JP2013254585A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量の低下を抑えることで、エネルギー密度の高い非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正極集電体(12)及び該正極集電体に配された正極活物質層(11)を有する正極(1、10、100)と、前記正極に対向して配置され、負極集電体(22)及び該負極集電体に配された負極活物質層(21)を有する負極(2)と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液(3)と、を備える非水電解液二次電池(B1)において、前記正極(10)は、前記正極集電体の表面であって前記負極と対向しない表面(12b)に、充放電双方に対して可逆的に電子を授受する電子授受化合物が配されている。
【選択図】図1
【解決手段】正極集電体(12)及び該正極集電体に配された正極活物質層(11)を有する正極(1、10、100)と、前記正極に対向して配置され、負極集電体(22)及び該負極集電体に配された負極活物質層(21)を有する負極(2)と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液(3)と、を備える非水電解液二次電池(B1)において、前記正極(10)は、前記正極集電体の表面であって前記負極と対向しない表面(12b)に、充放電双方に対して可逆的に電子を授受する電子授受化合物が配されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
近年の携帯用パソコン、ハンディビデオカメラ等の携帯電子機器の普及に伴い、高電圧、高エネルギー密度を有する非水電解液二次電池が電源として広く用いられるようになってきている。また、環境問題の観点から、電気自動車や、電力を動力の一部に利用したハイブリッド車が実用化されてきている。
この非水電解液二次電池のうち、正極にリチウム含有金属酸化物等、負極に炭素材料等を用いたリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有する二次電池として種々の電子機器に利用されている。そして、リチウムイオン二次電池には、さらなる高エネルギー密度化等の高性能化が期待されている。
この高性能化を達成する蓄電デバイスとして、特許文献1には、リチウムイオン二次電池において、積層型の電極ユニットの負極の集電体の一方面に、リチウムイオン供給層として機能する金属リチウムを配した構成のものが開示されている。
しかし、予め金属リチウムを配する方法では、金属リチウムが電解液中に溶解する使用初期でのリチウムイオンの供給に限られ、一時的な高容量化は可能だが、充放電を繰り返す2サイクル目以降の経時的な容量劣化を免れないという問題があった。
また、金属リチウムが電解液中に溶解することで、電池のエネルギー密度が低下するという問題もあった。
本発明は、上記実情に鑑み完成したものであり、容量の低下を抑えることで、エネルギー密度の高い非水電解液二次電池を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明者は非水電解液電池について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
請求項1に記載の本発明の非水電解液二次電池は、正極集電体及び該正極集電体に配された正極活物質層を有する正極と、前記正極に対向して配置され、負極集電体及び該負極集電体に配された負極活物質層を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液と、を備える非水電解液二次電池において、前記正極は、前記正極集電体の表面であって前記負極と対向しない表面に、充放電双方に対して可逆的に電子を授受する電子授受化合物が配されていることを特徴とする。
正極は、充放電双方に対して可逆的に電子を授受する電子授受化合物を有しており、電子授受化合物が授受する電子が電解液中のイオンとの間で反応を生じる。つまり、正極では、正極活物質における電極反応だけでなく、電子授受化合物も反応を生じる。特に、電子授受化合物が電子を放出する反応を生じると、電解液中のイオンを正極又は負極活物質中に固定することができる。
その上で、電子授受化合物は、正極の表面であって、負極と対向していない表面に配される。このことは、電子授受化合物が、正極の表面のうち、負極と対向する表面に配されないことを示す。電子授受化合物自身は、正極活物質とは異なっており、電極反応を生じない。そして、二次電池において、正負両極の互いに対向する表面は、電解液中のイオンの授受を最も生じる表面である。この互いに対向した表面に、電極活物質とは異なる化合物を配すると、電極反応に寄与する電極活物質量が減少し、結果として、二次電池の特性(電池容量やエネルギー密度)の低下を生じさせる。
本発明のように、電子授受化合物が、正極の表面であって、負極と対向していない表面に配されることで、電池性能の低下を生じさせることなく、電子授受化合物を正極に配することの効果を得られる。
なお、本発明において対向して配置される正極と負極は、対向した状態の両極間で電解液中のイオンの移動ができる状態であればよく、両極の間にセパレータを配していてもよい。
本発明の非水電解液二次電池においては、電子授受化合物は、正極活物質よりも卑な酸化電位又は/及び還元電位を有することが好ましい。
電子授受化合物が、正極活物質よりも卑な酸化電位又は/及び還元電位を有することで、非水電解液二次電池の正極の電位が正極活物質の電位(すなわち、電極反応を生じる電位)になったときに、電子の授受(放出)が完了している。すなわち、正極の電位が正極活物質の電位となったときに、電解液中のイオンが電子を受け取って、正極または負極に配された状態となっている。つまり、正極活物質が、より多くの電極反応を生じることができ、電池容量が高くなる。
