JP2013254713A - 固体高分子型燃料電池用膜電極接合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体高分子電解質膜とその両面に設けた電極触媒層とを備え、少なくとも一方の電極触媒層が複数の層からなり、固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下であり、固体高分子電解質膜に接しない電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が、固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量よりも大きい固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
【選択図】図1
Description
近年、上記用途での固体高分子型燃料電池システムの開発が進み、高性能・高耐久化が実現されている。特に家庭用コジェネレーションシステムではエネファームとして実用化されているが、当該システムの普及のためには一層の低価格化が要求されている。その為には当該システムの小型化が必要であり、例えば当該システムの高温運転や加湿器(特にカソード側)の削減が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層、他方の面にはカソード触媒層が設けられ、さらに両面のその外側には一対のガス拡散層が隣接してなる構造を有する。アノード触媒層及びカソード触媒層は、従来、電極触媒を担持させた導電性粒子(例えばカーボンブラック)の粉末と、プロトン伝導性を有するポリマーと、必要に応じて撥水性を有するポリマーとからなる混合物である。膜電極接合体は、前記材料に必要に応じてアルコール等を配合しインク化したものをパーフルオロテトラフルオロエチレン等のフィルム上に塗布乾燥させシート化し、続いて固体高分子電解質膜に前記シートをホットプレスにより接合させる方法や、前記インクを固体高分子電解質膜に、スクリーン印刷法などにより直接塗布しその後乾燥させる方法などによって得られる。
得られた膜電極接合体は、更にガス拡散層、バイポーラプレート、バッキングプレートといった一般的な固体高分子型燃料電池に用いる材料と組み合わせて固体高分子型燃料電池を構成する。
固体高分子型燃料電池は、アノード側には燃料(例えば水素)、カソード側には酸化剤(例えば酸素や空気ガス)をそれぞれ供給し、両電極間を外部回路で接続することにより燃料電池として作動する。すなわち、アノードにおいては、燃料の酸化によりプロトンと電子が生じ、このプロトンは固体高分子電解質膜内を通過してカソード側に移動する。一方、電子は外部回路を通ってカソードに到達する。カソードでは、プロトン及び電子と酸化剤中の酸素により水が生成され、この時電気エネルギーを取り出すことができる。
しかし、これらの微粒子やイオン交換基の濃度が高い電解質樹脂を用いた場合、特に電池の反応が比較的早く進む条件では、アノードからのプロトンの移動に伴う水とカソードでの生成水の量が多くなることにより、カソードの電極触媒層内の空隙部が水により満たされ閉塞してしまう現象(以下、フラッディングと記載)が発生し易くなる。このフラッディング現象が発生すると、電極触媒層の触媒粒子へのガスの供給が妨げられる為、電池の発電性能が急激に低下する問題が生じる。
そのため、前記フラッディング現象を解決する目的で、カソード触媒層を当量重量の異なる電解質樹脂を用いて複層化し、固体電解質膜と接する触媒層に用いるプロトン伝導性ポリマーの当量重量をガス拡散層と接する触媒層に用いるプロトン伝導性ポリマーの平均重量当量よりも低くする方法が提案されている(例えば特許文献4、特許文献5)。
本発明はかかる問題を解決する為になされたものである。すなわち、燃料電池システムを高温で運転する際、高加湿の条件では触媒層内の水の排出能力を向上させフラッディング現象を改善すると共に、低加湿の条件では触媒層の高い保湿効果から高い発電性能を発現する膜電極接合体を提供することを目的とする。
さらに、前記複数の層からなる電極触媒層のうち、所定範囲のEWを有する電極触媒層の厚さを所定範囲とすること、前記複数の層からなる電極触媒層と固体高分子電解質膜を挟んで対極に設置される電極触媒層に用いられるプロトン伝導性ポリマーを、複数の層からなる電極触媒層の固体高分子電解質膜と接する側に用いられているプロトン伝導性ポリマーのEWよりも大きくすること、電極触媒層に用いられるプロトン伝導性ポリマーにパーフルオロスルホン酸重合体を用いることにより、燃料電子システムの高温高加湿及び高温低加湿の条件下での発電性能を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
電極触媒粒子及びプロトン伝導性ポリマーを含み、前記固体高分子電解質膜の両面に設けた電極触媒層と、
を備える固体高分子型燃料電池用膜電極接合体であって、
少なくとも一方の電極触媒層が複数の層からなり、前記複数の層からなる電極触媒層の固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下であり、前記固体高分子電解質膜に接しない電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が、前記固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量よりも大きい、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
