JP2013504759A - 痒みの客観的測定値として皮膚からヒスタミンを測定するための非侵襲的方法 - Google Patents

痒みの客観的測定値として皮膚からヒスタミンを測定するための非侵襲的方法 Download PDF

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Abstract

表皮中のヒスタミンを測定する方法であって、該方法が、哺乳類の上皮に接着物品を貼付する工程と、上皮細胞の接着物品への付着を可能にする工程と、接着物品を哺乳類の上皮から取り外す工程と、抽出のために標準的な実験室法を用いて接着物品を調製する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からヒスタミンを抽出する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からのヒスタミンを測定する工程と、基準時サンプルと比較して上皮細胞中のヒスタミンの量を定量化する工程と、を含む方法。更に、哺乳類における痒みの認知を客観的に測定する方法であって、痒みの認知の減少に正比例する、基準値からのヒスタミンの減少が存在する、方法。

Description

本発明は、皮膚サンプルからヒスタミンの量を測定する方法、並びにヒスタミンの量の客観的な関連性及び相関関係に関し、これは、ヒスタミンの量が哺乳類における痒みの認知に直接相関するためである。
頭皮の皮膚炎における痒みの症状の重要性は、これまでに評価されてきた。不健康な頭皮に関連して最も頻繁に説明される状態は、痒みである。これは、最も厄介な症状でもあり、患者の生活の質に最大の悪影響を及ぼす。
一般的な痒みの生理に関しては、痒みの認知は、皮膚表面で引き起こされた複雑な生理的経路の最終段階を表す。多数の刺激は、最終的に痒みの認知をもたらす一連の事象を開始させる場合がある。刺激は、真皮中で特殊な受容細胞と結合し、ヒスタミンの放出を誘発する。次に、ヒスタミンは神経終末に結合し、脳で受容されて痒みと解釈されるまで脊柱に沿って移動する神経線維に沿って電気経路を開始する。
広くは、様々な潜在的な痒みの伝達物質が存在するが、ヒスタミンは、痒みの原型的な生理学的化学伝達物質であると考えられる。ヒスタミンは、皮膚組織の天然成分であることが1927年に示された(したがって、ギリシャ語の組織を表す単語(histos)に名前が由来する)小分子アミンである。痒みにおけるヒスタミンの直接的な役割を支持する重要な理由は、抗ヒスタミン剤が一部の皮膚疾患における痒みの緩和に非常に効果的であり得ることである。ヒスタミンの役割を支持する別の議論は、ヒスタミンを用いて、実験的に痒みを誘発できることである。
特定の場合については、多数の特定の皮膚疾患に関して、ヒスタミンと痒みとの関連性の強さが研究されてきた。じんま疹及び虫刺されなどの疾患については、ヒスタミン値と痒みの重症度との間には、非常に強固な関連性がある。アトピー性皮膚炎との関連性は、それ程明確に定義されていない。ヒスタミン値の上昇は、湿疹及び乾癬の患者の皮膚で見出されてきた。乾燥肌であっても、ヒスタミン値の上昇をもたらすことが見出されてきた。
これまでにフケ及び脂漏性皮膚炎におけるヒスタミン値が調査されたことはないが、痒みの重症度とヒスタミン値との間に強固な関係が存在すると考えられる。第1に、乾癬及びフケは、多くの共通する病因的特徴を共有するため、乾癬において確立されたヒスタミンと痒みとの関係は、フケにも適用されるであろう。また、Harding,C.,A.Moore,J.Rogers,H.Meldrum,et al.,Dandruff:a condition characterized by decreased levels of intercellular lipids in scalp stratum corneum and impaired barrier function.Arch.Dermatol.Res.,2002.294:p.221〜230は、フケ患者が、局所に塗布されたヒスタミンに対して、痒み発生率が増加しており、フケに付随する頭皮の痒みにおけるヒスタミンの生理学的関連性を示すことを立証した。
痒みの伝達物質として機能し得る別のバイオマーカーは、P物質及びカンナビノイドである。他の考えられる伝達物質は、Neurophysiology of Pruritus;Cutaneous Elicitation of Itch;Arch Dermatol./Vol.139,Nov 2003に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