具体的には、本発明の非水電解液二次電池は、正極の電位が高くなっていくと、まず、電子授受化合物の酸化電位に到達し、電子授受化合物が電子を放出する。放出された電子は、外部回路を介して負極に到達し、負極活物質表面または活物質中で電解液中のイオンを還元する。還元されたイオンは負極活物質の周囲及びその結晶構造中に含まれ、電池容量を発現可能となる。
正極の電位がさらに高くなると、正極活物質が電極反応を生じる電位に到達する。この電位で、正極活物質が電極反応を生じる。このとき、負極はすでにイオンが含まれており、より多くの電極反応を生じることができる。すなわち、本発明の非水電解液二次電池は、電池容量が高くなる。
正極が、高い電位から電子授受化合物の還元電位まで低下すると、上記とは逆の現象が生じるが、正極活物質の反応が優先して起こり、その後に電子授受化合物の反応が起こる。すなわち、正極活物質が反応する電位範囲において電子授受化合物は充電状態のまま維持されており反応に寄与しない。
この電子授受化合物は充電状態で維持されているため、電解液との反応などの局部電池反応により放電状態に戻ることが可能である。この放電状態の電子授受化合物は再びイオンを供給し電池容量を増加することができる。
更に、本発明の非水電解液二次電池は、正極が、板状の正極集電体の表面であって負極と対向する一方の表面に正極活物質層を配し、他方の表面に電子授受化合物層を配していることが好ましい。ここで、他方の表面に配される電子授受化合物層は、正極集電体の他方の表面上にもうけられた、電子授受化合物を含有する層状の部材である。
この構成では、正極を板状とすることができ、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。このとき、負極も、板状の負極集電体の表面に負極活物質層を配した、同様な板状をなすことが好ましい。
さらに、対向して配置される電子授受化合物を有する板状の正極は、従来の正極と同様のサイズとすることができる。つまり、従来の板状の正極と置換するだけで、本発明の非水電解液二次電池を実施することが可能となる。さらに、従来の板状の正極の他方の表面の正極活物質層を電子授受化合物層と置換するだけで、本発明の非水電解液二次電池を実施することが可能となる。
一方の表面に配される正極活物質層は、一方の表面の全面に配されることが好ましい。また、他方の表面に配される電子授受化合物層についても、他方の表面の全面に配されることが好ましい。ここで、活物質層及び電子授受化合物層が形成される集電体の表面の全面とは、板状の集電体の表面において活物質層を形成できる領域の全面を示す。
また、正極活物質層と電子授受化合物層とを有する正極に、電解液に含まれるイオンが通過する貫通孔を形成することが好ましく、特に、電子授受化合物層側から正極活物質層側にイオンが移動して、正極または負極活物質に供給される。つまり、より多くの電極反応を生じさせることができる。
本発明の非水電解液二次電池は、積層方向の少なくとも一方の端部を正極が形成した状態で、正極と負極が交互に積層した積層型の二次電池としても良い。この場合、積層方向の少なくとも一方の端部を正極が形成することで、当該端部の端面に、電子授受化合物を配することができる。ここで、積層型の二次電池を形成した時に、積層方向の少なくとも一方の端部を形成する正極以外の構成、つまり負極に挟まれた状態の正極は、従来の積層型の二次電池と同様に積層方向の両面に正極活物質層を有することが好ましい。
本発明の非水電解液二次電池は、上記した構成以外は、従来公知の非水電解液二次電池と同様の構成とすることができる。
また、本発明の非水電解液二次電池は、非水電解液二次電池として知られている二次電池であれば、その種類は限定されるものではない。本発明の非水電解液二次電池は、非水電解液中にリチウムイオンが含まれるリチウムイオン二次電池であることが好ましい。
以下、本発明に係る非水電解液二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池について具体的に記す。
リチウムイオン二次電池では、正極、負極において、層構造の電極活物質の層間にリチウムイオンを可逆的に取込み又は放出することで電極反応が進行する。この反応は、インターカレーション又はデインターカレーション反応ともいう。
充電時には、正極では正極活物質(例えば、リン酸鉄リチウム)から電子が放出されるとともに、層状の正極活物質の構造中のリチウムが電解液中にイオンとしてデインターカレーションされる。負極では電解液中のリチウムイオンが電子を得て、負極活物質(例えば黒鉛)の構造中にリチウムがインターカレーションされる。放電時には逆に、負極活物質からデインターカレーションされたリチウムが正極活物質の構造中にインターカレーションされる。つまり、リチウムイオン二次電池における電池反応は、リチウムが酸化還元されながら正極と負極の間を移動する反応といえる。
そして、電池容量は、インターカレーション(又はデインターカレーション)可能な活性なリチウムイオンの物質量による。つまり、リチウムイオン二次電池においては、正極活物質からデインターカレーション可能なリチウムイオンの量が多くなるほど、電池容量が大きくなる。そして、本発明では、正極の電子授受化合物が電子を放出すると、放出された電子は外部回路を介して負極に到達し、負極の周囲のリチウムイオンを還元して層構造中に固定する(リチウムがインターカレーションされる)。その結果、負極でデインターカレーション可能なリチウムの物質量を担保できて、電池容量が高くなる。
また、先行技術では、金属リチウムを配しているが、電解液に溶解すると、そのリチウムがあった部分が隙間となる。そうすると、電池内に隙間ができ、イオンの移動距離が長くなり、内部抵抗の増加を招く。また、振動などにより電極のズレが生じると、電極活物質が(物理的に)損傷を生じる等の不具合が発生する。
対して、本発明では、電子授受化合物が残留するため、そのような電極のずれが生じない。つまり、上記の不具合が生じない。
更に、金属リチウム自体が、禁水性や強塩基性、短絡熱暴走等の観点から危険性の高い活物質なので、従来技術の直接に金属リチウムを取扱う電池と比較すると安全性が高い。
(電子授受化合物の動作)
