JP2013501526A - Vegfアンタゴニストに対する患者の応答をモニターするための生物学的マーカー - Google Patents

Vegfアンタゴニストに対する患者の応答をモニターするための生物学的マーカー Download PDF

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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/106Pharmacogenomics, i.e. genetic variability in individual responses to drugs and drug metabolism

Abstract

本発明は、VEGFアンタゴニストでの治療の効能をモニターするための一又は複数のバイオマーカーの発現を検出するための方法及び組成物を提供する。本発明はまたVEGFアンタゴニスト療法に応答性である見込みのある患者を同定し治療する方法をまた提供する。本発明は該方法において使用するためのキット及び製造品もまた提供する。

Description

(関連出願)
本出願は、その各開示の全体をあらゆる目的のために出典明示によりここに援用っする2009年8月14日出願の米国仮特許出願第61/234197号及び2009年8月14日出願の同第61/234201号の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、どの患者がVEGFアンタゴニスト療法での治療から最も恩恵を受けるかを同定し、VEGFアンタゴニスト療法での治療に対するその感受性及び応答性について患者をモニターする方法に関する。
バイオマーカー(例えば血漿中の分泌タンパク質)の発現レベルの測定は、例えばVEGFアンタゴニストでの治療を含む特定の治療法に応答する患者及び患者集団を同定するための効果的な手段である場合がある。しかしながら、今日まで、そのような患者及び患者集団を同定するのに有用なバイオマーカーの包括的なパネルは同定されていなかった。
よって、どの患者がどの治療に応答するかを決定し、単剤として使用されるのであれ、他の薬剤と併用されるのであれ、VEGFアンタゴニスト療法での患者に対するより効果的な治療レジメンにそのような決定を導入するための更に効果的な手段が必要とされている。
本発明はVEGFアンタゴニストでの治療に応答する患者を同定するための方法及び組成物を提供する。VEGFアンタゴニスト療法に応答性の患者は表1−3の何れか一つに記載の遺伝子の発現レベルに基づいて同定される。
従って、本発明の一実施態様は、少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストを投与された患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答するかどうかをモニターする方法であって、(a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に患者から得られた生物学的試料において患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;(b)患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを比較することを含み、ここで、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料における少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストでの治療に応答する患者を同定する方法を提供する。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子の発現はmRNAを測定することにより検出される。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子の発現は血漿中タンパク質レベルを測定することにより検出される。幾つかの実施態様では、該方法は、患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載された少なくとも2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現を検出し、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現レベルを比較することを更に含み、ここで、2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストでの治療に応答する患者を同定する。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子は、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18から選択される。幾つかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、例えばベバシズマブを含む抗VEGF抗体である。幾つかの実施態様では、患者は血管新生疾患を有している。幾つかの実施態様では、血管新生疾患は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、及びその組み合わせの群から選択される癌である。
本発明の更なる実施態様は、少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストを投与された患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答するかどうかをモニターする方法であって、(a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に患者から得られた生物学的試料において患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;(b)患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを比較することを含み、ここで、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料における少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストからの恩恵の蓋然性が増加した患者を同定する方法を提供する。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子の発現はmRNAを測定することにより検出される。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子の発現は血漿中タンパク質レベルを測定することにより検出される。幾つかの実施態様では、該方法は、患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載された少なくとも2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現を検出し、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現レベルを比較することを更に含み、ここで、2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストでの治療に応答する患者を同定する。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子は、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18から選択される。幾つかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、例えばベバシズマブを含む抗VEGF抗体である。幾つかの実施態様では、患者は血管新生疾患を有している。幾つかの実施態様では、血管新生疾患は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、及びその組み合わせの群から選択される癌である。
本発明の他の実施態様は、少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが投与された患者(例えば、限定しないが、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、又は神経膠芽腫を含む血管新生疾患と診断された患者)に対する治療法を選択する方法であって、(a)VEGFアンタゴニストの投与後に患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;(b)患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを比較し;(c)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に検出されるならば治療法としてVEGFアンタゴニストを選択し;又は(d)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に検出されないならば、VEGFアンタゴニストではない治療法を選択することを含む方法を提供する。幾つかの実施態様では、(c)の治療法は、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせから選択される薬剤を投与することを含む。幾つかの実施態様では、(d)の治療法は、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせから選択される薬剤を投与することを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも一つの遺伝子は、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18から選択される。幾つかの実施態様では、該方法は、患者から得られた生物学的試料中の表1−3の何れか一つに記載の少なくとも2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、11番目、12番目、13番目、14番目、15番目、16番目、17番目、18番目、19番目、20番目、21番目、22番目、23番目、24番目、25番目、26番目、27番目、28番目、29番目、30番目、31番目、32番目、33番目、34番目、35番目、36番目、37番目、38番目、39番目、40番目、41番目、42番目、43番目、44番目、45番目、46番目、47番目、48番目、49番目、50番目、51番目、52番目、53番目、53番目、54番目、55番目、56番目、57番目、58番目、又は59番目の遺伝子の発現を検出することを更に含む。幾つかの実施態様では、該方法は、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に少なくとも一つの遺伝子の発現の減少が検出されるならば、患者に有効量のVEGFアンタゴニストを投与することを更に含む。幾つかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)である。幾つかの実施態様では、該方法は(f)例えば抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせから選択される薬剤を含む、有効量の少なくとも第二の薬剤を投与することを更に含む。
本発明の更なる実施態様は、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするためのバイオマーカーを同定する方法であって、(a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが投与された患者から得られた生物学的試料中の候補バイオマーカーの発現を検出し;(b)候補バイオマーカーの発現レベルを参照試料中の候補バイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた生物学的試料中において少なくとも 1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、1.95倍、1.99倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍低いレベルで発現された候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される方法を提供する。幾つかの実施態様では、参照資料は、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料である。幾つかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、例えばベバシズマブを含む抗VEGF抗体である。
図1は、ある遺伝子がVEGFアンタゴニストでの治療後7日目にダウンレギュレートされていることを証明するデータを示している。陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表している。白抜きの円及び斜線の円は、VEGFアンタゴニストでの治療後7日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す。広抜きの円はLODスコア>0の遺伝子を表す。斜線の円はLODスコア>2の遺伝子を表す。 図2は、ある遺伝子がVEGFアンタゴニストでの治療後14日目にダウンレギュレートされていることを証明するデータを示している。陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表している。白抜きの円及び斜線の円は、VEGFアンタゴニストでの治療後14日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す。広抜きの円はLODスコア>0の遺伝子を表す。斜線の円はLODスコア>2の遺伝子を表す。 図3は、VEGFアンタゴニストでの治療後7日目及び14日目にダウンレギュレートされている遺伝子間のオーバーラップを示す。図3A:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>0で7日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す;プラス符号はLODスコア>0で14日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す;斜線の円はLODスコア>0で7及び14日目にダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図3B:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>0で7日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す;プラス符号はLODスコア>0で14日目のダウンレギュレートされている遺伝子を表す;斜線の円はLODスコア>0で7及び14日目にダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図4は、以下の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が結腸直腸腺癌腫瘍移植モデルの基質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされていることを証明するデータを示している。4A:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>2(p値5.3e−82)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図4B:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>0(p値4.8e−74)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図5は、以下の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が転移性乳癌移植モデルの基質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされていることを証明するデータを示している。5A:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>2(p値1.6e−159)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図5B:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>0(p値7.0e−266)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図6は、以下の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が結腸腺癌移植モデルの基質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされていることを証明するデータを示している。6A:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>2(p値5.3e−18)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。 図6B:陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表す;白抜きの円はLODスコア>0(p値3.4e−43)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。
(好ましい実施態様の詳細な説明)
I.序
本発明はVEGFアンタゴニストでの治療に感受性又は応答性である患者をモニターし、及び/又は同定するための方法及び組成物を提供する。本発明は、VEGFアンタゴニストでの少なくとも一回の治療の前後での表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又はそれ以上の遺伝子の発現レベルが、VEGFアンタゴニストでの治療に対する患者の応答性又は感受性をモニターし、VEGFアンタゴニストでの治療に感受性であるか又は応答性である患者を同定するために有用であるという発見に基づいている。
II.定義
「バイオマーカー」及び「マーカー」なる用語は、ここでは交換可能に使用され、DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、又は糖脂質ベースの分子マーカーを意味し、被検体又は患者の試料中の発現又は存在を、標準的な方法(又はここに開示された方法)により検出することができ、VEGFアンタゴニストに対する哺乳動物被検体の応答性又は感受性をモニターするのに有用である。このようなバイオマーカーは、限定されるものではないが、表1−3に記載の遺伝子を含む。そのようなバイオマーカーの発現は、(例えばVEGFアンタゴニストでの治療前に同じ患者から得られた使用、VEGFアンタゴニストで治療されていない一又は複数の関連しない個体から得られた試料を含む)コントロール試料におけるよりも、患者が少なくとも一回の用量のVEGFアンタゴニストの投与を受けた後にVEGFアンタゴニストに対して感受性又は応答性の患者から得られた試料においてより低いことが決定されうる。より低い発現は、典型的にはコントロール試料における発現よりも例えば1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、1.95倍、1.99倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍以上低い発現レベルを意味する。より低い発現はまた測定された全ての遺伝子の平均発現レベルから少なくとも約−2、−3、−4、−5、又は−6の標準偏差の平均対数比の減少を意味する。
「試料」及び「生物学的試料」なる用語は交換可能に使用され、体液、体組織、細胞、又は他の供給源を含む個体から得られた任意の生物学的試料を意味する。体液は、例えばリンパ、血清、新鮮全血、末梢血単核細胞、凍結全血、血漿(新鮮又は凍結を含む)、尿、唾液、精液、滑液及び髄液である。また、試料は、乳房組織、腎組織、結腸組織、脳組織、筋肉組織、滑液組織、皮膚、毛包、骨髄、及び腫瘍組織も含む。哺乳動物から組織バイオプシー及び体液を得るための方法は、当該技術分野でよく知られている。
VEGFアンタゴニストでの治療に対する患者の「効果的な応答」又は患者の「応答性」又は「感受性」は、例えば抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニストでの治療から又は治療の結果として血管新生疾患のリスクがあるか該疾患を患っている患者に与えられる臨床的又は治療的恩恵を意味する。そのような恩恵は、アンタゴニストでの治療から又は治療の結果として、細胞性又は生物学的応答、完全奏功、部分奏功、安定疾患(進行又は再発がない)、又は患者の後での再発を伴う応答を含む。例えば、効果的な応答は、バイオマーカーの一又は複数を発現しない患者に対する表1−3の何れか一つに記載のバイオマーカーの一又は複数を発現すると診断された患者における減少した腫瘍サイズ又は無増悪生存期間でありうる。遺伝子バイオマーカーの発現はそのような効果的な応答を効果的に予測し、又は高感度で予測する。
ここで使用される「アンタゴニスト」は、結合する分子の生物学的活性を阻害し、又は減少させる化合物又は薬剤を意味する。アンタゴニストは、他の分子とコンジュゲートされ又は融合されていてもよい、VEGFに結合する抗体、合成又は天然配列ペプチド、イムノアドヘシン、及び小分子アンタゴニストを含む。「阻止(遮断)」抗体又は「アンタゴニスト」抗体はそれが結合する抗原の生物学的活性を阻害し又は低減させるものである。
ここで使用される「アゴニスト抗体」は、対象のポリペプチドの機能的活性の少なくとも一を部分的に又は完全に模倣する抗体である。
ここでの「抗体」なる用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片を特に包含する。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の研究、診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質を含みうる。幾つかの実施態様では、抗体は、(1)例えばローリー法で決定して95重量%を越える抗体まで、ある実施態様では99重量%を越えるまで、(2)例えばスピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端又は内部アミノ酸配列を得るのに充分な程、あるいは(3)例えばクーマシーブルー又は銀染色を用いた非還元又は還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
