JP2013255583A - ラケットおよびラケットフレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な打球感が得られるとともに、打球面全体での打球のコントロール性について均一性に優れたラケットおよびラケットフレームを提供する。
【解決手段】ラケットの打球部において、隣接する縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下である。隣接する横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下である。縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下であり、横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下である。縦方向ガットの間隔に対する横方向ガットの間隔の割合は1.0超えである。打球部を3行3列の部分領域に分割し、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、中央部分領域から見て打球面の最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上である。部分領域のうち中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下である。
【選択図】図2
【解決手段】ラケットの打球部において、隣接する縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下である。隣接する横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下である。縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下であり、横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下である。縦方向ガットの間隔に対する横方向ガットの間隔の割合は1.0超えである。打球部を3行3列の部分領域に分割し、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、中央部分領域から見て打球面の最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上である。部分領域のうち中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下である。
【選択図】図2
Description
この発明は、ラケットおよびラケットフレームに関し、より特定的には優れたコントロール性と良好な打球感とを両立できるラケットおよびラケットフレームに関する。
従来、テニスラケットなど、打球部にガットを張って使用するラケットおよび当該ラケットを構成するラケットフレームが知られている。これらのラケットでは、打球時における打球のコントロール性を高めることが求められている。たとえば、特許第2726231号公報では、打球部でのガットの張り方を工夫することで、打球面の中央部にて打球したときにボールにスピンをかけやすくするとともに、反発特性も向上させたラケットが開示されている。
具体的には、通常はラケットの打球部では、中央部ほどガットのピッチが小さくなっているのに対して、上記特許第2726231号公報では、ラケットの延在方向に沿った縦方向に延びるガットのピッチについて、打球部の中央部でのピッチが相対的に大きく、打球部の両端部に向かうにつれて段階的に当該ピッチが小さくなっている。また、打球部において上記縦方向と垂直な横方向に延びるガットのピッチについても、打球部の中央部でのピッチが相対的に大きく、打球部の両端部(先端および後端)に向かうにつれて段階的に当該ピッチが小さくなっている。
上述したようにガットのピッチを調整したラケットでは、打球部の中央部についてはガットのピッチが大きくなっているため、打球面の面圧が低下して打球時にボールとガットとの接触時間が長くなるとともに当該ボールのガットに対する食い込み量も増えることから打球のコントロール性が向上する。しかし、発明者が検討したところ、上記のようなラケットでは以下のような問題があった。
すなわち、上述した従来のラケットでは、上記打球面において、ラケットの延在方向(縦方向)および当該縦方向に垂直な横方向にて上記中央部に隣接する部分(以下、第2の領域とも言う)について、縦方向に延びるガットのピッチと横方向に延びるガットのピッチのいずれか一方のみが大きくなる一方、当該ピッチの他方は小さくなっている。そのため、これらの第2の領域では、中央部よりも程度は小さいものの、ある程度面圧が低下している。一方、打球面において上記中央部と斜め方向において隣接する部分(すなわち、縦方向に延びるガットのピッチおよび横方向に延びるガットのピッチの両方が相対的に小さく設定された部分:以下、第3の領域とも言う)では、打球面の面圧が上記中央部および第2の領域に比べて高くなっているため、打球のコントロール性という観点からは上記第2の領域と比較してもその特性に大きな差がある。
