JP2013253058A - サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法 - Google Patents

サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができるサルオガセ(Usnea)属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤の製造方法を提供する。
【解決手段】サルオガセ属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類の抽出物の製造方法、及びサルオガセ属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、エンドセリン作用抑制剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、サルオガセ(Usnea)属地衣類抽出物の製造方法に関する。
エンドセリンは、内皮細胞由来のペプチドホルモンで、受容体を通して種々の細胞や組織に作用する。例えば、血管平滑筋細胞等において細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こすことが知られている(非特許文献1)。
近年、エンドセリンが表皮メラノサイト(メラニン細胞)に対し細胞内カルシウム濃度上昇を促し、細胞内のシグナル伝達系を介して細胞増殖を促進するとともに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの活性を増強することが報告されている(非特許文献2参照)。また、エンドセリンは表皮角化細胞(ケラチノサイト)が産生するメラノサイト活性化因子の1つであること(非特許文献3)、紫外線誘導性色素沈着や老人性色素斑形成の重要な要因であることが報告されている(非特許文献4、5)。
このようなエンドセリンの生体作用から、エンドセリンの作用を抑制しうる物質は、メラニン生成や色素沈着等を抑制し、美白剤として有用である。
一方、ウメノキゴケ(Parmeliaceae)科サルオガセ属の地衣類の抽出物がメラニン生成阻害作用を有することが知られている(特許文献1〜3、並びに非特許文献6参照)。なお、特許文献1〜3には、メラニン生成阻害物質の製造方法として、地衣類を培養し、その培養物を凍結乾燥した後0℃〜15℃の温度で溶媒抽出することが記載されている。
特開平4−282319号公報 特開平4−282320号公報 特開平4−282321号公報
Hirata Y.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1988,vol.154,p.868-875 Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,1991,vol.266,p.18352-18357 Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,1992,vol.267,p.24675-24680 Imokawa G.et al.,J.Invest.Dermatol.,1995,vol.105,p.32-37 Kadono S.et al.,J.Invest.Dermatol.,2001,vol.116,p.571-577 Moo-Sung Kim et al.,J.Microbiology,2007,vol.45,p.578-582
本発明は、美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができるサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み、サルオガセ属地衣類抽出物からの美白成分の探求と、当該成分を高濃度に含有しうる抽出方法について鋭意検討を行った。その結果、サルオガセ属地衣類の抽出物に含まれ、下記式で表されるジフラクタ酸が、エンドセリンの作用によって引き起こされるメラノサイト内のカルシウム(イオン)濃度上昇の抑制効果を有することを見出した。
Figure 2013253058
さらに、本発明者らは、美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができる、サルオガセ属地衣類の抽出条件について検討を行った。その結果、アルコール含有率の高いアルコール水溶液を抽出溶媒として用いてサルオガセ属地衣類を抽出するとジフラクタ酸高含有のサルオガセ属地衣類抽出物が得られるが、抽出溶媒のアルコール含有率が高すぎる場合下記式で表されるウスニン酸の濃度も上昇することを見出した。
Figure 2013253058
前記ウスニン酸は、肝毒性物質として知られている(例えば、Frankos VH(January 2005),"NTP nomination for usnic acid and Usnea barbata herb",National Toxicology Program,http://ntp.niehs.nih.gov/ntp/htdocs/Chem_Background/ExSumPdf/UsnicAcid.pdf参照)。したがって、ジフラクタ酸の含有量が高くても、ウスニン酸の含有量も高いサルオガセ属地衣類抽出物は、安全性の観点から美白剤などの皮膚外用剤に用いることは問題である。
サルオガセ属地衣類は、ジフラクタ酸やウスニン酸を含有することが知られている(例えば、Phytochemistry,1987,vol.26,No.12,p.3181-3185;Bull.Kochi.Gakuen College.,1992,vol.23,p.687(9)-697(19)参照)。
そこで、美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができ、毒性を有するウスニン酸の含有量を低減した、サルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤が得られる製造方法について検討を行った。その結果、アルコール含有率が一定範囲のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いてサルオガセ属地衣類を抽出することにより、ジフラクタ酸濃度が有意に上昇し、肝毒性物質であるウスニン酸濃度が有意に低下し、美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができる、サルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤が得られるとの知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、サルオガセ属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法に関する。
また、本発明は、サルオガセ属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、エンドセリン作用抑制剤の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤を有効成分とする、美白剤に関する。
本発明の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤は、エンドセリン作用抑制剤の有効成分であるジフラクタ酸を高含有するとともに、肝毒性物質であるウスニン酸の含有量が低減されている。したがって、本発明の製造方法は、美白剤などの皮膚外用剤に好適に用いることができるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
本発明のジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法及びエンドセリン作用抑制剤の製造方法において、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いてサルオガセ属地衣類を抽出する。
当該方法により、エンドセリン作用抑制効果を有するジフラクタ酸を高濃度で含有し、肝毒性物質であるウスニン酸の含有量が低いサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤が得られる。このようにして得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤は、ジフラクタ酸の美白効果を発揮し得る医薬品、医薬部外品、化粧料等に好適に用いることができる。
本明細書において、「ジフラクタ酸高含有サルオガセ属地衣類抽出物」とは、同条件で抽出を行った場合、本発明で規定する抽出溶媒を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物中のジフラクタ酸含有量が、本発明で規定する抽出溶媒よりもアルコール含有率の低い抽出溶媒を用いて得られる抽出物中のジフラクタ酸含有量よりも多いことを意味し、同一の溶媒種を用い同条件で抽出した場合にアルコール含有率を変化させたときの抽出物中のジフラクタ酸濃度を比較したものである。
また、「ウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物」とは、同条件で抽出を行った場合、本発明で規定する抽出溶媒を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物中のウスニン酸含有量が、本発明で規定する抽出溶媒よりもアルコール含有率の高い抽出溶媒を用いて得られる抽出物中のウスニン酸含有量よりも少ないことを意味し、同一の溶媒種を用い同条件で抽出した場合にアルコール含有率を変化させたときの抽出物中のウスニン酸濃度を比較したものである。
なお、後述の実施例で示すように、本発明で規定する抽出溶媒を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物中のジフラクタ酸含有量が、本発明で規定する抽出溶媒よりもアルコール含有率の高い抽出溶媒を用いて得られる抽出物中のジフラクタ酸含有量よりも低い場合であっても、ウスニン酸の含有率を比較した場合、その含有率が、本発明で規定する抽出溶媒を用いて得られる抽出物の方が低い場合には、本発明で規定する抽出溶媒を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物は本明細書における「ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物」に含むものとする。
本発明の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤において、ジフラクタ酸は塩の形態で存在してもよい。ジフラクタ酸の塩としては特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン塩及び4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、又はリジン、ヒスチジン、アルギニン等のアミノ酸塩などが挙げられ、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩である。
本発明で用いるサルオガセ属地衣類は、ウメノキゴケ(Parmeliaceae)科の地衣類である。本発明では、天然に存在するサルオガセ属地衣類を採取して用いてもよいし、市販品を入手して用いてもよい。本発明に用いられるサルオガセ属地衣類としては特に制限はなく、ナガサルオガセ(Usnea longissima)、ヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)、フジサルオガセ(Usnea trichodeoides)、ニセフジサルオガセ(Usnea pseudomontis-fuji)、クシノハサルオガセ(Usnea pectinata)などが挙げられる。本発明で用いる前記サルオガセ属地衣類としては、ナガサルオガセ、ヨコワサルオガセ、フジサルオガセ、ニセフジサルオガセ及びクシノハサルオガセからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ナガサルオガセ及びヨコワサルオガセからなる群より選ばれる1種又は2種がより好ましく、ナガサルオガセ又はヨコワサルオガセがさらに好ましい。
本発明において、前記サルオガセ属地衣類の全ての任意の部位(全体、地衣体、仮根、シリア、臍状体(さいじょうたい)等)を用いることができ、各部位を複数組み合わせて用いてもよい。また地位培養細胞(菌細胞、藻細胞、又は両者の混在した未分化共生培養組織)を用いることもできる。本発明において、サルオガセ属地衣類を抽出するには、地衣体を用いるのが好ましい。
本発明に用いるサルオガセ属地衣類は、天然に存在するそのままの状態でもよいが、抽出効率を高めるために、乾燥、凍結乾燥、細断、粉砕などの処理を施したものを用いるのが好ましい。
本発明の製造方法において、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いる。
