JP2013256607A - シリコーン樹脂含有エマルジョン - Google Patents

シリコーン樹脂含有エマルジョン Download PDF

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JP2013256607A JP2012134103A JP2012134103A JP2013256607A JP 2013256607 A JP2013256607 A JP 2013256607A JP 2012134103 A JP2012134103 A JP 2012134103A JP 2012134103 A JP2012134103 A JP 2012134103A JP 2013256607 A JP2013256607 A JP 2013256607A
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秀樹 成瀬
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Abstract

【課題】防汚性と耐候性に優れる塗膜を形成し得るシリコーン樹脂含有エマルジョンを提供する。
【解決手段】[A]下記(a1)、(a2)及び(a3)からなるエチレン性不飽和単量体混合物より得られる重合体と、[B]下記(b1)、(b2)及び(b3)からなる群より選択される少なくとも1種の有機シラン化合物の加水分解及び縮合反応により得られるシリコーン樹脂と、を含有する、シリコーン樹脂含有エマルジョン。
(a1)アクリルアミド:0.5〜5質量%、(a2)エチレン性不飽和カルボン酸エステルの1種以上:85〜99.5質量%、(a3)(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体の1種以上:0〜10質量%、(b1)、(b2)及び(b3)は、それぞれ下記式(1)、(2)及び(3)で表される有機シラン化合物。R〜Rは明細書中で定義されるとおりである。
Figure 2013256607

CH−Si−(R・・・(2)
(CH−Si−(R・・・(3)
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーン樹脂含有エマルジョンに関する。
近年、環境問題の観点から水性樹脂塗料が広く用いられている。特に建築物の外壁材のトップコートとして用いられる塗料に対しては、美観上及び材料の性能上の問題として、高いレベルの防汚性や耐候性が求められる。
一般に建築物の汚れは、大気中の塵、埃、排ガス等の汚染物質が、塗膜表面に経時的に堆積することによって生ずる。特に問題となるのが、降雨により生ずる筋状の汚れ、すなわち雨筋汚染である。この問題に対しては、塗膜表面を親水化することで、付着した汚染物質を雨水により除去する手法が一般に用いられる。特許文献1には、水の接触角が小さく、水の濡れ性に優れた皮膜を形成することができる合成樹脂エマルジョンが開示されている。特許文献2には、優れた耐汚染性を備えた被膜を形成する水分散性被覆組成物が開示されている。特許文献3には、雨だれ汚染性に極めて優れる低汚染型塗料用エマルジョンが開示されている。
特開平9−52974号公報 特開平10−7976号公報 特開平10−46099号公報
親水性の高い塗膜を形成する塗料は、耐候性が十分とは言えない。特許文献1に記載の発明は、耐候性に対する要求レベルが高い塗料に用いるには不向きである。特許文献2に記載の発明は、樹脂のガラス転移温度(Tg)が50℃以上と高いため、防汚性には優れる一方、塗装後に造膜助剤が揮発して樹脂のTgが上昇した後に、塗膜にクラックが発生する恐れがある。特許文献3に記載の発明は、耐候性に対する要求レベルが高い塗料に用いるには不向きである。
本発明は、防汚性と耐候性に優れる塗膜を形成し得るシリコーン樹脂含有エマルジョンの提供を目的とするものである。
本発明者らは、前記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の第1は、
[A]下記(a1)、(a2)及び(a3)からなるエチレン性不飽和単量体混合物より得られる重合体と、
(a1)アクリルアミドをエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0.5〜5質量%
(a2)エチレン性不飽和カルボン酸エステルの1種以上をエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し85〜99.5質量%
(a3)(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体の1種以上をエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0〜10質量%
[B]下記(b1)、(b2)及び(b3)からなる群より選択される少なくとも1種の有機シラン化合物の加水分解及び縮合反応により得られるシリコーン樹脂と、
(b1)下記式(1)で表される有機シラン化合物
Figure 2013256607

(Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示し、Rは水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示し、nは1〜3の整数であり、mは0又は1であり、かつn+m≦3である。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。)
(b2)下記式(2)で表される有機シラン化合物
CH−Si−(R (2)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を示す。)
(b3)環状有機シラン化合物又は下記式(3)で表される有機シラン化合物
(CH−Si−(R (3)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示す。)
を含有する、シリコーン樹脂含有エマルジョンである。