Harding,C.,A.Moore,J.Rogers,H.Meldrum,et al.,Dandruff:a condition characterized by decreased levels of intercellular lipids in scalp stratum corneum and impaired barrier function.Arch.Dermatol.Res.,2002.294:p.221〜230 Neurophysiology of Pruritus;Cutaneous Elicitation of Itch;Arch Dermatol./Vol.139,Nov 2003
本発明の実施形態は、表皮中のヒスタミンの測定方法であって、哺乳類の上皮に接着物品を貼付する工程と、上皮細胞の接着物品への付着を可能にする工程と、接着物品を哺乳類の上皮から取り外す工程と、抽出のために標準的な実験室法を用いて接着物品を調製する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からヒスタミンを抽出する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からのヒスタミンを測定する工程と、基準時サンプルと比較して上皮細胞中のヒスタミンの量を定量化する工程と、を含む方法を目的とする。
本発明の更なる実施形態は、哺乳類における痒みの認知を客観的に測定する方法であって、該方法が、哺乳類の上皮に接着物品を貼付する工程と、上皮細胞の接着物品への付着を可能にする工程と、接着物品を哺乳類の上皮から取り外す工程と、抽出のために標準的な実験室法を用いて接着物品を調製する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からヒスタミンを抽出する工程と、該接着物品に付着した上皮細胞からのヒスタミンを測定する工程と、基準時サンプルと比較して上皮細胞中のヒスタミンの量を定量化する工程と、を含む。
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
この図は、フケ防止シャンプーを用いた治療後に基準時と比較したときの、減少したヒスタミン測定値。 この図は、フケ防止シャンプーを用いた治療後の、基準値に対して減少したヒスタミン値の測定値。 この図は、非フケ群及びフケ防止シャンプーを用いた治療後と比較した、ヒスタミン値の測定値。 この図は、非フケ値に対して79%の改善されたヒスタミンをもたらした、フケ防止シャンプー治療の測定値。 この図は、フケ防止シャンプーを用いた3週間の治療期間中の痒み認知の測定値の視覚的アナログスケールでの測定値。 これらの図は、基準時及びフケ防止シャンプーによる3週間の治療後の痒み認知測定値の測定値と、基準時及びフケ防止シャンプーによる3週間の治療後のヒスタミン測定値を並べた直接的な比較。 これらの図は、基準時及びフケ防止シャンプーによる3週間の治療後の痒み認知測定値の測定値と、基準時及びフケ防止シャンプーによる3週間の治療後のヒスタミン測定値を並べた直接的な比較。
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、以下の説明により、よりよく理解されると考えられる。
本発明は、本明細書に記載した発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載した追加若しくは任意の成分、構成成分又は制限事項のいずれも含むことができ、これらから成ることができ、又はこれらから本質的に成ることができる。
百分率、部及び比は全て、特に記述しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、提示された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づき、したがって市販材料に包含される場合のあるキャリア又は副生成物を包含しない。
以下では、本発明の様々な実施形態の構成成分及び/又は工程を、任意に加えてもよいものを含めて、詳細に記載する。
引用される全ての文献は、その関連部分において参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用もそれが本発明に関連する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。
特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
特に記載のない限り、全ての温度は摂氏である。