本発明において抽出溶媒として用いるアルコール水溶液としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコール類(好ましくは、炭素数1〜4の低級アルコール類)の水溶液、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール類の水溶液が挙げられる。本発明では、これらの溶媒を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール等の水溶液を用いるのが好ましく、メタノール、エタノール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール又は2,3-ブタンジオールの水溶液を用いるのがより好ましく、エタノール水溶液又は1,3-ブタンジオール水溶液がさらに好ましい。
本発明において抽出溶媒として用いるアルコール水溶液のアルコール含有率は、40体積%以上が好ましく、70体積%以下が好ましく、60体積%以下がより好ましい。また、30体積%以上70体積%以下が好ましく、40体積%以上70体積%以下がさらに好ましく、40体積%以上60体積%以下が特に好ましい。
サルオガセ属地衣類の抽出条件については特に制限はなく、使用する抽出溶媒によって適宜設定できる。例えば、抽出温度は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。あるいは、0〜50℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、5〜20℃がさらに好ましい。抽出時間は、1時間以上が好ましく、1日以上がより好ましく、20日以下が好ましく、7日以下がより好ましい。あるいは、1時間〜20日間が好ましく、1〜7日間がより好ましい。抽出効率を上げるため、抽出の際に攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。なお、抽出溶媒の使用量に特に制限はないが、抽出原料のサルオガセ属地衣類に対し質量比で1倍量以上であることが好ましく、5倍量以上であることがより好ましく、50倍量以下であることが好ましく、30倍量以下であることがより好ましい。あるいは、1〜50倍量であることが好ましく、5〜30倍量であることがより好ましい。
上記溶媒で抽出して得られた抽出物はそのまま使用してもよいが、必要に応じて更に適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画してもよい。あるいは、得られた抽出物の溶媒を別の溶媒(例えば、アルコール水溶液)に置換してもよい。本発明の製造方法により得られる抽出物には、このようにして得られた各種抽出物、その希釈液、その濃縮液、その精製物又はそれらの乾燥末等が包含される。
抽出溶媒としてアルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤を皮膚外用剤に用いることを考慮して、サルオガセ属地衣類抽出物に対してさらにウスニン酸の選択的低減処理を施すことが好ましい。
ウスニン酸の選択的低減処理としては特に制限はなく、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理、加熱処理などが挙げられる。本発明では、これらの処理工程を単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよく、これらの処理工程を繰返し行ってもよい。
なお、ウスニン酸の選択的低減処理によりサルオガセ属地衣類抽出物中のジフラクタ酸含有量が低下しても、ジフラクタ酸含有量の低下率と比較してウスニン酸含有量の低下率が十分に高ければよい。
ウスニン酸の選択的低減処理としての低温保存について説明する。
ウスニン酸は結晶性が高く、水溶液に対する溶解性が低く、低温では析出しやすい。そのため、本発明の方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物を低温保存すると、ウスニン酸が溶けにくくなりウスニン酸の結晶が析出する。このようにして析出したウスニン酸を常法により除去することで、サルオガセ属地衣類抽出物からのウスニン酸の選択的低減が可能となる。
サルオガセ属地衣類抽出物の保存温度としては−10℃以上が好ましく、−5℃以上がより好ましく、5℃以下が好ましい。あるいは、−10〜5℃が好ましく、−5〜5℃がより好ましい。また、ナガサルオガセ抽出物の保存時間としては1時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、14日以下が好ましく、5日以下がより好ましい。あるいは、1時間〜14日間が好ましく、6時間〜5日間がより好ましい。
ウスニン酸の選択的低減処理としての加水処理について説明する。
ウスニン酸は結晶性が高く、水溶液に対する溶解性が低い。そのため、本発明の方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物を含水率の高い溶液中で保存すると、ウスニン酸が溶けにくくなりウスニン酸の結晶が析出する。このようにして析出したウスニン酸を常法により除去することで、サルオガセ属地衣類抽出物からのウスニン酸の選択的低減が可能となる。
サルオガセ属地衣類抽出物に対する加水量としては、加水後にジフラクタ酸が析出等によりロスしない量であれば特に制限はなく、加水後のアルコール含有率が25体積%以上となるように加水するのが好ましく、30体積%以上となるように加水するのがさらに好ましく、45体積%以下となるように加水するのが好ましく、40体積%以下となるように加水するのがさらに好ましい。あるいは、加水後のアルコール含有率が25〜45体積%となるように加水するのが好ましく、30〜40体積%となるように加水するのがさらに好ましい。
ウスニン酸の選択的低減処理としての活性炭処理について説明する。
ジフラクタ酸とウスニン酸とでは、分子サイズ及び化合物の物性(極性)が異なる。これらの違いから、ウスニン酸の方がジフラクタ酸よりも活性炭に吸着されやすい。したがって、本発明の方法で得られるサルオガセ属地衣類抽出物に活性炭処理を施すことで、抽出物中のウスニン酸を選択的に除去することができる。
活性炭の使用量に特に制限はないが、サルオガセ属地衣類抽出物の固形分に対して、1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、200重量%以下が好ましく、150重量%以下がさらに好ましい。あるいは、1〜200重量%が好ましく、10〜200重量%がより好ましく、50〜150重量%がさらに好ましい。また、処理時間にも特に制限はないが、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、24時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。あるいは、10分〜24時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。活性炭処理を行う際、サルオガセ属地衣類抽出物と活性炭とを混合して撹拌してもよい。本発明において、活性炭としては通常のものでよく、市販のものを用いることができる。
ウスニン酸の選択的低減処理としてのヘキサン洗浄処理について説明する。
ジフラクタ酸はヘキサンに溶解しづらいのに対し、ウスニン酸はヘキサンに溶解しやすい。そのため、サルオガセ属地衣類抽出物に対してヘキサン洗浄処理し、ヘキサン層を分離することで、サルオガセ属地衣類抽出物中のウスニン酸を選択的に除去することができる。
ヘキサン洗浄処理の方法に特に制限はなく、サルオガセ属地衣類抽出物及びヘキサン、並びに必要によりエタノールなどのアルコール溶液と混合して、2層に分離し、サルオガセ属地衣類抽出物を含む層を常法により回収すればよい。また、ヘキサン洗浄処理を繰返し行ってもよい。
ウスニン酸の選択的低減処理としての加熱処理について説明する。
サルオガセ属地衣類抽出物に対して加熱処理を行うことで、サルオガセ属地衣類抽出物中の他の成分とウスニン酸とが反応し、ウスニン酸の分解等が起こり、ウスニン酸の含有量が低下すると考えられる。
サルオガセ属地衣類抽出物の加熱温度としては50℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましく、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。あるいは、50℃〜100℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましく、60℃〜80℃がさらに好ましい。また、サルオガセ属地衣類抽出物の加熱時間は加熱温度により適宜設定でき、1時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、7日以下が好ましく、3日以下がより好ましい。あるいは、1時間〜7日間が好ましく、6時間〜3日間がより好ましい。
本発明において、抽出溶媒としてアルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて得られるサルオガセ属地衣類抽出物に対して、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理及び加熱処理からなる群より選ばれる1種以上の処理によりウスニン酸の選択的低減処理を行うことが好ましく、より好ましいウスニン酸の選択的低減処理方法としては、下記のものが挙げられる。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
(1)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに加水処理及び低温保存処理を行う。
(2)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに低温保存処理を行う。
(3)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに低温保存処理、加水処理及び低温保存処理をこの順で行う。
(4)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに加水処理及び低温保存処理をこの順で行う。
(5)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに加水処理、低温保存処理及び活性炭処理をこの順で行う。
(6)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに加水処理、低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で行う。
(7)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに低温保存処理及び活性炭処理をこの順で行う。
(8)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で行う。
(9)抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対してさらに加水処理、低温保存処理及び加熱処理をこの順で行う。
本発明の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤において、ウスニン酸に対するジフラクタ酸の含有比率に特に制限はないが、得られたサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤中のウスニン酸含有量を質量基準で1とした場合、ジフラクタ酸含有量が3以上であるのが好ましく、5以上がより好ましい。また、ウスニン酸の絶対量に特に制限はないが、ウスニン酸含有量は150ppm以下であることが好ましく、120ppm以下であることがさらに好ましい。
本発明において、前記アルコール水溶液を用いてサルオガセ属地衣類の抽出を行う前に水系溶媒を用いてサルオガセ属地衣類を処理し、前記水系溶媒を除去して得られるサルオガセ属地衣類の残渣に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行ってもよい。水系溶媒を用いてサルオガセ属地衣類を処理することによりサルオガセ属地衣類に含まれる水溶性成分を除去することができ、不純物が少なくジフラクタ酸濃度が特に高いサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
本明細書において「水系溶媒」とは、サルオガセ属地衣類に含まれる水溶性成分を除去するだけの含水率を含む溶媒であれば特に制限はなく、水、アルコール水溶液(例えば、メタノール水溶液、エタノール水溶液、プロパノール水溶液、イソプロパノール水溶液)等が挙げられる。このうち、水、又は、アルコール含有率が10体積%以下、好ましくは5体積%以下、より好ましくは1体積%以下、のアルコール水溶液が好ましい。
前記水系溶媒を用いたサルオガセ属地衣類の処理方法については特に制限はなく、水系溶媒にサルオガセ属地衣類を浸漬させる方法、水系溶媒でサルオガセ属地衣類を洗浄する方法、などが挙げられる。
水系溶媒にサルオガセ属地衣類を浸漬させる場合は、サルオガセ属地衣類に含まれる水溶性成分を除去する効率を上げるため、処理の際に攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