本発明の第2は、重合体[A]100質量部に対し、シリコーン樹脂[B]の含有量が、加水分解及び縮合反応に用いた有機シラン化合物の合計量に換算して、0.1質量部以上200質量部以下である、本発明の第1に記載のシリコーン樹脂含有エマルジョンである。
本発明によれば、防汚性と耐候性に優れる塗膜を形成し得るシリコーン樹脂含有エマルジョンが提供される。
防汚性を判定するのに用いたアルマイト板の概略図である。
本発明の実施形態について、以下に具体的に説明する。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、所定のエチレン性不飽和単量体混合物より得られる重合体[A]と所定の有機シラン化合物の加水分解及び縮合反応により得られるシリコーン樹脂[B]とを含有する。
<重合体[A]>
本実施形態の重合体[A]は、下記(a1)、(a2)及び(a3)の単量体からなる混合物(エチレン性不飽和単量体混合物)から得られる。アクリルアミド(a1):エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0.5〜5質量%、1種以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル(a2):エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し85〜99.5質量%、並びに(a1)及び(a2)以外の、1種以上のエチレン性不飽和単量体(a3):エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0〜10質量%。本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンを多段乳化重合法により製造する場合には、上記したエチレン性不飽和単量体混合物の全量とは、各段階で用いた(a1)、(a2)及び(a3)の合計量を意味し、(a1)、(a2)及び(a3)の単量体のそれぞれの合計が上述の範囲内であればよい。
<アクリルアミド(a1)>
アクリルアミド(a1)は塗膜表面を親水化し、防汚性を高めるために有効な成分であり、極めて重要である。防汚性に優れる塗膜を得るためのアクリルアミドの比率としては、エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上である。アクリルアミドの比率が高いほど、塗膜表面が親水化し、高い防汚性が期待できるが、一方でアクリルアミドの比率増大に伴い、エマルジョンの粘度が急激に上昇する。製造及び取り扱いを容易にするためには、エマルジョンの濃度を下げる必要が生じる。しかし、エマルジョンの濃度を下げると塗料化が困難となる。そのため、アクリルアミドの比率の上限としては、5質量%である。
<エチレン性不飽和カルボン酸エステル(a2)>
本実施形態のエチレン性不飽和カルボン酸エステル(a2)としては、例えば、分子内にエチレン性不飽和結合を有するカルボン酸エステルであればよく、その具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル(a2)の比率は、エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し85〜99.5質量%であり、87〜99.5質量%が好ましく、90〜99.5質量%がより好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸エステル(a2)が85〜99.5質量%の範囲であると、本実施形態のシリコーン含有エマルジョンを塗膜にした際に、優れた防汚性及び耐候性を発揮することができる。
<(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)>
本実施形態の(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)としては、例えば、分子内にエチレン性不飽和結合を有する単量体で(a1)及び(a2)に分類されないものであればよく、その具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマール酸等のカルボン酸単量体;メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド及びN−ブトキシメチルメタクリルアミド等の(a1)を除くアミド基含有単量体;スチレン、ビニルトルエン及びα−メチルスチレン等の芳香族単量体が挙げられる。また、これらの単量体に加えて、本実施形態のシリコーン含有エマルジョン(水性樹脂組成物)に要求される様々な品質、物性を改良するために、上記以外のエチレン性不飽和単量体成分をさらに使用することもできる。それらの単量体としては、(a1)及び(a2)の単量体と共重合可能なその他の重合性単量体が使用できる。例えば、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種の単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなども所望に応じて使用できる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、エチレン性不飽和単量体(a3)のうち、下記の反応性乳化剤にも該当するものは、反応性乳化剤に分類する。
(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)は、必ずしも添加する必要はなく、その比率は、エチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0〜10質量%であり、0〜8質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)が0〜10質量%の範囲であると、本実施形態のシリコーン含有エマルジョンを塗膜にした際に、より優れた防汚性及び耐候性を発揮することができる。