まず、本発明の電子授受化合物の作用・効果を、後述する構成の本実施形態のリチウムイオン二次電池B1(図1参照)及び図2を用いて具体的に説明する。図2は、リチウムイオン二次電池B1の充電量と、外層の正極10の電位の関係を太い線(実線+破線)で模式的に示した図である。つまり、図2は、充電量が少ない領域を拡大して示している。なお、後述する通り、本実施形態のリチウムイオン二次電池B1では、上述の正極活物質としてLiFePO4を、電子授受化合物としてポリアニリンを、負極活物質としてグラファイトを使用する。
まず、本発明の電子授受化合物の作用・効果を、後述する構成の本実施形態のリチウムイオン二次電池B1(図1参照)及び図2を用いて具体的に説明する。図2は、リチウムイオン二次電池B1の充電量と、外層の正極10の電位の関係を太い線(実線+破線)で模式的に示した図である。つまり、図2は、充電量が少ない領域を拡大して示している。なお、後述する通り、本実施形態のリチウムイオン二次電池B1では、上述の正極活物質としてLiFePO4を、電子授受化合物としてポリアニリンを、負極活物質としてグラファイトを使用する。
リチウムイオン二次電池B1を組み立て、初期充電(初回充電)を定電流で行う。
充電を開始すると、外層の正極10の電位は充電量の増加とともに上昇する。なお、充電が進むと、図2の紙面の左から右方向に変化する。
さらに充電が進行して外層の正極10の電位が高くなっていくと、外層の正極10の電位は、電子授受化合物層13中の電子授受化合物であるポリアニリンの酸化電位Vbの近傍に到達する。この電位Vbは、正極活物質の電極反応を生じる電位よりも明らかに低い電位である。そして、電位Vbに到達すると、ポリアニリンは電子を放出し、外部回路を介して負極活物質層21がその電子を受け取る。この電子により電解液中のリチウムイオンが還元され負極活物質層21中にインターカレーションされる。
この時、還元されるリチウムイオンは、貫通孔12c、正極活物質層11、セパレータ7を通過して、容易に負極活物質層21に移動できる。そして、負極活物質層21にインターカレーションされたリチウムは、デインターカレーション可能なリチウムとなる。すなわち、インターカレーションしたリチウムにより、負極活物質はより多くのリチウムを含有する。すなわち、電池容量が増加する。
さらに充電が進行して外層の正極10の電位が高くなっていくと、外層の正極10の電位は、正極活物質層11中の正極活物質が電極反応を生じる電位Vaの近傍に到達する。この電位Vaに到達すると、正極活物質は、層構造中にインターカレーションしているリチウムを電子とともに放出する電極反応を生じる。すなわち、リチウムイオン二次電池の充電量が増加する。
このように、リチウムイオン二次電池B1では、正極活物質の酸化電位Vaに到達したときには、ポリアニリンから電子を受取ったリチウムが既に負極活物質に挿入された状態となっており、より多くの物質量のリチウムに充電時の電極反応を生じさせることができ、電池容量が高くなる効果を発揮する。
なお、リチウムイオン二次電池は、外層の正極10の電位が正極活物質の酸化電位Vaにある状態で使用される。すなわち、正極1の電位が図2のQ1とQ2との間にある状態で充放電が繰り返される。このため、リチウムイオン二次電池が使用される条件では、電子授受化合物層13中の電子授受化合物が電池の反応(及び電池性能)に寄与しない。
この電子授受化合物は局部電池反応などで放電されることにより再びリチウムイオンを供給することが可能である。
なお、図2中、外層の正極10の電位は、実線で示した部分はポリアニリンに起因し、破線で示した部分は正極活物質に起因する。つまり、電子授受化合物層13を有していない内層の正極100は、図2の破線(太い破線と細い破線)で示した電位変化を生じる。
また、本実施形態では、正極活物質層11と電子授受化合物層13とが、外層の正極10の板状の正極集電体12の両面に配されている。従って、LiFePO4を含有する合材中にポリアニリンを混合した活物質層を形成する場合と比較して、充放電反応に寄与しないポリアニリンが正極活物質層11にいないため、正極活物質層11の容量増加しエネルギー密度を向上させる。
また、LiFePO4合材とグラファイト合材とは、正負の各集電体12、22の両面の全面にそれぞれ塗布可能で、ポリアニリン合材も、正極集電体12の片面に同様に全面に塗布でき、しかも正負の各集電体12、22が共に同様の板形状に形成されている。従って、それぞれの活物質、化合物の反応面積を最大限に確保できる。
更に、電極ユニットUが、同様の板形状の正極1と負極2を揃えて交互に積層した構成なので、電極配置の観点からは、ポリアニリンの電子授受機能を担保しながら、LiFePO4とグラファイトとの各正負の活物質が無駄なく電極反応に寄与できる。従って、電池のエネルギー密度を高めることができる。
また、正極100と負極2とを交互に積層した電極ユニットUの上下の両端部に、電子授受化合物層13を有する外層の正極10が配置され、電子授受化合物層13は、負極と対向しない他方の面12bに配されている。
上記の構成では、従来型の電子授受化合物層13を有さない正極と負極とよりなる同様の電極ユニット対しても、ユニットの両端部に同様の板形状の外層の正極10を積層挿入して本実施形態のリチウムイオン二次電池B1とする加工を容易に行える。なお、電子授受化合物層13を有さない正極の他方の表面の正極活物質層11を、電子授受化合物層13と置換する加工も可能である。
また、電子授受化合物層13は、負極2と対向する表面に配されていないので、全ての負極2の負極活物質層21は、内層の正極100又は外層の正極10のいずれかの正極活物質層11が配された面と対向する。ポリアニリン自身は、負極2と対向する面に配されていないためLiFePO4とは異なって電極反応を生じない。従って、電池性能の低下を生じさせることなく、ポリアニリンの機能を発揮できる。つまり、正負両極の互いに対向する表面は、電解液中のリチウムイオンの授受を最も生じる表面であるところ、電極活物質とは異なるポリアニリンを配すると、電極反応に寄与する電極活物質量が減少するおそれがあるが、これを回避できる。
