JP2013254915A - 堆積膜形成方法および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

堆積膜形成方法および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 堆積膜の膜厚のバラツキが抑制された堆積膜形成方法、および、該堆積膜形成方法利用した電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】 プラズマを生成する前は常に、電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値を超えない範囲で、電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求め、堆積膜形成時の電圧の最大値をVとし、電流値をIとし、αを0.9≦α≦1.1とした場合、I=I−α×f(V)で定義される電流値Iが所定の値となるように、堆積膜形成時の電流値Iを制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、プラズマCVD法による堆積膜形成方法および電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する。)を用いた電子写真感光体は、基体上に光導電層などの堆積膜を形成することにより製造されている。堆積膜の形成方法としては、周期的に変化する電力を用いたグロー放電により堆積膜形成用の原料ガスを分解し、その分解生成物を基体に被着させる方法、いわゆるプラズマCVD(plasma chemical vapor deposition)法が広く採用されている。
特許文献1には、300kHz以下の周波数で正および負のいずれか一方のみの極性の矩形波の電圧を用いる技術が開示されている。
しかしながら、従来のプラズマCVD法においては、使用するプラズマCVD装置の状態によって、形成される堆積膜の膜厚にバラツキが生じる場合があり、歩留まりの点で改善の余地があった。
これに対して、従来は、形成された堆積膜の膜厚を評価し、異常が発見された時点で、プラズマCVD装置のメンテナンスを行ったり、電極間に印加される電圧値を変更したりすることで歩留まりの悪化を抑制してきた。
WO2006/134781
堆積膜の膜厚の異常が発見された時点で、プラズマCVD装置のメンテナンスを行ったり、電極間に印加される電圧値を変更したりすることで、堆積膜の膜厚のバラツキは抑制され、歩留まりはある程度向上するが、まだ改善の余地が残されている。
そこで、本発明者らは、基体に入射するイオン量を反映すると考えられる電流値に着目して検討を行った。
図2は、グロー放電を生起させる際に電極間に印加される電圧の最大値と電流値の関係の例を示すグラフである。ここでいう電圧の最大値とは、周期的に変化する電圧の一周期内での絶対値の最大値を意味する。また、ここでいう電流値とは、周期的に変化する電流の一周期内での二乗平均平方根を意味する。
図2中の(イ)、(ロ)および(ハ)は、製造ロットごとのバラツキを表している。各ロットともに、電圧の最大値の増加に伴って電流値も増加している。そして、各ロットともに、電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値Aに到達した段階でプラズマCVD装置内にグロー放電が生起され、それ以降は電流の増加率が増加している。
図2のグラフからわかるように、従来のプラズマCVD法のように電圧の最大値が所定の値となるように電源出力を制御した場合(以下「電圧制御」とも表記する。)、製造ロットごとに電流値のバラツキが発生する場合がある。
そこで、本発明者らは、電圧制御に代えて、電流値が所定の値となるように電源出力を制御して(以下「電流制御」とも表記する。)堆積膜の形成を行ってみたところ、形成される堆積膜の膜厚のバラツキは若干低減することがわかった。
しかしながら、まだ改善の余地が残されているといえる結果であった。
本発明の目的は、堆積膜の膜厚のバラツキが抑制された堆積膜形成方法、および、該堆積膜形成方法を利用した電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、プラズマCVD法により形成される堆積膜の膜厚のバラツキをさらに抑制するために鋭意検討を行った。その結果、プラズマCVD装置に流れ込む電流値のうち、堆積膜の形成に寄与する電流値を制御することによって、形成される堆積膜の膜厚のバラツキをさらに抑制することが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、電源から周期的に変化する電圧を第一の電極と前記第一の電極に対向する第二の電極との間に印加して、プラズマを生成して、原料ガスを分解して、前記第一の電極または前記第二の電極の一部を構成する基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
前記プラズマを生成する前は常に、前記電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値を超えない範囲で、前記電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求め、