「天然抗体」は、通常は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖内ジスルフィド結合を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(V)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を、他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。重鎖の可変ドメインは「VH」と称されうる。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称されうる。これらのドメインは一般に抗体の最も可変の部分であり、抗原結合部位を含む。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体間で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメイン両方の高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主に採る4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のHVRは、FR領域に近接して結合され、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, BEthesda, MD(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞性傷害性への抗体の関与を示す。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる二つの明らかに区別されるタイプの一方に分類できる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は異なるクラスに分類できる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらの幾つかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgAに分類される。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、一般に例えばAbbas等, Cellular 及びMol. Immunology, 4版 (W.B. Saunders, Co., 2000)に記載されている。抗体は、一又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの抗体の共有又は非共有結合によって形成されるより大きな融合分子の一部であってもよい。
「完全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」という用語は、ここでは交換可能に使用され、以下に定義される抗体断片ではなく、その実質的にインタクトな形態の抗体を指す。この用語は、特にFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
ここでの目的にとって、「ネイキッド抗体」とは、細胞傷害性部分又は放射標識にコンジュゲートされていない抗体である。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含んでなる。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位と、その名前がその容易に結晶化する能力を反映する残りの「Fc」断片とを有する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を持ち、抗原に尚も架橋可能であるF(ab')断片を生じる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。一実施態様では、二本鎖Fv種は強固な非共有結合の一つの重鎖可変ドメインと一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、一つの重鎖可変ドメインと一つの軽鎖可変ドメインが、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種におけるものに類似した「二量体」構造で会合しうるように、可動性ペプチドリンカーによって共有的に連結されうる。各可変ドメインの3つのHVRが相互作用してVH−VL二量体の表面に抗原結合部位を形成するのはこの構造においてである。集合的には、6つのHVRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのHVRだけを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性でではあるが、抗原を認識しそれに結合する能力を有している。
Fab断片は重鎖及び軽鎖可変ドメインを含み、また軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含んでいる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加される点でFab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を担持しているFab’についてのここでの標記である。F(ab’)抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片対として元々は生産された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた知られている。
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般には、sFvポリペプチドは、scFVが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVH及びVLドメイン間に更に含む。scFvの概説については、例えばPluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, (Springer-Verlag, New York, 1994), pp. 269-315を参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持ち、その断片が同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体断片を指す。非常に短いために同一鎖上で二つのドメイン間での対形成を可能にするリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディは二価又は二重特異的でありうる。ダイアボディは、例えば欧州特許出願公開第404097号;国際公開第1993/01161号;及びHudson等, Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)に更に十分に記載されている。トリアボディ及びダイアボディはまたHudson等, Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、例えば少量で存在しうる天然に生じる突然変異などの、可能な突然変異体を除いて、集団を含む個々の抗体が同一である。よって、「モノクローナル」との形容は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。ある実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含む方法により得られた。例えば、該選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような、複数のクローンからの唯一のクローンの選択でありうる。選択された標的結合配列を更に改変させることにより、例えば標的への親和性の改善、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多重特異性抗体の生成等が可能になり、また改変された標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることが理解されなければならない。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで典型的には汚染されていないという点で有利である。
「モノクローナル」との修飾詞は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の性質を示すものであり、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明において用いられるモノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法(例えばKohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975);Hongo等, Hybridoma, 14 (3): 253-260 (1995);Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2版 1988);Hammerling等, Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681, (Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば米国特許第4816567号を参照)、ファージディスプレイ法(例えばClackson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597 (1992);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2):299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等 J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132 (2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座又は遺伝子の一部又は全てを有する動物においてヒト又はヒト様抗体を産生する技術(例えば国際公開第1998/24893号;同第1996/34096号;同第1996/33735号;同第1991/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature, 362:255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;及び同第5661016号;Marks等, Bio/Technology, 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature, 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature, 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology, 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13: 65-93 (1995)を参照)を含む様々な技術によって作製することができる。
ここでのモノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種由来の抗体、あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同であるが、鎖の残りが他の種由来の抗体、あるいは他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物的活性を有する限りこのような抗体の断片を特に含む(米国特許第4816567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984))。キメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば対象の抗原でマカクザルを免役化することによって、生産された抗体から誘導されるプリマタイズ(PRIMATIZED(登録商標))抗体を含む。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体はレシピエントのHVRからの残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類などの非ヒト(ドナー抗体)のHVRからの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは殆ど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは殆ど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含んでなる。更なる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。また例えば、Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994);及び米国特許第6982321号及び同第7087409号を参照のこと。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここで開示されたヒト抗体を作製する何れかの技術を使用して作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含むこの分野で知られた様々な方法を用いて産生せしめることができる。Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1992);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)。ヒトモノクローナル抗体の調製にまた利用できるものは、Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)に記載された方法である。また van Dijk 及びvan de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74 (2001)を参照のこと。ヒト抗体は、抗原暴露に応答してかかる抗体を産生せしめるように改変されているが、その内因性遺伝子座が無能にされているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによって調製されうる(XENOMOUSETM技術に関しては例えば米国特許第6075181号及び同第6150584号を参照)。またヒトB細胞ハイブリドーマ法によって生産されるヒト抗体に関しては、Li等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006) を参照のこと。
ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つのHVRsを含む;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然抗体では、H3及びL3は6つの高頻度可変領域のうちで最も高い多様性を示し、特にH3は抗体に良好な特異性を与える際に特有の役割を果たすと信じられている。例えば、Xu等, Immunity 13:37-45 (2000);Johnson 及びWu, Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照のこと。実際、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は機能的であり、軽鎖が無い状態で安定である。例えば、Hamers-Casterman等, Nature 363:446-448 (1993);Sheriff等, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照のこと。
多数のHVRの描写が使用され、ここに包含される。カバット相補性決定領域(CDR)は配列多様性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia 及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRは、カバットHVRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用できる複合体結晶構造の解析に基づく。これらのHVRsのそれぞれからの残基を以下に示す。
ループ カバット AbM Chothia 接触
---- ----- --- ------- -------
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B
(Kabat番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
HVRは、次のような「拡大HVR」を含みうる:VLの24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97又は89−96(L3)、及びVHの26−35又は26−35A(H1)、50−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102、又は95−102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、上掲のKabat等に従って番号が付されている。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここに定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
「カバット(Kabat)による可変ドメイン残基番号付け」又は「カバットに記載のアミノ酸位番号付け」なる表現及びその異なる言い回しは、上掲のKabat 等の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はHVR内の短縮又は挿入に相当する2、3のアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、H2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)と、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによる残基82a、82b及び82cなど)を含んでもよい。残基のKabat番号は、「標準の」カバット番号付け配列と抗体配列の相同領域でアライメントすることによって、与えられた抗体について決定されうる。
「親和成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる一又は複数の改変をその一又は複数のHVRに持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られている手順によって生産される。例えば、Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、例えばBarbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
「増殖阻害」抗体は、抗体が結合する抗原を発現している細胞の増殖を阻害又は低減するものである。
「アポトーシスを誘導する」抗体とは、例えば、アネキシンVの結合、DNA断片化、細胞収縮、小胞体の肥大、細胞断片化、及び/又は膜小嚢の形成(アポトーシス体と呼ばれる)のような、標準的なアポトーシスアッセイにより決定されるプログラム細胞死を誘導するものである。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞傷害活性(CDC);Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
ここでの「Fc領域」なる用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかも知れないが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置又はPro230からの位置のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば、抗体の産生又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することによって取り除かれてもよい。従って、インタクト抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体の混合を含む抗体群を含みうる。
ここで別段の記載がない限り、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、上掲のKabat等のEUインデックスのものである。「KabatのEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;CDC;Fcレセプター結合;ADCC;ファゴサイトーシス;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)のダウンレギュレーション等が含まれる。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域を結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組合せることが必要であり、例えばここでの定義に開示されたような様々なアッセイを使用して評価することができる。
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFc領域には、天然配列のヒトIgG1 Fc領域(非A−及びAアロタイプ);天然配列のヒトIgG2 Fc領域;天然配列のヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域;並びにその天然に生じる変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも一のアミノ酸修飾、好ましくは一又は複数のアミノ酸置換により、天然配列のFc領域とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列のFc領域もしくは親ポリペプチドのFc領域と比較した場合、少なくとも一のアミノ酸置換、例えば、天然配列のFc領域又は親のポリペプチドのFc領域に約1から約10のアミノ酸置換、好ましくは約1から約5のアミノ酸置換を有する。ここでの変異体Fc領域は、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と好ましくは少なくとも約80%の相同性を有し、最も好ましくは少なくとも約90%の相同性を、より好ましくは少なくとも約95%の相同性を有するであろう。
「Fc領域含有抗体」なる用語は、Fc領域を含む抗体を意味する。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば抗体の精製中に、又は抗体をコードする核酸を組換え操作することによって、取り除くことができる。従って、この発明に係るFc領域を有する抗体を含む組成物は、K447を有する抗体、全てのK447残基が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体と有さない抗体の混合物を含みうる。