水系溶媒を用いたサルオガセ属地衣類の処理条件については特に制限はなく、使用する溶媒によって適宜設定できる。例えば、処理温度は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。あるいは、0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。処理時間は、5時間以上が好ましく、1日間以上がより好ましく、10日間以下が好ましく、7日間以下がより好ましい。あるいは、5時間〜10日間が好ましく、1〜7日間がより好ましい。
本発明において、前記アルコール水溶液を用いてサルオガセ属地衣類の抽出を行う前にヘキサン等の疎水性有機溶媒を用いてサルオガセ属地衣類を処理し、ウスニン酸等の疎水性物質を除去して得られるサルオガセ属地衣類の残渣に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行っても良い。疎水性有機溶媒を用いてサルオガセ属地衣類を処理することによりサルオガセ属地衣類に含まれる疎水性成分を除去することができ、不純物が少なくジフラクタ酸濃度が特に高いサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
本明細書において「疎水性有機溶媒」とは、サルオガセ属地衣類に含まれる疎水性成分を除去できれば特に制限はなく、n-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン等の直鎖又は環状の常温、常圧で液体のアルカンが挙げられ、このうちn-ヘキサンが好ましい。
前記疎水性有機溶媒を用いたサルオガセ属地衣類の処理方法については特に制限はなく、疎水性有機溶媒にサルオガセ属地衣類を浸漬させる方法、疎水性有機溶媒でサルオガセ属地衣類を洗浄する方法、などが挙げられる。
疎水性有機溶媒にサルオガセ属地衣類を浸漬させる場合は、サルオガセ属地衣類に含まれる疎水性物質を除去する効率を上げるため、処理の際に攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
疎水性有機溶媒を用いたサルオガセ属地衣類の処理条件については特に制限はなく、使用する溶媒によって適宜設定できる。例えば、処理温度は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。あるいは、0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。処理時間は、5時間以上が好ましく、1日間以上がより好ましく、10日間以下が好ましく、7日間以下がより好ましい。あるいは、5時間〜10日間が好ましく、1〜7日間がより好ましい。
後述の実施例で示すように、前記抽出工程により、ジフラクタ酸の含有量が高くウスニン酸の含有量が低いサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤を得ることができる。したがって、ジフラクタ酸はメラノサイトに対するエンドセリンの作用を抑制することでメラニン生成を抑制しうるため、本発明の製造方法で得られるサルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤は、優れたエンドセリン作用抑制効果及び美白効果を奏する。なお、本明細書において「美白(作用)」とは、メラニン色素生成や色素沈着を抑え、余分なメラニンのない本来の透明な肌色に戻すこと、または皮膚の黒化若しくはシミ・ソバカス等の色素沈着を防止、抑制することを意味する。また、肝毒性物質であるウスニン酸の含有量が少ないため、前記サルオガセ属地衣類抽出物及びエンドセリン作用抑制剤は安全性が高く美白剤などの皮膚外用剤として好適に用いることができる。
本発明により得られるサルオガセ属地衣類抽出物は、そのままエンドセリン作用抑制剤又は美白剤として用いてもよい。また、本発明により得られるサルオガセ属地衣類抽出物と、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体または固体の賦形剤または増量剤とを混合して用いてもよい。さらには、その他のエンドセリン作用抑制剤、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、色材種、油性物質、高分子化合物、防腐剤、粉体、色素、香料、乳化安定剤、pH調整剤等、通常の美白剤に用いられる成分と混合して用いてもよい。
本発明の方法により得られるエンドセリン作用抑制剤及び本発明の美白剤は、皮膚化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品等として皮膚等に適用することができ、その剤型も水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、幅広い形態をとり得る。例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ローション、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク、ファンデーション、軟膏、シート状製品等の形態が挙げられる。
本発明の方法により得られるエンドセリン作用抑制剤及び本発明の美白剤におけるサルオガセ属地衣類抽出物の含有量に特に制限はなく、サルオガセ属地衣類抽出物中のジフラクタ酸濃度に依存して適宜設定することができる。
また、本発明の方法により得られるエンドセリン作用抑制剤及び本発明の美白剤の使用量に特に制限はなく、有効成分の含有量により異なるが、例えばクリーム状、軟膏状の場合、皮膚面1cm2当たり0.1μg以上が好ましく、5μg以下が好ましい。あるいは、皮膚面1cm2当たり0.1〜5μgが好ましい。液状製剤の場合、皮膚面1cm2当たり0.1μg以上が好ましく、10μg以下が好ましい。あるいは、皮膚面1cm2当たり0.1〜10μgが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の抽出物の製造方法、エンドセリン作用抑制剤、美白剤、方法及び使用を開示する。
<1>サルオガセ属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上、好ましくは40体積%以上、かつ80体積%以下、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、のアルコール水溶液を用いて抽出する、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法。
<2>前記アルコール水溶液がエタノール水溶液又は1,3-ブタンジオール水溶液である、前記<1>項記載の製造方法。
<3>前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ、ヨコワサルオガセ、フジサルオガセ、ニセフジサルオガセ及びクシノハサルオガセからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<1>又は<2>項記載の製造方法。
<4>前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ又はヨコワサルオガセである、前記<1>〜<3>項のいずれか記載の製造方法。
<5>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理及び加熱処理からなる群より選ばれる1種以上の処理によりウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<1>〜<4>項のいずれか記載の製造方法。
<6>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理及び低温保存処理を施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<7>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理を施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<8>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理、加水処理及び低温保存処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<9>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理及び低温保存処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<10>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及び活性炭処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<11>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<12>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理及び活性炭処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<13>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<14>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及び加熱処理をこの順で施して前記ウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<5>項記載の製造方法。
<15>水系溶媒(好ましくは水、又はアルコール含有率が10体積%以下(好ましくは5体積%以下、より好ましくは1体積%以下)のアルコール水溶液(好ましくは、メタノール水溶液、エタノール水溶液、プロパノール水溶液、又はイソプロパノール水溶液))を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、前記<1>〜<14>項のいずれか記載の製造方法。
<16>疎水性有機溶媒(好ましくはn-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘプタン及びオクタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒、より好ましくはn-ヘキサン)を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、前記<1>〜<15>項のいずれか記載の製造方法。
<17>得られた抽出物中のウスニン酸含有量を質量基準で1とした場合、ジフラクタ酸含有量が3以上、好ましくは5以上、である、前記<1>〜<16>項のいずれか記載の製造方法。
<18>サルオガセ属地衣類を、アルコール含有率がアルコール含有率が30体積%以上、好ましくは40体積%以上、かつ80体積%以下、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、のアルコール水溶液を用いて抽出する、エンドセリン作用抑制剤の製造方法。
<19>前記アルコール水溶液がエタノール水溶液又は1,3-ブタンジオール水溶液である、前記<18>項記載の製造方法。
<20>前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ、ヨコワサルオガセ、フジサルオガセ、ニセフジサルオガセ及びクシノハサルオガセからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<18>又は<19>項記載の製造方法。
<21>前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ又はヨコワサルオガセである、前記<18>〜<20>項のいずれか記載の製造方法。
<22>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理及び加熱処理からなる群より選ばれる1種以上の処理により該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<18>〜<21>項のいずれか記載の製造方法。