なお、(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3)が(b1)にも該当しうる場合には、(b1)に分類する。
<シリコーン樹脂[B]>
本実施形態においては、塗膜に高いレベルの耐候性を付与するために、シリコーン樹脂[B]として、下記(b1)、(b2)及び(b3)からなる群より選択される少なくとも1種の有機シラン化合物の加水分解縮合物を含有する。
(b1)下記式(1)で表される有機シラン化合物(ただし(b2)又は(b3)に該当するものを除く)
Figure 2013256607

(Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示し、Rは水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示し、nは1〜3の整数であり、mは0又は1であり、かつn+m≦3である。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。ただし、(b2)又は(b3)に該当するものを除く。)
(b2)下記式(2)で表される有機シラン化合物
CH−Si−(R (2)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を示す。)
(b3)環状有機シラン化合物又は下記式(3)で表される有機シラン化合物
(CH−Si−(R (3)
(Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を示す。)
有機シラン化合物(b1)の好ましい具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトシキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルションを作製する際の、有機シラン化合物(b1)の使用量を、重合体[A]100質量部に対して、0.1質量部以上とすることで、得られる塗膜の耐候性が向上する。また(b1)の使用量が多い程耐候性の向上が期待できるが、製造コストの抑制の観点から、重合体[A]100質量部に対して200質量部以下、好ましくは150質量部以下とするのが好ましい。
有機シラン化合物(b2)の好ましい具体例としては、メチルトリメトキシシラン、及びメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルションを作製する際の、有機シラン化合物(b2)の使用量としては、重合体[A]100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下、好ましくは150質量部以下とすることが、塗膜性能と製造コストとのバランスの点で好ましい。
有機シラン化合物(b3)の好ましい具体例としては、環状有機シラン化合物については、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンを挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、式(3)で表される有機シラン化合物については、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルションを作製する際の、有機シラン化合物(b3)の使用量としては、重合体[A]100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下、好ましくは150質量部以下とすることが、塗膜性能と製造コストとのバランスの点で好ましい。
有機シラン化合物(b3)を用いることにより、該有機シラン化合物の加水分解縮合物であるシリコーン樹脂[B]の架橋密度を低くし、シリコーン樹脂の構造が複雑になることを防ぐことができ、これによって、塗膜に柔軟性を付与することができる。一般に柔軟性を有し、耐クラック性に優れる塗膜は、耐候性が劣る傾向があるが、有機シラン化合物(b3)を用いることで、耐候性、耐クラック性共に優れる塗膜を得ることができる。
シリコーン樹脂含有エマルジョン中のシリコーン樹脂[B]の含有量は、加水分解及び縮合反応に用いた有機シラン化合物(b1)、(b2)及び(b3)の合計量(加水分解及び縮合反応前の有機シラン化合物(単量体)の合計量)に換算した場合、重合体[A]100質量部に対し、0.1質量部以上200質量部以下であることが好ましい。この範囲内であると、塗膜性能と製造コストとを両立することがより容易になる。
前記した有機シラン化合物の加水分解縮合物であるシリコーン樹脂[B]の存在は、29Si−NMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)またはH−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、有機シラン化合物(b2)の加水分解縮合物は、29Si−NMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すことで同定することができる。また、有機シラン化合物(b3)の加水分解縮合物は、29Si−NMRのケミカルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すことで同定することができる。
<乳化剤>
本発明に用いる乳化剤としては、一分子中に少なくとも一つ以上の親水基と一つ以上の親油基を有する化合物を用いることができる。例えば、非反応性のアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、並びに、非反応性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤が挙げられる。
