JP2013501122A - 乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法、並びにこれを用いた低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物 - Google Patents

乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法、並びにこれを用いた低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法、並びにこれを用いた低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物に関するものである。特に、澱粉を糊化温度以下の温度で熱処理しリン酸化させた後、再び高温で熱処理することによって、澱粉粒子のサイズが増大し、乳化力及び乳化安全性が増加した食餌纖維澱粉を製造し、該乳化力の強化された食餌纖維澱粉を添加することによって、食用油の含量を50%以上減少させた低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物に関するものである。
【選択図】
図1

Description

本発明は、乳化力及び乳化安全性が強化された食餌纖維澱粉、並びにこれを用いて得られた低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物に関するものである。
近年、産業社会への発展に伴う食生活の変化は、各種成人病の罹患率を増加させてきた。特に、脂肪摂取量と心血管系疾患との相関関係に対する人々の自覚度はだいぶ増加したし、特に、脂肪摂取量に対する関心の増加は、低熱量、低脂肪食品を求めることになった。熱量を減少させることにおいて、特に脂肪に関心を持つ理由は、脂肪が9kcal/gの 代謝エネルギーを持つに比べて、炭水化物と蛋白質は4kcal/gの代謝エネルギーしか持たず、脂肪による熱量調節が最も有効であることにある。したがって、脂肪含量が80%以上であるマーガリン、25〜40%であるドレッシング、マヨネーズ、チーズ類、ケーキ類、製パン類などにおいて脂肪の一部または全部を置き換え得る脂肪代替物質が要求されている実情である。
脂肪代替物質は、その組成によって蛋白質系脂肪代替物質(protein−based fat substitute)、炭水化物系脂肪代替物質(carbohydrate−based fat substitute)、脂肪系脂肪代替物質(fat−based fat substitute)、合成系脂肪代替物質(synthetic fat substitute)に分類することができる。このうち、炭水化物系脂肪代替物質として化学的処理方法によって製造された変性澱粉類が、澱粉質を基にした固体食品類である製菓、製パン、製綿類に様々に適用されてきた。
これらの変性澱粉は、澱粉をより有効に利用し且つ利用範囲を拡大させるために新しい機能を付与することによって一般澱粉の限界を克服する目的で、澱粉を物理的、化学的に処理して変換させたものである。しかしながら、この変性澱粉をマヨネーズのような液状の食品類に適用すると、低い乳化力により分離しやすくなるという問題点があった。
本発明は上記の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、脂肪含有食品の熱量を下げ、食餌纖維を補強した高付加価値食品の開発可能性を提示するために、澱粉を糊化温度以下の温度で熱処理し、りん酸化させた後、再び高温で熱処理をすることによって、乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記乳化力が強化された食餌纖維澱粉を用いて得られた、食餌纖維含量が高く且つ乳化安全性が改善された低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物を提供することにある。
本発明の上記目的及びその他目的は、下記説明された本発明によっていずれも達成可能である。
上記目的を達成するために、本発明は、(a)抵抗澱粉を糊化温度以下の温度で熱処理する段階と、(b)上記(a)段階の澱粉に硫酸ナトリウム(NaSO)及び架橋結合剤を添加する段階と、(c)上記(b)段階の澱粉に塩基を添加してpHを10〜12に調整した後、りん酸化反応により架橋結合させる段階と、(d)上記(c)段階における架橋結合の後に酸を添加して中和する段階と、(e)上記(d)段階の澱粉試料を糊化温度以上の温度で短時間熱処理する段階と、(f)上記(e)段階の澱粉試料を水洗し乾燥する段階と、を含むことを特徴とする、乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法を提供する。
本発明はなお、上記の食餌纖維澱粉を用いて食餌纖維含量が高く且つ乳化安全性が改善された低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物を提供する。