<23>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理及び低温保存処理を施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<24>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理を施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<25>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理、加水保存処理及び低温保存処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<26>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理及び低温保存処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<27>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及び活性炭処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<28>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<29>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理及び活性炭処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<30>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して低温保存処理及びヘキサン洗浄処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<31>抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して加水処理、低温保存処理及び加熱処理をこの順で施して該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、前記<22>項記載の製造方法。
<32>水系溶媒(好ましくは水、又はアルコール含有率が10体積%以下(好ましくは5体積%以下、より好ましくは1体積%以下)のアルコール水溶液(好ましくは、メタノール水溶液、エタノール水溶液、プロパノール水溶液、又はイソプロパノール水溶液))を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、前記<18>〜<31>項のいずれか記載の製造方法。
<33>疎水性有機溶媒(好ましくはn-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘプタン及びオクタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の疎水性有機溶媒、より好ましくはn-ヘキサン)を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、前記<18>〜<32>項のいずれか記載の製造方法。
<34>得られたエンドセリン作用抑制剤中のウスニン酸含有量を質量基準で1とした場合、ジフラクタ酸含有量が3以上、好ましくは5以上、である、前記<18>〜<33>項のいずれか記載の製造方法。
<35>前記<1>〜<34>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤を有効成分とする、美白剤。
<36>エンドセリン作用抑制剤又は美白剤としての、前記<1>〜<17>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物の使用。
<37>エンドセリン作用抑制剤又は美白剤の製造のための、前記<1>〜<17>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物の使用。
<38>前記<1>〜<17>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物を、エンドセリン作用抑制剤又は美白剤として使用する方法。
<39>前記<1>〜<17>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物を用いる、エンドセリン作用抑制方法。
<40>前記<1>〜<17>項のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ属地衣類抽出物を用いる、美白方法。
<41>メラノサイト内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制してエンドセリン作用を抑制する、前記<36>〜<40>項のいずれか記載の使用又は方法。
<42>前記サルオガセ属地衣類抽出物を化粧料の形態で適用する、前記<36>〜<41>項のいずれか記載の使用又は方法。
<43>美白剤としての、前記<18>〜<34>項のいずれか記載の製造方法により得られるエンドセリン作用抑制剤の使用。
<44>美白剤の製造のための、前記<18>〜<34>項のいずれか記載の製造方法により得られるエンドセリン作用抑制剤の使用。
<45>前記<18>〜<34>項のいずれか記載の製造方法により得られるエンドセリン作用抑制剤を、美白剤として使用する方法。
<46>前記<18>〜<34>項のいずれか記載の製造方法により得られるエンドセリン作用抑制剤を用いる、美白方法。
<47>メラノサイト内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制してエンドセリン作用を抑制する、前記<43>〜<46>項のいずれか記載の使用又は方法。
<48>前記エンドセリン作用抑制剤を化粧料の形態で適用する、前記<43>〜<47>項のいずれか記載の使用又は方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1 ジフラクタ酸の製造
ナガサルオガセ(新和物産社より購入)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物891mL(固形分3.10g)を得た。この抽出物中の固形分55.3mgをHPLCで分画し、ジフラクタ酸5.10mg(収率9.22%)を得た。
単離成分の構造解析は、NMRにより行った。単離成分のNMRスペクトルデータが文献で報告されているジフラクタ酸のスペクトルデータ(Phytochemistry,1987,Vol.26,No.12,p.3181-3185参照)とほぼ一致したことから、単離された成分はジフラクタ酸であると同定した。なお、NMRによる構造解析の結果を表1に示す。
Figure 2013253058
参考例 ジャーマンカミツレ抽出物の調製
ジャーマンカミツレ(和名:カミツレ、新和物産社より入手)の花部40gと、50体積%エタノール水溶液400mLとを混合して、室温で14日間抽出後ろ過し、ジャーマンカミツレ抽出物(221mL)を得た(蒸発残分2.63%)。
試験例 エンドセリン作用抑制効果の検証
ジフラクタ酸及びジャーマンカミツレ抽出物について、下記の評価系を用いてエンドセリン作用抑制効果を検証した。なお、エンドセリンはメラノサイトに作用してカルシウム濃度を上昇させ、メラニン産生を増加させることが知られており(Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,1991,vol.266,p.18352-18357;Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,1992,vol.267,p.24675-24680など参照)、エンドセリンの当該作用を抑制する物質は美白成分として有用である。
正常ヒト新生児表皮由来メラノサイト(NHEMs;クラボウ社製)を、蛍光検出用の96穴プレートに3×104cells/well(200μL/well)で播種し、5%CO2下にて37℃で培養した。培地には、PMA(−)の増殖用添加剤(HMGS)を含むMedium 254を用いた。
3日間培養後、培養プレートからデカントで培地を除去し、細胞内Ca2++測定試薬Fluo4-AMを含むアッセイバッファーに置換し、37℃で1時間インキュベートした。次に、FDSS(Functional Drug Screening System)機器において測定開始20秒後に所定濃度のジフラクタ酸又はジャーマンカミツレ抽出物で1分間前処理した後、リガンドであるエンドセリン(ET−1、終濃度100nM)を添加し、Fluo4-AMの蛍光をEx.480nm/Em.540nmの測定波長で測定開始から5分後まで経時的に検出した。
コントロールにおけるFluo4-AMの蛍光増加比(Max.ratio-Min.ratio)を100とした場合の相対値(%)で、各化合物又は抽出物における、エンドセリン刺激による細胞内カルシウム(カルシウムイオン)濃度上昇率(%)を算出し、エンドセリン作用抑制効果を評価した。なお、コントロールとして、50体積%エタノール水溶液を添加したものを用いた。
その結果を表2に示す。
Figure 2013253058
ジャーマンカミツレ抽出物は、エンドセリンの作用によるメラノサイトのCa濃度上昇を抑制し、メラニン産生を抑制することが知られている(例えば、Pigment Cell Res.,1997,vol.10,p.218-228参照)。表2から明らかなように、ジャーマンカミツレ抽出物を添加した系では、濃度依存的なカルシウム濃度上昇抑制作用が確認された。特に濃度が1v/v%の系では、20%以上もカルシウム濃度上昇が抑制され、優れたエンドセリン抑制作用が確認された。
これに対して、表2から明らかなように、ジフラクタ酸を添加した系では、エンドセリン刺激によるメラノサイト内のカルシウム濃度上昇が抑制された。すなわち、ジフラクタ酸は、公知の美白成分であるジャーマンカミツレ抽出物と同等またはそれ以上の、優れたエンドセリン抑制作用を有し、美白成分として有用であることがわかる。
比較例1
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと10体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物207.35g(蒸発残分0.202(w/v)%)を得た。
比較例2
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと10体積%エタノール水溶液200mLとを混合して30℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物206.59g(蒸発残分0.266(w/v)%)を得た。
比較例3
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと10体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物208.26g(蒸発残分0.280(w/v)%)を得た。
比較例4
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと20体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物201.49g(蒸発残分0.172(w/v)%)を得た。
実施例1
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと30体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物199.90g(蒸発残分0.146(w/v)%)を得た。
実施例2
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと40体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物200.70g(蒸発残分0.190(w/v)%)を得た。
実施例3
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して5℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物201.67g(蒸発残分0.178(w/v)%)を得た。
実施例4
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して15℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物202.57g(蒸発残分0.192(w/v)%)を得た。
実施例5
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物199.69g(蒸発残分0.298(w/v)%)を得た。
実施例6
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して30℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物200.54g(蒸発残分0.258(w/v)%)を得た。
実施例7
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物199.49g(蒸発残分0.316(w/v)%)を得た。
実施例8
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと60体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物198.69g(蒸発残分0.242(w/v)%)を得た。
実施例9
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと70体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物195.1g(蒸発残分0.232(w/v)%)を得た。