[2]プロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下である電極触媒層の厚さの合計が、前記固体高分子電解質膜の両面に設けた前記電極触媒層の全体の厚さの70%以下である、前記[1]に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
[3]前記複数の層からなる電極触媒層と固体高分子電解質膜を挟んで対極に設置される電極触媒層であって固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に用いられるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が、前記複数の層からなる電極触媒層の固体高分子電解質膜と接する側に用いられているプロトン伝導性ポリマーの当量重量よりも大きい、前記[1]又は[2]に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
[4]前記電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーがCOOH基 、SO3H基、PO3H2基、又はPO3H基のうち、少なくとも1種を含有するパーフルオロカーボン重合体である、前記[1]から[3]のいずれか一に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
[5]前記のプロトン伝導性ポリマーがパーフルオロカーボンスルホン酸重合体である、前記[1]から[3]のいずれか一に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
本実施形態の膜電極接合体は、図1に例示するように、固体高分子電解質膜(10)と、前記固体高分子電解質膜(10)の両面に設けた電極触媒層(22、30)とを備える。本実施形態の膜電極接合体は、燃料電池とした場合、アノード側には燃料(例えば水素)、カソード側には酸化剤(例えば酸素や空気ガス)がそれぞれ供給され、両電極間を外部回路で接続することにより燃料電池として作動する。
本明細書で用いる用語「膜電極接合体」は、固体高分子電解質膜の両面に電極触媒層を重ね合わせ、接合したものである。ここで、接合体は、高分子電解質膜上に直接電極インクを塗工する方法や熱処理等の方法により高分子電解質膜と電極触媒層とを接合した形態だけではなく、高分子電解質膜と電極触媒層とを外側から力学的に加圧した状態で把持させた形態をも包含する。
電極触媒層は、燃料電池において電極反応が起こる場所であり、アノード側では、燃料の酸化によりプロトンと電子が生じ、プロトンは後述する固体高分子電解質膜内を通過してカソード側に移動し、電子は外部回路を通ってカソードに到達する。一方、カソード側では、プロトン及び電子と酸化剤中の酸素により水が生成される。
本実施形態の電極触媒層は、前記のような働きから、少なくとも電極触媒粒子及びプロトン伝導性ポリマーを含む。
本実施形態の電極触媒層を構成する電極触媒粒子は、導電性粒子上に触媒粒子が担持されたもの(以下、複合粒子と称することがある)及び触媒粒子単独を包含し、電極触媒層はこれらの粒子が結着した構造を基本骨格としている。
電極触媒粒子は、アノードでは燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生成し、カソードではプロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒である。触媒粒子の種類は限定されないが、好ましくは白金が用いられる。アノードの触媒粒子にはCO等の不純物に対する白金の耐性を強化するために、白金にルテニウム等を添加又は合金化した触媒が好ましく用いられる。
電極触媒粒子の粒子径は限定されないが、製作の容易性の点から10オングストローム以上が好ましく、触媒利用率が高く、得られる電池電圧が高い点から300オングストローム以下が好ましく、15〜100オングストロームがより好ましい。
前記電極触媒粒子は、カーボンブラック等の導電性材料に担持されたもの(複合粒子)でもよい。
前記複合粒子に用いられる導電性粒子は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、各種金属が用いられる。
電極触媒粒子として複合粒子を用いる場合、導電性粒子に対して触媒粒子が、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは10質量%以上90質量% 以下、さらに好ましくは30 質量%以上70質量%以下に担持されていることが好ましい。
電極面積に対する複合粒子(あるいは電極触媒粒子)の担持量は、本発明の効果(具体的には高温低加湿条件での発電特性の向上)の点から電極触媒層を形成した状態で0.001mg/cm2以上が好ましく、コストと性能のバランスの点から、電極触媒層を形成した状態で10mg/cm2 以下が好ましく、より好ましくは0.01mg/cm2以上5mg/cm2以下、さらに好ましくは0.1mg/cm2以上1mg/cm2以下である。