更に、電子授受化合物を混合した活物質合材を用いる場合には、例えば1つの活物質の特性により内部抵抗を十分に低下させられなかったり、電池性能の低下を招きかねないが、本発明では、LiFePO4とポリアニリンとが、正極集電体の両面にそれぞれ個別に配される構造なので、正極におけるこれらの悪影響を回避できる。
また、リチウムイオン二次電池B1では、配置された金属リチウムが溶解する構成と異なり、充放電を繰り返してもポリアニリンを含有する電子授受化合物層13はそのまま残留する。よって、電極ないし電池内部に隙間が生じないので、内部抵抗の増加や、振動などにより電極がずれて物理的な損傷が生じる等の不具合を回避できる。
(実施形態のリチウムイオン二次電池B1の説明)
以下、本発明の一実施の形態であるリチウムイオン二次電池B1の具体的な構成ついて説明する。図1に模式的に示す通り、リチウムイオン二次電池B1は、電池容器(図示せず)の内部に積層型の電極ユニットUを電解液とともに収納した構成である。
(実施形態のリチウムイオン二次電池B1の説明)
以下、本発明の一実施の形態であるリチウムイオン二次電池B1の具体的な構成ついて説明する。図1に模式的に示す通り、リチウムイオン二次電池B1は、電池容器(図示せず)の内部に積層型の電極ユニットUを電解液とともに収納した構成である。
電極ユニットUは、所定の数の板状の正極1と負極2とが、それぞれの活物質層11,21が対向した状態でセパレータ7を介して交互に積層された構成である。そして、電極ユニットUは、積層方向Lに沿った上下の各両端部を正極1、10が形成している。すなわち、負極2の数をnとすると、正極1の数はn+1となっている。正極1は、両端部のそれぞれに配された外層の正極10と、それ以外の内層の正極100と、からなる。
各内層の正極100は、板状の正極集電体12の両面のそれぞれに正極活物質層11が配された構成で、正極全体として所定の肉厚の板形状をなす。正極活物質層11は、後述する正極活物質を含有する。また、各負極2も正極と同様な板形状で、それぞれ同様に負極集電体22と、その両面に配された負極活物質層21とを備えている。負極活物質層21は、後述する負極活物質を含有する。電極ユニットUにおいて、正極100と負極2とは、それぞれの活物質層11,21が対向した状態で積層されている。
そして、両端部を形成する外層の正極10は、内層の正極100と同一の板形状をなし、正極集電体12のうち一方の面12aには正極活物質層11が、他方の面12bには電子授受化合物層13が配されている構成である。電子授受化合物層13は、後述する電子授受化合物を含有する。外層の正極10は、正極活物質層11が配された一方の面12aを負極2と面対向させて配置されている。すなわち、電子授受化合物層13が配された他方の面12bは、負極2と面対向させずに配置されている。
また、外層の正極10における正極集電体12には、所定径の多数の貫通孔12cが形成されている。電子授受化合物層13近傍の電解液中のリチウムイオンが、正極集電体12を通過して、正極活物質層11が配された背面に容易に到達可能とするためである。
さらに、それぞれの正極集電体12は正極端子41に電気的に接続され、それぞれの負極集電体22は負極端子51に電気的に接続されている。なお、正極端子41及び負極端子51には、リチウムイオン二次電池B1の充放電状態を適正に制御可能な二次電池システムに接続されている。制御方法は高電位や高温に保持して電子授受化合物の局部電池反応による放電を促進してもよい。
正極集電体12及び負極集電体22は、箔状に成形された導電性の材料よりなる。導電性の材料は特に限定されるものではなく、従来公知の材質よりなる集電体を用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等を用いることができ、本実施形態では、正極集電体12にはアルミニウム箔が、負極集電体22には銅箔が用いられている。
正極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・離脱することが可能な金属硫化物、金属酸化物または高分子化合物等の正極活物質を含有する正極活物質合材で構成される。正極活物質合材は、正極活物質、結着剤、導電材、溶媒等を混合してペースト状にしたもので形成され、正極活物質層11は、正極活物質合材を正極集電体12の表面に塗布、乾燥して形成した塗工層である。塗工層は、乾燥後にプレス等により圧縮してもよい。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと記す)、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、スチレンブタジエンラバ−(以下、SBRと記す)、ニトリルブタジエンラバー(以下、NBRと記す)等が用いられる。導電材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が用いられる。溶媒としては、カーボネート類が用いられる。
また、正極活物質になり得る物質のうち金属酸化物としては、リチウム金属複合酸化物が用いられ、金属としては、例えばコバルト、ニッケル、マンガン、鉄、亜鉛、クロム、チタン、ケイ素のうちで一以上の金属元素、あるいはリンやホウ素などの非金属元素が該当する。また、高電位、高容量、耐久性などの要求特性により、リチウム・鉄複合酸化物、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル酸化物などのリチウム複合酸化物を選定するのが望ましい。
本実施形態の正極活物質層11は、正極活物質としてLiFePO4(リン酸鉄リチウム)を80質量部含有し、上記のPVDFの10質量部、アセチレンブラックの10質量部を含有する正極活物質合材から形成される。正極活物質層11は、内層の正極100の正極集電体12の両面上に、及び、一対の各外層の正極10の片面上であって、負極2と対向する一方の面12a上に配されている。