特に指摘される場合を除き、分量、百分率、部分、及び割合を含む全ての量は、「約」という言葉により修正されると理解され、量は有効数字を示すことを意図しない。
特に記載する場合を除き、冠詞「a」、「an」及び「the」は、「1以上」を意味する。
本明細書において、「含む」とは、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分も加え得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物及び本発明の方法/プロセスは、本明細書に記載した発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載した追加若しくは任意の成分、構成成分、工程、又は制限事項のいずれをも含むことができ、これらからなることができ、及びこれらから本質的になることができる。
本明細書において「有効な」とは、処置する症状の著しく好ましい改善をもたらすのに十分高い対象活性物質の量を意味する。対象活性物質の有効量は、処置する特定の症状、症状の重さ、処置期間、併用している処置の性質及び同様の要因により変化する。
「皮膚」という用語は、脊椎動物の外皮を意味し、2層の細胞、つまり厚い内層(真皮)及び薄い外層(表皮)からなる。表皮は、皮膚の外側の非血管層である。表皮は5層の上皮で構成されており、これらは、内から外へ(1)基底層(表皮基底層)、(2)有棘層(表皮有棘層)、(3)顆粒層(表皮顆粒層)、(4)透明層(表皮透明層)、及び(5)角質層(表皮角質層)である。
「サンプル」という用語は、被験者の皮膚又は表皮からの任意の標本を指す。
「非侵襲的」という用語は、診断又は治療のために皮膚又は身体開口部に器具又は装置を挿入することを必要としない手順を意味する。
「接着装置」とは、基材上の接着剤又は接着性物質を用いることにより皮膚の表皮層の除去に用いられる装置を意味する。例えば、D−Squame(登録商標)(ポリアクリル酸エステル接着剤、CuDerm(Dallas,TX))、Durapor,Sebutape(商標)(アクリル酸ポリマーフィルム、CuDern(Dallas,TX))、Tegaderm(商標),Ductテープ(333ダクトテープ、Nashuaテープ製品)、Scotch(登録商標)Tape(3M Scotch 810(St.Paul,Minn.))、Diamond(商標)(The Sellotape Company(Eindhoven,the Netherlands))、Sentega(商標)(ポリプロピレンテープ、Sentega Eiketten BV(Utrecht,The Netherlands))などの接着テープを備える皮膚サンプルが用いられてよい。接着剤は、一般に用いられる感圧タイプの接着剤のいずれか又は皮膚含有物(skin content)上で直ちに凝固するもの(シアノアクリレートなど)であってよい。接着剤は、サンプル抽出を容易にするために、可撓性又は固形の裏材上にあってよい。定圧装置(例えば、Desquame Pressure Instrument(CuDerm(Dallas,TX)))を用いて、サンプル抽出中に接着装置に圧力を加えてよい。
組織からのサンプルは、当該技術分野において周知のあらゆる方法によって分離されてよい。サンプルを分離するための侵襲的方法には、例えば血液採取中の針の使用、並びに様々な組織の生検、ブリスター法及びレーザーポレーションが挙げられる。これらの方法の侵襲的性質が原因で、死亡及び罹患リスクが増加する。更に、侵襲的方法は、皮膚の状態に悪影響を及ぼす場合があり、不正確な結果又は誤った結果をもたらし得る。その上更に、侵襲的方法は、大規模な集団での実行が困難である。侵襲的方法は、参加者に不快感をもたらす場合があり、感染又は他の副作用の可能性がより大きいことがある。本発明は、皮膚からヒスタミンを測定するための非侵襲的方法を提供する。
「客観的に」という用語は、偏り又は先入観がないことを意味する。あるいは、いずれかの専門家による評価又は自己評価は、本質的に「主観的」である。
「正常化」及び/又は「正常化された」は、痒み患者の集団が、非痒み、つまり正常な集団の状態に近づく程度を意味する。
「標準化」及び/又は「標準化された」は、対応する接着剤又は接着物品上で測定されたタンパク質の量に対して表されるヒスタミン値を意味する。非限定例は、可溶性タンパク質1μg当たりng単位のヒスタミンである。
「基準時」という用語は、調査開始時に収集され、調査で見出された変化を測定する基となる情報を意味する。
本発明の更なる実施形態では、使用されてよい、多数の他の「非侵襲的」サンプル採取法が存在する。