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述する。幾つかの実施態様では、FcRは天然ヒトFcRである。幾つかの実施態様では、FcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース活性化モチーフ(ITAM)を有する。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシン−ベース阻害モチーフ(ITIM)を有する(例えばDaeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234(1997)を参照)。FcRは、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41(1995)に概説されている。将来同定されるものも含む他のFcRが、ここにおける「FcR」なる用語に包含される。
「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語はまた胎児への母のIgGの移動(Guyer等, J. Immunol. 117:587(1976)及びKim等, J. Immunol. 24:249(1994))、及び免疫グロブリンの恒常性維持の調節の原因となる、新生児レセプターFcRnを含む。FcRnへの結合性を測定する方法は知られている(例えば、Ghetie 及びWard, Immunology Today,18(12):592-8(1997);Ghetie等, Nature Biotechnology, 15(7):637-40(1997);Hinton等, J. Biol. Chem.,279(8):6213-6(2004);国際公開第2004/92219号(Hinton等)を参照)。
ヒトFcRnへのインビボ結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドのインビボ又は血清半減期は、例えば変異Fc領域を有するポリペプチドが投与されたトランスジェニックマウス、ヒトFcRnを発現する形質移入ヒト細胞株又は霊長類においてアッセイすることができる。国際公開第2000/42072号(Presta)はFcRsへの結合が改善され又は減少した抗体変異体を記載している。また例えばShields等 J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照のこと。
「ヒトエフェクター細胞」は、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実施する白血球である。ある実施態様では、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を遂行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球を含む。エフェクター細胞は、天然源、例えば血液から単離することができる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」又は「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、及びマクロファージ)に存在するFcレセプター(FcRs)上に結合した分泌Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞を、抗原担持標的細胞に特異的に結合せしめ、ついで細胞毒で標的細胞を殺すという細胞傷害性の形態を意味する。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血性細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu.Rev.Immunol., 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。関心ある分子のADCC活性を評価するためには、米国特許第5500362号又は同5821337号、又は米国特許第6737056号(Presta)に記載されているもののようなインビトロADCCアッセイが実施されうる。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、PBMC及びNK細胞を含む。あるいは、又は付加的に、関心ある分子のADCC活性は、例えばClynes等, Proc. Natl. Acad. Sci.(USA), 95:652-656(1998)に開示されたもののような動物モデルにおいてインビボで評価されうる。
「補体依存性細胞傷害性」もしくは「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を意味する。古典的な補体経路の活性化は、補体系(Clq)の第1成分が、その同族抗原と結合した抗体(適切なサブクラスのもの)に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163(1996)に記載されているように実施することができる。Fc領域アミノ酸配列(変異Fc領域を有するポリペプチド)が改変され、C1q結合能力が増加又は低下させられたポリペプチド変異体は、例えば米国特許第6194551号及び国際公開第1999/51642号に記載されている。また、例えばIdusogie等, J. Immunol. 164:4178-4184(2000)を参照。
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を意味する。特に示さない限り、ここで使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を意味する。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は、ここに開示されたものを含む、当該技術分野で知られている一般的な方法により測定することができる。低親和性抗体は、一般に抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向にあるが、高親和性抗体は、一般により素早く抗原に結合し、長時間、結合したまま残る傾向にある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で知られており、その何れかを本発明の目的に使用することができる。結合親和性を測定するための、特定の例証及び例示的実施態様を以下に記載する。
一実施態様では、本発明に係る「Kd」又は「Kd値」は、次のアッセイによって記載されるような対象抗体のFab型とその抗原を用いて実施される放射標識した抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、一連の滴定の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)-標識抗原でFabを平衡化し、ついで抗Fa抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって測定する(Chen等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照)。アッセイの条件を確立するために、マイクロタイタープレート(DYNEX Technologies, Inc.)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)で一晩コートし、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSで室温(およそ23℃)で2から5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)において、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した対象のFabと混合する(例えば、Presta等, Cancer Res. 57: 4593-4599 (1997)の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで対象のFabを一晩インキュベートする;しかしながら、インキュベーションは平衡に達することを確実にするために長時間(例えば65時間)継続しうる。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。ついで、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTWEEN20(商標)を含むPBSで8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT-20(商標); Packard)を加え、プレートをTOPCOUNTγカウンター(Packard)で10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下を与える各Fab濃度を選択して競合結合アッセイに用いる。
他の実施態様によれば、〜10応答単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIACORE, Inc., Piscataway, NJ)を使用して表面プラズモン共鳴アッセイを使用してKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化させる。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈した後、結合したタンパク質の応答単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流量で注入する。抗原の注入後、未反応基をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入する。動態測定のために、2倍に段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流量で0.05%TWEEN20(商標)(PBST)を含むPBSに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることにより単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore(登録商標) Evaluationソフトウエアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)は比Koff/Konとして算出する。例えば、Chen等, J. Mol Biol 293:865-881(1999)を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、PBS(pH7.2)、25℃の20nM抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、バンドパス=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光クエンチング技術を用いて、結合速度を測定することができる。
この発明による「オン速度」、「解離の速度」、「解離速度」又は「kon」は、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000システム(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を使用し、上に記載したようにして測定することができる。
ここで使用される「実質的に同様」又は「実質的に同じ」なる用語は、当業者が、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の文脈で2つの値の間に、殆ど又は全く生物学的及び/又は統計的に有意な差がないと考えるように、2つの数値間(例えば本発明の抗体に関連する一方と参照/比較抗体に関連する他方)の十分に高い度合いの類似性を示す。前記2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。
ここで使用される「実質的に低減され」又は「実質的に異なる」なる語句は、当業者が、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の文脈で2つの値の間に、統計的に有意な差があると考えるであろう2つの数値の間の十分に高い度合いの差異を示す。前記2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較分子に対する値の関数として、約10%より多く、約20%より多く、約30%より多く、約40%より多く、及び/又は約50%より多い。
ある実施態様では、ここで有用なヒト化抗体はIgG Fcにアミノ酸変化を含み、野生型IgG Fcを有する抗体に対してヒトFcRnに対して、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、より好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも125倍、更により好ましくは少なくとも150倍から約170倍、増加した結合親和性を示す。
「疾患」又は「疾病」は本発明の物質/分子又は方法での治療から恩恵を受ける任意の症状である。これは、哺乳動物を当該疾患にさせる病理的症状を含む慢性及び急性疾患又は疾病を含む。ここで治療される疾患の非限定的な例は、悪性及び良性腫瘍;非白血病及びリンパ悪性腫瘍;ニューロン、神経膠、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、間質性及び割腔の疾患;及び炎症、免疫性及び他の血管形成疾患を含む。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」なる用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴う疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。一実施態様では、細胞増殖性疾患は血管新生である。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性にかかわらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」はここで言及される場合、相互に排他的ではない。
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、限定しないが、扁平細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平癌腫(squamous carcinoma)を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃(gastric)又は腹部(stomach)癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎(renal)癌、肝癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝臓癌及び様々なタイプの頭頸部癌、並びにB細胞リンパ腫(低級/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中級/濾胞性NHL;中級びまん性NHL;高級免疫芽細胞性NHL;高級リンパ芽球性NHL;高級小非分割細胞NHL;バルキー疾患NHL;外套細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;及びワルデンストロームのマクログロブリン病を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びに母斑症に関連した異常な血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連したもの)、及びメイグス症候群が含まれる。
「抗腫瘍性組成物」又は「抗癌組成物」又は「抗癌剤」なる用語は、少なくとも一つの活性治療剤、例えば「抗癌剤」を含む、癌を治療する際に有用な組成物を指す。治療剤(抗癌剤)の例には、限定するものではないが、例えば、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害性剤、放射線療法に用いられる作用剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び癌を治療するための他の薬剤、例えば抗HER-2抗体、抗CD20抗体、上皮増殖因子レセプター(EGFR)アンタゴニスト(例えばチロシンキナーゼインヒビター)、HER1/EGFRインヒビター(例えばエルロチニブ(TarcevaTM)、血小板由来成長因子インヒビター(例えばGleevecTM(メシル酸イマチニブ))、COX-2インヒビター(例えばセレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、次の標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA又はVEGFレセプタの一又は複数と結合するアンタゴニスト(例えば中和抗体)、TRAIL/Apo2及び他の生理活性的の有機化学作用剤などが含まれる。また、その組合せも本発明に含まれる。
「血管形成因子又は薬剤」は、血管の発達を刺激する、例えば血管新生、内皮細胞増殖、血管の安定性及び/又は脈管形成などを促進する増殖因子である。例えば、血管形成因子には、限定しないが、例えばVEGF及びVEGFファミリーのメンバー、PlGF、PDGFファミリー、線維芽細胞増殖因子ファミリー(FGF)、TIEリガンド(アンギオポイエチン)、エフリン、Del-1、線維芽細胞増殖因子:酸性(aFGF)及び塩基性(bFGF)、ホリスタチン、顆粒性コロニー刺激因子(G−CSF)、肝細胞増殖因子(HGF)/散乱因子(SF)、インターロイキン-8(IL-8)、レプチン、ミドカイン、胎盤増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血小板由来増殖因子、特にPDGF−BB又はPDGFR−β、プレイオトロフィン(PTN)、プログラニュリン、プロリフェリン、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNFα)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)/血管透過性因子(VPF)等などが含まれる。また、成長ホルモン、インスリン様増殖因子-I(IGF−I)、VIGF、上皮細胞増殖因子(EGF)、CTGF及びそのファミリのメンバー、及びTGF−α及びTGF−βなどの、創傷治癒を促進する因子を含むであろう。例えば、Klagsbrun及びD'Amore Annu. Rev. Physiol. 53:217-39 (1991);Streit及びDetmar Oncogene 22:3172-3179 (2003);Ferrara及びAlitalo Nature Medicine 5(12): 1359-1364 (1999);Tonini等 Oncogene 22:6549-6556 (2003)(例えば、既知の血管形成因子の一覧を示す表1);及びSato Int. J. Clin. Oncol. 8:200-206 (2003)を参照のこと。
ここで使用される「VEGF」なる用語は、Leung等 Science, 246:1306 (1989)、及びHouck等 Mol. Endocrin., 5:1806 (1991)により記載されているような、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子及び関連する121、189、及び206アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子を、その天然に生じる対立遺伝子及び加工型と共に、意味する。「VEGF」なる用語はまたマウス、ラット又は霊長類のような非ヒト種からのVEGFを意味する。しばしば特定の種からのVEGFは、ヒトVEGFに対するhVEGF、マウスVEGFに対するmVEGF等のような用語によって示される。「VEGF」なる用語はまた165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8から109又は1から109を含むポリペプチドの切断型を意味するためにも使用される。VEGFの任意のそのような形態の標記は例えば「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」のように、本出願においてなされうる。「切断された」天然VEGFのアミノ酸位置は天然VEGF配列に示されるものと同じように番号付けされる。例えば、切断された天然VEGFのアミノ酸位置17(メチオニン)はまた天然VEGFの位置17(メチオニン)である。切断された天然VEGFは天然VEGFに匹敵するKDR及びFlt-1レセプターへの結合親和性を有している。好ましい実施態様によれば、VEGFはヒトVEGFである。
「VEGFアンタゴニスト」はVEGF又は一又は複数のVEGFレセプター又はそれらをコードする核酸へのその結合を含む、VEGF活性を中和し、ブロックし、抑制し、消失させ、低減させ又は干渉することができる分子を意味する。好ましくは、VEGFアンタゴニストはVEGF又はVEGFレセプターに結合する。VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGF及びVEGFレセプターに結合してリガンド−レセプター相互作用をブロックするポリペプチド(例えばイムノアドヘシン、ペプチボディ)、抗VEGFレセプター抗体及びVEGFレセプターアンタゴニスト、例えばVEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤、VEGFに結合するアプタマー、及びVEGF又はVEGFレセプターをコードする核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸(例えばRNAi)を含む。好ましい一実施態様によれば、VEGFアンタゴニストはVEGFに結合し、インビトロでVEGF誘導内皮細胞増殖を抑制する。好ましい一実施態様によれば、VEGFアンタゴニストはVEGF又はVEGFレセプターに非VEGF又は非VEGFレセプターよりも高い親和性で結合する。好ましい一実施態様によれば、VEGFアンタゴニストは1uM〜1pMのKdでVEGF又はVEGFレセプターに結合する。別の好ましい実施態様によれば、VEGFアンタゴニストは500nM〜1pMでVEGF又はVEGFレセプターに結合する。
好ましい実施態様によれば、VEGFアンタゴニストは、抗体、ペプチボディ、イムノアドヘシン、小分子又はアプタマーからなる群から選択される。好ましい実施態様では、抗体は抗VEGF抗体、例えばAVASTIN(登録商標)抗体又は抗VEGFレセプター抗体、例えば抗VEGFR2又は抗VEGFR3抗体である。VEGFアンタゴニストの他の例は、VEGF−Trap、Mucagen、PTK787、SU11248、AG−013736、Bay439006(ソラフェニブ)、ZD−6474、CP632、CP−547632、AZD−2171、CDP−171、SU−14813、CHIR−258、AEE−788、SB786034、BAY579352、CDP−791、EG−3306、GW−786034、RWJ−417975/CT6758及びKRN−633を含む。
