JP2013257003A - インサートナット - Google Patents

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Abstract

【課題】雄ネジとの螺合が円滑になされ、かつ、高い締結力が確保され、さらに空回り防止や抜け防止についての機能も向上した、インサートナットを提供する。
【解決手段】樹脂部材又は金属部材に埋め込まれる金属製のインサートナットである。金属板2aが曲げ加工によって円筒状に成形されてなるナット本体2を有する。ナット本体2の内周面には、連続する雌ネジ溝3aを有した雌ネジ部3が形成されている。ナット本体2の外周面には、開口形状が底面形状より大となる角錐台形状の凹部4が、ナット本体2の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂部材又は金属部材に埋め込まれるインサートナットに関する。
樹脂部材に雌ネジを形成し、雄ネジであるビスやボルトを用いて部材間を締結することがある。しかし、樹脂部材に形成された雌ネジは、金属部材に形成された雌ネジに比べて脆弱になる。そのため、より強固な締結が要求されるような用途では、樹脂部材側に雌ネジを形成したネジ山付の固定金具、すなわちインサートナットが埋め込まれ、雄ネジとの締結に用いられることがある。
このようなインサートナット(ネジ山付の固定金具)としては、その内周面に雌ネジ部を有し、その外周面に樹脂部材に対する周方向への空回りおよび組付け方向への抜けを防止するための凹凸部を形成した、筒状のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、金属板が曲げ加工によって略多角筒状に形成されたことにより、内部孔の角部に空気通路を形成し、放熱性能を高めている。
特開2008−106838号公報
しかしながら、前記特許文献1のインサートナット(ネジ山付の固定金具)では、内部孔の角部に溝部を形成して空気通路を形成しているため、内周面に形成されたネジ山は溝部では形成されず、したがってネジ山によって形成される雌ネジは、螺旋状に連続することなく、断続的に形成されたものとなっている。そのため、このインサートナットにボルト等の雄ネジを螺合させて部材間を締結する際に、インサートナットの雌ネジが断続的であることで雄ネジとの引っかかりが悪くなり、螺合が円滑になされなくなるおそれがある。また、雄ネジと雌ネジとの接触面積が少なくなるため、その分締結力も低くなる。
また、一般にインサートナットは、その外周面に凹凸部を形成し、これが埋め込まれる樹脂部材などへの結合力を高めることにより、樹脂部材などに対して周方向への空回りや組付け方向への抜けを防止している。しかし、近年では、この空回り防止や抜け防止についての機能のさらなる向上が求められている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、雄ネジとの螺合が円滑になされ、かつ、高い締結力が確保され、さらに空回り防止や抜け防止についての機能も向上した、インサートナットを提供することにある。
本発明のインサートナットは、樹脂部材又は金属部材に埋め込まれる金属製のインサートナットであって、
金属板が曲げ加工によって円筒状に成形されてなるナット本体を有し、
前記ナット本体の内周面には、連続する雌ネジ溝を有した雌ネジ部が形成され、
前記ナット本体の外周面には、開口形状が底面形状より大となる角錐台形状の凹部、又は上端面形状が底形状より小となる角錐台形状の凸部が、前記ナット本体の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設されていることを特徴とする。
このインサートナットによれば、金属板を曲げ加工によって円筒状に成形してナット本体とし、このナット本体の内周面に連続する雌ネジ溝を有した雌ネジ部を形成しているので、雄ネジとの螺合が円滑になされるようになり、さらに、雄ネジと雌ネジとの接触面積が多くなるため、締結力も高くなる。また、ナット本体の外周面に、角錐台形状の凹部又は凸部を、前記ナット本体の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設しているので、これが埋め込まれる樹脂部材や金属部材に対して、周方向への空回りや組付け方向への抜けがより確実に防止される。
また、前記インサートナットにおいて、前記金属板には、予め一方の面にネジ溝が形成され、他方の面に前記凹部又は凸部が形成され、該金属板が円筒状に成形されたことにより、前記ネジ溝が前記雌ネジ部に形成され、前記凹部又は凸部が規則的に配設されていることが好ましい。
