〜5.3kPa)の圧力において、褐変を避けるべく製品に応じて異なる初期温度で実行され得る。ニンジンでは、およそ230°F(121℃)〜270°F(132℃)、より好ましくは250°F(
121℃)の温度で、20トル(2.7kPa)〜40トル(5.3kPa)、より好ましくは30トル(4.0kPa)の圧力にて、約3分間のスチームとともに、およそ20〜30分間、より好ましくは25分間のフライ時間に、約3分間のドレーン時間が続く。
121℃)の温度で、20トル(2.7kPa)〜40トル(5.3kPa)、より好ましくは30トル(4.0kPa)の圧力にて、約3分間のスチームとともに、およそ20〜30分間、より好ましくは25分間のフライ時間に、約3分間のドレーン時間が続く。
その後、製品は、任意の調味段階において、調味料のスプレー、パウダーまたはスラリーの使用といった当業者に既知の任意の方法にて調味が行われる。その後、製品は、消費者消費のために梱包される(280)。
図1を参照して上述したニンジン搾りかすの乾燥時に生じる脱水の間、湿ったニンジン搾りかすは、加熱された空気に晒される乾燥処理の際や保管の際に、酸素の影響を受けやすい。これに対し、フライ(揚げ)時には、フライ油に含まれる酸素のレベルは比較的低い。未加熱のフライ油に元々溶けている酸素は、フライ温度にまでフライ油が加熱される間に、酸化によって消費される。フライ油に入り得る追加の酸素は、空気の拡散によるが、これはフライヤの設計により防止されるかまたは最小化され得る。熱油中でのフライの際、カロテノイドは、熱油中の脂肪酸との共酸化により反応する。その結果、カロテノイドは酸化された脂肪酸との反応により分解される。フライ油の不飽和が高くなるほど、フライ条件下や続く保管中において、脂肪酸およびカロテノイドの共酸化により、カロテノイドの分解がより急速になる。
フライ油では脂質フリーラジカルの濃度が高いため、2つの脂質フリーラジカル同士の反応はかなり容易に起こる。さらに、酸素不足のために酸化性でない脂質フリーラジカルの濃度が上昇する。また、それらの互いの相互作用の可能性や、カロテノイドなどの抗酸化フリーラジカルとの相互作用の可能性が増大する。しかし驚いたことに、下の実施例で実証されるように、フライに先立ってアスコルビン酸カルシウムが食品製品に添加されると、酸化に対して非常に優れた安定性が生じることが貯蔵寿命の加速試験(accelerated shelf life testing)を通じて発見された。下の実施例では、本発明にかかり、特定の処置、条件および材料について述べているが、この例は、例証として提示されたものであって、限定するものではないと理解されるべきである。
カットおよびブランチング処理されたIQFニンジンの3つのサンプルが解凍された。初期ブリックス濃度が45度である高マルトースコーンシロップを含む糖溶液が用意された。この糖溶液は、3つに分割された。第1の溶液は、他に何の成分も添加されていないもので、コントロール溶液である。第2の溶液10L(例えば、約10kg)には、約100gのアスコルビン酸が添加されて、アスコルビン酸溶液が調製された。第3の溶液10L(例えば、約10kg)には、約100gのアスコルビン酸カルシウムが添加されて、アスコルビン酸カルシウム溶液が調製された。溶液は室温にあって、ニンジンがそれぞれの溶液中に10分間浸漬された。その後、スライスの水気が5分間切られた。次に、注入処理されたニンジンスライスは、120℃の温度の熱油中、100kPaの圧力で、水分含量が約1.0重量%〜1.5重量%になるまで真空フライされた。その後、貯蔵寿命の加速試験のため、このフライスライスは、60℃に保たれたオーブン内に7日間配置された。
酸敗は、味または臭気により、または味および臭気の両方により、または標準的な手段を使用することにより容易に決定し得る。この標準的な手法の例としては、真空フライされた食品の上部の空間、または食品自体におけるヘキサナールの量を、ガスクロマトフラフィーにより測定する手段が挙げられる。ヘキサナールは、例えば脂質酸化により生成される。ヘキサナールは、ブレークポイントとして知られるある時点まで直線的に蓄積し、ブレークポイントにおいて、蓄積度合いは直線からそれるとともに指数関数的に増加し始める。急速なヘキサナールの蓄積のブレークポイントは、消費者が酸敗を感知し始める時点と近い。ヘキサナールは酸敗の指標となるため、7日間の種々の時点において、真空フ
ライされたニンジンスライスのヘキサナールレベルが測定された。
ライされたニンジンスライスのヘキサナールレベルが測定された。
図3は、本発明の一実施形態にかかる、処理済および未処理の真空フライされた種々のニンジンチップスにおけるヘキサナール濃度を比較した図を示している。コントロールサンプル310は、時間とともにヘキサナールが指数関数的な比率で増加している。アスコルビン酸で処理されたニンジンスライス320のヘキサナールはより低いが、アスコルビン酸カルシウムで処理されたニンジンスライス330のヘキサナール産生量ははるかに低い。したがって、図3で例証されるように、アスコルビン酸カルシウムの注入で処理された最終食品製品は、未処理のニンジンスライスおよびアスコルビン酸で処理されたニンジンスライスのいずれよりも、長い貯蔵寿命を持つだろう。