Sebutape(商標):これは、Sebutape(商標)(アクリル酸ポリマーフィルム、CuDern(Dallas,TX))が極めて弱い粘着性を示し、目に見えて炎症を起こしている皮膚にも不快感を与えずに貼付して、取り外すことができる非侵襲的手法である。この方法により回収/測定されたバイオマーカーは、タンパク質(例えば、サイトカイン)、ペプチド(例えば、神経ペプチド)、及び小分子(例えば、酸化窒素)伝達物質を含んでいる。歴史的には、このテープは皮脂収集用に製造販売されているので、脂質分析に有用であり得る。
D−Squame(登録商標):D−Squame(登録商標)テープはポリアクリル酸エステル接着剤であり、これもまたCuDermが製造している。このテープは、Sebutape(商標)と同一のバイオマーカーの回収に用いられてよいが、特定の表皮構造タンパク質(例えば、ケラチン、インボルクリン)も取り出す。このテープは、全身炎症反応マーカーとしてのコルチゾール及び血清アルブミン、小分子、並びに角質層脂質の回収に用いられてきた。
カップスクラブ法:カップスクラブ法は、通常、緩衝液及び非イオン性界面活性剤の存在下で、皮膚の表面からタンパク質を直接抽出する。カップスクラブ法は、主にサイトカインなど可溶性バイオマーカーの回収に用いられるが、有機小分子の回収にも用いられてよい。カップスクラブ法では、テープストリップよりも多くのサイトカインを回収し、定量化することができる。これは、幾つかの理由によるものであり得る。つまり、(a)洗剤の存在及びその液体の性質により、カップスクラブ法は、テープストリップとは異なるタンパク質集団をサンプル採取する可能性が高い、(b)カップスクラブ法では、サイトカインが既に溶液中に存在するので、サンプル採取後にサイトカインを更に抽出する必要がない、ためである。
動物(即ち、イヌ)収集法:D−Squame(登録商標):D−Squame(商標)テープサンプルは、イヌの毛皮を(剃毛せずに)分けて、イヌの皮膚で収集される。皮膚の炎症、分化、及び関門の完全性に関する様々なバイオマーカー、例えば、総タンパク量、可溶性タンパク質、皮膚多項目同時解析(皮膚MAP)、皮膚サイトカイン、及び角質層脂質(セラミド、コレステロール、脂肪酸)などがテープから分析されてよい。
本発明の実施形態では、本発明は、ヒスタミンの分離で用いるためのサンプルを非侵襲的に得るための方法及び分析を提供する。
ある実施形態では、接着装置の使用は、かかるサンプル採取を達成するために用いられてよい。
フケサンプル採取のための、かかるサンプル採取調査に備えて、認定選別員は、基準訪問時に、被験者ごとに粘着性頭皮フレーク化スコア(ASFS)評価を完了し、テープストリップサンプルの採取に関する最高フレーク化オクタントを決定する。最高フレーク化オクタントは、基準時及び第3週にサンプル採取する。テープストリップサンプルは、各時点(基準時及び第3週)で被験者ごとに回収する。
被験者ごとに、いずれも同一オクタント(即ち、基準時及び第3週の最高フレーク化オクタント)内の2箇所のテープストリップサンプル採取位置が存在し、頭皮は、適切な手順によるサンプル採取に向けて準備される。
テープストリップによるサンプル採取は、必要に応じて同じ位置で追加の回数を繰り返し、各D−Squame(登録商標)テープディスクを前回サンプル採取した領域の上に置く。サンプル採取後のD−Squame(登録商標)テープは、ラベル付きプレートの適切にラベルが貼られたウェルに入れる。
サンプル採取に続いて、抽出及び定量化手順を実行する。本発明のある実施形態では、D−Squame(登録商標)テープサンプルの抽出物からのヒスタミンの定量化は、高感度酵素免疫測定(ヒスタミンEIAキット(米国の販売会社、Cayman #589651/ヒスタミンEIAキットメーカー(France)、SPbio #A05890))を用いて実行してよい。
本発明のこの実施形態では、ヒスタミン感受性酵素測定の使用に備えたサンプル抽出は、D−Squame(登録商標)テープサンプルプレートをサンプル採取後に保管している−80℃の冷凍庫から取り出し、ドライアイス上の場所に置くことである。接着剤面を内側にして、予めラベル付けされたポリプロピレン採取管にテープストライプを挿入する。適切な標準抽出緩衝液を各採取管に添加してから、30分間の音波処理を用いて氷上で抽出する。各抽出溶液をテープストリップから分離し、各サンプルのアリコートを96ウェルのポリプロピレンプレートの指定位置に入れる。次に、D−Squame(登録商標)テープサンプルの抽出物のアリコートにアルブミンなど従来の試薬を補充して実験機器の壁に検体が付着して失われるのを防ぎ、96ウェルのポリプロピレンディープウェルプレートに移し、ヒスタミン分析に備えて−80℃で凍らせる。別個のアリコートには試薬を補充せず、BCA(商標)Protein Assay Kit(Pierceカタログ番号23227)を用いて可溶性タンパク質を分析する。