本発明の方法によれば、澱粉を物理的に処理して澱粉粒子の大きさを膨脹させることによって、水中油型乳化液(oil−in−water emulsion)の粒子に似た形態及び乳化機能を付与できるので、半固体乳化食品に使用するのに適した食餌纖維澱粉を提供することができる。また、該澱粉粒子は、安定した乳化機能を有するから、液状食品において脂肪に代えて強い乳化液の物性を具現し、かつ軟らかい食感を与えることができ、結果として乳化安全性の改善された低脂肪マヨネーズ及びマーガリンのような低カロリー/低脂肪ダイエット食品を製造することができる。
高温熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の粒子分布を示すグラフである。粒度分析器によるとうもろこし生澱粉及び食餌纖維澱粉類の粒子サイズ分布(a:とうもろこし生澱粉、b:とうもろこし食餌纖維澱粉、c:高温熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉) とうもろこし生澱粉の糊化最高点を示すグラフである。 とうもろこし食餌纖維澱粉の糊化最高点を示すグラフである。 高温熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の糊化最高点を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食餌纖維澱粉の製造方法は、(a)澱粉を糊化温度以下の温度で熱処理する段階と、(b)上記の(a)段階の澱粉に硫酸ナトリウム(NaSO)及び架橋結合剤を添加する段階と、(c)上記の(b)段階の澱粉に塩基を添加してpHを10〜12に調整した後、りん酸化反応により架橋結合させる段階と、(d)上記の(c)段階における架橋結合の後に酸を添加して中和する段階と、(e)上記の(d)段階の澱粉試料を糊化温度以上の温度で短時間熱処理する段階と、(f)上記の(e)段階の澱粉試料を水洗し乾燥する段階と、を含むことを特徴とする。
本明細書でいう「食餌纖維澱粉(Fibrous starch)」とは、本発明に係る上記の(a)乃至(d)の段階により製造された澱粉のことを指し、総食餌纖維含量(total dietary fiber;TDF)が50%以上と食餌纖維の活性が高い澱粉を意味する。
本明細書でいう「乳化力が強化された食餌纖維澱粉」とは、上記の食餌纖維澱粉に高温熱処理をして食餌纖維の含量が強化され、且つ粒子サイズが増加した澱粉のことを意味する。
本発明で澱粉としては穀物の粉末を使用することができる。好ましくは、コメ澱粉及びとうもろこし澱粉を使用することができ、より好ましくは、とうもろこし澱粉を使用する。さらに、タピオカ澱粉を含むその他の澱粉類にも拡大適用し、同様の効果を得ることができる。
上記(a)段階で使われた澱粉は、濃度が25〜60重量%になるように水を添加して使用し、好ましくは、40重量%にして使用する。澱粉の濃度は、澱粉の種類によって異なるように設定し、攪拌に困難がない範囲内で高濃度の澱粉液が食餌纖維含量を高く示す傾向がある。
上記の(a)段階で澱粉液を糊化温度以下の温度で熱処理することによって、澱粉粒子中でりん酸化反応が安定的になされるようにすることができる。一般に、澱粉の糊化温度は55℃〜65℃である。本発明において、熱処理は、好ましくは、40℃〜55℃で0.5〜3時間振とうして行い、より好ましくは、50℃で1時間振とうして行う。
上記の(b)段階では、(a)段階で熱処理された澱粉液に架橋結合剤を添加する。架橋結合剤は、トリメタりん酸ナトリウム(sodium trimetaphosphate;STMP、99.0〜99.9%)とトリポリりん酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate;STPP、0.1〜1.0%)を澱粉基準で8〜12重量%添加する。ここで、架橋結合剤を澱粉液に添加する前に、澱粉の糊化を抑制するために、澱粉乾燥重量に対して10〜12重量%、好ましくは10重量%の硫酸ナトリウム(NaSO)を添加する。
上記の(c)段階では、澱粉が、上記の架橋結合剤の添加によるりん酸化反応によって架橋結合する。塩基を添加してpHを10〜12、好ましくは11.5にする。ここで、塩基は一般的な塩基を使用すればよく、好ましくは、NaOHを添加する。pHの適正が終わった後、(a)段階における熱処理温度と同様な40℃〜55℃で1〜6時間、好ましくは、50℃で3時間反応させる。
上記の(d)段階では、上記反応が終わったのち澱粉液に酸を添加して中和する。ここで、酸は、一般的な酸を使用すればよく、好ましくはHClを添加する。
上記の(e)段階では、(d)段階の澱粉液を糊化温度以上の温度である80℃〜95℃で1分〜30分間振とうして熱処理をする。好ましくは、85℃で20分間熱処理をする。りん酸化反応後、高温での短時間熱処理は、澱粉粒子の一部分を非晶質に変えて乳化液の機能を持つ安定した構造にさせることができる。