本実施形態の電極触媒層を構成するプロトン伝導性ポリマーは、プロトン伝導性のある官能基を有する重合体である。
プロトン伝導性のある官能基としては、例えばスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基等が挙げられる。ポリマーの骨格としては、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレンのような炭化水素系重合体、パーフルオロカーボン重合体等が挙げられる。耐熱性、耐久性およびガス透過性等の点からパーフルオロスルホン酸重合体が好ましい。前記パーフルオロスルホン酸重合体は、1種以上のパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体と1種以上のパーフルオロビニルエーテル化合物および/または1種以上の不飽和結合を有するパーフルオロ化合物を重合することで得られる重合体等を広く包含する。
プロトン伝導性ポリマーは、耐酸化性や耐熱性に優れた下記式(1)で表されるパーフルオロカーボン重合体が好ましく、より好ましくは、下記式(1)でX4がSO3Hであるパーフルオロカーボンスルホン酸重合体である。
−[CF2CX1X2]a−[CF2−CF(−O−(CF2−CF(CF2X3))b−Oc−(CFR1)d−(CFR2)e−(CF2)f−X4)]g− (1)
(式中X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基、aは0以上20以下の整数、bは0以上8以下の整数、cは0又は1、d、e及びfはそれぞれ独立に0以上6以下の整数(但し、d+e+f>0)、gは1以上20以下の整数、R1及びR2はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上10以下のパーフルオロアルキル基又はフルオロクロロアルキル基、X4はCOOH 、SO3H、PO3H2又はPO3Hである)
前記パーフルオロカーボン重合体の中でも、下記式(2)、式(3)で表されるポリマーが好ましく、式(4)で表されるパーフルオロカーボンスルホン酸重合体がさらに好ましい。
−[CF2CF2]a−[CF2−CF(−O−(CF2)n−SO3H)]g− ( 2 )
( 式中、aは0以上20以下の整数、gは1以上20以下の整数、nは1以上6以下の整数)
−[CF2CF2]a−[CF2−CF(−O−(CF2CF(CF3))m−(CF2)n−SO3H)]g− ( 3 )
( 式中、aは0以上20以下の整数、gは1以上20以下の整数、nは1以上6以下の整数、mは1以上8以下の整数)
−[CF2CF2]a−[CF2−CF(−O−(CF2)2−SO3H)]g− ( 4 )
( 式中、aは0以上20以下の整数、gは1以上20以下の整数)
具体的には、図1に例示するように、固体高分子電解質膜(10)を挟んで対極に設置される電極触媒層(22、30)の少なくとも一方(30)が、固体高分子電解質膜(10)に接する電極触媒層(20)と固体高分子電解質膜(10)に接しない電極触媒層(21)を含む複数の層からなり、前記固体高分子電解質膜(10)に接する電極触媒層(20)のプロトン伝導性ポリマーのEWが250以上650以下であり、かつ前記固体高分子電解質膜(10)に接しない電極触媒層(21)のプロトン伝導性ポリマーのEWが前記固体高分子電解質膜に接する電極触媒層(20)のプロトン伝導性ポリマーのEWよりも大きい。なお、前記括弧書きで記載のある番号は図1中の符号番号を示す(以下、同様)。図1では、本実施形態における複数の層からなる電極触媒層(30)と対極する電極触媒層(22)は単層であるが、複数の層からなってもよい。
前記固体高分子電解質膜(10)に接する電極触媒層(20)のプロトン伝導性ポリマーのEWは、燃料電池の運転中に当該プロトン伝導性ポリマーが溶出するのを抑制し、安定した発電特性を得る点から250以上であり、高温(例えば80℃以上)かつ相対湿度30%以下の低加湿条件下では、燃料電池運転時における電極触媒層の乾燥を抑制し、また高加湿条件下でも生成水の排出性を高め、発電特性を向上する点から650以下であって、好ましくは250以上600以下、より好ましくは250以上550以下ある。
一般に、高温運転で高性能を発現するためにはガス拡散性及びプロトン伝導性の点から、EWの低いプロトン伝導性ポリマーを使用することが望ましいとされるところ、本実施形態では、電極触媒層の少なくとも一方を複数の層とし、かつ前記複数の層のうち、固体高分子電解質膜に接する電極触媒層のプロトン伝導性ポリマーを250以上650以下とすることにより、固体高分子電解質膜に接しない電極触媒層にEWが高いプロトン伝導性ポリマーを使用しても高温低加湿下の発電特性に優れる。
固体高分子電解質膜と接する電極触媒層(20)に用いられるプロトン伝導性ポリマーのEWと固体高分子電解質膜に接しない電極触媒層(21)に用いられるプロトン伝導性ポリマーのEWとの差は特に制限はないが、低加湿条件および高加湿条件でそれぞれ高い発電特性を得る点から100以上であることが好ましく、より好ましくは250以上であり、低加湿条件での発電特性を維持する点から1800以下であることが好ましく、より好ましくは900以下である。
前記複数の層からなる電極触媒層は、固体高分子型燃料電池としたときにカソード側、アノード側のいずれに設けてもよいが、生成水が発生するカソード側で水の排出性がより必要になる点から、カソード側であることが好ましい。