上記のアニオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤の他に、親水基と親油基とを有する乳化剤の化学構造の中にエチレン性二重結合を導入した、いわゆる反応性乳化剤を用いても良い。反応性乳化剤のうち、アニオン性乳化剤としては、例えばスルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基及びこれらの塩を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、これらの中でも、スルホン酸基、又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有するエチレン性不飽和単量体であることが好ましい。より具体的には、アルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば、エレミノール(商標)JS−2、JS−5(三洋化成(株)製)等が挙げられる)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、アクアロン(商標)HS−10(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる)、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば、アデカリアソープ(商標)SE−1025N(旭電化工業(株)製)等が挙げられる)、アンモニウム−α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン(例えば、アクアロン(商標)KH−10(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる)等のスチレンスルホン酸塩が挙げられる。また、反応性乳化剤のうち、ノニオン性乳化剤としては、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、アデカリアソープ(商標)NE−20、NE−30、NE−40(旭電化工業(株)製)等が挙げられる)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、アクアロン(商標)RN−10、RN−20、RN−30、RN−50(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる)等が挙げられる。なお、反応性乳化剤のうち、エチレン性不飽和単量体(a3)にも該当するものであっても、反応性乳化剤に分類する。
<その他の成分>
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンの製造に用いる重合開始剤には特に制限はなく、例えば一般に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられる。具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、好ましくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
また必要に応じて、分子量調整剤を使用することができる。具体的にはドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。使用方法は特に限定されるものではないが、使用量が多い場合には、重合体の分子量低下による耐候性能低下を招くことがあるため、その量は全単量体質量の2%以下が好ましい。
その他、本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョンには、通常水系塗料に添加配合される成分、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、消泡剤、染料、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を任意に配合することができる。
上記増粘剤としては、ポリカルボン酸系増粘剤及びセルロース系増粘剤、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)及びポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、並びに、その他のポリエーテル系増粘剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
造膜助剤として具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、またこれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤として、具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。
凍結防止剤として、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤にはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系があり、いずれも使用可能である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(BASFジャパン(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(BASFジャパン(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(BASFジャパン(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASFジャパン(株)製、製品名:TINUVIN900)等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤として、具体的には、TINUVIN400(製品名、BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、その中で塩基性の低いものがより好ましく、塩基定数(pKb)が8以上のものが特に好ましい。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートとの混合物(BASFジャパン(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