「抗VEGF抗体」は十分な親和性及び特異性でVEGFに結合する抗体である。好ましくは、本発明の抗VEGF抗体はVEGF活性が関与している疾患又は状態をターゲティング又は干渉する場合の治療薬として使用できる。抗VEGF抗体は通常は他のVEGF相同体、例えばVEGF−B又はVEGF−C、又は他の増殖因子、例えばPIGF、PDGF又はbFGFには結合しない。好ましい抗VEGF抗体はハイブリドーマATCCHB10709により生産されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。より好ましくは、抗VEGF抗体はPresta等, (1997) Cancer Res. 57:4593-4599により産生される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体、例えば限定しないが、ベバシツマブ(BV;Avastin(登録商標))として知られる抗体である。別の実施態様によれば、使用できる抗VEGF抗体は国際公開第2005/012359号に開示されている抗体を含むが、それに限定されない。一実施態様によれば、抗VEGF抗体は国際公開第2005/012359号の図24、25、26、27及び29に開示されている抗体(例えばG6、G6−23、G6−31、G6−23.1、G6−23.2、B20、B20−4及びB20.4.1)の何れか一つの可変重鎖及び可変軽鎖領域を含む。別の好ましい実施態様では、ラニビツマブとして知られる抗VEGF抗体は、糖尿病性神経障害及びAMDのような眼の疾患に対して投与されるVEGFアンタゴニストである。
抗VEGF抗体「ベバシツマブ(BV)」、別名「rhuMAbVEGF」又は「Avastin(登録商標)」はPresta等, (1997) Cancer Res. 57:4593-4599に従って産生される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは変異ヒトIgG1フレームワーク領域及びヒトVEGFのそのレセプターへの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域を含む。フレームワーク領域の大部分を含むベバシツマブのアミノ酸配列のおよそ93%はヒトIgG1由来であり、配列の約7%はマウス抗体A4.6.1由来である。ベバシツマブは約149000の分子量を有し、グリコシル化されている。他の抗VEGF抗体は米国特許第6884879号及び国際公開第2005/044853号に記載されている抗体を含む。
抗VEGF抗体ラニビツマブ、即ちLUCENTIS(登録商標)抗体又はrhuFabV2はヒト化親和性成熟抗ヒトVEGFFab断片である。ラニビツマブは大腸菌発現ベクターにおける標準的な組換え技法及び細菌発酵により製造される。ラニビツマブはグリコシル化されておらず、約48000ダルトンの分子量を有している。国際公開第98/45331号及び米国特許出願公開第20030190317号を参照のこと。
血管形成の調節不全は、異常な血管形成を生じ得、すなわち、疾患状態における新しい血管の過剰な、不十分な、又はその他不適切な増殖(例えば、血管形成の位置、タイミング又は発現が、医学的観点から所望されない)、又は疾患状態を生じせしめるように、つまり血管新生疾患をもたらしうる。過剰な、不適切な又は制御されない血管形成は、疾患状態の悪化に寄与するか又は疾患状態を生じる新しい血管増殖が存在するときに生じる。新しい血管は、疾患組織に栄養を与え、正常な組織を破壊し得、癌の場合には、その新しい血管によって腫瘍細胞が循環中に流入し、他の器官に留まりうる(腫瘍転移)。異常な血管形成に関与する疾患状態は、非腫瘍性及び腫瘍性状態の両方を含み、これには、例えば、癌、特に血管新生された固形腫瘍及び転移腫瘍(結腸癌、乳癌、肺癌(特に小細胞肺癌)、又は前立腺癌を含む)、所望されないか又は異常な肥大、関節炎、慢性関節リューマチ(RA)、炎症性腸疾患すなわちIBD(クローン病及び潰瘍性結腸炎)、乾癬、乾癬性プラーク、サルコイドーシス、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化性プラーク、糖尿病性網膜症及び未熟児網膜症を含む他の増殖性の網膜症、水晶体後腺維増殖症、血管新生緑内障、加齢関連黄斑変性、糖尿病性斑状浮腫、角膜血管新生、角膜グラフト血管新生、角膜グラフト拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、虹彩前面の血管新生(ルベオーシス)、眼の血管新生性疾患、血管再狭窄、動脈静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管腺維腫、甲状腺肥大(グレーブス病を含む)、慢性炎症、肺炎症、急性肺傷害/ARDS、敗血症、一次肺高血圧症、悪性肺滲出、脳水腫(例えば急性卒中/閉鎖性頭部傷害/外傷に関連)、滑膜炎症、骨化性筋炎、肥大性骨形成、骨関節炎(OA)、難治性腹水、多嚢胞性卵巣症、子宮内膜炎、第三腔体液疾患(3rd spacing of fluid diseases)(膵炎、コンパートメント症候群、熱傷、腸疾病)、子宮線維症、早産、慢性炎症、例えばIBD、腎臓同種移植片拒絶、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、望ましくないか又は異常な組織嵩増大(非癌)、血友病性関節、肥大瘢痕、毛髪増殖抑制、オースラー‐ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫 水晶体後線維増殖、硬皮症、トラコーマ、血管接着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心内膜液浸出(例えば心内膜炎に関連するもの)及び胸水が含まれる。
ここで使用される場合、「治療」は、治療されている個体又は細胞の天然の過程を改変するための臨床的介入を意味し、予防のため又は臨床的病理の過程中に実施することができる。治療の望ましい効果には、疾病の発生又は再発の防止、症状の寛解、疾病の任意の直接的又は間接的病理的結果の低減、転移の防止、疾病の進行速度の低減、疾病状態の回復又は緩和、及び寛解又は改善された予後が含まれる。ある実施態様では、本発明の抗体は疾患又は疾病の進行を遅らせるために用いられる。
「有効量」とは所望の治療又は予防結果を達成するために必要な用量及び時間での効果的な量を意味する。
本発明の物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療的有効量」は、例えば個体の疾病ステージ、年齢、性別、及び体重、及び個体に所望の応答を誘発する物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの能力などの因子に従って変わりうる。また、治療的有効量は物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の毒性又は有害な効果よりも治療的に恩恵のある効果が上回るものである。「治療的有効量」という用語は、哺乳類の疾病や疾患(患者としても知られる)の「治療」のために有効なこの発明の抗体、ポリペプチド又はアンタゴニストの量を意味する。癌の場合は、治療的有効量の医薬により、癌細胞の数を減少させ;腫瘍の大きさ又は重さを小さくし;癌細胞の周辺器官への浸潤を阻害(すなわち、ある程度に遅く、好ましくは止める)し;腫瘍の転移を阻害(すなわち、ある程度に遅く、好ましくは止める)し;腫瘍の増殖をある程度阻害し;及び/又は疾患に関連する一又は複数の症状をある程度和らげることが可能である。ある程度、医薬は、増殖を妨げ及び/又は既存の癌細胞を殺すことが可能で、細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性である。一実施態様では、治療的有効量は増殖阻害量である。別の実施態様では、治療的有効量は、患者の生存期間を延長する量である。別の実施態様では、治療的有効量は、患者の無増悪生存期間を改善する量である。
「予防的有効量」とは所望の予防結果を達成するために必要な用量及び時間での効果的な量を意味する。典型的には、必ずではないが、予防的用量は疾患の初期ステージ又はその前の個体に用いるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
ここで用いられる「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位体)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロランブシル、ダウノルビシン又はその他インターカレート剤、酵素及びその断片、例えば核溶解性酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、及び以下に開示する様々な抗腫瘍又は抗癌剤を含むことが意図される。他の細胞傷害剤は以下に記載されている。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドのようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパのようなアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標);βラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)及び9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノボエンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew Chem Intl. Ed. Engl. 33:183-186(1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポシロン;エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシノイド類、例えばメイタンシン及びアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、ABRAXANETMパクリタキセルのクレモフォー無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート(ibandronate);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体:並びに上記の2以上の組み合わせ、例えば、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP、及び5-FU及びロイコボビン(leucovovin)とオキサリプラチン(ELOXATINTM)を組合わせた治療法の略語であるFOLFOXが含まれる。更なる化学療法剤は、抗体薬剤コンジュゲート、例えばメイタンシノイド(例えばDM1)及びオーリスタチンMMAE及びMMAFを例えば含む。
「化学療法剤」はまた癌の増殖を助けるホルモンの作用を調節、低減、遮断又は阻害するように働き、多くの場合、全身性又は全身処置の形態である「抗ホルモン剤」を含む。それらはホルモン自体であってもよい。例は、抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン、及びFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン;エストロゲンレセプター下方調節剤(ERD);卵巣を抑止又は停止させる機能がある作用剤、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えばLUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)酢酸リュープロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン及びトリプテレリン;その他の抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド及びビカルタミド;及び副腎のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールである。加えて、このような化学療法剤の定義には、クロドロネート(例えばBONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロン酸、NE-58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、又はACTONEL(登録商標)リセドロネート、並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常細胞増殖に関連するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-α、Raf、及びH-Ras、及び上皮成長因子レセプター(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブジトシレート(GW572016としても知られるErbB-2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);及び上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。
ここで使用される「増殖阻害剤」は、細胞の成長及び/又は増殖をインビトロ又はインビボの何れかで阻害する化合物又は組成物を意味する。増殖阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘導する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン類、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばアントラサイクリン抗生物質ドキソルビシン((8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオン)、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。またG1停止させる薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びアラ-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標), Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標), Bristol-Myers Squibb)の半合成アナログである。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合化を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定にする。
ここで使用される場合、「患者」なる用語は、治療が所望される任意の単一の動物、より好ましくは哺乳動物(非ヒト動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類を含む)意味する。最も好ましくは、ここでの患者はヒトである。
ここでの「被検体(被験者)」とは、血管新生疾患の一又は複数の徴候、症状又は他の指標を被っているか又は被った経験のある、治療に適格な、患者を含む任意の単一のヒト被検体である。被検体として含められるのが意図されるものは、疾患の臨床的徴候を何ら示さない臨床研究試験に関与した任意の被検体、又は疫学研究に関与する被験者、又はコントロールとして一度使用された被検体である。被検体は、VEGFアンタゴニストで過去に治療されていてもよいし、又はそのような治療がされていなくてもよい。被検体は、ここでの治療が開始される際に使用される第二の医薬の投薬を受けていなくてもよく、すなわち、被検体は、「ベースライン」(すなわち、ここでの治療方法において、アンタゴニストの初回用量の投与前の時点での設定点、例えば治療が開始される前の被検体をスクリーニングする日)に、例えば抗腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤で過去に治療されていない場合である。このような「治療未経験の」被検体は一般にこのような第二の医薬での治療のための候補者であると考えられる。
「有効量」なる表現は血管新生疾患を治療するのに効果的である医薬の量を意味する。
「薬学的製剤」なる用語は、医薬の生物学的活性が効果的であることを可能にするような形態であり、製剤が投与される被検体に毒性が許容されない更なる成分を含まない無菌調製物を意味する。
「無菌」製剤は無菌的又はあらゆる生きている微生物やその芽胞を含まない。
「パッケージ挿入物」は、適応症、用途、服用量、投与、配合禁忌、パッケージされている製品と併用される他の医薬品、及び/又はそのような医薬品又は医薬の使用に関する警告などについての情報を含む医薬品又は医薬の商業的包装を慣習的に含められる指示書を指すために使用される。
「キット」は、少なくとも一の試薬、例えば血管新生疾患の治療のための医薬、又は本発明のバイオマーカー遺伝子又はタンパク質を特異的に検出するためのプローブを有する任意の製造品(例えば、パッケージ又は容器)である。製造品は、好ましくは、本発明の方法を実施するためのユニットとして宣伝され、流通され、又は市販される。
医薬に非応答の目的に対して、一又は複数の医薬での過去又は現在の治療から「臨床的に許容できない高レベルの毒性」を経験している被検体は、経験のある臨床医によって顕著であると考えられるそれに関連した一又は複数の負の副作用又は有害事象、例えば、深刻な感染症、鬱血性心不全、脱随(多発性硬化症に至る)、著しい過敏症、 神経病理学的症状、高い度合いの自己免疫、癌、例えば子宮内膜癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、又はメラノーマ、結核(TB)等を経験する。
「負の副作用の危険性を低減する」とは、以前投与された医薬での同じ患者又は別の患者の治療に起因して観察される危険性よりも、ここでのアンタゴニストでの治療に起因する副作用の危険性を、低い程度まで低減させることを意味する。このような副作用には、毒性に関して上に記載されたもの、好ましくは感染症、癌、心不全、又は脱髄が含まれる。
「相関」又は「相関する」は、何らかの方法で、第一の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果を、第二の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第二のプロトコルを実施する際に第一の分析又はプロトコルの結果を用いてもよいし、及び/又は第一の分析又はプロトコルの結果を用いて、第二の分析又はプロトコルを実施すべきかどうかを決定してもよい。ここでの様々な実施態様に関し、分析アッセイの結果を使用して、抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニストを使用する特定の治療レジメンを実施すべきかどうかを決定することができる。
ここで使用される「標識」なる語は、核酸プローブ又は抗体などの試薬に直接的又は間接的にコンジュゲートされ又は融合され、それがコンジュゲートされ又は融合されている試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を意味する。標識自体が検出可能(例えば放射性標識又は蛍光性標識)であってもよく、又は酵素標識の場合は、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒するものであってもよい。該用語は、検出可能な物質をプローブ又は抗体にカップリングさせる(つまり、物理的に結合させる)ことによるプローブ又は抗体の直接的標識、並びに直接的に標識される他の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接的標識を包含することを意図している。間接的標識の例は、蛍光的に標識される二次抗体を使用して一次抗体を検出し、蛍光標識ストレプトアビジンで検出することができるようにDNAプローブをビオチンで末端標識化することを含む。
「発現のレベル」又は「発現レベル」なる用語は、交換可能に使用され、一般に、生物学的試料中のポリヌクレオチド又はアミノ酸生成物又はタンパク質の量を意味する。「発現」は、遺伝子コード情報が、細胞中に存在し操作される構造に変換されるプロセスを意味する。従って、本発明によれば、遺伝子の「発現」は、ポリヌクレオチドへの転写、タンパク質への翻訳、又はタンパク質の翻訳後修飾を意味しうる。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたタンパク質、又は翻訳後修飾されたタンパク質の断片は、また選択的スプライシング又は分解された転写物により、又はタンパク質の翻訳後プロセシング、例えばタンパク質分解から生成された転写物由来であろうがなかろうが、発現したとみなされる。「発現した遺伝子」には、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、ついでタンパク質に翻訳されたもの、及びRNAに転写はされたが、タンパク質には翻訳されていないもの(例えば、トランスファー及びリボソームRNA)が含まれる。
ここで使用される場合、「共変量」なる用語は、患者に関するある種の変量又は情報を意味する。臨床的エンドポイントは回帰モデルにおいて頻繁に考慮され、エンドポイントは従属変量を表し、バイオマーカーは主又は標的独立変量(リグレッサー)を表す。臨床的データプールからの付加的な変量が考慮される場合、それらは(臨床的)共変量として示される。
「臨床的共変量」なる用語は、ベースラインで一般的に利用される患者についての全ての臨床的情報を記述するためにここでは使用される。これらの臨床的共変量は、性別、年齢等の人口統計学的情報、他の既往の情報、合併症、併用治療、身体検診の結果、得られた一般的な実験室パラメータ、血管新生疾患の既知の性質、臨床疾患の段階分け、前処置のタイミング及び結果、病歴、並びに治療に対する臨床反応に関連しうるあらゆる類似の情報を含む。
ここで使用される場合、「生分析」又は「未調整分析」なる用語は、考慮されるバイオマーカーの他に、何の付加的な臨床的共変量も、独立因子又は階層化共変量としても回帰モデルで使用されない回帰分析を意味する。
ここで使用される場合、「共変量により調節される」は、考慮されるバイオマーカーの他に、付加的な臨床的共変量が、独立因子又は階層化共変量として回帰モデルで使用される回帰分析を意味する。
ここで使用される場合、「単変量」なる用語は、独立因子として、標的バイオマーカーのみがモデルの一部である、回帰モデル又は図表を意味する。これらの単変量モデルは、付加的な臨床的共変量と共に又は該共変量なしに考慮されうる。
ここで使用される場合、「多変量」なる用語は、独立変量として、標的バイオマーカーの一を越えるものがモデルの一部である回帰モデル又は図表を意味する。これらの多変量モデルは、付加的な臨床的共変量と共に又は該共変量なしに考慮されうる。
III.VEGFアンタゴニストに対して応答性の患者を同定する方法
本発明はVEGFアンタゴニスト療法に応答性である可能性が高い患者を同定し、及び/又はモニターするための方法を提供する。該方法は、患者へのVEGFアンタゴニストの投与が効果的である可能性を増加させるのにとりわけ有用である。該方法は、患者からの生物学的試料中の一又は複数の遺伝子バイオマーカーの発現を検出することを含み、ここで、一又は複数のかかるバイオマーカーの発現が、患者が抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニストに対して感受性か又は応答性であるかどうかの指標である。より特定的には、患者からの試料中の表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59の遺伝子の発現が、患者がVEGFアンタゴニストに対して応答性か又は感受性であるかどうかをモニターするのに有用である。幾つかの実施態様では、次の群:ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18から選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が、患者がVEGFアンタゴニストに対して応答性であるか又は感受性であるかどうかをモニターするのに有用である。