抽出プロセスに続いて、従来の方法を用いてヒスタミンの標準物質及び対照群を調製してよい。ヒスタミンは、Cayman Chemical Co.が販売するSPI−BIO製のヒスタミン酵素免疫測定(EIA)キットを用いて定量化する。洗浄緩衝液、誘導体化試薬、ヒスタミンACHeトレーサー、及びエルマン試薬は、従来の方法で調製できる。標準物質、対照群、及びサンプルは、ディープウェルプレートで誘導体化する。プレートは緩衝液で洗浄し、標準物質、ブランク、サンプル、及び品質対照群はプレートに添加して、4℃で24時間インキュベートする。次に、プレートを洗浄してからエルマン試薬を添加し、暗闇の中、室温でインキュベートする。プレートは、標準的な分光測光法を用いて読み取ってよい。データ分析は、標準的な統計的手法及び計算によって実行する。
本発明の更なる実施形態では、接着物品、テープストリップの抽出物からのヒスタミンの定量化は、勾配逆相高速液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析(HPLC/MS/MS)を用いて実行してよい。
被験者の頭皮から得たテープストリップ(単数又は複数のテープストリップ)を個別のポリプロピレンバイアル瓶に入れ、各バイアル瓶に安定同位体標識化ヒスタミン(D4−ヒスタミン)内部標準(ISTD)を添加してから、10分間の音波処理を使用して酸性水で抽出する。各抽出溶液をテープストリップから分離し、各サンプルのアリコートを96ウェルのポリプロピレンプレートの指定位置に入れる。酸性水の適切な較正範囲で一連のヒスタミン標準物質を96ウェルのポリプロピレンプレート内で調製し、ISTDを添加する。勾配逆相高速液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析(HPLC/MS/MS)を用いて、標準物質及び頭皮テープストリップの抽出物を分析する。ヒスタミン及びISTDは、表1に示す選択反応モニタリングスキームを用いる陽イオンエレクトロスプレー(ESI)によってモニタリングする。標準曲線は、各標準物質に対する、対応する標準物質のヒスタミン質量について、本明細書においてピーク面積比(ヒスタミンピーク面積/ISTDピーク面積)として定義される信号をプロットすることによって作図する。次に、生成した回帰式を用いて、較正標準物質及びヒト頭皮抽出サンプル中のヒスタミン質量を逆算する。結果は、ヒスタミン/テープストリップの質量として報告するか、テープストリップ抽出物にも見られるタンパク質量で除して標準化してよい。タンパク質法については、別途記載している。
Figure 2013504759
方法の拡張
用いた抽出手順は上述したが、上述のアウトラインが示された多数の工程に用いることができる別の方法が多数存在すし、これらの方法は、論理的拡張である。テープストリップからヒスタミンを分離するために用いた抽出溶媒は、ヒスタミンの好適な回収をもたらす、任意の適切な水性、有機、又は有機/水性混合物であってよい。安定同位体を使用する分離法を用いたが、化学的な内部標準法又は外部標準法を用いてもよい。LC/MS/MSは、その高い選択性及び感度のために、生体マトリックスにおける小有機分子の定量分析の最新法と一般に見なされている。しかし、要求される感度及び選択性をもたらす任意の分析法及び/又は他の方法を用いてよい。例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、電気泳動など他の分離法を使用する方法が用いられてきた。誘導体化処理を伴って、又は伴わずに高感度モードのガスクロマトグラフィー(例えば、質量分析、電子捕獲、炎イオン化)を用いて、ヒスタミンが分析されてきた。誘導体化処理を伴って、又は伴わずに、UV、電気化学、又は蛍光検出機能を備える高速液体クロマトグラフィーも用いられてきた。様々な検出システムを用いるキャピラリー電気泳動が評価されてきた。同様に、質量分析、電気化学的測定、及び蛍光測定など分離技術を用いない機器による方法も用いられてきた。更に、競合及び非競合酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びラジオイムノアッセイ(RIA)などリガンド結合法又は他の標識化スキームも用いられてきた。酵素を使用する分析は、ヒスタミン分析において長い使用歴を有する。細胞又は組織のいずれかを使用する方法を用いるバイオアッセイも、検出手段として用いられてきた。ヒスタミン代謝産物の測定も、ヒスタミン値の間接的評価を提供するために用いられてきた。