このようにすれば、例えば丸棒状の材料から孔をあけて円筒状に形成する場合に比べ、材料の使用効率を格段に高めることができ、さらに、加工に要する時間も短縮することができる。したがって、コストの低減化を図ることができる。
また、前記インサートナットにおいて、前記凹部又は凸部は、四角錐台形状であることが好ましい。
その場合に、前記凹部は、前記開口形状の各辺が1mm以上2mm以下であり、深さが0.15mm以上0.8mm以下であり、各内側面の底面に対する傾斜角が30°以上90°未満である、又は、前記凸部は、前記底形状の各辺が1mm以上2mm以下であり、高さが0.15mm以上0.8mm以下であり、外側面のナット本体外周面に対する傾斜角が30°以上90°未満であることが好ましい。
このようにすれば、後述する実験結果からもわかるように、これが埋め込まれる樹脂部材や金属部材に対して、周方向への空回りや組付け方向への抜けがより確実に防止される。
本発明のインサートナットにあっては、雄ネジとの螺合が円滑になされ、かつ、高い締結力が確保され、さらに空回り防止や抜け防止についての機能も向上しているので、例えばこのインサートナットを樹脂部材に埋め込むことにより、部材間を容易に、かつ、より強固に締結することができる。また、金属部材に対して埋め込んでも、同様の効果を得ることができる。
本発明に係るインサートナットの一実施形態の概略構成を示す図であり、(a)は一部を切り欠いた斜視図、(b)は内周面側を示す展開図、(c)は外周面側を示す展開図である。 (a)は凹部の形状を説明するためのナット本体の要部側断面図であり、(b)は凸部の形状を説明するためのナット本体の要部側断面図である。 インサートナットの使用形態を説明するための側断面図である。 引き抜き強度の測定方法を説明するための側断面図である。 (a)〜(c)はインサートナットの比較例の外周面側の形態を示す展開図である。
以下、図面を参照して本発明のインサートナットをより詳しく説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明のインサートナットの一実施形態の概略構成を示す図であり、(a)は一部を切り欠いた斜視図、(b)は内周面側を示す展開図、(c)は外周面側を示す展開図である。これらの図において符号1はインサートナットであり、このインサートナット1は、樹脂部材又は金属部材に埋め込まれる金属製のものである。
このインサートナット1は、図1(a)に示すように円筒状のナット本体2と、ナット本体2の内周面に形成された雌ネジ部3と、ナット本体2の外周面に形成された複数の凹部4と、から構成されている。
ナット本体2は、図1(b)、(c)に示す金属板2aが曲げ加工によって円筒状に成形されたものである。
金属板2aは、例えば冷延鋼板にめっき処理が施された金属平板が、所定寸法の短冊状(長細い矩形状)に打ち抜き加工され、あるいは切り出されて形成されたものである。この金属板2aには、図1(b)に示すようにその一方の面、すなわち内周面となる側の面に、複数の雌ネジ溝3aが平行に形成されている。また、図1(c)に示すようにその他方の面、すなわち外周面となる側の面に、複数の凹部4が形成されている。
図1(b)に示す雌ネジ溝3aは、金属板2aに対して例えば潰し加工(プレス成型)されることで形成されたもので、この金属板2aがその長辺方向に沿って曲げられ、それぞれの短辺が突き合わされることにより、図1(a)に示した、螺旋状に連続した雌ネジ部3に形成されるようになっている。すなわち、インサートナット1は、ナット本体2の内周面に、螺旋状に連続した雌ネジ部3を有している。なお、雌ネジ溝3aは、金属板2a(ナット本体2)に対して雌ネジ部を形成できる形状の一例であり、例えばネジ山を形成することで相対的に形成される溝部を、雌ネジ部3aとしてもよい。
図1(c)に示す複数の凹部4は、金属板2aに対して潰し加工(プレス成型)されることで形成されたもので、金属板2aの短辺方向及び長辺方向に沿って規則的に配設されている。このような構成によって凹部4は、金属板2aがその長辺方向に沿って曲げられ、それぞれの短辺が突き合わされた際、ナット本体2の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設されたものとなる。
凹部4は、開口部の形状(開口形状)が底面の形状(底面形状)より大となる角錐台形状のもので、本実施形態では四角錐台形状に形成されている。具体的には、ナット本体2の要部側断面図である図2(a)に示すように、開口部4aの形状の各辺の長さLが1mm以上2mm以下であり、深さdが0.15mm以上0.8mm以下であり、各内側面4bの底面4cに対する傾斜角θが30°以上90°未満であるのが好ましい。ただし、本明細書においては、図2(a)に示すように底面4cの延長面に対する各内側面4bの傾斜角度を、傾斜角θとして定義している。