前記基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成時の電圧の最大値をVとし、電流値をIとし、αを0.9≦α≦1.1とした場合、下記式(1)で定義される電流値Iが所定の値となるように、前記堆積膜形成時の電流値Iを制御する
=I−α×f(V) ・・・・(1)
ことを特徴とする堆積膜形成方法である。
また、本発明は、基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
前記堆積膜形成工程が、前記本発明の堆積膜形成方法を用いて行われることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、堆積膜の膜厚のバラツキを抑制された堆積膜形成方法、および、該堆積膜形成方法を利用した電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の堆積膜形成方法および電子写真感光体の製造方法に使用されるプラズマCVD装置の例を示す模式図である。 電圧の最大値と電流値の関係の例を示すグラフである。 電圧の最大値と電流値の関係の例を示すグラフである。 αとプラズマに流れる電流値の関係の例を示すグラフである。 矩形波の電圧の例を示す図である。
図1は、本発明の堆積膜形成方法および電子写真感光体の製造方法に使用されるプラズマCVD装置の例を示す模式図である。図1(a)は縦断面図、図1(b)は横断面図である。
図1に示すプラズマCVD装置では、周期的に変化する電圧(例えば、周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の電圧)を第一の電極106とこれに対向する第二の電極104との間に印加して、プラズマを生成して、原料ガスを分解して、基体102Aおよび102B(上側基体102Aおよび下側基体102B)上に堆積膜を形成することができる。図1に示すプラズマCVD装置では、円筒状の基体102Aおよび102Bが、第一の電極106の一部を構成している。より具体的には、第一の電極106は、円筒状の基体102Aおよび102Bならびに基体ホルダー103Aおよび103Bからなっている。
図1に示すプラズマCVD装置の第一の電極106と第二の電極104との間に周期的に変化する電圧を印加した場合の、電圧の最大値と電流値の関係の例を図3に示す。
電源118から電力供給端子111を経由して基体102Aおよび102Bを含む第一の電極106に電力を供給し、第一の電極106と接地された第二の電極104との間に放電を生起させる。
この際、印加される電圧の最大値を放電開始電圧の絶対値Aを超えない範囲で変化させ、電流計120を用いてプラズマCVD装置に流れ込む電流を測定し、図3に示すような電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求める。
次に、αを0.9≦α≦1.1とした場合、下記式(1)で定義される電流値Iが所定の値となるように、電流計120で検出された電流値Iを基にして、電源制御部121に堆積膜形成時の電圧の最大値Vと電流値Iを制御させる。
=I−α×f(V) ・・・・(1)
このように、電流値Iが所定の値となるように堆積膜形成時の電圧の最大値Vと電流値Iを制御することによって、基体上に形成される堆積膜の膜厚のバラツキを抑制することが可能となる。
その理由について、本発明者らは以下のように考えている。
プラズマCVD装置は、その中に様々な容量成分を持つと考えられる。例えば、電力伝搬経路122や電力供給端子111や第一の電極106などの電力が供給される部品は、それらの周囲の部品との間に容量成分を持つと考えられる。
そのようなプラズマCVD装置の電極間に周期的に変化する電圧を印加する場合、電圧が増加する期間においては、前述した様々な容量成分に電流が流れ込むことで電荷の蓄積が行われると考えられる(以下「充電」とも表記する。)。逆に、電圧が減少する期間においては、前述した様々な容量成分に蓄積された電荷の放出が行われると考えられる(以下「放電」とも表記する。)。したがって、周期的に変化する電圧をプラズマCVD装置の電極間に印加する場合、前述した充電と放電が繰り返し行われることになると考えられる。
図3のグラフに示すような、プラズマCVD装置の電極間に印加する電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値Aを超えない範囲で観測される電流値f(V)は、このような充電と放電によるものであると考えられ、電流値Iと電圧の最大値Vの関係は、ゼロ(原点)を通る一次関数となる。
次に、プラズマCVD装置の電極間に印加する電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値Aを超える範囲においては、プラズマCVD装置内にプラズマが生成される。このような場合においては、前述したような充電と放電による電流に加えて、プラズマに流れ込む電流が観測されると考えられる。
したがって、図3のグラフに示すような、放電開始電圧の絶対値Aを超える電圧の最大値VをプラズマCVD装置の電極間に印加した場合にプラズマCVD装置全体に流れる電流値Iは、プラズマCVD装置内の様々な容量成分への充電と放電による電流値f(V)とプラズマに流れる電流値との合計となると考えられる。