つまり、上述した従来のラケットでは、打球部の中央部については面圧を下げて良好な打球のコントロール性を得られるものの、当該中央部の周囲の領域(上記第2の領域および第3の領域)では、面圧に差がある部分が混在しており、打球のコントロール性が局所的に変わる(つまり打球のコントロール性について均一ではない)という問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、良好な打球感が得られるとともに、打球面全体での打球のコントロール性について均一性に優れたラケットおよびラケットフレームを提供することである。
本発明に従ったラケットは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成されるラケットであって、打球部には、ラケットの延在方向である縦方向に延びる複数の縦方向ガットと、縦方向ガットに交差する複数の横方向ガットとが張られている。隣接する縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下である。隣接する横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下である。縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下であり、横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下である。縦方向ガットの間隔に対する横方向ガットの間隔の割合は1.0超えである。打球部において縦方向ガットおよび横方向ガットが張られた打球面の、ラケットの延在方向における最先端部から50mmだけグリップ部寄りに、ラケットの延在方向に垂直であって打球面に平行な第1の境界線を規定する。打球面の最先端部とは反対側の最後端部から50mmだけ最先端部寄りに、第1の境界線と平行に伸びる第2の境界線を規定する。第1の境界線に沿った方向において、打球面の両端部からそれぞれ50mmだけ打球面の中央寄りに、第1の境界線に垂直であって打球面に平行な第3の境界線および第4の境界線を規定する。第1〜第4の境界線によって囲まれた領域を、第1の境界線に沿った方向である横方向および第3の境界線に沿った方向である縦方向にそれぞれ3等分した補助境界線を規定することで、3行3列の部分領域に分割する。部分領域のうち、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、中央部分領域から見て打球面の最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上である。部分領域のうち中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下である。
このように、打球部において縦方向ガットの間隔(ピッチ)および横方向ガットの間隔(ピッチ)がそれぞれほぼ同じに設定されることで、打球部の中央部での打球のコントロール性を高めるとともに、当該中央部の周囲に位置する外周部においても面圧がほぼ均一になっていることから打球のコントロール性が均一になっており、打球面全体としての打球のコントロール性が良好になっている。さらに、打球面の縁が振動の節で打球面の中央部が振動の腹となるようなガットの固有振動モードにおいて、打球部の周辺部において中央部と同程度の間隔(ピッチ)でガットが張られているため、打球部中央部に比べて周辺部でのガットの間隔(ピッチ)が大きくなっている場合に比べて、節の位置に近い部分での剛性が高くガットの固有振動数を高くでき、結果的に良好な打球感が得られる。
上記ラケットにおいて、打球部には、縦方向ガットが16列、横方向ガットが16列張られていてもよい。また、上記ラケットにおいて、打球部には、縦方向ガットが16列、横方向ガットが17列張られていてもよい。このような構成のラケットにおいて本発明を適用することで、特に打球面全体での良好なコントロール性と良好な打球感とを両立することができる。
この発明に従ったラケットフレームは、打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成されるラケットフレームであって、打球部には、ラケットフレームの延在方向である縦方向に延びる複数の縦方向ガットと、縦方向ガットに交差する複数の横方向ガットを張ることが可能なように複数のガット用穴が設置されている。打球部に縦方向ガットと横方向ガットとを、張力を20ポンド(lbs)以上40ポンド(lbs)以下という条件で張ったときに、以下の条件を満足するように、打球部が構成されている。当該条件は、隣接する縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下となる。隣接する横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下となる。縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下となる。横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下となる。縦方向ガットの間隔に対する横方向ガットの間隔の割合は1.0超えとなる。