前記複数の層とは対極に形成される電極触媒層をEWの異なるプロトン伝導性ポリマーから形成する場合、そのうち固体高分子電解質膜と接する電極触媒層のプロトン伝導性ポリマーのEWは、燃料電池とした場合の高温下での発電特性の点から、250以上2000以下が好ましく、550以上1100以下がより好ましく、650以上1100以下がさらに好ましい。他方、固体高分子電解質膜と接しない電極触媒層のプロトン伝導性ポリマーのEWは、250以上1100以下が好ましく、250以上650以下がより好ましく、250以上550以下がさらに好ましい。
本実施形態の電極触媒層は、さらに金属酸化物を含有することができる。金属酸化物を含有すると、電極触媒層の保水性を一層向上させることができ、高温での運転条件でも性能を高めることが一層容易となり、好ましい。金属酸化物は特に限定されないが、Al2O3、B2O3、MgO、SiO2、SnO2、TiO2 、V2O5、WO3、Y2O3、ZrO2、Zr2O3及びZrSiO4からなる群から選ばれた少なくとも1つを構成要素とする金属酸化物であることが好ましい。中でもAl2O3、 SiO2、TiO2、ZrO2であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
前記金属酸化物は、保水性向上の点から−OH基を有するものが好ましい。例えばS iO2の場合、SiO2(1−0.25X)(OH)X(0≦X<4)と表されることがある。そのため、保水性が向上すると考える。
金属酸化物を含有する場合の含有率は、電極触媒層の保水性の向上の点から、好ましくは0.001質量%以上であり、高加湿条件でのフラッディング抑制の点から20質量%以下、より好ましくは0 .01 質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0 .1質量%以上5質量%以下である。
金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍〜数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子を確認することができないことを指す。
本実施形態に用いられる電極触媒層には、燃料電池の耐久性を向上させる観点から、ポリイミダゾール系化合物、ポリベンズイミダゾール系化合物、ポリベンゾビスイミダゾール系化合物、ポリベンゾオキサゾール系化合物、ポリオキサゾール系化合物、ポリチアゾール系化合物、ポリベンゾチアゾール系化合物等の環内に窒素原子を1個以上含む複素環化合物又はその重合体;ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル等のチオエーテル基を有する単量体;ポリフェニレンスルフィド(PPS)のようなチオエーテル基を有する重合体;ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと他の1価フェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)、2,6−ジメチルフェノールと2価のフェノール類(例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールA)との共重合体等のポリフェニレンエーテル樹脂;エポキシ基を含有した化合物;セリウムイオンやマンガンイオンのような金属イオンを配合してもよい。これらの化合物ないし金属イオンは単独でも、複数でも配合することが可能である。
本実施形態に用いられる電極触媒層は、高加湿条件でのフラッディング現象を一層抑制し、より高い発電特性を得る観点から、プロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下である電極触媒層の厚さの合計が、電極触媒層の全体の厚さの70%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下である。
本実施形態に用いられる固体高分子電解質膜は、前記プロトン伝導性ポリマーと同じ材料を使用することができる。すなわち、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうちから1種を有するものが好ましい。また、ポリエチレン等のポリオレフィン膜にスルホン酸基やカルボン酸基を有する単量体をグラフト重合反応等で導入した膜も使用可能である。含フッ素膜としては、例えば前記式(1)に示した構造を有する。これらの膜には、より高いEWのフィルムで積層化することにより機械強度を補強する方法の他、ガラス繊維やフィブリル状、織布状、不織布状、多孔質シート状のパーフルオロカーボン重合体やポリオレフィン重合体等で補強することや、膜表面に無機酸化物あるいは金属をコーティングすることにより補強することもできる。