テープストリップ抽出物のタンパク質定量:
上記の好適な方法を用いて測定した皮膚のテープストリップサンプル上のヒスタミン値は、テープストリップ抽出物に見られるタンパク質量を用いて標準化してよい。標準化は、テープストリップ抽出物中のタンパク質の量でヒスタミン値を除して行う。
テープストリップ抽出物又は皮膚上でのヒスタミン値の定量化に用いた等価マトリックス中のタンパク質の量は、文献に記載される様々なタンパク質定量法を用いて定量化してよい。かかる方法の例としては、任意の比色分析法、蛍光法、発光法を使用する総窒素定量、総アミノ酸定量、及びタンパク質定量が挙げられる。これらの方法は、タンパク質定量前のテープストリップ抽出物の更なるサンプル調製を含んでも含まなくてもよい。テープストリップ抽出物中のタンパク質定量に用いる特定の方法の非限定例については、下記に述べる。タンパク質定量法の包括的なレビュー、適用性、及び制限は、http://www.piercenet.com/Files/1601669_PAssayFINAL_Intl.pdfからダウンロードできるThermo Scientific Pierce Protein Assay Technical Handbookに記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質定量に関する更なる情報は、Redinbaugh,M.G.and Turley,R.B.(1986).Adaptation of the bicinchoninic acid protein assay for use with microtiter plates and sucrose gradient fractions.Anal.Biochem.153,267〜271に見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
ヒトの皮膚からサンプル採取した接着テープは、BCA(商標)Protein Assay Kit(Pierce)を用いてタンパク質含有物を抽出し、分析する。ヒトの皮膚からサンプル採取したテープストリップは、酸性抽出溶液を用いて抽出する。以降の抽出では、テープ抽出物のアリコートを96ウェルのポリプロピレンディープウェルプレートに移し入れ、タンパク質定量に備えて2〜8℃で保管する。
BCA(商標)Protein Assay Kitは、アルカリ媒質中のタンパク質によるCu2+のCu1+への還元を使用しており、ビシンコニン酸(BCA)によるCu+1の高感度かつ選択的な比色検出を併用する。2個のBCA分子と1個のCu1+イオンのキレート化によって形成された紫色の反応生成物は、波長562nmで強い吸光度を示す。光学密度(OD)は、マイクロプレートリーダーを用いて測定する。1ミリリットル当たりのマイクログラム(μg/mL)で表されるウシ血清アルブミン(BSA)の濃度を増加させて、測定時に較正曲線を生成するために用いる。BSA原液から調製された適切な分析用QCを用いて、サンプル分析中に分析性能をモニタリングする。
本発明の別の実施形態では、タンパク質定量は、SquameScan(登録商標)850A(CuDerm Corporation(Dallas,Texas))を用いたタンパク質測定値など接着剤又は接着物品上のタンパク質の直接測定により行われてもよい。
調査番号1及び調査番号2におけるヒスタミン調査のための基本手順
フケ被験者は、2つの別個の臨床研究(調査番号1及び調査番号2)において認定検査員によって認定された。調査番号2には非フケ被験者も含まれており、これらの被験者は、基準時にも評価されて標準ヒスタミン値(n=121)を確立した。
被験者は、フケ防止シャンプーを使用する治療期間前に、コンディショニング剤を含まない従来の非フケシャンプーを使用する2週間の休薬期間を経る。フケ防止シャンプー(ジンクピリチオン含有シャンプー組成物)を使用した3週間の治療期間後に、認定検査員によって基準訪問時に決定された最高フレーク化オクタントからテープストリップサンプルを回収する。頭皮のテープストリップは、基準時及び3週間の製品治療後に回収する。テープは、抽出時まで−80℃に保つ。フケが含まれる位置は、髪を分けて、D−Squame(登録商標)テープ(CuDerm Corporation)を貼付し、必要に応じてテープを擦りつける。テープは、予めラベル付けされた12ウェルの培養皿に入れて保管する。