打球部において縦方向ガットおよび横方向ガットが張られた打球面の、ラケットの延在方向における最先端部から50mmだけグリップ部寄りに、ラケットの延在方向に垂直であって打球面に平行な第1の境界線を規定する。打球面の最先端部とは反対側の最後端部から50mmだけ最先端部寄りに、第1の境界線と平行に伸びる第2の境界線を規定する。第1の境界線に沿った方向において、打球面の両端部からそれぞれ50mmだけ打球面の中央寄りに、第1の境界線に垂直であって打球面に平行な第3の境界線および第4の境界線を規定する。第1〜第4の境界線によって囲まれた領域を、第1の境界線に沿った方向である横方向および第3の境界線に沿った方向である縦方向にそれぞれ3等分した補助境界線を規定することで、3行3列の部分領域に分割する。当該部分領域のうち、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、中央部分領域から見て打球面の最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上となる。部分領域のうち中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下となる。
このようにすれば、打球部において縦方向ガットのピッチおよび横方向ガットのピッチがそれぞれほぼ同じに設定することで、打球部の中央部での打球のコントロール性を高めるとともに、当該中央部の周囲に位置する外周部においても面圧をほぼ均一にできることから打球のコントロール性が均一になっており、打球面全体としての打球のコントロール性が良好なラケットを実現できる。さらに、打球面の縁が振動の節で打球面の中央部が振動の腹となるようなガットの固有振動モードにおいて、打球部の周辺部において中央部と同程度のガットピッチでガットが張られているため、打球部中央部に比べて周辺部でのガットピッチが大きくなっている場合に比べて、節の位置に近い部分での剛性が高くガットの固有振動数を高くでき、結果的に良好な打球感が得られるラケットを実現できる。
本発明によれば、打球面全体での良好なコントロール性と良好な打球感とを両立することが可能なラケットが得られる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
図1〜図3を参照して、本発明によるラケットフレーム1を説明する。図1を参照して、ラケットフレーム1は、ガット(縦方向ガット2aおよび横方向ガット2b)が張設されることにより打球面が形成される打球部4と、プレーヤーがラケットフレーム1を保持するグリップ部6と、打球部4とグリップ部6とを連結する左右2本のシャフトを含むシャフト部5とを備える。ラケットフレーム1では、打球部4の先端側であるトップ部と反対側に位置するヨーク部側にシャフトが接続されている。2本のシャフトはグリップ部6の上端にそれぞれつながるように形成されている。
これらの打球部4、グリップ部6およびシャフト部5は、たとえば繊維強化樹脂によって一体的に形成される管状構造を有している。グリップ部6では、たとえば繊維強化樹脂により構成される筒状のベース部の外周をグリップレザーなどが巻回被覆した状態となっている。
図1に示したラケットフレーム1の打球部4において、図2に示すようにガットが張られることによりラケットが構成される。具体的には、打球部4においては、ラケットフレーム1(またはラケット)の延在方向である縦方向に延びる複数の縦方向ガット2aと、縦方向ガット2aに交差する複数の横方向ガット2bが張られている。隣接する縦方向ガット2aの間隔VPはほぼ一定であり、当該間隔VPの平均値は11.5mm以上13.0mm以下である。隣接する横方向ガット2bの間隔LPの平均値は14.5mm以上16.5mm以下である。縦方向ガット2aの間隔VPの標準偏差は1.0mm以下である。横方向ガット2bの間隔LPの標準偏差は1.0mm以下である。縦方向ガット2aの間隔VPに対する横方向ガット2bの間隔LPの割合は1.0超えである。図2に示した打球部4には、縦方向ガット2aが16列、横方向ガット2bが17列、それぞれ配置されている。これらの縦方向ガット2aおよび横方向ガット2bは、張力を20ポンド(lbs)以上40ポンド(lbs)以下とした条件で張られている。
打球部4には、上記縦方向ガット2aおよび横方向ガット2bを張ることができるように、複数のガット用穴が設置されている。当該ガット用穴は、たとえば縦方向ガット2aまたは横方向ガット2bを挿通するガット保護体が、打球部4を構成するフレーム部分に形成された保護体用挿入孔に挿入固定されることにより構成されていてもよい。
図2および図3を参照して、打球部4において縦方向ガット2aおよび横方向ガット2bが張られた打球面の、ラケットフレームの延在方向における最先端部から距離L1(具体的には50mm)だけグリップ部6寄りに、ラケットフレームの延在方向に垂直であって打球面に平行な第1の境界線12を規定する。打球面の最先端部とは反対側の最後端部から距離L2(具体的には50mm)だけ最先端部寄りに、第1の境界線12と平行に伸びる第2の境界線15を規定する。第1の境界線12に沿った方向において、打球面の両端部からそれぞれ50mmだけ打球面の中央寄りに、第1の境界線12に垂直であって打球面に平行な第3の境界線22および第4の境界線25を規定する。