本実施形態に用いられる固体高分子電解質膜には、固体高分子型燃料電池の耐久性を向上させる観点から、ポリイミダゾール系化合物、ポリベンズイミダゾール系化合物、ポリベンゾビスイミダゾール系化合物、ポリベンゾオキサゾール系化合物、ポリオキサゾール系化合物、ポリチアゾール系化合物、ポリベンゾチアゾール系化合物等の環内に窒素原子を1個以上含む複素環化合物又はその重合体;ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル等のチオエーテル基を有する単量体;PPSのようなチオエーテル基を有する重合体;ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと他の1価フェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)、2,6−ジメチルフェノールと2価のフェノール類(例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールA)との共重合体等のポリフェニレンエーテル樹脂;エポキシ基を含有した化合物;セリウムイオンやマンガンイオンのような金属イオンを配合してもよい。これらの化合物ないし金属イオンは単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの膜のEWは、膜の機械強度とプロトン伝導性を両立し、特に燃料電池システムを高温及び低加湿の条件で運転した際に、良好な発電特性を得ることが一層容易となる点から、200以上が好ましく、より好ましくは450以上である。そして、2000以下であることが好ましく、1300以下であることがより好ましい。
次に、膜電極接合体の作製方法について述べる。本実施形態の膜電極接合体の製造方法は特に限定されず、例えば以下の方法により製造できる。
(プロトン伝導性ポリマーの製造)
本実施形態で用いられる電極触媒層や固体高分子電解質膜を構成するプロトン伝導性ポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2011−26566号公報、特開2012−46655号公報、特開2011−40370号公報、国際公開第2011/034179号のパンフレット、特開平7−252322号公報に記載の方法により製造できる。
本実施形態で用いられるプロトン伝導性ポリマーのEWは、パーフルオロカーボンスルホン酸重合体の場合、例えば、フッ化ビニルエーテル化合物とフッ化オレフィンモノマーとの重合比を変えることにより調整でき、例えば、フッ化ビニルエーテル化合物の重合比を大きくすることにより、得られる重合体のEWを小さくすることができる。EWが250〜650のプロトン伝導性ポリマーは、特に限定されないが、例えば特開2010−225585号公報等に記載の製造方法で製造できる。
プロトン伝導性ポリマーは、最終的にプロトン型でなければ充分な伝導性を得ることが困難であるが、接合時における固体高分子電解質膜やプロトン伝導性ポリマーの耐熱性を向上させるために、ナトリウムやカリウム等の一価の金属イオン、あるいは二価、三価の金属に置換して、熱処理を行ない、最終的にプロトン型にすることも有効な方法である。
電極触媒層は、噴霧法、転写法、スクリーン印刷法、ローリング法等、一般的に知られている各種方法により作製が可能である。エタノール等の低級アルコールを主成分とする溶媒に溶解させたプロトン伝導性ポリマー、電極触媒粒子、導電性粒子等の電導性材料、必要に応じて各種添加剤(例えば撥水性ポリマー、金属酸化物、金属イオン、チオエーテル基を含有する化合物、ポリフェニレンエーテル重合体、エポキシ化合物)からなる触媒分散液を充分攪拌した後、例えば転写法では、始めにPTFEのような円滑なシート上に、所定の形状の面積に触媒分散液を塗布・乾燥することにより電極触媒層を形成させる。また、別な形態としては、EWの異なるプロトン伝導性ポリマーを用いた電極インクを調製し、PTFEのようなシート上にそれぞれを重ねて塗工することにより複数積層した電極触媒層とすることもできる。次に、固体高分子電解質膜の両面に、電極触媒層を形成させたシートの触媒層面を膜側にして重ね合わせ、加温・加熱下、電極触媒層を固体高分子電解質膜に接合させる。かかる接合時の圧力及び温度は、固体高分子電解質膜、プロトン伝導性ポリマー、電極触媒粒子、導電性粒子等の電導性材料が相互に充分な密着性を付加される条件から選択されるものである。特に、パーフルオロスルホン酸重合体を固体高分子電解質膜として用いる場合、ガラス転移点以上が好ましく、より好ましい接合温度は120〜200℃である。
またスクリーン印刷法では、エタノール等の低級アルコールを主成分とする溶媒に溶解させたプロトン伝導性ポリマー、電極触媒粒子、電導性材料、必要に応じて各種添加剤(例えば撥水性ポリマー、金属酸化物、金属イオン、チオエーテル基を含有する化合物、ポリフェニレンエーテル重合体、エポキシ化合物)からなる触媒分散液を充分攪拌し電極触媒インクを作製後、スクリーン印刷板上にインクを適量滴下し、スキージ等で固体高分子電解質膜上に直接電極触媒層を塗工する。また電極触媒層の欠点を少なくする目的で、前記電極触媒インクを多数回、固体高分子電解質膜の同じ面に塗工することも可能である。電極触媒インクを多数回塗工することで、電極触媒層が緻密に形成され、燃料電池の性能評価を行う際、良好な性能を得ることが可能となる。また、固体高分子電解質膜に電極触媒インクを塗工する際、異なるEWのプロトン伝導性ポリマーを用いた電極触媒インクを用いることで、複数の電極触媒層を形成させることができる。固体高分子電解質膜の両面に、電極触媒層を形成した後、所望の温度でアニールを実施することで、膜電極接合体を得ることができる。特に、アニール温度については固体高分子電解質膜のガラス転移点以上が好ましく、より好ましいアニール温度は120℃〜200℃である。