開口部4aの形状や底面4cの形状としては、四角形(矩形)であれば、長方形でも正方形でもよく、菱形や平行四辺形などであってもよい。長方形や平行四辺形の場合には、長辺と短辺のいずれの長さも、1mm以上2mm以下であるのが好ましい。本実施形態では、開口部4aの形状及び底面4cの形状を正方形としている。
なお、ナット本体2の厚さ、すなわち金属板2aの厚さ(雌ネジ溝3aや凹部4が形成された箇所以外の部位での厚さ)は、インサートナット1に形成される雌ネジ部3のサイズ(ネジサイズ)に応じて適宜に設定される。また、凹部4の前記深さdも、雌ネジ部3のサイズに応じて適宜に形成される。例えば、ネジサイズ、インサートナット1の厚さ(金属板2aの厚さ)、凹部4の深さdの関係は、以下の通りである。
ネジサイズ 金属板2aの厚さ 凹部4の深さd
・M2.6 0.5〜1.3mm 0.15〜0.30mm
・M3 0.5〜1.3mm 0.15〜0.30mm
・M4 0.7〜1.5mm 0.20〜0.30mm
・M5 1.0〜2.0mm 0.20〜0.40mm
・M6 1.0〜2.0mm 0.20〜0.50mm
・M8 1.5〜2.8mm 0.20〜0.80mm
そして、このようなネジサイズに対応して設定される凹部4の深さdにさらに対応して、前記傾斜角θが30°以上90°未満に設定される。30°未満では、インサートナット1が埋め込まれる部材に対しての、引き抜き強度や回転トルクが小さくなり、抜け防止や空回り防止についての機能が充分に得られるなくなるおそれがある。また、90°以上になると、潰し加工によって凹部4を形成した後の型抜きができなくなり、加工が困難になる。
また、このような深さdや傾斜角θを満足するように、開口部4aの各辺の長さLが1mm以上2mm以下の範囲で適宜に設定される。このようにして開口部4aの各辺の長さL、凹部4の深さd、傾斜角θを前記各範囲内に設定することにより、該凹部4はインサートナット1が埋め込まれる樹脂部材や金属部材に対して充分な強度で結合(係止)し、その周方向への空回りや組付け方向への抜けを防止するものとなる。
このような形状・寸法の凹部4は、図1(c)の展開図に示すように、例えば金属板2aの短辺方向(ナット本体2の高さ方向)に沿って等間隔で3列、また金属板2aの長辺方向(ナット本体2の周方向)に沿って等間隔で9列形成配置されている。すなわち、凹部4は、ナット本体2の外周面に、縦横(高さ方向及び周方向)に規則的に配設されたものとなっている。このように凹部4を規則的に配設することにより、該凹部4はインサートナット1が埋め込まれる樹脂部材や金属部材に対して、その周方向への空回りや組付け方向への抜けをより確実に防止するものとなる。なお、凹部4の配列についても、凹部4の深さdと同様に、インサートナット1に形成される雌ネジ部3のサイズ(ネジサイズ)や、さらには金属板2aの大きさや厚さ等に応じて適宜に設定される。
このような構成のインサートナット1を形成するには、まず、前述したように金属平板から、打ち抜き加工によって所定寸法の短冊状の金属板を形成する。次に、この金属板の一方の面に、図1(b)に示すように複数の雌ネジ溝3aを潰し加工(プレス成形)で形成する。また、他方の面に、図1(c)に示すように複数の凹部4を潰し加工(プレス成形)で形成し、規則的に配置する。これにより、金属板2aが得られる。なお、予め金属平板に潰し加工(プレス成形)を行って雌ネジ溝3aおよび凹部4を形成し、その後、打ち抜き加工によって所定寸法の短冊状の金属板2aを形成するようにしてもよい。
次いで、前記金属板2aを曲げ加工によってその長辺方向に曲げ、それぞれの短辺を突き合わせて円筒状に形成することにより、インサートナット1を得る。このように曲げ加工によって円筒状に形成することで、図1(b)に示した複数の雌ネジ溝3aは螺旋状に連続した雌ネジ部3となる。また、凹部4は、ナット本体2の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設されたもの、すなわち縦横に配置されたものとなる。
このような構成のインサートナット1は、例えば図3に示すように、回路基板の外装用カバーなどとして用いられる樹脂部材5の所定の位置に、インサート成形によって埋め込まれる。インサート成形とは、インサートナット1を例えば射出成形型などの型内に配置した状態で樹脂を流し込んで成形する方法である。