図3に示すように、第1〜第4の境界線12、15、22、25によって囲まれた領域を第1の境界12線に沿った方向である横方向に3等分した補助境界線13、14、および当該領域を第3の境界線22に沿った方向である縦方向に3等分した補助境界線23、24を規定する。このようにして、第1〜第4の境界線12、15、22、25によって囲まれた領域を3行3列の部分領域31〜39に分割する。部分領域31〜39のうち、中央に位置する中央部分領域35における面圧に対する、中央部分領域35から見て打球面の最先端部側に隣接する先端側部分領域32における面圧の比は1.02以上である。部分領域31〜39のうち中央部分領域35以外の8つの部分領域31〜34、36〜39における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下である。
なお、ここで面圧とは、各部分領域31〜39の中央部に位置する縦方向ガット2aと横方向ガット2bとの交点に、打球面に対して垂直な方向から一定の加重を加えた状態としたときの、打球面に対して垂直な方向での当該交点の変位量の逆数である。
このように、打球部4において縦方向ガット2aの間隔VPおよび横方向ガットの間隔LPがそれぞれほぼ同じに設定されることで、打球部4の中央部(中央部分領域35)での打球のコントロール性を高めるとともに、当該中央部分領域35の周囲に位置する外周部(図3の部分領域31〜34、36〜39)においても面圧がほぼ均一になっていることから打球のコントロール性が打球部において均一になっており、打球面全体としての打球のコントロール性が良好になっている。さらに、打球面の縁が振動の節で打球面の中央部が振動の腹となるようなガットの固有振動モードにおいて、打球部4の周辺部において中央部と同程度の間隔(ピッチ)で縦方向ガット2aおよび横方向ガット2bが張られているため、打球部中央部に比べて周辺部でのガットの間隔が大きくなっている場合に比べて、節の位置に近い部分での剛性が高くガットの固有振動数を高くでき、結果的に良好な打球感が得られる。
次に、図4を参照して、図2に示したラケットの変形例を説明する。図4に示したラケットは、基本的には図2に示したラケットと同様の構成を備えるが、打球部に張られる横方向ガット2bの列数が異なっている。すなわち、図4に示したラケットでは、打球部に縦方向ガット2aが16列張られ、横方向ガット2bも16列張られている。隣接する縦方向ガット2aの間隔VPはすべてほぼ同じである。また、隣接する横方向ガット2bの間隔LPもすべてほぼ同じである。そして、図4に示したラケットの他の構成は、基本的に図2に示したラケットと同様である。このような構成のラケットによっても、図1〜図3に示したラケットと同様の効果を得ることができる。さらに、図4に示したラケットでは、横方向ガット2bの列数が図2に示したラケットにおける横方向ガット2bの列数より少ないため、横方向ガット2bの間隔LPを図2に示したラケットより大きくすることが可能である。このため、打球時にボールが打球面に食い込む量(隣接する横方向ガット2bの間の隙間にボールが食い込む量)を図2に示したラケットでの当該食い込み量より大きくできる。したがって、打球時のボールのコントロール性をより高めることができる。
次に、図5を参照して、図2に示したラケットの別の変形例を説明する。図5に示したラケットは、基本的には図2に示したラケットと同様の構成を備えるが、打球部を構成するフレームの外形が図2に示したラケットとは異なっている。図5に示したラケットでは、打球部に縦方向ガット2aが16列張られ、横方向ガット2bが17列張られている。そして、図5に示したラケットの他の構成は、基本的に図2に示したラケットと同様である。このような構成のラケットによっても、図1〜図3に示したラケットと同様の効果を得ることができる。
次に、図6を参照して、図2に示したラケットの他の変形例を説明する。図6に示したラケットは、基本的には図5に示したラケットと同様の構成を備えるが、打球部に張られる横方向ガット2bの列数が異なっている。すなわち、図6に示したラケットでは、打球部4に縦方向ガット2aが16列張られ、横方向ガット2bも16列張られている。隣接する縦方向ガット2aの間隔VPはすべてほぼ同じである。また、隣接する横方向ガット2bの間隔LPもすべてほぼ同じである。そして、図6に示したラケットの他の構成は、基本的に図5に示したラケットと同様である。このような構成のラケットによっても、図1〜図3に示したラケットと同様の効果を得ることができる。さらに、図6に示したラケットでは、横方向ガット2bの列数が図5に示したラケットにおける横方向ガット2bの列数より少ないため、横方向ガット2bの間隔LPを図5に示したラケットより大きくすることが可能である。このため、打球時にボールが打球面に食い込む量(隣接する横方向ガット2bの間の隙間にボールが食い込む量)を図5に示したラケットでの当該食い込み量より大きくできる。したがって、打球時のボールのコントロール性をより高めることができる。
(実験例1)
本発明の実施例および比較例のラケットについて、ガットピッチを測定した。
本発明の実施例および比較例のラケットについて、ガットピッチを測定した。
<試料>