電極触媒層を固体高分子電解質膜に接合した後に、さらに電極触媒層支持手段としてカーボンペーパーやカーボンクロス等の電気伝導性多孔質織布・不織布と接合、もしくは重ね合わせることにより、膜電極接合体として燃料電池セルに組み込むことができる。カーボンペーパーやカーボンクロスは、ガス拡散層と同様に、PTFE樹脂を含浸させることにより撥水性を付与しうる。電気伝導性多孔質織布や不織布の空孔率は、物質交換の機能の点から50%以上が好ましい。
本実施形態の膜電極接合体は、ガス拡散層、バイポーラプレート、バッキングプレートといった一般的な固体高分子型燃料電池に用いる材料と組み合わせて固体高分子型燃料電池を構成する。
前記ガス拡散層は、膜電極接合体の両面に設けられる。ガス拡散層は、特に限定されないが、一般に電気伝導性多孔質材料とフッ素系樹脂を含む。電極触媒層内の、ガス加湿あるいは電池反応で生成されたガス状の水や凝縮された水は、撥水性が高く、微細な孔を有する層を毛細管現象によって、速やかにガス拡散層を通過する。
前記フッ素系樹脂は、特に限定されないが、撥水性を有するもの、触媒層内での分散性に優れたものが好ましく、PTFEやEWの高いパーフルオロスルホン酸等のプロトン伝導性ポリマーが用いられる。
前記電気伝導性多孔質材料は、前記電極触媒層で使用可能な複合粒子を構成する導電性粒子として挙げた、カーボンブラック等同じ材料が使用可能である。
ガス拡散層を構成する電気伝導性多孔質材料の比表面積は、特に限定されないが、100m2/g以上2000m2 /g以下であることが、充分なガス透過性とガス拡散層の物理的安定性を両立する観点から好ましい。より好ましくは、200m2/g以上1500m2/g以下である。
電気伝導性多孔質材料とフッ素系樹脂の重量比は、撥水性やガス拡散層の最適な平均細孔直径を得る点から、1以上10以下であることが好ましく、より好ましくは、2以上5以下である。
ガス拡散層の厚みは、撥水性向上の点から0.1μm以上であることが好ましく、水透過抵抗の上昇を抑制し排出をより円滑に行う点やガス拡散層自体の電気抵抗の上昇によるオーム損失の増大を抑制するから500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上400μm以下である。
ガス拡散層の平均細孔直径は、排水性の点から0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
このうちバイポーラプレートは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイト又は樹脂との複合材料、金属製のプレート等のことであり、電子を外部負荷回路へ伝達する他に、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間に膜電極接合体を挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が構成される。燃料電池の運転は、最終的に一方の電極に水素を、他方の電極に酸素又は空気を供給することによって行われる。
尚、本実施形態の膜電極接合体は、燃料電池だけではなくクロルアルカリ電解、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサー、ガスセンサー等に用いることも可能である。
1.当量重量(EW)の測定
高分子電解質を、25℃で飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分
間放置した。次いで、その飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを
指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定した。中和滴定後に得
られたスルホン酸基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている電解質膜を純水で
すすぎ、更に真空乾燥した後に秤量した。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(
mmol)、スルホン酸基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている電解質膜の
質量をW(mg)とし、下記式(A)より当量重量EW(g/eq)を求めた。
EW=(W/M)−22 (A)
膜電極接合体の評価は固体高分子型燃料電池(単セル)を用いて行った。
単セルを燃料電池評価装置(株式会社東陽テクニカ製 燃料電池自動評価システム)に設置し、続いて燃料に水素ガス、酸化剤に空気ガスを用い、下記の高温加湿条件、高温低加湿条件下で発電試験を実施し、0.25A/cm2の電流密度の時のセル電圧を用いて、発電特性を評価した。
・高加湿条件
常圧、セル温度80℃、水素ガス加湿温度80℃、空気ガス加湿温度80℃、水素ガス利用率75%、空気ガス利用率55%
・低加湿条件
常圧、セル温度80℃、水素ガス加湿温度60℃、空気ガス無加湿、水素ガス利用率75%、空気ガス利用率55%
1.電極触媒インク1の調製