調査番号1では、頭皮表面から得たテープを回収し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法で分析した。調査番号2では、頭皮表面の1枚下のテープであったテープを回収し、勾配逆相高速液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析(HPLC/MS/MS)によって分析する。
調査番号1のサンプルは従来の抽出緩衝液を用いて抽出し、氷上で超音波処理する。次に、D−Squame(登録商標)テープサンプルの抽出物のアリコートにアルブミンなど従来の試薬を補充して実験機器の壁に検体が付着して失われるのを防ぎ、96ウェルのポリプロピレンディープウェルプレートに移し、ヒスタミン分析に備えて−80℃で凍らせる。別個のアリコートには試薬を補充せず、BCA(商標)Protein Assay Kit(Pierceカタログ番号23227)を用いて可溶性タンパク質を分析する。
調査番号2のサンプルは酸性水を用いて抽出し、アリコートを96ウェルのポリプロピレンプレートに入れ、ヒスタミン分析に備えて−80℃で凍らせる。
調査番号1のヒスタミンは、SPbioの高感度酵素免疫測定キット(部品番号A05890)を用いて上述のアウトラインが示された手順に従って、D−Squame(登録商標)テープサンプルの抽出物から定量化する。
調査番号2のテープストリップサンプルは、上述のアウトラインが示されたHPLC/MS/MS法によって分析する。
どちらの調査についても、ヒスタミン濃度は、測定値として、及び上述のアウトラインが示されたBCAタンパク質測定で定量化されたように抽出物中の可用性タンパク質の量に標準化されたヒスタミンとして、報告された。基準時及び第3週にフケ防止シャンプー治療群からのサンプルの分析を行う。
結果の概要
ヒスタミンデータの統計分析:ヒスタミンデータは、基準時及び第3週(治療後)のフケ被験者並びに基準時の非フケ被験者について回収した。被験者間並びに被験者内(基準時−>第3週)でのヒスタミン値の大幅な変動を考慮すると、分析前にヒスタミンデータをlog10スケールに変換することがより効率的である。統計分析は、対応するlog10比値(即ち、log10(第3週/基準時))に基づいて実行した。次に、最終的に報告されたヒスタミンの結果を元のスケール(又は、基準時値からの%変化)に再変換して、解釈を容易にする。全ての統計分析は、SAS JMP(バージョン7.0.2)ソフトウェアを用いて実行した。統計的有意性の判定には、p値は≦0.10の(片側)を用いた。
図1のデータは、調査1において、3週間のフケ防止シャンプーを使用した治療後にヒスタミン値が46%減少したことを示す。これらのヒスタミン値は、テープストリップ抽出物中のタンパク質の量で除している。
図2のデータは、フケ防止シャンプー治療により、基準値に対してヒスタミン値が46%(調査番号2)及び45%(調査番号1)減少したことを示す(p値は≦0.001、片側)。これらのヒスタミン値は、テープストリップ抽出物中のタンパク質の量で除している。
図3のデータは、フケ被験者のヒスタミン値が、非フケ被験者よりも著しく高かったことを示す(p値は≦0.0001、片側)。上記の好適な方法を用いて測定したヒト頭皮のテープストリップサンプル上のヒスタミン値は、テープストリップの抽出物に見られるタンパク質量を用いて標準化してよい。ヒスタミン値は独自の非フケ群から定量化して、標準的な皮膚のヒスタミン値を定める。標準化は、テープストリップ抽出物中のタンパク質の量でヒスタミン値を除して行う。更にこのデータは、フケ防止治療は、ヒスタミン値を上述の非フケ群のヒスタミン値に回復させたことを示す(片側p値は0.12)。
図4のデータは、3週間のフケ防止シャンプー治療後に、非フケ群のヒスタミン値と比較してヒスタミン値が79%改善したことを示す。あるいはこのデータは、健康な皮膚状態への79%の回帰を示す。フケに悩む人々は正常な状態及び/又は健康的な状態への回帰を望むため、これは、効果を伝える有用な手段である。これは、基準時から第3週までのヒスタミン値の変化を基準と非フケ値との差で除して、100を乗じることにより計算する。
図5のデータは、3週間の治療期間中に痒み認知が極めて大幅に減少したことを示す。これは、視覚的アナログスケールを用いた自己評価に基づいた主観的尺度であるためであろう。しかし、図6及び7のデータは、痒みの認知と相関する客観的尺度を提供しており、ヒスタミン測定値(ng/μgのタンパク質)は、視覚的アナログスケールでの被験者の痒み認知データの同一母集団と直接相関している。この直接的相関関係は、これまで知られていなかった痒みの認知に対して客観的尺度をもたらす。主観的尺度は、皮膚状態を評価するために一般に用いられており、典型的には、専門検査員及び/又は自己評価のいずれかを含む。これらのタイプの測定は有用であるが、評価者によって本質的に偏りが生じる。客観的尺度は、偏りが生じる機会を有さないため、より厳密かつ科学的なデータを示す。