本発明の実施例1〜実施例4、および比較例の試料であるラケットを準備した。具体的には、実施例1のラケットは、その全長が690mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが329.9mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が254.8mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が17である。
本発明の実施例1〜実施例4、および比較例の試料であるラケットを準備した。具体的には、実施例1のラケットは、その全長が690mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが329.9mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が254.8mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が17である。
実施例2のラケットは、その全長が695mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが329.9mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が254.8mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が16である。
実施例3のラケットは、その全長が690mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが321.2mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が248.0mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が17である。
また、実施例4のラケットは、その全長が685mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが321.2mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が248.0mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が16である。
また、比較例のラケットは、その全長が690mm、ラケットの延在方向における打球部の長さが329.9mm、当該延在方向に直交する方向における打球部の幅が254.8mm、縦方向ガットの列数が16、横方向ガットの列数が21である。また、打球部にガットを張る時の条件は、張力を30lbsとした。
以下に表1に、実施例1〜実施例4および比較例における、ガットピッチのデータを示す。
なお、表1において横ガットのガットピッチ(間隔)に付されたID番号1〜20は、図2を参照して、打球部4の先端側における横方向ガット2bの間の間隔をID番号1として、グリップ側に向かうほどID番号が大きくなるように、各横方向ガット2bの間のそれぞれの間隔に付されている。また、表1において縦ガットのガットピッチ(間隔)に付されたID番号1〜15は、図2を参照して、打球部4の向かって左側における縦方向ガット2aの間の間隔をID番号1として、打球部の向かって右側に行くほどID番号が大きくなるように、各縦方向ガット2aの間のそれぞれの間隔に付されている。
<測定内容>
これらの実施例1〜実施例4および比較例の試料について、縦方向ガット(縦ガットとも言う)と横方向ガット(横ガットとも言う)とのそれぞれについて、ガットピッチの平均値および標準偏差、さらに縦ガットのガットピッチに対する横ガットのガットピッチの比(横ガットのガットピッチ/縦ガットのガットピッチ)の最大値および最小値を算出した。
これらの実施例1〜実施例4および比較例の試料について、縦方向ガット(縦ガットとも言う)と横方向ガット(横ガットとも言う)とのそれぞれについて、ガットピッチの平均値および標準偏差、さらに縦ガットのガットピッチに対する横ガットのガットピッチの比(横ガットのガットピッチ/縦ガットのガットピッチ)の最大値および最小値を算出した。
<結果>
実施例1〜実施例4および比較例について、縦ガットおよび横ガットのガットピッチの平均値および標準偏差、さらに縦ガットのガットピッチに対する横ガットのガットピッチの比(横/縦のガットピッチの比)の最大値および最小値を以下の表2に示す。
実施例1〜実施例4および比較例について、縦ガットおよび横ガットのガットピッチの平均値および標準偏差、さらに縦ガットのガットピッチに対する横ガットのガットピッチの比(横/縦のガットピッチの比)の最大値および最小値を以下の表2に示す。
表2からもわかるように、実施例1〜実施例4の試料では縦ガットのガットピッチおよび横ガットのガットピッチとも、それぞれの標準偏差が1.0mm以下となっており、また縦ガットのガットピッチに対する横ガットのガットピッチの割合(横/縦のガットピッチ比)の値は、実施例1〜実施例4ではいずれも1.1以上となっていた。
(実験例2)
本発明の実施例および比較例のラケットについて、打球面の面圧分布をシミュレーションにより求めて比較した。
本発明の実施例および比較例のラケットについて、打球面の面圧分布をシミュレーションにより求めて比較した。
<計算対象>
上記実験例1の実施例1の試料と比較例の試料との条件を用いた。