前述したようなプラズマCVD装置内の様々な容量成分は、プラズマCVD装置の組み上げ状態や繰り返し使用による構成部品の経時変化などによってバラツキが生じうる。そのため、図3のグラフに示すような、充電や放電による電流値f(V)にもバラツキが生じうる。したがって、プラズマCVD装置全体に流れる電流値Iを所定の値になるように制御しても、プラズマに流れる電流値にはバラツキが生じうる。その結果、基体上に形成される堆積膜の膜厚にバラツキが発生することがあるのである。
それに対して、本発明のように、αを0.9≦α≦1.1とした場合、I=I−α×f(V)で定義される電流値Iを所定の値になるように制御した場合は、プラズマに流れる電流値を所定の値に制御することができる。その結果、基体上に形成される堆積膜の膜厚のバラツキが抑制されると考えられる。
本発明においては、αを1とすることで、プラズマに流れる電流値を常に電流値Iに制御することができるため最も好ましいが、0.9≦α≦1.1の範囲であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
図4はαとプラズマに流れる電流値の関係の例を示すグラフである。
図4中の(ニ)、(ホ)および(へ)は、製造ロットごとのバラツキを表している。αが0.9未満の場合や、1.1を超える場合においては、プラズマに流れる電流値のバラツキが大きくなる場合があり、本発明の効果を十分に得られない場合がある。
また、本発明は、第一の電極と第二の電極との間に印加される電圧が矩形波である場合において特に有効である。その理由として、本発明者らは、矩形波の場合は電圧が変化する時間が短く、充電時や放電時に流れる電流値が大きくなるため、プラズマCVD装置内の容量成分のバラツキの影響を大きく受けやすいからではないかと推察している。
図5に、矩形波の電圧の例を示す。
矩形波の電圧は、DC電源から電圧Vβ、Vγを発生させて、スイッチ素子をON/OFF制御し、DC電源からの電力を時分割パルス状にすることによって得ることができる。スイッチ素子としては、例えば、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラートランジスター)、MOSFETなどの半導体スイッチ素子を用いたものがある。これらのスイッチ素子によれば、Duty比や周波数を変化させることもできる。
図5中のTは、矩形波の周期(矩形波の1組の波が繰り返される時間)を表しており、矩形波の周波数(パルス周波数)によって決まる。図5では、正電位側の電圧Vβと負電位側の電圧Vγとが交互に電極間に印加され、それが周期Tで繰り返される。また、図5中のtβは電極間に電圧Vβを印加している時間を表しており、tγは電極間に電圧Vγを印加している時間を表している。また、本発明では、tγをTで除した値(tγ/T)をDuty比(%)と定義する。
また、図5においては、完全な矩形波を示しているが、一般的な市販電源では、矩形波のエッジ部になまりが生じたり、オーバーシュートによって若干鋭角状となったりすることがある。このような場合でも、周期的に変化する電圧であれば、本発明の効果は得られる。
次に、放電開始電圧について詳細に述べる。
電極間の放電は、電極間にわずかながら存在している電子が電界によって正電位側に運ばれ、その途中でガス分子に衝突してこれを電離させて、電子とイオンを生成するα作用が継続することによって始まる。この電離を生じさせるためには、衝突時の電子のエネルギーが、ガス分子の電離エネルギー以上であることが必要となる。電子がガス分子に衝突する際のエネルギーは、電界が大きくなるほど、すなわち、電極間に印加する電圧が大きくなるほど大きくなる。電極間に印加する電圧を徐々に上げていき、電子がガス分子に衝突する際のエネルギーがガス分子の電離エネルギーに達すると、ガス分子の電離によって電極間に存在する電子が増加して、衝突によるガス分子の電離が継続して起こることで放電が始まる。この放電が始まる時点の電圧を放電開始電圧という。
放電が開始したか否かは、例えば、電圧−電流特性から判断する方法や、プラズマ発光を検知して判断する方法などがある。
本発明では、基体上(基体の外周面)に、プラズマCVD法によって堆積膜を形成して電子写真感光体を製造する。堆積膜としては、例えば、下部電荷注入阻止層、光導電層、上部電荷注入阻止層、表面層などが挙げられ、これらの層を基体側から順次積層して電子写真感光体を製造することが一般的である。
下部電荷注入阻止層は、基体から光導電層への電荷の注入を抑制(阻止)するための層であり、例えばa−Si系材料により形成される。
光導電層は、電子写真感光体にレーザー光などの像露光光を照射することによって電荷を発生させるための層であり、例えばa−Si系材料により形成される。光導電層の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましい。
上部電荷注入阻止層は、電子写真感光体の表面を帯電した際の電子写真感光体の表面の電荷が光導電層に注入することを抑制(阻止)するための層であり、例えばa−Si系材料により形成される。また、上部電荷注入阻止層の材料は、a−Siに炭素(C)、ホウ素(B)、窒素(N)または酸素(O)を含有させたものが好ましい。上部電荷注入阻止層の膜厚は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