上記の(f)段階では、(e)段階における澱粉液を乾燥物中の残留リン含量が0.32〜0.4%以下になるように水洗を繰り返し行う。水洗された澱粉液を含水量が5%以下になるように乾燥したのち粉砕し、100μmサイズに篩い分けることで、食餌纖維含量が増加し且つ安定化した乳化力を持つ食餌纖維澱粉を得ることができる。
本発明に係る製造方法により得られた上記の食餌纖維澱粉粒子のサイズは、好ましくは、100〜300μmであるとよい。
本発明は、なお、上記製造方法により得られた食餌纖維澱粉を用いて食餌纖維含量が高く且つ乳化安全性が改善された低脂肪マヨネーズ及びマーガリン組成物を提供する。
本発明では、マヨネーズ及びマーガリンにおいて乳化力を提供する脂肪を食餌纖維澱粉に一部置き換えることによって、食餌纖維含量が高く且つ乳化安全性が強化された低カロリー脂肪乳化食品を開発するために、上述の方法により製造された澱粉粒子のサイズが調節された食餌纖維澱粉を使用した。
マヨネーズとマーガリンは通常の方法で製造した。本発明に係る食餌纖維澱粉を5〜50重量%添加した。本発明の好適な実施例では、マヨネーズ製造時に50重量%の食餌纖維澱粉を使用し、マーガリン製造時には20重量%の食餌纖維澱粉を使用した。
乳化食品の安全性は、混合液の層分離が遅いほど高いと言え、保存安全性に優れているものであるほど、マヨネーズ製造に適した素材とされる。澱粉質が液状乳化食品に適用される場合は分離されやすくなるという短所から、既存の食餌纖維澱粉は、製菓、製パン、製綿などの固体食品に制限して適用されてきた。しかしながら、本発明によって澱粉をりん酸化させ、りん酸化前後に高温で熱処理して、安定化した乳化力を付与することによって、食餌纖維澱粉を固体及び液状食品に様々に適用することが可能になった。
以下、本発明を実施例に挙げて説明する。しかし、これらの実施例は本発明の一例で、本発明の権利範囲を限定するものではない。
実施例1:澱粉粒子の安定化のための熱処理段階
とうもろこし澱粉(新東方CP製)乳液の濃度をそれぞれ30%及び40%にして用意し、45℃と50℃の水槽でそれぞれ1時間熱処理した。ここで、30%澱粉乳液は、澱粉900g(乾燥重量基準)を水3000ℓに入れた後、10分間常温で撹はんして得た。攪拌器を用いて攪拌(120rpm)しながら熱処理が均一になされるようにした。糊化温度以下の温度での短時間熱処理は、澱粉粒子の部分的糊化によって澱粉粒子が安定した構造を持つようにし、総食餌纖維含量を増加させる。
実施例2:りん酸化架橋結合反応による食餌纖維澱粉の製造
とうもろこし生澱粉30%と40%懸濁液に、10%NaSOと12%トリメタりん酸ナトリウムとトリポリりん酸ナトリウムの混合物を入れ、4%NaOHを添加してpHを11.5に調節した。これらの澱粉混合液をそれぞれ45℃及び50℃で3時間反応させた後、3.65%HClを用いてpH6.5に中和した。その後、蒸溜水で3回洗って遠心分離した後、40℃で乾燥粉砕し、100メッシュの篩に通過させ、最終的に各澱粉濃度別の食餌纖維澱粉を製造した。
実施例3:AOAC法による食餌纖維澱粉の総食餌纖維含量の測定
上記実施例2で製造した本発明のとうもろこし食餌纖維澱粉の総食餌纖維含量を調べた。実験方法はAOAC(Association of Official Chemist)法として分析した。1.0gの試料に40mLのりん酸緩衝溶液(pH6.0)を入れ、よく分散させた。アミラーゼ(heat stable α−amylase,Cat No.A−3306,Sigma)0.1mLを入れ、沸いている水槽(100℃)でかき回しながら15分間反応させた後、直ちに室温に冷却させた。ここに0.275N NaOHを入れてpH7.5になるように調整した後、プロテアーゼ(protease、CatNo.P−3910,Sigma)0.1mL(50mg/mL phosphate buffer)を入れ、60℃恒温振とう器で30分間反応させた。その後、0.325M HClを入れてpH4.0〜4.6になるように調整した後、アミログルコシダーゼ(amyloglucosidase、Cat No.A−9913,Sigma)0.1mLを加え、続いて60℃で30分間反応させた。反応を止めるために、総アルコール濃度80%になるようにエタノールを添加して1時間以上放置した後、あらかじめ乾燥して恒量しておいたセライト(celite)の入っているつぼ(2G3、IWAKI)でろ過した。つぼに入っている試料を95%、78%エタノールとアセトンの順に洗浄したし、不溶性残渣を105±0.1℃オーブンで16時間乾燥した後、重さを測定し、ろ過前と後のつぼの重さの差で総食餌纖維の含量を計算した。