インサートナット1の高さは、例えば該インサートナット1が埋設される樹脂部材5の厚さと同等に設定されており、したがってその両側の開口は、樹脂部材5の表面及び裏面にそれぞれ面一となるように配置されている。このようにインサートナット1を樹脂部材5に埋め込むことにより、この樹脂部材5を、ボルト(雄ネジ)6によって例えば電子部品を実装した回路基板の金属部材7に締め付け固定することが可能になる。
すなわち、金属部材7には貫通孔8が形成されており、この貫通孔8にボルト6を挿通し、樹脂部材5に埋め込まれたインサートナット1(ナット本体2)の内部孔に挿し入れて雌ネジ部3に螺合することで、金属部材7と樹脂部材5とを締結によって固定することができる。
その際、インサートナット1の雌ネジ部3は、ナット本体2の内周面に螺旋状に連続して形成されているので、ボルト6はその雄ネジ部が雌ネジ部3に対して引っかかりが悪くなることなく、その螺合が円滑になされるようになる。また、雌ネジ部3とボルト6の雄ネジとの接触面積が多くなるため、締結力も高くなる。
したがって、本実施形態のインサートナット1にあっては、雄ネジ部との螺合を円滑に行うことができ、さらに、その雌ネジ部3と雄ネジとの接触面積が多くなるため締結力を高めることができる。また、ナット本体2の外周面に、四角錐台形状の凹部4を規則的に配設しているので、これが埋め込まれる樹脂部材5に対して結合力が高くなり、したがって周方向への空回りや組付け方向への抜けがより確実に防止されたものとなる。
また、金属板2aの一方の面に雌ネジ溝3aを形成し、他方の面に凹部4を形成しておき、この金属板2aを円筒状に成形することにより、インサートナット1を形成しているので、例えば丸棒状の材料から孔をあけて円筒状に形成する場合に比べ、材料の使用効率を格段に高めることができ、さらに、加工に要する時間も短縮することができる。したがって、コストの低減化を図ることができる。
「実験例」
本発明のインサートナット1として、凹部4を、図1(c)に示すように3列×9列に形成したものを用意した。凹部4は正四角錐台形状であり、図2(a)に示す開口部4aの各辺の長さLを1.6mm、深さdを0.36mm、傾斜角θを74.5°とした。なお、雌ネジ部3についてはM6とし、インサートナット1の外径は8.5mm、高さは10mmとした。
このインサートナット1を、インサート成形によってPPS[フォートロン]製で高さ10mm、一辺の長さが25mmの正四角柱状の樹脂部材5中に埋め込み、一体化して試料Aとした。
この試料Aを、図4に示すように孔9を有する台10上に置き、インサートナット1を孔9上に配置した。その後、丸ピン11をインサートナット1の上に当接させ、この丸ピン11に力Fをかけ、かつその強度を徐々に高めていき、インサートナット1が樹脂部材5から抜けるときの強度(引き抜き強度)を測定した。
また、同様にして用意した試料Aに対し、そのインサートナット1にスリットを入れて試料Bとした。そして、この試料Bのスリットにトルク計の測定子を嵌め込み、この測定子に回転トルクを加えていき、インサートナット1が回転し始める回転トルクを測定した。
また、比較のため、図5(a)〜(c)の展開図に示す凹部を有したインサートナットについて、前記インサートナット1の場合と同様にして試料A1〜A3、試料B1〜B3を作製し、前記の引き抜き強度の測定、回転トルクの測定をそれぞれ行った。
図5(a)に示す凹部41は、開口部を正四角形とする正四角錐形状のもので、開口部の各辺の長さLを1.76mm、深さdを0.36mmとしている。このような凹部41を形成したインサートナットを前記試料A、試料Bの作製と同様にしてインサート成形し、得られた樹脂部材を、試料A1、試料B1とした。なお、本例のインサートナットの雌ネジ部3や外径の寸法については、前記インサートナット1と同じにしている。
図5(b)に示す凹部42は、開口部を正四角形とする正四角錐台形状のもので、開口部の各辺の長さLを1.76mm、深さdを0.36mm、傾斜角θを26.3°としている。このような凹部42を形成したインサートナットを前記試料A、試料Bの作製と同様にしてインサート成形し、得られた樹脂部材を、試料A2、試料B2とした。なお、本例のインサートナットの、雌ネジ部3や外径の寸法については、前記インサートナット1と同じにしている。
図5(c)に示す凹部43は、本実験例における前記インサートナット1の凹部4と同じ形状としている。ただし、この図5(c)に示したインサートナットでは、前記凹部4(43)とは別に、金属板の長辺方向に対して斜めに延び、したがって円筒状に成形された際に螺旋状となる斜め溝12を形成した。この斜め溝12は、雌ネジ部3の旋回方向と逆方向に旋回するように形成されており、したがってこのインサートナットが回転し始める際に、これに抗するように形成されている。このような凹部43および斜め溝12を形成したインサートナットを前記試料A、試料Bの作製と同様にしてインサート成形し、得られた樹脂部材を、試料A3、試料B3とした。なお、本例のインサートナットの、雌ネジ部3や外径の寸法については、前記インサートナット1と同じにしている。