そして、本実施形態の電子授受化合物層13は、正極活物質層11と同様に、電子授受化合物、結着剤、導電材、溶媒等を混合してペースト状にした化合物合材で形成され、化合物合材を正極集電体12の表面上に塗り付け、後に乾燥、プレス等して形成した塗工層である。
ここで、電子授受化合物層13に含有される電子授受化合物としては、二次電池システムから付与される所定の充放電電位の範囲内で酸化(又は/及び還元)されて電子を放出(受け取り)可能な化合物が用いられる。しかも正極活物質よりも、卑な電位で酸化(又は/及び還元)される化合物が好ましい。
本実施形態では、正極活物質層11に含有されるLiFePO4が、充電時にリチウムイオンを離脱する(=電子を放出する=酸化される)際の電位を基準として、これより卑な電位で電子を放出可能な化合物であればよい。前述した通り、充電の際の未だ定格の充電電位に到達しない段階で、電子授受化合物由来のリチウムのインターカレーションを行うためである。本実施形態では、電子授受化合物としてポリアニリンが用いられる。但し、これに限られることなく、LiFePO4に対する他の電子授受化合物としては、キノン化合物、活性炭、ケイ素金属、スズ合金等を例示することができる。
また、充電時同様に放電時にも、LiFePO4がリチウムイオンを吸蔵する(=電子を受取る=還元される)際の電位を基準として、これより卑な電位で電子を受け取り可能な化合物であればよりよい。ポリアニリンが好ましく、キノン化合物、活性炭、ケイ素金属、スズ合金等も同様に該当する。
本実施形態の電子授受化合物層13は、電子授受化合物としてポリアニリンを70質量部含有し、PVDFの15質量部、アセチレンブラックの15質量部を含有する化合物合材から形成される。電子授受化合物層13は、一対の各外層の正極10の正極集電体12の負極2と対向しない他方の面12b上に配されている。
負極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の負極活物質を用いることができる。例えばリチウムイオンを吸蔵・脱離できる化合物や、これらの化合物を組み合わせて用いることができる。リチウムイオンを吸蔵・脱離できる化合物としては、リチウム等の金属材料、ケイ素、スズ等を含有する合金材料、グラファイト、コークス、有機高分子化合物、非晶質炭素等の炭素材料をあげることができる。これらの活物質は単独で用いるだけでなく、これらを複数種類混合して用いることもできる。
負極活物質層21は、上述した正極活物質層と同様に、負極活物質や結着剤等を含有する負極活物質合材を、負極集電体22の両面上に塗り付けた後に乾燥、プレス等して形成した塗工層で形成される。なお、負極活物質として金属リチウムを用いる場合には、銅等の金属からなる集電体の表面に金属リチウムを圧着することで形成できる。
本実施形態の負極活物質層21は、負極活物質としてグラファイトを98質量部、結着剤としてSBRの1質量部、溶媒としてカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと記す)1質量部を含有する負極活物質合材から形成される。
電解液は、特に限定されるものではなく、リチウムイオンが正(負)極から負(正)極に移動する際の通り道であればよく、従来公知の電解液を用いることができる。例えば、溶媒に電解質塩を溶解させた溶液、自身が液体状であるイオン液体、そのイオン液体に対して更に電解質塩を溶解させた溶液などが該当する。なお、本明細書中での「電解液」とは、上記の液体状のものだけでなく、公知の固体ないしゲル状の電解質等も含む。本実施形態では、リチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒からなる電解液とすることができる。
有機溶媒としては、非水電解液に通常用いられているものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができるが、環状カーボネート化合物、環状エステル化合物、スルホン又はスルホキシド化合物、鎖状カーボネート化合物、鎖状又は環状エーテル化合物、及び鎖状エステル化合物からなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。特に、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物をそれぞれ1種以上含有することが好ましい。
具体的には、環状カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が、鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート等が挙げられる。
電解質塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、これらの無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、及びLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)等から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが望ましい。なお、電解質塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じて電解質塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。上記電解質塩は、電解液中の濃度が、0.1〜3.0モル/リットル、特に0.5〜2.0モル/リットルとなるように、上記有機溶媒に溶解することが好ましい。
また、イオン液体としては、通常リチウム二次電池の電解液に用いられるイオン液体であれば特に限定されるものではなく、例えば、カチオン成分としては、導電性の高い1−メチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、ジメチルエチルメトキシアンモニウムカチオン等が挙げられ、アニオン成分としは、BF4 −、LiN(SO2C2F5)2 −等を挙げることができる。