上記実験例1の実施例1の試料と比較例の試料との条件を用いた。
<計算方法>
ここでは、ラケットフレームやガットの物性は考慮せず、単純に打球面の形状とガットピッチとにより規定される構造を前提とした。そして、縦ガットと横ガットとの交点のすべてについて、打球面に垂直な方向から一定の荷重を加え、当該打球面に垂直な方向における当該交点の変位量を、C言語を用いたシミュレーションコードプログラムにより算出した。当該シミュレーションでは、ラケットフレームとガットが交わる位置でのガットの変位量は0として、また、ガットの張力は任意の定数として、さらに、縦ガットと横ガットの交点は上下に重なっているのではなく、縦ガットと横ガットの滑りは無視して縦ガットと横ガットの交点が一体化していると仮定した条件により算出した。そして、算出した変位量の逆数を、当該交点における面圧とした。
ここでは、ラケットフレームやガットの物性は考慮せず、単純に打球面の形状とガットピッチとにより規定される構造を前提とした。そして、縦ガットと横ガットとの交点のすべてについて、打球面に垂直な方向から一定の荷重を加え、当該打球面に垂直な方向における当該交点の変位量を、C言語を用いたシミュレーションコードプログラムにより算出した。当該シミュレーションでは、ラケットフレームとガットが交わる位置でのガットの変位量は0として、また、ガットの張力は任意の定数として、さらに、縦ガットと横ガットの交点は上下に重なっているのではなく、縦ガットと横ガットの滑りは無視して縦ガットと横ガットの交点が一体化していると仮定した条件により算出した。そして、算出した変位量の逆数を、当該交点における面圧とした。
<結果>
シミュレーションによる面圧の分布について、計算結果を以下の表3に示す。
シミュレーションによる面圧の分布について、計算結果を以下の表3に示す。
表3には、図3の部分領域31〜39(領域31〜39とも言う)に対応する部分の面圧の計算結果を示している。表3における面圧の値は、実施例1の領域35(打球部のほぼ中央に位置する領域)の面圧値を1として標準化している。また、表3では、9つの領域31〜39のうち、中央に位置する領域35以外の領域31〜34、36〜39(外周部)における、面圧の最小値に対する最大値の比(最大値/最小値)も記載されている。さらに、表3では、領域35の面圧に対する領域32の面圧の比(外周部面圧/中央部面圧)も記載されている。
表3から分かるように、本発明の実施例1〜実施例4では、外周部における面圧の最小値に対しる最大値の値はいずれも1.1以下となっており、外周部での面圧の均一性が比較例のラケットより本発明の実施例は優れていることが分かる。さらに、外周部面圧/中央部面圧の値も、本発明の実施例1〜実施例4では1.05といずれも比較例のラケットでの当該値より小さくなっており、打球部の中央部と外周部との面圧の差も本発明の実施例では比較例のラケットに比べて小さくなっている。つまり、本発明の実施例1〜実施例4では打球面での面圧のばらつきが比較例に比べて小さくなっていることがわかる。
さらに実施例1および比較例に関する計算結果から求めた面圧分布の図を、図7および図8に示す。図7は、実施例1の打球部における面圧の分布を示している。図7および図8では、実施例1のラケットにおける打球部の最大変位量に対応する面圧値(打球部の中央部における面圧値)を基準値(1.0)として、当該基準値を基準にして規格化した値を示している。具体的には、図7の領域41は、面圧の値が1.0以上1.1未満、領域42は、面圧の値が1.1以上1.2未満、領域43は、面圧の値が1.2以上1.3未満、領域44は、面圧の値が1.3以上となっている部分である。
また、図8は、比較例の打球部における面圧の分布を示している。図8における領域41〜領域44は、図7の領域41〜44に対応する。図8に示した打球部の中央部に位置する領域45は、面圧の値が1.0未満の部分である。
このように、比較例では面圧が打球部の中央部と外周部との差が本発明の実施例1に比べて大きくなっている。さらに、比較例では打球部の外周部において、面圧の相対的に高い部分の広さが、周方向において大きく変動していることが分かる。これは、打球部の外周部において面圧の相対的に高い部分と相対的に低い部分とが形成されていることを意味し、外周部における面圧の均一性が低下していると言える。
一方、図7に示した実施例1では、打球部の外周部における面圧の周方向における変動は、図8に示した比較例よりも小さくなっている。つまり、実施例1のラケットでは、打球部の外周部における面圧の均一性が高く、安定した打球のコントロール性が得られることが分かる。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、打球部にガットを張ってボールなどを打撃するラケットに特に有利に適用される。
1 ラケットフレーム、2a 縦方向ガット、2b 横方向ガット、4 打球部、5 シャフト部、6 グリップ部、12 第1の境界線、13,14,23,24 補助境界線、15 第2の境界線、22 第3の境界線、25 第4の境界線、31〜39 部分領域、41〜45 領域。
Claims (4)
- 打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成されるラケットであって、