実施例10
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと80体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物185.6g(蒸発残分0.216(w/v)%)を得た。
比較例5
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと90体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物183.4g(蒸発残分0.192(w/v)%)を得た。
比較例6
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して5℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物184.24g(蒸発残分0.128(w/v)%)を得た。
比較例7
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して15℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物184.0g(蒸発残分0.154(w/v)%)を得た。
比較例8
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物184.22g(蒸発残分0.174(w/v)%)を得た。
比較例9
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して30℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物186.42g(蒸発残分0.218(w/v)%)を得た。
比較例10
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物185.06g(蒸発残分0.266(w/v)%)を得た。
比較例11
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)25gと99.5体積%エタノール水溶液500mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物368.0g(蒸発残分0.158(w/v)%)を得た。
ジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の測定
上記実施例1〜10及び比較例1〜11で得られた各ナガサルオガセ抽出物中のジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を、HPLCを用いて下記の条件で分析した。測定に用いた装置及び測定条件は下記のとおりである。

測定機器(HPLC):Agilent Technologies Open LAB CDS LC02-1260、オートサンプラーG1329B 1260 ALS、カラムオーブンG1316A 1260 TCC、検出器G1315D 1260 DAD VL、ポンプG1312B 1260 Bin pump、G1379B 1260 μ-Degasser

<HPLC分析条件>
流速:0.75mL/min
使用したカラム:Inertsil ODS-3 5μm(GL Science)、3.0I.D.×150mm
検出波長:254nm
カラム温度:40℃
移動相:
A:0.1%トリフルオロ酢酸含有水溶液、B:0.1%トリフルオロ酢酸含有メタノール
0〜10分:70%B
10〜15分:70%B→100%B
15〜20分:100%B

結果を表3に示す。
Figure 2013253058
表3の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、ジフラクタ酸含有量が十分に高くウスニン酸含有量が低減した、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のナガサルオガセ抽出物を得ることができる。これに対して、アルコール含有率の低すぎる抽出溶媒を用いてナガサルオガセを抽出すると、ウスニン酸含有量は低下したが、ジフラクタ酸含有量も大きく低下した(比較例1〜4)。また、アルコール含有率の高すぎる抽出溶媒を用いてナガサルオガセを抽出すると、ジフラクタ酸含有量は上昇するが、ウスニン酸含有量も上昇した(比較例5〜11)。
以上のように、サルオガセ属地衣類をアルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出することで、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のサルオガセ属地衣類抽出物を製造することができる。ウスニン酸は肝毒性を有する一方、ジフラクタ酸は優れたエンドセリン抑制作用を有する。したがって、本発明によれば、エンドセリン作用抑制効果を有し安全性に優れたエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
実施例11
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で8日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物858.5g(蒸発残分0.374(w/v)%)を得た。
得られた抽出物を−5℃で12日間保存後ろ過し、低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物833.4g(蒸発残分0.360(w/v)%)を得た。
低温保存処理前後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2013253058
表4の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、低温保存処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例12
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で8日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物852.8g(蒸発残分0.268(w/v)%)を得た。得られた抽出物を−5℃で13日間保存後、ろ過することにより、ナガサルオガセ抽出物処理前品837.2g(蒸発残分0.256(w/v)%)を得た。
次に、ナガサルオガセ抽出物処理前品10mLと蒸留水2.5mLとを混合してエタノールの体積が40%となるよう希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を−5℃で4日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物11.1g(蒸発残分0.130(w/v)%)を得た。
ナガサルオガセ抽出物処理前品、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表5に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表5に示す。
Figure 2013253058
表5の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、低温保存処理、加水処理及び低温保存処理をこの順で行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例13
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物838.5g(蒸発残分0.218(w/v)%)を得た。
次に、加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物800mLと蒸留水200mLとを混合してエタノールの体積が40%となるよう希釈し澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を−5℃で7日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物916.2g(蒸発残分0.130(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表6に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表6に示す。
Figure 2013253058
表6の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理及び低温保存処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例14
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物)5mL(固形分6.5mg)と99.5体積%エタノール水溶液45mLとを混合して希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)0.65mg(抽出物中固形分に対して10重量%)を添加し、室温で45分間撹拌後、ろ過することにより活性炭10wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で5mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.08(w/v)%))。その結果を表7に示す。
実施例15
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物)5mL(固形分6.5mg)と99.5体積%エタノール水溶液45mLとを混合して希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)3.25mg(抽出物中固形分に対して50重量%)を添加し、室温で45分間撹拌後、ろ過することにより活性炭50wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で5mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.07(w/v)%))。その結果を表7に示す。
実施例16
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物)5mL(固形分6.5mg)と99.5体積%エタノール水溶液45mLとを混合して希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)6.50mg(抽出物中固形分に対して100重量%)を添加し、室温で45分間撹拌後、ろ過することにより活性炭100wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で5mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.07(w/v)%))。その結果を表7に示す。
実施例17
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物)5mL(固形分6.5mg)と99.5体積%エタノール水溶液45mLとを混合して希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)9.75mg(抽出物中固形分に対して150重量%)を添加し、室温で45分間撹拌後、ろ過することにより活性炭150wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で5mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.07(w/v)%))。その結果を表7に示す。
実施例18
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物)5mL(固形分6.5mg)と99.5体積%エタノール水溶液45mLとを混合して希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)13.0mg(抽出物中固形分に対して200重量%)を添加し、室温で45分間撹拌後、ろ過することにより活性炭200wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で5mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.07(w/v)%))。その結果を表7に示す。
Figure 2013253058
表7の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理、低温保存処理及び活性炭処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例19