以上のようにして、各試料A、A1〜A3、試料B、B1〜B3についてそれぞれ引き抜き強度、回転トルクの測定をそれぞれ行った。得られた結果を以下に示す。
引き抜き強度 回転トルク
・試料A /試料B 523.9Kg 19.92N・m
・試料A1/試料B1 283.2Kg 10.63N・m
・試料A2/試料B2 346.0Kg 13.62N・m
・試料A3/試料B3 446.0Kg 12.94N・m
以上の結果より、本発明のインサートナット1(試料A、試料B)は、樹脂部材からの引き抜き強度、回転し始める回転トルクが、共に比較例(試料A1〜A3、試料B1〜B3)より高いことが分かった。したがって、本発明のインサートナット1によれば、周方向への空回りや組付け方向への抜けがより確実に防止されることが確認された。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではナット本体2の外周面に四角錐台形状の凹部4を設けたが、これに代えて、上端面形状が底形状より小となる角錐台形状の凸部を、ナット本体2の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設してもよい。規則的な配置については、凹部4の場合と同様とされる。
また、凸部の具体的形状としては四角錐台形状が好ましい。その場合に、例えば図2(b)に示すように、底形状の各辺の長さLが1mm以上2mm以下であり、高さhが0.15mm以上0.8mm以下であり、外側面のナット本体外周面に対する傾斜角θが30°以上90°未満であるのが好ましい。ただし、本明細書においては、図2(b)に示すようにナット本体2の外面の、凸部13の底側への延長面に対する各外側面13aの傾斜角度を、傾斜角θとして定義している。
上端面13bの形状や底形状としては、四角形(矩形)であれば、長方形でも正方形でもよく、菱形や平行四辺形などであってもよい。長方形や平行四辺形の場合には、長辺と短辺のいずれの長さも、1mm以上2mm以下であるのが好ましい。
また、前記実施形態では、本発明のインサートナットを主に樹脂部材に対して埋め込んで使用する形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、金属部材に埋め込んで使用するようにしてもよい。その場合にも、周方向への空回りや組付け方向への抜けをより確実に防止できるとした、優れた効果を奏する。
1…インサートナット、2…ナット本体、2a…金属板、3…雌ネジ部、4…凹部、4a…開口部、4b…底面、4c…内側面、5…樹脂部材、13…凸部、13a…外側面、13b…上端面、L…長さ、d…深さ、h…高さ、θ…傾斜角

Claims (4)

  1. 樹脂部材又は金属部材に埋め込まれる金属製のインサートナットであって、
    金属板が曲げ加工によって円筒状に成形されてなるナット本体を有し、
    前記ナット本体の内周面には、連続する雌ネジ溝を有した雌ネジ部が形成され、
    前記ナット本体の外周面には、開口形状が底面形状より大となる角錐台形状の凹部、又は上端面形状が底形状より小となる角錐台形状の凸部が、前記ナット本体の高さ方向及び周方向に沿って規則的に配設されていることを特徴とするインサートナット。
  2. 前記金属板には、予め一方の面にネジ溝が形成され、他方の面に前記凹部又は凸部が形成され、該金属板が円筒状に成形されたことにより、前記ネジ溝が前記雌ネジ部に形成され、前記凹部又は凸部が規則的に配設されていることを特徴とする請求項1記載のインサートナット。
  3. 前記凹部又は凸部は、四角錐台形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインサートナット。
  4. 前記凹部は、前記開口形状の各辺が1mm以上2mm以下であり、深さが0.15mm以上0.8mm以下であり、各内側面の底面に対する傾斜角が30°以上90°未満である、又は、前記凸部は、前記底形状の各辺が1mm以上2mm以下であり、高さが0.15mm以上0.8mm以下であり、外側面のナット本体外周面に対する傾斜角が30°以上90°未満であることを特徴とする請求項3記載のインサートナット。


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