<シリコーン樹脂含有エマルジョンの製造>
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンの製造方法としては、均一乳化重合法や多段乳化重合法を用いることができる。多段乳化重合法の代表例としては、水中にて乳化剤及び重合開始剤などの存在下で、不飽和単量体を通常60〜90℃の加温下で乳化重合し、この工程を複数段回繰り返し行う方法が挙げられる。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンを製造する際の乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。すなわち、例えば、水性媒体中でエチレン性不飽和単量体混合物、有機シラン化合物、乳化剤、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分などを基本組成成分とする分散系において、通常60〜90℃の加温下にて単量体成分の乳化重合を行う方法を用いることができる。重合系内へのエチレン性不飽和単量体混合物、及び有機シラン化合物の供給方法としては、単量体(エチレン性不飽和単量体及び有機シラン化合物)を一括して仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下する単量体滴下法、単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルジョン法、あるいはこれらを組み合わせる方法などが挙げられる。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンの製造において、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を用いてもよい。紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を導入する方法の例としては、乳化重合時に存在させることにより水性樹脂エマルジョンに導入する方法、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を成膜助剤などと混合してエマルジョンに添加することにより導入する方法、及び紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を成膜助剤と混合し、界面活性剤、水を加え乳化させた後、エマルジョンに添加することにより導入する方法が挙げられる。また、紫外線吸収剤と光安定剤とを併用すると、相乗効果により卓越した耐久性を示す。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンの製造において、乳化重合時の系内のpHは、特に限定されるものでないが、pH4以下で乳化重合を実施することにより、有機シラン化合物の縮合反応が速やかに起こり、乳化重合後に縮合反応が進むことを抑制できるため、製品としての貯蔵安定性が向上するので好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、乳化重合の終了後、有機シラン化合物のの縮合反応を完結させるために、pH9〜12の条件下で6時間以上保持することが好ましい。更には、副生するアルコールを蒸留することにより蒸発除去することが好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンの平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布計で測定した場合に、10〜1000nmであることが好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、長期の分散安定性を保つため、塩基性物質、例えばアンモニア、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類を始めとする塩基性有機化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩を始めとする塩基性無機化合物等を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
本実施形態の重合体[A]のTgは、実験的にまたは計算により得られる。実験的には、重合体の動的粘弾性測定や示差走査熱量分析(DSC)を行うことにより測定できる。計算では、通常知られているFoxの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn(W1、W2、・・・、Wnは、各エチレン性不飽和単量体の質量分率、Tg1、Tg2、・・・、Tgnは各エチレン性不飽和単量体のホモポリマーTg(K:絶対温度))により求めることができる。このとき、計算に使用するホモポリマーのTgは、例えばポリマーハンドブック(John Willey & Sons)に記載されている。
Tgは、塗膜の耐クラック性に大きく影響し、Tgが高い塗膜は柔軟性に劣り、クラックが入りやすくなる場合がある。そのため、耐クラック性に優れる塗膜を得るための重合体のTg(計算値)の上限としては通常50℃、好ましくは40℃である。Tgが低いほど、耐クラック性に優れる塗膜を得る事ができる。しかし一方で、Tgの低い塗膜は耐候性が劣る場合がある。そのため、耐候性に優れる塗膜を得るための重合体のTg(計算値)の下限としては通常0℃、好ましくは10℃である。なお、実施例及び比較例で用いた各エチレン性不飽和単量体のホモポリマーTgを表1に記載する。
Figure 2013256607