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物(ヘキサン洗浄処理前抽出物)50mLにヘキサン50mL及び99.5体積%エタノール水溶液5mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄1回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表8に示す。
実施例20
実施例19で得られたナガサルオガセ抽出物50mLに、再度ヘキサン50mL及び99.5体積%エタノール水溶液5mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄2回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表8に示す。
実施例21
実施例20で得られたナガサルオガセ抽出物45mLに、再度ヘキサン45mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄3回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表8に示す。
Figure 2013253058
表8の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理、低温保存処理及びヘキサン洗浄処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例22
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で3日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物858.3g(蒸発残分0.460(w/v)%)を得た。
得られたナガサルオガセ抽出物を−5℃で12日間保存後、ろ過することにより活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物849.2g(蒸発残分0.360(w/v)%)を得た。
得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表9に示す。
実施例23
実施例22で得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物3mL(固形分10.8mg)に99.5体積%エタノール水溶液27mLを加え、希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)1.08mg(抽出物中固形分に対して10重量%)を添加し、室温で30分間撹拌後、ろ過することにより活性炭10wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で3mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.280(w/v)%))。その結果を表9に示す。
実施例24
実施例22で得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物3mL(固形分10.8mg)に99.5体積%エタノール水溶液27mLを加え、希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)5.40mg(抽出物中固形分に対して50重量%)を添加し、室温で30分間撹拌後、ろ過することにより活性炭50wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で3mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.280(w/v)%))。その結果を表9に示す。
実施例25
実施例22で得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物3mL(固形分10.8mg)に99.5体積%エタノール水溶液27mLを加え、希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)10.80mg(抽出物中固形分に対して100重量%)を添加し、室温で30分間撹拌後、ろ過することにより活性炭100wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で3mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.270(w/v)%))。その結果を表9に示す。
実施例26
実施例22で得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物3mL(固形分10.8mg)に99.5体積%エタノール水溶液27mLを加え、希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)16.20mg(抽出物中固形分に対して150重量%)を添加し、室温で30分間撹拌後、ろ過することにより活性炭150wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で3mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.270(w/v)%))。その結果を表9に示す。
実施例27
実施例22で得られた活性炭処理前のナガサルオガセ抽出物3mL(固形分10.8mg)に99.5体積%エタノール水溶液27mLを加え、希釈した後、活性炭(商品名:白鷺M、日本エンバイロケミカルズ社製)21.60mg(抽出物中固形分に対して200重量%)を添加し、室温で30分間撹拌後、ろ過することにより活性炭200wt%処理後品を得た。得られた活性炭処理品は活性炭処理時の希釈前品と同容量とすべく減圧下で溶媒を留去した後で3mLの50体積%エタノール水溶液に溶解し、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.270(w/v)%))。その結果を表9に示す。
Figure 2013253058
表9の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、低温保存処理及び活性炭処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を大幅にロスすることなく、ウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例28
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)50gと50体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で8日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物855.8g(蒸発残分0.270(w/v)%)を得た。
得られたナガサルオガセ抽出物を−5℃で13日間保存後、ろ過することによりヘキサン洗浄処理前のナガサルオガセ抽出物839.5g(蒸発残分0.360(w/v)%)を得た。
得られたヘキサン洗浄処理前のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表10に示す。
実施例29
実施例28で得られたヘキサン洗浄処理前のナガサルオガセ抽出物50mLにヘキサン50mL及び99.5体積%エタノール水溶液5mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄1回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表10に示す。
実施例30
実施例29で得られたナガサルオガセ抽出物50mLに、再度ヘキサン50mL及び99.5体積%エタノール水溶液5mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄2回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表10に示す。
実施例31
実施例30で得られたナガサルオガセ抽出物50mLに、再度ヘキサン50mL及び99.5体積%エタノール水溶液5mLを加え、分液ロートを使用して2層に分離後、下層を回収し(ヘキサン洗浄3回品)、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した(蒸発残分0.286(w/v)%)。その結果を表10に示す。
Figure 2013253058
表10の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、低温保存処理及びヘキサン洗浄処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を大幅にロスすることなく、ウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例32〜39
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物10mLを60℃で静置保存し、表11に示した各保存時間後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸とウスニン酸の含有量を測定した。その結果を表11に示す。
Figure 2013253058
実施例40〜43
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物150mLを70℃で表12に示した時間で攪拌を行い、得られたナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸とウスニン酸の含有量を測定した。その結果を表12に示す。
Figure 2013253058
実施例44〜46
実施例13で得られた加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物150mLを80℃で表13に示した時間で攪拌を行い、得られたナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸とウスニン酸の含有量を測定した。その結果を表13に示す。
Figure 2013253058
表11〜13の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理、低温保存処理及び加熱処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例47
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物175.62g(蒸発残分0.290(w/v)%)を得た。
実施例48
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して30℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物174.25g(蒸発残分0.340(w/v)%)を得た。
実施例49
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物177.57g(蒸発残分0.410(w/v)%)を得た。
実施例50
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと80体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して20℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物178.19g(蒸発残分0.260(w/v)%)を得た。
実施例51
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと80体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して30℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物179.82g(蒸発残分0.300(w/v)%)を得た。
実施例52
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと80体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物182.14g(蒸発残分0.380(w/v)%)を得た。
比較例12
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと95体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して25℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物182.55g(蒸発残分0.12(w/v)%)を得た。
ジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の測定