実験の結果、下記表1に示すように、総食餌纖維の含量は、30%澱粉濃度の場合、熱処理及びりん酸化反応温度が45℃で44.8%であり、50℃反応では73.2%であった。一方、40%澱粉濃度の場合、熱処理及びりん酸化反応温度が45℃で79.1%であり、50℃反応で95.1%であった。澱粉の濃度が高いほど、分枝鎖(branch chain)間の距離が近づくので、りん酸化による架橋結合が效率よく起き、総食餌纖維含量が増加した。また、同一の濃度では、熱処理温度及びりん酸化反応の温度が高いほど、澱粉粒子の部分的膨脹(swelling)が起きて架橋結合剤が均一に分散され、架橋結合反応が效率よく起きたため、総食餌纖維含量が高く現れた。
実施例4:食餌纖維澱粉の乳化力を強化するための熱処理段階
とうもろこし食餌纖維澱粉乳液を濃度30%にして用意し、85℃高温で20分間熱処理した。熱処理は湯せんとし、熱が直接的に澱粉液に加えられないようにした。高温での短時間熱処理は、澱粉粒子のサイズをを弾力よく膨らませて乳化液の安定した構造を持つようにし、w/o乳化液の特性を示す。下記表2は、澱粉の平均粒子サイズを測定した値である。高温で熱処理された食餌纖維澱粉の平均粒子サイズは、163.2μmであり、食餌纖維澱粉の平均粒子サイズの10倍以上と増加した。

10(μm):澱粉粒子の分布のうち下位10%澱粉粒子の平均粒子サイズ
50(μm):澱粉粒子の分布のうち下位50%澱粉粒子の平均粒子サイズ
90(μm):澱粉粒子の分布のうち上位10%澱粉粒子の平均粒子サイズ
実施例5:高温で熱処理された食餌纖維澱粉の粒度分析
とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉及び高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の粒子サイズ分布を調べるために、粒度分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyzer LS13−320、BECKMAN COULTER、USA)を用いた。試料をメタノールに分散して測定した。とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の粒子サイズ分布を図1に示す。とうもろこし生澱粉の粒子サイズは、10〜20μm範囲内にほとんど分布したが、りん酸化前の熱処理及びりん酸化架橋結合により製造されたとうもろこし食餌纖維澱粉の粒子サイズは、とうもろこし生澱粉に比べてサイズが大きい領域(20〜40μm)で主に分布を示した。一方、食餌纖維澱粉に高温熱処理をした場合は、食餌纖維澱粉の粒子サイズが格段に増加し、200〜300μmにほとんど粒度分布を示した。
実施例6:高温で熱処理された食餌纖維澱粉の糊化特性及び物性的特性の分析
とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の糊化特性を、走査熱量計(DSC、S2、SSC/5200H、Seiko Co.,Japan)を用いて調べた。それぞれ10mgの試料と30mgの水を混合し、2時間水分平衡を維持させた後、25℃から130℃まで分当たり5℃ずつ温度を上げながら各澱粉の糊化特性を分析した。
表3は、測定した各澱粉の糊化開始温度、糊化最大温度、糊化終了温度及び糊化熱量を表すものである。糊化開始温度は、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉においてそれぞれ、70.49℃、78.74℃、80.65℃であって、食餌纖維澱粉類の糊化温度が生澱粉の糊化温度よりも高かった。糊化最大温度及び糊化終了温度も同様の傾向を示した。しかし、糊化熱量のエンタルピは、とうもろこし生澱粉が12.87J/g、とうもろこし食餌纖維澱粉が10.49J/g、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が0.95J/gであって、大部分の高温で熱処理された食餌纖維澱粉はそれ以上糊化が起きないことを示した。短時間高温熱処理は、食餌纖維澱粉の澱粉粒子を膨脹させ、結晶性をそのまま維持させる傾向を示した。
図2乃至図4は、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理された食餌纖維澱粉の糊化最高点を示すものである。高温で熱処理された食餌纖維澱粉では糊化最高点がほとんど現れなかった。
実施例7:高温で熱処理された食餌纖維澱粉の物性的特性
とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理された食餌纖維澱粉の水結合能力(water binding capacity;WBC)とオイル結合能力(oil binding capacity;OBC)を測定した。
それぞれ試料1.0gを50mL遠心分離管に入れ、30.0mLの水または豆油を加えて1時間常温で分散した後、3,000rpmで20分間遠心分離して沈殿物の重さを測定し、下の式で計算した。
水/オイル結合能力(%)=
{遠心分離後の沈殿物の重さ(g)−試料の重さ(g)}×100/試料の重さ(g)