表面層は、電子写真感光体の表面を摩耗などから保護するための層であり、例えば(水素化)アモルファスシリコンカーバイドや、(水素化)アモルファスシリコンナイトライドや、(水素化)アモルファスカーボンなどにより形成される。表面層は、電子写真感光体に照射される像露光光が吸収されることのないように、像露光光に対して十分に広い光学バンドギャップを有していることが好ましい。また、静電潜像を十分に保持しうる抵抗値(好適には1011Ω・cm以上)を有していることが好ましい。
電子写真感光体は、例えば、図1に示すプラズマCVD装置を用いることによって製造することができる。
図1に示すプラズマCVD装置は、プラズマ処理によって円筒状の基体102Aおよび102B上に堆積膜を形成するための円筒状の反応容器101を備えている。また、基体102Aおよび102Bを保持する基体ホルダー103Aおよび103B、反応容器101内に原料ガスを供給するためのガスブロック119を備えている。ガスブロック119は、第二の電極104から取り外しが可能(脱着可能)な構造となっている。
反応容器101内には、第二の電極104、ベースプレート108および上蓋109により減圧可能な空間(放電空間)が形成されている。第二の電極104は、一定の電圧にすることが好ましく、アース電位にする(接地する)ことがより好ましい。第二の電極104を一定の電位とすることで、第二の電極104と反応容器101中の他の部分との電位差を一定に保つことができるため、製造する電子写真感光体の特性の再現性が向上する。さらに、第二の電極104を接地することで、プラズマCVD装置の取り扱いが容易になる。なお、ベースプレート108および上蓋109を接地しない場合には、第二の電極104とベースプレート108、上蓋109との間に絶縁性の部材を設けることが好ましい。図1に示すプラズマCVD装置においては、第二の電極104、ベースプレート108および上蓋109のいずれも接地した。
また、図1に示すプラズマCVD装置は、原料ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラー(不図示)を内包する原料ガス混合装置114と原料ガス流入バルブ113を備えている。
基体102Aおよび102Bを保持する基体ホルダー103Aおよび103Bは回転可能に支持されている。この回転支持機構は、回転支軸を兼ねた電力供給端子111と、電力供給端子111と歯車で接続されたモーター110とを有している。
図1に示すプラズマCVD装置は、排気系として、反応容器101の排気口に連通された排気配管115と、排気メインバルブ116と、真空ポンプ117とを有している。真空ポンプとしては、例えば、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプなどが挙げられる。この排気系により、反応容器101に設けられた真空計112を見ながら、反応容器101内を所定の圧力に維持することができる。
電源118からの出力は、電源制御部121によって制御される。電源制御部121は、電源118の出力を制御することにより、第一の電極106と第二の電極104との間に、所定の電圧(例えば、3kHz〜300kHzの矩形波の電圧)を印加可能になっている。
第一の電極106は、基体102Aおよび102Bおよび基体ホルダー103Aおよび103Bによって構成され、第一の電極106は、電力供給端子111を経由して、電源118と接続されている。また、電力供給端子111は、絶縁部材105によってベースプレート108から絶縁されている。
堆積膜を形成するための放電空間(減圧可能な空間)は、接地された第二の電極104と、接地されたベースプレート108に取り付けられた絶縁板107Bと、接地された上蓋109に取り付けられた絶縁板107Aによって規定されている。
以下、図1に示すプラズマCVD装置を用いた電子写真感光体の製造方法の一例について説明する。
旋盤などを用いて表面に鏡面加工を施した基体102Aおよび102Bを、基体ホルダー103Aおよび103Bに装着し、反応容器101内の基体加熱用のヒーター(不図示)を包含するように反応容器101内に設置する。
次に、ガス供給装置内の排気を兼ねて、原料ガス流入バルブ113を開き、排気メインバルブ116を開いて、反応容器101内およびガスブロック119内を排気する。真空計112の読みが所定の圧力(例えば0.67Pa)以下になった時点で、加熱用の不活性ガス(例えばアルゴンガス)をガスブロック119から反応容器101に導入する。そして、反応容器101内が所定の圧力になるように加熱用の不活性ガスの流量、排気メインバルブ116の開口、真空ポンプ117の排気速度などを調整する。その後、温度コントローラー(不図示)を作動させて、基体102Aおよび102Bをヒーター(不図示)により加熱し、基体102Aおよび102Bの温度を所定の温度(例えば20〜500℃)に制御する。基体102Aおよび102Bが所定の温度に加熱されたところで、不活性ガスを徐々に止める。これと並行して、堆積膜(アモルファス膜)形成用の原料ガス(例えば、SiH、Siなどの水素化ケイ素ガスや、CH、Cなどの炭化水素ガスなど。少なくとも1種は水素化ケイ素ガスであることが好ましい。)を、また、ドーピングガス(例えば、B、PHなど。)を、原料ガス混合装置114により混合した後に、反応容器101内に徐々に導入する。次に、原料ガス混合装置114内のマスフローコントローラー(不図示)によって、各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器101内が所定の圧力(例えば1〜100Pa)に維持されるように真空計112を見ながら、排気メインバルブ116の開口、真空ポンプ117の排気速度などを調整する。