上記実施例47〜52及び比較例12で得られた各ナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表14に示す。
Figure 2013253058
表14の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、ジフラクタ酸含有量が十分に高くウスニン酸含有量が低減した、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のナガサルオガセ抽出物を得ることができる。これに対して、アルコール含有率の高すぎる抽出溶媒を用いてナガサルオガセを抽出すると、ジフラクタ酸濃度は上昇するが、ウスニン酸濃度も上昇した(比較例12)。
以上のように、サルオガセ属地衣類をアルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出することで、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のサルオガセ属地衣類の抽出物を製造することができる。ウスニン酸は肝毒性を有する一方、ジフラクタ酸は優れたエンドセリン抑制作用を有する。したがって、本発明によれば、エンドセリン作用抑制効果を有し安全性に優れたエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
実施例53
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物177.6g(蒸発残分0.420(w/v)%)を得た。
得られた抽出物10mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物8.9g(蒸発残分0.380(w/v)%)を得た。
低温保存処理前後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表15に示す。
Figure 2013253058
表15の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、低温保存処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例54
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して40℃で7日間抽出後ろ過し、加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物177.6g(蒸発残分0.420(w/v)%)を得た。
次に、加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物10mLと蒸留水1mLとを混合することにより希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物9.5mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物8.6g(蒸発残分0.350(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。加水処理後のナガサルオガセ抽出物中の各化合物の含有量の測定は、抽出物の一部をろ過後に測定した。その結果を表16に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表16に示す。
Figure 2013253058
実施例55
実施例54と同様にして調製した加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物10mLと蒸留水2.5mLとを混合することにより希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物12mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物10.5g(蒸発残分0.300(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。加水処理後のナガサルオガセ抽出物中の各化合物の含有量の測定は、抽出物の一部をろ過後に測定した。その結果を表17に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表17に示す。
Figure 2013253058
実施例56
実施例54と同様にして調製した加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物10mLと蒸留水5mLとを混合することにより希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物14mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物12.6g(蒸発残分0.240(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。加水処理後のナガサルオガセ抽出物中の各化合物の含有量の測定は、抽出物の一部をろ過後に測定した。その結果を表18に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表18に示す。
Figure 2013253058
実施例57
実施例54と同様にして調製した加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物10mLと蒸留水7.5mLとを混合することにより希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物16mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物14.1g(蒸発残分0.200(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。加水処理後のナガサルオガセ抽出物中の各化合物の含有量の測定は、抽出物の一部をろ過後に測定した。その結果を表19に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表19に示す。
Figure 2013253058
実施例58
実施例54と同様にして調製した加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物10mLと蒸留水10mLとを混合することにより希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物のうち18mLを−5℃で5日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物15.9g(蒸発残分0.170(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。加水処理後のナガサルオガセ抽出物中の各化合物の含有量の測定は、抽出物の一部をろ過後に測定した。その結果を表20に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表20に示す。
Figure 2013253058
表16〜20の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理及び低温保存処理をこの順で行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
比較例12
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと10体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物170.24g(蒸発残分0.348(w/v)%)を得た。
実施例59
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物156.79g(蒸発残分0.402(w/v)%)を得た。
実施例60
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で4日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物162.18g(蒸発残分0.348(w/v)%)を得た。
実施例61
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと50体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物166.61g(蒸発残分0.250(w/v)%)を得た。
実施例62
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと80体積%1,3-ブタンジオール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物176.55g(蒸発残分0.230(w/v)%)を得た。
比較例13
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で4日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物146.45g(蒸発残分0.402(w/v)%)を得た。
比較例14
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと95体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で4日間抽出後ろ過し、ヨコワサルオガセ抽出物143.95g(蒸発残分0.288(w/v)%)を得た。
ジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の測定
上記実施例59〜62及び比較例12〜14で得られた各ヨコワサルオガセ抽出物中のジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を、前記と同様の方法により測定した。その結果を表21に示す。
Figure 2013253058
表21の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、ジフラクタ酸含有量が十分に高くウスニン酸含有量が低減した、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のヨコワサルオガセ抽出物を得ることができる。これに対して、アルコール含有率の低すぎる抽出溶媒を用いてヨコワサルオガセを抽出すると、ウスニン酸含有量は低下したが、ジフラクタ酸含有量も大きく低下した(比較例12)。また、アルコール含有率の高すぎる抽出溶媒を用いてヨコワサルオガセを抽出すると、ジフラクタ酸含有量は上昇するが、ウスニン酸含有量も上昇した(比較例13及び14)。
以上のように、サルオガセ属地衣類をアルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出することで、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有のサルオガセ属地衣類抽出物を製造することができる。ウスニン酸は肝毒性を有する一方、ジフラクタ酸は優れたエンドセリン抑制作用を有する。したがって、本発明によれば、エンドセリン作用抑制効果を有し安全性に優れたエンドセリン作用抑制剤を製造することができる。
実施例63
実施例59で得られた抽出物(加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物)88.57gを−5℃で3日間保存後、ろ過することにより低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物81.68g(蒸発残分0.390(w/v)%)を得た。
得られた低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物80mLと蒸留水20mLとを混合してエタノールの体積が40%となるよう希釈し、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を−5℃で4日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物86.12g(蒸発残分0.328(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物、低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表22に示す。なお、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表22に示す。
Figure 2013253058
実施例64