電極触媒粒子(複合粒子)としてのPt担持カーボン(田中貴金属(株)社製 TEC10E40E、Pt:37.0重量%)1.00gに対して、22.60重量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー水溶液(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名:SS400C/20、EW=450)1.88g、エタノール10.08gを配合し、ホモジナイザーを用いて攪拌し、均一な電極触媒インクを得た。この電極触媒インクを電極触媒インク1とした。
電極触媒粒子(複合粒子)としてのPt担持カーボン(田中貴金属(株)社製 TEC10E40E、Pt:37.0重量%)1.00gに対して、20.65重量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー水溶液(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名:SS600C/20、EW=650)2.06g、エタノール9.90gを配合し、ホモジナイザーを用いて攪拌し、均一な電極触媒インクを得た。この電極触媒インクを電極触媒インク2とした。
電極触媒粒子(複合粒子)としてのPt担持カーボン(田中貴金属(株)社製 TEC10E40E、Pt:37.0重量%)1.00gに対して、20.86重量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー水溶液(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名:SS700C/20、EW=740)2.04g、エタノール9.92gを配合し、ホモジナイザーを用いて攪拌し、均一な電極触媒インクを得た。この電極触媒インクを電極触媒インク3とした。
電極触媒粒子(複合粒子)としてのPt担持カーボン(田中貴金属(株)社製 TEC10E40E、Pt:37.0重量%)1.00gに対して、10.10重量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー水溶液(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名:SS900C/10、EW=900)4.21g、エタノール7.75gを配合し、ホモジナイザーを用いて攪拌し、均一な電極触媒インクを得た。この電極触媒インクを電極触媒インク4とした。
電極触媒インク1を、膜厚が20μmである固体高分子電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク3を、電極触媒インク1を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が20μmとなるように電極触媒インク1の上から塗布した。同じ手法を用いて電解質膜の反対側の面に電極触媒インク3を、乾燥膜厚が20μmとなるように塗布した。その後、大気雰囲気下、140℃で5分間乾燥させ膜電極接合体を得た。ここで得られた膜電極接合体の、電極触媒層が複層の側をカソードに、反対側をアノードに設置し、ガス拡散層にマイクロポーラス層を具備したカーボンペーパー(SGLグループ(株)社製 GDL35BC)を用いて単セルを組み、前記の測定方法により、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.780V、低加湿条件のセル電圧は0.720Vであった。
電極触媒インク1を、膜厚が20μmである固体高分子電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が20μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク3を、電極触媒インク1を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が10μmとなるように電極触媒インク1の上から塗布した。以下、実施例1と同様な手法で膜電極接合体を得、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.708V、低加湿条件のセル電圧は0.712Vであった。
電極触媒インク1の変わりに電極触媒インク2を用いる以外は全て実施例1と同様な手法で膜電極接合体を作製し、単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.770V、低加湿条件のセル電圧は0.712Vであった。
電極触媒インク1を、膜厚が20μmである固体高分子電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク4を、電極触媒インク1を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が20μmとなるように電極触媒インク1の上から塗布した。以下、実施例1と同様な手法で膜電極接合体を得、単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.740V、低加湿条件のセル電圧は0.700Vであった。