開示された方法及びアッセイは、患者を治療するために適切な又は効果的な治療法を評価するのに有用なデータ及び情報を得るための簡便、効果的で、潜在的に費用効率のよい手段を提供する。例えば、患者はVEGFアンタゴニストでの治療前後の血液試料を提供し、該試料は、患者の細胞が抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニストである治療剤に対して感受性かどうかを決定するために様々なインビトロアッセイによって検査される。
本発明はVEGFアンタゴニストに対する患者の感受性又は応答性をモニターするための方法を提供する。該方法は、遺伝子又はタンパク質発現を検出するアッセイ(例えばPCR及び酵素イムノアッセイ)及び適切な活性を検出する生化学アッセイを含む様々なアッセイ型式で実施することができる。試料中のそのようなバイオマーカーの発現又は存在の決定は、試料を提供する患者がVEGFアンタゴニストの生物学的効果に対して感受性であることの予測となる。ここでの出願人の発明は、患者からの試料中の表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又はそれ以上の遺伝子の発現における減少がそのような患者のVEGFアンタゴニストに対する観察された治療効果と相関するというものである。典型的には、コントロール試料(例えばVEGFアンタゴニストでの治療前に同じ患者から得られた試料、VEGFアンタゴニストで治療されていない一又は複数の無関係の個体から得られた試料又はプール試料)における発現に対して遺伝子の少なくとも一つにおける発現の少なくとも約1.5倍、1.6倍、1.8倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍の減少あるいは測定される全遺伝子の平均発現レベルから少なくとも約−2、−3、−4、−5、又は−6の標準偏差の平均対数比の減少が、患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答するか又は感受性であることを示している。
一態様では、この発明は、血管新生疾患の患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答するかどうかをモニターする方法において、少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが患者に投与された前後に得られた患者からの試料における表1−3の何れか一つに記載された少なくとも一つの遺伝子(例えば、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18の少なくとも一つ)の発現をバイオマーカーとして評価することを含む方法を提供する。少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に表1−3の何れか一つに記載された少なくとも一つの遺伝子の発現の減少が、患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答することを示している。
他の実施態様では、本発明は、VEGFアンタゴニストに対する患者の感受性又は応答性をモニターする方法を提供する。この方法は、患者試料からの表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又はそれ以上の遺伝子の遺伝子発現を評価し、VEGFアンタゴニストに対する患者の感受性又は応答性を予測することを含み、ここで、表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又はそれ以上の遺伝子の発現の減少がVEGFアンタゴニストでの効果的な治療に対する患者の感受性又は応答性に相関する。この方法によれば、生物学的試料は任意のVEGFアンタゴニストの投与前及び少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に患者から得、表1−3の何れか一つに記載された少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又はそれ以上の遺伝子の発現産物が試料中に存在するかどうかを評価するためのアッセイに供する。表1−3の何れか一つに記載された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又はそれ以上の遺伝子の発現が、少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に減少すれば、患者はVEGFアンタゴニストでの治療に感受性又は応答性であると決定される。
医療技術の当業者は、特に診断検査及び治療法での治療の適用に関して、生物システムが些か可変であり、必ずしも完全に予測可能ではなく、よって多くの良好な診断検査又は治療法は、時折、効果的ではないことを認めるであろう。よって、検査結果、患者の症状及び病歴、及び患者自身の経験に基づいて、個々の患者に対して最も適切な治療過程を決定するのは、担当医の判断に最終的には委ねられる。例えば、特にもし全ての又は殆どの他の自明な治療選択肢が失敗するか、又は他の治療を付与したときにある相乗効果が期待されるならば、診断検査又は他の基準からのデータに基づいて、患者がVEGFアンタゴニストに特に感受性であることが予測されない場合でさえ、医師はVEGFアンタゴニストで患者を治療することを選択する場合でさえありうる。
更に表現された実施態様では、本発明は、VEGFアンタゴニストでの治療に対する患者の感受性を予測し、又は患者がVEGFアンタゴニストでの治療に効果的に応答するかどうかを予測する方法において、試料中に発現されたここで同定された遺伝子マーカーの一又は複数のレベルを評価し、VEGFアンタゴニストによる阻害に対する患者の感受性を予測することを含み、ここで、これらの遺伝子バイオマーカーの発現レベルが、VEGFアンタゴニストでの治療に対する効果的な応答に対する患者の高感受性と相関する方法を提供する。
本発明は、その発現レベルがVEGFアンタゴニストに対する特定の患者の感受性又は応答性を予測するバイオマーカーを同定する方法において、(a)VEGFアンタゴニストに対する感受性の範囲を示す細胞パネル中の候補バイオマーカーの発現レベルを測定し、(b)細胞における上記候補バイオマーカーの発現レベル、血清陽性、又は存在とVEGFアンタゴニストに対する患者の感受性又は応答性との間の相関を特定することを含み、ここで、相関が、上記バイオマーカーの発現レベル、血清陽性、又は存在がVEGFアンタゴニストによる治療に対する患者の応答性を予測することを示す方法を更に提供する。この発明の一実施態様では、細胞パネルは、患者又は実験動物モデルから得られた試料から調製される試料パネルである。更なる実施態様では、細胞のパネルはマウス異種移植の細胞株パネルであり、ここで、応答性は例えば応答性の分子マーカー、例えばABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18の少なくとも一つをモニターすることにより決定されうる。
本発明はまたVEGFアンタゴニストに対する感受性又は応答性をモニターするのに有用であるバイオマーカーを同定する方法において、(a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが患者に投与される前後で得られた血管新生疾患の患者からの試料中の候補バイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、候補バイオマーカーの発現の減少が、バイオマーカーがVEGFアンタゴニストでの血管新生疾患のより効果的な治療に対する指標となることを示す方法を提供する。幾つかの実施態様では、バイオマーカーは遺伝子であり、その発現が分析される。
試料は血管新生疾患であることが疑われるか、又はそうであると診断され、よって治療の必要がある可能性がある患者から、又は如何なる疾患も疑われていない正常な個体から採取されうる。マーカー発現の評価については、患者の試料、例えば細胞、又はこれらの細胞によって産生されたタンパク質又は核酸を含むものを本発明の方法において使用することができる。この発明の方法では、バイオマーカーのレベルは、試料中のマーカーの量(例えば絶対量又は濃度)を評価することによって決定することができ、好ましくは検出可能なレベルのバイオマーカーを含む体液又は排出物において評価されうる。本発明において試料として有用な体液又は排出物は、例えば、血液、尿、唾液、便、胸水、リンパ液、痰、腹水、前立腺液、脳脊髄液(CSF)、又は任意の他の体排出物又はその誘導体を含む。血液なる語は、全血、血漿、血清、又は血液の任意の派生物を含むことを意味する。そのような体液又は排出物中におけるバイオマーカーの評価は、観血試料採取法が不適切か不便である状況下でしばしば好ましい場合がある。しかしながら、ここで検査される試料は、好ましくは、血液、滑膜組織、又は滑液、最も好ましくは血液である。
試料は、凍結、新鮮、固定(例えばホルマリン固定)、遠心分離、及び/又は包埋(例えばパラフィン包埋)等されていてもよい。細胞試料には、もちろん、試料中のマーカー量を評価する前に、様々なよく知られた収集後調製及び保存技術(例えば核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、貯蔵、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離等)を施すことができる。同様に、バイオプシーにもまた例えば固定化のような収集後調製及び保存技術を施してもよい。
A.遺伝子発現の検出
ここに記載された遺伝子バイオマーカーは従来から知られている任意の方法を使用して検出することができる。例えば、哺乳動物からの組織又は細胞試料は簡便にはノーザン、ドットブロット、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、アレイハイブリダイゼーション、RNase保護アッセイを使用して、又はDNAマイクロアレイスナップショットを含む商業的に入手可能なDNA SNPチップマイクロアレイを使用して、対象の遺伝子バイオマーカーからの例えばmRNA又はDNAについて簡便にアッセイすることができる。例えば、リアルタイムPCR(RT−PCR)アッセイ、例えば定量的PCRアッセイは当該技術分野でよく知られている。本発明の例示的な実施態様では、生物学的試料中の対象の遺伝子バイオマーカーからmRNAを検出する方法は、少なくとも一つのプライマーを使用して逆転写により試料からcDNAを生産し;そのようにして生産されるcDNAを増幅し;増幅されたcDNAの存在を検出することを含む。また、そのような方法は、(例えばアクチンファミリーメンバーのような「ハウスキーピング」遺伝子の比較例mRNA配列のレベルを同時に調べることによって)生物学的試料中のmRNAのレベルを決定することを可能にする一又は複数の工程を含みうる。場合によっては、増幅されたcDNAの配列を決定することができる。
1.核酸の検出
特定の一実施態様では、表1−3の何れか一つに記載された遺伝子の発現はRT−PCR技術によって実施されうる。PCRに使用されるプローブは、検出可能マーカー、例えば放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤、又は酵素で標識されうる。このようなプローブ及びプライマーは、試料中の表1−3の何れか一つに記載された発現遺伝子の存在を検出するために使用することができる。当業者により理解されるように、非常に多くの異なるプライマー及びプローブが、ここで提供される配列に基づいて調製され、増幅し、クローニングし、及び/又は表1−3の何れか一つに記載の発現遺伝子の存在及び/又はレベルを決定するために効果的に使用される。
他の方法は、マイクロアレイ技術によって組織又は細胞試料中における表1−3の何れか一つに記載された遺伝子の少なくとも一つ(例えばABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18 mRNAs)からのmRNAsを検査又は検出するプロトコルを含む。核酸マイクロアレイを使用して、試験及びコントロール試料からの試験及びコントロールmRNA試料を逆転写させ、標識してcDNAプローブを産生する。ついで、プローブを、固体支持体に固定した核酸アレイにハイブリダイズさせる。アレイは、アレイの各メンバーの配列と位置が分かるように構成される。例えば、所定の疾患状態で発現される潜在性を有している遺伝子のセレクションが固体支持体上にアレイされうる。特定のアレイメンバーとの標識プローブのハイブリダイゼーションが、プローブが誘導された試料がその遺伝子を発現することを示している。疾患組織の遺伝子発現差の解析が貴重な情報を提供しうる。マイクロアレイ技術は単一の実験で何千の遺伝子のmRNA発現プロファイルを評価するために核酸ハイブリダイゼーション技術及び計算技術を利用する(例えば国際公開第2001/75166号を参照)。アレイ製造の検討については、例えば米国特許第5700637号、米国特許第5445934号及び米国特許第5807522号、Lockart, Nature Biotechnology, 14:1675-1680 (1996);及びCheung等, Nature Genetics 21(Suppl):15-19 (1999)を参照のこと。
また、欧州特許出願公開第1753878号に記載されているマイクロアレイを利用するDNAプロファイリング及び検出方法を用いることができる。この方法は、短いタンデム反復(STR)分析とDNAマイクロアレイを利用して、異なったDNA配列を素早く同定し識別する。ある実施態様では、標識されたSTR標的配列は、相補的プローブを担持するDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせる。これらのプローブは長さが様々で、可能なSTRの範囲をカバーする。DNAハイブリッドの標識された一本鎖領域は、ハイブリダイゼーション後の酵素的消化を利用し、マイクロアレイ表面から選択的に除去される。未知の標的における反復の数は、マイクロアレイにハイブリダイズされたままの標的DNAのパターンに基づき推定される。
マイクロアレイプロセッサーの一例は、Affymetrix GENECHIP(登録商標)システムであり、これは商業的に入手可能で、ガラス表面上でオリゴヌクレオチドを直接合成することにより製造されるアレイを含む。当業者に知られているように他のシステムを使用してもよい。
RT−PCR又は他のPCRベースの方法の他に、バイオマーカーのレベルを測定するための他の方法には、プロテオミクス技術、並びに分子レベルでの患者の応答に基づく血管新生疾患の治療に必要な個別化された遺伝的プロファイルが含まれる。ここでの特殊化されたマイクロアレイ、例えばオリゴヌクレオチドマイクロアレイ又はcDNAマイクロアレイは、一又は複数の抗VEGF抗体に対する感受性又は耐性と相関している発現プロファイルを有する一又は複数のバイオマーカーを含みうる。
上記技術を適用する際の指針を提供する多くの文献が入手可能である(Kohler等, Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980);Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Inimunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985);Campbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, Amsterdam, 1984);Hurrell, Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982);及びZola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc., 1987)。ノーザンブロット分析は当該技術分野でよく知られている一般的な技術であり、例えばMolecular Cloning, a Laboratory Manual, 第2版, Sambrook, Fritch, Maniatis, Cold Spring Harbor Press, 10 Skyline Drive, Plainview, NY 11803-2500に記載されている。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えばAusubel等編, 1995, Current Protocols In Molecular Biology, Units 2(ノーザンブロット法)、4(サザンブロット法)、15(免疫ブロット法)及び18(PCR分析)に見出される。
2.タンパク質の検出
例えば、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18の少なくとも一つのようなタンパク質バイオマーカーの検出については、様々なタンパク質アッセイが利用できる。例えば、試料を、抗体・バイオマーカー複合体が形成される十分な条件下で、上記バイオマーカーに特異的な抗体と接触させ、ついで上記複合体を検出することができる。タンパク質バイオマーカーの存在は、多くの方法で、例えば、ウエスタンブロット法(免疫沈降を伴うか伴わない)、二次元SDS−PAGE、免疫沈降、蛍光標示式細胞分取器(FACS)、フローサイトメトリー、及び血漿又は血清を含む多様な組織及び試料をアッセイするためのELISA手順で評価されうる。このようなアッセイ形式を使用する広範囲の免疫アッセイ技術が利用可能である;例えば米国特許第4016043号、同第4424279号、及び同第4018653号を参照のこと。これらは、非競合型の単一部位及び二部位又は「サンドイッチ」アッセイ、並びに伝統的な競合結合アッセイの双方を含む。またこれらのアッセイは、標的バイオマーカーへの標識抗体の直接の結合を含む。
サンドイッチアッセイは、最も有用で一般的に使用されているアッセイである。サンドイッチアッセイ技術の多くの変形法が存在し、全てが本発明に包含される。簡単に述べると、典型的なフォワードアッセイでは、未標識抗体が固体基質に固定され、試験される試料が結合分子と接触させられる。適切なインキュベート時間の後、抗体抗原複合体の形成を可能にするのに十分な時間、検出可能なシグナルを生成可能なレポーター分子で標識された抗原に特異的な第2の抗体をついで添加し、抗体抗原標識抗体の他の複合体を形成させるのに十分な時間インキュベートする。あらゆる未反応物質を洗い流し、抗原の存在を、レポーター分子により生成されるシグナルの観察により決定する。結果は、単に可視シグナルを観察することによる定性的か、又は既知量のバイオマーカーを含むコントロール試料と比較することによる定量的かの何れかでありうる。
フォワードアッセイの変形法は、試料と標識抗体の双方を、結合した抗体に同時に添加する同時アッセイを含む。これらの技術は、容易に明らかになるであろう重要でない変更を含み、当業者にはよく知られている。典型的なフォワードサンドイッチアッセイでは、バイオマーカーに対して特異性を有する第1の抗体が、固体表面に共有的に又は受動的に結合される。固体表面は、典型的にはガラス又はポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、又は免疫アッセイの実施に適した任意の他の表面形態でありうる。結合方法は当該技術分野でよく知られており、一般に架橋共有結合又は物理的吸着からなり、ポリマー抗体複合体は、試験試料の調製において洗浄される。ついで、試験される試料のアリコートが、固相複合体に添加され、十分な時間(例えば、2−40分又は都合がよければ一晩)、適切な条件下(例えば室温から40℃、例えば25℃〜32℃)でインキュベートし、抗体中に存在するあらゆるサブユニットの結合を可能にする。インキュベーション時間後、抗体サブユニット固相を洗浄し、乾燥させ、バイオマーカーの一部に特異的な二次抗体と共にインキュベートする。二次抗体は、分子マーカーへの二次抗体の結合を示すために使用されるレポーター分子に結合させる。
代替法は、試料中の標的バイオマーカーを固定し、ついでレポーター分子で標識されていてもされていなくともよい特異的抗体へ固定化標的を暴露することを含む。標的の量及びレポーター分子シグナルの強度に応じて、結合した標的は、抗体を用いた直接標識により検出することができる。あるいは、一次抗体に特異的な標識された二次抗体を、標的一次抗体複合体に暴露して、標的一次抗体二次抗体の三重複合体を形成せしめる。複合体はレポーター分子により発光されるシグナルで検出される。本明細書で使用される「レポーター分子」とは、その化学的性質により、抗原結合抗体の検出を可能にする分析的に同定可能なシグナルを提供する分子を意味する。この種のアッセイで最も一般的に使用されるレポーター分子は、酵素、フルオロフォア又は放射性核種含有分子(すなわち放射性同位元素)及び化学発光分子の何れかである。
酵素免疫アッセイ(EIA)の場合、酵素は、一般的にグルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸塩により、二次抗体にコンジュゲートされる。しかしながら、容易に認識されるように、当業者に直ぐに利用可能な広範な異なったコンジュゲート技術が存在する。一般的に使用される酵素には、とりわけ、西洋わさびペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びアルカリホスファターゼが含まれる。特異的酵素と共に使用される基質は、一般的に、対応する酵素による加水分解時に、検出可能な色調変化を生じるように選択される。適切な酵素の例には、アリカリホスファターゼ及びペルオキシダーゼが含まれる。また、上述したような発色性基質よりも、蛍光産物を生じる蛍光発生基質を使用することもできる。全ての場合、酵素標識された抗体を、一次抗体分子マーカー複合体に添加して結合させ、ついで過剰の試薬を洗い流す。次に、適切な基質を含む溶液を抗体抗原抗体の複合体に添加する。基質を二次抗体に結合した酵素と反応させ、定性的な可視シグナルを得、これを通常は分光光学的にさらに定量し、試料中に存在していたバイオマーカーの量の指標を得る。別法では、蛍光化合物、例えばフルオレセイン及びローダミンを、それらの結合能力を変えることなく、抗体に化学的にカップリングさせうる。特定の波長の光を有する照明により活性化すると、蛍光色素で標識された抗体は光エネルギーを吸着し、分子内に励起状態を誘発し、光学顕微鏡を用いて視覚的に検出可能な特徴的な色調の光を発光する。EIAにおけるように、蛍光標識抗体は、一次抗体分子マーカー複合体に結合せしめられる。未結合の試薬を洗い流した後、残存している三重複合体を適切な光の波長に暴露させると、観察される蛍光が、関心ある分子マーカーの存在を示す。免疫蛍光法及びEIA技術は、双方とも、当該技術分野で十分に確立されている。しかしながら、他のレポーター分子、例えば放射性同位元素、化学発光又は生物発光分子を用いることもまたできる。
B.キット
バイオマーカーの検出に使用するため、キット又はが製造品はまた本発明により提供される。このようなキットは、血管新生疾患を患っている被検体がVEGFアンタゴニストに対して効果的に応答性であるかを決定するために使用することができる。これらのキットは、バイアル、チューブ等の一又は複数の容器手段を閉じ込めて収容するように区画化されたキャリア手段を含み、各容器手段は本方法で使用される別個の要素の一つを含む。例えば、容器手段の一つは、検出可能に標識された又は標識が可能なプローブを含みうる。そのようなプローブは、それぞれタンパク質又はメッセージに特異的な抗体又はポリヌクレオチドでありうる。キットが核酸ハイブリダイゼーションを利用して標的核酸を検出する場合、キットは、標的核酸配列を増幅するためのヌクレオチドを収容する容器、及び/又はレポーター手段、例えばビオチン結合タンパク質、例えばアビジン又はストレプトアビジンを、レセプター分子、例えば酵素、蛍光、又は放射性同位元素標識に結合して含有する容器を有しうる。