実施例59で得られたヨコワサルオガセ抽出物(加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物)40mLと蒸留水10mLとを混合してエタノールの体積が40%となるよう希釈し、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を−5℃で3日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物41.03g(蒸発残分0.286(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表23に示す。なお、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表23に示す。
Figure 2013253058
実施例65
ヨコワサルオガセ(ハイケム社より入手)10gと50体積%エタノール水溶液200mLとを混合して40℃で4日間抽出後ろ過し、加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物162.18g(蒸発残分0.348(w/v)%)を得た。
得られた加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物80mLと蒸留水20mLとを混合してエタノールの体積が40%となるよう希釈し、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を得た。
さらに、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物を−5℃で2日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物86.94g(蒸発残分0.328(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のヨコワサルオガセ抽出物、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のヨコワサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表24に示す。なお、加水処理後のヨコワサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表24に示す。
Figure 2013253058
表22〜24の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるヨコワサルオガセ抽出物について、加水処理及び低温保存処理を行なうことにより、ヨコワサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸の含有量を保持したままウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
実施例66
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと5体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で29時間処理した後ろ過し、ろ液961.98g(蒸発残分0.080(w/v)%)を分離した。次に、ろ液から溶媒を分離して、ナガサルオガセの残渣を得た。
前記ナガサルオガセの残渣32.48gと60体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物178.44g(蒸発残分0.170(w/v)%)を得た。
実施例67
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと1体積%エタノール水溶液1Lとを混合して20℃で29時間処理した後ろ過し、ろ液959.01g(蒸発残分0.076(w/v)%)を分離した。次に、ろ液から溶媒を分離して、ナガサルオガセの残渣を得た。
前記ナガサルオガセの残渣35.47gと60体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物180.03g(蒸発残分0.152(w/v)%)を得た。
実施例68
ナガサルオガセ(新和物産社より入手)10gと蒸留水1Lとを混合して20℃で29時間処理した後ろ過し、ろ液950.01g(蒸発残分0.080(w/v)%)を分離した。次に、ろ液から溶媒を分離して、ナガサルオガセの残渣を得た。
前記ナガサルオガセの残渣32.75gと60体積%エタノール水溶液200mLとを混合して20℃で5日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物179.03g(蒸発残分0.144(w/v)%)を得た。
上記実施例66〜68で得られた各ナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりHPLCでジフラクタ酸及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表25に示す。
Figure 2013253058
表25の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出を行う前に、水系溶媒を用いてサルオガセ属地衣類を処理することにより、ウスニン酸含有量に対してジフラクタ酸含有量が特に高いサルオガセ属地衣類抽出物を得ることができる。
実施例69
実施例66で得られた抽出物(加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物)80mLと蒸留水20mLとを混合してエタノールの体積が約40〜50%となるよう希釈して澱出しを行い、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を得た。さらに、加水処理後のナガサルオガセ抽出物を−5℃で4日間保存後ろ過し、加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物84.33g(蒸発残分0.140(w/v)%)を得た。
加水・低温保存処理前のナガサルオガセ抽出物、加水処理後のナガサルオガセ抽出物、及び加水・低温保存処理後のナガサルオガセ抽出物について、前記と同様の方法によりジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量を測定した。その結果を表26に示す。なお、加水処理後のナガサルオガセ抽出物に含まれるジフラクタ酸含有量及びウスニン酸含有量の理論値も併せて表26に示す。
Figure 2013253058
表26の結果から明らかなように、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を抽出溶媒として用いて得られるナガサルオガセ抽出物について、加水処理及び低温保存処理を行なうことにより、ナガサルオガセ抽出物に含まれるウスニン酸含有量を選択的に低減することができる。
(処方例)
前記実施例で得られた抽出物を有効成分とする、下記に示す組成のローション、乳液、美容液及びクリームの形態の美白剤を常法により各々調製出来る。
1.ローションの調製
(組成) (配合:質量%)
1,3-ブチレングリコール 8.0
グリセリン 5.0
エタノール 3.0
実施例5で得られたナガサルオガセ抽出物 3.0
カミツレエキス 3.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.1
リン酸二ナトリウム 0.1
リン酸二水素ナトリウム 0.1
アスコルビン酸2-グルコシド 2.0
精製水 残部
香料 適量
防腐剤 適量
2.乳液の調製
(組成) (配合:質量%)
実施例6で得られたナガサルオガセ抽出物 1.0
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
アルテアエキス 2.0
スクワラン 3.0
オリブ油 3.0
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:40)1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
キサンタンガム 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.02
精製水 残部
防腐剤 適量
3.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
実施例7で得られたナガサルオガセ抽出物 1.0
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
水酸化カリウム 0.2
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.15
クエン酸 0.03
グリセリン 10.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
4.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
実施例2で得られたナガサルオガセ抽出物 3.0
カミツレエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
キサンタンガム 0.2
カルボキシメチルセルロース 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.15
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール(分子量1500) 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.5
精製水 残部
防腐剤 適量
5.クリームの調製
(組成) (配合:質量%)
実施例8で得られたナガサルオガセ抽出物 3.0
カミツレエキス 2.0
キキョウエキス 2.0
チョウジエキス 2.0
メチルポリシロキサン 3.0
スクワラン 2.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
ステアリルアルコール 1.5
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:60)0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
水酸化カリウム 0.15
キサンタンガム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量

Claims (13)

  1. サルオガセ(Usnea)属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、ジフラクタ酸高含有かつウスニン酸低含有サルオガセ属地衣類抽出物の製造方法。
  2. 前記アルコール水溶液がエタノール水溶液又は1,3-ブタンジオール水溶液である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ(Usnea longissima)又はヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理及び加熱処理からなる群より選ばれる1種以上の処理によりウスニン酸の選択的低減処理を行う、請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 水系溶媒を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 得られた抽出物中のウスニン酸含有量を質量基準で1とした場合、ジフラクタ酸含有量が3以上である、請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
  7. サルオガセ(Usnea)属地衣類を、アルコール含有率が30体積%以上80体積%以下のアルコール水溶液を用いて抽出する、エンドセリン作用抑制剤の製造方法。
  8. 前記アルコール水溶液がエタノール水溶液又は1,3-ブタンジオール水溶液である、請求項7記載の製造方法。
  9. 前記サルオガセ属地衣類がナガサルオガセ(Usnea longissima)又はヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)である、請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 抽出したサルオガセ属地衣類抽出物に対して、低温保存処理、加水処理、活性炭処理、ヘキサン洗浄処理及び加熱処理からなる群より選ばれる少なくとも1種の処理により該サルオガセ属地衣類抽出物に含まれるウスニン酸の選択的低減処理を行う、請求項7〜9のいずれか記載の製造方法。
  11. 水系溶媒を用いて前記サルオガセ属地衣類を処理し、処理したサルオガセ属地衣類に対して前記アルコール水溶液を用いた抽出を行う、請求項7〜10のいずれか記載の製造方法。
  12. 得られたエンドセリン作用抑制剤中のウスニン酸含有量を質量基準で1とした場合、ジフラクタ酸含有量が3以上である、請求項7〜11のいずれか記載の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか記載の製造方法により得られるサルオガセ(Usnea)属地衣類抽出物又はエンドセリン作用抑制剤を有効成分とする、美白剤。
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