以上の手順によって堆積膜形成の準備を完了した後、基体102Aおよび102B上に堆積膜の形成を行う。具体的には、反応容器101内の圧力(反応容器内の圧力を、以下単に「内圧」とも表記する。)が安定したのを確認した後、電源118から電力供給端子111を経由して基体102Aおよび102Bを含む第一の電極106に電力を供給し、第一の電極106と接地された第二の電極104との間に放電を生起させる。
この際、第一の電極106と第二の電極104との間に印加される電圧の最大値を、放電開始電圧の絶対値Aを超えない範囲で変化させ、例えば図3に示すような、電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求める。次に、αを0.9≦α≦1.1とした場合、下記式(1)で定義される電流値Iが所定の値となるように、電源制御部121を用いて堆積膜形成時の電圧の最大値Vと電流値Iを制御する。
=I−α×f(V) ・・・・(1)
上記放電のエネルギーによって反応容器101内に導入した各原料ガスが分解され、基体102Aおよび102B上に所定の堆積膜が形成される。また、堆積膜の形成を行っている間は、基体102Aおよび102Bをモーター110によって所定の速度で回転させてもよい。
所望の膜厚の堆積膜の形成を行った後、電力の供給を止め、反応容器101への各原料ガスの流入を止めて、反応容器内を一旦高真空になるように排気する。上記のような操作を繰り返し行うことによって、電子写真感光体を製造することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
〈実施例1〉
図1に示すプラズマCVD装置を用いて、基体(外径84mm、長さ381mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム製の基体)上に表1に示す条件で各層を形成し、電子写真感光体を製造した。
下部注入阻止層形成時の放電開始前に、電極間に印加する電圧の最大値を0Vから400Vまで50V間隔で増加させて、各電圧での電流を測定した。この際、400Vでは放電は観測されなかった。次に、電圧の最大値Vと電流値Iの関係I=f(V)を求めた。f(V)はゼロ(原点)を通る一次直線に近似した。次に、電極間に印加する電圧を400Vから増加させて放電を発生させ、前述した方法で求めた電流値Iが表1に示す値を満たすようにした。なお、本例においては、α=1として電流値Iを求めた。また、本例においては、図5に示す矩形波で、Vβが0Vであり、周波数が50kHzであり、Duty比が50%である電圧を使用した。また、本例においては、基体を回転させながら電子写真感光体を製造した。
合計20バッチで、上側感光体20本および下側感光体20本を製造した。なお、上側感光体とは、基体(上側基体)102A上に堆積膜を形成して製造した電子写真感光体であり、下側感光体とは、基体(下側基体)102B上に堆積膜を形成して製造した電子写真感光体である。
Figure 2013254915
〈比較例1〉
本例においては、実施例1で使用した表1に示す条件に代えて表2に示す条件を使用し、電流値Iに代えて電圧の最大値Vγが表2の値を満たすようにした。それら以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
合計20バッチで、上側感光体20本および下側感光体20本を製造した。
Figure 2013254915
〈比較例2〉
本例においては、実施例1で使用した表1に示す条件に代えて表3に示す条件を使用し、電流値Iに代えて電流値Iが表3の値を満たすようにした。それら以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
合計20バッチで、上側感光体20本および下側感光体20本を製造した。
Figure 2013254915
実施例1、比較例1および比較例2で製造した電子写真感光体を以下の方法で評価した。評価結果を表4に示す。
(膜厚のバラツキ)
以下の方法により膜厚のバラツキを評価した。
製造した電子写真感光体の軸方向の中央部位置を0cm位置とし、両側それぞれ2cm間隔で9点(±2cm、±4cm、±6cm、±8cm、±10cm、±12cm、±14cm、±16cm、±18cm)、0cm位置を含めて計19点で膜厚を測定した。なお、各軸方向の位置においては、周方向に30°間隔12点で膜厚を測定し、12点の平均値を各軸方向の位置での膜厚とした。
実施例1、比較例1および比較例2において、上側感光体および下側感光体の各測定位置ごとに20本間の膜厚の最大値、最小値および平均値を求め、最大値と最小値の差分を平均値で割った値を求めた。次に、実施例1、比較例1および比較例2において、上側感光体および下側感光体の各測定位置で求めた値の中の最大値を膜厚のバラツキとした。値が小さいほど、膜厚のバラツキが小さく、良好である。
測定は、HELMUTFISCHER社製のFISCHERSCOPEmms(商品名)にプローブETA3.3Hを装着して、渦電流法で行った。