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。なお、実施例および比較例中の部および%は、別途明記されていない限りそれぞれ質量部および質量%を示す。また、得られた水性樹脂組成物の塗膜性能評価については、下記に示す配合組成で塗料を調整し、下記に示す試験方法に従って試験を実施した。
<耐候性評価用 下塗り黒色エナメル塗料の作製>
・顔料ディスパージョンの作製
分散剤:SNディスパーザント5027(商品名、サンノプコ(株)製) 5.0部
アンモニア水 0.5部
プロピレングリコール 23.5部
水 147.8部
タイペークCR−97(商品名、石原産業(株)製) 333.6部
消泡剤:SNデフォマー1310(商品名、サンノプコ(株)製) 2.9部
上記配合物を卓上サンドミルにて20分間分散させ、顔料ディスパージョンを得た。
・黒色エナメル塗料の作製
エマルジョン:ポリデュレックスG633(固形分換算)(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製) 50.0部
エチレングリコールモノブチルエーテル50%溶液 10.0部
テキサノールCS−12(商品名、チッソ(株)製) 10.0部
上記顔料ディスパージョン 51.3部
増粘剤:アデカノールUH−438の10%水溶液(商品名、旭電化工業(株)製、ウレタン会合タイプ) 0.1部
カーボンブラック:K14(商品名、東洋インキ(株)製) 11.1部
上記配合物を翼径45mmの撹拌羽根を用い、スリーワンモーター攪拌機にて20分間分散させ、黒色エナメル塗料を得た。なお、エチレングリコールモノブチルエーテル50%溶液については、添加による凝集物の発生を防ぐため、エマルジョンを撹拌しながら少量ずつ滴下した。
<防汚性及び耐候性評価用クリヤー塗料の作製>
実施例及び比較例で得られたエマルジョン50部(固形分換算)に対し、エチレングリコールモノブチルエーテル50%溶液10部、テキサノールCS−12(商品名、チッソ(株)製)10部、水10部を、上記黒色エナメル塗料の作製と同様にして、スリーワンモーター攪拌機にて20分間分散させ、防汚性及び耐候性評価用クリヤー塗料を得た。
<試験方法>
実施例及び比較例のエマルジョンについて、下記に示す性状の測定を行った。その結果を表2に示す。
・粒子径の測定
エマルジョンの平均粒子径を、リーズ&ノースラップ社製のマイクロトラック粒度分布計にて測定した。
・固形分率の測定
予め質量の分かっているアルミ皿に、エマルジョンを1g秤量し、恒温乾燥機で105℃にて3時間乾燥した後、シリカゲルを入れたデシケーター中で、30分放冷後に精秤した。当該物質の乾燥後質量を乾燥前質量で割ったものを固形分率とした。
・粘度の測定
エマルジョンの粘度を、東機産業(株)製のB型粘度計 TVB−10にて測定した。粘度が500mPa・s未満のエマルジョンについてはNo.2のローターを、粘度が500mPa・s以上のエマルジョンについてはNo.3のローターを用い、設定60rpmにて、1分間回転後の粘度を測定した。
<塗膜性能の評価方法>
・防汚性
図1に示した折り曲げ板形状の硫酸アルマイト板の山側の150×100mmの面に、塗板の汚れ状態を視認しやすくする目的で市販の水性白色エナメル塗料を塗工し、50℃にて2日間養生した。この上に上記の防汚性評価用クリヤー塗料を約100μmの厚さでバーコート塗装し、50℃にて7日間養生した。この試験塗板を屋外にて、山側の75×100mmの面が上方になるようにして、地面に対して塗装面(山側の150×100mmの面)が垂直に、かつ北方向になるように固定した。曝露開始から2ヶ月後の雨筋汚染性を、下記に示す基準に従って目視判定した。その結果を表2に示す。
◎:汚れはほとんど見られない。
○:汚れは少し見られるが、雨筋汚れは見られない。
△:全体的に汚れが見られ、雨筋汚れが少し見られる。
×:雨筋汚れが著しく見られる。
・耐候性
前記の下塗り用黒色エナメル塗料を硫酸アルマイト板に、塗料として約100μmの厚みでバーコート塗装し、100℃で1時間乾燥させた。次いで、該黒色エナメル塗膜上に前記クリヤー塗料をバーコート塗装にて、同様に100μmの厚みで塗工し、50℃で1週間乾燥することにより、耐候性評価用サンプル塗板を得た。得られた塗板の60度―60度鏡面反射率を初期光沢値として測定した。引き続き、アイスーパーUVテスターSUV−W23(岩崎電気株式会社製)により、下記に示す試験条件にて、曝露600時間経過後の光沢値を測定し、初期光沢値に対する割合(これを光沢保持率と定義する)を算出し、下記の基準に従って評価した。
(アイスーパーUVテスターの試験条件)
照度:1000W/m
照射:63℃、50%RH、8時間
暗黒・湿潤:30℃、96%RH以上、4時間
(耐候性の判定基準)
◎:光沢保持率90%以上
○:光沢保持率80%以上90%未満
△:光沢保持率70%以上80%未満
×:光沢保持率70%未満
<シリコーン樹脂含有エマルジョンの製造>
[実施例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取り付けた反応容器に水381部および乳化剤として、アクアロンKH−1025(25%水溶液、第一工業製薬(株)製)を7.2部添加し、反応容器を加熱した。反応容器内の液温が80℃に到達したところで、2%過硫酸アンモニウム水溶液(以下APSと略す)を11.3部添加した。その5分後、重合の第一段階として、エチレン性不飽和単量体混合物(合計375質量部):メチルメタクリレート140.6部、シクロヘキシルメタクリレート37.5部、ブチルメタクリレート337.5部、ブチルアクリレート150部、メタクリル酸3.8部、アクリル酸3.8部及びアクリルアミド1.9部、乳化剤:KH−1025を15部、重合開始剤:2%APS水溶液18.8部並びに水246.6部よりなる混合液をホモミキサーにより乳化して得られたプレ乳化液を、滴下用溶液より90分かけて滴下した。一方、有機シラン化合物として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン SZ6030(東レ・ダウコーニング(株)製)2.7部、メチルトリメトキシシラン Z6366(東レ・ダウコーニング(株)製)12.7部、ジメチルジメトキシシラン Z6329(東レ・ダウコーニング(株)製)20.3部及びジフェニルジメトキシシラン KR−217(信越シリコーン(株)製)4.8部からなる混合液を、上記プレ乳化液とは別のラインで90分かけて滴下した。滴下中は反応容器内の液温を80℃に保った。滴下終了後、プレ乳化液の滴下容器に水20部を投入して容器の底面を簡単にすすぎ、そのすすぎ液を反応容器内に投入して、30分間80℃に保った。