水結合能力は、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉がそれぞれ、1.26、2.10、2.57g/gであり、高温で熱処理された食餌纖維澱粉が最も高かった。オイル結合能力は、とうもろこし生澱粉が、とうもろこし食餌纖維澱粉及び高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉より1g/g高かった。これは、とうもろこし生澱粉のオイル結合能力が食餌纖維澱粉類のそれよりも高いことがわかる。
実施例8:高温で熱処理された食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの製造及び粘度の測定
下記の表5のような条件として、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉及び高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズを製造し、レオメーター(Rheometer、Compac−100、Sun Sci.Co.,Japan)を用いて粘度を測定した。それぞれとうもろこし食餌纖維澱粉は16重量%、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉は17.5重量%を添加した。
下記表6はそれぞれ、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加したマヨネーズの粘度を比較した結果である。各試料の粘度を6回反復測定して平均値を計算した。測定条件は次のとおりである:Press/Traction、Press;Mode、20;Dia of probe、25mm;Sample size、φ30×15mm;Load cell、2.0Kg;Table speed、60.0mm/min。
[86]市販中のマヨネーズの粘度は、1.25×10cPを示しているが、とうもろこし生澱粉及びとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの粘度は非常に低く、マヨネーズの物性が具現し難かった。一方、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの粘度は1.17×10と、対照群マヨネーズと類似した粘度を示した。
実施例9:高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの乳化安全性の測定及び油脂代替率
マヨネーズの乳化安全性は、マヨネーズをマイクロチューブに入れ、45℃恒温器で7日間保存した後、8,000rpmで15分間遠心分離した後、油脂が分離する比率を次の式で計算した。
マヨネーズの乳化安全性(%)=
{マヨネーズに含まれている油脂の重さ(g)−遠心分離後の油脂の重さ(g)}×100/マヨネーズに含まれている油脂の重さ(g)
下記表7は、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉及び高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加したマヨネーズの乳化安全性を測定した結果である。対照群マヨネーズは、油脂が1.4%分離したし、とうもろこし生澱粉が添加されたマヨネーズでは、油脂分離率が10.2%まで増加した。しかし、とうもろこし食餌纖維澱粉と高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズでは、それぞれ0.6%、0.4%程度の油脂が分離した。該食餌纖維澱粉類を添加したマヨネーズの乳化安全性が、対照群マヨネーズに比べて高く現れた。
下記表8は、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加してマヨネーズを作った時、代替可能なオイルの量を示したものである。とうもろこし生澱粉ととうもろこし食餌纖維澱粉の場合、対照群マヨネーズよりも大豆油を40%程度減少させることができた。一方、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を使用してマヨネーズを作る場合は、大豆油を50%程度減少させることができる他、対照群マヨネーズと類似の粘度を具現することも可能だった。
下記表9は、対照群マヨネーズと、とうもろこし生澱粉、とうもろこし食餌纖維澱粉及び高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加して作ったマヨネーズの熱量を表したものである。市販中のマヨネーズの熱量が1g当たり708kcalであるのに比べて、とうもろこし生澱粉が添加されたマヨネーズの熱量は635kcal、とうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの熱量は427kcal、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマヨネーズの熱量は374.5kcalだった。