そのようなキットは、上述の容器、及びバッファー、希釈液、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書と共にパッケージ挿入物を含む、商業用及び使用者の観点から望ましい物質を含む、一又は複数の他の容器を典型的には含むであろう。ラベルは、組成物が特定の用途に使用されることを示すように容器に存在し、またインビボ又はインビトロ使用のための指示、例えば上述したものを示しうる。
本発明のキットは多くの実施態様を有する。典型的な実施態様は、容器、該容器上のラベル、及び該容器に収容された組成物を含むキットであり、ここで組成物は、タンパク質又は自己抗体バイオマーカーに結合する一次抗体を含み、該容器上のラベルは、組成物が試料中のこのようなタンパク質又は抗体の存在を評価するために使用可能であることを示し、キットが、特定の試料タイプ中におけるバイオマーカータンパク質の存在を評価するために抗体を使用することについての使用説明書を含む。本キットは、試料を調製し、試料に抗体を適用するための使用説明書と材料のセットを更に含みうる。本キットは一次及び二次抗体の双方を含み、ここで、二次抗体は標識、例えば酵素標識にコンジュゲートされている。
他の実施態様は、容器、該容器上のラベル、及び該容器内に収容された組成物を含むキットであり、組成物は、ストリンジェントな条件下で表1−3の何れか一つに記載のバイオマーカーの相補体にハイブリダイズする一又は複数のポリヌクレオチドを含み、上記容器上のラベルは、組成物が、試料中の表1−3の何れか一つに記載のバイオマーカーの存在を評価するために使用可能であることを示し、キットは、特定の試料タイプ中のバイオマーカーRNA又はDNAの存在を評価するためにポリヌクレオチドを使用することについての使用説明書を含む。
キットの他の任意の成分には、一又は複数のバッファー(例えば、ブロッキングバッファー、洗浄バッファー、基質バッファー等)、他の試薬、例えば酵素標識により化学的に改変される基質(例えば色素原)、エピトープ回収液、コントロール試料(正及び/又は負のコントロール)、コントロールスライド等が含まれる。またキットには、キットを使用して得られる結果を解釈するための説明書を含めることもできる。
抗体ベースキットについての更なる特定の実施態様では、キットは、例えば、(1)バイオマーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固体支持体に結合);場合によっては、(2)タンパク質又は第1の抗体の何れかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートする第2の異なる抗体を含みうる。
オリゴヌクレオチドべースキットに対しては、該キットは、例えば(1)バイオマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、又は(2)バイオマーカー核酸分子を増幅するのに有用なプライマー対を含むことができる。また本キットは、例えば緩衝剤、保存料、又はタンパク質安定剤をまた含みうる。本キットは、検出可能な標識を検出するのに必要な成分(例えば、酵素又は基質)を更に含むことができる。また、キットは、アッセイされ、試験試料と比較されうるコントロール試料又は一連のコントロール試料を含みうる。キットの各成分は、個々の容器内に包含せしめることができ、様々な容器の全てが、キットを使用して実施されるアッセイの結果を解釈するための説明書と共に、単一パッケージ内にありうる。
C.統計
ここで使用される場合、予測ルールの一般的形態は、応答性又は非応答性を予測し、又はより一般的には、適切に定められた臨床エンドポイントによる有益性又は有益性の欠如を予測するための臨床的共変量を潜在的に含む一又は複数のバイオマーカーの関数の仕様からなる。
予測ルールの最も単純な形態は、予測がカットオフ又は閾値によって決定される共変量のない一変量モデルからなる。これは、特定のカットオフc、バイオマーカー測定xについてのヘビサイド関数により表すことができ、二値予測(binary prediction)A又はBは次のように作成される:
H(x−c)=0ならば、Aを予測。
H(x−c)=1ならば、Bを予測。
これは、予測ルールにおいて、一変量バイオマーカー測定を使用する最も簡単な方法である。このような単純なルールが十分である場合、効果の方向性、すなわち高い又は低い発現レベルが患者にとって有益であるかどうかを、簡単に同定することが可能になる。
臨床的共変量を考慮することが必要である場合、及び/又は多変量の予測ルールにおいて複数のバイオマーカーが使用される場合、この状況は更に複雑になりうる。2つの仮説例が関与する問題点を以下に例証する:
共変量調整(仮説例):
バイオマーカーXについて、高発現レベルが悪い臨床応答に関与していることが、臨床試験集団において見出される(一変量解析)。詳細な解析が、集団には2種類のRA臨床応答が存在し、その第一の群が第二の群よりも悪い応答を有し、同時に第一の群に対するバイオマーカー発現が少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に一般により高いことを示す。調整共変量分析は、各群について、臨床有益性と臨床応答との間の関係が逆転し、すなわち群内で、より低い発現レベルは良好な臨床応答に関連していることを明らかにする。全体的な反対効果は共変量タイプによりマスクされ、予測ルールの一部としての共変量調整解析は方向を逆転させた。
多変量予測(仮説例):
バイオマーカーXについて、高発現レベルが悪い臨床応答に僅かに関与していることが、臨床試験集団において見出される(一変量分析)。第2のバイオマーカーYについては、同様な観察が一変量分析によってなされた。XとYの組合せはでは、双方のバイオマーカーが低い場合に、良好な臨床応答が見られることが明らかになった。これにより、双方のバイオマーカーが所定のカットオフよりも低いならば、有益であると予測されるという規則が作成される(ヘビサイド予測関数のAND−−接続)。組合せ規則については、一変量の意味における単純なルールはもはや通用しない;例えば、Xにおいて低い発現レベルを有していても、より良好な臨床応答を自動的には予測しないであろう。
これらの単純な例は、共変量を有するか又は有さない予測ルールが、各バイオマーカーの一変量レベルでは判断できないことを示している。複数のバイオマーカーと、共変量による潜在的調整とを組合せると、単一のバイオマーカーに対する単純な関係をあてがうことができなくなる。特に血清中のマーカー遺伝子は、他の臨床的共変量を潜在的に含む複数のマーカー予測モデルに使用され得るので、このようなモデル内における単一マーカー遺伝子の有益な効果の方向は、単純な方法では測定できず、一変量解析、すなわち単一マーカー遺伝子について記載されている状況で見出される方向性と矛盾しうる。
医師はVEGFアンタゴニストの特定の用量スキームの効果を測定するために当該技術分野で知られている幾つかの方法の何れかを使用することができる。例えば、インビボ.画像処理(例えばMRI)を使用して、腫瘍サイズを決定し、あらゆる腫瘍転移を特定して、治療法に対する相対的に効果的な応答性を決定することができる。投薬レジメンを調節して最適な所望される応答(例えば治療応答)をもたらすことができる。例えば、ある用量を投与し得、幾つかの分割用量を経時的に投与し得、又は用量を比例的に減少させ、又は治療状況の危急性に示される場合は増加させ得る。
当該技術分野の通常の技量を有する医師であるならば、特定のアンタゴニストのタイプのような要因に応じて、必要とされる薬学的組成物の有効量を、直ぐに決定し処方することができる。例えば、医師は、所望の治療効果を達成するのに必要とされるものよりも低いレベルで薬学的組成物に用いられるこのようなアンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体の用量で初め、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増加させていくことができる。アンタゴニストの与えられた用量又は治療レジメンの効果は、例えば効能の標準的な尺度を使用し、患者の徴候及び症状を評価することにより決定することができる。
更に他の実施態様では、被検体は、同じアンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体で少なくとも2回治療される。よって、最初の及び第二のアンタゴニストの曝露は好ましくは同じアンタゴニストでなされ、より好ましくは全てのアンタゴニストの曝露は同じアンタゴニストでなされる。つまり、最初の2回の曝露、及び好ましくは全ての曝露での治療は、一つのタイプのVEGFアンタゴニスト、例えばVEGFに結合するアンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体で、例えば全てベバシズマブでなされる。
ここに記載の全ての本発明の方法では、アンタゴニスト(例えばVEGFに結合するアンタゴニスト)は、例えばネイキッド抗体のようにコンジュゲートされておらず、あるいは更なる効能のため、例えば半減期を改善するために他の分子とコンジュゲートされうる。
ここでの好ましいアンタゴニスト抗体は、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体、より好ましくは抗VEGF抗体、最も好ましくはベバシズマブである。
他の実施態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)は被検体に投与される唯一の医薬である。
一実施態様では、アンタゴニストは、1週間、2週間、3週間、又は4週間毎に約100又は400mgの用量で投与され、又は1週間、2週間、3週間、又は4週間毎に約1、3、5、10、15、又は20mg/kgの用量で等とされる抗VEGF抗体である。用量は単一用量として又は複数用量(例えば2又は3用量)として、投与されうる。
更に他の態様では、本発明は、診断工程の後に、血管新生疾患の被検体にVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)を継続して投与するかどうかを決定する方法において、初回のアンタゴニストの投与の後に、画像処理技術、例えばX線検査及び/又はMRIを使用して腫瘍サイズを測定し、二回目のアンタゴニストの投与の後に画像処理技術、例えばX線検査及び/又はMRIを使用して被検体における腫瘍サイズの減少を測定し、初回及び二回目の被検体における画像所見を比較し、スコアが初回よりも二回目において少ない場合にはアンタゴニストの投与を継続することを含む方法を提供する。
また更なる実施態様では、応答のレベルが血管新生疾患を治療するのに効果的であることを決定するために投与工程後に治療に対する被検体の応答を試験するための工程が治療方法に含められる。例えば、投与後に画像処理(X線検査及び/又はMRI)スコアを試験し、それを変化したか、またどの程度変化したかを測定することにより、治療が効果的であるかどうかを決定するために投与前に得られたベースライン画像処理結果と比較する工程が含められる。この試験は、部分又は完全寛解の維持を決定するために投与後に様々な計画された又は未計画の時間間隔で繰り返されうる。別法では、ここでの方法は、上に記載された一又は複数のバイオマーカー又は徴候が血管新生疾患に対して存在しているかどうかを見るため、投与前に被検体を検査する工程を含む。
本発明の一実施態様では、抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニスト以外の医薬は血管新生疾患を治療するために被検体に投与されない。
ここでの方法の何れかにおいて、VEGFアンタゴニストは有効量の第二の医薬との組み合わせで投与されうる(ここで、VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)が第一の医薬である)。適切な第二の医薬は例えば抗腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、又はそれらの組み合わせを含む。
これら全ての第二の医薬は、互いに組合せて又はそれら自体と第一の医薬と共に使用されてもよく、ここで使用される「第二の医薬」なる表現は、第一の医薬に加えてそれが唯一の医薬であることを意味するものではない。よって、第二の医薬は単一の医薬である必要はなく、一を越えるそのような薬剤を構成しても又は含んでいてもよい。
ここに記載されたこれらの第二の医薬は、これまで使用されていたのと同じ投薬量及び投与経路、又はこれまでに使用されていた投薬量の約1から99%で、一般的に使用される。このような第二の医薬がとにかく使用される場合、それにより引き起こされる副作用が除去され又は低減するように、第一の医薬を用いた最初の投薬以上に、特に後続する投薬に、第一の医薬が存在しないならば、好ましくは、更に低量で使用される。
ここに記載された再治療法に対しては、第二の医薬がアンタゴニスト曝露と共に有効量で投与される場合、それは、任意の曝露と共に、例えば一回の曝露だけと共に、又は一回より多い曝露と共に、投与されうる。一実施態様では、第二の医薬は初回曝露と共に投与される。他の実施態様では、第二の医薬は初回及び二回目の曝露と共に投与される。また更なる実施態様では、第二の医薬は全ての曝露と共に投与される。ステロイド等の初回曝露後には、かかる第二の医薬の量は、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びシクロホスファミドのような副作用のある薬剤への被検体の曝露を減少させるように低減され又はなしにされることが好ましい。
第二の医薬の組合せ投与には、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与(併用投与)と、何れかの順での連続投与が含まれ、ここで双方(又は全ての)活性剤(医薬)が、それらの生物活性を同時に作用させる時間が存在するのが好ましい。
ここでのアンタゴニストは、非経口、局所、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び/又は病巣内投与を含む、任意の適切な手段により投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内(i.v.)、動脈内、腹腔内、又は皮下(s.c.)投与が含まれる。くも膜下腔内投与もまた考えられる。また、アンタゴニストは、例えば減少用量のアンタゴニストを用いたパルス注入により、適切に投与されてもよい。好ましくは、投薬は静脈内又は皮下的に、より好ましくは静脈内注入により投与される。
アンタゴニストの複数曝露が提供される場合、各曝露は同じ又は異なった投与手段を使用して提供されうる。一実施態様では、各曝露は静脈内投与による。他の実施態様では、各曝露は皮下投与によって与えられる。更に他の実施態様では、曝露は静脈内投与及び皮下投与双方によって与えられる。
一実施態様では、アンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体は、静注又はボーラスよりむしろゆっくりとした静脈内注入で投与される。例えば、プレドニゾロン又はメチルプレドニゾロンなどのステロイド(例えば、約80−120mg静脈内、より詳細には約100mg静脈内)は任意の抗VEGF抗体の注入の約30分前に投与される。例えば、抗VEGF抗体は専用ラインを介して注入される。
抗VEGF抗体への複数用量の曝露の初回用量では、又は1回だけの用量を伴う曝露の場合の単回用量では、約50mg/時の速度でそのような注入が開始されることが好ましい。例えば最大約400mg/時まで約30分毎に約50mg/時増分の速度で上げていくことができる。しかしながら、被検体が注入関連の反応を被っている場合には、注入速度を、例えば現在の速度の半分、例えば100mg/時から50mg/時までに低減するのが好ましい。好ましくは、このような用量の抗VEGF抗体の注入(例えば約1000mgの全用量)は、約255分(4時間15分)で完了させる。場合によっては、被検体は、注入の開始の約30分から60分前に、アセトアミノフェン/パラセタモール(例えば約1g)及びジフェンヒドラミンHCl(例えば約50mg又は類似薬剤の均等用量)の予防治療を経口で受ける。
抗VEGF抗体を複数回注入(用量)して全曝露を達成する場合、この注入実施態様の第二又は次の抗VEGF抗体注入が、初回注入より速い速度で、例えば約100mg/時で開始されるのが好ましい。この速度は、例えば最大約400mg/時まで約30分毎に約100mg/時増分の速度で上げていくことができる。注入関連反応を被っている被検体は、注入速度を、例えばその速度の半分、例えば100mg/時から50mg/時までに低減するのが好ましい。好ましくは、そのような第二の又は続く用量の抗VEGF抗体の注入(例えば約1000mgの全用量)は、約195分(3時間15分)で完了させる。
好ましい実施態様では、アンタゴニストは抗VEGF抗体であり、約0.4から4グラムの用量で投与され、より好ましくは、抗体は約1ヶ月の期間内に1から4用量の頻度で約0.4から1.3グラムの用量で投与される。更により好ましくは、用量は約500mgから1.2グラムであり、他の実施態様では、約750mgから1.1グラムである。そのような態様では、アンタゴニストは好ましくは2から3用量で投与され、及び/又は約2から3週間の期間内に投与される。
一実施態様では、被検体には血管新生疾患を治療するための如何なる薬剤も過去に決して投与されていない。他の実施態様では、被検体又は患者には血管新生疾患を治療するための一又は複数の医薬が過去に投与されている。更なる実施態様では、被検体又は患者は過去に投与された一又は複数の医薬には応答性ではなかった。被検体が非応答性でありうるそのような薬剤は、例えば抗腫瘍剤、化学療法剤、細胞傷害剤、及び/又は増殖阻害剤を含む。より特定的には、被検体が非応答性でありうる薬剤は、抗VEGF抗体のようなVEGFアンタゴニストを含む。更なる態様では、そのようなアンタゴニストは抗体又はイムノアドヘシンを含み、被検体が先に非応答性であった本発明の一又は複数の抗体又はイムノアドヘシンでの再治療が考えられる。
IV.アンタゴニストでの治療
アンタゴニストでの治療に対して最も応答性又は感受性の患者集団がひとたび同定されれば、ここでのアンタゴニスト単独での又は他の医薬との組合せでの治療が血管新生疾患の改善をもたらす。例えば、そのような治療は無増悪生存率又は腫瘍サイズの減少を生じうる。更に、ここでのアンタゴニストと少なくとも一の第二の医薬の組合せでの治療は好ましくは患者に対して相加的な、より好ましくは相乗的な(又は相加的よりも大なる)治療的恩恵を生じる。好ましくは、この併用方法において、第二の医薬の少なくとも一回の投与とここでのアンタゴニストの少なくとも一回の投与の間のタイミングは約1ヶ月以下、より好ましくは約2週間以下である。
アンタゴニストへの患者の可能な応答性の診断後に該患者に治療的有効量のVEGFアンタゴニストを投与する正確な方法は担当する医師の裁量に委ねられることは医療技術分野の当業者には理解されるであろう。投薬量、他の薬剤との併用、投与のタイミング及び頻度等を含む投与態様は、そのようなアンタゴニストに対する患者の可能な応答性の診断、並びに患者の症状及び病歴に影響を受けうる。よって、アンタゴニストに対して相対的に感受性ではないと予想される血管新生疾患と診断された患者でさえ、特にアンタゴニストに対する患者の応答性を変えうる薬剤を含む他の薬剤と組み合わせて、それでの治療から尚恩恵を受けうる。
アンタゴニストを含有する組成物は、良好な医療行為と一致した様式で処方され、用量決定され、投与されるであろう。ここで考慮される要因には、治療される血管新生疾患の特定のタイプ、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、血管新生疾患の原因、薬剤の送達部位、起こり得る副作用、アンタゴニストのタイプ、投与方法、投与スケジュール、及び医師に既知の他の要因が含まれる。投与されるアンタゴニストの有効量は、このような考慮により支配されるであろう。
一般的な提案として、1用量当たりに非経口的に投与されるアンタゴニストの有効量は、一又は複数の投薬量で、約20mgから約5000mgの範囲である。抗VEGF抗体のような抗体に対する例示的投薬レジメンは、毎1、2、3、又は4週100又は400mgを含むか、又は毎1、2、3、又は4週当たり約1、3、5、10、15、又は20mg/kgの用量で投与される。用量は、例えば注入のように、単一用量として又は複数用量(例えば2又は3用量)として、投与されうる。
しかしながら、上記のように、これらの示唆量のアンタゴニストはかなりの治療的裁量次第である。適切な用量を選択し、スケジュール化する際の重要な因子は、上に示されるように、得られる結果である。幾つかの実施態様では、アンタゴニストは血管新生疾患の最初の徴候、診断、出現、又は発症にできるだけ近く投与される。
アンタゴニストは、非経口、局所、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び/又は病巣内投与を含む、任意の適切な手段により投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。くも膜下腔内投与もまた考えられる。また、アンタゴニストは、例えば減少用量のアンタゴニストでのパルス注入により、適切に投与されてもよい。最も好ましくは、投薬は静脈内注射により投与される。
ここでのアンタゴニストと共に、上述のように、第二の医薬を投与することができる。
併用投与は、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与、及び何れかの順の連続投与で、好ましくは双方の(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を奏する期間があるものを含む。
上に記載の伝統的な経路による患者へのアンタゴニストの投与とは別に、本発明は遺伝子療法による投与を含む。アンタゴニストをコードする核酸のそのような投与は、「有効量のアンタゴニストを投与する」という表現に包含される。例えば、細胞内抗体を産生させるための遺伝子療法の使用に関しては国際公開第96/07321号を参照のこと。
患者の細胞中に核酸(場合によってはベクターに含まれる)を導入するために二つの主要なアプローチ法がある;インビボとエキソビボである。インビボ送達では、核酸は、患者の通常はアンタゴニストが必要とされる部位に直接的に注入される。エキソビボ治療では、患者の細胞が取り除かれ、核酸がこれらの単離細胞中に導入され、改変された細胞が患者に直接的に又は例えば患者に移植される多孔性膜内に封入されて、投与される(例えば米国特許第4892538号及び同第5283187号を参照)。生細胞中に核酸を導入するために利用できる様々な技術がある。該技術は、核酸がインビトロで培養された細胞中に移されるか、意図される宿主の細胞にインビボで移されるかに応じて、変わる。インビトロで哺乳動物細胞中に核酸を移送するのに適した技術は、リポソーム、電気穿孔法、マイクロインジェクション法、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈降法等の使用を含む。遺伝子のエキソビボ送達のためによく使用されるベクターはレトロウイルスである。