セパレータ7は、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。なお、セパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極及び負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
(リチウムイオン二次電池の構成要素の説明)
以下、前述したリチウムイオン二次電池B1等の非電解水二次電池の構成要素について、特に正極について詳細に説明する。
(リチウムイオン二次電池の構成要素の説明)
以下、前述したリチウムイオン二次電池B1等の非電解水二次電池の構成要素について、特に正極について詳細に説明する。
正極は、正極集電体とこれに一体となる正極活物質層とを有している。正極活物質層は、粉末状、粒状、短繊維状等に形成された活物質、導電剤及び結着剤からなる正極活物質合材を適用な溶媒に懸濁させて混合し、スラリーとしたものを正極集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥することで作製することができる。
正極活物質としては、リチウムイオン等の軽金属イオンを可逆的に吸蔵・離脱できるものであれば特に限定されることはなく、従来公知の種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子等が用いられる。そして、正極活物質とは酸化及び/又は還元電位の異なる電子授受化合物を選択する。正極活物質合材よりなる正極活物質層を備えた正極を形成し、加えて、電子授受化合物合材よりなる電子授受化合物層を備えた正極を形成する。この際、1つの正極に異なる合材を使用する場合は、正極集電体の両面に個別に配することができる。
正極活物質としては、具体的には、例えば以下の物質が挙げられる。LiFePO4、LiMnPO4、Li2MnSiO4、Li2MnxFe(1−x)SiO4、MnO2、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2、Li(1−x)MnO2、Li(1−x)Mn2O4、Li(1−x)CoO2、Li(1−x)NiO2、LiV2O3、V2O5、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリチオフェン、ポリピロール、及びそれらの誘導体、安定ラジカル化合物。なお、「x」は0〜1の数を示す。
また、金属酸化物系の物質には、Li、Mg、Al、またはCo、Ti、Nb、Cr等の遷移金属を添加または置換した材料等であってもよい。また、これらのうちリチウム−金属複合酸化物を単独で用いるばかりでなく、これらを複数種類混合して用いることもできる。このなかでもリチウム−金属複合酸化物としては、層状構造またはスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物及びリチウムコバルト含有複合酸化物のうちの1種以上であることが好ましい。
本発明の非水電解液二次電池においては、正極活物質として、LiFePO4といったポリアニオン型のものを用いることが最も好ましい。ここで、ポリアニオン型の正極活物質が、例えば高速充電に向いていない等の特性を有している場合でも、卑な電位で電子放出する電子授受化合物によるリチウムの固定でこれを補える。LiFePO4に対して卑な酸化電位を有する電子授受化合物としては、ポリアニリン、キノン化合物、活性炭、Si合金、Sn合金等が挙げられ、ポリアニリンが特に好ましい。また、放電時にLiFePO4よりも卑な還元電位を有する電子授受化合物としては、同様に、ポリアニリン、キノン化合物、活性炭、Si合金、Sn合金等が挙げられる。
負極は、正極と同様に作製することができる。負極の活物質としては、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、放電時には放出する化合物を用いることができる。この活物質は、その材料構成で特に限定されるものでなく、公知の材料、構成のものを用いることができる。具体的な活物資については前述したが、黒鉛などの容量を発現する物質を特に挙げることができ、より具体的には、短周期型周期表における4B族の金属元素、或いは半金属元素の単体又は合金であるケイ素、スズ等を挙げることができる。
電極ユニットは、上記の正極及び負極を交互に対向配置しながら積層して構成する。本実施形態のリチウムイオン二次電池B1では、積層された上下の両端部の外層電極が正極で、両面で異なる正極活物質層と電子授受化合物層とを有しており、卑な電位で酸化還元される化合物の側が負極と対向しない外層に配される例を示したが、本発明の構成はこれに限られない。例えば、電極ユニットは積層型に限られず、正極活物質層及び電子授受化合物層を両面に備えた1つの正極と1つの負極とよりなる電極でも構わない。また、電子授受化合物層を備えた正極は、必ずしも外層に配置されなくとも構わない。
上記したリチウムイオン二次電池B1では、電極ユニットUの積層方向Lの両端部に外層の正極10、10を配しているが、一方の端部のみに外層の正極10を配し、他方の端部は負極2が配された構成でもよい。
また、リチウムイオン二次電池B1では、電極ユニットUを電池容器(図示せず)に収納するときに、電池容器と電極ユニットUとの接触を規制する部材を配していてもよい。この部材としては、たとえば、セパレータをあげることができる。
本実施形態としてリチウムイオン二次電池B1について説明したが、本発明に係る金属イオンは、電解液中で電気伝導を担えるイオンになり得るものなら、リチウムに限られない。本発明の非水電解液二次電池は、上記の要素以外に、その他必要に応じた要素からなる。本発明の非水電解液二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。また、本発明の非水電解液二次電池のケースについても限定されるものではなく、金属製、樹脂製のその外形を保持できるケース、ラミネートパック等の軟質のケース等、種々の形態の電池として使用できる。