電極触媒インク1を、膜厚が20μmである固体高分子電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク3を、電極触媒インク1を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が20μmとなるように電極触媒インク1の上から塗布した。同じ手法を用いて電解質膜の反対側の面に電極触媒インク3を、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。続いて触媒インク1を、電極触媒インク3を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が10μmとなるように電極触媒インク3の上から塗布した。その後、大気雰囲気下、140℃で5分間乾燥させ膜電極接合体を得た。電極触媒インク1が固体高分子電解質膜に接している電極触媒層がカソード側となるように、実施例1と同様な手法により単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.738V、低加湿条件のセル電圧は0.717Vであった。
電極触媒インク1を、膜厚が20μmである固体高分子電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、電極触媒インク3を塗布しないこと以外は実施例1と同様にして膜電極接合体を作製し、単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.625V、低加湿条件のセル電圧は0.715Vであった。
電極触媒インク3を、膜厚が10μmである電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が20μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク1を、電極触媒インク3を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が20μmとなるように電極触媒インク3の上から塗布した。以下、実施例1と同様な手法で膜電極接合体を得、単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.614V、低加湿条件のセル電圧は0.714Vであった。
電極触媒インク3を、膜厚が20μmである電解質膜(旭化成イーマテリアルズ(株)社製、製品名 イオン交換電解質膜 SF7203)上に、乾燥膜厚が20μmとなるように塗布した。尚、電極触媒インクの塗布には200メッシュのスクリーン(メッシュ工業(株)社製)を具備したスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 LS−150)を用いた。続いて電極触媒インク4を、電極触媒インク3を塗布した同じ面に、乾燥膜厚が20μmとなるように電極触媒インク3の上から塗布した。以下、実施例1と同様な手法で膜電極接合体を得、単セルを組み、燃料電池の発電特性を測定したところ、高加湿条件のセル電圧は0.740V、低加湿条件のセル電圧は0.620Vであった。
20 電極触媒層
21 電極触媒層
22 電極触媒層
30 電極触媒層(複数の層からなる電極触媒層)
40 ガス拡散層
41 ガス拡散層
Claims (5)
- 固体高分子電解質膜と、
電極触媒粒子及びプロトン伝導性ポリマーを含み、前記固体高分子電解質膜の両面に設けた電極触媒層と、
を備える固体高分子型燃料電池用膜電極接合体であって、
少なくとも一方の電極触媒層が複数の層からなり、前記複数の層からなる電極触媒層の固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下であり、前記固体高分子電解質膜に接しない電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が、前記固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーの当量重量よりも大きい、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。 - プロトン伝導性ポリマーの当量重量が250以上650以下である電極触媒層の厚さの合計が、前記固体高分子電解質膜の両面に設けた前記電極触媒層の全体の厚さの70%以下である、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
- 前記複数の層からなる電極触媒層と固体高分子電解質膜を挟んで対極に設置される電極触媒層であって固体高分子電解質膜に接する電極触媒層に用いられるプロトン伝導性ポリマーの当量重量が、前記複数の層からなる電極触媒層の固体高分子電解質膜と接する側に用いられているプロトン伝導性ポリマーの当量重量よりも大きい、請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
- 前記電極触媒層に含まれるプロトン伝導性ポリマーがCOOH基 、SO3H基、PO3H2基、又はPO3H基のうち、少なくとも1種を含有するパーフルオロカーボン重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
- 前記のプロトン伝導性ポリマーがパーフルオロカーボンスルホン酸重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
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