膜厚のバラツキが2.0%以上では、各バッチ間の膜厚のバラツキが大きく、歩留まりの点で十分でないと判断した。
Figure 2013254915
表4の結果からわかるように、電流値Iを所定の値とすることで、膜厚のバラツキを抑制することができた。
また、α=0.9とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した場合においても、実施例1と同様に、膜厚のバラツキを抑制することができることを実験的に確認できた。
〈実施例2〉
本例においては、図5に示す矩形波で、Vβが100Vであり、周波数が50kHzであり、Duty比が50%である電圧を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
合計20バッチで、上側感光体20本および下側感光体20本を製造した。
実施例1と同様の方法で膜厚のバラツキを評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 2013254915
表5の結果からわかるように、電流値Iを所定の値とすることで、各バッチ間の膜厚のバラツキを抑制することができた。
また、α=1.1とした以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を製造した場合においても、各バッチ間の膜厚のバラツキを抑制することができることを実験的に確認できた。
〈実施例3〉
本例においては、実施例1で使用した表1に示す条件に代えて表6に示す条件を使用し、上部注入阻止層形成後一旦放電をOFFにし、表面層形成時に放電を再びONにするようにした。それら以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
表面層形成時の放電開始前に、電極間に印加する電圧の最大値を0Vから400Vまで50V間隔で増加させて、各電圧での電流を測定した。この際、400Vでは放電は観測されなかった。次に、電圧の最大値Vと電流値Iの関係I=f(V)を求めた。f(V)はゼロ(原点)を通る一次直線に近似した。次に、電極間に印加する電圧を400Vから増加させて放電を発生させ、前述した方法で求めた電流値Iが表6に示す値を満たすようにした。なお、本例においては、α=1として電流値Iを求めた。
合計20バッチで、上側感光体20本および下側感光体20本を製造した。
実施例1と同様の方法で膜厚のバラツキを評価した。評価結果を表7に示す。
Figure 2013254915
Figure 2013254915
表7の結果からわかるように、電流値Iを所定の値とすることで、膜厚のバラツキを抑制することができた。
なお、表1〜3および6中の矢印「→」は、左(上)側の値から右(下)側の値に連続的に変化させていることを意味する。
101 反応容器
102A 基体
102B 基体
103A 基体ホルダー
103B 基体ホルダー
104 第二の電極
106 第一の電極
118 電源
120 電流計
121 電源制御部
122 電力伝搬経路

Claims (5)

  1. 電源から周期的に変化する電圧を第一の電極と前記第一の電極に対向する第二の電極との間に印加して、プラズマを生成して、原料ガスを分解して、前記第一の電極または前記第二の電極の一部を構成する基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
    前記プラズマを生成する前は常に、前記電圧の最大値が放電開始電圧の絶対値を超えない範囲で、前記電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求め、
    前記基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成時の電圧の最大値をVとし、電流値をIとし、αを0.9≦α≦1.1とした場合、下記式(1)で定義される電流値Iが所定の値となるように、前記堆積膜形成時の電流値Iを制御する
    =I−α×f(V) ・・・・(1)
    ことを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. プラズマを生成する前は常に、前記電圧の最大値Vを放電開始電圧の絶対値を超えない範囲で変化させて、前記電圧の最大値Vと電流値Iの関係式I=f(V)を求める請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  3. 前記式(1)中のf(V)が一次関数である請求項1または2に記載の堆積膜形成方法。
  4. 前記電圧が矩形波の電圧である請求項1〜3のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
  5. 基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記堆積膜形成工程が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法を用いて行われることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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