生検又は採血など極めて侵襲的な痒みの客観的尺度はあるが、サンプリング採取の侵襲的性質のために、使用は限定されている。更に、低侵襲的な方法を用いて痒みを測定できる客観性の低い尺度もあるが、かかる方法は、極めて主観的であることに悩まされる。したがって、本発明は、これまでに知られていなかった、低侵襲性であり、痒みの認知について極めて客観的な尺度を提供する。
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

Claims (15)

  1. 表皮中のヒスタミンを測定する方法であって、該方法が、
    a)哺乳類の上皮に接着物品を貼付する工程と、
    b)上皮細胞の該接着物品への付着を可能にする工程と、
    c)該接着物品を該哺乳類の上皮から取り外す工程と、
    d)抽出のために標準的な実験室法を用いて該接着物品を調製する工程と、
    e)該接着物品に付着した上皮細胞からヒスタミンを抽出する工程と、
    f)該接着物品に付着した上皮細胞からのヒスタミンを測定する工程と、
    g)基準時サンプルと比較して該上皮細胞中のヒスタミンの量を定量化する工程と、
    を含む方法。
  2. 前記ヒスタミンを前記接着物品上のタンパク質の量で除することによって前記ヒスタミンを標準化する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が非侵襲的である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記上皮が角質層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ヒスタミンの基準値と比較したときに、標準化されたヒスタミン値が46%減少する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ヒスタミン値が25%〜100%減少する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 抗真菌シャンプー、より好ましくはフケ防止シャンプー、より好ましくはジンクピリチオンシャンプーの利用前のヒスタミンの基準値と比較したときに、利用後の標準化されたヒスタミンが46%減少する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 正常集団と比較したときに、痒みの点で79%改善する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 正常な肌の状態に79%回帰する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記哺乳類がヒトである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 哺乳類における痒みの認知を客観的に測定する方法であって、該方法が、
    a)哺乳類の上皮に接着物品を貼付する工程と、
    b)上皮細胞の該接着物品への付着を可能にする工程と、
    c)該接着物品を該哺乳類の上皮から取り外す工程と、
    d)抽出を行うために標準的な実験室法を用いて該接着物品を調製する工程と、
    e)該接着物品に付着した上皮細胞からヒスタミンを抽出する工程と、
    f)該接着物品に付着した上皮細胞からのヒスタミンを測定する工程と、
    g)基準サンプルと比較して該上皮細胞中のヒスタミンの量を定量化する工程と、
    を含む、方法。
  12. 痒みの認知の減少に直接的に正比例する、基準値からのヒスタミンの減少が存在する、請求項11による方法。
  13. 前記ヒスタミンを前記接着物品上のタンパク質の量で除することによって前記ヒスタミンを標準化する、請求項11に記載の方法。
  14. 哺乳類の痒みの認知の治療法であって、該方法が、
    a)請求項11に記載の方法を用いて痒みの認知を客観的に定量化する工程と、
    b)安全かつ有効な量の抗真菌化合物、好ましくは安全かつ有効な量のジンクピリチオンを含む抗真菌化合物を塗布する工程と、
    を含む方法。
  15. 前記接着物品が、疾病、疾患、又は炎症反応に悩む被験者、好ましくは皮膚炎に悩む被験者、及びより好ましくはフケに悩む被験者の上皮に貼付される、請求項1に記載の方法。
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