本発明の非水電解液二次電池は、その製造方法が限定されるものではなく、従来公知の非水電解液二次電池の製造方法と同様に製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。本発明の非水電解液二次電池の実施例として、コイン型のリチウムイオン二次電池B2を作成した。なお、以下の実施例は、本発明を具体的に実施した一つの形態を示すものであり、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
(ポリアニリン水分散液の合成)
アニリン100mmol及びドーパントとしてポリスチレンスルホン酸100mmol、反応触媒として塩化ルテニウム(III)0.1mmol、反応促進剤としてピリジン0.1mmolをイオン交換水150gに投入し、40℃に加温してよく撹拌混合した。この溶液に30%過酸化水素水11.3gを撹拌しながらゆっくりと添加し、40℃で4時間反応させることで、均一な緑色のポリアニリン水分散液を得た。
アニリン100mmol及びドーパントとしてポリスチレンスルホン酸100mmol、反応触媒として塩化ルテニウム(III)0.1mmol、反応促進剤としてピリジン0.1mmolをイオン交換水150gに投入し、40℃に加温してよく撹拌混合した。この溶液に30%過酸化水素水11.3gを撹拌しながらゆっくりと添加し、40℃で4時間反応させることで、均一な緑色のポリアニリン水分散液を得た。
この分散液の粒子径を粒度分布測定装置(SALD3100、島津製作所)で測定したところ、50%累積粒径は20μmであった。また、この分散液を乾燥することにより、均一なポリアニリン粉末が得られ、抵抗率計(三菱化学アナリテック(株)製MCP−PD51)を用いて表面抵抗値を測定したところ1.6×10-2Ωcm(1000kgプレス)であった。
(実施例1)
(正極)
(LiFePO4合材の作製)
正極活物質としてLiFePO4を80質量部、バインダーとしてPVDFを10質量部、導電材としてアセチレンブラックを10質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してLiFePO4のペースト状の正極活物質合材を得た。
(正極)
(LiFePO4合材の作製)
正極活物質としてLiFePO4を80質量部、バインダーとしてPVDFを10質量部、導電材としてアセチレンブラックを10質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してLiFePO4のペースト状の正極活物質合材を得た。
(ポリアニリン合材の作製)
正極活物質としてポリアニリンを70質量部、バインダーとしてPVDFを15質量部、導電材としてアセチレンブラックを15質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してポリアニリンのペースト状のポリアニリン合材を得た。
正極活物質としてポリアニリンを70質量部、バインダーとしてPVDFを15質量部、導電材としてアセチレンブラックを15質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してポリアニリンのペースト状のポリアニリン合材を得た。
(正極の作製)
得られたペースト状の正極活物質合材を、100μmメッシュのアルミメッシュよりなる正極集電体の一方の表面に塗布、乾燥し、プレス工程を施して、正極活物質層が製造された。
得られたペースト状の正極活物質合材を、100μmメッシュのアルミメッシュよりなる正極集電体の一方の表面に塗布、乾燥し、プレス工程を施して、正極活物質層が製造された。
また、得られたペースト状のポリアニリン合材を、正極集電体の他方の表面に塗布、乾燥し、プレス工程を経て、電子授受化合物層が形成された。
(負極の作製)
(グラファイト合材の作製)
負極活物質としてグラファイトを98質量部、バインダーとしてSBRを1質量部、分散剤としてCMCを1質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してポリアニリンのペースト状の負極活物質合材を得た。
(グラファイト合材の作製)
負極活物質としてグラファイトを98質量部、バインダーとしてSBRを1質量部、分散剤としてCMCを1質量部を混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練してポリアニリンのペースト状の負極活物質合材を得た。
得られたペースト状の負極活物質合材を厚さ10μmの銅製の薄膜よりなる負極集電体に塗布し、乾燥後、プレスして、負極板とした。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で7:3になるように混合した有機溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で添加した非水溶媒電解液3を用いた。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で7:3になるように混合した有機溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で添加した非水溶媒電解液3を用いた。
(コイン型電池の作製)
作製したコイン型電池B2の断面図を図3に示す。前述した実施形態と同一/類似の構成に対して、同じ/類似の番号を付した。
作製したコイン型電池B2の断面図を図3に示す。前述した実施形態と同一/類似の構成に対して、同じ/類似の番号を付した。
正極1及び負極2には、それぞれ上記の正極及び負極を用いた。電解液3には、調製した上記の電解液を用いた。
セパレータ7は厚さ25μmのポリエチレン製の多孔質膜をそれぞれ用いて、コイン型電池B2を製造した。正極1は、貫通孔12cが形成された正極集電体12を有し、負極2は負極集電体22を有する。なお、図示において、21は負極活物資層を、11は正極集電体12の一方の面12aに形成された正極活物資層を、13は同様に他方の面12aに形成された電子授受化合物層を示す。