前記打球部には、前記ラケットの延在方向である縦方向に延びる複数の縦方向ガットと、前記縦方向ガットに交差する複数の横方向ガットが張られ、
隣接する前記縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下であり、
隣接する前記横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下であり、
前記縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下であり、
前記横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下であり、
前記縦方向ガットの間隔に対する前記横方向ガットの間隔の割合は1.0超えであり、
前記打球部において前記縦方向ガットおよび前記横方向ガットが張られた打球面の、前記ラケットの延在方向における最先端部から50mmだけ前記グリップ部寄りに、前記ラケットの延在方向に垂直であって前記打球面に平行な第1の境界線を規定し、
前記打球面の前記最先端部とは反対側の最後端部から50mmだけ前記最先端部寄りに、前記第1の境界線と平行に伸びる第2の境界線を規定し、
前記第1の境界線に沿った方向において、前記打球面の両端部からそれぞれ50mmだけ前記打球面の中央寄りに、前記第1の境界線に垂直であって前記打球面に平行な第3の境界線および第4の境界線を規定し、
前記第1〜第4の境界線によって囲まれた領域を、前記第1の境界線に沿った方向である横方向および前記第3の境界線に沿った方向である縦方向にそれぞれ3等分した補助境界線を規定することで、3行3列の部分領域に分割し、
前記部分領域のうち、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、前記中央部分領域から見て前記打球面の前記最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上であり、
前記部分領域のうち前記中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下である、ラケット。 - 前記打球部には、前記縦方向ガットが16列、前記横方向ガットが16列張られている、請求項1に記載のラケット。
- 前記打球部には、前記縦方向ガットが16列、前記横方向ガットが17列張られている、請求項1に記載のラケット。
- 打球部と、シャフト部と、グリップ部とから構成されるラケットフレームであって、
前記打球部には、前記ラケットフレームの延在方向である縦方向に延びる複数の縦方向ガットと、前記縦方向ガットに交差する複数の横方向ガットを張ることが可能なように複数のガット用穴が設置され、
前記打球部に前記縦方向ガットと前記横方向ガットとを、張力を20lbs以上40lbs以下という条件で張ったときに、
隣接する前記縦方向ガットの間隔の平均値は11.5mm以上13.0mm以下となり、
隣接する前記横方向ガットの間隔の平均値は14.5mm以上16.5mm以下となり、
前記縦方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下となり、
前記横方向ガットの間隔の標準偏差は1.0mm以下となり、
前記縦方向ガットの間隔に対する前記横方向ガットの間隔の割合は1.0超えとなり、
前記打球部において前記縦方向ガットおよび前記横方向ガットが張られた打球面の、前記ラケットの延在方向における最先端部から50mmだけ前記グリップ部寄りに、前記ラケットの延在方向に垂直であって前記打球面に平行な第1の境界線を規定し、
前記打球面の前記最先端部とは反対側の最後端部から50mmだけ前記最先端部寄りに、前記第1の境界線と平行に伸びる第2の境界線を規定し、
前記第1の境界線に沿った方向において、前記打球面の両端部からそれぞれ50mmだけ前記打球面の中央寄りに、前記第1の境界線に垂直であって前記打球面に平行な第3の境界線および第4の境界線を規定し、
前記第1〜第4の境界線によって囲まれた領域を、前記第1の境界線に沿った方向である横方向および前記第3の境界線に沿った方向である縦方向にそれぞれ3等分した補助境界線を規定することで、3行3列の部分領域に分割し、
前記部分領域のうち、中央に位置する中央部分領域における面圧に対する、前記中央部分領域から見て前記打球面の前記最先端部側に隣接する先端側部分領域における面圧の比は1.02以上となり、
前記部分領域のうち前記中央部分領域以外の8つの部分領域における、面圧の最小値に対する最大値の比は1.10以下となるように、前記打球部が構成されている、ラケットフレーム。
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JP2019187784A (ja) * | 2018-04-25 | 2019-10-31 | 住友ゴム工業株式会社 | テニスラケット |
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2012
- 2012-06-11 JP JP2012132070A patent/JP2013255583A/ja active Pending
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