現在好ましいインビボ核酸移入技術は、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス)、及び脂質ベースの系(例えば、遺伝子の脂質媒介移入に有用な脂質は、DOTMA、DOPE、及びDC-Cholである)での形質移入を含む。幾つかの状況では、核酸供給源に、標的細胞に特異的な薬剤、例えば標的細胞上の細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターのリガンド等を提供するのが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質が、ターゲティング及び/又は取り込みの促進のために用いられ、例えば、特定の細胞型向性のキャプシドタンパク質又はその断片、サイクリングにおいて内部移行を受けるタンパク質の抗体、及び細胞内局在化をターゲティングし細胞内半減期を向上させるタンパク質である。レセプター媒介エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu等, J. Biol. Chem., 262:4429-4432 (1987);及びWagner等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 87: 3410-3414 (1990)に記載されている。遺伝子マーキング及び遺伝子療法プロトコルは、例えばAnderson等, Science, 256:808-813 (1992)及び国際公開第1993/25673号に記載されている。
VEGFアンタゴニストは、抗癌特性を有している少なくとも一の更なる化合物と、薬学的併用製剤において、又は併用療法として投薬レジメンにおいて組み合わせられうる。薬学的併用製剤又は投薬レジメンの少なくとも一の更なる化合物は、好ましくは、それらが互いに悪影響を及ぼさないようにVEGFアンタゴニスト組成物に対して相補的な活性を有している。
少なくとも一つの更なる化合物は、化学療法剤、細胞傷害剤、サイトカイン、増殖阻害性剤、抗ホルモン剤、及びその組み合わせでありうる。このような分子は、意図される目的のために効果的である量で組み合わされて好適に存在する。また、VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)を含む薬学的組成物は、治療的に有効量の抗腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、又はその組み合わせを含有しうる。
一態様では、第一の化合物は抗VEGF抗体であり、少なくとも一つの更なる化合物は抗VEGF抗体以外の治療用抗体である。一実施態様では、少なくとも一つの更なる化合物は、癌細胞表面マーカーに結合する抗体である。一実施態様では、少なくとも一つの更なる化合物は、抗HER2抗体のトラスツズマブ(例えば、ハーセプチン(登録商標), Genentech, Inc., South San Francisco, CA)である。一実施態様では、少なくとも一つの更なる化合物は、抗HER2抗体のペルツズマブ(オムニターグTM、Genentech, Inc., South San Francisco, CA, 米国特許第6949245号参照)である。一実施態様では、少なくとも一つの更なる化合物は抗体であり(ネイキッド抗体又はADC)、更なる抗体は、第2、第3、第4、第5、第6、又はそれ以上の抗体であり、そのような第2、第3、第4、第5、第6、又はそれ以上の抗体(ネイキッド又はADC)を組み合わせることが、血管新生疾患の治療に効果的である。
この発明に係る他の治療レジメンは、放射線療法及び/又は骨髄及び末梢血移植、及び/又は細胞傷害剤、化学療法剤、又は増殖阻害性剤を限定しないで含むVEGFアンタゴニスト抗癌剤の投与を含みうる。このような実施態様の一つでは、化学療法剤は、例えば、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン(オンコビンTM)、プレドニゾロン、CHOP、CVP、又はCOP、又は抗PSCA、抗HER2(例えばハーセプチン(登録商標)、オムニターグTM)などの免疫療法などの薬剤又は薬剤の組合せである。併用療法は同時又は連続的なレジメンとして投与されうる。連続して投与される場合、組合せは2以上の投与で投与されうる。組合せ投与には、別々の製剤又は単一の薬学的製剤を使用しての同時投与と、何れかの順序での連続投与が含まれ、ここで、両方(又はすべて)の活性剤が同時にその生物学的活性を作用させる時間があるのが好ましい。
一実施態様では、抗VEGF抗体での治療は、異なった化学療法剤のカクテルの同時投与を含む、ここで特定された抗癌剤と、一又は複数の化学療法剤又は増殖阻害剤の併用投与を含む。化学療法剤はタキサン類(例えばパクリタキセル及びドセタキセル)及び/又はアントラサイクリン抗生物質を含む。そのような化学治療剤の調製と投薬スケジュールは、製造者の指示書に従って又は熟練した医師により経験的に決定されて、使用される。そのような化学療法のための調製と投薬スケジュールはまた"Chemotherapy Service", (1992) Ed., M.C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, Mdに記載されている。
上記の同時投与薬剤の任意のものに適した投薬量は現在使用されているものであり、新たに同定された薬剤と他の化学療法剤又は治療の併用作用(相乗作用)のために低下させることができる。
併用療法は、一緒に使用される活性成分が化合物を別個に使用して得られる効果の合計よりも大きい場合に「相乗効果」をもたらし、「相乗的」、つまり該効果が達成されることが分かる。相乗効果は、活性成分が、(1)同時処方され、併用された単位投薬製剤として同時に投与又は送達され;(2)別個の製剤として交互に又は並行して送達される場合;又は(3)ある種の他のレジメンによって、達成することができる。交互療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば別個にシリンジで異なった注射によって逐次的に投与され又は送達されるときに達成されうる。一般に、交互療法の間、各活性成分の有効用量が逐次的、つまり連続的に投与される一方、併用療法では二又はそれ以上の活性成分の有効用量が併せて投与される。
疾患の予防又は治療に対して、更なる治療剤の適切な投薬量は、治療されるべき疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重篤度及び過程、VEGFアンタゴニスト及び更なる薬剤が予防目的か治療目的で投与されるかどうか、過去の治療法、患者の臨床歴、及びVEGFアンタゴニスト及び更なる薬剤への応答、及び担当医師の裁量に依存する。VEGFアンタゴニスト及び更なる薬剤は、好適には一回で又は一連の治療で患者に投与される。VEGFアンタゴニストは典型的には上に記載されたようにして投与される。疾患のタイプ及び重篤度に応じて、約20mg/mから600mg/mの更なる薬剤が、例えば一又は複数回の別個の投与か又は連続注入にかかわらず、患者への投与に対する最初の候補用量である。一つの典型的な毎日の投薬量は、上述の要因に応じて、約から又は約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/m又はそれ以上の範囲となるかも知れない。症状に応じて、数日以上にわたる繰り返し投与では、疾患兆候の所望の抑制が生じるまで、治療が維持される。よって、約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/m、600mg/m(又はその任意の組み合わせ)が患者に投与されうる。そのような用量は、間欠的に、例えば毎週又は2週毎、3週毎、4、5、又は6週毎に投与されうる(例えば患者に約2から約20、例えば約6用量の更なる薬剤が投与される)。初回より高い負荷投与量の後、一又は複数のより低い用量を投与することができる。しかしながら、他の投薬レジメンは有用でありうる。この治療法の進行は、一般的な技術及びアッセイにより容易にモニターされる。
V.薬学的製剤
本発明において使用されるアンタゴニストの治療用製剤は、所望の純度を持つアンタゴニストを、任意成分の薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、凍結乾燥又は水溶液の形態で保存のために調製される。製剤に関する一般的な情報については、Gilman等(編) (1990), The Pharmacological Bases of Therapeutics, 8版, Pergamon Press;A. Gennaro (編), Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版, (1990), Mack Publishing Co., Eastori, Pennsylvania.;Avis等(編) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications Dekker, New York;Lieberman等(編) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets Dekker, New York;及びLieberman等(編) (1990), Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems Dekker, New York、Kenneth A. Walters (編) (2002) Dermatological and Transdermal Formulations (Drugs and the Pharmaceutical Sciences), Vol 119, Marcel Dekkerを参照のこと。
許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が含まれる。
例示的な抗VEGF抗体製剤は米国特許第6884879号に記載されている。ある実施態様では、抗VEGF抗体は、一回使用バイアル中に25mg/mLで製剤化される。ある実施態様では、100mgの抗VEGF抗体が240mgのα,α-トレハロース二水和物、23.2mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、4.8mgのリン酸ナトリウム(二塩基無水物)、1.6mgのポリソルベート20、及び注射用水,USPで製剤化される。ある実施態様では、400mgの抗VEGF抗体が960mgのα,α-トレハロース二水和物、92.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、19.2mgのリン酸ナトリウム(二塩基無水物)、6.4mgのポリソルベート20、及び注射用水,USPで製剤化される。
皮下投与に適合化された凍結乾燥製剤は、例えば米国特許第6267958(Andya等)に記載されている。そのような凍結乾燥製剤は適切な希釈剤により高タンパク濃度まで再構成され得、再構成された製剤はここで治療される哺乳動物に皮下的に投与されうる。
アンタゴニストの結晶化形態もまた考えられる。例えば米国特許出願公開第2002/0136719号(Shenoy等)を参照。
ここでの製剤はまた一を越える活性化合物(上述した第二の医薬)、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含みうる。このような医薬のタイプ及び有効量は、例えば製剤中に存在するVEGFアンタゴニストの量及びタイプ、及び被検体の臨床パラメーターに依存する。好ましいこのような第二の医薬の上述した通りである。
活性成分は、また例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルジョン中に捕捉されてもよい。このような技術はRemington's Pharmaceutical Science 第16版, Osol, A. 編(1980)に開示されている。
徐放性調製物を調製することもできる。徐放性調製物の適切な例には、アンタゴニストを含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、そのマトリクスは、例えばフィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
次の実施例は、現在請求している発明を、限定しないで例証するために提供される。
統計的方法
統計的タスクは次の工程を含みうる:
・ 1.候補バイオマーカーの事前選択
・ 2.関連性のある臨床効果の応答性予測共変量の事前選択
・ 3.一変量レベルでのバイオマーカー予測関数の選択
・ 4.一変量レベルでの臨床的共変量を含むバイオマーカー予測関数の選択
・ 5.多変量レベルでのバイオマーカー予測関数の選択
・ 6.多変量レベルでの臨床的共変量を含むバイオマーカー予測関数の選択
次のテキストは異なった工程を詳細に説明する:
1:候補バイオマーカーの事前選択:
候補バイオマーカーの統計的事前選択は、臨床的有益性の尺度関連性の強度に向けられている。この目的のために、異なった臨床エンドポイントは、誘導されたサロゲートスコア、例えば観測打ち切りを回避するTTPに関する臨床的有益性スコアの度合いの順序割当に変換されうる。これらのサロゲート変換指標は、例えばノンパラメトリックスピアマン順位相関アプローチにより、簡単な相関関係分析に容易に使用することができる。代替法は、例えばコックス比例ハザード回帰のように、事象発生までの時間の回帰モデル(time-to-event regression models)における計量的共変量(metric covariates)として、バイオマーカー測定値を使用する。バイオマーカー値の統計的分布に応じて、この工程は、幾つかの事前加工、例えば分散安定化変換、また適切な尺度の使用、又は未加工測定値の代わりにパーセンタイルを使用する等の標準化工程が必要となりうる。更なるアプローチは、例えば一人の患者を基準に、(x軸=バイオマーカー値、y軸=臨床的有益性の尺度)の散布を示すことによる、二変量散布プロットの検査である。例えば、平滑化スプラインにより達成される幾つかのノンパラメトリック回帰線は、バイオマーカーと臨床的有益性との関連性を視覚化するのに有用でありうる。
これらの異なるアプローチの目的は、用いられる有益性指標の少なくとも一における臨床的有益性とのある程度の関連性を示し、他の指標についての結果は矛盾しない候補バイオマーカーを事前選択することである。利用可能なコントロール群が存在する場合、異なった治療群における臨床的有益性とバイオマーカーとの間の関連性の差異は、バイオマーカーを更なる考察に適したものとする差異予測の兆候となるかもしれない。
2:関連性のある臨床効果の応答性予測共変量の事前選択。
ここに定められた臨床的共変量の統計的事前選択は、バイオマーカーの事前選択についてのアプローチと類似しており、臨床的有益性の尺度との関連性の強度を指向している。よって、原理的には、上の1で検討したものと同じ方法が適用される。統計的基準に加え、臨床経験からの基準及び理論的知識が、関連する臨床的共変量を事前選択するのに適用されうる。
臨床的共変量の予測値は、バイオマーカーの予測値と相互作用しうる。それらは、必要ならば、改善された予測ルールに対して考慮されるであろう。
3:一変量レベルでのバイオマーカー予測関数の選択。
「予測関数」なる用語は、一般的に標的予測を暗示するためにスケーリングされた数をもたらすバイオマーカー測定値の数的関数を意味するのに使用される。
簡単な例は、特定のカットオフcとバイオマーカー測定xについてのヘビサイド関数の選択であり、ここで、二値予測A又はBは次のようになされる:
H(x-c)=0ならば、Aを予測。
H(x-c)=1ならば、Bを予測。
これは、おそらくは、予測ルールにおいて一変量バイオマーカー測定値を使用する最も一般的な方法である。上述のような「予測関数」の定義は、予測可能性を探究するのに使用されうる既存のトレーニングデータセットへの照会を含む。トレーニングセットから適切なカットオフcを達成するために異なった経路を取ることができる。先ず、1に記載された平滑化スプラインを用いた散布図を使用し、カットオフを定める。別法では、分布の幾つかのパーセンタイル、例えばメジアン又は四分位数が選択されうる。またカットオフは、臨床的有益性の尺度に関するその予測可能性に従い、全ての可能なカットオフを調べることにより、体系的に抽出することができる。次に、これらの結果をプロットして、マニュアル選択が可能になるか、又は最適化のための幾つかの探索アルゴリズムを用いることが可能になる。これは、コックスモデルを使用してある種の臨床的エンドポイントに基づいて現実化することができ、各検定カットオフにおいて、バイオマーカーが二値共変量として使用される。次に、臨床エンドポイントの結果を、双方のエンドポイントに沿った予測を示すカットオフを選択するために、合わせて考慮することができる。
予測関数を選択するための他の一般的ではないアプローチは、共変量として、バイオマーカー値(おそらくは変換されたもの)を持つトレーニングセットから得られる固定パラメーターコックス回帰モデルに基づきうる。更なる可能性は、幾つかの尤度比(又はその単調変換)に対する決定に基づくものであり、標的確率密度は、予測状態の分離のためのトレーニングセットにおいて事前決定される。ついで、バイオマーカーが予測基準の幾つかの関数に当てはめられるであろう。
4:一変量レベルでの臨床的共変量を含むバイオマーカー予測関数の選択。
一変量は、一つのバイオマーカーを使用することを意味し、臨床的共変量に関して、これは多変量モデルでありうる。このアプローチは、該方法が関連する共変量情報の導入を可能にすべきことを除けば、臨床的共変量を用いない探索と類似している。カットオフを選択する散布図法は、共変量の限られた使用のみを可能にし、例えば二値共変量はプロット内でカラーコード化されうる。解析が、幾つかの回帰手法に依存しているならば、共変量(また一回でのそれらの多く)を使用することは通常は容易である。上の3に記載されたコックスモデルに基づくカットオフ探索により、共変量を容易に導入することが可能となり、それによって、共変量調整された一変量カットオフ探索に至る。共変量による調節は、モデルにおける共変量として、又は層別解析における包含物を介してなされうる。
また予測関数の他の選択により、共変量の導入が可能になる。
これは、予測関数としてのコックスモデルの選択に真っ直ぐに進む。これには、例えば異なる年齢群に対して異なる予測基準が適用されることを意味する、相互作用レベルにおける共変量の影響を推定するための選択肢が含まれる。
予測関数の尤度比のタイプについて、共変量を含む予測密度が推定されなければならない。この目的のためには、多変量パターン認識の方法を使用することができ、又はバイオマーカー値を、共変量についての重回帰により調整することができる(密度推定の前)。
バイオマーカー(未加工測定値レベル)と臨床的共変量を用い、応答として臨床的有益性の指標を利用する、CART技術(Classification and Regression Trees, Breiman等 (Wadsworth, Inc.: New York, 1984)を、この目的のために使用することができる。カットオフが探索され、デシジョンツリータイプの関数が、予測のための共変量に関与していることが見出されるであろう。CARTにより選択されるカットオフとアルゴリズムは、しばしば最適に近く、異なった臨床的に有益な尺度を考慮することにより組み合わせて一体されうる。
5:多変量レベルでのバイオマーカー予測関数の選択
異なる一変量予測関数の選択内で、それらの予測可能性を維持する幾つかのバイオマーカー候補が存在している場合、バイオマーカーの組合せるにより、すなわち多変量予測関数を考慮することにより、更なる改善が達成されうる。
単純なヘビサイド関数モデルに基づき、バイオマーカーの組合せは、例えば最適なカットオフが示されるバイオマーカー値の二変量散布図を考慮することにより評価されうる。次に、バイオマーカーの組合せは、改善された予測が達成されるように、論理「AND」と「OR」演算子により、異なるヘビサイド関数を組合せることにより達成できる。
この目的のために、複数のバイオマーカー(未加工測定値レベル)と、応答としての臨床的有益性尺度を用いて、予測のためのデシジョンツリータイプの関数とバイオマーカーのためのカットオフを達成するために、CART技術を使用することができる。CARTにより選択されるカットオフとアルゴリズムは、最適に近いことがよくあり、異なった臨床的に有益な尺度を考慮することにより組み合わせて一体化されてもよい。
コックス回帰は、異なったレベルで使用できる。第一の方法は、二値方式で複数のバイオマーカーを導入することである(すなわち、幾つかのカットオフを持つヘビサイド関数に基づく)。他の選択肢は、(適切な変換後に)計量方式でバイオマーカーを、又は二値及び計量の混合アプローチを用いることである。発展的多変量予測関数は、上の3に記載されたようなコックス型のものである。
多変量尤度比アプローチは実施が困難であるが、多変量予測関数のための他の選択肢も提供する。
6:多変量レベルでの臨床的共変量を含むバイオマーカー予測関数の選択。
関連する臨床的共変量が存在する場合、複数の臨床的共変量と複数のバイオマーカーを組み合わせることにより、更なる改善が達成されうる。異なった予測関数の選択は、臨床的共変量を含む可能性に関して評価されるであろう。
バイオマーカーに対するヘビサイド関数の簡単な論理的組合せに基づき、トレーニングセットで得られるロジスティック回帰モデルに基づく予測関数に、更なる共変量を含めることができる。
CART技術及び展開デシジョンツリーは、予測アルゴリズムにおけるこれらを含む、更なる共変量と共に、容易に使用することができる。
コックス回帰に基づく全ての予測関数は、更なる臨床的共変量を使用することができる。例えば異なる年齢群に対して異なる予測基準が適用されることを意味する、相互作用レベルでの共変量の影響を推定するための選択肢が存在する。
多変量尤度比アプローチは、付加的な共変量の使用に、直接拡張可能ではない。
実施例1
この実施例はVEGFアンタゴニストに対する患者の応答性又は感受性を予測するのに有用なバイオマーカーの同定を記載する。
マウス膵臓癌モデルからの腫瘍を、コントロールか又は抗VEGF抗体の何れかでの治療から7日後に単離した。この時点で、血管表面積に対する予想される大きな抗VEGF効果が観察された。我々は抗VEGF治療によって特に変更される転写物を同定するためにマイクロアレイ解析を実施した。
簡単に述べると、1μgの全RNAを、T7プロモータープライマー及びMMLV−RT(Agilent, Low RNA Input Fluorescent Linear Amplification Kit, 製品番号5184−3523)を使用して二本鎖cDNAに転換させた。cDNA合成後、T7RNAポリメラーゼを使用してcRNAを合成し、これにシアニン3−又はシアニン5−標識CTPを同時に導入した。標識されたcRNAをアフィニティ樹脂カラム(RNeasy Mini Kits, Qiagen)で精製した。標識されたcRNAの量を、260nmでの吸光度を測定し、260nmでの1ODが40μg/mlのRNAに相当するとのコンベンションを使用して決定した。染料の取り込みを、シアニン3−及びシアニン5−標識CTPの吸光度を測定するNanoDrop ND−1000分光光度計(NanoDrop Technologies, Wilmington, DE)を使用して試料を測定することによって決定した。750ナノグラムのシアニン3−標識ユニバーサルヒト参照cRNA(Stratagene, La Jolla, CA, 製品番号740000)及び750ngのシアニン5−標識cRNAを、断片化バッファー(Agilentインサイツハイブリダイゼーションキット・プラス,製品番号5184−3568)中で60℃で30分間インキュベートすることにより断片化した。断片化は、LiCl及びラウリル硫酸リチウムを含むハイブリダイゼーションバッファーを添加することにより終結させた。試料を回転式オーブンにおいて60℃で18時間、Agilentマイクロアレイにハイブリダイズさせた。SSCバッファーを使用してアレイを洗浄し、アセトニトリルを使用して乾燥させた。アレイをAgilent G2505Bモデルスキャナーでスキャンした。発現シグナルを、Agilent特徴抽出ソフトウェア(バージョン7.5 Agilent Technologies, Palo Alto, CA)を使用して計算した。