高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉をマヨネーズに適用することによって、既存のマヨネーズの物性を維持しながら熱量を50%以上減少させた低カロリー/低脂肪マヨネーズを製造することができた。
実施例10:高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉が添加されたマーガリンの製造及び熱量
下記表10と同様の条件として高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加してマーガリンを製造した。
該高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉をそれぞれ10重量%と13.5重量%添加することで、パーム油の使用をそれぞれ25%及び50%減少させた。
高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を添加して25%の油脂を減少させて得たマーガリンの物性は、対照群マーガリンの物性と類似した。一方、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉の添加によってパーム油を50%以上代替したマーガリンの場合は、w/o相からo/w相へと逆相になりながら、マーガリンの物性が得られなかった。パーム油の使用が25%減少したマーガリンの場合、対照群マーガリンの熱量737.5kcal/100gに比べて顕著に低い563.5kcal/100gの熱量を示した。既存のマーガリンの物性を維持しながら油脂の熱量を減少させる場合は、高温で熱処理されたとうもろこし食餌纖維澱粉を使用して25%まで熱量減少が可能だった。

Claims (10)

  1. (a)澱粉を糊化温度以下の温度で熱処理する段階と、
    (b)上記の(a)段階の澱粉に硫酸ナトリウム(NaSO)及び架橋結合剤を添加する段階と、
    (c)上記の(b)段階の澱粉に塩基を添加してpHを10〜12に調整した後、りん酸化反応により架橋結合する段階と、
    (d)上記の(c)段階における架橋結合の後、酸を添加して中和する段階と、
    (e)上記の(d)段階の澱粉試料を糊化温度以上の温度で短時間熱処理する段階と、
    (f)上記の(e)段階の澱粉試料を水洗して乾燥する段階と、
    を含むことを特徴とする、乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  2. 上記の(a)段階において澱粉の濃度が25〜60%になるように水を添加することを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  3. 上記の(a)段階において、上記熱処理は、40℃〜55℃で0.5〜3時間振とうして行うことを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  4. 上記の(b)段階において、上記架橋結合剤としてトリメタりん酸ナトリウムとトリポリりん酸ナトリウムの混合物を澱粉重量に対して10〜12重量%を添加し、上記硫酸ナトリウムは、澱粉重量に対して10重量%添加することを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  5. 上記の(c)段階において、上記りん酸化反応は、40℃〜55℃で1〜6時間反応させることを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  6. 上記の(e)段階において、上記熱処理は、80℃〜95℃で1〜30分間振とうして行うことを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  7. 上記の(f)段階において、澱粉試料は水洗して最終乾燥物中の残留リン含量を0.32〜0.4%以下にさせることを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  8. 上記食餌纖維澱粉の粒子サイズは、100〜300μmであることを特徴とする、請求項1に記載の乳化力が強化された食餌纖維澱粉の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項により製造された乳化力が強化された食餌纖維澱粉を添加して製造されたことを特徴とする、低脂肪マヨネーズ組成物。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項により製造された乳化力が強化された食餌纖維澱粉を添加して製造されたことを特徴とする、低脂肪マーガリン組成物。
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