本発明は、好適な実施形態を参照して図示および説明されてきたが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および細部において様々な変更を加えることができることが理解されよう。例えば、本発明は、いくつかのニンジンの実施形態を参照して図示および説明されてきたが、当業者であれば、様々な他の食品、すなわちベータカロテンなどのカロテノイドが豊富な他の食品や他の好ましい不飽和脂肪酸を有する食品について、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、アスコルビン酸カルシウムを使用することにより、加熱処理される食品において酸化が抑えられることが理解されるであろう。
注目すべきことには、アスコルビン酸カルシウムの添加は、ビタミンCの添加や、塩化カルシウムなど他のカルシウム源の添加とは異なる。これは、同レベルのビタミンCの添加は、pHの低下を招き、酸性の酸味を生じさせるからである。塩化カルシウムは、苦味を生じさせる。塩化カルシウムやアスコルビン酸は、酵素的褐変の影響を受けやすい食品、すなわち表1においてアスタリスク(*)が付された食品として確認できる食品において、褐変防止剤として使用されてきた。一方、乾燥されて脱水食品材料として製造される非酵素的に褐変する食品(脱水ニンジン搾りかすや、フライニンジン片などの脱水食品製品など)においてアスコルビン酸カルシウムがカロテノイドを維持する能力については認識されていなかった。本明細書中で使用される、酵素的褐変の影響を受けやすい食品、または「酵素的褐変食品」とは、カットされた後、周囲環境(例えば70°F(21℃)の外気中)に晒されて約2時間未満で目視により断面に褐色を呈する任意の植物由来食品(plant−based food)として定義される。そうした食品の例は、下の表1のアスタリスクにより確認される。本明細書中で使用される非酵素的に褐変する食品とは、外気に晒された後に、約2時間以上、好ましくは約4時間以上、さらに好ましくは約6時間以上、目視により褐色を呈さない任意の植物由来食品として定義される。
当業者に周知のとおり、ポリフェノールオキシダーゼ(「PPO」)は、十分に高い濃度で存在する場合、一部の食品において好ましくない褐変を生じさせる酵素のグループの一般的な用語である。そうした含有量を有する食品は、本明細書では、「酵素的褐変食品」と言及され、リンゴ(apples)、アンズ(apricots)、アボカド(avocados)、バナナ(bananas)、カカオ(cacao)、コーヒー豆(coffee beans)、ナス(egg plant)、ブドウ(grape)(ブドウの葉ではない)、レタス(lettuce)、ロブスター(lobster)、マンゴー(mango)、マッシュルーム(mushroom)、モモ(peaches)、セイヨウナシ(pears)、プラム(plums)、ジャガイモ(potato)、エビ(shrimp)、サツマイモ(sweet potato)、茶(tea)を含む。しかしながら、一般的には、褐変を生じない食品には褐変防止剤は使用されない。
下の表は、種々の食品におけるベータカロテン濃度を重量百万分率で示したものである。
は複数の生食品材料の処理にも使用され得る。一実施形態では、本発明は、少なくとも20ppmの濃度のベータカロテンを有する非酵素的に褐変する食品に向けられている。したがって、本明細書で説明した処理は、ビート(beet greens)、ニンジン(carrots)、フダンソウ(chard)、コリアンダーの葉(cilantro)、コラード(collards)、ブドウの葉(grape leaves)、ケール(kale)、トウガラシ(peppers)、パンプキン(pumpkin)、スペアミント(spearmint)、ホウレンソウ(spinach)、スクワッシュ(squash)、カブの葉(turnip greens)を含む生食品に適用可能であるが、これらに限定されない。一実施形態では、非酵素的に褐変する食品は、個別急速冷凍食品製品を含む。
興味深いことに、表1は、高いレベルのベータカロテン(例えば、20ppmを超えるレベル)を有する食品材料が酵素的褐変食品でもあることは、非常に少ないことを示している。高いレベルのベータカロテンを有するとして表1に列挙された酵素的食品は、リンゴ、アンズ、マンゴー、サツマイモのみである。しかしながら、アスコルビン酸カルシウムの添加は、ビタミンC、および塩化カルシウムなど他のカルシウム源の添加とは異なるため、一実施形態では、本明細書で説明した処理は、高いレベルのベータカロテンを含む酵素的褐変食品に適用し得る。こうした食品としては、リンゴ、アンズ、マンゴー、サツマイモが含まれるが、これらに限定されない。