これらの発電要素をステンレス製のケース(正極ケース42と負極ケース52から構成されている)中に収納した。ここで、正極1は、正極活物質層11と電子授受化合物層13とが、それぞれ負極2と対向する正極集電体12の一方の面12aと、対向しない他方の面12bとに、それぞれ配されるように収納されている。また、正極ケース42と負極ケース52とは正極端子と負極端子とを兼ねている。正極ケース42と負極ケース52との間にはポリプロピレン製のガスケット6を介装することで密閉性と正極ケース42と負極ケース52との間の絶縁性とを担保している。
(容量特性、エネルギー密度の評価)
作製したリチウム二次電池B2の容量特性の評価を、0.3C相当の電流値にて4.0Vまで充電した後、0.3C相当の電流値で2.0Vまで放電した際の放電容量を測定し、図4に示した。LiFePO4の設計容量に対する60℃で3日間保持した後の容量の劣化率を図5に示した。
作製したリチウム二次電池B2の容量特性の評価を、0.3C相当の電流値にて4.0Vまで充電した後、0.3C相当の電流値で2.0Vまで放電した際の放電容量を測定し、図4に示した。LiFePO4の設計容量に対する60℃で3日間保持した後の容量の劣化率を図5に示した。
初期のエネルギー密度は、374Wh/cm3であった。60℃、3日保存後の容量比は、92.6%であった。
(実施例2)
(正極の作製)
(活性炭合材の作製)
正極活物質として活性炭を83質量部、バインダーとしてポリアクリル酸リチウムを15質量部となるように加え、導電材としてVGCFを2質量部加え、混合、分散させ均質塗料液を調整し、活性炭のスラリーを得た。
(正極の作製)
(活性炭合材の作製)
正極活物質として活性炭を83質量部、バインダーとしてポリアクリル酸リチウムを15質量部となるように加え、導電材としてVGCFを2質量部加え、混合、分散させ均質塗料液を調整し、活性炭のスラリーを得た。
(容量特性、エネルギー密度の評価)
電子授受化合物として、活性炭を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電池を作製し、各特性を測定し、図4、図5に合わせて示した。
電子授受化合物として、活性炭を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電池を作製し、各特性を測定し、図4、図5に合わせて示した。
その結果、初期のエネルギー密度は、362Wh/cm3であった。60℃、3日保存後の容量比は、94.8%であった。
(比較例)
(正極の作製)
正極活物質としてLiFePO4を使用した正極活物質層11のみを用いて、正極集電体12の両面12a、12bに塗布し、乾燥後、プレスして、正極1´とした。
(正極の作製)
正極活物質としてLiFePO4を使用した正極活物質層11のみを用いて、正極集電体12の両面12a、12bに塗布し、乾燥後、プレスして、正極1´とした。
正極活物質層11のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で電池を作製し、容量特
性を測定し、図4、図5に合わせて示した。
性を測定し、図4、図5に合わせて示した。
その結果、初期のエネルギー密度は、340Wh/cm3であった。60℃、3日保存後の容量比は、92.1%であった。
図4に示すように、正極活物質層11及び電子授受化合物層13を有する正極1を備えた実施例1、2の電池の方が、比較例よりも大きな初期のエネルギー密度を得られ、その特性に優れた電池となっていることが確認出来た。
なお、上記の実施例における効果は、電極の組成によらずに得られる。このため、本実施例は、電極を構成する材質の組成比によって制限を受けるものではない。
B1,B2:リチウムイオン二次電池
U:電極ユニット
1:正極 10:外層の正極
11:正極活物質層
12:正極集電体
12a:一方面 12b:他方面
13:電子授受化合物層
2:負極
21:負極活物質層
22:負極集電体
3:電解液
U:電極ユニット
1:正極 10:外層の正極
11:正極活物質層
12:正極集電体
12a:一方面 12b:他方面
13:電子授受化合物層
2:負極
21:負極活物質層
22:負極集電体
3:電解液
Claims (6)
- 正極集電体(12)及び該正極集電体に配された正極活物質層(11)を有する正極(1、10、100)と、
前記正極に対向して配置され、負極集電体(22)及び該負極集電体に配された負極活物質層(21)を有する負極(2)と、
前記正極と前記負極との間に介在する電解液(3)と、
を備える非水電解液二次電池(B1、B2)において、
前記正極(1、10)は、前記正極集電体の表面であって前記負極と対向しない表面(12b)に、充放電双方に対して可逆的に電子を授受する電子授受化合物が配されていることを特徴とする非水電解液二次電池。 - 前記電子授受化合物は、正極活物質よりも卑な酸化電位又は/及び還元電位を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記電子授受化合物は、ポリアニリンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極(1、10)は、板状の前記正極集電体の表面であって前記負極と対向する一方の表面(12a)に前記正極活物質層を配し、他方の表面(12b)に電子授受化合物層(13)を配している請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極活物質層と前記電子授受化合物層とを有する前記正極は、前記電解液に含まれるイオンが通過する貫通孔(12c)を有する請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
- 積層方向(L)の少なくとも一方の端部を前記正極(10)が形成した状態で、前記正極と前記負極とが交互に積層している請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
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