マイクロアレイハイブリダイゼーションは、40009のプローブセットに対するデータを生じた(その37710は両治療の全ての複製に存在している)。40009のプローブセットは21200の遺伝子の転写量の測定値に対応し、その20503が、二つの条件の各々に対する5つの複製全てに存在している。各プローブセットに対する平均値を各治療群に対して決定した。これらの平均の比較は、抗VEGF抗体での治療の結果として発現が異なる転写物は非常に少ないことを明らかにした。しかしながら、実験処理に応答して量が有意に減少する小さな割合のプローブが存在する。
抗VEGF療法に対して最も極端な応答を表すプローブセットを特定するために、我々は、抗VEGF処置腫瘍とコントロール抗体処置腫瘍間の平均倍率変化の差を分析した(特に我々は各群に対してlog2の平均を使用した)。我々はガウス混合としてこれらの差の分布をモデル化した。混合における成分分布の各々は3群の一つに対応しうる:(a)抗VEGF後に発現が減少したプローブセット、(b)抗VEGF療法後に変化のないプローブセット、又は(c)抗VEGF療法後に増加した発現のプローブセット。3つのガウス成分に対応する混合分布のパラメータに対する我々の最終の推定は(0.77230,0.13221,0.30198)の標準偏差及び相対的比率(0.02638,0.59943,0.37419)で(−0.46117,0.03042,−0.017276)が中心であった。
我々のシグナチャーは混合分布中の最も左のガウス成分に続くプローブセットによって定まる。この分布の最も左のテイルは抗VEGF療法後に最も発現が減少したプローブセットを表す。
この抗VEGF応答シグナチャーの316のプローブセットのなかで、284は260のHUGO遺伝子にマッピングし、28はマウス中の既知遺伝子にマッピングできず、32はHUGO符号にも明白にはマッピングしない。
260のHUGO遺伝子のセットは、血管形成、血管発生、細胞付着、細胞運動性及び分岐構造の形態形成に関するGOプロセスオントロジー用語;細胞外マトリックス構造成分、増殖因子結合及び膜貫通レセプタープロテインチロシンキナーゼに関する機能オントロジー用語;細胞外マトリックスに関する成分オントロジー用語に対して非常に高度に濃縮された。これらのデータは、抗VEGF処置がある種の血管遺伝子において平均で2.65倍、少なくとも2.0倍、特異的でかなり一定の下方への転写シフトを生じることを証明している。また、遺伝子発現における変化は腫瘍細胞特異的遺伝子では観察されず、興味深いことに、VEGF遮断に応答する遺伝子のアップレギュレーションは検出可能ではなかった。遺伝子は以下の表1に記載する。
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実施例2
この実施例は、VEGFアンタゴニストに対する患者の応答性又は感受性を予測するのに有用なバイオマーカーの同定を記載する。
マウス膵臓癌モデルからの腫瘍を、コントロールか又は抗VEGF抗体の何れかでの治療から14日後に単離した。この時点で、血管表面積に対する予想される大きな抗VEGF効果が観察された。我々は抗VEGF治療によって特に変更される転写物を同定するためにマイクロアレイ解析を実施した。
cRNAの調製及びアレイのハイブリダイゼーション/スキャニングの方法はAffymetrix (Santa Clara, CA)によって提供された。簡単に述べると、3ugの全RNAを、cDNA合成キット及びT7−(dT)24オリゴマープライマーを使用してを使用して二本鎖cDNAに転換させた。二本鎖cDNAをアフィニティ樹脂で精製した。第二ストランドの合成後、標識されたcRNAを、インビトロ転写(IVT)反応においてT7 RNAポリメラーゼ及びビオチン標識ヌクレオチドを使用してcDNA試料から産生させた。標識されたcDNAをアフィニティ樹脂で精製した。標識されたcRNAの量を、260nmでの吸光度を測定し、260nmでの1ODが40ug/mlのRNAに相当するとのコンベンションを使用して決定した。15マイクログラムのcRNAを、40mMのトリス−アセテートpH8.1、100mMの酢酸カリウム及び30mMの酢酸マグネシウム中で94℃で30分間、インキュベートすることにより断片化した。ついで、試料を60rpmに設定した回転式オーブンにおいて19時間、45℃でアレイにハイブリダイズさせた。アレイを洗浄し、Affymetrix Fluidics Station 450を使用して染色し、Affymetrix Genechip Command Console (AGCC)ソフトウェアv.1.1で操作したAffymetrix GeneChipスキャナー3000を使用してスキャンした。
遺伝子発現データをBioconductorのパッケージ「genefilter」(Gentleman, R., Carey, V., Huber, W.及びHahne, F. "Genefilter: methods for filtering genes from microarray experiments. R package version 1.30.0.")から「nsFilter」関数を使用して分散によってフィルターした。これにより10229の遺伝子のデータセットが生じた。
VEGFアンタゴニストでの治療に対する最も極端な応答を表す遺伝子を同定するために、我々は、抗VEGF処置腫瘍とコントロール抗体処置腫瘍間の平均倍率変化の差を解析した(特に、我々は各群に対してlog2の平均を使用した)。プロットにおけるlog2倍率変化は、抗VEGF抗体対コントロール抗体での治療に対する遺伝子発現関連の線形モデルにおける係数である。対数オッズスコア(LODスコア、Gelman, A.等 (2004). Bayesian Data Analysis (2版). Chapman及びHall/CRC Press, Boca Raton, FL.に記載)は、Rパッケージ「limma」(Smyth, G. K. (2004). Linear models and empirical Bayes methods for assessing differential expression in microarray experiments. Statistical Applications in Genetics and Molecular Biology 3, No. 1, Article 3.)で実施された経験的Bayes推定を使用してこのモデルから誘導される。同定された遺伝子を以下の表2に記載する。
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表3に示されるように、表1及び2に記載された遺伝子は、そのLODスコア、つまり
VEGFアンタゴニストでの治療後の発現の減少の指標に従ってグループ分けできる。表3の1欄は、VEGFアンタゴニストでの治療後のLODスコア>0又は発現が2倍減少した表1及び2双方の358の遺伝子の全てを特定している。表3の2欄は、VEGFアンタゴニストでの治療後のLODスコア>2の表1及び2何れかの160の遺伝子を特定している。表3の3欄は、VEGFアンタゴニストでの治療後にLODスコア>0を有し、表1及び2の双方に見出される98の遺伝子を特定している。表3の4欄は、VEGFアンタゴニストでの治療後にLODスコア>2を有し、表1及び2の双方に見出される58の遺伝子を特定している。表3の5欄は、VEGFアンタゴニストでの治療後にLODスコア>2を有する表2の143の遺伝子を特定している。
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実施例3
この実施例は、上記の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が結腸直腸腺癌腫瘍異種移植モデルの間質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされる。
マウスにHT29細胞を接種し、
a.抗VEGF抗体B20;又は
b.抗ブタクサ抗体コントロール
の何れかで処理した。
腫瘍組織を集め、表1及び2の遺伝子の発現について分析した。図4に示すように、表1及び2の遺伝子の発現は、抗VEGFに応答して減少した。図4Aにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>2(p値5.3e−82)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。図4Bにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>0(p値4.8e−74)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。ダウンレギュレーションのパターンの有意性はJiang及びGentleman (2007). "Extensions to gene set enrichment", Bioinformatics 23(3):306-13において検討されたT.Speedの方法を使用して評価した。
実施例4
この実施例は、上記の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が転移性乳癌異種移植モデルの間質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされる。
マウスにMDA MB−231細胞を接種し、
a.抗VEGF抗体B20;又は
b.抗ブタクサ抗体コントロール
の何れかで処理した。
腫瘍組織を集め、表1及び2の遺伝子の発現について分析した。図5に示すように、表1及び2の遺伝子の発現は、抗VEGFに応答して減少した。
図5Aにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>2(p値1.6e−159)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。図5Bにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>0(p値7.0e−266)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。ダウンレギュレーションのパターンの有意性はJiang及びGentleman (2007). "Extensions to gene set enrichment", Bioinformatics 23(3):306-13において検討されたT.Speedの方法を使用して評価した。
実施例5
この実施例は、上記の実施例1及び2に記載された遺伝子シグナチャーの遺伝子が結腸腺癌異種移植モデルの間質においてVEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)に応答してダウンレギュレートされる。
マウスにHCT−116細胞を接種し、
a.抗VEGF抗体B20.4.1.1;又は
b.抗ブタクサ抗体コントロール
の何れかで処理した。
腫瘍組織を集め、表1及び2の遺伝子の発現について分析した。図6に示すように、表1及び2の遺伝子の発現は、抗VEGFに応答して減少した。図6Aにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>2(p値5.6e−18)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。図6Bにおいて、陰影を付けた円はVEGFアンタゴニストでの治療前の遺伝子発現を表し;白抜きの円はLODスコア>0(p値3.4e−43)でダウンレギュレートされている遺伝子を表す。ダウンレギュレーションのパターンの有意性はJiang及びGentleman (2007). "Extensions to gene set enrichment", Bioinformatics 23(3):306-13において検討されたT.Speedの方法を使用して評価した。
実施例6
この実施例は、患者がVEGFアンタゴニストに対して応答性又は感受性であるかどうかをモニターするアッセイを記述する。試料(例えば血液又は組織バイオプシー)を、VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)での治療の前後に一又は複数の患者から、説明と同意の上で得る。よく知られた手順に従って、DNA及び血清/結晶を単離する。試料はプール化され又は個々の試料として維持されうる。
表1−3の何れか一つに記載された少なくとも一つの遺伝子の発現は、次の置換を伴って、少なくとも一つの遺伝子に対してmRNAを測定することによって、又は上述のELISAを使用して少なくとも一つの遺伝子によってコードされるタンパク質を検出することによって、評価される:(1)マウス遺伝子(例えばESM1)標準の代わりにヒト遺伝子(例えばESM1)標準;(2)ビオチン化ヤギ抗マウス遺伝子(例えばESM1)ポリクローナルAbの代わりにビオチン化ヤギ抗ヒト遺伝子(例えばESM1)ポリクローナル抗体;及び(3)0.5%のBSAの代わりに10%のFBS。その試料が少なくとも一つの遺伝子の発現に少なくとも2倍の減少を示す患者は、VEGFアンタゴニストでの治療に対して応答性又は感受性の患者として同定される。
上記発明は理解を明瞭にする目的から例証と実施例によってある程度詳細に説明したが、説明と実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはいけない。ここで引用された全ての特許、特許出願、科学的文献、及びGenbank受託番号の開示は、各特許、特許出願、科学的文献、及びGenbank受託番号が特に個々に出典明示により援用されているかの如く、その全体をあらゆる目的のために出典明示により明示的に援用する。

Claims (31)

  1. 少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストを投与された患者がVEGFアンタゴニストでの治療に応答するかどうかをモニターする方法であって、
    (a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;
    (b)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと比較することを含み、
    ここで、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料における少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少が、VEGFアンタゴニストでの治療に応答する患者を同定する方法。
  2. VEGFアンタゴニストの治療効果を最適化する方法であって、
    (a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストの投与後に少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストを投与された患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;
    (b)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと比較することを含み、
    ここで、VEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料における少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少が、VEGFアンタゴニストからの恩恵の蓋然性が増加した患者を同定する方法。
  3. 少なくとも一つの遺伝子の発現が、mRNAを測定することにより検出される請求項1又は2に記載の方法。
  4. 少なくとも一つの遺伝子の発現が、血漿中タンパク質レベルを測定することにより検出される請求項1又は2に記載の方法。
  5. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第2の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
  6. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第3の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項5に記載の方法。
  7. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第4の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項6に記載の方法。
  8. 少なくとも一つの遺伝子が、ABCC9;AFAP1L1;CD93;CTLA2A;CTLA2B;CNTNAP2;COL18A1;COL4A1;COL4A2;EGFL7;ELTD1;ESM1;FAM38B;FAM167B;GIMAP1;GIMAP5;GIMAP6;GNG11;GPR116;HBB;ICAM2;KCNE3;KDR;MCAM;MEST;MMRN2;MYCT1;MYL9;NID1;NID2;NOS3;NOTCH4;OLFML2A;PCDH17;PDE6D;PODXL;PRND;RAPGEF3;RASGRP3;RBP7;SPARCL1;SPRY4;TAGLN;TMEM88;及びTSPAN18からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
  9. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である請求項1又は2に記載の方法。
  10. 抗VEGF抗体がベバシズマブである請求項9に記載の方法。
  11. 患者が血管新生疾患を有している請求項1又は2に記載の方法。
  12. 患者が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、及びその組み合わせからなる群から選択される癌を有している請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが投与された患者に対する治療法を選択する方法であって、
    (a)VEGFアンタゴニストの投与後に患者から得られた生物学的試料において表1−3の何れか一つに記載の少なくとも一つの遺伝子の発現を検出し;
    (b)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルを、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料中の少なくとも一つの遺伝子の発現レベルと比較し;
    (c)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に検出されるならば治療法としてVEGFアンタゴニストを選択し;又は
    (d)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に検出されないならば、VEGFアンタゴニストではない治療法を選択する
    ことを含む方法。
  14. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第2の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項13に記載の方法。
  15. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第3の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項14に記載の方法。
  16. 患者からの生物学的試料における表1−3の何れか一つに記載の少なくとも第4の遺伝子の発現を検出することを更に含む請求項15に記載の方法。
  17. (c)の治療法が、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む請求項13に記載の方法。
  18. (e)少なくとも一つの遺伝子の発現レベルの減少がVEGFアンタゴニストの投与後に得られた試料中に検出されるならば、有効量のVEGFアンタゴニストを患者に投与することを更に含む請求項13に記載の方法。
  19. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である請求項18に記載の方法。
  20. 抗VEGF抗体がベバシズマブである請求項19に記載の方法。
  21. 有効量の少なくとも第二の薬剤を投与することを更に含む請求項20に記載の方法。
  22. 第二の薬剤が、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項21に記載の方法。
  23. (d)の治療法が、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、及びその組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む請求項13に記載の方法。
  24. VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするためのバイオマーカーを同定する方法であって、
    (a)少なくとも一用量のVEGFアンタゴニストが投与された患者から得られた生物学的試料における候補バイオマーカーの発現を検出し;
    (b)候補バイオマーカーの発現を参照試料中の候補バイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、
    ここで、参照試料と比較して少なくとも1.99倍低いレベルで発現される候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される方法。
  25. 参照試料と比較して生物学的試料中に少なくとも2.0倍低いレベルで発現される候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される請求項24に記載の方法。
  26. 参照試料と比較して生物学的試料中に少なくとも2.7倍低いレベルで発現される候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される請求項24に記載の方法。
  27. 参照試料と比較して生物学的試料中に少なくとも2.9倍低いレベルで発現される候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される請求項24に記載の方法。
  28. 参照試料と比較して生物学的試料中に少なくとも3.1倍低いレベルで発現される候補バイオマーカーが、VEGFアンタゴニストに対する応答性をモニターするのに有用なバイオマーカーとして同定される請求項24に記載の方法。
  29. 参照試料が、患者へのVEGFアンタゴニストの投与前に患者から得られた生物学的試料である請求項24に記載の方法。
  30. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である請求項24に記載の方法。
  31. 抗VEGF抗体がベバシズマブである請求項30に記載の方法。
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