別に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される材料の量を示す全ての数字、例えば分子量などの特性、反応条件などは、全ての例において、「約」という用語により修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、逆に示されない限り、後の明細書および添付の特許請求の範囲で説明される数値パラメータは、本発明により得られるように要求される好ましい特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を制限する意図ではなく、それぞれの数値パラメータは、有効数字であって通常の丸め手法の適用により報告された数字であるとの観点で少なくとも解釈されるべきである。
本発明の広い請求の範囲を定める数字上の範囲やパラメータは近似値ではあるものの、特定の例において定められた数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どの数値も、本質的に、各々の試験測定から得られる標準偏差に不可避的に起因する誤差を含む。
Claims (20)
- カロテノイドを含む低水分食品を製造する方法において、
a.非酵素的に褐変する食品を提供する工程であって、前記食品は天然のカロテノイドを少なくとも約20ppmの濃度で有する前記工程と、
b.アスコルビン酸カルシウムを前記食品に添加する工程であって、該添加後に前記食品が少なくとも約0.1重量%のアスコルビン酸カルシウムを含む前記工程と、
c.水分含量が約15重量%未満になるように前記食品を脱水する工程と
を備える方法。。 - 前記食品は、ニンジン搾りかすを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記食品は、ホウレンソウを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記食品は、トマトを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記食品は、ニンジンを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記カロテノイドは、リコピンを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記カロテノイドは、ベータカロテンを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記カロテノイドは、アルファカロテンを含む
請求項1に記載の方法。 - b)工程における前記アスコルビン酸カルシウムの前記添加は、アスコルビン酸カルシウムを含む溶液に前記食品を浸漬することを含む
請求項1に記載の方法。 - 前記アスコルビン酸カルシウムは、前記食品に添加される
請求項1に記載の方法。 - c)工程における前記脱水は、水分含量を約3重量%未満にする
請求項1に記載の方法。 - c)工程における前記脱水は、前記食品を熱油中でフライすることにより行う
請求項11に記載の方法。 - c)工程における前記食品の前記脱水は、オーブン乾燥を含む
請求項1に記載の方法。 - a)工程における前記食品は、ビート、フダンソウ、コリアンダーの葉、コラード、ブドウの葉、ケール、トウガラシ、パンプキン、スペアミント、ホウレンソウ、スクワッシュ、およびカブの葉から選択される1つまたは複数の非酵素的食品を含む
請求項1に記載の方法。 - 真空フライ食品を製造する方法において、
a.個別急速冷凍された非酵素的に褐変する食品を提供する工程であって、前記食品は天然のカロテノイドを少なくとも約20ppmの濃度で有する前記工程と、
b.前記個別急速冷凍された非酵素的に褐変する食品を注入溶液の中に置いて注入食品を作成する工程であって、前記注入溶液は、該注入溶液の約0.5体積%〜約1.5体積%のアスコルビン酸カルシウムを含み、前記注入食品は、該注入食品の約0.2重量%〜約0.3重量%のアスコルビン酸カルシウムを含む前記工程と、
c.水分含量が約3重量%未満になるように前記注入食品を真空フライする工程と
を備える方法。 - 前記注入溶液が、約30ブリックス度〜約60ブリックス度のブリックス濃度である工程をさらに備える
請求項15に記載の方法。 - 前記食品は、ニンジンを含む
請求項15に記載の方法。 - カロテノイドを含む低水分食品を製造する方法において、
a.非酵素的に褐変する食品を提供する工程であって、前記非酵素的に褐変する食品は天然のカロテノイドを少なくとも約20ppmの濃度で有する前記工程と、
b.アスコルビン酸カルシウムを前記食品に添加する工程であって、該添加後に前記食品が少なくとも約0.1重量%のアスコルビン酸カルシウムを含む前記工程と、
c.水分含量が約15重量%未満になるように前記食品を脱水する工程と
を備える方法。 - 前記非酵素的に褐変する食品は、ニンジンを含む
請求項18に記載の方法。 - 前記非酵素的に褐変する食品は、ニンジン搾りかすを含む
請求項18に記載の方法。
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