重合の第二段階として、エチレン性不飽和単量体混合物(合計375質量部):メチルメタクリレート198.4部、シクロヘキシルメタクリレート37.5部、ブチルメタクリレート37.5部、ブチルアクリレート92.3部、メタクリル酸3.8部、アクリル酸3.8部及びアクリルアミド1.9部、乳化剤:KH−1025を15部、重合開始剤:2%APS水溶液18.8部並びに水246.6部よりなる混合液から、重合の第一段階と同様にプレ乳化液を作製し、90分かけて滴下した。また有機シラン化合物として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン SZ6030(東レ・ダウコーニング(株)製)2.7部、メチルトリメトキシシラン Z6366(東レ・ダウコーニング(株)製)12.7部、ジメチルジメトキシシラン Z6329(東レ・ダウコーニング(株)製)20.3部及びジフェニルジメトキシシラン KR−217(信越シリコーン(株)製)4.8部からなる混合液を重合の第一段階と同様、プレ乳化液とは別のラインで90分かけて滴下した。滴下終了後は第一段階と同様に水20部でプレ乳化液の容器をすすいで反応容器へ投入し、反応容器内の液温を80℃で90分保った後、室温まで冷却した。その水素イオン濃度を測定したところ、pHは2.5〜3.5の範囲であった。更に25質量%アンモニア水を7.5部添加して撹拌し、エマルジョンの固形分率が理論値として42%になるよう、水を加えて調整し、110メッシュのフィルターで濾過してシリコーン樹脂含有エマルジョンを得た。得られたエマルジョンの水素イオン濃度を測定したところ、pHは8〜9の範囲であった。なお、エマルジョン製造時に使用したすべての物質について、重合の第一段階及び第二段階で使用したエチレン性不飽和単量体混合物の合計量100質量部に対する比率として、表2に示した。また乳化剤及び重合開始剤については、固形分として示した。
[実施例2〜5]
実施例1と同様に、表2に示す比率の物質を用いて乳化重合を行い、シリコーン樹脂含有エマルジョンを得た。なお、実施例5で得られたエマルジョンについては、粘度が非常に高く、バーコート塗装が可能なクリヤー塗料の作製が困難と予想されたため、エマルジョンの固形分率が理論値として40%になるよう、水を加えて調整した。
<シリコーン樹脂を含まないエマルジョンの製造>
[比較例1〜3]
実施例と同様に、表2に示す比率の物質を用いて乳化重合を行い、シリコーン樹脂を含まないエマルジョンを得た。
Figure 2013256607
本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョンにより得られる塗膜は、防汚性と耐候性に優れるため、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押出成形板及び発泡性コンクリート等の無機建材、織布及び不織布を基材とした建材、並びに金属建材等の各種下地に対する塗料又は建築仕上げ材として有用である。このため、本発明は産業の各分野において高い利用可能性を有する。

Claims (2)

  1. [A]下記(a1)、(a2)及び(a3)からなるエチレン性不飽和単量体混合物より得られる重合体と、
    (a1)アクリルアミドをエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0.5〜5質量%
    (a2)エチレン性不飽和カルボン酸エステルの1種以上をエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し85〜99.5質量%
    (a3)(a1)及び(a2)以外のエチレン性不飽和単量体の1種以上をエチレン性不飽和単量体混合物の全量に対し0〜10質量%
    [B]下記(b1)、(b2)及び(b3)からなる群より選択される少なくとも1種の有機シラン化合物の加水分解及び縮合反応により得られるシリコーン樹脂と、
    (b1)下記式(1)で表される有機シラン化合物
    Figure 2013256607

    (Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示し、Rは水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示し、nは1〜3の整数であり、mは0又は1であり、かつn+m≦3である。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。)
    (b2)下記式(2)で表される有機シラン化合物
    CH−Si−(R (2)
    (Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を示す。)
    (b3)環状有機シラン化合物又は下記式(3)で表される有機シラン化合物
    (CH−Si−(R (3)
    (Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示す。)
    を含有する、シリコーン樹脂含有エマルジョン。
  2. 前記重合体[A]100質量部に対し、前記シリコーン樹脂[B]の含有量が、前記加水分解及び縮合反応に用いた前記有機シラン化合物の合計量に換算して、0.1質量部以上200質量部以下である、請求項1に記載のシリコーン樹脂含有エマルジョン。
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